JP2022054217A - 化合物又はその塩、及び放射性増感剤 - Google Patents

化合物又はその塩、及び放射性増感剤 Download PDF

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Abstract

【課題】腫瘍治療において放射線と併用可能な新規医薬化合物を提供する。【解決手段】 下記式(I)によって表される化合物又はその塩。TIFF2022054217000007.tif44126前記式(I)中、R1はC1~C26の脂肪族炭化水素基である。【選択図】図19

Description

本発明は、化合物又はその塩、及び放射性増感剤に関する。
日本人の死因の半数は、悪性腫瘍、心疾患、脳血管疾患の三大疾病である(2017年厚生労働省人口動態統計)。悪性腫瘍は死因のトップであり、現在も増加傾向にある。悪性腫瘍の治療法には、手術療法、化学療法及び放射線療法が三大治療法として知られている。患者の生活の質(QOL)を重視するため、電子線、X線、ガンマ線、陽子線、又は重粒子線などを用いた外部照射や、小線源治療などの内部照射のような放射線治療が注目されている。
放射線療法において放射線と同時に投与され、その治療効果を強める化学的又は薬学的物質、すなわち放射線増感剤として臨床的に実用化し得るものとして、ハロゲン化ピリミジンと低酸素細胞増感剤が知られている(例えば非特許文献1参照)。また、低酸素細胞増感剤としては、ミソニダゾール等が知られている。
特許文献1には、別の放射線増感剤として、スルホピラノシルアシルグリセロール又はその塩からなる放射性増感剤が開示されている。また、特許文献2には、スルホキノボシルアシルプロパンジオール又はその塩からなる放射性増感剤が開示されている。
特許第3927993号公報 特許第4435861号公報
Eric J. Hall et al.,浦野 宗保訳,"放射線科医のための放射線生物学",篠原出版新社,1995年11月1日 高橋 淳子,他2名,"アミノレブリン酸のX-線増感放射線療法の検証と遺伝子発現解析による作用機序の解明",[online],平成29年,科学研究費助成事業,[令和2年9月10日検索],インターネット <URL:https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-25293270/> Lei Li et al., "Functional biomimetic nanoparticles for drug delivery and theranostic applications in cancer treatment", Science and Technology of Advanced Materials, 2018 Oct 26; vol.19(1): p.771-790
しかしながら、非特許文献1に記載されるような放射線増感剤には、胃腸障害、末梢神経毒性、又はその他の副作用の問題等、解決すべき問題があり、ほとんど実用化には至っていない。そのため、放射線を用いた治療に活用することのできる新規な医薬化合物が求められている。
本発明は、腫瘍治療において放射線と併用可能な新規医薬化合物を提供することを目的とする。
本発明の目的を達成するために、例えば、一実施形態に係る化合物は以下の構成を備える。すなわち、下記式(I)によって表される化合物又はその塩である。
Figure 2022054217000002
前記式(I)中、RはC~C26の脂肪族炭化水素基である。
腫瘍治療において放射線と併用可能な新規医薬化合物を提供する。
構造式(3)の化合物の質量分析結果を示す図。 構造式(3)の化合物のH-NMR測定の結果を示す図。 構造式(4)の化合物の質量分析結果を示す図。 構造式(4)の化合物のH-NMR測定の結果を示す図。 構造式(5)の化合物の質量分析結果を示す図。 構造式(5)の化合物のH-NMR測定の結果を示す図。 構造式(6)の化合物のH-NMR測定の結果を示す図。 構造式(6)の化合物の質量分析結果を示す図。 構造式(7)の化合物のH-NMR測定の結果を示す図。 構造式(7)の化合物の質量分析結果を示す図。 構造式(8)の化合物のH-NMR測定の結果を示す図。 構造式(8)の化合物の質量分析結果を示す図。 構造式(9)の化合物のH-NMR測定の結果を示す図。 構造式(9)の化合物の質量分析結果を示す図。 構造式(10)の化合物のH-NMR測定の結果を示す図。 構造式(10)の化合物の質量分析結果を示す図。 構造式(11)の化合物のH-NMR測定の結果を示す図。 構造式(11)の化合物の質量分析結果を示す図。 放射性増感性の実験結果を示す図。 加水分解耐性の実験結果を示す図。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
本発明の一実施形態に係る化合物は、下記一般式(I)で表される。
Figure 2022054217000003
一般式(I)において、Rは脂肪族炭化水素基である。Rに含まれる炭素原子数は特に限定はされないが、例えば、1以上であってもよく、3以上であってもよく、10以上であってもよく、12以上であってもよく、14以上であってもよく、16以上であってもよい。また、Rに含まれる炭素原子数は、26以下であってもよく、24以下であってもよく、22以下であることがより好ましい。脂肪族炭化水素基の例としては、メチル基、ヘキシル基、ドデシル基、オクタデシル基又はイコシル基のようなアルキル基、ヘキセニル基、ドデセニル基、オクタデセニル基、又はイコセニル基のようなアルケニル基、及びドデシニル基、オクタデシニル基、又はイコシニル基のようなアルキニル基が挙げられる。
一実施形態において、一般式(I)の化合物(3-(n-オクタデシルオキシ)-n-プロピルスルホキノボシド誘導体)に含まれるキノボース環は舟型であってもよく、イス型であってもよく、それらが混在していてもよいが、一般的にはイス型の方が安定であるため好ましい。また、一般式(I)においてはキノボース環にプロパンジオール(-O-C-OR)が結合しているが、このプロパンジオールのキノボース環への立体配置はαアノマーであってもよく、βアノマーであってもよく、それらが混在していてもよい。
一実施形態における合成過程では、一般式(I)におけるR1部分が、アルコール化合物を用いて提供される。このアルコール化合物は、飽和アルコールであっても不飽和アルコールであってもよい。また、このアルコール化合物は直鎖状であっても分枝状であってもよい。飽和アルコールの例としては、1-ヘキサノール又は1-オクタデカノール等が挙げられる。また、不飽和アルコールの例としては、1-ヘキセン-6-オール又は1-オクタデセン-18-オール等が挙げられる。
本発明のさらなる一実施形態に係る化合物は、上記一般式(I)で表される化合物の塩である。塩としては例えば、ナトリウム及びはカリウムのような一価の陽イオンの塩、又はカルシウム及びマグネシウムのような二価の陽イオンの塩などが用いられてもよい。本発明においては、例えば、式(I)におけるスルホ基が塩となっていてもよい。
上記一般式(I)で表される化合物の合成方法は特に限定はされないが、例え以下の経路A~Jにしたがって合成される。得られた化合物(11)を酸処理することにより、一般式(I)で表される化合物を得ることができる。以下の合成過程では新たな不斉炭素を発生しないため、製造が容易である。また、以下の合成過程によれば、化合物を高い純度で製造することが容易である。
また、特許文献1に記載の合成方法では、アリル基の末端二十結合をヒドロキシ化してグリセロール骨格を構築し、グリセロール部位の2位が不斉炭素となるため、アルコール基に起因する立体異性体がほぼ1:1の割合で生成される。このような化合物は医薬品としての利用には適さず、それぞれの立体異性体を選択的に合成しようとする場合には工程が煩雑となりコスト的にも不利を背負う。
また、スルホピラノシルアシルグリセロール誘導体は分子間、分子内、又はその両方でグリセロールの1位のアシル基(1-アシル体)が2位に転移した構造異性体(2-アシル体)も数%生成する。保存中にもこれらの立体異性体又は構造異性体が生成してしまうことから、純度の高いスルホピラノシドアシルグリセロール誘導体を供給することは化学的な困難を伴う。その一方で、その一方で、一実施形態に係る一般式(I)で表される化合物は、R基の近傍に転移を起こしやすいヒドロキシ基が存在しないため、構造的に安定した状態で保存することができる。
なお、ここで「Cm:n」は、一般式(I)のR基に含まれる炭素原子の数がmであり、二重結合の数がnであることを示すものとする(mは1以上の、nは0以上の整数)。また、「Ph」はフェニル基を、「Bn」はベンジル基を、「Ts」はトシル基を、「SAc」はチオアセチル基を示す。
Figure 2022054217000004
本発明の一実施形態に係る化合物の塩は、この合成方法において、又はこの合成方法を改変した方法により製造することが可能である。また本発明の一実施形態に係る化合物の塩は、この方法による合成の後に、目的とする塩に応じたそれ自身公知のイオン交換処理を行うことにより得ることが可能である。これらの本発明に従う塩の合成方法も本発明の範囲に含まれる。
本発明に従う一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、悪性腫瘍のような腫瘍を治療するために使用することが可能である。悪性腫瘍とは、例えば、脳腫瘍等を含む神経原性腫瘍、扁平上皮癌や腺癌等の癌腫に分類される以下の癌(頭頚部癌、皮膚癌、食道癌、甲状腺癌、胃癌、肺癌、胆のう癌、胆道癌、膵臓癌、肝臓癌、前立腺癌、子宮癌、卵巣癌、乳癌、腎癌、膀胱癌、大腸癌等)、黒色腫、骨・軟部腫瘍、並びにリンパ腫、白血病、骨髄腫などが含まれるがこれらに限定されるものではない。ここで使用される「治療」とは、上記のような悪性腫瘍を縮小すること、消失することや増大化を抑制する又はそのいずれかをいう。
放射線治療においては、例えば、放射線の照射によって酸素や水分子などから活性酸素種(ROS)を生成し、ROSを介した遺伝子損傷及び細胞傷害によってがん組織の治療が行われる。ここで、放射線の照射は、電子線、X線、ガンマ線、陽子線、又は重粒子線などを用いた外部照射であってもよく、小線源治療などの内部照射などであってもよい。
一方で、がん組織周辺の腫瘍微小環境では、多くの場合細胞が過剰に増殖し、それに対して血管新生が追い付かないことによる低酸素環境が作り出される。加えて、腫瘍微小環境では多量の抗酸化酵素が存在するため、放射線の照射を行ってもROSが生成されにくく、生成されたROSもその多くが抗酸化酵素によって分解されてしまい治療の効果が得られにくい。
ここで例えば、非特許文献2においては、光線力学的療法における放射線増感剤として、5-アミノレブリン酸(ALA)を用いうることが示されている。ALAは生体に取り込まれると腫瘍細胞に高濃度にPpIXを蓄積させる物質であり、PpIXは、例えば光励起によって活性酸素を発生させる。このように活性酸素を生成し遺伝子損傷を引き起こす物質が、放射線増感剤として用いられている。
本発明に従う一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、投与されるとがん組織に蓄積され、ROSの産生を誘導する。後述する実施例によれば、一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、放射線増感剤として用いられている既知のスルホキノボシルアシルプロパンジオール誘導体と同等量のROSの産生を誘導する。
従って、本発明に従う一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、生体内でROSを放出するための薬剤として使用することができる。また、本発明に従う一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、そのROSの産生の誘導により、腫瘍治療において放射線と併用してその効果を向上させる医薬化合物として使用することができる。
本発明の態様に従うと、一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、放射性増感作用を有する。従って、一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、放射線増感剤として提供されてもよい。
本発明に従う放射性増感剤は、上述した一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩並びに、その薬理作用を利用して医薬誘導体及びその薬学的に許容される塩からなる群から選択される1種又はそれ以上の有効量を活性成分として含有してもよい。さらに、一般式(I)の化合物は、その活性に悪影響を及ぼさない限り、他の放射線増感剤や、抗腫瘍剤若しくはその他の薬理学的活性を有する物質や薬学的活性を有する物質のいずれかあるいはその両方と組み合わせて使用されてもよい。
また、この場合の一般式(I)の化合物の投与条件(例えば、投与量、投与回数、投与間隔など)は、投与形態、投与経路、対象とする疾患、例えば、悪性腫瘍の状態(例えば、種類、存在位置、進行段階など)、併用する薬剤などの条件(例えば、併用薬の有無、種類、量、回数、併用を行う時期と当該抗悪性生物剤を投与する順序など)など、また治療を受ける対象の状態(例えば、体重、性別、年齢など)に応じて適宜設定、調節することができる。
本発明に従う一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、例えば、経口投与、非経口投与することができる。本発明に従う一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、これらの投与経路に応じて、適切な薬学的に許容される賦形剤または希釈剤等の医薬品添加物と組み合わせることにより薬学的製剤にすることができる。
経口投与に適した剤型としては、固体、半固体、液体または気体等の状態のものが含まれ、具体的には、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤およびエアロゾル剤等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明に従う一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩を非経口投与する場合、例えば、注射、経皮投与、直腸投与、および眼内投与等により投与されてもよい。
注射による投与としては、皮下、皮内、静脈内、筋肉内等に投与することができる。
本発明に従う一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩の投与条件(例えば、投与量、投与回数、投与間隔など)は、投与形態、投与経路、対象とする疾患、例えば、悪性腫瘍の状態(例えば、種類、存在位置、進行段階など)、併用する薬剤などの条件(例えば、併用薬の有無、種類、量、回数、併用を行う時期と本発明の化合物を投与する順序など)、放射線との併用の仕方(例えば、併用を行う時期と本発明の放射線増感物質を投与する順序)など、また治療を受ける対象の状態(例えば、体重、性別、年齢など)に応じて適宜設定、調節することができる。
一例を挙げると、本発明に従う一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、経口投与する場合は、0.001~100mg/kg体重/日、注射剤として投与する場合は、0.001~50mg/kg体重/日、経皮投与する場合は、0.001~100mg/kg体重/日、直腸投与する場合は、0.001~50mg/kg体重/日、眼内投与の場合は、0.001~3%程度の溶液を1日数回に分けて点眼するなどに設定することができるが、これらに限定されるものではない。
一方、放射線治療では、照射する放射線の種類、量、回数は、従来行われている放射線治療と同様の条件とすることができる。従来行われているヒトへの放射線照射の例として、具体的には、医療用放射線、たとえばX線、γ線、電子線、β線のほかπ-中間子、中性子やその他の重粒子などの粒子線を、1回あたり約0.1~100Gyの照射量で、合計照射量が約10~500Gyとなるように、1週間~6ヶ月の期間にわたって照射するものが挙げられる。代表的なヒトへの照射例としては、X線を、1回2Gyを週5回照射し、約6週間かけて合計60Gyを照射するものを挙げることができるが、それに限定されるものではない。例えば、照射量や照射回数を減らすこともできる。また、照射方法も原体照射、悪性腫瘍の病巣をピンポイントで狙い撃ちする定位照射、さらには強度変調放射線照射等により行うことができる。加えて、密封小線源による照射、遠隔γ線照射、粒子線を用いた照射により行うこともできる。なお、内照射により、1回あたりの照射量の増大、および照射期間の短縮化が可能である。
放射線照射と本発明に従う一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩の投与とは、同時期であっても、いずれかを他方に先行させて行うこともできる。この場合、本発明に従う一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、放射線照射と併用される抗悪性腫瘍剤としてはたらくことが期待される。従って、本発明に従う一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、放射線照射と併用される抗悪性腫瘍剤などの医薬化合物として提供されてもよい。
上述の放射線の照射条件と本発明に従う一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩の投与条件は、放射線治療の分野で周知のとおり、放射線源の種類、照射方法、照射部位および照射期間;増感剤の種類、投与ルートおよび投与時期;治療すべき疾患の種類および疾患の重症度;照射される被検体の年齢、体重、健康状態、病歴などに依存して、医療従事者その他の専門家により適宜選択することができる。
また、本発明の更なる態様に従うと、本発明に従う一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩の有効量を、それを必要とする対象に対して投与することを具備する放射線照射が有益な疾患の治療方法も提供される。ここで、「放射線照射が有益な疾患」とは、上述したような悪性腫瘍などの放射線照射がその治療に有益である疾患をいう。本発明に従う一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩についての詳細並びに投与方法および投与条件などは上述した通りであってよい。
また、本発明に従う当該治療方法は、本発明に従う一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩の有効量を、それを必要とする対象に対して放射線照射と同時に、または放射線照射の前後に投与することを具備してよい。
また、一般に、非特許文献3に示されるように、がん細胞ではリパーゼ、プロテアーゼ、又はグリコシダーゼなどの加水分解酵素が増加する。本発明に従う一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩はエステル結合を有さないため、例えばリパーゼに対して安定である。後述する実施例2では、本発明に従う一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩が、スルホピラノシルアシルプロパンジオール誘導体と比較して、がん組織においてより長時間持続的に増感剤として有効性を表すことが示されている。
[実施例1]
以下、一般式(1)の例として構造式(11)で表されるナトリウム塩を合成する方法の一例について説明を行う。本実施例では、3-(n-オクタデシルオキシ)-n-プロピル-α-D-キノボピラノシドナトリウム塩(構造式(11)において、Cm:nがオクタデシル基)が、上述した経路A~Jにしたがって合成された。
経路Aでは、アリル-α-D-グルコピラノシド(構造式(2))が合成された。500mLナスフラスコをアルゴン置換し、アリルアルコール(250mL)を投入した。これに、α-D-グルコピラノース(構造式(1))(50g)を攪拌しながら投入し、氷水下で0℃に冷却しながらカンファ―スルホン酸(1.9g)を加えた。次いで、氷浴から取り出して室温に戻し、80℃に加熱して16時間攪拌した。その後減圧濃縮した残渣として構造式(2)の化合物を得た。
経路Bでは、アリル-4,6-O-ベンジリデン-α-D-グルコピラノシド(構造式(2))が合成された。経路Aの残渣に対し、無水N,N-ジメチルホルムアミドとアセトニトリルとをそれぞれ100mLずつ加え、氷水下で0℃に冷却してベンズアルデヒドジメチルアセタール(103mL)とトルエンスルホン酸一水和物(2.5g)とを加えた。次いで、40℃で16時間加熱攪拌した後に、トリエチルアミン(10mL)を添加して反応を停止し減圧濃縮した。この残渣をヘキサン(180mL)及び水(150mL)中に注ぎ、混合液を激しく攪拌した。生じた沈殿物を濾別し、冷水、ヘキサンの順で洗浄した。その沈殿物をさらにヘキサン、冷水、ヘキサンの順で洗浄して濾過し、その沈殿物をエタノールから結晶化させ、無色針状結晶として構造式(3)で示される化合物(28.6g、57.2%)を得た。
構造式(3)の化合物の質量分析、及びH-NMRスペクトルが図1及び図2に示されている。
本実施例において、質量分析には質量分析装置(島津製作所製,AXIMA MALDI-7090 TOFMS)を用いた。また、以下H-NMRスペクトルの測定は、分光計(JEOL製,ECS400 400MHz)を用い、CDCl3を溶媒として行った。構造式(3)の化合物の質量分析とH-NMRスペクトルとのデータを以下に示す。
MS:測定値m/z 331.02[M+Na] 計算値 308.33[M]
δ:7.6-7.2(5H)、6.0-3.5(13H)
経路Cでは、アリル-2,3-ジ-O-ベンジル-4,6-O-ベンジリデン-α-D-グルコピラノシド(構造式(4))が合成された。構造式(3)の化合物(10.0mg)を氷水下で0℃に冷却し、無水N,N-ジメチルホルムアミド(181.5mL)と60%NaH(3.1g)とを加え、室温で10分間攪拌した。再び氷水下で0℃に冷却してベンジルブロミド(9.7mg)を加え、室温で一時間攪拌した。次いで、トリエチルアミン(11.4mL)とメタノール(11.4mL)を加えて中和した後、反応液を冷水(900mL)に注ぎ、酢酸エチル(300mL、3回)で抽出した。飽和食塩水で洗浄後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥及び濾過し、減圧濃縮して反応物(17.92g)を得た。この反応物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサンと酢酸エチルとの混合溶液)で生成し、構造式(4)の化合物(4.9g、48.7%)を得た。
構造式(4)の化合物の質量分析、及びH-NMRスペクトルが図3及び図4に示されている。
構造式(4)の化合物の質量分析とH-NMRスペクトルとのデータを以下に示す。
MS:測定値m/z 513.03[M+Na] 計算値 488.58[M]
δ:7.6-7.2(15H)、6.0-3.5(17H)
経路Dでは、3-ヒドロキシ-n-プロピル-2,3-ジ-O-ベンジル-4,6-O-ベンジリデン-α-D-グルコピラノシド(構造式(5))が合成された。構造式(4)の化合物(1.0g)の無水テトラヒドロフラン溶液(150mL)に、アルゴン雰囲気下の0℃で、0.5M 9-ボラビシクロ[3,3,1]ノナン(9-BBN)のテトラヒドロフラン溶液(8.2mL)を加えた。一時間後、反応液を室温に戻し、引き続き2時間攪拌した。次いで反応液を再び0℃に冷却し、3M水酸化ナトリウム溶液(10mL)及び30%過酸化水素水(1mL)を順次加え、一時間後室温に戻し、16時間攪拌した。反応が充分進行していることを確認した後、この溶液を酢酸エチル(100mL、3回)で抽出し、有機相を合わせて飽和食塩水(100mL、2回)で洗浄した後に、硫酸ナトリウムで乾燥及び濾過後、減圧濃縮した。得られた残渣(1.8g)をクロロホルムに溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサンと酢酸エチル混合溶液)で精製し、無色油状物として構造式(5)の化合物(1.0g、99.0%)を得た。
構造式(5)の化合物の質量分析、及びH-NMRスペクトルが図5及び図6に示されている。
構造式(5)の化合物の質量分析とH-NMRスペクトルとのデータを以下に示す。
MS:測定値m/z 529.28[M+Na] 計算値 506.68[M]
δ:7.6-7.2(15H)、6.0-3.5(16H)、2.0-1.8(2H)
経路Eでは、3-(n-オクタデシルオキシ)-n-プロピル-2,3-ジ-O-ベンジル-4,6-O-ベンジリデン-α-D-グルコピラノシド(構造式(6))が合成された。構造式(5)の化合物(1.0g)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、0℃で撹拌しながら60%NaH(0.3g)を加えた後、室温で15分撹拌した。次いで、臭化ステアリル(1.3g)を加え、6時間室温で撹拌した。再度60%NaH(0.3g)を加え、40℃で1時間撹拌した。その後室温に戻し、メタノール(5mL)を添加して反応を停止し、減圧濃縮した。少量の酢酸エチルで懸濁させた残渣を水(20mL)に注ぎ、ジクロロメタン(10mL、3回)で抽出した。その残渣を抽出し、有機相をMilli-Q水と飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(トルエンと酢酸エチル混合溶液)で精製し、無色油状物質として構造式(6)の化合物(1.0g、99.0%)を得た。
構造式(6)の化合物の質量分析、及びH-NMRスペクトルが図7及び図8に示されている。
構造式(6)の化合物の質量分析とH-NMRスペクトルとのデータを以下に示す。
MS:測定値m/z 781.86[M+Na] 計算値 759.08[M]
δ:7.6-7.3(15H)、5.7-3.3(16H)、2.0-9.8(39H)
経路Fでは3-(n-オクタデシルオキシ)-n-プロピル-2,3,4-トリ-O-ベンジル-α-D-グルコピラノシド(構造式(7))が合成された。構造式(6)の化合物(0.5g)をジクロロメタン(6.6mL)に溶解し、氷冷下でテトラヒドロフラン-ボラン・テトラヒドロフラン溶液、及びトリメチルシリルトリフラート(17.9μL)を加えた。室温で3時間撹拌し、反応の進行を確認した後、トリエチルアミンを加え中和した。次いで水(10mL)を加え、クロロホルム(100mL、2回)で抽出した。有機相を1MHCl溶液、重曹水、飽和食塩水の順で洗浄した。その後、硫酸ナトリウムで乾燥及び濾過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(トルエンと酢酸エチル混合溶液)で精製し、構造式(7)の化合物(0.43g、85.3%)を得た。
構造式(7)の化合物の質量分析、及びH-NMRスペクトルが図9及び図10に示されている。
構造式(7)の化合物の質量分析とH-NMRスペクトルとのデータを以下に示す。
MS:測定値m/z 784.69[M+Na] 計算値 761.10[M]
δ:7.6-7.3(15H)、5.1-4.6(17H)、2.0-9.8(39H)
経路Gでは3-(n-オクタデシルオキシ)-n-プロピル-2,3,4-トリ-O-ベンジル-6-O-トシル-α-D-グルコピラノシド(構造式(8))が合成された。構造式(7)の化合物(0.10g)のピリジン溶液(0.50mL)に、アルゴン雰囲気下で氷水下0℃で塩化パラトルエンスルホニル(0.07g)を加え、室温に戻して4時間攪拌した。薄膜クロマトグラフィ―(TLC)で反応の終了を確認したら、氷水下で0℃に冷却し、メタノールを加えて中和した。その後少量の酢酸エチルで懸濁した残渣を1M塩酸(1mL)に注ぎ、酢酸エチル(2mL、3回)で抽出した。有機相を合わせ飽和食塩水(1mL、2回)、飽和炭酸水素ナトリウム水(1mL、2回)、飽和食塩水(1mL、2回)の順で洗浄を行い、硫酸ナトリウムで乾燥及び濾過後、減圧濃縮した。濃縮物(0.146g)をクロロホルムに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィー(トルエンと酢酸エチル混合溶液)で精製し、構造式(8)の化合物(0.08g、95.3%)を得た。
構造式(8)の化合物の質量分析、及びH-NMRスペクトルが図11及び図12に示されている。
構造式(8)の化合物の質量分析とH-NMRスペクトルとのデータを以下に示す。
MS:測定値m/z 938.61[M+Na] 計算値 915.28[M]
δ:7.8-7.2(19H)、5.1-3.3(11H)、2.5-0.8(42H)
経路Hでは、3-(n-オクタデシルオキシ)-n-プロピル-2,3,4-トリ-O-ベンジル-6-チオアセチル-α-D-グルコピラノシド(構造式(9))が合成された。構造式(8)の化合物(0.05g)に、アルゴン雰囲気下で無水エタノール(1mL)、及びチオ酢酸カリウム(0.02g)を加え、80℃で4時間攪拌した。反応の進行を確認した後、氷冷下で冷水(1mL)を注ぎ、酢酸エチル(3mL、2回)で抽出した。次いで、有機相を合わせて1M水酸化ナトリウム水溶液(1mL、2回)、飽和食塩水(1mL、2回)で順に洗浄し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥及び濾過後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサンと酢酸エチルの混合溶液)で精製し、淡褐色油状物質として構造式(9)の化合物(0.43g、85.3%)を得た。
構造式(9)の化合物の質量分析、及びH-NMRスペクトルが図13及び図14に示されている。
構造式(9)の化合物の質量分析とH-NMRスペクトルとのデータを以下に示す。
MS:測定値m/z 841.49[M+Na] 計算値 819.20[M]
δ:7.4-7.2(15H)、5.0-3.1(17H)、2.5-0.8(42H)
経路Iでは、3-(n-オクタデシルオキシ)-n-プロピル-2,3,4-トリ-O-ベンジル-α-D-キノボピラノシドナトリウム塩(構造式(10))が合成された。構造式(9)の化合物(0.05g)に氷酢酸(3.4mL)、酢酸カリウム(0.35g)、及びOXONE(0.13g)をこの順で加え、室温で4時間激しく攪拌した。反応が充分進行していることを確認した後、反応液を冷水(5.4mL)に注ぎ、攪拌した。次いで、酢酸エチル(2m、2回)で抽出し、有機相を合わせて飽和炭酸水素ナトリウム水(2mL、2回)及び飽和食塩水(2mL、2回)でこの順に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥及び濾過後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタンとメタノールの混合溶液)で精製し、無色ワックス状物質として構造式(10)の化合物(0.01g、37.6%)を得た。
構造式(10)の化合物の質量分析、及びH-NMRスペクトルが図15及び図16に示されている。
構造式(10)の化合物の質量分析とH-NMRスペクトルとのデータを以下に示す。
MS:測定値m/z 824.43[M-Na] 計算値 847.14[M]
δ:7.4-7.2(15H)、5.0-3.1(17H)、2.5-0.8(39H)
経路Jでは、3-(n-オクタデシルオキシ)-n-プロピル-α-D-キノボピラノシドナトリウム塩(構造式(11))が合成された。構造式(10)の化合物(0.007g)をエタノール(1.6mL)に溶解し、パラジウム炭素(0.032g)を加えて水素ガス雰囲気下の30℃で16時間攪拌した。反応が充分進行していることを確認した後、パラジウム活性炭素を濾別し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣にメタノール(2mL)及びトルエン(2mL)を加え激しく攪拌した後、溶媒を減圧下留去し、無色液状の混合物を得た。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルムとメタノールの混合溶液)により精製し、構造式(11)の化合物(0.004g、81.6%)を得た。
構造式(11)の化合物の質量分析、及びH-NMRスペクトルが図17及び図18に示されている。
構造式(11)の化合物の質量分析とH-NMRスペクトルとのデータを以下に示す。
MS:測定値m/z 556.16[M+Na] 計算値 576.33[M]
δ:5.0-2.8(17H)、4.8-2.8(11H)、1.0-0.8(37H)
[放射性増感剤候補化合物としての試験]
以下、被験化合物として、構造式(11)の化合物(化合物(A))と、特許文献2に記載される、放射性増感剤として用いられるスルホピラノシルアシルプロパンジオール誘導体(化合物(B))とがそれぞれ用いられ、その結果が試験別に図20及び図21に示されている。
Figure 2022054217000005
RPMI1640(Sigma-Aldrich社製)にウシ胎児血清(FBS)(Sigma-Aldrich社製)を終濃度10%となるように加えた。さらに、それにペニシリンGカリウム(明治製菓製)、及びStreptomycin(明治製菓製)をそれぞれ0.1mg/mLとなるように加えたものを、以下において培養液として用いた。また、以下、試薬としてはCellROX Green Reagnant溶液(Thermo Fisher Scientific社製)を用いた。
ヒト肺胞基底上皮腺癌細胞株A549細胞をRPMI1640培地に懸濁し(1.0×10^5個/mL)、96well-plateに100μLずつ分注した。その後、37℃、5%CO飽湿条件下にて培養してplateに付着させ、24時間培養後培地を吸引除去し、細胞をPBSで洗浄した。次いで、PBS、及びPBSに懸濁した被験化合物(10%PBS含有)をそれぞれ100μL別に添加した。37℃、5%CO飽湿条件下にてその培地を1時間培養した後、CellROX Green Reagnant溶液を各wellに最終濃度5μLとなるように添加し、再び37℃、5%CO飽湿条件下にて30分培養した。30分の培養終了後、PBSで洗浄し、励起波長485nm、検出波長520nmの蛍光強度を確認した。各被験化合物でのROS産生量比を、被験化合物を含まないPBSのみを添加したwellの蛍光強度の値を1として算出した。
ここで算出されたROS産生量比が図20に示されている。化合物(A)は、化合物(B)のようなスルホピラノシルアシルプロパンジオール誘導体と同様にヒト肺胞基底上皮腺癌細胞株A549細胞に対してROS産生を誘導することが認められた。従って、本発明に係る一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、放射線増感剤、又は生体内で活性酸素を放出するための試薬として使用することができる。
[加水分解耐性の試験]
被験化合物と有機合成用リパーゼ(富士フィルム和光純薬製、リパーゼPSアマノSD)とをそれぞれ1.3μg/μLとなるようにPBSで調整した。次いで、その反応溶液を展開溶媒(クロロホルム:メタノール=1:1)を用いてTLCで展開して分析した。展開を行う反応溶液としては、反応進行前、2時間時点、及び4時間時点のサンプルが用いられた。また、被験化合物として化合物(A)を用いた反応溶液については、反応18時間時点でのサンプルについても分析を行った。TLCとしてはTLCアルミシート シリカゲル60 F254(Merck製)を使用した。
分析の結果が図21に示されている。被験化合物として化合物(B)のようなスルホピラノシルアシルプロパンジオール誘導体を用いた場合には、反応開始4時間時点で被験化合物が完全に分解することが確認された。一方で、被験化合物として化合物(A)を用いた場合には、反応18時間時点でも被験化合物が完全には分解されていないことが確認された。この結果から、化合物(A)は、スルホピラノシルアシルプロパンジオール誘導体よりも優れた加水分解耐性を有することが示された。
したがって、本発明に従う一般式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩はリパーゼに対して安定であり、スルホピラノシルアシルプロパンジオール誘導体と比較して、がん組織においてより長時間持続的に増感剤として有効性を表すことが示された。
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
本発明の目的を達成するために、例えば、一実施形態に係る化合物は以下の構成を備える。すなわち、下記式(I)によって表される化合物又はその塩である。
Figure 2022054217000029
前記式(I)中、R 10 ~C 26 の脂肪族炭化水素基である。

Claims (3)

  1. 下記式(I)によって表される化合物又はその塩。
    Figure 2022054217000006
    前記式(I)中、RはC~C26の脂肪族炭化水素基である。
  2. はC10~C26の脂肪族炭化水素基であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  3. はオクタデシル基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化合物又はその塩。
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