JP2022054130A - ファンユニット、およびそれを備えた空気処理システム - Google Patents

ファンユニット、およびそれを備えた空気処理システム Download PDF

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【課題】本開示が解決しようとする課題は、運転中に逆流の発生・非発生を判断することができるファンユニットを実現することである。【解決手段】 第2ユニット30では、第2コントローラ52が、回転数、風量または風速、および前後差圧の内の2つの値から残り1つの値を導き出す関係式に、リアルタイムで取得可能な回転数と風量または風速を代入して前後差圧が算出し、算出した前後差圧が、正常ならば起こり得ない範囲にある場合に逆流が発生していると判断する。それゆえ、高価な圧力センサ、指向性風速センサを用いることなく、逆流の発生を検知することができる。【選択図】図13

Description

熱交換した空気を送風するファンを備えるファンユニットに関する。
一般に、ダクトを介して空気を搬送するファンユニットでは、空気が搬送方向と反対の方向に流れる逆流を防止する対策が採られている。例えば、特許文献1(特開平5-118635号公報)には、運転停止時の空気の逆流を防止するダンパーを設けたファンユニットが開示されている。
しかしながら、ファンユニットがダクトを介して他のユニットと接続されている場合、他のユニットの影響を受け、運転中のファンユニットに逆流が生じることがある。
それゆえ、運転中に逆流の発生・非発生を判断することができるファンユニットの実現、という課題が存在する。
第1観点のファンユニットは、ダクトを介して所定のユニットに接続されるファンユニットであって、回転数可変のファンと、ケーシングと、第1取得部と、第2取得部と、制御部とを備えている。ケーシングは、吸込口および吹出口を有し、ファンを収容する。第1取得部は、ファンを駆動するファンモータの回転数を取得する。第2取得部は、ファンの風量または風速を取得する。制御部は、ファンの回転数を制御する。また、制御部は、回転数、風量または風速、およびケーシングの吸込口と吹出口との空気の圧力差である前後差圧の内の2つの値から残り1つの値を導き出す関係式に基づいて、空気がケーシングの吹出口から吸込口へ流れる逆流が発生しているか否かを判断する。
このファンユニットは、回転数、風量または風速、および前後差圧の内の2つの値から残り1つの値を導き出す関係式は、リアルタイムで取得可能な回転数と風量または風速を代入するだけで前後差圧を算出することができ、算出した前後差圧が、正常ならば起こり得ない範囲にある場合に逆流が発生していると判断できる。それゆえ、高価な圧力センサ、指向性風速センサを用いることなく、逆流の発生を検知することができる。
第2観点のファンユニットは、第1観点のファンユニットであって、制御部が、関係式に基づき、回転数と、風量または風速と、から算出した前後差圧が負の値のとき、逆流が発生していると判断する。
このファンユニットでは、逆流が発生していないとき、制御部が回転数および風量または風速から算出した前後差圧は正の値である。例えば、現在の風速よりも絶対値で大きい風速の逆流が発生すると、風速センサは風向きまで検知できないので、制御部は、回転数Nxと、増加した風速とから前後差圧を算出するので、理論上、負の値となる。算出した前後差圧の値が負か否かによって、空気の逆流の発生・非発生を判断できるので、高価な圧力センサ、指向性風速センサを用いることなく、逆流の発生を検知することができる。
第3観点のファンユニットは、第2観点のファンユニットであって、制御部が、逆流が発生していると判断したとき、関係式に基づき算出する前後差圧が正の値になるまで、ファンモータの回転数を増加させる。
このファンユニットでは、逆流が発生しない限界の回転数に設定することもできる。
第4観点のファンユニットは、第1観点または第2観点のファンユニットであって、制御部が、逆流が発生していると判断したとき、関係式に基づいて、空気の流れが吸込口から吹出口への流れに切り換わる、ファンモータの回転数を決定する。
このファンユニットでは、逆流発生から逆流解消までの回復時間を(第3観点に比べて)短くすることができる。
第5観点の空気処理システムは、空気処理ユニットと、メインダクトと第1ダクトおよび第2ダクトとを含むダクトと、第1ファンユニットと、第2ファンユニットとを備えている。空気処理ユニットは、空気に対し所定の処理を行う。メインダクトは、空気処理ユニットに接続される。第1ダクトおよび第2ダクトは、メインダクトから分岐する。第1ファンユニットは、第1観点から第4観点のいずれか1つのファンユニットであって、第1ダクトに接続される。第2ファンユニットは、第1観点から第4観点のいずれか1つのファンユニットであって、第2ダクトに接続される。制御部は、第1制御部と、第2制御部とを含む。第1制御部は、空気処理ユニットに設けられている。第2制御部は、第1ファンユニットおよび第2ファンユニットそれぞれに設けられている。第2制御部は、逆流が発生していると判断したときは、第1制御部に第1信号を送る。第1制御部は、第1信号を受信したとき、第2制御部に対して逆流を解消する第1ファンユニットおよび第2ファンユニットそれぞれの風量目標値を決定する。
この空気処理システムでは、ファンユニットが単独で逆流を解消する風量を設定しても、他のファンユニットの風量変化、空気処理ユニットの風量変化によって再発する可能性が高い。それゆえ、空気処理ユニットが第1および第2ファンユニットの風量目標値を設定する場合、空気処理対象空間に必要な総風量を考慮した上で、逆流を回避する第1および第2ファンユニットの風量目標値を決定するので、逆流解消の信頼性が高い。
第6観点の空気処理システムは、第5観点の空気処理システムであって、空気処理ユニットが、ファンを有している。第1制御部は、第1信号を受信したとき、空気処理ユニットのファンの回転数を段階的に増加させる。
本開示の一実施形態に係るファンユニットを搭載した空気処理システムの構成を示す概念図である。 コントローラの構成を説明するためのブロック図である。 ダクト長さをパラメータとして、風量とダクト抵抗との関係を示したグラフである。 ファンモータの回転数を1[r/m]変更したときの風量変化量を、第2ユニットの前後差圧を変えて測定した結果を示すグラフである。 前後差圧をパラメータとして、風量とファンモータの回転数との関係を示したグラフである。 前後差圧をパラメータとして、風量とファンモータの回転数との関係を示したグラフである。 前後差圧をパラメータとして、風速とファンモータ回転数との関係を示したグラフである。 図7から導き出した前後差圧と係数および定数項との関係を示すグラフである。 前後差圧をパラメータとして、風量とファンモータの回転数との関係を示したグラフである。 風速とファンモータの回転数との関係を示すグラフである。 風量制御のフローチャートである。 前後差圧をパラメータとして、風速とファンモータの回転数との関係を示すグラフであって、図7を編集したグラフである。 第2コントローラが逆流を検知して逆流を解消する逆流検知制御のフローチャートである。 第1変形例に係る逆流検知制御のフローチャートである。 第2変形例に係る逆流検知制御のフローチャートである。 他の実施形態に係るファンユニットを搭載した空気処理システムの構成図である。 さらに他の実施形態に係るファンユニットを搭載した空気処理システムの構成図である。
(1)全体構成
図1は、本開示の一実施形態に係るファンユニットを搭載した空気処理システム10の構成図である。図1において、空気処理システム10は、第1ユニット20と、複数の第2ユニット30と、ダクト40と、コントローラ50とを備えている。本願では、説明の便宜上、ファンユニットを第2ユニット30とし、図1平面視左側の第2ユニット30を左第2ユニット30Lと呼び、図1平面視右側の第2ユニット30を右第2ユニット30Rと呼ぶ。
第1ユニット20は、第1ファン21を有する。各第2ユニット30は、第2ファン31を有する。各第2ファン31は、空気を第2ユニット30から対象空間100に供給する。
対象空間100は、例えば、建物内の部屋である。部屋は、例えば、床、天井及び壁によって空気の移動が制限された空間である。1つまたは複数の対象空間100に対して、複数の第2ユニット30が配設される。
図1には、複数の第2ユニット30を備える空気処理システム10の代表例として、2つの第2ユニット30を備える空気処理システム10が1つの対象空間100に対して配設されている例が示されている。
第2ユニット30の個数は、3以上であってもよく、適宜設定されるものである。第2ユニット30が配設される対象空間100は、2以上であってもよい。
ダクト40は、第1ユニット20から第1ファン21により送出される第1空気SAを、複数の第2ユニット30に分配する。ダクト40は、主管41と、主管41から分岐した枝管42とを含んでいる。説明の便宜上、左第2ユニット30Lに繋がる枝管42を第1枝管42Lと呼び、右第2ユニット30Rに繋がる枝管42を第2枝管42Rと呼ぶ。
図1では、主管41が、第1ユニット20の外に配置されている場合が示されているが、主管41は、第1ユニット20の中に配置されてもよく、また第1ユニット20の中から第1ユニット20の外まで延びるように配置されてもよい。
主管41は、第1ユニット20の中に配置されている場合には、第1ユニット20のケーシング26の一部が主管41として機能する場合も含む。図1では、主管41の入口41aは、第1ユニット20に接続されている例が示されている。
第1ファン21は、第1ユニット20内に配置されている。ここでは、第1ファン21から吹出される空気は、全てダクト40に流れ込むように構成されている。
ダクト40の主管41の出口41bは、枝管42の入口42aに接続されている。主管41から枝管42に分岐させる構成として、分岐チャンバを用いた構成であってもよい。
第2ユニット30のケーシング33は、吸込口33aと吹出口33bとを有し、枝管42の複数の出口42bは、複数の第2ユニット30の吸込口33aに接続されている。
各第2ユニット30と、対象空間100とは、通風路81により繋がっている。通風路81の入口81aが第2ユニット30の吹出口33bに接続されている。各第2ファン31は、第2ユニット30の中で、ダクト40の出口42bから通風路81の入口81aに向う気流を発生させる。したがって、各第2ファン31は、枝管42の出口42bから第1空気SAを吸引している。
各第2ファン31は、モータの回転数を変更することにより各第2ユニット30の吸込口33aと吹出口33bとの空気の圧力差である前後差圧を変更することができる。各第2ファン31は、ダクト40の静圧が一定であるとすると、回転数を大きくすることにより、各第2ユニット30の前後差圧を大きくすることができる。
第2ユニット30の前後差圧が大きくなると、通風路81を流れる第1空気SAの空気量が多くなる。このように流れる空気量が変わることによって、各通風路81の出口81bから対象空間100に吹出される給気風量が変わる。
コントローラ50は、第1コントローラ51と複数の第2コントローラ52とを含んでいる。第1コントローラ51と複数の第2コントローラ52とは互いに接続されている。
第1コントローラ51は、第1ファン21のファンモータ21bの回転数を制御する。ファンモータ21bの回転数が増加すると、第1ファン21の送風量が多くなる。
1つの第2ユニット30に対して、1つの第2コントローラ52が設けられている。各第2コントローラ52は、対応する第2ファン31の風量を制御する。各第2コントローラ52は、第1コントローラ51から受信する風量目標値を記憶する。
各第2コントローラ52は、風量目標値に対して給気風量が不足していれば第2ファン31の回転数を増加させる。逆に、第2コントローラ52は、風量目標値に対して給気風量が過剰であれば、第2ファン31の回転数を減少させる。
コントローラ50は、複数の第2ファン31により対象空間100に供給される空気の空気量の情報を得る。空気量の情報は、例えば、1秒間当たり、または1分間当たりに対象空間100に供給すべき必要給気風量である。
各第2コントローラ52は、空気量の情報を第1コントローラ51に出力する。第1コントローラ51は、得られた空気量の情報を基に、第1ファン21に要求すべき出力を決定する。
説明の便宜上、左第2ユニット30Lに対応する第2コントローラ52を左第2コントローラ52Lと呼び、右第2ユニット30Rに対応する第2コントローラ52を右第2コントローラ52Rと呼ぶ。
(2)詳細構成
(2-1)第1ユニット20
第1ユニット20は、第1ファン21、熱交換器22、第1風量検出手段23、温度センサ24及び水量調整弁25を有している。
(2-1-1)熱交換器22
熱交換器22には、熱源ユニット60から熱媒体として例えば冷水または温水が供給される。熱交換器22に供給される熱媒体は、冷水または温水以外のもの、例えばブラインであってもよい。
(2-1-2)第1風量検出手段23
第1風量検出手段23には、例えば、風量センサ、風速センサまたは差圧センサを用いることができる。本実施形態では、第1風量検出手段23は、第1ファン21が送風する風量を検出する。
第1風量検出手段23は、第1コントローラ51に接続されている。第1風量検出手段23が検出した風量値は、第1風量検出手段23から第1コントローラ51に送信される。
第1風量検出手段23が検出した風量は、ダクト40の主管41を流れる風量であり、複数の第2ユニット30から対象空間100に供給される給気風量の総量でもある。
(2-1-3)温度センサ24
温度センサ24は、第1ファン21からダクト40に送られる第1空気SAの温度を検出する。温度センサ24は、第1コントローラ51に接続されている。温度センサ24が検出した値は、第1コントローラ51に入力される。
(2-1-4)水量調整弁25
第1ユニット20は、通風路82を介して、対象空間100に繋がっている。通風路82を通って対象空間100から戻ってきた第2空気RAは、第1ファン21により、熱交換器22を通ってダクト40に送り出される。
対象空間100から戻ってきたこの第2空気RAは、対象空間100の中に在った空気である。熱交換器22を通るときに、戻ってきた第2空気RAは、熱交換器22を流れる冷水または温水と熱交換して調和空気になる。
熱交換器22で熱交換をしてダクト40に送り出される第1空気SAに与えられる熱量は、水量調整弁25によって調整される。水量調整弁25の開度は、第1コントローラ51により制御される。水量調整弁25の開度が大きくなれば、熱交換器22に流れる水量が多くなり、熱交換器22と第1空気SAとの間で単位時間あたりに交換される熱量が多くなる。逆に、水量調整弁25の開度が小さくなれば、熱交換器22に流れる水量が少なくなり、熱交換器22と第1空気SAとの間の単位時間あたりの熱交換量が少なくなる。
(2-2)第2ユニット30
第2ユニット30は、第2ファン31と、第2ファン31を回転させるファンモータ31bと、第2風量検出手段32とを有している。
各ファンモータ31bは、対応する1つの第2コントローラ52に接続されており、ファンモータ31bから回転数が第2コントローラ52に送られる。各第2風量検出手段32は、対応する1つの第2コントローラ52に接続されている。
第2風量検出手段32には、例えば、風量センサ、風速センサまたは差圧センサを用いることができる。本実施形態では、第2風量検出手段32は、第2ファン31が送風する風量を検出する。
第2風量検出手段32が検出した風量値は、第2コントローラ52に入力される。第2風量検出手段32が検出した風量は、通風路81を流れる風量であり、各第2ユニット30から対象空間100に供給される給気風量でもある。
(2-3)リモートセンサ70
複数のリモートセンサ70は、温度センサの機能を有している。各リモートセンサ70は、対応する第2コントローラ52に、対象空間100の第2空気RAの温度を示すデータを送信できるように構成されている。
(2-4)コントローラ50
図2は、コントローラ50の構成を説明するためのブロック図である。図2において、コントローラ50は、第1コントローラ51と複数の第2コントローラ52とを含んでいる。第1コントローラ51と複数の第2コントローラ52とは互いに接続されている。
(2-4-1)第1コントローラ51
第1コントローラ51は、プロセッサ51aと、メモリ51bとを含む。プロセッサ51aは、メモリ51bに記憶されている第1ファン21の風量制御プログラムを読み取り、第1ファン21、各第2コントローラ52に必要な指令を出力する。
メモリ51bは、第1ファン21の風量制御プログラムの他、第1風量検出手段23および温度センサ24の検出値を随時記憶する。
プロセッサ51aは、メモリ51bに記憶された第1風量検出手段23および温度センサ24の検出値を読み取り、第1ファン21の風量目標値(対象空間100に供給すべき目標風量の総量)を演算する。
上記の記載は、一例であって、上記記載内容に限定されるものではない。
(2-4-2)第2コントローラ52
第2コントローラ52は、プロセッサ52aと、メモリ52bとを含む。プロセッサ52aは、メモリ52bに記憶されている第2ファン31の風量制御プログラムを読み取り、第2ファン31に必要な指令を出力する。
メモリ52bは、第2ファン31の風量制御プログラムの他、第1コントローラ51から出力される風量目標値、第2風量検出手段32の検出値を随時記憶する。
プロセッサ52aは、メモリ52bに記憶された風量目標値および第2風量検出手段32の検出値を読み取り、第2ファン31の回転数目標値を演算する。
上記の記載は、一例であって、上記記載内容に限定されるものではない。
(3)空気処理システム10の動作の概要
各第2コントローラ52は、それぞれに接続されているリモートセンサ70から対象空間100の温度測定値を受信する。各第2コントローラ52は、設定温度を示すデータを温度設定値として保持している。
各第2コントローラ52は温度設定値と温度測定値を第1コントローラ51に送信する。第1コントローラ51は、温度設定値と温度測定値に基づき、各第2ユニット30の風量目標値を決定する。第1コントローラ51は、風量目標値の値を各第2コントローラ52に送信する。
第1コントローラ51は、対象空間100に供給すべき目標風量の総量に応じて、各第2ファン31の風量目標値を決定して各第2コントローラ52に送信する。各第2ユニット30では、対応する第2コントローラ52によって第2ファン31の回転数が調整される。複数の第2ファン31の回転数の調整は互いに独立して行われる。
各第2コントローラ52は、給気風量を風量目標値に一致させるべく、各第2ファン31の回転数を制御する。複数の第2コントローラ52は、互いに独立して、複数の第2ファン31の回転数を制御する。各第2コントローラ52は、風量目標値に対して、第2風量検出手段32が検出した風量が小さければ、各第2ファン31の回転数を増加させる。各第2コントローラ52は、風量目標値に対して、第2風量検出手段32が検出した風量が大きければ、各第2ファン31の回転数を減少させる。
具体的な風量制御については、「(5)風量制御」の節で述べる。
(4)ダクト抵抗について
(4-1)ダクト抵抗の特性
第1ユニット20と第2ユニット30とを接続するダクト40の長さは、第2ユニット30の吹出口の位置によって異なり、また、第1ユニット20と第2ユニット30とが据え付けられる物件によっても異なる。
ダクト40内を流れる空気とダクト40の内面との間には抵抗(以後、ダクト抵抗という。)があり、ダクト40内を流れる空気の静圧は摩擦により減少する。ダクト40が長いほど、ダクト抵抗は大きくなる。
図3は、ダクト長さをパラメータとして、風量とダクト抵抗との関係を示したグラフである。図3において、ダクト抵抗は、ダクト40内を流れる空気の風量に対して非線形に変化している。したがって、風量はファンの回転数に比例しない。それゆえ、目標風量値を実現する回転数は比例的に計算できない。
(4-2)第2ユニット30の送風特性
第2ユニット30の吹出口における静圧と吸込口における静圧の差を、第2ユニット30の前後差圧という。
図4は、ファンモータ31bの回転数を1[r/m]変更したときの風量変化量を、第2ユニット30の前後差圧を変えて測定した結果を示すグラフである。変更前のファンモータ31bの回転数は100[r/m]である。
図3および図4において、温度調節をするために風量を変化させると、ダクト抵抗が変動するので、第2ユニット30の前後差圧が変化する。ファン回転数を1[r/m]変えたときに変化する風量がそのときの状況(前後差圧)によって異なるので、調整が困難である。それゆえ、ダクト抵抗の変化分を考慮してファン回転数を調整しなければ、目標風量に到達しない可能性がある。
例えば、図5に示すように、風量を10[m/min]から15[m/min]に変更する場合でも、ダクト抵抗が異なれば同じ風量変化量であっても、必要となるファンモータ31bの回転数変更量は異なる。なぜなら、風量変化によってダクト抵抗も変化するからである。したがって、ダクト抵抗の変化を考慮した風量調整機能が必要となる。
また、図1のように、主管41から分岐した枝管42がそれぞれ第2ユニット30に接続されている場合には、第2ユニット30の前後差圧が、他の第2ユニット30の風量変化や、第1ユニット20の空気吐出圧の影響を受ける。
また、図6に示すように、他の第2ユニット30の風量や、第1ユニット20からの空気吐出圧が変化して、前後差圧が図6の点線ラインまで増加した場合、ファンモータ31bの回転数を維持しただけでは、風量は10[m/min]から5[m/min]まで低下するので、当初の風量10[m/min]を維持するためには、ファンモータ31bの回転数を増加させなければならない。
一方、前後差圧が図6の2点鎖線ラインまで低下した場合、ファンモータ31bの回転数を維持し続けると、風量は10[m/min]から15[m/min]まで増加するので、当初の風量10[m/min]を維持するためには、ファンモータ31bの回転数を減少させなければならない。
したがって、第2ユニット30は、前後差圧の変化を考慮した風量維持機能も必要となる。
(5)風量制御
上記の通り、第2ユニット30の風量制御には、ダクト抵抗、他の第2ユニット30の風量、および第1ユニット20の空気吐出圧を考慮した風量維持機能が必要であることは分かった。しかしながら、第1ユニット20および第2ユニット30が据え付けられる物件、または第2ユニット30の据え付け位置によってダクト長さは変わり、そのダクト抵抗もダクト長さ、そのダクト内を流れる空気の風量によって変動する。それゆえ、従来の試運転調整によってファンモータ31bの回転数と風量との関係をデータ化することは困難である。
そこで、出願人は、ダクト抵抗の変化は前後差圧となって現れることに着目し、第2ユニット30の風量、風速または前後差圧の情報を取得して、ファンモータ31bの回転数および目標風量値を加えた変数を用いる関数によって、ファンモータ31bの回転数目標値またはファンモータ31bの回転数変更量を算出することを見出した。
これによって、事前の試験工数が低減され、およびダクト接続時の試運転が不要となる。以下、風量制御ロジックについて説明する。
(5-1)前後差圧△Pの導出
図7は、前後差圧△Pをパラメータとして、風速Vとファンモータ31bの回転数Nとの関係を示すグラフである。図7において、前後差圧△Pが同じ場合、ファンモータ31bの回転数Nは、係数aおよび定数項bを用いて、風速Vの一次式で表すことができる。
N=a×V+b [1]
図7に示す通り、前後差圧一定の場合、少なくとも3点の値を得る試験を実施することにより、[1]式を導き出すことができる。
また、図8は、図7から導き出した前後差圧△Pと係数aおよび定数項bとの関係を示すグラフである。図8において、前後差圧△Pと係数aおよび定数項bとの関係は、以下の式で表すことができる。
a=m×△P+n [2]
b=p×△P+q [3]
上記[1]、[2]および[3]式から、回転数N、風速V、前後差圧△Pの関係は、次式で表される。
N=(m×△P+n)×V+(p×△P+q) [4]
[4]式から、さらに次式が導き出される。
△P=(N-n×V-q)/(m×V+p) [5]
[5]式は、第2ファン31のファンモータ31bが回転数Nで運転したときの風速Vを計測すれば前後差圧△Pを計算することができることを意味している。
したがって、ファンモータ31bの回転数Nと、第2ファン31の風速Vまたは風量Qと、前後差圧△Pとは、それらの内の2つの値から残り1つの値が導き出される関係を有するパラメータである。
(5-2)ダクト抵抗変化を考慮した風量調整機能
上記[5]式とファンの理論式とから、回転数目標値Nyを算出する計算式を導き出すことができる。現在の前後差圧△Px、現在の風量Qx、前後差圧目標値△Pyおよび風量目標値Qyの関係は、ファンの理論式より、
△Py/△Px=(Qy/Qx) [6]
となる。
上記[5]式および[6]式より、
(Ny-n×Vy-q)/(m×Vy+p)=(Qy/Qx)×△Px [7]
となる。また、Vy=(Qy/Qx)×Vxであるので、
Ny=(Qy/Qx)×△Px×{m×(Qy/Qx)×Vx+p}+n×(Qy/Qx)×Vx+q [8]
となる。以下、この[8]式を第1関数とよぶ。
第1関数の技術的意義を、図9を参照しながら説明する。図9は、前後差圧△Pをパラメータとして、風量とファンモータ31bの回転数との関係を示すグラフである。図9において、ダクト抵抗の変化は前後差圧△Pの変化として現れる。
例えば、前後差圧50[Pa]で風量10[m/min]を維持するためのファンモータ31bの回転数は920[r/m]である。仮に、風量に関係なくダクト抵抗が一定であるならば、風量を15[m/min]に変更する場合、単に回転数を1100[r/m]にすればよい。
しかしながら、風量を変化させることによってダクト抵抗が変化する。図9によれば、風量を15[m/min]に変更することによって、ダクト抵抗の変化に起因して前後差圧が109.9[Pa]まで増加する。前後差圧が109.9[Pa]のときに風量15[m/min]を維持するためには、ファンモータ31bの回転数を1348[r/m]に維持する必要がある。
したがって、ダクト抵抗の変化を考慮した風量調整機能が必要であり、第1関数(上記[8]式)の回転数Nyはダクト抵抗の変化を考慮した回転数である。
第2コントローラ52は、第1コントローラ51からの風量指示値である風量目標値Qyが変更されたときは、第1関数を用いて、第2ファン31のファンモータ31bの回転数目標値を計算する。
(5-3)前後差圧の変化を考慮した風量調整機能
ファンモータ31bの回転数が回転数目標値に到達した後も前後差圧△Pが変動しなければ、その回転数が維持されるが、他の第2ユニット30の風量や、第1ユニット20の空気吐出圧が変化した場合に、前後差圧△Pが変動する。
図10は、風速とファンモータ31bの回転数との関係を示すグラフである。図10において、例えば、前後差圧50[Pa]で風速目標値Vyを維持するために必要なファンモータ31bの回転数は、980[r/m]である。
ここで、前後差圧△Pが図10の点線ラインまで増加した場合、ファンモータ31bの回転数980[r/m]を維持しただけでは、風速Vxまで低下するので風量が不足する。
風量目標値を維持するためには、風速をVxからVyまで戻す必要があり、ファンモータ31bの回転数を200r/m増加させて1180[r/m]にする必要がある。
このファンモータ31bの回転数変更量△Nは、[2]式および[4]式から、
△N=a×(Vy-Vx) [9]
となる。以下、この[9]式を第2関数とよぶ。
第2関数が用いられる場面は、風量目標値Qyに変更がないが、前後差圧△Pの変動でファンモータ31bの回転数の変更が必要なときの回転数変更量を計算するときである。
図11は、風量制御のフローチャートである。以下、図11を参照しながら、風量制御について説明する。
(ステップS1)
先ず、第2コントローラ52は、ステップS1において、第1コントローラ51から風量目標値Qyを受信したか否かを判定する。第2コントローラ52は、風量目標値Qyを受信したときにステップS2へ進む。また、第2コントローラ52は、風量目標値Qyを受信していないときにステップS6へ進む。
(ステップS2)
次に、第2コントローラ52は、ステップS2において、風量目標値Qyを実現する風速目標値Vyを算出する。
(ステップS3)
次に、第2コントローラ52は、ステップS3において、風速目標値VyをステップS2で算出した値に更新する。
(ステップS4)
次に、第2コントローラ52は、ステップS4において、ステップS3で更新された風速目標値Vyを実現するファンモータ31bの回転数目標値Nyを、第1関数を用いて算出する。
(ステップS5)
次に、第2コントローラ52は、ステップS5において、ファンモータ31bの回転数目標値をステップS4で計算された値Nyへ更新する。第2コントローラ52は、回転数目標値をNyへ更新した後、ファンモータ31bの回転数が目標値になるように制御する。
(ステップS6)
次に、第2コントローラ52は、ステップS6において、第2風量検出手段32の検出値を現在の風速Vxとして取得する。
(ステップS7)
次に、第2コントローラ52は、ステップS7において、風速目標値Vyと現在の風速Vxとの差を算出する。
(ステップS8)
次に、第2コントローラ52は、ステップS8において、前後差圧△Pを算出する。
(ステップS9)
次に、第2コントローラ52は、ステップS9において、制御パラメータとしての係数aを算出する。
(ステップS10)
次に、第2コントローラ52は、ステップS10において、ステップS7で算出した風速目標値Vyと現在の風速Vxとの差と、ステップS9で算出した係数aとを第2関数に適用して回転数変更量△Nを算出する。
(ステップS11)
次に、第2コントローラ52は、ステップS11において、ステップS10で算出した回転数変更量△Nに基づき回転数目標値Nyを算出する。
(ステップS12)
次に、第2コントローラ52は、ステップS12において、回転数をステップS11で算出した回転数目標値Nyへ更新する。そして、第2コントローラ52は、ステップS1へ戻る。
上記の通り、第1コントローラ51から風量目標値の指示があるときはステップS1からステップS5までの第1プログラムを実行し、第1コントローラ51から風量目標値の指示がないときはステップS6からステップS12までの第2プログラムを実行する。
第1プログラムは第1関数を用いて回転数目標値を算出するプログラムであり、第2プログラムは第2関数を用いて回転数変更量を算出するプログラムである。
また、第2関数を用いて回転数目標値Nyを算出することもでき、且つ第2コントローラ52は第1プログラムと第2プログラムとを切換可能であるので、第2ユニット30では、新たな風量目標値Qyまたは風速目標値Vyを取得した場合でも、第1関数を用いずに、第2関数で回転数変更量△Nを演算しながら回転数を制御することができる。
(5-4)逆流検知機能
(5-4-1)逆流の発生要因
ここで言う逆流とは、空気が第2ユニット30のケーシング33の吹出口33bから吸込口33aへ流れる現象である。
空気処理システム10では、図1に示すように、第1ユニット20の吹出口と第2ユニット30の吸込口33aとは主管41および枝管42によって繋がっている。また、第2ユニット30の吹出口33bと対象空間100とは通風路81によって繋がっている。
第2ユニット30の第2ファン31だけが稼働する場合、主管41、枝管42および通風路81の全抵抗に相当する圧力まで昇圧することによって対象空間100に空気を送ることができ、それゆえ、第2ユニット30の吸込口33aと吹出口33bとの空気の圧力差である前後差圧が生じる。このとき、第1ユニット20の第1ファン21が稼働して第2ファン31の昇圧量を補助した場合、前後差圧は0、若しくは0に近い値となる。
また、図1に示すように、2つの第2ユニット30は枝管42を介して繋がっているので、例えば、左第2ユニット30Lにおいて前後差圧が0のときに、右第2ユニット30Rの風量が増加した場合、空気が左第2ユニット30Lの吹出口33bから吸込口33aの方向に空気が引っ張られ、逆流が生じる。
(5-4-2)逆流検知の方法
逆流が発生していないときは吸込口33aの圧力は吹出口33bの圧力よりも小さいが、逆流が発生しているときは吸込口33aの圧力は吹出口33bの圧力よりも大きくなる。それゆえ、圧力センサまたは指向性のある風速センサを用いれば簡単に逆流を検知することができるが、経済的負担が大きい。
そこで、出願人は、「(5-1)前後差圧△Pの導出」の節で説明した[1]式および[5]式を用いて、計算によって逆流の発生を判断する方法を見出した。
図12は、前後差圧△Pをパラメータとして、風速Vとファンモータ31bの回転数Nとの関係を示すグラフであって、図7を編集したグラフである。図12において、前後差圧0における[1]式の係数aおよび定数項bそれぞれをu,vとしたとき、前後差圧△P=0における風速Vと回転数Nとの関係式は、N=u×V+vである。
例えば、第2ユニット30が正常に送風しているとき、第2コントローラ52が取得している回転数Na、第2風量検出手段32が検出した風速Vaを図12のグラフ上にプロットすると、ポイント(Va,Na)は前後差圧0における関係式[N=u×V+v]の特性線上、若しくは当該特性線よりも上側にプロットされる。
しかし、第2ユニット30に逆流が発生しているとき、第2コントローラ52が取得している回転数Nb、第2風量検出手段32が検出した風速Vbを図12のグラフ上にプロットすると、ポイント(Vb,Nb)は、前後差圧△P=0における関係式[N=u×V+v]の特性線よりも下側にプロットされる。
これは、逆流が発生しているときは、Nb<u×Vb+vとなり、前後差圧△Pが負の値であることを意味する。
「(5-1)前後差圧△Pの導出」の節で説明した通り、ファンモータ31bの回転数N、第2ファン31の風速V、および前後差圧△Pは、それらの内の2つの値から残り1つの値が導き出される関係を有している。それゆえ、当該関係を示す[5]式:△P=(N-n×V-q)/(m×V+p)に、回転数Nと、風速Vの実測値を代入することによって、前後差圧△Pを計算することができる。
したがって、第2コントローラ52は、[5]式に、第2コントローラ52が取得している回転数Nと、第2風量検出手段32が検出した風速Vを代入して得られた前後差圧△Pが負の値であった場合、逆流が発生していると判断することができる。
(5-4-3)逆流検知制御
図13は、第2コントローラ52が逆流を検知して逆流を解消する逆流検知制御のフローチャートである。図13において、第2コントローラ52は、ステップS21からステップS26までの制御フローを、図11のステップS1からステップS12までの制御フローと並行して行っている。以下、左第2ユニット30Lにおいて逆流が発生する、という前提で説明する。
(ステップS21)
左第2コントローラ52Lは、ステップS21において、現在のファンモータ31bの回転数Nxを取得する。
(ステップS22)
次に、左第2コントローラ52Lは、ステップS22において、第2風量検出手段32の検出値を現在の風速Vxとして取得する。
(ステップS23)
次に、左第2コントローラ52Lは、ステップS23において、現在の前後差圧△Pxを算出する。前後差圧△Pxは、[5]式に、回転数Nxおよび風速値Vxを代入することで算出することができる。
(ステップS24)
次に、左第2コントローラ52Lは、ステップS24において、前後差圧△Pxが負の値であるか否かを判断する。左第2コントローラ52Lは、前後差圧△Pが負の値であると判断したときはステップS25へ進む。
ここでは、「前後差圧△Pが負の値である」と判断したことは、逆流を検知したことと同じである。
一方、左第2コントローラ52Lは、前後差圧△Pが正の値であると判断したときはステップS21へ戻り、逆流の検知を継続する。
(ステップS25)
次に、左第2コントローラ52Lは、ステップS25において、ファンモータ31bの回転数を、現在の回転数Nxに所定比率Cを乗じたC×Nxまで上昇させる。比率Cの初期の設定値は1.05であるが、ユーザー側で設定変更することができる。
ここでは、先のステップS24において、前後差圧△Pxが負の値であると判断し、逆流を検知したので、ファンモータ31bの回転数を漸近的に上昇させて、逆流の解消を図る。
(ステップS26)
次に、左第2コントローラ52Lは、ステップS26において、所定時間だけ待機してステップS21へ戻る。所定時間だけ待機させる目的は、ファンモータ31bの回転数を上昇させてから風速値が変化するまでの応答時間を確保するためである。所定時間の初期の設定値は1秒であるが、ユーザー側で設定変更することができる。
上記のように、空気処理システム10が稼働している間、図13に記載のステップS21からステップS26のルーティンを繰り返す。それによって、前後差圧△Pが負の値となるか否かを監視し、前後差圧△Pが負の値となったときは、逆流が発生していると判断し、ファンモータ31bの回転数を上昇させる。
この逆流検知制御のメリットは、第2コントローラ52単独で逆流を解消することができることである。
さらに、ファンモータ31bの回転数を漸近的に上昇させるので、逆流を解消するために回転数に余裕をとり過ぎることを、回避することができる、というメリットもある。
(6)逆流検知制御の変形例
(6-1)第1変形例
図13に記載の制御では、第2コントローラ52は逆流を検知後、第2コントローラ52単独で逆流を解消しているが、第1変形例では、第1コントローラ51と協業して逆流を解消する
図14は、第1変形例に係る逆流検知制御のフローチャートである。図14において、図13との相違点は、ステップS25およびステップS26がステップ25xおよびステップS26xに置き換わった点である。
第2コントローラ52は、ステップS21からステップS26xまでの制御フローを、図11のステップS1からステップS12までの制御フローと並行して行っている。
ステップS21からステップS24までは既に説明しているので、ここではステップ25xおよびステップS26xを説明する。
(ステップS25x)
左第2コントローラ52Lは、ステップS25xにおいて、前後差圧△Pxが負の値であることを第1コントローラ51に通知する。具体的には、予め設定された「前後差圧△Pxが負の値である」ことを示す信号Pを第1コントローラ51に送信する。
(ステップS26x)
左第2コントローラ52Lから信号Pを受信した第1コントローラ51は、前後差圧△Pxが負の値であるので、逆流が発生していると判断し、逆流を解消するために、新たに風量目標値Qyを再設定する。
逆流が発生する直前、第1ユニット20は第1ファン21を動作させて第2ユニット30に吐出圧を与え、第2ユニット30は前後差圧0で風量目標値を維持する回転数を実現していたと考えられる
しかし、右第2ユニット30Rの風量が増大したことにより、第1ユニット20の第1ファン21が押し出す力よりも、右第2ユニット30Rに引っ張られる力の方が大きくなったので、左第2ユニット30Lに逆流が発生したと推定される。
それゆえ、第1コントローラ51は、第1ユニット20の吐出圧を、逆流が発生する直前の吐出圧よりも高めに設定し、或いは、左第2コントローラ52Lに指示する風量目標値Qyを、逆流が発生する直前の風量目標値にマージンを与えた値に再設定する。
風量目標値Qyが再設定され、左第2コントローラ52Lに送信されると、図11のステップS1からステップS12の制御が行われる。
以後、左第2コントローラ52Lは、図14に記載のステップS21からステップS26xのルーティンを繰り返して、逆流の発生の有無を監視する。
(6-2)第2変形例
図13に記載の制御では、第2コントローラ52は前後差圧△Pxが負の値か否かで逆流が発生しているか否かを判断しているが、第2変形例では、ファンモータ31bの実際の回転数Nxと計算上の回転数との比較によって逆流が発生しているか否かを判断する。
図15は、第2変形例に係る逆流検知制御のフローチャートである。図15において、図13との相違点は、ステップS23およびステップS24がステップS23yおよびステップS24yに置き換わった点である。
第2コントローラ52は、ステップS21からステップS26までの制御フローを、図11のステップS1からステップS12までの制御フローと並行して行っている。
ステップS21、ステップS22、ステップS25およびステップS26は既に説明しているので、ここではステップ23yおよびステップS24yについてのみ説明する。
(ステップS23y)
左第2コントローラ52Lは、ステップS23yにおいて、u×Vx+vを算出する。Vxは現在の風速である。
(ステップS24y)
次に、左第2コントローラ52Lは、ステップS24yにおいて、Nx-u×Vx+vが負の値であるか否かを判断する。左第2コントローラ52Lは、Nx-u×Vx+vが負の値であると判断したときはステップS25へ進む。
ここでは、「Nx-u×Vx+vが負の値である」と判断したことは、逆流を検知したことと同じである。
上記のように、空気処理システム10が稼働している間、図15に記載のステップS21からステップS26のルーティンを繰り返す。それによって、Nx-u×Vx+vが負の値となるか否かを監視し、Nx-u×Vx+vが負の値となったときは、逆流が発生していると判断し、ファンモータ31bの回転数を上昇させる。
この逆流検知制御のメリットは、実施形態と同様に、第2コントローラ52単独で逆流を解消することができることである。
さらに、ファンモータ31bの回転数を漸近的に上昇させるので、逆流を解消するために回転数に余裕をとり過ぎることを、回避することができる、というメリットもある。
(7)特徴
(7-1)
第2ユニット30では、第2コントローラ52が、回転数、風量または風速、および前後差圧の内の2つの値から残り1つの値を導き出す関係式に、リアルタイムで取得可能な回転数と風量または風速を代入して前後差圧を算出し、算出した前後差圧が、正常ならば起こり得ない範囲にある場合に逆流が発生していると判断する。それゆえ、高価な圧力センサ、指向性風速センサを用いることなく、逆流の発生を検知することができる。
(7-2)
第2コントローラ52は、算出した前後差圧の値が負か否かによって、空気の逆流の発生・非発生を判断することができるので、高価な圧力センサ、指向性風速センサを用いることなく、逆流の発生を検知することができる。
(7-3)
第2コントローラ52は、逆流が発生していると判断したとき、関係式に基づき算出する前後差圧が正の値になるまで、ファンモータ31bの回転数を増加させる。その結果、逆流が発生しない限界の回転数に設定することもできる。
(7-4)
第2コントローラ52は、逆流が発生していると判断したとき、関係式に基づいて、空気の流れが吸込口33aから吹出口33bへの流れに切り換わる、ファンモータ31bの回転数を決定する。その結果、逆流発生から逆流解消までの回復時間を、漸近的に回転数を上げて逆流を解消する方法よりも、短くすることができる。
(7-5)
空気処理システム10では、第2ユニット30が単独で逆流を解消する風量を設定しても、他の第2ユニット30の風量変化、第1ユニット20の風量変化によって再発する可能性が高い。それゆえ、第1ユニット20が2つの第2ユニット30の風量目標値を設定する場合、空気処理の対象空間100に必要な総風量を考慮した上で、逆流を回避する風量目標値を決定するので、逆流解消の信頼性が高い。
(7-6)
第1ユニット20では、第1コントローラ51は、第2コントローラ52から「前後差圧△Pxが負の値である」ことを示す信号Pを受信したとき、第1ユニット20のファンモータ21bの回転数を段階的に増加させる。その結果、第2ユニット30に与える吐出圧が上昇し、逆流が解消される。
(8)他の実施形態
上記実施形態では、第1ユニット20が第1ファン21を有しているが、必ずしも第1ユニット20が第1ファン21を必要とするものではない。本開示の風量制御は、ファンを有しない第1ユニットにダクトを介して接続される第2ユニットにも適用可能である。
以下、具体例を挙げて説明する。
(8-1)
図16は、他の実施形態に係るファンユニットを搭載した空気処理システム110の構成図である。図16において、空気処理システム110は、建物BLの一フロアの天井裏に配置されており、部屋の換気を行う。空気処理システム110は、空気処理ユニットとしての第1ユニット120と、給気ファンユニットとしての第2ユニット130と、排気ファンユニットとしての第3ユニット135とを備えている。
空気処理システム110は、外気ダクト150と給気ダクト160と還気ダクト170と排気ダクト180とをさらに備えている。外気ダクト150と給気ダクト160と還気ダクト170と排気ダクト180は、第1ユニット120に接続されている。
外気ダクト150は、建物BLの外へ通じる開口部104から第1ユニット120に繋がる空気流路を構成する。給気ダクト160は、第1ユニット120から部屋に設けられた吹出口102に繋がる空気流路を構成する。
還気ダクト170は、部屋に設けられた吸込口103から第1ユニット120に繋がる空気流路を構成する。排気ダクト180は、第1ユニット120から建物BLの外へ通じる開口部105に繋がる空気流路を構成する。
給気ダクト160は、分岐チャンバ191により、1つの主ダクト161から複数の分岐ダクト162に枝分かれしている。
還気ダクト170は、分岐チャンバ192により、1つの主ダクト171から複数の分岐ダクト172に枝分かれしている。
第1ユニット120は、ユニット内を通過する空気に対して、空気の中の塵埃を除去、空気の温度の変更、空気の湿度の変更、空気中の所定化学成分および所定病原体の除去を行う。
第2ユニット130は、各給気ダクト160に接続されている。第3ユニット135は、各還気ダクト170に接続されている。
空気処理システム110では、第1ユニット120がファンを有していないので、第1ユニット120内の空気の流れを、第2ユニット130と第3ユニット135が発生させる。
したがって、第2ユニット130の前後差圧の変化は主に他の第2ユニット130のファンの風量変化により生じる。また、第3ユニット135の前後差圧の変化は主に他の第3ユニット135のファンの風量変化により生じる。
空気処理システム110では、上記実施形態と同様に、回転数目標値の演算式の変数として「前後差圧」を導入しているので、刻々と変化するダクト抵抗の変化を風量目標値の演算に反映することができ、入力値(回転数)に対する出力値(風量)の応答時間の短縮を図ることができる。
また、この空気処理システム110では、1つの第2ユニット130のファンの風量変化によって残りの第2ユニット130に逆流が生じる虞がある。同様に、1つの第3ユニット135のファンの風量変化によって残りの第3ユニット135に逆流が生じる虞がある。
しかしながら、第2ユニット130では第2コントローラ152が、或いは第3ユニット135では第3コントローラ153が、回転数、風量または風速、および前後差圧の内の2つの値から残り1つの値を導き出す関係式に、リアルタイムで取得可能な回転数と風量または風速を代入して前後差圧を算出し、算出した前後差圧が、正常ならば起こり得ない範囲にある場合に逆流が発生していると判断する。
それゆえ、高価な圧力センサ、指向性風速センサを用いることなく、逆流の発生を検知することができる。
(8-2)
図17は、さらに他の実施形態に係るファンユニットを搭載した空気処理システム210の構成図である。図17において、空気処理システム210は、建物の一フロアの天井裏に配置されている。
空気処理システム210と図1の空気処理システム10との相違点は、第1ユニットが第1ファンを有していないことであり、それ以外の構成は図1の空気処理システム10と同じである。それゆえ、図1の空気処理システム10と同じ構成には同一符号を付して、説明を省略する。
第1ユニット220の利用側熱交換器22は、熱源ユニット60から熱交換に要する熱エネルギーを供給される。第1ユニット220は、利用側熱交換器22での熱交換によって調和空気を生成する。
第1ユニット220には、ダクト40が接続されている。ダクト40は、主管41および枝管42を含む。主管41の一端は、第1ユニット220に接続されている。主管41の他端は、分岐されて複数の枝管42と接続されている。1つの枝管42の終端に1つの第2ユニット30が接続されている。
各第2ユニット30は、第2ファン31を有している。第2ファン31が回転することによって、第1ユニット20で生成された調和空気がダクト40を介して第2ユニット30内に吸引され、その後、対象空間100に供給される。
各第2ファン31のファンモータ31aは個別に回転数を変更できるように構成されている。各ファンモータ31aの回転数が個別に変更されることによって、各第2ユニット30の供給空気量が個別に変更される。
空気処理システム210では、第1ユニット220がファンを有していないので、第1ユニット220内の空気の流れを、第2ユニット30が発生させる。
したがって、第2ユニット30の前後差圧の変化は主に他の第2ユニット30の第2ファン31の風量変化により生じるが、回転数目標値の演算式の変数として「前後差圧」を導入しているので、刻々と変化するダクト抵抗の変化を風量目標値の演算に反映することができ、入力値(回転数)に対する出力値(風量)の応答時間の短縮を図ることができる。
また、この空気処理システム210では、1つの第2ユニット30のファンの風量変化によって残りの第2ユニット30に逆流が生じる虞がある。
しかしながら、第2ユニット30では第2コントローラ52が、回転数、風量または風速、および前後差圧の内の2つの値から残り1つの値を導き出す関係式に、リアルタイムで取得可能な回転数と風量または風速を代入して前後差圧を算出し、算出した前後差圧が、正常ならば起こり得ない範囲にある場合に逆流が発生していると判断する。
それゆえ、高価な圧力センサ、指向性風速センサを用いることなく、逆流の発生を検知することができる。
(9)その他
(9-1)
上記実施形態および変形例では、第2風量検出手段32から取得した風速または風量に基づき、前後差圧を算出している。但し、第2ユニットの吸込口と吹出口にそれぞれ圧力センサを配置し、前後差圧値をセンサ値から計算し、前後差圧と回転数とから風速を求めても良い。
(9-2)
図7では、5つの前後差圧において、ファンモータの回転数を変化させた場合の、ファンの風速変化をみている。これは、回転数、風速、前後差圧の関係式を導くためのデータとして利用されるが、必ずしも5つの前後差圧におけるデータを必要とするものではなく、少なくとも3つの前後差圧におけるデータがあれば当該関係式を導き出すことができる。
(9-3)
上記実施形態および変形例は、第2ユニット30における前後差圧が正の値のときは空気が吸込口33aから吹出口33bへの流れ、前後差圧が負の値のときは空気が逆流する、という領域で扱われる。
例えば、第1ユニット20から第2ユニット30の昇圧量を超える程の吐出圧が与えられるような特殊な状況では、前後差圧が逆転したままでも空気が吸込口33aから吹出口33bへ流れ、前後差圧が負の値でも逆流は発生しない。それゆえ、上記実施形態および変形例は、そのような限定的な領域では利用されない。
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
10 空気処理システム
20 第1ユニット
21 第1ファン(メインファン)
21b ファンモータ
30 第2ユニット(ファンユニット)
30L 左第2ユニット(第1ファンユニット)
30R 右第2ユニット(第2ファンユニット)
31 第2ファン(ファン)
31b ファンモータ
32 第2風量検知手段(第2取得部)
33 ケーシング
40 ダクト
41 主管(メインダクト)
42L 第1枝管(第1ダクト)
42R 第2枝管(第2ダクト)
50 コントローラ(制御部)
51 第1コントローラ(第3取得部)
52 第2コントローラ(第2制御部、第1取得部)
52L 左第2コントローラ(第2制御部、第1取得部)
52R 右第2コントローラ(第2制御部、第1取得部)
特開平5-118635号公報
熱交換した空気を送風するファンを備えるファンユニットに関する。
一般に、ダクトを介して空気を搬送するファンユニットでは、空気が搬送方向と反対の方向に流れる逆流を防止する対策が採られている。例えば、特許文献1(特開平5-118635号公報)には、運転停止時の空気の逆流を防止するダンパーを設けたファンユニットが開示されている。
しかしながら、ファンユニットがダクトを介して他のユニットと接続されている場合、他のユニットの影響を受け、運転中のファンユニットに逆流が生じることがある。
それゆえ、運転中に逆流の発生・非発生を判断することができるファンユニットの実現、という課題が存在する。
第1観点のファンユニットは、ダクトを介して所定のユニットに接続されるファンユニットであって、回転数可変のファンと、ケーシングと、第1取得部と、第2取得部と、制御部とを備えている。ケーシングは、吸込口および吹出口を有し、ファンを収容する。第1取得部は、ファンを駆動するファンモータの回転数を取得する。第2取得部は、ファンの風量または風速を取得する。制御部は、ファンの回転数を制御する。また、制御部は、回転数、および風量または風速に基づいて或いはケーシングの吸込口と吹出口との空気の圧力差である前後差圧に基づいて、空気がケーシングの吹出口から吸込口へ流れる逆流が発生しているか否かを判断する。
このファンユニットは、制御部が回転数、風量または風速、および前後差圧の内の2つの値から残り1つの値を導き出す関係式をメモリに格納している。当該関係式は、リアルタイムで取得可能な回転数と風量または風速を代入するだけで前後差圧を算出することができ、算出した前後差圧が、正常ならば起こり得ない範囲にある場合に逆流が発生していると判断できる。それゆえ、高価な圧力センサ、指向性風速センサを用いることなく、逆流の発生を検知することができる。
第2観点のファンユニットは、第1観点のファンユニットであって、制御部が、回転数、風量または風速、および前後差圧の内の2つの値から残り1つの値を導き出す関係式に基づき、回転数と、風量または風速と、から算出した前後差圧が負の値のとき、逆流が発生していると判断する。
このファンユニットでは、逆流が発生していないとき、制御部が回転数および風量または風速から算出した前後差圧は正の値である。例えば、現在の風速よりも絶対値で大きい風速の逆流が発生すると、風速センサは風向きまで検知できないので、制御部は、回転数Nxと、増加した風速とから前後差圧を算出するので、理論上、負の値となる。算出した前後差圧の値が負か否かによって、空気の逆流の発生・非発生を判断できるので、高価な圧力センサ、指向性風速センサを用いることなく、逆流の発生を検知することができる。
第3観点のファンユニットは、第2観点のファンユニットであって、制御部が、逆流が発生していると判断したとき、関係式に基づき算出する前後差圧が正の値になるまで、ファンモータの回転数を増加させる。
このファンユニットでは、逆流が発生しない限界の回転数に設定することもできる。
第4観点のファンユニットは、第2観点のファンユニットであって、制御部が、逆流が発生していると判断したとき、関係式に基づいて、空気の流れが吸込口から吹出口への流れに切り換わる、ファンモータの回転数を決定する。
このファンユニットでは、逆流発生から逆流解消までの回復時間を(第3観点に比べて)短くすることができる。
第5観点の空気処理システムは、空気処理ユニットと、メインダクトと第1ダクトおよび第2ダクトとを含むダクトと、第1ファンユニットと、第2ファンユニットとを備えている。空気処理ユニットは、空気に対し所定の処理を行う。メインダクトは、空気処理ユニットに接続される。第1ダクトおよび第2ダクトは、メインダクトから分岐する。第1ファンユニットは、第1観点から第4観点のいずれか1つのファンユニットであって、第1ダクトに接続される。第2ファンユニットは、第1観点から第4観点のいずれか1つのファンユニットであって、第2ダクトに接続される。制御部は、第1制御部と、第2制御部とを含む。第1制御部は、空気処理ユニットに設けられている。第2制御部は、第1ファンユニットおよび第2ファンユニットそれぞれに設けられている。第2制御部は、逆流が発生していると判断したときは、第1制御部に第1信号を送る。第1制御部は、第1信号を受信したとき、第2制御部に対して逆流を解消する第1ファンユニットおよび第2ファンユニットそれぞれの風量目標値を決定する。
この空気処理システムでは、ファンユニットが単独で逆流を解消する風量を設定しても、他のファンユニットの風量変化、空気処理ユニットの風量変化によって再発する可能性が高い。それゆえ、空気処理ユニットが第1および第2ファンユニットの風量目標値を設定する場合、空気処理対象空間に必要な総風量を考慮した上で、逆流を回避する第1および第2ファンユニットの風量目標値を決定するので、逆流解消の信頼性が高い。
第6観点の空気処理システムは、第5観点の空気処理システムであって、空気処理ユニットが、ファンを有している。第1制御部は、第1信号を受信したとき、空気処理ユニットのファンの回転数を段階的に増加させる。
本開示の一実施形態に係るファンユニットを搭載した空気処理システムの構成を示す概念図である。 コントローラの構成を説明するためのブロック図である。 ダクト長さをパラメータとして、風量とダクト抵抗との関係を示したグラフである。 ファンモータの回転数を1[r/m]変更したときの風量変化量を、第2ユニットの前後差圧を変えて測定した結果を示すグラフである。 前後差圧をパラメータとして、風量とファンモータの回転数との関係を示したグラフである。 前後差圧をパラメータとして、風量とファンモータの回転数との関係を示したグラフである。 前後差圧をパラメータとして、風速とファンモータ回転数との関係を示したグラフである。 図7から導き出した前後差圧と係数および定数項との関係を示すグラフである。 前後差圧をパラメータとして、風量とファンモータの回転数との関係を示したグラフである。 風速とファンモータの回転数との関係を示すグラフである。 風量制御のフローチャートである。 前後差圧をパラメータとして、風速とファンモータの回転数との関係を示すグラフであって、図7を編集したグラフである。 第2コントローラが逆流を検知して逆流を解消する逆流検知制御のフローチャートである。 第1変形例に係る逆流検知制御のフローチャートである。 第2変形例に係る逆流検知制御のフローチャートである。 他の実施形態に係るファンユニットを搭載した空気処理システムの構成図である。 さらに他の実施形態に係るファンユニットを搭載した空気処理システムの構成図である。
(1)全体構成
図1は、本開示の一実施形態に係るファンユニットを搭載した空気処理システム10の構成図である。図1において、空気処理システム10は、第1ユニット20と、複数の第2ユニット30と、ダクト40と、コントローラ50とを備えている。本願では、説明の便宜上、ファンユニットを第2ユニット30とし、図1平面視左側の第2ユニット30を左第2ユニット30Lと呼び、図1平面視右側の第2ユニット30を右第2ユニット30Rと呼ぶ。
第1ユニット20は、第1ファン21を有する。各第2ユニット30は、第2ファン31を有する。各第2ファン31は、空気を第2ユニット30から対象空間100に供給する。
対象空間100は、例えば、建物内の部屋である。部屋は、例えば、床、天井及び壁によって空気の移動が制限された空間である。1つまたは複数の対象空間100に対して、複数の第2ユニット30が配設される。
図1には、複数の第2ユニット30を備える空気処理システム10の代表例として、2つの第2ユニット30を備える空気処理システム10が1つの対象空間100に対して配設されている例が示されている。
第2ユニット30の個数は、3以上であってもよく、適宜設定されるものである。第2ユニット30が配設される対象空間100は、2以上であってもよい。
ダクト40は、第1ユニット20から第1ファン21により送出される第1空気SAを、複数の第2ユニット30に分配する。ダクト40は、主管41と、主管41から分岐した枝管42とを含んでいる。説明の便宜上、左第2ユニット30Lに繋がる枝管42を第1枝管42Lと呼び、右第2ユニット30Rに繋がる枝管42を第2枝管42Rと呼ぶ。
図1では、主管41が、第1ユニット20の外に配置されている場合が示されているが、主管41は、第1ユニット20の中に配置されてもよく、また第1ユニット20の中から第1ユニット20の外まで延びるように配置されてもよい。
主管41は、第1ユニット20の中に配置されている場合には、第1ユニット20のケーシング26の一部が主管41として機能する場合も含む。図1では、主管41の入口41aは、第1ユニット20に接続されている例が示されている。
第1ファン21は、第1ユニット20内に配置されている。ここでは、第1ファン21から吹出される空気は、全てダクト40に流れ込むように構成されている。
ダクト40の主管41の出口41bは、枝管42の入口42aに接続されている。主管41から枝管42に分岐させる構成として、分岐チャンバを用いた構成であってもよい。
第2ユニット30のケーシング33は、吸込口33aと吹出口33bとを有し、枝管42の複数の出口42bは、複数の第2ユニット30の吸込口33aに接続されている。
各第2ユニット30と、対象空間100とは、通風路81により繋がっている。通風路81の入口81aが第2ユニット30の吹出口33bに接続されている。各第2ファン31は、第2ユニット30の中で、ダクト40の出口42bから通風路81の入口81aに向う気流を発生させる。したがって、各第2ファン31は、枝管42の出口42bから第1空気SAを吸引している。
各第2ファン31は、モータの回転数を変更することにより各第2ユニット30の吸込口33aと吹出口33bとの空気の圧力差である前後差圧を変更することができる。各第2ファン31は、ダクト40の静圧が一定であるとすると、回転数を大きくすることにより、各第2ユニット30の前後差圧を大きくすることができる。
第2ユニット30の前後差圧が大きくなると、通風路81を流れる第1空気SAの空気量が多くなる。このように流れる空気量が変わることによって、各通風路81の出口81bから対象空間100に吹出される給気風量が変わる。
コントローラ50は、第1コントローラ51と複数の第2コントローラ52とを含んでいる。第1コントローラ51と複数の第2コントローラ52とは互いに接続されている。
第1コントローラ51は、第1ファン21のファンモータ21bの回転数を制御する。ファンモータ21bの回転数が増加すると、第1ファン21の送風量が多くなる。
1つの第2ユニット30に対して、1つの第2コントローラ52が設けられている。各第2コントローラ52は、対応する第2ファン31の風量を制御する。各第2コントローラ52は、第1コントローラ51から受信する風量目標値を記憶する。
各第2コントローラ52は、風量目標値に対して給気風量が不足していれば第2ファン31の回転数を増加させる。逆に、第2コントローラ52は、風量目標値に対して給気風量が過剰であれば、第2ファン31の回転数を減少させる。
コントローラ50は、複数の第2ファン31により対象空間100に供給される空気の空気量の情報を得る。空気量の情報は、例えば、1秒間当たり、または1分間当たりに対象空間100に供給すべき必要給気風量である。
各第2コントローラ52は、空気量の情報を第1コントローラ51に出力する。第1コントローラ51は、得られた空気量の情報を基に、第1ファン21に要求すべき出力を決定する。
説明の便宜上、左第2ユニット30Lに対応する第2コントローラ52を左第2コントローラ52Lと呼び、右第2ユニット30Rに対応する第2コントローラ52を右第2コントローラ52Rと呼ぶ。
(2)詳細構成
(2-1)第1ユニット20
第1ユニット20は、第1ファン21、熱交換器22、第1風量検出手段23、温度センサ24及び水量調整弁25を有している。
(2-1-1)熱交換器22
熱交換器22には、熱源ユニット60から熱媒体として例えば冷水または温水が供給される。熱交換器22に供給される熱媒体は、冷水または温水以外のもの、例えばブラインであってもよい。
(2-1-2)第1風量検出手段23
第1風量検出手段23には、例えば、風量センサ、風速センサまたは差圧センサを用いることができる。本実施形態では、第1風量検出手段23は、第1ファン21が送風する風量を検出する。
第1風量検出手段23は、第1コントローラ51に接続されている。第1風量検出手段23が検出した風量値は、第1風量検出手段23から第1コントローラ51に送信される。
第1風量検出手段23が検出した風量は、ダクト40の主管41を流れる風量であり、複数の第2ユニット30から対象空間100に供給される給気風量の総量でもある。
(2-1-3)温度センサ24
温度センサ24は、第1ファン21からダクト40に送られる第1空気SAの温度を検出する。温度センサ24は、第1コントローラ51に接続されている。温度センサ24が検出した値は、第1コントローラ51に入力される。
(2-1-4)水量調整弁25
第1ユニット20は、通風路82を介して、対象空間100に繋がっている。通風路82を通って対象空間100から戻ってきた第2空気RAは、第1ファン21により、熱交換器22を通ってダクト40に送り出される。
対象空間100から戻ってきたこの第2空気RAは、対象空間100の中に在った空気である。熱交換器22を通るときに、戻ってきた第2空気RAは、熱交換器22を流れる冷水または温水と熱交換して調和空気になる。
熱交換器22で熱交換をしてダクト40に送り出される第1空気SAに与えられる熱量は、水量調整弁25によって調整される。水量調整弁25の開度は、第1コントローラ51により制御される。水量調整弁25の開度が大きくなれば、熱交換器22に流れる水量が多くなり、熱交換器22と第1空気SAとの間で単位時間あたりに交換される熱量が多くなる。逆に、水量調整弁25の開度が小さくなれば、熱交換器22に流れる水量が少なくなり、熱交換器22と第1空気SAとの間の単位時間あたりの熱交換量が少なくなる。
(2-2)第2ユニット30
第2ユニット30は、第2ファン31と、第2ファン31を回転させるファンモータ31bと、第2風量検出手段32とを有している。
各ファンモータ31bは、対応する1つの第2コントローラ52に接続されており、ファンモータ31bから回転数が第2コントローラ52に送られる。各第2風量検出手段32は、対応する1つの第2コントローラ52に接続されている。
第2風量検出手段32には、例えば、風量センサ、風速センサまたは差圧センサを用いることができる。本実施形態では、第2風量検出手段32は、第2ファン31が送風する風量を検出する。
第2風量検出手段32が検出した風量値は、第2コントローラ52に入力される。第2風量検出手段32が検出した風量は、通風路81を流れる風量であり、各第2ユニット30から対象空間100に供給される給気風量でもある。
(2-3)リモートセンサ70
複数のリモートセンサ70は、温度センサの機能を有している。各リモートセンサ70は、対応する第2コントローラ52に、対象空間100の第2空気RAの温度を示すデータを送信できるように構成されている。
(2-4)コントローラ50
図2は、コントローラ50の構成を説明するためのブロック図である。図2において、コントローラ50は、第1コントローラ51と複数の第2コントローラ52とを含んでいる。第1コントローラ51と複数の第2コントローラ52とは互いに接続されている。
(2-4-1)第1コントローラ51
第1コントローラ51は、プロセッサ51aと、メモリ51bとを含む。プロセッサ51aは、メモリ51bに記憶されている第1ファン21の風量制御プログラムを読み取り、第1ファン21、各第2コントローラ52に必要な指令を出力する。
メモリ51bは、第1ファン21の風量制御プログラムの他、第1風量検出手段23および温度センサ24の検出値を随時記憶する。
プロセッサ51aは、メモリ51bに記憶された第1風量検出手段23および温度センサ24の検出値を読み取り、第1ファン21の風量目標値(対象空間100に供給すべき目標風量の総量)を演算する。
上記の記載は、一例であって、上記記載内容に限定されるものではない。
(2-4-2)第2コントローラ52
第2コントローラ52は、プロセッサ52aと、メモリ52bとを含む。プロセッサ52aは、メモリ52bに記憶されている第2ファン31の風量制御プログラムを読み取り、第2ファン31に必要な指令を出力する。
メモリ52bは、第2ファン31の風量制御プログラムの他、第1コントローラ51から出力される風量目標値、第2風量検出手段32の検出値を随時記憶する。
プロセッサ52aは、メモリ52bに記憶された風量目標値および第2風量検出手段32の検出値を読み取り、第2ファン31の回転数目標値を演算する。
上記の記載は、一例であって、上記記載内容に限定されるものではない。
(3)空気処理システム10の動作の概要
各第2コントローラ52は、それぞれに接続されているリモートセンサ70から対象空間100の温度測定値を受信する。各第2コントローラ52は、設定温度を示すデータを温度設定値として保持している。
各第2コントローラ52は温度設定値と温度測定値を第1コントローラ51に送信する。第1コントローラ51は、温度設定値と温度測定値に基づき、各第2ユニット30の風量目標値を決定する。第1コントローラ51は、風量目標値の値を各第2コントローラ52に送信する。
第1コントローラ51は、対象空間100に供給すべき目標風量の総量に応じて、各第2ファン31の風量目標値を決定して各第2コントローラ52に送信する。各第2ユニット30では、対応する第2コントローラ52によって第2ファン31の回転数が調整される。複数の第2ファン31の回転数の調整は互いに独立して行われる。
各第2コントローラ52は、給気風量を風量目標値に一致させるべく、各第2ファン31の回転数を制御する。複数の第2コントローラ52は、互いに独立して、複数の第2ファン31の回転数を制御する。各第2コントローラ52は、風量目標値に対して、第2風量検出手段32が検出した風量が小さければ、各第2ファン31の回転数を増加させる。各第2コントローラ52は、風量目標値に対して、第2風量検出手段32が検出した風量が大きければ、各第2ファン31の回転数を減少させる。
具体的な風量制御については、「(5)風量制御」の節で述べる。
(4)ダクト抵抗について
(4-1)ダクト抵抗の特性
第1ユニット20と第2ユニット30とを接続するダクト40の長さは、第2ユニット30の吹出口の位置によって異なり、また、第1ユニット20と第2ユニット30とが据え付けられる物件によっても異なる。
ダクト40内を流れる空気とダクト40の内面との間には抵抗(以後、ダクト抵抗という。)があり、ダクト40内を流れる空気の静圧は摩擦により減少する。ダクト40が長いほど、ダクト抵抗は大きくなる。
図3は、ダクト長さをパラメータとして、風量とダクト抵抗との関係を示したグラフである。図3において、ダクト抵抗は、ダクト40内を流れる空気の風量に対して非線形に変化している。したがって、風量はファンの回転数に比例しない。それゆえ、目標風量値を実現する回転数は比例的に計算できない。
(4-2)第2ユニット30の送風特性
第2ユニット30の吹出口における静圧と吸込口における静圧の差を、第2ユニット30の前後差圧という。
図4は、ファンモータ31bの回転数を1[r/m]変更したときの風量変化量を、第2ユニット30の前後差圧を変えて測定した結果を示すグラフである。変更前のファンモータ31bの回転数は100[r/m]である。
図3および図4において、温度調節をするために風量を変化させると、ダクト抵抗が変動するので、第2ユニット30の前後差圧が変化する。ファン回転数を1[r/m]変えたときに変化する風量がそのときの状況(前後差圧)によって異なるので、調整が困難である。それゆえ、ダクト抵抗の変化分を考慮してファン回転数を調整しなければ、目標風量に到達しない可能性がある。
例えば、図5に示すように、風量を10[m/min]から15[m/min]に変更する場合でも、ダクト抵抗が異なれば同じ風量変化量であっても、必要となるファンモータ31bの回転数変更量は異なる。なぜなら、風量変化によってダクト抵抗も変化するからである。したがって、ダクト抵抗の変化を考慮した風量調整機能が必要となる。
また、図1のように、主管41から分岐した枝管42がそれぞれ第2ユニット30に接続されている場合には、第2ユニット30の前後差圧が、他の第2ユニット30の風量変化や、第1ユニット20の空気吐出圧の影響を受ける。
また、図6に示すように、他の第2ユニット30の風量や、第1ユニット20からの空気吐出圧が変化して、前後差圧が図6の点線ラインまで増加した場合、ファンモータ31bの回転数を維持しただけでは、風量は10[m/min]から5[m/min]まで低下するので、当初の風量10[m/min]を維持するためには、ファンモータ31bの回転数を増加させなければならない。
一方、前後差圧が図6の2点鎖線ラインまで低下した場合、ファンモータ31bの回転数を維持し続けると、風量は10[m/min]から15[m/min]まで増加するので、当初の風量10[m/min]を維持するためには、ファンモータ31bの回転数を減少させなければならない。
したがって、第2ユニット30は、前後差圧の変化を考慮した風量維持機能も必要となる。
(5)風量制御
上記の通り、第2ユニット30の風量制御には、ダクト抵抗、他の第2ユニット30の風量、および第1ユニット20の空気吐出圧を考慮した風量維持機能が必要であることは分かった。しかしながら、第1ユニット20および第2ユニット30が据え付けられる物件、または第2ユニット30の据え付け位置によってダクト長さは変わり、そのダクト抵抗もダクト長さ、そのダクト内を流れる空気の風量によって変動する。それゆえ、従来の試運転調整によってファンモータ31bの回転数と風量との関係をデータ化することは困難である。
そこで、出願人は、ダクト抵抗の変化は前後差圧となって現れることに着目し、第2ユニット30の風量、風速または前後差圧の情報を取得して、ファンモータ31bの回転数および目標風量値を加えた変数を用いる関数によって、ファンモータ31bの回転数目標値またはファンモータ31bの回転数変更量を算出することを見出した。
これによって、事前の試験工数が低減され、およびダクト接続時の試運転が不要となる。以下、風量制御ロジックについて説明する。
(5-1)前後差圧△Pの導出
図7は、前後差圧△Pをパラメータとして、風速Vとファンモータ31bの回転数Nとの関係を示すグラフである。図7において、前後差圧△Pが同じ場合、ファンモータ31bの回転数Nは、係数aおよび定数項bを用いて、風速Vの一次式で表すことができる。
N=a×V+b [1]
図7に示す通り、前後差圧一定の場合、少なくとも3点の値を得る試験を実施することにより、[1]式を導き出すことができる。
また、図8は、図7から導き出した前後差圧△Pと係数aおよび定数項bとの関係を示すグラフである。図8において、前後差圧△Pと係数aおよび定数項bとの関係は、以下の式で表すことができる。
a=m×△P+n [2]
b=p×△P+q [3]
上記[1]、[2]および[3]式から、回転数N、風速V、前後差圧△Pの関係は、次式で表される。
N=(m×△P+n)×V+(p×△P+q) [4]
[4]式から、さらに次式が導き出される。
△P=(N-n×V-q)/(m×V+p) [5]
[5]式は、第2ファン31のファンモータ31bが回転数Nで運転したときの風速Vを計測すれば前後差圧△Pを計算することができることを意味している。
したがって、ファンモータ31bの回転数Nと、第2ファン31の風速Vまたは風量Qと、前後差圧△Pとは、それらの内の2つの値から残り1つの値が導き出される関係を有するパラメータである。
(5-2)ダクト抵抗変化を考慮した風量調整機能
上記[5]式とファンの理論式とから、回転数目標値Nyを算出する計算式を導き出すことができる。現在の前後差圧△Px、現在の風量Qx、前後差圧目標値△Pyおよび風量目標値Qyの関係は、ファンの理論式より、
△Py/△Px=(Qy/Qx) [6]
となる。
上記[5]式および[6]式より、
(Ny-n×Vy-q)/(m×Vy+p)=(Qy/Qx)×△Px [7]
となる。また、Vy=(Qy/Qx)×Vxであるので、
Ny=(Qy/Qx)×△Px×{m×(Qy/Qx)×Vx+p}+n×(Qy/Qx)×Vx+q [8]
となる。以下、この[8]式を第1関数とよぶ。
第1関数の技術的意義を、図9を参照しながら説明する。図9は、前後差圧△Pをパラメータとして、風量とファンモータ31bの回転数との関係を示すグラフである。図9において、ダクト抵抗の変化は前後差圧△Pの変化として現れる。
例えば、前後差圧50[Pa]で風量10[m/min]を維持するためのファンモータ31bの回転数は920[r/m]である。仮に、風量に関係なくダクト抵抗が一定であるならば、風量を15[m/min]に変更する場合、単に回転数を1100[r/m]にすればよい。
しかしながら、風量を変化させることによってダクト抵抗が変化する。図9によれば、風量を15[m/min]に変更することによって、ダクト抵抗の変化に起因して前後差圧が109.9[Pa]まで増加する。前後差圧が109.9[Pa]のときに風量15[m/min]を維持するためには、ファンモータ31bの回転数を1348[r/m]に維持する必要がある。
したがって、ダクト抵抗の変化を考慮した風量調整機能が必要であり、第1関数(上記[8]式)の回転数Nyはダクト抵抗の変化を考慮した回転数である。
第2コントローラ52は、第1コントローラ51からの風量指示値である風量目標値Qyが変更されたときは、第1関数を用いて、第2ファン31のファンモータ31bの回転数目標値を計算する。
(5-3)前後差圧の変化を考慮した風量調整機能
ファンモータ31bの回転数が回転数目標値に到達した後も前後差圧△Pが変動しなければ、その回転数が維持されるが、他の第2ユニット30の風量や、第1ユニット20の空気吐出圧が変化した場合に、前後差圧△Pが変動する。
図10は、風速とファンモータ31bの回転数との関係を示すグラフである。図10において、例えば、前後差圧50[Pa]で風速目標値Vyを維持するために必要なファンモータ31bの回転数は、980[r/m]である。
ここで、前後差圧△Pが図10の点線ラインまで増加した場合、ファンモータ31bの回転数980[r/m]を維持しただけでは、風速Vxまで低下するので風量が不足する。
風量目標値を維持するためには、風速をVxからVyまで戻す必要があり、ファンモータ31bの回転数を200r/m増加させて1180[r/m]にする必要がある。
このファンモータ31bの回転数変更量△Nは、[2]式および[4]式から、
△N=a×(Vy-Vx) [9]
となる。以下、この[9]式を第2関数とよぶ。
第2関数が用いられる場面は、風量目標値Qyに変更がないが、前後差圧△Pの変動でファンモータ31bの回転数の変更が必要なときの回転数変更量を計算するときである。
図11は、風量制御のフローチャートである。以下、図11を参照しながら、風量制御について説明する。
(ステップS1)
先ず、第2コントローラ52は、ステップS1において、第1コントローラ51から風量目標値Qyを受信したか否かを判定する。第2コントローラ52は、風量目標値Qyを受信したときにステップS2へ進む。また、第2コントローラ52は、風量目標値Qyを受信していないときにステップS6へ進む。
(ステップS2)
次に、第2コントローラ52は、ステップS2において、風量目標値Qyを実現する風速目標値Vyを算出する。
(ステップS3)
次に、第2コントローラ52は、ステップS3において、風速目標値VyをステップS2で算出した値に更新する。
(ステップS4)
次に、第2コントローラ52は、ステップS4において、ステップS3で更新された風速目標値Vyを実現するファンモータ31bの回転数目標値Nyを、第1関数を用いて算出する。
(ステップS5)
次に、第2コントローラ52は、ステップS5において、ファンモータ31bの回転数目標値をステップS4で計算された値Nyへ更新する。第2コントローラ52は、回転数目標値をNyへ更新した後、ファンモータ31bの回転数が目標値になるように制御する。
(ステップS6)
次に、第2コントローラ52は、ステップS6において、第2風量検出手段32の検出値を現在の風速Vxとして取得する。
(ステップS7)
次に、第2コントローラ52は、ステップS7において、風速目標値Vyと現在の風速Vxとの差を算出する。
(ステップS8)
次に、第2コントローラ52は、ステップS8において、前後差圧△Pを算出する。
(ステップS9)
次に、第2コントローラ52は、ステップS9において、制御パラメータとしての係数aを算出する。
(ステップS10)
次に、第2コントローラ52は、ステップS10において、ステップS7で算出した風速目標値Vyと現在の風速Vxとの差と、ステップS9で算出した係数aとを第2関数に適用して回転数変更量△Nを算出する。
(ステップS11)
次に、第2コントローラ52は、ステップS11において、ステップS10で算出した回転数変更量△Nに基づき回転数目標値Nyを算出する。
(ステップS12)
次に、第2コントローラ52は、ステップS12において、回転数をステップS11で算出した回転数目標値Nyへ更新する。そして、第2コントローラ52は、ステップS1へ戻る。
上記の通り、第1コントローラ51から風量目標値の指示があるときはステップS1からステップS5までの第1プログラムを実行し、第1コントローラ51から風量目標値の指示がないときはステップS6からステップS12までの第2プログラムを実行する。
第1プログラムは第1関数を用いて回転数目標値を算出するプログラムであり、第2プログラムは第2関数を用いて回転数変更量を算出するプログラムである。
また、第2関数を用いて回転数目標値Nyを算出することもでき、且つ第2コントローラ52は第1プログラムと第2プログラムとを切換可能であるので、第2ユニット30では、新たな風量目標値Qyまたは風速目標値Vyを取得した場合でも、第1関数を用いずに、第2関数で回転数変更量△Nを演算しながら回転数を制御することができる。
(5-4)逆流検知機能
(5-4-1)逆流の発生要因
ここで言う逆流とは、空気が第2ユニット30のケーシング33の吹出口33bから吸込口33aへ流れる現象である。
空気処理システム10では、図1に示すように、第1ユニット20の吹出口と第2ユニット30の吸込口33aとは主管41および枝管42によって繋がっている。また、第2ユニット30の吹出口33bと対象空間100とは通風路81によって繋がっている。
第2ユニット30の第2ファン31だけが稼働する場合、主管41、枝管42および通風路81の全抵抗に相当する圧力まで昇圧することによって対象空間100に空気を送ることができ、それゆえ、第2ユニット30の吸込口33aと吹出口33bとの空気の圧力差である前後差圧が生じる。このとき、第1ユニット20の第1ファン21が稼働して第2ファン31の昇圧量を補助した場合、前後差圧は0、若しくは0に近い値となる。
また、図1に示すように、2つの第2ユニット30は枝管42を介して繋がっているので、例えば、左第2ユニット30Lにおいて前後差圧が0のときに、右第2ユニット30Rの風量が増加した場合、空気が左第2ユニット30Lの吹出口33bから吸込口33aの方向に空気が引っ張られ、逆流が生じる。
(5-4-2)逆流検知の方法
逆流が発生していないときは吸込口33aの圧力は吹出口33bの圧力よりも小さいが、逆流が発生しているときは吸込口33aの圧力は吹出口33bの圧力よりも大きくなる。それゆえ、圧力センサまたは指向性のある風速センサを用いれば簡単に逆流を検知することができるが、経済的負担が大きい。
そこで、出願人は、「(5-1)前後差圧△Pの導出」の節で説明した[1]式および[5]式を用いて、計算によって逆流の発生を判断する方法を見出した。
図12は、前後差圧△Pをパラメータとして、風速Vとファンモータ31bの回転数Nとの関係を示すグラフであって、図7を編集したグラフである。図12において、前後差圧0における[1]式の係数aおよび定数項bそれぞれをu,vとしたとき、前後差圧△P=0における風速Vと回転数Nとの関係式は、N=u×V+vである。
例えば、第2ユニット30が正常に送風しているとき、第2コントローラ52が取得している回転数Na、第2風量検出手段32が検出した風速Vaを図12のグラフ上にプロットすると、ポイント(Va,Na)は前後差圧0における関係式[N=u×V+v]の特性線上、若しくは当該特性線よりも上側にプロットされる。
しかし、第2ユニット30に逆流が発生しているとき、第2コントローラ52が取得している回転数Nb、第2風量検出手段32が検出した風速Vbを図12のグラフ上にプロットすると、ポイント(Vb,Nb)は、前後差圧△P=0における関係式[N=u×V+v]の特性線よりも下側にプロットされる。
これは、逆流が発生しているときは、Nb<u×Vb+vとなり、前後差圧△Pが負の値であることを意味する。
「(5-1)前後差圧△Pの導出」の節で説明した通り、ファンモータ31bの回転数N、第2ファン31の風速V、および前後差圧△Pは、それらの内の2つの値から残り1つの値が導き出される関係を有している。それゆえ、当該関係を示す[5]式:△P=(N-n×V-q)/(m×V+p)に、回転数Nと、風速Vの実測値を代入することによって、前後差圧△Pを計算することができる。
したがって、第2コントローラ52は、[5]式に、第2コントローラ52が取得している回転数Nと、第2風量検出手段32が検出した風速Vを代入して得られた前後差圧△Pが負の値であった場合、逆流が発生していると判断することができる。
(5-4-3)逆流検知制御
図13は、第2コントローラ52が逆流を検知して逆流を解消する逆流検知制御のフローチャートである。図13において、第2コントローラ52は、ステップS21からステップS26までの制御フローを、図11のステップS1からステップS12までの制御フローと並行して行っている。以下、左第2ユニット30Lにおいて逆流が発生する、という前提で説明する。
(ステップS21)
左第2コントローラ52Lは、ステップS21において、現在のファンモータ31bの回転数Nxを取得する。
(ステップS22)
次に、左第2コントローラ52Lは、ステップS22において、第2風量検出手段32の検出値を現在の風速Vxとして取得する。
(ステップS23)
次に、左第2コントローラ52Lは、ステップS23において、現在の前後差圧△Pxを算出する。前後差圧△Pxは、[5]式に、回転数Nxおよび風速値Vxを代入することで算出することができる。
(ステップS24)
次に、左第2コントローラ52Lは、ステップS24において、前後差圧△Pxが負の値であるか否かを判断する。左第2コントローラ52Lは、前後差圧△Pが負の値であると判断したときはステップS25へ進む。
ここでは、「前後差圧△Pが負の値である」と判断したことは、逆流を検知したことと同じである。
一方、左第2コントローラ52Lは、前後差圧△Pが正の値であると判断したときはステップS21へ戻り、逆流の検知を継続する。
(ステップS25)
次に、左第2コントローラ52Lは、ステップS25において、ファンモータ31bの回転数を、現在の回転数Nxに所定比率Cを乗じたC×Nxまで上昇させる。比率Cの初期の設定値は1.05であるが、ユーザー側で設定変更することができる。
ここでは、先のステップS24において、前後差圧△Pxが負の値であると判断し、逆流を検知したので、ファンモータ31bの回転数を漸近的に上昇させて、逆流の解消を図る。
(ステップS26)
次に、左第2コントローラ52Lは、ステップS26において、所定時間だけ待機してステップS21へ戻る。所定時間だけ待機させる目的は、ファンモータ31bの回転数を上昇させてから風速値が変化するまでの応答時間を確保するためである。所定時間の初期の設定値は1秒であるが、ユーザー側で設定変更することができる。
上記のように、空気処理システム10が稼働している間、図13に記載のステップS21からステップS26のルーティンを繰り返す。それによって、前後差圧△Pが負の値となるか否かを監視し、前後差圧△Pが負の値となったときは、逆流が発生していると判断し、ファンモータ31bの回転数を上昇させる。
この逆流検知制御のメリットは、第2コントローラ52単独で逆流を解消することができることである。
さらに、ファンモータ31bの回転数を漸近的に上昇させるので、逆流を解消するために回転数に余裕をとり過ぎることを、回避することができる、というメリットもある。
(6)逆流検知制御の変形例
(6-1)第1変形例
図13に記載の制御では、第2コントローラ52は逆流を検知後、第2コントローラ52単独で逆流を解消しているが、第1変形例では、第1コントローラ51と協業して逆流を解消する
図14は、第1変形例に係る逆流検知制御のフローチャートである。図14において、図13との相違点は、ステップS25およびステップS26がステップ25xおよびステップS26xに置き換わった点である。
第2コントローラ52は、ステップS21からステップS26xまでの制御フローを、図11のステップS1からステップS12までの制御フローと並行して行っている。
ステップS21からステップS24までは既に説明しているので、ここではステップ25xおよびステップS26xを説明する。
(ステップS25x)
左第2コントローラ52Lは、ステップS25xにおいて、前後差圧△Pxが負の値であることを第1コントローラ51に通知する。具体的には、予め設定された「前後差圧△Pxが負の値である」ことを示す信号Pを第1コントローラ51に送信する。
(ステップS26x)
左第2コントローラ52Lから信号Pを受信した第1コントローラ51は、前後差圧△Pxが負の値であるので、逆流が発生していると判断し、逆流を解消するために、新たに風量目標値Qyを再設定する。
逆流が発生する直前、第1ユニット20は第1ファン21を動作させて第2ユニット30に吐出圧を与え、第2ユニット30は前後差圧0で風量目標値を維持する回転数を実現していたと考えられる
しかし、右第2ユニット30Rの風量が増大したことにより、第1ユニット20の第1ファン21が押し出す力よりも、右第2ユニット30Rに引っ張られる力の方が大きくなったので、左第2ユニット30Lに逆流が発生したと推定される。
それゆえ、第1コントローラ51は、第1ユニット20の吐出圧を、逆流が発生する直前の吐出圧よりも高めに設定し、或いは、左第2コントローラ52Lに指示する風量目標値Qyを、逆流が発生する直前の風量目標値にマージンを与えた値に再設定する。
風量目標値Qyが再設定され、左第2コントローラ52Lに送信されると、図11のステップS1からステップS12の制御が行われる。
以後、左第2コントローラ52Lは、図14に記載のステップS21からステップS26xのルーティンを繰り返して、逆流の発生の有無を監視する。
(6-2)第2変形例
図13に記載の制御では、第2コントローラ52は前後差圧△Pxが負の値か否かで逆流が発生しているか否かを判断しているが、第2変形例では、ファンモータ31bの実際の回転数Nxと計算上の回転数との比較によって逆流が発生しているか否かを判断する。
図15は、第2変形例に係る逆流検知制御のフローチャートである。図15において、図13との相違点は、ステップS23およびステップS24がステップS23yおよびステップS24yに置き換わった点である。
第2コントローラ52は、ステップS21からステップS26までの制御フローを、図11のステップS1からステップS12までの制御フローと並行して行っている。
ステップS21、ステップS22、ステップS25およびステップS26は既に説明しているので、ここではステップ23yおよびステップS24yについてのみ説明する。
(ステップS23y)
左第2コントローラ52Lは、ステップS23yにおいて、u×Vx+vを算出する。Vxは現在の風速である。
(ステップS24y)
次に、左第2コントローラ52Lは、ステップS24yにおいて、Nx-u×Vx+vが負の値であるか否かを判断する。左第2コントローラ52Lは、Nx-u×Vx+vが負の値であると判断したときはステップS25へ進む。
ここでは、「Nx-u×Vx+vが負の値である」と判断したことは、逆流を検知したことと同じである。
上記のように、空気処理システム10が稼働している間、図15に記載のステップS21からステップS26のルーティンを繰り返す。それによって、Nx-u×Vx+vが負の値となるか否かを監視し、Nx-u×Vx+vが負の値となったときは、逆流が発生していると判断し、ファンモータ31bの回転数を上昇させる。
この逆流検知制御のメリットは、実施形態と同様に、第2コントローラ52単独で逆流を解消することができることである。
さらに、ファンモータ31bの回転数を漸近的に上昇させるので、逆流を解消するために回転数に余裕をとり過ぎることを、回避することができる、というメリットもある。
(7)特徴
(7-1)
第2ユニット30では、第2コントローラ52が、回転数、風量または風速、および前後差圧の内の2つの値から残り1つの値を導き出す関係式に、リアルタイムで取得可能な回転数と風量または風速を代入して前後差圧を算出し、算出した前後差圧が、正常ならば起こり得ない範囲にある場合に逆流が発生していると判断する。それゆえ、高価な圧力センサ、指向性風速センサを用いることなく、逆流の発生を検知することができる。
(7-2)
第2コントローラ52は、算出した前後差圧の値が負か否かによって、空気の逆流の発生・非発生を判断することができるので、高価な圧力センサ、指向性風速センサを用いることなく、逆流の発生を検知することができる。
(7-3)
第2コントローラ52は、逆流が発生していると判断したとき、関係式に基づき算出する前後差圧が正の値になるまで、ファンモータ31bの回転数を増加させる。その結果、逆流が発生しない限界の回転数に設定することもできる。
(7-4)
第2コントローラ52は、逆流が発生していると判断したとき、関係式に基づいて、空気の流れが吸込口33aから吹出口33bへの流れに切り換わる、ファンモータ31bの回転数を決定する。その結果、逆流発生から逆流解消までの回復時間を、漸近的に回転数を上げて逆流を解消する方法よりも、短くすることができる。
(7-5)
空気処理システム10では、第2ユニット30が単独で逆流を解消する風量を設定しても、他の第2ユニット30の風量変化、第1ユニット20の風量変化によって再発する可能性が高い。それゆえ、第1ユニット20が2つの第2ユニット30の風量目標値を設定する場合、空気処理の対象空間100に必要な総風量を考慮した上で、逆流を回避する風量目標値を決定するので、逆流解消の信頼性が高い。
(7-6)
第1ユニット20では、第1コントローラ51は、第2コントローラ52から「前後差圧△Pxが負の値である」ことを示す信号Pを受信したとき、第1ユニット20のファンモータ21bの回転数を段階的に増加させる。その結果、第2ユニット30に与える吐出圧が上昇し、逆流が解消される。
(8)他の実施形態
上記実施形態では、第1ユニット20が第1ファン21を有しているが、必ずしも第1ユニット20が第1ファン21を必要とするものではない。本開示の風量制御は、ファンを有しない第1ユニットにダクトを介して接続される第2ユニットにも適用可能である。
以下、具体例を挙げて説明する。
(8-1)
図16は、他の実施形態に係るファンユニットを搭載した空気処理システム110の構成図である。図16において、空気処理システム110は、建物BLの一フロアの天井裏に配置されており、部屋の換気を行う。空気処理システム110は、空気処理ユニットとしての第1ユニット120と、給気ファンユニットとしての第2ユニット130と、排気ファンユニットとしての第3ユニット135とを備えている。
空気処理システム110は、外気ダクト150と給気ダクト160と還気ダクト170と排気ダクト180とをさらに備えている。外気ダクト150と給気ダクト160と還気ダクト170と排気ダクト180は、第1ユニット120に接続されている。
外気ダクト150は、建物BLの外へ通じる開口部104から第1ユニット120に繋がる空気流路を構成する。給気ダクト160は、第1ユニット120から部屋に設けられた吹出口102に繋がる空気流路を構成する。
還気ダクト170は、部屋に設けられた吸込口103から第1ユニット120に繋がる空気流路を構成する。排気ダクト180は、第1ユニット120から建物BLの外へ通じる開口部105に繋がる空気流路を構成する。
給気ダクト160は、分岐チャンバ191により、1つの主ダクト161から複数の分岐ダクト162に枝分かれしている。
還気ダクト170は、分岐チャンバ192により、1つの主ダクト171から複数の分岐ダクト172に枝分かれしている。
第1ユニット120は、ユニット内を通過する空気に対して、空気の中の塵埃を除去、空気の温度の変更、空気の湿度の変更、空気中の所定化学成分および所定病原体の除去を行う。
第2ユニット130は、各給気ダクト160に接続されている。第3ユニット135は、各還気ダクト170に接続されている。
空気処理システム110では、第1ユニット120がファンを有していないので、第1ユニット120内の空気の流れを、第2ユニット130と第3ユニット135が発生させる。
したがって、第2ユニット130の前後差圧の変化は主に他の第2ユニット130のファンの風量変化により生じる。また、第3ユニット135の前後差圧の変化は主に他の第3ユニット135のファンの風量変化により生じる。
空気処理システム110では、上記実施形態と同様に、回転数目標値の演算式の変数として「前後差圧」を導入しているので、刻々と変化するダクト抵抗の変化を風量目標値の演算に反映することができ、入力値(回転数)に対する出力値(風量)の応答時間の短縮を図ることができる。
また、この空気処理システム110では、1つの第2ユニット130のファンの風量変化によって残りの第2ユニット130に逆流が生じる虞がある。同様に、1つの第3ユニット135のファンの風量変化によって残りの第3ユニット135に逆流が生じる虞がある。
しかしながら、第2ユニット130では第2コントローラ152が、或いは第3ユニット135では第3コントローラ153が、回転数、風量または風速、および前後差圧の内の2つの値から残り1つの値を導き出す関係式に、リアルタイムで取得可能な回転数と風量または風速を代入して前後差圧を算出し、算出した前後差圧が、正常ならば起こり得ない範囲にある場合に逆流が発生していると判断する。
それゆえ、高価な圧力センサ、指向性風速センサを用いることなく、逆流の発生を検知することができる。
(8-2)
図17は、さらに他の実施形態に係るファンユニットを搭載した空気処理システム210の構成図である。図17において、空気処理システム210は、建物の一フロアの天井裏に配置されている。
空気処理システム210と図1の空気処理システム10との相違点は、第1ユニットが第1ファンを有していないことであり、それ以外の構成は図1の空気処理システム10と同じである。それゆえ、図1の空気処理システム10と同じ構成には同一符号を付して、説明を省略する。
第1ユニット220の利用側熱交換器22は、熱源ユニット60から熱交換に要する熱エネルギーを供給される。第1ユニット220は、利用側熱交換器22での熱交換によって調和空気を生成する。
第1ユニット220には、ダクト40が接続されている。ダクト40は、主管41および枝管42を含む。主管41の一端は、第1ユニット220に接続されている。主管41の他端は、分岐されて複数の枝管42と接続されている。1つの枝管42の終端に1つの第2ユニット30が接続されている。
各第2ユニット30は、第2ファン31を有している。第2ファン31が回転することによって、第1ユニット20で生成された調和空気がダクト40を介して第2ユニット30内に吸引され、その後、対象空間100に供給される。
各第2ファン31のファンモータ31aは個別に回転数を変更できるように構成されている。各ファンモータ31aの回転数が個別に変更されることによって、各第2ユニット30の供給空気量が個別に変更される。
空気処理システム210では、第1ユニット220がファンを有していないので、第1ユニット220内の空気の流れを、第2ユニット30が発生させる。
したがって、第2ユニット30の前後差圧の変化は主に他の第2ユニット30の第2ファン31の風量変化により生じるが、回転数目標値の演算式の変数として「前後差圧」を導入しているので、刻々と変化するダクト抵抗の変化を風量目標値の演算に反映することができ、入力値(回転数)に対する出力値(風量)の応答時間の短縮を図ることができる。
また、この空気処理システム210では、1つの第2ユニット30のファンの風量変化によって残りの第2ユニット30に逆流が生じる虞がある。
しかしながら、第2ユニット30では第2コントローラ52が、回転数、風量または風速、および前後差圧の内の2つの値から残り1つの値を導き出す関係式に、リアルタイムで取得可能な回転数と風量または風速を代入して前後差圧を算出し、算出した前後差圧が、正常ならば起こり得ない範囲にある場合に逆流が発生していると判断する。
それゆえ、高価な圧力センサ、指向性風速センサを用いることなく、逆流の発生を検知することができる。
(9)その他
(9-1)
上記実施形態および変形例では、第2風量検出手段32から取得した風速または風量に基づき、前後差圧を算出している。但し、第2ユニットの吸込口と吹出口にそれぞれ圧力センサを配置し、前後差圧値をセンサ値から計算し、前後差圧と回転数とから風速を求めても良い。
(9-2)
図7では、5つの前後差圧において、ファンモータの回転数を変化させた場合の、ファンの風速変化をみている。これは、回転数、風速、前後差圧の関係式を導くためのデータとして利用されるが、必ずしも5つの前後差圧におけるデータを必要とするものではなく、少なくとも3つの前後差圧におけるデータがあれば当該関係式を導き出すことができる。
(9-3)
上記実施形態および変形例は、第2ユニット30における前後差圧が正の値のときは空気が吸込口33aから吹出口33bへの流れ、前後差圧が負の値のときは空気が逆流する、という領域で扱われる。
例えば、第1ユニット20から第2ユニット30の昇圧量を超える程の吐出圧が与えられるような特殊な状況では、前後差圧が逆転したままでも空気が吸込口33aから吹出口33bへ流れ、前後差圧が負の値でも逆流は発生しない。それゆえ、上記実施形態および変形例は、そのような限定的な領域では利用されない。
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
10 空気処理システム
20 第1ユニット(空気処理ユニット)
21 第1ファン(メインファン)
21b ファンモータ
30 第2ユニット(ファンユニット)
30L 左第2ユニット(第1ファンユニット)
30R 右第2ユニット(第2ファンユニット)
31 第2ファン(ファン)
31b ファンモータ
32 第2風量検知手段(第2取得部)
33 ケーシング
40 ダクト
41 主管(メインダクト)
42L 第1枝管(第1ダクト)
42R 第2枝管(第2ダクト)
50 コントローラ(制御部)
51 第1コントローラ(第3取得部)
52 第2コントローラ(第2制御部、第1取得部)
52L 左第2コントローラ(第2制御部、第1取得部)
52R 右第2コントローラ(第2制御部、第1取得部)
特開平5-118635号公報

Claims (6)

  1. ダクトを介して所定のユニットに接続されるファンユニットであって、
    回転数可変のファン(31)と、
    吸込口および吹出口を有し、前記ファン(31)を収容するケーシング(33)と、
    前記ファン(31)を駆動するファンモータ(31b)の回転数(Nx)を取得する第1取得部と、
    前記ファン(31)の風量(Qx)または風速(Vx)を取得する第2取得部(32)と、
    前記ファンモータ(31b)の回転数を制御する制御部(50)と、
    を備え、
    前記制御部(50)は、前記回転数(Nx)、前記風量(Qx)または前記風速(Vx)、および前記ケーシング(33)の前記吸込口と前記吹出口との空気の圧力差である前後差圧(△Px)の内の2つの値から残り1つの値を導き出す関係式に基づいて、空気が前記ケーシング(33)の前記吹出口から前記吸込口へ流れる逆流が発生しているか否かを判断する、
    ファンユニット(30)。
  2. 前記制御部(50)は、前記関係式に基づき、前記回転数(Nx)と、前記風量(Qx)または前記風速(Vx)とから算出した前記前後差圧(△Px)が負の値のとき、前記逆流が発生していると判断する、
    請求項1に記載のファンユニット(30)。
  3. 前記制御部(50)は、前記逆流が発生していると判断したとき、前記関係式に基づき算出する前記前後差圧(△Px)が正の値になるまで、前記ファンモータ(31b)の前記回転数(Nx)を増加させる、
    請求項2に記載のファンユニット(30)。
  4. 前記制御部(50)は、前記逆流が発生していると判断したとき、前記関係式に基づいて、空気の流れが前記吸込口から前記吹出口への流れに切り換わる、前記ファンモータ(31b)の回転数を決定する、
    請求項1または請求項2に記載のファンユニット(30)。
  5. 空気に対し所定の処理を行う空気処理ユニット(20)と、
    前記空気処理ユニット(20)に接続されるメインダクト(41)と、前記メインダクト(41)から分岐する第1ダクト(42L)および第2ダクト(42R)とを含むダクト(40)と、
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のファンユニットであって、前記第1ダクト(42L)に接続される第1ファンユニット(30L)と、
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のファンユニットであって、前記第2ダクト(42R)に接続される第2ファンユニット(30R)と、
    を備え、
    前記制御部(50)は、前記空気処理ユニット(20)に設けられた第1制御部(51)と、前記第1ファンユニット(30L)および前記第2ファンユニット(30R)それぞれに設けられた第2制御部(52L,52R)を含み、
    前記第2制御部(52L,52R)は、前記逆流が発生していると判断したときは、前記第1制御部(51)に第1信号を送り、
    前記第1制御部(51)は、前記第1信号を受信したとき、前記第2制御部(52L,52R)に対して前記逆流を解消する前記第1ファンユニット(30L)および前記第2ファンユニット(30R)それぞれの風量目標値を決定する、
    空気処理システム(10)。
  6. 前記空気処理ユニット(20)は、メインファン(21)を有し、
    前記第1制御部(51)は、前記メインファン(21)を駆動するファンモータ(21b)の回転数を制御し、
    さらに前記第1制御部は、前記第1信号を受信したとき、前記ファンモータ(21b)の回転数を段階的に増加させる、
    請求項5に記載の空気処理システム(10)。
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