図1は、実施例1の自動取引システム100を示す図である。自動取引システム100は、自動取引装置10とホストコンピュータ(以下、単にホストとも称する)HCがネットワークNWを介して通信可能に接続されて構築されているシステムである。ネットワークNWは、例えば、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)や公衆通信回線網(公衆網)等の有線または無線の通信回線である。
自動取引装置10は、例えば、1の金融機関に開設されている預金口座に対する紙幣や硬貨の引出しや預け入れ、通帳の記帳、又は1の預金口座から他の預金口座に対する振込み等の各種取引処理を可能とする取引装置である。自動取引装置10は、例えば、複数の金融機関の複数の支店の各々において1または複数設置されている。
本実施例において、口座情報は、通帳発行時に予め定められている情報である。口座情報は、1の通帳に紐付く預金口座において定められている預金口座番号(以下、口座番号と称する)と金融機関の支店番号と預金種別を表す科目番号とを含む。
また、本実施例において、最終印字情報は、通帳に印字されている取引履歴のうち最後の取引履歴が印字されている印字情報である。最終印字情報は、最終印字頁(ページ)・最終印字行及び最終印字残高を含む。
また、本実施例において、顧客情報は、上記した口座情報及び最終印字情報、並びに預金口座における最新の取引の結果による残高である最終残高を含む。
また、本実施例において、取引情報は、預金口座の各々における取引履歴を示す情報である。取引情報は、既に通帳に記帳されている取引履歴である記帳済情報及びまだ通帳に記帳されていない取引履歴である未記帳情報を含む。
制御部11は、自動取引装置10において制御や演算等のプログラムを実行する処理装置である。制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)を含む処理装置である。制御部11は、自動取引装置10の利用者(以下、顧客とも称する)が所望する各取引に応じて各部への指示及び制御を行う部分である。
通信部13は、制御部11の指示に従って外部機器とのデータの送受信を行う通信装置である。通信部13は、例えば、ネットワークNWに接続するためのNIC(Network Interface Card)である。
通信部13は、例えば、通帳から取得した口座情報を基にしたホストHCに対する取引の要求である取引要求を送信するための送信部になり得る。また、通信部13は、例えば、上記取引要求に対してホストHCから発信された取引に関する応答である取引応答を受信するための受信部になり得る。
記憶部15は、制御部11の処理に必要なデータを記憶管理する記憶装置である。記憶部15は、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイスである。
カード読取書込部17は、自動取引装置10に対して挿入された顧客の取引カードを制御部11からの指示に応じて取り込み、当該取引カードが保持している口座情報の読み取りを可能とする部分である。カード読取書込部17は、例えば、挿入された取引カードに付されたエンボス、磁気ストライプ、又はICチップ等を読み取ることによって口座情報を得ることが可能である。
また、カード読取書込部17は、制御部11から供給された取引明細印刷信号に応じて、自動取引装置10において行われた取引の結果を明細票用紙に印刷する部分である。カード読取書込部17は、例えば、顧客によって預金口座から引出し処理がなされた場合、当該引出し処理の日時や引出し金額、引出し後の残高等を明細票用紙に印刷する。
現金入出部19は、制御部11からの現金引出指示に応じて、紙幣又は硬貨が格納されている現金格納庫(図示せず)から、当該現金引出指示によって示される金額に対応した紙幣又は硬貨を取り出す部分である。また、現金入出部19は、利用者が紙幣入出口又は硬貨入出口に投入した紙幣又は硬貨を取り込み、現金格納庫に格納する部分である。
ユーザインターフェース部21は、制御部11から供給された操作表示信号に基づいて、各種の操作画面又はメッセージ等を含む取引画面を表示する表示装置である。ユーザインターフェース部21は、例えば、利用者が取引種別を選択し得る取引選択画面や取引内容の入力を受け付ける取引内容受付画面を表示する。
ユーザインターフェース部21は、例えば、表示部としてのディスプレイと、利用者が当該ディスプレイに表示された内容に対応した領域に触れると、当該表示された内容に対応した操作信号を制御部11に供給するタッチパッドとからなる。
通帳記帳部23は、制御部11からの指示に応じて自動取引装置10に対して挿入された通帳を取り込み、当該通帳から口座情報又は顧客情報を取得する。通帳記帳部23は、例えば、自動取引装置10に対して挿入された通帳に付された磁気ストライプや二次元コード等を読み取ることによって口座情報又は顧客情報を得ることが可能なように構成されている。
ここで、本実施例の自動取引装置10で利用可能な通帳について説明する。
図2Aは、自動取引装置10における通帳PB1の裏表紙の一例を示す図である。通帳PB1には、顧客情報を磁気データとして保持する磁気ストライプMS1が付されている。磁気ストライプMS1は、例えば、通帳PB1において長手方向に垂直となるように付されている。
図2Bは、自動取引装置10における取引媒体としての通帳PB1の内頁の一例を示す図である。通帳PB1の内頁には、当該通帳PB1に紐付けられた預金口座における取引履歴が印字されている。通帳PB1には、例えば、通帳の各々の内頁の左上部にQRコードC1が印字されている。
QRコードC1は、水平方向と垂直方向に情報を持つ光学読み取り可能な二次元コードである。QRコードC1は、例えば、iQR、SQRC、又はフレームQR等のQRコード(登録商標)である。当該QRコードC1には通帳IDに紐付けられた口座情報が保存されている。
図3は、実施例1においてQRコードC1が保持している情報の一例としてのテーブルTB1である。テーブルTB1において、QRコードC1は、通帳PB1の固有番号を示す通帳IDと口座情報とが紐付いている。すなわち、QRコードC1は、それぞれ互いに紐付いた状態となっている通帳ID、支店番号、科目番号及び口座番号を保持している。なお、QRコードC1が保持している情報は、通帳又は当該通帳のユーザに紐付けられている口座が特定できる情報であれば足りる。
再度図1を参照する。通帳記帳部23は、自動取引装置10に対して挿入された通帳PB1に印字されたQRコードC1を読み取ることによって、QRコードC1が保存している情報、具体的には、当該通帳PB1の通帳ID及び口座情報を得ることが可能なように構成されている。
また、通帳記帳部23は、上記通帳PB1から読み取った通帳ID及び口座情報を用いてホストHCから取得された過去の取引の内容及び実行日時等を含む取引履歴の情報を通帳PB1に書き込むことが可能なように構成されている。
データ作成部24は、制御部11においてQRコードの印字データを作成する部分である。データ作成部24は、例えば、制御部11によってQRコードの作成が必要と判定された場合に、QRコードの印字データを作成する。作成されたQRコードの印字データは、当該データを通帳に印字可能な通帳記帳部23に送信される。
以下に、通帳記帳部23に含まれる機能ブロックについて説明する。搬送部23Aは、制御部11からの指示に応じて通帳記帳部23に挿入された通帳を搬送路に沿って搬送する部分である。搬送部23Aは、例えば、複数のローラによって通帳を搬送させる搬送ローラである。
磁気ストライプ読取書込部23Bは、制御部11からの指示に応じて通帳に付された磁気ストライプの読み取りを行い、当該磁気ストライプに保存されている通帳ID及び顧客情報を取得する処理や、最終印字情報又は最終残高の書き込み処理を行う部分である。
QRコード読取部23Cは、制御部11からの指示に応じて通帳に付されたQRコードを光学的に読み取り、その読み取ったデータを電気信号に変換して出力することで当該QRコードに保存されている通帳ID及び口座情報を取得する部分である。
QRコード読取部23Cは、例えば、複数のLED光源を備え、かつ二次元コードを撮像可能なCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子を備える二次元コードリーダである。
QRコード読取部23Cは、例えば、複数のLED光源による照明光を通帳PB1のQRコードC1に当て、上記した撮像素子を用いてQRコードC1を撮像する。撮像されたコードは、コードの種類や大きさ、歪み等が検出され、白黒の二値化データとして変換される。この二値化データがコードの規格に従ってデコード処理されることにより、当該QRコードC1に保存されている通帳ID及び口座情報が取得される。
頁・行読取部23Dは、制御部11からの指示に応じて通帳PB1に印字されている文字の読み取り処理を行う部分である。頁・行読取部23Dは、例えば、通帳PB1の取引履歴が印字されている印字頁や印字済の行、印字されている預金残高等を読み取ることが可能である。頁・行読取部23Dは、例えば、印字されている文字の印字濃度等を読み取り可能なCCDイメージセンサ等の撮像素子を含んで構成されている。
印字部23Eは、制御部11からの指示に応じて通帳PB1に取引履歴を印字する部分である。印字部23Eは、例えば、1の預金口座における取引履歴を、当該預金口座に紐づく通帳PBの記帳可能な頁に対して印字処理を行う部分である。
印字部23Eは、例えば、制御部11によって通帳PB1の記帳可能な全ての頁において記帳が完了したと判定された場合に、制御部11の指示によって通当該帳への印字を停止する。その後、印字部23Eは、制御部11によって通帳の繰越し処理、すなわち、新規の通帳の発行処理が行われた後に、制御部11による指示に従って当該新規の通帳に対して印字処理を再開する。
また、印字部23Eは、QRコードC1を通帳PB1に印字可能に構成されている。印字部23Eは、例えば、制御部11からQRコードC1を印字するための印字データを取得し、通帳の任意の頁の任意の箇所に対して印字処理を行う。
なお、印字部23Eは、通帳PB1に印字されているQRコードC1を書き替えることが可能であってもよい。例えば、印字部23Eは、通帳PB1に印字されているQRコードC1を消して再印字したり、上書きしたりすることで通帳PB1に印字されているQRコードC1を書き替えることが可能であってもよい。
頁捲り部23Fは、制御部11からの指示に応じて通帳PB1の頁を捲る部分である。頁捲り部23Fは、例えば、印字部23Eによって印字されている印字情報がその通帳の印字頁の最終行まで達した場合、当該通帳の当該頁を捲り、印字部23Eが次頁に印字可能な状態とする。
通帳発行部23Gは、制御部11からの指示に応じて複数の未使用通帳が格納されている通帳格納部(図示せず)から1の未使用通帳を取り出し、新規通帳として発行する処理を行う部分である。通帳発行部23Gは、例えば、制御部11によって通帳の繰越し処理が必要であると判定された場合に、制御部11の指示に従って新規の通帳を発行する。
一時保持部23Hは、制御部11からの指示に応じて通帳記帳部23に挿入された通帳を一時的に退避させて保持するための部分である。一時保持部23Hは、例えば、制御部11によって通帳の繰越し処理が必要であると判定され、新規の通帳を発行する場合において、当該新規の通帳に記帳を行うために、繰越しがなされる方の通帳を印字部23Eから退避させて保持する。
ホストHCは、ネットワークNWを介して複数の情報処理装置の各々との間において取引に必要な情報の記憶管理及び送受信を行う装置である。ホストHCは、各金融機関に1台設置されている。
記憶部25は、顧客情報及び取引情報を記憶管理する記憶装置である。記憶部25は、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、SSD等の記憶デバイスである。
顧客情報データベース(以下、顧客情報DBとも称する)25Aは、記憶部25に保存されているデータベースである。顧客情報DB25Aは、複数の通帳IDの各々に紐付けられた複数の顧客情報を保持している。すなわち、顧客情報DB25Aは、複数の通帳IDの各々に紐付けられた口座情報と最終印字情報と最終残高とを保持している。
取引情報データベース(以下、取引情報DBとも称する)25Bは、記憶部25に格納されているデータベースである。取引情報DB25Bは、複数の通帳IDに紐付けられた取引情報を保持している。すなわち、取引情報DB25Bは、複数の通帳IDに紐付けられた既に通帳に記帳されている取引履歴である記帳済情報と、まだ通帳に記帳されていない取引履歴である未記帳情報とを保持している。
記憶部25において、顧客情報DB25Aの顧客情報と取引情報DB25Bの取引情報は通帳の各々に付されている通帳IDに関連付けて保存されている。これにより、記憶部25において通帳IDを用いて情報を参照することによって、顧客情報DB25Aの顧客情報及び取引情報DB25Bの取引情報を取り出すことが可能となる。なお、取引情報DB25Bにおける取引情報は、通帳IDを用いずに顧客情報DB25Aの口座番号に紐付けられて保持されていてもよい。
図4は、自動取引装置10の外観を示す斜視図である。自動取引装置10は、角柱形状を有する筐体である。自動取引装置10の上面Xには、上述したユーザインターフェース部21が設けられている。また、自動取引装置10の上面Xには、当該上面Xの一辺から突出している突出部Yが形成されている。
自動取引装置10において、ユーザインターフェース部21が設けられている側が前面側であり、突出部Yが設けられている側が背面側である。自動取引装置10を操作する顧客は、自動取引装置10の前面側に立って取引操作を実施する。
紙幣入出口31及び硬貨入出口32は、自動取引装置10からの指示に応じて紙幣及び硬貨を排出又は取り込む部分である。紙幣入出口31及び硬貨入出口32は、自動取引装置10の上面Xにおいてユーザインターフェース部21よりも背面側に設けられている。
紙幣入出口31及び硬貨入出口32には、例えば、開閉扉が設けられている。紙幣入出口31及び硬貨入出口32の開閉扉は、自動取引装置10において取引が発生しない間は閉扉しており、当該取引時において自動取引装置10から紙幣及び硬貨の取り込み要求及び排出指示がある際において開扉される。
通帳挿入排出口33は、突出部Yの上面Xに略垂直な面の前面側に設けられている、通帳を用いた取引操作時に通帳が挿入及び排出される部分である。例えば、通帳挿入排出口33に通帳が挿入されると、通帳は搬送部23AによってQRコード読取部に搬送され、QRコードが読み取られて口座情報が取得される。また、例えば、通帳挿入排出口33に挿入された通帳において記帳処理が行われる場合、上述した通帳記帳部23の搬送部23Aによって記帳処理が行われる位置まで搬送され、印字部23Eによって未記帳の取引情報が印字される。当該記帳処理が完了すると通帳挿入排出口33から記帳済み通帳が排出される。
カード挿入排出口35は、通帳挿入排出口33と同様に突出部Yの上面Xに略垂直な面の前面側に設けられている、取引カードが挿入及び排出される部分である。カード挿入排出口35では、例えば、顧客によって預金口座から引出し処理がなされる場合、顧客によってキャッシュカードが挿入され、引き落としが完了すると当該取引カードが排出される。
また、カード挿入排出口35では、例えば、顧客によって預金口座から引出し処理がなされた場合、当該引出し処理の日時や引出し金額、引出し後の残高等が記載された明細票用紙を排出させる。
図5Aは、ホストHCの記憶部25の顧客情報DB25Aが保持している情報の一例としてのテーブルTB2である。顧客情報DB25Aは、上述したように、複数の通帳IDの各々に紐付けられた複数の顧客情報を保持している。すなわち、顧客情報DB25Aは、通帳IDに紐付けられた口座情報と最終印字情報と最終残高とをテーブルTB2のように保持している。
図5Bは、ホストHCの記憶部25の取引情報DB25Bが保持している情報の一例としてのテーブルTB3である。取引情報DB25Bは、上述したように、複数の通帳IDの各々に紐付けられた複数の取引情報を保持している。取引情報DB25Bは、取引情報として記帳済の取引履歴と未記帳の取引履歴とをテーブルTB3のように保持している。
通信部27は、外部機器とのデータの送受信を行う通信装置である。通信部27は、例えば、ネットワークNWに接続するためのNICである。通信部27は、例えば、自動取引装置10から取引を要求する取引要求を受信する受信部になり得る。また、通信部27は、例えば、上記取引要求に対して自動取引装置10に対して応答を送信するための送信部になり得る。
制御部29は、ホストHCにおいて制御や演算等のプログラムを実行する処理装置である。制御部29は、例えば、CPUやRAMを含む処理装置である。制御部29は、例えば、自動取引装置10から通帳に記帳されていない情報である未記帳情報を要求する未記帳情報要求を受信した場合、取引情報DB25Bから未記帳情報を取り出し、当該未記帳情報を通信部27を介して自動取引装置10へ送信する。
以下に、上述した実施例1の自動取引システム100における自動取引装置10及びホストHCの具体的な動作の一例を、フローチャートを用いて説明する。図6A~Cは、実施例1における自動取引装置10の制御部11によって実行される制御ルーチンRT1を示すフローチャートである。
制御部11は、例えば、自動取引装置10の電源が投入されると取引制御ルーチンRT1を実行する。なお、自動取引装置10に人感センサ等を設けて、顧客が自動取引装置10に近づいたことが検出された際に、取引制御ルーチンRT1が実行されるようにしてもよい。取引制御ルーチンRT1は、例えば、自動取引装置10の電源が遮断されるまで繰り返し実行される。
制御部11は、例えば、自動取引装置10の電源が投入されるとユーザインターフェース部21のタッチパネルの画面上に通帳記帳取引を含む複数の取引種別からなる受付画面を表示させる(ステップS101)。このステップS101において、顧客からの取引操作の待受けがなされる。
制御部11は、顧客からの操作によって通帳記帳取引が選択されたか否かを判定する(ステップS102)。この判定は、例えば、ユーザインターフェース部21のタッチパネル上において、「通帳記帳」が選択されたか否かで判定されてもよい。
制御部11は、通帳記帳取引が選択されていないと判定する(ステップS102:NO)と、他の取引が選択されたとみなし、他の取引に沿った処理を実行する。この判定は、例えば、ユーザインターフェース部21のタッチパネル上において、「引出」や「預入」等の「通帳記帳」以外の取引が選択されたことによって実行される。
制御部11は、通帳記帳取引が選択されたと判定する(ステップS102:YES)と、通帳挿入要求をユーザインターフェース部21のディスプレイ上に表示させる(ステップS103)。
制御部11は、顧客の通帳が通帳挿入排出口33に挿入されたか否かを判定する(ステップS104)。制御部11は、顧客の通帳が挿入されていないと判定する(ステップS104:NO)と、ステップS104を繰り返し実行する。
制御部11は、顧客の通帳が通帳挿入排出口33に挿入されたと判定する(ステップS104:YES)と、搬送部23Aによって通帳部を磁気ストライプ読取書込部23Bに搬送し、磁気ストライプ読取書込部23Bを介して当該通帳に付された磁気ストライプの読み取りが可能か否かを判定する(ステップS105)。
制御部11は、磁気ストライプの読み取りが可能であると判定する(ステップS105:YES)と、当該磁気ストライプの磁気データに保存されている通帳IDと顧客情報を取得する(ステップS106)。
具体的には、制御部11は、通帳IDと顧客情報と最終印字情報と最終残高とを取得する。ステップS107の後は後述する最終印字頁・行読み取り処理(ステップS110)に移行する。
制御部11は、磁気ストライプの読み取りが不可であると判定する(ステップS105:NO)と、搬送部23Aによって通帳PBをQRコード読取部に搬送し、QRコード読取部23Cを介して通帳に付されたQRコードの読み取りを実施する(ステップS107)。なお、磁気ストライプの読取後、通帳PBを移動せずともQRコード読取部23CによってQRコードC1が読み取れる場合には、搬送は行われなくともよい。
制御部11は、QRコードの読み取りによって当該QRコードに保存されている通帳IDと口座情報とを取得する。具体的には、制御部11は、通帳IDと支店番号と科目番号と口座番号とを取得する。
制御部11は、ステップS108においてQRコードから通帳IDと口座情報とを取得すると、ホストHCに対して通信部13を介して通帳IDと口座情報と共に最終印字情報要求電文を送信する(ステップS108)。
制御部11は、ホストHCから最終印字情報要求電文に対する応答である最終印字情報応答電文を受信したか否かを判定する(ステップS109)。制御部11は、最終印字情報応答電文を受信していないと判定する(ステップS109:NO)と、ステップS109を繰り返し実行する。
制御部11は、ホストHCから最終印字情報要求電文に対する応答である最終印字情報応答電文を受信したと判定する(ステップS109:YES)と、最終印字情報応答電文の内容である、通帳ID及び口座情報に紐付く預金口座における最終印字情報を取得する。なお、制御部11は、最終印字情報に加えて最終残高を取得してもよい。
制御部11は、ステップS109において最終印字情報を取得すると、頁・行読取部23Dを介して挿入された通帳における最終印字頁・行の読み取りを実施する(ステップS110)。なお、制御部11は、頁・行読取部23Dを介して最終印字頁・行に加えて最終印字残高を読み取ってもよい。
制御部11は、ホストHCから取得した最終印字情報と頁・行読取部23Dを介して取得した最終印字頁・行とを照合し(ステップS111)、当該照合結果が一致しているか否かを判定する(ステップS112)。なお、制御部11は、ステップS111において頁・行読取部23Dを介して最終印字残高を読み取っている場合は、当該最終印字残高を照合する項目に加えてもよい。
制御部11は、当該照合結果が一致していないと判定した場合(ステップS112:NO)、取り扱い不可の理由を示すコードである不可理由コードと共に当該通帳における取り扱いが不可である旨をユーザインターフェース部21のタッチパネル上においてに表示させる(ステップS113)。
この場合、制御部11は、例えば、顧客に対して当該通帳における取り扱いが不可である旨を表示させると共に、自動取引装置10が設置されている金融機関の窓口まで誘導する案内を表示してもよい。ステップS113の後は後述する通帳排出処理(ステップS121)に移行する。
制御部11は、当該照合結果が一致していると判定した場合(ステップS112:YES)、ホストHCに対して通信部13を介して通帳IDと共に未記帳情報要求電文を送信する(ステップS114)。
制御部11は、ホストHCから未記帳情報要求電文に対する応答である未記帳情報応答電文を受信したか否かを判定する(ステップS115)。制御部11は、未記帳情報応答電文を受信していないと判定する(ステップS115:NO)と、未記帳情報無し電文を受信したか否かを判定する(ステップS116)。
制御部11は、ホストHCから未記帳情報無し電文を受信していないと判定する(ステップS116:NO)と、ステップS115を繰り返して未記帳情報応答電文を受信したか否かを判定する。
制御部11は、ホストHCから未記帳情報無し電文を受信したと判定する(ステップS116:YES)と、通帳記帳が必要無い旨をユーザインターフェース部21のタッチパネルに表示させる(ステップS117)。ステップS117の後は後述する通帳排出処理(ステップS121)に移行する。
制御部11は、未記帳情報応答電文を受信したと判定する(ステップS115:YES)と、当該未記帳情報から通帳の繰越しが必要か否かを判定する(ステップS118)。具体的には、制御部11は、例えば、通帳の最終印字頁から残りの印字可能な頁・行を算出し、取得した未記帳情報の必要印字行数から当該通帳のみで記帳が完了するのか否かを判定する。
制御部11は、通帳の繰越しが必要ではないと判定する(ステップS118:NO)と、印字部23Eを介して通帳に未記帳情報を印字する(ステップS119)。制御部11は、ステップS119において通帳に未記帳情報が印字された後、通帳の記帳が完了した旨をユーザインターフェース部21のディスプレイ上に表示させる(ステップS120)。
制御部11は、ステップS121の後に記帳が完了した通帳を排出する(ステップS121)。ステップS121において通帳が排出された後、取引制御ルーチンRT1は終了する。
制御部11は、通帳の繰越しが必要であると判定する(ステップS118:YES)と、印字部23Eを介して当該通帳の最終頁まで印字可能な分までの未記帳情報を印字する(ステップS122)。
制御部11は、当該通帳の最終頁まで当該未記帳情報が印字された繰越し対象となる通帳(以下、繰越通帳とも称する)を、一時保持部23Hを介して一時的に印字部23Eによって印字される位置から退避させて保持する(ステップS123)。
制御部11は、通帳発行部23Gを介して新規に通帳を発行し、印字部23Eによって印字される位置において新規通帳の印字可能な頁を表示させる。制御部11は、上述した未記帳情報のうち、繰越通帳に印字されなかった残りの未記帳情報を新規通帳に印字する(ステップS124)。
制御部11は、ステップS125の後にデータ作成部24を介して新規通帳に印字するためのQRコードの印字データを作成する。当該印字データには、例えば、繰越通帳と同様に通帳ID及び口座情報が保存されている。
制御部11は、印字部23Eを介して作成したQRコードの印字データを新規通帳に印字する(ステップS125)。制御部11は、ステップS125において新規通帳にQRコードを印字した後に、ステップS123において一時保持としていた繰越通帳を印字部23Eによって印字される位置に復帰させる(ステップS126)。
制御部11は、ステップS126の後に、繰越通帳に繰越済である旨の印を印字する(ステップS127)。制御部11は、例えば、印字部23Eを介して繰越通帳の表紙面に「繰越済」の印を印字する。
制御部11は、ステップS127の後に、通帳の記帳が完了した旨と通帳の繰越しが行われた旨をユーザインターフェース部21のディスプレイ上に表示させる(ステップS128)。
なお、制御部11は、ステップS128の後に、通信部13を介してホストHCに通帳の繰越しが行われたことを示す情報を送信してもよい。制御部11は、例えば、新規通帳における最終印字情報を含む顧客情報をホストHCに送信してもよい。
制御部11は、ステップS128の後に、繰越通帳及び新規通帳を排出する(ステップS129)。ステップS129において通帳が排出された後、制御ルーチンRT1は終了する。
図7は、実施例1におけるホストHCの制御部29によって実行される記帳取引制御ルーチンRT2を示すフローチャートである。記帳取引制御ルーチンRT2は、例えば、ホストHCに電源が投入されると開始され、ホストHCの電源が遮断されるまで繰り返し実行される。
制御部29は、通信部27を介して自動取引装置10から送信された最終印字情報要求電文を受信したか否かを判定する(ステップS131)。制御部29は、最終印字情報要求電文を受信したと判定する(ステップS131:YES)と、最終印字情報要求電文と共に受信した通帳ID及び口座情報に基づいて、記憶部25の顧客情報DB25Aに保存されている最終印字情報を取り出す。制御部29は、当該最終印字情報を最終印字情報応答電文として、通信部27を介して自動取引装置10に送信する(ステップS132)。なお、制御部29は、最終印字情報と共に最終残高を送信してもよい。
制御部29は、ステップS132の後、又は最終印字情報要求電文を受信していないと判定する(ステップS131:NO)と、自動取引装置10から送信された未記帳情報要求電文を受信したか否かを判定する(ステップS133)。
制御部29は、未記帳情報要求電文を受信していないと判定する(ステップS133:NO)と、記帳取引制御ルーチンRT2を終了する。
制御部29は、未記帳情報要求電文を受信したと判定する(ステップS133:YES)と、未記帳情報要求電文と共に受信した通帳IDに基づいて、記憶部25の取引情報DB25Bに保存されている取引履歴のうち、通帳に記帳されていない未記帳情報があるか否かを判定する(ステップS134)。
制御部29は、取引情報DB25Bに未記帳情報が無いと判定する(ステップS134:NO)と、未記帳情報が無いことを示す未記帳情報無し電文を、通信部27を介して自動取引装置10に送信する(ステップS135)。
制御部29は、取引情報DB25Bに未記帳情報が有ると判定する(ステップS134:YES)と、未記帳情報を未記帳情報応答電文として通信部27を介して自動取引装置10に送信する(ステップS136)。ステップS135又はステップS136の後に、記帳取引制御ルーチンRT2は終了する。
本実施例の自動取引装置10によれば、口座情報を保持する1又は複数のQRコードが印字された通帳を所有する顧客は、QRコードの読み取りが可能な通帳記帳部を備える自動取引装置に対して当該通帳を挿入することによって、通帳の記帳取引を行うことができる。
これにより、例えば、本実施例の自動取引装置10によれば、通帳記帳部において当該通帳に付された磁気ストライプの読み取りが不可となった場合であっても、当該通帳のQRコードに保存されている顧客の口座情報を読み取ることで、当該通帳の記帳を行うことができる。
具体的には、自動取引装置10が、通帳に付されている磁気ストライプからの情報の読み取り無しに、当該通帳に付されているQRコードに保存されている口座情報を取得することによって、当該口座情報に基づいてホストHCと通信を行い、当該ホストHCから送信された未記帳情報を取得することで通帳に印字させることが可能となる。
[変形例1]
上述した実施例1の自動取引システム100を用いて、変形例1について説明する。変形例1は、通帳PB1のQRコードC1が顧客情報を保持している点と、自動取引装置10がQRコードC1の書き換えを行うことが可能な書換部としての印字部23Eを有している点が実施例1と異なっている。
具体的には、通帳PB1のQRコードC1は、通帳IDと口座情報と最終印字情報と最終残高を保持している。
印字部23Eは、書換部としてのサーモリライト機能を有している部分である。具体的には、印字部23Eは、例えば、高温加熱されかつ急冷されることによって顕色剤と結合して発色する染料であるロイコ染料を含むQRコードを印字可能である。印字部23Eは、例えば、当該QRコードを加熱可能なサーマルプリンタを含んで構成されている。
印字部23Eは、例えば、既に印字面にQRコードが印字されている場合においては、当該QRコードを低温で緩やかに加熱することによってロイコ染料と顕色剤とを分離させて消色させることができる。従って、本変形例における印字部23Eは、QRコードを繰り返し印字させることが可能となっている。
なお、当該QRコードが繰り返し印字される通帳の印字面は、加熱及び急冷に耐え得る材質であればよい。例えば、当該印字面は、通帳の紙面の上にQRコードが印字可能な大きさのPET樹脂等のプラスチックが貼り付けされていてもよい。
また、QRコード読取部23Cは、制御部11からの指示に応じて通帳に付されたQRコードを光学的に読み取り、その読み取ったデータを電気信号に変換して出力することで当該QRコードに保存されている通帳IDと顧客情報を取得する。また、データ作成部24は、制御部11において通帳IDと顧客情報を含むデータを作成する。
図8は、変形例1における通帳PB1に印字されたQRコードC1が保持している情報の一例としてのテーブルTB4である。テーブルTB4において、QRコードC1は、通帳ID及び口座情報に加えて、最終印字行、最終印字頁、最終印字残高を含む最終印字情報と最終残高を保持している。
すなわち、QRコードC1は、顧客情報をテーブルTB4のように保持している。これにより、自動取引装置10は、QRコード読取部23Cを介してQRコードC1の読み取りを行うことのみで、最終印字情報と最終残高を取得することが可能となる。
すなわち、自動取引装置10は、QRコード読取部23Cを介して取得した最終印字情報と、頁・行読取部23Dを介して読み取った最終印字頁・行とを照合することができる。
従って、自動取引装置10は、自動取引装置10からホストHCに対する最終印字情要求電文の送信を行う必要が無くなり、上記照合結果が一致していると判定すると直ちに未記帳情報要求電文を送信することが可能となる。これにより、自動取引装置10とホストHCとの通信回数を減らすことが可能となる。
具体的に、以下に、変形例1としての自動取引システム100における自動取引装置10及びホストHCの具体的な動作の一例を、フローチャートを用いて説明する。図9A~Bは、変形例1における自動取引装置10の制御部11によって実行される制御ルーチンRT3を示すフローチャートである。
制御部11は、制御ルーチンRT3において、ステップS101からステップS105までは上述した実施例1と同様のステップにて進行する。すなわち、制御部11は、顧客によって記帳取引が選択された際に挿入された通帳を受付け、当該通帳に付されている磁気ストライプが読み取り可能か否かを判定する(ステップS105)。
制御部11は、ステップS105にて通帳の磁気ストライプの読み取りが可能か否かを判定し、不可と判定した(ステップS105:NO)場合、通帳に印字されているQRコードの読み取りを実施する(ステップS201)。これにより、制御部11は、口座情報と最終印字情報と最終残高とを含む顧客情報を取得する(ステップS202)。
制御部11は、頁・行読取部23Dを介して通帳の最終頁・行を読み取り(ステップS110)、QRコードから取得した顧客情報のうちの最終印字情報と、当該通帳の最終頁・行とを照合する(ステップS203)。制御部11は、当該照合結果が一致していないと判定した場合(ステップS204:NO)、取り扱い不可の理由を示すコードである不可理由コードと共に当該通帳における取り扱いが不可である旨をユーザインターフェース部21のディスプレイ上に表示させる(ステップS113)。
制御部11は、当該照合結果が一致していると判定した場合(ステップS204:YES)、ホストHCに対して通信部13を介して通帳IDと共に未記帳情報要求電文を送信する(ステップS114)。
制御部11は、制御ルーチンRT3において、ステップS115からステップS120までは上述した実施例1と同様のステップにて進行する。すなわち、ホストHCに未記帳情報要求電文を送信し、ホストHCから未記帳情報応答電文が送信された場合は、当該未記帳情報を通帳に印字する点において実施例1と同様である。
制御部11は、ステップS120において未記帳情報を通帳に印字した後に、データ作成部24において、未記帳情報が印字されたことによって更新された最終印字頁・行、最終印字残高を含む最終印字情報を含むQRコードの印字データを作成する(ステップS205)。
制御部11は、ステップS205において作成した印字データを用いて、印字部23Eを介してQRコードの書き換え(リライト処理)を行う(ステップS206)。すなわち、制御部11は、通帳の印字面に既にQRコードが印字されている場合は、印字部23Eを介して当該QRコードを消去し、更新された最終印字頁・行、及び最終印字残高で構成された最終印字情報をQRコード化して印字する。
制御部11は、ステップS206の後にユーザインターフェース部21のディスプレイ上に通帳記帳が完了した旨を表示させ(ステップS120)、記帳が完了した通帳を排出する(ステップS121)。ステップS121において通帳が排出された後、制御ルーチンRT3は終了する。
なお、制御部11は、ステップS118において通帳の繰越しが必要である(ステップS118:YES)と判定した場合においては、実施例1と同様のステップにて進行する。
すなわち、制御部11は、印字部23Eを介して当該通帳の最終頁まで印字可能な分までの未記帳情報を印字し、当該通帳(繰越通帳)を一時退避させて保持させた後に、新規の通帳を発行して、当該新規の通帳に残りの未記帳情報を印字する。
制御部11は、未記帳情報を印字した後に、新規通帳に印字するためのQRコードの印字データを、データ作成部24を介して作成する。具体的には、未記帳情報を印字したことによって更新された最終印字頁・行情報を含む印字データをデータ作成部24において作成する。
以降のステップは上述したステップS206~ステップS121と同様であり、制御部11は、通帳記帳が完了した後に繰越通帳及び新規の通帳を排出し、当該通帳が排出された後に制御ルーチンRT3は終了する。
図10は、変形例1におけるホストHCの制御部29によって実行される記帳取引制御ルーチンRT4を示すフローチャートである。制御部29は、自動取引装置10から送信された未記帳情報要求電文を受信したか否かを判定する(ステップS211)。
制御部29は、未記帳情報要求電文を受信していないと判定する(ステップS211:NO)と、記帳取引制御ルーチンRT4を終了する。制御部29は、未記帳情報要求電文を受信したと判定する(ステップS211:YES)と、未記帳情報要求電文と共に受信した通帳IDに基づいて、記憶部25の取引情報DB25Bに保存されている取引履歴のうち、通帳に記帳されていない未記帳情報があるか否かを判定する(ステップS212)。
制御部29は、取引情報DB25Bに未記帳情報が無いと判定する(ステップS212:NO)と、未記帳情報が無いことを示す未記帳情報無し電文を、通信部27を介して自動取引装置10に送信する(ステップS213)。
制御部29は、取引情報DB25Bに未記帳情報が有ると判定する(ステップS212:YES)と、未記帳情報を未記帳情報応答電文として通信部27を介して自動取引装置10に送信する(ステップS214)。ステップS213又はステップS214の後に、記帳取引制御ルーチンRT4は終了する。
本変形例によれば、顧客情報を保持する1又は複数のQRコードが印字された通帳を所有する顧客は、当該QRコードの読み取りが可能な通帳記帳部を備える自動取引装置に対して当該通帳を挿入することによって、通帳の記帳取引を行うことができる。
これにより、例えば、通帳記帳部において当該通帳に付された磁気ストライプの読み取りが不可となった場合であっても、当該通帳のQRコードに保存されている顧客情報を読み取ることで、当該通帳の記帳を行うことができる。
また、本変形例によれば、当該QRコードは、上述したように通帳ID及び口座情報に加えて、最終印字情報と最終残高とを保持している。また、自動取引装置10は、QRコードの書き換えを行うことが可能な書換部としての印字部23Eを有している。
これにより、自動取引装置10は、自動取引装置10からホストHCに対する最終印字情要求電文の送信を行う必要が無くなり、上記照合結果が一致していると判定すると直ちに未記帳情報要求電文を送信することが可能となる。すなわち、当該QRコードを磁気ストライプの代わりとして用いることが可能となり、自動取引装置10とホストHCとの通信回数を減らすことが可能となる。
図11は、実施例2の自動取引システム200を示す図である。実施例2は、自動取引システム200の構成及び当該構成に基づく取引情報の参照方法が実施例1と異なっており、それ以外の点で実施例1と同様の構成となっている。
具体的には、自動取引システム200は、自動取引装置10と顧客情報を保持するサーバである顧客サーバ40とホストHCとが、ネットワークNWを介して通信可能に接続されて構築されているシステムである。
顧客サーバ40は、ネットワークNWを介して複数の自動取引装置10の各々との間で取引に必要な情報の送受信を行う顧客情報管理サーバである。
記憶部41は、顧客情報を記憶管理する記憶装置である。記憶部41は、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、SSD等の記憶デバイスである。
顧客情報データベース(以下、顧客情報DBとも称する)41Aは、記憶部41に格納されているデータベースである。顧客情報DB41Aには、通帳IDの各々に紐付けられた口座情報、最終印字情報及び最終残高が保存されている。
通信部43は、外部機器とのデータの送受信を行う通信装置である。通信部43は、例えば、ネットワークNWに接続するためのNICである。
通信部43は、例えば、自動取引装置10からの顧客情報DB41Aへの顧客情報の要求であるアクセスを受け付け、当該アクセスに際して顧客情報DB41内の顧客情報を自動取引装置10に送信するための送信部になり得る。また、通信部43は、例えば、自動取引装置10から各々の預金口座に関する取引の結果を受信する。当該受信された取引の結果によって、顧客情報DB41Aの情報が更新される。
制御部44は、顧客サーバ40において制御や演算等のプログラムを実行する処理装置である。制御部44は、例えば、CPUやRAMを含む処理装置である。制御部44は、例えば、自動取引装置10から顧客情報の要求を受信した場合、顧客情報DB41Aから顧客情報を取得し、当該情報を通信部43を介して自動取引装置10へ送信する。
ホストHCは、実施例2において、記憶部46に格納されているデータベースの構成が実施例1と異なっている。具体的には、記憶部46は取引情報DB46Aのみを有する。取引情報DB46Aは、既に通帳に記帳されている取引履歴である記帳済情報と、まだ通帳に記帳されていない取引履歴である未記帳情報を保存している。
図12は、実施例2において通帳PB1に付されているQRコードC1が保持している情報の一例としてのテーブルTB5である。テーブルTB5において、QRコードC1は、通帳PB1の固有番号を示す通帳IDと顧客サーバ40を照会するためのアクセス情報であるURLとが紐付いている。
すなわち、QRコードC1は、それぞれ互いに紐付いた状態となっている通帳IDと顧客サーバ40照会用のURLを保持している。従って、通帳PB1に付されているQRコードC1が自動取引装置10によって読み取られることをして、当該QRコードが保持しているURLを介して顧客サーバ40にアクセス可能となる。
図13は、顧客サーバ40の顧客情報DB41Aが保持している情報の一例としてのテーブルTB6である。顧客情報DB41Aは、上述したように、複数の通帳IDの各々に紐付けられた複数の顧客情報を保持している。すなわち、顧客情報DB41Aは、通帳IDに紐付けられた口座情報と最終印字情報と最終残高とをテーブルTB6のように保持している。また、顧客情報DB41Aは、銀行毎に定められている番号である銀行番号の情報を顧客情報と共に保持している。
これにより、自動取引装置10は、通帳PB1に付されているQRコードC1の通帳IDに対応するリンク先のURLを参照することによって、顧客サーバ40に保存されている顧客情報を参照して取得することが可能となる。
上記の構成とすることにより、顧客情報に追加の項目が生じた際や削除する項目が生じた際等、サーバ内のメンテナンスを行う場合に、ホストに関与することなく顧客サーバのみで当該メンテナンスを行うことができる。
なお、本実施例の自動取引システムによれば、例えば、1の金融機関であるA銀行と他の金融機関であるB銀行とが合併したような場合にも、A銀行及びB銀行の自動取引装置を共通化しなくとも、両行の通帳を用いて取引を行うことが可能となる。例えば、A銀行がB銀行に吸収合併された場合を例に説明する。その際、A銀行の顧客情報がB銀行の顧客サーバ内の顧客情報に統合された場合を想定する。
すなわち、以下の説明では、A銀行の顧客サーバに保存されている顧客情報とB銀行の顧客サーバに保存されている顧客情報とが、全てB銀行の顧客サーバに集約されて管理されている場合について説明する。
以下に、上記の場合における、A銀行の顧客サーバとB銀行の顧客サーバとが保持している情報について説明する。
図14Aは、A銀行の顧客サーバが保持している情報の一例としてのテーブルTB7である。A銀行の顧客サーバには、A銀行の複数の預金口座に紐づく複数の預金通帳の各々の通帳IDと、当該複数の預金通帳の各々の通帳IDに対応するリンク先のURL情報とが保存されている。当該URLのリンク先は、他の金融機関であるB銀行の顧客サーバである。
図14Bは、B銀行の顧客サーバが保持している情報の一例としてのテーブルTB8である。B銀行の顧客サーバには、B銀行の預金口座に紐付けられた顧客情報が保存されている。
すなわち、B銀行の顧客サーバには、B銀行の預金通帳の通帳IDに紐付けられた支店番号、科目番号及び口座番号を含む口座情報と、最終印字頁・行、最終印字残高を含む最終印字情報と最終残高とが保存されている。
また、B銀行の顧客サーバには、A銀行の複数の預金口座に紐づけられた顧客情報も保存されている。すなわち、B銀行の顧客サーバには、B銀行の預金口座に紐づく顧客情報に加えて、A銀行の預金通帳の通帳IDに紐付けられた支店番号、科目番号及び口座番号を含む口座情報と、最終印字頁・行、最終印字残高を含む最終印字情報と最終残高とが保存されている。また、B銀行の顧客サーバには、A銀行及びB銀行の各々の銀行番号の情報が各々の顧客情報と共に保存されている。
これにより、A銀行の通帳に付されたQRコードがB銀行の自動取引装置によって読み取られ、A銀行の顧客サーバに保存されている通帳IDに紐付けられているURLが参照されることによって、A銀行の顧客サーバから自動的にB銀行の顧客サーバに転送され、当該B銀行の顧客サーバ保存されているA銀行の顧客情報を参照することが可能となる。
すなわち、A銀行の通帳に印字されているQRコードは、指定された1のURL情報を参照することで他のURL情報に自動的に転送されるリダイレクト機能を有している。なお、当該リダイレクト機能による転送先は都度変更可能であり、例えば、URLの転送先を顧客サーバのデータベースではなくホストHCのデータベースに設定してもよい。
以下に、実施例2の自動取引システム200における自動取引装置10、顧客サーバ40及びホストHCの具体的な動作の一例を、フローチャートを用いて説明する。図15A~Cは、実施例2における自動取引装置10の制御部11によって実行される制御ルーチンRT5を示すフローチャートである。
制御部11は、制御ルーチンRT5において、ステップS101からステップS106までは上述した実施例1と同様のステップにて進行する。すなわち、制御部11は、挿入された通帳に対して当該通帳の磁気ストライプの読み取りが可能か否かを判定する(ステップS105)までは実施例1と同様である。
制御部11は、通帳の磁気ストライプの読み取りが不可であると判定した(ステップS105:NO)場合、当該通帳に印字されたQRコードの読み取りを実施する(ステップS301)。
制御部11は、ステップS301によって、QRコードに保存されているURL情報を参照し、顧客情報が保存されている顧客サーバ40に接続して、通信部13を介して通帳IDと共に顧客情報要求を送信する(ステップS302)。
制御部11は、顧客サーバ40から送信された顧客情報を受信したか否かを判定する(ステップS303)。制御部11は、顧客情報を受信していないと判定する(ステップS303:NO)と、ステップS303を繰り返して実行する。
制御部11は、顧客サーバ40から顧客情報を受信したと判定する(ステップS303:YES)と、実施例1と同様に、ステップS110の最終印字頁・行の読み取りに移行する。
制御部11は、制御ルーチンRT5において、ステップS110からステップS119までは上述した実施例1と同様のステップにて進行する。すなわち、制御部11は、最終印字情報と最終印字頁・行との照合結果が一致していると判定した場合に、未記帳情報要求電文をホストHCに対して送信し、ホストHCから受信した未記帳情報応答電文を基に未記帳情報を通帳に印字する。
このとき、例えば、1の金融機関の預金通帳を用いて他の金融機関の自動取引装置において記帳取引を行おうとする場合、他の金融機関の自動取引装置の制御部は、例えば、顧客サーバから取得した顧客情報を基に、1の預金口座に紐づく記帳情報を保持するホストHCに対して未記帳情報要求電文を送信する。
制御部11は、ステップS119の後に、未記帳情報を記帳することによって更新された顧客情報を、通信部13を介して顧客サーバ40に送信する(ステップS304)。すなわち、制御部11は、未記帳情報を記帳することによって更新された最終印字頁・行、最終印字残高を含む最終印字情報を顧客サーバ40に送信する。
これにより、制御部11は、顧客サーバ40からは通帳の記帳取引を行う時点における最新の顧客情報を取得することが可能となり、ホストHCからは通帳の記帳取引を行う時点における未記帳情報を取得することが可能となる。
制御部11は、ステップS304において更新された顧客情報を送信した後に、ユーザインターフェース部21のディスプレイ上に通帳記帳が完了した旨を表示させる(ステップS120)。
制御部11は、ステップS120において通帳の記帳が完了した旨を表示させた後、記帳が完了した通帳を排出する(ステップS121)。ステップS121において通帳が排出された後、制御ルーチンRT5は終了する。
制御部11は、ステップS118において通帳の繰越しが必要である(ステップS119:YES)と判定した場合、実施例1と同様に、ステップS122からステップS127まで進行し、上述した顧客サーバ40に対して更新された顧客情報の送信を実施する(ステップS305)。
制御部11は、ステップS305において更新された顧客情報を送信した後に、ユーザインターフェース部21のディスプレイ上に通帳記帳が完了した旨を表示させる(ステップS128)。
制御部11は、ステップS128の後に、繰越通帳及び新規の通帳を排出する(ステップS129)。ステップS129において通帳が排出された後、制御ルーチンRT5は終了する。
図16は、実施例2における顧客サーバ40の制御部44によって実行される記帳取引制御ルーチンRT6を示すフローチャートである。記帳取引制御ルーチンRT6は、例えば、顧客サーバ40に電源が投入されると開始され、顧客サーバ40の電源が遮断されるまで繰り返し実行される。
制御部44は、自動取引装置10から送信された顧客情報要求を受信したか否かを判定し(ステップS311)、当該顧客情報要求を受信していないと判定する(ステップS311:NO)と、記帳取引制御ルーチンRT6を終了する。
制御部44は、自動取引装置10から送信された顧客情報要求を受信したと判定する(ステップS311:YES)と、顧客情報要求と共に受信した通帳IDに基づいて、記憶部41の顧客情報DB41Aから当該通帳IDに対応する顧客情報を取り出し、当該顧客情報を通信部43を介して自動取引装置10に送信する(ステップS312)。
制御部44は、ステップS312の後に、自動取引装置10から送信された更新された顧客情報を受信したか否かを判定する(ステップS313)。制御部44は、更新された顧客情報を受信していないと判定する(ステップS313:NO)と、ステップS313を繰り返して実行する。
制御部44は、更新された顧客情報を受信したと判定する(ステップS313:YES)と、更新された顧客情報と共に受信した最新の顧客情報を基に、記憶部41の顧客情報DB41Aに保存されている顧客情報を更新する(ステップS314)。ステップS314において顧客情報が更新された後、記帳取引制御ルーチンRT6は終了する。
なお、実施例2におけるホストHCの記帳取引制御ルーチンは、変形例1におけるホストHCの制御部29によって実行される記帳取引制御ルーチンと同様のステップで進行する。すなわち、制御部29は、自動取引装置10から送信された未記帳情報要求電文を受信したか否かを判定し、未記帳情報要求電文を受信したと判定すると、未記帳情報要求電文と共に受信した通帳IDに基づいて、記憶部46の取引情報DB46Aに保存されている取引情報のうち、通帳に記帳されていない未記帳情報があるか否かを判定し、未記帳情報が有ると判定すると、未記帳情報を未記帳情報応答電文として通信部27を介して自動取引装置10に送信する。
本実施例によれば、1又は複数のQRコードが印字された通帳を所有する顧客は、当QRコードの読み取りが可能な通帳記帳部を備える自動取引装置に対して当該通帳を挿入することによって、通帳の記帳取引を行うことができる。
また、本実施例によれば、1の金融機関の自動取引装置における取引のみならず、他の金融機関の自動取引装置においても1の金融機関の通帳を用いた記帳取引を行うことができる。
具体的には、1の金融機関と他の金融機関が合併し、1の金融機関の顧客情報が他の金融機関の顧客サーバ内の顧客情報に統合された場合であっても、1の金融機関の通帳のQRコードに保存されているURLを参照し、1の金融機関の顧客サーバから他の金融機関の顧客サーバに転送されることによって、1の金融機関の顧客情報を参照することができる。
これにより、例えば、1の金融機関の通帳及び他の金融機関の通帳における磁気ストライプの配置態様が異なっていても、新たに1の金融機関と他の金融機関統との統一通帳を発行する必要がなく、どちらか一方の自動取引装置を用いて記帳取引を行うことができる。
なお、実施例2において1の金融機関と他の金融機関とが合併する場合について説明したがこれに限られない。例えば、3以上の複数の金融機関が合併する場合においても、本発明を適用することが可能となる。
また、実施例1及び実施例2において、QRコードが印字された通帳の一例を示したが、QRコードの数及び印字位置や大きさはこれに限られず、適宜変更可能である。例えば、当該QRコードは、表表紙にあってもよく、1頁の中に複数印字されていてもよい。
また、実施例1及び実施例2において、磁気ストライプが付された通帳の一例を示したが、磁気ストライプは廃止されていてもよく、QRコードが印字された通帳を統一通帳として使用してもよい。これにより、磁気ストライプ読取書込部を設けなくてよく、磁気ストライプの読み取りに要する時間も短縮することができる。
また、実施例1に係る自動取引システムは、顧客サーバを有する構成としてもよい。すなわち、実施例1に係る自動取引システムが、自動取引装置と顧客サーバとホストとから構成されていてもよく、例えば、自動取引装置が顧客サーバを介してホストに未記帳情報を要求する構成としてもよい。
また、実施例1及び実施例2において、QRコード読取部23Cと頁・行読取部23Dは、同一の装置を用いて処理を実施していてもよい。例えば、頁・行読取部23Dに使用されるCCDセンサを、QRコード読み取り可能とするようにしてもよい。
また、実施例1及び実施例2において、QRコードが印字された通帳を用いて自動取引装置に対して記帳取引を行う場合について説明したがそれに限られない。例えば、キャッシュカードの代替としてQRコードが印字された通帳による引出し取引や振込み取引を可能としてもよい。
この場合、例えば、通帳に印字されたQRコードに暗証番号や生体情報等の本人確認情報が保持されていてもよく、当該本人確認情報と、自動取引装置の操作時に顧客に入力を求める暗証番号や生体情報の照合結果に基づいて、上記取引を可能としてもよい。
なお、上述した実施例1、変形例1及び実施例2において示した制御ルーチンは例示に過ぎず、用途または使用条件等に応じて適宜選択及び変更可能である。