JP2022056556A - 化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用性が良好であり、製品としての外観に優れ、塗布時には自然な仕上がり性を発揮する新規な化粧料を提供すること。【解決手段】脂肪酸マグネシウム塩粒子、および雲母を含む化粧料であって、前記脂肪酸マグネシウム塩粒子は、脂肪酸が12~22であり、下記式(1)で表されるアスペクト比が1.0以上2.0以下であり、平均厚さが250~600nmである化粧料。アスペクト比=粒子の長軸径(μm)/粒子の短軸径(μm)・・・・式(1)【選択図】なし

Description

本発明は、脂肪酸マグネシウムを配合した化粧料に関する。
化粧料の剤形を保つために、体質顔料を配合することが知られている。体質顔料は、伸展性や付着性、光沢などを調節し、色調の調整のための希釈剤としての機能も期待されている。
体質顔料としては無機顔料と有機顔料が知られ、無機顔料の一つとして、雲母が知られている(特許文献1、2)。
特開2013-234133号公報 特開2006-199645号公報
雲母は使用性向上の効果を期待され配合されてきたが、その板状の粒径から、配合量が多くなるにつれて余分な光沢が付与されてしまい、自然な仕上がり性を実現しにくい。
本発明は、使用性が良好であり、製品としての外観に優れ、塗布時には自然な仕上がり性を発揮する新規な化粧料を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意研究を行った結果、アスペクト比と平均厚さが特定の脂肪酸マグネシウム塩粒子と、雲母とを含むことで上記課題を解決できることを見出した。すなわち本発明に係る化粧料は下記のとおりである。
〔1〕脂肪酸マグネシウム塩粒子、および雲母を含む化粧料であって、
前記脂肪酸マグネシウム塩粒子の脂肪酸が12~22であり、
前記脂肪酸マグネシウム塩粒子は下記式(1)で表されるアスペクト比が1.0以上2.0以下であり、
前記脂肪酸マグネシウム塩粒子の平均厚さが250~600nmである化粧料。
アスペクト比=粒子の長軸径(μm)/粒子の短軸径(μm)・・・・式(1)
〔2〕前記雲母の含有量が5質量%以上である、〔1〕に記載の化粧料。
〔3〕前記雲母が合成金雲母を含む、〔1〕または〔2〕に記載の化粧料。
〔4〕前記雲母の平均粒子径が15μm以下である、〔1〕~〔3〕のいずれか1に記載の化粧料。
本発明によれば、特定アスペクト比および特定厚さの脂肪酸マグネシウム塩粒子を、そのアスペクト比および厚さを保ったまま製剤に配合しておくことで、製品形態の時にはキラキラしているが、塗布後はその脂肪酸マグネシウムが崩れて小さくなり、この脂肪酸マグネシウムが雲母の不自然なツヤを消して自然な仕上がり性を発揮する化粧料を提供することができる。
本発明の化粧料は、金属石鹸として特定の脂肪酸マグネシウム塩粒子を含有する。
本発明の脂肪酸マグネシウム塩粒子は炭素数12~22の二価の脂肪酸マグネシウム塩からなる。かかる粒子は、炭素数12~22の脂肪酸に対して一価のアルカリ化合物を反応させて得られた脂肪酸アルカリ化合物塩と、二価のマグネシウム塩とを水溶液中で反応させる複分解法で調製することができる。
脂肪酸アルカリ化合物塩の原料となる脂肪酸は、炭素数が12~22の脂肪酸であれば特に制限はない。すなわち、天然由来の脂肪酸および合成脂肪酸のいずれであってもよく、飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸のいずれであってもよく、直鎖状および分岐状のいずれであってもよい。さらに、脂肪酸の構造中に水酸基、アルデヒド基、エポキシ基等の官能基が含まれていてもよい。脂肪酸としては直鎖飽和脂肪酸が好ましい。
また、脂肪酸の炭素数が12以上であることで、化粧料に優れた使用性を付与することができる。一方、炭素数が22以下であることで、脂肪酸として工業的に入手が容易であり、また、得られる脂肪酸アルカリ化合物塩の水に対する溶解度が著しく低下しないため生産性が高い。脂肪酸の炭素数は、好ましくは12~18であり、より好ましくは14(すなわち脂肪酸マグネシウムがミリスチン酸マグネシウム)である。
脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストオレイン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ヒドロキシステアリン酸およびエポキシステアリン酸などが挙げられ、その中ではミリスチン酸が好ましい。混合脂肪酸を用いる場合は、脂肪酸におけるミリスチン酸含有量が好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。
本発明の脂肪酸マグネシウム塩粒子は、アスペクト比が、1.0以上2.0以下であり、好ましくは1.0以上1.6以下、より好ましくは1.0以上1.5以下である。
なお、本発明において、粒子のアスペクト比とは、下記式(1)、すなわち脂肪酸マグネシウム塩粒子の長軸径を短軸径で除した値(=長軸径/短軸径)に相当する。
アスペクト比=粒子の長軸径(μm)/粒子の短軸径(μm)・・・・式(1)
アスペクト比は1.0に近いほど、粒子の形状が正方形または円形に近いことを意味する。本発明の脂肪酸マグネシウム塩粒子は、好ましくは正方形に近い形状を有する。
これにより肌への延展性が向上して使用性が優れる。
なお粒子の「長軸径」は、粒子の長軸の長さであり、より具体的には、その粒子を挟む2本の平行線の間隔が最大となる粒子の幅に相当する。粒子の「短軸径」は、粒子の短軸の長さであり、より具体的には、長軸の中点を通り、且つ長軸に対して直交する直線状で、測定される粒子の幅に相当する。なお、粒子の平均厚さとは、脂肪酸マグネシウム塩粒子において最も面積の大きい面を正面としたときの、側面の長さの値を10個の粒子について測定して求めた平均値である。粒子の平均厚さは、粒子の2次元投影像(詳しくは、SEM写真)に基づいて測定された値である。
また、本発明の脂肪酸マグネシウム塩粒子は、粒子の平均厚さが250~600nmである。かかる厚さであることで、化粧料への温和な混合条件(製造方法)でも解れやすくなり、化粧料として肌へ均一に塗布しやすくなるとともに、塗布後の仕上がりおよび感触も向上させることが可能となる。また、厚さ平均が250nm以上であると、化粧料へ添加時に脂肪酸マグネシウム塩粒子のハンドリング性が良好であり、作業性が低下するおそれがない。粒子の厚さ平均は、280~450nmがより好ましく、300~450nmが特に好ましい。300~450nmを満たせば本発明の作用効果がさらにより安定して得られる。
本発明の化粧料は、上記特定の性状を有する脂肪酸マグネシウム塩粒子を含有することで、製品としての外観に優れる。具体的には、化粧料表面で反射された光がチカチカと瞬くように輝いて見える状態(本発明では点在感と称する)となる。これはアスペクト比が特定であること、すなわち正方形に近い形状であることと、粒子の厚さが小さいことから、粒子表面で鏡面反射が起こりやすく、化粧料に美しい光沢を付与できるためと推測される。
また、本発明の化粧料は、上記特定の性状を有する脂肪酸マグネシウム塩粒子を含有することで、使用性に優れる。これは、本発明における脂肪酸マグネシウム塩粒子が特定のアスペクト比を有することで、肌への延展性が向上したためと推測される。
また、本発明の脂肪酸マグネシウムは軟質な金属石鹸であるため、肌に塗布すると容易に崩壊し、粒子径が小さくなる。したがって塗布後は鏡面反射が起こりにくくなることで余分な光沢が抑えられ、自然な仕上がり性を発揮することができる。このように、特定アスペクト比かつ厚みを有する脂肪酸マグネシウムを含有する本発明の化粧料は、塗布すると光沢が変化することで雲母の余分な光沢が抑えられて自然な仕上がり性を実現することができる。
さらに、本発明の脂肪酸マグネシウム塩粒子は、粒子指数が、好ましくは1.5以上8.0以下である。かかる粒子指数であることで、化粧料として肌へ均一に塗布しやすくなるとともに塗布後の感触も長時間維持することが可能となる。また、粒子指数が1.5以上であると、化粧料へ添加時に脂肪酸マグネシウム塩粒子の分散性が良好であり、作業性が低下するおそれがない。粒子の粒子指数は、1.5以上6.0以下が好ましく、2.0以上5.0以下がより好ましい。2.0以上5.0以下を満たせば本発明の作用効果がさらにより安定して得られる。
なお、本発明において、粒子の粒子指数とは、下記式(2)、すなわち脂肪酸マグネシウム塩粒子の長軸径を短軸径で除した値(=長軸径/短軸径)を、粒子の平均厚さで除した値[=(長軸径/短軸径)/粒子の平均厚さ]に相当する。
粒子指数=[(粒子の長軸径(μm)/粒子の短軸径(μm))/粒子の平均厚さ(nm)]×1000・・・・式(2)
さらに、本発明の脂肪酸マグネシウム塩粒子は、粒度分布が狭いことで、化粧料中に均一に存在させることが可能となり、本発明の作用効果(特に化粧料の感触向上)をより安定して発現させやすい。具体的には、脂肪酸マグネシウム塩粒子のメジアン径が好ましくは10.0~40.0μmであり、下記式(3)で表される粒度要約値Aを好ましくは2.5以下にする。
粒度要約値A=(D90-D10)/D50・・・式(3)
(但し、10.0≦D50≦40.0)
D10:脂肪酸マグネシウム塩粒子の体積基準における10%積算径(μm)
D50:脂肪酸マグネシウム塩粒子の体積基準におけるメジアン径(μm)
D90:脂肪酸マグネシウム塩粒子の体積基準における90%積算径(μm)
本発明において粒度要約値Aはマイクロトラックレーザー回折法により測定した粒子径から算出される。粒度要約値Aが2.5以下であることで、化粧料中に存在する脂肪酸マグネシウム塩粒子の粒子径が均一となり、化粧料の分散性が良好であり、生産性が低下せず、目的とする感触を有する化粧料を製造できる。粒度要約値Aは0.5≦A≦2.5の関係を満たすことがより好ましい。0.5≦A≦2.5の関係を満たす場合、本発明の作用効果がさらにより安定して得られる。粒度要約値Aが0.5以上であれば、歩留まりが低下せず工業的に安定して製造することができる。
なお、上記式(3)において粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが10%、50%、90%となる点の粒子径をそれぞれ10%積算径(D10)、50%メジアン径(D50;メジアン径)、90%積算径(D90)(μm)とする。なお、粒子径は、1次粒子の粒子径を意味する。測定の際に粒子が凝集している場合には超音波等により分散させた状態で測定する。
粒度要約値Aの調整は、脂肪酸アルカリ化合物塩の濃度、脂肪酸アルカリ化合物塩とマグネシウム塩との反応時の温度、マグネシウム塩含有水溶液を脂肪酸アルカリ化合物塩含有水溶液に滴下する際の滴下速度をそれぞれ適宜調整することによって行うことができる。また、粒度分布が広い、つまり粒度要約値Aの値が大きいものについては、後処理において、100メッシュ、200メッシュ、330メッシュ等の篩を用いて分級することによって行うことができる。
ここで使用するマイクロトラックレーザー回折法は、レーザー光を粒子に照射することによって得られる散乱光を利用して、粒度分布を求める方法である。本発明においては、脂肪酸マグネシウム塩粒子が溶解しない有機溶媒、例えばエタノール、イソプロピルアルコールなどの有機溶媒を循環させたところに試料を投入する湿式による測定とする。また、本発明における測定対象は粒子径0.1μm~200μmの範囲であり、上記の式(1)で表される値を粒度要約値Aとした。なお、本発明においては、例えば日機装株式会社製のマイクロトラックMT-3000を用いて測定することができる。
本発明の脂肪酸マグネシウム塩粒子は、体積基準におけるメジアン径(D50)が好ましくは10.0~40.0μmである。かかる粒子径にすることで使用感触が良好である。脂肪酸マグネシウム塩粒子のメジアン径は、13.0~35.0μmが好ましく、15.0~25.0μmがより好ましい。なお、粒子径は上記した粒度要約値Aと同様にマイクロトラックレーザー回折法により測定できる。
また、本発明の脂肪酸マグネシウム塩粒子の形状は特に限定されないが、使用性の観点から板状であることが好ましい。
上記特定の性状を満たす脂肪酸マグネシウム塩粒子を得るには、炭素数12~22の脂肪酸に対して一価のアルカリ化合物を反応させて得られた脂肪酸アルカリ化合物塩と、二価のマグネシウム塩とを水溶液中で反応させる複分解法で調製することができる。そして、複分解反応で別々に調製したマグネシウム塩含有水溶液および脂肪酸アルカリ化合物塩含有水溶液を混合する際に、後述するように、脂肪酸アルカリ化合物塩含有水溶液中にマグネシウム塩含有水溶液を徐々に滴下することが好ましい。
脂肪酸アルカリ化合物塩の原料となる一価のアルカリ化合物としては、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムなど)の水酸化物、およびアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類などが挙げられる。脂肪酸アルカリ化合物塩としたときに水に対する溶解度が高い点から、好ましくはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物である。
本発明に用いる脂肪酸アルカリ化合物塩は、一価のアルカリ化合物と脂肪酸とを、一般に、脂肪酸の融点以上であり、かつ該脂肪酸が分解しない程度の温度、好ましくは100℃以下、より好ましくは50~100℃、さらに好ましくは60~95℃、特に好ましくは80~95℃で反応させて得られる。
本発明の脂肪酸マグネシウム塩粒子は、例えば、上記で得られた脂肪酸アルカリ化合物塩とマグネシウム塩とを水溶液中で反応させて得ることができる。マグネシウム塩は、具体的には無機マグネシウムと無機酸または有機酸との塩である。マグネシウム塩としては、例えば塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウムなどが挙げられる。特に、マグネシウムの塩化物、硫酸化物が水に対する溶解度が高く、効率的に脂肪酸アルカリ化合物塩と反応する点から好ましい。
脂肪酸アルカリ化合物塩と二価のマグネシウム塩との反応は、具体的には、マグネシウム塩含有水溶液および脂肪酸アルカリ化合物塩含有水溶液を別々に調製した後、これらを混合することにより行われる。例えば、脂肪酸アルカリ化合物塩含有水溶液中にマグネシウム塩含有水溶液を添加する、あるいは別の反応槽に両者を添加することによって行われる。
脂肪酸アルカリ化合物塩含有水溶液とマグネシウム塩含有水溶液との混合に際しては、例えば脂肪酸アルカリ化合物塩含有水溶液中に対してマグネシウム塩含有水溶液を一度に投入すると、得られる脂肪酸マグネシウム塩粒子の形状が不均一になり、粒子のアスペクト比が大きくなるおそれがある。したがって、本発明においては、脂肪酸アルカリ化合物塩含有水溶液中に対してマグネシウム塩含有水溶液を適度な速度で徐々に滴下することが好ましい。
滴下速度は、単位時間あたり0.005~0.8モル/分が好ましく、0.01~0.5モル/分がさらに好ましい。かかる滴下速度で混合することで、穏和にアルカリとマグネシウムの交換反応を進行させることができ、適度なアスペクト比および厚さを有する脂肪酸マグネシウム塩粒子を得ることができる。この速度が0.005モル/分以上であることで、所望のアスペクト比および厚さを有する脂肪酸マグネシウム塩粒子を得ることができる。一方、単位時間あたりの滴下速度が0.8モル/分以上以下であることで、均一な脂肪酸マグネシウム塩粒子の形状となり、粒子が所望のアスペクト比および厚さになるため、粒度も不揃いとならず良好である。
尚、滴下するマグネシウム塩の単位「モル/分以上」は、脂肪酸アルカリ化合物1モルに対して滴下するマグネシウム塩の単位時間当たりのモル数である。
脂肪酸マグネシウム塩製造時の脂肪酸アルカリ化合物塩の濃度は、脂肪酸マグネシウム塩の生産性の点、および脂肪酸アルカリ化合物塩含有水溶液または得られる脂肪酸マグネシウム塩スラリーのハンドリング性の点から、通常、1質量%~20質量%、好ましくは5質量%~15質量%である。脂肪酸アルカリ化合物塩の濃度が1質量%以上であれば、脂肪酸マグネシウム塩の生産性が良好であり好ましい。20質量%以下であれば、脂肪酸アルカリ化合物塩含有水溶液または得られる脂肪酸マグネシウム塩スラリーの粘度が上昇せず、均一な反応を行うことが可能である。なお、マグネシウム塩含有液中のマグネシウム塩の濃度は、脂肪酸マグネシウム塩の生産性の点、および脂肪酸アルカリ化合物塩含有水溶液または得られる脂肪酸マグネシウム塩スラリーのハンドリング性の点から、通常、10質量%~50質量%、好ましくは10質量%~40質量%である。
脂肪酸アルカリ化合物塩とマグネシウム塩との反応は、脂肪酸アルカリ化合物塩の溶解度を考慮して、当業者が通常行う温度条件下で行われる。好ましくは50~100℃、より好ましくは60~95℃である。反応温度が50℃以上であれば、脂肪酸アルカリ化合物塩とマグネシウム塩との反応率が良好である。
脂肪酸アルカリ化合物塩とマグネシウム塩との反応時に脂肪酸マグネシウム塩スラリーを安定化させて、脂肪酸マグネシウム塩の生産性を向上させる目的で、ポリアルキレングリコール系エーテル、特にオキシプロピレンブロックがオキシエチレンブロックで挟まれた構造(EO-PO-EO)を有するトリブロックエーテルを脂肪酸マグネシウム塩スラリー中に存在させることが好ましい。脂肪酸マグネシウム塩スラリー中におけるポリアルキレングリコール系エーテルの含有量は、通常、脂肪酸アルカリ化合物塩100質量部に対して0.01質量部~5質量部、好ましくは0.05質量部~2質量部である。なお、ポリアルキレングリコール系エーテルは、一価のアルカリ化合物と脂肪酸とを反応させる前に反応系に存在させてもよく、また脂肪酸アルカリ化合物塩とマグネシウム塩との反応の前に反応系に存在させてもよい。
この方法によって、1脱水機、フィルタープレスなどで分離して含水率下げた脂肪酸マグネシウム塩ケーキを得る。含水率を下げた脂肪酸マグネシウム塩ケーキについて、回転乾燥機、気流乾燥装置、通気式棚段乾燥機、真空棚段乾燥機、噴霧式乾燥機、流動層型乾燥装置などにより乾燥させる。
本発明においては、脂肪酸マグネシウム塩ケーキの乾燥は、生成する脂肪酸マグネシウム塩の含有水蒸散ピークトップ温度(α℃)に対して、(α-60)℃≦α≦(α-30)℃で乾燥することが必要である。ここで、含有水蒸散ピークトップ温度とは、脂肪酸マグネシウム塩に含有している上記乾燥で除去することができない残留水が脱離し始める温度範囲のピークのトップピークことである。例えば、ミリスチン酸マグネシウムの示差熱分析(DSC)による熱吸収グラフにおいて、含有水蒸散ピークトップ温度は102.1℃である。具体的な乾燥温度は、得られる脂肪酸マグネシウム塩の種類により異なるが、例えばミリスチン酸マグネシウムの場合、72℃以下である。72℃よりも高い温度で乾燥処理すると、微細粒子同士の凝着が起こり、粒子の厚さが大きくなりやすい。一方、40℃よりも低い温度で乾燥処理すると、乾燥性が低下し、化合物中に多量の水分が残りやすくなり、生産性が低下する恐れがある。
上記のようにして脂肪酸マグネシウム塩粒子を製造できる。
本発明の化粧料における脂肪酸マグネシウムの含有量は、製剤の見た目の美しさ及び雲母の不自然なツヤを消失させる観点から1~30質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましい。
本発明の化粧料はさらに、雲母を含む。これにより、化粧料の使用性が良好となる。ここでいう使用性とは、具体的には塗布時の使用感触が滑らかで良好となることを意味する。
雲母としては、塗布した際の自然な仕上がり性を発揮する観点から、粒径が大きすぎないことが好ましく、平均粒子径が15μm以下であることが好ましい。さらに自然な仕上がりの観点から、平均粒子径は10μm以下であることがさらに好ましい。
なお、平均粒子径は、例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布計を用いて測定することができ、D50を意味する。
雲母としては、使用性がより良好となる観点から、天然雲母、合成金雲母、合成金雲母鉄が好ましく、合成金雲母が特に好ましい。これらは1種または2種以上を併用して用いることができる。
本発明の化粧料における雲母の含有量は、滑らかな使用感触の観点から5質量%以上が好ましく、5質量%~50質量%が好ましく、15質量%~35質量%がより好ましい。
本発明の化粧料は、さらに、無機粉体、有機粉体を含んでもよい。
無機粉体としては、酸化亜鉛、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄の無機顔料、タルク等が挙げられる。
有機粉体としては天然色素などの有機顔料が挙げられる。
また、これらの粉体はフッ素化合物やシリコーン系化合物、脂肪酸等により表面処理がなされていてもよい。
本発明の化粧料はまた、油性成分をさらに含有してもよい。
油性成分としては、液状油性成分、固形油性成分が挙げられる。本発明の化粧料を粉末状化粧料として使用する場合は、粉末凝集を低減でき、製品安定性の観点から液状油性成分が好ましい。
液状油性成分としては、例えば、シリコーン系油、アボガド油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固形油性成分としては、例えば、固形パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、硬化油、ミツロウ、モクロウ、ゲイロウ、キャンデリラワックス等の炭化水素・ロウ・ワックス類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベへン酸等の高級脂肪酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
化粧料における油性成分の含有量は使用性の観点から好ましくは1~15質量%、より好ましくは5~10質量%である。
本発明の化粧料は、上記成分の他に、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲内で他の成分を配合することができる。例えば、色素、pH調整剤、保湿剤、増粘剤、界面活性剤、分散剤、安定化剤、着色剤、防腐剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、収斂剤、消炎剤、紫外線吸収剤、香料、その他の顔料等も、本発明の目的を達する範囲内で適宜配合することができる。
本発明の化粧料の剤型としては粉末状、粉末固形状、クリーム状、乳液状、ローション状、油性液状、油性固形状、ペースト状等のいずれの状態でも用いることができる。
化粧料の用途としては、例えばメークアップベース、ファンデーション、コンシーラー、フェースパウダー、コントロールカラー、日焼け止め化粧料、口紅、リップクリーム、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、チークカラー、マニキュア、ボディーパウダー、パヒュームパウダー、ベビーパウダー等のメークアップ化粧料、スキンケア化粧料、ヘアケア化粧料等とすることができる。
本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれにより限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系に対する質量%で示す。
〔ミリスチン酸マグネシウム1の調製〕
10Lセパラブルフラスコにミリスチン酸(日油(株)社製NAA-142)500gおよび水5600gを仕込み、90℃まで昇温した。次いで、48質量%水酸化ナトリウム水溶液を250.0g加え、同温度(90℃)にて1時間攪拌し、脂肪酸アルカリ化合物塩水溶液を得た。その後、90℃に保持したまま、22質量%硫酸マグネシウム水溶液750.0gを40分かけてミリスチン酸ナトリウム塩水溶液に滴下した[滴下速度:0.016(モル/分)]。滴下終了後、90℃に保持して30分間攪拌して熟成した。得られた脂肪酸マグネシウム塩水溶液スラリーを65℃以下まで冷却した。その後、吸引濾過機でろ過し、1000gの水で8回水洗し、得られたケーキについて通気式棚段乾燥機を用いて60℃で乾燥して、ミルで解砕してミリスチン酸マグネシウム塩粒子を得た。
〔ミリスチン酸マグネシウム2の調製〕
3Lセパラブルフラスコにミリスチン酸(日油(株)社製NAA-142)200g、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール・ブロックエーテル(日油株式会社製、商品名:プロノン♯104)を1.00gおよび水2500gを仕込み、80℃まで昇温した。次いで、48質量%水酸化ナトリウム水溶液を73.6g加え、同温度(80℃)にて30分攪拌し、ミリスチン酸ナトリウム塩水溶液を得た。その後、80℃に保持したまま、22質量%硫酸マグネシウム水溶液253.8gを40分かけてミリスチン酸ナトリウム塩水溶液に滴下した[滴下速度:0.013(モル/分)]。滴下終了後、80℃に保持して30分間攪拌して熟成した。得られた脂肪酸マグネシウム塩水溶液スラリーを60℃以下まで放冷した。その後、吸引濾過機でろ過し、1000gの水で2回水洗し、得られたケーキについて通気式棚段乾燥機を用いて60℃で乾燥して、ミルで解砕してミリスチン酸マグネシウム塩粒子を得た。
〔ミリスチン酸マグネシウム塩粒子の評価〕
ミリスチン酸マグネシウム塩粒子1および2について、メジアン径、粒度要約値A〔体積基準における10%積算径D10(μm)、体積基準におけるメジアン径D50(μm)、体積基準における90%積算径D90(μm)から算出した値〕、粒子の厚さ平均、長軸径、短軸径、アスペクト比を、それぞれ以下の装置を用い、上述の方法で測定した。
(1)粒度要約値A、メジアン径
試料を100mlガラスビーカーに2.0g採取し、ノニオン系界面活性剤(例;日油株式会社製ノニオンNS-210)を3~5ml滴下してスパチュラで馴染ませた。次いで、精製水を20ml加え、超音波により分散させて、100mlにして測定試料とした。試料を粒度分布測定装置(機器名「マイクロトラックMT-3000」日機装株式会社製)に供給して測定した(原理:レーザー回折・散乱法)。
測定する粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが10%、50%、90%となる点の粒子径をそれぞれ10%径(D10)、50%径(D50;メジアン径)、90%径(D90)(μm)として求めた。得られたD10、D50、D90から、粒度要約値Aを求めた。
(2)粒子の厚さ平均、長軸径、短軸径、アスペクト比、粒子指数
粒子の厚さは走査型電子顕微鏡を用いて以下の方法により測定した。脂肪酸マグネシウム塩粒子をカーボン両面テープに接着させた後、蒸着法により粒子表面に白金粒子を被覆した試料を、加速電圧1.0kV、倍率2000倍にて観察し、任意の粒子について厚さを計測した。任意の10粒子に対し厚さ、長軸径および短軸径を求めた。また、アスペクト比および粒子指数は、それぞれ以下の式により求めた。
粒子指数=[(長軸径(μm)/短軸径(μm))/粒子の平均厚さ(nm)]×1000
アスペクト比=長軸径(μm)/短軸径(μm)
上記測定結果を下記に示す。
<ミリスチン酸マグネシウム塩粒子1の性状>
アスペクト比:1.4
粒子指数:4.7
D10:11.4μm
D50:25.3μm
D90:54.9μm
粒子の平均厚さ:309nm
粒度要約値A:1.7
<ミリスチン酸マグネシウム塩粒子2の性状>
アスペクト比:1.0
粒子指数:2.4
D10:9.8μm
D50:19.1μm
D90:34.0μm
粒子の平均厚さ:424nm
粒度要約値A:1.3
〔ミリスチン酸マグネシウム3〕
比較として、アスペクト比が2.52、メジアン径(D50)が17μmのミリスチン酸マグネシウム(太平化学産業株式会社社製)を準備した。
<実施例1~6、比較例1:プレストパウダー>
表1に示す組成のプレストパウダーを下記製造方法に従って調製した。
製造方法:油分及びミリスチン酸マグネシウムを除く粉体を、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、油分を添加後再度ミキサーで混合した。混合後、粉砕機を用いて粉砕した。その後、再びミキサーに戻しミリスチン酸マグネシウムを添加し、緩やかに混合した。得られた混合物を中皿に充填し、成形した。
〔使用性評価〕
本発明により得られた化粧料(プレストパウダー)を、下記基準に基づき外観や使用感等について評価した。結果を表1に示す。
(1)外観
5名の専門パネラーが、製品状態での外観の点在感について下記のように判定し、3~5の場合に外観が良好であると評価した。なお、点在感とは、表面が反射によりキラキラしている状態を意味する。
5:点在感がとてもある
4:点在感がかなりある
3:点在感がややある
2:点在感があまりない
1:点在感がない
(2)なめらかな使用感
5名の専門パネラーが、化粧料を肌に塗布した時のなめらかさについて下記のように判定し、3~5の場合になめらかさが良好であると評価した。
5:とてもなめらかな
4:かなりなめらかな
3:ややなめらかな
2:あまりなめらかでない
1:なめらかでない
(3)自然な仕上がり
5名の専門パネラーが、化粧料を肌に塗布した時の仕上がりについて下記のように判定し、3~5の場合に自然な仕上がり性が良好であると評価した。
5:仕上がりがとても自然である
4:仕上がりがかなり自然である
3:仕上がりが自然である
2:仕上がりがやや不自然である
1:仕上がりが不自然である
Figure 2022056556000001
(*1)トピー工業株式会社製 PDM-FE
(*2)トピー工業株式会社製 PDM-5L
(*3)トピー工業株式会社製 PDM-10L
(*4)株式会社ヤマグチマイカ社製 Y-1800
(*5)日揮触媒化成(株)製 サティニアM-5
上記結果より、特定性状のミリスチン酸マグネシウム塩粒子と雲母を含有する化粧料は、外観および使用感に優れることが分かる。
<実施例7:ルースパウダー>
表2に示す組成のルースパウダーを下記製造方法に従って調製した。
製造方法:ミリスチン酸マグネシウムを除く粉体を、ミキサーを用いて混合した。混合した粉末の中にミリスチン酸マグネシウムを添加し、緩やかに混合した。得られた混合物をメッシュ付きの容器に充填した。
実施例1と同様に評価を行った。結果を下記表2に示す。
Figure 2022056556000002
(*2)トピー工業株式会社製 PDM-5L
上記表に示すように、特定性状のミリスチン酸マグネシウムと雲母(マイカ)を含有する化粧料は、外観および使用性に優れ、かつ塗布した時の仕上がり性にも優れることが分かる。

Claims (4)

  1. 脂肪酸マグネシウム塩粒子、および雲母を含む化粧料であって、
    前記脂肪酸マグネシウム塩粒子の脂肪酸が12~22であり、
    前記脂肪酸マグネシウム塩粒子は下記式(1)で表されるアスペクト比が1.0以上2.0以下であり、
    前記脂肪酸マグネシウム塩粒子の平均厚さが250~600nmである化粧料。
    アスペクト比=粒子の長軸径(μm)/粒子の短軸径(μm)・・・・式(1)
  2. 前記雲母の含有量が5質量%以上である、請求項1に記載の化粧料。
  3. 前記雲母が合成金雲母を含む、請求項1または2に記載の化粧料。
  4. 前記雲母の平均粒子径が15μm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化粧料。
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