JP2022052692A - 回転電機用ロータの製造方法および製造装置 - Google Patents

回転電機用ロータの製造方法および製造装置 Download PDF

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Kenta Takeshima
慎太郎 中野
Shintaro Nakano
歩武 谷下田
Ayumu Yageta
周三郎 北
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Abstract

【課題】加熱炉を用いることなく固定材を加熱できるとともに、加熱に必要な時間やエネルギーを低減する。【解決手段】ロータコア22の磁石取付孔36内に磁石24および固定材(素材)38を挿入した後に、押圧装置により磁石24の両端に電極56、58を接触させて押圧するとともに、通電制御装置62により電流を通電することにより、磁石24の電気抵抗によって生じる発熱に基づいて固定材(素材)38を加熱する。そして、その固定材(素材)38の加熱による膨張や硬化によって磁石24がロータコア22の磁石取付孔36に固定されるため、加熱炉が不要であるとともに加熱に必要な時間やエネルギーが低減される。【選択図】図7

Description

本発明は回転電機用ロータの製造方法および製造装置に係り、特に、ロータコアに対して磁石を固定する技術に関するものである。
ロータコアと、前記ロータコアの中心線と平行に設けられた磁石取付部に取り付けられる磁石と、を有する回転電機用ロータに関し、前記磁石取付部と前記磁石との間に配設された固定材が加熱されることにより、その固定材を介して前記磁石が前記磁石取付部に固定される回転電機用ロータの製造方法が知られている。特許文献1に記載の方法はその一例で、固定材である発泡シートが貼り付けられた磁石が磁石取付部(収容孔)に配置され、ロータコアを加熱することにより発泡シートを膨張させて磁石を収容孔に位置決めするようになっている。
特許第6322924号公報
しかしながら、このような従来の回転電機用ロータの製造方法は、熱容量が大きいロータコアを含めて固定材を加熱する必要があるため、大型の加熱炉が必要であるとともに加熱のために多くの時間やエネルギーが必要であった。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、加熱炉を用いることなく固定材を加熱できるとともに、加熱に必要な時間やエネルギーを低減することにある。
かかる目的を達成するために、第1発明は、ロータコアと、前記ロータコアの中心線と平行に設けられた磁石取付部に取り付けられる磁石と、を有する回転電機用ロータに関し、前記磁石取付部と前記磁石との間に配設された固定材が加熱されることにより、その固定材を介して前記磁石が前記磁石取付部に固定される回転電機用ロータの製造方法であって、(a) 前記磁石取付部と前記磁石との間に前記固定材が位置するように、前記ロータコアの前記磁石取付部に前記磁石および前記固定材を配置する配置工程と、(b) 前記磁石の両端に電極を接触させて電流を通電することにより、前記磁石の電気抵抗によって生じる発熱に基づいて前記固定材を加熱し、その加熱された固定材によって前記磁石を前記磁石取付部に固定する固定工程と、を有することを特徴とする。
第2発明は、第1発明の回転電機用ロータの製造方法において、(a) 前記磁石取付部に取り付けられる前記磁石は、前記ロータコアの中心線と平行な面で分割されたn個の分割磁石にて構成されており、(b) 前記電極は、前記n個の分割磁石の端部に個別に接触させられるように先端がn個に分岐しているn股形状とされており、(c) 前記nは2以上の自然数であることを特徴とする。
第3発明は、第1発明または第2発明の回転電機用ロータの製造方法において、前記固定工程では前記磁石に直流電流を通電することを特徴とする。
第4発明は、第1発明~第3発明の何れかの回転電機用ロータの製造方法において、前記固定工程では、予め定められた一定の押圧力で前記電極を前記磁石に押圧することを特徴とする。
第5発明は、第1発明~第4発明の何れかの回転電機用ロータの製造方法において、(a) 前記ロータコアには前記磁石取付部が複数設けられて前記磁石が複数取り付けられるようになっており、(b) 前記固定工程では、前記複数の磁石の少なくとも一部を電気的に直列に接続して同時に電流を通電することを特徴とする。
第6発明は、第1発明~第5発明の何れかの回転電機用ロータの製造方法において、(a) 前記固定材は熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、または膨張材を含み、(b) 前記固定工程では、前記熱硬化性樹脂の加熱による硬化、前記熱可塑性樹脂の加熱による軟化後の冷却硬化、または前記膨張材の加熱による膨張に基づいて、前記磁石が前記磁石取付部に固定されることを特徴とする。
第7発明は、第1発明~第6発明の何れかの回転電機用ロータの製造方法において、前記固定工程では、前記磁石に一定電流値で通電が行なわれるように電圧が制御されるとともに、前記電圧または出力(電力、パワーも同じ。)が予め定められた異常判定値以上か否かを監視し、その異常判定値以上の場合に異常と判定して通電を中止することを特徴とする。
第8発明は、ロータコアと、前記ロータコアの中心線と平行に設けられた磁石取付部に取り付けられる磁石と、を有する回転電機用ロータに関し、前記磁石取付部と前記磁石との間に配設された固定材が加熱されることにより、その固定材を介して前記磁石が前記磁石取付部に固定される回転電機用ロータの製造装置であって、(a) 前記ロータコアを保持する保持装置と、(b) 前記保持装置によって保持されている前記ロータコアの前記磁石取付部に前記固定材と共に配置された前記磁石の両端に電極を押圧する押圧装置と、(c) 前記電極を介して前記磁石に電流を通電することにより、前記磁石の電気抵抗によって生じる発熱に基づいて前記固定材を加熱し、その加熱された固定材によって前記磁石を前記磁石取付部に固定する通電制御装置と、を有することを特徴とする。
第9発明は、第8発明の回転電機用ロータの製造装置において、(a) 前記磁石取付部に取り付けられる前記磁石は、前記ロータコアの中心線と平行な面で分割されたn個の分割磁石にて構成されており、(b) 前記電極は、前記n個の分割磁石の端部に個別に接触させられるように先端がn個に分岐しているn股形状とされており、(c) 前記nは2以上の自然数であることを特徴とする。
第10発明は、第8発明または第9発明の回転電機用ロータの製造装置において、前記通電制御装置は前記磁石に直流電流を通電することを特徴とする。
第11発明は、第8発明~第10発明の何れかの回転電機用ロータの製造装置において、前記押圧装置は、予め定められた一定の押圧力で前記電極を前記磁石に押圧することを特徴とする。
第12発明は、第8発明~第11発明の何れかの回転電機用ロータの製造装置において、(a) 前記ロータコアには前記中心線まわりに前記磁石取付部が複数設けられて前記磁石が複数取り付けられるようになっており、(b) 前記製造装置は、前記ロータコアを保持している前記保持装置をそのロータコアの前記中心線まわりに回転させる回転装置を備えており、(c) 前記押圧装置は、前記保持装置によって保持されている前記ロータコアの前記中心線まわりにおける予め定められた磁石固定位置に配設され、その磁石固定位置における前記磁石取付部に配置された前記磁石に前記電極を接近させて押圧することを特徴とする。
第13発明は、第12発明の回転電機用ロータの製造装置において、前記押圧装置は、前記磁石固定位置における複数の前記磁石取付部に配置された複数の前記磁石を電気的に直列に接続して同時に電流を通電できるように、電圧が印加される一対の電極の他に前記複数の磁石の端部に押圧されて電気的に接続する接続電極を備えていることを特徴とする。
第14発明は、第8発明~第13発明の何れかの回転電機用ロータの製造装置において、(a) 前記固定材は熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、または膨張材を含み、(b) 前記通電制御装置による通電時に、前記熱硬化性樹脂の加熱による硬化、前記熱可塑性樹脂の加熱による軟化後の冷却硬化、または前記膨張材の加熱による膨張に基づいて、前記磁石が前記磁石取付部に固定されることを特徴とする。
第15発明は、第8発明~第14発明の何れかの回転電機用ロータの製造装置において、前記通電制御装置は、前記磁石に一定電流値で通電が行なわれるように電圧を制御するとともに、前記電圧または出力(電力、パワーも同じ。)が予め定められた異常判定値以上か否かを監視し、その異常判定値以上の場合に異常と判定して通電を中止することを特徴とする。
第1発明の回転電機用ロータの製造方法においては、磁石取付部と磁石との間に固定材が位置するようにロータコアの磁石取付部に磁石および固定材を配置した後、磁石の両端に電極を接触させて電流を通電することにより、磁石の電気抵抗によって生じる発熱(ジュール熱)に基づいて固定材が加熱され、その加熱された固定材によって磁石が磁石取付部に固定されるため、加熱炉が不要であるとともに加熱に必要な時間やエネルギーが低減される。また、固定材の加熱温度は磁石の発熱量に応じて定まり、その発熱量は電流の電流値や通電時間によって容易に調整できるため、加熱温度が低くて固定不良が生じたり加熱温度が高過ぎてロータコアや磁石が劣化したりすることを適切に防止できる。
第2発明は、磁石取付部に取り付けられる磁石がn個の分割磁石にて構成されている場合で、回転電機用ロータとして用いられる際に、分割数が多い程、磁石における渦電流による発熱に起因する損失が低減され、回転電機の効率が高くなる。しかし、この分割磁石を磁石取付部に取り付ける際に、磁石取付部に対して分割磁石が片寄って配置されると、各分割磁石と電極との接触面積がばらつくため、接触部の電気抵抗が相違して各分割磁石の発熱量にばらつきが生じ、この発熱量のばらつきに伴って固定材の加熱温度がばらつき、加熱温度が低い部分で固定不良が生じたり加熱温度が高い部分で磁石が劣化したりする可能性がある。これに対し、n個の分割磁石の端部に個別に接触させられるように先端がn個に分岐しているn股形状の電極を用いれば、磁石取付部に対する分割磁石の位置ずれ(片寄り配置)に拘らず各分割磁石と電極との接触面積を略一定に維持できるようになり、n個の分割磁石を略均一に温度上昇させて固定材を略均一に加熱し、n個の分割磁石を適切にロータコアに固定することができる。すなわち、位置ずれに対するロバスト性が向上し、発熱量のばらつきに起因する固定力不足や磁石性能の低下を抑制できる。
第3発明は、磁石に直流電流を通電して発熱させる場合で、交流電流を通電する場合に比較して磁石のみを適切に発熱させて固定材を加熱することができる。すなわち、磁石に交流電流を通電して発熱させる場合、電磁誘導作用によってロータコアに誘導電流が発生するため、例えば磁石取付孔の相互間などに狭隘部分が存在すると、その狭隘部分では電流密度が高くなって過熱し易くなり、焼損等を生じる可能性があるが、直流電流の場合はそのようなロータコアの過熱が抑制される。
第4発明では、予め定められた一定の押圧力で電極が磁石に押圧されるため、磁石寸法のばらつきに拘らず電極と磁石との接触部の電気抵抗が略一定に維持され、磁石を流れる電流値(交流の場合は実効値)や発熱量が略一定に維持されて固定材を適切に加熱することができる。
第5発明は、ロータコアに磁石取付部が複数設けられて磁石が複数取り付けられる場合で、複数の磁石の一部を電気的に直列に接続して同時に電流を通電するため、その一部の磁石を磁石取付部に対して同時に固定することができ、磁石の取付効率が向上する。また、複数の磁石が電気的に直列に接続されるため、各磁石を流れる電流値が同じで発熱量が略同じになり、固定材の加熱による磁石の固定強度のばらつきが抑制される。
第6発明では、固定材が熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、または膨張材を含み、その熱硬化性樹脂の加熱による硬化、熱可塑性樹脂の加熱による軟化後の冷却硬化、または膨張材の加熱による膨張に基づいて磁石が磁石取付部に固定されるため、磁石を適切にロータコアに取り付けることができる。
第7発明は、磁石に一定電流値で通電が行なわれるように電圧が制御される場合で、通電加熱による磁石の発熱量が略一定に維持されるため、その発熱に伴う固定材の加熱により磁石を適切に固定することができる。一方、異物の挟み込みや電極の摩耗、磁石の傾きなどにより電極と磁石との間で接触不良が生じると、局所的な異常発熱による熱膨張差で磁石が熱割れしたり固定材が熱劣化したりするとともに、その熱割れや劣化に起因して磁石の固定強度が低下する可能性がある。このような接触不良による局所的な異常発熱は外部から確認することが難しいが、接触不良により電気抵抗が大きくなると電圧が異常に高くなるため、その電圧または出力(=電流×電圧)に基づいて電極と磁石との接触不良を判定することができる。すなわち、電圧または出力が予め定められた異常判定値以上か否かを監視し、異常判定値以上の場合は異常と判定して通電を中止することにより、電極と磁石との接触不良による異常発熱に起因する磁石の熱割れや固定材の劣化などを防止することができる。
第8発明は回転電機用ロータの製造装置に関するもので、ロータコアを保持する保持装置と、ロータコアの磁石取付部に固定材と共に配置された磁石の両端に電極を押圧する押圧装置と、電極を介して磁石に電流を通電する通電制御装置とを備えており、電流を通電する際に磁石の電気抵抗によって生じる発熱(ジュール熱)に基づいて固定材を加熱し、その加熱された固定材によって磁石を磁石取付部に固定するため、実質的に第1発明の製造方法と同様の作用効果が得られる。
第9発明は、磁石取付部に取り付けられる磁石がn個の分割磁石にて構成されているとともに、そのn個の分割磁石の端部に個別に接触させられるように先端がn個に分岐しているn股形状の電極が用いられる場合で、実質的に第2発明の製造方法と同様の作用効果が得られる。
第10発明は、通電制御装置によって磁石に直流電流が通電される場合で、実質的に第3発明の製造方法と同様の作用効果が得られる。
第11発明では、押圧装置により予め定められた一定の押圧力で電極が磁石に押圧されるため、実質的に第4発明の製造方法と同様の作用効果が得られる。
第12発明は、ロータコアの中心線まわりに磁石取付部が複数設けられて複数の磁石が取り付けられる場合で、ロータコアを保持している保持装置をロータコアの中心線まわりに回転させる回転装置を備えているとともに、ロータコアの中心線まわりにおける予め定められた磁石固定位置に押圧装置が配設され、磁石固定位置における磁石取付部の磁石に電極を押圧するようになっているため、回転装置によってロータコアを中心線まわりに回転させながら複数の磁石取付部に対して磁石を順次固定することができる。すなわち、ロータコアの複数の磁石取付部に対してそれぞれ磁石および固定材を配置し、その複数の磁石に同時に一対の電極を押圧して通電する場合に比較して、製造装置を簡単且つ安価でコンパクトに構成することができる。
第13発明は、上記磁石固定位置における複数の磁石取付部に配置された複数の磁石を電気的に直列に接続して同時に電流を通電できるように、電圧が印加される一対の電極の他に、複数の磁石の端部に押圧されて電気的に接続する接続電極を備えている場合で、複数の磁石取付部に対して同時に磁石を固定することができるため、磁石の取付効率が向上する。また、複数の磁石が電気的に直列に接続されるため、各磁石を流れる電流値が同じで発熱量が略同じになり、固定材の加熱による磁石の固定強度のばらつきが抑制される。
第14発明は、固定材が熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、または膨張材を含む場合で、実質的に第6発明の製造方法と同様の作用効果が得られる。
第15発明では、磁石に一定電流値で通電が行なわれるように電圧が制御されるとともに、電圧または出力が予め定められた異常判定値以上の場合は異常と判定して通電を中止するため、電極と磁石との接触不良による異常発熱に起因する磁石の熱割れや固定材の劣化などが防止されるなど、実質的に第7発明の製造方法と同様の作用効果が得られる。
本発明方法に従って製造された回転電機用ロータを備えている回転電機を説明する図で、図2のI-I矢視部分における断面図である。 図1のロータの中心線Oと直角な断面図で、図1に比較して拡大して示した図である。 図2のロータに用いられている磁石を説明する斜視図である。 磁石をロータコアに固定する固定材の一例を説明する断面図である。 ロータを製造する際に用いられる製造装置の一例を説明する概略斜視図である。 図5の製造装置を用いてロータを製造する際の製造工程を説明するフローチャートである。 図6の製造工程を具体的に説明するロータコアの断面図である。 ロータコアの複数の磁石取付孔に配置された複数の磁石を直列接続して同時に通電する例を説明する断面図である。 図2のロータに取り付けられる磁石の別の例を説明する図で、2個の分割磁石にて構成されている場合の斜視図である。 図9の分割磁石が用いられる場合に、先端が全面接触させられる通常の電極を用いて通電する場合の断面図である。 図10において2個の分割磁石が磁石取付孔に対して片寄って配置されている場合の断面図である。 2個の分割磁石の端部に個別に接触させられるように先端が2つに分岐している二股形状の電極を用いて通電する際の断面図で、図11に対応する図である。 分割磁石が3個で三股形状の電極を用いて通電する場合の断面図である。 図13において3個の分割磁石が磁石取付孔に対して片寄って配置されている場合の断面図である。 ロータを製造する際の製造工程の別の例を説明するフローチャートである。 図15の製造工程を具体的に説明する断面図である。 磁石に交流電流を通電する場合の実施例で、図7における(d) の通電加熱工程に対応する断面図である。 図17の実施例において、ロータコアの外周部に当て金を配置して磁石の固定処理を行なう場合の斜視図である。 図6のステップS4または図15のステップSS4で磁石を通電加熱して固定する際に、電圧に基づいて通電異常を判定する場合の制御を説明するフローチャートである。 図6のステップS4または図15のステップSS4で磁石を通電加熱して固定する際に、出力に基づいて通電異常を判定する場合の制御を説明するフローチャートである。
回転電機は回転電気機械のことで、回転機と言われることもあり、電動モータや発電機、或いはその両方で用いられるモータジェネレータで、例えば永久磁石型同期モータなどである。ロータは、内周側に配設されるインナロータ型でも良いし、外周側に配設されるアウタロータ型でも良い。磁石は、希土類磁石が好適に用いられるが、通電によって発熱する他の永久磁石が用いられても良い。この磁石は、例えばロータコアに磁石取付部として設けられた多数の磁石取付孔内にそれぞれ固定材と共に挿入される埋込磁石型でも良いし、ロータコアの外周面や内周面に設けられた磁石取付部に固定材を介して取り付けられる表面磁石型でも良い。表面磁石型は、複数の磁石が用いられるセグメント型でも良いし、単一のリング状の磁石が用いられても良い。磁石には、必要に応じて合成樹脂や酸化膜等の絶縁被膜が設けられる。また、極性や磁束、保持力、断面形状等が異なる複数種類の磁石が用いられても良い。
磁石をロータコアに固定する固定材は、例えば熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、或いは膨張材等を含んで構成され、例えば熱硬化性樹脂が磁石と磁石取付部との間の隙間を埋める状態で硬化させられることにより、磁石がロータコアに固定される。すなわち、熱硬化性樹脂が接着剤として機能する。また、膨張材が加熱によって膨張させられることにより、磁石と磁石取付部との間の隙間が埋められるとともに、膨張による押圧力で磁石がロータコアに固定される。熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂と膨張材とを組み合わせた固定材を採用することもできる。膨張材は、例えば加熱により膨張する発泡性樹脂や多孔質部材などである。多孔質部材は、例えばガラス繊維や金属繊維等の繊維部材で、合成樹脂等の結合材と混合した複合材料として用いられる。すなわち、加圧成形により結合材の作用で多孔質部材を薄板状に成形した状態で磁石と共に磁石取付部に配置され、加熱により結合材が軟化すると、繊維部材が残留応力により膨張して多孔質になるとともに、膨張による押圧力、および熱硬化性樹脂の接着力により、磁石がロータコアに固定される。この場合、多孔質であるため、回転電機の使用時に潤滑油等の冷却流体を流通させてロータを冷却することができる。なお、固定材としては、上記熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、或いは膨張材に限定されず、更に別の材料を採用することもできる。
磁石および固定材を磁石取付部に配置する配置工程では、先に固定材を磁石取付部に配置した後に磁石を配置しても良いし、先に磁石を磁石取付部に配置した後に固定材を配置しても良い。また、磁石の外周面に薄板状の固定材を巻き付けたり、磁石の外周面の一部に固定材を付着したり、或いは薄板の筒状の固定材に磁石を嵌合したりして、固定材を予め磁石に取り付けた後に磁石取付部に配置しても良い。固定材は、一定形状の固体や変形可能な固体でも良いし、特定の形状を持たない流動体で磁石取付部と磁石との間の隙間に充填されるものでも良い。この配置工程など、回転電機用ロータの製造方法の一部の工程を作業者が手作業で行なうことも可能である。
磁石取付部に取り付けられる磁石は、磁石における渦電流損失を低減する上で複数の分割磁石にて構成することが望ましいが、一つの磁石取付部に対して一つの磁石が取り付けられても良い。また、n個の分割磁石を用いる場合、先端がn個に分岐しているn股形状、すなわちn個の歯を有する櫛歯形状、の電極を用いることが望ましいが、総ての分割磁石の端部に跨がって接触させられる単一の接触面を有する電極が用いられても良い。
電極を磁石に押圧する押圧装置は、予め定められた一定の押圧力で押圧する定圧力制御が望ましいが、磁石等の寸法誤差が小さい場合は電極を予め定められた一定の押圧位置まで接近させて押圧しても良い。定圧力制御は、例えば荷重センサにより押圧力を検出して電極の接近位置を制御すれば良いが、モータを用いて電極を接近させる場合はモータトルクで押圧力を制御することができるし、エアシリンダ等の流体圧シリンダを用いて電極を接近させる場合は流体圧力で押圧力を制御することができるなど、種々の態様が可能である。通電制御装置は、磁石の発熱により固定材が加熱されて磁石がロータコアに固定されるように、磁石の発熱量、すなわち電流の電流値や通電時間を制御する。磁石に通電する電流は直流電流が適当であるが交流電流を通電しても良い。磁石に押圧される電極は、磁石に通電する際に自身の発熱や磁石からの熱伝導などで温度が上昇するため、必要に応じて冷却水循環回路を設けて冷却流体により冷却することが望ましい。
磁石取付部がロータコアの中心線まわりに複数設けられており、その複数の磁石取付部にそれぞれ磁石が取り付けられる場合、例えば回転装置によりロータコアを中心線まわりに回転させつつ予め定められた磁石固定位置で押圧装置により電極を磁石に押圧して通電すれば良いが、ロータコアに設けられた磁石取付部と同じ数の電極を用いて、全部の磁石に対して同時に電極を押圧して通電することもできる。上記押圧装置をロータコアの中心線まわりに複数配置し、複数の磁石固定位置で電極を磁石に押圧して通電することもできるなど、種々の態様が可能である。また、複数の磁石取付部に配置された複数の磁石を電気的に直列に接続し、同時に電流を通電して加熱することができるが、複数の磁石を電気的に並列に接続して同時に電流を通電して加熱することも可能である。
以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において、図は説明のために適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明方法に従って製造された回転電機用ロータ12(以下、単にロータ12という)を備えている回転電機10を説明する図で、図2のI-I矢視部分における断面図であり、図2は回転電機10の中心線Oと直角な断面図で、図1に比較して拡大して示した図である。回転電機10は永久磁石埋込型同期モータで、電動モータおよび発電機として択一的に用いることができるモータジェネレータであり、例えばハイブリッド車両を含む電気自動車の駆動力源として好適に用いられる。回転電機10は、中心線Oと同心に設けられたロータ12およびステータ14を備えている。本実施例の説明では回転電機10の中心線Oを、ロータ12の中心線としても使用する。ステータ14は、ロータ12の外周側に配設された円筒形状のステータコア16と、そのステータコア16に巻回された複数のステータコイル18とを備えている。ステータコア16は、多数の円環形状の鋼板を中心線Oに対して垂直な姿勢で軸方向、すなわち中心線Oと平行な方向に積層したもので、圧入或いは取付ボルト等を介して図示しないケースに固定されている。
ロータ12は、ロータシャフト20の外周面に取り付けられた円筒形状のロータコア22と、そのロータコア22に埋設された多数の磁石24とを備えている。ロータコア22は、多数の円環形状の鋼板を中心線Oに対して垂直な姿勢で軸方向、すなわち中心線Oと平行な方向に積層したもので、その両端部に一対のエンドプレート28、30が設けられてロータシャフト20に固定されている。ロータシャフト20には鍔部32が設けられているとともにナット34が螺合されるようになっており、ロータコア22は、その鍔部32とナット34との間で挟圧されてロータシャフト20に固定される。ロータコア22には、多数の磁石取付孔36が軸方向に貫通して設けられており、その磁石取付孔36にそれぞれ磁石24が挿入されて固定されている。多数の磁石取付孔36は、図2において外周側に向かって浅いV字形状を成すように互いに近接して設けられた一対の磁石取付孔36を1組として、中心線Oまわりに等角度間隔で複数組(実施例では8組)設けられているとともに、そのV字形状の一対の磁石取付孔36には、N極およびS極の極性が反対向きになる姿勢で磁石24が挿入されて固定される。磁石取付孔36は磁石取付部に相当し、本実施例では断面が長方形である。なお、磁石24の着磁は、ロータコア22に固定した後に行なうこともできる。
磁石24は、ロータコア22の軸方向長さと略等しい長さ寸法を有するとともに、その長手方向である軸方向と直角な断面形状、すなわち中心線Oと直角な断面形状は、磁石取付孔36に対応する長方形であり、全体として四角柱形状を成している。図3は磁石24の斜視図で、軸方向に長い長方形の平板形状を成している。磁石24としては、例えば希土類磁石が好適に用いられるとともに、ロータコア22に直接接触すると回転電機10の性能を損なう可能性があるため、必要に応じて絶縁被膜によって被覆される。
ここで、上記磁石24と磁石取付孔36との間には隙間があり、その隙間が固定材38によって埋められることにより、磁石24が磁石取付孔36の内部に固定されている。固定材38は、磁石取付孔36と磁石24との間に配置されて加熱されることにより磁石24を磁石取付孔36に固定するもので、接着剤として機能する熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、或いは膨張材を含んで構成され、熱硬化性樹脂の加熱による硬化、熱可塑性樹脂の加熱による軟化後の冷却硬化、或いは膨張材の加熱による膨張に基づいて磁石24がロータコア22の磁石取付孔36に固定される。図4は、このような固定材38の一例で、膨張材である繊維部材40と結合材42とを混合した複合材料である。繊維部材40は、例えばガラス繊維や金属繊維で、不織布のように絡み合った多孔質状の繊維部材40が用いられる。そして、その繊維部材40が加圧成形により合成樹脂等の結合材42の作用で薄板状に成形された状態で、磁石24と共に磁石取付孔36内に配置され、加熱により結合材42が軟化すると、繊維部材40が残留応力により膨張して多孔質になるとともに、膨張による押圧力で磁石24がロータコア22の磁石取付孔36に固定される。この場合、繊維部材40が膨張すると多孔質になるため、回転電機10の使用時に潤滑油等の冷却流体を流通させてロータ12を冷却することができる。繊維部材40は多孔質部材に相当する。結合材としては、繊維部材よりも融点が低い合成樹脂、例えばポリエチレンやポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等が用いられる。なお、固定材38は、加熱前は薄板状で加熱後は多孔質に膨張するなど加熱の前後で形状や構造が変化するため、加熱前の薄板状のものを固定材(素材)38という。図4は、加熱前の薄板状の固定材(素材)38である。
図5は、上記回転電機10のロータ12を製造する際に好適に用いられる製造装置50の一例を説明する概略斜視図である。この製造装置50は、ロータコア22の磁石取付孔36に磁石24を固定するための磁石固定装置である。製造装置50は、ロータコア22を保持する保持装置52と、ロータコア22を保持している保持装置52をロータコア22の中心線Oまわりに回転させる回転装置54と、保持装置52によって保持されているロータコア22の磁石取付孔36に固定材(素材)38と共に配置された磁石24の両端に電極56、58を押圧する押圧装置60と、電極56、58を介して磁石24に直流電流を通電することにより、磁石24の電気抵抗によって生じる発熱(ジュール熱)に基づいて固定材(素材)38を加熱し、その固定材(素材)38の加熱による膨張や硬化によって磁石24をロータコア22に固定する通電制御装置62と、電極56、58を冷却する冷却水循環回路64と、を備えている。
この製造装置50は縦型で、ロータコア22は中心線Oが略垂直になる姿勢で保持装置52に配設されて磁石取付孔36に磁石24が取り付けられるが、中心線Oが略水平になる姿勢でロータコア22を保持して磁石24を取り付ける横型に構成することもできる。保持装置52は、ロータシャフト20の代わりにロータコア22の貫通孔内に挿入されて多数の鋼板を同心に位置決めする位置決め軸等を備えている。回転装置54は、モータおよび減速機を有して構成され、ロータコア22に設けられた複数の磁石取付孔36が図5における右側の磁石固定位置Mで順次停止するように、保持装置52と共にロータコア22を中心線Oまわりに間欠回転させる。
押圧装置60は、磁石固定位置Mにおいて磁石24の軸方向の両端、すなわち中心線Oと平行な上下方向の両端部に電極56、58を押圧するように、その磁石固定位置Mに配設されており、下部電極56を上下動させる移動装置57および上部電極58を上下動させる移動装置59を備えている。下部電極56は、下方側の退避位置と、上方側の支持位置とへ、モータ駆動等による移動装置57によって上下動させられ、支持位置へ移動させられた状態で、図示しないローダ装置或いは作業者による手作業で上方から磁石取付孔36内に挿入された磁石24を支持する。上部電極58は、モータ駆動等による移動装置59によって上方側の退避位置と下方側の押圧位置との間を矢印Aで示すように上下動させられる。そして、下方側の押圧位置へ移動させられることにより磁石24の上端に当接させられ、下部電極56との間で磁石24を押圧するが、磁石24の寸法のばらつきに拘らず一定の押圧力で押圧できるように、例えば荷重センサにより押圧荷重を検出して押圧力を制御する定圧力制御が行なわれる。上部電極58を上下駆動するモータのトルクを制御して押圧力の定圧力制御を行なうこともできる。
電極56と58との間で所定の押圧力で磁石24が挟圧された状態で、通電制御装置62により電極56、58を介して磁石24に直流電流が通電されると、磁石24の電気抵抗によって生じる発熱(ジュール熱)に基づいて固定材(素材)38が加熱され、その固定材(素材)38の加熱による膨張や硬化によって磁石24がロータコア22に固定される。ジュール熱による発熱量Qは、磁石24の電気抵抗値R、電流値I、通電時間tを用いて次式(1) で表され、電流値Iおよび通電時間tによって磁石24の発熱量Q、更には固定材(素材)38の加熱温度を調整することができる。電流値Iや通電時間tは予め実験等により定めることが可能で、例えば電流値Iが略一定となるように電圧が制御される定電流電源が用いられる。また、例えば磁石24や固定材(素材)38の温度を熱電対等の温度センサを用いて検出し、所定温度となるように電流値Iや電圧をフィードバック制御することも可能である。このように磁石24の発熱量Qに基づいて固定材(素材)38を加熱するため、導電性を考慮して磁石24の材質を選択する必要があり、例えばネオジム磁石等の導電性を有する磁石が好適に用いられる。また、磁石24と電極56、58との接触部の電気抵抗も発熱量Qに影響するため、磁石24が絶縁被膜で被覆される場合でも、電極56、58が当接させられる両端面24a、24b(図3参照)は、絶縁被膜を剥離するなどして磁石24を露出させることが望ましい。電極56、58の一方は+電極で他方は-電極である。本実施例の通電制御装置62は磁石24に直流電流を通電して発熱させるが、交流電流を通電するようにしても良く、その場合は交流電流の実効値を電流値Iとして用いて発熱量Qを算出することができる。
Q=RI2 t ・・・(1)
冷却水循環回路64は、磁石24が通電加熱される際に電極56、58が自身の発熱や磁石24からの熱伝導などで温度上昇するため、その電極56、58を冷却するために冷却流体を供給するものである。冷却水循環回路64は、水等の冷却流体を吐出するウォーターポンプや、冷却流体を冷却ファン等で冷却するラジエータ等の熱交換器、などを有する冷却水チラー66を備えている。
図6および図7は、上記製造装置50を用いてロータ12を製造する際の製造工程を具体的に説明する図で、図7の(a) ~(c) は、それぞれ図6のフローチャートのステップS1~S3に対応する。また、図7の(d) および(e) は、図6のフローチャートのステップS4に対応し、図7の(f) は、図6のフローチャートのステップS5に対応する。図6のフローチャートのステップS1およびS2は配置工程に相当し、ステップS3およびS4は固定工程に相当する。
図6の各ステップS1~S5は、製造装置50の保持装置52にロータコア22が取り付けられた後に実行され、ステップS1では、ロータコア22に設けられた磁石取付孔36に対して、ローダ装置或いは作業者の手作業により固定材(素材)38を挿入する。ここでは、磁石固定位置Mの磁石取付孔36に対して固定材(素材)38を挿入するが、回転装置54によるロータコア22の回転方向において磁石固定位置Mの一つ手前の磁石取付孔36に対して固定材(素材)38を挿入しても良いし、予め総ての磁石取付孔36に対して固定材(素材)38を挿入しても良い。固定材(素材)38は、磁石24よりも大きい四角形の薄板の筒形状に成形されており、例えば磁石取付孔36との係合によってその磁石取付孔36内に保持される。図7の(a) は、磁石取付孔36内に固定材(素材)38が挿入されて保持されている状態である。
ステップS2では、下部電極56を支持位置まで上昇させた状態で、磁石固定位置Mにおける磁石取付孔36の上方から筒形状の固定材(素材)38の内部に磁石24を挿入する。この磁石24の挿入も、ローダ装置或いは作業者の手作業によって行なわれる。例えば挿入ロボットを用いて磁石24を固定材(素材)38の内部に挿入しても良い。挿入された磁石24は、下側の端面24aが下部電極56に当接する状態で支持される。図7の(b) は、磁石取付孔36内の固定材(素材)38の内側に磁石24が挿入されて、電極56上に支持されている状態である。
ステップS3では、押圧装置60により上部電極58が上方の退避位置から下方へ向かって移動させられ、磁石24の上側の端面24bに当接させられる押圧位置まで下降させられることにより、下部電極56と上部電極58との間で予め定められた一定の押圧力で磁石24が押圧される。図7の(c) は、上部電極58が下降させられる下降過程の状態である。
ステップS4は、押圧装置60の定圧力制御により下部電極56と上部電極58との間で磁石24が一定の押圧力で押圧されている状態で実行され、通電制御装置62によって電極56と58との間に直流電圧が印加されることにより、それ等の電極56、58を介して磁石24に直流電流が通電される。図7の(d) は、電極56と58との間に直流電圧が印加されている状態であり、この時のジュール熱によって磁石24が発熱するとともに、その磁石24の発熱に基づいて固定材(素材)38が加熱される。そして、固定材(素材)38の加熱による膨張や硬化によって磁石24がロータコア22に固定される。図7(e) は、固定材(素材)38として、図4に示すように繊維部材40および結合材42を含む複合材料が用いられた場合で、結合材42の軟化に伴って繊維部材40が膨張することにより、磁石24と磁石取付孔36との間が膨張した固定材38によって埋められ、磁石24がロータコア22に固定される。なお、図7の(d) 、(e) では、下側の電極56が+電極で、上側の電極58が-電極である。
ステップS5では、押圧装置60により上部電極58が下方の押圧位置から上方の退避位置へ向かって移動させられ、電極56、58による押圧が解除されて磁石24がアンクランプされる。図7の(f) は、上部電極58が上昇させられる上昇過程の状態である。その後、下部電極56が下方の退避位置へ下降させられるとともに、次の磁石取付孔36が磁石固定位置Mに達するように、回転装置54によりロータコア22が中心線Oまわりに所定角度だけ回転させられる。そして、ステップS1以下が繰り返し実行されることにより、総ての磁石取付孔36に固定材38を介して磁石24が取り付けられる。
このような本実施例の製造装置50を用いたロータ12の製造方法によれば、ロータコア22の磁石取付孔36内に磁石24および固定材(素材)38を挿入した後に、押圧装置60により磁石24の両端に電極56、58を接触させて押圧するとともに、通電制御装置62により電流を通電することにより、磁石24の電気抵抗によって生じる発熱に基づいて固定材(素材)38を加熱する。そして、その固定材(素材)38の加熱による膨張や硬化によって磁石24がロータコア22の磁石取付孔36に固定されるため、加熱炉が不要であるとともに加熱に必要な時間やエネルギーが低減される。
その場合に、固定材(素材)38の加熱温度は磁石24の発熱量Qに応じて定まり、その発熱量Qは通電制御装置62によって制御される直流電流の電流値Iや通電時間tによって容易に調整できる。そして、その発熱量Qに応じて固定材(素材)38を適切に加熱し、その固定材38を介して磁石24を磁石取付孔36に適切に固定することが可能で、加熱温度が低くて固定不良が生じたり加熱温度が高過ぎてロータコア22や磁石24が劣化したりすることを適切に防止できる。例えば、加熱温度が高過ぎるとロータコア22を構成している鋼板の絶縁被膜や磁石24の絶縁被膜が劣化する可能性がある。また、磁石24の耐熱性を向上させるためにジスプロシウムDyやテルビウムTbなどのレアメタルを粒界偏析させている粒界拡散型磁石の場合、偏析した元素が過度の加熱によって拡散し、磁石24の耐熱性が損なわれる可能性がある。
また、通電制御装置62は磁石24に直流電流を通電して発熱させるため、交流電流を通電する場合に比較して磁石24のみを適切に発熱させて固定材(素材)38を加熱することができる。すなわち、磁石24に交流電流を通電して発熱させる場合、電磁誘導作用によってロータコア22に誘導電流が発生するため、例えば磁石取付孔36の相互間等に幅寸法が狭い狭隘部が存在すると、その狭隘部では電流密度が高くなって過熱し易くなり、焼損等を生じる可能性があるが、直流電流の場合はそのようなロータコア22の過熱が抑制される。
また、一対の電極56、58は、押圧装置60の定圧力制御により予め定められた一定の押圧力で磁石24に押圧されるため、磁石24の寸法のばらつきに拘らず電極56、58と磁石24との接触部の電気抵抗が略一定に維持され、磁石24を流れる電流値Iや発熱量Qが略一定に維持されて固定材(素材)38を適切に加熱することができる。
また、ロータコア22には中心線Oまわりに磁石取付孔36が複数設けられて複数の磁石24が取り付けられるが、製造装置50は、ロータコア22を保持している保持装置52を中心線Oまわりに回転させる回転装置54を備えているとともに、中心線Oまわりにおける予め定められた磁石固定位置Mに押圧装置60が配設され、磁石固定位置Mにおける磁石取付孔36の磁石24に電極56、58を押圧するようになっているため、回転装置54によってロータコア22を中心線Oまわりに回転させながら複数の磁石取付孔36に対して磁石24を順次固定することができる。すなわち、ロータコア22の複数の磁石取付孔36に対してそれぞれ磁石24および固定材(素材)38を配置し、その複数の磁石24に同時に複数の電極56、58を押圧して通電する場合に比較して、製造装置50を簡単且つ安価でコンパクトに構成することができる。
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前記実施例と実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
図8は、ロータコア22を中心線Oまわりの周方向に切断した断面図で、磁石固定位置Mの3つの磁石取付孔36に配置された3つの磁石24を電気的に直列に接続して同時に直流電流を通電できるようにした場合である。すなわち、前記押圧装置60は、直流電圧が印加される一対の電極56、58の他に、それぞれロータコア22を挟んで反対側に配設され、2つの磁石24の端部に押圧されて電気的に接続する2個の接続電極70、72を備えており、電極56、58の間で3つの磁石24を直列接続するようになっている。下側の接続電極70は電極56と共に下側の移動装置57によって退避位置と支持位置との間を上下動させられ、上側の接続電極72は電極58と共に上側の移動装置59によって退避位置と押圧位置との間を上下動させられる。この場合は、3つの磁石取付孔36に配置された3個の磁石24を同時に発熱させ、固定材(素材)38を加熱して同時に固定することができるため、磁石24の取付効率が向上する。また、3つの磁石24が電気的に直列に接続されるため、各磁石24を流れる電流値Iが同じで発熱量Qが略同じになり、固定材(素材)38の加熱による磁石24の固定強度のばらつきが抑制される。
なお、図8では3つの磁石24を直列接続するようになっていたが、2つの磁石24を直列接続しても良いし、4つ以上の磁石24を直列接続するようにしても良い。直流電圧が印加される一対の電極56、58は、直列接続する磁石24が奇数の場合、ロータコア22を挟んで互いに反対側に配置されるが、直列接続する磁石24が偶数の場合は、ロータコア22の軸方向の何れか一方に配置すれば良い。また、複数の磁石24を電気的に並列に接続して同時に直流電流を通電することも可能である。
図9は、前記磁石24の代わりに、ロータコア22の中心線Oと平行な面で2分割された2個の分割磁石82、84から成る磁石80が用いられる場合で、図10に示すように、前記実施例と同様に先端が全面接触させられる通常の電極56、58を用いて各分割磁石82、84に通電し、それ等の分割磁石82、84の発熱により固定材(素材)38を加熱することができる。このようにロータ12に組み付けられる磁石80が複数の分割磁石82、84によって構成されると、そのロータ12を備える回転電機10が使用される際に、磁石80の分割数が多い程各分割磁石82、84における渦電流損失が低減され、回転電機10の効率が高くなる。
しかしながら、例えば図11に示すように2個の分割磁石82、84が磁石取付孔36に対して片寄って配置されると、各分割磁石82、84と電極56、58との接触面積が相違するため、接触部の電気抵抗が相違して各分割磁石82、84の発熱量Qにばらつきが生じる。図11では、分割磁石82、84が磁石取付孔36に対して右側に片寄って配置されており、左側の分割磁石82と電極56、58との接触面積が、右側の分割磁石84と電極56、58との接触面積よりも大きい。このため、その左側の分割磁石82と電極56、58との接触部の電気抵抗が小さくなり、右側の分割磁石84に比較して電流値Iが高くなるとともに発熱量Qが大きくなる。そして、この発熱量Qのばらつきに伴って固定材(素材)38の加熱温度がばらつき、加熱温度が低い部分で固定不良が生じたり加熱温度が高い部分で磁石80が劣化したりする可能性がある。
これに対し、図12に示すように、2個の分割磁石82、84の端部に個別に接触させられるように先端が2つに分岐している二股形状の電極86、88を用いれば、磁石取付孔36に対する分割磁石82、84の位置ずれ(片寄り配置)に拘らず各分割磁石82、84と電極86、88との接触面積が略同じになり、電気抵抗が略同じになって各分割磁石82、84の電流値Iや発熱量Qが略同じになる。これにより、2個の分割磁石82、84を略均一に温度上昇させて固定材(素材)38を略均一に加熱し、2個の分割磁石82、84を適切にロータコア22に固定することができる。すなわち、位置ずれに対するロバスト性が向上し、発熱量Qのばらつきに起因する固定力不足や磁石性能の低下を抑制できる。
図13は、3個の分割磁石92、94、96から成る磁石90が用いられるとともに、3個の分割磁石92、94、96の端部に個別に接触させられるように先端が3つに分岐している三股形状の電極98、100が用いられた場合で、実質的に図12の実施例と同様の作用効果が得られる。この場合に、三股形状の電極98、100の3つの分岐部98a、98b、98c、100a、100b、100cの先端が、確実に3個の分割磁石92、94、96の端面に接触させられる条件を検討する。図13において、電極98および100は対称形状で、上側の電極100の3つの分岐部100a、100b、100cの各幅寸法をa、間隔をb、分割磁石92、94、96の各幅寸法をc、電極100と磁石取付孔36との間の遊び寸法をdとする。また、3個の分割磁石92、94、96の全幅(=3c)の中心線と電極100の中心線とが一致している場合に、分岐部100a、100b、100cの中心線がそれぞれ各分割磁石92、94、96の中心線と一致するように幅寸法aおよび間隔bが設定されていると、その幅寸法a、間隔b、および幅寸法cの関係は次式(2) で表され、次式(3) の関係を有する。また、分岐部100a、100b、100cの各幅寸法aは、分割磁石92、94、96の各幅寸法cよりも小さく、次式(4) の関係を有するとともに、磁石取付孔36の中心線と分割磁石92、94、96の全幅(=3c)の中心線とが一致している場合の両側の隙間寸法eは次式(5) で表される。
(c-a)/2=b/2 ・・・(2)
b=c-a ・・・(3)
a<c ・・・(4)
e=d-(c-a)/2 ・・・(5)
一方、図14は、分割磁石92、94、96が磁石取付孔36に対して左側に片寄って配置された場合で、右側の隙間寸法は2eとなり、上記(5) 式から次式(6) で表すことができる。そして、この図14において、電極100の右端が分割磁石96の右端よりも飛び出さないための条件は次式(7) で表され、次式(8) の関係を有する。すなわち、各部の寸法a、c、dが(8) 式を満たすように設定されれば、磁石取付孔36に対する分割磁石92、94、96の位置ずれ(片寄り配置)に拘らず、電極100の分岐部100a、100b、100cの先端面が何れも分割磁石92、94、96の端面に全面接触させられるようになり、接触部の電気抵抗が略同じになって各分割磁石92、94、96の電流値Iや発熱量Qが略同じになる。
2e=2d-c+a ・・・(6)
2d-c+a≦d ・・・(7)
a≦c-d ・・・(8)
上記(8) 式の条件は、二股形状の電極86、88が用いられる図12の実施例や、4分割以上に分割された磁石に対して四股以上に分岐している電極が用いられる場合も同じである。また、(8) 式は固定材(素材)38の肉厚を無視して求めたが、例えば薄板の筒形状の固定材(素材)38の肉厚をfとした場合、図14の隙間寸法2eは肉厚fだけ小さくなる。このため、肉厚fに応じて次式(9) を満たすように、各部の寸法a、c、dを設定すれば良い。
a≦c-d+f ・・・(9)
図15は、前記図5の製造装置50等を用いてロータ12を製造する際の製造工程の別の例を説明するフローチャートで、図16は図15の製造工程を具体的に説明する断面図で、前記図7に対応する図である。図15のステップSS1では、磁石24の外周面に薄板状の固定材(素材)38を巻き付けたり、磁石24の外周面の一部に固定材(素材)38を付着したり、筒状の固定材(素材)38の内部に磁石24を嵌合したりして、予め磁石24の外周面に固定材(素材)38を貼り付けておく。固定材(素材)38の貼り付け方法は、例えば接着剤が適当であるが、圧着、水圧転写など種々の態様が可能である。図16の(a) は、磁石24の外周面の全面に固定材(素材)38が貼り付けられた状態である。次のステップSS2では、固定材(素材)38が貼り付けられた磁石24を、磁石固定位置Mにおける磁石取付孔36の上方からその磁石取付孔36内に挿入する。図16の(b) は、磁石取付孔36内に、固定材(素材)38が貼り付けられた磁石24が挿入され、電極56上に支持されている状態である。本実施例では、このステップSS1およびSS2が配置工程である。ステップSS3~SS5は前記図6のステップS3~S5と同じであり、ステップSS3およびSS4は固定工程に相当する。
本実施例においては、前記実施例と同様の作用効果が得られるのに加えて、固定材(素材)38を予め磁石24に貼り付けて磁石取付孔36内に挿入するため、磁石24に対する固定材(素材)38の位置ずれが抑制され、固定材38を介して磁石24を磁石取付孔36に対して適切に固定することができる。なお、図8~図14の各実施例についても、本実施例と同様に固定材(素材)38を予め磁石24、80、90に取り付けた後に磁石取付孔36内に挿入することができる。
図17は前記図7における(d) の通電加熱工程に対応する断面図で、この実施例では通電制御装置110により一対の電極56、58を介して磁石24に交流電流が通電される。本実施例においても、ロータコア22の磁石取付孔36内に磁石24および固定材(素材)38を挿入した後に、押圧装置60により磁石24の両端に電極56、58を接触させて押圧するとともに、通電制御装置110により交流電流を通電することにより、磁石24の電気抵抗によって生じる発熱に基づいて固定材(素材)38が加熱され、その固定材(素材)38の加熱による膨張や硬化によって磁石24がロータコア22の磁石取付孔36に固定されるため、加熱炉が不要であるとともに加熱に必要な時間やエネルギーが低減されるなど、前記実施例と同様の作用効果が得られる。また、交流電流の場合、電流が磁石24の表面近くを流れる表皮効果により磁石24の電気抵抗値Rが高くなって発熱量Qが大きくなるため、直流電流の場合に比較して電流値Iを小さくして効率よく発熱させることができる。
なお、前記図8~図16の各実施例においても、本実施例と同様に磁石24、80、90に交流電流を通電して発熱させるようにしても良い。
また、交流電流を用いた場合、電磁誘導作用によって磁石24の周辺部分に誘導電流が発生するため、例えば図18に示すロータコア112のように、周方向に隣接する複数の磁石取付孔114の相互間、或いは磁石取付孔114とロータコア112の外周面との間に、幅寸法が狭い狭隘部118が存在する場合、その狭隘部118では電流密度が高くなるため過熱し易くなり、焼損等を生じる可能性がある。このため、その狭隘部118が存在する部分のロータコア112の外周面に密着するように当て金120を配置し、その状態で磁石取付孔114内に磁石24および固定材(素材)38を挿入して通電制御装置110により交流電流を通電して磁石24の固定処理を行なうことにより、誘導電流による発熱を当て金120により吸収して狭隘部118の過熱を抑制することが望ましい。当て金120は、例えば熱伝導率が高い銅合金等が適当である。なお、符号122は、磁石取付孔114の内周側に設けられて磁束の経路を規制する磁束迂回孔である。
図19は、図6のステップS4または図15のステップSS4で磁石24を通電加熱して磁石取付孔36に固定する際に、電圧Eに基づいて通電異常を判定する場合の制御を説明するフローチャートで、通電制御装置62によって実行される。通電制御装置62は、マイクロコンピュータ等を有する電子制御装置を備えて構成されており、予め定められたプログラムに従って信号処理を実行することにより、図19のフローチャートに従って磁石24を通電加熱する。図19のST1では、例えば定電流電源等により、予め定められた一定電流値Iaで磁石24に通電が行なわれるように、一対の電極56、58に加えられる電圧Eが制御される。このように一定電流値Iaで磁石24が通電加熱されると、前記(1) 式から明らかなように磁石24の発熱量Qが略一定に維持されるため、その発熱に伴う固定材(素材)38の加熱により磁石24を適切に固定することができる。
一方、異物の挟み込みや電極56、58の摩耗、磁石24の傾きなどにより電極56、58と磁石24との間で接触不良が生じると、局所的な異常発熱による熱膨張差で磁石24が熱割れしたり固定材38が熱劣化したりするとともに、その熱割れや劣化に起因して磁石24の固定強度が低下する可能性がある。このような接触不良による局所的な異常発熱は外部から確認することが難しいが、接触不良により電気抵抗が大きくなると電圧Eが異常に高くなるため、その電圧Eに基づいて電極56、58と磁石24との接触不良を判定することができる。すなわち、この実施例ではST2で電圧計等によって検出される電圧Eを読み込み、ST3で電圧Eが予め定められた異常判定値Es以上か否かを監視する。電圧Eは、磁石24の固有の電気抵抗値Rの他に電極56、58の電気抵抗、磁石24と電極56、58との間の接触抵抗、電源から電極56、58までの接続線の電気抵抗等に応じて定まり、それ等の抵抗値が略一定であれば、一定電流値Iaで通電するために必要な電圧Eも略一定値になる。これに対し、電極56、58と磁石24との間の接触不良で局所的に異常発熱(過熱)が発生する場合は、接触不良による電気抵抗の増加で必要電圧Eが異常に高くなるため、例えば通常(正常時)の必要電圧Eの1.5倍以上の電圧値を異常判定値Esに設定して異常判定を行なうことが可能であり、異常判定値Esは予め実験やシミュレーション等によって設定される。磁石24を傾けるなどして意図的に接触不良を生じさせ、磁石24の熱割れや固定材38の熱劣化の発生状況を調べて異常判定値Esを設定しても良い。
そして、E≧Esの場合はST4で通電異常と判定し、ST5で通電を中止する。また、E<Esであれば、ST3に続いてST6を実行し、通電加熱の終了条件を満たすか否かを判断する。終了条件は、磁石24が固定材38により磁石取付孔36に確実に固定される条件で、例えば予め定められた加熱時間等であり、加熱時間が経過するなどして終了条件を満たしたらST7を実行して通電加熱を終了する一方、終了条件を満たすまではST1以下を繰り返し実行して通電加熱を継続する。
このように、本実施例では磁石24に一定電流値Iaで通電が行なわれるように電圧Eが制御されるため、通電加熱による磁石24の発熱量Qが略一定に維持され、その発熱に伴う固定材(素材)38の加熱により磁石24を適切に固定することができる。また、電圧Eが予め定められた異常判定値Es以上か否かを監視し、異常判定値Es以上の場合は異常と判定して通電を中止するため、電極56、58と磁石24との接触不良による異常発熱に起因する磁石24の熱割れや固定材38の劣化などを防止することができる。
上記図19では電圧Eに基づいて異常判定を行なっていたが、図20のフローチャートに示すように、電圧Eの代わりに(電流×電圧)である出力Pに基づいて異常判定を行なうこともできる。図20は、図19のST2、ST3の代わりにST2-1、ST3-1を実行する点が相違しており、ST2-1では出力計等によって検出される出力Pを読み込む。電圧Eを検出して、一定電流値Iaを掛け算することにより出力Pを算出しても良い。また、ST3-1では、出力Pが予め定められた異常判定値Ps以上か否かを監視し、P≧Psの場合はST4で通電異常と判定してST5で通電を中止する一方、P<PsであればST6を実行する。すなわち、電流値が一定であることから、一定電流値Iaに電圧Eを掛け算した出力Pを用いても、実質的に電圧Eに基づく異常判定と同じで、図19の実施例と同様の作用効果が得られる。異常判定値Psは、例えば前記異常判定値Esと一定電流値Iaとを掛け算した値とされる。
なお、図8のように複数の磁石24を直列に接続して通電加熱する場合や、図10のように一対の電極56、58を磁石80に押圧して通電加熱する場合、図12のように一対の電極86、88を磁石80に押圧して通電加熱する場合、図13のように一対の電極98、100を磁石90に押圧して通電加熱する場合、或いは図17のように交流電流を用いて磁石24を通電加熱する場合にも、図19、図20のフローチャートに従って電圧Eを制御して通電加熱することができる。図17の場合、通電制御装置110は、図19、図20のフローチャートに従って磁石24を通電加熱することができるように、前記通電制御装置62と同様にマイクロコンピュータ等を有する電子制御装置を備えて構成され、電流や電圧の実効値等を用いて制御が行なわれる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:回転電機 12:回転電機用ロータ 22、112:ロータコア 24、80、90:磁石 36、114:磁石取付孔(磁石取付部) 38:固定材 40:繊維部材(膨張材) 50:製造装置 52:保持装置 54:回転装置 56、58、86、88、98、100:電極 60:押圧装置 62、110:通電制御装置 70、72:接続電極 82、84、92、94、96:分割磁石 O:中心線 M:磁石固定位置 S1、S2、SS1、SS2:配置工程 S3、S4、SS3、SS4:固定工程 Ia:一定電流値 E:電圧 Es:異常判定値 P:出力 Ps:異常判定値

Claims (15)

  1. ロータコアと、前記ロータコアの中心線と平行に設けられた磁石取付部に取り付けられる磁石と、を有する回転電機用ロータに関し、前記磁石取付部と前記磁石との間に配設された固定材が加熱されることにより、該固定材を介して前記磁石が前記磁石取付部に固定される回転電機用ロータの製造方法であって、
    前記磁石取付部と前記磁石との間に前記固定材が位置するように、前記ロータコアの前記磁石取付部に前記磁石および前記固定材を配置する配置工程と、
    前記磁石の両端に電極を接触させて電流を通電することにより、前記磁石の電気抵抗によって生じる発熱に基づいて前記固定材を加熱し、該加熱された固定材によって前記磁石を前記磁石取付部に固定する固定工程と、
    を有することを特徴とする回転電機用ロータの製造方法。
  2. 前記磁石取付部に取り付けられる前記磁石は、前記ロータコアの中心線と平行な面で分割されたn個の分割磁石にて構成されており、
    前記電極は、前記n個の分割磁石の端部に個別に接触させられるように先端がn個に分岐しているn股形状とされており、
    前記nは2以上の自然数である
    ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機用ロータの製造方法。
  3. 前記固定工程では前記磁石に直流電流を通電する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機用ロータの製造方法。
  4. 前記固定工程では、予め定められた一定の押圧力で前記電極を前記磁石に押圧する
    ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の回転電機用ロータの製造方法。
  5. 前記ロータコアには前記磁石取付部が複数設けられて前記磁石が複数取り付けられるようになっており、
    前記固定工程では、前記複数の磁石の少なくとも一部を電気的に直列に接続して同時に電流を通電する
    ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の回転電機用ロータの製造方法。
  6. 前記固定材は熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、または膨張材を含み、
    前記固定工程では、前記熱硬化性樹脂の加熱による硬化、前記熱可塑性樹脂の加熱による軟化後の冷却硬化、または前記膨張材の加熱による膨張に基づいて、前記磁石が前記磁石取付部に固定される
    ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の回転電機用ロータの製造方法。
  7. 前記固定工程では、前記磁石に一定電流値で通電が行なわれるように電圧が制御されるとともに、前記電圧または出力が予め定められた異常判定値以上か否かを監視し、該異常判定値以上の場合に異常と判定して通電を中止する
    ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の回転電機用ロータの製造方法。
  8. ロータコアと、前記ロータコアの中心線と平行に設けられた磁石取付部に取り付けられる磁石と、を有する回転電機用ロータに関し、前記磁石取付部と前記磁石との間に配設された固定材が加熱されることにより、該固定材を介して前記磁石が前記磁石取付部に固定される回転電機用ロータの製造装置であって、
    前記ロータコアを保持する保持装置と、
    前記保持装置によって保持されている前記ロータコアの前記磁石取付部に前記固定材と共に配置された前記磁石の両端に電極を押圧する押圧装置と、
    前記電極を介して前記磁石に電流を通電することにより、前記磁石の電気抵抗によって生じる発熱に基づいて前記固定材を加熱し、該加熱された固定材によって前記磁石を前記磁石取付部に固定する通電制御装置と、
    を有することを特徴とする回転電機用ロータの製造装置。
  9. 前記磁石取付部に取り付けられる前記磁石は、前記ロータコアの中心線と平行な面で分割されたn個の分割磁石にて構成されており、
    前記電極は、前記n個の分割磁石の端部に個別に接触させられるように先端がn個に分岐しているn股形状とされており、
    前記nは2以上の自然数である
    ことを特徴とする請求項8に記載の回転電機用ロータの製造装置。
  10. 前記通電制御装置は前記磁石に直流電流を通電する
    ことを特徴とする請求項8または9に記載の回転電機用ロータの製造装置。
  11. 前記押圧装置は、予め定められた一定の押圧力で前記電極を前記磁石に押圧する
    ことを特徴とする請求項8~10の何れか1項に記載の回転電機用ロータの製造装置。
  12. 前記ロータコアには前記中心線まわりに前記磁石取付部が複数設けられて前記磁石が複数取り付けられるようになっており、
    前記製造装置は、前記ロータコアを保持している前記保持装置を該ロータコアの前記中心線まわりに回転させる回転装置を備えており、
    前記押圧装置は、前記保持装置によって保持されている前記ロータコアの前記中心線まわりにおける予め定められた磁石固定位置に配設され、該磁石固定位置における前記磁石取付部に配置された前記磁石に前記電極を接近させて押圧する
    ことを特徴とする請求項8~11の何れか1項に記載の回転電機用ロータの製造装置。
  13. 前記押圧装置は、前記磁石固定位置における複数の前記磁石取付部に配置された複数の前記磁石を電気的に直列に接続して同時に電流を通電できるように、電圧が印加される一対の電極の他に前記複数の磁石の端部に押圧されて電気的に接続する接続電極を備えている
    ことを特徴とする請求項12に記載の回転電機用ロータの製造装置。
  14. 前記固定材は熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、または膨張材を含み、
    前記通電制御装置による通電時に、前記熱硬化性樹脂の加熱による硬化、前記熱可塑性樹脂の加熱による軟化後の冷却硬化、または前記膨張材の加熱による膨張に基づいて、前記磁石が前記磁石取付部に固定される
    ことを特徴とする請求項8~13の何れか1項に記載の回転電機用ロータの製造装置。
  15. 前記通電制御装置は、前記磁石に一定電流値で通電が行なわれるように電圧を制御するとともに、前記電圧または出力が予め定められた異常判定値以上か否かを監視し、該異常判定値以上の場合に異常と判定して通電を中止する
    ことを特徴とする請求項8~14の何れか1項に記載の回転電機用ロータの製造装置。
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