JP2022056970A - 印刷装置、印刷システムおよび印刷装置の制御方法 - Google Patents

Abstract

【課題】定額印刷サービスを実現するために印刷装置において必要な設定を、適切なタイミングで実行させる。【解決手段】印刷装置（１）は、通信インタフェース（８１）と、コントローラ（８０）と、を備え、コントローラ（８０）は、サーバ（９）との通信状態を監視する通信監視処理と、印刷装置（１）に取り付けられている１つ以上の消耗品に、特定種類の消耗品が含まれているか否かを判定する消耗品判定処理（Ｓ２１２）と、印刷装置（１）がサーバ（９）と通信可能な状態である場合であって、かつ、消耗品に特定種類の消耗品が含まれていると判定した場合に、印刷装置（１）を定額印刷状態に移行させる移行処理（Ｓ２１３）と、を実行する。【選択図】図６

Description

本開示は、印刷装置、印刷システムおよび印刷装置の制御方法に関する。

近年、例えば、特許文献１に開示されているように、印刷装置を利用するユーザに定額印刷サービスが広く提供されている。定額印刷サービスとは、印刷装置ごとに加入可能なサービスであり、サブスクリプションサービスとも呼ばれる。例えば、定額印刷サービスは、予め定められた期間中、予め設定された枚数までなら、一定の利用料金で印刷可能とするサービスである。契約で定められた量を超過する利用に対しては、超過料金が発生してもよい。

特開２０１６－１９３５９２号公報

ユーザが定額印刷サービスに申し込むと、サービス提供事業者のサーバと、ユーザの印刷装置との間で各種情報の送受信が行われる。これは、サーバが契約対象機となる印刷装置を特定するためであるとともに、ユーザの印刷装置において定額印刷サービスの提供に係る、各種の設定を行うためでもある。

印刷装置とサーバとを含む印刷システムでは、このような設定を適切なタイミングで印刷装置に実行させる必要がある。

本開示は、定額印刷サービスを実現するために印刷装置において必要な設定を、適切なタイミングで実行させることを可能にする印刷装置、印刷システムおよび印刷装置の制御方法を実現することを目的とする。

上記の課題を解決するために、本開示の第１態様の印刷装置は、契約に基づく定額印刷が可能な印刷装置であって、サーバと通信する通信インタフェースと、コントローラと、を備え、前記コントローラは、前記印刷装置と前記サーバとの通信状態を監視する通信監視処理と、前記印刷装置に取り付けられている１つ以上の消耗品に、前記定額印刷が可能な状態である定額印刷状態への移行条件に合致する、特定種類の消耗品が含まれているか否かを判定する消耗品判定処理と、前記通信監視処理において監視している前記通信状態が、前記印刷装置と前記サーバとが通信可能な状態である場合であって、かつ、前記消耗品判定処理において前記１つ以上の消耗品に前記特定種類の消耗品が含まれていると判定した場合に、前記印刷装置を前記定額印刷状態に移行させる移行処理と、を実行する。

上記の課題を解決するために、本開示の第９態様の印刷システムは、印刷装置と、サーバと、を含む印刷システムであって、前記印刷装置は、契約に基づく定額印刷が可能な装置であって、サーバと通信する通信インタフェースと、コントローラと、を備え、前記印刷装置の前記コントローラは、前記印刷装置と前記サーバとの通信状態を監視する通信監視処理と、前記印刷装置に取り付けられている１つ以上の消耗品に、前記定額印刷が可能な状態である定額印刷状態への移行条件に合致する、特定種類の消耗品が含まれているか否かを判定する消耗品判定処理と、前記通信監視処理において監視している前記通信状態が、前記印刷装置と前記サーバとが通信可能な状態である場合であって、かつ、前記消耗品判定処理において前記１つ以上の消耗品に前記特定種類の消耗品が含まれていると判定した場合に、前記印刷装置を前記定額印刷状態に移行させる移行処理と、を実行する。

上記の課題を解決するために、本開示の第１０態様の制御方法は、契約に基づく定額印刷が可能な印刷装置の制御方法であって、前記印刷装置に取り付けられている１つ以上の消耗品に、前記定額印刷が可能な状態である定額印刷状態への移行条件に合致する、特定種類の消耗品が含まれているか否かを判定する消耗品判定ステップと、監視している前記印刷装置とサーバとの通信状態が、前記印刷装置と前記サーバとが通信可能な状態である場合であって、かつ、前記消耗品判定ステップにおいて前記１つ以上の消耗品に前記特定種類の消耗品が含まれていると判定した場合に、前記印刷装置を前記定額印刷状態に移行させる移行ステップと、を含む。

第２態様は、第１態様の印刷装置であって、前記コントローラは、前記移行処理を実行した場合、前記印刷装置を前記定額印刷状態へ移行させたことを前記サーバに通知する。

第３態様は、第１態様または第２態様の印刷装置であって、前記特定種類の消耗品とは、前記印刷装置において定額印刷を実行するために使用する契約専用消耗品、または、前記印刷装置の購入時に同梱されていた同梱消耗品である。

第４態様は、第１態様から第３態様のいずれか１つの印刷装置であって、前記コントローラは、前記通信監視処理において監視している前記通信状態が、前記印刷装置と前記サーバとが通信不可能な状態から通信可能な状態に復帰したことを契機として、前記消耗品判定処理を実行する。

第５態様は、第１態様から第４態様のいずれか１つの印刷装置であって、前記印刷装置は、前記消耗品を取り付けるための開口を有する本体筐体を備え、前記コントローラは、前記本体筐体への前記消耗品の取り付け、または前記本体筐体への前記消耗品の取り付けに係るユーザ操作を検知する検知処理を実行し、前記検知処理において、前記本体筐体への前記消耗品の取り付け、または前記本体筐体への前記消耗品の取り付けに係るユーザ操作を検知したことを契機として、前記消耗品判定処理を実行する。

第６態様は、第５態様の印刷装置であって、前記印刷装置は、前記本体筐体の前記開口を開閉するためのカバーを備えており、前記コントローラは、前記カバーが閉じられた場合に、前記本体筐体へ前記消耗品が装着されと検知する。

第７態様は、第１態様から第６態様のいずれか１つの印刷装置であって、前記コントローラは、前記印刷装置を前記定額印刷状態に移行させた後に前記サーバから定額印刷を不許可とする不許可指示を受けた場合は、前記印刷装置における前記定額印刷の実行を禁止する。

第８態様は、第１態様から第７態様のいずれか１つの印刷装置であって、前記コントローラは、前記印刷装置におけるエラーの発生状態を監視するエラー監視処理を実行し、前記エラー監視処理において、所定のエラーが発生していると判定された場合は、前記移行処理を実行しない。

第１態様の印刷装置、第９態様の印刷システム、および、第１０態様の制御方法によれば、印刷装置は、印刷装置とサーバが通信可能で、かつ、特定種類の消耗品が１つ以上取り付けられている場合に、定額印刷を可能にする。これにより、印刷装置とサーバが、定額印刷に関する種々の情報を通信可能なときに、定額印刷が実行可能になる。すなわち、定額印刷の「定額」の期間のカウントが始まる。したがって、印刷装置は、適切なタイミングで定額印刷サービスを開始させることができる。

第２態様の印刷装置によれば、印刷装置はサーバに印刷装置が定額印刷可能になったことを通知する。これにより、サーバは例えば定額印刷に係る課金の開始タイミングを適切に決定することができる。

第３態様の印刷装置によれば、定額印刷専用の消耗品、または、印刷装置の購入時に同梱されていた消耗品を印刷装置に取り付けることによって、定額印刷が可能になる。

第４態様の印刷装置によれば、例えば、サーバと通信不可能であった印刷装置の通信状態が回復したことをトリガとして消耗品判定処理を行うことができる。これにより、印刷装置は、通信状態が回復したタイミングで、印刷装置に適切な消耗品が取り付けられていた場合、遅滞なく定額印刷状態に移行することができる。

第５態様の印刷装置によれば、印刷装置は、消耗品が取り付けられた場合に、該取り付けられた消耗品が、定額印刷に適切な消耗品であるか否かを、遅滞なく判定することができる。

第６態様の印刷装置によれば、印刷装置は、ユーザが本体筐体に消耗品を取り付けて本体筐体を閉めたタイミングで、消耗品が特定種類の消耗品であるか否かを判定することができる。これにより、定額印刷に適切な消耗品が取り付けられているか、遅滞なく判定することができる。

第７態様の印刷装置によれば、一旦定額印刷状態に移行した印刷装置であっても、サーバからの不許可指示によって、定額印刷の実行を差し止めることができる。これにより、例えば、定額印刷状態に移行した印刷装置のユーザが、該定額印刷に係る支払いを行わなかった場合等に、定額印刷サービスを提供している事業者の側から定額印刷を止めることができる。

第８態様の印刷装置によれば、印刷装置は、所定のエラーが発生している場合は定額印刷サービスを開始させない。これにより、例えばハードウェア部分等で重要なエラーが発生している場合など、物理的またはソフトウェア的に定額印刷が実行できないような場合は、定額印刷サービスを開始させないようにすることができる。これにより、ユーザが実際に印刷できないときに定額印刷サービスを開始扱いにしてしまうことを防止できる。

印刷装置、インクカートリッジ、およびサーバの要部構成を示すブロック図である。 本開示の一実施形態に係る印刷システムにおいて実行される処理の流れを示すシーケンス図である。 カートリッジ情報の一具体例を示す図である。 判定テーブルの一具体例を示す図である。 印刷装置のコントローラが実行する判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。 実施形態２に係る印刷システムに含まれる印刷装置、インクカートリッジ、およびサーバの要部構成を示すブロック図である。 印刷システムにおいて実行される処理の流れを示すシーケンス図である。 消耗品判定処理の流れを示すフローチャートである。

〔実施形態１〕
≪実施形態１の課題≫
定額印刷サービスの利用にあたっては、定額印刷サービス専用の消耗品、例えば、インクカートリッジなどを使用するように、サービス提供事業者（以下、事業者）から指定されることがある。多くの場合、定額印刷サービス専用の消耗品は、事業者によって無償または廉価でユーザに提供される。この定額印刷サービス専用の消耗品のコストは、事業者によって、定額印刷サービスの利用料金を含む適宜の手段で回収されてもよい。このような定額印刷サービスを実現するためには、ユーザの印刷装置を、締結された契約に適った契約対象機であると、印刷システム上で正しく認識させる必要がある。

印刷装置が印刷システム上で契約対象機であると認識されるために、契約手続を含む一連の情報処理が、印刷装置とサーバとの間で必要となる。印刷装置が、契約手続に係る情報処理を完遂することが難しい状態であるにもかかわらず、該情報処理が開始されてしまうという状況は回避されることが望ましい。例えば、契約手続に係る情報処理を完遂することが難しい状態としては、ユーザの印刷装置において、定額印刷サービス専用の消耗品が、事業者が想定していない利用のされ方をしている場合などが想定される。あるいは、印刷装置が備えるサーバとの通信機能または上述の情報処理の実行機能に深刻な影響を与え得るエラーが印刷装置に発生していること、もしくは、印刷装置が優先度の高い他の処理を実行中であることなどが想定される。

本実施形態に係る印刷装置は、印刷装置が契約対象機として認識されるための契約手続に係る情報処理を実行することが望ましくない状態であるときに、該情報処理が実行されてしまうことを回避する。

≪印刷システムの概要≫
以下、本開示の一実施形態について、図１～図５を参照して説明する。本実施形態に係る印刷システム１００は、図１に示すとおり、印刷装置１と、インクカートリッジ４と、サーバ９とを含んで構成される。

本実施形態に係る印刷装置１は、印刷装置１のユーザが事業者と契約することによって、契約専用の消耗品または交換品を使用することができる印刷装置である。契約は、一例として、定額印刷サービスを提供する事業者と、ユーザとの間で、当該サービスの利用期間、利用料金、上限枚数などが取り決められた上で、メーカがユーザに該定額印刷サービスを提供することを双方が了承することである。すなわち、本実施形態に係る印刷装置１は、定額印刷サービスの契約が締結された後、該契約の内容に基づく印刷である定額印刷を実行することが可能になる印刷装置である。

なお、定額印刷サービスにおいて、下記（１）（２）のタイミングは異なっていてもよい。

（１）サーバ９が、印刷装置１を契約対象機として認識するタイミング
（２）サーバ９が、印刷装置１で定額印刷サービスが利用開始されたとみなすタイミング
すなわち、定額印刷サービスにおいて、サーバ９が印刷装置１を「契約対象機ではあるが、まだ定額印刷サービスの利用は開始されていない」と認識することがあってもよい。なお、（２）における「定額印刷サービスの利用開始」とは、あくまで「サービスの利用開始」であって、定額印刷を実際に実施したか否かには関わらない。

また、定額印刷サービスが、前述のように有料のサービスである場合、（２）のタイミングは、「印刷装置１に係る定額印刷サービスの課金を開始するタイミング」と同義と捉えてよい。本明細書では、特段の記載が無い限り、定額印刷サービスは有料のサービスであることとする。したがって、（２）のタイミングは、課金開始のタイミングであることとする。

印刷装置１は、インクカートリッジまたはトナーカートリッジなどの消耗品を用いて印刷を実行する機能と通信機能とを備えている装置であればいずれでもよい。例えば、印刷装置１は、インクジェットプリンタ、レーザープリンタであってもよい。あるいは、印刷装置１は、スキャナまたはファクシミリなどの他の機能を併せて備えるＭＦＰ（Multi Function Printer）であってもよい。

本実施形態では一例として、印刷装置１が、インクを吐出することによって、データを印刷用紙に印刷するインクジェットプリンタである場合について説明する。印刷装置１の本体筐体には、１つ以上のインクカートリッジが装着される。本実施形態では、一例として、印刷装置１には、シアン（Ｃ）、マゼンタ（Ｍ）、イエロー（Ｙ）およびブラック（ＢＫ）の４色のインクカートリッジがそれぞれ装着されるものとする。なお、印刷装置１には、図示されていないが、液晶ディスプレイやランプなどの表示部と、ボタンなどの入力部とが設けられていてもよい。また、液晶ディスプレイは、タッチパネルと一体に構成されることにより、入力部として機能するように構成されてもよい。

サーバ９は、１台以上の印刷装置１を管理する管理装置である。図２の例では、サーバ９は１台の印刷装置１とのみ接続しているが、サーバ９は複数の印刷装置１と通信接続してよい。

事業者が使用するサーバ９は、印刷装置１と通信ネットワークを介して通信し、印刷装置１と協働して、契約手続に係る一連の情報処理を完遂する。以下では、契約手続に係る一連の情報処理を、契約関連処理と称する。これにより、サーバ９は、印刷装置１を契約対象機として認識することができ、最終的に、印刷システム１００上で、印刷装置１が契約対象機として認識されたことになる。

本実施形態では、一例として、サーバ９は、印刷装置１を契約対象機として認識したことをトリガとして、事業者が指定する契約専用の消耗品をユーザに配送することを決定する。ユーザは、配送された契約専用の消耗品を印刷装置１に装着する。これにより、印刷装置１は、定額印刷を実行することができるようになる。

≪印刷装置１、インクカートリッジ４、およびサーバ９の内部構成≫
図１は、本実施形態における印刷装置１、インクカートリッジ４、およびサーバ９の要部構成を示すブロック図である。

（インクカートリッジ４）
インクカートリッジ４は、カートリッジメモリ４２を有する。カートリッジメモリ４２は、情報の読み出しおよび書き込みが可能なメモリである。カートリッジメモリ４２は例えば、フラッシュＲＯＭ（Read Only Memory）またはＥＥＰＲＯＭ（登録商標）（Electrically Erasable Programmable ROM）である。

カートリッジメモリ４２は、インクカートリッジ４に関する情報を記憶するために、第１領域４２１と、第２領域４２２と、第３領域４２３と、を有している。第１領域４２１は、カートリッジＩＤを記憶している。第２領域４２２は、カートリッジ種別を記憶している。第３領域４２３は、インク残量を記憶している。第３領域は、書き替え可能なデータであってよい。なお、カートリッジＩＤおよびインク残量を記憶するための各領域は、本開示において適宜省略されてもよい。

カートリッジＩＤは、例えば、個々のインクカートリッジ４を識別するための固有のシリアルナンバーである。カートリッジＩＤは、そのインクカートリッジのインクの色、型番、製造メーカおよび製造ロットなどを示す情報を含んでいてもよい。

カートリッジ種別は、インクカートリッジ４の種別を示す情報である。本実施形態では、インクカートリッジ４の種別として、少なくとも、「契約」および「市販」の２種類が設定され得る。さらに、インクカートリッジ４の種別として、「同梱」という３種類目が設定されてもよい。「同梱」の種別については、後の実施形態で詳述する。

種別「契約」が第２領域４２２に格納されているインクカートリッジは、定額印刷サービス専用のインクカートリッジである。以下では、この種別のインクカートリッジを、契約カートリッジ（契約専用消耗品）と称する。印刷装置１は、契約インクカートリッジを装着している間、定額印刷を実行することができる。契約インクカートリッジは、事業者から、印刷装置１についての契約を結んだユーザに対して供給される。

種別「市販」が第２領域４２２に格納されているインクカートリッジは、家電量販店または通販サイトなどから購入可能な市販のインクカートリッジである。以下では、この種別のインクカートリッジを、市販カートリッジと称する。市販カートリッジは、印刷装置１のメーカによって製造された、いわゆる純正品であってもよいし、該メーカ以外のサードパーティによって製造された、いわゆる３ｒｄ品であってもよい。

インク残量は、インクカートリッジ４のインクの残量を示す情報である。インク残量は、一例として、満杯から空までの複数の段階に対応する値で構成され、該値が第３領域４２３に格納されている。インク残量の各段階は、上述の値に基づいて、「ＦＵＬＬ」～「ＥＭＰＴＹ」などのように言葉でユーザに通知されてもよいし、「１００％」～「０％」などの数値でユーザに通知されてもよいし、これらを組み合わせた表現によってユーザに通知されてもよい。

印刷装置１の本体筐体は、コネクタ１０１を有する。インクカートリッジ４が印刷装置１の本体筐体に装着されると、コネクタ１０１がカートリッジメモリ４２と電気的に接続される。これにより、印刷装置１のコントローラ８０は、インクカートリッジ４のカートリッジメモリ４２と通信可能になる。

（印刷装置１）
印刷装置１はコントローラ８０と、通信インタフェース８１と、本体メモリ８２とを有する。コントローラ８０は、例えば、ＡＳＩＣ（Application Specific Integrated Circuit：特定用途向け集積回路）を有する。コントローラ８０は、印刷装置１の本体筐体に設けられた、本体メモリ８２および通信インタフェース８１と電気的に接続されている。コントローラ８０は、種々の動作を実行することによって、印刷装置１に印刷に関連する各種処理を行わせる。

なお、コントローラ８０は、ＣＰＵ（Central Processing Unit）等のプロセッサを備えてもよい。この場合、本体メモリ８２に、印刷装置の制御方法を実現する制御プログラムが保存され、プロセッサが制御プログラムにしたがって動作することによって、コントローラ８０が印刷装置１に各種処理を行わせてもよい。

また、コントローラ８０は、制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な、本体メモリ８２などの記録媒体を備えていてもよい。当該記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ＲＯＭ等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、制御プログラムを展開するＲＡＭ（Random Access Memory）などを利用してもよい。また、制御プログラムは、当該制御プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体（通信ネットワークや放送波等）を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本開示の一態様は、制御プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。

印刷装置１にインクカートリッジ４が装着されると、図１に示すように、インクカートリッジ４は、コントローラ８０と電気的に接続される。これにより、コントローラ８０は、カートリッジメモリ４２からの情報の読出処理と、カートリッジメモリ４２への情報の書込処理（書き替え処理を含む）とを実行することが可能となる。

本体メモリ８２は、情報の読み出しおよび書き込みが可能なメモリである。本体メモリ８２は、例えばフラッシュＲＯＭまたはＥＥＰＲＯＭ（登録商標）である。本体メモリ８２は、一例として、領域８２１から領域８２７までの７つの領域を有し、各領域には、具体的には、以下の各種情報が記憶されている。

領域８２１には、カートリッジ情報が記憶されている。カートリッジ情報は、印刷装置１に装着される各色のインクカートリッジ４に関する情報である。具体的には、カートリッジ情報は、それぞれのカートリッジメモリ４２から読み出されるカートリッジＩＤと、カートリッジ種別と、インク残量とを、１つのインクカートリッジ４ごとに対応付けた情報を含む。本実施形態では、カートリッジ情報は、印刷装置１におけるインクカートリッジ４の装着状況に応じて、コントローラ８０が契約モードへの移行の適否を判定するために参照される。契約モードとは、印刷装置１の動作モードの１つであり、印刷装置１が印刷システム１００上で、契約に基づく定額印刷を実行する資格を有する契約対象機であると認識される動作モードである。コントローラ８０が参照するカートリッジ情報の具体例については別図に基づいて後に詳述する。

領域８２２には、装置ＩＤが記憶されている。装置ＩＤは、印刷装置１を識別するための識別情報である。装置ＩＤとは、例えば印刷装置のシリアルナンバーである。

領域８２３には、モード情報が記憶されている。モード情報は、印刷装置１の動作モードを示す情報である。本実施形態では、一例として、印刷装置１が印刷システム１００上で契約対象機として動作することを意味する「契約モード」と、印刷装置１が契約対象機ではなく、通常の印刷装置として動作することを意味する「非契約モード」との２種類のモードが定義される。

印刷装置１の出荷時において、領域８２３には、デフォルトで非契約モードに対応する値が格納されている。サーバ９は、契約を結んだユーザの印刷装置１に、契約モードに移行することを指示する移行指示を含んだリクエストを送信する。コントローラ８０は、サーバ９からのリクエストにしたがって、領域８２３の値を、非契約モードから契約モードへと変更する。本実施形態では、一例として、このようにコントローラ８０が、領域８２３の値を、契約モードへと変更することを、「契約モードへの移行」と呼ぶ。

他の実施形態では、モード情報は、印刷装置１が契約モードであるか非契約モードであるかを表すとともに、印刷装置１が契約モードである場合には、さらに、印刷装置１が契約モード下の非課金状態であるか、課金状態であるかを示してもよい。この場合、モード情報は、印刷装置１が、（１）非契約モード、（２）契約モードの非課金状態、および、（３）契約モードの課金状態の３つの状態のうちいずれの状態にあるのかを示す情報として領域８２３に記憶される。

「契約モードの非課金状態」とは、印刷装置１契約モードではあるが、定額印刷サービスの利用は開始されていない状態を示す。例えば、前述のように、サーバ９が、印刷装置１を契約対象機として認識するタイミングと、サーバ９が、印刷装置１で定額印刷サービスが利用開始されたとみなすタイミングとが異なっている場合、この「契約モードの非課金状態」という状態が生じ得る。

一方、「契約モードの課金状態」とは、印刷装置１が契約モードであり、かつ、定額印刷サービスの利用が開始されている状態を示す。以降、この「契約モードの課金状態」のことを、定額印刷状態とも称する。

領域８２４には、通信ステータスが記憶されている。通信ステータスは、印刷装置１とサーバ９との通信状態を示す情報である。なお、通信ステータスは、印刷装置１がオンラインであるかオフラインであるかを示す情報であってもよい。通信インタフェース８１が通信ネットワークと接続されて外部の装置と通信可能である場合、印刷装置１がオンラインであることを示す値が通信ステータスとして領域８２４に記憶される。一方、通信インタフェース８１が通信ネットワークと接続されず、外部の装置と通信できない場合、印刷装置１がオフラインであることを示す値が通信ステータスとして領域８２４に記憶される。他の例では、コントローラ８０は、通信インタフェース８１を介して、既知の通信プロトコルにしたがってサーバ９との通信状態を監視してもよい。この場合、コントローラ８０は、サーバ９側の問題で印刷装置１がサーバ９と通信できない状態を、上述のオンラインおよびオフラインと区別し、当該状態を示す別の値を領域８２４に記憶してもよい。

領域８２５には、判定テーブルが記憶されている。判定テーブルは、印刷装置１に発生しているエラーに応じて、コントローラ８０が契約モードへの移行の適否を判定するために参照される、ルックアップテーブルである。コントローラ８０が参照する判定テーブルのデータ構造の一例については別図に基づいて後に詳述する。

領域８２６には、第１枚数カウンタが記憶されている。第１枚数カウンタは、印刷装置１における印刷枚数の累計である。領域８２７には、第２枚数カウンタが記憶されている。第２枚数カウンタは、印刷装置１において定額印刷サービスを利用して印刷した印刷物の枚数を示す。第２枚数カウンタは、印刷装置１が未契約モードから契約モードに移行する度に０にカウントリセットされてもよいし、今まで印刷装置１において定額印刷サービスを利用して印刷した印刷物の枚数の累計であってもよい。以降、特段の記載がない限り、第２枚数カウンタの値は、今まで定額印刷扱いで印刷した枚数の累計であることとする。

本体メモリ８２は、上述した情報の他に、例えば、印刷装置１における累計印刷枚数を記憶するための領域を有していてもよい。

通信インタフェース８１は、例えばインターネットなどの不図示の通信ネットワークを介して、印刷装置１とサーバ９との通信を行う。通信インタフェース８１は、サーバ９から受信したリクエストをコントローラ８０に出力する。ここで、「リクエスト」とは、契約関連処理において、サーバ９から送信される各種の要求、指示、問合せなどを指す。通信インタフェース８１は、コントローラ８０が、上述のリクエストに応答して演算し、出力した結果を、「レスポンス」としてサーバ９に返信する。本実施形態では、通信インタフェース８１によるレスポンスの返信は省略されてもよい。例えば、リクエストが、印刷装置１内の各種の設定を変更する指示である場合、コントローラ８０は指示にしたがって印刷装置１内の各種の設定を変更する。しかし、設定が変更された旨の通知を通信インタフェース８１を介してサーバ９に返信することは省略されてもよい。

（サーバ９）
サーバ９は、サーバ通信部９１（通信部）と、サーバメモリ９２と、サーバ制御部９３（制御部）を備えている。サーバ通信部９１は、サーバ９と印刷装置１との通信を行う通信インタフェースである。サーバ通信部９１は、サーバ制御部９３から入力されたリクエストを印刷装置１に送信する。サーバ通信部９１は、送信したリクエストに応じて印刷装置１から送られてきたレスポンスを受信し、サーバ制御部９３に出力する。

また、サーバ通信部９１は、印刷装置１のユーザが操作するユーザ端末とも通信し、ユーザ端末との間で情報を送受信する。本実施形態では、サーバ通信部９１は、ユーザ端末との間で、契約締結のために必要な各種情報をやりとりする。具体的には、サーバ通信部９１は、ユーザ端末から契約締結を要求する契約要求メッセージを受信してもよい。この契約要求メッセージには、印刷装置１を識別する装置ＩＤが含まれ得る。この契約要求メッセージに応答して、サーバ制御部９３が契約関連処理を実行した後、サーバ通信部９１は、印刷装置１を契約対象機として認識した旨の通知を、ユーザ端末に送信してもよい。

サーバメモリ９２は、サーバ９の動作に必要なデータを記憶する記憶装置である。サーバメモリ９２は、印刷装置１ごとに装置情報を記憶する領域９２１を有している。装置情報は、印刷装置１に関する種々の情報をまとめたデータである。装置情報は、印刷装置１の１台ごとに作成される。装置情報は、例えば、装置ＩＤと、契約フラグと、契約上限枚数とを含んでいてもよい。他にも、装置情報は、例えば、印刷装置１の型番、製造年月日等を含んでいてもよい。

装置ＩＤは、サーバ９が印刷装置１を一意に識別するための識別情報である。契約フラグは、印刷装置１が契約モードに移行したか否か、すなわち、契約対象機として認識済みであるか否かを示す情報である。契約上限枚数は、印刷装置１が、契約で定められた所定の期間において定額印刷可能な上限の枚数を示す。

サーバ制御部９３は、サーバ９を統括的に制御するＣＰＵである。サーバ制御部９３は所定のタイミングで、印刷装置１にリクエストを作成し、作成したリクエストをサーバ通信部９１に出力する。本実施形態では、リクエストは、例えば、契約モードへの移行を印刷装置１に対して指示する移行指示を含む。サーバ制御部９３は、ユーザ端末から送信された契約要求メッセージが受信されたことをトリガとして、サーバ通信部９１を制御し、ユーザが希望する印刷装置１に対して、上述の移行指示を送信する。

また、サーバ制御部９３は、サーバ通信部９１を介して印刷装置１から受信したレスポンスに基づいて、サーバメモリ９２の領域９２１に装置情報を新規に記憶させたり、既に記憶されている装置情報を更新したりする。より詳細には例えば、サーバ通信部９１がユーザ端末から、新規に契約締結を希望する印刷装置１に関して契約要求メッセージを受信すると、サーバ制御部９３は、その印刷装置１の装置情報を領域９２１に新規に登録する。このとき、サーバ制御部９３は、契約フラグの初期値として「未」を意味する値に設定する。契約フラグ「未」とは、ユーザと事象者との間で契約は締結されたが、定額印刷を実行する予定の印刷装置１が契約モードに移行したことを、サーバ９自身がまだ確認していない状態を意味する。そして、サーバ制御部９３は、印刷装置１との通信を介して、印刷装置１が契約モードに移行した旨を確認した場合に、該印刷装置１の契約フラグを「済」を意味する値に更新する。この処理に基づいて、印刷装置１は、サーバ９を含む印刷システム１００上で、契約対象機として認識される。

≪全体フロー≫
図２は、本開示の一実施形態に係る印刷システム１００において実行される処理の流れを示すシーケンス図である。

ステップＳ１では、不図示のユーザ端末は、ユーザの入力操作にしたがって、契約要求メッセージをサーバ９に送信する。契約要求メッセージには、ユーザが定額印刷を実行させたい印刷装置１を識別するための装置ＩＤが含まれている。契約要求メッセージは、サーバ９のサーバ通信部９１によって受信される。

ステップＳ２（送信処理）では、サーバ９のサーバ制御部９３は、契約要求メッセージが受信されたことに応答して、印刷装置１に対してリクエストを送信する。このリクエストには、契約モードへの移行を指示する移行指示が含まれている。ここで、サーバ制御部９３は、要求された印刷装置１の装置情報をサーバメモリ９２に登録してもよい。

ステップＳ３（判定処理、判定ステップ）では、印刷装置１のコントローラ８０は、移行指示を受信したことに応答して、契約モードへの移行の適否を判定する判定処理を実行する。判定処理とは、印刷装置１の状態が契約モードへの移行に適しているか否かを判定する処理である。例えば、判定処理とは、印刷装置１による印刷動作によって消費される消耗品の装着状況に基づいて移行の適不適を判定する処理である。装着状況とは、例えば、印刷装置１に消耗品としてのインクカートリッジ４が装着されているか否か、装着されている場合には、インクカートリッジ４のインク残量はどの程度か、インクカートリッジ４の種別はどれか、などを指す。

ステップＳ４（モード制御処理、モード制御ステップ）では、コントローラ８０は、Ｓ３に基づく判定処理の判定結果を参照する。判定結果が、「移行不適」を示す場合、コントローラ８０は、Ｓ４のＮＯからＳ５に進む。判定結果が、「移行適」を示す場合は、コントローラ８０は、Ｓ４のＹＥＳからＳ６に進む。

ステップＳ５（モード制御処理）では、コントローラ８０は、上述の判定処理によって移行不適と判定された場合に、Ｓ２で送信された移行指示に反して、印刷装置１に設定されている非契約モードを維持する。

ステップＳ６（モード制御処理）では、コントローラ８０は、上述の判定処理によって移行適と判定された場合に、Ｓ２で送信された移行指示にしたがって、印刷装置１を非契約モードから契約モードへと移行させる。具体的には、コントローラ８０は、領域８２３に記憶されているモード情報を、非契約モードから契約モードへと変更する。

ステップＳ７では、印刷装置１およびサーバ９は、適時に通信を行って、契約モードへの移行が完了したことの確認を行ってもよい。例えば、サーバ制御部９３は、Ｓ２で移行指示を送信した時点から所定時間経過後に、契約モードへの移行成否を問うリクエストを送信してもよい。このリクエストに応答して、印刷装置１のコントローラ８０は、移行成否を通知するレスポンスをサーバ９に返信してもよい。上述のやりとりは、サーバ９において「契約モードへの移行が完了した」と確認されるまで定期的に繰り返されてもよい。

他の例では、コントローラ８０は、サーバ９から問い合わせのリクエストを受けることなく、能動的に、移行成否をサーバ９に通知してもよい。例えば、Ｓ５の後、コントローラ８０は、必要に応じて、移行指示に反して非契約モードを維持した旨の通知をレスポンスとしてサーバ９に返信してもよい。また、コントローラ８０は、通信インタフェース８１を介して、上述の移行失敗の通知をユーザ端末に送信してもよい。さらに、コントローラ８０は、ユーザ端末またはサーバ９に対して、非契約モードが維持された理由を併せて送信してもよい。一方、Ｓ６の後、コントローラ８０は、必要に応じて、移行指示にしたがって非契約モードから契約モードに移行した旨の通知をレスポンスとしてサーバ９に返信してもよい。また、コントローラ８０は、上述の移行成功の通知をユーザ端末に送信してもよい。

ステップＳ８（認識処理）では、サーバ制御部９３は、サーバ通信部９１が印刷装置１から印刷装置１が契約モードに移行した旨の情報を取得したことに基づいて、印刷装置１を契約対象機として認識する。

この後、サーバ９は、新規に契約対象機となった印刷装置１が使用するための契約カートリッジ一式を、印刷装置１のユーザに配送することを決定してもよい。この初回に使用されるための契約カートリッジを、初回契約カートリッジと称する。

なお、印刷システム１００において、サーバ９は、ユーザおよび印刷装置１に関する顧客情報を管理する機能を備えた情報管理サーバと、顧客情報に基づいて契約カートリッジの配送を管理する機能を備えた配送管理サーバとで構成されていてもよい。この場合、情報管理サーバがＳ８にて印刷装置１を契約対象機として認識した後、情報管理サーバは、配送管理サーバに対して、印刷装置１のユーザの住所宛てに初回契約カートリッジを配送するように指示する。この指示にしたがって、配送管理サーバは、初回契約カートリッジの配送の手続を進めて、最終的に、初回契約カートリッジ一式がユーザの手元に届けられる。

≪データ構造≫
（カートリッジ情報）
図３は、領域８２１に記憶されているカートリッジ情報の一具体例を示す図である。カートリッジ情報は、一例として、各色のインクカートリッジ４の行（row）ごとに、カートリッジＩＤのカラム（column）と、カートリッジ種別のカラムと、インク残量のカラムとを有する構成である。

コントローラ８０は、領域８２１からカートリッジ情報を読み出し、印刷装置１におけるインクカートリッジ４の装着状況を把握することができる。そして、コントローラ８０は、上述の判定処理において、把握した装着状況に基づいて、契約モードへの移行の適否を判定することができる。

図示の例では、シアンの行の各カラムには「No Cartridge」の値が格納されている。これにより、コントローラ８０は、印刷装置１においてシアンのインクカートリッジ４が装着されていないと判断することができる。図示の例では、カートリッジ種別のカラムには、ブラック、マゼンタ、イエローの順に、それぞれ、「市販」、「市販」、「契約」の値が格納されている。これにより、コントローラ８０は、現在印刷装置１に装着されているブラックおよびマゼンタのインクカートリッジ４が市販カートリッジであり、イエローのインクカートリッジ４が契約カートリッジであると判断することができる。また、コントローラ８０は、インク残量のカラムに基づいて、各色のインクカートリッジ４のインク残量を判断することもできる。

（判定テーブル）
図４は、領域８２５に記憶されている判定テーブルの一具体例を示す図である。判定テーブルは、上述したとおり、契約モードへの移行の適否を判定するためにコントローラ８０が参照するルックアップテーブルである。判定テーブルは、一例として、印刷装置１において発生し得るエラーごとに、エラー識別名のカラムと、移行適否のカラムと、エラータイプのカラムとを有する構成である。なお、コントローラ８０が、エラータイプに依らずに、個々のエラーに基づいて移行の適否を判定するように構成されている場合には、エラータイプのカラムを省略することができる。

エラー識別名のカラムには、印刷装置１においてエラーと認識されるイベントを識別するための名称が格納されている。例えば、「Memory Full Error」は、コントローラ８０の正常な動作に影響を与え得る程度に、本体メモリ８２の記憶容量がほとんどない状態であることを意味する。「Document Jam」は、紙詰まりのエラーを意味する。

移行適否のカラムには、該当するエラーが印刷装置１で起きている場合に、契約モードへ移行してもよいか否かを示す情報が格納されている。図示の判定テーブルにしたがって、コントローラ８０は、「Memory Full Error」のエラーが発生しているときは、契約モードへの移行は不適であると判定することができる。また、コントローラ８０は、「Document Jam」のエラーが発生しているときは、契約モードへの移行適と判定することができる。

エラータイプのカラムには、エラーの性質に基づいてエラーを分類するためのエラータイプが格納されている。本実施形態では、一例として、印刷装置１で発生し得るとして定義された各エラーは、３つのタイプに分類されてもよい。具体的には、第１のタイプは、そのエラーを解消するために電源オフの操作を伴うエラーのタイプであり、以下では、「タイプＡ」と称される。第２のタイプは、そのエラーが発生中にコントローラ８０の動作を強制終了させ得るエラーのタイプであり、以下では、「タイプＢ」と称される。第３のタイプは、上述のいずれのタイプにも該当しないエラーのタイプであり、以下では、「タイプＣ」と称される。

「タイプＡ」および「タイプＢ」に属する各エラーは、契約手続期間において印刷装置１とサーバ９との間で実行される契約関連処理を阻害し得るエラーである。契約手続期間とは、印刷装置１とサーバ９とが協働して契約関連処理を実行する期間である。具体的には、契約手続期間は、印刷装置１が契約モードに移行する時点（図２のＳ６）からサーバ９が印刷装置１を契約対象機と認識する時点（図２のＳ８）までの期間である。そこで、判定テーブルにおいて、「タイプＡ」および「タイプＢ」に属する各エラーには、移行「不適」の情報が関連付けられる。これにより、コントローラ８０は、「タイプＡ」または「タイプＢ」に属するいずれかのエラーが印刷装置１において発生しているときに、契約モードに移行することができないと判定することができる。

≪判定処理フロー≫
図５は、コントローラ８０が実行する判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。判定処理は、図２に示すステップＳ３に対応し、図５に示す一連の処理は、サーバ９から契約モードへの移行指示を受信したことに応じて開始される。

ステップＳ１０１では、コントローラ８０は、本体メモリ８２の領域８２１から、例えば図４に示すようなカートリッジ情報を読み出す。

ステップＳ１０２では、コントローラ８０は、印刷装置１に契約カートリッジが装着されているか否かを確認する。コントローラ８０は、４色のインクカートリッジ４のうち、１つでも契約カートリッジが装着されていれば、「契約カートリッジの装着あり」と判定する。つまりここでは、現在非契約モードであって、初回契約カートリッジが供給されていない印刷装置１において、すでに契約カートリッジが装着されているという想定外の事態が起こっていないかどうかがコントローラ８０によって確認される。

コントローラ８０は、４色のインクカートリッジ４のうち、１つでも契約カートリッジが装着されていれば、Ｓ１０２のＹＥＳからＳ１０３へ処理を進める。コントローラ８０は、契約カートリッジが１つも装着されていない場合は、Ｓ１０２のＮＯからＳ１０４へ処理を進める。

ステップＳ１０３では、コントローラ８０は、印刷装置１に１つ以上の契約カートリッジが装着されている場合に、契約モードへの移行は適さないと判定し、「移行不適」の判定結果を出力する。

ステップＳ１０４では、次に、コントローラ８０は、印刷装置１のエラー発生状況を取得する。例えば、コントローラ８０は、本体メモリ８２の不図示の領域に格納されている、印刷装置１において現在発生しているエラーの識別名を読み出してもよい。

ステップＳ１０５では、コントローラ８０は、印刷装置１において現在エラーが発生しているか否かを判断する。上述の不図示の領域においていずれかのエラー識別名が格納されている場合、コントローラ８０は、エラーが発生していると判断し、Ｓ１０５のＹＥＳからＳ１０６へ処理を進める。

Ｓ１０６以降では、印刷装置１において発生しているエラーが、上述の契約手続期間において実行される契約関連処理を阻害し得るエラーであるか否かが確認されてもよい。契約関連処理を阻害し得るエラーとは、これには限定されないが、例えば、印刷装置１による印刷動作を停止させるエラーである。あるいは、コントローラ８０は、印刷装置１において発生しているエラーが、予め定められた条件に合致するか否かを確認してもよい。予め定められた条件は、移行不適の条件となるエラーを定義した定義情報に含まれており、該定義情報は、本体メモリ８２に記憶されていてもよい。なお、定義情報の一例は、図４において判定テーブルとして示されている。以上のいくつかの条件判定の結果、印刷装置１において発生中のエラーが所定の条件に合致する場合には、コントローラ８０は、処理をＳ１０３に進める。一方、上述の不図示の領域においてエラー識別名が格納されていない場合、コントローラ８０は、エラーが発生していないと判断し、Ｓ１０５のＮＯからＳ１０８へ処理を進める。

ステップＳ１０６では、コントローラ８０は、印刷装置１において現在発生しているエラーが、そのエラーを解消するために電源オフの操作を伴うタイプＡのエラーであるか否かを判断する。発生中のエラーがタイプＡのエラーである場合、コントローラ８０は、Ｓ１０６のＹＥＳからＳ１０３へ処理を進める。すなわち、コントローラ８０は、印刷装置１において発生しているエラーが、該エラー解消のために電源オフの操作を伴うエラーである場合に、移行不適と判定する。発生中のエラーがタイプＡのエラーでない場合、コントローラ８０は、Ｓ１０６のＮＯからＳ１０７へ処理を進める。

ステップＳ１０７では、コントローラ８０は、印刷装置１において現在発生しているエラーが、そのエラーが発生中にコントローラ８０の動作を強制終了させ得るタイプＢのエラーであるか否かを判断する。発生中のエラーがタイプＢのエラーである場合、コントローラ８０は、Ｓ１０７のＹＥＳからＳ１０３へ処理を進める。すなわち、コントローラ８０は、印刷装置１において発生しているエラーが、コントローラ８０の動作を強制終了させ得るエラーである場合に、移行不適と判定する。発生中のエラーがタイプＢのエラーでもない場合、コントローラ８０は、Ｓ１０７のＮＯからＳ１０８へ処理を進める。

ステップＳ１０８では、次に、コントローラ８０は、印刷装置１が実行しているタスクの実行状況を取得する。

ステップＳ１０９では、コントローラ８０は、印刷装置１が、優先度が高いタスクを実行しているか否かを判断する。優先度が高いタスクとは、例えば、モード制御処理（図２のＳ４～Ｓ６）よりも優先度が高いタスクである。優先度が高いタスクとは、印刷装置１がサーバ９と通信してサーバ９に移行完了を確認させるための完了報告処理（図２のＳ７）よりも優先度が高いタスクであってもよい。一例として、優先度が高いタスクは、印刷装置１が、消耗品の収容容器としてのインクカートリッジ４内のインクを印刷装置１が備える不図示の画像形成機構に導入する導入処理であってもよい。あるいは、優先度が高いタスクは、印刷装置１が、コントローラを動作させるためのプログラムを更新する更新処理であってもよい。コントローラ８０は、優先度が高いタスクを実行中である場合に、Ｓ１０９のＹＥＳからＳ１０３へ処理を進める。すなわち、コントローラ８０は、印刷装置１が、モード制御処理よりも優先度が高いタスクを実行している場合に、移行不適と判定する。一方、コントローラ８０は、優先度が高いタスクを実行中でない場合、Ｓ１０９のＮＯからＳ１１０へ処理を進める。

ステップＳ１１０では、コントローラ８０は、契約モードへの移行に適していると判定し、「移行適」の判定結果を出力する。

以上のとおり、本実施形態に係る上述の印刷装置１の制御方法によれば、サーバ９から契約モードへの移行指示がきたとき、コントローラ８０は、少なくとも、カートリッジ情報を確認する。そして、契約カートリッジが１つも装着されていない場合に、コントローラ８０は、契約モードへの移行に適していると判定する。さらに、コントローラ８０は、図２のＳ４～Ｓ７などの契約関連処理を阻害し得るエラーの有無を確認してもよい。このようなエラーが発生していない場合に、コントローラ８０は、契約モードへの移行に適していると判定してもよい。さらに、コントローラ８０は、上述の契約関連処理よりも優先度が高いタスクを自身が実行していないかどうかを確認してもよい。コントローラ８０は、上述の優先度が高いタスクを実行していない場合に、契約モードへの移行に適していると判定してもよい。

これにより、印刷装置が契約対象機として認識されるための契約関連処理を実行することが望ましくない状態であるときに、そのような印刷装置とサーバとの間で該契約関連処理が実行されてしまうことを回避することができる。結果として、定額印刷サービスを実現するために印刷装置において必要な設定を、適切なタイミングで実行させることを可能な印刷システムを実現することが可能となる。

≪実施形態１の変形例≫
実施形態１では、契約モードへの移行適否を判定する判定処理のために、以下の３つの条件判定がすべて実施される例について説明した。３つの条件判定とは、（１）Ｓ１０１～Ｓ１０２などのようなインクカートリッジ４の装着状況の確認、（２）Ｓ１０４～Ｓ１０７などのようなエラー発生状況の確認、および、（３）Ｓ１０８～Ｓ１０９などのような高優先度タスク実行状況の確認である。

本開示の印刷装置１において、コントローラ８０は、上述の３つの条件判定のうち、１つまたは２つだけを採用して、判定処理を実行してもよい。

本開示の印刷システム１００において、事業者は、複数の異なる種類の定額印刷サービスを、ユーザに提供してもよい。この場合、印刷システム１００において、サーバ９は、提供し得る定額印刷サービスの種類ごとに、移行適否を判定するための判定テーブルを保持してもよい。そして、サーバ９は、図２のＳ２において、印刷装置１に対して移行指示を送信するとき、併せて、その印刷装置１が利用する定額印刷サービスの種類に対応する判定テーブルを印刷装置１に供給する。

印刷装置１のコントローラ８０は、Ｓ３において、サーバ９から供給された判定テーブルにしたがって、印刷装置１の状態の移行適否を判定する。具体的には、コントローラ８０は、印刷装置１の状態が、供給された判定テーブルにおいて定義されている条件に合致する場合に、移行不適と判定し、移行指示に反して非契約モードを維持する。

より詳細には、印刷機能だけを定額利用する定額印刷サービスＡと、印刷機能に加えてスキャナなどの読取装置の機能を併せて利用できる定額印刷サービスＢとが提供され得る印刷システム１００があるとする。印刷装置１が利用するサービスが定額印刷サービスＡである場合、印刷装置１には、判定テーブルＡが供給される。例えば、判定テーブルＡには、読取装置の読み取り動作に係るエラーが発生している場合は「移行適」と判定し、印刷動作に関するエラーが発生している場合は「移行不適」と判定することを規定した判定規則が記述されていてもよい。印刷装置１のコントローラ８０は、判定テーブルＡにしたがって、読取動作に関するエラーが発生している場合は、契約モードへ移行し、印刷動作に関するエラーが発生している場合は移行しないように印刷装置１を制御することができる。

印刷装置１が利用するサービスが定額印刷サービスＢである場合、印刷装置１には、判定テーブルＢが供給される。コントローラ８０は、判定テーブルＢにしたがって、読取動作に関するエラー、および、印刷動作に関するエラーのいずれのエラーが発生している場合でも移行しないように印刷装置１を制御することができる。

印刷システム１００を上述のように構築すれば、事業者は、提供するサービスの種類に応じて、契約モードへの移行に適さないとする条件を柔軟に設定することが可能となり、印刷システム１００の設計の自由度を向上させることが可能となる。

〔実施形態２〕
≪実施形態２の課題≫
実施形態１では、印刷装置１が契約対象機として認識されるための処理を、適切なタイミングで実行するための技術について述べた。ところで、実施形態１で説明したように、定額印刷サービスにおいて、サーバ９が印刷装置１を契約対象機として認識するタイミングと、サーバ９が印刷装置１で定額印刷が利用開始されたとみなすタイミングとは、異なっていてもよい。そして両者のタイミングが異なっている場合、定額印刷サービスにおいて、印刷装置１およびサーバ９は、両方とも適切なタイミングで「定額印刷サービスの利用が開始された」と認識することが求められる。

例えば、定額印刷サービスが、利用期間の長さに応じて利用料金が増加するような料金形態であると仮定する。この料金形態の場合、サーバ９が、印刷装置１を契約対象機として認識したタイミングで、印刷装置１に係る定額印刷サービスの課金を開始すると、ユーザがまだ定額印刷を実際に行っていない（または、行えない）タイミングで課金が開始されてしまう虞がある。この場合、ユーザが実際の使用期間以上の金額を支払うことになるため、ユーザの利益が損なわれる。また例えば、サーバ９で定額印刷の開始が認識できないときに、印刷装置１で定額印刷が開始されると、定額印刷サービスの課金開始が遅れてしまう虞がある。

本実施形態に係る印刷システムの目的は、適切なタイミングで定額印刷サービスの提供を開始することにある。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、説明を繰り返さないこととする。

≪要部構成≫
図６は、本実施形態に係る印刷システム２００に含まれる印刷装置１、インクカートリッジ４、およびサーバ９の要部構成を示すブロック図である。

印刷システム２００に係る印刷装置１のコントローラ８０は、印刷装置１とサーバ９との通信状態を監視する通信監視処理を実行する。この通信監視処理は、印刷装置１の電源がオン状態の間、印刷装置１における他の処理とは関係なく、定期的に実行されてよい。コントローラ８０は、印刷装置１とサーバ９との通信状態を特定すると、該通信状態を示す情報を、通信ステータスとして、本体メモリ８２の領域８２４に記憶させる。

印刷システム２００に係るサーバ９は、サーバメモリ９２の領域９２１の装置情報に、開始フラグと、第２枚数カウンタと、定額印刷枚数とを含んでいる。

開始フラグは、印刷装置１において定額印刷サービスが開始されたか否かを示す情報である。本実施形態の例では、開始フラグは、印刷装置１に対する課金が開始されたか否かを示す情報でもある。開始フラグの初期値は「未」を意味する値に設定する。開始フラグ「未」とは、印刷装置１において定額印刷サービスがまだ開始されていない状態を意味する。

サーバ９のサーバ制御部９３は、印刷装置１のコントローラ８０から、印刷装置１において定額印刷サービスが開始された旨が通知された場合、開始フラグを「未」から「済」を意味する値に設定する。開始フラグ「済」とは、印刷装置１において定額印刷サービスが開始された状態を意味する。

第２枚数カウンタは、印刷装置１における第２枚数カウンタと同義の情報である。定額印刷枚数は、印刷装置１が定額印刷サービスを開始してから、該定額印刷サービスを利用して印刷した印刷物の枚数を示す情報である。なお、印刷装置１について、ユーザが一度契約を解除した後に再契約した場合、定額印刷枚数は、最新の契約における、定額印刷サービスの開始を起点として、該定額印刷サービスを利用して印刷した印刷物の枚数を示す。

サーバ９のサーバ制御部９３は、印刷装置１のコントローラ８０からの通知に応じて、サーバメモリ９２の領域９２１に記憶された装置情報の、第２枚数カウンタ、および定額印刷枚数の値を更新する。これらの情報の更新方法については、後で詳述する。

≪全体フロー≫
図７は、印刷システム２００において実行される処理の流れを示すシーケンス図である。図７は、一例として、印刷システム２００において図２と同様の処理の流れを経た後の、印刷装置１およびサーバ９の処理の流れを示している。すなわち、印刷装置１は図２のステップＳ６の時点で契約モードに移行していることとする。

ステップＳ２０では、印刷装置１のコントローラ８０は、印刷装置１にいずれかのカートリッジが取り付けられた場合に、これを検知する。例えば、図２のステップＳ８の後、ユーザの手元に初回契約カートリッジが配送される。ユーザがこの初回契約カートリッジを印刷装置１に取り付けたときに、印刷装置１のコントローラ８０は該取り付けを検知する。

コントローラ８０が印刷装置１に対するカートリッジの取り付けをどのように検知するかは、印刷装置１のハードウェアまたはソフトウェアの仕様を鑑みて、適宜定められてよい。例えば、印刷装置１は、カートリッジを取り付けるための開口を有する本体筐体を備えていてもよい。そして、コントローラ８０は、印刷装置１の本体筐体へのカートリッジの取り付けを検知してもよい（検知処理）。これにより、印刷装置１は、カートリッジが取り付けられた場合に、該取り付けられたカートリッジが、定額印刷に適切なカートリッジであるか否かを、遅滞なく判定することができる。

例えば、コントローラ８０は、本体筐体にカートリッジが接触したことを検知した場合に、本体筐体にカートリッジが装着されたと判定してもよい。例えば、コントローラ８０は、センサまたは機械的な機構に基づいて、本体筐体に対するカートリッジの接触を検知してもよい。

また、コントローラ８０は、本体筐体へのカートリッジの取り付けに係るユーザ操作を検知した場合に、「本体筐体へカートリッジが取り付けられた」とみなしてもよい。例えば、印刷装置１が本体筐体の開口を開閉するためのカバーを備えている場合、コントローラ８０は、前記カバーが閉じられたことを、センサまたは機械的な機構に基づいて検知してもよい（検知処理）。そして、コントローラ８０は、該カバーが閉じられたことを検知した場合に、本体筐体へ消耗品が取り付けられたとみなしてもよい。これにより、印刷装置１は、ユーザが本体筐体にカートリッジを取り付けて本体筐体を閉めたタイミングで、カートリッジが特定種類の消耗品であるか否かを判定することができる。これにより、定額印刷に適切な消耗品が取り付けられているか、遅滞なく判定することができる。

ステップＳ２１では、コントローラ８０は、消耗品判定処理を実行する。消耗品判定処理とは、印刷装置１に取り付けられている１つ以上のカートリッジに、定額印刷が可能な状態である定額印刷状態への移行条件に合致する、特定種類のカートリッジが含まれているか否かを判定する処理である。本実施形態では、「特定種類のカートリッジ」とは、契約カートリッジのことである。

≪消耗品判定処理≫
図８は、消耗品判定処理の流れを示すフローチャートである。なお、前述の通り、本実施形態に係るコントローラ８０は、通信監視処理を定期的に実行している。

ステップＳ２１１において、コントローラ８０は、印刷装置１がサーバ９と通信可能な状態であるか否かを判定する。例えば、コントローラ８０は本体メモリ８２の通信ステータスの情報を参照することで、印刷装置１とサーバ９との通信状態を特定することができる。印刷装置１とサーバ９が通信可能な状態である場合（ステップＳ２２１でＹＥＳ）、コントローラ８０は、ステップＳ２１２を実行する。

ステップＳ２１２において、コントローラ８０は、印刷装置１に契約カートリッジが１つ以上取り付けられているか否かを判定する。印刷装置１に契約カートリッジが１つ以上取り付けられている場合（ステップＳ２１２でＹＥＳ）、コントローラ８０は、ステップＳ２１３を実行する。

ステップＳ２１３において、コントローラ８０は、印刷装置１が定額印刷状態への移行条件に合致していると判定する。

一方、印刷装置１とサーバ９が通信不可能な状態である場合（ステップＳ２２１でＮＯ）、または、印刷装置１に契約カートリッジが１つも取り付けられていない場合（ステップＳ２１２でＮＯ）、コントローラ８０はステップＳ２１４を実行する。

ステップＳ２１４において、コントローラ８０は、印刷装置１が定額印刷状態への移行条件に合致していないと判定する。

再び図７に戻り説明する。ステップＳ２２において、コントローラ８０は、前述の消耗品判定処理の結果に応じた処理を実行する。すなわち、コントローラ８０は、印刷装置１が定額印刷状態への移行条件に合致している場合（ステップＳ２２でＹＥＳ）場合は、ステップＳ２３の処理を実行する。一方、印刷装置１が定額印刷状態への移行条件に合致していない場合（ステップＳ２２でＮＯ）場合、コントローラ８０は、再びステップＳ２０の処理を実行するまで待機する。

ステップＳ２３において、コントローラ８０は、印刷装置１のモードを定額印刷状態へ移行させる移行処理を実行する。その後、コントローラ８０はサーバ９に、印刷装置１を定額印刷状態へ移行させたことを通知する。これにより、印刷装置１からサーバ９に、印刷装置１で定額印刷サービスの利用を開始する旨を通知することができる。

なお、前述の通知の送信タイミングは、ステップＳ２６の定額印刷までの間であれば、特に限定されない。例えば、コントローラ８０が定期的にサーバ９と通信する仕様の場合、コントローラ８０はステップＳ２２の処理を実行した直後の通信タイミングで、前述の通知をサーバ９に送信してよい。

ステップＳ２４において、サーバ９は、印刷装置１についての課金を開始させる。具体的には、サーバ９のサーバ制御部９３は前述の通知を受信すると、印刷装置１についての装置情報を更新する。具体的には、サーバ９のサーバ制御部９３は、サーバメモリ９２に格納された装置情報のうち、通知を受けた印刷装置１の装置情報に含まれる開始フラグを「済」に変更する。サーバ９は続いて、ステップＳ２５を実行する。

ステップＳ２５において、サーバ９のサーバ制御部９３は、課金開始時の印刷枚数を記憶する。具体的には、サーバ制御部９３は、コントローラ８０からの通知に含まれている第２枚数カウンタの値を、該通知を送信してきた印刷装置１の装置情報の第２枚数カウンタの値として記憶する。これにより、印刷装置１において定額印刷サービスが開始されたとき、すなわち課金開始時の第２枚数カウンタの値が、サーバ９に記憶される。通知の送信後、サーバ９はステップＳ２６を実行する。

ステップＳ２６において、印刷装置１は、定額印刷を実行する。例えば、印刷装置１は、ステップＳ２３およびサーバ９への通知の送信後、ユーザの入力操作、またはパーソナルコンピュータ等、印刷装置１と有線または無線で接続された機器からの印刷指示にしたがって、定額印刷を実行する。定額印刷の実行後、コントローラ８０は本体メモリ８２の領域８２７の第２枚数カウンタの値を更新した上で、サーバ９に、更新後の第２枚数カウンタの値を通知する。サーバ９は該第２枚数カウンタの値を受信する。

ステップＳ２７において、サーバ９のサーバ制御部９３は、受信した第２枚数カウンタの値から、領域９２１の装置情報に記憶していた第２枚数カウンタの値を差し引いた値を、定額印刷枚数として記憶する。また、サーバ制御部９３は、受信した第２枚数カウンタの値で、装置情報の第２枚数カウンタの値を更新する。

以降、印刷装置１からサーバ９に所定のタイミングで、第２枚数カウンタの値が送信される。サーバ９のサーバ制御部９３は、第２枚数カウンタの値を受信する度に、前回受信した第２枚数カウンタの値、すなわち装置情報に記憶された第２枚数カウンタの値と、受信した最新の第２枚数カウンタの値との差分枚数を、定額印刷枚数として装置情報に記憶させる。これにより、サーバ９は、印刷装置１において定額印刷サービスを利用して印刷された印刷物の枚数を把握することができる。

以上の処理によれば、印刷装置１は、印刷装置１とサーバ９が通信可能で、かつ、専用カートリッジが１つ以上取り付けられている場合に、定額印刷を可能にする。これにより、印刷装置１とサーバ９が、定額印刷に関する種々の情報を通信可能なときに、定額印刷が実行可能になる。すなわち、定額印刷の「定額」の期間のカウントが始まる。したがって、印刷装置１は、適切なタイミングで定額印刷サービスを開始させることができる。

また、以上の処理によれば、印刷装置１は移行処理の後、サーバ９に、印刷装置１を定額印刷状態へ移行させたことを通知する。これにより、印刷装置１からサーバ９に、印刷装置１で定額印刷サービスの利用を開始する旨を通知することができる。また、サーバ９はコントローラ８０からの通知によって、定額印刷に係る課金の開始タイミングを適切に決定することができる。

≪実施形態２の変形例≫
本実施形態では、コントローラ８０は、ステップＳ２０の実行を契機に、ステップＳ２１の消耗品判定処理を実行することとした。しかしながら、コントローラ８０が消耗品判定処理を実行するタイミングは、前述の例に限定されない。

例えば、コントローラ８０は、通信監視処理において監視している印刷装置１の通信状態が、印刷装置１とサーバ９とが通信不可能な状態から、印刷装置１とサーバ９が通信可能な状態に復帰したことを契機として、消耗品判定処理を実行してもよい。これにより、例えば、サーバ９と通信不可能であった印刷装置１の通信状態が回復したことをトリガとして、消耗品判定処理を行うことができる。これにより、印刷装置１は、通信状態が回復したタイミングで、印刷装置１に適切な消耗品が取り付けられていた場合、遅滞なく定額印刷状態に移行することができる。

また、本実施形態に係るコントローラ８０は、サーバ９のサーバ制御部９３から、定額印刷サービスの適用を不許可とする不許可指示を受けた場合、印刷装置１における定額印刷の実行を禁止してもよい。これにより、一旦定額印刷状態に移行した印刷装置１であっても、サーバ９からの不許可指示によって、定額印刷の実行を差し止めることができる。これにより、例えば、定額印刷状態に移行した印刷装置１のユーザが、該定額印刷に係る支払いを行わなかった場合等に、定額印刷サービスを提供している事業者の側から定額印刷を止めることができる。

また、本実施形態に係るコントローラ８０は、印刷装置１におけるエラーの発生状態を監視するエラー監視処理を実行してもよい。エラー監視処理の実行タイミングは特に限定されないが、例えば、通信監視処理のように、印刷装置１の電源がＯＮ状態の間、定期的に行われてもよい。また例えば、エラー監視処理は、消耗品判定処理のステップＳ２１１およびＳ２１２と順不同で実施されてもよい。

いずれの場合においても、コントローラ８０は、エラー監視処理において所定のエラーが発生していると判定された場合は、印刷装置１が定額印刷状態への移行条件に合致していない、と判定してよい。すなわち、図７のステップＳ２３における移行処理を実行しないこととしてよい。

これにより、印刷装置１は、所定のエラーが発生している場合は定額印刷サービスを開始させない。これにより、例えばハードウェア部分等で重要なエラーが発生している場合など、物理的またはソフトウェア的に定額印刷が実行できないような場合は、定額印刷サービスを開始させないようにすることができる。これにより、ユーザが実際に印刷できないときに定額印刷サービスを開始扱いにしてしまうことを防止できる。

〔実施形態３〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、説明を繰り返さないこととする。

コントローラ８０は、インクカートリッジ４のカートリッジ種別として、「市販」および「契約」に加えて、「同梱」という３つ目のカートリッジ種別を判別するように構成されていてもよい。種別「同梱」が第２領域４２２に格納されているインクカートリッジは、ユーザに購入されるなどして、新品の印刷装置１が納品されるときに、該印刷装置１に付属して納品されるインクカートリッジである。以下では、この種別のインクカートリッジを、同梱カートリッジ（同梱消耗品）と称する。同梱カートリッジは、定額印刷サービスの取り決めによって、市販カートリッジとして扱われてもよいし、契約カートリッジとして扱われてもよい。

例えば、同梱カートリッジは、非契約モード下の印刷装置１に取り付けられた場合、市販カートリッジと同等に取り扱われてもよい。すなわち、印刷装置１は、非契約モードのとき、同梱カートリッジが装着されていれば、それを利用して、通常の印刷処理を実行することができる。

なお、同梱カートリッジが装着されている場合において、サーバ９から移行指示が送信されたとき、コントローラ８０は、一例として、以下に説明するように判定処理を実行してもよい。すなわち、コントローラ８０は、図５に示す判定処理において、印刷装置１に契約カートリッジが１つも装着されておらず、かつ、印刷装置１の購入時に同梱されていた同梱カートリッジが１つ以上装着されている場合に、移行適と判定してもよい。続いて、コントローラ８０は、移行適との判定結果に基づいて、モード制御処理において、印刷装置１を契約モードに移行させる。印刷装置１が契約モードに移行した時点以降は、コントローラ８０は、装着されている同梱カートリッジを契約カートリッジとして取り扱うように構成されていてもよい。具体的には、コントローラ８０は、すでに装着されている同梱カートリッジを契約カートリッジとみなして続けて使用して、定額印刷を実行してもよい。

また、同梱カートリッジは、契約モード下で取り付けられた場合は、契約カートリッジと同様に取り扱われてもよい。すなわち、実施形態２における「特定種類の消耗品」は、契約カートリッジと、同梱カートリッジの両方を含んでいてもよい。この場合、図８のステップＳ２１２において、コントローラ８０は、契約カートリッジおよび同梱カートリッジのいずれかが、少なくとも１つ以上、印刷装置１に取り付けられている場合に、該印刷装置１が定額印刷状態への移行条件に合致していると判定してもよい。

なお、サーバ９は、同梱カートリッジが装着されたまま契約モードに移行された印刷装置１に対しては、初回契約カートリッジの配送を省略してもよい。

〔ソフトウェアによる実現例〕
印刷装置１およびサーバ９の制御ブロックは、集積回路（ＩＣチップ）等に形成された論理回路（ハードウェア）によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。

後者の場合、印刷装置１およびサーバ９は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。印刷装置１およびサーバ９が備えるコンピュータは、例えば１つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本開示の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばＣＰＵ（Central Processing Unit）を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ＲＯＭ（Read Only Memory）等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するＲＡＭ（Random Access Memory）などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体（通信ネットワークや放送波等）を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本開示の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。

本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。

１ 印刷装置
４ インクカートリッジ（消耗品）
９ サーバ
４２ カートリッジメモリ
８０ コントローラ
８１ 通信インタフェース
８２ 本体メモリ
９１ サーバ通信部
９２ サーバメモリ
９３ サーバ制御部
１００、２００ 印刷システム
１０１ コネクタ

Claims (10)

1. 契約に基づく定額印刷が可能な印刷装置であって、
   サーバと通信する通信インタフェースと、コントローラと、を備え、
   前記コントローラは、
   前記印刷装置と前記サーバとの通信状態を監視する通信監視処理と、
   前記印刷装置に取り付けられている１つ以上の消耗品に、前記定額印刷が可能な状態である定額印刷状態への移行条件に合致する、特定種類の消耗品が含まれているか否かを判定する消耗品判定処理と、
   前記通信監視処理において監視している前記通信状態が、前記印刷装置と前記サーバとが通信可能な状態である場合であって、かつ、前記消耗品判定処理において前記１つ以上の消耗品に前記特定種類の消耗品が含まれていると判定した場合に、前記印刷装置を前記定額印刷状態に移行させる移行処理と、を実行する、印刷装置。
2. 前記コントローラは、前記移行処理を実行した場合、前記印刷装置を前記定額印刷状態へ移行させたことを前記サーバに通知する、請求項１に記載の印刷装置。
3. 前記特定種類の消耗品とは、前記印刷装置において定額印刷を実行するために使用する契約専用消耗品、または、前記印刷装置の購入時に同梱されていた同梱消耗品である、請求項１または２に記載の印刷装置。
4. 前記コントローラは、
   前記通信監視処理において監視している前記通信状態が、前記印刷装置と前記サーバとが通信不可能な状態から通信可能な状態に復帰したことを契機として、前記消耗品判定処理を実行する、請求項１～３のいずれか１項に記載の印刷装置。
5. 前記印刷装置は、前記消耗品を取り付けるための開口を有する本体筐体を備え、
   前記コントローラは、
   前記本体筐体への前記消耗品の取り付け、または前記本体筐体への前記消耗品の取り付けに係るユーザ操作を検知する検知処理を実行し、
   前記検知処理において、前記本体筐体への前記消耗品の取り付け、または前記本体筐体への前記消耗品の取り付けに係るユーザ操作を検知したことを契機として、前記消耗品判定処理を実行する、請求項１～４のいずれか１項に記載の印刷装置。
6. 前記印刷装置は、前記本体筐体の前記開口を開閉するためのカバーを備えており、
   前記コントローラは、前記カバーが閉じられた場合に、前記本体筐体へ前記消耗品が装着されと検知する、請求項５に記載の印刷装置。
7. 前記コントローラは、
   前記印刷装置を前記定額印刷状態に移行させた後に前記サーバから定額印刷を不許可とする不許可指示を受けた場合は、前記印刷装置における前記定額印刷の実行を禁止する、請求項１～６のいずれか１項に記載の印刷装置。
8. 前記コントローラは、
   前記印刷装置におけるエラーの発生状態を監視するエラー監視処理を実行し、
   前記エラー監視処理において、所定のエラーが発生していると判定された場合は、前記移行処理を実行しない、請求項１～７のいずれか１項に記載の印刷装置。
9. 印刷装置と、サーバと、を含む印刷システムであって、
   前記印刷装置は、
   契約に基づく定額印刷が可能な装置であって、
   サーバと通信する通信インタフェースと、コントローラと、を備え、
   前記印刷装置の前記コントローラは、
   前記印刷装置と前記サーバとの通信状態を監視する通信監視処理と、
   前記印刷装置に取り付けられている１つ以上の消耗品に、前記定額印刷が可能な状態である定額印刷状態への移行条件に合致する、特定種類の消耗品が含まれているか否かを判定する消耗品判定処理と、
   前記通信監視処理において監視している前記通信状態が、前記印刷装置と前記サーバとが通信可能な状態である場合であって、かつ、前記消耗品判定処理において前記１つ以上の消耗品に前記特定種類の消耗品が含まれていると判定した場合に、前記印刷装置を前記定額印刷状態に移行させる移行処理と、を実行する、印刷システム。
10. 契約に基づく定額印刷が可能な印刷装置の制御方法であって、
    前記印刷装置に取り付けられている１つ以上の消耗品に、前記定額印刷が可能な状態である定額印刷状態への移行条件に合致する、特定種類の消耗品が含まれているか否かを判定する消耗品判定ステップと、
    監視している前記印刷装置とサーバとの通信状態が、前記印刷装置と前記サーバとが通信可能な状態である場合であって、かつ、前記消耗品判定ステップにおいて前記１つ以上の消耗品に前記特定種類の消耗品が含まれていると判定した場合に、前記印刷装置を前記定額印刷状態に移行させる移行ステップと、を含む、印刷装置。

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