JP2022057970A - 積層体および積層体発行システム並びに積層体発行方法 - Google Patents

積層体および積層体発行システム並びに積層体発行方法 Download PDF

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Abstract

【課題】固有情報が形成された後でも、なるべく外観を損なうことなく、当該固有情報に対応したICモジュールへの情報の書き込みを確実に行うことが可能な積層体、積層体発行システム及び積層体発行方法を提供する。【解決手段】積層体(IDカード10)は、基材である第1コア層170と、第1コア層の一方の面側に形成された、可視光で認識可能な第1識別情報を有する顔画像311の第1印刷層と、一方の面側に形成された、不可視光で認識可能な第2識別情報を有する第2印刷層312と、少なくとも不可視インク層312である第2印刷層に平面視で重なるように積層された不可視光吸収層140と、を備える。不可視光吸収層140は、少なくとも一部の不可視光を吸収する。【選択図】図2

Description

本発明は、ICモジュールを有するIDカードや冊子体等の積層体およびこれを発行する積層体発行システム並びに積層体発行方法に係り、とりわけ積層体の外観を良好にしながら発行できる積層体およびこれを発行する積層体発行システム並びに積層体発行方法に関する。
国民IDカード、運転免許証、社員証等のIDカードやパスポートを構成する情報ページといった積層体は、ICモジュールを含み、全体として耐熱性や耐久性を備えたプラスチック製材料から構成される。このようなIDカードを製造および発行する積層体発行システムの一例が特許文献1に記載されている。IDカードの製造および発行工程には、当該カードの所有者を特定する顔画像やIDマーク等の固有情報を形成する工程や、IDカードの内部にICモジュールを搭載する工程、および、当該ICモジュールに特定情報を書き込む工程が含まれる。
国際公開WO2018/159767号
このようにIDカード等を発行する場合には、券面に印刷形成される顔画像やIDマーク等の固有情報と、IDカードが備えているICモジュールに書き込まれるべき特定情報とが、いずれも当該カードの所有者を特定できる一義的な情報となっている必要がある。これらのいずれかの情報が当該カードの所有者を特定するための一義的な情報とは無関係な場合、すなわち顔画像やIDマーク等の固有情報と、ICモジュールに書き込まれる特定情報との間に関連性がない場合、当該カードが偽造されていると判定され得るからである。
ここで、IDカード等の券面に、先に顔画像やIDマーク等を形成し、後からICモジュールに情報を書き込む場合、発行装置側で顔画像やIDマーク等の情報をカメラやOCRリーダーによって認識させ、これに紐づくICモジュールへの書き込み情報をデータベース等から探索する必要がある。顔画像やIDマーク等の情報を読み取らずに、単に発行した順番通りにICモジュールへの書き込みを行う方式だと、搬送不良等でカードの順番が入れ替わったときに、ICモジュールへの書き込み情報が顔画像やIDマーク等の情報と紐づかなくなるおそれがあるからである。
しかし、顔画像をカメラによって直接認識させるには処理時間が掛かる上、誤認識等によりこれに対応するICモジュールへの書き込み情報を間違える可能性がある。また、IDカード等によってはセキュリティ上やデザイン上の理由でIDマーク等の表示が好ましくないものもある。一方、IDカードの券面に顔画像やIDマーク等を形成する際に、同時に目視可能なバーコード等を一緒に形成することが考えられる。しかし、このようなコードは当該IDカードの所有者が通常使用する上では必要がなく、外観を損ねる可能性がある。また、このコードを不正に読み取られ、悪用されるおそれもある。
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、固有情報が形成された後でも、なるべく外観を損なうことなく、当該固有情報に対応したICモジュールへの情報の書き込みを確実に行うことが可能な積層体および積層体発行システム並びに積層体発行方法を提供することを課題とする。
本実施の形態による積層体は、基材と、前記基材の一方の面側に形成された、可視光で認識可能な第1識別情報を有する第1印刷層と、前記一方の面側に形成された、不可視光で認識可能な第2識別情報を有する第2印刷層と、少なくとも前記第2印刷層に平面視で重なるように積層された不可視光吸収層と、を備え、前記不可視光吸収層は、少なくとも一部の前記不可視光を吸収することを特徴とする。
また、本実施の別の形態による積層体において、前記第2印刷層は、少なくとも部分的に前記第1印刷層と平面視で重複して形成されてもよい。
また、本実施の別の形態による積層体は、前記一部とは異なる前記不可視光により前記不可視光吸収層を通して前記第2印刷層を認識できてもよい。
また、本実施の別の形態による積層体において、前記不可視光は紫外線であり、前記第2印刷層が前記不可視光の照射により可視光を励起して蛍光発色することで前記第2印刷層を認識できてもよい。
また、本実施の別の形態による積層体において、前記不可視光は赤外線であり、前記第2印刷層が前記不可視光を吸収することで前記第2印刷層を認識できてもよい。
また、本実施の別の形態による積層体は、ICチップをさらに備え、前記ICチップは前記第2識別情報を特定することが可能な第3識別情報を記憶してもよい。
本実施の形態による積層体発行システムは、ICモジュールを含む被転写媒体に対して、前記被転写媒体側の面にあらかじめ可視光で認識可能な第1識別情報を構成する第1印刷層および不可視光で認識可能な第2識別情報を構成する第2印刷層が転写された中間転写シートを供給する中間転写シート供給部と、前記中間転写シート供給部に設けられ、前記中間転写シートを前記被転写媒体と反対側の面から加熱押圧して、前記第1印刷層および前記第2印刷層を前記被転写媒体の最表面上に転写する熱圧加工部と、前記中間転写シート供給部の前記被転写媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記被転写媒体に形成された前記第2識別情報を前記不可視光の照射により読み取る読取部と、前記読取部の前記被転写媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記被転写媒体に転写された前記第1印刷層および前記第2印刷層の上側に不可視光吸収層を積層する不可視光吸収層供給部と、前記読取部の前記被転写媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記不可視光吸収層が積層される前の前記被転写媒体、または前記被転写媒体に前記不可視光吸収層が積層された前記積層体、の前記ICモジュールに対し、前記第2識別情報を特定することが可能な第3識別情報を書き込む書込部と、を備え、前記不可視光吸収層は、少なくとも一部の前記不可視光を吸収することを特徴とする。
また、本実施の別の形態による積層体発行システムは、積層体発行システムであって、 ICモジュールを含む被転写媒体に対して、前記被転写媒体側の面に可視光で認識可能な第1識別情報を構成する第1印刷層を形成し、前記第1印刷層が形成された面側に、さらに不可視光で認識可能な第2識別情報を構成する第2印刷層を形成するインクジェット印刷部と、前記インクジェット印刷部の前記被転写媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記被転写媒体に形成された前記第2識別情報を前記不可視光の照射により読み取る読取部と、 前記読取部の前記被転写媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記被転写媒体に転写された前記第1印刷層および前記第2印刷層の上側に不可視光吸収層を積層する不可視光吸収層供給部と、前記読取部の前記被転写媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記不可視光吸収層が積層される前の前記被転写媒体、または前記被転写媒体に前記不可視光吸収層が積層された前記積層体、の前記ICモジュールに対し、前記第2識別情報を特定することが可能な第3識別情報を書き込む書込部と、を備え、前記不可視光吸収層は、少なくとも一部の前記不可視光を吸収することを特徴とする。
本実施の形態による積層体発行方法は、ICモジュールを含む被転写媒体に対して、前記被転写媒体側の面にあらかじめ可視光で認識可能な第1識別情報を構成する第1印刷層および不可視光で認識可能な第2識別情報を構成する第2印刷層が転写された中間転写シートを供給する工程と、前記中間転写シートを前記被転写媒体と反対側の面から加熱押圧して、前記第1印刷層および前記第2印刷層を前記被転写媒体の最表面上に転写する工程と、前記被転写媒体に形成された前記第2識別情報を前記不可視光の照射により読み取る工程と、前記被転写媒体に転写された前記第1印刷層および前記第2印刷層の上側に不可視光吸収層を積層する工程と、前記不可視光吸収層が積層される前の前記被転写媒体、または前記被転写媒体に前記不可視光吸収層が積層された前記積層体、の前記ICモジュールに対し、前記第2識別情報を特定することが可能な第3識別情報を書き込む工程と、を備え、前記不可視光吸収層は、少なくとも一部の前記不可視光を吸収することを特徴とする。
また、本実施の別の形態による積層体発行方法は、積層体発行方法であって、ICモジュールを含む被転写媒体に対して前記被転写媒体側の面に可視光で認識可能な第1識別情報を構成する第1印刷層を形成し、前記第1印刷層が形成された面側に、さらに不可視光で認識可能な第2識別情報を構成する第2印刷層をインクジェット印刷によって形成する工程と、前記被転写媒体に形成された前記第2識別情報を前記不可視光の照射により読み取る工程と、前記被転写媒体に転写された前記第1印刷層および前記第2印刷層の上側に不可視光吸収層を積層する工程と、前記不可視光吸収層が積層される前の前記被転写媒体、または前記被転写媒体に前記不可視光吸収層が積層された前記積層体、の前記ICモジュールに対し、前記第2識別情報を特定することが可能な第3識別情報を書き込む工程と、を備え、前記不可視光吸収層は、少なくとも一部の前記不可視光を吸収することを特徴とする。
本実施の形態によれば、固有情報が形成された後でも、なるべく外観を損なうことなく、当該固有情報に対応したICモジュールへの情報の書き込みを確実に行うことが可能な積層体および積層体発行システム並びに積層体発行方法を提供することができる。
積層体の第1実施形態に係るIDカードを説明するための平面図である。 図1のIDカードの層構成を説明するための断面図である。 アンテナとICモジュールとの位置関係を示す図である。 被転写媒体と、不可視光吸収層シートと、透明層シートを示す拡大図である。 インクリボンを説明する断面図および平面図である。 積層体の第2実施形態に係る冊子体および情報ページを説明するための概略斜視図である。 積層体の第1実施形態に係る積層体発行システムを示す全体概略図である。 図7の積層体発行システムの各部を示す概略図である。 積層体の第1実施形態に係る積層体発行方法を示すフロー図である。 顔画像番号と積層体IDの参照テーブル例である。 積層体の第1実施形態に係る積層体発行システムの別の例を示す全体概略図である。 IDカード検査システムを示す全体概略図である。 IDカード検査方法を示すフロー図である。
以下、図面等を参照して、本開示の積層体および積層体発行システムの一例について説明する。ただし、本開示の積層体および積層体発行システムは、以下に説明する実施形態や実施例には限定されない。
なお、以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、各図において、部材の断面を示すハッチングを適宜省略する。本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
1.積層体の第1実施形態
本開示の積層体の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係るIDカード10を、その主面の法線方向から見た平面図である。また、図2は、図1においてIDカード10のホログラム315、ICモジュール200および顔画像部310と重なるA-A線を通る断面でIDカード10を切ったときの、図1の下方側から見たIDカード10の断面図である。IDカード10は本開示の積層体の一例である。
IDカード10は、被転写媒体1の一方の面に不可視光吸収層140が積層され、さらに、当該不可視光吸収層140の被転写媒体1側とは反対の面に第1透明層150が積層された構成を備えている。被転写媒体1の一方の面に配置される第1コア層170と隣接する不可視光吸収層140との間の一部には印刷部300および顔画像部310が配置されている。また、不可視光吸収層140と第1透明層150との間の一部にはホログラム315が配置されている。さらに被転写媒体1は、ICチップを含むICモジュール200をその内部に備えている。
IDカード10を第1透明層150が配置された面から平面視すると、印刷部300、ホログラム315、レーザ印字された文字313やIDマーク314、および顔画像部310に形成された顔画像311等を視認することができる。不可視光吸収層140や第1透明層150は、可視光の少なくとも一部を透過する透明性を有している。
顔画像部310は、IDカード10の所有者のカラーの顔画像311と、当該顔画像311に一部が重なるように配置された不可視インク層312から構成されている。不可視インク層312は例えば2次元バーコードを構成しており、可視光を透過する。よって、可視光を照射しても不可視インク層312が構成する2次元バーコードを視認することは困難である。
不可視インク層312は不可視光である特定波長域の紫外線を照射することにより、可視光を励起して蛍光発色することで視認可能となる。しかし、顔画像部310の上層には不可視光吸収層140および第1透明層150が積層されている。このうち、不可視光吸収層140は、不可視インク層312が可視光を励起して蛍光発色する特定波長域の紫外線に含まれる少なくとも一部の波長域の紫外線を吸収する。
よって、当該一部の波長域の紫外線を照射しても、不可視インク層312が可視光を励起して蛍光発色することはなく、不可視インク層312が構成する2次元バーコードを視認したり、カメラで読み取ることはできない。一方、被転写媒体1に顔画像部310および不可視光吸収層140を形成した場合(後述する中間積層体)を考える。この場合は、不可視光吸収層140を積層する前であれば、当該中間積層体の不可視インク層312が構成する2次元バーコードをより広い範囲の特定波長域の紫外線の照射により、視認したりカメラで読み取ることができる。
したがって、不可視光吸収層140を積層する前の中間積層体に対しては、不可視インク層312の情報の読み取りが比較的容易にでき、読み取った情報に対応したICチップへの情報の書き込みを確実に行うことができる。一方、中間積層体に不可視光吸収層140を積層したIDカード10の状態では、不可視光吸収層140の不可視光の吸収によって不可視インク層312の情報の読み取りが困難となり、意図せずIDカード10の情報が読み取られることが抑制できる。以下、第1実施形態に係るIDカード10の構成の詳細を説明する。
(a)被転写媒体
被転写媒体1は、図2に示すように、下層側から第2透明層160、第2コア層180、追加中間層130、ICモジュール保持層110、中間層120および第1コア層170が順次積層された構成を備えている。ICモジュール保持層110はICモジュール200およびアンテナ230を保持する層である。ただし、被転写媒体1は必ずしもこれらの層を全部備える必要はなく、最低限、基材である第1コア層170に相当する層を備えていればよい。
第1コア層170は、後述するように、その一方の面に印刷層である顔画像部310が形成でき、さらに後述する不可視光吸収層140が積層可能な層であればよい。さらに被転写媒体1は、第1コア層170に加え、他方の面側にICモジュール200とアンテナ230と、これらを保持するICモジュール保持層110とを備えていることが好ましい。逆に、被転写媒体1は上述した一連の層以外の層をさらに備えていてもよい。
(i)第1コア層および第2コア層
第1コア層170および第2コア層180は、いずれも白色の、または着色された樹脂基材であり、それぞれの不可視光吸収層140および第2透明層160の積層面に必要に応じて印刷部300を形成できる。この場合、IDカード10の製造後は、透明な不可視光吸収層140、第1透明層150または第2透明層160を通して第1コア層170および第2コア層180に形成された印刷部300の文字やパターンを良好に視認できる。
第1コア層170および第2コア層180の部材としては、白色の、または着色された各種のプラスチックシートを幅広く使用することができ、以下にあげる単独のフィルムあるいはそれらの複合フィルムを使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET-G(テレフタル酸-シクロヘキサンジメタノール-エチレングリコール共重合体)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、等である。
(ii)第1透明層および第2透明層
第1透明層150は、不可視光吸収層140の外側に積層される。第2透明層160は第2コア層180の外側に積層され、被転写媒体1の第1コア層170とは反対側の端面を構成する層である。第1透明層150および第2透明層160としては、通常、第1コア層170や第2コア層180と同質の材料が使用され、特に透明材料が使用されることが多い。第1透明層150および第2透明層160の材料は、熱により接着性を有するものであればよいが、第1透明層150および第2透明層160自体が熱による接着性を有しない場合でも、熱等により接着力を発生させる公知の透明接着剤の層を不可視光吸収層140と第1透明層150との間、および、第2コア層180と第2透明層160との間に追加形成することで両者を一体化できる。この点は、他の2層間の接着についても同様である。
(iii)ICモジュール、アンテナおよびICモジュール保持層
ICモジュール保持層110は、被転写媒体1の第1コア層170および第2コア層180に挟まれた区間に配置された、ICモジュール200およびアンテナ230を保持する層である。ICモジュール保持層110は、基板対応層111とICチップ対応層112とを含み、基板対応層111とICチップ対応層112とにまたがる凹部である収納空間320を有している。図3(a)はICモジュール200の断面図であり、図3(b)はアンテナ230とICモジュール200との位置関係を示す図である。
ICモジュール200は、ICチップ211とこれの外周を覆う封止樹脂212とから構成されるICチップ体210と、当該ICチップ体210を支持する基板220とを備えている。また、ICモジュール200には、ループ状に巻かれたアンテナ230の両端部が接続している。なお、この両端部はICチップ体210の内部に配置されるICチップ211の図示しない接続パッドと電気的に接続している。
ICチップ211は、シリコン等の半導体基板に各種の回路素子が内蔵された集積回路であり、厚さの薄い略直方体状の構造を有する。ICチップ211は、例えばその一方の面に各種回路が形成されているとともに、上述の図示しない接続パッドを備えている。 ICチップ211の接続パッドにアンテナ230の両端部が電気的に接続することにより、ICチップ211は種々の機能を果たすことができる。
例えば、アンテナ230が外部から所定周波数の電磁波を受け取ることにより電磁結合し、当該アンテナ230に発生した起電力からICチップ211の動作用電力を取り出し、CPUを駆動させる。また、当該起電力の電圧パターンから情報を解読し、各種演算をしたり、メモリからデータを読み出したり、メモリにデータを書き込んだりする。また、必要に応じて、アンテナ230を介して送信情報を所定周波数の電波に変換して送信する機能等を有している。
一方、アンテナ230は、例えば13.56MHzのHF周波数帯域を用いて近接通信を行うものでもよく、それ以外の、例えば920MHzのUHF周波数帯域を用いて通信を行うものでもよい。いずれにしても、アンテナ230はICチップ211が外部のリーダライター(情報読取り書込み装置)と非接触通信を行なうために配置される。アンテナ230は、リーダライターにIDカード10をかざしたときに、リーダライターが形成する磁界等により電流が発生して、ICチップ211に電力を供給する。これにより、ICチップ211は駆動可能となり、リーダライターと非接触通信で情報の送受信をしたり、データの書き換え等を行なう。
アンテナ230は、典型的には、銅線の周囲が絶縁体部材で被覆された被覆付導線により形成される。なお、これ以外にも、Cu-Ni、Cu-Cr、Cu-Zn、Cu-Sn、Cu-Be等の銅合金線、または鉄、ステンレス、アルミ等の種々の金属線、金属合金線を選択することもできる。被覆付導線を用いることにより、例えば銅箔エッチング方式等に比較してアンテナ形成を安価にできる。ただし、アンテナ230は、銅箔やアルミ箔等から打ち抜きまたはエッチング形成したものであってもよい。
ICモジュール保持層110に形成される収納空間320は、ICモジュール200の外形形状よりも若干大きい形状の凹部を構成する。収納空間320は、断面視において、幅広のつばを構成する基板220を収納する基板対応層111側に設けられた第1の凹部と、ICチップ体210を収納するICチップ対応層112側に設けられた第2の凹部と、を備える。第2の凹部は第1の凹部よりも一回り幅が小さいものとなっている。ICモジュール保持層110の収納空間320にICモジュール200が収納された状態において、ICモジュール200の周囲には、若干の隙間が形成されている。この隙間は、基板対応層111側の隙間である開孔321およびICチップ対応層112側の隙間である開孔322である。
ICモジュール保持層110に配置されたICモジュール200の周囲に開孔321および322が設けられることにより、IDカード10を曲げたときの内部応力が直接ICチップ体210に加わることが抑制でき、ICチップ211の破損やICチップ211とアンテナ230との断線等を起き難くすることができる。また、アンテナ230は、基板対応層111およびICチップ対応層112に挟持されている。ICモジュール保持層110を構成する基板対応層111およびICチップ対応層112の部材としては、第1コア層170および第2コア層180で例示した部材を用いることができる。その他、ガラスエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の可撓性を有するフレキシブルプリント基板用の樹脂フィルムを用いてもよい。
(iv)中間層および追加中間層
中間層120および追加中間層130は、それぞれICモジュール保持層110の一方の面および他方の面に積層される層である。これらの2層は、ICモジュール200を収納するICモジュール保持層110に形成された収納空間320の上下方向を塞ぐように積層される。これにより、収納空間320の気密性が維持され、外部からの水分等の進入によるICチップ211の劣化を抑制できる。
また、ICモジュール200の収納により発生するICモジュール保持層110の表裏面の凹凸を当該中間層120および追加中間層130により吸収することができる。よって、最表面の凹凸が軽減され良好な外観を有するIDカード10を得ることができる。中間層120および追加中間層130の部材としては、第1コア層170および第2コア層180で例示した部材を用いることができる。
(b)不可視光吸収層
不可視光吸収層140は、可視光を透過する透明性を有する基材である。また、不可視光吸収層140は、所定波長の不可視光を吸収する性質を有している。本実施形態では、不可視光吸収層140は所定波長の紫外線を吸収するように構成されている。当該不可視光吸収層140は、反応性紫外線吸収剤を反応結合させてなる樹脂を含有してもよい。具体的には、公知の有機系紫外線吸収剤であるサリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系等の非反応性紫外線吸収剤に、例えばビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基等の付加重合性二重結合、あるいはアルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入したものを使用することができる。このような反応性紫外線吸収剤として、例えば、特開平8-39946号公報に例示された構造式を有するものを挙げることができる。
このような反応性紫外線吸収剤を樹脂に反応固定する方法としては、種々の方法が利用可能であり、例えば公知のモノマー、オリゴマーまたは反応性重合体の樹脂成分と前述した付加重合性二重結合を有する反応性紫外線吸収剤とラジカル重合することにより、共重合体を得ることができる。また、反応性紫外線吸収剤が水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を有する場合には、上記の反応性基と反応基を有する熱可塑性樹脂を使用し、必要に応じて触媒を用いて、熱等によって反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂に反応固定することができる。反応性紫外線吸収剤と共重合するモノマー成分として、上述の文献に例示されたものを挙げることができる。
なお、可視光および紫外線波長域において、特定波長域のみを選択的に強く吸収するような紫外線または可視光の吸収層を形成する技術は、例えば特開2005-120232号公報や特許第6062968号公報にも示されている。
一方、不可視光吸収層140は、所定波長の紫外線ではなく赤外線を吸収するように構成されていてもよい。例えば、不可視光吸収層140を3層のポリエステルが積層した二軸配向フィルムに、赤外線吸収剤としてイモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、フタロシアニン化合物、アミニウム化合物、ポリメチン化合物等を添加したものを用いることができる。このような赤外線吸収剤含有フィルムは、例えば特許第5052716号公報に例示されている。
なお、前述したように、不可視光吸収層140にレーザ光印字適性を付与することも可能である。上述した被転写媒体1に隣接して積層される不可視光吸収層140は、透明性を有する基材であり、所定波長のレーザ光の照射により黒色の文字やパターンを表示できる層である。不可視光吸収層140はレーザ光発色促進剤を含み、所定波長のレーザ光が照射されると、当該レーザ光発色促進剤が発熱し周囲を焦がして黒化させる。よって照射するレーザ光を描画させることにより、所望の文字やパターンを黒色で表示させることができる。ただし、不可視光吸収層140にこのようなレーザ光印字適性を付与しなくてもよい。不可視光吸収層140にレーザ光印字適性を付与する場合、上述の材料に対して金属酸化物等のレーザ光発色促進剤が添加されたものが好適に用いられる。
(d)顔画像部
図2や図4に示すように、顔画像部310は被転写媒体1と不可視光吸収層140との間に挟まるように配置されている印刷層である。顔画像部310は二つの印刷層である顔画像311の第1印刷層と、当該顔画像311に一部が重なるように配置された不可視インク層312の第2印刷層から構成されている。顔画像311は可視光の照射により直接目視で視認できるが、不可視インク層312は可視光を透過するため、これを目視等で明確に視認することは困難である。なお、図4に示すように、被転写媒体1に顔画像部310および不可視光吸収層140が付加されたものを便宜上、中間積層体2と称する。また、印刷層は、オフセット印刷、グラビア印刷、シルク印刷等の方式に加え、静電写真印刷、インクリボンからの熱転写、インクジェット印刷等のいずれの方法で形成されてもよい。
顔画像部を形成する具体例の一つとして、熱転写による方法を以下に説明する。
図5(a)はインクリボン400を、インク層430の面順次の形成方向およびインクリボン400の厚さ方向に沿った面で切った断面図である。図5(b)は、インクリボン400をインク層430側の面について平面視した図である。顔画像部310は、例えば図5(a)や図5(b)に示すような面順次にインク層430が設けられたインクリボン400を用いて後述する中間転写シートに転写し、その後、被転写媒体1の第1コア層170がある面側に再転写して形成することができる。
インクリボン400は、一方の面側から背面層410、支持基材420およびインク層430がこの順に積層された構成を備える。また、インクリボン400のインク層430は、インクリボン400の長手方向に沿ってイエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)およびブラックインク(K)である着色インク部431と、不可視インク(X)である不可視インク部432とが面順次に配列した構成を有している。ただし、インクリボン400は着色インク部431のみを面順次に備えており、不可視インク部432を別のインクリボンやフィルムに形成する態様でもよい。
まず、不可視インク(X)である不可視インク部432が、図示しない中間転写シートの受容層と対向して重ねられ、図示しないサーマルヘッドからの熱圧により所定画像として中間転写シート側に熱転写される。次に、インクリボン400のイエローインク層(Y)、マゼンタインク層(M)、シアンインク層(C)、ブラックインク(K)の各着色インク部431が順次、不可視インク部432の一部が熱転写された中間転写シートの受容層に対向して重ねられる。
そしてサーマルヘッドからの熱圧により各色の画像が重なるように中間転写シート側に熱転写される。ただし、不可視インク部432は各着色インク部431の上層に直接重ねられる必要はなく、不可視インク部432は各着色インク部431の上側に別のシートを介して形成されていてもよい。このとき、被転写媒体1の厚さ方向に沿った平面視において、不可視インク部432は各着色インク部431に対して、その一部が重なっていることが好ましい。
その後、後述するように、一連の画像が形成された中間転写シートが被転写媒体1と対向するように接近し、一緒に搬送される。さらに中間転写シートの被転写媒体1とは反対側の面からホットスタンプによって熱圧が加えられることにより、中間転写シートに形成された着色インク部431によるカラー画像と不可視インク部432による不可視画像とが、被転写媒体1上に熱転写される。この点の詳細については後述する。
また、顔画像部を形成する別の具体例としては、顔画像部の全部または一部をインクジェット印刷で形成する方法もある。顔画像部の全部をインクジェット印刷で形成する場合、上述するインクリボンや中間転写シートは不要であり工程を簡略化できる。一方、顔画像部のうち、不可視インク(X)のみをインクジェット印刷で形成する場合は、インクリボンのレイアウトは図5(b)のものとは異なるものとなる。図5(b)では、インクリボン400のインク層430において、インクリボン400のイエローインク層(Y)、マゼンタインク層(M)、シアンインク層(C)およびブラックインク(K)の各着色インク部431と不可視インク(X)である不可視インク部432とが面順次に配列されているが、不可視インク(X)は、別工程であるインクジェット印刷により行うため、不要である。
後者の場合は、まず、インクリボンのイエローインク層(Y)、マゼンタインク層(M)、シアンインク層(C)およびブラックインク(K)の各着色インク部431が順次、中間転写シートの受容層に対向して重ねられる。そしてサーマルヘッドからの熱圧により各色の画像が重なるように中間転写シート側に熱転写される。その後、後述するように、一連の画像が形成された中間転写シートが被転写媒体1と対向するように接近し、一緒に搬送される。さらに中間転写シートの被転写媒体1とは反対側の面からホットスタンプによって熱圧が加えられることにより、中間転写シートに形成された着色インク部431によるカラー画像が、被転写媒体1上に熱転写される。その後、インクヘッドから噴射された不可視インクによって、不可視インク層312である第2印刷層が形成される。
このようにして、顔画像部を形成する方法の如何に関わらず、被転写媒体1の表面には顔画像311と不可視インク層312とから構成される顔画像部310が形成される。顔画像311は、IDカード10の所有者の顔画像を示すカラー画像であり、不可視インク層312は、可視光の照射によっては視認できない2次元バーコードである。なお、不可視インク層312が形成するパターンは2次元バーコードには限られず、1次元バーコードや英数字、文字、記号、図形等、何らかの情報として認識できるものであればよい。
不可視インク層312は、不可視光である特定波長域の紫外線を照射することにより、可視光を励起して蛍光発色することで視認可能となるインクで形成されている。紫外線によって励起され、可視光を発光する材料は、例えば、染料としてはフルオレセイン系蛍光色素、クマリン系蛍光色素、ローダミン系蛍光色素などが挙げられる。また、無機系顔料としては、ユーロピウム・マンガン付活アルミン酸バリウムマグネシウム、マンガンで付活されたケイ酸亜鉛、ユウロピウム付活酸化イットリウム、ユウロピウム付活硫化イットリウム、酸化亜鉛、マンガンで付活されたゲルマニウム酸亜鉛、ユウロピウム付活リンバナジン酸イットリウム等が挙げられる。
また、不可視インク層312は、不可視光である特定波長域の赤外線を照射することにより、可視光を励起して蛍光発色することで視認可能となるインクで形成されていてもよい。赤外線によって励起され、可視光を発光する材料はアップコンバージョン型発光体とも呼ばれ、例えば、エルビウム(Er)、ホロミウム(Ho)、プラセオジウム(Pr)、ツリウム(Tm)、ネオジウム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、ユウロピウム(Eu)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)およびセリウム(Ce)からなる群から選択される少なくとも1つ以上の希土類元素を含有し、前記蛍光体粒子の母材がハロゲン化物等であるものが挙げられる。また、上記と重複するものもあるが、例えば特開平7-297475号公報に示される材料を挙げることができる。
なお、本実施形態では、不可視インク層312が不可視光である特定波長域の紫外線を照射することにより、可視光を励起して蛍光発色することで視認可能となるインクで形成されている。これに加えて、不可視光吸収層140は、不可視インク層312が可視光を励起して蛍光発色する特定波長域の紫外線に含まれる少なくとも一部の波長域の紫外線を吸収する。よって、不可視光吸収層140の存在により、不可視インク層312に紫外線を照射して可視光を励起させ蛍光発色させることで、不可視インク層312が構成する2次元バーコード等が容易に視認または読み取りされることを抑制できる。
また、上記の少なくとも一部の波長域の紫外線を吸収することとは、不可視インク層312が可視光を励起して蛍光発色する特定波長域の全部の紫外線を吸収することを当然に含む。さらに不可視光吸収層140は、不可視インク層312が可視光を励起して蛍光発色する特定波長域の紫外線に含まれる少なくとも一部の波長域の紫外線を吸収しないものであってもよい。
このとき、励起され蛍光発色する可視光の波長の範囲が不可視光吸収層140のない場合より狭くなるものであることが好ましい。この場合でも、蛍光発色した不可視インク層312の視認性や機械での読み取り性を抑制する効果が見込めるからである。さらには、同一波長の紫外線照射による蛍光発色の色調が不可視光吸収層140の有無により異なるようにすることで、不可視インク層312および不可視光吸収層140のいずれかの偽造を検出することができる。このようなIDカード10は、例えば、励起され蛍光発色する色調とその波長が互いに異なる複数の蛍光色素を不可視インク層312に含有させ、そのいずれかの蛍光色素を励起する波長域の紫外線を吸収するように不可視光吸収層140を選択すればよい。
一方、不可視インク層312が特定波長域の赤外線を照射することにより、可視光を励起して蛍光発色することで視認可能となるインクで形成されている場合は、不可視光吸収層140もこれに合わせる必要がある。すなわち、不可視光吸収層140は、不可視インク層312が可視光を励起して蛍光発色する特定波長域の赤外線に含まれる少なくとも一部の波長域の赤外線を吸収するものが選択されるべきである。これにより、上述の場合と同様に、不可視光吸収層140の存在により、不可視インク層312に赤外線を照射して可視光を励起させ蛍光発色させることで、不可視インク層312が構成する2次元バーコード等が容易に視認または読み取りされることを抑制できるからである。
(e)ホログラム
図2や図4に示すように、ホログラム315は不可視光吸収層140と第1透明層150との間に挟まるように配置されている。本実施形態のホログラム315は体積ホログラムである。ただし、ホログラム315はこれに限定されず、エンボスホログラム、リップマンホログラム、カラースイッチ、ファンタグラス、ホロスレッド等、種々の光学要素であってもよい。
本実施形態のホログラム315は、後述するようにあらかじめ長尺の不可視光吸収層140の第1透明層150と対向する面に所定間隔で形成されている。しかし、これに限定されず、あらかじめ長尺の第1透明層150の不可視光吸収層140と対向する面に所定間隔で形成されていてもよい。図4に示すように、中間積層体2に対してホログラム315および第1透明層150が積層されることにより、IDカード10が形成される。
なお、図2に示すIDカード10は全体の厚さが、例えば800μmとなっている。このうち、例えば不可視光吸収層140の厚さは105μm、第1透明層150の厚さは50μmとなっている。被転写媒体1については、第1コア層170の厚さは105μm、中間層120の厚さは40μm、基板対応層111の厚さは105μm、ICチップ対応層112の厚さは150μmとなっている。また、追加中間層130の厚さは40μm、第2コア層の厚さは105μm、第2透明層160の厚さは105μmとなっている。
ただし、上記の各層の厚さは一例であり、これ以外の組み合わせも許容される。
2.積層体の第2実施形態
次に、本開示の積層体のIDカード以外の例として第2実施形態に係る情報ページおよびこれを含む冊子体について説明する。図6は、第2実施形態に係る冊子体20を示す概略斜視図である。冊子体を構成する情報ページ21も本開示の積層体の一例である。
冊子体20は、各々が略矩形である表紙23、裏表紙24およびその間に挟まれる情報ページ21を含む複数のページが丁合された構成を備える。特に情報ページ21は、前述のIDカード10と類似の構成をしており、これを平面視すると、顔画像311や文字313、IDマーク314、文字やデザイン等の印刷部300、ホログラム315等が視認できる。また、平面視では確認できないが、情報ページ21は内部にICモジュール200を備えており、ICチップやアンテナを有することにより、リーダライターと非接触通信が可能である。
また、情報ページ21に形成された顔画像311の付近に、これと少なくとも一部が重なってもよい不可視インク層312が形成されている。情報ページ21の他のページとの連結部分にはヒンジ部22が設けられている。ヒンジ部22は、情報ページ21よりも可撓性および耐久性のある部材で構成され、情報ページ21を冊子体20に固定し、繰り返しページを開閉しても当該情報ページ21が破損して冊子体20から分離してしまうことを抑制する。
情報ページ21の層構成は特に図示しないが、IDカード10の構成に類似した構成とすることができる。例えば、図4において、被転写媒体1を情報ページ21のベース基材に置き換え、その上に任意の印刷部300並びに、顔画像311および不可視インク層312から構成される顔画像部310を挟持するように不可視光吸収層140を積層する。さらにこれの上にホログラム315を挟持するように第1透明層150を積層する。
3.積層体の第1実施形態の発行システムおよび発行方法
次に、積層体の第1実施形態に係るIDカード発行システムの構成と発行方法について説明する。図7は、第1実施形態に係る積層体発行システムであるIDカード発行システム50を示す全体概略図である。図8(a)、図8(b)および図8(c)は、それぞれ図7のIDカード発行システム50についての、中間転写シート供給部52付近、不可視インク層読取装置72および不可視光吸収層シート供給部56付近並びに不可視光吸収層シート供給部57付近を示す、部分的な概略図である。また、図9は、IDカード発行システム50によって実施されるIDカード10の発行処理のフロー図である。
IDカード発行システム50は、図7に示すように、上流側から下流側に向けて、被転写媒体供給部51、中間転写シート供給部52、不可視インク層読取装置72、不可視光吸収層シート供給部56および第1透明層シート供給部57が設けられている。なお、上流側から下流側に向けて被転写媒体1が搬送される。さらに、その下流側に向けて、上下に配列された上方コンベア64および下方コンベア62、打抜きユニット70、レーザ光印字装置73、IDマーク読取装置74並びにIDカード集積部59が設けられている。
被転写媒体供給部51に収納された被転写媒体1が1枚ずつ搬送され、上述の各部を通過しながら所定の加工がされ、IDカード10として発行される。その後、IDカード集積部59に収納される。また、IDカード発行システム50は、全体の動作指示や判断を受け持つ制御部90を備えている。以下に、IDカード発行システム50の各部と工程について説明する。
(a)被転写媒体供給工程
まず、1枚または複数枚の被転写媒体1が被転写媒体供給部51に収納され、IDカード発行システム50の入口付近に取り付けられる。被転写媒体供給部51はIDカード発行システム50に対して着脱可能なカセットであり、内部に複数枚の被転写媒体1を厚さ方向が上下方向となるように積み重ねて保持することができる。被転写媒体供給部51に収納された複数の被転写媒体1のうちの最上段に配置された1枚が、順次、図示しない取出し機構により取り出され、テーブル状の搬送装置80に載置されてそのまま水平方向に搬送される。
(b)中間転写シート供給工程および顔画像部の熱転写工程
被転写媒体供給部51の下流側には、中間転写シート53がロール状態である巻出ロール52aとして中間転写シート供給部52に回転可能に取り付けられる。また、繰り出した中間転写シート53を巻き取るための巻取ロール52bも中間転写シート供給部52に回転可能に取り付けられる。中間転写シート53には、前述のとおり、インクリボン400のイエローインク層(Y)、マゼンタインク層(M)、シアンインク層(C)、ブラックインク層(K)の各着色インク部431と不可視インク(X)である不可視インク部432とが熱転写されることにより、顔画像部310の所定パターンが繰り返し形成されている。
すなわち、各着色インク部431は、可視光で認識可能な第1識別情報を構成する顔画像311である第1印刷層に相当する部分(逆像)が中間転写シート53の一方の面に転写されている。また、不可視インク部432は、不可視光で認識可能な第2識別情報を構成する不可視インク層312である第2印刷層に相当する部分(逆像)が中間転写シート53の当該一方の面に転写されている。
中間転写シート53は、巻出ロール52aから繰り出されて巻取ロール52b側に巻き取られる間に、搬送装置80に載置された被転写媒体1と対向する近接位置まで搬送される。このとき、中間転写シート53の顔画像部310の形成面が被転写媒体1と対向する。そして、図8(a)に示すように、所定形状の加熱ブロックを備えたホットスタンプ55が、その加熱ブロックを、中間転写シート53の顔画像部310の形成面とは反対側の面から加熱押圧する。これにより、加熱ブロックの熱圧が中間転写シート53を経由してこれと接する被転写媒体1に伝達し、中間転写シート53の顔画像部310すなわち第1印刷層および第2印刷層が被転写媒体1の最表面上に熱転写される。
なお、ホットスタンプ55が中間転写シート53を加熱押圧する際のホットスタンプ55の加熱温度は120℃以上、200℃以下に設定され、ホットスタンプ55の加圧力は0.1kgf/cm2以上、1000kgf/cm2以下となっている。また、顔画像部310を被転写媒体1側に良好に熱転写するためには、ホットスタンプ55の加熱温度は180°C以上、190°C以下であることが好ましい。さらに、ホットスタンプ55の加圧力は同様の理由により、2.2MPa(22.43kgf/cm2)以上、3.5MPa(35.69kgf/cm2)以下であることが好ましい。ホットスタンプ55の加熱温度が190°Cを超えると転写後の剥離が困難となり、180°C未満であると画像の転写不良が発生しやすくなる。また加圧力が3.5MPaを超えると転写後の剥離が困
難となり、2.2MPa未満であると画像の転写不良が発生しやすい。
また、中間転写シート53の顔画像部310が被転写媒体1側に熱転写される工程、またはその工程の直後において、搬送中または停止中の搬送装置80に載置された被転写媒体1と近接する位置に、図示はしないが被転写媒体1のICチップ211と非接触通信が可能なリーダライター(読み書き装置)を配置してもよい。これにより、リーダライターは被転写媒体1が通信可能な範囲である所定位置を通過した状態で、被転写媒体1のICチップ211が正常に動作するか否かを検査することができる。
ICチップ211に不具合のある被転写媒体1への顔画像部310の熱転写を防止する観点からは、被転写媒体1への顔画像部310の熱転写を行う前に、リーダライター76aによるICチップ211の動作検査を行うことが好ましい。これにより、中間転写シート53の顔画像部310を良品の被転写媒体1にのみ熱転写することができ、製造歩留まりの向上が図れるからである。
(c)不可視インク層読取工程
中間転写シート供給部52よりも下流側には、被転写媒体1に形成された顔画像部310の不可視インク層312の第2識別情報を読み取るための不可視インク層読取装置72が設けられている。不可視インク層読取装置72は、読み取り対象物である中間積層体2の顔画像部310に不可視光を照射する照明72dと、不可視インク層312の蛍光発色で生じた可視光の強弱を読み取るカメラ72bとを備える。
照明72dは、例えば所定波長の紫外線を出射できる水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプ等の紫外線ランプである。カメラ72bは、不可視インク層312の第2識別情報が2次元バーコードや平面的な画像パターンである場合は白黒またはカラーの2次元CCDカメラであってもよく、不可視インク層312の第2識別情報が1次元バーコードである場合はバーコードリーダーであってもよい。
顔画像部310の不可視インク層312は前述したとおり、不可視光である特定波長域の紫外線を照射することにより、可視光を励起して蛍光発色することで視認可能となるインクで形成されている。よって、照明72dが特定波長域の紫外線を照射することで、蛍光発色した不可視インク層312の情報をカメラ72bで容易に読み取ることができる。
すなわち、この特定波長域に含まれる波長を第1波長とした場合、照明72dは第1波長の紫外線を顔画像部310の不可視インク層312に向けて照射する(図9のステップS501)。次いで、不可視インク層312が紫外線によって励起して蛍光発色した可視光を不可視インク層読取装置72で読み取る(ステップS502)。
(d)ICチップへの書き込みデータの特定工程
次に、IDカード発行システム50が備える制御部90が行う処理について説明する。制御部90は、例示的にはパーソナルコンピュータ等の情報処理装置であり、ハードウエア構成として、例えばCPUまたはMPU、メモリ、入力制御部、出力制御部等を備えている。ここで、制御部90が備えるメモリのうち、書き換え可能な不揮発性メモリに、一例として図10に示すような参照テーブルの情報が格納されている。
なお、制御部90は、IDカード発行システム50の本体部分とは分離したサーバーによって構成されていてもよく、IDカード発行システム50の本体部分とサーバーとが、インターネットやLANケーブル等で互いに通信可能に構成されていてもよい。また、制御部90が、本体の動作制御用とIDカード10への書き込みデータの特定および入出力用とでそれぞれ別々の情報処理装置を備えていてもよい。
図10は顔画像番号と積層体IDの参照テーブルである。これは、顔画像部310のうち目視で視認できる顔画像311を特定するための固有番号である顔画像番号と、IDカード10のICチップ211のメモリへの書き込みデータとの対応関係を示すものである。例えば、顔画像番号が「00002」であるIDカード10のICチップ211には、積層体IDとして「0013246」というデータが書き込まれる。積層体IDは、IDカード10を識別するための固有番号である。顔画像311が示す情報である第1識別情報および不可視インク層312が示す情報である第2識別情報と区別して、積層体IDが示す情報を便宜的に第3識別情報とも称する。
例えば不可視インク層読取装置72によって、被転写媒体1の顔画像部310に形成された不可視インク層312の2次元バーコードの読み取り結果を制御部にて解読し(ステップS503)、その結果、2次元バーコードが示す情報が顔画像番号「00002」であったとする。なお、不可視インク層312の2次元バーコードを解読して顔画像番号にデータ変換するのは、不可視インク層読取装置72自身であってもよく、制御部90であってもよい。
このとき、当該情報を認識した制御部90は、メモリに格納する上述の参照テーブルを参照して、当該中間積層体2またはこれがIDカード10となったものについて、ICチップ211のメモリに書き込むべきデータが積層体ID「0013246」という第3識別情報である旨を特定する(ステップS504)。そして、当該書き込み指示をリーダライター76aに対して行う。この点は後述する。
(e)ICチップへの書き込み工程
次に、前述したように、制御部90は、不可視インク層312の2次元バーコードに対応したICチップ211への書き込みデータである積層体IDを特定する。そして制御部90は、IDカード発行システム50の不可視インク層読取装置72が設けられている箇所またはこれよりも下流側に設けられたリーダライター76aに対して、当該積層体IDのICチップ211への書き込みを指示する。これを受けてリーダライター76aはICチップ211に第3識別情報である当該積層体IDを書き込む(ステップS505)。これにより、IDカード10のICチップ211には、顔画像部310に形成された不可視インク層312の情報に対応した積層体IDが書き込めることになり、両情報の比較による真贋判定が容易なIDカード10を製造することができる。
(f)不可視光吸収層シート積層工程
また、図8(b)に示すように、不可視インク層読取装置72の下流側には、不可視光吸収層140のシートが、ロール状態である巻出ロール56aとして不可視光吸収層シート供給部56に回転可能に取り付けられる。不可視光吸収層140のシートには、あらかじめ、ホログラム315が中間積層体2側とは反対側の面に所定間隔をおいて繰り返し熱転写形成されている。また、繰り出した不可視光吸収層140のシートを被転写媒体1の搬送方向に沿った一定幅で切断するための2箇所の打抜き刃56bおよび56cがレーザ光印字層シート供給部56に上下動可能に取り付けられる。
巻出ロール56aから繰り出された不可視光吸収層140のシートは、打抜き刃56bおよび56cによって、個片のシートに切断されてから被転写媒体1の顔画像部310の形成面を覆うように被転写媒体1に積層されて中間積層体2が形成される。
(g)第1透明層シート積層工程
図8(c)に示すように、第1透明層150のシートが、ロール状態である巻出ロール57aとして第1透明層シート供給部57に回転可能に取り付けられる。また、繰り出した第1透明層150のシートを被転写媒体1の搬送方向に沿った一定幅で切断するための2箇所の打抜き刃57bおよび57cが不可視光吸収層シート供給部57に上下動可能に取り付けられる。
巻出ロール57aから繰り出された、第1透明層150のシートは、打抜き刃57bおよび57cによって、個片のシートに切断されてから中間積層体2の不可視光吸収層140を覆うように中間積層体2に積層される。すなわち、被転写媒体1に転写された顔画像311である第1印刷層および不可視インク層312である第2印刷層の上に不可視光吸収層140を介して第1透明層150が積層される。
(h)プレス工程および打抜き工程
次いで、図7に示すように、中間積層体2に第1透明層150が積層され、両者の間にホログラム315が挟持されたものが下流側に搬送される。これはさらに、2箇所の上方ローラ63の回転により駆動される上方コンベア64と、これらの下方側に対向して設けられた2箇所の下方ローラ61の回転により駆動される下方コンベア62とに挟持されながら搬送される。ここで、上方コンベア64および下方コンベア62のそれぞれの対向面には、例えばステンレス板等が配置されている。また、上方コンベア64の当該対向面の上流側には加熱盤65が、また下流側には冷却盤66がそれぞれ設けられている。加熱盤65および冷却盤66はそれぞれ所定温度に加熱および冷却され、その熱が上方コンベア64のステンレス板等に伝熱する。
これにより、第1透明層150が積層された中間積層体2は、下流側に搬送されながら、一定時間、上方コンベア64と下方コンベア62とに挟持され所定の熱圧を加えられてプレスされる。これによって、第1透明層150が積層された中間積層体2の各層が熱融着し、一体化したIDカード10が形成される。また、さらに下流側に搬送されることにより、一定時間、上方コンベア64と下方コンベア62とに挟持されて冷却される。これによって、一体化したIDカード10の長時間の加熱による変形が抑制される。
さらに、プレスされて一体化したIDカード10は、その外縁の形状を正しく調整するため、打抜きユニット70が備える打抜き刃71によって仕上げ抜きがなされる。これにより、正確な外形寸法を有するIDカード10が得られる。
(i)レーザ印字およびIDマーク読み取り工程
IDカード発行システム50の打抜きユニット70の下流側には、必要に応じてレーザ光印字装置73やIDマーク読取装置74を備えてもよい。レーザ光印字装置73は、IDカード10に所定波長のレーザ光を照射して、不可視光吸収層140を部分的に黒化させることで印字できるものである。レーザの種類として炭酸ガスレーザ、ファイバーレーザ、YAGレーザ、YVO4レーザ等、任意のものが選択できる。これにより、図1に示すような文字313やIDマーク314を容易に印字することができる。
なお、制御部90が特定した積層体IDをもとに、これと同一または対応する情報をIDマーク314として印字することにより、IDカード10の真贋判定の精度や信頼性を向上させることができる。たとえば、印字されたIDマーク314をOCRリーダーやカメラで認識させ、IDカード10のIDマーク314の情報とICチップ211の書き込み情報との整合性の検査を行うことができる。
積層体の第1実施形態のIDカードおよびIDカード発行システムの作用について以下に記載する。
IDカード10は被転写媒体1を構成する第1コア層170の一方の面に、顔画像311である第1印刷層および不可視インク層312である第2印刷層により構成される顔画像部310が形成される。また、これを挟持するように第1コア層170に対して不可視光吸収層140が積層されている。さらに不可視光吸収層140に対向するように第1透明層150が積層されている。顔画像311は可視光で認識可能な固有情報である第1識別情報を構成する。また、不可視インク層312は不可視光で認識可能な固有情報である第2識別情報を構成する。第2識別情報は一例として2次元バーコードであり得る。このとき、不可視光吸収層140は、少なくとも一部の上記不可視光を吸収する。
上記不可視光は本実施形態では紫外線であり、不可視インク層312が所定の波長域に含まれる当該不可視光の照射により可視光を励起して蛍光発色する。これにより、不可視インク層312により構成される第2識別情報を可視光により認識できる。すなわちIDカード10において、不可視光吸収層140が積層されていない状態では、所定の波長域に含まれる当該不可視光を照射することにより、第2識別情報を目視で視認することができる。または、可視光の強弱を撮影するカメラやセンサで認識することができる。
一方、不可視光吸収層140が積層されたIDカード10の最終形態においては、不可視光吸収層140が、上記所定の波長域のうち一部の波長域に含まれる不可視光を吸収する。したがって、この一部の波長域に含まれる不可視光を照射しても不可視インク層312は可視光を励起せず、蛍光発色しない。つまり、不可視光吸収層140の積層前の状態よりも狭い波長域の不可視光を照射しなければ不可視インク層312を可視光で認識することができない。
IDカード発行システム50においては、上述のとおり、被転写媒体1に顔画像部310を熱転写形成した後の、不可視光吸収層140が積層される前において、不可視インク層読取装置72により、顔画像部310の不可視インク層312の情報として顔画像番号を読み取る。このときは、不可視インク層312に可視光を励起して蛍光発色させるために照射する不可視光の波長域が広いため、照明72dの種類や選択範囲を広げることができ、IDカード発行システム50の構築が容易である。また、ここで読み取った情報から、所定の参照テーブルにより積層体IDが特定され、これがIDカード10のICチップ211に第3識別情報として書き込まれる。
これにより、顔画像部310の不可視インク層312の情報である顔画像番号と一義的な対応関係にある積層体IDがIDカード10のICチップ211に記憶される。顔画像部310の顔画像311と不可視インク層312とは、中間転写シート53への形成やこれの被転写媒体1への熱転写が同時に行われる。このため、顔画像311および不可視インク層312の情報が食い違う可能性はなく、顔画像311である第1識別情報と不可視インク層312である第2識別情報との対応関係および第2識別情報とICチップ211の記憶情報である第3識別情報との対応関係の整合性が担保される。その結果、顔画像311である第1識別情報とICチップ211の記憶情報である第3識別情報との対応関係も高い精度で保証され、真贋判定の精度の向上に寄与する。
一方、発行が完了したIDカード10においては、不可視光吸収層140が積層されているため、不可視インク層312に可視光を励起して蛍光発色させるために照射する不可視光の波長域を狭くできる。これにより、IDカード10に不可視光を照射して不可視インク層312の第2識別情報を不用意に可視化したり、当該情報を不正に読み出すことを効果的に抑制できる。
また、不可視光吸収層140は、不可視光を照射することによって不可視インク層312が可視光を励起し蛍光発色できる波長域の不可視光のほとんどを吸収するものとして選択されてもよい。ここで言う、ほとんど吸収しないとは、例えば不可視光吸収層140における光線透過率が30%未満であることを含む。この場合には、不可視光吸収層140が積層されて発行が完了したIDカード10については、不可視光吸収層140が積層されているため、第2識別情報の不正な読み出しの危険性を一層低減できる。
なお、上述の不可視光は紫外線に限らず赤外線等でもよく、それ以外の不可視光でもよい。ただし、不可視インク層312が所定の波長域に含まれる赤外線の照射により可視光を励起して蛍光発色するものである場合には、不可視光吸収層140として、当該所定の波長域の一部の波長域の赤外線を吸収するものを選択する必要がある。上述の効果を得るためである
また、不可視インク層312は、少なくとも部分的に顔画像311と平面視において重複して形成されることが好ましい。こうすることで、不可視インク層312をそのまま残して顔画像311のみを別の顔画像と置き換える偽造を抑制できる。また、これにより、顔画像部310全体の占有スペースを少なくでき、IDカード10の券面デザインレイアウトの自由度を確保できる。不可視インク層312は可視光を透過するので、顔画像311に重複形成されていても顔画像311の視認性を低下させる可能性が少ない。
4.積層体の第1実施形態の別の発行システムおよび発行方法
次に、本開示の積層体の第1実施形態の別の発行システムについて説明する。図11は、積層体発行システムであるIDカード発行システム50aを示す全体概略図である。IDカード発行システム50aが上述のIDカード発行システム50と異なる点は、中間転写シート供給部52とその下流側に配置されるレーザ光印字層シート供給部56との間にインクジェット印刷が可能なインクヘッド54が配置されることである。前述したIDカード10aは、顔画像部310のうち不可視インク層312が中間転写シート53からの熱転写ではなく、インクヘッド54からのインクジェットインクの塗布により形成される。以下に、IDカード発行システム50aの各部と工程について上述したIDカード発行システム50との相違点を中心に説明する。
(a)IDカード発行システムおよびIDカードの発行方法
IDカード発行システム50aは、図11に示すように、上流側から下流側に向けて、被転写媒体供給部51、インクヘッド54、不可視インク層読取装置72およびリーダライター76a、不可視光吸収層シート供給部56並びに第1透明層シート供給部57が設けられている。その下流の構成は上述のIDカード発行システム50と同様である。
(b)インクジェット印刷による顔画像および不可視インク層の形成工程
被転写媒体供給部51の下流側には、インクジェット用インクを噴射するためのインクヘッド54が設けられている。搬送装置80に載置された被転写媒体1は、インクヘッド54の先端ノズルと対向する位置まで搬送されたのち、インクヘッド54から噴射された不可視インクによって、顔画像311である第1印刷層および不可視インク層312である第2印刷層が形成される。不可視インク層312は、上述のIDカード発行システム50と同様に、2次元バーコードであってもよく、それ以外のコードや文字、図形であってもよい。なお、これ以降のIDカード発行システム50aの構成や工程は上述のIDカード発行システム50のそれと同様のため、説明を省略する。
本実施態様では、印刷範囲の自由度が高いインクジェット印刷方式を用いるため、カード10aにおける顔画像311である第1印刷層と不可視インク層312である第2印刷層とのレイアウトの自由度をより一層、広げることができる。また、前述したように、被転写媒体1に対する顔画像311の形成を中間転写シートの熱転写にて行い、不可視インク層312の形成をインクジェット印刷にて行う場合でも、第1印刷層と第2印刷層とのレイアウトの自由度を広げる効果を同様に有する。
5.積層体の第2実施形態の発行システムおよび発行方法
次に、本開示の第2実施形態に係る情報ページまたはこれを含む冊子体の発行システムおよび発行方法について説明する。
第2実施形態に係る情報ページの製造や発行は、前述したIDカード発行システム50やその発行方法において、被転写媒体1を情報ページ21のベース基材に置き換えたものとしてほぼ同様のシステムおよび方法で行うことができる。その後、発行された情報ページ21を他のページ等と丁合して冊子体20とすればよい。
あるいは、情報ページ21を先に冊子体20の形態に製造しておいて、その後、当該情報ページ21を開いた状態で固定し、これに対して、前述したIDカード発行システム50や発行方法と同様のシステム、方法で当該情報ページ21の発行を行うこともできる。このようにして発行された情報ページ21および冊子体20は、当然ながら前述したIDカード10および10aと同様の作用効果を有する。
6.積層体検査システムおよび検査方法
次に、本開示の積層体に係るIDカード検査システムについて説明する。図12は、積層体検査システムであるIDカード検査システム50bを示す概略図である。また、図13は、IDカード検査システム50bによって実施されるIDカード10または10aの真贋判定処理のフロー図である。
(a)IDカード検査システムおよびIDカードの真贋判定方法
IDカード検査システム50bは、図12に示すように、上流側から下流側に向けて、IDカード供給部51a、リーダライター76c、不可視インク層読取装置72aおよびIDカード集積部59aが設けられている。なお、上流側から下流側に向けて搬送装置80aに載置されたIDカード10または10aが搬送される。なお、当該説明はIDカード10を例に行うが、10aでも同様である。IDカード検査システム50bは、全体の動作指示や判断を受け持つ制御部90aを備えている。以下に、IDカード検査システム50bの各部と工程について説明する。
(i)IDカード供給工程
まず、1枚または複数枚のIDカード10がIDカード供給部51aに収納され、IDカード検査システム50bの入口付近に取り付けられる。IDカード供給部51aはIDカード検査システム50bに対して着脱可能なカセットであり、内部に複数枚のIDカード10を厚さ方向が上下方向となるように積み重ねて保持することができる。ただし、IDカード供給部51aは単なる挿入口だけが設けられ、手差しで挿入したIDカード10を搬送ローラ等で内部に引き込む構造であってもよい。
IDカード供給部51aに収納された複数のIDカード10のうちの最上段に配置された1枚が、順次、図示しない取出し機構により取り出され、テーブル状の搬送装置80aに載置されてそのまま水平方向に搬送される。ただし、上述のようにIDカード10は、IDカード供給部51aの挿入口から1枚ずつ手差し挿入され、上下のローラで挟持されながら搬送されてもよい。
(ii)ICチップの記憶データの読み出し工程
次に、IDカード10は、リーダライター76cに近接する位置まで搬送される。リーダライター76cは、IDカード10との非接触通信によってICチップ211に記憶する所定の積層体IDを読み出す(ステップS511)。前述したように積層体IDはIDカード10を特定する固有情報であり、第3識別情報である。読み出した情報は後述する比較や判断のため、制御部90aに送信される。
(iii)不可視インク層読取工程
次に、IDカード10はその下流側に搬送され、顔画像部310の不可視インク層312の第2識別情報を読み取るための不可視インク層読取装置72aのカメラ72cと対向する位置まで移動する。不可視インク層読取装置72aはIDカード発行システム50の不可視インク層読取装置72と同様の構造を備える。すなわち、読み取り対象物であるIDカード10の顔画像部310に不可視光を照射する照明72eと、不可視インク層312の蛍光発色で生じた可視光の強弱を読み取るカメラ72cとを備える。ただし、照明72eは、IDカード発行システム50の不可視インク層読取装置72の照明72dから照射される不可視光のとり得る波長域よりも狭い範囲の波長域の不可視光を照射する。
照明72dからは、特定波長域に含まれる第1波長の紫外線を顔画像部310の不可視インク層312に向けて照射する。これに対して、照明72eからは、当該特定波長域よりも狭い波長域に含まれる第2波長の紫外線を顔画像部310の不可視インク層312に向けて照射する必要がある。第2波長の紫外線とは、不可視インク層312が可視光を励起して蛍光発色する波長域の紫外線であって、かつ、不可視光吸収層150がほとんど吸収しない波長域の紫外線であることを意味する。ほとんど吸収しない程度とは前述したとおりである。
このように、不可視インク層読取装置72aの照明72eは、IDカード10の顔画像部310の不可視インク層312に向けて第2波長の紫外線を照射する(ステップS512)。そして、不可視インク層312が励起して蛍光発色した可視光の強弱をカメラ72cにて読み取る(ステップS513)。この読み取り情報をもとに、不可視インク層読取装置72aまたは制御部90aは不可視インク層312が構成する第2識別情報を解読する(ステップS514)。さらに、制御部90aは、自身のメモリ等に格納するIDカード発行システム50の制御部90と同様な参照テーブルに基づき、第2識別情報に対応する積層体IDを特定する(ステップS515)。
制御部90aは、ICチップ211に記憶する第3識別情報である積層体IDの値と、不可視インク層312が構成する第2識別情報から参照テーブルの対応関係を踏まえて特定される積層体IDの値とを比較照合する(ステップS516)。この結果、両者が一致する場合または正しく対応している場合は、真贋判定が成功したものとして成功処理を行う(ステップS517)。
成功処理とは特に限定はされないが、その後の各種の電子手続等の許可、ゲートの通過の許可、その後の別の認証処理の継続許可あるいはその簡易化等を挙げることができる。一方、両者が一致しない場合または正しく対応していない場合は、真贋判定が失敗したものとして失敗処理を行う(ステップS518)。失敗処理についても特に限定はされないが、その後の各種の電子手続等の停止、ゲートの通過禁止、その後の別の認証処理の継続あるいは強化等を挙げることができる。
なお、不可視インク層読取装置72aにおいて、照明72eに加えて、第2波長とは別の波長域である第3波長の不可視光を照射できる照明72fをさらに備えてもよい。第3波長は、第1波長のとり得る波長域に含まれるが、第2波長のとり得る波長域に含まれない波長域に含まれる。すなわち、不可視光吸収層140が積層される前の状態では、第2波長および第3波長のいずれの不可視光であっても、これの照射によって不可視インク層312が励起して蛍光発色する。
しかしながら、不可視光吸収層140が積層された後のIDカード10については、第2波長の不可視光の照射であれば、不可視インク層312を蛍光発色させることができるが、第3波長の不可視光の照射時には蛍光発色させることはできない。よって、IDカード10に対して、照明72eおよび72fを互いに切り替えながらカメラ72cで不可視インク層312の第2識別情報が読み取れるか否かを検査することができる。
ここで、例えば照明72eの照射時に読み取り可能で照明72f照射時に読み取り不可能であれば、IDカード10は正しい材料構成で偽造されていないものと判断できる。一方、照明72eおよび72fのいずれの照射時にも読み取り可能であったり、読み取り不可能であった場合は、不可視インク層312または不可視光吸収層140の少なくともいずれかの材料が正規なものとは異なり、偽造されている可能性があると判断できる。これにより、さらに信頼性の高いIDカード10の真贋判定ができる。
(b)IDカード検査システムの作用
IDカード検査システム50bは、第1実施形態のIDカード10および10aについて、その顔画像部310に形成された不可視インク層312が構成する第2識別情報を比較的狭い波長域である第2波長の紫外線を照射して読み取ることができる。また、ICチップ211に記憶される第3識別情報を非接触通信により読み取ることができる。さらに、IDカード検査システム50bは、第2識別情報と第3識別情報との対応関係を定める参照テーブルを備えており、例えば第2識別情報の具体例である顔画像番号に対応する第3識別情報の具体例である積層体IDを特定することができる。
これにより、IDカード検査システム50bは、不可視インク層312の読み取りによって取得した第2識別情報から参照テーブルに基づいて特定した情報、例えば第1の積層体IDと、ICチップ211に格納されている第3識別情報である第2の積層体IDとが一致する場合または正しく対応している場合に、当該IDカード10が正規の積層体であると判定できる。また、それ以外の場合に、当該IDカード10が正規の積層体ではないと判定できる。
よって、顔画像311のようなデータ化すれば大容量となり得る第1識別情報を直接、ICチップ211の第3識別情報と比較照合する方法と比べて、本実施形態に係るIDカード検査システム50bによれば、短時間かつ容易にIDカード10を検査できる。また第1識別情報と対応付けられる第2識別情報は、可視光の照射によっては視認できないので、IDカード10のデザインを制約せず、意匠性の向上やレイアウトの自由度の拡大が図れる。
8.実施例
次に、実施例を挙げて、本開示を更に具体的に説明する。以下、特に断りのない限り、部または%は質量基準である。
(a)サンプルの作製
(i)実施例1
まず、厚さ12μmのポリエステルフィルム(東レ(株)製)を基材とし、その一方の面にあらかじめ乾燥後の厚さが1g/m2になるように背面層を形成しておく。前記基材の背面層形成面とは反対面側に、乾燥後の厚さが2g/m2になるように接着層を、乾燥後の厚さが5g/m2になるように剥離層を、乾燥後の厚さが3g/m2になるように保護層を、および乾燥後の厚さが3g/m2になるように受容層をそれぞれ下記組成のインキを使用し、この順に塗布して形成し、中間転写シートを作製した。この場合、剥離層、保護層、受容層が被転写媒体への転写部分となる。
<接着層用インキ塗工液>
ポリエステル樹脂 20部
(東洋紡績(株)製、バイロン200)
メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 80部
<剥離層用インキ塗工液>
シリコーン系樹脂インキ 50部
(信越化学工業(株)製、KS770A、固形分30重量%)
マイクロシリカ 7.5部
(平均粒径1μm)
トルエン 50部
<保護層用塗工液>
ポリメチルメタクリレート樹脂 20部
(三菱レーヨン(株)、BR-85)
メチルエチルケトン 80部
<受容層用塗工液>
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂 17.0部
(ユニオンカーバイト社製、VYHD)
蛍光色素1(Y203:Eu系蛍光顔料) 1.0部
アミノ変性シリコーン 0.17部
(信越化学工業(株)製、KS-343)
エポキシ変性シリコーン 0.17部
(信越化学工業(株)製、KF-393)
メチルエチルケトン 82.6部
上記の中間転写シートの受容層上に、イエロー、マゼンタ、シアンの各染料層が面順次に設けられた熱転写シートを用い、市販のビデオプリンターにて、画像を形成した。その後に、その画像形成された受容層面と、以下に示す被転写媒体とを合わせて、ヒートロール方式で、剥離層、保護層および受容層から構成された転写部分を当該被転写媒体へ転写して、実施例1の顔画像部を作製した。このうち、不可視インク層は2次元バーコードを形成するものとした。なお、被転写媒体は、第1コア層がポリカーボネートであり、全体の厚さが0.8mmであるカードサイズよりも若干大きめに形成されたカード状部材である。
次に、顔画像部が形成された被転写媒体にレーザ光印字層を介さず、直接、以下の不可視光吸収層を、熱圧を掛けて積層した。
<樹脂粒子>
単官能(メタ)アクリル系単量体としてのメタクリル酸メチル(MMA)63g(単量体混合物100重量%に対して70重量%)と、多官能ビニル系単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)27g(単官能(メタ)アクリル系単量体100重量部に対して43重量部;単量体混合物100重量%に対して30重量%)とに、重合開始剤としての2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.2gを加えて混合して、単量体組成物を調製した。
内容積500mlのセパラブルフラスコに、水性媒体としての水270gと、懸濁安定剤としての第3リン酸カルシウム8.7gと、界面活性剤としてのドデシルスルホン酸ナトリウム0.08gとを入れた。このセパラブルフラスコの内容物に、前記単量体組成物を添加した。セパラブルフラスコの内容物を高速攪拌機により高速で攪拌し、単量体組成物の微小液滴を形成した。セパラブルフラスコの内容物を攪拌しながら50℃で5時間加熱することで重合を行った。得られた樹脂粒子に塩酸を加えて懸濁安定剤を分解した後、水により樹脂粒子を洗浄した。洗浄の後、遠心脱水により固体を分離した。得られた固体を60℃で10時間真空乾燥し、体積平均粒子径が8μmであり、粒子径の変動係数(CV値)が35%である樹脂粒子を得た。
紫外線硬化型の樹脂バインダー(光重合性多官能単量体)であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートと光重合開始剤と上述の樹脂粒子と希釈剤としてのメチルエチルケトンとを以下の配合で十分混合して、塗料組成物を調製した。
<塗料組成物>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(ダイセル・サイテック株式会社製、DPHA) 10部
光重合開始剤
(イルガキュア(登録商標)184(BASFジャパン株式会社製)) 0.5部
樹脂粒子(上述のとおり) 10部
メチルエチルケトン 26部
6番(♯6)のバーコーターを用いてこの塗料組成物を厚さが188μmのPETフィルム上に塗布し、塗料組成物の層を形成した。塗料組成物の層を60℃で1分間加熱して乾燥した後、窒素パージ下、高圧水銀灯で照射量500mJ/cm2の紫外線を乾燥された塗料組成物の層に照射することにより、乾燥された塗料組成物の層を硬化させ、表面凹凸を有する不可視光吸収層のフィルムを得た。
上記不可視光吸収層のフィルムを前述の顔画像部が作製された被転写媒体上に積層し、熱圧を加えることで両者を一体化し、仕上げ抜きを行ってIDカードを完成させた。
(ii)実施例2
接着層用インキ塗工液において、蛍光色素1を1.0部から0.7部に減らし、蛍光色素2(Sr3(PO2)3Cl:Eu系蛍光顔料)を0.3部追加したこと以外は実施例1と同様にして、被転写媒体へ顔画像部を作製した。また、被転写媒体への不可視光吸収層の積層については実施例1と同様とした。
(b)サンプルへの紫外線照射と読み取り試験の結果
紫外線照射を行う紫外線ランプとして、波長254nm付近にピークを有する紫外線ランプ1と、波長365nm付近にピークを有する紫外線ランプ1とを用いた。これらの紫外線ランプの照射時に、IDカードの不可視インク層形成部分を市販の可視光対応型の2次元バーコードリーダーで読み取れるか否かを確認した。実施例1のサンプルは、不可視インク層に254nmの紫外線に対してのみ励起して赤色の可視光を蛍光発色する蛍光色素1(Y203:Eu系蛍光顔料)を有している。また、実施例2のサンプルは、蛍光色素1に加えて254nmおよび365nmのいずれの紫外線に対しても励起して青紫色の可視光を蛍光発色する蛍光色素2(Sr3(PO2)3Cl:Eu系蛍光顔料)をさらに有している。
また、実施例1、2のサンプルの不可視光吸収層は、波長300nm程度を境として、これより短い波長の電磁波を、透過率が10%未満となるように吸収し、これ以上の波長の電磁波を、透過率が80%以上となるように透過する性質を有する。これより、実施例1のサンプルに紫外線ランプ1を照射したときには、不可視インク層の2次元バーコードが赤色に蛍光発色して視認できること、および2次元バーコードリーダーによる読み取りが正常に行えることを確認した。このとき、蛍光色素1のみが蛍光発色したものと推定される。また、実施例1のサンプルに紫外線ランプ2を照射したときには、不可視インク層の2次元バーコードが視認できないこと、および2次元バーコードリーダーによる読み取りができないことを確認した。この場合、蛍光色素1および蛍光色素2のいずれも蛍光発色しなかったものと推定される。
一方、実施例2のサンプルに紫外線ランプ1を照射したときには、不可視インク層の2次元バーコードが赤紫色に蛍光発色して視認できること、および2次元バーコードリーダーによる読み取りが正常に行えることを確認した。この場合、蛍光色素1および蛍光色素2の両方がそれぞれ赤色および青紫色に蛍光発色し、その双方が混色されて見えたと推定される。また、実施例2のサンプルに紫外線ランプ2を照射したときには、不可視インク層の2次元バーコードが青紫色に蛍光発色して視認できること、および2次元バーコードリーダーによる読み取りが正常に行えることを確認した。この場合、蛍光色素2のみが蛍光発色したものと推定される。
これらの結果より、例えばIDカード発行システムにおいて、実施例1のようなIDカードを採用すれば、不可視光吸収層の積層前の段階では254nmおよび365nmの広い範囲の紫外線照射により第2識別情報の読み取りが可能である。しかし、不可視光吸収層の積層後のIDカード発行後は、例えば254nmのみの狭い範囲の紫外線照射でしか第2識別情報を読み取ることができず、発行作業の容易性の確保とIDカード製品のセキュリティ性の確保とを両立することができる。
また、IDカード発行システムにおいて、実施例2のようなIDカードを採用した場合、不可視光吸収層の積層前および積層後のいずれにおいても254nmおよび365nmの広い範囲の紫外線照射により、第2識別情報の読み取りが可能となる。しかし、不可視光吸収層の積層後のIDカード発行後は、蛍光発色する可視光の範囲が狭くなるので、その分、視認性や読み取り性が悪くなり、この点からIDカード製品のセキュリティ性が維持できる。
1 被転写媒体
2 中間積層体
10、10a IDカード
20 冊子体
21 情報ページ
22 ヒンジ部
23 表紙
24 裏表紙
50、50a IDカード発行システム
50b IDカード検査システム
51 被転写媒体供給部
51a IDカード供給部
52 中間転写シート供給部
52a 巻出ロール
52b 巻取ロール
53 中間転写シート
54 インクヘッド
55 ホットスタンプ
56 不可視光吸収層シート供給部
56a 巻出ロール
56b、56c 打抜き刃
57 第1透明層シート供給部
57a 巻出ロール
57b、57c 打抜き刃
59、59a IDカード集積部
60 接合装置
61 下方ローラ
62 下方コンベア
63 上方ローラ
64 上方コンベア
65 加熱盤
66 冷却盤
70 打抜きユニット
71 打抜き刃
72、72a 不可視インク層読取装置
72b、72c カメラ
72d、72e、72f 照明
73 レーザ光印字装置
74 IDマーク読取装置
76、76a、76b、76c リーダライター
80、80a 搬送装置
90、90a 制御部
110 ICモジュール保持層
111 基板対応層
112 ICチップ対応層
120 中間層
130 追加中間層
140 不可視光吸収層
150 第1透明層
160 第2透明層
170 第1コア層
180 第2コア層
200 ICモジュール
210 ICチップ体
211 ICチップ
212 封止樹脂
220 基板
230 アンテナ
300 印刷部IC
310 顔画像部
311 顔画像
312 不可視インク層
313 文字
314 IDマーク
315 ホログラム
320 収納空間
321、322 開孔
400 インクリボン
410 背面層
420 支持基材
430 インク層
431 着色インク部
432 不可視インク部

Claims (10)

  1. 基材と、
    前記基材の一方の面側に形成された、可視光で認識可能な第1識別情報を有する第1印刷層と、
    前記一方の面側に形成された、不可視光で認識可能な第2識別情報を有する第2印刷層と、
    少なくとも前記第2印刷層に平面視で重なるように積層された不可視光吸収層と、を備え、
    前記不可視光吸収層は、少なくとも一部の前記不可視光を吸収することを特徴とする、積層体。
  2. 前記第2印刷層は、少なくとも部分的に前記第1印刷層と平面視で重複して形成される、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記一部とは異なる前記不可視光により前記不可視光吸収層を通して前記第2印刷層を認識できる、請求項1または請求項2に記載の積層体。
  4. 前記不可視光は紫外線であり、前記第2印刷層が前記不可視光の照射により可視光を励起して蛍光発色することで前記第2印刷層を認識できる、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 前記不可視光は赤外線であり、前記第2印刷層が前記不可視光を吸収することで前記第2印刷層を認識できる、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の積層体。
  6. ICチップをさらに備え、
    前記ICチップは前記第2識別情報を特定することが可能な第3識別情報を記憶する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 積層体発行システムであって、
    ICモジュールを含む被転写媒体に対して、前記被転写媒体側の面にあらかじめ可視光で認識可能な第1識別情報を構成する第1印刷層および不可視光で認識可能な第2識別情報を構成する第2印刷層が転写された中間転写シートを供給する中間転写シート供給部と、
    前記中間転写シート供給部に設けられ、前記中間転写シートを前記被転写媒体と反対側の面から加熱押圧して、前記第1印刷層および前記第2印刷層を前記被転写媒体の最表面上に転写する熱圧加工部と、
    前記中間転写シート供給部の前記被転写媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記被転写媒体に形成された前記第2識別情報を前記不可視光の照射により読み取る読取部と、
    前記読取部の前記被転写媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記被転写媒体に転写された前記第1印刷層および前記第2印刷層の上側に不可視光吸収層を積層する不可視光吸収層供給部と、
    前記読取部の前記被転写媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記不可視光吸収層が積層される前の前記被転写媒体、または前記被転写媒体に前記不可視光吸収層が積層された前記積層体、の前記ICモジュールに対し、前記第2識別情報を特定することが可能な第3識別情報を書き込む書込部と、を備え、
    前記不可視光吸収層は、少なくとも一部の前記不可視光を吸収することを特徴とする、積層体発行システム。
  8. 積層体発行システムであって、
    ICモジュールを含む被転写媒体に対して、前記被転写媒体側の面に可視光で認識可能な第1識別情報を構成する第1印刷層を形成し、前記第1印刷層が形成された面側に、さらに不可視光で認識可能な第2識別情報を構成する第2印刷層を形成するインクジェット印刷部と、
    前記インクジェット印刷部の前記被転写媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記被転写媒体に形成された前記第2識別情報を前記不可視光の照射により読み取る読取部と、
    前記読取部の前記被転写媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記被転写媒体に転写された前記第1印刷層および前記第2印刷層の上側に不可視光吸収層を積層する不可視光吸収層供給部と、
    前記読取部の前記被転写媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記不可視光吸収層が積層される前の前記被転写媒体、または前記被転写媒体に前記不可視光吸収層が積層された前記積層体、の前記ICモジュールに対し、前記第2識別情報を特定することが可能な第3識別情報を書き込む書込部と、を備え、
    前記不可視光吸収層は、少なくとも一部の前記不可視光を吸収することを特徴とする、積層体発行システム。
  9. 積層体発行方法であって、
    ICモジュールを含む被転写媒体に対して、前記被転写媒体側の面にあらかじめ可視光で認識可能な第1識別情報を構成する第1印刷層および不可視光で認識可能な第2識別情報を構成する第2印刷層が転写された中間転写シートを供給する工程と、
    前記中間転写シートを前記被転写媒体と反対側の面から加熱押圧して、前記第1印刷層および前記第2印刷層を前記被転写媒体の最表面上に転写する工程と、
    前記被転写媒体に形成された前記第2識別情報を前記不可視光の照射により読み取る工程と、
    前記被転写媒体に転写された前記第1印刷層および前記第2印刷層の上側に不可視光吸収層を積層する工程と、
    前記不可視光吸収層が積層される前の前記被転写媒体、または前記被転写媒体に前記不可視光吸収層が積層された前記積層体、の前記ICモジュールに対し、前記第2識別情報を特定することが可能な第3識別情報を書き込む工程と、を備え、
    前記不可視光吸収層は、少なくとも一部の前記不可視光を吸収することを特徴とする、積層体発行方法。
  10. 積層体発行方法であって、
    ICモジュールを含む被転写媒体に対して前記被転写媒体側の面に可視光で認識可能な第1識別情報を構成する第1印刷層を形成し、前記第1印刷層が形成された面側に、さらに不可視光で認識可能な第2識別情報を構成する第2印刷層をインクジェット印刷によって形成する工程と、
    前記被転写媒体に形成された前記第2識別情報を前記不可視光の照射により読み取る工程と、
    前記被転写媒体に転写された前記第1印刷層および前記第2印刷層の上側に不可視光吸収層を積層する工程と、
    前記不可視光吸収層が積層される前の前記被転写媒体、または前記被転写媒体に前記不可視光吸収層が積層された前記積層体、の前記ICモジュールに対し、前記第2識別情報を特定することが可能な第3識別情報を書き込む工程と、を備え、
    前記不可視光吸収層は、少なくとも一部の前記不可視光を吸収することを特徴とする、積層体発行方法。
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