JP2022048266A - 立体網状構造体の製造方法及び立体網状構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】不織布等を簡単かつ確実に立体網状構造体に結合させる。【解決手段】多孔金型24Aを装着している金型台23Aに鉛直方向に連続し外気の流通する外気貫通空洞部23Cを設け、外気貫通空洞部23Cから不織布6A,6B、強化網26A、有孔板26B及び複合体8Aの少なくとも1つを降下させ、外気貫通空洞部23Cを挟んで両側に配置した多孔金型24Aから液体冷媒1に螺旋を描きながら降下する溶融線条5Aと接触させながら進行させることにより、不織布6A、強化網26A及び有孔板26Bの少なくとも1つと立体網状構造体7Aの同時形成多層複合体8Iを形成する。【選択図】図9

Description

本発明は、合成樹脂製の立体網状構造体の製造過程で、立体網状構造体に不織布、強化網等を熱溶着させる立体網状構造体の製造方法及び立体網状構造体に関する。
この種の立体網状構造体を形成する過程で不織布を溶着させる製造方法は知られている。例えば、特許文献1及び2に記載されている製造方法では、垂直下向きに被搬送物を挟んで搬送するコンベアを水槽内に設置し、コンベアを進行させるベルトコンベア等の上端が水面から出る高さまで水を満たし、一対のコンベアに1枚又は2枚の不織布等を設置し、一対のコンベア間に合成樹脂の複数の溶融線条を螺旋状に垂直に投下しながらコンベアを下向きに進行させ、水中で冷却固化し、樹脂製の立体網状構造体と不織布の複合体を製造するようにしている。
特開平11-241263号公報 特開昭55-17527号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2の製造方法では、水面よりも上の部分での2枚の不織布の間隔は、水面下のコンベアの間隔よりも広く、立体網状構造体を構成する複数の溶融線条が水面付近で、2枚の不織布の間隔と同じ厚さの範囲で集積して相互に溶着して固まった場合、コンベアの間隔よりも大きな成形物が無理矢理にコンベアを通過することとなり、コンベアを前進させるモータや、途中に設置している減速装置に過大な負担がかかる。また、モータ等の動力の最大駆動力を超えると立体網状構造体は前進できなくなり、連続供給される溶融線条がコンベア入り口で固まってしまうことが考えられる。特に、不織布との溶着強度を上げるために、水面上での滞在時間を長くすると、水面付近で、まだコンベアの等間隔領域まで到達していない網目構成繊維の滞在時間も長くなり、コンベア等間隔部分の間隔よりも厚い立体網状構造体の固化物が形成され、コンベアの駆動装置に過大な負担をかけ、製品の形状(厚さや網目密度)も不均一となることが考えられる。
また水面の水位を常に一定に保持し、さらに水温を一定に保持できなければ、溶融線条の冷却速度が変化し、立体網状構造体が冷却固化する位置や、固化した構造体の厚さが変動し、コンベアの前進用のモータへの負担、進行速度が変動し、均一な密度や厚さの立体網状構造体の安定生産が困難となることが考えられる。場合によっては駆動のためのモータや減速機器、コンベア等の故障や破損につながることも考えられる。
また網目密度を増やすとコンベア入り口で固まりやすくなるため、完成した立体網状構造体の網目密度は限定され、圧縮強度などを高くすることは困難である。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、不織布等を簡単かつ確実に立体網状構造体に結合させることにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、一対のガイド部を設けて不織布と溶融線条とを確実に熱溶着させるようにした。
具体的には、第1の発明では、液体貯留槽(4)に満たした液体冷媒(1)内に一対の厚さ規定板(2A,2B)を設置し、
上記一対の厚さ規定板(2A,2B)上の冷媒液面(1a)よりも上方に、一対のガイド部(3A,3B)を設置し、
上記一対のガイド部(3A,3B)の下端の内幅が、上記一対の厚さ規定板(2A,2B)の内幅とほぼ等しくなるように調整し、
上記一対のガイド部(3A,3B)の上に不織布(6A,6B)をそれぞれ乗せて上記液体冷媒(1)の冷媒液面(1a)に向かって進行させている過程で、
加熱溶融した溶融樹脂(22B)を、溶融樹脂押出孔(24B)をあけた複数の多孔金型(24A)から押し出して複数の溶融線条(5A)とし、
上記複数の溶融線条(5A)が溶融している状態で上記液体冷媒(1)の冷媒液面(1a)上に螺旋状に落下させ、互いの溶融線条(5A)を相互に熱溶着させながら立体網状に積み重ねて立体網状構造体(7A)を形成しながら、上記不織布(6A,6B)と同じ速度で液体冷媒(1)の中に降下させ、
上記溶融線条(5A)と上記不織布(6A,6B)とが接触し溶着しながら上記厚さ規定板(2A,2B)に挟まれた状態で上記液体冷媒(1)で冷却させることにより、固化した立体網状構造体(7A)を形成し、
上記立体網状構造体(7A)の幅広面(7C,7D)に不織布(6A,6B)を溶着させて複合体(8A)を製造する構成とする。
上記の構成によると、不織布と立体網状構造体とをコンベア等で無理矢理液体冷媒内に引き込むのではなく、不織布をガイド部でガイドしながら、立体網状構造体と共に厚さ規定板の間を通過させるので、不織布が立体網状構造体に確実に溶着すると共に、厚さが一定で波打ち等のない平坦面を有する複合体が得られる。
第2の発明では、第1の発明において、
上記一対のガイド部は、一対の板状の傾斜板(3A,3B)又は一対の棒状の不織布引き寄せ棒であり、
上記一対のガイド部の下端の高さは、上記冷媒液面(1a)から0.5mm以上200mm以下である。
上記の構成によると、高すぎない位置で少なくとも冷媒液面から離れた位置で溶融線条と不織布とを接触させることで、確実に両者が溶着される。また、ある程度距離を保つことで、溶融線条と不織布との溶着力を高めることもできる。
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
上記不織布(6A,6B)は、構成繊維の外径が10μm以上200μm以下で、厚さが1mm以上20mm以下の合成樹脂製である。
上記の構成によると、多様な用途の立体網状構造体が不織布で覆われた複合体が得られる。
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、
上記加熱溶融した溶融樹脂(22B)を、太さ0.1mm以上20mm以下の溶融樹脂押出孔(24B)をあけた多孔金型(24A)から、秒速10mm以上500mm以下の速度で押し出して太さ0.1mm以上20mm以下の溶融線条(5A)とする。
上記の構成によると、細すぎず太すぎない溶融線条を適度な速度で供給することによって多様な用途の立体網状構造体が不織布で覆われた複合体が得られる。
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、
溶融線条(5A)と接するよりも前に、上記不織布(6A,6B)の上面に、上記溶融線条(5A)と上記不織布(6A,6B)とを仕切る遮蔽板(12A,12B)を間欠的に出し入れし、
上記不織布(6A,6B)と、幅広面外縁の上記溶融線条(5A)との溶着を間欠的に阻止しながら、不織布(6A,6B)間に積み重なった溶融線条(5A)の立体網状構造体(7A)を連続形成させることにより、
任意の箇所で部分的に不織布(6A,6B)と立体網状構造体(7A)との溶着がされていない溶着中止部分(14A)を有する複合体(8B)を製造する。
上記の構成によると、溶着中止部分を切断除去したときに、溶着していない不織布を用いて立体網状構造体の側面を覆うことができる。
第6の発明では、第5の発明において、
上記遮蔽板(12A,12B)を使用して、上記不織布(6A,6B)と上記溶融線条(5A)の溶着を阻止している間に、厚さ規定板(2A,2B)とガイド部(3A,3B)と遮蔽板(12A,12B)を同時に下方に下げ、
上記遮蔽板(12A,12B)の下端が上記液体冷媒(1)の液面下の状態として、不織布(6A,6B)と溶融線条(5A)の溶着を阻止し、部分的に不織布(6A,6B)と立体網状構造体(7)との溶着がされていない溶着中止部分(14A)を有する複合体(8B)を製造する。
上記の構成によると、溶着中止部分を有する複合体を容易かつ確実に製造できる。
第7の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、
上記不織布(6A,6B)が上記溶融線条(5A)に接する前に、不織布(6A,6B)に液体冷媒(1)を投下し、不織布(6A,6B)が液体冷媒(1)を含んだ状態で溶融線条(5A)と接し、溶融線条(5A)の表面が冷却されて該不織布(6A,6B)と熱溶着しないまま、他の溶融線条(5A)と熱溶着させながら、立体網状に積み重ねることにより、
上記不織布(6A,6B)に挟まれた立体網状構造体(7A)を連続形成し、部分的に上記不織布(6A,6B)と固化した立体網状構造体(7A)との溶着がされていない溶着中止部分(14A)を有する複合体(8B)を製造する。
上記の構成によると、溶着中止部分を有する複合体を容易かつ確実に製造できる。
第8の発明では、第7の発明において、
上記溶着中止部分(14A)の形成時に、液体冷媒(1)中での立体網状構造体(7)と不織布(6A,6B)を降下させる送りローラ(15A~15D)及び送りドラム(16A)の進行速度を通常時よりも速い速度で回転させることにより、
上記立体網状構造体(7A)と上記不織布(6A,6B)が分離し、かつ隣り合う溶融線条(5A)が相互溶着せずに独立し、切り取り除去が容易な網目密度の低い間延び部分(14E)を有する複合体(8C)を製造する。
上記の構成によると、切断除去する部分の材料費を削減できる上、製造速度を速めることができる。また、間延び部分は、樹脂繊維の集積密度が低いので、ハサミ等で簡単に切断することができる。
第9の発明では、第8の発明において、
上記溶着中止部分(14A)の形成時に、上記送りローラ(15A~15D)及び送りドラム(16A)の進行速度を通常時の5倍以上50倍以下の範囲で増加させる構成とする。
上記の構成によると、進行速度を最適にすることで、材料費及び製造速度を適正化できる。
第10の発明では、第1から第9のいずれか1つの発明において、
不織布の代わりに、合成樹脂、金属又は炭素繊維で作られた強化網(26A)又は繊維強化樹脂製若しくは金属製の有孔板(26B)を溶融線条(5A)と溶着させて強化網(26A)又は有孔板(26B)と合成樹脂の立体網状構造体(7A)との複合体(8D)を製造する。
上記の構成によると、多様な用途の複合体が容易に得られる。
第11の発明では、第1から第10のいずれか1つの発明において、
上記不織布(6A,6B)の上記溶融線条(5A)が接触する上面に、合成樹脂、合成繊維、金属繊維若しくは炭素繊維で作られた強化網(26A)又は繊維強化樹脂製若しくは金属製の有孔板(26B)を重ねながら、上記不織布(6A,6B)と強化網(26A)又は有孔板(26B)とを同じ速度で進行させながら、上記立体網状構造体(7A)を構成する溶融線条(5A)を降下させ、
上記不織布(6A,6B)と固化した立体網状構造体(7A)の間に上記強化網(26A)又は有孔板(26B)を有する複合体(8E)を製造する。
上記の構成によると、強化網又は有孔板を含む多様な用途の複合体を容易かつ確実に製造できる。
第12の発明では、第1から第11のいずれか1つの発明において、
上記複合体(8A,8B,8C,8D,8E)のうちの少なくとも1枚を再び、上記ガイド部(3A,3B)の上から挿入し、
上記多孔金型(24A)から降下させた溶融線条(5A)とともに進行させることにより多層の複合体(8G)を形成する多層複合体形成工程を含む構成とする。
上記の構成によると、多様な用途の多層の複合体が容易に得られる。
第13の発明では、第12の発明において、
上記多層複合体形成工程を繰り返し、
上記不織布(6A,6B)、強化網(26A)及び有孔板(26B)の少なくとも1つと立体網状構造体(7A)との多層複合体(8G)を形成する。
上記の構成によると、多様な用途の多層の複合体が容易に得られる。
第14の発明では、第1から第12のいずれか1つの発明において、
上記多孔金型(24A)から溶融線条(5A)を降下させ立体網状構造体(7A)の複合体を形成する際に、他の側面に比べて面積の広い一対の幅広面の一方には、不織布(6A,6B)、強化網(26A)又は有孔板(26B)を挿入せず、冷媒液面(1a)から上にはガイド部(3A,3B)を設置せず、外面が不織布(6A,6B)で覆われていない立体網状構造体(7A)となっている多層複合体(8H)を形成する構成とする。
上記の構成によると、多様な用途の多層の複合体が容易に得られる。
第15の発明において、
多孔金型(24A)を装着している金型台(23A)に鉛直方向に連続し外気の流通する外気貫通空洞部(23C)を設け、この外気貫通空洞部(23C)から不織布(6A,6B)や強化網(26A)や有孔板(26B)や複合体(8A)を降下させ、
上記外気貫通空洞部(23C)を挟んで両側に配置した多孔金型(24A)から液体冷媒(1)に螺旋を描きながら降下する溶融線条(5A)と接触させながら進行させることにより、不織布(6A)、強化網(26A)及び有孔板(26B)の少なくとも1つと立体網状構造体(7A)の同時形成多層複合体(8I)を形成する。
上記の構成によると、多様な用途の多層の複合体が容易に得られる。
第16の発明では、第1から第15のいずれか1つの発明において、
上記不織布(6A,6B)は、構成繊維同士での融着をしないスパンボンド不織布である。
上記の構成によると、送りドラムの表面の針が不織布を貫通しても、不織布構成繊維が切れずに横にずれるだけであり、不織布の強度低下を生じず、横ズレした繊維が元の位置に戻れば、不織布本来の濾過性能を発揮できる点で有利である。
第17の発明では、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、ポリオレフィンエラストマー、エチレン酢酸ビニル共重合体のいずれかを含む熱可塑性樹脂が螺旋状の溶融線条が相互に熱溶着されて立体網状に積み重ねられた立体網状構造体(7A)の少なくとも一方の面に合成樹脂、合成繊維、金属繊維若しくは炭素繊維で作られた強化網(26A)又は繊維強化樹脂製若しくは金属製の有孔板(26B)が溶着された複合体(8D)である。
上記の構成によると、多様な用途の多層の複合体が容易に得られる。
第18の発明では、螺旋状の溶融線条が相互に熱溶着されて立体網状に積み重ねられた立体網状構造体(7A)の少なくとも一方の面に合成樹脂、合成繊維、金属繊維若しくは炭素繊維で作られた強化網(26A)又は繊維強化樹脂製若しくは金属製の有孔板(26B)と不織布(6A,6B)とが積層された多層複合体(8G)である。
上記の構成によると、多様な用途の多層の複合体が容易に得られる。
以上説明したように、本発明によれば、不織布等を簡単かつ確実に立体網状構造体に結合させることができる。
本発明の実施形態1に係る立体網状構造体の製造装置全体を示す概略正面図である。 傾斜板、厚さ規定板及びその周辺を拡大して示す概略正面図である。 傾斜板、厚さ規定板及び幅規定板を示す正面図である。 傾斜板、厚さ規定板及び幅規定板を示す側面図である。 加工中の複合体を示す正面図である。 間延び部分を形成したときの複合体を示す正面図である。 間延び部分を切断したときの分解正面図である。 実施形態1の変形例1に係る製造装置を一部拡大して示す図2相当図である。 実施形態1の変形例1に係る傾斜板及び遮蔽板の概略を拡大して示す正面図である。 実施形態1の変形例1に係る他の形態の傾斜板及び遮蔽板の概略を拡大して示す正面図である。 実施形態1の変形例3に係る加工中の複合体を示す側面図である。 実施形態1の変形例3に係る加工中の複合体を示す平面図である。 実施形態2に係る傾斜板、遮蔽板及びその周辺の概略を拡大して示す正面図である。 実施形態2の変形例に係る傾斜板、遮蔽板及びその周辺の概略を拡大して示す正面図である。 実施形態2の変形例に係る押さえ板を拡大して示す斜視図である。 実施形態2に係る有孔板を拡大して示す正面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
-製造装置の構成-
図1及び図2に本発明の実施形態1に係る製造装置50を示すように、まず、水などの液体冷媒1を貯留した液体貯留槽4を用意する。液体冷媒1は、水以外に添加物を含む水溶液等でもよい。この液体冷媒1の冷媒液面1aよりも上に、加熱溶融した樹脂を供給する押出機20を配置する。この押出機20は、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、ポリオレフィンエラストマー、エチレン酢酸ビニル共重合体等のいずれかを含む熱可塑性樹脂を加熱溶融可能に構成されており、この溶融樹脂22Bを多孔金型24Aにあけた例えば10個以上10万個以下の溶融樹脂押出孔24Bから太さ0.1mm以上20mm以下の太さで押し出すように構成されている。本実施形態では、多孔金型24Aの溶融線条5Aの吹き出し面24Cから、液体冷媒1の冷媒液面1aまでの距離H1を例えば0.5mm以上200mm以下とする(0.5mm≦H1≦200mm)。
また、詳しくは図示しないが、加熱された液体冷媒1を冷媒用ポンプで汲み上げて冷媒冷却装置に送り込み、規定温度まで冷却後、再び溶融線条5Aや立体網状構造体7Aの冷却用に使用する。冷媒が水であれば、上水道又は地下水を利用し、液体貯留槽A内の冷媒供給口から注入し、使用後の熱水は、すべてを外部に排水するか、一部を冷却して再利用して溶融線条5Aの冷却用として冷媒供給口(図示せず)から注入する。
本実施形態では、液体貯留槽4の冷媒液面1a側に不織布6A,6Bを供給するために不織布6A,6Bが巻かれた不織布ロール6Dが適宜配置されている。不織布6A,6Bは、不織布供給ローラ6Eで適宜ガイドしながら所定の速度で供給するとよい。不織布6A,6Bは、例えば、構成繊維の外径が10μm以上200μm以下で、厚さが1mm以上20mm以下の合成樹脂製であり、押出機20内の熱可塑性樹脂と同じか互いに溶着しやすい材料が適している。
そこで、押出機20から溶融している状態の溶融樹脂22Bを冷媒液面1a上に螺旋状に落下させ、互いの繊維を相互に熱溶着させて積み重ねながら、その外縁の溶融線条5Aに接する位置を通過する不織布6A,6Bと同じ速度で液体冷媒1中に降下させ、外縁の溶融線条5が冷媒液面1aに沈む以前の空気中で不織布6A,6Bに強固に溶着し、溶融線条5同士も強固に結着した、不織布6A,6Bと立体網状構造体7Aの複合体8Aを形成することができるようになっている。
本実施形態では、不織布6A,6Bと立体網状構造体7Aの複合体8Aの厚さが変動しないように、また完成した複合体8Aが、波打ち等のない平坦な複合体8Aとなるように、厚さを規定する厚さ規定板2A,2Bが設置されている。図3A及び図3Bに示すように、この厚さ規定板2A,2Bの他に、幅を一定とするための幅規定板2C,2Dを設置してもよい。
本実施形態では、厚さ規定板2A,2Bと幅規定板2C,2Dについては、深さ方向鉛直方向の長さを例えば3cm以上とし、複合体8Aを前進させる送りローラ15A~15Dや送りドラム16Aをこれらの厚さ規定板2A,2Bや幅規定板2C,2Dの下に配置し、複合体8Aの厚さや幅が一定の平坦な状態で液体冷媒1内で冷却固化された後に、送りローラ15A~15Dや送りドラム16Aに挟まれて前進するようにする。
厚さ規定板2A,2Bや幅規定板2C,2Dの上からは不織布6A,6Bと溶融線条5Aが連続して供給され続け、送りローラ15A~15Dや送りドラム16Aが回転し続けることにより、不織布6A,6Bと立体網状構造体7Aの連続で相互溶着した複合体8Aが、連続して形成されるようになっている。
液体貯留槽4内に設けた複合体8Aなどを進行させる送りローラ15A~15D及び送りドラム16Aは、例えば直径10cm以上3m以下とし、例えば、その表面には1mm以上5mm以下の細かい凹凸の付いたゴムシートを貼るか、前後両方又は片方の送りローラ15A~15Dの表面に太さ0.5mm以上2mm以下、長さ2mm以上30mm以下の針を面積1cm当たり2本から10本を並べて設置し、送りローラ15A~15Dや送りドラム16Aと複合体8A等との滑りを防ぎ、送りの推進力を複合体8Aに確実に伝え、複合体8Aの厚さや密度を均一に保つようにしている。送りローラ15A~15Dや送りドラム16Aが金属製の場合は、ローレットがけなどで複合体8Aとドラム表面の摩擦を増やし、滑りを防ぐようにしてもよい。
なお、完成した複合体8Aで、針付きドラム面に接していた面を区別しておき、複合体8Aを使用する用途により、設置表裏を区別してもよい。例えば、複合体8Aを液中の粒子濾過除去に使用する場合、大きめの粒子を予備除去する場合には、濾過水流の上流側に釘付きドラムに接触した面を向け、大きめの粒子を除去した後、もう一方の面の不織布6A,6Bで、より細かい粒子を濾過除去する方法に利用可能である。
また、針付きドラム接触面側を濾過用途以外の機械設置面や壁面への粘着固定面とする場合であれば針付きドラム面に接触した面で不織布6A,6Bの強度の低下程度に大きな差がないならば、使用に差し支えない。不織布6A,6Bの厚さよりも針長さが短い場合で、濾過性能には大きな差を生じない場合には、針接触面でも接触していない面でも同等に扱いが可能となる。
また、送りドラム16Aが、送りローラ15A~15Dに比べて大径のドラムの場合、ドラム直径が増加する程曲率半径が増加し、曲がりが緩くなり、完成した複合体8Aの曲がり癖がつきにくく、かつ、複合体8Aとドラムの接触面積が増加するので、複合体8Aと送りドラム16A間のズレも少なくなる。
後述するように、複合体8Cの途中切断のために網目密度を下げるために通常の引き取り速度に対して最大10倍の速度で引き取ってもよい。このような場合でも、複合体8Cとの滑りが生じにくく、接触面積が大きくなる大口径ドラムでの引き取りは、有利となる。
なお、図1に示すように、送りローラ15Aと送りローラ15Bとの間及びローラ15Cとローラ15Dとの間に複合体8Aの巻き込み防止用の複合体進行ガイド17Aを設けてもよい。
また立体網状構造体7Aを構成する溶融線条5Aとともに降下させる不織布6A,6Bを、不織布6A,6Bの構成繊維同士での融着をしないスパンボンド不織布とすることにより、ドラム表面の針が不織布6A,6Bを貫通しても、不織布構成繊維が切れずに横にずれるだけであり、不織布6A,6Bの強度低下を生じず、横ズレした繊維が元の位置に戻れば、不織布6A,6B本来の濾過性能を発揮できる点で有利である。
大径の送りドラム16Aでは、ドラム直径が増加する程曲率半径が増加し、曲がりが緩くなり、できた複合体8Aの曲がり癖がつきにくく、かつ、複合体8Aとドラムの接触面積が増加するので、複合体8Aとドラム間のズレも少なくなる。後述するように、複合体8Aの途中切断のために網目密度を下げるために通常の引き取り速度に対して最大50倍の速度で引き取る場合があり、このような用途でも、複合体8Aとの滑りが生じにくく、接触面積が大きくなる大口径ドラムでの引き取りは有利となる。
大径の送りドラム16Aを用いる代わりに、小径の送りドラムを複数用い、これらをできた複合体8A等が通過すべき経路に沿って配置する方法や、ベルトやチェーン片側に針やゴム突起を付けたものを配置し駆動することで対応が可能である。大径の送りドラム16Aでは冷媒液面上に出た送りドラム16Aが邪魔になるが、小径ドラムやベルト、チェーンでは複合体8Aを押さえる部分のみ液体冷媒1中にあれば複合体8Aの冷却や送りが可能であり、冷媒液面1a上の空間が他の機械部分のスペースに利用でき、製造装置50の設計上有利となる。
-傾斜板の構成-
さらに本実施形態では、図2~図3Bに示すように、液体冷媒液面下の2枚、一対の厚さ規定板2A,2Bの上で、溶融線条5Aを形成させる多孔金型24Aとの間に、不織布6A,6Bが一定角度で冷媒液面内に進入するためのガイド部としての傾斜板3A,3Bが設置される。
本実施形態では、厚さ規定板2A,2Bの上端、傾斜板3A,3Bの下端を冷媒液面1aよりも例えば、高さ0.5mm以上200mm以下だけ上方に配置し、溶融線条5が集積した立体網状構造体7Aが液体冷媒1に冷却される以前に、厚さ規定板2A,2Bと幅規定板2C,2Dの間を進行することにより、一定幅で一定厚さの複合体8Aの形成を可能としている。
また冷媒液面1aより上の、傾斜板3A,3Bの不織布接触部分の傾斜角度を、水平に対し5度から80度の範囲で調整ができる構造とすれば、角度調整により幅広面外縁の溶融線条5Aと不織布6A,6Bが接触した際の接触長さや接触溶着する繊維の本数を調整したり、液体冷媒1内での冷却固化時の、立体網状構造体7Aの積層状態を調整することが可能となる。
図2に示すように、厚さ規定板2A,2Bの上端と傾斜板3A,3B下端の冷媒液面1a付近の高さ部分には、溶融線条5Aで加熱された液体冷媒1の一定量を厚さ規定板2A,2Bの外に排除し、冷媒温度を一定に保つためのスリット10A,10Bが設けられている。詳しくは図示しないが、スリット10A,10Bの開口面積、水平方向の開口幅、鉛直方向の開口幅を調整できるように可動式のシャッターを取り付けてもよい。
特に図示しないが、厚さ規定板2A,2Bと幅規定板2C,2Dに挟まれた部分の液体冷媒1の温度を効果的に下げる方法としては、厚さ規定板2A,2Bの一部に冷媒通過孔をあけ、この冷媒通過孔に冷媒配送管を接続し、この管から液体冷媒1を厚さ規定板2A,2B間に送り出すようにしてもよい。この部分の温度管理により、溶融線条5Aに使用する熱可塑性樹脂の溶融温度や冷却速度による硬度の違いに対応できる。
逆に、厚さ規定板2A,2Bに挟まれた領域の複合体8Aに溜まった、加熱された液体冷媒1を冷媒通過孔から吸引し、冷媒配送管を経由して冷媒冷却装置に送り込み、冷却された後に液体貯留槽内に戻す方法もある。この方法ならば、加熱された液体冷媒1の吸引時に複合体8Aの表面の不織布6A,6Bが厚さ規定板2A,2Bに吸引されるので、複合体8Aの厚さの安定化に寄与する。
-遮蔽板の構成-
図2に示すように、傾斜板3A,3Bの上方には、これら傾斜板3A,3Bとそれぞれ所定の間隔をあけて遮蔽板12A,12Bが移動可能に設けられている。遮蔽板12A,12Bは幅広面外縁の溶融線条5Aが付着しないように、表面をフッ素樹脂板とするか、フッ素樹脂加工テフロンコートなどが施されていてもよい(テフロンは登録商標)。
また遮蔽板12A,12Bの上には、冷媒滴下管12Eが配置されており、遮蔽板12A,12Bの表面に液体冷媒1を流して、この表面に接触した幅広面外縁の溶融線条5Aの側面のみを冷却し、不織布6A,6Bとの溶着をさせない溶着中止部分14Aを設けるように構成されている。
この遮蔽板12A,12Bを傾斜板3A,3Bに沿って前進させて不織布6A,6Bの上に移動させる際の前進速度は、不織布6A,6Bの進行速度と同じ速度とし、すでに不織布6A,6Bに溶着中の幅広面外縁の溶融線条5Aを遮蔽板12A,12Bで乱さないようにするとよい。
不織布6A,6Bと幅広面外縁の溶融線条5Aの相互溶着を再開させるために、遮蔽板12A,12Bを後退させる後退速度は、立体網状構造体7Aを構成する溶融樹脂22Bの種類や溶融温度により、秒速3mmから秒速300mmの範囲で調整する。
なお、遮蔽板12A,12Bなどから出る液体冷媒1に冷却される幅広面外縁の溶融線条5Aは多数の溶融線条5Aのうちの外周部分の、遮蔽板12A,12Bに接する限られた部分のみであり、残りの大部分の溶融線条5Aは冷却されないまま液体冷媒1の液面に達する前に相互に絡み合い溶着するため、冷却されて完成した立体網状構造体7Aの強度への影響は少ない。
-複合体の製造手順-
まず、多孔金型24Aを装着した押出機20を液体貯留槽4から遠ざけて、液体貯留槽4内の厚さ規定板2A,2Bやその上の傾斜板3A,3Bが見える状態とする。液体冷媒1は予め液体貯留槽4から抜き取っておく。
予め作るべき複合体8Aの立体網状構造体7Aと厚さと幅が同じである立体網状構造体7Aの先端マット(図示せず)を別の装置で製造しておく。先端マットの長さは、厚さ規定板2A,2Bから送りドラム16Aを通り、液体貯留槽の出口の出口補助ドラム31に届く長さとする。
この先端マットに、不織布ロール6Dから引き出した不織布6A,6Bの先端を針金や両面テープ等で固定し、液体貯留槽4内の厚さ規定板2A,2Bの間を通し、送りローラ15A~15Dや送りドラム16Aに入れた後に、送りローラ15A~15Dや送りドラム16Aを駆動するモータ(図示せず)を駆動させ、送りドラム16Aと送りドラム外周製品押さえ(図示せず)の間を通って出口補助ドラム31に到達したところで、一度駆動を止める。
次いで、一度退去させた押出機20を、所定の位置に戻す。
次いで、多孔金型24Aと2枚の厚さ規定板2A,2Bの水平方向の位置を調整する。
次いで、液体貯留槽4に液体冷媒1を満たし、複合体8Aの製造に最も適した温度までヒーター等で昇温する。温度が高すぎる場合は、別の場所で冷却しておいた液体冷媒1を加える。
次いで、押出機20を作動させ、多孔金型24Aから溶融線条5Aを落下させる。溶融線条5Aの先端を液体貯留槽4上の冷媒液面1aに出ている先端マットに積み重ねて、数秒間だけ静止させた後に送りドラム16Aを作動させる。
次いで、数秒間、溶融線条5Aが先端マットや不織布6A,6Bと接触し、相互に溶着固化し、回転するローラ15A~15Dや送りドラム16Aによって先端マットや不織布6A,6Bが前進すると同時に、螺旋を描いて降下する溶融線条5Aにより新たな立体網状構造体7Aが形成され、この立体網状構造体7Aの幅広面外縁溶融線条5Aと不織布6A,6Bが相互溶着することにより複合体8Aが連続生産される。このとき、送りローラ15A~15Dや送りドラム16Aの進行外周速度は、溶融線条5Aの降下速度の1/3以上1/50以下の範囲で調整し、製造される立体網状構造体7Aの網目密度を調整する。
立体網状構造体7Aの形成時に、不織布6A,6Bが溶融線条5に接する以前で、不織布6A,6Bを巻いた不織布ロール6Dを一定の張力で複合体8Aの進行方向を逆向きに引っ張ることで、厚さ規定板2A,2Bの内側に形成される立体網状構造体7Aの厚さ形成領域を一定幅に保持することにより、完成した複合体8Aが一定厚みとなる。引張力は、複合体8Aの進行方向に反対側の方向(逆方向)に幅1m換算で50Nから2kNの範囲で調整し、送りドラムなどによる。調整方法としては、不織布の供給領域でトルクリミッタ(図示せず)を装着したゴム付きドラム(図示せず)で不織布6A,6Bを挟むか、不織布ロール6Dを装着する回転軸にトルクリミッタを取り付け、トルクリミッタが滑り始めるトルクを調整し不織布の引張力を一定とする方法などがある。
ここで、不織布6A,6Bを連続供給するため、不織布製品は1巻き長さ50mや100mの不織布ロール6Dを用意し、複合体8Aの製造開始前に不織布6A,6Bの不織布ロール6Dを1日生産量の長さの連続品とするため、粘着テープ等でつないでおく。不織布6A,6B同士の重ね合わせによる複合体8Aの厚みや、内部の立体網状構造体7Aの厚みの変動を避ける場合は、不織布6A,6Bを重ね合わせず、突き合わせとし、継ぎ目の連結に粘着テープを用いる。粘着テープの貼り付け面は、幅広面外縁溶融線条5Aが接触する面の反対側に完成した複合体8Aの外面とし、複合体8Aの形成後に剥がし取る。
なお、不織布6A,6Bの突き合わせ面から土などの微粒子が浸透しないよう、複合体8Aを製造後に、突き合わせ部分の上から幅一定の不織布6A,6Bを貼り足してもよい。貼り付けには接着剤を使用したり、あるいは別の熱可塑性樹脂の押出機と多孔金型で押し出した溶融線条で不織布6A,6B同士を貼り付けたりするとよい。
具体的には、不織布6A,6Bは、冷媒液面1aよりも上の空気中で溶融線条5Aに接近しながら進行し、冷媒液面1a内に入る前に加熱溶融された多数の溶融線条5Aの中の幅広面に近い列の幅広面外縁の溶融線条5Aと接し、不織布6A,6Bを構成する繊維と立体網状構造体7Aを構成する幅広面の溶融線条5Aが互いに溶着するか、不織布6A,6Bを構成する1本又は複数の繊維の周囲全体を幅広面の溶融線条5Aが取り囲んだ後に、液体冷媒1内に入り、冷却されて固化して溶着部分13Aを形成する。
また、不織布6A,6Bとは接しない、集団の内側に位置する溶融線条5Aは、螺旋を描きながら多孔金型24Aから冷媒液面1aに向かって落下する間に、隣り合う溶融線条5Aや幅広面外縁の溶融線条5Aと絡み付き、互いに溶着し、冷媒内で固化することにより、強固な立体網状構造体7Aを形成する。
冷媒液面1aから厚さ規定板2A,2Bの上端までの高低差2mmから30mmの間に、不織布6A,6Bと幅広面溶融線条5Aが、液体冷媒1に冷却されることなく、時間をかけて接して強固に溶着し、また幅広面溶融線条5Aや内部溶融線条5Aが、また溶融した状態で互いに溶着しながら、厚さ規定板2A,2Bの間を通過することで、一定厚さの複合体8Aを形成できる。
製造開始後は溶融樹脂22Bの熱で液体冷媒1の温度が上昇するので、液体冷媒1の温度変化に注意し、必要に応じて冷却された液体冷媒1を液体貯留槽4に供給する。
液体貯留槽4から出た複合体8Aは、網目引き伸ばし部分で切り分け、乾燥機に入れて液体冷媒1を蒸発除去する。
-独立分離領域の形成-
本実施形態では、傾斜板3A,3Bで不織布6A,6Bと溶融線条5が接触する部分の上に、一時的に遮蔽板12A,12Bを挿入し、溶融線条5と不織布6A,6Bの接触を阻止し、溶融線条5Aが集積固化した立体網状構造体7Aと、不織布6A,6Bを溶着させないことにより、溶着中止部分14Aを形成し、不織布6A,6Bのみの一部、又は立体網状構造体7Aのみの一部をそれぞれ独立で切り取ることや、どちらかを残すことが可能である。
本実施形態では、一定角度の傾斜角を持つ傾斜板3A,3Bと近似した角度での概平面の遮蔽板12A,12Bの前後運動だけで、幅広面外縁の溶融線条5Aと不織布6A,6Bの隔離が可能であり、単純な動作となり、簡単容易な機構で可能となる。
製造装置50の動作中に不織布6A,6Bが傾斜板3A,3Bの上で幅広面外縁の溶融線条5Aと接触して溶着している最中に、傾斜板3A,3B上の不織布6A,6Bのまだ幅広面外縁の溶融線条5Aから離れた傾斜板3A,3B上の上面に遮蔽板12A,12Bを近づけて、不織布6A,6Bの進行速度と同じ速度で不織布6A,6Bとともに幅広面外縁の溶融線条5Aに近づかせ、遮蔽板12A,12Bの下側先端が、厚さ規定板2A,2Bの真上に達したところで遮蔽板12A,12Bを停止させる。遮蔽板12A,12Bを停止させている最中にも、複合体を前進させる送りローラ15A~15D及び送りドラム16Aを動作させ、不織布6A,6Bや、不織布6A,6Bと溶着した溶着部分13Aを連続して前進させる。
図4に示すように、傾斜板3A,3B上の不織布6A,6Bと幅広面外縁の溶融線条5Aとの接触を一時的に遮断して、不織布6A,6Bと幅広面外縁の溶融線条5Aとの接触を阻止し、不織布6A,6Bが溶着しない状態で溶融線条5Aが集積し相互溶着することで立体網状構造体7Aだけを形成することにより、溶着部分13Aの間に不織布6A,6Bと立体網状構造体7Aとが分離された網状構造体独立部14Bを有する溶着中止部分14Aを備えた複合体8Bが得られる。
また、網状構造体独立部14Bには不織布6A,6Bが溶着していないので、独立している網状構造体独立部14Bを切り取り、不織布のみの不織布余長部分14Dを残すこともできる。
この不織布余長部分14Dは、地中に埋設する建築物で、建築物の垂直壁面に複合体8Aを貼り付けて、土中の水を排除する場合に、複合体8Bの端部で、内部通水空間への土砂侵入を防ぐために端部を包んだり、複合体8B同士の接合部分で土砂侵入を防ぐために、不織布余長部分14Dを隣りの複合体8Bの不織布6の上に重ねて、接着材などで固定するなどの用途に用いることができる。
-間延び部分の形成-
遮蔽板12A,12Bを挿入している間に、冷媒液中での立体網状構造体7Aと不織布6A,6Bを前進降下させる送りローラ15A~15Dと送りドラム16Aの進行速度を一時的に通常時の5倍以上50倍以下の範囲で増加させることにより、図5A及び図5Bに示すように、連続する立体網状構造体7Aを構成する溶融線条5Aは間延びして密度が粗い間延び部分14Eを有するものとすることができる。また不織布6A,6Bと幅広面外縁の溶融線条5Aの間には遮蔽板12A,12Bが介在するので、幅広面外縁の溶融線条5Aは不織布6A,6Bには溶着しない溶着中止部分14Aがある複合体8Cが得られる。このため、この部分で複合体8Cの切断加工の際には、不織布6A,6Bに適した刃物と立体網状構造体7Aに適した刃物の使い分けが可能となり、複合体8Cの切断が容易となる。
また、網状構造体独立部14Bに対応する間延び部分14Eでは、立体網状構造体7Aを切断しても、切断ロスの樹脂量が少なくて済む。また樹脂繊維の集積密度が低いので、ハサミ等で簡単に切断することが可能となる。
間延びさせた後に再び送りローラ15A~15Dと送りドラム16Aの進行速度を通常密度の網目形成時の速度に戻し、一定時間後に遮蔽板12A,12Bを後退させて不織布6A,6Bと幅広面外縁の溶融線条5Aを接触させれば、遮蔽板12A,12Bの挿入前と同様に、一定幅、一定厚さ、一定密度の立体網状構造体7Aの表面に不織布6A,6Bが溶着した溶着部分13Aが再び形成される。このため、間延び部分14Eがあっても機械を止めずに連続生産が可能となる。
そして、間延び部分14Eを切り取れば、残った溶着部分13Aの網目密度は全域均一であり、その周辺に不織布6A,6Bのみの部分よりなる不織布余長部分14Dを持つ複合体8Aが得られる。この複合体8Aでは、溶着部分13Aの被覆されていない側面を覆ったり、複合体8Aをつないで設置する場合の、継ぎ目部分の被覆に使用できる。
遮蔽板12A,12Bを用いて不織布6A,6Bと溶融線条5とを隔離している間は、間延び部分14Eでも通常網目密度部分でも不織布6A,6Bは連続しているため、この間延び部分14Eで立体網状構造体7Aを切り取り、不織布6A,6Bと分離独立した網状構造体独立部14Bの一部を切り取り、連続した不織布の不織布独立分14Cを間延び部分14Eの中間で切断すれば、1枚の複合体8Aで内部の立体網状構造体7Aの密度は均一で、長さ方向の両端に不織布余長部分14Dを有する複合体8Aとすることが可能となる。
網目構造が間伸びした間延び部分14Eでは、網目密度の低下により送りローラ15A~15Dや送りドラム16Aと複合体との接触圧力が低下し、送りローラ15A~15Dの駆動力が立体網状構造体7Aにかかりにくくなるので、送りローラは2列以上配置し、個々のローラの間隔は、空疎部分の長さよりも広くとり、2箇所以上で送り力が複合体にかかるような配置、構造等とすることが望ましい。又は、複合体との接触長さが空疎部分の長さよりも長い、外径の大きな送りドラム16Aとし、複合体をドラム円筒に沿わせて、送りドラム16Aと複合体の接触長さを増やす方法もある。
したがって、本実施形態に係る製造方法によると、不織布6A,6Bを簡単かつ確実に立体網状構造体7Aに結合させることができる。また、主に液中の粒子を透水性の不織布6A,6Bで捕捉し、濾過した水や液のみを、内部空間を持つ立体網状構造体7Aの通水空間に導く濾過ユニットや、土木分野での排水材、透水材を製造する過程で、立体網状構造体7Aの形成と不織布6A,6Bの溶着とを同時に行うことができる。さらに、遮蔽板12A,12Bを調整することで、不織布6A,6Bと立体網状構造体7Aの結合箇所、結合部分の面積を自由に変更できる。
-実施形態1の変形例1-
図6~図7Aは本発明の実施形態1の変形例1を示し、ガイド部としての傾斜板3A,3Bの形状が異なる点、遮蔽板12F,12Gの形状が異なる点で上記実施形態1と異なる。なお、以下の各変形例及び各実施形態では、図1~図5Bと同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
すなわち、本変形例では、遮蔽板12F,12Gを中空とし、内部に液体冷媒1を通過させるようにしている。
具体的には図7Aに示すように、遮蔽板12F,12G下側先端に、多数の冷媒流出孔12Hをあけて適量の液体冷媒1を出し、不織布6A,6Bに液体冷媒1を浸透させ、幅広面外縁の溶融線条5Aとの溶着を防いで確実に溶着中止部分14Aを設けるようにしている。
又は図7Bに示すように、遮蔽板12F,12Gの上面に複数の冷媒流出孔12Hをあけて液体冷媒1をこの冷媒流出孔12Hから流出させ、この液体冷媒1で幅広面の溶融線条5Aの側面を予め冷却して確実に溶着中止部分14Aを設けるようにしている。
さらに本変形例では、傾斜板3A,3Bの傾斜部分の下端に鉛直平板3C,3Dを付け加え、図6に示すように、傾斜板3A,3Bと鉛直平板3C,3Dとをつなぐ連結部分(折曲部)の高さを、冷媒液面1aの液面高さから5以上30mm以下だけ高い位置までの間で適宜調整できる構造としている。これにより、溶融線条5Aが液体冷媒1で冷却される前に、不織布6A,6Bと幅広面外縁の溶融線条5Aが十分に溶着され、また、溶融線条5Aが液体冷媒1中で冷却固化される前に鉛直平板3C,3Dや厚さ規定板2A,2Bに挟まれることにより、複合体8Aの厚さが一対の厚さ規定板2A,2Bの間隔と同一となる効果をもたらすことができる。
-実施形態1の変形例2-
本発明の実施形態1の変形例2は、ガイド部の構成が異なる点で上記実施形態1と異なる。
特に図示しないが、本変形例では、冷媒液面1a下の一対の厚さ規定板2A,2Bの上で、溶融線条5Aを形成させる多孔金型24Aとの間に、不織布6A,6Bが一定角度で冷媒液面1a内に進入するためのガイド部としての不織布引き寄せ棒が設置されている。
こうすれば、冷媒液面1aから不織布引き寄せ棒の上端までの高低差0.5mmから200mmの間に、不織布6A,6Bと幅広面溶融線条5Aが、液体冷媒1に冷却されることなく、時間をかけて接して強固に溶着し、また幅広面溶融線条5Aや内部溶融線条5Aが、また溶融した状態で互いに溶着しながら、不織布引き寄せ棒の間を通過することで、一定厚さの複合体8Aを形成できる。
冷媒液面1aより上の、不織布接触部分の傾斜角度を、水平に対し5度から80度の範囲で調整ができる構造とすれば、角度調整により幅広面外縁の溶融線条5Aと不織布6A,6Bが接触した際の接触長さや接触溶着する繊維の本数を調整したり、液体冷媒1内での冷却固化時の、立体網状構造体7Aの積層状態を調整することが可能となる。
-実施形態1の変形例3-
本発明の実施形態1の変形例3は、遮蔽板の構成が異なる点で上記実施形態1と異なる。
図8A及び図8Bに示すように、傾斜板3A,3Bの上の不織布6A,6Bの一定幅のみを連続して連続遮蔽板(図示せず)で常時遮蔽することにより、複合体の一定幅で、立体網状構造体7Aと不織布6A,6Bが長さ方向で連続して分離した不織布余長部分14D(図4B参照)を有する複合体を製造することが可能となる。使用場所や条件により、完成した複合体のうち、立体網状構造体7Aの幅を切断した上で、不織布6A,6Bはそのまま残したい場合に適応可能となる。
(実施形態2)
図9は本発明の実施形態2を示し、強化網26A,有孔板26Bなどをさらに設ける点で上記実施形態1と異なる。
-製造手順-
まず、不織布6A,6Bと立体網状構造体7Aの間に有孔板26B(例えば図10Cに示す)を挟む場合は、不織布6A,6Bと有孔板26Bを予めホットメルト樹脂を溶融塗布して溶着させたものを製造装置50に装填する。
次いで、不織布6A,6B上に密着させた後に溶融線条5Aに接触させる有孔板26Bを、繊維強化プラスチック板(FRP板)とする場合は、FRP板の構成繊維は、立体網状構造体7Aを構成する溶融線条5Aの原料樹脂よりも融点の高い樹脂、又は熱溶融しない材質の繊維とすることにより、立体網状構造体7Aを構成する溶融線条5Aに有孔板26Bの構成繊維が溶かされず、強度を保つことが可能なため、繊維強化プラスチック板としても強度が維持される。熱溶融しない材質の繊維としては、例えば炭素繊維やポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリアリレート繊維等があり、これらの繊維を、FRP板の強化用の繊維とし、FRP板の構成樹脂は立体網状構造体7Aの構成線条と同じ樹脂か、網目構造構成樹脂よりも低融点とすることにより、相互溶着力を高めることができる。
なお、有孔板26Bが溶融線条5Aに接する直前に、赤外線ヒーター等で予備加熱し、有孔板26Bと溶融線条5Aとの溶着力を高める方法もある。
図9に示すように、外気貫通空洞部23Cから不織布6A,6Bや強化網26Aを降下させる場合、溶融線条5Aに不織布6A,6Bや強化網26Aが接する直前の高さまで、2枚のガイド板(図示せず)間を通し、位置などがずれないようにする。必要に応じて内部を中空にして液体冷媒1を通して冷却したり、表面をテフロンなどで処理し溶融線条5の接触付着を避けるとよい(テフロンは登録商標)。
複合体8Bの引張強度を持たせるための強化網26Aの代わりに有孔板26Bを挿入する場合で、有孔板26BをFRP繊維強化プラスチックとする場合は、FRPの構成樹脂を、溶融線条5Aの樹脂と同じ種類の樹脂とするか、FRPの構成樹脂の融点を溶融線条5Aの構成樹脂の融点と同等か、それ以下のものを選定することにより、有孔板26Bと溶融線条5Aが相互に強固に溶着し、剥離強度を高めることも可能となる。
また、多孔金型24Aを装着している金型台23Aに鉛直方向に連続し外気の流通する複数の外気貫通空洞部23Cを設け、これら複数の外気貫通空洞部23Cから不織布6A,6B、強化網26A、有孔板26B及び複合体8Aの少なくとも1つを降下させ、外気貫通空洞部23Cを挟んで両側に配置した多孔金型24Aから液体冷媒1に螺旋を描きながら降下する溶融線条5Aと接触させながら進行させることにより、不織布6A、強化網26A及び有孔板26Bの少なくとも1つと立体網状構造体7Aの同時形成多層複合体8Iを形成してもよい。
また、強化網26Aと不織布6A,6Bを重ねたところに幅広面の溶融線条5Aを降下させ、1本の溶融線条5Aが不織布6A,6B面に溶着した直後に強化網26Aの網目上を通過し、その直後に不織布6A,6Bに溶着するなどにより、複数の溶融線条5Aが強化網26Aをまたいで不織布6A,6Bに溶着することで、不織布6A,6Bが強化網26Aに広域で均等に補強された複合体8Eを製造してもよい。
多孔金型24Aを取り付ける金型台23Aの構造を、内部の溶融樹脂通過領域23Bが複数配列され、さらに複数の溶融樹脂通過領域23Bの外側に、上下方向に連続し、外気が通る外気貫通空洞部23Cを複数設けた形状とし、外気貫通空洞部23Cから不織布6Aや強化網26Aを降下させながら、多孔金型24Aの孔から溶融線条5Aを降下させ、不織布6Aや強化網26Aの降下速度よりも溶融線条5Aの流下速度を速くして、液体冷媒1の液面付近で溶融線条5Aがループを描きながら、相互に溶着しながら積層することにより、溶融線条5Aが立体網状構造体7Aを形成しながら不織布6Aや強化網26Aと相互溶着したり、強化網26Aの開口部分で強化網26Aを挟む溶融線条5A同士が相互溶着しながら立体網状構造体7Aを形成する。こうすれば、1回の工程で立体網状構造体7A内部に強化網26Aや不織布6A,6Bを複数持つ複合体8Dが形成できる。
複合体の片面又は両面を最終的に不織布6A,6Bで覆われない立体網状構造体7Aとする場合は、傾斜板3A,3Bの一方には不織布6A,6Bをせず、遮蔽板12A,12Bを連続して使用し遮蔽板12A,12B上の冷媒滴下管12Eから液体冷媒を滴下するか、遮蔽板12A,12Bの冷媒流出孔12Hから液体冷媒1を吹き出させて、幅広面溶融線条5Aの遮蔽板への溶着や溶融線条5Aの乱れを防ぎ、幅広面溶融線条5Aのループの外縁を仕上げるとよい。複合体の表面が立体網状構造体である場合、土中で使用すると、表層の網目内に土が充填され、充填された土が立体網状構造体7Aに保持され、複合体の表面は周囲の土の表面と同質となり、土と不織布6A,6Bが接する場合よりも摩擦抵抗が強くなる。
-実施形態2の変形例-
図10Aは、本発明の実施形態2の変形例に係る製造装置50の一部を示し、本変形例では、主として不織布6A,6B等ではなく、予め成形した複合体8Aを溶着させる点で上記実施形態1と異なる。
すなわち、上記実施形態1のように両側から不織布6A,6Bを供給するのではなく、一方側で、予め上記実施形態1で製作した立体網状構造体7Aと不織布6A,6Bの複合体8Aを挿入する場合は、予め用意した立体網状構造体7Aに複合体8Aを重ねて針金などでの先端を両面テープや針金などで固定し、装置内に挿入し送りドラム16Aで挟んだ後、複合体8Aを厚さ規定板2A,2Bと平行に進めるための押さえ枠18A(図10Bに示す)を装着する。
図10Aに示すように、本実施形態の多層複合体8Gの製作時は、不織布6A,6B、強化網26A、有孔板26B等を多孔金型24Aのそばの連続空洞(図示せず)に通し、予め製造装置50で製作しておいた立体網状構造体7Aと不織布6A,6Bとの複合体8Aを、必要枚数重ねて、液体貯留槽4内の厚さ規定板2A,2Bから送りドラム16A、出口補助ドラム31にかけて通しておき、連続空洞側と厚さ規定板2A,2B側との不織布6A,6B、強化網26A、有孔板26B等を互いに針金、テープ等で固定しておく。このような準備を行った後に、液体冷媒1を液体貯留槽4に入れ、押出機20を稼動させ、上記実施形態1と同様に各層での溶融線条5の立体網状構造体7Aを連続成形する。
多層複合体8Hの外面を立体網状構造体7Aにする場合は上述の通り、予め傾斜板3A,3Bの上に遮蔽板12A,12Bや冷媒滴下管12E等を設置しておくか、傾斜板3A,3Bなどの代わりに上端幅広面の厚さ規定板2A,2Bを設置しておく。上端幅広面の厚さ規定板2A,2Bの厚さは、溶融線条5の太さや螺旋の大きさから3mm以上200mm以下の範囲で、多孔金型24Aから押し出される溶融線条5Aの線径や、溶融状態でのループの状態に合わせて決めるとよい。
-多層複合体の形成-
上記の工法では、傾斜板3A,3B上にそれぞれ1枚の不織布6A,6Bを載せて、多孔金型24Aから螺旋を描いて降下している溶融線条5を不織布6A,6Bと溶着させながら立体網状構造体7Aと不織布6A,6Bの複合体8Aを形成している。この製造装置50で一度、複合体8Aを形成し、この予め成形した複合体8Aを再び傾斜板3A,3B又は不織布引き寄せ棒上から、不織布6A,6B面を上にして装置内に送り込み、多孔金型24Aから溶出した溶融線条5に溶着させながら装置内を進行させることにより、1枚の複合体に不織布と立体網状構造体が複数重なった多層複合体8G,8Hを形成することが可能となる。
多層複合体8G,8Hを形成する場合に、傾斜板3A,3Bから予め成形した複合体8Aを挿入する際に、傾斜板3A,3Bや不織布引き寄せ棒から厚さ規定板2A,2Bに入る折れ曲がり部分では、予め成形した複合体8Aの剛性により曲がりにくくなり、厚さ規定板2A,2B付近でそり返るので、装置内で形成される立体網状構造体7Aの厚さが不均一になることが想定される。このため、傾斜板3A,3Bや不織布引き寄せ棒に乗った予め成形した複合体8Aの上から、図10Bに示した形状の押さえ枠18Aを当て、予め成形した複合体8Aが傾斜板3A,3Bから厚さ規定板2A,2Bに入る際に、厚さ規定板2A,2Bに沿って下に進むようにする。この押さえ枠18Aは、多層複合体8G,8Hの製造だけでなく立体網状構造体7Aが1層の場合でも、強化網26Aや有孔板26Bが曲げ強度が強くなった場合に、厚さ規定板2A,2Bに沿わせるためにも使用できる。
押さえ枠18Aにおける、多孔金型24Aから押し出される溶融線条5Aが当たる部分は、細長い金属の棒などを、間隔をあけて多数並べた構造とする。これは、押さえ枠18A下の予め成形した複合体8Aなどの表層の不織布6A,6Bと溶融線条5Aの溶着面積を減らさないようにして、立体網状構造体7Aと不織布6A,6Bの溶着強度を高めるのに役立つ。
多孔金型24Aから降下した溶融線条5Aが押さえ枠18Aに付着すると、完成した複合体の網目に乱れが生じるので、溶融線条5Aが付着しないよう、押さえ枠18Aの上面はフッ素樹脂製とするか、内部を中空として表面から直径0.5mmから2mm程度の冷媒吹き出し孔18Bをあけ、内部から液体冷媒1を吹き出させる。又は押さえ枠18Aのそばに冷媒滴下管12Eを新たに配置する方法がある。
(複合体の主な用途)
次いで、上記各実施形態に従って上記製造装置50で製造された複合体の主な用途について説明する。
例えば、複合体を河川から水道水を取水する際に、逆浸透膜や限外濾過膜で濾過する前の段階で、水中の土粒子やプランクトンなどを濾過除去する予備フィルターとして用いる。不織布6A,6Bと立体網状構造体7Aが強固に溶着した複合体8Aなので、不織布6A,6Bの表層に集積した土粒子を除去するために、濾過下流側浄化された側から水圧をかけて表層に体積した土粒子を除去する際、不織布6A,6Bと溶融線条5が多数の接点で強固に溶着されており、不織布6A,6Bにかかる水圧を多くの接点で分担できるため、繰り返し水圧に対しても剥離が生じにくく、また不織布6A,6Bの単独箇所に集中荷重がかかることもないため、濾過材としての寿命も長くなる。
また、多数の溶着点で不織布6A,6Bと立体網状構造体7Aが溶着しているため、表面に付着した固形物を取り除くために内部から外部に向けて圧力をかけて逆洗する場合でも不織布6A,6Bは立体網状構造体7Aから離れないので、狭い空間に多数の複合体8Aを配置して水中の土砂を濾過除去する際にも、隣り合う複合体8Aの不織布6A,6B同士が癒着せず、複合体8A同士の間の通水空間も保持されるので、逆洗時に表面の付着物が確実に除去される。また、多数の濾過ユニットを濾過性能を低下させずに狭い空間に配置できる。
また例えば、建物の一部が土中となる建物や土に接する垂直壁面などの裏面の土中の地下水位を下げるために、埋め戻し前に予め壁面に貼り付け、周囲地盤土や裏込め土の中の水を立体網状構造体7Aの空間内に導いて敷地外に排水する排水材として複合体8Aを使用できる。この場合、複合体8Aの表面に接する土は不織布6A,6Bで保持し、立体網状構造体7A内部の通水空間へは水だけを導入し、複合体8Aの先に接続した水抜きパイプ等で敷地外に排水するか、壁面に予め設置した水抜きパイプで排出する。立体網状構造体7Aのみでは、周囲からの土粒子などが立体網状構造体7Aの通水空間に流入するため、濾過材や土中の平面排水材としては使用できない。立体網状構造体7Aをこれらの用途に使用するには不織布6A,6Bなどのフィルター材を周囲に装着する必要があるが、上記各実施形態の工法では、立体網状構造体7Aの形成と周囲の不織布6A,6Bなどを装着する工程とを一度の工程で行うことができる。
また片面のみに不織布6A,6Bを溶着した複合体8Aを再び製造ラインに投入し、この1次的な複合体8Aの不織布6A,6B上に立体網状構造体7Aを形成させ、不織布6A,6Bを挟む形式で不織布6A,6B両面に立体網状構造体7Aのみを形成させる場合、この2次的な多層複合体8Gの片側の立体網状構造体7A内に種子や肥料を混ぜた土を充填した後、建物屋上の防水床面に敷き詰めることで屋上緑化が可能である。不織布6A,6Bよりも下側の立体網状構造体7Aは、屋上床面に溜まった水を屋上外縁の排水口まで導く透水層となり、屋上床面を乾燥させることで床面表層の防水塗装の劣化防止に役立つ。不織布6A,6Bよりも上の植生土部分は、立体網状構造体7Aが土の移動や脱落を防ぐ効果をもたらす。不織布余長部分14Dは、端部ふち部分で盛土の土のこぼれ防止用に利用できる。
両面に不織布6A,6Bを有し、内部に強化網26Aや有孔板26Bを有する多層複合体8Gで、2次工程や3次工程で複合体両面の不織布6A,6Bの上に溶融樹脂で立体網状構造体7Aを形成した多層複合体8Gを盛土内に設置し、盛土土内の水を排除する用途に用いることができる。立体網状構造体7Aの密度を高くすれば圧縮荷重下でも変形しにくく、内部の通水空間を保持できる。またこの多層複合体8Gは、表と裏の両側の不織布6A,6Bの表面に立体網状の繊維のループが溶着して立っており、この立体網状構造体7A内に土が充填され固定され、多層複合体8Gと周囲土の摩擦抵抗の向上に寄与する。内部の強化網26Aは多層複合体8Gの引っ張り強度を高める。
多層複合体8G内部の強化網26Aや有孔板26Bの孔に鉄やステンレス、コンクリートの柱を通し、柱の下端を土中の安定な岩盤や地盤に固定すれば、多層複合体8Gの横すべりを防止できる。このような多層複合体8Gに孔をあける部分では、表層の不織布6A,6Bで柱と内部の立体網状構造体7Aの開口部を被覆し、内部の立体網状構造体7Aへの土砂侵入を防ぐのに使用できるように、必要に応じ遮蔽板12A,12Bを使用し、不織布6A,6Bを立体網状構造体7Aから分離しておく。
片面のみに不織布6A,6Bを溶着した複合体の立体網状構造体7A内に、植物の種子や肥料を含む土を充填し、植物を生育させて手軽なプランターとしての利用が可能である。溶融線条5Aの材質を柔軟性にすぐれた熱可塑性樹脂の、ポリエチレン、ポリエステル、エチレンプロピレンゴム、熱可塑性エラストマーなどとして、土を充填する立体網状構造体7Aが手の力で自由に曲げられれば、屈曲面や円柱の側面に合わせて屈曲でき、固定する場合も、不織布余長部分14Dを固定金具で挟んだり、不織布6A,6B面に接着剤を塗布することで固定できる。立体網状構造体7Aが不織布6A,6Bに溶着しており、土を充填しても、土の重みがかかっても立体網状構造体7Aが破損しにくい。不織布6A,6B上に強化網26A、有孔板26Bなどを付けて立体網状構造体7Aを形成した多層複合体8Gであれば、強化網26Aや有孔板26Bに固定ネジ等を通す孔などをあけておけば壁面などの固定に便利となる。
EVAやポリエチレン、ポリオレフィンエラストマー、エチレンプロピレンゴムなどの柔軟樹脂で立体網状構造体7Aを構成する場合、立体網状構造体7A部分の樹脂の片面や内部に不織布6A,6Bが溶着していれば、破断や引き延ばしに強く、かつ不織布6A,6Bで柔軟性は変わらず、タオルに柔軟な立体網状構造体7Aが付いたようなものになる。この場合、洗濯を繰り返しても立体網状構造体7A部分が損傷しにくいので、マットレス、クッション、枕の他、エプロン、作業着、足ふきマットの下敷きなど、人体や動物周囲のものに使用できる。
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
すなわち、不織布6A,6Bと立体網状構造体7Aとの間の溶着を降下させる傾斜板3A,3B全体を水面下に沈めることにより、空気中での溶融線条との接触を防ぎ、不織布6A,6Bと立体網状構造体7Aとが溶着しない領域を形成してもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
1 液体冷媒
1a 冷媒液面
2A,2B 厚さ規定板
2C,2D 幅規定板
3A,3B 傾斜板(ガイド部)
3C,3D 鉛直平板
4 液体貯留槽
5A 溶融線条
6A,6B 不織布
6D 不織布ロール
6E 不織布供給ローラ
7A 立体網状構造体
7C,7D 幅広面
8A,8B,8C,8D,8E 複合体
8G 多層複合体
8H 多層複合体
8I 同時形成多層複合体
10A,10B スリット
12A,12B 遮蔽板
12E 冷媒滴下管
12F,12G 遮蔽板
12H 冷媒流出孔
13A 溶着部分
14A 溶着中止部分
14B 網状構造体独立部
14C 不織布独立分
14D 不織布余長部分
14E 間延び部分
15A~15D ローラ
16A ドラム
18A 押さえ枠
18B 冷媒吹き出し孔
20 押出機
22B 溶融樹脂
23A 金型台
23B 溶融樹脂通過領域
23C 外気貫通空洞部
24A 多孔金型
24B 溶融樹脂押出孔
24C 吹き出し面
26A 強化網
26B 有孔板
28A,28B ガイド板
31 出口補助ドラム
50 製造装置

Claims (4)

  1. 多孔金型(24A)を装着している金型台(23A)に鉛直方向に連続し外気の流通する外気貫通空洞部(23C)を設け、
    上記外気貫通空洞部(23C)から不織布(6A,6B)、強化網(26A)、有孔板(26B)及び複合体(8A)の少なくとも1つを降下させ、
    上記外気貫通空洞部(23C)を挟んで両側に配置した多孔金型(24A)から液体冷媒(1)に螺旋を描きながら降下する溶融線条(5A)と接触させながら進行させることにより、不織布(6A)、強化網(26A)及び有孔板(26B)の少なくとも1つと立体網状構造体(7A)の同時形成多層複合体(8I)を形成する
    ことを特徴とする立体網状構造体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の立体網状構造体の製造方法において、
    上記不織布(6A,6B)は、構成繊維同士での融着をしないスパンボンド不織布である
    ことを特徴とする立体網状構造体の製造方法。
  3. ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、ポリオレフィンエラストマー、エチレン酢酸ビニル共重合体のいずれかを含む熱可塑性樹脂が螺旋状の溶融線条が相互に熱溶着されて立体網状に積み重ねられた立体網状構造体(7A)の内部に合成樹脂、合成繊維、金属繊維若しくは炭素繊維で作られた強化網(26A)、繊維強化樹脂製若しくは金属製の有孔板(26B)又は不織布(6A,6B)が溶着された複合体(8D)である
    ことを特徴とする立体網状構造体。
  4. ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、ポリオレフィンエラストマー、エチレン酢酸ビニル共重合体のいずれかを含む熱可塑性樹脂が螺旋状の溶融線条が相互に熱溶着されて立体網状に積み重ねられた立体網状に積み重ねられた立体網状構造体(7A)の内部に合成樹脂、合成繊維、金属繊維若しくは炭素繊維で作られた強化網(26A)又は繊維強化樹脂製若しくは金属製の有孔板(26B)と不織布(6A,6B)とが積層された多層複合体(8G)である
    ことを特徴とする立体網状構造体。
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