以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、車両1の概略構成図である。車両1は、内燃機関3と、発電用モータ4と、バッテリ5と、走行用モータ2と、コントローラ7と、を備える。
内燃機関3は、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンのいずれでもかまわない。
発電用モータ4は、内燃機関3の動力によって駆動されることで発電する。また、発電用モータ4は、後述するバッテリ5の電力により力行することで内燃機関3をモータリングする機能も有する。
バッテリ5には、発電用モータ4で発電された電力と、後述する走行用モータ2で回生された電力と、が充電される。
走行用モータ2は、バッテリ5の電力により駆動されて、駆動輪6を駆動する。また、走行用モータ2は、減速時等に駆動輪6の回転に伴って連れ回されることにより減速エネルギを電力として回生する、いわゆる回生機能も有する。
コントローラ7は、走行用モータ2、内燃機関3及び発電用モータ4の制御を行なう。
なお、コントローラ7は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ7を複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。
また、車両1は、走行用モータ2と駆動輪6との間で動力を伝達する動力伝達経路24と、内燃機関3と駆動輪6との間で動力を伝達する動力伝達経路25と、内燃機関3と発電用モータ4との間で動力を伝達する動力伝達経路26と、を有する。
動力伝達経路24は、走行用モータ2の回転軸2Aに設けられた第1減速ギヤ8と、第1減速ギヤ8と噛み合う第2減速ギヤ9と、デファレンシャルケース11に設けられたデファレンシャルギヤ12と、第2減速ギヤ9と同軸上に設けられてデファレンシャルギヤ12と噛み合う第3減速ギヤ10と、で構成される。また、動力伝達経路24には、第1減速ギヤ8が回転軸2Aに対して相対回転可能な状態と相対回転不可能な状態とを切り替える第1クラッチ機構19が設けられている。第1クラッチ機構19は、回転軸2Aに軸方向に摺動可能に支持された第1スリーブ20と、第1減速ギヤ8に設けられた係合部8Aとで構成された、いわゆるドグクラッチである。すなわち、第1スリーブ20が第1減速ギヤ8の方向に移動し、第1スリーブ20に係合部8Aの方向に突出するよう設けられた複数の凸部と、係合部8Aに第1スリーブ20の方向に突出するよう設けられた複数の凸部とが、回転方向において互い違いに配置される噛み合うことで締結状態となる。この状態から、第1スリーブ20が第1減速ギヤ8とは反対方向に移動して、両者の凸部の噛み合いが解消されることで解放状態となる。なお、第1スリーブ20の移動は、電動アクチュエータにより行なわれる。
第1クラッチ機構19が締結状態であれば、走行用モータ2の動力は駆動輪6に伝達される。一方、第1クラッチ機構19が解放状態であれば、走行用モータ2の回転軸2Aの回転は第1減速ギヤ8に伝達されないので、走行用モータ2から駆動輪6への動力伝達は遮断される。
動力伝達経路25は、内燃機関3の出力軸3Aに設けられた第4減速ギヤ16と、第4減速ギヤ16と噛み合う第5減速ギヤ17と、デファレンシャルケース11に設けられたデファレンシャルギヤ12と、第5減速ギヤ17と同軸上に設けられてデファレンシャルギヤ12と噛み合う第6減速ギヤ18と、で構成される。また、動力伝達経路25には、第4減速ギヤ16が出力軸3Aに対して相対回転可能な状態と相対回転不可能な状態とを切り替える第2クラッチ機構21が設けられている。第2クラッチ機構21は、出力軸3Aに軸方向に摺動可能に支持された第2スリーブ22と、第4減速ギヤ16に設けられた係合部16Aとで構成された、いわゆるドグクラッチである。すなわち、第2スリーブ22が第4減速ギヤ16の方向に移動し、第2スリーブ22に係合部16Aの方向に突出するよう設けられた複数の凸部と、係合部16Aに第2スリーブ22の方向に突出するよう設けられた複数の凸部とが、回転方向において互い違いに配置される噛み合うことで締結状態となる。この状態から、第2スリーブ22が第4減速ギヤ16とは反対方向に移動して、両者の凸部の噛み合いが解消されることで解放状態となる。なお、第2スリーブ22の移動は、電動アクチュエータにより行なわれる。
第2クラッチ機構21が締結状態であれば、内燃機関3の動力は駆動輪6に伝達される。以下の説明において、この状態を内燃機関直結状態ともいう。一方、第2クラッチ機構21が解放状態であれば、内燃機関3の出力軸3Aの回転は第4減速ギヤ16に伝達されないので、内燃機関3から駆動輪6への動力伝達は遮断される。
動力伝達経路26は、内燃機関3の出力軸3Aに設けられた第7減速ギヤ13と、第7減速ギヤ13と噛み合う第8減速ギヤ14と、発電用モータ4の回転軸4Aに設けられた第9減速ギヤ15と、で構成される。動力伝達経路26は、動力伝達を遮断する要素を備えていない。すなわち、動力伝達経路26は常に動力が伝達される状態になっている。
第1クラッチ機構19及び第2クラッチ機構21の締結、解放動作は、コントローラ7により制御される。
上述した構成の車両1は、動力伝達経路24により駆動輪6に動力を伝達して走行するシリーズハイブリッドモードと、内燃機関直結状態にして動力伝達経路25により駆動輪6に動力を伝達して走行する内燃機関直結モードと、を切り替え可能である。シリーズハイブリッドモードでは、内燃機関3の動力により駆動されて発電する発電用モータ4の電力を利用して走行用モータ2で駆動輪6を駆動する。コントローラ7は、シリーズハイブリッドモードと内燃機関直結モードとを運転状態、具体的には車速と駆動力とに応じて切り替える。
図2は、シリーズハイブリッドモードにおける動力伝達状態を示す図である。シリーズハイブリッドモードでは、動力伝達経路24により駆動輪6に動力が伝達される。すなわち、シリーズハイブリッドモードでは、第1クラッチ機構19が締結状態になることで、走行用モータ2が発生した動力が駆動輪6に伝達される。このとき、第2クラッチ機構21は解放状態となる。
また、シリーズハイブリッドモードにおいても内燃機関3の動力は動力伝達経路26を介して発電用モータ4に伝達され、発電用モータ4は発電を行い、発電された電力はバッテリ5に充電される。ただし、発電用モータ4で発電するか否かはバッテリ5の充電量に応じて定まり、バッテリ5に充電する必要がない場合には内燃機関3は停止する。
図3は、内燃機関直結モードにおける動力伝達状態を示す図である。内燃機関直結モードでは、動力伝達経路25により駆動輪6に動力が伝達される。すなわち、内燃機関直結モードでは、第2クラッチ機構21が締結状態になることで、内燃機関3が発生した動力が駆動輪6に伝達される。
内燃機関直結モードでは、第1クラッチ機構19は解放状態となる。仮に、内燃機関直結モードにおいて第1クラッチ機構19を締結状態にすると、駆動輪6の回転に伴って走行用モータ2が連れ回り、誘起起電力が発生する。バッテリ5の充電容量に余裕がある場合には、発生した電力をバッテリ5に充電することでエネルギを回生することになる。しかし、バッテリ5の充電容量に余裕がない場合には、発電抵抗が駆動輪6の回転を妨げるフリクションとなり、燃費性能低下の要因となる。これに対し本実施形態では、内燃機関直結モードにおいて第1クラッチ機構19は解放状態になるので、上述した走行用モータ2の連れ回りによる燃費性能の低下を抑制できる。
次に車両1が備えるシフトリンク構造30について説明する。
図4は、シフトリンク構造30を模式的に示す図である。シフトリンク構造30は、第2クラッチ機構21の締結、解放を行うためのリンク構造であり、シフトアクチュエータ31と、シフトカム32と、第1動力伝達経路33と、第2動力伝達経路34と、シフトフォーク35とを有する。
シフトアクチュエータ31はシフトカム32を駆動する。シフトアクチュエータ31は例えばモータにより構成され、減速ギヤ列を介してシフトカム32を回転駆動する。
シフトカム32は、第1リンク溝321と第2リンク溝322とを有する。第1リンク溝321は第1動力伝達経路33の構成要素であり、第1リンク溝321には第1ピン331が係合する。第2リンク溝322は第2動力伝達経路34の構成要素であり、第2リンク溝322には第2ピン341が係合する。第2ピン341には第1ピン331と同じピンを用いることができる。
第1リンク溝321はシフトカム32の回転時に第1ピン331を案内することにより、第1ピン331をシフトカム32の軸方向に移動させる。第2リンク溝322及び第2ピン341についても同様である。シフトカム32の軸方向は、第2スリーブ22が設けられた出力軸3Aの軸方向、つまり第2クラッチ機構21の作動方向に沿った方向とされる。第1リンク溝321は第1の溝に相当し、第2リンク溝322は第2の溝に相当する。第1リンク溝321及び第2リンク溝322についてはさらに後述する。
第1動力伝達経路33は、ばね332を介してシフトアクチュエータ31とシフトフォーク35とを結ぶ動力伝達経路であり、第1ピン331やばね332のほか、減速ギヤ列や第1リンク溝321を有して構成される。
第1ピン331はばね332を介してシフトフォーク35と接続される。ばね332は動力伝達経路上、シフトカム32とシフトフォーク35との間に設けられる。ばね332にはシフトフォーク35を解放位置から締結位置まで移動させるのに必要な長さをストローク可能なばねが用いられる。
第2動力伝達経路34は、ばね(ばね332を含むばね)を介さずにシフトアクチュエータ31とシフトフォーク35とを結ぶ動力伝達経路であり、第2ピン341のほか、減速ギヤ列や第2リンク溝322を有して構成される。第2ピン341はばねを介さずにシフトフォーク35と接続される。
シフトフォーク35は第2クラッチ機構21の第2スリーブ22と係合する。第2スリーブ22は回転方向に摺動可能にシフトフォーク35と係合する。第2スリーブ22は、シフトフォーク35から伝達される動力により第2クラッチ機構21の作動方向、つまり第2クラッチ機構21を締結する方向と第2クラッチ機構21を解放する方向とに移動する。
シフトフォーク35の移動は、シフトアクチュエータ31の動力をシフトフォーク35に伝達することにより行われる。ばね332を介してシフトフォーク35に動力を伝達する場合、ばね332のばね力を上回る抵抗力によりシフトフォーク35の移動が妨げられることがある。この場合、まずばね332が圧縮され、その後、ばね力が抵抗力を上回るとシフトフォーク35が移動し始める。シフトフォーク35の移動を妨げる抵抗は例えば、次のようにして発生する。
ここで、図2、図3からわかるように、車両1では第2クラッチ機構21の締結時には発電用モータ4を用いて第2スリーブ22の回転を第4減速ギヤ16の回転に同期させることができる。ところが、同期により両者の差回転が所定値より小さくなった際に第2クラッチ機構21を締結しようとしても、第4減速ギヤ16の係合部16A及び第2スリーブ22のドグ歯同士の位相が合っていると、ドグ歯同士は噛み合うことができなくなる。
車両1では、このような現象(以下、ティースオンティースと称す)により第2スリーブ22の移動を妨げる抵抗、従って第2スリーブ22と係合するシフトフォーク35の移動を妨げる抵抗が発生することがある。ティースオンティースは、係合部16A及び第2スリーブ22のドグ歯同士の位相がずれることにより解除される。ばね332のばね定数は、ティースオンティースが発生している状態でもシフトアクチュエータ31が解放位置から締結位置まで作動可能な値に設定される。
シフトフォーク35の移動を妨げる抵抗は第2クラッチ機構21の解放時にも発生する。ここで、ドグクラッチである第2クラッチ機構21では、トルクが掛かった状態において第2スリーブ22に締結方向の力が作用する。このため、第2クラッチ機構21の解放時にはこのような力が第2クラッチ機構21の解放を妨げる抵抗力となって、シフトフォーク35の移動を妨げる抵抗が発生する。
次にシフトリンク構造30の具体例について説明する。
図5はシフトリンク構造30の一具体例に示す図である。図6はシフトリンク構造30の要部を示す斜視図である。図7はシフトリンク構造30の要部を示す断面図である。
図5、図6に示すように、シフトリンク構造30は第1アーム36とシフトロッド37とをさらに備える。第1アーム36とシフトロッド37とはともに第1動力伝達経路33の構成要素であり、第1アーム36はシフトロッド37に固定され、シフトロッド37は第2スリーブ22の移動方向に移動可能に設けられる。
第1アーム36はシフトカム32の側方に延伸し、第1ピン331は第1アーム36の先端部に設けられる。シフトロッド37はシフトフォーク35の収容部351に挿通される。シフトフォーク35はシフトカム32の側方に延伸する第2アーム352を備え、第2ピン341は第2アーム352の先端部に設けられる。
図7に示すように、収容部351はばね332とピストン353とを収容する。ばね332はコイルスプリングであり、シフトロッド37を挿通させた状態で収容部351内に配置される。ピストン353は第2クラッチ機構21解放側の収容部351の端部内に設けられ、第2クラッチ機構21締結側の収容部351の端部内ではばね332が着座する。シフトロッド37はピストン353を貫通し、ピストン353にはシフトロッド37のフランジ371が当接する。フランジ371はシフトロッド37が第2クラッチ機構21締結側に移動する場合にピストン353を押し、シフトロッド37が第2クラッチ機構21解放側に移動する場合にはピストン353から離れる方向に移動する。
第2クラッチ機構21を締結する場合、シフトアクチュエータ31の動力は第1動力伝達経路33を介してシフトフォーク35に伝達されることになる。この場合、シフトロッド37はシフトアクチュエータ31からの動力により第2クラッチ機構21締結側に移動し、これによりピストン353がフランジ371によって押される。
ティースオンティースが発生していない場合、ばね332はシフトアクチュエータ31からの動力によりシフトフォーク35及び第2スリーブ22とともに第2クラッチ機構21締結側に移動することができ、これにより第2クラッチ機構21が締結される。
ティースオンティースが発生している場合、シフトフォーク35の移動はティースオンティースにより妨げられるので、ばね332が圧縮される。この場合、ティースオンティースが解除された際にばね力が抵抗力を上回る結果、ばね332のばね力によりシフトフォーク35が第2スリーブ22とともに第2クラッチ機構21締結側に移動し、第2クラッチ機構21が締結される。
第2クラッチ機構21を解放する場合、シフトアクチュエータ31の動力は第2動力伝達経路34を介してシフトフォーク35に伝達されることになる。第1動力伝達経路33、第2動力伝達経路34の選択は次に説明するようにして行われる。
図8は、第1リンク溝321及び第2リンク溝322と、第1軌跡331T及び第2軌跡341Tの説明図である。第1軌跡331Tは第1ピン331の軌跡を示し、第2軌跡341Tは第2ピン341の軌跡を示す。実線で示される軌跡は第2クラッチ機構21締結時の軌跡を示し、破線で示される軌跡は第2クラッチ機構21解放時の軌跡を示す。図8では、第1リンク溝321及び第2リンク溝322をシフトカム32の円周面の展開図で示す。
まず、第1リンク溝321、第2リンク溝322について説明する。
第1リンク溝321は、締結時案内壁部321aと第1対向壁部321bとを有する。締結時案内壁部321aは、第1対向壁部321bよりも軸方向位置における解放側に位置し、第2クラッチ機構21を締結する際に第1ピン331を案内する。第1対向壁部321bは締結時案内壁部321aに対向する壁部である。
締結時案内壁部321aは、回転方向位置における一端位置P1及び第1中間位置P2間で軸方向位置が一定になるように形成される。これにより、第1リンク溝321は、当該区間でシフトカム32が締結方向に回転しても第1ピン331が干渉しない形状に形成される。第2中間位置P3及び他端位置P4間についても同様である。
一端位置P1及び第1中間位置P2間の締結時案内壁部321aは軸方向位置における解放側に設けられ、第2中間位置P3及び他端位置P4間の締結時案内壁部321aは軸方向位置における締結側に設けられる。第1中間位置P2及び第2中間位置P3間の締結時案内壁部321aは、回転方向位置が締結側になるに従って軸方向位置が次第に締結側になるように形成される。第1対向壁部321bは締結時案内壁部321aと同様に形成される。
第2リンク溝322は、解放時案内壁部322aと第2対向壁部322bとを有する。解放時案内壁部322aは、第2対向壁部322bよりも軸方向位置における締結側に位置し、第2クラッチ機構21を解放する際に第2ピン341を案内する。第2対向壁部322bは解放時案内壁部322aに対向する壁部である。
一端位置P1及び第1中間位置P2間の解放時案内壁部322aは軸方向位置における解放側に設けられ、軸方向位置が一定になるように形成される。第2中間位置P3及び他端位置P4間の解放時案内壁部322aは軸方向位置における締結側に設けられ、軸方向位置が一定になるように形成される。
第1中間位置P2及び第2中間位置P3間の解放時案内壁部322aは、回転方向位置が締結側になるに従って軸方向位置が次第に締結側になるように形成される。回転方向位置に応じた軸方向位置の変化度合いは解放時案内壁部322aと第1対向壁部321bとで同じとすることができる。
第2対向壁部322bは、一端位置P1、他端位置P4間で軸方向位置が一定になるように形成される。これにより、第2対向壁部322bは、第2クラッチ機構21の締結時に第2ピン341が干渉しない形状に形成される。
第1軌跡331T及び第2軌跡341Tについて説明すると次の通りである。
まず、第2クラッチ機構21締結時について説明する。この場合、第1ピン331及び第2ピン341は締結開始前には一端位置P1に位置する。そして、締結が開始されると、第1ピン331及び第2ピン341は第1リンク溝321及び第2リンク溝322に対して回転方向位置における締結側に移動し始める。なお、第2クラッチ機構21締結時のシフトカム32の回転方向は、図示の回転方向位置における締結側とは逆方向である。
一端位置P1及び第1中間位置P2間では、シフトカム32が回転しても第1ピン331及び第2ピン341は第1リンク溝321及び第2リンク溝322によって案内されず、シフトカム32の軸方向に移動しない。シフトカム32の軸方向は換言すれば、シフトフォーク35の作動方向である。従って、当該区間ではシフトカム32が回転しても、シフトフォーク35は移動しない。
第1中間位置P2及び第2中間位置P3間では、シフトカム32が回転すると、第1ピン331は第1リンク溝321に案内されるかたちで、軸方向位置における締結側に移動する。その一方で、第2ピン341は当該区間では第2リンク溝322によって案内されない。
このため、第2クラッチ機構21の締結時にはシフトアクチュエータ31からの動力は、シフトカム32から第2ピン341を介してシフトフォーク35に伝達されない。つまり、第2クラッチ機構21の締結時には第2動力伝達経路34は動力伝達経路として機能せず、第2動力伝達経路34を介した動力伝達が遮断される。
結果、第2クラッチ機構21の締結時にはシフトアクチュエータ31からの動力は、シフトカム32から第1ピン331を介してシフトフォーク35に伝達される。すなわち、第2クラッチ機構21の締結時には第1動力伝達経路33が動力伝達経路として機能し、動力伝達を行う。
このように、シフトリンク構造30は、第2クラッチ機構21の締結時には第1リンク溝321及び第2リンク溝322と第1ピン331及び第2ピン341とにより、第1動力伝達経路33を動力伝達経路として機能させる一方、第2動力伝達経路34を動力伝達経路として機能させないメカニズムを有する。
シフトリンク構造30では、このようなメカニズムにより第2クラッチ機構21の締結時、従ってシフトフォーク35の作動方向が締結方向の場合は、第1動力伝達経路33及び第2動力伝達経路34のうち第1動力伝達経路33が選択される。
第1ピン331は、第2中間位置P3で軸方向位置における締結位置に到達する。その一方で、第2ピン341は、第1中間位置P2及び第2中間位置P3間でシフトフォーク35が締結側に移動し始めると、第1ピン331の軸方向の移動に応じてシフトフォーク35とともに締結側に移動し、ティースオンティースが発生すると締結側に移動しなくなる。
すなわち、シフトフォーク35の移動はティースオンティースにより妨げられているので、シフトフォーク35に設けられた第2ピン341も締結側に移動しなくなり、軸方向位置が変化しなくなる。結果、ティースオンティースが発生した回転方向位置である発生位置P5から第2中間位置P3までの間では、第1ピン331が軸方向位置における締結側に移動することにより、ばね332が圧縮される。
第1ピン331はその後、回転方向位置における他端位置P4まで移動する。第1ピン331の軸方向位置は第2中間位置P3から他端位置P4まで維持される。第2ピン341の軸方向位置も、ティースオンティースが解除されるまでの間は発生位置P5に対応する軸方向位置に維持される。
この例では、他端位置P4で第4減速ギヤ16の係合部16A及び第2スリーブ22のドグ歯同士の位相がずれることによりティースオンティースが解除される。結果、ばね332のばね力が抵抗力を上回り、シフトフォーク35がばね332によって付勢される。このため、第2ピン341はシフトフォーク35とともに軸方向締結側に移動し、軸方向位置における締結位置に到達する。
次に、第2クラッチ機構21の解放時について説明する。第2クラッチ機構21を解放する際には、他端位置P4にあった第1ピン331及び第2ピン341が回転方向位置における解放側に移動する。他端位置P4及び第2中間位置P3間では、第1ピン331及び第2ピン341は軸方向に移動しない。
第1ピン331及び第2ピン341が第2中間位置P3に到達する際には、第2ピン341が第2リンク溝322に当接し軸方向位置における解放側に移動する。この場合は、第1ピン331が第1対向壁部321bに当接したとしても、フランジ371がピストン353から離れる方向に移動しようとするだけなので、第1動力伝達経路33は機能しない。
結果、第2クラッチ機構21解放時には、第2動力伝達経路34が動力伝達経路として機能し、第1動力伝達経路33は動力伝達経路として機能しなくなる。従って、第2クラッチ機構21の解放時には第1動力伝達経路33を介した動力伝達は遮断される。
このように、シフトリンク構造30は、第2クラッチ機構21解放時には、第1リンク溝321及び第2リンク溝322と第1ピン331及び第2ピン341とにより、第2動力伝達経路34を動力伝達経路として機能させる一方、第1動力伝達経路33を動力伝達経路として機能させないメカニズムを有する。
なお、第2クラッチ機構21の解放時にシフトアクチュエータ31からばね332を介してシフトフォーク35に動力を伝達するように第1動力伝達経路33を構成した場合でも、第2クラッチ機構21の解放抵抗力が大きい場合は、第1ピン331が第1対向壁部321bに当接したとしても、まずばね332が圧縮されることになり、シフトフォーク35は移動しない。
結果、この場合もシフトアクチュエータ31から第2動力伝達経路34を介して伝達される動力によりシフトフォーク35が移動するので、第2動力伝達経路34が機能し、第1動力伝達経路33は機能しない。
この場合、構造上はばね332のばね力が作用した状態で第2動力伝達経路34を介した動力によりシフトフォーク35が移動し得る。但しこの場合でも、ばね332がなくてもシフトフォーク35を移動可能な動力が第2動力伝達経路34を介してシフトフォーク35に伝達される限り、つまりばね332のばね力が実質的に第2クラッチ機構21の解放アシスト力として無用な限り、第1動力伝達経路33は選択されていないとみなすことができる。
シフトリンク構造30では、このようなメカニズムにより、第2クラッチ機構21の解放時、従ってシフトフォーク35の作動方向が解放方向の場合には、第1動力伝達経路33及び第2動力伝達経路34のうち第2動力伝達経路34が選択される。
第2中間位置P3及び第1中間位置P2間では、第1ピン331は第2ピン341の軸方向の移動に応じて解放側に移動し、第1リンク溝321との当接は回避される。第1ピン331及び第2ピン341は第1中間位置P2で軸方向位置における解放位置に到達し、その後一端位置P1に到達するまで軸方向位置が維持される。
第1リンク溝321及び第2リンク溝322が設けられたシフトカム32は第1ピン331及び第2ピン341とともに、第1動力伝達経路33又は第2動力伝達経路34を選択してシフトアクチュエータ31からシフトフォーク35に動力を伝達する選択構造を構成する。
図9は、第2クラッチ機構21締結時のタイミングチャートの一例を示す図である。タイミングT11では、シフトアクチュエータ31の回転位置が解放位置から締結側に向かって変化し始める。このときには、シフトアクチュエータ31からの動力が第1ピン331を介してシフトフォーク35に伝達される。結果、シフトフォーク35が締結側に向かって移動し始める。
タイミングT12では、ティースオンティースが発生する。このため、タイミングT12からはシフトフォーク35の移動が妨げられる。結果、タイミングT12からはシフトアクチュエータ31が締結方向に回転することにより、ばね332が圧縮される。
タイミングT13では、シフトアクチュエータ31の回転位置が締結位置になるが、ティースオンティースは解除されていない。このため、シフトフォーク35の作動位置はそのままとなる。
ティースオンティースはその後、タイミングT13、タイミングT14間で解除される。結果、シフトフォーク35がばね332によって付勢され、締結側に再び移動し始める。シフトフォーク35はその後、タイミングT14で締結位置に到達する。
図10は、第2クラッチ機構21解放時のタイミングチャートの一例を示す図である。図10では、比較例の場合のシフトフォーク35の作動位置の変化を破線で示す。比較例は、第2動力伝達経路34を有しない場合であり、比較例の場合はばねを介して第2クラッチ機構21の締結及び解放時の動力伝達が行われる。
タイミングT21では、シフトアクチュエータ31の回転位置が締結位置から解放側に変化し始める。比較例の場合、タイミングT21でシフトアクチュエータ31の回転位置が変化し始めても、シフトフォーク35の作動位置は締結位置のままとなる。
これは、前述の通りドグクラッチである第2クラッチ機構21にトルクが掛かった状態においては、第2スリーブ22に締結方向の力が作用して第2クラッチ機構21の解放抵抗力となることによる。この場合、解放抵抗力がばね力より大きいうちは第2クラッチ機構21を解放できない。このため、比較例の場合はタイミングT21からシフトアクチュエータ31からの動力によりばねが圧縮され、シフトフォーク35は移動しない。
タイミングT22では、シフトアクチュエータ31の回転位置が解放位置になるが、解放抵抗力はばね力より大きいままである。このため、シフトアクチュエータ31の回転位置が解放位置になっても、シフトフォーク35の作動位置は締結位置のままとなる。
タイミングT23では、第2クラッチ機構21のトルクが減少し、解放抵抗力がばね力より小さくなる。結果、シフトフォーク35がばねによって付勢され、解放側に向かって移動し始める。シフトフォーク35はその後、タイミングT24で解放位置に到達する。
本実施形態の場合、第2クラッチ機構21の解放時にはシフトアクチュエータ31からの動力がばね332を有しない第2動力伝達経路34を介してシフトフォーク35に伝達される。このため、タイミングT21では解放抵抗力に抗してシフトフォーク35を移動させることができる。
結果、シフトアクチュエータ31の回転位置が解放位置になるタイミングT22で、シフトフォーク35の作動位置も解放位置になる。このため、本実施形態の場合は比較例の場合に生じる第2クラッチ機構21の解放遅れが発生しない。
図11はシフトアクチュエータ31の回転位置に応じたシフトフォーク35の作動位置の一例を示す図である。破線は上述した比較例の場合を示す。図11からわかるように、第2クラッチ機構21の締結時には、本実施形態及び比較例の場合ともにシフトアクチュエータ31及びシフトフォーク35の動作は同じになる。
比較例の場合、第2クラッチ機構21の解放時には第2クラッチ機構21のトルクが減少して解放抵抗力がばね力より小さくなるまでは、シフトフォーク35の移動が妨げられるので、シフトフォーク35の作動位置は締結位置のままとなる。
本実施形態の場合、第2クラッチ機構21の解放時にはシフトアクチュエータ31からの動力がばね332を有しない第2動力伝達経路34を介してシフトフォーク35に伝達される。このため、シフトアクチュエータ31の回転位置が解放側に向かって変化すると、シフトフォーク35が第2クラッチ機構21の解放抵抗力に抗して解放側に駆動される。結果、シフトアクチュエータ31の回転位置が解放位置になると、シフトフォーク35の作動位置も解放位置になる。
次に本実施形態の主な作用効果について説明する。
シフトリンク構造30は、第2クラッチ機構21と係合するシフトフォーク35と、シフトフォーク35を駆動するシフトアクチュエータ31とを有する。シフトリンク構造30は、ばね332を介してシフトアクチュエータ31とシフトフォーク35とを結ぶ第1動力伝達経路33と、ばね332を含むばねを介さずにシフトアクチュエータ31とシフトフォーク35とを結ぶ第2動力伝達経路34とを有する。シフトリンク構造30は、シフトフォーク35の作動方向に応じて、第1動力伝達経路33又は第2動力伝達経路34を選択してシフトアクチュエータ31からシフトフォーク35に動力を伝達する選択構造として、シフトカム32、第1ピン331及び第2ピン341を備える。
このような構成によれば、シフトフォーク35の作動方向に応じて、つまり第2クラッチ機構21を締結する方向であるか第2クラッチ機構21を解放する方向であるかに応じて、ばね332を介する場合とばねを介さない場合とで、シフトフォーク35への動力伝達を選択することが可能になる。このためこのような構成によれば、第2クラッチ機構21の解放時にはシフトアクチュエータ31からばねを介さずにシフトフォーク35に動力を伝達することが可能になるので、第2クラッチ機構21の解放遅れを改善することが可能になる。
上記選択構造は、シフトアクチュエータ31の動力をシフトフォーク35に伝達することにより第2クラッチ機構21を締結する場合は第1動力伝達経路33を選択し、第2クラッチ機構21を解放する場合は第2動力伝達経路34を選択する。
このような構成によれば、第2クラッチ機構21の解放時にはシフトアクチュエータ31からの動力がばねを介さずにシフトフォーク35に伝達されるので、ばねが圧縮されてシフトフォーク35が駆動されない事態を回避できる。このためこのような構成によれば、第2クラッチ機構21の解放遅れを改善できる。
上記選択構造は、シフトアクチュエータ31の動力をシフトフォーク35に伝達することにより第2クラッチ機構21を締結する場合は第1動力伝達経路33を介した動力伝達を行い、第2クラッチ機構21を解放する場合は第1動力伝達経路33を介した動力伝達を遮断する。
このような構成によれば、第2クラッチ機構21の解放時にシフトアクチュエータ31からの動力がばねを介してシフトフォーク35に伝達されることが回避されるので、ばねが圧縮されてシフトフォーク35が駆動されない事態を回避できる。このためこのような構成によれば、第2クラッチ機構21の解放遅れを改善できる。
シフトリンク構造30は、シフトアクチュエータ31の動力をシフトフォーク35に伝達するシフトカム32をさらに備える構成とされる。シフトカム32は、第1動力伝達経路33に含まれる第1リンク溝321と、第2動力伝達経路34に含まれる第2リンク溝322とを有する。シフトカム32は、第2クラッチ機構21を締結する方向にシフトフォーク35を移動する場合は第1動力伝達経路33を介した動力伝達を行い、第2クラッチ機構21を解放する方向にシフトフォーク35を移動する場合は第2動力伝達経路34を介した動力伝達を行う。
このような構成によれば、単一のシフトカム32に設けた2つの第1リンク溝321及び第2リンク溝322を用いて動力伝達経路の選択を行うことができるので、簡素な構造で動力伝達経路の選択を行うことができる。
車両1では、内燃機関直結モードからシリーズハイブリッドモードへの運転モードの切り替えが遅れると、運転者がアクセルペダルを踏み込んでもシリーズハイブリッドモードでトルクを素早く発生させることができなくなる。
シフトリンク構造30は、内燃機関3の動力により駆動されて発電する発電用モータ4の電力を利用して走行用モータ2で駆動輪6を駆動するシリーズハイブリッドモードと、内燃機関3の動力により駆動輪6を駆動する内燃機関直結モードとを有する車両1で用いられる。第2クラッチ機構21は、車両1において内燃機関直結モードからシリーズハイブリッドモードに運転モードを切り替える際に解放され、シリーズハイブリッドモードから内燃機関直結モードに運転モードを切り替える際に締結されるドグクラッチとされる。
このような構成によれば、内燃機関直結モードからシリーズハイブリッドモードへの運転モードの切り替えの際に解放される第2クラッチ機構21の解放遅れが改善される。このため、運転者のアクセルペダルの踏み込みに応じてシリーズハイブリッドモードで素早くトルクを発生させることができる。
シフトリンク構造30は次のような構造であってもよい。
図12はシフトリンク構造30の第1変形例を示す図である。図13は第1変形例における第2動力伝達経路34の要部を示す図である。
この例ではシフトリンク構造30は、第1動力伝達経路33の構成要素である第1回転プレート38、第1リンク部材41及びばね332と、第2動力伝達経路34の構成要素であるワンウェイクラッチ40、第2回転プレート39及び第2リンク部材42とを備える構成とされる。
第1動力伝達経路33では、シフトアクチュエータ31から第1回転プレート38、第1リンク部材41の一端側部材41a、ばね332、第1リンク部材41の他端側部材41bを介してシフトフォーク35に動力が伝達される。第1回転プレート38は円盤状の部材であり、シフトアクチュエータ31の出力軸に固定され当該出力軸を回転軸として回転する。第1リンク部材41は棒状の部材であり、一端側部材41aが第1回転プレート38の係合穴に遊びを有して係合され、他端側部材41bがシフトフォーク35に連結される。ばね332は第1リンク部材41に介在し、一端側部材41aと他端側部材41bとを連結する。
第2動力伝達経路34では、シフトアクチュエータ31からワンウェイクラッチ40、第2回転プレート39、第2リンク部材42を介してシフトフォーク35に動力が伝達される。ワンウェイクラッチ40は内輪側でシフトアクチュエータ31の出力軸に設けられ、シフトアクチュエータ31が第2クラッチ機構21の締結方向に回転する場合(換言すれば、第2クラッチ機構21を締結する方向にシフトフォーク35を移動する場合)は動力伝達を遮断し、第2クラッチ機構21の解放方向に回転する場合は動力伝達を行う。第2回転プレート39はリング状の部材であり、ワンウェイクラッチ40の外輪側に設けられる。第2リンク部材42は棒状の部材であり、一端側で第2回転プレート39の係合穴に遊びを有して係合され、他端側でシフトフォーク35に連結される。
第2クラッチ機構21の締結、解放を行う際、シフトアクチュエータ31の回転動作は第1回転プレート38及び第2回転プレート39で円弧動作に変換される。シフトフォーク35の作動範囲に対して第1回転プレート38及び第2回転プレート39の係合穴までの半径が十分大きい場合、円弧動作は概ね直線動作として用いることができる。この場合の円弧動作と直線動作とのずれは、第1回転プレート38及び第2回転プレート39の係合穴が有する第1リンク部材41及び第2リンク部材42の遊び代により吸収される。
このためこの例では、第1動力伝達経路33では第1回転プレート38及び第1リンク部材41がシフトアクチュエータ31の回転動作をシフトフォーク35の直線動作に変換するのに用いられる。また、第2動力伝達経路34では第2回転プレート39及び第2リンク部材42がシフトアクチュエータ31の回転動作をシフトフォーク35の直線動作に変換するのに用いられる。
この例における第2クラッチ機構21締結時の動力伝達は次のように行われる。すなわち、第2クラッチ機構21の締結時にはワンウェイクラッチ40は動力を遮断する。従って、第2動力伝達経路34は機能せず、シフトアクチュエータ31の動力は第1動力伝達経路33を介してシフトフォーク35に伝達される。
第2クラッチ機構21解放時の動力伝達は次の通りである。すなわち、第2クラッチ機構21の解放時にはワンウェイクラッチ40は動力を遮断しないので、第2動力伝達経路34が機能する。またこのときには、第2リンク部材42が第2回転プレート39及びシフトフォーク35間で一定の距離を保つので、第1動力伝達経路33は機能しない。結果、第2クラッチ機構21の解放時にはシフトアクチュエータ31の動力は第2動力伝達経路34を介してシフトフォーク35に伝達される。
このような構成のシフトリンク構造30でも、シフトフォーク35の作動方向に応じて、第1動力伝達経路33又は第2動力伝達経路34を選択してシフトアクチュエータ31からシフトフォーク35に動力を伝達する選択構造を実現できる。この場合、第1回転プレート38及び第1リンク部材41と、ワンウェイクラッチ40、第2回転プレート39及び第2リンク部材42とが選択構造を構成する。
図14はシフトリンク構造30の第2変形例を示す図である。この例では、第2リンク溝322及び第2ピン341は設けられず、シフトアクチュエータ31からは第2クラッチ機構21の締結時及び解放時ともに、シフトカム32の第1リンク溝321及び第1ピン331を介してシフトフォーク35に動力が伝達される。
この例では、シフトリンク構造30は動力伝達部材50を備える。動力伝達部材50は筒状の部材であり、動力伝達部材50にはシフトロッド37が挿通する。動力伝達部材50はアーム部501と第1拡径部502と縮径部503と第2拡径部504とを有する。
アーム部501は第1ピン331と第1拡径部502とを接続する。第1拡径部502は一端部でシフトフォーク35の収容部351に挿入される。第1拡径部502の一端部には収容部351に収容されたばね332が当接し、ばね332には第1拡径部502に連なる縮径部503が挿通する。縮径部503はさらに収容部351を挿通して第2拡径部504に連なり、第2拡径部504は縮径部503が挿通する部分の収容部351の開口穴の内径よりも大きな外径を有する。動力伝達部材50は複数の部材の組み合わせで構成することができる。
第2クラッチ機構21の締結時には動力伝達部材50が締結側に移動することにより、第1拡径部502からばね332を介してシフトフォーク35の収容部351に動力が伝達される。つまりこの例では、第2クラッチ機構21の締結時にこのようにして第1動力伝達経路33が形成される。
第2クラッチ機構21の解放時には動力伝達部材50が解放側に移動することにより、第2拡径部504からばね332を介さずにシフトフォーク35の収容部351に動力が伝達される。つまりこの例では、第2クラッチ機構21の解放時にこのようにして第2動力伝達経路34が形成される。
このような構成のシフトリンク構造30でも、シフトフォーク35の作動方向に応じて、第1動力伝達経路33又は第2動力伝達経路34を選択してシフトアクチュエータ31からシフトフォーク35に動力を伝達する選択構造を実現できる。この場合、動力伝達部材50が収容部351とともに選択構造を構成する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば上述した実施形態では、ドグクラッチである第2クラッチ機構21がシンクロ機構を有しない場合について説明した。しかしながら、第2クラッチ機構21はシンクロ機構を有していてもよい。