JP2022053454A - ステイナブル性化粧シート及び化粧シートの着色方法 - Google Patents

ステイナブル性化粧シート及び化粧シートの着色方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022053454A
JP2022053454A JP2021052273A JP2021052273A JP2022053454A JP 2022053454 A JP2022053454 A JP 2022053454A JP 2021052273 A JP2021052273 A JP 2021052273A JP 2021052273 A JP2021052273 A JP 2021052273A JP 2022053454 A JP2022053454 A JP 2022053454A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
resin
decorative sheet
adhesive layer
fabric layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021052273A
Other languages
English (en)
Inventor
夏生 杉田
Natsuo Sugita
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Publication of JP2022053454A publication Critical patent/JP2022053454A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Finishing Walls (AREA)

Abstract

【課題】ステイナブル性に極めて優れ、また安価で環境負荷が小さいステイナブル性化粧シート、及び該ステイナブル性化粧シートを用いた化粧シートの着色方法を提供する。【解決手段】基材と、前記基材の少なくとも一方の面側に設けられた接着層と、前記接着層の前記基材が設けられた面の他方の面側に設けられた不織布層と、を備え、前記不織布層は、層内の厚み方向の前記接着層が設けられた面側において、不織布層を構成する繊維の空隙の一部に前記接着層を形成する樹脂が充填してなる充填部Aを有し、前記接着層を形成する樹脂が熱可塑性ウレタン樹脂であり、前記熱可塑性ウレタン樹脂の接触角度が90.0°以下である、ステイナブル性化粧シート、及び当該ステイナブル性化粧シートを用いた化粧シートの着色方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、ステイナブル性化粧シート及び化粧シートの着色方法に関する。
主に欧米を中心として、ステイン(stain)塗料を用いて、一般消費者が自ら木材からなる建築物内装材、家具の表面材等の表面を塗装すること、木材からなる家具等表面を塗装すること(DIY:Do It Yourself)が、一般的に行われている。かかるステイン塗料は、木材内部に浸透してこれを着色させるものであり、木材自体の木目を隱蔽すること、表面に造膜することがないため、木目、照り(真珠状光沢)等の木材固有の意匠外観を生かせるという特徴を有する。
近年、建築物内裝材、家具の表面材等として、天然木ではなく、シート状基材の表面に木目模樣を印刷してなる化粧シートを積層した形態のものも用いられるようになっており、上記ステイン塗料を用いたステイン塗装に対応可能な化粧シート(以下、「ステイナブル性化粧シート」とも称する。)が製造されているようになっている。具体的には、購入者自らステイン塗料をコーティングすることによって所望の風合いとすることを想定して、当該ステイナブル性化粧シートにはステイン塗料の着肉性を担保した表面処理が施されている。
このような化粧シートとして、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂基材上に絵柄層を印刷した後、不織布と熱融着させたリコート用化粧シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。当該リコート用化粧シートは、再塗工(リコート)、すなわちステイン塗装することができ、また表面に不織布によって微細な凹凸が付与され、木材に酷似した触感を得ることができる点が消費者に好まれている。
しかし、基材としてPVC基材を用いる場合、化粧シートの価格が高くなってしまうという問題がある。また、基材としてPVC基材を用いる場合、廃棄するために焼却処分をしようとすると塩化水素(HCl)等の塩素原子を含む気体を発生してしまう環境問題が生じる場合もある。
そこで、上記問題に対して、基材として紙基材に変更した仕様として、紙基材と不織布層とを有し、当該紙基材と不織布層との接着性を向上させるため、ポリオレフィン系樹脂により構成される接着層を有するステイナブル性化粧シートが提案されている(例えば、特許文献2参照)。基材として紙基材に変更することで、紙基材と不織布との接着性を確保するため、接着層を設ける必要が生じるが、すると不織布の凹凸が失われ、木材に酷似した触感が失われるといった問題、また、紙基材に変更した化粧シートでは、耐水性及び耐溶剤性を両立させることが困難であり、ステイン塗料の溶媒(溶剤、アルコール等)が紙基材に浸透することで、化粧シートの物性が低下する場合があった。このような状況下、特許文献2に記載のステイナブル性化粧シートであれば、化粧シートの強度、質量、屈曲性等の物性を担保しつつ、水性ステイン塗料及び油性ステイン塗料等の着色剤による浸透性と着肉性とを担保する塗布適性(英語では『stainability』と呼称するが、本明細書中では名詞として使用する場合も『ステイナブル性』の語を採用する。)を両立させることが可能となっている。
特開平9-262934号公報 特開2019-61313号公報
ところで、近年在宅勤務が増加する状況下、DIYが更に一般的なものとなっており、ステイナブル性を有する化粧シートに対する要求性能がにわかに高まっており、とりわけ水性ステイン塗料及び油性ステイン塗料等の着色剤による浸透性と着肉性とを担保する塗布適性(ステイナブル性)に対する要求が厳しくなっている。そのため、特許文献2に開示されるステイナブル性化粧シート、また紙基材に限らずPVC基材その他の樹脂基材を採用したステイナブル性化粧シートについても、ステイナブル性について需要者の要望に対応できない場合が生じるようになっている。
本発明は、上記問題に鑑み、ステイナブル性に極めて優れ、また安価で環境負荷が小さいステイナブル性化粧シート、及び該ステイナブル性化粧シートを用いた化粧シートの着色方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者は鋭意研究した結果、下記の構成を有するステイナブル性化粧シートにより、上記課題を解決することを見出した。
1.基材と、
前記基材の少なくとも一方の面側に設けられた接着層と、
前記接着層の前記基材が設けられた面の他方の面側に設けられた不織布層と、
を備え、
前記不織布層は、層内の厚み方向の前記接着層が設けられた面側において、不織布層を構成する繊維の空隙の一部に前記接着層を形成する樹脂が充填してなる充填部Aを有し、
前記接着層を形成する樹脂が熱可塑性ウレタン樹脂であり、
前記熱可塑性ウレタン樹脂の接触角度が90.0°以下である、
ステイナブル性化粧シート。
2.前記不織布層の前記接着層が設けられた面の他方の面側に表面層を有し、
前記不織布層は、層内の厚み方向の前記接着層が設けられた面側において、前記充填部A、及び層内の厚み方向の前記表面層が設けられた面側において、不織布層を構成する繊維の空隙の一部に前記表面層を形成する樹脂が充填してなる充填部Bを部分的に有する、上記1に記載のステイナブル性化粧シート。
3.前記基材が、紙基材である上記1又は2に記載のステイナブル性化粧シート。
4.前記不織布層が、再生繊維から選ばれる少なくとも一種の繊維からなる上記1~3のいずれか1に記載のステイナブル性化粧シート。
5.前記表面層を形成する樹脂が、アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂及びウレタン樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂である上記2~4のいずれか1に記載のステイナブル性化粧シート。
6.前記基材と前記接着層との間に、更に装飾層を備える上記1~5のいずれか1に記載のステイナブル性化粧シート。
7.前記装飾層が、木目模様を呈するものである上記6に記載のステイナブル性化粧シート。
8.前記熱可塑性ウレタン樹脂及び前記不織布層の濡れ張力が、70mN/m以上である上記1~7のいずれか1に記載のステイナブル性化粧シート。
9.上記1~8のいずれか1に記載のステイナブル性化粧シートの前記表面層側に着色剤を塗布し、前記不織布層を着色する化粧シートの着色方法。
本発明によれば、ステイナブル性に極めて優れ、また安価で環境負荷が小さいステイナブル性化粧シート、及び該ステイナブル性化粧シートを用いた化粧シートの着色方法を提供することができる。
本実施形態のステイナブル性化粧シートの一実施形態を示す模式断面図である。 本実施形態のステイナブル性化粧シートの一実施形態を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」と称することがある。)について説明する。なお、本明細書中において、数値範囲の記載に関する「以上」、「以下」及び「~」に係る数値は任意に組み合わせできる数値であり、実施例の数値は数値範囲の上下限に用い得る数値である。
〔ステイナブル性化粧シート〕
本実施形態のステイナブル性化粧シートは、基材と、前記基材の少なくとも一方の面側に設けられた接着層と、前記接着層の前記基材が設けられた面の他方の面側に設けられた不織布層と、を備え、前記不織布層は、層内の厚み方向の前記接着層が設けられた面側において、不織布層を構成する繊維の空隙の一部に前記接着層を形成する樹脂が充填してなる充填部Aを有し、前記接着層を形成する樹脂が熱可塑性ウレタン樹脂であり、前記熱可塑性ウレタン樹脂の接触角度が90.0°以下である、ことを特徴とするものである。また、本実施形態のステイナブル性化粧シートは、前記熱可塑性ウレタン樹脂及び不織布層の濡れ張力が70mN/m以上であってもよいものである。
本実施形態のステイナブル性化粧シートは、上記の構成を有することで、ステイナブル性に極めて優れ、また安価で環境負荷が小さいという効果を発現するものとなる。これらの効果を得るにあたっては、とりわけ接着層を形成する樹脂及び不織布層の濡れやすさの指標として接触角度、場合によっては濡れ張力、接着層と不織布層とから形成する充填部A、また表面層が設けられる場合は、充填部Aに加えて接着層と表面層とから形成する充填部Bが重要な役割を果たすこととなる。
不織布層は接着層及び必要に応じて設けられる表面層との関係で、充填部A及びBという二つの充填部を有する層であるといえる。充填部Aは、接着層を形成する樹脂の少なくとも一部が不織布層に浸透することで形成するため、基材、とりわけ紙基材を採用した場合に紙基材と不織布層との優れた接着性が得られることとなる。そして、接着層を形成する樹脂として熱可塑性ウレタン樹脂を採用することで接着層の接触角度は特定の範囲となり、また不織布層も特定の接触角度を有するものを選択することで、接着層と不織布層との関係でこれらの層の接着性が向上し、基材と接着層と不織布層との接着性が優れたものとなる。接着層及び不織布層とステイン塗料との関係では、これらの層が特定の接触角度を有することで、ステイン塗料の着肉性が向上し、優れたステイナブル性が得られる。また、既述のように、接着層を形成する樹脂、不織布層の濡れ張力を特定の範囲内とすることは、ステイン塗料の着肉性が更に向上し、より優れたステイナブル性が得られるため、好ましい。
表面層を設ける場合、充填部Bは、表面層を形成する樹脂の少なくとも一部が不織布層に浸透することで形成するため、表面層とともに不織布層の毛羽立ちを良好な状態とすることで触感及びステイナブル性を付与しながら、不織布層の毛羽立ち(表面の凹凸)及び空隙による屈折率に起因する透明性の低下を抑制し、意匠性が向上する。
以下に図面を参照して、本実施形態のステイナブル性化粧シートについて説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分は同一又は類似の符号で表している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論のことである。
図1には、ステイナブル性化粧シート1が、基材10と、基材10の少なくとも一方の面11側に設けられ接着層20と、接着層20の基材10が設けられた面の他方の面側に設けられた不織布層30と、を備えることが示されている。そして、本実施形態のステイナブル性化粧シート1の不織布層30は、層内の厚み方向の接着層20が設けられた面30a側において、不織布層30を構成する繊維の空隙の一部に、接着層20を形成する樹脂が充填してなる充填部A31を部分的に有することが示されている。
図2には、図1に示されるステイナブル性化粧シート1が、更に表面層40、全面着色層51と絵柄層52とにより構成される装飾層50を有することが示されている。表面層40は、不織布層30の接着層20が設けられた面の他方の面側に設けられ、不織布層30は、層内の厚み方向の接着層20が設けられた面側において、充填部A31、及び層内の厚み方向の表面層40が設けられた面30b側において、不織布層30を構成する繊維の空隙の一部に表面層40を形成する樹脂が充填してなる充填部B33を部分的に有する、ことが示されている。不織布層30は、充填部A31及び充填部B33を部分的に有するものであり、これらの充填部以外の部分は、不織布層30を形成する不織布がそのまま残る繊維部32を有しており、不織布層30は、充填部A31、繊維部32及び充填部B33を有する層である。
(基材10)
本実施形態のステイナブル性化粧シート1が有する基材は、他の層を設けるための支持体としての機能を果たす。
基材10に採用される基材としては、紙基材、樹脂基材等から制限なく採用することが可能であり、価格の低減、環境問題の観点から、紙基材が好ましく採用される。紙基材としては、例えば、上質紙、薄葉紙、リンター紙、クラフト紙、紙間強化紙、樹脂含浸紙、壁紙用裏打紙、これらの紙に難燃剤を混抄又は含侵してなる難燃紙等を用いることができる。これらの材料は、単独で使用してもよいが、例えば、紙同士の積層体等のように、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
基材は、必要に応じて難燃剤、無機質剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、着色剤、サイズ剤、定着剤等の添加剤を適宜添加したものであってもよい。
基材10の厚さは、坪量(単位面積当たりの質量)で評価し、表示する。厚さ(すなわち坪量)には、特に制限はないが、化粧シートの耐久性、取り扱いやすさ等を考慮すると、坪量が20g/m以上150g/m以下の範囲であることが好ましく、25g/m以上120g/m以下の範囲であることがより好ましく、35g/m以上100g/m以下の範囲であることが更に好ましく、40g/m以上60g/m以下の範囲であることがより更に好ましい。
(接着層20)
接着層20は、基材10の少なくとも一方の面11側に設けられる層であり、基材10と不織布層30との接着のために設けられ、不織布層30を構成する繊維の一部に充填して充填部Aを形成する層である。
接着層20の形成に用いられる接着剤としては、樹脂として接触角度が90.0°以下となる熱可塑性ウレタン樹脂を含む樹脂が採用される。また、当該熱可塑性ウレタン樹脂は、濡れ張力が70mN/m以上という性状を有してもよい樹脂である。このような樹脂を採用することにより、基材10と不織布層30との優れた接着性が得られ、かつ優れたステイナブル性も得られる。
本実施形態において、接着層を形成する熱可塑性ウレタン樹脂の接触角度は90.0°以下である。接触角度は既述のように濡れやすさの指標となり、接触角度が90.0°であることは、濡れやすい(樹脂同士の馴染みがよい)という性状を有することを意味する。よって、接触角度が小さいほど、他の層(すなわち基材及び不織布層)との接着性が向上し、またステイン塗料との相性にも優れるため、ステイン塗料の着肉性の向上にも寄与することとなる。このような観点から、接触角度は88.0°以下が好ましく、86.0°以下がより好ましい。また下限としては特に制限はないが、他の層との接着性とステイン塗料の着肉性とのバランスを考慮すると、70.0°以上が好ましく、75.0°以上がより好ましい。
本明細書において、接触角度は、実施例における測定方法に基づき測定されるものである。
また、本実施形態において、接着層を形成する熱可塑性ウレタン樹脂の濡れ張力は、既述のように70mN/m以上であってもよい。既述のように、濡れ張力も上記の接触角度と同様に濡れやすさの指標となるものであり、濡れ張力が70mN/m以上であることは、濡れやすい(樹脂同士の馴染みがよい)という性状を有することを意味する。よって、濡れ張力が70mN/m以上であると、他の層(すなわち基材及び不織布層)との接着性が更に向上し、またステイン塗料との相性にも優れるため、ステイン塗料の着肉性も更に向上する。
本明細書において、濡れ張力は、実施例における測定方法に基づき測定されるものである。
熱可塑性ウレタン樹脂は、架橋構造を持たないウレタン樹脂であって、その骨格構造が直線状又は枝分かれした構造を有するものであり、例えばイソシアネート基とアルコール基などの水酸基を有する化合物が縮合してできるウレタン結合でモノマーを共重合させた共重合体が挙げられる。このような熱可塑性ウレタン樹脂としては、水酸基を末端に有するポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させた線状高分子からなるウレタン樹脂を挙げることができる。
ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有する化合物、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリウレタンポリオール等が挙げられる。
また、ポリイソシアネートは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、また1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環式)イソシアネートが挙げられる。また、ポリイソシアネートとしては、上記各種ポリイソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体等も挙げられる。
接着層20を形成する樹脂としては、接触角度が90.0°以下の熱可塑性ウレタン樹脂を含んでいればよく、他の樹脂を含んでもよい。熱可塑性ウレタン樹脂と組み合わせて用い得る樹脂としては、例えば1液硬化型、2液硬化型等の硬化性ウレタン樹脂の他、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、これらの樹脂を単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。特にステイナブル性を向上させる観点から、接着層20を形成する樹脂に含まれる熱可塑性ウレタン樹脂の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上、特に好ましくは100質量%、すなわち熱可塑性ウレタン樹脂のみを用いることが特に好ましい。また、このようにすることで、濡れ張力も70mN/m以上となりやすくなる。
接触角度が90.0°以下とし、ステイナブル性を向上させる観点から、熱可塑性ウレタン樹脂の性状として、接触角度に影響しやすい性状、例えば官能基数、分子中におけるウレタン結合の存在率を調整して、また水酸基価(例えば後述する水酸基を多く含む樹脂が有するものとして記載する水酸基価)等を考慮してウレタン樹脂を構成するポリオールを選択することで、所望の接触角度に調整したものであることが好ましい。また、これと同様の観点から、熱可塑性ウレタン樹脂のガラス転移点は、好ましくは-60℃以上50℃以下、より好ましくは-55℃以上45℃以下、更に好ましくは-50℃以上35℃以下、より更に好ましくは-48℃以上20℃以下である。また、このようにすることで、濡れ張力も70mN/m以上となりやすくなる。
本実施形態において接着層20を形成する上記樹脂は、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤等の添加物を適宜混合した樹脂組成物として使用することができる。すなわち、接着層20は、上記樹脂に加えて、添加物を含む樹脂組成物により形成することができる。
接着層20の厚さは、紙基材10及び不織布層30の材質、また不織布層30の厚さ等によって変わり得るため一概に数値を規定することはできないが、例えば、基材10と不織布層30との接着性、充填部A31及び繊維部32をバランスよく、また表面層40を有する場合は、充填部A31、充填部B33及び繊維部32をバランスよく形成し、ステイナブル性及び透明性をバランスよく向上させる観点、更には及び耐水性及び耐溶剤性を付与する観点から、接着層20及び充填部A31の合計の厚さとして、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは5μm以上であり、上限として不織布層30の厚さ未満であり、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは15μm以下である。なお、接着層20及び充填部A31の合計の厚さは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)等の各種電子顕微鏡を用いて撮影した断面の画像から任意の30箇所についての厚さを測定し、当該30箇所の厚さの平均値である。
(不織布層30)
不織布層30は、当該不織布層30を形成する繊維の空隙、すなわち繊維部32に、水性ステイン塗料及び油性ステイン塗料等の着色剤が入り込む着肉性を担保し、ステイナブル性を発現させる層であり、層内の厚み方向の前記接着層20が設けられた面30a側において、不織布層30を構成する繊維の空隙の一部に前記接着層20を形成する樹脂が充填してなる充填部A31を部分的に有し、また表面層40が設けられる場合は、充填部A31、及び層内の厚み方向の表面層40が設けられた面30b側において、不織布層30を構成する繊維の空隙の一部に表面層40を形成する樹脂が充填してなる充填部B33を、部分的に有する層である。
また、不織布層30は、濡れ張力が70mN/m以上であることが好ましい。上記の接触角度が90.0°以下の熱可塑性ウレタン樹脂を含む樹脂により形成される接着層20と組み合わせることにより、優れた接着性とともに優れたステイナブル性も得られる。
不織布層30を構成する繊維としては、特に制限はなく、例えば熱可塑性樹脂繊維、天然繊維、再生繊維、半合成繊維等が挙げられる。濡れ張力が70mN/m以上となりやすく、接触角度が90.0°以下である熱可塑性ウレタン樹脂を含む樹脂により形成される接着層20との組合せにより接着性とともに、ステイナブル性を向上させる観点から、熱可塑性樹脂繊維、再生繊維が好ましく、再生繊維がより好ましい。本実施形態において、当該繊維としては単独で、又は複数種を組み合わせて用いることが可能である。
熱可塑性樹脂繊維としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール(ブチラール樹脂);ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン、α-メチルスチレン等のスチレン系樹脂;ポリオキシメチレン等のアセタール樹脂;ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリジエン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、フッ素樹脂系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー;塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン-4フッ化エチレン共重合体等のフッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、液晶性ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂により構成される熱可塑性樹脂繊維が好ましく挙げられる。これらの熱可塑性樹脂繊維の中では、形態安定性を考慮すると、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂により構成される熱可塑性樹脂繊維が好ましく、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂により構成される熱可塑性樹脂繊維が好ましい。
本実施形態において、熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂は、一種単独で、又は複数種を組み合わせたものであってもよく、例えば、芯がポリエステル樹脂であり、鞘がポリオレフィン樹脂である、二重構造の繊維のような、複合繊維であってもよい。
また、天然繊維としては、コットン(cotton;木綿ともいう。)、羊毛、絹等の天然素材による繊維が挙げられ、再生繊維としては、レーヨン(rayon;人絹ともいう。)、キュプラ(cupra;銅アンモニアレーヨンともいう。)、リヨセル(lyocell)等が挙げられ、半合成繊維としては、トリアセテート、プロミックス(promix)等が挙げられる。
既述のように、上記の繊維の中でも、水酸基を多く有する繊維が好ましく、例えば再生繊維が好ましく、とりわけレーヨン繊維は好ましい。水酸基を多く有する繊維は濡れ張力が高く(具体的には70mN/m以上)、不織布層の濡れ張力を高くしやすいため、ステイン塗料の着肉性が向上することでステイナブル性の向上を図ることができる。
不織布層30を構成する繊維の繊維径は、特に制限はないが、濡れ張力を70mN/m以上としやすくステイナブル性を向上させる点、また触感等も考慮すると、平均繊維径として、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、上限として好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは20μm以下の不織布であることが好ましい。この範囲の平均繊維径を有する繊維からなる不織布は、木材に酷似した触感を得やすい傾向にある。
不織布を構成する繊維の平均繊維径は、電子顕微鏡(300倍)を用いて、不織布の任意の箇所に存在する繊維30本の繊維の幅(直径)を測定し、得られた各測定結果の値を平均することで測定することができる。
不織布層30を構成する繊維は、例えば、スパンボンド法でフリースを形成し、形成したフリースをサーマルボンド法及びスパンレース法(水流絡合法)等で結合することで形成することができる。また、これらの方法により形成された不織布層30は、木材に酷似した触感が得られやすい。
不織布層30を構成する繊維の坪量は、特に制限はないが、ステイナブル性を向上させる点、また不織布層30の強度を向上させる観点から、好ましくは10g/m以上、より好ましくは15g/m以上であり、上限として好ましくは40g/m以下、より好ましくは30g/m以下、更に好ましくは20g/m以下である。
不織布層30の厚さは、特に制限はないが、ステイナブル性化粧シート1の強度、質量、屈曲性等の物性を考慮して、好ましくは20μm以上、より好ましくは25μm以上、更に好ましくは30μm以上であり、上限として好ましくは250μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは150μm以下、より更に好ましくは100μm以下である。
(充填部)
不織布層30の層内の厚み方向の接着層20が設けられた面30a側には、繊維の空隙の一部に接着層20を形成する樹脂が充填してなる充填部A31を備える。充填部A31を有することにより、本実施形態のステイナブル性化粧シート10は、紙基材10と不織布層30との接着性を良好にすることができ、また透明性の向上にも寄与し得る。
充填部A31は、不織布層30を形成する繊維の空隙に、接着層20を形成する樹脂が充填され、空隙が残存しない状態であるため、水性ステイン塗料及び油性ステイン塗料等の着色剤が入り込む着肉性を有しない部分である。
また、表面層40を有する場合、不織布層30の厚み方向の表面層40が設けられた面30b側には、繊維の空隙の一部に表面層40を形成する樹脂が充填してなる充填部B33を備える。充填部B33を有することにより、繊維の空隙による屈折率に起因する透明性の低下を抑制し、優れた意匠性を得ることができる。
充填部B33は、充填部A31と同様に、不織布層30を形成する繊維の空隙に、表面層40を形成する樹脂が充填され、空隙が残存しない状態であるため、水性ステイン塗料及び油性ステイン塗料等の着色剤が入り込む着肉性を有しない部分である。
本実施形態のステイナブル性化粧シートにおいて、不織布層30は上記充填部A31を部分的に有し、また表面層40を有する場合は、充填部A31及び充填部B33を部分的に有する。すなわち、不織布層30は充填部A31及び充填部B33以外の部分である、後述する繊維部32を有することが必要となる。充填部以外の部分である繊維部32を有しないと、これらの充填部は空隙が残存しない状態であり、水性ステイン塗料及び油性ステイン塗料等の着色剤が入り込む着肉性を有しないため、ステイナブル性が得られないからである。
模式断面図(概念図)である図1及び2においては、図示の簡略化と及び層構成概念の説明の便宜上、あたかも充填部A31及び充填部B33は連続体の層状に全面を被覆して存在するかのように模式的に示されているが、実態としては当該図に示されるように均一な層を呈しているわけではないと考えられる。水性ステイン塗料及び油性ステイン塗料等の着色剤が入り込んで着色されていることを考慮すると、例えば図1及び2において充填部A31及び充填部B33として示される、不織布層30の層内の厚み方向についての一定の範囲において、不織布層30を形成する繊維の空隙を、接着層20を形成する樹脂及び表面層40を形成する樹脂が充填されて構造の微小領域からなる多数の充填部A31の微小領域及び充填部B33の微小領域が、間に未充填の繊維部32の微量領域を介在させた状態で不連続的に存在、あるいは点在しているものと考えられる。
また、充填部A及び充填部Bのいずれも、樹脂は不織布層30の外側表面から不織布層30の内部に漸次浸透するため、加工条件の調節いかんによっては、図3に示されるように、不織布層30が、紙基材20に近い側に位置する充填部A31(複数の充填部Aの微小領域が間に繊維部32を混在させてなる。)、紙基材20側とは反対側に位置する充填部B33(複数の充填部Bの微小領域が間に繊維部32を混在させてなる)及びこれらの充填部A31と充填部B33との間に挟まれる繊維部32(繊維間の空隙は未充填)の3層構造を呈する態様となる場合もある。
(繊維部32)
本実施形態のステイナブル性化粧シートは、既述のように、充填部A31及び充填部B33を部分的に有する層であることから、これらの充填部以外の部分、すなわち繊維部32を自ずと有するものとなる。繊維部32は、図1及び2に図示されるように、不織布層30のうち、接着層20、表面層40を形成する樹脂が充填されず、当該繊維部32を形成する不織布の繊維が空隙を残した状態で残存した部分のことである。本実施形態のステイナブル性化粧シートは、繊維部32を有することにより、繊維の空隙に水性ステイン塗料及び油性ステイン塗料等の着色剤が入り込む着肉性を担保し、ステイナブル性を発現するものとなる。
繊維部32の態様としては、接着層20を形成する樹脂が充填されず空隙が残存する態様、また表面層40を有する場合は、接着層20、表面層40を形成する樹脂が充填されず空隙が残存する態様であれば特に制限はないが、例えば、図2に示されるように、不織布層30を形成する繊維の空隙に、接着層20、表面層40を形成する樹脂が全く入り込まずに、繊維がそのまま存在し、かつ当該繊維の空隙を有する態様、また接着層20、表面層40を形成する樹脂が多少入り込むものの、繊維がこれらの樹脂に被覆されるにとどまり、当該被覆された樹脂の空隙を有する態様、等が挙げられる。本実施形態のステイナブル性化粧シートにおいて、繊維部32の態様はいずれであってもよい。
繊維部32が、繊維がそのまま存在する態様である場合は、接着層20を形成する樹脂である熱可塑性ウレタン樹脂が90.0°以下の接触角度であるものを用いることで、ステイン塗料の優れた着肉性が得られる。また、この場合、熱可塑性ウレタン樹脂は、70mN/m以上の濡れ張力を有してもよい。そして、不織布層30として、例えば濡れ張力が70mN/m以上のものを用いることでステイン塗料の優れた着肉性が得られやすくなる。このように、繊維部32はいかなる態様であったとしても、接着層20として90.0°以下の接触角度、また70mN/m以上という濡れ張力を有してもよい熱可塑性ウレタン樹脂を採用することで、優れたステイナブル性が得られることとなる。また、不織布層30として、例えば濡れ張力が70mN/m以上のものを用いることでステイン塗料の優れた着肉性が得られやすくなるため、ステイナブル性はさらに向上する。
不織布層30が、充填部A31及び充填部B33を部分的に有するものとする方法としては、例えば接着層20の形成の際に使用する樹脂組成物の塗布量等の調整、また表面層40を有する場合は、接着層20の形成の際に使用する樹脂組成物の塗布量、表面層40の形成の際に使用する樹脂組成物の塗布量等を調整による方法が挙げられる。
例えば、接着層20の形成の際に使用する樹脂組成物の塗布量を多くすると、不織布層30における充填部A31の割合が増加し、他方表面層40の形成の際に使用する樹脂組成物の塗布量を多くすると、不織布層30における充填部B33の割合が増加する。また、接着層20及び表面層40の形成の際に使用する樹脂組成物の塗布量を多くすると、不織布層30における繊維部32の割合は減少し、当該塗布量を少なくすると、不織布層30における繊維部32の割合は増加することとなる。
本実施形態においては、例えば上記の塗布量等を調整することで、不織布層30の所望の状態を得ることが可能となる。
(表面層40)
表面層40は、不織布層30の接着層20が設けられた面30aの他方の面30b側(すなわち、化粧シート1の表面側)に設けられる層であり、必要に応じて設けられる層である。表面層40を設けることで、不織布層30の毛羽立ちを調整することができ、ステイナブル性を確保しながら、当該毛羽立ち(表面の凹凸)を低減させることで、当該毛羽立ちによる触感の低下を抑制することができる。また表面層40により空隙と不織布層30の構成繊維との屈折率の差を小さくして不織布層30を他方の面30b側から観察した場合の不織布層30の透明性を向上させるとともに、ヘイズ(Haze;曇価)を低減させることができる。その結果として、本実施形態のステイナブル性化粧シートの透明性を向上させるだけでなく、触感を付与することができる。
表面層40を形成する樹脂としては、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂のいずれを採用することができ、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、セルロース系樹脂等が好ましく挙げられ、中でも透明性の向上による意匠性の向上の観点からアクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂、ウレタン樹脂が好ましく、アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂がより好ましい。また、アクリルポリオール樹脂を用いる場合、イソシアネート系硬化剤(例えば、上記例示したポリイソシアネート等)と組み合わせて用いることが好ましい。
また硬化性樹脂の場合、1液硬化型であってもよいし、2液硬化型であってもよいが、ステイナブル性向上の観点から、硬化剤の添加量は主剤100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下である。また、これらの樹脂は単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。なお、燃焼時の環境への負荷等を考慮すると、塩化ビニル樹脂は好ましくない。
表面層40を形成する樹脂としては、上記例示した樹脂から適宜選択すればよいが、濡れ張力が70mN/m以上であるものを選択することが、ステイン塗料の着肉性が向上することでステイナブル性の向上を図り得る点で好ましい。このような観点からも、上記例示した樹脂は好ましく、アクリルポリオール樹脂、またアクリルポリオール樹脂とイソシアネート系硬化剤とを組み合わせてものが好ましい。よって、特にステイナブル性の向上に着目すると、表面層の濡れ張力(表面層を形成する樹脂の濡れ張力)は、70mN/m以上であることが好ましい。水酸基を多く含む樹脂は、濡れ張力を70mN/m以上となりやすく、このような観点から、例えば、5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上、より更に好ましくは20mgKOH/g以上、上限として好ましくは60mgKOH/g以下、より好ましくは55mgKOH/g以下、更に好ましくは50mgKOH/g以下、より更に好ましくは45mgKOH/g以下の水酸基価を有するものが好適である。なお、本明細書において、水酸基価は、JIS K1557-1:2007(プラスチック-ポリウレタン原料ポリオール試験方法-第1部:水酸基価の求め方)に基づき測定されるものである。また、この水酸基価は、上記の熱可塑性ウレタン樹脂にも適用し得る。
樹脂の種類としては、上記樹脂の中でも、アクリルポリオール樹脂が好ましく、アクリルポリオール樹脂とイソシアネート硬化剤とを組み合わせて用いることが好ましい。
また、本実施形態において表面層40を形成する上記樹脂は、顔料、染料等の着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等の添加物を適宜混合した樹脂組成物として使用することができる。すなわち、表面層40は、上記樹脂に加えて、添加物を含む樹脂組成物により形成することができる。
表面層40は、図1及び2に示されるように、面30bの上に一定の厚さをもって層状に存在してもよいし、また不織布層30の面30bに沿った最表面の繊維に被覆するように存在してもよい。いずれの態様であってもよいが、ステイナブル性の向上とともに、透明性、触感の向上の観点から、化粧シートの表面側の面の少なくとも一部に存在していればよく、最表面の繊維の少なくとも部分的に被覆するように存在してもよいし、その全面に被覆するように存在してもよい。
表面層40が層状に存在する場合、水性ステイン塗料及び油性ステイン塗料等の着色剤が入り込む着肉性を担保し、優れたステイナブル性を得る観点から、本実施形態のステイナブル性化粧シートの表面の一部に存在することが好ましい。また、最表面の繊維に被覆するように存在する場合、着肉性を担保する観点し、優れたステイナブル性を得る観点から、最表面及びその近傍(不織布層30の層内の厚み方向についての近傍)の繊維により形成する空隙が少なくとも部分的に存在していることが好ましい。
このように、表面層40がどのような態様で存在しようとも、水性ステイン塗料及び油性ステイン塗料等の着色剤が入り込む着肉性を担保し、優れたステイナブル性を得る観点から、最表面及びその近傍(不織布層30の層内の厚み方向についての近傍)において、少なくとも一部にその表面が樹脂により被覆されていてもよい繊維同士により形成される空隙が存在していることが好ましい。
表面層40の厚さは、主に表面層40の厚さに加えて、不織布層30における充填部B33、繊維部32及び充填部A31のバランス等を考慮して決定すればよく、充填部A31、充填部B33及び繊維部32をバランスよく形成し、ステイナブル性とともに、表面の触感及び透明性をバランスよく向上させる観点から、表面層40及び充填部B33の合計の厚さとして、通常0.5μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは5μm以上であり、上限として好ましくは20μm以下、より好ましくは16μm以下、更に好ましくは12μm以下である。なお、表面層40及び充填部B33の合計の厚さは、接着層20及び充填部A31の合計の厚さと同じ方法により測定した測定値の平均値である。
(装飾層50)
本実施形態のステイナブル性化粧シートは、意匠性の向上の観点から、装飾層50を有することが好ましい。装飾層50は、基材10と不織布層30との間に設ければよく、基材10と接着層20との間に設けることが好ましい。
装飾層50としては、その前面を被覆するように設けられる全面着色層51のみから構成される層であってもよいし、その一部分を被覆するように柄を形成するように設けられる絵柄層52のみから構成される層であってもよいし、全面着色層51と絵柄層52とを組み合わせた層であってもよい。これらの層構成は、所望の模様に応じて決定すればよい。
装飾層50により付与される模様としては、特に制限なく所望に応じて選択すればよく、例えば、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)、花崗岩板のへき開面等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、レザーのシボを表現したレザー(皮シボ)模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、ヘアライン、万線条溝、梨地、砂目、文字、記号、幾何学模様等、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様が挙げられる。また、これらを複合した模様として、例えば大理石等の石材の砕石を白色セメントに混ぜて固め、磨いて大理石のように仕上げた人造石、いわゆる人造大理石のような模様も挙げられる。
需要者の意匠への要望は流行等により変化するものであるが、木目模様への人気は根強いため、本実施形態のステイナブル性化粧シートの模様としても、木目模様が好ましい。木目模様には、柾目模様、板目模様、杢目模様、木口模様等があるが、いずれであってもよい。
装飾層50の形成には、少なくともバインダー樹脂、並びに顔料及び染料等の着色剤を含む樹脂組成物が用いられることが好ましく、その他所望に応じて用いられる成分、例えば、艶消し剤、体質顔料、安定剤、溶剤、また紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤等を適宜混合したものを用いることができる。すなわち、装飾層は、少なくともバインダー樹脂、及び顔料及び染料等の着色剤を含む層であり、その他、上記の所望に応じて用いられる成分を含み得る層である。
バインダー樹脂としては特に制限はなく、例えば、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、アミド樹脂、ブチラール樹脂、スチレン樹脂、ウレタン-アクリル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体樹脂、ニトロセルロース樹脂(硝化綿)、酢酸セルロース樹脂等の樹脂が好ましく挙げられる。また、例えばアクリルポリオール等の各種ポリオールを主剤とし、各種イソシアネートを硬化剤とする2液硬化型樹脂等の硬化性樹脂を用いてもよい。これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
着色剤としては、例えば、チタン白、鉛白、カーボンブラック、鉄黒、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、ニッケルアゾ錯体、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等の公知のものから適宜選択して用いることができる。
また、より意匠性を向上させる観点から、装飾層50には、上記のその他所望に応じて用いられる成分の中でも、艶消し剤を含んでいてもよい。
艶消し剤としては、シリカ、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸塩、及びケイ酸微粉末等の無機フィラー;アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又は尿素系樹脂等の有機フィラー、等が挙げられる。
装飾層50が艶消し剤を含むことで、装飾層はより低光沢となるため、艶差による視覚的な凹凸感を有するような意匠表現が可能となる。
例えば、好ましい模様として例示した木目模様について、木目模様は、より低光沢(艶消又は低艶)の導管部分、より高光沢(艶有又は高艶)の春材部分、更に高光沢の秋材部分(照り部分)等が存在する。装飾層50において、より低光沢な導管部分を形成する絵柄層、より高光沢な春材部分を形成する絵柄層、更に高光沢の秋材部分を形成する絵柄層等の複数の絵柄層52を組み合わせることで、意匠性の高い模様を形成することが可能である。またこの場合、例えば全面着色層51に艶消し剤を含有させない、あるいは絵柄層52よりもその含有量を少なくすることで、絵柄層52との艶差をより大きくして、意匠性を向上させることも可能である。
装飾層50の厚さは、特に制限はないが、意匠性の向上の観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは1μm以上であり、上限として好ましくは10μm以下、より好ましくは9μm以下、更に好ましくは7.5μm以下である。装飾層50が2以上の層から形成される場合、各層の厚みの合計が上記範囲であることが好ましい。
(ステイナブル性化粧シートの製造方法)
本実施形態のステイナブル性化粧シート1の製造方法について、本実施形態のステイナブル性化粧シート1として好ましい態様の一つである、図2に示されるステイナブル性化粧シート1を例にとって、その製造方法を説明する。
図2に示される本実施形態のステイナブル性化粧シート1は、基材10上に装飾層50を設ける工程1、当該装飾層50の上に接着層20を設ける工程2、当該接着層20の上に不織布層30と、充填部A31と、を設ける工程3、及び当該不織布層30の表面に表面層40を形成する樹脂組成物を塗布し、表面層40とともに充填部B33を形成する工程4を経て製造することができる。
工程1は、基材10に装飾層50を設ける層である。
装飾層50は、上記装飾層50の形成に用いられる樹脂組成物を、好ましくはグラビア印刷、シルクスクリーン印刷、グラビアオフセット印刷、フレキソ印刷、インキジェット印刷等により形成することが好ましく、大ロットの場合はグラビア印刷、小ロットの場合はインキジェット印刷を採用することがより好ましい。
工程2は、装飾層50の上に接着層20を設ける工程である。
例えば、接着層20を形成し得る樹脂として例示した中から適宜選択し、好ましくはウレタン樹脂を含む樹脂組成物を装飾層50上に塗布して接着層20を形成する。この場合、樹脂組成物の塗布方法は、上記装飾層50における樹脂組成物の塗布方法として例示した公知の方法のいずれかを選択して行えばよい。
この場合、接着層20を形成する樹脂組成物の塗布量(ドライベース)は、優れた接着性を得る観点、また充填部A31、充填部B33及び繊維部32をバランスよく形成し、ステイナブル性及び透明性をバランスよく向上させる観点から、好ましくは2g/m以上、より好ましくは3g/m以上、更に好ましくは5g/m以上であり、上限として好ましくは45g/m以下、より好ましくは40g/m以下、更に好ましくは30g/m以下である。
工程3は、接着層20の上に不織布層30と、充填部A31と、を設ける工程である。
不織布層30及び充填部A31は、例えば、樹脂組成物の塗布により接着層20を形成した後、これの上に不織布を配置した後、押出ラミネート(サンドラミネート)、ドライラミネート、熱圧着等により、不織布層30を形成し、かつ当該接着層の形成に用いられる樹脂組成物が、不織布の空隙の一部に充填されることで充填部A31が形成する。
また、不織布層30及び充填部A31は、接着層20とともに形成することも可能である。
例えば、接着層20を、接着層20を形成し得る樹脂として例示した中から適宜選択し、好ましくは熱可塑性ウレタン樹脂を溶融押出しして、接着層形成樹脂を配置し、これの上に不織布を配置した後、押出ラミネート(サンドラミネート)等により、接着層20とともに、当該接着層形成樹脂が不織布の空隙の一部に充填された充填部A31及び不織布層30を形成し得る。
この場合、接着層形成樹脂の厚さは、紙基材10と不織布層30との優れた接着性を得る観点、また充填部A31、充填部B33及び繊維部32をバランスよく形成し、ステイナブル性及び透明性をバランスよく向上させる観点から、不織布層30の厚さに対して、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは12%以上であり、上限として好ましくは25%以下、より好ましくは23%以下、更に好ましくは20%以下である。
工程4は、不織布層30の表面に表面層40を形成する樹脂組成物を塗布し、表面層40とともに充填部B33を形成する工程である。
表面層40を形成する樹脂組成物の塗布は、上記装飾層50における樹脂組成物の塗布方法として例示した公知の方法のいずれかを選択して行えばよい。表面層40の形成にあたり、樹脂組成物の塗布量は、主に表面層40の厚さに加えて、不織布層30における充填部B33、繊維部32及び充填部A31のバランス等を考慮して決定すればよく、充填部A31、充填部B33及び繊維部32をバランスよく形成し、表面の触感、ステイナブル性及び透明性をバランスよく向上させる観点から、通常1g/m以上、好ましくは2g/m以上、より好ましくは5g/m以上であり、上限として好ましくは20g/m以下、より好ましくは16g/m以下、更に好ましくは12g/m以下である。
以上の工程により、紙基材10、装飾層50、接着層20、不織布層30(充填部A31、繊維部32、充填部B33)及び表面層40を順に有する、図2に示される好ましい一態様を有するステイナブル性化粧シート1を製造することができる。
〔ステイナブル性化粧シートの着色方法〕
本実施形態のステイナブル性化粧シートの着色方法は、上記の本実施形態のステイナブル性化粧シートの前記表面層側に着色剤を塗布し、前記不織布層を着色することを特徴とするものである。
本実施形態のステイナブル性化粧シート1は不織布層30を有するため、繊維の空隙に水性ステイン塗料及び油性ステイン塗料等の着色剤が入り込む着肉性を担保する。
また、ステイナブル性化粧シート1は、紙基材10と不織布層30との間に接着層20が存在し、接着層20が耐水性及び耐溶剤性を付与することで、不織布層30に塗布しても紙基材10への物性の影響を防ぐことができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
各実施例及び比較例で得られた化粧シートについて、以下の評価を行った。
<ステイナブル性の評価>
各実施例及び比較例で得られた化粧シートを表面層側に油性ステイン塗料で塗布し、ステイナブル性を評価した。本評価において、B評価以上が合格である。
A:油性ステイン塗料の着色に優れており、化粧シートの物性低下が全く又はほとんどなかった。
B:油性ステイン塗料の着色は良好であり、化粧シートの物性低下はほとんどなかった。
C:油性ステイン塗料の着色が若干劣ったが、化粧シートの物性低下はほとんどなかった。
D:油性ステイン塗料の着色ができない、及び/又は化粧シートの物性が低下した。
<接着性の評価>
各実施例及び比較例で得られた化粧シートを300mm×300mmの寸法で切断し、接着強度試験の試験片とした。試験片の不織布層側に幅25mmのセロハン粘着テープ(ニチバン株式会社製、商品名「セロテープ(登録商標)」)を貼った後に引き剥がし、接着性を評価した。本評価において、A評価が合格である。
A:不織布層内又は不織布層と接着層との間で剥がれなかった。
B:不織布層内又は不織布層と接着層との間で一部剥がれが生じた。
C:不織布層内又は不織布層と接着層との間で剥がれた。
<外観の透明性の評価>
各実施例及び比較例で得られた化粧シートについて、その外観について以下の基準で評価した。本評価において、B評価以上は合格である。
A:外観の透明性の低下は全くみられず、優れた意匠性を有していた。
B:外観の透明性の低下はほとんどみられず、実用上問題ないものであった。
C:外観の透明性の低下が確認され、意匠性が低下した。
(測定方法)
<濡れ張力の測定>
温度23℃(相対湿度:50%)の雰囲気下で、層の形成に用いた樹脂組成物について、濡れ張力測定用の支持体(厚さ:25μm、素材:PET樹脂)に、塗布量8g/mで塗布し層を形成した後、当該層上に、濡れ張力測定ペン(「テンションチェッカー TC-B-70(ダイン数:70)」、有限会社パシフィック化学製)で塗布し、3秒後の液膜の状態を目視し、液膜の破れ、収縮が生じるかどうかを目視にて確認した。当該破れ、収縮が生じなければ、濡れ張力は70mN/m以上であることを示す。
また、不織布層を形成する不織布については、当該不織布の表面上に濡れ張力測定ペンを塗布した以外は上記の方法と同様にして、濡れ張力を測定した。
<接触角度の測定>
上記<濡れ張力の測定>と同様にして、層の形成に用いた樹脂組成物について、濡れ張力測定用の支持体(厚さ:25μm、素材:PET樹脂)に、塗布量8g/mで塗布し層を形成した。その後、接触角計(「CA-X(型番)」、協和界面科学株式会社製)を用いて、当該層と純水との接触角度を測定した。ここで、接触角度は任意に9点で測定し、最大値及び最小値の二つを除外し、残りの7点の平均値を、接触角度とした。
(実施例1)
紙基材として印刷紙(「HPT30(品番)」、北越紀州製紙株式会社製、厚さ:60μm、坪量:45g/m)を用意し、当該印刷紙に、バインダー樹脂中に顔料を含有するインキ(塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系樹脂及びアクリル系樹脂の1:1質量比混合物をバインダーとし、顔料としてカーボンブラックを含有するインキ)を用いてグラビア印刷にて木目模様を呈する装飾層を形成した(厚さ:2~6μm)。次いで、装飾層上に、接着層を形成する樹脂の組成物(接触角度が85.2°となり、濡れ張力が70mN/m以上となるように調整したものである。熱可塑性ウレタン樹脂のガラス転移温度:-45℃)を用いてグラビア印刷により12g/m(ドライベース)の塗布量で塗布し、接着層(厚さ:12μm)を設けた。
別途、レーヨン繊維からなる不織布(「3016(品番)」、金星製紙株式会社製、厚さ:80μm、坪量:17g/m)を用意し、上記装飾層及び接着層を形成した紙基材と、不織布とを熱圧着によりラミネートすることで、紙基材、装飾層、接着層並びに充填部A及び繊維部からなる不織布層を有する積層体を得た。
次いで、当該積層体の繊維部側に、表面層を形成する樹脂組成物として、アクリルポリオール樹脂(水酸基価:41mgKOH/g)100質量部、イソシアネート系硬化剤(ヘキサメチレンジイソシアネート、イソシアネート基含有量:19質量%)5質量部)を含む組成物を、塗布量12g/m(ドライベース)で塗布し、充填部B及び表面層を形成し、紙基材、装飾層、接着層、充填部A、繊維部及び充填部Bからなる不織布層、並びに表面層を有するステイナブル性化粧シートを得た。
得られたステイナブル性化粧シートについて、上記の方法により評価した結果を表1に示す。
また、接着層を形成する樹脂の組成物、表面層を形成する樹脂組成物、及び不織布について、上記の方法により濡れ張力を測定したところ、いずれも70mN/m以上であった。
(実施例2)
実施例1において、表面層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、ステイナブル性化粧シートを得た。
得られたステイナブル性化粧シートについて、上記の方法により評価した結果を表1に示す。また、接着層を形成する樹脂の組成物、及び不織布について、上記の方法により濡れ張力を測定したところ、実施例1と同様に、いずれも70mN/m以上であった。
(比較例1)
実施例1において、ポリエチレン樹脂(接触角度:97.0°、濡れ張力:38mN/mに調整したもの。)を溶融押出して接着層を形成(厚さ:20μm)した以外は、実施例1と同様にして、化粧シートを得た。
得られた化粧シートについて、上記の方法により評価した結果を表1に示す。
(実施例3及び4)
実施例1において、接着層を形成する樹脂組成物の熱可塑性ウレタン樹脂を、接触角度及び濡れ張力が表1に示されるものとなるように調整したものである(実施例3で使用した熱可塑性ウレタン樹脂のガラス転移点:30℃、実施例4で使用した熱可塑性ウレタン樹脂のガラス転移点:0℃)。当該熱可塑性ウレタン樹脂を含む組成物を用いて、12g/m(ドライベース)の塗布量で塗布し、接着層(厚さ:12μm)を設けた以外は、実施例1と同様にして、実施例3及び4のステイナブル性化粧シートを得た。
得られた化粧シートについて、上記の方法により評価した結果を表1に示す。
Figure 2022053454000002

*1,使用した樹脂はポリエステル樹脂である。
実施例の結果から、本実施形態のステイナブル性化粧シートは、接着層を形成する樹脂として接触角度が90.0°以下の熱可塑性ウレタン樹脂を用いているため、優れたステイナブル性を有しており、また接着性、透明性についても優れていることが確認された。また、本実施形態のステイナブル性化粧シートは、熱可塑性ウレタン樹脂及び不織布層の濡れ張力が70mN/mより大きいこともあり、優れたステイナブル性を有しており、また接着性、透明性についても優れている。
一方、比較例1の化粧シートは、表面層を有していることから透明性には優れていたものの、接着層を形成する樹脂の接触角度が97.0°と、90.0°よりも大きく、また熱可塑性ウレタン樹脂ではないため、ステイナブル性が劣るものとなり、また接着性も若干劣るものとなった。また、比較例1の化粧シートは、接着層を形成する樹脂の濡れ張力が38mN/mと70mN/m未満であることかも、ステイナブル性、接着性が低下する要因になっていると考えられる。
本実施形態のステイナブル性化粧シートは、ステイナブル性に極めて優れ、また安価で環境負荷が小さいものであり、さらに接着性及び透明性にも優れるものであるため、壁、天井、床等の建築物の内裝材用又は外装用部材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具乃至造作部材の他、厨房機器、家具又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内裝用又は外装用部材を構成する層として好適に用いられる。
1:ステイナブル性化粧シート
10:紙基材
20:接着層
30:不織布層
31、33:充填部
32:繊維部
40:表面層
50:絵柄層

Claims (9)

  1. 基材と、
    前記基材の少なくとも一方の面側に設けられた接着層と、
    前記接着層の前記基材が設けられた面の他方の面側に設けられた不織布層と、
    を備え、
    前記不織布層は、層内の厚み方向の前記接着層が設けられた面側において、不織布層を構成する繊維の空隙の一部に前記接着層を形成する樹脂が充填してなる充填部Aを有し、
    前記接着層を形成する樹脂が熱可塑性ウレタン樹脂であり、
    前記熱可塑性ウレタン樹脂の接触角度が90.0°以下である、
    ステイナブル性化粧シート。
  2. 前記不織布層の前記接着層が設けられた面の他方の面側に表面層を有し、
    前記不織布層は、層内の厚み方向の前記接着層が設けられた面側において、前記充填部A、及び層内の厚み方向の前記表面層が設けられた面側において、不織布層を構成する繊維の空隙の一部に前記表面層を形成する樹脂が充填してなる充填部Bを部分的に有する、請求項1に記載のステイナブル性化粧シート。
  3. 前記基材が、紙基材である請求項1又は2に記載のステイナブル性化粧シート。
  4. 前記不織布層が、再生繊維から選ばれる少なくとも一種の繊維からなる請求項1~3のいずれか1項に記載のステイナブル性化粧シート。
  5. 前記表面層を形成する樹脂が、アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂及びウレタン樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂である請求項2~4のいずれか1項に記載のステイナブル性化粧シート。
  6. 前記基材と前記接着層との間に、更に装飾層を備える請求項1~5のいずれか1項に記載のステイナブル性化粧シート。
  7. 前記装飾層が、木目模様を呈するものである請求項6に記載のステイナブル性化粧シート。
  8. 前記熱可塑性ウレタン樹脂及び不織布層の濡れ張力が、70mN/m以上である請求項1~7のいずれか1項に記載のステイナブル性化粧シート。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載のステイナブル性化粧シートの前記表面層側に着色剤を塗布し、前記不織布層を着色する化粧シートの着色方法。
JP2021052273A 2020-09-24 2021-03-25 ステイナブル性化粧シート及び化粧シートの着色方法 Pending JP2022053454A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020159881 2020-09-24
JP2020159881 2020-09-24

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022053454A true JP2022053454A (ja) 2022-04-05

Family

ID=80963009

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021052273A Pending JP2022053454A (ja) 2020-09-24 2021-03-25 ステイナブル性化粧シート及び化粧シートの着色方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022053454A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007268843A (ja) 印刷物
CN109153241B (zh) 装饰材料
JP2009078394A (ja) 化粧材
CN109153240B (zh) 装饰材料
JP2014024318A (ja) 化粧シート
JP6780411B2 (ja) 化粧シート
WO2018084267A1 (ja) 化粧材
JP2021160361A (ja) リコート用化粧シート及びこれを用いた化粧シートの着色方法
JP6885501B2 (ja) ステイナブル性化粧シート及び化粧シートの着色方法
KR101364237B1 (ko) 장식 필름
JP7000783B2 (ja) ステイナブル性化粧シート及び化粧シートの着色方法
JP2022053454A (ja) ステイナブル性化粧シート及び化粧シートの着色方法
WO2021200500A1 (ja) リコート用化粧シート及びこれを用いた化粧シートの着色方法
JP2000343649A (ja) 化粧シート
JP2016113834A (ja) 化粧シート
JP7040656B2 (ja) 化粧材、積層体及び化粧材の製造方法
JP2017159583A (ja) 防湿化粧板および建材、化粧板、化粧シート
JP2020175607A (ja) 化粧シート及び化粧部材
JP6311419B2 (ja) 光輝性化粧シート
JP2003291278A (ja) 化粧シート
JP5088246B2 (ja) 床用化粧シート
JP2022170524A (ja) 化粧シート、化粧板及び化粧シートの製造方法
KR20000050780A (ko) 천연한지의 질감을 갖는 바닥재의 제조방법
JP2016217033A (ja) 床用化粧シート
JP4269452B2 (ja) 化粧シート

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240129