JP2022061487A - 樹脂組成物、それを用いた表示デバイスまたは受光デバイスの製造方法、基板ならびにデバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】高温プロセスにおいて熱分解しにくい樹脂膜であって、光透過率を向上させたデバイス基板、デバイス基板の製造方法、デバイス、およびデバイス製造方法を提供する。【解決手段】表示デバイスまたは受光デバイスの基板として用いられる樹脂膜を製造するための樹脂組成物であって、(a)特定のポリイミド構造またはポリアミド酸構造を有する繰り返し単位を主成分とする樹脂を含み、該樹脂組成物を430℃で30分加熱して得られる樹脂膜の重量減少開始温度が400℃以上、CTEが10ppm/℃未満であり、前記樹脂膜の膜厚が10μmであるときのヘイズが0.4%以下である、樹脂組成物とする。【選択図】なし
Description
本発明は、樹脂組成物、それを用いた表示デバイスまたは受光デバイスの製造方法、基板ならびにデバイスに関するものである。
ポリイミドは、その優れた電気絶縁性、耐熱性、機械特性により、半導体、ディスプレイ用途といった、様々な電子デバイスの材料として使用されている。最近では、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、カラーフィルターなどのディスプレイの基板にポリイミド膜を用いることで、衝撃に強く、フレキシブルなディスプレイを製造することができる。
電子デバイスに使用される材料は、デバイス製造における高温プロセスに耐える高い耐熱性が求められる。特に透明性を必要とする用途においては、耐熱性と透明性を両立する基板材料が求められる。
例えば、特許文献1にはアウトガスの少ないポリイミドを基板として使用して、有機ELディスプレイを製造する例が開示されている。また、特許文献2には高透明性を有するポリイミドを基板として使用して、カラーフィルター、有機ELディスプレイ、タッチパネルなどの電子デバイスを製造する例が開示されている。また、特許文献3には、高い耐熱性と低い熱膨張係数(CTE)を有するポリイミドを基板として使用して、表示デバイス又は受光デバイスを製造する例が報告されている。
特許文献1に記載されたポリイミド樹脂膜では、樹脂膜の光透過性が低く、透明性を必要とする用途に適用できないという課題があった。特許文献2に記載されたポリイミド樹脂膜では、電子デバイス製造時の高温プロセスにおいて、ポリイミド樹脂膜上に積層した膜が剥がれる課題があった。また、樹脂膜の熱膨張係数(CTE)が高く、支持体が大きく反って、製造工程中にプロセスが中断するといった不良が発生する課題もあった。特許文献3に記載されたポリイミド樹脂膜も、特許文献1、2と同じ課題があった。
そこで本発明は、光透過性が高く、電子デバイス用基板として使用可能な樹脂膜を与える樹脂組成物であって、支持体の反りを抑制でき、かつ、高温プロセスにおいて当該樹脂膜上に積層した膜の剥がれを抑制できるような樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、表示デバイスまたは受光デバイスの基板として用いられる樹脂膜を製造するための樹脂組成物であって、(a)化学式(1)または(2)で表される繰り返し単位を主成分とする樹脂を含み、該樹脂組成物を430℃で30分加熱して得られる樹脂膜の重量減少開始温度が400℃以上であり、前記樹脂膜の熱膨張係数(CTE)が10ppm/℃未満であり、前記樹脂膜の膜厚が10μmであるときのヘイズが0.4%以下である、樹脂組成物である。
化学式(1)および(2)中、Xは炭素数2以上の4価のテトラカルボン酸残基を示し、Yは炭素数2以上の2価のジアミン残基を示す。R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、炭素数1~10のアルキルシリル基、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオンまたはピリジニウムイオンを示す。
また本発明は、化学式(1)で表される繰り返し単位を主成分とする樹脂を含む、表示デバイスまたは受光デバイスの基板であって、重量減少開始温度が400℃以上であり、CTEが10ppm/℃未満であり、ヘイズが0.4%以下である基板である。
化学式(1)中、Xは、炭素数2以上の4価のテトラカルボン酸残基を示し、Yは、炭素数2以上の2価のジアミン残基を示す。
本発明に係る樹脂組成物は、光透過性が高く、電子デバイス用基板として使用可能な樹脂膜を与える。この樹脂膜は、支持体の反りや、電子デバイス製造における高温プロセスにおいて樹脂膜上に積層した膜が剥がれるといった現象を抑制することができる。そして、高い光透過性を必要とする用途に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
<樹脂組成物>
本発明にかかる樹脂組成物は、表示デバイスまたは受光デバイスの基板として用いられる樹脂膜を製造するための樹脂組成物であって、(a)化学式(1)または(2)で表される繰り返し単位を主成分とする樹脂(以下、「(a)樹脂」と称する場合がある)を含む。
本発明にかかる樹脂組成物は、表示デバイスまたは受光デバイスの基板として用いられる樹脂膜を製造するための樹脂組成物であって、(a)化学式(1)または(2)で表される繰り返し単位を主成分とする樹脂(以下、「(a)樹脂」と称する場合がある)を含む。
化学式(1)および(2)中、Xは炭素数2以上の4価のテトラカルボン酸残基を示し、Yは炭素数2以上の2価のジアミン残基を示す。R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、炭素数1~10のアルキルシリル基、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオンまたはピリジニウムイオンを示す。
本発明にかかる樹脂組成物は、これを430℃で30分加熱して得られる樹脂膜の重量減少開始温度が400℃以上である。重量減少開始温度は、好ましくは430℃以上であり、より好ましくは455℃以上である。また、重量減少開始温度は600℃以下が好ましい。樹脂膜の重量減少開始温度が400℃以上であると、電子デバイスの製造における高温プロセスにおいて、樹脂膜からの発ガスに起因して、樹脂膜上に形成した膜が剥がれる膜浮き現象が生じるのを抑制することができる。樹脂膜の重量減少温度が高温であるほど、電子デバイス製造のプロセス温度を高温化できるため好ましい。
また、その樹脂膜の熱膨張係数(CTE)が10ppm/℃未満である。CTEは、より好ましくは8ppm/℃未満であり、さらに好ましくは5ppm/℃未満である。CTEは、より好ましくは-3ppm/℃より大きく、さらに好ましくは0ppm/℃よりも大きい。樹脂膜のCTEが10ppm/℃未満であると、支持体に樹脂膜を成膜したときの支持体の反りを小さくすることができる。樹脂膜を表示デバイスまたは受光デバイスの基板として用いる場合、デバイスの製造工程中は、通常、樹脂膜は支持体から剥離されずにいる。支持体の反りが大きいと、装置がそれを検知してプロセスを中断するといった不良が発生する。
さらに、その樹脂膜の膜厚が10μmであるときのヘイズが0.4%以下である。ヘイズは、より好ましくは0.2%以下であり、さらに好ましくは0.1%以下であり、一層好ましくは0.1%未満である。樹脂膜のヘイズが0.4%以下であると、透明性を必要とする用途に好適に用いることができる。
好ましくは、その樹脂膜の膜厚が10μmであるときの黄色度が20以下である。黄色度は、より好ましくは18以下であり、さらに好ましくは16以下である。また、好ましくは-3以上であり、より好ましくは-2.5以上であり、さらに好ましくは-2以上である。樹脂膜の黄色度が20以下であると、透明性を必要とする用途に好適に用いることができる。
本発明において、樹脂膜の重量減少開始温度は、熱重量測定装置を用いで測定される。加熱条件は、(第1段階)10℃/minの昇温レートで試料を150℃まで昇温して、150℃で30分間保持する、(第2段階)10℃/minの降温レートで試料を室温まで空冷する、(第3段階)10℃/minの昇温レートで加熱する、という条件とし、重量減少が開始する温度を重量減少開始温度として求める。
本発明において、樹脂膜のCTEは、熱機械分析装置を用いで測定される。加熱条件は、(第1段階)10℃/minの昇温レートで試料を150℃まで昇温して、150℃で30分間保持する、(第2段階)10℃/minの降温レートで試料を室温まで空冷する、(第3段階)10℃/minの昇温レートで加熱する、という条件とし、50~350℃の平均のCTEを求める。
本発明において、樹脂膜のヘイズは、JIS K 7136:2000に準拠して求める。
本発明において、樹脂膜の黄色度は、JIS K 7373:2006に準拠して求める。
上記の重量減少温度、CTE、ヘイズ、黄色度は、いずれも樹脂膜を単独で用いて測定する。つまり樹脂膜が支持体上に積層されたものは用いない。
また、樹脂膜の膜厚の測定方法として、光干渉式膜厚計、エリプソメーターなどの非接触式測定方法や、触針式段差系、マイクロメーター、ダイヤルゲージなどの接触式測定方法や、エンコーダー内蔵測長器などの電磁式測定方法を用いることができる。
((a)樹脂)
化学式(1)はポリイミドの繰り返し単位構造を示し、化学式(2)はポリアミド酸等の繰り返し単位構造を示す。ポリアミド酸は、後述の通り、テトラカルボン酸とジアミン化合物を反応させることで得られる。さらにポリアミド酸は、加熱や化学処理を行うことにより、耐熱性樹脂であるポリイミドに変換することができる。
化学式(1)はポリイミドの繰り返し単位構造を示し、化学式(2)はポリアミド酸等の繰り返し単位構造を示す。ポリアミド酸は、後述の通り、テトラカルボン酸とジアミン化合物を反応させることで得られる。さらにポリアミド酸は、加熱や化学処理を行うことにより、耐熱性樹脂であるポリイミドに変換することができる。
化学式(1)または(2)で表される繰り返し単位を主成分とする樹脂とは、該繰り返し単位の繰り返し数が全ての繰り返し単位の繰り返し数の50%以上を占めることをいう。(a)樹脂は、該繰り返し単位の繰り返し数が全繰り返し単位の繰り返し数の80%以上を占めることが好ましく、90%以上を占めることがより好ましい。上記の範囲であれば、表示デバイスまたは受光デバイスの基板として使用するために必要な耐熱性が確保される。
化学式(1)および(2)中、Xは、水素原子および炭素原子を必須成分とし、ホウ素、酸素、硫黄、窒素、リン、ケイ素およびハロゲンからなる群より選ばれる1種以上の原子を含んでもよい炭素数2~80の4価の有機基であることが好ましく、炭素数2~80の4価の炭化水素基であることがより好ましい。ホウ素、酸素、硫黄、窒素、リン、ケイ素およびハロゲンの各原子は、それぞれ独立に20以下の範囲であるものが好ましく、10以下の範囲であるものがより好ましい。
Xを与えるテトラカルボン酸としては特に制限はなく、公知のものを用いることができる。例として、ピロメリット酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン、シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸や、国際公開第2017/099183号に記載のテトラカルボン酸などが挙げられる。
これらのうち、樹脂膜の耐熱分解性、低いCTEおよび高い光透過性をいずれも発現させやすくする観点から、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテルが好ましい。なかでも、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸が最も好ましい。
これらのテトラカルボン酸は、そのまま、あるいは酸無水物、活性エステル、活性アミドの状態でも使用できる。これらのうち、酸無水物は、重合時に副生成物が生じないため好ましく用いられる。また、これらを2種以上用いてもよい。
樹脂中の化学式(1)または(2)で表される繰り返し単位のうち50モル%以上が、化学式(13)および/または(14)で表される構造をXとして有する繰り返し単位であることが好ましい。
化学式(14)中、αおよびβは、それぞれ独立して、直接結合、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基、化学式(15)で表される構造または化学式(16)で表される構造である。
化学式(15)および化学式(16)中、γは、炭素原子、ケイ素原子、ホウ素原子、窒素原子またはリン原子である。nは1または2であり、mは2~8の整数である。R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のハロゲン化炭化水素基、炭素数1~10の炭化水素基、または芳香族複素環基である。δは、それぞれ独立に、化学式(17)で表される構造または化学式(18)で表される構造である。
化学式(17)および化学式(18)中、R4~R9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のハロゲン化炭化水素基、炭素数1~10の炭化水素基、または芳香族複素環基である。
Xとして化学式(13)で表される構造を与えるテトラカルボン酸は、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸である。また、Xとして化学式(14)で表される構造を与えるテトラカルボン酸は、化学式(19)で表されるテトラカルボン酸である。このうち、化学式(19)中のαおよびβは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、化学式(15)で表される構造または化学式(16)で表される構造であり、化学式(15)中のR3は炭素数1~10の芳香族炭化水素基、または芳香族複素環基であり、化学式(16)のδは、化学式(17)で表される構造が好ましい。このうち、化学式(20)で表される化合物がさらに好ましい。これらのテトラカルボン酸を全テトラカルボン酸中の50モル%以上の範囲で用いると、本発明の樹脂膜の重量減少温度をより向上させることでき、またCTEを低くすることができる。よって、重量減少開始温度が400℃以上であり、CTEが10ppm/℃未満であり、膜厚が10μmであるときのヘイズが0.4%以下である樹脂膜が、より得られやすくなる。3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸および/または化学式(19)で表されるテトラカルボン酸を用いる量は、全テトラカルボン酸中の70モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。
化学式(19)中、αおよびβは、化学式(14)中のものと同じである。
化学式(1)および(2)中、Yは、水素原子および炭素原子を必須成分とし、ホウ素、酸素、硫黄、窒素、リン、ケイ素およびハロゲンからなる群より選ばれる1種以上の原子を含んでもよい炭素数2~80の2価の有機基であることが好ましく、炭素数2~80の2価の炭化水素基であることがより好ましい。ホウ素、酸素、硫黄、窒素、リン、ケイ素およびハロゲンの各原子は、それぞれ独立に20以下の範囲であるものが好ましく、10以下の範囲であるものがより好ましい。
Yを与えるジアミンとしては特に制限はなく、公知のものを用いることができる。例として、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジ(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブタンジアミン、シクロヘキサンジアミン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)や、国際公開第2017/099183号に記載のジアミンなどが挙げられる。
これらのうち、樹脂膜の耐熱分解性と高い光透明性をいずれも発現させやすくする観点から、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホンが好ましい。また、樹脂膜の耐熱分解性と低いCTEをいずれも発現させやすくする観点から、p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニルが好ましい。樹脂膜の耐熱分解性、低いCTEおよび高い光透過性をいずれも発現させやすくする観点から、これらのジアミンを単独あるいは適宜混合して用いることが好ましい。
これらのジアミンは、そのまま、あるいは対応するトリメチルシリル化ジアミンの状態でも使用できる。また、これらを2種以上用いてもよい。
樹脂中の化学式(1)または(2)で表される繰り返し単位のうち50モル%以上が、化学式(11)で表される構造をYとして有する繰り返し単位であることが好ましい。
Yとして化学式(11)で表される構造を与えるジアミンはp-フェニレンジアミンである。p-フェニレンジアミンを全ジアミン中の50モル%以上の範囲で用いると、本発明の樹脂膜の重量減少温度をより向上させることでき、またCTEを低くすることができる。よって、重量減少開始温度が400℃以上であり、CTEが10ppm/℃未満であり、膜厚が10μmであるときのヘイズが0.4%以下である樹脂膜が、より得られやすくなる。p-フェニレンジアミンを用いる量は、全ジアミン中の70モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましい。
樹脂中の化学式(1)または(2)で表される繰り返し単位のうち5~30モル%が、化学式(12)で表される構造をYとして有する繰り返し単位であることが好ましい。
Yとして化学式(12)で表される構造を与えるジアミンは4,4’-ジアミノジフェニルスルホンである。4,4’-ジアミノジフェニルスルホンを全ジアミン中の5~30モル%の範囲で用いると、本発明の樹脂膜のヘイズや黄色度をより減少させることができ、また重量減少温度の低下をより抑制できる。よって、重量減少開始温度が400℃以上であり、CTEが10ppm/℃未満であり、膜厚が10μmであるときのヘイズが0.4%以下である樹脂膜が、より得られやすくなる。4,4’-ジアミノジフェニルスルホンを用いる量は、全ジアミン中の7モル%以上がより好ましく、10モル%以上がさらに好ましい。また、25モル%以下がより好ましく、20モル%以下がさらに好ましい。
(a)樹脂は、末端が末端封止剤により封止されたものであってもよい。末端封止剤を反応させることで、ポリイミド前駆体の分子量を好ましい範囲に調整できる。
末端のモノマーがジアミン化合物である場合は、そのアミノ基を封止するために、ジカルボン酸無水物、モノカルボン酸、モノカルボン酸クロリド化合物、モノカルボン酸活性エステル化合物、二炭酸ジアルキルエステルなどを末端封止剤として用いることができる。
末端のモノマーが酸二無水物である場合は、その酸無水物基を封止するために、モノアミン、モノアルコールなどを末端封止剤として用いることができる。
(a)樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用い、ポリスチレン換算で好ましくは200,000以下、より好ましくは150,000以下、さらに好ましくは100,000以下である。この範囲であれば、高濃度の樹脂組成物であっても粘度が増大するのをより抑制することができる。また、重量平均分子量は好ましくは5,000以上、より好ましくは10,000以上、さらに好ましくは30,000以上である。重量平均分子量が30,000以上であれば、樹脂組成物としたときの粘度が低下しすぎることがなく、より良好な塗布性を保つことができる。
化学式(1)および(2)の繰り返し数は、上述の重量平均分子量を満たす範囲であればよい。好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上である。また、好ましく1000以下であり、より好ましくは500以下である。
((b)化学式(3)で表される化合物)
本発明における樹脂組成物は、(b)化学式(3)で表される化合物および/またはその縮合物を含むことが好ましい。化学式(3)で表される化合物は、アルコキシ基(OR11)の加水分解とそれに続く脱水縮合によりシロキサン結合を形成する。化学式(3)で表される化合物の縮合物とは、そのような加水分解および脱水縮合を経て生成する化合物のことである。この反応が繰り返されることにより、化学式(3)で表される化合物からポリシロキサンが生成される。樹脂膜中に形成されるポリシロキサンは、樹脂膜の耐熱分解性を損なうことなく、光透過率をより向上させることができる。したがって、樹脂膜の重量減少開始温度を高く維持しつつ、ヘイズや黄色度をより下げることができる。
本発明における樹脂組成物は、(b)化学式(3)で表される化合物および/またはその縮合物を含むことが好ましい。化学式(3)で表される化合物は、アルコキシ基(OR11)の加水分解とそれに続く脱水縮合によりシロキサン結合を形成する。化学式(3)で表される化合物の縮合物とは、そのような加水分解および脱水縮合を経て生成する化合物のことである。この反応が繰り返されることにより、化学式(3)で表される化合物からポリシロキサンが生成される。樹脂膜中に形成されるポリシロキサンは、樹脂膜の耐熱分解性を損なうことなく、光透過率をより向上させることができる。したがって、樹脂膜の重量減少開始温度を高く維持しつつ、ヘイズや黄色度をより下げることができる。
化学式(3)中、R11は水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を示す。R12は炭素数1~10の炭化水素基を示す。nは、2~4の整数を示す。
化学式(3)で表される化合物は、化学式(31)で表される化合物を含むことが好ましい。
化学式(31)中、R11は水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を示す。R12は炭素数1~10の炭化水素基を示す。化学式(31)で表される化合物を含むと、Si(OR11)4のみから得られるポリシロキサンと異なり、炭化水素基R12を含むポリシロキサンを与えるため、有機ポリマーとの相溶性により優れる。またSi(OR11)2(R12)2のみから得られるポリシロキサンと異なり、分岐構造が形成されたネットワーク状のポリシロキサンを与えるため、耐熱性により優れる。
化学式(31)で表される化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどがあげられる。これらのうち、フェニルトリメトキシシランおよびフェニルトリエトキシシランが、化学式(1)または(2)で表される繰り返し単位を主成分とする樹脂との相溶性がよく好ましい。これらの化合物を単独または2種以上含んでもよい。
樹脂組成物における(b)化合物の含有量は、(a)樹脂100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは7質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上であり、好ましくは200質量部以下、より好ましくは100質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下である。上記含有量が、5質量部以上であれば樹脂膜の光透過性がより向上し、200質量部以下であれば樹脂膜としたときの機械特性がより向上する。
((c)溶剤)
本発明における樹脂組成物は、(c)溶剤を含んでもよい。溶剤を含むと、樹脂組成物をワニスとして使用することができる。かかるワニスを様々な支持体上に塗布することで、化学式(1)または(2)で表される繰り返し単位を主成分とする樹脂を含む塗膜を支持体上に形成できる。さらに、得られた塗膜を加熱処理して硬化させることにより、表示デバイスまたは受光デバイスの基板として使用できるポリイミドフィルムが得られる。
本発明における樹脂組成物は、(c)溶剤を含んでもよい。溶剤を含むと、樹脂組成物をワニスとして使用することができる。かかるワニスを様々な支持体上に塗布することで、化学式(1)または(2)で表される繰り返し単位を主成分とする樹脂を含む塗膜を支持体上に形成できる。さらに、得られた塗膜を加熱処理して硬化させることにより、表示デバイスまたは受光デバイスの基板として使用できるポリイミドフィルムが得られる。
溶剤としては特に制限はなく、公知のものを用いることができる。例として、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルイソブチルアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、γ-ブチロラクトン、乳酸エチル、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N’-ジメチルプロピレンウレア、1,1,3,3-テトラメチルウレア、ジメチルスルホキシド、スルホラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、水や、国際公開第2017/099183号に記載の溶剤などを単独、または2種以上使用することができる。
樹脂組成物における溶剤の含有量は、(a)樹脂100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは100質量部以上であり、好ましくは2000質量部以下、より好ましくは1500質量部以下である。かかる条件を満たす範囲であれば、塗布に適した粘度となり、塗布後の膜厚を容易に調節することができる。
本発明における樹脂組成物の粘度は20~10,000mPa・sが好ましく、50~8,000mPa・sがより好ましい。粘度が20mPa・s未満であると十分な膜厚の樹脂膜が得られなくなり、10,000mPa・sより大きいと樹脂組成物の塗布が困難となる。
(添加剤)
本発明にかかる樹脂組成物は、(a)樹脂、(b)化合物および(c)溶剤以外に、(d)光酸発生剤、(e)熱架橋剤、(f)熱酸発生剤、(g)フェノール性水酸基を含む化合物、(h)密着改良剤、(i)無機粒子および(j)界面活性剤から選ばれる少なくとも一つの添加剤を含んでもよい。これらの添加剤の具体例としては、例えば国際公開第2017/099183号に記載のものを挙げることができる。
本発明にかかる樹脂組成物は、(a)樹脂、(b)化合物および(c)溶剤以外に、(d)光酸発生剤、(e)熱架橋剤、(f)熱酸発生剤、(g)フェノール性水酸基を含む化合物、(h)密着改良剤、(i)無機粒子および(j)界面活性剤から選ばれる少なくとも一つの添加剤を含んでもよい。これらの添加剤の具体例としては、例えば国際公開第2017/099183号に記載のものを挙げることができる。
<樹脂組成物の製造方法>
上記(a)樹脂、(b)化合物ならびに必要により光酸発生剤、熱架橋剤、熱酸発生剤、フェノール性水酸基を含む化合物、密着改良剤、無機粒子および界面活性剤などを溶剤に溶解させることにより、本発明の樹脂組成物の実施形態の一つであるワニスを得ることができる。溶解方法としては、撹拌や加熱が挙げられる。光酸発生剤を含む場合、加熱温度は感光性樹脂組成物としての性能を損なわない範囲で設定することが好ましく、通常、室温~80℃である。また、各成分の溶解順序は特に限定されず、例えば、溶解性の低い化合物から順次溶解させる方法がある。また、界面活性剤など撹拌溶解時に気泡を発生しやすい成分については、他の成分を溶解してから最後に添加することで、気泡の発生による他成分の溶解不良を防ぐことができる。
上記(a)樹脂、(b)化合物ならびに必要により光酸発生剤、熱架橋剤、熱酸発生剤、フェノール性水酸基を含む化合物、密着改良剤、無機粒子および界面活性剤などを溶剤に溶解させることにより、本発明の樹脂組成物の実施形態の一つであるワニスを得ることができる。溶解方法としては、撹拌や加熱が挙げられる。光酸発生剤を含む場合、加熱温度は感光性樹脂組成物としての性能を損なわない範囲で設定することが好ましく、通常、室温~80℃である。また、各成分の溶解順序は特に限定されず、例えば、溶解性の低い化合物から順次溶解させる方法がある。また、界面活性剤など撹拌溶解時に気泡を発生しやすい成分については、他の成分を溶解してから最後に添加することで、気泡の発生による他成分の溶解不良を防ぐことができる。
なお、(a)樹脂は既知の方法によって重合することができる。例えば、テトラカルボン酸、あるいは対応する酸二無水物、活性エステル、活性アミドなどを酸成分とし、ジアミンあるいは対応するトリメチルシリル化ジアミンなどをジアミン成分として反応溶媒中で重合させることにより、ポリアミド酸を得ることができる。また、ポリアミド酸は、カルボキシ基がアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオンと塩を形成したものでもあってもよく、炭素数1~10の炭化水素基または炭素数1~10のアルキルシリル基でエステル化されたものであってもよい。一方、ポリイミドは、後述する方法によってポリアミド酸をイミド化することで得られる。
反応溶剤としては特に制限はなく、公知のものを用いることができる。例として、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルイソブチルアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、γ-ブチロラクトン、乳酸エチル、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N’-ジメチルプロピレンウレア、1,1,3,3-テトラメチルウレア、ジメチルスルホキシド、スルホラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、水や、国際公開第2017/099183号に記載の反応溶剤などを単独、または2種以上使用することができる。
反応溶剤の使用量は、テトラカルボン酸およびジアミン化合物の合計量が、反応溶液の全体の0.1~50質量%となるように調整することが好ましい。また反応温度は-20℃~150℃が好ましく、0~100℃がより好ましい。さらに、反応時間は0.1~24時間が好ましく、0.5~12時間がより好ましい。また、反応で使用するジアミン化合物のモル数とテトラカルボン酸のモル数は等しいことが好ましい。等しければ、樹脂組成物から高い機械特性の樹脂膜が得られやすい。
得られたポリアミド酸溶液はそのまま本発明の樹脂組成物として使用してもよい。この場合、反応溶剤に樹脂組成物として使用する溶剤と同じものを用いたり、反応終了後に溶剤を添加したりすることで、樹脂を単離することなく目的の樹脂組成物を得ることができる。
また、得られたポリアミド酸は、更にポリアミド酸の繰り返し単位の一部または全てをイミド化させたり、エステル化させたりしてもよい。この場合、ポリアミド酸の重合で得られたポリアミド酸溶液をそのまま次の反応に用いてもよく、ポリアミド酸を単離したうえで、次の反応に用いてもよい。
エステル化およびイミド化反応においても、反応溶剤に樹脂組成物として使用する溶剤と同じものを用いたり、反応終了後に溶剤を添加したりすることで、樹脂を単離することなく目的の樹脂組成物を得ることができる。
イミド化する方法は、ポリアミド酸を加熱する方法、もしくは、脱水剤およびイミド化触媒を添加して必要に応じて加熱する方法であることが好ましい。後者の方法の場合、脱水剤の反応物やイミド化触媒などを除去する工程が必要になるため、前者の方法がより好ましい。脱水剤およびイミド化触媒としては特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
イミド化に用いられる反応溶剤としては、重合反応で例示した反応溶剤を挙げることができる。
イミド化反応の反応温度は、好しくは0~180℃であり、より好ましくは10~150℃である。反応時間は、好ましくは1.0~120時間であり、より好ましくは2.0~30時間である。反応温度や反応時間をこのような範囲で適宜調整することで、ポリアミド酸のうち所望の割合をイミド化させることができる。
エステル化する方法は、エステル化剤を反応させる方法、もしくは、脱水縮合剤の存在下にアルコールを反応させる方法が好ましい。エステル化のために用いられる材料や反応条件には特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
これらの製造方法により得られたワニスは、濾過フィルターを用いて濾過し、ゴミなどの異物を除去することが好ましい。
<樹脂膜の製造方法>
本発明の樹脂組成物を用いた樹脂膜の製造方法は、(A)支持体に上記樹脂組成物を塗布する工程と、(B)該塗布膜を加熱して該支持体の上に樹脂膜を形成する工程とを含む。
本発明の樹脂組成物を用いた樹脂膜の製造方法は、(A)支持体に上記樹脂組成物を塗布する工程と、(B)該塗布膜を加熱して該支持体の上に樹脂膜を形成する工程とを含む。
まず、本発明の樹脂組成物の実施形態の一つであるワニスを支持体上に塗布する。支持体としては、シリコン、ガリウムヒ素などのウェハ基板、サファイアガラス、ソーダ石灰硝子、無アルカリガラスなどのガラス基板、ステンレス、銅などの金属基板あるいは金属箔、セラミックス基板、などが挙げられる。中でも、表面平滑性、加熱時の寸法安定性の観点から、無アルカリガラスが好ましい。
ワニスの塗布方法としては、スピン塗布法、スリット塗布法、ディップ塗布法、スプレー塗布法、印刷法などが挙げられ、これらを組み合わせてもよい。樹脂膜を表示デバイスまたは受光デバイスの基板として用いる場合には、大型サイズの支持体上に塗布する必要があるため、特にスリット塗布法が好ましく用いられる。
塗布に先立ち、支持体を予め前処理してもよい。例えば、前処理剤をイソプロパノール、エタノール、メタノール、水、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、アジピン酸ジエチルなどの溶媒に0.5~20質量%溶解させた溶液を用いて、スピンコート、スリットダイコート、バーコート、ディップコート、スプレーコート、蒸気処理などの方法で支持体表面を処理する方法が挙げられる。必要に応じて、減圧乾燥処理を施し、その後50℃~300℃の熱処理により支持体と前処理剤との反応を進行させることができる。
塗布後は、ワニスの塗布膜を乾燥させることが一般的である。乾燥方法としては、減圧乾燥や加熱乾燥、あるいはこれらを組み合わせて用いることができる。減圧乾燥の方法としては、例えば、真空チャンバー内に塗布膜を形成した支持体を置き、真空チャンバー内を減圧することで行なう。また、加熱乾燥はホットプレート、オーブン、赤外線などを使用して行なう。ホットプレートを用いる場合、プレート上に直接、もしくは、プレート上に設置したプロキシピン等の治具上に塗布膜を保持して加熱乾燥する。加熱温度は、ワニスに用いられる溶媒の種類や目的により様々であり、室温から180℃の範囲で1分間~数時間、加熱を行うことが好ましい。
本発明の樹脂組成物に光酸発生剤を含む場合、次に説明する方法により、乾燥後の塗布膜からパターンを形成することができる。塗布膜上に所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射し、露光する。露光に用いられる化学線としては紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、本発明では水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いることが好ましい。ポジ型の感光性を有する場合、露光部が現像液に溶解する。ネガ型の感光性を有する場合、露光部が硬化し、現像液に不溶化する。
露光後、現像液を用いてポジ型の場合は露光部を、またネガ型の場合は非露光部を除去することによって所望のパターンを形成する。現像液としては特に制限はなく、公知のものを用いることができる(例えば、国際公開第2017/099183号に記載の現像液など)。このうち、ポジ型・ネガ型いずれの場合もテトラメチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。またネガ型においては、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどの有機溶剤を用いることもできる。現像後は水にてリンス処理をすることが一般的である。
最後に180℃以上600℃以下の範囲で加熱処理し、塗布膜を焼成することにより耐熱性を有する樹脂膜を製造することができる。加熱方法としては、ホットプレート、熱風炉、赤外線などを使用できる。また、加熱中の雰囲気は窒素やアルゴンなどの不活性ガスが好ましく、大気、減圧下も適宜使用できる。加熱温度は好ましくは250℃以上、より好ましくは350℃以上であり、好ましくは550℃以下、より好ましくは500℃以下である。250℃以上であれば、ポリアミド酸のイミド化がほぼ完全に進行して、樹脂膜の機械特性が優れる。加熱温度が550℃以下であれば、樹脂の熱分解を抑制できる。加熱開始温度や塗布膜を投入する温度は、200℃以下が好ましい。より好ましくは、150℃以下、より好ましくは100℃以下である。加熱終了温度や樹脂膜を取り出す温度も同様である。加熱中の昇温速度は1~10℃/minが好ましい。より好ましくは2℃/min以上であり、8℃/min以下である。加熱中は、温度を一定に保つステップが1つ以上あってもよい。昇温中に1つ以上、および最高温度到達時点で温度を一定に保つことが好ましい。時間は5~120分が好ましい。より好ましくは、15分以上であり、60分以内である。これらの好ましい条件に従って加熱することで、樹脂膜の機械特性やストレスをさらに優れたものにできる。
<樹脂膜>
本発明における樹脂膜の膜厚は特に限定されるものではないが、膜厚は3μm以上が好ましい。膜厚は、より好ましくは5μm以上であり、さらに好ましくは7μm以上である。また、膜厚は100μm以下が好ましい。膜厚は、より好ましくは50μm以下であり、さらに好ましくは30μm以下である。膜厚が3μm以上であれば表示デバイスまたは受光デバイスの基板として特に優れた機械特性が得られる。また、膜厚が100μm以下であれば、表示デバイスまたは受光デバイスの基板として特に優れた靭性が得られる。
本発明における樹脂膜の膜厚は特に限定されるものではないが、膜厚は3μm以上が好ましい。膜厚は、より好ましくは5μm以上であり、さらに好ましくは7μm以上である。また、膜厚は100μm以下が好ましい。膜厚は、より好ましくは50μm以下であり、さらに好ましくは30μm以下である。膜厚が3μm以上であれば表示デバイスまたは受光デバイスの基板として特に優れた機械特性が得られる。また、膜厚が100μm以下であれば、表示デバイスまたは受光デバイスの基板として特に優れた靭性が得られる。
本発明における樹脂膜は、様々な電子デバイスの基板として使用できる。特に有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ、電子ペーパー、タッチパネルなどの表示デバイスや、X線受光センサー、太陽電池、シンチレーターなどの受光デバイスの基板として好適に用いられる。従来、これらのデバイスは大面積のガラスを基板として使用し、その上に各種素子を形成して製造されてきた。よって、ガラス基板を支持体とし、樹脂組成物を塗布し加熱して硬化させて得られた樹脂膜の上に、同様に各種素子を形成して最後の段階でガラス基板を取り除けば、樹脂膜を基板としたデバイスを製造できる。
樹脂膜は、表示デバイスまたは受光デバイスの基板として用いる場合は、通常、支持体から剥離せずに次の工程に用いる。しかし、後述する剥離方法によって支持体から剥離した樹脂膜を用いて、次の工程へ進めても良い。剥離せずに次の工程に用いる場合、支持体が反ることにより工程通過性が低下するのを防ぐため、発生するストレスが25MPaより小さいことが好ましい。ストレスは、一般に薄膜応力測定装置を用いて測定される。その仕組みは、ポリイミドフィルムが成膜された基板の反り量を測定し、そこから算出される。なお、ポリイミドフィルムが吸湿すると測定結果に影響するため、ポリイミドフィルムを乾燥させた状態で測定した結果を採用する。
<表示デバイスまたは受光デバイスの基板>
本発明の実施の形態に係る基板は、化学式(1)で表される繰り返し単位を主成分とする樹脂、およびポリシロキサンを含む、表示デバイスまたは受光デバイスの基板であって、重量減少開始温度が400℃以上、CTEが10ppm/℃未満であり、ヘイズが0.4%以下である基板である。
本発明の実施の形態に係る基板は、化学式(1)で表される繰り返し単位を主成分とする樹脂、およびポリシロキサンを含む、表示デバイスまたは受光デバイスの基板であって、重量減少開始温度が400℃以上、CTEが10ppm/℃未満であり、ヘイズが0.4%以下である基板である。
化学式(1)中、Xは、炭素数2以上の4価のテトラカルボン酸残基を示し、Yは、炭素数2以上の2価のジアミン残基を示す。この化学式(1)の詳細な説明、および基板の重量減少開始温度が400℃以上、CTEが10ppm/℃未満であり、ヘイズが0.4%以下であることの説明は、本発明にかかる樹脂組成物において説明した内容と同じである。
特に、基板がポリシロキサンを含むことが好ましい。基板の重量減少開始温度を高く維持しつつ、ヘイズをより下げることができるからである。ポリシロキサンはシルセスキオキサンであることが好ましく、(b)化合物の加水分解および縮合により得られるポリシロキサンであることがより好ましい。このとき、上記効果が特に大きくなる。
上記基板の製造方法としては特に制限はないが、本発明にかかる樹脂組成物から得られる樹脂膜を当該基板としての用途に供することで、得ることができる。
<表示デバイスまたは受光デバイス>
本発明にかかるデバイスは、上記基板の上に表示素子または受光素子が形成されてなるデバイスである。表示素子としては、有機EL素子、液晶表示素子、マイクロLED素子、電子ペーパー用の駆動素子、タッチパネル部材、カラーフィルター等が挙げられる。受光素子としては、X線受光素子、太陽電池セル、シンチレーターパネル、イメージセンサ等が挙げられる。
本発明にかかるデバイスは、上記基板の上に表示素子または受光素子が形成されてなるデバイスである。表示素子としては、有機EL素子、液晶表示素子、マイクロLED素子、電子ペーパー用の駆動素子、タッチパネル部材、カラーフィルター等が挙げられる。受光素子としては、X線受光素子、太陽電池セル、シンチレーターパネル、イメージセンサ等が挙げられる。
本発明にかかるデバイスの例として、上記基板の一方の面に表示素子が形成されてなり、他方の面に受光素子が形成されてなるデバイスが挙げられる。一例を示すと、まず本発明の基板の上に表示素子である有機EL素子を形成した有機ELパネルを用意する。それとは別に、シリコン基板を用いてCMOSセンサー素子が形成されたイメージセンサを用意する。上記有機ELパネルに対して、有機EL素子が形成された面とは反対の面にイメージセンサを貼り合わせると表示素子と受光素子が一体となったパネルが形成される。有機EL素子が形成された面から入射する光は、本発明の基板のヘイズが小さいためほとんど遮られることなく通過して受光素子に届く。その結果、受光素子の前面に表示素子が存在しても光のセンシングが可能となる。このように、各素子の配置に対する制約が軽減されて、デバイスの設計自由度が増すメリットがある。
<表示デバイスまたは受光デバイスの製造方法>
本発明の樹脂組成物を用いた表示デバイスまたは受光デバイスの製造方法は、上記樹脂膜の製造方法における(A)工程および(B)工程に加えて、(C)該樹脂膜の上に表示デバイスまたは受光デバイスを形成する工程を含む。
本発明の樹脂組成物を用いた表示デバイスまたは受光デバイスの製造方法は、上記樹脂膜の製造方法における(A)工程および(B)工程に加えて、(C)該樹脂膜の上に表示デバイスまたは受光デバイスを形成する工程を含む。
まず、上述の方法で、ガラス基板などの支持体の上に樹脂膜を製造する。このとき、後述する支持体からの剥離を容易にさせるために、あらかじめプライマー層を支持体の上に設けても構わない。例えば、支持体上に、離型剤を塗布したり、犠牲層を設けたりすることが挙げられる。離型剤としては、シリコーン系、フッ素系、芳香族高分子系、アルコキシシラン系等が挙げられる。犠牲層としては、金属膜、金属酸化物膜、アモルファスシリコン膜等が挙げられる。
樹脂膜の上には、必要に応じて無機膜を設ける。これにより基板外部から水分や酸素が樹脂膜を通過して画素駆動素子や発光素子の劣化を引き起こすのを防ぐことができる。無機膜としては、例えばケイ素酸化物(SiOx)、ケイ素窒化物(SiNy)、ケイ素酸窒化物(SiOxNy)などが挙げられ、これらは単層、あるいは複数の種類を積層して用いることができる。また、これらの無機膜は例えばポリビニルアルコールなどの有機膜と交互に積層して用いることもできる。これらの無機膜の成膜方法は、化学気相成長法(CVD)や物理気相成長法(PVD)などの蒸着法を用いて行われることが好ましい。
必要に応じて前記無機膜の上に樹脂膜を形成したり、更に無機膜を形成したりすることで、無機膜や樹脂膜を複数層具備する表示デバイスまたは受光デバイスの基板を製造することができる。なお、プロセスの簡略化の観点から、各樹脂膜の製造に用いられる樹脂組成物は同一の樹脂組成物であることが好ましい。
つづいて、得られた樹脂膜上(その上に無機膜等がある場合はさらにその上)に、表示素子または受光素子の構成要素を形成する。例えば、有機ELディスプレイの場合、画像駆動素子であるTFT、第一電極、有機EL発光素子、第二電極、封止膜を順に形成して画像表示素子を形成する。カラーフィルター用基板の場合、必要に応じてブラックマトリックスを形成した後、赤、緑、青などの着色画素を形成する。タッチパネル用基板の場合、配線層と絶縁層を形成する。
前記の無機膜を形成する工程やTFTを製造する工程では、400℃以上の温度で処理することもあるため、樹脂膜はその温度で熱分解しないことが好ましい。より好ましくは430℃以上、さらに好ましくは455℃以上の温度で熱分解しないことである。
本発明にかかるデバイスをフレキシブルデバイスとして用いるために、最後に、(D)支持体を除去する工程を有することが好ましい。支持体と樹脂膜の界面で両者を剥離することで、支持体を除去する。剥離する方法には、前述のレーザーリフトオフ、機械的な剥離方法、支持体をエッチングする方法などが挙げられる。レーザーリフトオフを行う場合、ガラス基板などの支持体に対し、樹脂膜および素子が形成されている側の反対側からレーザーを照射する。これにより、素子にダメージを与えることなく、剥離を行うことができる。
レーザー光には、紫外光から赤外光の波長範囲のレーザー光を用いることができるが、紫外光が特に好ましい。より好ましくは、308nmのエキシマレーザーが好ましい。剥離エネルギーは250mJ/cm2以下が好ましく、200mJ/cm2以下がより好ましい。
以上の工程により樹脂膜上に形成された電子デバイスが得られ、必要に応じてモジュール化して最終製品とする。本発明の樹脂膜はヘイズが小さいことから、基板に高い光透過率が求められる透過型ディスプレイとして使用できる。また、表示素子が形成された側とは反対側に、受光素子を形成した場合や、別の受光デバイスを配置した場合、表示側から入射して樹脂膜を通過した光にも前記受光素子や受光デバイスが反応する。このため、電子デバイスの設計自由度を向上させることができる。これらの用途を想定した場合、ヘイズは好ましくは0.4%以下であり、より好ましくは0.2%以下、さらに好ましくは0.1%以下であり、一層好ましくは0.1%未満である。
以下、実施例等をあげて本発明を説明するが、本発明は、下記の実施例等によって限定されるものではない。まず、下記の実施例および比較例で行った測定、評価および試験等について説明する。
(樹脂膜の膜厚の測定)
各実施例および比較例で得られた樹脂膜を用いて、リニアエンコーダー内蔵デジタル測長器(ニコン社製、ヘッド:MF-501、カウンタ:MFC-101A、スタンド:MS-11C)を用い、測定した。
各実施例および比較例で得られた樹脂膜を用いて、リニアエンコーダー内蔵デジタル測長器(ニコン社製、ヘッド:MF-501、カウンタ:MFC-101A、スタンド:MS-11C)を用い、測定した。
(樹脂膜の黄色度の測定)
各実施例および比較例で得られた樹脂膜を用いて、分光ヘーズメーター(村上色彩技術研究所社製、HSP-150Vis)を用い、JIS K 7373:2006に準拠して測定した。
各実施例および比較例で得られた樹脂膜を用いて、分光ヘーズメーター(村上色彩技術研究所社製、HSP-150Vis)を用い、JIS K 7373:2006に準拠して測定した。
(樹脂膜のヘイズの測定)
各実施例および比較例で得られた樹脂膜を用いて、分光ヘーズメーター(村上色彩技術研究所社製、HSP-150Vis)を用い、JIS K 7136:2000に準拠して測定した。
各実施例および比較例で得られた樹脂膜を用いて、分光ヘーズメーター(村上色彩技術研究所社製、HSP-150Vis)を用い、JIS K 7136:2000に準拠して測定した。
(樹脂膜の重量減少開始温度の測定)
各実施例で得られた樹脂膜(試料)について、熱重量測定装置(島津製作所社製、TGA-50)を用い、窒素気流下で重量減少開始温度を測定した。加熱条件は、第1段階において、10℃/minの昇温レートで試料を150℃まで昇温して、150℃で30分間保持した。これにより、この試料の吸着水を除去した。続く第2段階において、10℃/minの降温レートで試料を室温まで空冷した。続く第3段階において、10℃/minの昇温レートで加熱して、重量減少が開始する温度を重量減少開始温度として求めた。
各実施例で得られた樹脂膜(試料)について、熱重量測定装置(島津製作所社製、TGA-50)を用い、窒素気流下で重量減少開始温度を測定した。加熱条件は、第1段階において、10℃/minの昇温レートで試料を150℃まで昇温して、150℃で30分間保持した。これにより、この試料の吸着水を除去した。続く第2段階において、10℃/minの降温レートで試料を室温まで空冷した。続く第3段階において、10℃/minの昇温レートで加熱して、重量減少が開始する温度を重量減少開始温度として求めた。
(樹脂膜のCTEの測定)
各実施例で得られた樹脂膜(試料)について、熱機械分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 EXSTAR6000 TMA/SS6100)を用い、窒素気流下、下記の条件でCTEを測定した。加熱条件は、第1段階において、10℃/minの昇温レートで試料を150℃まで昇温して、150℃で30分間保持した。これにより、この試料の吸着水を除去した。続く第2段階において、10℃/minの降温レートで試料を室温まで空冷した。続く第3段階において、10℃/minの昇温レートで加熱して、50~350℃の平均のCTEを求めた。加熱条件以外の測定条件は下記の通りとした。
試料幅:4mm
チャック間距離:20mm
引っ張り荷重:20mN。
各実施例で得られた樹脂膜(試料)について、熱機械分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 EXSTAR6000 TMA/SS6100)を用い、窒素気流下、下記の条件でCTEを測定した。加熱条件は、第1段階において、10℃/minの昇温レートで試料を150℃まで昇温して、150℃で30分間保持した。これにより、この試料の吸着水を除去した。続く第2段階において、10℃/minの降温レートで試料を室温まで空冷した。続く第3段階において、10℃/minの昇温レートで加熱して、50~350℃の平均のCTEを求めた。加熱条件以外の測定条件は下記の通りとした。
試料幅:4mm
チャック間距離:20mm
引っ張り荷重:20mN。
(化合物)
適宜使用される化合物および略称は、以下に示す通りである。
PDA:p-フェニレンジアミン(大新化成工業(株)製)
4,4’-DDS:4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(セイカ(株)製)
BPDA:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(三菱化学(株)製)
SFDA:化学式(20)で表されるテトラカルボン酸の酸二無水物
KBM-103:フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)。
適宜使用される化合物および略称は、以下に示す通りである。
PDA:p-フェニレンジアミン(大新化成工業(株)製)
4,4’-DDS:4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(セイカ(株)製)
BPDA:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(三菱化学(株)製)
SFDA:化学式(20)で表されるテトラカルボン酸の酸二無水物
KBM-103:フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)。
(合成例1)
300mL4つ口フラスコに、温度計、撹拌羽根付き撹拌棒をセットした。次に、乾燥窒素気流下、NMP(140g)と、PDA(9.084g(84.00mmol))と、4,4’-DDS(3.725g(15.00mmol))とを投入し、40℃に昇温した。昇温後、撹拌しながらBPDA(29.42g(100.0mmol))を投入し、NMP(20g)で洗い込んだ。60℃で6時間攪拌して溶液Aを得た。
300mL4つ口フラスコに、温度計、撹拌羽根付き撹拌棒をセットした。次に、乾燥窒素気流下、NMP(140g)と、PDA(9.084g(84.00mmol))と、4,4’-DDS(3.725g(15.00mmol))とを投入し、40℃に昇温した。昇温後、撹拌しながらBPDA(29.42g(100.0mmol))を投入し、NMP(20g)で洗い込んだ。60℃で6時間攪拌して溶液Aを得た。
(合成例2)
300mL4つ口フラスコに、温度計、撹拌羽根付き撹拌棒をセットした。次に、乾燥窒素気流下、NMP(140g)と、PDA(10.71g(99.00mmol))とを投入し、40℃に昇温した。昇温後、撹拌しながらBPDA(29.42g(100.0mmol))を投入し、NMP(20g)で洗い込んだ。60℃で6時間攪拌して溶液Bを得た。
300mL4つ口フラスコに、温度計、撹拌羽根付き撹拌棒をセットした。次に、乾燥窒素気流下、NMP(140g)と、PDA(10.71g(99.00mmol))とを投入し、40℃に昇温した。昇温後、撹拌しながらBPDA(29.42g(100.0mmol))を投入し、NMP(20g)で洗い込んだ。60℃で6時間攪拌して溶液Bを得た。
(合成例3)
500mL4つ口フラスコに、温度計、撹拌羽根付き撹拌棒をセットした。次に、乾燥窒素気流下、NMP(255g)を投入し、60℃に昇温した。昇温後、攪拌しながらPDA(10.20g(94.3mmol))を投入し、溶解したことを確認した後、SFDA(17.99g(38.1mmol))とBPDA(16.81g(57.1mmol))を投入した。12時間攪拌した後、反応溶液を室温まで冷却し、4-ヒドロキシピリジン(4.5g)を添加し、NMPで希釈して溶液Cを得た。
500mL4つ口フラスコに、温度計、撹拌羽根付き撹拌棒をセットした。次に、乾燥窒素気流下、NMP(255g)を投入し、60℃に昇温した。昇温後、攪拌しながらPDA(10.20g(94.3mmol))を投入し、溶解したことを確認した後、SFDA(17.99g(38.1mmol))とBPDA(16.81g(57.1mmol))を投入した。12時間攪拌した後、反応溶液を室温まで冷却し、4-ヒドロキシピリジン(4.5g)を添加し、NMPで希釈して溶液Cを得た。
(合成例4)
300mL4つ口フラスコに、温度計、撹拌羽根付き撹拌棒をセットした。次に、乾燥窒素気流下、NMP(140g)と、4,4’-DDS(24.58g(99.00mmol))とを投入し、40℃に昇温した。昇温後、撹拌しながらBPDA(29.42g(100.0mmol))を投入し、NMP(20g)で洗い込んだ。60℃で6時間攪拌して溶液Dを得た。
300mL4つ口フラスコに、温度計、撹拌羽根付き撹拌棒をセットした。次に、乾燥窒素気流下、NMP(140g)と、4,4’-DDS(24.58g(99.00mmol))とを投入し、40℃に昇温した。昇温後、撹拌しながらBPDA(29.42g(100.0mmol))を投入し、NMP(20g)で洗い込んだ。60℃で6時間攪拌して溶液Dを得た。
(調製例1)
合成例1で得られた溶液Aに対して、何も加えず、孔径0.2μmの高密度ポリエチレン製のフィルターを用いて濾過を行い、ワニスa1を調製した。
合成例1で得られた溶液Aに対して、何も加えず、孔径0.2μmの高密度ポリエチレン製のフィルターを用いて濾過を行い、ワニスa1を調製した。
(調製例2)
合成例1で得られた溶液Aに対して、KBM-103を20重量部(溶液Aに含まれる樹脂を100重量部とする)加えて撹拌した。撹拌後、孔径0.2μmの高密度ポリエチレン製のフィルターを用いて濾過を行い、ワニスa2を調製した。
合成例1で得られた溶液Aに対して、KBM-103を20重量部(溶液Aに含まれる樹脂を100重量部とする)加えて撹拌した。撹拌後、孔径0.2μmの高密度ポリエチレン製のフィルターを用いて濾過を行い、ワニスa2を調製した。
(調製例3)
合成例2で得られた溶液Bに対して、KBM-103を20重量部(溶液Bに含まれる樹脂を100重量部とする)加えて撹拌した。撹拌後、孔径0.2μmの高密度ポリエチレン製のフィルターを用いて濾過を行い、ワニスb2を調製した。
合成例2で得られた溶液Bに対して、KBM-103を20重量部(溶液Bに含まれる樹脂を100重量部とする)加えて撹拌した。撹拌後、孔径0.2μmの高密度ポリエチレン製のフィルターを用いて濾過を行い、ワニスb2を調製した。
(調製例4)
合成例3で得られた溶液Cに対して、何も加えず、孔径0.2μmの高密度ポリエチレン製のフィルターを用いて濾過を行い、ワニスc1を調製した。
合成例3で得られた溶液Cに対して、何も加えず、孔径0.2μmの高密度ポリエチレン製のフィルターを用いて濾過を行い、ワニスc1を調製した。
(調製例5)
合成例2で得られた溶液Bに対して、何も加えず、孔径0.2μmの高密度ポリエチレン製のフィルターを用いて濾過を行い、ワニスb1を調製した。
合成例2で得られた溶液Bに対して、何も加えず、孔径0.2μmの高密度ポリエチレン製のフィルターを用いて濾過を行い、ワニスb1を調製した。
(調製例6)
合成例4で得られた溶液Dに対して、何も加えず、孔径0.2μmの高密度ポリエチレン製のフィルターを用いて濾過を行い、ワニスd1を調製した。
合成例4で得られた溶液Dに対して、何も加えず、孔径0.2μmの高密度ポリエチレン製のフィルターを用いて濾過を行い、ワニスd1を調製した。
(実施例1)
調整例1で得られたワニスを用いて、スリット塗布装置(東レエンジニアリング(株)製)を用いて、縦350mm×横300mm×厚さ0.5mmの無アルカリガラス基板「AN100」(旭硝子(株)製)上に、調整例1のワニスをガラス基板の端から5mm内側のエリアに塗布した。つづいて、同じ装置を用いて80℃で加熱乾燥を行った。最後に、ガスオーブン「INH-21CD」(光洋サーモシステム(株)製)を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度100ppm以下)、430℃で30分加熱して、ガラス基板上に膜厚10μmの樹脂膜を形成した。得られた樹脂膜付きのガラス基板に対して、樹脂膜が形成されていない側から波長308nmのレーザーを照射し、樹脂膜をガラス基板から剥離した。上記の方法によって、樹脂膜の黄色度、ヘイズ、CTEおよび重量減少開始温度を測定した。
調整例1で得られたワニスを用いて、スリット塗布装置(東レエンジニアリング(株)製)を用いて、縦350mm×横300mm×厚さ0.5mmの無アルカリガラス基板「AN100」(旭硝子(株)製)上に、調整例1のワニスをガラス基板の端から5mm内側のエリアに塗布した。つづいて、同じ装置を用いて80℃で加熱乾燥を行った。最後に、ガスオーブン「INH-21CD」(光洋サーモシステム(株)製)を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度100ppm以下)、430℃で30分加熱して、ガラス基板上に膜厚10μmの樹脂膜を形成した。得られた樹脂膜付きのガラス基板に対して、樹脂膜が形成されていない側から波長308nmのレーザーを照射し、樹脂膜をガラス基板から剥離した。上記の方法によって、樹脂膜の黄色度、ヘイズ、CTEおよび重量減少開始温度を測定した。
(実施例2~4、比較例1および2)
調製例2~6で得られたワニスを用いて実施例1同様に評価を行った。実施例1~4および比較例1および2の評価結果を表1に示す。
調製例2~6で得られたワニスを用いて実施例1同様に評価を行った。実施例1~4および比較例1および2の評価結果を表1に示す。
(実施例101)
実施例1で得られたガラス基板上の樹脂膜の上にCVDによりSiO2、Si3N4の積層から成るガスバリア膜を成膜した。つづいてTFTを形成し、このTFTを覆う状態でSi3N4から成る絶縁膜を形成した。次に、この絶縁膜にコンタクトホールを形成した後、このコンタクトホールを介してTFTに接続される配線を形成した。
実施例1で得られたガラス基板上の樹脂膜の上にCVDによりSiO2、Si3N4の積層から成るガスバリア膜を成膜した。つづいてTFTを形成し、このTFTを覆う状態でSi3N4から成る絶縁膜を形成した。次に、この絶縁膜にコンタクトホールを形成した後、このコンタクトホールを介してTFTに接続される配線を形成した。
さらに、配線の形成による凹凸を平坦化するために、平坦化膜を形成した。次に、得られた平坦化膜上に、ITOからなる第一電極を配線に接続させて形成した。その後、レジストを塗布、プリベークし、所望のパターンのマスクを介して露光し、現像した。このレジストパターンをマスクとして、ITOエッチャントを用いたウエットエッチングによりパターン加工を行った。その後、レジスト剥離液(モノエタノールアミンとジエチレングリコールモノブチルエーテルの混合液)を用いて該レジストパターンを剥離した。剥離後の基板を水洗し、加熱脱水して平坦化膜付き電極基板を得た。次に、第一電極の周縁を覆う形状の絶縁膜を形成した。
さらに、真空蒸着装置内で所望のパターンマスクを介して、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層を順次蒸着して設けた。次いで、基板上方の全面にAl/Mgから成る第二電極を形成した。さらにCVDによりSiO2、Si3N4の積層から成る封止膜を形成した。最後にガラス基板に対し、樹脂膜が成膜されていない側からレーザー(波長:308nm)を照射し、樹脂膜との界面で剥離を行った。このときの照射エネルギーは、200mJ/cm2とした。
以上のようにして、樹脂膜上に形成された有機EL表示装置が得られた。駆動回路を介して電圧を印加したところ、良好な発光を示した。
(比較例101)
比較例2で得られたガラス基板上の樹脂膜の上にCVDによりSiO2、Si3N4の積層から成るガスバリア膜を成膜するために、CVD装置のチャンバーに投入した。しかし、ガラス基板の反りが大きく、ステージ上で真空吸着できなかったことから、SiO2、Si3N4の成膜が行えず、先の工程に進められなかった。
比較例2で得られたガラス基板上の樹脂膜の上にCVDによりSiO2、Si3N4の積層から成るガスバリア膜を成膜するために、CVD装置のチャンバーに投入した。しかし、ガラス基板の反りが大きく、ステージ上で真空吸着できなかったことから、SiO2、Si3N4の成膜が行えず、先の工程に進められなかった。
Claims (21)
- 表示デバイスまたは受光デバイスの基板として用いられる樹脂膜を製造するための樹脂組成物であって、(a)化学式(1)または(2)で表される繰り返し単位を主成分とする樹脂を含み、該樹脂組成物を430℃で30分加熱して得られる樹脂膜の重量減少開始温度が400℃以上であり、前記樹脂膜の熱膨張係数(CTE)が10ppm/℃未満であり、前記樹脂膜の膜厚が10μmであるときのヘイズが0.4%以下である、樹脂組成物。
- 前記樹脂膜の重量減少開始温度が455℃以上である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂膜の膜厚が10μmであるときの黄色度が20以下である、請求項1または2に記載の樹脂組成物
- 前記樹脂中の化学式(1)または(2)で表される繰り返し単位のうち50モル%以上が、化学式(13)および/または(14)で表される構造をXとして有する繰り返し単位である、請求項1~5のいずれかに記載の樹脂組成物。
- さらに溶剤を含む、請求項1~8のいずれかに記載の樹脂組成物。
- (A)請求項9に記載の樹脂組成物を支持体に塗布する工程と、
(B)該塗布膜を加熱して該支持体の上に樹脂膜を形成する工程と、
(C)該樹脂膜の上に表示デバイスまたは受光デバイスを形成する工程と、
を含む表示デバイスまたは受光デバイスの製造方法。 - さらに(D)前記支持体を除去する工程を含む請求項10に記載の表示デバイスまたは受光デバイスの製造方法。
- 前記重量減少開始温度が455℃以上である、請求項12に記載の表示デバイスまたは受光デバイスの基板。
- 黄色度が20以下である、請求項12または13に記載の表示デバイスまたは受光デバイスの基板。
- 前記樹脂中の化学式(1)で表される繰り返し単位のうち50モル%以上が、化学式(13)および/または(14)で表される構造をXとして有する繰り返し単位である、請求項12~16のいずれかに記載の表示デバイスまたは受光デバイスの基板。
- さらにポリシロキサンを含む、請求項12~17のいずれかに記載の表示デバイスまたは受光デバイスの基板。
- 前記ポリシロキサンがシルセスキオキサン構造単位を含む、請求項12~18のいずれかに記載の表示デバイスまたは受光デバイスの基板。
- 請求項12~19のいずれかに記載の基板の上に表示素子または受光素子が形成されてなるデバイス。
- 請求項12~20のいずれかに記載の基板の一方の面に表示素子が形成されてなり、他方の面に受光素子が形成されてなる、デバイス。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020168901 | 2020-10-06 | ||
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---|---|---|---|---|
WO2023276888A1 (ja) * | 2021-07-01 | 2023-01-05 | 株式会社カネカ | ポリアミド酸、ポリアミド酸組成物、ポリイミド、ポリイミド膜、積層体、積層体の製造方法及び電子デバイス |
WO2023248810A1 (ja) * | 2022-06-24 | 2023-12-28 | 株式会社カネカ | ポリアミド酸組成物、ポリイミドの製造方法、積層体の製造方法及び電子デバイスの製造方法 |
WO2024058194A1 (ja) * | 2022-09-16 | 2024-03-21 | 三菱瓦斯化学株式会社 | ポリイミドフィルムの製造方法 |
-
2021
- 2021-09-29 JP JP2021158859A patent/JP2022061487A/ja active Pending
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