JP2022047367A - 積層バネ式トルクヒンジおよび積層バネ式トルクヒンジの製造方法 - Google Patents

積層バネ式トルクヒンジおよび積層バネ式トルクヒンジの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】板バネの内周縁と連結軸との間に充分な量の潤滑剤が封入され、かつ、封入された潤滑剤の漏れが防止される積層バネ式トルクヒンジを提供する。【解決手段】積層バネ式トルクヒンジ2は、第1の部材と第2の部材とを回転自在に連結する連結軸4と、積層されて連結軸4に圧入された3枚以上の板バネ6と、板バネ6の少なくとも一部の回転を阻止する回転阻止部材8とを備える。板バネ6の少なくとも一部の内周縁には、周方向に間隔をおいて径方向外側に窪んだ複数の凹部6aが形成されている。複数の凹部6aと連結軸4の外周面との間には潤滑剤が充填されている。軸方向両側端部以外の板バネ6の複数の凹部6aは、軸方向両側端部の板バネ6によって塞がれている。【選択図】図1

Description

本発明は、第1の部材に回転自在に連結された第2の部材に対して抵抗トルクを付与する積層バネ式トルクヒンジに関する。
第1の部材に回転自在に連結された第2の部材に対して抵抗トルクを付与するトルクヒンジが実用に供されている。トルクヒンジは、たとえばノートパソコンに装着され、ノートパソコンの本体(第1の部材)に回転自在に連結されたディスプレイ(第2の部材)に対して抵抗トルクを付与して、ディスプレイを任意の位置に保持する。
トルクヒンジには、第1の部材と第2の部材とを回転自在に連結する連結軸と、積層されて連結軸に圧入された複数の板バネと、各板バネの回転を阻止する回転阻止部材とを備える積層バネ式トルクヒンジが存在する(たとえば特許文献1参照。)。各板バネの内周縁および連結軸の外周面には、耐摩耗性や耐久性の向上を目的として潤滑剤が塗布される。そして、積層バネ式トルクヒンジにおいては、各板バネの内周縁と連結軸の外周面との間に生じる摩擦力によって、各板バネから連結軸に対して所要の抵抗トルクを付与するようになっている。
特許第3836149号公報
積層バネ式トルクヒンジにおいては、複数の板バネが積層されて連結軸に圧入されており、板バネの内周縁と連結軸の外周面とが密着しているため、各板バネの内周縁および連結軸の外周面に塗布される潤滑剤は極めてわずかな量であり、各板バネと連結軸とが相対的に回転することによって、各板バネの内周縁と連結軸の外周面との間から潤滑剤が漏れてしまうという問題がある。
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、板バネの内周縁と連結軸との間に充分な量の潤滑剤が封入され、かつ、封入された潤滑剤の漏れが防止される積層バネ式トルクヒンジを提供することである。
本発明によれば、上記課題を解決する以下の積層バネ式トルクヒンジが提供される。すなわち、第1の部材と第2の部材とを回転自在に連結する連結軸と、積層されて前記連結軸に圧入された3枚以上の環状またはC形状の板バネと、前記板バネの少なくとも一部の回転を阻止する回転阻止部材とを備え、前記板バネの少なくとも一部の内周縁には周方向に間隔をおいて径方向外側に窪んだ複数の凹部が形成され、前記複数の凹部と前記連結軸の外周面との間には潤滑剤が充填されており、軸方向両側端部以外の前記板バネの前記複数の凹部は、軸方向両側端部の前記板バネによって塞がれている積層バネ式トルクヒンジが提供される。
好ましくは、前記回転阻止部材は、前記連結軸に圧入された前記板バネと一体にインサート成型されている。前記板バネのそれぞれの形状は同一であり、軸方向両側端部の前記板バネは軸方向両側端部以外の前記板バネに対して所定角度回転されているのが好適である。
本発明の積層バネ式トルクヒンジにおいては、板バネの少なくとも一部の内周縁には周方向に間隔をおいて径方向外側に窪んだ複数の凹部が形成され、複数の凹部と連結軸の外周面との間には潤滑剤が充填されており、軸方向両側端部以外の板バネの複数の凹部は、軸方向両側端部の板バネによって塞がれているので、板バネの内周縁と連結軸との間に充分な量の潤滑剤が封入され、かつ、封入された潤滑剤の漏れが防止される。
(a)本発明に従って構成された積層バネ式トルクヒンジの斜視図、(b)(a)に示す積層バネ式トルクヒンジの正面図、(c)(b)におけるA-A線断面図。 図1に示す板バネの正面図。 (a)図1に示す板バネを連結軸に圧入する状態を示す斜視図、(b)図1に示す板バネが連結軸に圧入された状態を示す正面図。 板バネの凹部と連結軸の外周面との間に潤滑剤としてのグリースを充填している状態を示す斜視図。 (a)軸方向両側端部の板バネを回転させた状態を示す斜視図、(b)軸方向両側端部の板バネを回転させた状態を示す正面図。 本発明に従って構成された積層バネ式トルクヒンジの他の実施形態の斜視図。 (a)図6に示す積層バネ式トルクヒンジの正面図、(b)(a)におけるA-A線断面図、(c)シールドを除去した状態での(b)におけるB-B矢視図。
以下、本発明に従って構成された積層バネ式トルクヒンジの好適実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1(a)ないし図1(c)に示すとおり、全体を符号2で示す積層バネ式トルクヒンジは、連結軸4と、積層されて連結軸4に圧入された複数の板バネ6と、板バネ6の少なくとも一部の回転を阻止する回転阻止部材8とを備える。
図示していないが、連結軸4は、第1の部材と第2の部材とを回転自在に連結するものであり、たとえば、第1の部材としてのノートパソコンの本体と、第2の部材としてのディスプレイとを回転自在に連結するものである。連結軸4は、鋼材等の適宜の金属材料から円柱状に形成されている。図1(c)および図3(a)に示すとおり、連結軸4の外周面には環状溝4aが形成されている。
図2を参照して板バネ6について説明する。板バネ6は、鋼材等の適宜の金属材料から形成され得る。図示の実施形態の板バネ6のそれぞれの形状は同一のC形状であり、連結軸4に圧入される前の板バネ6の内径は、連結軸4の直径よりも小さい。板バネ6の内周縁には、周方向に間隔をおいて径方向外側に窪んだ複数の弧状の凹部6aが形成されている。図示の実施形態では4個の凹部6aが60度間隔で形成されている。また、板バネ6の周方向両側端部には、径方向外側に突出する一対の突出片6bが形成されている。
図示の実施形態では、一対の突出片6bの部分を除き、板バネ6の中心O(凹部6aを除く板バネ6の内周縁の中心)を挟んで板バネ6の開口部6cと対向する部分(板バネ6の周方向中間部6d)の径方向寸法Lが、周方向中間部6d以外の部分の径方向寸法よりも大きい。
図3(a)および図3(b)に示すとおり、板バネ6は連結軸4に圧入される。板バネ6は1枚ずつ連結軸4に圧入されてもよく、複数枚の板バネ6が同時に圧入されてもよい。連結軸4に圧入される板バネ6の枚数は3枚以上であればよく、図示の実施形態では、5枚の板バネ6が連結軸4に圧入されている。圧入された板バネ6は、連結軸4の環状溝4aの近傍に配置されているが、環状溝4aの軸方向位置から若干ずれており、連結軸4に板バネ6が圧入された際に環状溝4aが露出している。
図3(b)に示すとおり、各板バネ6の凹部6aの位置が軸方向に見て整合するように、連結軸4に圧入された板バネ6の向きが調整される。図示の実施形態においては、上述したとおり、板バネ6のそれぞれの形状は同一であるので、すべての板バネ6の向きが同じ向きに調整されると、各板バネ6の凹部6aの位置が軸方向に見て整合する。
板バネ6が連結軸4に圧入された後、図4に示すとおり、グリース充填器10を用いて、複数の凹部6aと連結軸4の外周面との間に潤滑剤としてのグリースが充填される。このように図示の実施形態の積層バネ式トルクヒンジ2においては、板バネ6の内周縁に複数の凹部6aが形成されていることによって、板バネ6の内周縁と連結軸4との間に充分な量の潤滑剤が充填される。なお、潤滑剤については、半固体状のグリースに限定されず、個体状または液体状であってもよい。
次いで、図5(a)および図5(b)に示すとおり、軸方向両側端部の板バネ6が軸方向両側端部以外の板バネ6に対して所定角度(図示の実施形態では30度)回転される。これによって、軸方向両側端部以外の板バネ6(軸方向内側の3枚の板バネ6)の複数の凹部6aは、軸方向両側端部の板バネ6によって塞がれることになり、板バネ6の内周縁と連結軸4との間に潤滑剤が封入され、潤滑剤の漏れが防止される。
次いで、図1に示すとおり、適宜の合成樹脂から形成される回転阻止部材8が、連結軸4に圧入された各板バネ6と一体にインサート成型される。これによって、連結軸4および板バネ6に対して回転阻止部材8が密着し、板バネ6は回転阻止部材8に固定される。連結軸4と回転阻止部材8とは密着するものの、連結軸4が円柱状であり、連結軸4の外周面と接する回転阻止部材8の内周面が円筒形状であることから、連結軸4の回転が回転阻止部材8によって阻止されることはない。一方、板バネ6の一対の突出片6bが回転阻止部材8の内周面に引っ掛かることによって、板バネ6の回転は回転阻止部材8によって阻止される。
そして、連結軸4または回転阻止部材8に対して、連結軸4と板バネ6との間の摩擦力を超えるトルクが付与されると、連結軸4と回転阻止部材8とが相対的に回転すると共に、板バネ6から連結軸4に対して所要の抵抗トルクが付与される。
なお、図示の実施形態の回転阻止部材8の内周面には、図1(c)に示すとおり、連結軸4の環状溝4aに篏合する環状突起8aが形成されており、回転阻止部材8の環状突起8aと連結軸4の環状溝4aとが篏合することによって、連結軸4と回転阻止部材8との相対的な軸方向の移動が防止される。
回転阻止部材8の外形は、回転阻止部材8が装着される部材の形状に応じて任意の形状が採用される。図示の実施形態の回転阻止部材8の外形は全体として四角柱状であり、4個の窪み8bが形成されている。窪み8bは、回転阻止部材8をインサート成型する際、連結軸4と板バネ6との相対的な軸方向位置を固定するための金型の突き当てによって形成されるものである。
このように構成され得る積層バネ式トルクヒンジ2においては、ノートパソコンの本体等の第1の部材(図示していない。)に回転阻止部材8が固定されると共に、ノートパソコンのディスプレイ等の第2の部材(図示していない。)に連結軸4が固定される。そして、外力によって第1の部材に対して第2の部材が回転されると、回転阻止部材8に固定されている板バネ6に対して連結軸4が回転するところ、板バネ6から連結軸4に対して所要の抵抗トルクが付与されるため、第2の部材に付与された外力が失われると、第2の部材が任意の位置に保持される。
以上のとおりであり、図示の実施形態の積層バネ式トルクヒンジ2においては、各板バネ6の凹部6aと連結軸4の外周面との間には潤滑剤が充填されており、軸方向両側端部以外の板バネ6の複数の凹部6aは、軸方向両側端部の板バネ6によって塞がれているので、板バネ6の内周縁と連結軸4との間に充分な量の潤滑剤が封入され、かつ、封入された潤滑剤の漏れが防止される。これによって、積層バネ式トルクヒンジ2の耐久性が向上する。また、板バネ6によって封入された潤滑剤の漏れが防止されるため、回転阻止部材8の上型と下型との合わせ面に潤滑剤が侵入することがなく、回転阻止部材8をインサート成型する際の成型不良が抑制される。
図示の実施形態の積層バネ式トルクヒンジ2においては、連結軸4に圧入された板バネ6と一体に回転阻止部材8がインサート成型されているから、板バネ6の外周縁と回転阻止部材8の内周面との間に実質上隙間がなく、板バネ6と回転阻止部材8とが密着する。このため、積層バネ式トルクヒンジ2においては、いわゆる回転ガタや、スプリングバックがほとんどなく、高い応答性を有している。
板バネ6から連結軸4に対して付与される抵抗トルクは板バネ6の径方向寸法に依存しており、板バネ6の径方向寸法が大きくなるほど抵抗トルクが大きくなるところ、板バネ6の周方向中間部6dの径方向寸法Lが抵抗トルクへ与える影響が大きい。図示の実施形態では、一対の突出片6bの部分を除き、板バネ6の周方向中間部6dの径方向寸法Lが、周方向中間部6d以外の部分の径方向寸法よりも大きいので、板バネ6の抵抗トルクの低減を防止しつつ、板バネ6を小型化することができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず種々の変形が可能であり、たとえば回転阻止部材がインサート成型により形成されていなくてもよい。この例について図6および図7を参照して説明すると、回転阻止部材12は、本体14およびシールド16を備える。本体14は、矩形状の端面壁18と、端面壁18の周縁から軸方向片側に延びる側壁20とを有する。図7(b)および図7(c)を参照することによって理解されるとおり、側壁20の内周面は、連結軸4に圧入された複数枚の板バネ6に篏合するようになっている。そして、連結軸4に圧入された各板バネ6が本体14に収容された後、本体14の側壁20の開放側端部にシールド16が圧入される。図6および図7に示す例においては、板バネ6と回転阻止部材12の本体14との間に若干の隙間が生じるものの、板バネ6と連結軸4との間に充分な量の潤滑剤が封入され、かつ、封入された潤滑剤の漏れが防止されるという効果を奏する。
なお、図示の実施形態では、すべての板バネ6の形状が同一であるが、一部の板バネの形状が他の板バネの形状と異なっていてもよく、たとえば、内周縁に凹部6aが形成されていない板バネが含まれていてもよい。板バネの形状については、上述の実施形態ではC形状であるが、環状であってもよい。図示していないが、板バネの外周縁に切り欠きが形成され、板バネの外周縁の切り欠きに篏合する突起が回転阻止部材の内周面に形成されており、板バネの外周縁の切り欠きと、回転阻止部材の内周面の突起とが篏合することによって、連結軸が回転した際に板バネの回転が阻止されるようになっていてもよい。このような切り欠きは、板バネがC形状の場合には、板バネの周方向両側端部に少なくとも一対形成されているのが好ましく、板バネが環状の場合には、任意の位置に1個以上形成されていればよい。
2:積層バネ式トルクヒンジ
4:連結軸
4a:環状溝
6:板バネ
6a:凹部
6b:突出片
8:回転阻止部材
8a:環状突起
8b:窪み
本発明は、第1の部材に回転自在に連結された第2の部材に対して抵抗トルクを付与する積層バネ式トルクヒンジおよび積層バネ式トルクヒンジの製造方法に関する。
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、板バネの内周縁と連結軸との間に充分な量の潤滑剤が封入され、かつ、封入された潤滑剤の漏れが防止される積層バネ式トルクヒンジおよび積層バネ式トルクヒンジの製造方法を提供することである。
記板バネのそれぞれの形状は同一であり、軸方向両側端部の前記板バネは軸方向両側端部以外の前記板バネに対して所定角度回転されているのが好適である。
また、本発明によれば、上記のとおりの積層バネ式トルクヒンジの製造方法であって、前記連結軸に前記板バネを圧入した後、前記連結軸に圧入した前記板バネと一体に前記回転阻止部材をインサート成型する工程を含む積層バネ式トルクヒンジの製造方法が提供される。

Claims (3)

  1. 第1の部材と第2の部材とを回転自在に連結する連結軸と、積層されて前記連結軸に圧入された3枚以上の環状またはC形状の板バネと、前記板バネの少なくとも一部の回転を阻止する回転阻止部材とを備え、
    前記板バネの少なくとも一部の内周縁には周方向に間隔をおいて径方向外側に窪んだ複数の凹部が形成され、前記複数の凹部と前記連結軸の外周面との間には潤滑剤が充填されており、
    軸方向両側端部以外の前記板バネの前記複数の凹部は、軸方向両側端部の前記板バネによって塞がれている積層バネ式トルクヒンジ。
  2. 前記回転阻止部材は、前記連結軸に圧入された前記板バネと一体にインサート成型されている、請求項1に記載の積層バネ式トルクヒンジ。
  3. 前記板バネのそれぞれの形状は同一であり、軸方向両側端部の前記板バネは軸方向両側端部以外の前記板バネに対して所定角度回転されている、請求項1または2に記載の積層バネ式トルクヒンジ。
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