JP2022051295A - 表示装置用部材、表示装置および電子機器 - Google Patents

表示装置用部材、表示装置および電子機器 Download PDF

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Takanori Maeda
一義 佐竹
Kazuyoshi Satake
崇 網江
Takashi Amie
真 七海
Makoto Nanami
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Abstract

【課題】耐屈曲性および耐衝撃性が良好であり、安全性も向上した表示装置用部材の提供。【解決手段】表示装置用部材1は、ガラス基材2と、樹脂層3と、機能層4とをこの順に有し、ガラス基材2の厚みが100μm以下であり、樹脂層3および機能層4の合計厚みの平均値が19~60μmであり、樹脂層3および機能層4の合計厚みの最大値が60μm以下である。【選択図】図1

Description

本開示は、表示装置用部材、表示装置および電子機器に関する。
従来、表示装置には、表示装置を保護する目的で、ガラス製や樹脂製のカバー部材が用いられている。このカバー部材は、表示装置を衝撃や傷から保護するものであり、強度、耐衝撃性、耐傷性等が求められる。ガラス製のカバー部材は、表面硬度が高く傷が付きにくい、透明度が高い等の特徴があり、樹脂製のカバー部材は、軽量、割れにくいといった特徴がある。また、一般にカバー部材の厚みが厚いほど表示装置を衝撃から保護する機能が高く、重量やコスト、表示装置のサイズ等から、カバー部材の材質や厚みが適宜選択されて用いられている。
近年、フォルダブルディスプレイ、ローラブルディスプレイ、ベンダブルディスプレイ等のフレキシブルディスプレイの開発が盛んに行われており、中でも、フォルダブルディスプレイ、すなわち折り曲げられる表示装置の開発が進められている。
折れ曲げられる表示装置においては、カバー部材も表示装置の動きに追随して曲がる必要があることから、折り曲げることができるカバー部材が適用されている。樹脂製のカバー部材の場合、化学構造の工夫により無色透明化したポリイミドやポリアミドイミドのフィルムが開発されている(例えば特許文献1参照)。また、ガラス製のカバー部材の場合、超薄板ガラス(Ultra-Thin Glass;UTG)等のようにガラスを薄くすることで折り曲げることができるようにしたカバー部材の検討が進められている(例えば特許文献2参照)。ガラスの中でも、特に、耐屈曲性が高いのは、化学強化ガラスといわれるもので、ガラス表面に膨張する応力を内在させることにより、ガラス表面に生じた微小な傷が屈曲時に大きくならないようにすることで、ガラスを割れにくくしている。
ガラスは、樹脂に比べ弾性率が高いので、同じ厚みの場合、樹脂よりも表示装置を保護する能力が高い。また、ガラスは、光学的にも透明性が高く、より視認性の良い表示装置を製造することが可能となる。一方で、ガラスは薄くなることで、より割れやすくなってしまい、耐衝撃性が劇的に悪化する。外部からの衝撃によって、カバー部材のガラスが割れてしまうと、表示装置を保護する機能が低下するだけでなく、発生した破片や鋭利な端面により使用者の指先等を傷付けてしまうおそれがある。
そこで、ガラス基材に樹脂層を積層することが提案されている。例えば特許文献3には、ガラスおよび硬化樹脂層の積層体が開示されている。
特開2019-137864号公報 特開2018-188335号公報 特開2010-280092号公報
ガラス基材および樹脂層を有する積層体を備える表示装置においては、樹脂層をガラス基材よりも観察者側に配置することにより、樹脂層によって衝撃によるガラスの割れを抑制し、耐衝撃性を高めることが可能である。しかしながら、耐衝撃性を高めるために樹脂層の厚みを厚くすると、耐屈曲性が低下してしまう。一方、耐屈曲性の観点から樹脂層の厚みを薄くすると、十分な耐衝撃性が得られない。よって、耐屈曲性および耐衝撃性を両立することができる表示装置用部材が求められている。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、耐屈曲性および耐衝撃性が良好であり、安全性も向上した表示装置用部材を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本開示の発明者らは鋭意検討を行い、薄いガラス基材の一方の面側に樹脂層および機能層がこの順に配置された表示装置用部材において、樹脂層および機能層の膜厚分布を制御し、樹脂層および機能層の合計厚みの平均値ならびに樹脂層および機能層の合計厚みの最大値を所定の範囲とすることにより、良好な耐屈曲性および耐衝撃性を両立することができることを見出した。また、薄いガラス基材の一方の面側に樹脂層が配置された表示装置用部材において、樹脂層の膜厚分布を制御し、樹脂層の平均厚みならびに樹脂層の最大厚みを所定の範囲とすることにより、良好な耐屈曲性および耐衝撃性を両立することができることを見出した。本開示はこのような知見に基づくものである。
本開示の一実施形態は、ガラス基材と、樹脂層と、機能層とをこの順に有する表示装置用部材であって、上記ガラス基材の厚みが100μm以下であり、上記樹脂層および上記機能層の合計厚みの平均値が19μm以上60μm以下であり、上記樹脂層および上記機能層の合計厚みの最大値が60μm以下である、表示装置用部材を提供する。
本実施形態における表示装置用部材においては、上記機能層がハードコート層であることが好ましい。
本実施形態における表示装置用部材においては、上記機能層の平均厚みが5μm以上15μm未満であることが好ましい。
本実施形態における表示装置用部材においては、上記樹脂層および上記機能層の合計厚みの平均値に対する、上記樹脂層および上記機能層の合計厚みの最大値の比率が、132%以下であることが好ましい。
本実施形態における表示装置用部材においては、上記樹脂層および上記機能層は、端部に盛り上がり部を有し、上記盛り上がり部の断面形状を三角形に近似した場合であって、上記三角形の高さを、上記樹脂層および上記機能層の合計厚みの最大値と上記樹脂層および上記機能層の合計厚みの平均値との差とし、上記三角形の底辺の長さを、上記樹脂層および上記機能層の端から上記樹脂層および上記機能層の上記盛り上がり部の合計厚みが上記樹脂層および上記機能層の合計厚みの平均値になる位置までの距離とした場合に、上記三角形の面積が、0.08mm以下であることが好ましい。
上記の場合においては、上記樹脂層および上記機能層の合計厚みの平均値に対する、上記機能層の平均厚みの比率が、10%以上65%以下であることが好ましい。
本開示の他の実施形態は、ガラス基材と、樹脂層と、第1機能層と、機能フィルムとをこの順に有し、上記機能フィルムは、上記第1機能層側から順に、粘着層と、基材層と、第2機能層とを有する表示装置用部材であって、上記ガラス基材の厚みが100μm以下であり、上記樹脂層および上記第1機能層の合計厚みの平均値が10μm以上60μm以下であり、上記樹脂層および上記第1機能層の合計厚みの最大値が60μm以下である、表示装置用部材を提供する。
本実施形態における表示装置用部材においては、上記第1機能層および上記第2機能層がハードコート層であることが好ましい。
本実施形態における表示装置用部材においては、上記機能フィルムの平均厚みが20μm以上150μm以下であることが好ましい。
本実施形態における表示装置用部材においては、上記第1機能層の平均厚みが5μm以上15μm未満であり、上記第2機能層の平均厚みが5μm以上15μm未満であることが好ましい。
本実施形態における表示装置用部材においては、上記樹脂層および上記第1機能層の合計厚みの平均値に対する、上記樹脂層および上記第1機能層の合計厚みの最大値の比率が、132%以下であることが好ましい。
本実施形態における表示装置用部材においては、上記樹脂層および上記第1機能層は、端部に盛り上がり部を有し、上記盛り上がり部の断面形状を三角形に近似した場合であって、上記三角形の高さを、上記樹脂層および上記第1機能層の合計厚みの最大値と上記樹脂層および上記第1機能層の合計厚みの平均値との差とし、上記三角形の底辺の長さを、上記樹脂層および上記第1機能層の端から上記樹脂層および上記第1機能層の上記盛り上がり部の合計厚みが上記樹脂層および上記第1機能層の合計厚みの平均値になる位置までの距離とした場合に、上記三角形の面積が、0.08mm以下であることが好ましい。
上記の場合においては、上記樹脂層および上記第1機能層の合計厚みの平均値に対する、上記第1機能層の平均厚みの比率が、10%以上65%以下であることが好ましい。
本開示の他の実施形態は、ガラス基材と、樹脂層と、機能フィルムとをこの順に有し、上記機能フィルムは、上記樹脂層側から順に、粘着層と、基材層と、機能層とをこの順に有する表示装置用部材であって、上記ガラス基材の厚みが100μm以下であり、上記樹脂層の平均厚みが10μm以上60μm以下であり、上記樹脂層の最大厚みが60μm以下である、表示装置用部材を提供する。
本実施形態における表示装置用部材においては、上記機能層がハードコート層であることが好ましい。
本実施形態における表示装置用部材においては、上記機能フィルムの平均厚みが20μm以上150μm以下であることが好ましい。
本実施形態における表示装置用部材においては、上記機能層の平均厚みが5μm以上15μm未満であることが好ましい。
本実施形態における表示装置用部材においては、上記樹脂層の平均厚みに対する、上記樹脂層の最大厚みの比率が、130%以下であることが好ましい。
本実施形態における表示装置用部材においては、上記樹脂層は、端部に盛り上がり部を有し、上記盛り上がり部の断面形状を三角形に近似した場合であって、上記三角形の高さを、上記樹脂層の最大厚みと上記樹脂層の平均厚みとの差とし、上記三角形の底辺の長さを、上記樹脂層の端から上記樹脂層の上記盛り上がり部の合計厚みが上記樹脂層の平均厚みになる位置までの距離とした場合に、上記三角形の面積が、0.08mm以下であることが好ましい。
本開示の他の実施形態は、表示パネルと、上記表示パネルの観察者側に配置された上述の表示装置用部材と、を備える表示装置を提供する。
本開示の他の実施形態は、上述の表示装置を備える、電子機器を提供する。
本開示においては、耐屈曲性および耐衝撃性が良好であり、安全性も向上した表示装置用部材を提供することができるという効果を奏する。
本開示における表示装置用部材を例示する概略断面図である。 本開示における表示装置用部材を例示する概略斜視図である。 本開示における表示装置用部材を例示する概略断面図である。 本開示における表示装置用部材を例示する概略断面図である。 本開示における表示装置用部材を例示する概略断面図である。 動的屈曲試験を説明するための模式図である。 静的屈曲試験を説明するための模式図である。 本開示における表示装置用部材を例示する概略断面図である。 本開示における表示装置用部材を例示する概略断面図である。 本開示における表示装置用部材を例示する概略断面図である。 本開示における表示装置用部材を例示する概略断面図である。 本開示における表示装置用部材を例示する概略断面図である。 本開示における表示装置用部材を例示する概略断面図である。 本開示における表示装置を例示する概略断面図である。 実施例および比較例の表示装置用部材における樹脂層およびハードコート層の合計厚みの分布を示すグラフである。
下記に、図面等を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚み、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」、あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。また、本明細書において、ある部材の面に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面側に」または「面に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。
以下、本開示における表示装置用部材および表示装置について詳細に説明する。
A.表示装置用部材
本開示における表示装置用部材は、3つの実施態様を有する。以下、各実施態様について説明する。
I.第1実施態様
本開示の表示装置用部材の第1実施態様は、ガラス基材と、樹脂層と、機能層とをこの順に有する表示装置用部材であって、上記ガラス基材の厚みが100μm以下であり、上記樹脂層および上記機能層の合計厚みの平均値が19μm以上60μm以下であり、上記樹脂層および上記機能層の合計厚みの最大値が60μm以下である。
図1は、本実施態様における表示装置用部材の一例を示す概略断面図である。図1に示すように、表示装置用部材1は、ガラス基材2と、樹脂層3と、機能層4とをこの順に有する。ガラス基材2は所定の厚みを有する。また、樹脂層3および機能層4の合計厚みの平均値が所定の範囲内であり、樹脂層3および機能層4の合計厚みの最大値T1maxが所定の値以下である。
ここで、ガラス基材2の一方の面に樹脂層3および機能層4を塗布法で形成する場合、表面張力によって、樹脂層3および機能層4の端部の厚みが厚くなり、樹脂層3および機能層4の端部に盛り上がり部11が生じる傾向がある。図1に示す例においては、このような樹脂層3および機能層4の盛り上がり部11の合計厚みの最大値が、樹脂層3および機能層4の合計厚みの最大値T1maxとなる。
本実施態様における表示装置用部材において、ガラス基材は、厚みが所定の値以下であり薄いため、割れやすく耐衝撃性が低いことが懸念されるが、ガラス基材の一方の面側に樹脂層および機能層がこの順に配置されており、樹脂層および機能層の合計厚みの平均値が所定の値以上であることにより、表示装置用部材に衝撃が加わった際に、樹脂層が衝撃を吸収し、ガラス基材の割れを抑制することができ、耐衝撃性を向上させることができる。
ここで、上述したように、ガラス基材の一方の面に樹脂層および機能層を塗布法で形成する場合、表面張力によって、樹脂層および機能層の端部の厚みが厚くなり、例えば図1に示すように、樹脂層3および機能層4の端部に盛り上がり部11が生じる傾向がある。樹脂層および機能層の端部に盛り上がり部があると、表示装置用部材を屈曲させた際に、この盛り上がり部を起点に樹脂層および機能層にクラック、白化、しわ等が発生しやすくなる。
これに対し、本実施態様における表示装置用部材においては、樹脂層および機能層の合計厚みの平均値が所定の範囲内であり、樹脂層および機能層の合計厚みの最大値が所定の値以下であることにより、表示装置用部材を屈曲させた際に樹脂層および機能層にクラック、白化、しわ等が発生するのを抑制し、耐屈曲性を向上させることができる。
したがって、本実施態様における表示装置用部材においては、良好な耐屈曲性および耐衝撃性を両立することが可能である。
また、本実施態様における表示装置用部材においては、ガラス基材の一方の面側に樹脂層および機能層がこの順に配置されていることにより、表示装置用部材の機能層側の表面の硬度を高めることが可能であり、耐擦傷性を向上させることができる。
さらに、本実施態様における表示装置用部材においては、ガラス基材の一方の面側に樹脂層および機能層がこの順に配置されていることにより、ガラス基材がたとえ破損した場合であってもガラスの飛散を抑制することができる。そのため、人体を傷付けるリスクを低減することができ、安全性の高い表示装置用部材とすることができる。
したがって、本実施態様における表示装置用部材は、折り曲げることが可能であり、多種多様な表示装置に用いることができ、例えばフォルダブルディスプレイ用部材として使用することができる。
以下、本実施態様における表示装置用部材の各構成について説明する。
1.樹脂層および機能層の厚み
本実施態様において、樹脂層および機能層の合計厚みの平均値は、19μm以上、60μm以下であり、好ましくは25μm以上、55μm以下、より好ましくは30μm以上、50μm以下とすることができる。樹脂層および機能層の合計厚みの平均値が上記範囲内であることにより、衝撃によるガラス基材の割れを抑制し、耐衝撃性を向上させることができるとともに、表示装置用部材を屈曲させた際に樹脂層や機能層にクラック、白化、しわ等が発生するのを抑制し、耐屈曲性を向上させることができる。一方、樹脂層および機能層の合計厚みの平均値が小さすぎると、耐衝撃性が低下するおそれがある。また、樹脂層および機能層の合計厚みの平均値が大きすぎると、耐屈曲性が低下するおそれがある。
また、本実施態様において、樹脂層および機能層の合計厚みの最大値は、60μm以下であり、好ましくは55μm以下とすることができる。樹脂層および機能層の合計厚みの最大値が上記範囲であることにより、表示装置用部材を屈曲させた際に樹脂層や機能層にクラック、白化、しわ等が発生するのを抑制し、耐屈曲性を向上させることができる。特に、機能層がハードコート層である場合には、表示装置用部材を屈曲させた際にハードコート層にクラック、白化、しわ等が発生するのを抑制することができる。一方、樹脂層および機能層の合計厚みの最大値が大きすぎると、耐屈曲性が低下するおそれがある。
ここで、上述したように、ガラス基材の一方の面に樹脂層および機能層を塗布法で形成する場合、表面張力によって、樹脂層および機能層の端部の厚みが厚くなり、例えば図1に示すように、樹脂層3および機能層4の端部に盛り上がり部11が生じる傾向がある。この場合、樹脂層および機能層の合計厚みの最大値は、樹脂層および機能層の盛り上がり部の合計厚みの最大値となる。このような場合において、例えば樹脂層および機能層の平面視形状が長方形状または正方形状である場合、樹脂層および機能層の4つの辺のうち、少なくとも1つの辺の端部において、樹脂層および機能層の合計厚みの最大値が上記範囲を満たしていればよい。
中でも、樹脂層および機能層の4つの辺のうち、対向する2つの辺の端部において、樹脂層および機能層の合計厚みの最大値が上記範囲であることが好ましい。例えば図2(a)、(b)に示すように、表示装置用部材1を屈曲させる場合、表示装置用部材1の屈曲部13において樹脂層および機能層にクラック、白化、しわ等が生じやすい。そのため、樹脂層および機能層の4つの辺のうち、表示装置用部材1の屈曲方向12に対して略平行な2つの辺の端部において、樹脂層および機能層の合計厚みの最大値が上記範囲であれば、表示装置用部材を屈曲させた際に樹脂層や機能層の屈曲部にクラック、白化、しわ等が発生するのを抑制し、耐屈曲性を向上させることができる。
また、樹脂層および機能層の平面視形状が長方形状である場合には、樹脂層および機能層の4つの辺のうち、対向する2つの長辺の端部において、樹脂層および機能層の合計厚みの最大値が上記範囲であることが好ましい。例えば図2(a)、(b)に示すように、表示装置用部材1を屈曲させる場合、屈曲させやすいことから、表示装置用部材1の屈曲方向12を、樹脂層および機能層の長辺方向と略平行にする場合が多い。そのため、樹脂層および機能層の4つの辺のうち、対向する2つの長辺の端部において、樹脂層および機能層の合計厚みの最大値が上記範囲であれば、表示装置用部材を屈曲させた際に樹脂層や機能層の屈曲部にクラック、白化、しわ等が発生するのを抑制し、耐屈曲性を向上させることができる。
さらに、上述した理由から、樹脂層および機能層の4つの辺のうち、表示装置用部材の屈曲方向に対して略平行な2つの辺の端部において、樹脂層および機能層の合計厚みの最大値が上記範囲であることが好ましい。
特に、樹脂層および機能層の4つの辺の端部のすべてにおいて、樹脂層および機能層の合計厚みの最大値が上記範囲であることが好ましい。これにより、耐屈曲性をより向上させることができる。
樹脂層および機能層の合計厚みの最大値を所定の範囲になるように制御する方法としては、例えば、樹脂層および機能層にレベリング剤を含有させる方法、ガラス基材の一方の面に樹脂層および機能層を形成して積層体を得た後、積層体を切断する方法、ガラス基材の一方の面に樹脂層および機能層を転写する方法等が挙げられる。
また、本実施態様において、樹脂層および機能層の合計厚みの平均値に対する、樹脂層および機能層の合計厚みの最大値の比率が、例えば、132%以下であることが好ましく、125%以下であってもよい。上記の比率が上記範囲であることにより、表示装置用部材を屈曲させた際に樹脂層や機能層にクラック、白化、しわ等が発生するのを抑制し、耐屈曲性を向上させることができる。特に、機能層がハードコート層である場合には、表示装置用部材を屈曲させた際にハードコート層にクラック、白化、しわ等が発生するのを抑制することができる。一方、上記の比率が大きすぎると、耐屈曲性が低下するおそれがある。
ここで、樹脂層および機能層の合計厚みは、顕微鏡断面観察、または触針式の方法により測定することができる。顕微鏡断面観察では、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、または走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて、表示装置用部材の厚み方向の断面を観察し、得られた画像から、樹脂層および機能層の合計厚みを求めることができる。また、触針式の方法では、例えば、触針式膜厚測定器を用いて、針で表示装置用部材の表面をなぞって膜厚を測定し、得られた膜厚のプロファイルデータから、樹脂層および機能層の合計厚みを求めることができる。
なお、樹脂層および機能層の合計厚みの平均値は、例えば図1に示すように、樹脂層3および機能層4が盛り上がり部11を有する場合には、盛り上がり部以外の領域における任意の10箇所の合計厚みの算術平均値とする。一方、樹脂層および機能層が盛り上がり部を有さない場合には、樹脂層および機能層の合計厚みの平均値は、任意の10箇所の合計厚みの算術平均値とすることができる。
また、樹脂層および機能層の合計厚みの最大値は、例えば図1に示すように、樹脂層3および機能層4が盛り上がり部11を有する場合には、樹脂層および機能層の盛り上がり部の合計厚みの最大値とする。一方、樹脂層および機能層が盛り上がり部を有さない場合には、樹脂層および機能層の合計厚みの最大値は、任意の10箇所の合計厚みのうちの最大値とすることができる。
また、本実施態様において、機能層の平均厚みは、例えば、5μm以上、15μm未満であることが好ましく、7μm以上、13μm以下であることがより好ましい。機能層の平均厚みが上記範囲であることにより、表示装置用部材を屈曲させた際に機能層にクラック、白化、しわ等が発生するのを抑制し、耐屈曲性を向上させることができる。特に、機能層がハードコート層である場合には、表示装置用部材を屈曲させた際にハードコート層にクラック、白化、しわ等が発生するのを抑制することができる。一方、機能層の平均厚みが大きすぎると、耐屈曲性が低下するおそれがある。また、機能層の平均厚みが小さすぎると、機能層の特性が低下するおそれがある。例えば、機能層がハードコート層である場合には、ハードコート層の平均厚みが小さすぎると、十分な耐擦傷性が得られないおそれがある。
また、樹脂層および機能層の合計厚みの平均値に対する、機能層の平均厚みの比率は、例えば、10%以上、65%以下であることが好ましく、15%以上、60%以下であることがより好ましく、20%以上、55%以下であることがさらに好ましい。上記の比率が上記範囲であることにより、表示装置用部材を屈曲させた際に機能層にクラック、白化、しわ等が発生するのを抑制し、耐屈曲性を向上させることができる。特に、機能層がハードコート層である場合には、表示装置用部材を屈曲させた際にハードコート層にクラック、白化、しわ等が発生するのを抑制することができる。一方、上記の比率が大きすぎると、耐屈曲性が低下するおそれがある。また、上記の比率が小さすぎると、機能層の厚みが薄くなり、機能層の特性が低下するおそれがある。例えば、機能層がハードコート層である場合には、上記の比率が小さすぎると、ハードコート層の厚みが薄くなり、十分な耐擦傷性が得られないおそれがある。
ここで、機能層の厚みの測定方法は、上記の樹脂層および機能層の合計厚みの測定方法と同様とすることができる。
なお、機能層の平均厚みは、例えば図1に示すように、機能層4が盛り上がり部11を有する場合には、盛り上がり部以外の領域における任意の10箇所の厚みの算術平均値とする。一方、機能層が盛り上がり部を有さない場合には、機能層の平均厚みは、任意の10箇所の厚みの算術平均値とすることができる。
また、樹脂層の平均厚みは、上記の樹脂層および機能層の合計厚みの平均値、ならびに上記の機能層の平均厚みを満たすことができれば特に限定されるものではなく、例えば、10μm以上、55μm以下であることが好ましく、15μm以上、45μm以下であることがより好ましく、20μm以上、35μm以下であることがさらに好ましい。樹脂層の平均厚みが上記範囲内であるように比較的薄いことにより、柔軟性を高めることができ、表示装置用部材を屈曲させた際に、樹脂層にクラック、白化、しわ等が発生するのを抑制することができ、耐屈曲性を維持することができる。
ここで、樹脂層の厚みの測定方法は、上記の樹脂層および機能層の合計厚みの測定方法と同様とすることができる。
なお、樹脂層の平均厚みは、例えば図1に示すように、樹脂層3が盛り上がり部11を有する場合には、盛り上がり部以外の領域における任意の10箇所の厚みの算術平均値とする。一方、樹脂層が盛り上がり部を有さない場合には、樹脂層の平均厚みは、任意の10箇所の厚みの算術平均値とすることができる。
また、本実施態様においては、樹脂層および機能層は、端部に盛り上がり部を有し、盛り上がり部の断面形状を三角形に近似した場合であって、上記三角形の高さを、樹脂層および機能層の合計厚みの最大値と樹脂層および機能層の合計厚みの平均値との差とし、上記三角形の底辺の長さを、樹脂層および機能層の端から樹脂層および機能層の盛り上がり部の合計厚みが樹脂層および機能層の合計厚みの平均値になる位置までの距離とした場合に、上記三角形の面積が、例えば、0.08mm以下であることが好ましく、0.07mm以下であることがより好ましく、0.06mm以下であることがさらに好ましい。上記三角形の面積が上記範囲であることにより、表示装置用部材を屈曲させた際に樹脂層および機能層にクラック、白化、しわ等が発生するのを抑制し、耐屈曲性を向上させることができる。特に、機能層がハードコート層である場合には、表示装置用部材を屈曲させた際にハードコート層にクラック、白化、しわ等が発生するのを抑制することができる。一方、上記三角形の面積が大きすぎると、耐屈曲性が低下するおそれがある。
ここで、樹脂層および機能層の盛り上がり部の断面形状を三角形に近似する場合について、図3を例示して説明する。図3に示すように、樹脂層3および機能層4の盛り上がり部11の断面形状は、一点鎖線で示される三角形14に近似される。三角形14の高さH1は、樹脂層3および機能層4の合計厚みの最大値T1maxと、樹脂層3および機能層4の合計厚みの平均値T1aveとの差とする。また、三角形14の底辺の長さD1は、樹脂層3および機能層4の端から、樹脂層3および機能層4の盛り上がり部11の合計厚みが樹脂層3および機能層4の合計厚みの平均値T1aveになる位置P1までの距離とする。
なお、樹脂層3および機能層4の盛り上がり部11の合計厚みが樹脂層3および機能層4の合計厚みの平均値T1aveになる位置P1は、盛り上がり部11において、樹脂層3および機能層4の盛り上がり部11の合計厚みが、樹脂層3および機能層4合計厚みの最大値T1maxから、樹脂層3および機能層4の端から遠くなるにつれて変化し、樹脂層3および機能層4の合計厚みの平均値T1aveになる位置とする。
また、樹脂層および機能層の端から樹脂層および機能層の盛り上がり部の合計厚みが樹脂層および機能層の合計厚みの平均値になる位置について、図4に示すように、樹脂層3および機能層4の盛り上がり部11において、樹脂層3および機能層4の合計厚みのピークが複数ある場合であって、樹脂層3および機能層4の盛り上がり部11の合計厚みが、樹脂層3および機能層4の合計厚みの最大値T1maxから、樹脂層3および機能層4の端から遠くなるにつれて変化し、樹脂層3および機能層4の合計厚みの平均値T1aveになる位置P1、P2が複数存在する場合には、これらの位置P1、P2のうち、樹脂層3および機能層4の端から遠い位置P1を採用する。
2.樹脂層
本開示における樹脂層は、ガラス基材の一方の面側に配置される層である。樹脂層は、衝撃吸収性を有する衝撃吸収層や、ガラス基材が割れたときのガラスの飛散を抑制する飛散防止層としても機能することができる。樹脂層は、透明性を有し、本開示における表示装置用部材を表示装置の表示パネルの観察者側に配置する場合には、ガラス基材よりも観察者側に配置される。
(1)樹脂層の特性
樹脂層は、衝撃吸収性を有することが好ましい。具体的には、樹脂層の複合弾性率が、4.7GPa以上であることが好ましく、5.7GPa以上であることがより好ましい。樹脂層の複合弾性率が上記範囲であることにより、衝撃によるガラス基材の割れを抑制することができ、耐衝撃性および耐傷性を向上させることができる。
また、後述の複合弾性率の測定方法によれば、ガラス基材の複合弾性率は約40GPaであることから、樹脂層の複合弾性率は、例えば、40GPa以下であることが好ましく、20GPa以下であることがより好ましい。
ここで、樹脂層の複合弾性率は、樹脂層のインデンテーション硬さ(HIT)を測定する際に求められる接触投影面積Aを用いて算出するものとする。「インデンテーション硬さ」とは、ナノインデンテーション法による硬度測定によって得られる圧子の負荷から除荷までの荷重-変位曲線から求められる値である。樹脂層の複合弾性率は、樹脂層の弾性変形および圧子の弾性変形が含まれた弾性率である。
インデンテーション硬さ(HIT)の測定は、測定サンプルについてBRUKER社製の「TI950 TriboIndenter」を用いて行うものとする。具体的には、まず、1mm×10mmに切り出した表示装置用部材を包埋樹脂によって包埋したブロックを作製し、このブロックから一般的な切片作製方法によって穴等がない均一な、厚み50nm以上100nm以下の切片を切り出す。切片の作製には、「ウルトラミクロトーム EM UC7」(ライカ マイクロシステムズ社製)等を用いることができる。そして、この穴等がない均一な切片が切り出された残りのブロックを測定サンプルとする。次いで、このような測定サンプルにおける上記切片が切り出されることによって得られた断面において、以下の測定条件で、上記圧子としてバーコビッチ(Berkovich)圧子(三角錐、BRUKER社製のTI-0039)を樹脂層の断面中央に10秒かけて最大押し込み荷重25μNまで垂直に押し込む。ここで、バーコビッチ圧子は、ガラス基材の影響を避けるためおよび樹脂層の側縁の影響を避けるために、ガラス基材と樹脂層との界面から樹脂層の中央側に500nm離れ、樹脂層の両側端からそれぞれ樹脂層の中央側に500nm離れた樹脂層の部分内に押し込むものとする。また、機能層と樹脂層との界面からも樹脂層の中央側に500nm離れた樹脂層の部分内に押し込むものとする。その後、一定保持して残留応力の緩和を行った後、10秒かけて除荷させて、緩和後の最大荷重を計測し、該最大荷重Pmax(μN)と接触投影面積A(nm)とを用い、Pmax/Aにより、インデンテーション硬さ(HIT)を算出する。上記接触投影面積は、標準試料の溶融石英(BRUKER社製の5-0098)を用いてOliver-Pharr法で圧子先端曲率を補正した接触投影面積である。インデンテーション硬さ(HIT)は、10箇所測定して得られた値の算術平均値とする。なお、測定値の中に算術平均値から±20%以上外れるものが含まれている場合は、その測定値を除外し再測定を行うものとする。測定値の中に算術平均値から±20%以上外れているものが存在するか否かは、測定値をAとし、算術平均値をBとしたとき、(A-B)/B×100によって求められる値(%)が±20%以上であるかによって判断するものとする。インデンテーション硬さ(HIT)は、後述する樹脂層に含まれる樹脂の種類等によって調整することができる。
(測定条件)
・荷重速度:2.5μN/秒
・保持時間:5秒
・荷重除荷速度:2.5μN/秒
・測定温度:25℃
樹脂層の複合弾性率Eは、下記数式(1)によって、インデンテーション硬さの測定の際に求められた接触投影面積Aを用いて求める。複合弾性率は、インデンテーション硬さを10箇所測定し、その都度複合弾性率を求め、得られた10箇所の複合弾性率の算術平均値とする。
Figure 2022051295000002
(上記数式(1)中、Aは接触投影面積であり、Eは樹脂層の複合弾性率であり、Sは接触剛性である。)
(2)樹脂層の材料
(a)樹脂
樹脂層に含まれる樹脂としては、上述の複合弾性率を満たし、透明性を有する樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリイミド系樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において、ポリイミド系樹脂とは、主鎖にイミド結合を有する高分子をいう。ポリイミド系樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
以下、ポリイミドを例に挙げて説明する。
(ポリイミド)
ポリイミドは、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させて得られるものである。テトラカルボン酸成分とジアミン成分の重合によってポリアミド酸を得てイミド化することが好ましい。イミド化は、化学イミド化で行っても、熱イミド化で行ってもよく、化学イミド化と熱イミド化とを併用してもよい。
ポリイミドとしては、上述の複合弾性率を満たし、透明性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、下記一般式(1)で表される構成単位を10モル%以上100モル%以下、及び下記一般式(2)で表される構成単位を(100-x)モル%(ここでxは、上記一般式(1)で表される構成単位のモル%)含み、重量平均分子量が100,000以上であることが好ましい。ポリイミドが、主鎖にエステル結合を介して2面角がねじれたパラビフェニレン基を含む特定の構造のテトラカルボン酸残基と、芳香族環又は脂肪族環を有するジアミン残基とを有し、且つ、特定の重量平均分子量を有することにより、複合弾性率と耐屈曲性のバランスを良好にしやすいからである。
Figure 2022051295000003
(一般式(1)及び(2)において、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも1つ、及びR及びRの少なくとも1つは、炭素原子数1~6のアルキル基を表す。Aは芳香族環又は脂肪族環を有するテトラカルボン酸残基である4価の基を表し、Bは、芳香族環又は脂肪族環を有するジアミン残基である2価の基を表す。)
ここで、テトラカルボン酸残基とは、テトラカルボン酸から、4つのカルボキシル基を除いた残基をいい、テトラカルボン酸二無水物から酸二無水物構造を除いた残基と同じ構造を表す。また、ジアミン残基とは、ジアミンから2つのアミノ基を除いた残基をいう。
一般式(1)において、R及びRの少なくとも1つ、ならびにR及びRの少なくとも1つは、炭素原子数1~6のアルキル基を表す。炭素原子数1~6のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であってよく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基が挙げられる。溶剤溶解性の点から、好ましくは炭素原子数1~4のアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数1~2のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。また、中でも、溶剤溶解性の点から、R及びR、並びにR及びRが、メチル基を表すことが好ましい。
一般式(1)において、Bは、芳香族環又は脂肪族環を有するジアミン残基である2価の基を表す。芳香族環又は脂肪族環を有するジアミン残基は、芳香族環を有するジアミン又は脂肪族環を有するジアミンから2つのアミノ基を除いた残基とすることができる。
芳香族環を有するジアミンおよび脂肪族環を有するジアミンの具体例については、例えば特開2019-132930号公報、特開2019-1989号公報に記載のものを挙げることができる。これらは単独でも、2種以上を混合して用いることもできる。
上記一般式(2)において、Aは芳香族環又は脂肪族環を有するテトラカルボン酸残基である4価の基を表し、Bは、芳香族環又は脂肪族環を有するジアミン残基である2価の基を表す。上記一般式(2)におけるBは、上記一般式(1)におけるBと同様であってよいので、ここでの説明を省略する。上記一般式(1)におけるBと上記一般式(2)におけるBとは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(2)のAにおけるテトラカルボン酸残基は、芳香族環を有するテトラカルボン酸二無水物から酸二無水物構造を除いた残基、又は、脂肪族環を有するテトラカルボン酸二無水物から酸二無水物構造を除いた残基とすることができる。
芳香族環を有するテトラカルボン酸二無水物および脂肪族環を有するテトラカルボン酸二無水物の具体例については、例えば特開2019-132930号公報、特開2019-1989号公報に記載のものを挙げることができる。これらは単独でも、2種以上を混合して用いることもできる。
ポリイミドは、上記一般式(1)で表される構成単位を10モル%以上100モル%以下含むことが好ましい。溶剤への溶解性の点から、ポリイミドは、上記一般式(1)で表される構成単位を15モル%以上含むことがより好ましく、25モル%以上含むことがさらに好ましく、50モル%以上含むことが特に好ましい。
一方、表面硬度や透明性が向上する点から、共重合成分を含んでもよく、ポリイミドは、上記一般式(1)で表される構成単位を95モル%以下含んでいてもよく、90モル%以下含んでいてもよく、80モル%以下含んでいてもよい。
また、ポリイミドは、上記一般式(2)で表される構成単位を(100-x)モル%(ここでxは、上記一般式(1)で表される構成単位のモル%)含むことが好ましい。溶剤への溶解性の点から、ポリイミドは、上記一般式(2)で表される構成単位を85モル%以下含むことがより好ましく、75モル%以下含むことがさらに好ましく、50モル%以下含むことが特に好ましい。
なお、ポリイミドが、上記一般式(1)で表される構成単位を100モル%含む場合には、上記一般式(2)で表される構成単位は0モル%、すなわち含まれない。上記一般式(2)で表される構成単位は0モル%であってもよいが、表面硬度や透明性が向上する点から、共重合成分として含まれていてもよく、ポリイミドは、上記一般式(2)で表される構成単位を5モル%以上含んでいてもよく、10モル%以上含んでいてもよく、20モル%以上含んでいてもよい。
透明性を向上させ、且つ、表面硬度を向上させる点から、Aのテトラカルボン酸残基である4価の基、及び、Bのジアミン残基である2価の基の少なくとも1つは、芳香族環を含み、且つ、(i)フッ素原子、(ii)脂肪族環、及び(iii)芳香族環同士をスルホニル基又はフッ素で置換されていてもよいアルキレン基で連結した構造、からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。ポリイミドが、芳香族環を有するテトラカルボン酸残基及び芳香族環を有するジアミン残基から選ばれる少なくとも一種を含むことにより、分子骨格が剛直となり配向性が高まり、表面硬度が向上するが、剛直な芳香族環骨格は吸収波長が長波長に伸びる傾向があり、可視光領域の透過率が低下する傾向がある。一方で、ポリイミドが(i)フッ素原子を含むと、ポリイミド骨格内の電子状態を電荷移動し難くすることができる点から透明性が向上する。また、ポリイミドが(ii)脂肪族環を含むと、ポリイミド骨格内のπ電子の共役を断ち切ることで骨格内の電荷の移動を阻害することができる点から透明性が向上する。また、ポリイミドが(iii)芳香族環同士をスルホニル基又はフッ素で置換されていてもよいアルキレン基で連結した構造を含むと、ポリイミド骨格内のπ電子の共役を断ち切ることで骨格内の電荷の移動を阻害することができる点から透明性が向上する。
中でも、透明性を向上させ、且つ、表面硬度を向上させる点から、Aのテトラカルボン酸残基である4価の基、及び、Bのジアミン残基である2価の基の少なくとも1つは、芳香族環とフッ素原子とを含むことが好ましく、Bのジアミン残基である2価の基が、芳香族環とフッ素原子とを含むことが好ましい。
ポリイミドは、透明性の点、及び耐屈曲性及び表面硬度の点から、上記一般式(1)及び(2)中のBにおける、上記芳香族環又は脂肪族環を有するジアミン残基が、trans-シクロヘキサンジアミン残基、trans-1,4-ビスメチレンシクロヘキサンジアミン残基、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン残基、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン残基、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン残基、3,3’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-[(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル)ビス(4,1-フェニレンオキシ)]ジアニリン残基、2,2-ビス[3-(3-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン残基、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン残基、及び下記一般式(3)で表される2価の基からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の基であることが好ましい。特に、透明性と表面硬度の両立の点から、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン残基、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン残基、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン残基、及び、下記一般式(3)で表される2価の基からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の基であることが好ましく、下記一般式(3)で表される2価の基であることがより好ましい。下記一般式(3)で表される2価の基としては、R及びRがパーフルオロアルキル基であることがより好ましく、中でも、炭素数1以上3以下のパーフルオロアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基又はパーフルオロエチル基であることがより好ましい。また、下記一般式(3)中のR及びRにおけるアルキル基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
Figure 2022051295000004
(一般式(3)において、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、またはパーフルオロアルキル基を表す。)
ポリイミドは、中でも、透明性の点、及び耐屈曲性及び表面硬度の点から、上記一般式(2)中のAにおける芳香族環又は脂肪族環を有するテトラカルボン酸残基が、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物残基、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物残基、ジシクロヘキサン-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物残基、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物残基、ピロメリット酸二無水物残基、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物残基、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物残基、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物残基、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物残基、3,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物残基、3,3’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物残基、4,4’-オキシジフタル酸無水物残基、及び、3,4’-オキシジフタル酸無水物残基からなる群から選ばれる少なくとも1種の4価の基であるであることが好ましい。
上記一般式(2)中のAにおいて、これらの好適な残基を合計で、50モル%以上含むことが好ましく、70モル%以上含むことがより好ましく、90モル%以上含むことがさらに好ましい。
上記一般式(2)中のAとしては、表面硬度が向上する点からは、ピロメリット酸二無水物残基、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物残基、及び、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物残基からなる群から選択される少なくとも一種のような剛直性を向上させるのに適したテトラカルボン酸残基群(グループA)を含むことが好ましい。また、上記一般式(2)中のAとしては、透明性を向上させる点からは、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物残基、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物残基、ジシクロヘキサン-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物残基、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物残基、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物残基、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物残基、3,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物残基、3,3’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物残基、4,4’-オキシジフタル酸無水物残基、及び、3,4’-オキシジフタル酸無水物残基からなる群から選択される少なくとも一種のような透明性を向上させるのに適したテトラカルボン酸残基群(グループB)を含むことが好ましい。グループAとグループBを混合して用いてもよい。
グループAとグループBを混合する場合、上記剛直性を向上させるのに適したテトラカルボン酸残基群(グループA)と、透明性を向上させるのに適したテトラカルボン酸残基群(グループB)との含有比率は、透明性を向上させるのに適したテトラカルボン酸残基群(グループB)1モルに対して、上記剛直性を向上させるのに適したテトラカルボン酸残基群(グループA)が0.05モル以上9モル以下であることが好ましく、0.1モル以上5モル以下であることがより好ましく、0.3モル以上4モル以下であることがさらに好ましい。
中でも、表面硬度と透明性の向上の点から、上記グループBとしては、フッ素原子を含む、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物残基、及び3,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物残基の少なくとも一種を用いることが好ましい。
ポリイミド中の各繰り返し単位の含有割合、各テトラカルボン酸残基や各ジアミン残基の含有割合(モル%)は、ポリイミド製造時には仕込みの分子量から求めることができる。また、ポリイミド中の各テトラカルボン酸残基や各ジアミン残基の含有割合(モル%)は、上記と同様に得られたポリイミドの分解物について、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフ質量分析計、NMR、元素分析、XPS/ESCA及びTOF-SIMSを用いて求めることができる。
ポリイミドは、耐屈曲性が良好な点から、ゲル浸透クロマトグラフィーのポリスチレン換算による重量平均分子量が100,000以上であることが好ましい。耐屈曲性の点から、重量平均分子量は120,000以上であってもよく、140,000以上であってもよく、160,000以上であってもよい。一方で、気泡欠陥が発生し難い点から、重量平均分子量は270,000以下であることが好ましい。さらに溶解性の点から、重量平均分子量は250,000以下であってもよく、230,000以下であってもよく、210,000以下であってもよい。
ポリイミドの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定できる。具体的には、ポリイミドを0.1質量%の濃度のN-メチルピロリドン(NMP)溶液とし、展開溶媒は、含水量500ppm以下の30mmol%LiBr-NMP溶液を用い、東ソー製GPC装置(HLC-8120、使用カラム:SHODEX製GPC LF-804)を用い、サンプル打ち込み量50μL、溶媒流量0.4mL/分、37℃の条件で測定を行う。重量平均分子量は、サンプルと同濃度のポリスチレン標準サンプルを基準に求める。
(b)レベリング剤
樹脂層は、レベリング剤を含有することが好ましい。樹脂層がレベリング剤を含有することにより、樹脂層および機能層の合計厚みの最大値が所定の範囲になるように制御し、樹脂層および機能層の端部に盛り上がり部を生じにくくすることができる。
樹脂層に含まれるレベリング剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、アクリル系レベリング剤、ビニル系レベリング剤等が挙げられる。これらのレベリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。中でも、表面張力の低下能力が高いことから、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤が好ましい。
樹脂層中のレベリング剤の含有量としては、特に限定されないが、例えば、0.01質量%以上3質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上2質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上1質量%以下であることがさらに好ましい。レベリング剤の含有量が少なすぎると、レベリング剤による効果を十分に得られない場合がある。また、レベリング剤の含有量が多すぎると、樹脂層の強度が低下するおそれがある。また、レベリング剤がシリコーン系レベリング剤またはフッ素系レベリング剤である場合には、レベリング剤の含有量が多すぎると、樹脂層上に機能層を形成する際に、はじきや剥がれが生じるおそれがある。
(c)紫外線吸収剤
樹脂層は、紫外線吸収剤を含有していてもよい。樹脂層の紫外線による劣化を抑制することができる。中でも、樹脂層がポリイミドを含有する場合には、ポリイミドを含有する樹脂層の経時的な色変化を抑制することができる。また、表示装置用部材を備える表示装置において、表示装置用部材よりも表示パネル側に配置されている部材、例えば偏光子等の紫外線による劣化を抑制することができる。
樹脂層に含まれる紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、及び、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤、ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、及び、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例については、例えば特開2019-132930号公報に記載のものを挙げることができる。
紫外線吸収剤としては、中でも、トリアジン系紫外線吸収剤、ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好適に用いられる。
また、紫外線吸収剤は、ポリマーまたはオリゴマーであることが好ましい。表示装置用部材を繰り返し屈曲したときの紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制することができるからである。このような紫外線吸収剤としては、例えばトリアジン骨格、ベンゾフェノン骨格、又はベンゾトリアゾール骨格を有するポリマー又はオリゴマーを挙げることができ、具体的には、ベンゾトリアゾール骨格やベンゾフェノン骨格を有する(メタ)アクリレートと、メチルメタクリレート(MMA)とを任意の比率で熱共重合したものであることが好ましい。
樹脂層中の紫外線吸収剤の含有量としては、特に限定されないが、例えば1質量%以上6質量%以下であることが好ましく、2質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。紫外線吸収剤の含有量が少なすぎると、紫外線吸収剤による効果を十分に得られない場合がある。また、紫外線吸収剤の含有量が多すぎると、樹脂層が著しく着色したり、樹脂層の強度が低下したりするおそれがある。
(d)他の添加剤
樹脂層は、必要に応じて、添加剤をさらに含有することができる。添加剤としては、例えば、無機粒子、巻き取りを円滑にするためのシリカフィラー、製膜性や脱泡性を向上させる界面活性剤、密着性向上剤等が挙げられる。
(3)樹脂層の構成
本実施形態において、樹脂層は、端部に盛り上がり部を有していてもよい。上述したように、ガラス基材の一方の面に樹脂層を塗布法で形成する場合、表面張力によって、機能層の端部の厚みが厚くなり、例えば図1に示すように、樹脂層3の端部に盛り上がり部11が生じる傾向がある。本実施態様においては、樹脂層の端部の盛り上がりを抑制することにより、樹脂層および機能層の盛り上がり部の合計厚みの最大値を所定の値以下にすることができ、耐屈曲性を向上させることができる。
樹脂層は、単層であってもよく、複数の層を有していてもよい。また、樹脂層が複数の層を有する場合、複数の層の材料は、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。また、樹脂層が複数の層を有する場合、複数の層の平均厚みは、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
(4)樹脂層の形成方法
樹脂層の形成方法としては、例えば、ガラス基材上に樹脂組成物を塗布する方法が挙げられる。塗布方法としては、所望の厚みで塗布可能な方法であれば特に制限はなく、例えばグラビアコート法、グラビアリバースコート法、グラビアオフセットコート法、スピンコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、ダイコート法等の一般的な塗布方法が挙げられる。また、樹脂層の形成方法として、ガラス基材上に樹脂層を転写する転写法を用いることもできる。中でも、端部に盛り上がり部が形成されにくいことから、ダイコート法、転写法が好ましい。
以下、樹脂層がポリイミドを含有する場合を例に挙げて説明する。
(ポリイミドを含有する樹脂層の形成方法)
ポリイミドを含有する樹脂層の形成方法としては、例えば、ガラス基材上に、ポリイミドおよび有機溶剤を含むポリイミドワニスを塗布し、乾燥させる方法、および、ガラス基材上に、ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)および有機溶剤を含むポリイミド前駆体組成物を塗布した後、熱処理または化学処理によりポリイミド前駆体をイミド化する方法等が挙げられる。前者の方法では、製膜プロセスの加熱条件を緩和することができる。一方、後者の方法では、ポリイミドの溶解性に制約がなくなるため、ポリイミドの化学構造の選択肢を増やすことができる。
中でも、気泡欠陥が発生し難く、厚みの均一性が良好な樹脂層を得やすい点から、好ましい製造方法としては以下の製造方法が挙げられる。
ポリイミドを含有する樹脂層の形成方法は、ポリイミドと、有機溶剤とを含有するポリイミドワニスであって、上記ポリイミドの含有割合は、上記ポリイミドワニス中に6質量%以上15質量%以下であり、25℃における粘度が1,000cps以上50,000cps以下であるポリイミドワニスを調製する調製工程と、上記ポリイミドワニスをガラス基材上に塗布する塗布工程と、塗膜を140℃以下の温度で乾燥する第1乾燥工程と、当該乾燥後塗膜を200℃以上の温度で加熱する第2乾燥工程とを有することが好ましい。
ポリイミドが有機溶剤に良好に溶解する場合には、製膜プロセスの加熱条件を緩和できることから、ポリイミドを有機溶剤に溶解させたポリイミドワニスを用いて樹脂層を形成することが好ましい。ポリイミドが、主鎖にエステル結合を介して2面角がねじれたパラビフェニレン基を含む特定の構造のテトラカルボン酸残基を含む構成単位を特定量以上有する場合には、有機溶剤に溶解し易い。ポリイミドが25℃で有機溶剤に6質量%以上溶解するような溶剤溶解性を有する場合には、上記樹脂層の形成方法を好適に用いることができる。
上記樹脂層の形成方法によれば、ワニス中のポリイミド含有割合を十分な濃度に上げることができ、且つワニスを所望の粘度範囲に調整できるので、気泡欠陥が発生し難く、厚みの均一性が良好な樹脂層を得ることができる。
上記有機溶剤としては、ポリイミドが溶解可能であれば特に制限はなく、例えば、非プロトン性極性溶剤または水溶性アルコール系溶剤等を用いることができる。中でも、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等の窒素原子を含む有機溶剤;γ-ブチロラクトン等を用いることが好ましい。また、上記有機溶媒は、1種類もしくは2種類以上の混合溶媒として用いることができる。
上記ポリイミドを含有する樹脂層の形成方法については、例えば特開2019-1989号公報、特開2019-182974号公報に記載の方法を参照することができる。
3.機能層
本開示における機能層は、上記樹脂層の上記ガラス基材とは反対の面側に配置される層である。機能層としては、例えばハードコート層が挙げられる。
ハードコート層は、表面硬度を高めるための層である。ハードコート層が配置されていることにより、耐擦傷性を向上させることができる。
(1)ハードコート層の特性
ここで、「ハードコート層」とは、表面硬度を高めるための層であり、具体的には、表示装置用部材において、JIS K 5600-5-4(1999)で規定される鉛筆硬度試験を行った場合に、「H」以上の硬度を示すものをいう。
表示装置用部材のハードコート層側の表面の鉛筆硬度は、例えば、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましい。
ここで、鉛筆硬度は、JIS K5600-5-4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で測定される。具体的には、JIS-S-6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K5600-5-4(1999)に規定する鉛筆硬度試験を表示装置用部材のハードコート層側の表面に行い、傷が付かない最も高い鉛筆硬度を評価することにより行うことができる。鉛筆硬度の測定は、ガラス基材と樹脂層とハードコート層とをこの順に有する表示装置用部材に対して行う。測定条件としては、角度45°、荷重750g、速度0.5mm/秒以上1mm/秒以下、温度23±2℃とすることができる。鉛筆硬度試験機としては、例えば、東洋精機(株)製 鉛筆引っかき塗膜硬さ試験機を用いることができる。
また、ハードコート層は、上記樹脂層よりも硬度が高い層である。具体的には、ハードコート層の複合弾性率が、上記樹脂層の複合弾性率よりも高いことが好ましい。ハードコート層の複合弾性率は、例えば、4.8GPa以上であることが好ましく、5.8GPa以上であることがより好ましい。
また、上述の複合弾性率の測定方法によれば、ガラス基材の複合弾性率は約40GPaであることから、ハードコート層の複合弾性率は、例えば、40GPa以下であることが好ましく、20GPa以下であることがより好ましい。
なお、ハードコート層の複合弾性率の測定方法については、上記樹脂層の複合弾性率の測定方法と同様とすることができる。
(2)ハードコート層の構成
本実施形態において、ハードコート層は、端部に盛り上がり部を有していてもよい。上述したように、ガラス基材の一方の面に樹脂層を塗布法で形成する場合、表面張力によって、ハードコート層の端部の厚みが厚くなり、例えば図1に示すように、機能層4(ハードコート層)の端部に盛り上がり部11が生じる傾向がある。本実施態様においては、ハードコート層の端部の盛り上がりを抑制することにより、樹脂層および機能層(ハードコート層)の盛り上がり部の合計厚みの最大値を所定の値以下にすることができ、耐屈曲性を向上させることができる。
ハードコート層は、単層であってもよく、複数の層を有していてもよい。ハードコート層が複数の層を有する場合、表面硬度を向上し、かつ、耐屈曲性および弾性率のバランスを良好にするために、ハードコート層は、鉛筆硬度を充足させるための層と、動的屈曲試験を充足させるための層(耐擦傷性を充足させるための層)とを有することが好ましい。
(3)ハードコート層の材料
(a)重合性化合物
ハードコート層の材料としては、例えば、重合性化合物を含む樹脂組成物が挙げられる。具体的には、ハードコート層は、重合性化合物を含む樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。重合性化合物を含む樹脂組成物の硬化物は、重合性化合物を、必要に応じて重合開始剤を用い、公知の方法で重合反応させることにより得ることができる。
重合性化合物は、分子内に重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。重合性化合物としては、例えば、ラジカル重合性化合物およびカチオン重合性化合物の少なくとも1種を用いることができる。
ラジカル重合性化合物とは、ラジカル重合性基を有する化合物である。ラジカル重合性化合物が有するラジカル重合性基としては、ラジカル重合反応を生じ得る官能基であればよく、特に限定されないが、例えば、炭素-炭素不飽和二重結合を含む基などが挙げられ、具体的には、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。なお、ラジカル重合性化合物が2個以上のラジカル重合性基を有する場合、これらのラジカル重合性基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
ラジカル重合性化合物が1分子中に有するラジカル重合性基の数は、ハードコート層の硬度が向上する点から、2つ以上であることが好ましく、さらに3つ以上であることが好ましい。
ラジカル重合性化合物としては、反応性の高さの点から、中でも(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、ポリフルオロアルキル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等と称される分子内に数個の(メタ)アクリロイル基を有する分子量が数百から数千の多官能(メタ)アクリレートモノマー及びオリゴマーを好ましく使用でき、またアクリレートポリマーの側鎖に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレートポリマーも好ましく使用できる。中でも、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを好ましく使用できる。ハードコート層が、多官能(メタ)アクリレートモノマーの硬化物を含むことにより、ハードコート層の硬度を向上させ、さらに密着性を向上させることができる。また、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートオリゴマー又はポリマーも好ましく使用できる。ハードコート層が、多官能(メタ)アクリレートオリゴマー又はポリマーの硬化物を含むことにより、ハードコート層の硬度及び耐屈曲性を向上させ、さらに、密着性を向上させることができる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及びメタクリロイルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表す。
多官能(メタ)アクリレートモノマーの具体例については、例えば特開2019-132930号公報に記載のものを挙げることができる。中でも、反応性が高く、ハードコート層の硬度が向上する点、及び密着性の点から、1分子中に3個以上6個以下の(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましく、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート等を好ましく用いることができ、特に、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、並びにこれらをPO、EO、又はカプロラクトン変性したものから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
上記樹脂組成物は、ラジカル重合性化合物として、硬度や粘度調整、密着性の向上等のために、単官能(メタ)アクリレートモノマーを含んでいてもよい。単官能(メタ)アクリレートモノマーの具体例については、例えば特開2019-132930号公報に記載のものを挙げることができる。
カチオン重合性化合物とは、カチオン重合性基を有する化合物である。カチオン重合性化合物が有するカチオン重合性基としては、カチオン重合反応を生じ得る官能基であればよく、特に限定されないが、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基などが挙げられる。なお、カチオン重合性化合物が2個以上のカチオン重合性基を有する場合、これらのカチオン重合性基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
カチオン重合性化合物が1分子中に有するカチオン重合性基の数は、ハードコート層の硬度が向上する点から、2つ以上であることが好ましく、さらに3つ以上であることが好ましい。
また、カチオン重合性化合物としては、中でも、カチオン重合性基としてエポキシ基及びオキセタニル基の少なくとも1種を有する化合物が好ましく、エポキシ基及びオキセタニル基の少なくとも1種を1分子中に2個以上有する化合物がより好ましい。エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテル基は、重合反応に伴う収縮が小さいという点から好ましい。また、環状エーテル基のうちエポキシ基を有する化合物は多様な構造の化合物が入手し易く、得られたハードコート層の耐久性に悪影響を与えず、ラジカル重合性化合物との相溶性もコントロールし易いという利点がある。また、環状エーテル基のうちオキセタニル基は、エポキシ基と比較して重合度が高い、低毒性であり、得られたハードコート層を、エポキシ基を有する化合物と組み合わせた際に塗膜中でのカチオン重合性化合物から得られるネットワーク形成速度を早め、ラジカル重合性化合物と混在する領域でも未反応のモノマーを膜中に残さずに独立したネットワークを形成する等の利点がある。
エポキシ基を有するカチオン重合性化合物としては、例えば、脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル又は、シクロヘキセン環、シクロペンテン環含有化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化する事によって得られる脂環族エポキシ樹脂;脂肪族多価アルコール、又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、コポリマーなどの脂肪族エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールFや水添ビスフェノールA等のビスフェノール類、又はそれらのアルキレンオキサイド付加体、カプロラクトン付加体等の誘導体と、エピクロルヒドリンとの反応によって製造されるグリシジルエーテル、及びノボラックエポキシ樹脂等でありビスフェノール類から誘導されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
脂環族エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、および、オキセタニル基を有するカチオン重合性化合物の具体例については、例えば特開2018-104682号公報に記載のものを挙げることができる。
なお、ハードコート層に含まれる重合性化合物を含む樹脂組成物の硬化物は、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)、熱分解ガスクロマトグラフ装置(GC-MS)や、重合物の分解物について、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフ質量分析計、NMR、元素分析、XPS/ESCA及びTOF-SIMS等の組み合わせを用いて分析することができる。
(b)重合開始剤
上記樹脂組成物は、必要に応じて重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル及びカチオン重合開始剤等を適宜選択して用いることができる。これらの重合開始剤は、光照射及び加熱の少なくとも一種により分解されて、ラジカルもしくはカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。なお、ハードコート層中には、重合開始剤が全て分解されて残留していない場合もある。
ラジカル重合開始剤およびカチオン重合開始剤の具体例については、例えば特開2018-104682号公報に記載のものを挙げることができる。
(c)粒子
ハードコート層は、無機又は有機粒子を含有することが好ましく、無機微粒子を含有することがより好ましい。ハードコート層が粒子を含有することにより、硬度を向上させることができる。
無機粒子としては、例えば、シリカ(SiO)、酸化アルミニウム、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等の金属酸化物粒子、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム等の金属フッ化物粒子、金属粒子、金属硫化物粒子、金属窒化物粒子等が挙げられる。中でも、金属酸化物粒子が好ましく、シリカ粒子及び酸化アルミニウム粒子から選ばれる少なくとも一種がより好ましく、シリカ粒子がさらに好ましい。優れた硬度が得られるからである。
また、無機粒子は、当該無機粒子表面に当該無機粒子同士又は重合性化合物の少なくとも1種との間で架橋反応し、共有結合が形成可能な光反応性を有する反応性官能基を少なくとも粒子表面の一部に有する反応性無機粒子であることが好ましい。反応性無機粒子同士又は反応性無機粒子とラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物の少なくとも1種との間で架橋反応することにより、ハードコート層の硬度をさらに向上させることができる。
反応性無機粒子は、少なくとも表面の一部に有機成分が被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基を表面に有する。反応性官能基としては、例えば、重合性不飽和基が好適に用いられ、より好ましくは光硬化性不飽和基である。反応性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合、及びエポキシ基等が挙げられる。
反応性シリカ粒子としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、特開2008-165040号公報記載の反応性シリカ粒子等が挙げられる。また、反応性シリカ粒子の市販品としては、例えば、日産化学工業社製;MIBK-SD、MIBK-SDMS、MIBK-SDL、MIBK-SDZL、日揮触媒化成社製;V8802、V8803等が挙げられる。
また、シリカ粒子は、球状シリカ粒子であってもよいが、異型シリカ粒子であることが好ましい。球状シリカ粒子と異型シリカ粒子とを混合させてもよい。なお、本明細書において、異型シリカ粒子とは、ジャガイモ状のランダムな凹凸を表面に有する形状のシリカ粒子を意味する。異型シリカ粒子は、その表面積が球状シリカ粒子と比較して大きいため、このような異型シリカ粒子を含有することで、上記樹脂成分等との接触面積が大きくなり、ハードコート層の硬度をより優れたものとすることができる。
なお、異型シリカ粒子か否かは、ハードコート層の電子顕微鏡による断面観察により確認することができる。
無機粒子の平均粒径は、硬度向上の点から、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。無機粒子の平均粒径が小さすぎると、粒子の製造が困難であり、また粒子同士が凝集しやすくなるおそれがある。また、無機粒子の平均粒径は、透明性の点から、200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。無機粒子の平均粒径が大きすぎると、ハードコート層に大きな凹凸が形成されるおそれや、ヘイズが高くなるおそれがある。
ここで、無機粒子の平均粒径は、ハードコート層の電子顕微鏡による断面観察により測定することができ、任意に選択した10個の粒子の粒径の平均を平均粒径とする。なお、異型シリカ粒子の平均粒径は、ハードコート層の断面顕微鏡観察にて現れた異型シリカ粒子の外周の2点間距離の最大値(長径)と最小値(短径)との平均値である。
無機粒子の大きさ及び含有量を調整することで、ハードコート層の硬度を制御できる。例えば、シリカ粒子の含有量は、上記重合性化合物100質量部に対して、25質量部以上60質量部以下であることが好ましい。
(d)レベリング剤
ハードコート層は、レベリング剤を含有することが好ましい。ハードコート層がレベリング剤を含有することにより、樹脂層および機能層の合計厚みの最大値が所定の範囲になるように制御し、樹脂層および機能層の端部に盛り上がり部を生じにくくすることができる。
ハードコート層に含まれるレベリング剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、アクリル系レベリング剤、ビニル系レベリング剤等が挙げられる。これらのレベリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。中でも、表面張力の低下能力が高いことから、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤が好ましい。
ハードコート層中のレベリング剤の含有量としては、特に限定されないが、例えば、0.01質量%以上、3質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上、2質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上、1質量%以下であることがさらに好ましい。レベリング剤の含有量が少なすぎると、レベリング剤による効果を十分に得られない場合がある。また、レベリング剤の含有量が多すぎると、ハードコート層の硬度が低下するおそれがある。
(e)紫外線吸収剤
ハードコート層は、紫外線吸収剤を含有していてもよい。上記樹脂層の紫外線による劣化を抑制することができる。中でも、上記樹脂層がポリイミドを含有する場合には、ポリイミドを含有する樹脂層の経時的な色変化を抑制することができる。また、表示装置用部材を備える表示装置において、表示装置用部材よりも表示パネル側に配置されている部材、例えば偏光子等の紫外線による劣化を抑制することができる。
ハードコート層に含まれる紫外線吸収剤は、中でも、吸光度測定における吸収波長のピークが300nm以上390nm以下にあることが好ましく、320nm以上370nm以下にあることがより好ましく、330nm以上370nm以下にあることがさらに好ましい。このような紫外線吸収剤は、UVA領域の紫外線を効率良く吸収することができ、一方でハードコート層を硬化するための開始剤の吸収波長250nmとピーク波長をずらすことによってハードコート層の硬化阻害を生じさせることなく、紫外線吸収能を有するハードコート層を形成することができるからである。
紫外線吸収剤は、中でも、吸収波長のピークが380nm以下であることが、紫外線吸収剤によって着色することを抑制できる点から好ましい。
なお、紫外線吸収剤の吸光度は、例えば紫外可視近赤外分光光度計(例えば、日本分光(株) V-7100)を用いて測定することができる。
紫外線吸収剤としては、上記樹脂層に用いられる紫外線吸収剤と同様とすることができる。
中でも、上記樹脂層の紫外線による劣化を抑制する観点から、ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤、及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤が好ましく、ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤がより好ましい。
ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例については、例えば特開2019-132930号公報に記載のものを挙げることができる。
ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、中でも、2-ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、下記一般式(A)を有するベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上であることがより好ましい。上記樹脂層の紫外線による劣化を抑制し、耐久性を向上させることができる。
Figure 2022051295000005
(一般式(A)において、X及びXはそれぞれ独立に、水酸基、-OR、又は炭素原子数1~15の炭化水素基を表し、Rは炭素原子数1~15の炭化水素基を表す。)
一般式(A)において、X、X及びRにおける炭素原子数1~15の炭化水素基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基、アリル基、ベンジル基等が挙げられる。炭素原子数3以上の脂肪族炭化水素基は各々、直鎖又は分岐状であってよい。炭化水素基は炭素原子数1~12であることが好ましく、1~8であることがより好ましい。透明性が向上しやすい点から、炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、中でもメチル基及びアリル基であることが好ましい。
耐久性が向上しやすい点から、X及びXはそれぞれ独立に、水酸基、又は-ORであることが好ましい。
一般式(A)を有するベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上としては、中でも、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、及び2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアリルオキシベンゾフェノンからなる群から選択される1種以上であることが好ましく、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、及び2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノンからなる群から選択される1種以上であることがより好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例については、例えば特開2019-132930号公報に記載のものを挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、中でも、2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類が好ましく、下記一般式(B)を有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上であることがより好ましい。上記樹脂層の紫外線による劣化を抑制し、耐久性を向上させることができる。
Figure 2022051295000006
(一般式(B)において、Y、Y、及びYはそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、-OR、又は炭素原子数1~15の炭化水素基を表し、Rは炭素原子数1~15の炭化水素基を表し、Y、Y、及びYの少なくとも1つは、水酸基、-OR、又は炭素原子数1~15の炭化水素基を表す。Yは、水素原子又はハロゲン原子を表す。)
一般式(B)において、Y、Y、及びY、並びにRにおける炭素原子数1~15の炭化水素基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基等が挙げられる。炭素原子数3以上の脂肪族炭化水素基は各々、直鎖又は分岐状であってよい。炭化水素基は炭素原子数1~12であることが好ましく、1~8であることがより好ましい。透明性が向上しやすい点から、炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、中でも、メチル基、t-ブチル基、t-ペンチル基、n-オクチル基、又はt-オクチル基であることが好ましい。
一般式(B)において、Yにおけるハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子等が挙げられ、中でも塩素原子が好ましい。
一般式(B)において、中でも、Y、及びYが水素原子で、Yが水酸基、又は-ORを表すことが好ましく、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、及び2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールなる群から選択される1種以上であることがより好ましい。上記樹脂層の紫外線による劣化を抑制し、耐久性を向上させることができる。
ハードコート層中の紫外線吸収剤の含有量としては、紫外線吸収剤を混合することによるヘイズを抑制する点から、例えば、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましい。また、上記樹脂層の紫外線による劣化の抑制および耐久性の向上の観点から、ハードコート層中の紫外線吸収剤の含有量は、1質量%以上6質量%以下であることが好ましく、2質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
(f)防汚剤
ハードコート層は、防汚剤を含有していてもよい。表示装置用部材に防汚性を付与することができる。
防汚剤としては特に限定されず、例えば、シリコーン系防汚剤、フッ素系防汚剤、シリコーン系かつフッ素系防汚剤が挙げられる。また、防汚剤は、アクリル系防汚剤であってもよい。防汚剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
シリコーン系防汚剤やフッ素系防汚剤を含むハードコート層は、指紋が付きにくく(目立ちにくく)、拭き取り性が良好である。また、シリコーン系防汚剤やフッ素系防汚剤が含まれる場合、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗布時の表面張力を下げることができるので、レベリング性が良く、得られるハードコート層の外観が良好なものとなる。
また、シリコーン系防汚剤を含むハードコート層は、滑り性が良く、耐擦傷性が良好である。このようなシリコーン系防汚剤を含むハードコート層を有する表示装置用部材を備える表示装置では、指やペン等で接触したときの滑りが良くなるため、触感が良くなる。
防汚剤は、防汚性能の耐久性を高めるために、反応性官能基を有することが好ましい。防汚剤が反応性官能基を有さない場合には、表示装置用部材の形態がロール状であるかシート状であるかにかかわらず、表示装置用部材を重ねたときに、表示装置用部材のハードコート層側の面とは反対側の面に防汚剤が転移してしまい、表示装置用部材のハードコート層側の面とは反対側の面に他の層を貼付または塗布する際に、他の層が剥がれてしまうおそれがあり、さらに、繰り返し屈曲したときに他の層が剥がれやすくなるおそれがある。これに対し、防汚剤が反応性官能基を有する場合には、防汚性能の性能持続性が良好となる。
防汚剤が有する反応性官能基の数は、1以上であればよく、好ましくは2以上である。2以上の反応性官能基を有する防汚剤を用いることにより、ハードコート層に優れた耐擦傷性を付与することができる。
また、防汚剤は、重量平均分子量が5000以下であることが好ましい。防汚剤の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定できる。
防汚剤は、ハードコート層に均一に分散されていてもよいが、少ない添加量で十分な防汚性を得るとともにハードコート層の強度低下を抑制する観点から、ハードコート層の表面側に偏在していることが好ましい。
防汚剤をハードコート層の表面側に偏在させる方法としては、例えば、ハードコート層の形成時において、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜を乾燥させ、硬化させる前に、塗膜を加熱して、塗膜に含まれる樹脂成分の粘度を下げることにより流動性を上げて、防汚剤をハードコート層の表面側に偏在させる方法や、表面張力の低い防汚剤を用い、塗膜の乾燥時に熱をかけずに塗膜の表面に防汚剤を浮かせ、その後塗膜を硬化させることで、防汚剤をハードコート層の表面側に偏在させる方法等が挙げられる。
防汚剤の含有量としては、例えば、上記樹脂成分100質量部に対して、0.01質量部以上3.0質量部以下であることが好ましい。防汚剤の含有量が少なすぎると、ハードコート層に十分な防汚性を付与できない場合があり、また、防汚剤の含有量が多すぎると、ハードコート層の硬度が低下するおそれがある。
(g)他の添加剤
ハードコート層は、必要に応じて、添加剤をさらに含有することができる。添加剤としては、ハードコート層に付与する機能に応じて適宜選択され、特に限定はされないが、例えば、屈折率を調整するための無機又は有機粒子、赤外線吸収剤、防眩剤、防汚剤、帯電防止剤、青色色素や紫色色素等の着色剤、界面活性剤、易滑剤、各種増感剤、難燃剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、光安定化剤、表面改質剤等が挙げられる。
(4)ハードコート層の形成方法
ハードコート層の形成方法としては、例えば、上記樹脂層上に、上記重合性化合物等を含むハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させる方法等が挙げられる。
ハードコート層用硬化性樹脂組成物は、重合性化合物を含有し、必要に応じて、重合開始剤、粒子、紫外線吸収剤、溶剤、添加剤等をさらに含有していてもよい。
樹脂層上にハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、目的とする厚みで塗布可能な方法であれば特に制限はなく、例えばグラビアコート法、グラビアリバースコート法、グラビアオフセットコート法、スピンコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、ダイコート法等の一般的な塗布方法が挙げられる。また、ハードコート層用樹脂組成物の塗膜の形成方法として転写法を用いることもできる。中でも、端部に盛り上がり部が形成されにくいことから、ダイコート法、転写法が好ましい。
ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜は、必要に応じて乾燥することにより溶剤を除去する。乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥又は加熱乾燥、さらにはこれらの乾燥を組み合わせる方法等が挙げられる。例えば、30℃以上120℃以下の温度で10秒間以上180秒間以下加熱することで乾燥させることができる。
ハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗膜を硬化させる方法としては、重合性化合物の重合性基に応じて適宜選択され、例えば、光照射及び加熱の少なくともいずれかを用いることができる。
光照射には、主に、紫外線、可視光線、電子線、電離放射線等が使用される。紫外線硬化の場合には、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等を使用することができる。エネルギー線源の照射量は、例えば、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50mJ/cm以上5000mJ/cm以下程度とすることができる。
加熱をする場合は、例えば、40℃以上120℃以下の温度にて処理することができる。また、室温(25℃)で24時間以上放置することにより反応を行ってもよい。
4.ガラス基材
本実施態様におけるガラス基材は、厚みが100μm以下であり、上記の樹脂層および機能層を支持する部材である。
ガラス基材を構成するガラスとしては、特に限定されないが、中でも、化学強化ガラスであることが好ましい。化学強化ガラスは機械的強度に優れており、その分薄くできる点で好ましい。化学強化ガラスは、典型的には、ガラスの表面近傍について、ナトリウムをカリウムに代える等、イオン種を一部交換することで、化学的な方法によって機械的物性を強化したガラスであり、表面に圧縮応力層を有する。
化学強化ガラス基材を構成するガラスとしては、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス、鉛ガラス、アルカリバリウムガラス、アルミノホウ珪酸ガラス等が挙げられる。
化学強化ガラス基材の市販品としては、例えば、コーニング社のGorilla Glass(ゴリラガラス)、AGC社のDragontrail(ドラゴントレイル)、ショット社の化学強化ガラス等が挙げられる。
ガラス基材の厚みは、100μm以下であり、好ましくは15μm以上、100μm以下、より好ましくは20μm以上、90μm以下、さらに好ましくは25μm以上、80μm以下とすることができる。ガラス基材の厚みが上記範囲であるように薄いことにより、良好な柔軟性を得ることができるともに、十分な硬度を得ることができる。また、表示装置用部材のカールを抑制することもできる。さらに、表示装置用部材の軽量化の面で好ましい。
ここで、ガラス基材の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)により観察される表示装置用部材の厚み方向の断面から測定して得られた任意の10箇所の厚みの平均値とすることができる。なお、特に断りの無い限りは、表示装置用部材が有する他の層の厚みについても同様とすることができる。
5.その他の構成
本実施態様における表示装置用部材は、上記の各層の他に、必要に応じて他の層を有していてもよい。他の層としては、例えば、プライマー層、指紋付着防止層等が挙げられる。
(1)プライマー層
本実施態様における表示装置用部材は、例えば図5に示すように、ガラス基材2と樹脂層3との間にプライマー層5を有していてもよい。プライマー層により、ガラス基材と樹脂層との密着性を向上させることができる。
プライマー層の材料としては、ガラス基材と樹脂層との密着性を高めることができる材料であれば特に限定されるものではなく、例えば樹脂を挙げることができる。樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、(メタ)アクリルウレタン共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
プライマー層の厚みとしては、ガラス基材と樹脂層または第2の樹脂層との密着性を高めることが可能な厚みであればよく、例えば、0.1μm以上10μm以下とすることができ、好ましくは0.2μm以上5μm以下とすることができる。
プライマー層の形成方法としては、例えば、ガラス基材上にプライマー層用組成物を塗布する方法が挙げられる。塗布方法としては、例えば、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、グラビアオフセットコート法、スピンコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、ダイコート法等の一般的な塗布方法が挙げられる。また、プライマー層の形成方法として転写法を用いることもできる。
(2)指紋付着防止層
本実施態様における表示装置用部材は、例えば図5に示すように、機能層4の樹脂層3とは反対の面側に指紋付着防止層6を有していてもよい。指紋付着防止層により、指紋が付着しにくく、拭き取りやすくすることができる。
指紋付着防止層の材料としては、耐指紋性を付与できる材料であれば特に限定されず、一般的な指紋付着防止層の材料を用いることができる。
指紋付着防止層の厚みとしては、耐指紋性が発揮される厚みであれば特に限定されない。
指紋付着防止層の形成方法としては、例えば、塗布法や蒸着法が挙げられる。
6.表示装置用部材の特性
本開示における表示装置用部材は、全光線透過率が、例えば80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、88%以上であることがさらに好ましい。このように全光線透過率が高いことにより、透明性が良好な表示装置用部材とすることができる。
ここで、表示装置用部材の全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠して測定することができ、例えば村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM150により測定することができる。
本開示における表示装置用部材のヘイズは、例えば2.0%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。このようにヘイズが低いことにより、透明性が良好な表示装置用部材とすることができる。
ここで、表示装置用部材のヘイズは、JIS K-7136に準拠して測定することができ、例えば村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM150により測定することができる。
本開示における表示装置用部材は、耐屈曲性を有することが好ましい。具体的には、表示装置用部材に対して下記に説明する動的屈曲試験を行った場合に、表示装置用部材に割れまたは破断が生じないことが好ましい。
動的屈曲試験は、以下のようにして行われる。図6(a)に示すように動的屈曲試験においては、まず、20mm×100mmの大きさの表示装置用部材1の短辺部1Cと、短辺部1Cと対向する短辺部1Dとを、平行に配置された固定部21でそれぞれ固定する。また、図6(a)に示すように、固定部21は水平方向にスライド移動可能になっている。次に、図6(b)に示すように、固定部21を互いに近接するように移動させることで、表示装置用部材1の折りたたむように変形させ、更に、図6(c)に示すように、表示装置用部材1の固定部21で固定された対向する2つの短辺部1C、1Dの間隔dが所定の値となる位置まで固定部21を移動させた後、固定部21を逆方向に移動させて表示装置用部材1の変形を解消させる。図6(a)~(c)に示すように固定部21を移動させることで、表示装置用部材1を180°折りたたむことができる。また、表示装置用部材1の屈曲部1Eが固定部21の下端からはみ出さないように動的屈曲試験を行い、かつ固定部21が最接近したときの間隔を制御することで、表示装置用部材1の対向する2つの短辺部1C、1Dの間隔dを所定の値にできる。例えば、表示装置用部材1の対向する2つの短辺部1C、1Dの間隔dが10mmである場合、屈曲部1Eの外径を10mmとみなす。
表示装置用部材においては、表示装置用部材1の対向する短辺部1C、1Dの間隔dが10mmとなるように動的屈曲試験を10万回繰り返し行った場合に割れまたは破断が生じないことが好ましく、20万回繰り返し行った場合に割れまたは破断が生じないことがより好ましい。
動的屈曲試験では、ガラス基材が外側となるように表示装置用部材を屈曲させてもよく、あるいは、ガラス基材が内側となるように表示装置用部材を屈曲させてもよいが、いずれの場合であっても、表示装置用部材に割れまたは破断が生じないことが好ましい。
また、表示装置用部材に対して下記に説明する静的屈曲試験を行った場合に、表示装置用部材において、静的屈曲試験後の開き角θが100°以上であることが好ましく、130°以上であることがより好ましい。
静的屈曲試験は、以下のようにして行われる。まず、図7(a)に示されるように、表示装置用部材1の短辺部1Cと、短辺部1Cと対向する短辺部1Dとを、短辺部1Cと短辺部1Dの間隔dが10mmとなるように平行に配置された固定部22でそれぞれ固定する。そして、表示装置用部材1を折りたたんだ状態で、23℃で240時間静置する静的屈曲試験を行う。その後、図7(b)に示されるように、静的屈曲試験後に短辺部1Dから固定部22を外すことによって、折りたたみ状態を開放して、室温で30分後に表示装置用部材1が自然に開く角度である開き角θを測定する。なお、開き角θは、大きいほど復元性が良好であることを意味し、最大で180°である。
静的屈曲試験では、ガラス基材が内側となるように表示装置用部材を屈曲させてもよく、あるいは、ガラス基材が外側となるように表示装置用部材を屈曲させてもよいが、いずれの場合であっても、開き角θが100°以上であることが好ましく、130°以上であることがより好ましい。
7.表示装置用部材の用途
本開示における表示装置用部材は、表示装置において、表示パネルよりも観察者側に配置される部材として用いることができる。本開示における表示装置用部材は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ、テレビジョン、デジタルサイネージ、パブリックインフォメーションディスプレイ(PID)、車載ディスプレイ等の電子機器に用いられる表示装置に用いることができる。中でも、本開示における表示装置用部材は、フォルダブルディスプレイ、ローラブルディスプレイ、ベンダブルディスプレイ等のフレキシブルディスプレイに好ましく用いることができ、フォルダブルディスプレイにより好ましく用いることができる。
本開示における表示装置用部材は、表示装置の表面に配置する場合、ガラス基材側の面が表示パネル側、機能層側の面が外側になるように配置される。
本開示における表示装置用部材を表示装置の表面に配置する方法としては、特に限定されず、例えば、接着層を介する方法等が挙げられる。接着層としては、表示装置用部材の接着に使用される公知の接着層を用いることができる。
II.第2実施態様
本開示における表示装置用部材の第2実施態様は、ガラス基材と、樹脂層と、第1機能層と、機能フィルムとをこの順に有し、上記機能フィルムは、上記第1機能層側から順に、粘着層と、基材層と、第2機能層とを有する表示装置用部材であって、上記ガラス基材の厚みが100μm以下であり、上記樹脂層および上記第1機能層の合計厚みの平均値が10μm以上60μm以下であり、上記樹脂層および上記第1機能層の合計厚みの最大値が60μm以下である。
図8は、本実施態様における表示装置用部材の一例を示す概略断面図である。図8に示すように、表示装置用部材1は、ガラス基材2と、樹脂層3と、第1機能層31と、機能フィルム32とをこの順に有しており、機能フィルム32は、第1機能層31側から順に、粘着層33と、基材層34と、第2機能層35とを有する。ガラス基材2は所定の厚みを有する。また、樹脂層3および第1機能層31の合計厚みの平均値が所定の範囲内であり、樹脂層3および第1機能層31の合計厚みの最大値T2maxが所定の値以下である。
ここで、ガラス基材2の一方の面に樹脂層3および第1機能層31を塗布法で形成する場合、表面張力によって、樹脂層3および第1機能層31の端部の厚みが厚くなり、樹脂層3および第1機能層31の端部に盛り上がり部11が生じる傾向がある。図8に示す例においては、このような樹脂層3および第1機能層31の盛り上がり部11の合計厚みの最大値が、樹脂層3および第1機能層31の合計厚みの最大値T2maxとなる。
本実施態様の表示装置用部材は、上記第1実施態様の表示装置用部材と同様の効果を奏することができる。
以下、本実施態様における表示装置用部材の各構成について説明する。
1.樹脂層、第1機能層、機能フィルムおよび第2機能層の厚み
本実施態様において、樹脂層および第1機能層の合計厚みの平均値は、10μm以上、60μm以下であり、好ましくは25μm以上、55μm以下、より好ましくは30μm以上、50μm以下とすることができる。樹脂層および第1機能層の合計厚みの平均値が上記範囲内であることにより、衝撃によるガラス基材の割れを抑制し、耐衝撃性を向上させることができるとともに、表示装置用部材を屈曲させた際に樹脂層や第1機能層にクラック、白化、しわ等が発生するのを抑制し、耐屈曲性を向上させることができる。一方、樹脂層および第1機能層の合計厚みの平均値が小さすぎると、耐衝撃性が低下するおそれがある。また、樹脂層および第1機能層の合計厚みの平均値が大きすぎると、耐屈曲性が低下するおそれがある。
また、本実施態様において、樹脂層および第1機能層の合計厚みの最大値は、上記第1実施態様における樹脂層および機能層の合計厚みの最大値と同様とすることができる。
ここで、上述したように、ガラス基材の一方の面に樹脂層および第1機能層を塗布法で形成する場合、表面張力によって、樹脂層および第1機能層の端部の厚みが厚くなり、例えば図8に示すように、樹脂層3および第1機能層31の端部に盛り上がり部11が生じる傾向がある。この場合、樹脂層および第1機能層の合計厚みの最大値は、樹脂層および第1機能層の盛り上がり部の合計厚みの最大値となる。このような場合において、例えば樹脂層および第1機能層の平面視形状が長方形状または正方形状である場合、樹脂層および第1機能層の4つの辺のうち、少なくとも1つの辺の端部において、樹脂層および第1機能層の合計厚みの最大値が上記範囲を満たしていればよい。
中でも、上記第1実施態様における樹脂層および機能層と同様の理由から、樹脂層および第1機能層の4つの辺のうち、対向する2つの辺の端部において、樹脂層および第1機能層の合計厚みの最大値が上記範囲であることが好ましい。また、樹脂層および第1機能層の平面視形状が長方形状である場合には、樹脂層および第1機能層の4つの辺のうち、対向する2つの長辺の端部において、樹脂層および第1機能層の合計厚みの最大値が上記範囲であることが好ましい。さらに、上述した理由から、樹脂層および第1機能層の4つの辺のうち、表示装置用部材の屈曲方向に対して略平行な2つの辺の端部において、樹脂層および第1機能層の合計厚みの最大値が上記範囲であることが好ましい。
特に、樹脂層および第1機能層の4つの辺の端部のすべてにおいて、樹脂層および第1機能層の合計厚みの最大値が上記範囲であることが好ましい。これにより、耐屈曲性をより向上させることができる。
樹脂層および第1機能層の合計厚みの最大値を所定の範囲になるように制御する方法としては、例えば、樹脂層および第1機能層にレベリング剤を含有させる方法、ガラス基材の一方の面に樹脂層および第1機能層を形成して積層体を得た後、積層体を切断する方法、ガラス基材の一方の面に樹脂層および第1機能層を転写する方法等が挙げられる。
また、本実施態様において、樹脂層および第1機能層の合計厚みの平均値に対する、樹脂層および第1機能層の合計厚みの最大値の比率は、上記第1実施態様における、樹脂層および機能層の合計厚みの平均値に対する、樹脂層および機能層の合計厚みの最大値の比率と同様とすることができる。
ここで、樹脂層および第1機能層の合計厚みは、顕微鏡断面観察により測定することができる。顕微鏡断面観察では、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、または走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて、表示装置用部材の厚み方向の断面を観察し、得られた画像から、樹脂層および第1機能層の合計厚みを求めることができる。
なお、樹脂層および第1機能層の合計厚みの平均値は、例えば図8に示すように、樹脂層3および第1機能層31が盛り上がり部11を有する場合には、盛り上がり部以外の領域における任意の10箇所の合計厚みの算術平均値とする。一方、樹脂層および第1機能層が盛り上がり部を有さない場合には、樹脂層および第1機能層の合計厚みの平均値は、任意の10箇所の合計厚みの算術平均値とすることができる。
また、樹脂層および第1機能層の合計厚みの最大値は、例えば図8に示すように、樹脂層3および第1機能層31が盛り上がり部11を有する場合には、樹脂層および第1機能層の盛り上がり部の合計厚みの最大値とする。一方、樹脂層および第1機能層が盛り上がり部を有さない場合には、樹脂層および第1機能層の合計厚みの最大値は、任意の10箇所の合計厚みのうちの最大値とすることができる。
また、本実施態様において、第1機能層の平均厚みは、上記第1実施態様における機能層の平均厚みと同様とすることができる。
また、樹脂層および第1機能層の合計厚みの平均値に対する、第1機能層の平均厚みの比率は、上記第1実施態様における、樹脂層および機能層の合計厚みの平均値に対する、機能層の平均厚みの比率と同様とすることができる。
ここで、第1機能層の厚みの測定方法は、上記の樹脂層および第1機能層の合計厚みの測定方法と同様とすることができる。
なお、第1機能層の平均厚みは、例えば図8に示すように、第1機能層31が盛り上がり部11を有する場合には、盛り上がり部以外の領域における任意の10箇所の厚みの算術平均値とする。一方、第1機能層が盛り上がり部を有さない場合には、第1機能層の平均厚みは、任意の10箇所の厚みの算術平均値とすることができる。
また、樹脂層の平均厚みは、上記の樹脂層および第1機能層の合計厚みの平均値、ならびに上記の第1機能層の平均厚みを満たすことができれば特に限定されるものではなく、上記第1実施態様における樹脂層の平均厚みと同様とすることができる。
ここで、樹脂層の厚みの測定方法は、上記の樹脂層および第1機能層の合計厚みの測定方法と同様とすることができる。
なお、樹脂層の平均厚みは、例えば図8に示すように、樹脂層3が盛り上がり部11を有する場合には、盛り上がり部以外の領域における任意の10箇所の厚みの算術平均値とする。一方、樹脂層が盛り上がり部を有さない場合には、樹脂層の平均厚みは、任意の10箇所の厚みの算術平均値とすることができる。
また、本実施態様においては、樹脂層および第1機能層は、端部に盛り上がり部を有し、盛り上がり部の断面形状を三角形に近似した場合であって、上記三角形の高さを、樹脂層および第1機能層の合計厚みの最大値と樹脂層および第1機能層の合計厚みの平均値との差とし、上記三角形の底辺の長さを、樹脂層および第1機能層の端から樹脂層および第1機能層の盛り上がり部の合計厚みが樹脂層および第1機能層の合計厚みの平均値になる位置までの距離とした場合に、上記三角形の面積が、例えば、0.08mm以下であることが好ましく、0.07mm以下であることがより好ましく、0.06mm以下であることがさらに好ましい。なお、上記三角形の面積が上記範囲であることが好ましい理由については、上記第1実施態様における樹脂層および機能層の盛り上がり部の断面形状を三角形に近似する場合と同様である。
なお、樹脂層および第1機能層の盛り上がり部の断面形状を三角形に近似する場合の説明については、上記第1実施態様における樹脂層および機能層の盛り上がり部の断面形状を三角形に近似する場合の説明と同様とすることができる。
また、本実施態様において、第2機能層の平均厚みは、例えば、5μm以上、15μm未満であることが好ましく、7μm以上、13μm以下であることがより好ましい。なお、第2機能層の平均厚みが上記範囲であることが好ましい理由については、第1機能層の平均厚みが所定の範囲であることが好ましい理由と同様である。
ここで、第2機能層の厚みの測定方法は、上記の樹脂層および第1機能層の合計厚みの測定方法と同様とすることができる。また、第2機能層の平均厚みは、任意の10箇所の厚みの算術平均値とすることができる。
また、本実施態様において、機能フィルムの平均厚みは、例えば、20μm以上、150μm以下であることが好ましく、35μm以上、135μm以下であることがより好ましく、50μm以上、120μm以下であることがさらに好ましい。機能フィルムの平均厚みが大きすぎると、耐屈曲性が低下するおそれがある。また、機能フィルムの平均厚み小さすぎると、相対的に第2機能層の厚みが薄くなり、第2機能層の特性が低下するおそれがある。例えば、第2機能層がハードコート層である場合には、第2機能層の厚みが薄すぎると、十分な耐擦傷性が得られないおそれがある。
ここで、機能フィルムの厚みの測定方法は、上記の樹脂層および第1機能層の合計厚みの測定方法と同様とすることができる。また、機能フィルムの平均厚みは、任意の10箇所の厚みの算術平均値とすることができる。
2.樹脂層
本実施態様における樹脂層については、上記第1実施態様における樹脂層と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
3.第1機能層
本実施態様における第1機能層については、上記第1実施態様における機能層と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
4.機能フィルム
本実施態様における機能フィルムは、上記第1機能層側から順に、粘着層と、基材層と、第2機能層とを有する。
(1)第2機能層
本実施態様における第2機能層は、基材層の粘着層とは反対の面側に配置される層である。第2機能層としては、例えばハードコート層が挙げられる。
なお、ハードコート層については、上記第1実施態様における機能層を構成するハードコート層と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
ハードコート層の特性について、鉛筆硬度の測定は、機能フィルム単体に対して行い、機能フィルムのハードコート層側の表面に対して鉛筆硬度の測定を行う。
(2)基材層
本実施態様における基材層は、上記第2機能層を支持する層である。
基材層は、透明性を有する。具体的には、基材層の全光線透過率は、85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
ここで、基材層の全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠して測定することができ、例えば村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM150により測定することができる。なお、他の層の全光線透過率の測定方法についても同様とすることができる。
基材層としては、例えば樹脂基材を用いることができ、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アラミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等の樹脂基材が挙げられる。
基材層の厚みは、例えば、20μm以上、120μm以下とすることがきる。基材層の厚みが厚すぎると、耐屈曲性が損なわれるおそれがある。一方、基材層の厚みが薄すぎると、取り扱いが困難になる場合がある。
(3)粘着層
本実施態様における粘着層は、機能フィルムを上記第1機能層に貼合するための層である。
粘着層は、透明性を有する。具体的には、粘着層の全光線透過率は、85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
粘着層に用いられる粘着剤としては、例えば、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)等の粘着剤や、感光性粘着剤を挙げることができる。
粘着層の厚みは、例えば、1μm以上100μm以下であることが好ましい。粘着層の厚みが厚すぎると、耐屈曲性が損なわれるおそれがある。一方、粘着層の厚みが薄すぎると、接着性が担保できず剥がれてしまうおそれがある。
5.ガラス基材
本実施態様におけるガラス基材については、上記第1実施態様におけるガラス基材と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
6.その他の構成
本実施態様における表示装置用部材は、上記の各層の他に、必要に応じて他の層を有していてもよい。他の層としては、例えば、プライマー層等が挙げられる。
本実施態様における表示装置用部材は、例えば図9に示すように、ガラス基材2と樹脂層3との間にプライマー層5を有していてもよい。プライマー層により、ガラス基材と樹脂層との密着性を向上させることができる。
なお、プライマー層については、上記第1実施態様におけるプライマー層と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
7.表示装置用部材
本実施態様における表示装置用部材の特性および用途については、上記第1実施態様における表示装置用部材の特性および用途と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
III.第3実施態様
本開示の表示装置用部材の第3実施態様は、ガラス基材と、樹脂層と、機能フィルムとをこの順に有し、上記機能フィルムは、上記樹脂層側から順に、粘着層と、基材層と、機能層とをこの順に有する表示装置用部材であって、上記ガラス基材の厚みが100μm以下であり、上記樹脂層の平均厚みが10μm以上60μm以下であり、上記樹脂層の最大厚みが60μm以下である、表示装置用部材を提供する。
図10は、本実施態様における表示装置用部材の一例を示す概略断面図である。図10に示すように、表示装置用部材1は、ガラス基材2と、樹脂層3と、機能フィルム32とをこの順に有しており、機能フィルム32は、樹脂層3側から順に、粘着層33と、基材層34と、機能層36とを有する。ガラス基材2は所定の厚みを有する。また、樹脂層3の平均厚みが所定の範囲内であり、樹脂層3の最大厚みT3maxが所定の値以下である。
ここで、ガラス基材2の一方の面に樹脂層3を塗布法で形成する場合、表面張力によって、樹脂層3の端部の厚みが厚くなり、樹脂層3の端部に盛り上がり部11が生じる傾向がある。図10に示す例においては、このような樹脂層3の盛り上がり部11の最大厚みが、樹脂層3の最大厚みT3maxとなる。
本実施態様の表示装置用部材は、上記第1実施態様の表示装置用部材と同様の効果を奏することができる。
以下、本実施態様における表示装置用部材の各構成について説明する。
1.樹脂層、機能フィルムおよび機能層の厚み
本実施態様において、樹脂層の平均厚みは、10μm以上、60μm以下であり、好ましくは25μm以上、55μm以下、より好ましくは30μm以上、50μm以下とすることができる。樹脂層の平均厚みが上記範囲内であることにより、衝撃によるガラス基材の割れを抑制し、耐衝撃性を向上させることができるとともに、表示装置用部材を屈曲させた際に樹脂層にクラック、白化、しわ等が発生するのを抑制し、耐屈曲性を向上させることができる。一方、樹脂層の平均厚みが小さすぎると、耐衝撃性が低下するおそれがある。また、樹脂層の平均厚みが大きすぎると、耐屈曲性が低下するおそれがある。
また、本実施態様において、樹脂層の最大厚みは、60μm以下であり、好ましくは55μm以下とすることができる。樹脂層の最大厚みが上記範囲であることにより、表示装置用部材を屈曲させた際に樹脂層にクラック、白化、しわ等が発生するのを抑制し、耐屈曲性を向上させることができる。一方、樹脂層の最大厚みが大きすぎると、耐屈曲性が低下するおそれがある。
ここで、上述したように、ガラス基材の一方の面に樹脂層を塗布法で形成する場合、表面張力によって、樹脂層の端部の厚みが厚くなり、例えば図10に示すように、樹脂層3の端部に盛り上がり部11が生じる傾向がある。この場合、樹脂層の最大厚みは、樹脂層の盛り上がり部の最大厚みとなる。このような場合において、例えば樹脂層の平面視形状が長方形状または正方形状である場合、樹脂層の4つの辺のうち、少なくとも1つの辺の端部において、樹脂層の最大厚みが上記範囲を満たしていればよい。
中でも、上記第1実施態様における樹脂層および機能層と同様の理由から、樹脂層の4つの辺のうち、対向する2つの辺の端部において、樹脂層の最大厚みが上記範囲であることが好ましい。また、樹脂層の平面視形状が長方形状である場合には、樹脂層の4つの辺のうち、対向する2つの長辺の端部において、樹脂層の最大厚みが上記範囲であることが好ましい。さらに、上述した理由から、樹脂層の4つの辺のうち、表示装置用部材の屈曲方向に対して略平行な2つの辺の端部において、樹脂層の最大厚みが上記範囲であることが好ましい。
特に、樹脂層の4つの辺の端部のすべてにおいて、樹脂層の最大厚みが上記範囲であることが好ましい。これにより、耐屈曲性をより向上させることができる。
樹脂層の最大厚みを所定の範囲になるように制御する方法としては、例えば、樹脂層にレベリング剤を含有させる方法、ガラス基材の一方の面に樹脂層を形成して積層体を得た後、積層体を切断する方法、ガラス基材の一方の面に樹脂層を転写する方法等が挙げられる。
また、本実施態様において、樹脂層の平均厚みに対する、樹脂層の最大厚みの比率が、例えば、130%以下であることが好ましく、125%以下であることがより好ましい。上記の比率が上記範囲であることにより、表示装置用部材を屈曲させた際に樹脂層にクラック、白化、しわ等が発生するのを抑制し、耐屈曲性を向上させることができる。一方、上記の比率が大きすぎると、耐屈曲性が低下するおそれがある。
ここで、樹脂層の厚みは、顕微鏡断面観察により測定することができる。顕微鏡断面観察では、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、または走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて、表示装置用部材の厚み方向の断面を観察し、得られた画像から、樹脂層の厚みを求めることができる。
なお、樹脂層の平均厚みは、例えば図10に示すように、樹脂層3が盛り上がり部11を有する場合には、盛り上がり部以外の領域における任意の10箇所の合計厚みの算術平均値とする。一方、樹脂層が盛り上がり部を有さない場合には、樹脂層の平均厚みは、任意の10箇所の厚みの算術平均値とすることができる。
また、樹脂層の最大厚みは、例えば図10に示すように、樹脂層3が盛り上がり部11を有する場合には、樹脂層の盛り上がり部の最大厚みとする。一方、樹脂層が盛り上がり部を有さない場合には、樹脂層の最大厚みは、任意の10箇所の厚みのうちの最大値とすることができる。
また、本実施態様においては、樹脂層は、端部に盛り上がり部を有し、盛り上がり部の断面形状を三角形に近似した場合であって、上記三角形の高さを、樹脂層の最大厚みと樹脂層の平均厚みとの差とし、上記三角形の底辺の長さを、樹脂層の端から樹脂層の盛り上がり部の厚みが樹脂層の平均厚みになる位置までの距離とした場合に、上記三角形の面積が、例えば、0.08mm以下であることが好ましく、0.07mm以下であることがより好ましく、0.06mm以下であることがさらに好ましい。上記三角形の面積が上記範囲であることにより、表示装置用部材を屈曲させた際に樹脂層にクラック、白化、しわ等が発生するのを抑制し、耐屈曲性を向上させることができる。一方、上記三角形の面積が大きすぎると、耐屈曲性が低下するおそれがある。
ここで、樹脂層の盛り上がり部の断面形状を三角形に近似する場合について、図11を例示して説明する。図11に示すように、樹脂層3の盛り上がり部11の断面形状は、一点鎖線で示される三角形15に近似される。三角形15の高さH3は、樹脂層3の最大厚みT3maxと、樹脂層3の平均厚みT3aveとの差とする。また、三角形15の底辺の長さD3は、樹脂層3の端から、樹脂層3の盛り上がり部11の厚みが樹脂層3の平均厚みT3aveになる位置P3までの距離とする。
なお、樹脂層3の盛り上がり部11の厚みが樹脂層3の平均厚みT3aveになる位置P3は、盛り上がり部11において、樹脂層3の盛り上がり部11の厚みが、樹脂層3の最大厚みT3maxから、樹脂層3の端から遠くなるにつれて変化し、樹脂層3の平均厚みT3aveになる位置とする。
また、樹脂層の端から樹脂層の盛り上がり部の厚みが樹脂層の平均厚みになる位置について、図11に示すように、樹脂層3の盛り上がり部11において、樹脂層3の厚みのピークが複数ある場合であって、樹脂層3の盛り上がり部11の厚みが、樹脂層3の最大厚みT3maxから、樹脂層3の端から遠くなるにつれて変化し、樹脂層3の平均厚みT3aveになる位置P3、P4が複数存在する場合には、これらの位置P3、4のうち、樹脂層3の端から遠い位置P3を採用する。
また、本実施態様において、機能層の平均厚みは、上記第2実施態様における第2機能層の平均厚みと同様とすることができる。
また、本実施態様において、機能フィルムの平均厚みは、上記第2実施態様における機能フィルムの平均厚みと同様とすることができる。
2.樹脂層
本実施態様における樹脂層については、上記第1実施態様における樹脂層と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
3.機能フィルム
本実施態様における機能フィルムは、上記樹脂層側から順に、粘着層と、基材層と、機能層とを有する。
なお、機能層、基材層および粘着層については、上記第2実施態様における機能フィルムを構成する第2機能層、基材層および粘着層とそれぞれ同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
4.ガラス基材
本実施態様におけるガラス基材については、上記第1実施態様におけるガラス基材と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
5.その他の構成
本実施態様における表示装置用部材は、上記の各層の他に、必要に応じて他の層を有していてもよい。他の層としては、例えば、プライマー層等が挙げられる。
本実施態様における表示装置用部材は、例えば図13に示すように、ガラス基材2と樹脂層3との間にプライマー層5を有していてもよい。プライマー層により、ガラス基材と樹脂層との密着性を向上させることができる。
なお、プライマー層については、上記第1実施態様におけるプライマー層と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
6.表示装置用部材
本実施態様における表示装置用部材の特性および用途については、上記第1実施態様における表示装置用部材の特性および用途と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
B.表示装置
本開示における表示装置は、表示パネルと、上記表示パネルの観察者側に配置された、上述の表示装置用部材と、を備える。
図14は、本開示における表示装置の一例を示す概略断面図である。図14に示すように、表示装置40は、表示パネル41と、表示パネル41の観察者側に配置された表示装置用部材1と、を備える。表示装置40において、表示装置用部材1は表示装置40の表面に配置される部材として用いられており、表示装置用部材1と表示パネル41との間には接着層42が配置されている。
本開示における表示装置用部材については、上述の表示装置用部材と同様とすることができる。
本開示における表示パネルとしては、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置、LED表示装置等の表示装置に用いられる表示パネルを挙げることができる。
本開示における表示装置は、表示パネルと表示装置用部材との間にタッチパネル部材を有することができる。
本開示における表示装置は、フレキシブルディスプレイであることが好ましい。中でも、本開示における表示装置は、折りたたみ可能であることが好ましい。すなわち、本開示における表示装置は、フォルダブルディスプレイであることがより好ましい。本開示における表示装置は、上述の表示装置用部材を有することから、耐衝撃性および耐屈曲性に優れており、フレキシブルディスプレイ、さらにはフォルダブルディスプレイとして好適である。
C.電子機器
本開示における電子機器は、上述の表示装置を備える。
本開示における電子機器としては、上述の表示装置を備えるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ、テレビジョン、デジタルサイネージ、パブリックインフォメーションディスプレイ(PID)、車載ディスプレイ等を挙げることができる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を示し、本開示をさらに説明する。なお、以下、樹脂層上に形成されるハードコート層を第1のハードコート層と称し、機能フィルムを構成するハードコート層を第2のハードコート層と称する。
[比較例1]
(1)プライマー層の形成
下記に示す組成となるように各成分を配合して、プライマー層用組成物を調製した。
<プライマー層用組成物>
・ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(jER1256B40 三菱ケミカル製) 28質量部
・ビスフェノールAノボラック型固形エポキシ樹脂(jER157S65B80 三菱ケミカル製) 5質量部
・2-エチル-4-メチルイミダゾール(東京化成工業製) 1質量部
・溶剤(MEK) 11質量部
厚み70μmの化学強化されたガラス基材を準備し、ガラス基材上に上記プライマー層用組成物を所定の厚みとなるように塗布し、80℃で3分間および150℃で60分間乾燥させ、厚み0.3μmのプライマー層を形成した。
(2)樹脂層の形成
国際公開2014/046180号公報の合成例1を参照して、下記化学式で表されるテトラカルボン酸二無水物を合成した。
Figure 2022051295000007
5Lのセパラブルフラスコに、脱水されたN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)(1833.2g)、及び、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)(138.48g)を溶解させた溶液を入れ、液温30℃に制御されたところへ、上記化学式で表されるテトラカルボン酸二無水物(TMPBPTME)(176.70g)を、温度上昇が2℃以下になるように徐々に投入し、メカニカルスターラーで30分撹拌した。そこへ、ピロメリット酸二無水物(PMDA)(64.20g)を温度上昇が2℃以下になるように数回に分けて徐々に投入し、ポリイミド前駆体が溶解したポリイミド前駆体溶液(固形分18質量%)を合成した。ポリイミド前駆体に用いられたテトラカルボン酸二無水物のTMPBPTMEとPMDAとのモル比(TMPBPTME:PMDA)は90:10であった。ポリイミド前駆体の重量平均分子量は、75,000であった。
窒素雰囲気下で、5Lのセパラブルフラスコに、室温に下げた上記ポリイミド前駆体溶液(2162g)を加えた。そこへ、脱水されたN,N-ジメチルアセトアミド(432g)を加え均一になるまで撹拌した。次に触媒であるピリジン(6.622g)と無水酢酸(213.67g)を加え24時間室温で撹拌し、ポリイミド溶液を合成した。
得られたポリイミド溶液にN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)(2000g)を加え均一になるまで撹拌した。次に、ポリイミド溶液を5Lビーカーに3等分して移し、各ビーカーにイソプロピルアルコール(3500g)を徐々に加え白色スラリーを得た。上記スラリーをブフナー漏斗上に移してろ過し、続いてイソプロピルアルコール(合計9000g)でかけ流して洗浄し、その後ろ過するという工程を3回繰り返し、真空乾燥機を用いて110℃で乾燥し、ポリイミド(ポリイミド粉体)を得た。GPCによって測定したポリイミドの重量平均分子量は100000であった。
ポリイミドの固形分濃度が12質量%となるように、ポリイミドにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)を添加して、ポリイミドがワニス中に12質量%のポリイミドワニス(樹脂組成物)を調製した。ポリイミドワニス(樹脂組成物)(固形分濃度12質量%)の25℃における粘度は15000cpsであった。
上記プライマー層上に上記ポリイミドワニス(樹脂組成物)を所定の厚みとなるように塗布し、100℃で10分間、150℃で10分間、および230℃で30分間乾燥させ、厚み10μmの樹脂層を形成した。
(3)第1のハードコート層の形成
下記に示す組成となるように各成分を配合して、ハードコート層用硬化性樹脂組成物を調製した。
<ハードコート層用硬化性樹脂組成物>
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(M403、東亜合成社製) 25質量部
・ジペンタエリスリトールEO変性ヘキサアクリレート(A-DPH-6E、新中村化学社製) 25質量部
・異型シリカ微粒子(平均粒径25nm、日揮触媒化成社製) 50質量部(固形換算)
・光重合開始剤(Irg184) 4質量部
・フッ素系レベリング剤(F568、DIC社製) 0.2質量部(固形換算)
・紫外線吸収剤1(DAINSORB P6、大和化成製) 3質量部
・溶剤(MIBK) 150質量部
上記樹脂層上に、上記ハードコート層用硬化性樹脂組成物を所定の厚みとなるように塗布し、80℃で3分間乾燥後、紫外線照射にて硬化させ、厚み5μmのハードコート層を形成した。これにより、表示装置用部材を得た。
[実施例1~8および比較例2~5]
比較例1において、樹脂層の厚みおよび第1のハードコート層の厚みを下記表1に示す厚みとしたこと以外は、比較例1と同様にして、表示装置用部材を作製した。
[評価1]
(1)耐スチールウール性(耐擦傷性)
表示装置用部材の第1のハードコート層側の表面に対して、スチールウール試験を行い、耐擦傷性を評価した。具体的には、10cm×5cmの大きさに切り出した表示装置用部材をガラス板上に折れやシワがないようニチバン社製のセロハンテープで固定した状態で、#0000番のスチールウール(日本スチールウール社製 ボンスター#0000)を用いて、9.8Nの荷重をかけながら、速度50mm/秒で2500往復擦った。その後、表示装置用部材の表面の傷の有無を目視により確認した。評価基準は、以下の通りとした。
A:傷が確認されなかった。
F:傷が確認された。
(2)動的屈曲試験
表示装置用部材に対して動的屈曲試験を行い、耐屈曲性を評価した。具体的には、まず、20mm×100mmの大きさの表示装置用部材を、耐久試験機(製品名「DLDMLH-FS」、ユアサシステム機器株式会社製)に、表示装置用部材の短辺(20mm)側を固定部でそれぞれ固定し、図6(c)に示したように対向する2つの短辺部の最小の間隔dが10mmとなるようにして調整し、表示装置用部材の表面を180°折りたたむ動的屈曲試験を10万回行った。この際、表示装置用部材の第1のハードコート層側の面が外側となり、表示装置用部材のガラス基材側の面が内側となるように折りたたんだ。評価基準は、以下の通りとした。
A:樹脂層またはハードコート層にクラックまたは白化が生じなかった。
F:樹脂層またはハードコート層にクラックまたは白化が生じた。
(3)ペンドロップ試験(衝撃試験)
表示装置用部材に対して衝撃試験を行った。具体的には、まず、表示装置用部材のガラス基材の面に、厚み50μmの光学粘着フィルム(OCA)と、厚み100μmのPETフィルムとをこの順に貼り合わせて、試験用積層体を作製した。この試験用積層体のPETフィルム側が厚み30mmの金属プレートに接するように、金属プレート上に試験用積層体を置いた。次に、試験用積層体に対して、試験高さより、ペンをその先端を下にして試験用積層体上に落下させた。ペンには、ゼブラ社製のブレン0.5BAS88-BK(重量12g、ペン先0.5mmφ)を用いた。評価基準は、以下の通りとした。
A:ガラス基材に割れが生じた最小の試験高さが、30cm以上である。
B:ガラス基材に割れが生じた最小の試験高さが、20cm以上30cm未満である。
C:ガラス基材に割れが生じた最小の試験高さが、20cm未満である。
Figure 2022051295000008
[実施例9~12および比較例6~7]
比較例1において、樹脂層の厚みおよび第1のハードコート層の厚みを下記表2に示す厚みとしたこと以外は、比較例1と同様にして、表示装置用部材を作製した。
[評価2]
(1)樹脂層および第1のハードコート層の合計厚み
触針式膜厚測定器(ミツトヨ社製 LGK-0110-542-158)を用いて、針で表示装置用部材の表面を1mm間隔で等ピッチで測定し、得られた膜厚のプロファイルデータから、樹脂層および第1のハードコート層の合計厚みの平均値および最大値を求め、さらに樹脂層および第1のハードコート層の端部の盛り上がり部の断面形状を三角形に近似し、三角形の面積を求めた。図15(a)、(b)に樹脂層および第1のハードコート層の合計厚みの分布を示す。
(2)動的屈曲試験
上記の評価1と同様に、動的屈曲試験を行い、耐屈曲性を評価した。
(3)ペンドロップ試験(衝撃試験)
上記の評価1と同様に、衝撃試験を行った
Figure 2022051295000009
表1および表2から、表示装置用部材がガラス基材と樹脂層と機能層とをこの順に有する場合、樹脂層および機能層の合計厚みの平均値ならびに樹脂層および機能層の合計厚みの最大値を所定の範囲とすることにより、良好な耐屈曲性および耐衝撃性を両立することができることが確認された。
[比較例8]
(1)ハードコートフィルムの作製
下記に示す組成となるように各成分を配合して、ハードコート層用硬化性樹脂組成物を調製した。
<ハードコート層用硬化性樹脂組成物>
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(M403、東亜合成社製) 25質量部
・ジペンタエリスリトールEO変性ヘキサアクリレート(A-DPH-6E、新中村化学社製) 25質量部
・異型シリカ微粒子(平均粒径25nm、日揮触媒化成社製) 50質量部(固形換算)
・光重合開始剤(Irg184) 4質量部
・フッ素系レベリング剤(F568、DIC社製) 0.2質量部(固形換算)
・紫外線吸収剤1(DAINSORB P6、大和化成製) 3質量部
・溶剤(MIBK) 150質量部
厚み50μmのPETフィルム(東洋紡社製、製品名A4100)を準備し、PETフィルム上に、バーコーターで上記ハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布した。その後、塗膜を100℃で3分間乾燥させた後、200mJの紫外線照射にて硬化させ、厚み10μmの第2のハードコート層を形成した。これにより、ハードコートフィルムを得た。
(2)プライマー層、樹脂層および第1のハードコート層の形成
比較例1において、樹脂層の厚みおよび第1のハードコート層の厚みを下記表2に示す厚みとしたこと以外は、比較例1と同様にして、ガラス基材上にプライマー層、樹脂層および第1のハードコート層を形成し、積層体を得た。
(3)表示装置用部材の作製
厚み50μmのアクリル系粘着剤フィルム(3M社製、製品名8146-2)を用いて、上記積層体の第1のハードコート層側の面と上記ハードコートフィルムのPETフィルム側の面とを接着させた。これにより、表示装置用部材を得た。
[実施例13~14および比較例9]
比較例8において、樹脂層の厚みおよび第1のハードコート層の厚みを下記表3に示す厚みとしたこと以外は、比較例8と同様にして、表示装置用部材を作製した。
[比較例10]
比較例8と同様にして、ハードコートフィルムを作製した。また、比較例1で用いたガラス基材を準備した。次に、厚み50μmのアクリル系粘着剤フィルム(3M社製、製品名8146-2)を用いて、上記ガラス基材と上記ハードコートフィルムのPETフィルム側の面とを接着させた。これにより、表示装置用部材を得た。
[評価3]
(1)樹脂層および第1のハードコート層の合計厚み
上記の評価2と同様に、樹脂層および第1のハードコート層の合計厚みの平均値および最大値を求め、さらに樹脂層および第1のハードコート層の端部の盛り上がり部の断面形状を三角形に近似し、三角形の面積を求めた。
(2)動的屈曲試験
上記の評価1と同様に、動的屈曲試験を行い、耐屈曲性を評価した。
(3)ペンドロップ試験(衝撃試験)
上記の評価1と同様に、衝撃試験を行った。なお、評価基準は、以下の通りとした。
AA:ガラス基材に割れが生じた最小の試験高さが、40cm以上である。
A:ガラス基材に割れが生じた最小の試験高さが、30cm以上40cm未満である。
B:ガラス基材に割れが生じた最小の試験高さが、20cm以上30cm未満である。
C:ガラス基材に割れが生じた最小の試験高さが、20cm未満である。
Figure 2022051295000010
表3から、表示装置用部材がガラス基材と樹脂層と第1機能層と機能フィルムとをこの順に有し、機能フィルムが第1機能層側から順に粘着層と基材層と第2機能層とを有する場合、樹脂層および第1機能層の合計厚みの平均値ならびに樹脂層および第1機能層の合計厚みの最大値を所定の範囲とすることにより、良好な耐屈曲性および耐衝撃性を両立することができることが確認された。なお、比較例8は、比較例10とペンドロップ試験の評価が同等であることから、樹脂層および第1機能層の合計厚みの分布を制御することによる耐屈曲性および耐衝撃性の両立の効果が得られたのではないと考えられる。
[比較例12]
(1)ハードコートフィルムの作製
比較例8と同様にして、ハードコートフィルムを作製した。
(2)樹脂層の形成
比較例1において、第1のハードコート層を形成しなかったこと、および樹脂層の厚みを下記表3に示す厚みとしたこと以外は、比較例1と同様にして、ガラス基材上にプライマー層および樹脂層を形成し、積層体を得た。
(3)表示装置用部材の作製
厚み50μmのアクリル系粘着剤フィルム(3M社製、製品名8146-2)を用いて、上記積層体の樹脂層側の面と上記ハードコートフィルムのPETフィルム側の面とを接着させた。これにより、表示装置用部材を得た。
[評価4]
(1)樹脂層および第1のハードコート層の合計厚み
上記の評価2と同様に、樹脂層の平均厚みおよび最大厚みを求め、さらに樹脂層の端部の盛り上がり部の断面形状を三角形に近似し、三角形の面積を求めた。
(2)動的屈曲試験
上記の評価1と同様に、動的屈曲試験を行い、耐屈曲性を評価した。
(3)ペンドロップ試験(衝撃試験)
上記の評価1と同様に、衝撃試験を行った。なお、評価基準は、上記の評価3と同様とした。
Figure 2022051295000011
表4から、表示装置用部材がガラス基材と樹脂層と機能フィルムとをこの順に有し、機能フィルムが樹脂層側から順に粘着層と基材層と第2機能層とを有する場合、樹脂層の平均厚みおよび最大厚みを所定の範囲とすることにより、良好な耐屈曲性および耐衝撃性を両立することができることが確認された。なお、比較例11は、上記の比較例10とペンドロップ試験の評価が同等であることから、樹脂層の厚みの分布を制御することによる耐屈曲性および耐衝撃性の両立の効果が得られたのではないと考えられる。
1 … 表示装置用部材
2 … ガラス基材
3 … 樹脂層
4 … 機能層
5 … プライマー層
6 … 指紋付着防止層
11 … 盛り上がり部
31 … 第1機能層
32 … 機能フィルム
33 … 粘着層
34 … 基材層
35 … 第2機能層
36 … 機能層
40 … 表示装置
41 … 表示パネル

Claims (21)

  1. ガラス基材と、樹脂層と、機能層とをこの順に有する表示装置用部材であって、
    前記ガラス基材の厚みが100μm以下であり、
    前記樹脂層および前記機能層の合計厚みの平均値が19μm以上60μm以下であり、前記樹脂層および前記機能層の合計厚みの最大値が60μm以下である、表示装置用部材。
  2. 前記機能層がハードコート層である、請求項1に記載の表示装置用部材。
  3. 前記機能層の平均厚みが5μm以上15μm未満である、請求項1または請求項2に記載の表示装置用部材。
  4. 前記樹脂層および前記機能層の合計厚みの平均値に対する、前記樹脂層および前記機能層の合計厚みの最大値の比率が、132%以下である、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の表示装置用部材。
  5. 前記樹脂層および前記機能層は、端部に盛り上がり部を有し、
    前記盛り上がり部の断面形状を三角形に近似した場合であって、前記三角形の高さを、前記樹脂層および前記機能層の合計厚みの最大値と前記樹脂層および前記機能層の合計厚みの平均値との差とし、前記三角形の底辺の長さを、前記樹脂層および前記機能層の端から前記樹脂層および前記機能層の前記盛り上がり部の合計厚みが前記樹脂層および前記機能層の合計厚みの平均値になる位置までの距離とした場合に、前記三角形の面積が、0.08mm以下である、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の表示装置用部材。
  6. 前記樹脂層および前記機能層の合計厚みの平均値に対する、前記機能層の平均厚みの比率が、10%以上65%以下である、請求項4または請求項5に記載の表示装置用部材。
  7. ガラス基材と、樹脂層と、第1機能層と、機能フィルムとをこの順に有し、前記機能フィルムは、前記第1機能層側から順に、粘着層と、基材層と、第2機能層とを有する表示装置用部材であって、
    前記ガラス基材の厚みが100μm以下であり、
    前記樹脂層および前記第1機能層の合計厚みの平均値が10μm以上60μm以下であり、前記樹脂層および前記第1機能層の合計厚みの最大値が60μm以下である、表示装置用部材。
  8. 前記第1機能層および前記第2機能層がハードコート層である、請求項7に記載の表示装置用部材。
  9. 前記機能フィルムの平均厚みが20μm以上150μm以下である、請求項7または請求項8に記載の表示装置用部材。
  10. 前記第1機能層の平均厚みが5μm以上15μm未満であり、前記第2機能層の平均厚みが5μm以上15μm未満である、請求項7から請求項9までのいずれかの請求項に記載の表示装置用部材。
  11. 前記樹脂層および前記第1機能層の合計厚みの平均値に対する、前記樹脂層および前記第1機能層の合計厚みの最大値の比率が、132%以下である、請求項7から請求項10までのいずれかの請求項に記載の表示装置用部材。
  12. 前記樹脂層および前記第1機能層は、端部に盛り上がり部を有し、
    前記盛り上がり部の断面形状を三角形に近似した場合であって、前記三角形の高さを、前記樹脂層および前記第1機能層の合計厚みの最大値と前記樹脂層および前記第1機能層の合計厚みの平均値との差とし、前記三角形の底辺の長さを、前記樹脂層および前記第1機能層の端から前記樹脂層および前記第1機能層の前記盛り上がり部の合計厚みが前記樹脂層および前記第1機能層の合計厚みの平均値になる位置までの距離とした場合に、前記三角形の面積が、0.08mm以下である、請求項7から請求項11までのいずれかの請求項に記載の表示装置用部材。
  13. 前記樹脂層および前記第1機能層の合計厚みの平均値に対する、前記第1機能層の平均厚みの比率が、10%以上65%以下である、請求項11または請求項12に記載の表示装置用部材。
  14. ガラス基材と、樹脂層と、機能フィルムとをこの順に有し、前記機能フィルムは、前記樹脂層側から順に、粘着層と、基材層と、機能層とを有する表示装置用部材であって、
    前記ガラス基材の厚みが100μm以下であり、
    前記樹脂層の平均厚みが10μm以上60μm以下であり、前記樹脂層の最大厚みが60μm以下である、表示装置用部材。
  15. 前記機能層がハードコート層である、請求項14に記載の表示装置用部材。
  16. 前記機能フィルムの平均厚みが20μm以上150μm以下である、請求項14または請求項15に記載の表示装置用部材。
  17. 前記機能層の平均厚みが5μm以上15μm未満である、請求項14から請求項16までのいずれかの請求項に記載の表示装置用部材。
  18. 前記樹脂層の平均厚みに対する、前記樹脂層の最大厚みの比率が、130%以下である、請求項14から請求項17までのいずれかの請求項に記載の表示装置用部材。
  19. 前記樹脂層は、端部に盛り上がり部を有し、
    前記盛り上がり部の断面形状を三角形に近似した場合であって、前記三角形の高さを、前記樹脂層の最大厚みと前記樹脂層の平均厚みとの差とし、前記三角形の底辺の長さを、前記樹脂層の端から前記樹脂層の前記盛り上がり部の厚みが前記樹脂層の平均厚みになる位置までの距離とした場合に、前記三角形の面積が、0.08mm以下である、請求項14から請求項18までのいずれかの請求項に記載の表示装置用部材。
  20. 表示パネルと、
    前記表示パネルの観察者側に配置された、請求項1から請求項19までのいずれかの請求項に記載の表示装置用部材と、
    を備える表示装置。
  21. 請求項20に記載の表示装置を備える、電子機器。
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