JP2022061830A - バインダー組成物、電極合剤、電極、および非水電解質二次電池 - Google Patents

バインダー組成物、電極合剤、電極、および非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】ハイニッケル系正極活物質を用いた場合でも保管時の粘度増加(ゲル化)が抑制され、屈曲に耐える高い柔軟性を有し、一定圧力で電極をプレスしたときに電極密度を上昇させることができる電極合剤に使用されるバインダー組成物を提供する。【解決手段】本発明のバインダー組成物は、フッ化ビニリデンを主構成成分とするフッ化ビニリデン重合体とを含有するバインダー組成物であり、フッ化ビニリデン重合体中のクロロトリフルオロエチレンに由来する構造単位に対する、フッ化ビニリデン重合体中のヘキサフルオロプロピレンに由来する構造単位の重量比が1以上4以下である。【選択図】なし

Description

本発明はバインダー組成物に関する。詳しくは、バインダー組成物、当該組成物を用いた、電極合剤、電極、および非水電解質二次電池に関する。
リチウム二次電池の正極活物質としては従来コバルトが主に用いられていたが、充放電容量の増加やコバルトの資源価格高騰の観点からニッケルを多く含むハイニッケル系正極の適用が拡大している。しかしながら電極を製造する工程において、ハイニッケル系正極活物質を含むスラリーは保管時に粘度が増加(ゲル化)しやすいという問題がある。
また、リチウム二次電池はその形態も多様化してきており、円筒型や角型の電池においては、正極材、セパレータおよび負極材のシートは巻回されて収容される。電極が屈曲に耐える高い巻回性を有していないと電極が割れたり、集電体と電極の間に剥離が生じたりするなどの問題が発生する。正極合剤層の柔軟性が低下すると巻回性が低下し、柔軟なバインダーを使用することによって、巻回性が向上することが知られている。
以上より、ハイニッケル系正極活物質を用いても、ゲル化が抑制され、適切な柔軟性を有することによって電極に巻回性を付与することができる、電極合剤が求められている。
例えば、特許文献1~3には、フッ化ビニリデンホモポリマー、またはフッ化ビニリデンを主構成成分として含む共重合体を用いて、電極合剤のゲル化の抑制または柔軟性の改善を目的とした結着剤(バインダー)が開示されている。
また、特許文献4には、剥離強度の改善を目的とした、セパレータコーティング用のポリマーが開示されている。
特開2012-48917号公報 特開平11-195419号公報 特開2002-313345号公報 特開2014-179330号公報
近年、リチウム二次電池において、充放電容量増加のために、一定圧力で電極をプレスしたときに電極密度が上昇することが求められている。
しかしながら、特許文献1~4には、ゲル化が抑制され、好適な柔軟性を有することによって電極への巻回性の付与し、一定圧力で電極をプレスしたときに電極密度を上昇させることができる電極合剤は開示されていない。したがって、ハイニッケル系正極活物質を用いる際に、好適に使用できない虞があり、更なる改善が求められている。
本発明は、ハイニッケル系正極活物質を用いた場合でも保管時の粘度増加(ゲル化)が抑制され、屈曲に耐える高い柔軟性を有し、一定圧力で電極をプレスしたときに電極密度を上昇させることができる電極合剤に使用するバインダー組成物を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るバインダー組成物は、フッ化ビニリデンを主構成成分とするフッ化ビニリデン重合体を含有するバインダー組成物であって、
前記フッ化ビニリデン重合体は以下の(a)および(b)の少なくとも一方の共重合体を含み、
(a)フッ化ビニリデンに由来する構造単位とヘキサフルオロプロピレンに由来する構造単位とを含む共重合体およびフッ化ビニリデンに由来する構造単位とクロロトリフルオロエチレンに由来する構造単位とを含む共重合体、
(b)フッ化ビニリデンに由来する構造単位とヘキサフルオロプロピレンに由来する構造単位とクロロトリフルオロエチレンに由来する構造単位とを含む共重合体、
前記フッ化ビニリデン重合体中のクロロトリフルオロエチレンに由来する構造単位に対する、前記フッ化ビニリデン重合体中のヘキサフルオロプロピレンに由来する構造単位の重量比が1以上4以下である、バインダー組成物である。
本発明の一態様によれば、ハイニッケル系正極活物質を用いた場合でも保管時の粘度増加(ゲル化)が抑制され、屈曲に耐える高い柔軟性を有し、一定圧力で電極をプレスしたときに電極密度を上昇させることができる電極合剤を提供することが可能となる。
<バインダー組成物>
本実施形態のバインダー組成物は、フッ化ビニリデンを主構成成分とするフッ化ビニリデン重合体を含有する。本実施形態に係るバインダー組成物は、電極活物質を集電体上に結着するための結着剤(バインダー)として用いられるものである。
〔フッ化ビニリデン重合体〕
本明細書において「フッ化ビニリデン重合体」はフッ化ビニリデン(VDF)を主構成成分として含み、以下の(a)および(b)の少なくとも一方の共重合体を含む。
(a)フッ化ビニリデンに由来する構造単位(以下、「フッ化ビニリデン単位」ともいう)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)に由来する構造単位(以下、「HFP単位」ともいう)とを含む共重合体およびフッ化ビニリデン単位とクロロトリフルオロエチレン(CTFE)に由来する構造単位(以下、「CTFE単位」ともいう)とを含む共重合体。
(b)フッ化ビニリデン単位とHFP単位とCTFE単位とを含む共重合体。
フッ化ビニリデン重合体中のCTFE単位に対する、フッ化ビニリデン重合体中のHFP単位の重量比(以下、「HFP/CTFE比」ともいう)は1以上4以下であり、好ましくは1以上3以下であり、より好ましくは1以上2以下である。HFP/CTFE比を上記範囲にすることで、電極合剤のゲル化が抑制され、屈曲に耐える高い柔軟性を有し、電極に巻回性を付与する電極合剤を作製することができる。また、この電極合剤を用いた電極は、一定圧力でプレスしたときに電極密度が十分に上昇する。なお、一定圧力で電極をプレスしたときの電極密度の上昇は、電極合剤のゲル化および柔軟性とは関連がない電極合剤の特性によって達成されると考えられる。
上述の通り、本実施形態の電極合剤はゲル化が抑制されている。すなわち、本実施形態の電極合剤はゲル化耐性が高い。例えば、調製直後の電極合剤の粘度よりも一定期間保管した後に粘度が上昇したとき、ゲル化が進行していると判断することができる。
また、本実施形態の電極合剤は適度な柔軟性を有する。電極合剤の柔軟性は、例えば、電極を折り曲げる等の力を加えたときに、電極に破断が生じるか否かで評価することができる。
また、本実施形態の電極合剤は、一定の圧力で電極をプレスしたときに電極密度を上昇させることができる。電極密度の変化は、プレス後の電極の電極合剤密度から、プレス前の電極の電極合剤の密度を差し引くことによって求めることができる。
フッ化ビニリデン重合体は、フッ化ビニリデン単位を50重量%以上で含有することが好ましく、フッ化ビニリデン単位を60重量%以上で含有することがより好ましく、フッ化ビニリデン単位を80重量%以上で含有することが特に好ましい。
フッ化ビニリデン単位とHFP単位とを含む共重合体は、HFP単位を8~30重量%で含有することが好ましく、HFP単位を15~30重量%で含有することがより好ましい。
フッ化ビニリデン単位とCTFE単位とを含む共重合体は、CTFE単位を4~20重量%で含有することが好ましく、CTFE単位を10~20重量%で含有することがより好ましい。
フッ化ビニリデン単位とHFP単位とCTFE単位とを含む共重合体は、HFP単位を2~20重量%で含有することが好ましく、HFP単位を5~20重量%で含有することがより好ましい。また、CTFE単位を1~15重量%で含有することが好ましく、CTFE単位を3~15重量%で含有することがより好ましい。
(a)および(b)の少なくとも一方の共重合体が下記式(2)で示される化合物に由来する構造単位をさらに含むことが好ましい。下記式(2)で示される化合物に由来する構造単位を含むバインダー組成物を用いることによって、電極合剤の接着強度が向上する。
Figure 2022061830000001
式(2)において、Rは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、または炭素数1~5のアルキル基で置換されたカルボキシル基であり、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~5のアルキル基である。重合反応の観点から、特にRおよびRは立体障害の小さな置換基であることが望まれ、水素または炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素またはメチル基であることが好ましい。
式(2)において、Xは、単結合または主鎖が原子数1~20で構成される分子量500以下の原子団である。原子団における分子量は、好ましくは200以下である。また、原子団における分子量の下限に特に限定はないが、通常は15である。原子団の分子量が上述の範囲内であることにより、電極合剤スラリーのゲル化を好適に抑えられる。ここで、「主鎖の原子数」とは、式(2)におけるXの右側に記載されたカルボキシル基と、Xの左側に記載された基(RC=CR-)とを、最も少ない原子数で結ぶ鎖の骨格部分の原子数を意味している。またXは、官能基を側鎖として含むことで分岐していてもよい。Xに含まれる側鎖は、1つであってもよく、複数含まれていてもよい。なお、Xが単結合である場合、式(2)における化合物は、カルボキシル基がRに結合する炭素原子に対して直接結合している構造となる。
式(2)に示される構造単位を有する化合物の例として、アクリル酸(AA)、メタクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレート(CEA)、2-カルボキシエチルメタクリレート、マレイン酸モノメチルエステル、アクリロイロキシエチルコハク酸(AES)、アクリロイロキシプロピルコハク酸(APS)、メタクリロイロキシエチルコハク酸、メタクリロイロキシプロピルコハク酸、モノメチルマレイン酸(MMM)等を挙げることができる。
式(2)で示される化合物は下記式(3)で示される化合物であることがより好ましい。
Figure 2022061830000002
式(3)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、塩素原子または炭素数1~5のアルキル基である。
X'の主鎖の原子数は1~19であり、X’の分子量は472以下の原子団である。原子団における分子量は、好ましくは172以下である。また、原子団における分子量の下限に特に限定はないが、通常は15である。原子団の分子量が上述の範囲内であることにより、電極合剤のゲル化をさらに好適に抑えられる。ここで、「主鎖の原子数」とは、式(3)におけるX’の右側に記載されたカルボキシル基と、X’の左側に記載された基(RC=CR-C-)とを、最も少ない原子数で結ぶ鎖の骨格部分の原子数を意味している。またX’は、官能基を側鎖として含むことで分岐していてもよい。X’に含まれる側鎖は、1つであってもよく、複数含まれていてもよい。なお、X’が単結合である場合、式(3)における化合物は、カルボキシル基がRに結合する炭素原子に対して直接結合している構造となる。
式(3)に示される構造単位を有する化合物の例として、2-カルボキシエチルアクリレート(CEA)、2-カルボキシエチルメタクリレート、アクリロイロキシエチルコハク酸(AES)、アクリロイロキシプロピルコハク酸(APS)、メタクリロイロキシプロピルコハク酸等が挙げられる。
フッ化ビニリデン重合体が式(3)で示される構造単位を含むことにより、電極のプレス時に電極密度が高くなり、より好適に電極として使用できる。
フッ化ビニリデン重合体は、フッ化ビニリデンおよび式(2)または(3)に示される構造単位以外の他の化合物の成分を構成単位として有していてもよい。このような他の化合物としては、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、およびペルフルオロメチルビニルエーテルに代表されるペルフルオロアルキルビニルエーテル等;(メタ)アクリル酸グリシジル、および(メタ)アクリル酸メチル等に代表される、末端にCOOH基を有さない(メタ)アクリレート系モノマーを挙げることができる。
フッ化ビニリデン重合体は、一定圧力で電極をプレスしたときに電極密度がより高くなる点で、シアノ基を含む構造単位を含んでいないことが好ましい。
フッ化ビニリデン重合体におけるCTFE単位とHFP単位との合計は、8重量%以上であることが好ましい。
フッ化ビニリデン重合体における、式(2)または(3)で示される化合物に由来する構造単位は、好ましくは0.01重量%以上5重量%以下であって、より好ましくは0.1重量%以上2重量%以下である。
フッ化ビニリデン重合体のフッ化ビニリデン単位の重量、およびその他の構成単位の重量は、共重合体のH NMRスペクトルもしくは19F NMRスペクトル、または中和滴定により求めることができる。
(フッ化ビニリデン重合体のインヘレント粘度(ηi))
本実施形態で用いられるフッ化ビニリデン重合体のインヘレント粘度は、特に限定されないが、0.5~5.0dl/gであることが好ましく、1.0dl/g以上4.5dl/g以下であることがより好ましく、1.5dl/g以上4.0dl/g以下であることがさらに好ましい。インヘレント粘度が上記の範囲であれば、電極合剤スラリーを塗工する際に電極の厚みムラを発生させることなく、電極作製を容易に行える点で好ましい。
インヘレント粘度(ηi)は、例えば以下のようにして算出する。フッ化ビニリデン重合体80gを20mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解することによって重合体溶液を作製する。作製した重合体溶液の粘度ηを、30℃の恒温槽内においてウベローデ粘度計を用いて測定する。そして、以下の式からインヘレント粘度(η)を算出する。
η=(1/C)・ln(η/η
上記式中、ηは溶媒であるN,N-ジメチルホルムアミドの粘度、Cは作製した重合体溶液におけるフッ化ビニリデン重合体の濃度(0.4g/dL)である。
(フッ化ビニリデンの重合方法)
フッ化ビニリデン重合体の重合方法としては、特に限定はなく、従来公知の重合方法を用いることができる。重合方法としては、例えば懸濁重合、乳化重合、溶液重合等が挙げられるが、その中でも後処理の容易さ等の観点から水系の懸濁重合、乳化重合が好ましく、水系の懸濁重合が特に好ましい。
〔バインダー組成物のその他の態様〕
本実施形態に係るバインダー組成物において、市販のフッ化ビニリデン共重合体を使用してもよい。
本実施形態のバインダー組成物の形態は特に限定されず、粉状であっても、液状であってもよい。また、バインダー組成物は、溶媒を含んでいてもよい。溶媒は、非水溶媒であってもよいし、水であってもよい。非水溶媒としては、例えば、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスフォアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラメチルウレア、トリエチルホスフェイト、トリメチルホスフェイト、アセトン、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、n-ブタノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよびシクロヘキサノンなどを挙げることができる。これらの溶媒は2種類以上を混合して用いてもよい。
<電極合剤>
本実施形態の電極合剤は、電極活物質と、上記バインダー組成物と、を含有する。
〔電極活物質〕
本実施形態の電極活物質には、Niの含有率が高いリチウム金属酸化物が用いられる。ここで、本明細書中において「Niの含有率が高い」リチウム金属酸化物とは、下記式(1)で示されるリチウム金属酸化物である。
Lil+nMO・・・(1)
式(1)中、-0.15≦n≦0.15であって、MはNiまたはNiを含む2種以上の元素群であって、Niを含む2種以上の元素群である場合のNiの含有量は、50<Ni(mol%)である。
Mは、NiまたはNiを含む2種以上の元素群である。MがNiを含む2種以上の元素群である場合には、Mに含まれるNi以外の元素としては、例えば、Co、Mn、Ti、Cr、Fe、Cu、Zn、Al、Ge、Sn、Mg、Ag、Ta、Nb、B、P、Zr、Ca、SrおよびBaなどが挙げられる。なかでも、Co、MnおよびAlが好ましい。MがNiを含む2種以上の元素群である場合に、Mに含まれるNi以外の元素は、これらのうちの1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。リチウム金属酸化物がNiを含有することは、容量密度を高めることによって二次電池を高容量化できる点において好ましい。またリチウム金属酸化物が、Niに加えて、さらにCo等を含有することは、充放電過程での結晶構造変化が抑えられることによって安定なサイクル特性を示す点において好ましい。
式(1)において、MがNiを含む2種以上の元素群である場合には、Mを構成する全元素数を100mol%としたとき、Niの割合は、50mol%よりも多いことが好ましく、55mol%以上であることがより好ましく、60mol%以上であることがさらに好ましい。MがNiを含む2種以上の元素群である場合におけるNiの割合に上限はなく、100mol%未満であればよい。
好ましいリチウム金属酸化物としては、Li1.00Ni0.6Co0.2Mn0.2(NCM622)、Li1.00Ni0.83Co0.12Mn0.05(NCM811)、Li1.00Ni0.6Co0.2Al0.2(NCA622)、Li1.00Ni0.85Co0.15Al0.05(NCA811)、等を挙げることができる。
電極活物質は導電助剤を含んでもよい。導電助剤としては、たとえば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、黒鉛微粉末および黒鉛繊維等の炭素質物質、ならびにニッケルおよびアルミニウム等の金属微粉末または金属繊維を用いることができる。
電極活物質は、リチウム金属酸化物の他に、例えば不純物および添加剤等を含んでいてもよい。また、電極活物質に含まれる不純物等および添加剤等の種類は特に限定されるものではない。
電極合剤において、活物質の量を100質量部としたときに、フッ化ビニリデン重合体が0.2~15質量部含まれていることが好ましく、0.5~10質量部含まれていることがより好ましい。
〔電極合剤のその他の成分〕
本実施形態の電極合剤は、上述の成分以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、ポリビニルピロリドンなどの顔料分散剤等を挙げることができる。
〔電極合剤の製造方法〕
本実施形態に係る電極合剤は、例えば、バインダー組成物および電極活物質を均一なスラリーとなるように混合してもよく、混合する際の順序は特に限定されない。例えば、電極活物質の粉末に、バインダー組成物を任意の溶媒に溶解した、バインダー組成物溶液を添加し、混錬を行い、電極合剤を得てもよい。このとき、混錬時に溶媒の追加することによって、固形分濃度を調整してもよい。また、混錬は複数回に分けて行ってもよく、例えば二次混錬を行ってもよい。
〔電極合剤の性質〕
本実施形態に係る電極合剤は、ゲル化が抑制され、さらに、好適な柔軟性を有する。なお、本明細書等における「ゲル化」とは、電極合剤のスラリー保管時の粘度増加のことであり、例えば、電極合剤調製から24時間後のスラリー粘度を測定することによって評価できる。
本実施形態に係る電極合剤は好適な柔軟性を有する。なお、本明細書等における「柔軟性」とは、電極屈曲時における電極の破断が抑制できる性質のことを指す。例えば、円柱状に成形したプレス前後の電極を圧縮装置で圧縮した後に開いて、圧縮による折り曲げ箇所の光の透過の有無を目視確認することによって評価できる。
<電極>
本実施形態の電極合剤から形成された電極合剤層を集電体上に塗工して電極を作製してもよい。なお、本実施形態に係る電極は、上記電極合剤から形成された電極合剤層を集電体上に備える。本明細書等における「電極」とは、特に断りのない限り、本実施形態の電極合剤から形成される電極合剤層が集電体上に形成されている、電池の電極を意味する。
(集電体)
集電体は、電極の基材であり、電気を取り出すための端子である。集電体の材質としては、鉄、ステンレス鋼、鋼、銅、アルミニウム、ニッケル、およびチタン等を挙げることができる。集電体の形状は、箔または網であることが好ましい。電極が正極である場合、集電体としては、アルミニウム箔とすることが好ましい。集電体の厚みは、5μm~100μmであることが好ましく、5~20μmがより好ましい。
(電極合剤層)
電極合剤層は、上述した電極合剤を集電体に塗布して、乾燥させることにより得られる層である。電極合剤の塗布方法としては、当該技術分野における公知の方法を用いることができ、バーコーター、ダイコーターまたはコンマコーターなどを用いる方法を挙げることができる。電極合剤層を形成させるための乾燥温度としては、50℃~170℃であることが好ましく、50℃~150℃であることがより好ましい。電極合剤層は集電体の両面に形成されてもよいし、いずれか一方の面のみに形成されてもよい。
電極合剤層の厚さは、片面当たり通常は20~600μmであり、好ましくは20~350μmである。また、電極合剤層をプレスして密度を高めてもよい。また、電極合剤層の目付量は、通常は20~700g/mであり、好ましくは30~500g/mである。
〔電極の性質〕
本実施形態の電極を一定圧力でプレスしたときに、電極密度が上昇する。また、本実施形態の電極は、好適な巻回性を有する。電極の巻回性とは、電極が屈曲に耐える性質のことである。電極合剤の柔軟性と剥離強度が適切に調整されることによって電極に高い巻回性が付与される。
電極は、上述したように、正極用の電極合剤を用いて電極合剤層が得られる場合には正極となり、負極用の電極合剤を用いて電極合剤層が得られる場合には負極となる。本実施形態に係る電極は、例えば、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池の正極として用いることができる。
<非水電解質二次電池>
本実施形態の非水電解質二次電池は、上記電極を備える。非水電解質二次電池における他の部材については特に限定されるものでなく、例えば、従来用いられている部材を用いることができる。
非水電解質二次電池の製造方法としては、例えば、負極層と正極層とをセパレータを介して重ね合わせ、電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口する方法が挙げられる。この製造方法において、電極液の注入後の熱プレスによって、電極合剤に含有されるフッ化ビニリデン重合体の少なくとも一部が溶融され、セパレータと接着する。
〔まとめ〕
以上の通り、本実施形態に係るバインダー組成物は、フッ化ビニリデンを主構成成分とするフッ化ビニリデン重合体を含有するバインダー組成物であって、
前記フッ化ビニリデン重合体は以下の(a)および(b)の少なくとも一方の共重合体を含み、
(a)フッ化ビニリデンに由来する構造単位とヘキサフルオロプロピレンに由来する構造単位とを含む共重合体およびフッ化ビニリデンに由来する構造単位とクロロトリフルオロエチレンに由来する構造単位とを含む共重合体、
(b)フッ化ビニリデンに由来する構造単位とヘキサフルオロプロピレンに由来する構造単位とクロロトリフルオロエチレンに由来する構造単位とを含む共重合体、
前記フッ化ビニリデン重合体中のクロロトリフルオロエチレンに由来する構造単位に対する、前記フッ化ビニリデン重合体中のヘキサフルオロプロピレンに由来する構造単位の重量比が1以上4以下である、バインダー組成物である。
本実施形態に係るバインダー組成物は、(a)および(b)の少なくとも一方の共重合体が下記式(2)で示される化合物に由来する構造単位をさらに含むことが好ましい。
Figure 2022061830000003
式(2)中、Rは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、または炭素数1~5のアルキル基で置換されたカルボキシル基であり、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~5のアルキル基であり、Xは、単結合または主鎖が原子数1~20で構成される分子量500以下の原子団である。
本実施形態に係るバインダー組成物は、式(2)で示される化合物が下記式(3)で示される化合物であることがより好ましい。
Figure 2022061830000004
式(3)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、塩素原子または炭素数1~5のアルキル基であり、X'は、主鎖の原子数が1~19である分子量472以下の原子団である。
本実施形態に係るバインダー組成物は、フッ化ビニリデン重合体における、フッ化ビニリデン重合体に含まれるクロロトリフルオロエチレンに由来する構造単位とヘキサフルオロプロピレンに由来する構造単位との合計が8重量%以上であることが好ましい。
本実施形態に係る電極合剤は、電極活物質と、本実施形態に係るバインダー組成物と、を含有する電極合剤であって、
電極活物質は下記式(1)で示されるリチウム金属酸化物である。
Lil+nMO・・・(1)
[式(1)中、-0.15≦n≦0.15であって、MはNiまたはNiを含む2種以上の元素群であって、Niを含む2種以上の元素群である場合のNiの含有量は、50<Ni(mol%)である。]
本実施形態に係る電極は、本実施形態に係る電極合剤から形成された電極合剤層を集電体上に備える電極である。
本実施形態に係る非水電解質二次電池は、本実施形態に係る電極を備える非水電解質二次電池である。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明の以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
<フッ化ビニリデン共重合体の作製>
以下、フッ化ビニリデン共重合体の作製方法を示す。なお、フッ化ビニリデン共重合体に含まれる構造単位を示すために、各構造単位の略称の間に「/」を用いて示す場合がある。たとえば、フッ化ビニリデン(VDF)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)の構造単位を有するフッ化ビニリデン共重合体は「VDF/HFP」と示す。
[調製例1]フッ化ビニリデン共重合体A(VDF/HFP)の調製
内容量2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1075g、メトローズSM-100(信越化学工業(株)製)0.4g、50重量%ジイソプロピルペルオキシジカーボネート-フロン225cb溶液1.3g、2重量%酸性ピロリン酸ナトリウム水溶液21g、2重量%ピロリン酸ナトリウム水溶液21g、フッ化ビニリデン294g、およびヘキサフルオロプロピレン126gの各量を仕込み、28℃に加熱した。得られた重合体スラリーを脱水、乾燥してフッ化ビニリデン共重合体(VDF/HFP)を得た。
[調製例2]フッ化ビニリデン共重合体B(VDF/CTFE)の調製
内容量2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1075g、メトローズSM-100(株式会社信越化学工業社製)0.42g、50重量%ジイソプロピルペルオキシジカーボネート-フロン225cb溶液7.6g、酢酸エチル2.1g、2重量%酸性ピロリン酸ナトリウム水溶液21g、2重量%ピロリン酸ナトリウム水溶液21g、フッ化ビニリデン378g、およびクロロトリフルオロエチレン(CTFE)42gの各量を仕込み、29℃に加熱した。得られた重合体スラリーを脱水、乾燥してフッ化ビニリデン共重合体B(VDF/CTFE)を得た。
[調製例3]フッ化ビニリデン共重合体C(VDF/AA)の調製
内容量2リットルのオートクレーブに、イオン交換水900g、メトローズ90SH-100(株式会社信越化学工業社製)0.4g、50重量%t-ブチルペルオキシピバレート-フロン225cb溶液6g、フッ化ビニリデン396g、およびアクリル酸(AA)の初期添加量0.8gの各量を仕込み、50℃に加熱した。重合中に圧力を一定に保つ条件で、1重量%AA水溶液を反応容器に連続的に供給した。得られた重合体スラリーを脱水、乾燥してフッ化ビニリデン共重合体C(VDF/AA)を得た。AAは、初期に添加した量を含め、全量4.0gを添加した。
[調製例4]フッ化ビニリデン共重合体D(VDF/HFP)の調製
内容量14リットルのオートクレーブに、イオン交換水7770g、メトローズSM-100(株式会社信越化学工業社製)4.5g、50重量%ジイソプロピルペルオキシジカーボネート-フロン225cb溶液33g、フッ化ビニリデン2100g、およびヘキサフルオロプロピレン900gの各量を仕込み、29℃に加熱した。得られた重合体スラリーを脱水、乾燥してフッ化ビニリデン共重合体D(VDF/HFP)を得た。
[調製例5]フッ化ビニリデン共重合体E(VDF/CTFE)の調製
内容量2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1036g、メトローズSM-100(株式会社信越化学工業社製)0.4g、50重量%ジイソプロピルペルオキシジカーボネート-フロン225cb溶液8g、酢酸エチル6.0g、2重量%酸性ピロリン酸ナトリウム水溶液20g、2重量%ピロリン酸ナトリウム水溶液20g、フッ化ビニリデン360g、およびクロロトリフルオロエチレン40gの各量を仕込み、28℃に加熱した。得られた重合体スラリーを脱水、乾燥してフッ化ビニリデン共重合体E(VDF/CTFE)を得た。
[調製例6]フッ化ビニリデン共重合体F(VDF/HFP/CTFE/MMM)の調製
内容量2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1056g、メトローズSM-100(株式会社信越化学工業社製)0.6g、50重量%ジイソプロピルペルオキシジカーボネート-フロンHFE-347pc-f溶液3.4g、フッ化ビニリデン368g、ヘキサフルオロプロピレン24.2g、クロロトリフルオロエチレン16.0g、およびモノメチルマレイン酸(MMM)2.1gの各量を仕込み、29℃に加熱した。得られた重合体スラリーを脱水、乾燥してフッ化ビニリデン共重合体F(VDF/HFP/CTFE/MMM)を得た。
[調製例7]フッ化ビニリデン共重合体G(VDF/HFP/MMM)の調製
内容量14リットルのオートクレーブに、イオン交換水7813g、メトローズSM-100(株式会社信越化学工業社製)4.6g、50重量%ジイソプロピルペルオキシジカーボネート-フロンHFE-347pc-f溶液16g、フッ化ビニリデン2836g、ヘキサフルオロプロピレン182g、およびモノメチルマレイン酸(MMM)15.2gの各量を仕込み、29℃に加熱した。得られた重合体スラリーを脱水、乾燥してフッ化ビニリデン共重合体G(VDF/HFP/MMM)を得た。
[調製例8]フッ化ビニリデン共重合体H(VDF/APS)の調製
内容量2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1096g、メトローズ90SH-100(株式会社信越化学工業社製)0.2g、50重量%ジイソプロピルペルオキシジカーボネート-フロン225cb溶液2.2g、フッ化ビニリデン426g、およびアクリロイロキシプロピルコハク酸(APS)の初期添加量0.2gの各量を仕込み、26℃まで1時間で昇温した。その後、26℃を維持し、6重量%アクリロイロキシプロピルコハク酸水溶液を0.5g/minの速度で徐々に添加した。得られた重合体スラリーを脱水、乾燥して極性基を含むフッ化ビニリデン共重合体H(VDF/APS)を得た。アクリロイロキシプロピルコハク酸は、初期に添加した量を含め、全量4.0gを添加した。
[調製例9]フッ化ビニリデン共重合体I(VDF/HFP/TFE共重合体)の調製
モノメチルマレイン酸(MMM)をトリフルオロエチレン(TFE)に変更し、調製されるVDF/HFP/TFE共重合体中の各構成単位比(VDF:HFP:TFE)が、68.4:13.5:18.1となるように各材料を調製した以外は、調製例6と同様に共重合体を調製した。
[調製例10]フッ化ビニリデン共重合体J(VDF/MMM共重合体)の調製
内容積2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1040g、メチルセルロース0.8g、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート2g、フッ化ビニリデン396g、およびモノメチルマレイン酸4gの各量を仕込み、28℃に加熱した。得られた重合体スラリーを脱水、乾燥してフッ化ビニリデン共重合体J(VDF/MMM)を得た。
<電極合剤の作製>
[実施例1]電極合剤1の調製
電極活物質としてのNCA811に導電助剤としてカーボンブラック(SP:Timcal Japan社製 SuperP(登録商標)、平均粒子径:40nm、比表面積:60m/g)を加え、粉体混合を行った。一方、フッ化ビニリデン共重合体A、フッ化ビニリデン共重合体B、およびフッ化ビニリデン共重合体Jを重量比2:3:5で混合して混合ポリマー1を作製した。
混合ポリマー1をN-メチル-2ピロリドン(以下、NMP)に溶解し、6重量%のフッ化ビニリデン共重合体を含む、フッ化ビニリデン重合体溶液を作製した。NCA811およびカーボンブラックの混合物に対し、NMPおよびフッ化ビニリデン重合体溶液を添加し、混練をおこなった。具体的には、固形分濃度が83.7重量%となるようにNMPを添加し、2000rpmで2.5分間1次混練を行った。次いで、残りのフッ化ビニリデン重合体溶液を添加して固形分濃度を70.8重量%とし、2000rpmで3分間2次混練を行うことで、電極合剤1を得た。
得られた電極合剤における電極活物質、カーボンブラック、およびフッ化ビニリデン重合体の重量比は、この順で、100:2:2である。
得られた電極合剤1を、サンクメタル社製TH-C型コーターを用い、下記の条件で厚さ50μmのアルミニウム箔の両面に塗工して、乾燥状態における電極合材の目付量がおよそ270g/mの電極1を作製した。
ライン速度:0.5m/min.
乾燥温度:1炉/2炉/3炉=100℃/110℃/120℃
乾燥風量:1炉/2炉/3炉=風量1/風量1/風量2
[実施例2]電極合剤2の調製
フッ化ビニリデン共重合体Jをフッ化ビニリデン共重合体Hに変更した以外は、実施例1と同様にして、混合ポリマー2および電極合剤2を得た。また、電極合剤1を電極合剤2に変更した以外は、実施例1と同様にして、電極2を作製した。
[実施例3]電極合剤3の調製
フッ化ビニリデン共重合体Jをフッ化ビニリデン共重合体Cに変更した以外は、実施例1と同様にして、混合ポリマー3および電極合剤3を得た。また、電極合剤1を電極合剤3に変更した以外は、実施例1と同様にして、電極3を作製した。
[実施例4]電極合剤4の調製
フッ化ビニリデン重合体Aをフッ化ビニリデン共重合体Dに、フッ化ビニリデン共重合体Bをフッ化ビニリデン共重合体Eに変更した以外は、実施例1と同様にして、混合ポリマー4および電極合剤4を得た。また、電極合剤1を電極合剤4に変更した以外は、実施例1と同様にして、電極4を作製した。
[実施例5]電極合剤5の調製
混合ポリマー1をフッ化ビニリデン共重合体Fに変更した以外は、実施例1と同様にして、混合ポリマー5および電極合剤5を得た。また、電極合剤1を電極合剤5に変更した以外は、実施例1と同様にして、電極5を作製した。
[比較例1]電極合剤11の調製
混合ポリマー1をフッ化ビニリデン共重合体Jおよびフッ化ビニリデンホモポリマーであるKF#7200を重量比1:1で混合した混合ポリマーとした以外は、実施例1と同様にして、混合ポリマー11および電極合剤11を得た。また、電極合剤1を電極合剤11に変更した以外は、実施例1と同様にして、電極11を作製した。
[比較例2]電極合剤12の調製
フッ化ビニリデン共重合体Jをフッ化ビニリデン共重合体Hに変更した以外は、比較例1と同様にして、混合ポリマー12および電極合剤12を得た。また、電極合剤1を電極合剤12に変更した以外は、実施例1と同様にして、電極12を作製した。
[比較例3]電極合剤13の調製
フッ化ビニリデン共重合体Jをフッ化ビニリデン共重合体Cに変更した以外は、比較例1と同様にして、混合ポリマー13および電極合剤13を得た。また、電極合剤1を電極合剤13に変更した以外は、実施例1と同様にして、電極13を作製した。
[比較例4]電極合剤14の調製
フッ化ビニリデン混合ポリマー1をフッ化ビニリデン共重合体Gに変更して、混合ポリマー14として用いた以外は、実施例1と同様にして、電極合剤14を得た。また、電極合剤1を電極合剤14に変更した以外は、実施例1と同様にして、電極14を作製した。
[比較例5]電極合剤15の調製
フッ化ビニリデン共重合体AをKF#7200に変更した以外は、実施例1と同様にして、混合ポリマー15および電極合剤15を得た。また、電極合剤1を電極合剤15に変更した以外は、実施例1と同様にして、電極15を作製した。
[比較例6]電極合剤16の調製
混合ポリマー1をフッ化ビニリデン共重合体Iおよびフッ化ビニリデン共重合体Jを1:1で混合した混合ポリマーを混合ポリマー16として用いた以外は、実施例1と同様にして、電極合剤16を得た。また、電極合剤1を電極合剤16に変更した以外は、実施例1と同様にして、電極16を作製した。
[比較例7]電極合剤17の調製
混合ポリマー1をフッ化ビニリデン共重合体A、フッ化ビニリデン共重合体Bおよびフッ化ビニリデン共重合体Hを1:4:5で混合したポリマーである混合ポリマー17に変更した以外は、実施例1と同様にして、電極合材17を得た。また、電極合材1を電極合材17に変更した以外は、実施例1と同様にして、電極17を作製した。
[比較例8]電極合剤18の調製
混合ポリマー1を、フッ化ビニリデン共重合体A、フッ化ビニリデン共重合体Bおよびフッ化ビニリデン共重合体Hを3:2:5で混合したポリマーである混合ポリマー18に変更した以外は、実施例1と同様にして、電極合材18を得た。また、電極合材1を電極合材18に変更した以外は、実施例1と同様にして、電極18を作製した。
<フッ化ビニリデン共重合体の評価>
[評価例1]フッ化ビニリデンおよびコモノマーの構成単位量の測定
実施例1~5および比較例1~8で得られた混合ポリマー粉末のH NMRスペクトルを下記条件で求めた。装置として、AVANCE AC 400FT NMRスペクトルメーター(Bruker社製)を使用した。
<測定条件>
周波数:400MHz
測定溶媒:DMSO-d6
測定温度:25℃
フッ化ビニリデン重合体のフッ化ビニリデンに由来する構成単位の量、およびコモノマーに由来する構成単位の量を、1H NMRスペクトルから算出した。具体的には、主としてコモノマーに由来するシグナルと、主としてフッ化ビニリデンに由来する2.24ppmおよび2.87ppmに観察されるシグナルとの積分強度に基づき算出した。
なお、コモノマーとしてアクリル酸に由来する構造を有するコモノマーを用いた場合には、重合体におけるアクリル酸に由来する構造を含む構成単位の量を0.03mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いた中和滴定により求めた。より具体的には、重合体0.3gをアセトン9.7gに約80℃で溶解した後、3gの純水を加えることで被滴定溶液を調製した。指示薬として、フェノールフタレインを用い、室温下、0.03mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定を行った。
フッ化ビニリデン重合体の総量を100重量%とし、これに対する算出した各構成単位(VDF、HFP、CTFE、式(2)で示される化合物)の重量%を表1に示す。また、実施例1~5および比較例1~8のフッ化ビニリデン共重合体の混合ポリマーに用いたフッ化ビニリデン共重合体、およびその混合の際の重量比を表1に示す。
Figure 2022061830000005
[評価例2]フッ化ビニリデン共重合体のインヘレント粘度(η
実施例1~5および比較例1~8で得られた混合ポリマー80mgを20mlのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解することによって重合体溶液を作製した。この重合体溶液の粘度ηを、30℃の恒温槽内においてウベローデ粘度計を用いて測定した。そして、以下の式からインヘレント粘度(η)を算出した。
η=(1/C)・ln(η/η
上記式中、ηは溶媒であるN,N-ジメチルホルムアミドの粘度、Cは作成した重合体溶液におけるフッ化ビニリデン重合体の濃度(0.4g/dL)である。
上記式によって得られたインヘレント粘度の値を表2に示す。
<電極合剤の評価>
[評価例3]電極合剤のスラリー粘度の測定
実施例1~5および比較例1~8で得られた電極合剤について、25℃、窒素雰囲気下にて24時間保存した。そして、E型粘度計を用いて、25℃、せん断速度2s-1で測定を行った。粘度は、スラリー(電極合剤)を測定装置に仕込んでから60秒待機し、その後ローターを回転させることで測定を行った。また、ローターの回転開始から300秒後の値をスラリー粘度とした。
スラリー粘度が10万mPa・s未満であれば「〇」(ゲル化が抑制されている)、10mPa・s万以上であれば「×」(ゲル化が抑制されていない)として、結果を表2に示す。
<電極の評価>
[評価例4]電極の電極密度の測定
実施例1~5および比較例1~8で得られた電極を長さ5cm×2cmに切削し、未プレス電極サンプルを作製した。またロールプレス機を用いて0.4m/min.、クリアランス0.35mmで未プレス電極サンプルをプレスし、プレス電極サンプルを作製した。プレス電極サンプルおよび未プレス電極サンプルのそれぞれについて単位面積あたりの重量を測定し、電極合剤の密度を算出した。電極をプレスした際に増加した電極密度の値(電密変化)は、下記式を用いて算出した。算出した電密変化を、表2に示す。
電密変化[g/cm]=(プレス電極サンプルの電極合剤密度)-(未プレス電極サンプルの電極合剤密度)
[評価例5]電極の破断点密度の測定
電極を長さ5cm×2cmに切削し、未プレス電極サンプルを作製した。またロールプレス機を用いて0.4m/min.、所定のクリアランスで未プレス電極サンプルをプレスし、電極合材密度3.5g/cmのプレス電極サンプルを作製した。未プレス電極サンプルおよび電極密度3.5g/cmのプレス電極サンプルのそれぞれにおいて、試験片の短辺を重ならないように両面テープでつないで円柱状にし、これを圧縮速度30mm/min.で押しつぶした。電極を開いて折り曲げ箇所を目視確認し、光の透過が確認された場合に破断したと判断した。
未プレス電極サンプルおよびプレス電極サンプルの両方で破断なしの場合は「〇」(適度な柔軟性を有し、電極合剤として適している)、プレス電極サンプルのみで破断が見られた場合は「△」(柔軟性を有し、電極合剤として使用可能)、両方で破断あり場合は「×」(柔軟性がなく、電極合剤として不適である)とし、結果を表2に示す。
Figure 2022061830000006
表1より、実施例1~5で作製した電極合剤が好適に使用できるのに対し、比較例1~8で作製した電極合剤は好適に使用できないことが明らかである。
本発明は、リチウム二次電池に用いられる電極に利用することができる。

Claims (7)

  1. フッ化ビニリデンを主構成成分とするフッ化ビニリデン重合体を含有するバインダー組成物であって、
    前記フッ化ビニリデン重合体は以下の(a)および(b)の少なくとも一方の共重合体を含み、
    (a)フッ化ビニリデンに由来する構造単位とヘキサフルオロプロピレンに由来する構造単位とを含む共重合体およびフッ化ビニリデンに由来する構造単位とクロロトリフルオロエチレンに由来する構造単位とを含む共重合体、
    (b)フッ化ビニリデンに由来する構造単位とヘキサフルオロプロピレンに由来する構造単位とクロロトリフルオロエチレンに由来する構造単位とを含む共重合体、
    前記フッ化ビニリデン重合体中のクロロトリフルオロエチレンに由来する構造単位に対する、前記フッ化ビニリデン重合体中のヘキサフルオロプロピレンに由来する構造単位の重量比が1以上4以下である、バインダー組成物。
  2. 前記少なくとも一方の共重合体が下記式(2)で示される化合物に由来する構造単位を含む、請求項1に記載のバインダー組成物。
    Figure 2022061830000007
    [前記式(2)中、Rは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、または炭素数1~5のアルキル基で置換されたカルボキシル基であり、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~5のアルキル基であり、Xは、単結合または主鎖が原子数1~20で構成される分子量500以下の原子団である。]
  3. 前記式(2)で示される化合物が下記式(3)で示される化合物である、請求項2に記載のバインダー組成物。
    Figure 2022061830000008
    [前記式(3)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、塩素原子または炭素数1~5のアルキル基であり、X'は、主鎖の原子数が1~19である分子量472以下の原子団である。]
  4. 前記フッ化ビニリデン重合体における、前記フッ化ビニリデン重合体に含まれるクロロトリフルオロエチレンに由来する構造単位とヘキサフルオロプロピレンに由来する構造単位との合計が8重量%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のバインダー組成物。
  5. 電極活物質と、請求項1~4のいずれか1項に記載のバインダー組成物と、を含有する電極合剤であって、
    前記電極活物質は下記式(1)で示されるリチウム金属酸化物である、電極合剤。
    Lil+nMO・・・(1)
    [前記式(1)中、-0.15≦n≦0.15であって、MはNiまたはNiを含む2種以上の元素群であって、Niを含む2種以上の元素群である場合のNiの含有量は、50<Ni(mol%)である。]
  6. 請求項5に記載の電極合剤から形成された電極合剤層を集電体上に備える電極。
  7. 請求項6に記載の電極を備える非水電解質二次電池。
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