JP2022059158A - 濾過フィルター用ポリオレフィン微多孔膜及び濾過装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】数nm以下の異物に対し優れた捕集性能を有し、優れた液体透過性を有する液体濾過フィルター用ポリオレフィン微多孔膜の提供。【解決手段】第1の層と第2の層を少なくとも有する、下記の要件(I)~(III)を満たす、濾過フィルター用ポリオレフィン微多孔膜。(I)平均流量孔径が5nm以上25nm以下である。(II)乾燥状態および湿潤状態における空気流量の圧力変化から求められる細孔径分布曲線において、0kPa~3000kPaの範囲で検出可能な細孔のうち、細孔径分布の最大ピークを示す孔径をDp(nm)とするとき、0.9Dp~1.1Dpである孔の細孔径分布の合計値が孔全体の85%以上である。(III)空孔率が49%以上である。【選択図】 なし

Description

本発明は、液体濾過フィルター用微多孔膜及び濾過装置に関する。
ポリオレフィン微多孔膜は、電池用セパレータ、電解コンデンサ用隔膜、水処理膜、限外濾過膜、精密濾過膜、防湿防水医療などの各種の用途に広く用いられており、これら用途の中でも特に、耐溶剤性、耐薬品性等が要求される用途においては、十分な耐性を維持したまま、高精度の分離能を維持できるように、ポリオレフィン微多孔膜の性能をより向上させるべく要請が高まっている。
高集積度半導体製造プロセス液体用濾過フィルターとしては、配線ピッチが10数nm~数nmと微細化するに従い、プロセス液体中の微細な異物を捕集するため、より微細な孔径と良好な透過性が要請されている。
特許文献1には、気・液相置換によるハーフドライ法で測定した平均流量孔径dPPが1nm以上20nm以下であり、液・液相置換によるハーフドライ法で測定した平均流量孔径dLLPが1nm以上15nm以下であって、前記平均流量孔径dPPと平均流量孔径dLLPの差(dPP-dLLP)が12nm以下であり、厚さが4~25μmである、液体フィルター用ポリオレフィン微多孔膜が開示されている。
特許文献2には、透水性能が1.21~2.90ml/min/cm、バブルポイントが0.40~0.65MPaであるポリオレフィン微多孔膜であって、圧縮率が15%未満である、液体フィルター用ポリオレフィン微多孔膜が開示されている。
特許文献3には、透水性能が0.10~0.50ml/min/cmであり、バブルポイントが0.50MPa以上0.80MPa以下である、液体フィルター用ポリオレフィン微多孔膜が開示されている。
特許文献4には、透気抵抗度10~200sec/100mlであり、バブルポイント細孔径が5~35nmであるポリオレフィン微多孔膜を積層一体化したポリオレフィン樹脂製積層フィルターが開示されている。
特開2018-167198号公報 国際公開2014/181762号公報 国際公開2014/181760号公報 国際公開2018/168871号公報
液体濾過フィルターの使用時において、微小粒子の詰りや濾過条件によってポリオレフィン微多孔膜に高い圧力がかかり、多孔質構造が変化してしまう場合がある。このような場合、所望サイズの粒子の捕集性能が低下するといった不具合が生じる可能性がある。
従来技術においては、低圧力下においては優れた捕集性能が得られるものの、高圧力下においては多孔質構造が変化して捕集性能が低下してしまう場合があった。この多孔構造の変化を防ぐという観点では、微多孔膜を厚く形成することで、高い圧力下でも多孔質構造を潰れ難くすることが考えられる。しかし、微多孔膜が厚いほど、液体透過性が悪化するとともに、一定の大きさのフィルターカートリッジの中へ入れられる微多孔膜の面積が小さくなってしまい、濾過面積が小さくなり、フィルターの圧力損失も高くなる。特に、さらなる小孔径化の動向があるフィルター用基材において、小孔化を図るとフィルター圧力損失がさらに高くなる。その結果、フィルターを扱う工程への負担も大きくなることが懸念される。そのため、微多孔膜は出来るだけ薄膜化し、かつ、高い圧力下でも多孔質構造を潰れ難くすることが望ましい。
また、液体濾過フィルター使用時において、前記ポリオレフィン微多孔膜の孔径サイズが均一でないと、より小孔径部分には高い圧力がかかり、比較的大孔径部分では所望サイズの粒子の捕捉性能が低下するといった不具合が生じる可能性がある。
従来技術においては、数10nm以下の異物に対し優れた捕集性能を得られるものの、孔径サイズが均一でないために高い圧力のかかる部分と低圧力のかかる部分とが微多孔膜フィルター内に生じ、均一に液体を濾過できず透過性能が低下してしまう場合があった。そのため、微多孔膜の孔径は出来るだけ均一に分布させ、膜全体にかかる圧力を均一にすることが望ましい。
そこで、本発明では、上述した課題を解決すべく、数nm以下の異物に対し優れた捕集性能を有し、かつ、孔径を均一に分布させることによって、優れた液体透過性を有する液体濾過フィルター用ポリオレフィン微多孔膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、小孔径で、かつ孔径分布を示す曲線におけるピークのうち、最も大きなピークの半値幅が狭く、孔径が均一であるポリオレフィン微多孔膜は、数nm以下の異物に対する優れた捕集性能を有し、かつ、優れた透過性能を有することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明に係る濾過フィルター用ポリオレフィン微多孔膜は、第1の層と第2の層を少なくとも有すると共に、下記の要件(I)~(III)を満たす。
(I)平均流量孔径が5nm以上25nm以下である。
(II)乾燥状態および湿潤状態における空気流量の圧力変化から求められる細孔径分布曲線において、0kPa~3000kPaの範囲で検出可能な細孔のうち、細孔径分布の最大ピークを示す孔径をDp(nm)とするとき、0.9Dp~1.1Dpである孔の細孔径分布の合計値が孔全体の85%以上である。
(III)空孔率が49%以上である。
さらに、前記第1の層は、ポリエチレンを含む第1のポリオレフィン樹脂からなり、前記第2の層は、ポリエチレン及びポリプロピレンを含む第2のポリオレフィン樹脂からなっていても良い。
前記濾過フィルター用ポリオレフィン微多孔膜のバブルポイント細孔径は、5nm以上45nm以下であっても良い。
前記濾過フィルター用ポリオレフィン微多孔膜の膜厚は、8μm以上35μm以下であっても良い。
本発明の好ましい一実施形態に係る濾過装置は、被濾過流体の流れに対して、上流側から、前記第1の層及び第2の層がこの順に少なくとも配置される。
本発明に係るポリオレフィン微多孔膜は、高圧力下において高い液体透過性と、数nm以下の微細な異物に対する高い捕集性の両方を有する。また、本発明に係るポリオレフィン微多孔膜は、孔径が均一であることから、液体用濾過フィルターとして優れた特性を有している。
図1は、乾燥試料および湿潤試料の通気曲線の例を示す模式図である。 図2は、細孔径分布曲線の例を示す模式図であり、直径が0.9Dp~1.1Dpの範囲内にある孔の細孔径分布の合計値が85%以上となる場合の一例を示している。
1.ポリオレフィン微多孔膜
本実施形態のポリオレフィン微多孔膜は、少なくとも第1のポリオレフィン樹脂からなる第1の層及び第2のポリオレフィン樹脂からなる第2の層を有する。以下、各層について、説明する。
(1)第1の層
第1の層は、ポリエチレンを含む第1のポリオレフィン樹脂からなる。また、第1のポリオレフィン樹脂は、ポリエチレンを、第1のポリオレフィン樹脂全量に対して、好ましくは60重量%以上100重量%以下、より好ましくは70重量%以上100重量%以下含む。
ポリエチレンとしては、特に限定されず、例えば、超高分子量ポリエチレン(Mwが1×10以上)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン及び線状低密度ポリエチレンからなる群から選ばれた少なくとも1種を用いることができる。なお、ポリエチレンは、1種を単独で、または2種以上を併用して用いてもよい。これらは、使用目的に応じて、適宜、選択することができる。
第1のポリオレフィン樹脂は、超高分子量ポリエチレンを含むことができる。これにより、成型加工安定性、薄膜における機械的強度、空孔率、透気抵抗度などに優れるポリオレフィン微多孔膜を得ることができる。超高分子量ポリエチレンポリエチレンは、質量平均分子量(Mw)が1×10以上であり、好ましくは1×10以上8×10以下、より好ましくは1.2×10以上3×10以下である。Mwが上記範囲であると、本実施形態のポリオレフィン多層多孔質膜の成形性が良好となる。なお、Mwは、後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
超高分子量ポリエチレンは、上記Mwを満たす範囲において、特に限定されず従来公知のものを用いることができる。また、エチレンの単独重合体のみならず、他のα―オレフィンを含有するエチレン・α―オレフィン共重合体を用いることができる。エチレン以外のα―オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン―1、ペンテン―1、ヘキセン―1、4―メチルペンテン―1、オクテン―1、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレンなどを挙げることができる。エチレン以外のα―オレフィンの含有量は、5mol%以下が好ましい。なお、超高分子量ポリエチレンは1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができ、例えばMwの異なる2種以上の超高分子量ポリエチレン同士を混合して用いてもよい。
第1のポリオレフィン樹脂中の超高分子量ポリエチレンの含有量は、第1のポリオレフィン樹脂全体100重量%に対して、5~50質量%であることが好ましく、より好ましくは10~45質量%、さらに好ましくは15~40質量%である。超高分子量ポリエチレンの含有量が上記範囲であると、ポリオレフィン微多孔膜を薄膜化した際にも高い機械的強度、高い空孔率を得ることができる。
また、第1のポリオレフィン樹脂は、超高分子量ポリエチレン以外のポリエチレンとして、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン及び線状低密度ポリエチレンからなる群から選ばれた、少なくとも1種を含むことができる。これらの中でも、高密度ポリエチレン(密度:0.920~0.970g/m)を含むことが好ましい。
超高分子量ポリエチレン以外のポリエチレンとしては、重量平均分子量(Mw)が1×10以上1×10以下であることが好ましく、より好ましくは1×10以上9×10以下、さらに好ましくは2×10以上8×10以下である。Mwが上記範囲であると、ポリオレフィン微多孔膜の外観が良好になり、平均流量孔径(貫通孔径)を小さくすることができる。また、分子量分布(Mw/Mn)は、押出成型性、安定した結晶化制御による物性コントロールの観点から、1以上20以下が好ましく、3以上10以下がより好ましい。
また、超高分子量ポリエチレン以外のポリエチレンは、エチレンの単独重合体のみならず、α―オレフィンを含有するエチレン・α―オレフィン共重合体を用いることができる。エチレン以外のα―オレフィンとしては、プロピレン、ブテン―1、ペンテン―1、ヘキセン―1、4―メチルペンテン―1、オクテン、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレンなどを挙げることができる。エチレン以外のα―オレフィンの含有量は、5mol%以下が好ましい。このような共重合体の製造方法は、特に限定されないが、シングルサイト触媒により製造されたものが好ましい。
第1のポリオレフィン樹脂中のポリエチレン(超高分子量ポリエチレンを除く)の含有量は、第1のポリオレフィン樹脂全体100質量%に対して、好ましくは40質量%以上90質量%以下、より好ましくは45質量%以上80質量%未満である。特に、Mwが2×10以上8×10未満である高密度ポリエチレンを上記範囲で含有させることにより、良好な溶融押出性、均一な延伸加工特性に優れる。
また、第1のポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン以外の樹脂(以下、「その他の樹脂」ともいう。)を含むことができる。その他の樹脂としては、例えば、耐熱性樹脂やポリエチレン以外のポリオレフィンなどを含むことができる。
耐熱性樹脂としては、例えば、融点が150℃以上の結晶性樹脂(部分的に結晶性である樹脂を含む)、及び/又はガラス転移温度(Tg)が150℃以上の非晶性樹脂が挙げられる。具体的には、ポリエステル、ポリメチルペンテン[PMP又はTPX(トランスパレントポリマーX)、融点:230~245℃]、ポリアミド(PA、融点:215~265℃)、ポリアリレンスルフィド(PAS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ化ビニリデン単独重合体やポリテトラフルオロエチレン(TPFE)などのフッ化オレフィン及びこれらの共重合体などの含フッ素樹脂;ポリスチレン(PS、融点:230℃)、ポリビニルアルコール(PVA、融点:220~240℃)ポリイミド(PI、Tg:280℃以上)、ポリアミドイミド(PAI、Tg:280℃)、ポリエーテルサルフォン(PES、Tg:223℃)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK、融点:334℃)、ポリカーボネート(PC、融点:220~240℃)、セルロースアセテート(融点:220℃)、セルローストリアセテート(融点:融点:300℃)、ポリスルホン(Tg:190℃)、ポリエーテルイミド(融点:216℃)などが挙げられる。なお、TgはJIS K7121(2012)に準拠して測定した値である。また、耐熱性樹脂としては、単一の樹脂からなるものでもよく、複数の樹脂成分からなるものでもよい。
耐熱性樹脂の好ましいMwは、樹脂の種類により異なるが、一般的に1×10~1×10であり、より好ましくは1×10~7×10である。また、第1のポリオレフィン樹脂中のその他の樹脂成分の含有量は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜調節されるが、第1のポリオレフィン樹脂全体100重量%に対して、おおよそ30質量%以下の範囲で含有される。
ポリエチレン以外の他のポリオレフィン樹脂としては、例えば、Mwが1×10以上4×10以下のポリブテン―1、ポリペンテン―1、ポリヘキセン―1、ポリオクテン―1及びMwが1×10~1×10のポリエチレンワックスからなる群から選ばれた、少なくとも1種を用いてもよい。ポリエチレン以外のポリオレフィンの含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜調節できるが、第1のポリオレフィン樹脂全体100質量%に対して、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%未満がさらに好ましい。
また、少量のポリプロピレンを、本発明の効果を損なわない範囲で含んでもよい。ポリプロピレンの含有量は、後述する第のポリオレフィン樹脂に含有されるポリプロピレンの含有割合よりも少なくすることができ、例えば、第1のポリオレフィン樹脂全体100質量%に対して、0質量%以上30質量%未満とすることができる。
(2)第2の層
第2の層は、ポリエチレン及びポリプロピレンを含む第2のポリオレフィン樹脂からなる。図1は、本実施形態に係るポリオレフィン微多孔膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した一例を示す図である。図1に示されるように、第2のポリオレフィン樹脂としてポリプロピレンを含む場合、第1の層と比較して第の層の孔径を小さいものとすることができる。なお、各層の孔径の大きさは、ポリオレフィン微多孔膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより確認することができる。
ポリプロピレンとしては、特に限定されず、プロピレンの単独重合体、プロピレンと他のα―オレフィン及び/又はジオレフィンとの共重合体(プロピレン共重合体)、あるいはこれらの混合物を用いることができる。これらの中でも、機械的強度及び貫通孔径の微小化等の観点から、プロピレンの単独重合体を用いることが好ましい。
プロピレン共重合体としては、ランダム共重合体又はブロック共重合体のいずれも用いることができる。プロピレン共重合体のα―オレフィンとしては、炭素数が8以下であるα―オレフィンが好ましい。炭素数が8以下のα―オレフィンとして、エチレン、ブテン―1、ペンテン―1、4―メチルペンテン―1、オクテン―1、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。プロピレン共重合体中のジオレフィンとしては、炭素数は4~14のジオレフィンが好ましい。炭素数が4~14のジオレフィンとして、例えばブタジエン、1,5―ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、1,9―デカジエン等が挙げられる。プロピレン共重合体中の他のα―オレフィン又はジオレフィンの含有量は、プロピレン共重合体を100mol%として10mol%未満であるのが好ましい。
ポリプロピレンの重量平均分子量(Mw)は1×10以上が好ましく、2×10以上がより好ましく、5×10以上4×10以下が特に好ましい。Mwが上記範囲であると、ポリオレフィン微多孔膜の機械的強度及び透気抵抗度が良好となる。また、Mwが5×10以下のポリプロピレンの含有量は、第2の層に含有されるポリプロピレン100質量%に対して、5質量%以下であることが好ましい。
また、ポリプロピレンの分子量分布(Mw/Mn)は、1.01~100が好ましく、1.1~50がより好ましく、2.0~20がさらに好ましい。ポリプロピレンの重量平均分子量(Mw)が上記範囲であると、本発明のポリオレフィン微多孔膜の機械的強度及び透気抵抗度が良好となるからである。なお、Mw、Mw/Mn等は、後述するGPC法により測定される値である。
ポリプロピレンの融点は、155~175℃が好ましく、160~175℃がより好ましい。また、ポリプロピレンの融解熱ΔHは、透過性を良好にするという観点から、90J/g以上であるのが好ましく、より好ましくは100J/g以上である。融点及び融解熱が上記範囲であることにより、ポリオレフィン微多孔膜の細孔構造及び透気抵抗度が良好なものとなる。なお、融点及び融解熱はJIS K7121(2012)に準拠し、走査型示差熱量計(DSC)により測定される値である。
第2のポリオレフィン樹脂中のポリプロピレンの含有量は、第2のポリオレフィン樹脂全体100質量%に対して、好ましくは20質量%以上80質量%以下、より好ましくは25質量%以上70質量%以下であり、さらに好ましくは31質量%以上65質量%以下である。
また、ポリオレフィン多孔膜中のポリプロピレンの含有量は、ポリオレフィン微多孔膜に含まれる前記第1及び第2のポリオレフィン樹脂の合計100質量%に対して、2.0質量%以上15%未満であることが好ましく、より好ましくは2.5質量%以上12質量%未満であり、より好ましくは3.0質量%以上11質量%未満である。ポリプロピレンの含有量が上記範囲であると、本実施形態に係るポリオレフィン微多孔膜は、高い空孔率と優れた機械的強度を有し、均一で微細な細孔構造を有した薄膜とすることができる。
第2のポリオレフィン樹脂に含まれるポリエチレンとしては、第1のポリオレフィン樹脂に含まれるポリエチレンと同じであっても、異なっていてもよい。所望の物性に応じて、適宜選択することができる。中でも、超高分子量ポリエチレン以外のポリエチレンを含むことが好ましく、高密度ポリエチレンを含むことがより好ましい。上記ポリプロピレンと高密度ポリエチレンとを混錬することにより、溶融押出がより容易となる。これらのポリエチレンとしては、第1のポリオレフィン樹脂と同様のものが例示される。
第2のポリオレフィン樹脂中のポリエチレンの含有量は、第2のポリオレフィン樹脂全体100質量%に対して、好ましくは20質量%以上80質量%以下、より好ましくは30質量%以上75質量%未満である。特に、Mwが2×10以上8×10未満である高密度ポリエチレンを上記範囲で含有させることにより、良好な溶融押出特性、均一な延伸加工特性に優れる。
なお、本発明の効果を損なわない範囲で、超高分子量ポリエチレンを含むことができる。超高分子量ポリエチレンを含む場合の含有量としては、例えば、第2のポリオレフィン樹脂全体100質量%に対して、0質量%以上30質量%以下、好ましくは0質量%以上15質量%以下、さらに好ましくは0質量%以上10質量%以下の範囲であり、0質量%であってもよい。
また、第2のポリオレフィン樹脂は、第1のポリオレフィン樹脂と同様に、必要に応じて、その他の樹脂成分を含むことができる。その他の樹脂成分として、具体的には、第1のポリオレフィン樹脂で記載したその他の樹脂成分を同様の成分を用いることができる。
(3)第1の層及び第2の層
本実施形態のポリオレフィン微多孔膜は、少なくとも第1の層及び第2の層を有する。また、第1の層/第2の層/第1の層又は第2の層/第1の層/第2の層をこの順に積層した少なくとも三層とすることもできる。なお、第1又は第2の層の組成は、複数層で構成される場合、各層で同じであっても、異なっていてもよい。さらに、ポリオレフィン微多孔膜は、必要に応じて、第1及び第2の微多孔質層以外の他の層を設けて、三層以上とすることもできる。
例えば、第1の層/第2の層/第1の層の順に積層した場合、プロピレンを含む第2の層の両面にポリエチレンを含む第1の層があることにより、製造工程や濾過フィルターとして使用する際、第2の層が脱離したり欠損したりすることを防止し、より孔径の小さい第2の層を保護することができる。
本実施形態のポリオレフィン微多孔膜の各層の厚さは、特に限定されないが、第1の層/第2の層(固形分質量比)が好ましくは90/10~10/90、より好ましくは80/20~20/80である。
(4)各特性
本実施形態のポリオレフィン微多孔膜は、第2のポリオレフィン樹脂におけるポリプロピレンの含有量などを適宜調整することにより、第1の層の孔径よりも第2の層の孔径を小さくすることができる。さらに、後述する製造方法により、孔径の大きさをある程度小孔径で維持し、かつ、ポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度などをより向上させることができる。以下、本実施形態のポリオレフィン微多孔質膜の各特性について説明する。
(I)膜厚
ポリオレフィン微多孔膜の厚みは7μm以上35μm以下であり、好ましくは8μm以上、33μm以下である。膜厚が7μm以上であると異物を捕集する層が確保され十分な捕集性能が得られる。また、膜厚が35μm以下だと、透水性が良好になる。膜厚の調整は、例えば、Tダイからの吐出量、冷却ロールの回転速度、ライン速度及び延伸倍率等を適宜調節することにより上記範囲とすることができる。膜厚は表示分解能が0.01μmまでの測定機器で測定できる。接触式を用いる場合はポリオレフィン微多孔膜の空孔を押しつぶさないで測定を行う事が望ましく、測定圧力は0.01Nとする。
(II)透気抵抗度
ポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度は、10sec/100cm以上250sec/100cm以下であり、好ましくは30sec/100cm以上230sec/100cm以下、より好ましくは40sec/100cm以上200sec/100cm以下である。透気抵抗度が上記範囲であることにより、フィルターとして用いた場合、流体の透過性に非常に優れる。透気抵抗度が200sec/100cm以下であると圧力損失が高くなりすぎず、良好な透水性が得られる。透気抵抗度は、ポリプロピレンの含有量、延伸条件、ゲル状シートの延伸後の熱固定処理温度などを調節することにより、上記範囲とすることができる。なお、透気抵抗度は、後述の実施例に記載の方法により測定される値である。
(III)空孔率
空孔率とは、物質の全体積に占める空間の体積の割合で定義され、具体的にはポリオレフィン微多孔膜の膜厚と質量を測定し、樹脂の密度は加工により変化する事から使用する樹脂密度に関わらず、空孔率算出の密度は0.99g/cmとして空孔率を算出する。本実施形態に係るポリオレフィン微多孔膜の空孔率は、好ましくは49%以上であり、より好ましくは51%以上、さらに好ましくは51%以上70%以下である。空孔率が51%以上であると、液体の通りに優れ、ポリオレフィン微多孔膜をフィルターとして用いた場合、好適な透水性が得られる。また、空孔率が70%以下であると、空隙がそれ程多くなく、従って異物の捕集性に優れる。空孔率は、ポリオレフィン樹脂と成膜用溶剤の割合、延伸温度条件、延伸倍率、ゲル状シートの延伸後の熱固定処理温度などを調節することにより、上記範囲とすることができる。
(IV)バブルポイント(BP)細孔径
ポリオレフィン微多孔膜のBP細孔径(最大孔径)は、POROUS MATERIALS, INC.製のパームポロメーター(商品名、型式:CFP-1500A)を用いて、Dry-up、Wet-upの順で測定された。BP細孔径は、5nm以上45nm以下であり、好ましくは10nm以上40nm以下、より好ましくは15nm以上35nm以下である。バブルポイント細孔径を上記範囲とすることにより、数nm以下の異物補足性能持ち、かつ透気性に非常に優れたものとすることができる。バブルポイント細孔径が5nm以上であると透水性が良好であり、フィルターとして用いた場合、液体が通りやすい。バブルポイント細孔径が45nm以下であると数nm以下の異物を捕集可能となり、フィルター性能として優れる。バブルポイント細孔径は、ポリオレフィン樹脂と成膜用溶剤の割合、延伸温度条件、延伸倍率、ゲル状シートの延伸後の熱固定処理温度条件を適宜調節したりすることにより、上記範囲とすることができる。
(V)平均流量孔径
ポリオレフィン微多孔膜の平均流量孔径は、POROUS MATERIALS, INC.製のパームポロメーター(商品名、型式:CFP-1500A)を用いて、Dry-up、Wet-upの順で測定される。平均流量孔径(微多孔質膜内の貫通孔の孔径)は、5nm以上25nm以下であることが好ましく、より好ましくは8nm以上23nm以下である。平均流量孔径は、第1及び第2のポリオレフィン樹脂中のポリプロピレンの含有量を上述した範囲で調整したり、後述するゲル状多層シートの熱固定工程などの処理条件を適宜調節したりすることにより、上記範囲とすることができる。
(VI)細孔径分布曲線
ポリオレフィン微多孔膜の細孔径分布曲線は、以下の方法で測定することができる。まず、乾燥状態の試料(以下、単に「乾燥試料」とも記す)と、測定液(パーフルオロポリエーテル)が細孔内に充填された湿潤状態の試料(以下、単に「湿潤試料」とも記す)のそれぞれについて、パームポロメーターを用いて空気圧と空気流量の関係を測定し、図2に示すような乾燥試料の通気曲線(Dry Curve)および湿潤試料の通気曲線(Wet Curve)を得る。
測定液が細孔内に充填された湿潤試料は、液体を満たした毛細管と同様の特性を示す。湿潤試料をポロメータにセットして空気圧を徐々に高めてゆくと、径の大きい細孔から順に、空気圧が細孔内の測定液の表面張力に打ち勝って測定液が当該細孔内から押し出され、それに伴って空気流量が徐々に増加することで、最終的に試料は乾燥状態となる。そのため、液体がその細孔から押し出される際の圧力を測定する事によって、細孔直径を算出できる。ここで、細孔の形状が略円柱状であると仮定すると、直径Dの細孔内に圧力Pの空気が侵入する条件は、測定液の表面張力をγ、測定液の接触角をθとして、下記の式1に示すWashburnの式で表される。
PD=4γcosθ ……(式1)
気泡の発生が最初に検出される測定点(最大孔径を示す測定点)をバブルポイン トと呼び、バブルポイントの標準的な測定方法としては、 例えばASTM F316-86に記載の方法が挙げられる。
また、パームポロメーターにおいて、各測定点の圧力をPとするとき、圧力Pにおける湿潤試料の空気流量をFwet,j、乾燥試料の空気流量をFdry,jとすると、累積フィルター流量(CFF:Cumulative Filter Flow,単位:%)および細孔径分布(PSF:Pore Size Frequency,単位:%)は、それぞれ以下の式によって算出される。
CFF=[(Fwet,j/Fdry,j)×100] ……(式2)
PSF=(CFF)j+1-(CFF)……(式3)
上記(式1)~(式3)を組み合わせることにより、乾燥状態および湿潤状態における空気流量の圧力変化に基づいて、細孔の直径Dと細孔径分布PSFの関係を示す細孔径分布曲線を求めることができる。このような細孔径分布曲線の一例を図2に示す。本実施形態に係るポリオレフィン微多孔膜は、上記細孔径分布曲線の圧力が0kPa~3000kPaの範囲において検出可能な細孔のうち、最大ピークを示す孔径をDp(nm)とするとき、0.9Dp~1.1Dpである孔の細孔径分布の合計値が、孔全体の85%以上であることを特徴とする。孔径が0.9Dp~1.1Dpである孔の細孔径分布の合計値は、孔全体の87%以上であることがより好ましい。この合計値が高いほど、均一な細孔径が存在している事を意味しており、ポリオレフィン微多孔膜の機械的強度や透気抵抗度の偏りが少なくなる。この値は高ければ高いほど望ましい。
(VII)透水量
ポリオレフィン微多孔膜の透水量は、以下の方法にて測定された。直径39mmのステンレス製透液セルにポリオレフィン微多孔膜をセットし、該ポリオレフィン微多孔膜を少量(0.5ml)のエタノールで湿潤させた後、純水100mlを透液セルに入れ、90kPaの差圧で純水を濾過させ、10分間経過した際の透水量(cm)から単位時間(min)・単位面積(cm)当たりの透水性とした。透水量は、0.010ml/min/cm以上0.150ml/min/cm以下が好ましく、より好ましくは、0.020ml/min/cm以上0.100ml/min/cm以下である。
2.ポリオレフィン微多孔膜の製造方法
本実施形態に係るポリオレフィン微多孔膜の製造方法としては、以下の工程(1)~(10)を含むことが好ましい。
(1)第1のポリオレフィン樹脂と成膜溶剤とを溶融混錬し、第1のポリオレフィン溶液を調整する工程
(2)第2のポリオレフィン樹脂と成膜溶剤とを溶融混錬し、第2のポリオレフィン溶液を調整する工程
(3)第1及び第2のポリオレフィン溶液を共押出し、得られた押出成形体を冷却することでゲル状多層シートを形成する工程
(4)ゲル状多層シートを延伸する延伸する第1の延伸工程
(5)延伸後のゲル状多層シートを前記延伸工程と同じ温度又はより高い温度で熱固定する工程
(6)熱固定後のゲル状多層シートから成膜溶剤を除去し、多層シートを得る工程
(7)得られた多層シートを乾燥する工程
(8)乾燥後の微多孔膜を延伸する第2の延伸工程
(9)乾燥後の微多孔膜を熱処理する工程
(10)延伸工程後の微多孔膜について架橋処理及び/又は親水化処理する工程
本実施形態の製造方法では、工程(1)、工程(2)において、上述した樹脂材料を使用した上で、工程(3)において、延伸後のゲル状多層シートを前記延伸工程と同じ温度又は高い温度で熱固定することにより、薄膜化した際も透気抵抗度及び空孔率に優れ、かつ孔径が小さいポリオレフィン微多孔膜を製造することができる。また、工程(4)、工程(8)において、第2の延伸工程における延伸温度を第1の延伸工程における延伸温度よりも低い温度にすることにより、孔径が小さく、かつ、高圧力下において高い液体透過性を有するポリオレフィン微多孔膜を製造することができる。以下、各工程について、それぞれ説明する。
工程(1)及び(2):混合、混錬
超高分子量ポリエチレンを2質量%以上50質量%未満の割合で含むポリオレフィン樹脂と成膜用溶剤とを含む樹脂溶液を溶融混錬し、ポリオレフィン溶液を調製する。ポリオレフィン樹脂と成膜用溶剤の溶融混錬する方法は特に限定されないが、二軸押出機中で行うことが好ましい。二軸押出機内のポリオレフィン溶液の温度の好ましい範囲は樹脂によって異なり、例えば、ポリエチレン組成物は140~250℃、押出機内のポリオレフィン溶液の温度については押出機内部もしくはシリンダ部に温度計を設置することで間接的に把握し、目標温度となるようシリンダ部のヒーター温度や回転数、吐出量を適宜調整する。成膜用溶剤は混練開始前に加えてもよく、混練中に途中から添加することもでき、溶融混練にあたってはポリオレフィン樹脂の酸化を防ぐために酸化防止剤を加えることが好ましい。
工程(3):押出し、キャスト
押出機内で溶融、混練されたポリオレフィン樹脂溶液を冷却することにより未延伸ゲル状シートを形成する。押出方法として、溶液を別々のマニホールドに供給して多層用口金の入口で層状に積層する方法(多層マニホールド法)、または溶液をあらかじめ層状の流れにして口金に供給する方法(ブロック法)を用いることができる。多層用フラットダイのギャップは0.1~5mmである。押出温度は140~250℃が好ましく、押出速度は0.2~15m/分が好ましい。第1及び第2のポリオレフィン溶液の各押出量を調節することにより、第1及び第2の微多孔質層の膜厚費を調節することができる。
得られた積層押出成形体を冷却することによりゲル状多層シートを形成する。冷却は少なくともゲル化温度までは50℃/分以上の速度で行うことが好ましい。冷却は35℃以下まで行うのが好ましい。冷却により、成膜用溶剤によって分離されたポリオレフィンのミクロ相を固定化することができる。冷却速度が上記範囲であると、結晶化度が適度な範囲に保たれ、延伸に適した未延伸ゲル状シートとなる。冷却方法としては冷風、冷却水等の冷媒に接触させる方法、冷却ロールに接触させる方法等を用いることができるが、冷媒で冷却したロールに接触させて冷却させることが好ましい。
工程(4):第1の延伸工程
次に、得られたゲル状シートを少なくとも長手方向と横手方向の二軸に延伸(第1の延伸)を行う。ゲル状シートは成膜用溶剤を含むので、均一に延伸される。ゲル状多層シートの延伸は、加熱後、テンター法、ロール法、インフレーション法、又はこれらの組合せにより所定の倍率で行うことが好ましい。二軸延伸の場合、同時二軸延伸が好ましい。
本工程における延伸倍率(面積延伸倍率)は、9倍以上が好ましく、16倍以上がより好ましく、25倍以上が特に好ましい。また、長手及び横手方向(以下、「長手方向」をMD、「横手方向」をTDと記すこともある)のいずれでも3倍以上が好ましく、MDとTDでの延伸倍率は、互いに同じであっても異なってもよい。延伸倍率を9倍以上とすると、突刺強度の向上が期待できる。なお、本工程における延伸倍率とは、本工程直前の微多孔質膜を基準として、次工程に供される直前の微多孔質膜の面積延伸倍率のことをいう。
本工程の延伸温度は、110以上125℃未満が好ましく、より好ましくは11以上120℃未満である。110℃未満の延伸では微細孔が均一に延伸されにくくなり、125℃以上の延伸の場合は、孔径が大きくなり比表面積が小さくなる。
以上のような延伸により、ポリエチレンラメラ間に開裂が起こり、ポリエチレン相が微細化し、多数のフィブリルが形成される。フィブリルは三次元的に不規則に連結した網目構造を形成する。延伸により機械的強度が向上するとともに細孔が拡大するが、適切な条件で延伸を行うと、貫通孔径を制御し、高い空孔率と広い比表面積を有する事が可能となる。
工程(5):熱固定
次に、得られた延伸フィルムの熱固定を行う。成膜溶剤を抽出する前の熱固定処理とは、テンター方式により延伸後のゲル状多層シートを40℃以上120℃未満の温度とすることが好ましく、熱固定を行う時間は約10~20秒程度である。熱固定が20秒以下であれば、ポリオレフィン樹脂の再結晶化によって繊維構造が厚化せず、高い比表面積を有する事が可能となる。これは、形成された網目構造の間に成膜溶剤があることで、網目構造を維持する事ができると考えられ、高い空孔率が得られる。熱固定温度を120℃以下、20秒以下行うことによってと、良好な空孔率が得られ、その結果、透水性が良好となる。
工程(6):成膜用溶剤の除去
熱固定後に得られた二軸延伸シートは、洗浄溶媒を用いて、成膜用溶剤の除去が行われる。ポリオレフィン相は成膜用溶剤相と相分離しているので、成膜用溶剤を除去すると、微細な三次元網目構造を形成するフィブリルからなり、三次元的に不規則に連通する孔を有する多孔質の膜が得られる。
工程(7):乾燥
成膜用溶剤を除去した微多孔膜を、加熱乾燥法又は風乾法により乾燥する。乾燥温度は第2のポリオレフィン樹脂の結晶分散温度(Tcd)以下であるのが好ましく、特にTcdより5℃以上低いことが好ましい。乾燥は、微多孔膜を100質量%(乾燥重量)として残存洗浄溶媒が5質量%以下になるまで行うのが好ましく、3質量%以下になるまで行うのがより好ましい。残存洗浄溶媒が上記範囲であることにより、第2の微多孔膜の延伸工程及び熱処理工程を行ったときに微多孔膜の空孔率が維持され、透過性の悪化を抑制することができる。
工程(8):第2の延伸工程
乾燥後の微多孔膜は、さらに、少なくとも一軸方向に延伸される。第2の延伸は、第1の延伸工程と同様にテンター法により行うことができる。延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよく、二軸延伸の場合には同時二軸延伸および逐次延伸のいずれでもよいが、同時二軸延伸が好ましい。また、本発明では、第2の延伸工程における延伸温度は95~135℃が好ましく、より好ましくは100~130℃であり、さらに好ましくは105~125℃である。
第2の延伸工程における微多孔膜の一軸方向への延伸倍率(面積延伸倍率)は、上限が1.5倍以下であるのが好ましく、より好ましくは1.4倍以下、さらに好ましくは1.3倍以下である。また、下限が0.7倍以上とするのが好ましい。二軸延伸の場合は、MD方向とTD方向での延伸倍率が互いに同じであっても異なってもよい。本工程における延伸倍率とは、本工程直前の微多孔膜を基準として、次工程に供される直前の微多孔膜の延伸倍率のことをいう。
工程(9):熱処理
乾燥後の微多孔膜には、熱処理を行ってもよい。熱処理によって微多孔質膜内の結晶が安定化し、ラメラが均一化される。熱処理方法としては、熱固定処理及び/又は熱緩和処理を用いることができる。熱固定処理とは、膜の寸法が変わらないように保持しながら加熱する熱処理である。熱緩和処理とは、膜を加熱中にMD方向やTD方向へ熱収縮させる熱処理である。熱固定処理は、テンター方式により行うのが好ましい。熱固定処理は40℃以上111℃未満で行う事が好ましい。成膜溶剤を抽出した後のフィルムを111℃以下で熱固定を行うとポリオレフィン樹脂の再結晶化が進みにくく、繊維構造の厚膜化が抑えられ、良好な比表面積が得られる。また40℃以上の場合、膜が収縮せずに安定する。
工程(10):架橋処理、親水化処理
接合後または延伸後のポリオレフィン微多孔膜に対して、さらに、架橋処理及び親水化処理を行うことができる。例えば、微多孔膜に対して、α線、β線、γ線、電子線等の電離放射線の照射をすることにより、架橋処理を行う。電子線の照射の場合、0.1~100Mradの電子線量が好ましく、100~300kVの加速電圧が好ましい。
3.液体濾過フィルター
上述したポリオレフィン微多孔膜は、液体濾過用フィルターとして用いることができる。特に、孔径が小さいにもかかわらず、流体の透過性に非常に優れるため、精密濾過用途フィルターとして好適に用いることができる。
濾過用フィルターとして使用する場合、被濾過流体の流れに対して、第1の層を上流側に配置し、第2の層を下流側に配置することが好ましい。これにより、従来のようにポリオレフィン微多孔膜に不織布などを積層することなく、孔径の大きい第1の層において、比較的大きな異物を捕集し、次いで、孔径の小さい第2の層において、微細な異物を捕集することができ、濾過効率やフィルター寿命に優れる。また、本実施形態に係るポリオレフィン微多孔膜は、流体の透過度に優れるため、濾過流量を大きくすることができる。
また、濾過用途フィルターとしては、第1の層/第2の層/第1の層をこの順に積層した、少なくとも3層構造とすることもできる。この場合、上述したように濾過効率やフィルター寿命、濾過流量などに優れるとともに、プロピレンを含む第2の層の両面にポリエチレンを含む第1の層があることにより、製造工程において、また濾過用フィルターとして使用する際に、第2の層が脱離したり欠損したりすることを防止し、より孔径の小さい第2の層を保護することができる。
さらに、ポリオレフィン微多孔膜を液体濾過用フィルターとして使用する場合、膜厚が薄いことにより、同じ大きさのフィルターカートリッジを収めることを想定した場合、濾材の厚さが薄いほど、濾材面積を大きくすることができる。また、別々のフィルムを熱癒着で接着した場合、空孔がつぶれて透過性が悪化するが、本実施形態に係るポリオレフィン微多孔膜は、一体成型により第1の層と第2の層の界面が絡み合い、異なる孔径の層が剥がれることなく空孔を保ちながら一体化したゲル状多層シートを成型することができる。
本実施形態に係る濾過フィルターによって処理される被濾過流体としては、特に限定されないが、例えば、フォトレジストなどの集積度半導体製造プロセス液体、現像液、シンナー、無機化学薬品などが挙げられる。特に、数nm以下の微細な異物を捕集することが求められる集積度半導体製造プロセス液体用の濾過フィルターとして好適に使用することができる。
また、液体濾過フィルターとして、第1の層及び第2の層以外のその他の層を配置してもよい。例えば、濾過流体の流れに対して、本実施形態のポリオレフィン微多孔膜の上流及び/又は下流に不織布を配置することもできる。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨の範囲内で種々に変形して実施することができる。
本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明の実施態様は、これらの実施例に限定されるものではない。
[評価方法、分析方法]
(1)膜厚(μm)
実施例で得られたポリオレフィン微多孔膜の任意の位置から95mm角に切り出して試験片とした。厚み接触膜厚計(ミツトヨ(Mitsutoyo)製ライトマチックVL-50B(測定子超硬球面測定子φ10.5mm))を用いて、試験片の任意の5点の各々の厚みを測定圧力0.01Nで測定した。これら5点の厚みの平均値をポリオレフィン微多孔膜の厚みとした。測定環境は23±2℃の範囲内とした。
(2)空孔率(%)
実施例で得られたポリオレフィン微多孔膜の任意の位置から95mm角に切り出して試験片とした。空孔率は、試験片の体積(cm)と質量(g)から、次式を用いて求めた。
空孔率=(1-試験片の質量/(ポリオレフィン樹脂密度×試験片の体積))×100……(式4)
ポリオレフィン樹脂密度は0.99g/cmとした。
(3)透気抵抗度(sec/100cm
実施例で得られたポリオレフィン微多孔膜の任意の位置から5cm角に切り出して試験片とした。旭精工(株)社製のデジタル型王研式透気抵抗度試験機EGO1を使用して、試験片の測定部にシワが入らないように固定し、JIS P-8117(2009)に従って透気抵抗度を測定した。測定部は試験片の中央部の1点とした。10個の試験片を測定し測定値の平均値を透気抵抗度とした。
(4)バブルポイント細孔径及び平均流量孔径(nm)
実施例で得られたポリオレフィン微多孔膜から切り出した試験片をPOROUS MATERIALS, INC.製のパームポロメーター(商品名、型式:CFP-1500A)を用いて、Dry-up、Wet-upの順で測定した。Wet-upでは、表面張力が既知のGalwick(パーフルオロポリエーテル)で十分に浸した試験片に圧力をかけ、空気が貫通し始める圧力から換算される孔径をバブルポイント細孔径(最大孔径)とした。平均流量径は、Dry-up測定で圧力、流量曲線の1/2の傾きを示す曲線と、Wet-up測定の曲線が交わる点の圧力から換算した。換算は下記の数式を用いた。
d=C・γ/P……(式5)
式中、「d(μm)」は平均流量孔径、「γ(dynes/cm)」は液体の表面張力、「P(Pa)」は圧力、「C」は定数である。本実施例の測定に用いたGalwickの表面張力はγ=15.6(dynes/cm)であり、測定に用いた圧力定数Cは2860である。
(5)細孔径分布
実施例で得られたポリオレフィン微多孔膜から切り出した試験片をPOROUS MATERIALS, INC.製のパームポロメーター(商品名、型式:CFP-1500A)を用いて、Dry-up、Wet-upの順で測定し、細孔径分布曲線を得た。得られた細孔径分布曲線において、0kPa~3000kPaの範囲で検出可能なすべての細孔数のうち、細孔径分布の最大ピークを示す孔径Dp(nm)としたときに0.9Dp~1.1Dpである細孔数の割合を計算して求めた。
(6)透水量(ml/min/cm) 実施例で得られたポリオレフィン微多孔膜から切り出した試験片を直径39mmのステンレス製透液セルにセットし、少量(0.5ml)のエタノールで試験片を湿潤させた後、純水100mlを透液セルに入れ、90kPaの差圧で純水を濾過させ、10分間の透水量(ml)を測定した。これを単位時間(min)・単位面積(cm)当たりの透水量に換算した。測定を行った室温は24±1℃、純水温度は24±1℃とした。
(7)重量平均分子量(Mw)
UHMwPE及びHDPEのMwについて、以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求めた。
・測定装置:Waters Corporation製GPC―150C
・カラム:昭和電工株式会社製Shodex UT806M
・カラム温度:135℃
・溶媒(移動相):o―ジクロルベンゼン
・溶媒流速:1.0ml/分
・試料濃度:0.1wt%(溶解条件:135℃/1時間)
・インジェクション量:500μl
・検出器:Waters Corporation製ディファレンシャルリフラクトメーター(RI検出器)
・検量線:単分散ポリスチレン標準試料を用いて得られた検量線から、所定の換算定数を用いて作成した。
[実施例1]
(1)第1のポリオレフィン溶液の調整
Mwが2.0×10の超高分子量ポリエチレン(UHPE)30質量%及びMwが5.6×10の高密度ポリチレン70質量%からなる第1のポリオレフィン樹脂100質量部に、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン0.2質量部を配合し、混合物を調製した。得られた混合物28.5質量部を強混練タイプの二軸押出機に投入し、二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン[35cSt(40℃)]71.5質量部を供給し、230℃及び250rpmの条件で溶融混練して、第1のポリオレフィン樹脂溶液を調製した。
(2)第2のポリオレフィン溶液の調整
Mwが5.6×10の超高分子量ポリエチレン(UHPE)50質量%及びMwが1.6×10のポリプロピレン(PP)50質量%からなる第2のポリオレフィン系樹脂100質量部に、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン0.2質量部を配合し、混合物を調製した。得られた混合物30質量部を強混練タイプの二軸押出機に投入し、二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン[35cSt(40℃)]70質量部を供給し、上記第1のポリオレフィン樹脂と同様の条件で溶融混練して、第2のポリオレフィン樹脂溶液を調製した。
(3)押出
第1及び第2のポリオレフィン溶液を、各二軸押出機から3層用口金に供給し、第1の層/第2の層/第1の層の層厚比が40/20/40となるように押し出した。押出し成形体を、30℃に温調した冷却ロールで引き取り、引き取りながら冷却し、未延伸ゲル状三層シートを形成した。
(4)第1の延伸、成膜用溶剤の除去、乾燥
得られた未延伸ゲル状三層シートを、第1の延伸として113℃の温度に設定したテンター装置で縦方向に5倍、横方向に5倍とする同時二軸延伸を行った後に119℃で熱固定を行い、二軸延伸シートを得た。得られた二軸延伸シートを塩化メチレンで洗浄して残留する流動パラフィンを抽出除去し、乾燥した。乾燥後の二軸延伸シートをテンター方式延伸機にて、第2の延伸として111℃まで加温し、延伸機入口幅に対して、1.0倍となるよう再延伸し、固定温度110℃にて熱処理を行い、膜厚10μmのポリオレフィン微多孔膜を得た。得られたポリオレフィン微多孔膜の各成分の配合割合、製造条件、物性等を表1に記載した。
[実施例2]
実施例1のポリオレフィン微多孔膜の製膜において、樹脂の押出量を実施例1の1.2倍にした以外は実施例1と同様にし、第1の延伸として113℃に設定したテンター装置で縦方向に5倍、横方向に5倍に同時延伸を行った後に第2の延伸として111℃にて1.0倍に再延伸し、膜厚12μmのポリオレフィン微多孔膜を得た。得られたポリエチレン微多孔膜の各成分の配合割合、製造条件、物性等を表1に記載した。
[実施例3]
実施例1のポリオレフィン微多孔膜の製膜において、樹脂の押出量を実施例1の0.8倍にした以外は実施例1と同様にし、第1の延伸として113℃に設定したテンター装置で縦方向に5倍、横方向に5倍に同時延伸を行った後に第2の延伸として111℃にて1.0倍に再延伸し、膜厚8.5μmのポリオレフィン微多孔膜を得た。得られたポリエチレン微多孔膜の各成分の配合割合、製造条件、物性等を表1に記載した。
[比較例1]
Mwが2.0×10の超高分子量ポリエチレン(UHPE)40質量%及びMwが5.6×10の高密度ポリチレン60質量%からなる第1のポリオレフィン樹脂100質量部に、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン0.2質量部を配合し、混合物を調製した。得られた混合物25質量部を強混練タイプの二軸押出機に投入し、二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン[35cSt(40℃)]75質量部を供給し、230℃及び250rpmの条件で溶融混練して、第1のポリオレフィン樹脂溶液を調製した。
Mwが5.6×10の超高分子量ポリエチレン(UHPE)50質量%及びMwが1.6×10のポリプロピレン(PP)50質量%からなる第2のポリオレフィン系樹脂100質量部に、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン0.2質量部を配合し、混合物を調製した。得られた混合物30質量部を強混練タイプの二軸押出機に投入し、二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン[35cSt(40℃)]70質量部を供給し、上記第1のポリオレフィン樹脂と同様の条件で溶融混練して、第2のポリオレフィン樹脂溶液を調製した。
第1及び第2のポリオレフィン溶液を、各二軸押出機から3層用口金に供給し、第1のポリオレフィン溶液/第2のポリオレフィン溶液/第1のポリオレフィン溶液の層厚比が40/20/40となるように押し出した。押出し成形体を、30℃に温調した冷却ロールで引き取り、引き取りながら冷却し、未延伸ゲル状三層シートを形成した。得られた未延伸ゲル状三層シートを113℃の温度に設定したテンター装置で縦方向に5倍、横方向に5倍とする同時二軸延伸を行った後に119℃で熱固定を行い、二軸延伸シートを得た。得られた二軸延伸シートを塩化メチレンで洗浄して残留する流動パラフィンを抽出除去し、乾燥した。乾燥後の二軸延伸シートをテンター方式延伸機にて、123℃まで加温し、延伸機入口幅に対して、1.4倍となるよう再延伸し、110℃にて熱処理を行い、膜厚9.2μmのポリオレフィン微多孔膜を得た。得られたポリオレフィン微多孔膜の各成分の配合割合、製造条件、物性等を表1に記載した。
[比較例2]
比較例1のポリオレフィン微多孔膜の製膜において、得られた未延伸ゲル状シートを116℃に設定したテンター装置で縦方向に5倍、横方向に5倍に同時延伸を行い、成膜用溶剤で洗浄する前に119℃で熱固定を行った以外は比較例1と同様にし、膜厚9.6μmのポリオレフィン微多孔膜を得た。得られたポリオレフィン微多孔膜の各成分の配合割合、製造条件、物性等を表1に記載した。
[比較例3]
比較例1のポリオレフィン微多孔膜の製膜において、得られた未延伸ゲル状シートを114℃に設定したテンター装置で縦方向に5倍、横方向に5倍に同時延伸を行い、成膜用溶剤で洗浄する前に122℃で熱固定を行った以外は比較例1と同様にし、膜厚9.5μmのポリオレフィン微多孔膜を得た。得られたポリオレフィン微多孔膜の各成分の配合割合、製造条件、物性等を表1に記載した。
Figure 2022059158000001
(評価)
表1に示す通り、実施例1~3のポリオレフィン微多孔膜においては、膜厚が9~12μm、空孔率が52~53%、平均流量孔径が15~17nm、バブルポイント細孔径が24~26nmであり、細孔径分布曲線において、0kPa~3000kPaの範囲で検出可能な細孔のうち、細孔径分布の最大ピークを示す孔径Dp(nm)としたときの0.9Dp~1.1Dpである孔の細孔径分布の合計値が孔全体の90~94%と孔径が均一なポリオレフィン微多孔膜となった。
一方、比較例においては、細孔径分布曲線における0kPa~3000kPaの範囲で検出可能な細孔のうち、細孔径分布の最大ピークを示す孔径Dp(nm)としたときの0.9Dp~1.1Dpである孔の細孔径分布の合計値が孔全体の79~84%であり、孔径が不均一であることによって、濾過フィルターに使用した際に、高い圧力のかかる部分と低圧力のかかる部分とがフィルター内に生じ、均一に液体を濾過できず透過性能が低下してしまった。

Claims (5)

  1. 第1の層と第2の層を少なくとも有する、下記の要件(I)~(III)を満たす、濾過フィルター用ポリオレフィン微多孔膜。
    (I)平均流量孔径が5nm以上25nm以下である。
    (II)乾燥状態および湿潤状態における空気流量の圧力変化から求められる細孔径分布曲線において、0kPa~3000kPaの範囲で検出可能な細孔のうち、細孔径分布の最大ピークを示す孔径をDp(nm)とするとき、0.9Dp~1.1Dpである孔の細孔径分布の合計値が孔全体の85%以上である。
    (III)空孔率が49%以上である。
  2. 前記第1の層は、ポリエチレンを含む第1のポリオレフィン樹脂からなり、前記第2の層は、ポリエチレン及びポリプロピレンを含む第2のポリオレフィン樹脂からなる、請求項1に記載の濾過フィルター用ポリオレフィン微多孔膜。
  3. 前記濾過フィルター用ポリオレフィン微多孔膜のバブルポイント細孔径が5nm以上45nm以下である、請求項1、2のいずれかに記載の濾過フィルター用ポリオレフィン微多孔膜。
  4. 前記濾過フィルター用ポリオレフィン微多孔膜の膜厚が8μm以上35μm以下である、請求項1~3のいずれかに記載の濾過フィルター用ポリオレフィン微多孔膜。
  5. 被濾過流体の流れに対して、上流側から、前記第1の層及び第2の層がこの順に少なくとも配置される請求項1~4に記載の濾過フィルター用ポリオレフィン微多孔膜を備える、濾過装置。

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