JP2022049164A - ポリオレフィン微多孔膜 - Google Patents

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Yukiko Miura
薫 野田
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Abstract

【課題】本発明は、微細な凹凸構造を有し比表面積が広く、高い空孔率を有するポリオレフィン微多孔膜を提供すること。【解決手段】以下の通りの構成を有する。(1)前記ポリオレフィン微多孔膜の膜厚が9μm以上、35μm以下である。(2)ポリオレフィン微多孔膜のバブルポイント細孔径が5nm以上80nm以下である。(3)比表面積が200m2/g以上1000m2/g以下である。(4)前記ポリオレフィン微多孔膜の空孔率が50%以上80%以下である。【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリオレフィン微多孔膜に関する。
ポリオレフィン微多孔膜は、電池セパレータ、電解コンデンサー用隔膜、水処理膜、限外濾過膜、精密濾過膜、逆浸透濾過膜、透湿防水衣料などの各種の用途に広く用いられている。これらの中でも、特に、耐溶剤性、耐薬品性等が要求される用途においては、十分な耐性を維持したまま、高精度の分離能を維持できるように、ポリオレフィン微多孔膜の性能をより向上させるべく要請が高まっている。
例えば、高集積度半導体製造プロセス液体用濾過フィルターとしては、配線ピッチが数100nm~10数nmと微細化するに従い、プロセス液体中の微細な異物を捕集するため、より微細な孔径と良好な透過性が要求されている。
特許文献1には高い透水性を得るためにポリオレフィンの溶液に発泡剤を添加し、ポリオレフィン微多孔膜に気泡を有する微多孔が開示されている。
また、特許文献2には超高分子量ポリエチレンを含み、得られたゲルシートを1.01から1.4倍に延伸するポリオレフィン微多孔膜の製造方法が記載されている。
また、特許文献3~5には、揮発性溶剤含んだゲル状成形物から揮発性溶剤を絞り出してから延伸を行い高い透水性能をもつポリオレフィン微多孔膜が開示されている。
いずれの従来技術においも、高い空孔率を達成し、良好な透水性を得られているが、バブルポイント圧が低く細孔径が大きい。より微細な異物を捕集するにはバブルポイント細孔径をより小さくする必要があるが、バブルポイント細孔径を小さくすると圧力損失が高く透水性が悪化する事が分かっている。
特開平4-261441号公報 特開平10-279719号公報 国際公開2014/181760号公報 特開2014-218563号公報 特開2014-217800号公報
しかしながら、鋭意研究を重ねた結果、上記特許文献1~5になどに開示されるような従来のポリオレフィン微多孔膜は比表面積が小さく、深層ろ過機構で捕集するポリオレフィン微多孔膜には比表面積を広くする改善が必要であることを見出した。
本発明は、微細な凹凸構造を有し比表面積が広く、高い空孔率を有するポリオレフィン微多孔膜及び濾過フィルターを提供する事を目的とする。
前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、高度な製膜技術によって、ポリオレフィン微多孔膜のフィブリル構造を制御し本発明に至った。
すなわち、本発明のポリオレフィン微多孔膜は、以下の構成を有する。
(1)前記ポリオレフィン微多孔膜の膜厚が9μm以上、35μm以下である。
(2)ポリオレフィン微多孔膜のバブルポイント細孔径が5nm以上80nm以下である。
(3)比表面積が200m/g以上1000m/g以下である。
(4)前記ポリオレフィン微多孔膜の空孔率が50%以上80%以下である。
発明は、広い比表面積と高空孔率を両立したポリオレフィン微多孔膜及び濾過フィルターを提供する事ができる。
以下、本発明のポリオレフィン微多孔膜について説明する。
(樹脂)
本発明のポリオレフィン微多孔膜を構成する樹脂はポリオレフィン樹脂を主成分とする。ポリオレフィン樹脂はポリエチレン樹脂であってもよい。
前記主成分のポリエチレン樹脂は高密度ポリエチレン(密度:0.942以上g/m)、中密度ポリエチレン(密度:0.930以上0.942未満g/m)からなる群から選ばれた少なくとも1種類を用いる事ができる。これらの中でも高密度ポリエチレンを含むことが好ましい。なおポリエチレン樹脂は1種を単独で、または2種以上をポリエチレン混合物として併用してもよい。
ポリエチレン混合物としては、前記主成分のポリエチレン樹脂以外に、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン及び線状低密度ポリエチレンを含んでも良い。
特に超高分子量ポリエチレンを含むと本実施形態のポリオレフィン微多孔膜の押出成型性が良好となる。
(成膜用溶剤)
成膜用溶剤としては、ポリオレフィン樹脂に混合できる物質またはポリオレフィン樹脂を溶解できる物質であれば特に限定されない。成膜用溶剤としては液体溶剤及び固体溶剤のいずれも使用できる。液体溶剤としてはノナン、デカン、デカリン、パラキシレン、ウンデカン、ドデカン、流動パラフィン等の脂肪族又は環式の炭化水素、及び沸点がこれらに対応する鉱油留分が挙げられる。溶剤含有量が安定したゲル状シートを得るためには、流動パラフィンのような不揮発性の液体溶剤を用いる。固体溶剤は融点が80℃以下のものが好ましく、このような固体溶剤としてパラフィンワックス、セリルアルコール、ステアリルアルコール、ジシクロヘキシルフタレート等が挙げられる。液体溶剤と固体溶剤を併用してもよい。
(製造方法)
本発明では、ポリオレフィン樹脂と成膜用溶剤とを加熱溶融混練し、得られた樹脂溶液をダイより押出し、冷却することにより未延伸ゲル状シートを形成し、得られた未延伸ゲル状シートを縦方向と横方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸法を行い、前記成形用溶剤を除去し、乾燥することによってポリオレフィン微多孔膜を得る。縦方向と横方向を順次延伸する逐次延伸法では、フィブリル構造の配向により、異物捕集に必要な孔構造を得る事が難しいことから、本発明の課題を達成するには同時二軸延伸法が好ましい。
ポリオレフィン微多孔膜の製造方法について同時延伸法を例に具体的に説明する。
(混合、混錬)
超高分子量ポリエチレンを2質重量%以上50重質量%未満の割合で含むポリオレフィン樹脂と成膜用溶剤とを含む樹脂溶液を溶融混錬し、ポリオレフィン溶液を調製する。ポリオレフィン樹脂と成膜溶剤の比率は、ポリオレフィン樹脂の比率としては10%以上35%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以上30%以下である。成膜溶剤を多くすることで、成膜溶剤により分離されたミクロ相の間隔を広くし空孔率を高くすることができる。ポリオレフィン樹脂と成膜用溶剤の溶融混錬する方法は特に限定されないが、二軸押出機中で行うことが好ましい。二軸押出機内のポリオレフィン溶液の温度の好ましい範囲は樹脂によって異なり、例えば、ポリエチレン組成物は140~250℃、押出機内のポリオレフィン溶液の温度については押出機内部もしくはシリンダ部に温度計を設置することで間接的に把握し、目標温度となるようシリンダ部のヒーター温度や回転数、吐出量を適宜調整する。成膜用溶剤は混練開始前に加えてもよく、混練中に途中から添加する事もできる。溶融混練にあたってはポリオレフィン樹脂の酸化を防ぐために酸化防止剤を加えることが好ましい。
(押出し及びキャスト)
押出機内で溶融、混練されたポリオレフィン樹脂溶液を冷却することにより未延伸ゲル状シートを形成する。未延伸ゲル状シートの形成方法として、例えば日本国特許第2132327号公報および日本国特許第3347835号公報に開示の方法を利用することができる。
冷却は少なくともゲル化温度までは50℃/分以上の速度で行うことが好ましい。冷却は35℃以下まで行うのが好ましい。冷却により、成膜用溶剤によって分離されたポリオレフィンのミクロ相を固定化することができる。冷却速度が上記範囲内であると結晶化度が適度な範囲に保たれ、延伸に適した未延伸ゲル状シートとなる。冷却方法としては冷風、冷却水等の冷媒に接触させる方法、冷却ロールに接触させる方法等を用いることができるが、冷媒で冷却したロールに接触させて冷却させることが好ましい。
(延伸)
次に、得られたゲル状シートを少なくとも長手方向と横方向の二軸に延伸を行う。ゲル状シートは成膜用溶剤を含むので、均一に延伸される。ゲル状シートの延伸は、加熱後、テンター法、ロール法、インフレーション法、又はこれらの組合せにより所定の倍率で行うことが好ましい。二軸延伸の場合、同時二軸延伸が好ましい。
本工程における延伸倍率(面積延伸倍率)は、9倍以上が好ましく、16倍以上がより好ましく、25倍以上が特に好ましい。また、長手及び横手方向(MD及びTD方向)のいずれでも3倍以上が好ましく、MD方向とTD方向での延伸倍率は、互いに同じでも異なってもよい。延伸倍率を9倍以上とすると、突刺強度の向上が期待できる。なお、本工程における延伸倍率とは、本工程直前の微多孔質膜を基準として、次工程に供される直前の微多孔質膜の面積延伸倍率のことをいう。
本工程の延伸温度は、110以上125℃未満が好ましく、より好ましくは113以上120℃未満である。110℃未満の延伸では微細孔が均一に延伸されにくくなり、125℃以上の場合、孔径が大きくなり比表面積が小さくなる。
以上のような延伸によりポリエチレンラメラ間に開裂が起こり、ポリエチレン相が微細化し、多数のフィブリルが形成される。フィブリルは三次元的に不規則に連結した網目構造を形成する。延伸により機械的強度が向上するとともに細孔が拡大するが、適切な条件で延伸を行うと、貫通孔径を制御し、高い空孔率と広い比表面積を有する事が可能となる。
次に、得られた延伸フィルムの熱固定を行う。成膜溶剤を抽出する前の熱固定は、延伸後のゲル状フィルムを40℃以上120℃未満の温度とすることが好ましく、熱固定を行う時間は約10~20秒程度である。熱固定が20秒以下であれば、ポリオレフィン樹脂の再結晶化による繊維構造の厚化せず、高い比表面積を有する事が可能となる。これは、形成された網目構造の間に成膜溶剤があることで、網目構造を維持する事ができると考えられ、高い空孔率が得られる。熱固定温度を120℃以下、20秒以下行うことによってと、良好な空孔率が得られ、その結果透水性が良好になる。
(成膜用溶剤の抽出)
このようにして得られた二軸延伸シートは洗浄溶媒を用いて、成膜用溶剤の抽出が行われる。ポリオレフィン相は成膜用溶剤相と相分離しているので、成膜用溶剤を抽出すると、微細な三次元網目構造を形成するフィブリルからなり、三次元的に不規則に連通する孔を有する多孔質の膜が得られる。洗浄溶媒およびこれを用いた成膜用溶剤の抽出方法は公知の方法を利用することができる。例えば日本国特許2132327号明細書や特開2002-256099号公開に開示の方法を利用することができる。
(熱固定)
成膜用溶剤を抽出したフィルムは結晶を安定化させラメラを均一にさせるため、熱処理が行われる。熱処理方法としては、熱固定処理又は熱緩和処理を用いることができる。熱固定処理とは、膜の寸法が変わらないように保持しながら加熱する熱処理である。熱緩和処理とは、膜を加熱中に縦方向や横方向に熱収縮させる熱処理である。
熱固定処理は、テンター方式により行うのが好ましい。例えば、熱緩和処理方法としては特開2002-256099号公報に開示の方法があげられる。熱固定処理は40℃以上111℃以下で行う事が好ましい。成膜溶剤を抽出した後のフィルムを111℃以下で熱固定を行うとポリオレフィン樹脂の再結晶化が進みにくく、繊維構造の厚膜化が抑えられ、良好な比表面積が得られる。また40℃以上の場合、膜が収縮せずに安定する。
熱緩和処理は行わなくてもよいし、孔径を調整するため2倍以下の倍率で延伸を行ってもよい。
(特性)
本実施形態のポリオレフィン微多孔膜は、延伸温度や延伸倍率などの前記条件を満たすことによって、高い空孔率かつ、高い比表面積となる。
(膜厚)
ポリオレフィン微多孔膜の厚みは9μm以上35μm以下であり、好ましくは12μm以上、33μm以下である。膜厚が9μm以上であると異物を捕集する層が確保され十分な捕集性能が得られる。また、膜厚が35μm以下だと、透水性が良好になる。膜厚の調整は、例えば、Tダイからの吐出量、冷却ロールの回転速度、ライン速度及び延伸倍率等を適宜調節することにより上記範囲とすることができる。膜厚は表示分解能が0.01μmまでの測定機器で測定できる。接触式を用いる場合はポリオレフィン微多孔膜の空孔を押しつぶさないで測定を行う事が望ましく、測定圧力は0.01Nとする。
(透気抵抗度)
本実施形態に係るポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度は、10sec/100cm以上200sec/100cm以下であり、好ましくは20sec/100cm以上150sec/100cm以下、より好ましくは30sec/100cm以上130sec/100cm以下である。透気抵抗度が上記範囲であることにより、フィルターとして用いた場合、流体の透過性に非常に優れる。透気抵抗度が200sec/100cm以下であると圧力損失が高くなりすぎず、良好な透水性が得られる。透気抵抗度は、ポリオレフィン樹脂と成膜用溶剤の割合、延伸条件、ゲル状シートの延伸後の熱固定処理温度などを調節することにより、上記範囲とすることができる。なお、透気抵抗度は、後述の実施例に記載の方法により測定される値である。
(空孔率(%))
空孔率とは、物質の全体積に占める空間の体積の割合で定義され、具体的にはポリオレフィン微多孔膜の膜厚と質量を測定し、樹脂の密度は加工により変化する事から使用する樹脂密度に関わらず、空孔率算出の密度は0.99g/cmとして空孔率を算出する。ポリオレフィン微多孔膜の空孔率は50%以上80%以下である。空孔率が50%以上であると、液体の通りに優れ、ポリオレフィン微多孔膜をフィルターとして用いた場合、好適な透水性が得られる。また、空孔率が80%以下であると、空隙がそれ程多くなく、従って異物の捕集性に優れる。空孔率は、より好ましくは、55%以上75%以下、更に好ましくは60%以上70%以下である。空孔率は、ポリオレフィン樹脂と成膜用溶剤の割合、延伸温度条件、延伸倍率、ゲル状シートの延伸後の熱固定処理温度などを調節することにより、上記範囲とすることができる。
(比表面積)
比表面積はポリオレフィン微多孔膜の単位質量あたりの表面積を純水圧入ポロシメーターによって測定した測定値である。比表面積は200m/g以上1000m/g以下である。比表面積が200m/g以上であると、捕集面積が十分確保されポリオレフィン微多孔膜をフィルターとして用いた場合、良好な捕集性能が得られる。また、比表面積が1000m/g以下の場合、ポリオレフィン微多孔膜の強度が十分であり、製膜が容易となる。比表面積は、ポリオレフィン樹脂と成膜用溶剤の割合、延伸温度条件、延伸倍率、ゲル状シートの延伸後の熱固定処理温度などを調節することにより、上記範囲とすることができる。特に熱固定処理温度を高すぎないように設定することにより、再結晶化を抑制することができ、十分な比表面積が得られる。
(透水量)
直径39mmのステンレス製透液セルにポリオレフィン微多孔膜をセットし、該ポリオレフィン微多孔膜を少量(0.5ml)のエタノールで湿潤させた後、純水100mlを透液セルに入れ、90kPaの差圧で純水を濾過させ、10分間経過した際の透水量(cm)から単位時間(min)・単位面積(cm)当たりの透水性とした。
(バブルポイント(BP)細孔径)
本実施形態に係るポリオレフィン微多孔膜は、パームポロメーターを用いて、Dry-up、Wet-upの順で細孔径を測定された。バブルポイント(バブルポイント)細孔径(最大孔径)は、5nm以上80nm以下であり、好ましくは10nm以上70nm以下、より好ましくは15nm以上60nm以下である。バブルポイント細孔径を上記範囲とすることにより、数10nm以下の異物補足性能持ち、かつ透気性に非常に優れたものとすることができる。
バブルポイント細孔径が5nm以上であると透水性が良好であり、フィルターとして用いた場合、液体が通りやすい。バブルポイント細孔径が80nm以下であると数10nm以下の異物を捕集可能となり、フィルター性能として優れる。
バブルポイント細孔径は、ポリオレフィン樹脂と成膜用溶剤の割合、延伸温度条件、延伸倍率、ゲル状シートの延伸後の熱固定処理温度条件を適宜調節したりすることにより、上記範囲とすることができる。
〔測定方法〕
(膜厚の測定)
実施例で得られたポリオレフィン微多孔膜の任意の位置から95mm角の試料を切り出して試験片とし、この試験片の任意の5点の各々の厚みを厚み接触膜厚計により測定した後、これら5点の平均値をポリオレフィン微多孔膜の厚みとした。厚み測定機としては、測定圧力0.01Nのミツトヨ(Mitsutoyo)製ライトマチックVL-50B(測定子超硬球面測定子φ10.5mm)を用いた。測定環境は23±2℃の範囲内とした。
(透気抵抗度(sec/100cm)の測定)
旭精工(株)社製のデジタル型王研式透気抵抗度試験機EGO1を使用して、本発明のポリオレフィン微多孔膜を測定部にシワが入らないように固定し、JIS P-8117(2009)に従って透気抵抗度を測定した。試料は5cm角とし、測定点は試料の中央部の1点として、測定値を当該試料の透気抵抗度[sec/100cm]とした。同様の測定を任意のフィルム位置から採取した10個の試験片について行い、10個の測定値の平均値を当該ポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度とした。
(空孔率(%)の測定)
95mm角の試料を用意し、その試料体積(cm)と試料質量(g)を測定し得られた結果から次式を用いて空孔率(%)を計算した。密度の値としては0.99g/cmを用いた。
空孔率=(1-試料質量/(0.99×試料体積))×100
(比表面積)
実施例で得られたポリオレフィン微多孔膜の任意の位置からポリオレフィン微多孔膜を0.20±0.02gになるように長手方向に対して横方向から長方形となるように、即ち長辺が横方向と並行となるように試験片を切り落とし、その試験片の面積、重量を測定した。試験片の任意の5点の厚みを厚み接触膜厚計により測定し、それら5つの測定結果を平均することにより、当該試験片の厚みとした。厚み測定機はミツトヨ(Mitsutoyo)製ライトマチックVL-50B(測定圧力0.01N測定子超硬球面測定子φ10.5mm)を用いた。試験片の面積、厚みから、ポリオレフィン微多孔膜の体積の算出を行った。
切り落とした試料を精製水中で気泡が入らないようにサンプル用芯に捲回し、POROUS MATERIALS, INC.製の純水圧入ポロシメーター(商品名、型式:WIP-3K-A-1)の測定チャンバー内へ設置した。
チャンバー内における純水中にガスを導入して種々圧力を加え、それぞれの圧力で浸透した純水の重量を測定する事でのポリオレフィン微多孔膜の表面積の測定を行った。表面積とポリオレフィン微多孔膜体積から比表面積を算出した。最大圧力としては13.7MPaGまで測定を行った。
(透水量(ml/(min・cm)))
直径39mmのステンレス製透液セルにポリオレフィン微多孔膜をセットし、該ポリオレフィン微多孔膜を少量(0.5ml)のエタノールで湿潤させた後、純水100mlを透液セルに入れ、90kPaの差圧で純水を濾過させ、10分間経過した際の透水量(ml)から単位時間(min)・単位面積(cm)当たりの透水性とした。測定を行った室温は24±1℃、純水温度は24±1℃とした。
(バブルポイント細孔径(nm))
実施例で得られたポリオレフィン微多孔膜から切り出した試験片をPOROUS MATERIALS, INC.製のパームポロメーター(商品名、型式:CFP-1500A)を用いて、Dry-up、Wet-upの順で測定した。Wet-upには表面張力が既知のGalwick(商品名)で十分に浸したポリオレフィン微多孔膜に圧力をかけ、空気が貫通し始める圧力から換算される孔径をバブルポイント細孔径(最大孔径)とした。平均細孔径については、Dry-up測定で圧力、流量曲線の1/2の傾きを示す曲線と、Wet-up測定の曲線が交わる点の圧力から孔径を換算した。圧力と孔径の換算は下記の数式を用いた。
d=C・γ/P
式中、「d(μm)」はポリオレフィン微多孔膜の孔径、「γ(mN/m)」は液体の表面張力、「P(Pa)」は圧力、「C」は定数である。
(重量平均分子量(Mw)の測定)
UHMwPE及びHDPEのMwについて、以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求めた。
・測定装置:Agilent製PL-GPC220
・カラム:アジレント製PLgel20μmMIXED-A 300×7.5mmを2本使用
・カラム温度:160℃
・溶媒(移動相):1,2,4-トリクロロベンゼン
・溶媒流速:1.0 ml/分
・試料濃度:1mg/15ml(溶解条件:160℃/210分)
・インジェクション量:500μl
・検出器:屈折率計RI、圧力計IP、差圧計DP
・検量線:単分散ポリスチレン標準試料を用いて得られた検量線を用いて分子量を算出しした。
(実施例1)
Mwが2.2×10の超高分子量ポリエチレン(UHPE)18質量%及びMwが4.1×10の高密度ポリチレン82質量%からなるポリオレフィン樹脂100質量部に、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン0.2質量部を配合し、混合物を調製した。得られた混合物25質量部を強混練タイプの二軸押出機に投入し、二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン[35cSt(40℃)]75質量部を供給し、230℃及び250rpmの条件で溶融混練して、ポリオレフィン樹脂溶液を調製した。前記ポリオレフィン樹脂溶液を、二軸押出機からTダイに供給し、押出し成形体を、30℃に温調した冷却ロールで引き取り、引き取りながら冷却し、未延伸ゲル状シートを形成した。得られた未延伸ゲル状シートを119℃の温度に設定したテンター装置で縦方向に5倍、横方向に5倍とする同時二軸延伸を行い、成膜用溶剤洗浄する前に95℃で熱固定を行い、二軸延伸シートを得た。得られた二軸延伸シートを塩化メチレンで洗浄して残留する流動パラフィンを抽出除去し、乾燥した。得られた乾燥後の二軸延伸シートをテンター方式延伸機にて、110℃まで加温し、延伸機入口幅に対して、1.4倍となるよう再延伸し、熱処理を行い、膜厚19μmのポリオレフィン微多孔膜を得た。得られたポリエチレン微多孔膜の透気抵抗度、膜厚、空孔率、比表面積、バブルポイント細孔径の測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1のポリオレフィン微多孔膜の製膜において、得られた未延伸ゲル状シートを119℃に設定したテンター装置で縦方向に5倍、横方向に5倍に同時延伸を行い、成膜用溶剤洗浄する前に75℃で熱固定を行った以外は実施例1と同様にし、膜厚33μmのポリオレフィン微多孔膜を得た。得られたポリエチレン微多孔膜の透気抵抗度、膜厚、空孔率、比表面積、バブルポイント細孔径の測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
Mwが2.2×10の超高分子量ポリエチレン(UHPE)18質量%及びMwが5.4×10の高密度ポリチレン82質量%からなるポリオレフィン樹脂100質量部に、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン0.2質量部を配合し、混合物を調製した。得られた混合物25質量部を強混練タイプの二軸押出機に投入し、二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン[35cSt(40℃)]75質量部を供給し、230℃及び250rpmの条件で溶融混練して、ポリオレフィン樹脂溶液を調製した。得られた未延伸ゲル状シートを115℃に設定したテンター装置で縦方向に5倍、横方向に5倍の同時延伸を行い、成膜用溶剤洗浄する前に95℃で熱固定を行った以外は実施例1と同様にし、膜厚19μmのポリオレフィン微多孔膜を得た。得られたポリエチレン微多孔膜の透気抵抗度、膜厚、空孔率、比表面積、バブルポイント細孔径の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
Mwが2.0×10の超高分子量ポリエチレン(UHPE)18質量%及びMwが4.1×10の高密度ポリチレン82質量%からなるポリオレフィン樹脂100質量部に、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン0.2質量部を配合し、混合物を調製した。得られた混合物30質量部を強混練タイプの二軸押出機に投入し、二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン[35cSt(40℃)]70質量部を供給し、230℃及び250rpmの条件で溶融混練して、ポリオレフィン樹脂溶液を調製した以外は実施例1と同様にし、19μmのポリオレフィン微多孔膜を得た。得られたポリエチレン微多孔膜の透気抵抗度、膜厚、空孔率、比表面積、バブルポイント細孔径の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例3で得られた乾燥後の二軸延伸シートをテンター方式延伸機にて、125℃まで加温し、延伸機入口幅に対して、1.4倍となるよう再延伸し、熱処理を行い、膜厚19μmのポリオレフィン微多孔膜を得た。得られたポリエチレン微多孔膜の透気抵抗度、膜厚、空孔率、比表面積、バブルポイント細孔径の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
Mwが2.2×10の超高分子量ポリエチレン(UHPE)2質量%及びMwが5.4×10の高密度ポリチレン98質量%からなるポリオレフィン樹脂100質量部に、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン0.2質量部を配合し、混合物を調製した。得られた混合物40質量部を強混練タイプの二軸押出機に投入し、二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン[35cSt(40℃)]60質量部を供給し、230℃及び250rpmの条件で溶融混練して、ポリオレフィン樹脂溶液を調製した。得られた未延伸ゲル状シートを119℃に設定したテンター装置で縦方向に5倍、横方向に5倍同時延伸を行い、成膜用溶剤洗浄する前に95℃で熱固定を行い、二軸延伸シートを得た。得られた二軸延伸シートを塩化メチレンで洗浄して残留する流動パラフィンを抽出除去し、乾燥した。得られた乾燥後の二軸延伸シートをテンター方式延伸機にて、130℃まで加温し、延伸機入口幅に対して、1.4倍となるよう再延伸し、熱処理を行い、膜厚19μmのポリオレフィン微多孔膜を得た。得られたポリエチレン微多孔膜の透気抵抗度、膜厚、空孔率、比表面積、バブルポイント細孔径の測定を行った。結果を表1に示す。Mwが2.2×10の超高分子量ポリエチレン(UHPE)30質量%及びMwが5.4×10の高密度ポリチレン70質量%からなるポリオレフィン樹脂100質量部に、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン0.2質量部を配合し、混合物を調製した。得られた混合物40質量部を強混練タイプの二軸押出機に投入し、二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン[35cSt(40℃)]60質量部を供給し、230℃及び250rpmの条件で溶融混練して、ポリオレフィン樹脂溶液を調製した。得られた未延伸ゲル状シートを115℃に設定したテンター装置で縦方向に5倍、横方向に5倍同時延伸を行い、成膜用溶剤洗浄する前に120℃で熱固定を行い、二軸延伸シートを得た。得られた二軸延伸シートを塩化メチレンで洗浄して残留する流動パラフィンを抽出除去し、乾燥した。得られた乾燥後の二軸延伸シートをテンター方式延伸機にて、130℃まで加温し、延伸機入口幅に対して、1.2倍となるよう再延伸し、熱処理を行い、膜厚19μmのポリオレフィン微多孔膜を得た。得られたポリエチレン微多孔膜の透気抵抗度、膜厚、空孔率、比表面積、バブルポイント細孔径の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例5)
Mwが2.2×10の超高分子量ポリエチレン(UHPE)40質量%及びMwが5.4×10の高密度ポリチレン60質量%からなるポリオレフィン樹脂100質量部に、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン0.2質量部を配合し、混合物を調製した。得られた混合物25質量部を強混練タイプの二軸押出機に投入し、二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン[35cSt(40℃)]75質量部を供給し、230℃及び250rpmの条件で溶融混練して、ポリオレフィン樹脂溶液を調製した。得られた未延伸ゲル状シートを111℃に設定したテンター装置で縦方向に5倍、横方向に5倍同時延伸を行い、成膜用溶剤洗浄する前に120℃で熱固定を行い、二軸延伸シートを得た。
得られた二軸延伸シートを塩化メチレンで洗浄して残留する流動パラフィンを抽出除去し、乾燥した。得られた乾燥後の二軸延伸シートをテンター方式延伸機にて、130℃まで加温し、延伸機入口幅に対して、1.4倍となるよう再延伸し、熱処理を行い、膜厚19μmのポリオレフィン微多孔膜を得た。得られたポリエチレン微多孔膜の透気抵抗度、膜厚、空孔率、比表面積、バブルポイント細孔径の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例6)
Mwが2.2×10の超高分子量ポリエチレン(UHPE)30質量%及びMwが5.4×10の高密度ポリチレン70質量%からなるポリオレフィン樹脂100質量部に、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン0.2質量部を配合し、混合物を調製した。得られた混合物28.5質量部を強混練タイプの二軸押出機に投入し、二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン[35cSt(40℃)]71.5質量部を供給し、230℃及び250rpmの条件で溶融混練して、ポリオレフィン樹脂溶液を調製した。前記ポリオレフィン樹脂溶液を、二軸押出機からTダイに供給し、押出し成形体を、30℃に温調した冷却ロールで引き取り、引き取りながら冷却し、未延伸ゲル状シートを形成した。未延伸ゲル状シートを112℃で予熱し、123℃で縦延伸倍率6.76倍まで延伸し縦延伸シートを形成した。得られた縦延伸シートの両端部をクリップで把持し、117℃に設定したテンター装置で横方向に9倍延伸し、二軸延伸シートを得た。得られた二軸延伸シートを塩化メチレンで洗浄して残留する流動パラフィンを抽出除去し、乾燥した。得られた乾燥後の二軸延伸シートをテンター方式延伸機にて、130℃まで加温し、延伸機入口幅に対して、1.5倍となるよう再延伸し熱処理を行い、膜厚19μmのポリオレフィン微多孔膜を得た。得られたポリエチレン微多孔膜の透気抵抗度、膜厚、空孔率、比表面積、バブルポイント細孔径の測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2022049164000001

Claims (3)

  1. 厚みが9μm以上35μm以下、空孔率が50%以上80%以下、バブルポイント細孔径が5nm以上80nm以下、比表面積が200m/g以上1000m/g以下である、ポリオレフィン微多孔膜。
  2. ポリエチレンからなる、請求項1に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  3. 請求項1又は2に記載のポリオレフィン微多孔膜を用いてなる、濾過フィルター。
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