JP2022055450A - 発泡性塩化ビニル系樹脂粒子、その発泡粒子およびこれを用いた発泡成形体 - Google Patents

発泡性塩化ビニル系樹脂粒子、その発泡粒子およびこれを用いた発泡成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】高い断熱性能、難燃性能および発泡倍率を有する塩化ビニル系樹脂発泡成形体を与えうる発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を提供する。【解決手段】次の(a)、(b)及び(c)を満たす発泡性塩化ビニル系樹脂粒子。(a)炭素系輻射伝熱抑制剤を0.5~8重量%含有する、(b)塩化ビニル系樹脂及び物理系発泡剤を含有する、(c)発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の真密度が1200kg/m3以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、発泡性塩化ビニル系樹脂粒子、その発泡粒子およびこれらを用いた発泡成形体に関する。
樹脂発泡体は、軽量性、断熱性、緩衝性等を有し、住宅等の断熱材や配管等の保温材として従来より広く使用されている。その中でも、発泡剤を含有した発泡性スチレン系樹脂粒子を用いて得られるスチレン系樹脂発泡成形体は、形状の自由度が高く、押出発泡法等で得られるボード形状の様な単純形状の発泡体では施工困難な部位にも適用できる断熱材として、広く活用されている。スチレン系樹脂は燃えやすい樹脂であるところ、スチレン系樹脂発泡成形体には難燃剤が添加され、ある程度の難燃性能は確保されているが、断熱性能を向上させるために輻射伝熱抑制剤を添加すると難燃性能が悪化することが知られている。近年の工事現場での火災事故や、高層マンションでの火災事例などから、建築用の断熱材には、断熱材の断熱性能を向上させるとともに、従来よりも高い難燃性能が求められつつある。
例えば、特許文献1には、処理により35g/l又はこれより小さい密度を有するポリスチレン発泡体をもたらすことができ、かつ均斉に分布されたグラファイト粉末を含有することを特徴とする粒子状膨張性スチレン重合体(発泡性スチレン系樹脂粒子)が提案されている。
また、特許文献2には、塩素化塩化ビニル樹脂と相溶性を呈する溶剤と発泡剤とを含有してなる塩素化塩化ビニル樹脂発泡粒子を型内発泡成形して得られた発泡体について記載されている。
特表2001-525001 平2-182735
ところで、特許文献1には、グラファイト粉末を用いると難燃性の低下が問題点として挙げられている。この問題点を解決するために、難燃化剤として、70重量%又はこれより多い臭素分を有する有機臭素化合物を含有する技術が提案されている。また、特許文献2では、塩素化塩化ビニル樹脂発泡粒子及びその成形体について開示されているが、輻射伝熱抑制剤についての記載なく、また熱伝導率についても言及がない。
本発明の目的は、高い断熱性能、難燃性能および発泡倍率を有する塩化ビニル系樹脂発泡成形体を与えうる発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を提供することにある。
本願の発明者らは、上述した課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、塩化ビニル系樹脂の難燃性を低下させることなく、優れた断熱性と発泡性を兼ね備えた発泡成形体を製造することに成功し、本発明を完成するに至った。

即ち、本発明は、
[1]次の(a)、(b)及び(c)を満たす発泡性塩化ビニル系樹脂粒子:
(a)炭素系輻射伝熱抑制剤を0.5~8重量%含有する、
(b)塩化ビニル系樹脂及び物理系発泡剤を含有する、
(c)発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の真密度が1200kg/m3以上である。
[2]前記炭素系輻射伝熱抑制剤が、グラファイト、グラフェン、活性炭およびカーボンブラックよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、[1]に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子。
[3]前記炭素系輻射伝熱抑制剤が、グラファイトを含む、[1]又は[2]に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子。
[4]前記炭素系輻射伝熱抑制剤は、平均粒子径が2.5~9μmであるグラファイトを含む、[1]~[3]のいずれか一項に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子。
[5]前記発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を、樹脂を溶解可能な有機溶媒に分散させた溶液をレーザー回折散乱法により波長632nmのレーザー光を用いて測定した、前記グラファイトの単位含有量当たりのレーザー散乱強度が5{%/(mg/ml)}/重量%以上である、[2]~[4]のいずれか一項に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子。
[6]前記塩化ビニル系樹脂が塩素化塩化ビニル樹脂を含有する、[1]~[5]のいずれか一項に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子。
[7]前記物理系発泡剤が炭素数4~6の飽和炭化水素の少なくとも1種を含有する、[1]~[6]のいずれか一項に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子。
[8]前記物理系発泡剤がケトンを含有する、[1]~[7]のいずれか一項に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子。
[9]前記発泡性塩化ビニル系樹脂粒子が、芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリルを構造単位に有する共重合体、アクリル系樹脂および塩素化ポリエチレンからなる群から選択される少なくとも一種を含む、[1]~[8]のいずれか一項に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子。
[10][1]~[9]のいずれか一項に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の発泡粒子。
[11][1]~[9]のいずれか一項に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子または[10]に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の発泡粒子を用いた発泡成形体。
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子によれば、高い断熱性、難燃性および発泡倍率を有する塩化ビニル系樹脂発泡成形体が得られる。
本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は「A以上B以下」を意味する。また、「Aおよび/またはB」は、「A、B、ならびに、AおよびB」を意味する。
(発泡性塩化ビニル系樹脂粒子)
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子は、次の(a)、(b)及び(c)を満たす。
(a)炭素系輻射伝熱抑制剤を0.5~8重量%含有する。
(b)物理系発泡剤を含有する。
(c)発泡性塩化ビニル系樹脂の真密度が1200kg/m3以上である。
特許文献1に開示されるようにグラファイト等の炭素系輻射伝熱抑制剤はポリスチレン系樹脂発泡体に断熱性を付与するものの、ポリスチレン系樹脂発泡体の難燃性を低化させる傾向にある。本発明者らは、発泡性塩化ビニル系樹脂粒子にグラファイトを含有させることで、グラファイトを含有しない発泡性塩化ビニル系樹脂粒子と比較して、断熱性が向上するだけでなく、驚くべきことに得られる発泡成形体の難燃性が向上することを見出した。
また、炭素系輻射伝熱抑制剤は基材樹脂中に均一に分散されることで断熱性が図られるものの、高い断熱性を得るためには炭素系輻射伝熱抑制剤を基材樹脂中で分散させる必要があり、中でもグラファイトは基材樹脂中での分散性が劣ることが知られている。そのため、一般的には、基材樹脂との混錬前に前処理を行ったり、基材樹脂への分散性を高めるために混練性の強い条件としたりするため、工程の煩わしさや、基材樹脂や難燃剤などの劣化を抑制する対応が必要になる。本発明者らは、塩化ビニル系樹脂中における炭素系輻射伝熱抑制剤の分散性が高く、塩化ビニル系樹脂やその他成分の性能を劣化させずに高い断熱性を達成しやすいこと、中でも、グラファイトを使用する形態では、塩化ビニル系樹脂とグラファイトとの混錬時にグラファイトの粒子数が増大しやすく、グラファイトの少量使用で高断熱を奏することを新たに見出した。例えば、従来より、発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する際にグラファイトを高分散させる技術としてグラファイトに対して事前に強混練を与えてマスターバッチ化する方法があるが、基材樹脂として塩化ビニル系樹脂を使用することで、事前にマスターバッチ化する工程を経なくても、発泡性塩化ビニル系樹脂粒子中における炭素系輻射伝熱抑制剤の高分散を達成できる。したがって、本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を製造するにあたり、炭素系輻射伝熱抑制剤をマスターバッチ化する工程を用いない場合には、コストおよび生産性に優れる発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を得ることができる。なお、本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を製造する際には、マスターバッチ化した炭素系輻射伝熱抑制剤を用いてもよい。
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子は、さらに特定の真密度を同時に有するため、上述の優れた効果を奏するととともに、優れた発泡性を有することが可能となる。
(塩化ビニル系樹脂)
塩化ビニル系樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル(塩化ビニル単独重合体);塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・(メタ)アクリル酸共重合体、塩化ビニル・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、塩化ビニル・(メタ)アクリル酸エチル共重合体、塩化ビニル・マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル・エチレン共重合体、塩化ビニル・プロピレン共重合体、塩化ビニル・スチレン共重合体、塩化ビニル・イソブチレン共重合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル・スチレン・無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル・スチレン・アクリロニトリル三元共重合体、塩化ビニル・ブタジエン共重合体、塩化ビニル・イソプレン共重合体、塩化ビニル・塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン・酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル・アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル・各種ビニルエーテル共重合体等の塩化ビニルと塩化ビニルと共重合可能な他のモノマーとの塩化ビニル系共重合体;後塩素化したビニル共重合体等のポリ塩化ビニルや、後塩素化したポリ塩化ビニル、後塩素化した塩化ビニル系共重合体等の、塩化ビニル系重合体(ポリ塩化ビニルおよびポリ塩化ビニル系共重合体を総称して「塩化ビニル系重合体」と称することがある。)を改質(塩素化等)したものなどを挙げることができる。更には塩素化ポリエチレン等の、化学構造がポリ塩化ビニルと類似する塩素化ポリオレフィンを用いてもよい。これらの中で、難燃性の観点から、塩化ビニル系重合体、塩素化塩化ビニル系重合体が含まれることが好ましく、中でも難燃性および発泡性に優れる点から塩素化塩化ビニル系重合体が特に好ましい。塩化ビニル系樹脂としては、これらを1種又は2種以上の混合物を用いることができる。なお、本明細書では、塩素化塩化ビニル系重合体は塩素化塩化ビニル樹脂と同義である。
塩素化塩化ビニル系重合体は、通常、原料として塩化ビニル系重合体を用い、同塩化ビニル系重合体を水性媒体中に分散した状態で塩素を供給し、それに水銀灯を照射し光塩素化するか、あるいは加熱塩素化するなど水性媒体中で塩素化する方法、塩化ビニル系重合体を気層中、水銀灯の照射下で塩素化を行うなど気層中で塩素化する方法などにより製造される。原料となる塩化ビニル系重合体としては、上述で例示したポリ塩化ビニルおよび塩化ビニル系共重合体が同様に挙げられる。
塩化ビニル系重合体の平均重合度は、特に限定されないが、下限は300以上が好ましく、400以上がより好ましい。一方、上限は3000以下であることが好ましく、より好ましくは1500以下である。平均重合度が前記範囲であれば、高い発泡倍率を得られる傾向にある。 尚、塩素化塩化ビニル系重合体の平均重合度は、実質的に塩素化前の塩化ビニル系重合体の平均重合度とみなす。平均重合度はJIS K6720-2に準拠して測定される。
塩化ビニル系重合体の重量平均分子量は、特に限定されないが、30,000以上400,000以下の範囲であることが好ましい。重量平均分子量が前記範囲であれば、高い発泡倍率を得られる傾向にある。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって、ポリスチレン換算分子量で評価される。
塩素化塩化ビニル系重合体の塩素含有量は、60重量%以上75重量%以下の範囲であることが発泡性を確保する観点から好ましい。より好ましくは64重量%以上70重量%以下である。塩素含有量が高いほど高い発泡倍率を得られる傾向にあるが、一方で塩素含有量が高すぎると溶融粘度の上昇により、加工性が著しく損なわれる傾向にある。 塩素化塩化ビニル系重合体の塩素含有量は、JIS K7385 B法に準拠して測定される。
本発明の一実施形態として、塩素化塩化ビニル系重合体は1種のみを使用してもよいし2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の一実施形態として、塩化ビニル系樹脂は、発泡性の観点から、塩素化塩化ビニル系重合体が含まれることが好ましい。特に限定するわけではないが、塩化ビニル系樹脂100重量%において、塩素化塩化ビニル系重合体が50重量%以上含まれることが好ましく、より好ましくは60重量%以上であり、さらに好ましくは70重量%であり、もっと好ましくは80重量%以上である。一方、上限は塩化ビニル系樹脂100重量%において、塩素化塩化ビニル系重合体が100重量%であることが好ましい。
(炭素系輻射伝熱抑制剤)
本発明において、「輻射伝熱抑制剤」とは、発泡成形体中を伝わる伝熱機構のうち輻射伝熱を抑制することができる物質であって、同一の樹脂、発泡剤、セル構造、密度の発泡成形体において、輻射伝熱抑制剤を添加することによって、無添加系に比較して、熱伝導率を低くする効果を有する物質を言う。
本発明で用いられる炭素系輻射伝熱抑制剤としては、近赤外または赤外領域(例えば、800~3000nm程度の波長域)の光を反射・散乱・吸収する特性を有する物質であれば特に限定されるものではない。
本発明で用いられる炭素系輻射伝熱抑制剤としては、上述の輻射伝熱抑制剤の特性を有する炭素材であれば特に問わないが、グラファイト、グラフェン、活性炭、カーボンブラックが熱伝導率低減効果とコストのバランスが優れる点から好ましい。比較的少量の含有量で熱伝導率低減効果が発揮される点から、グラファイト、グラフェンがより好ましく、コストの面からグラファイトが特に好ましい。これら炭素系輻射伝熱抑制剤は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の一実施形態では、グラファイトは、例えば、鱗片状黒鉛、土状黒鉛、球状黒鉛、熱膨張性黒鉛又は人造黒鉛等が挙げられるが、中でも鱗片状黒鉛、土状黒鉛、球状黒鉛、および人造黒鉛からなる群から選択される少なくとも一種が好ましい。なお、本明細書において、「鱗片状」という用語は、鱗状、薄片状又は板状のものをも包含する。これらの黒鉛は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、輻射伝熱抑制効果が高い点から、鱗片状黒鉛を主成分とする黒鉛混合物が望ましく、鱗片状黒鉛がより望ましい。
本発明の一実施形態では、発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の含有するグラファイトの平均粒径、言い換えると、発泡性塩化ビニル系樹脂粒子中に存在するグラファイトの平均粒径が2.5~9μmであることが望ましい。さらに3~6μmであることがより望ましく、4~6μmであることが最も望ましい。本明細書において、グラファイトの平均粒径は、ISO13320:2009,JIS Z8825-1に準拠したMie理論に基づくレーザー回折散乱法により粒度分布を測定・解析し、全粒子の体積に対する累積体積が50%になる時の粒径(レーザー回折散乱法による体積平均粒径)を平均粒径とする。
本発明の一実施形態では、グラファイトは平均粒径が大きいほど製造コストが低くなる。特に平均粒径が2.5μm以上であるグラファイトは、粉砕のコストを含む製造コストが低いため、非常に安価であり、発泡性塩化ビニル系樹脂粒子のコストが低くなる傾向がある。さらに、グラファイトの平均粒径が2.5μm以上であると、得られる発泡性塩化ビニル系樹脂粒子から、断熱性の良好な塩化ビニル系樹脂発泡成形体を製造することが可能となる。平均粒径が9μm以下であると、発泡性塩化ビニル系樹脂粒子から発泡粒子及び塩化ビニル系樹脂発泡成形体を製造する際に、セル膜が破れにくくなるため、高発泡化が容易であったり、成形容易性が増加する傾向がある。
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子は、炭素系輻射伝熱抑制剤の含有量が0.5~8重量%である。目的とする発泡倍率に制御しやすいと共に、熱伝導率低減効果等のバランスの点から1.5~7重量%が好ましく、2~6重量%がより好ましい。含有量が0.5重量%以上では、熱伝導率低減効果が十分となる傾向があり、一方、8重量%以下では、発泡性塩化ビニル系樹脂粒子から、発泡粒子及び塩化ビニル系樹脂発泡成形体を製造する際に、セル膜が破れにくくなるため、高発泡化が容易であり、発泡倍率の制御が容易になる傾向がある。
(レーザー散乱強度)
発泡性塩化ビニル系樹脂粒子中における炭素系輻射伝熱抑制剤の分散性は、炭素系輻射伝熱抑制剤の単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度(以下、単に「レーザー散乱強度」と称することがある。)によって表すことができる。レーザー散乱強度は、以下のようにして求められる。まず、発泡剤および炭素系輻射伝熱抑制剤を含有しない樹脂粒子を所定量含有するテトラヒドロフラン(THF)溶液に波長632.8nmのHe-Neレーザー光を照射した際の透過光の強度Lbと、発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を所定重量含有するTHF溶液に波長632.8nmのHe-Neレーザー光を照射した際の透過光の強度Lsとから、レーザー散乱強度Ob(%)を式Ob=(1-Ls/Lb)×100から求める。次に、求めたレーザー散乱強度Obから発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度を求める。そして、求めた単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度を所定重量の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子内の炭素系輻射伝熱抑制剤の含有量(重量%)で割って算出されるレーザー散乱強度が、炭素系輻射伝熱抑制剤単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度である。
本発明の一実施形態は、炭素系輻射伝熱抑制剤単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度が5{%/(mg/ml)}/重量%以上であることが望ましい。このレーザー散乱強度が5{%/(mg/ml)}/重量%以上であると、炭素系輻射伝熱抑制剤の含有量に対して高い熱伝導率低減効果を得ることが可能となる。すなわち、高発泡倍率で低い熱伝導率、従って高い断熱性、を得ることができる。また、本発明の一実施形態は、発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を、樹脂を溶解可能な有機溶媒に分散させた溶液をレーザー回折散乱法により波長632nmのレーザー光を用いて測定した、グラファイトの単位含有量当たりのレーザー散乱強度が5{%/(mg/ml)}/重量%以上であることが望ましい。レーザー散乱強度が5{%/(mg/ml)}/重量%以上であると、グラファイトの含有量に対して高い熱伝導率低減効果を得ることが可能となる。すなわち、高発泡倍率で低い熱伝導率、従って高い断熱性、を得ることができる。グラファイトの単位含有量当たりのレーザー散乱強度は、5.5{%/(mg/ml)}/重量%以上であることがより望ましく、9{%/(mg/ml)}/重量%以下であることがより望ましい。このレーザー散乱強度が5.5{%/(mg/ml)}/重量%以上であると、より十分な熱伝導率低減効果が得ることができる。また、レーザー散乱強度が9{%/(mg/ml)}/重量%以下であると、グラファイトの平均粒子径が小さすぎることがなく、熱伝導率改善効果が得られ易くなる。
(発泡剤)
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子は、物理系発泡剤を含有する。物理系発泡剤としては公知の発泡剤を使用でき、特に限定されないが、例えば下記の発泡剤が挙げられる。例えば、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、又はシクロヘキサン等の炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2-メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどのエーテル、ジメチルケトン(アセトン)、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、エチル-n-プロピルケトン、エチル-n-ブチルケトンなどのケトン、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、ブチルアルコール、i-ブチルアルコール、t-ブチルアルコールなどの炭素数1~4の飽和アルコール、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステルなどのカルボン酸エステル、塩化メチル、塩化エチルなどのハロゲン化アルキル、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(トランス-HFO-1234e)、シス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(シス-HFO-1234ze)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(トランス-HFO-1234yf)、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(トランス-HCFO-1233zd)、シス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(シス-HCFO-1233zd)などのハイドロフルオロオレフィンあるいは塩素化されたハイドロフルオロオレフィン、水、二酸化炭素、窒素などの無機系発泡剤などが挙げられる。これら他の発泡剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の一実施形態としては、発泡剤として、炭化水素系発泡剤が含有されることが好ましく、中でも炭素数4~6(炭素数4、5および6)の飽和炭化水素の少なくとも1種が含有されることがより好ましく、炭素数4および/または炭素数5の炭化水素がより好ましい。
発泡剤の炭素数が4以上であると揮発性が低くなり、発泡性塩化ビニル系樹脂粒子から発泡剤が逸散しにくくなるため、実際に使用する際に発泡工程で発泡剤が十分に残り、十分な発泡力を得ることが可能となり、高倍率化が容易となるため好ましい。また、炭素数が6以下であると、発泡剤の沸点が高すぎないため、予備発泡時の加熱で十分な発泡力を得やすく、高発泡化が易しい傾向となる。
炭素数4~6の飽和炭化水素としては、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、又はシクロヘキサンが例示される。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、本明細書では、発泡粒子を得るために発泡性樹脂粒子を発泡させることを予備発泡と称することがある。
本発明の一実施形態として、発泡剤としてケトンが含まれることが発泡剤の溶解性向上の観点から好ましい。例えば、炭素数4~6の飽和炭化水素とケトンとを併用することにより、炭素数4~6の飽和炭化水素の樹脂への溶解性を更に向上しうる。
本発明の一実施形態としては、物理系発泡剤の含有量は、発泡性塩化ビニル系樹脂粒子100重量%に対して1~40重量%であることが好ましい。前記所定の範囲に発泡剤の含有量を制御することにより、高い発泡倍率を有する発泡粒子及び表面美麗性に優れた発泡成形体を得やすい、という効果を奏する。より好ましい範囲としては、3~25重量%であり、更に好ましくは4~20重量%である。
本発明の一実施形態では、本発明の効果を損なわない範囲で、アゾ化合物、テトラゾールなどの化学発泡剤を併用してもよい。
(加工助剤)
本発明の好ましい一実施形態として、加工助剤を含有してもよい。加工助剤としては、塩化ビニル系樹脂に一般的に使用される加工助剤で特に問われないが、例えば、スチレンーアクリロニトリル共重合体のような芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリル単量体を構造単位に有する共重合体、アクリル系樹脂、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン系重合体のような耐衝撃改良剤、塩素化ポリエチレンなどが挙げられる。高発泡倍率の発泡粒子並びに発泡成形体を得やすい点から、芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリル単量体を構造単位に有する共重合体、アクリル系樹脂および塩素化ポリエチレンからなる群から選択される少なくとも1種が含有されることが好ましい。中でも、塩化ビニル系樹脂の流動性を改善し、成形加工性を改善する観点から、芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリル単量体を構造単位に有する共重合体および/またはアクリル系樹脂と、塩素化ポリエチレンとを併用することがより好ましい。
本発明の一実施形態では、芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリル単量体を構造単位に有する共重合体を塩化ビニル系樹脂に用いることにより、水蒸気加熱条件での予備発泡や発泡成形において、高発泡倍率の発泡粒子並びに発泡成形体を得やすい効果に優れる。
芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリル単量体を構造単位に有する共重合体の芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α―メチルスチレン、エチルスチレン、ハロゲン化スチレン等のスチレン誘導体が挙げられる。不飽和ニトリル単量体としては、アクニロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
本発明の効果を損なわない範囲で、芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリル単量体を構造単位に有する共重合体は、上記芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリル単量体以外の単量体由来の構造単位(その他共重合可能な単量体)を有していても良い。その他共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸N-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、N-置換マレイミドなどが挙げられる。
芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリル単量体を構造単位に有する共重合体中における不飽和二トリル単量体の好ましい範囲としては、芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリル単量体を構造単位に有する共重合体全体を100重量%として、5~45重量%であり、より好ましくは、8~35重量%であり、更に好ましくは、10~30重量%である。前記範囲であることで、高発泡倍率の発泡粒子並びに発泡成形体を得られやすい。
好ましい芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリル単量体を構造単位に有する共重合体としては、スチレンーアクリロニトリル共重合体が挙げられる。芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリル単量体を構造単位に有する共重合体は、1種のみを使用してもよいし2種以上を組み合わせて使用してもよい。好ましい実施形態としては、芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリル単量体を構造単位に有する共重合体の少なくとも1種としてスチレンーアクリロニトリル共重合体が使用される。芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリル単量体を構造単位に有する共重合体は、その重量平均分子量が、使用される塩化ビニル系樹脂の重量平均分子量よりも高いのものを使用することが高発泡倍率を確保しやすい点から好ましい。尚、芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリル単量体を構造単位に有する共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって、ポリスチレン換算分子量で評価される。芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリル単量体を構造単位に有する共重合体として、例えばGalata製のBlendex869等が使用できる。
芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリル単量体を構造単位に有する共重合体の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して1~50重量部であることが好ましく、3~40重量部がより好ましく、5~35重量部がさらに好ましく、8~30重量部が特に好ましい。1重量部以上であると、高い発泡倍率を有する発泡粒子および/または発泡成形体を得やすくなり、50重量部以下であると、難燃性能に優れた発泡粒子および/または発泡成形体を得ることができる。
アクリル系樹脂の具体例としては、たとえばメタクリル酸メチルを重合させてえられるポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルと、メタクリル酸n-ブチルなどのアルキル基の炭素数が2~8のメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸エチルなどのアルキル基の炭素数が1~8のアクリル酸アルキルエステル、およびブチレン、置換スチレン、アクリロニトリルなどのこれらと共重合可能な単量体の少なくとも1種との共重合体などがあげられる。アクリル系樹脂は、その重量平均分子量が、使用される塩化ビニル系樹脂の重量平均分子量よりも高いのものを使用することが高発泡倍率を確保しやすい点から好ましい。尚、アクリル系樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって、ポリスチレン換算分子量で評価される。アクリル系樹脂として、例えばカネカ製のカネエースPA-40等を使用することができる。
アクリル系樹脂の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して1~50重量部であることが好ましく、5~50重量部がより好ましく、8~30重量部が更に好ましい。1重量部以上であると、高い発泡倍率を有する発泡粒子および/または発泡成形体を得やすくなり、50重量部以下であると、難燃性能に優れた発泡粒子および/または発泡成形体を得ることができる。
塩素化ポリエチレンの使用量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に限定されないが、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して1~30重量部であることが好ましく、2~25重量部であることがより好ましく、3~20重量部であることがさらに好ましい。尚、塩素化ポリエチレンの塩素含有量は、JIS K7385 B法に準拠して測定される。
(その他添加剤)
本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、難燃剤、安定剤、滑剤、造核剤、発泡助剤、帯電防止剤、輻射伝熱抑制剤、可塑剤、溶剤及び顔料・染料などの着色剤等を含有しても良い。
難燃剤としては、公知の難燃剤を使用することができ、例えば、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、ホウ素系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム、メラミンシアヌレート等のイントメッセント系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化化合物、酸化アンチモン、酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛などの難燃助剤が挙げられる。
安定剤としては、従来より塩化ビニル系樹脂に用いられるものを使用することができる。例えば、錫系安定剤、フェノール系化合物、リン系化合物、アミン系化合物などの酸化防止剤、エポキシ系安定剤、ゼオライト等が挙げられる。其々の安定剤の使用量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に限定されないが、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して10重量部以下であることが好ましい。
滑剤としては、エステルワックス、ポリエチレンワックス等のワックス、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩などが挙げられる。
造核剤としては、シリカ、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、ゼオライトもしくはタルク等の無機化合物が挙げられる。
輻射伝熱抑制剤としては、上述の炭素系輻射伝熱抑制剤以外のものを使用できる。例えば、アルミニウム、酸化アルミニウム等のアルミニウム系化合物、アルミン酸亜鉛等の亜鉛系化合物;ハイドロタルサイト等のマグネシウム系化合物;銀等の銀系化合物:チタン、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム等のチタン系化合物;ステンレス、ニッケル、錫、銀、銅、ブロンズ、シラスバルーン、セラミックバルーン、マイクロバルーン、パールマイカ等の熱線反射剤や、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、メルカライト、ハロトリ石、ミョウバン石、鉄ミョウバン石等の硫酸金属塩;三酸化アンチモン、酸化アンチモン、無水アンチモン酸亜鉛等のアンチモン系化合物;酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジニウム錫、等の金属酸化物;アンモニウム系、尿素系、イモニウム系、アミニウム系、シアニン系、ポリメチン系、アントラキノン系、ジチオール系、銅イオン系、フェニレンジアミン系、フタロシアニン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シュウ酸アニリド系、シアノアクリレート系、ベンゾトリアゾール系等の熱線吸収剤が挙げられる。熱伝導率低減効果とコストのバランスの点からチタン系化合物が好ましく、酸化チタンがより好ましい。
本発明の効果を損なわない範囲で、塩化ビニル系樹脂に他の樹脂(熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂)を併用してもよい。
他の樹脂を併用する場合、他の樹脂の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0~99重量部が好ましい。
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子は、後述するような発泡性樹脂粒子を予備発泡・発泡成形できる形状の粒子であれば、粒子の形状は特に問わないが、一般的な粒状物(例えば、球状、略球状、凸レンズ状、凹レンズ状、紡錘状などの丸みを帯びた小さい粒子)だけでなく、凹みのある粒子も含まれるものとする。尚、本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の粒重量は発泡粒子の成形金型への充填性、ひいては発泡成形体の表面美麗性などの成形性を確保する観点から、0.5~10mg/粒であることが好ましく、1~8mg/粒がより好ましく、3~7mg/粒が更に好ましい。
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子は、発泡性塩化ビニル系樹脂粒子からの発泡剤の逸散速度を小さくする、あるいはより発泡倍率を向上させる観点から、真密度は1200kg/m以上であり、1230kg/m以上がより好ましく、1260kg/m以上がさらに好ましい。ここでいう真密度は、後述する測定方法で求めることができる。
(発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の製造方法)
発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を製造する方法としては、押出機を用いて塩化ビニル系樹脂と炭素系輻射伝熱抑制剤と各種成分とを溶融混練した後、粒子状に切断する溶融混練法、を用いることが望ましい。本発明の一実施形態に係る溶融混練法には、以下の第1の溶融混練法及び第2の溶融混練法の2つがあり、適宜選択することができる。
第1の溶融混練法としては、塩化ビニル系樹脂、炭素系輻射伝熱抑制剤、および必要に応じて各種添加剤を押出機に供給して溶融混練し、発泡剤を前記押出機または押出機以降の分散設備によって溶融混練物に溶解・分散させ、押出機以降に取り付けた、小孔を多数有するダイを通じて、加圧循環水で満たされたカッターチャンバー内に発泡剤含有塩化ビニル系樹脂組成物の溶融混練物を押し出し、押し出し直後から、ダイと接する回転カッターにより前記溶融混練物を切断すると共に加圧循環水により冷却固化し、発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を得る製造方法が挙げられる。
第1の溶融混練法は、発泡剤と塩化ビニル系樹脂を溶融混練することで、溶融樹脂の粘度を低下させることができ、塩化ビニル系樹脂の成形加工温度を下げることが可能となり、熱分解が生じにくくなる。中でも、炭素系輻射伝熱抑制剤としてグラファイトを含有する形態においては、塩化ビニル系樹脂とグラファイトとの混錬強度を上げることできるため、グラファイトの一部が剥離し、グラファイトの粒子数が増加しやすくなると推測され、グラファイトの高分散化を達成しやすい。
第1の溶融混練法において、押出機としては一般的な押出機を使用することができ、具体的には、単軸押出機、二軸押出機、タンデム押出機などが挙げられる。タンデム押出機としては、単軸押出機を二機連結したものや、二軸押出機に単軸押出機を連結したものなどが挙げられる。また、押出機とスタティックミキサーやスクリューを有さない攪拌機などの分散設備を併用してもよい。
尚、溶融混練法において、塩化ビニル系樹脂は十分にゲル化させることが好ましい。十分にゲル化が行われないと、発泡性樹脂粒子とした場合に、発泡剤の発泡性樹脂粒子からの散逸速度が大きくなる場合があり、発泡に発泡剤が寄与し難い傾向にあり、結果として高発泡倍率あるいは高独立気泡率を有する発泡粒子及び発泡成形体を得ることが困難となる場合がある。
第1の溶融混練法において、樹脂溶融混練時の樹脂温度については、塩化ビニル系樹脂及び添加剤の分解に影響を及ぼす可能性があることから、押出機先端の樹脂溶融物の樹脂温度が130~250℃であることが好ましく、より好ましくは140~240℃であり、更に好ましくは150~220℃である。押出機先端の樹脂溶融物の樹脂温度は、押出機先端に取り付けられた温度センサーにて測定される値である。ダイより上流側に押出機が二つ以上取り付けられている場合は、最も下流側の押出機の先端温度を、本明細書中の押出機先端の樹脂溶融物の樹脂温度とする。樹脂温度が130℃以上であれば、樹脂粘度が下がり押出機内での十分な溶融混練が可能となる。樹脂温度が250℃を超えると塩化ビニル系樹脂及び添加剤の分解の恐れがあり、結果として発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の劣化を誘発し、発泡性能の低下に繋がる恐れがある。
(造粒工程の各条件)
第1の溶融混練法における造粒工程の条件について説明する。
ダイから溶融混練物を押出す実施形態においては、ダイは特に限定されないが、例えば、好ましくは直径0.3mm~2.0mm、より好ましくは0.4mm~1.5mmの小孔を有するものが挙げられる。
第1の溶融混練法において、ダイより上流側に取り付けられた押出機の先端圧力が4~20MPaであることが好ましく、より好ましくは6~18MPaであり、7~15MPaであるこことが更に好ましい。なお、押出機先端圧力は、押出機先端に取り付けられた圧力センサーにて測定される値である。ダイより上流側に押出機が二つ以上取り付けられている場合は、最も下流側の押出機の先端圧力を、本明細書中の押出機先端圧力とする。押出機先端圧力が4MPa以上であれば、溶融混練時に樹脂への発泡剤の溶解分散が容易になり、安定的に発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を得ることができる。一方で、押出機先端圧力が20MPa以下であれば、溶融混練時のせん断発熱を抑制することができ、塩化ビニル系樹脂、必要により併用される塩化ビニル系樹脂及び添加剤の分解が生じにくくなる。
第1の溶融混練法において、ダイより押出される直前の溶融樹脂の温度は、発泡剤を含まない状態での樹脂のガラス転移温度をTgとすると、Tg+20℃以上であることが好ましく、Tg+20℃~Tg+130℃がより好ましく、Tg+30℃~Tg+110℃であることがさらに好ましく、Tg+40℃~Tg+90℃であることが特に好ましい。尚、塩化ビニル系樹脂については、塩素含有量の増加に伴い、ガラス転移温度が上昇するため、使用する塩化ビニル系樹脂の塩素含有量に伴い、適宜調整することが好ましい。Tg+20℃以上であれば、押出された溶融樹脂の粘度が低くなり、小孔詰まりが発生しにくく、実質小孔開口率の低下が起きないため、得られる発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の形状が歪もしくは不揃いとなる事態を避けることができる。一方で、Tg+130℃以下であれば、押出された溶融樹脂が固化し易くなり、回転カッターに巻き付き難くなり、安定的に切断できる。
第1の溶融混練法における加圧循環冷却水に押出された溶融樹脂を切断する切断装置としては、特に限定されないが、例えば、ダイに接触する回転カッターで切断されて小球化され、加圧循環冷却水中で発泡することなく、遠心脱水機まで移送されて脱水・集約される装置、等が挙げられる。
加圧循環冷却水の条件については、使用する樹脂、添加剤、発泡剤などの種類や、各含有量によって調整すべきであるが、ダイより押し出される溶融樹脂の発泡が抑制され、安定的にカッターで切断される条件が好ましい。具体的には、加圧循環冷却水の温度条件としては、好ましくは40℃~99℃、より好ましくは60~90℃である。
圧力条件としては、得られる発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の発泡倍率が1.0~1.25倍となるよう、圧力を調整することが好ましい。尚、前記発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の発泡倍率は、基材樹脂の真密度(kg/m)を発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の真密度(kg/m)で除した値を指す。ここでいう基材樹脂及び発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の真密度は、重量W(kg)の塩化ビニル系樹脂ペレットまたは発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を、エタノールの入ったメスシリンダー内に沈め、メスシリンダーの液面上昇分(水没法)から体積V(m)を求め、算出される。具体的には後述する測定方法から求めることができる。
使用する発泡剤の種類にも依存するが、圧力条件は、好ましくは0.6~2.0MPa、より好ましくは0.7~1.8MPa、更に好ましくは0.8~1.6MPaである。
第1の溶融混練法の利点は発泡性樹脂粒子まで同じ設備で製造できるため、次に述べる第2の溶融混練法と比較してランニングコストが低くなることである。一方、グラファイト量、グラファイト粒径がダイスの小孔開口率に影響を与えるため、第1の溶融混練法の生産安定性は、次の第2の溶融混練法と比較すると低くなる。
第2の溶融混練法としては、塩化ビニル系樹脂と炭素系輻射伝熱抑制剤を押出機で溶融混練し、コールドカット法又はホットカット法等を用いて樹脂ペレットを得た後、該樹脂ペレットを水中等に懸濁させると共に、該ペレットに発泡剤を含有させる方法がある。
さらに詳しくは、第2の溶融混練法は、まず、塩化ビニル系樹脂、及び炭素系輻射伝熱抑制剤、並びに必要に応じて、他の添加材を押出機で溶融混練してもよい。その後溶融混練物を、小孔を有するダイスを通じて押出した後カッターで切断することにより樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を水中に懸濁させると共に、物理系発泡剤を供給して、発泡性樹脂粒子を得る製造方法が挙げられる。
第2の溶融混練法における押出機の溶融混練部の設定温度は、100℃~250℃が望ましい。また、押出機に材料を供給してから溶融混練終了までの押出機内滞留時間が15分以下であることが望ましい。
押出機の溶融混練部での設定温度が250℃以下の場合、及び/又は、溶融混練終了までの押出機内滞留時間が15分以下の場合には、塩化ビニル系樹脂の分解が起こりにくく、樹脂の劣化を抑制することで所定の発泡性が得られ易い効果を奏する。
一方、押出機の溶融混練部の設定温度が100℃以上の場合には、押出機の負荷が小さくなって押出が安定となる。
第2の溶融混練法で用いられるダイスは特に限定されないが、例えば、直径0.3mm~2.0mm、望ましくは0.8mm~1.6mmの小孔を有するものが挙げられる。
第2の溶融混練法の利点は、一般的な発泡性樹脂粒子の製造に使用される装置を使用して樹脂粒子に発泡剤を含浸できるため、大きな設備投資又は設備変更が必要ないこと、及び、炭素系輻射伝熱抑制剤の使用量等を変更しても樹脂粒子の生産安定性が高いことにある。一方、樹脂粒子の生産と発泡性樹脂粒子の生産とを別プラントで実施するためにランニングコストは第1の溶融混練法よりも高くなる。
(塩化ビニル系樹脂発泡粒子及びその製造方法)
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子は、加熱空気や水蒸気などの加熱媒体により、2~110倍に予備発泡されて塩化ビニル系樹脂発泡粒子にされたのち、発泡成形体に使用されうる。使用できる水蒸気は、飽和水蒸気であってもよいし過熱水蒸気であってもよい。
発泡時の加熱温度は、樹脂のガラス転移温度や融点、更には発泡剤の含有量によって適宜調整すべきであるが、90℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。一方、発泡粒子間の発泡倍率バラつきの抑制や発泡粒子の収縮防止の観点から150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。
(塩化ビニル系樹脂発泡成形体及びその製造方法)
得られた塩化ビニル系樹脂発泡粒子は、従来公知の成形機を用い、例えば水蒸気によって成形(例えば型内成形)されて塩化ビニル系樹脂発泡成形体が作製される。使用される金型の形状により、複雑な形の型物成形体やブロック状の成形体を得ることができる。
(独立気泡率)
本発明に係る塩化ビニル系樹脂発泡粒子及びその塩化ビニル系樹脂発泡成形体は、独立気泡率が好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上である。独立気泡率が前述の範囲にあることによって、成形時にも発泡粒子が2次発泡しやすく、発泡粒子の成形性が良くなり、得られる発泡成形体の表面性等が良化する等の効果を奏する。また、独立気泡率が前述の範囲にあることによって、発泡成形体の圧縮強度等の強度を高くできる傾向にある。
(発泡成形体の用途)
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を用いて成形される発泡成形体は、優れた断熱性と難燃性を示すうえに、高い発泡倍率を有しうる。従って、例えば、建築用断熱材、天井材、金属サンドイッチパネルの芯材、食品容器箱、保冷箱、緩衝材、農水産箱、浴室用断熱材及び貯湯タンク断熱材、配管断熱材のような各種用途に好適である。
本発明の一実施形態は前述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の一実施形態の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明の一実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例における測定方法及び評価方法は、以下のとおりである。
(塩化ビニル系樹脂発泡成形体の熱伝導率の測定)
一般的に熱伝導率の測定平均温度が大きい方が熱伝導率の値は大きくなることが知られており、断熱性を比較するためには測定平均温度を定める必要がある。本明細書では発泡プラスチック保温材の規格であるJIS A9511:2006Rで定められた23℃を基準に採用している。
以下の実施例及び比較例では、熱伝導率は、塩化ビニル系樹脂発泡成形体から熱伝導率測定用サンプルを切り出し、当該サンプルを60℃温度下で28日間静置し、さらに、23℃の温度下にて24時間静置した後に測定した。
より詳しくは、塩化ビニル系樹脂発泡成形体から、長さ300mm×幅300mm×25mmのサンプルを切り出した。厚み方向は塩化ビニル系樹脂発泡成形体の厚さ25mmをそのまま使用した。従って、サンプルの長さ300mm×幅300mmの2面は塩化ビニル系樹脂発泡成形体の成形された時の表面のままである。サンプルを60℃温度下にて28日間静置し、さらに、23℃温度下にて24時間静置した後、熱伝導率測定装置(英弘精機(株)製、HC-074)を用いて、JIS A1412-2:1999に準拠して熱流計法にて平均温度23℃、温度差20℃で熱伝導率を測定した。
(グラファイト含有量の測定)
実施例1および比較例1で得られた発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を約10mg採取し、また、参考例1および参考例2で得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体約10mgを試験片として切り出し、サンプルとした。このサンプルを、熱分析システム:EXSTAR6000を備えた熱重量測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、TG/DTA 220U)を用いて、下記I~IIIを連続で実施し、IIIにおける重量減少量をグラファイト重量とし、試験片重量に対するパーセントで表した。
I. 200mL/分の窒素気流下で40℃から600℃まで20℃/分で昇温した後600℃で10分保持、
II. 200mL/分の窒素気流下で600℃から400℃まで10℃/分で降温した後400℃で5分保持、
III.200mL/分の空気気流下で400℃から800℃まで20℃/分で昇温した後800℃で15分保持。
(グラファイトの平均粒径D50(μm)及びレーザー散乱強度(%)の測定)
(1)試料溶液調整条件
(a)測定対象が、発泡性塩化ビニル系樹脂粒子又は発泡成形体の場合
試料500mgを0.1%(w/w)スパン80THF溶液20mLに溶解・分散させる。
(b)測定対象が、混練前のグラファイト、即ち原材料のグラファイト自体の場合
グラファイト20mg及び塩化ビニル系樹脂(A)480mgを0.1%(w/w)スパン80THF溶液20mLに溶解・分散させる。
上記(a)(b)において、分散とは、樹脂が溶解して、グラファイトが分散している状態のことをいう。
次いで、超音波洗浄器にて、前記の試料溶液に超音波を照射し、グラファイトの凝集を緩和させる。
(2)超音波照射条件
使用装置 :アズワン株式会社製 超音波洗浄器 型番USM
発振周波数:42kHz
照射時間 :10分
温度 :室温
(3)平均粒子径測定条件
測定装置 :マルバーン社製 レーザー回折式粒度分布測定装置 マスターサイザー3000
光源 :632.8nm赤色He-Neレーザー及び470nm青色LED
分散ユニット:湿式分散ユニット Hydro MV
以下の設定で分析を実施し、ISO13320:2009,JIS Z8825-1に準拠したMie理論に基づくレーザー回折・散乱法による測定・解析により、体積分布を求め、サンプル中のグラファイトのD50粒径を算出し、グラファイトの平均粒子径とした。なお、グラファイトの平均粒子径の測定結果に影響を与える他の材料を含有する場合は、グラファイトのみを分離して評価を行う。グラファイトのみの分離が困難な場合においては、原料として使用するグラファイトで評価を行い、測定結果をグラファイトの平均粒子径とする。
粒子の種類 :非球形
グラファイト屈折率 :2.42
グラファイト吸収率 :1.0
分散媒体 :0.1%(w/w)スパン80THF溶液
分散媒体の屈折率 :1.49
分散ユニット中の攪拌数:2500rpm
解析モデル :汎用、単一モードを維持
測定温度 :室温
(4)測定手順
0.1%(w/w)スパン80THF溶液120mLを分散ユニットに注入し、2500rpmで攪拌し、安定化させた。測定セルに試料溶液サンプルが存在せず、分散媒体のみの状態で632.8nm赤色He-Neレーザー光を照射した際の中央検出器で測定された光の強度を透過光の強度Lbとした。次いで、超音波処理した試料溶液を2mL採取し、分散ユニットに追加した。試料溶液を追加して1分後の632.8nm赤色He-Neレーザー光を照射した際の中央検出器で測定された光の強度を透過光の強度Lsとした。また、同時に粒径(D50)を測定した。得られたLs及びLbより、以下の式で試料溶液のレーザー散乱強度Sを算出した。
S=(1-Ls/Lb)×100(%)
中央検出器はレーザー光の出力に対して対向した正面に位置する検出部であり、ここで検出される光が散乱に使用されなかった透過光の尺度である。レーザー散乱強度とは、解析装置のレーザーに試料を散乱させた際に失われるレーザー光の量の尺度である。
(5)発泡性塩化ビニル系樹脂粒子又は発泡成形体単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度の算出
以下の式にて、発泡性塩化ビニル系樹脂粒子又は発泡成形体単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度Tを算出した。
発泡性塩化ビニル系樹脂粒子又は発泡成形体単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度T(%/(mg/ml))=レーザー散乱強度(S)/{サンプル重量(500mg)/THF量(20mL)×試料注入量(2mL)/分散ユニット内の全THF量(120mL+2mL)}
単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度とは、測定したレーザー散乱強度をTHF中のサンプル濃度で割った値である。この測定装置は溶液で測定する必要のある装置であるため、THF溶液中のサンプル濃度を一定とし、一定のサンプル量における測定値を得ている。
(6)発泡性塩化ビニル系樹脂粒子中のグラファイト単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度の算出
以下の式にて、発泡性塩化ビニル系樹脂粒子中に含有されるグラファイト単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度を算出した。
発泡性塩化ビニル系樹脂粒子中のグラファイト単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度{%/(mg/ml)}/重量%=(T-T)/発泡性塩化ビニル系樹脂粒子のグラファイト含有量(重量%)
ここで、Tは、グラファイトを含有しない以外は同組成の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子から測定した発泡性塩化ビニル系樹脂粒子単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度の値であり、グラファイト由来のレーザー散乱強度を算出するために測定したものである。なお、T測定用の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子は、上記「(5)発泡性塩化ビニル系樹脂粒子又は発泡成形体単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度の算出」における発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の測定と同様にして、発泡性塩化ビニル系樹脂粒子単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度を求めた。
同じ重量のグラファイトであっても発泡性塩化ビニル系樹脂粒子に含有されるグラファイトの状態、即ち分散されている濃度を調節することによって断熱性を向上できることが本発明の一実施形態の本質である。前記グラファイト単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度を用いることによって本発明の一実施形態を表現することができる。
(7)発泡成形体中のグラファイト単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度の算出
以下の式にて、発泡成形体中に含有されるグラファイト単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度を算出した。
発泡成形体中のグラファイト単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度{%/(mg/ml)}/重量%=(T-T)/発泡成形体のグラファイト含有量(重量%)
ここで、Tはグラファイトのみを含有しない同組成の発泡成形体から測定した発泡成形体単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度の値であり、グラファイト由来のレーザー散乱強度を算出するために測定したものである。なお、T測定用発泡成形体は、上記「(5)発泡性塩化ビニル系樹脂粒子又は発泡成形体単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度の算出」における発泡成形体の測定と同様にして発泡成形体単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度を求めた。
(燃焼性の評価)
発泡成形体から10cm×10cm×2.5cmになるようにコーンカロリーメーター試験用サンプルを切り出し、60℃で28日間養生した後、ISO-5660に準拠し、放射熱強度50kW/mにて20分間加熱したときの最大発熱速度、総発熱量を測定した。この測定方法は、建築基準法施行令第108条の2に規定される公的機関である建築総合試験所にて、コーンカロリーメーター法による基準に対応するものとして規定された試験法であり、ISO-5660の試験方法に準拠したものである。
(発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の粒重量の測定)
0.01mgまで測定できる電子天秤を用いて、ランダムにサンプリングした発泡性塩化ビニル系樹脂粒子100粒の重量を測定し、以下の式で粒重量を算出した。
粒重量(mg)=[粒子100粒の重量(mg)]/100
(発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の真密度測定)
重量W(kg)の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を、エタノールの入ったメスシリンダー内に沈め、メスシリンダーの液面上昇分(水没法)から体積V(m)を求め、以下の式で算出した。
発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の真密度(kg/m)=(W/V)
(塩化ビニル系樹脂ペレット(基材樹脂)の真密度測定)
塩化ビニル系樹脂と加工助剤、安定剤、滑剤等の副原料をブレンドし均一な配合物を得た後、押出機にて溶融混練し、得られた塩化ビニル系樹脂ペレット重量W(kg)を、エタノールの入ったメスシリンダー内に沈め、メスシリンダーの液面上昇分(水没法)から体積V(m)を求め、以下の式で算出した。
塩化ビニル系樹脂ペレットの真密度(kg/m)=(W/V)
前述の方法に基づき、測定された塩化ビニル系樹脂ペレットの真密度は1430kg/mであり、この値を実施例および比較例で用いる基材樹脂の密度とした。
(塩化ビニル系樹脂発泡粒子のかさ倍率測定)
塩化ビニル系樹脂発泡粒子を、内容積3250ccの容器に充填し、その際の重量W(g)を測定し、以下の式で算出した。基材樹脂密度は、前述の<塩化ビニル系樹脂ペレット(基材樹脂)の真密度測定>から、1.43g/ccを用いた。
塩化ビニル系樹脂発泡粒子のかさ倍率(倍)=1.43/(W/3250)
<塩化ビニル系樹脂発泡粒子の独立気泡率の測定>
適当量の発泡粒子を、ASTM D2856に記載の方法に準拠し、エアピクノメータ(東京サイエンス株式会社製空気比較式比重計モデル1000)を用いて、体積Vc(cm)を測定した。次に測定後の同じ発泡粒子をエタノールの入ったメスシリンダー内に沈め、メスシリンダーの液面上昇分(水没法)から体積Va(cm)を求め、下記の式に従って独立気泡率(%)を算出した。
独立気泡率(%)=(Vc/Va)×100
<塩化ビニル系樹脂発泡成形体の倍率測定>
発泡成形体の縦寸法X(mm)、横寸法Y(mm)、及び厚み寸法Z(mm)をノギスで計測し、発泡成形体の重量W(g)を電子天秤にて測定し、下記式から発泡成形体の倍率を求めた。前述の<塩化ビニル系樹脂ペレット(基材樹脂)の真密度測定>から、基材樹脂密度1430kg/mを用いた。
発泡成形体の倍率(倍) = 1430/(W /(X×Y×Z)×10
以下に、実施例及び比較例で用いた原材料を示す。
(樹脂)
(A-1)塩化ビニル樹脂[(株)カネカ製、H716S、平均重合度600、塩素含有量67.6重量%]
(A-2)ポリスチレン樹脂[PSジャパン製、G9401]
(炭素系輻射伝熱抑制剤)
(B-1)グラファイト:SGP-40B(林化成製)
(発泡剤)
(C-1)ノルマルペンタン[富士フィルム和光純薬(株)製]
(C-2)アセトン[富士フィルム和光純薬(株)製]
(C-3)ジメチルエーテル[岩谷産業(株)製]
(実施例1)
[発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の作製]
塩化ビニル樹脂(A-1)100重量部に対し、ブチル錫メルカプト系安定剤5重量部、滑剤(エステルワックス、ポリエチレンワックス)3重量部、スチレン-アクリロニトリル共重合体(重量平均分子量286万、共重合体中のアクリロニトリル由来の成分比率20重量%)13重量部、塩素含有量35重量%のポリエチレン5重量部を加え、上記配合物に対して炭素系輻射伝熱抑制剤(B-1)を4重量%となるように加え、この配合物をブレンドし均一な配合物を得た後、同方向噛み合い二軸押出機にて溶融混練し、上記配合比率のペレットを得た。得られたペレットを、φ40mm同方向噛み合い二軸押出機に40kg/hrのフィード量で溶融混練した。
φ40mm同方向噛み合い二軸押出機の途中から、ノルマルペンタン(C-1)3.5kg/hとアセトン(C-2)1.5kg/hを圧入した。その後、二軸押出機先端に取り付けられた継続管、単軸押出機、ギアポンプ、ダイバータバルブを経て、樹脂温度160℃に冷却し、ダイバータバルブの下流に取り付けられた直径1.0mm、ランド長3.5mmの小孔を30個有する230℃に設定したダイから、吐出量45kg/hrで、温度70℃及び1.4MPaの加圧循環水中に押出した。この際の押出機先端圧力は14MPaであり、溶融物の樹脂温度(すなわち、押出機先端の樹脂溶融物の樹脂温度)は162℃であった。押出された溶融樹脂は、ダイに接触する回転カッターを用いて、切断・小粒化され、遠心脱水機に移送されて、粒重量5.6mgの発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を得た。発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を、前述の<発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の真密度測定>にて真密度を測定した結果、1310kg/mであった。
(水蒸気雰囲気下での成形用発泡粒子の作製)
得られた発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を10℃で7日保管した後、発泡性塩化ビニル系樹脂粒子1000gを予備発泡機(大開工業株式会社製)に投入し、0.16MPaの水蒸気を予備発泡機に導入し、予備発泡機内部の温度110℃の条件で発泡させ、かさ倍率30倍、独立気泡率93%の発泡粒子を得た。
[塩化ビニル系樹脂発泡成形体の作製]
上記水蒸気雰囲気下で得られたかさ倍率30倍の発泡粒子を、発泡スチロール用成形機に取り付けた縦400mm×横400mm×厚み25mmの型内成形用金型内に充填して、0.13MPaの水蒸気を導入して型内発泡させた後、金型に水を20秒間噴霧して冷却した。塩化ビニル系樹脂発泡成形体が金型を押す圧力が0.05MPa(ゲージ圧力)なるまで塩化ビニル系樹脂発泡成形体を金型内に保持した後に、塩化ビニル系樹脂発泡成形体を取り出して、直方体状の塩化ビニル系樹脂発泡成形体を得た。発泡成形体の倍率は、29倍であった。
上述の各測定結果及び評価結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、炭素系輻射伝熱抑制剤を0重量%(添加しない)、加圧循環水圧力を1.3MPaに変更した以外は実施例1と同様にして、粒重量5.7mgの発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を得た。この際の押出機先端圧力は14MPaであり、溶融物の樹脂温度は162℃であった。
得られた発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を、前述の<発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の真密度測定>にて真密度を測定した結果、1300kg/mであった。
得られた発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を実施例1と同様にして水蒸気雰囲気下で成形用発泡粒子を作製した。発泡粒子のかさ倍率は31倍、独立気泡率は97%であった。
得られた成形用発泡粒子を、実施例1と同様にして塩化ビニル系樹脂発泡成形体を作製した。発泡成形体の倍率は30倍であった。
(参考例1)
ポリスチレン系樹脂G9401(PSジャパン製)100重量部に対して、気泡径調整剤としてタルク(林化成製、タルカンパウダーPK-Z)1重量部加え、この配合物をブレンドし均一な配合物を得た後、φ40mm同方向噛み合い二軸押出機に40kg/hrのフィード量で溶融混練した。
φ40mm同方向噛み合い二軸押出機の途中から、ジメチルエーテル(C-3)2.8kg/hを圧入した。その後、二軸押出機先端に取り付けられた継続管、φ90mm単軸押出機を経て、樹脂温度を122℃に冷却し、単軸押出機先端に設けた厚さ2mm、幅50mmの長方形断面のスリットダイより、大気中へ押出発泡させた後、スリットダイに密着させて設置した成形金型ととの下流側に設置した成形ロールにより、厚さ45mm、幅140mmである断面形状の押出発泡成形体を得た。
上述の各測定結果及び評価結果を表1に示す。
(参考例2)
参考例1において、輻射伝熱抑制剤(B-1)が4重量%となるように加え、またタルクを添加しないとした以外は、参考例1と同様にして発泡成形体を得た。
上述の各測定結果及び評価結果を表1に示す。
Figure 2022055450000001

Claims (11)

  1. 次の(a)、(b)及び(c)を満たす発泡性塩化ビニル系樹脂粒子:
    (a)炭素系輻射伝熱抑制剤を0.5~8重量%含有する、
    (b)塩化ビニル系樹脂及び物理系発泡剤を含有する、
    (c)発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の真密度が1200kg/m3以上である。
  2. 前記炭素系輻射伝熱抑制剤が、グラファイト、グラフェン、活性炭およびカーボンブラックよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子。
  3. 前記炭素系輻射伝熱抑制剤が、グラファイトを含む、請求項1又は2に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子。
  4. 前記炭素系輻射伝熱抑制剤は、平均粒子径が2.5~9μmであるグラファイトを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子。
  5. 前記発泡性塩化ビニル系樹脂粒子を、樹脂を溶解可能な有機溶媒に分散させた溶液をレーザー回折散乱法により波長632nmのレーザー光を用いて測定した、前記グラファイトの単位含有量当たりのレーザー散乱強度が5{%/(mg/ml)}/重量%以上である、請求項2~4のいずれか一項に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子。
  6. 前記塩化ビニル系樹脂が塩素化塩化ビニル樹脂を含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子。
  7. 前記物理系発泡剤が炭素数4~6の飽和炭化水素の少なくとも1種を含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子。
  8. 前記物理系発泡剤がケトンを含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子。
  9. 前記発泡性塩化ビニル系樹脂粒子が、芳香族ビニル単量体及び不飽和ニトリルを構造単位に有する共重合体、アクリル系樹脂および塩素化ポリエチレンからなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の発泡粒子。
  11. 請求項1~9のいずれか一項に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子または請求項10に記載の発泡性塩化ビニル系樹脂粒子の発泡粒子を用いた発泡成形体。
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