JP2022047249A - 光コム発生器及びレーザードップラー振動計 - Google Patents
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Abstract
【課題】単一の変調器で多数のモードを有する広帯域の光コムを生成することを可能にした光コム発生器を提供する。【解決手段】第1正弦波電気信号を振幅制御して第3変調信号を生成し、第1正弦波電気信号の2倍の周波数を有する第2正弦波電気信号を振幅制御しかつ第2正弦波信号の位相を第1位相だけシフトさせて第4変調信号を生成し、第3変調信号と第4変調信号とを合成して第1変調信号を生成し、それをマッハツェンダ変調器の第1電極に印加する第1変調信号生成部と、第1変調信号を振幅制御しかつ第1変調信号の位相を第2位相だけシフトさせて第2変調信号を生成し、それをマッハツェンダ変調器の第2電極に印加する第2変調信号生成部とを有する。【選択図】 図6
Description
本発明は、等しい周波数間隔を持った線スペクトル列の光を発生する光コム発生器と、その光コム発生器を用いたレーザードップラー振動計とに関する。
レーザードップラー振動計は、光のドップラー効果を利用して非接触で振動を測定する振動計である。振動物体に光を照射した際に発生する散乱光のドップラー効果由来の周波数変化量を検知することによって振動を測定することが可能となる。レーザードップラー振動計は非接触の測定が可能であるため、遠方の物体や高温・高磁場下の物体の振動測定も可能である。このような利点を活かし、工場やプラント内設備の予知保全用途やインフラ・ストラクチャーの点検用途として近年活躍が期待されている。
図1は一般的な従来のレーザードップラー振動計の構成を示している。当該図1のレーザードップラー振動計は特許文献1の図1に示された振動計に相当する。レーザー光源101は中心周波数f0を有する直線偏光の連続光を発光する。レーザー光源101から出射された直線偏光の連続光はカプラ102によって2つの光に分岐され、一方は測定対象111に照射するための測定光、他方は後述する散乱光と干渉させるための局発光として用いられる。測定光は偏波ビームスプリッタ103を通過してλ/4波長板104に入射する。λ/4波長板104は入射した直線偏光を円偏光に変換し、その円偏光の測定光をセンサーヘッド105に対して出射する。センサーヘッド105は円偏光の測定光を空間に出射し、それを測定対象111に照射する。
測定対象111に照射された測定光によって測定対象111からは散乱光が発生する。このときの散乱光の偏光状態は、照射された測定光に対して反対回りの円偏光となる。散乱光の一部はセンサーヘッド105によって捕捉され、捕捉された散乱光はセンサーヘッド105から測定光とは逆に光学系を伝搬し、λ/4波長板104によって円偏光から直線偏光に変換される。このときの直線偏光の向きは、偏波ビームヌプリッタ103の出力時の測定光の向きに対して垂直となるため、散乱光は偏波ビームスプリッタ103によって反射され、光位相検出回路107に入射される。一方、局発光は周波数シフタ106によってfshiftだけ周波数シフトされた後、光位相検出回蹉107に入射される。周波数シフタ106の入力光のスペクトルは図2(a)に示され、出力光のスペクトルは図2(b)に示される。光位相検出回路107の出力光は受光器108によって光電変換され、アナログの電圧信号となる。その電圧信号はアナログ・デジタル変換器109によってデジタル化された後、信号処理回路110に供給される。信号処理回路110からは光の位相、すなわち振動の情報が得られる。
図1から分かるように、従来のレーザードップラー振動計の測定対象111は一箇所に限定される。そのため、複数箇所の振動を測定するためには複数台のレーザードップラー振動計が必要であった。
しかしながら、レーザードップラー振動計は数百万円と極めて高額であるため複数箇所の振動測定は現実的でなかった。高価な理由としては、コヒーレント検波で必須となる位相雑音特性が良好なレーザー光源が高価であるからと考えられている。そこで、単一の高価なレーザー光源だけを用い、複数のセンサーヘッドを備えて複数点での振動測定が可能な多点型レーザードップラー振動計が可能となれば、大幅なコストダウンが期待できる。
多点計測可能なレーザードップラー振動計として、光コムを活用した手法が例えば、引用文献2に提案されている。光コムとは図3に示されたように等しい周波数間隔を持った線スペクトル列の光である。ここで各スペクトルをモードと称する。引用文献2に開示された多点計測型のレーザードップラー振動計では、測定光と局発光とを光コムに変換し、かつ測定光と局発光との光コムの周波数間隔の差をマイクロ波領域の周波数にすることによって多点計測が可能となる。光周波数領域のコムをマイクロ波周波数領域のコムに変換して検出する方式は一般にマルチヘテロダイン検出と呼ばれる(非特許文献1参照)。
「高安定光周波数シンセサイザーとその応用」、大久保章、産総研計量標準報告Vol.9,No.1
「周波数コム発生による光コヒーレント・トモグラフィの研究」、黒川隆志、中谷電子計測技術振興財団年報、2006年20号
「位相変調器を用いた高繰り返し短パルスファイバーレーザー」、諸橋功、ファイバーレーザー研究の最前線42巻9号(2013)
光コム生成手法には、例えば図4に示すような2段直列接続の光位相変調器を用いる手法が提案されている(非特許文献2参照)。この光位相変調器は、駆動電気信号によって入力光の位相を変調し出力する素子である。図4に示されたように、各々の光位相変調器の駆動電気信号は以下の式で表される。ここで、φ1、φ2は変調度、Ωは変調角周波数、tは時間、θは位相である。
φ1sinΩt ・・・(1)
φ2sin(2Ωt+θ) ・・・(2)
これらの電気信号によって駆動された2台の光位相変調器を通過した光の電場は以下の式(3)で表される。
φ2sin(2Ωt+θ) ・・・(2)
これらの電気信号によって駆動された2台の光位相変調器を通過した光の電場は以下の式(3)で表される。
ここで、jは虚数単位、Jmはm次のベッセル関数である。この出力光のスペクトルは図4の(b)に示されたようになり、広帯域かつ平坦な光コムが得られることが分かる。
しかしながら、上記した光コム生成手法を用いた装置では、光コムの生成に2台の光位相変調器を用いる必要があるため、装置が複雑かつ高価になってしまうという課題が生じていた。そこで、1台の変調器を用いて光コムを生成する手法として、マッハツェンダ変調器を用いる手法が提案されている(非特許文献3参照)。本手法では、図5(a)に示されるように両アームに独立の変調電極を有するマッハツェンダ変調器MZMが用いられ、その両アームに次の式(4)及び(5)に示す如き正弦波電気信号が各々印加される。
φ1sinΩt ・・・(4)
φ2sinΩt ・・・(5)
マッハツェンダ変調器MZMに入力された連続光はそれぞれのアームで変調を受け、さらに直流バイアスBiasにより位相差Δθ=θ1-θ2を与えられた後、合波される。その結果出力光の光電場は以下の式(6)のようになる。
φ2sinΩt ・・・(5)
マッハツェンダ変調器MZMに入力された連続光はそれぞれのアームで変調を受け、さらに直流バイアスBiasにより位相差Δθ=θ1-θ2を与えられた後、合波される。その結果出力光の光電場は以下の式(6)のようになる。
ここで、Δφ=φ1-φ2としたとき
Δφ±Δθ=Π/2 ・・・(7)
の関係が満たされる場合においては、出力される光コムは平坦化されることが示されている。以上のようにして、1台の変調器で光コムを生成することが可能となる。
Δφ±Δθ=Π/2 ・・・(7)
の関係が満たされる場合においては、出力される光コムは平坦化されることが示されている。以上のようにして、1台の変調器で光コムを生成することが可能となる。
しかしながら、本手法で生成可能な光コムのモードの数は図5から17個と読み取れる。例えば、設備の予知保全用途では測定可能な個数が大きいほど好ましいため、広帯域の光コムにしてモード数を更に増大させることが望まれている。
そこで、本発明の目的は、このような課題に着目し、単一の変調器で広帯域の光コムを生成することを可能にした光コム発生器を提供し、また、そのような光コム発生器を用いて簡素かつ安価な構成のレーザードップラー振動計を提供することである。
本発明の光コム発生器は、光入力に各々の一端が結合しかつ光出力に各々の他端が結合した第1光導波路及び第2光導波路と、前記第1光導波路及び前記第2光導波路との各々に設けられた第1電極及び第2電極と、を有するマッハツェンダ変調器と、前記第1電極に第1変調信号を印加しかつ前記第2電極に第2変調信号を印加する信号生成部と、を備えた光コム発生器であって、前記信号生成部は、第1正弦波電気信号を振幅制御して第3変調信号を生成し、前記第1正弦波電気信号の2倍の周波数を有する第2正弦波電気信号を振幅制御しかつ前記第2正弦波信号の位相を第1位相だけシフトさせて第4変調信号を生成し、前記第3変調信号と前記第4変調信号とを合成して前記第1変調信号を生成する第1変調信号生成部と、前記第1変調信号を振幅制御しかつ前記第1変調信号の位相を第2位相だけシフトさせて前記第2変調信号を生成する第2変調信号生成部と、を有すること特徴としている。
本発明のレーザードップラー振動計は、レーザー光を測定光と局発光とに分岐させるカプラと、前記測定光を入力し、当該入力測定光を光コムの測定光に変換して出力する第1光コム発生器と、前記光コムの測定光を前記光コムのモード各々で割り当てられた複数のセンサーヘッドを介して各々の測定対象に照射し、当該照射によって前記複数のセンサーヘッドの各々で捕捉された前記測定対象からの前記モード各々の散乱光を集光する測定光学系と、前記局発光を入力し、当該入力局発光を前記光コムの局発光に変換して出力する第2光コム発生器と、前記光コムの前記局発光を周波数シフトさせる周波数シフタと、前記周波数シフト後の前記光コムの前記局発光と前記測定光学系で集光された前記散乱光との光位相差を各々検出する光位相検出部と、前記光位相検出部によって検出された前記光位相差の各々を電気信号に変換して振動情報を得る電気処理系と、を備えた多点計測型のレーザードップラー振動計であって、前記第1光コム発生器及び前記第2光コム発生器の各々は、光入力に各々の一端が結合しかつ光出力に各々の他端が結合した第1光導波路及び第2光導波路と、前記第1光導波路及び前記第2光導波路との各々に設けられた第1電極及び第2電極と、を有するマッハツェンダ変調器と、前記第1電極に第1変調信号を印加しかつ前記第2電極に第2変調信号を印加する信号生成部と、を備え、前記信号生成部は、第1正弦波電気信号を振幅制御して第3変調信号を生成し、前記第1正弦波電気信号の2倍の周波数を有する第2正弦波電気信号を振幅制御しかつ前記第2正弦波信号の位相を第1位相だけシフトさせて第4変調信号を生成し、前記第3変調信号と前記第4変調信号とを合成して前記第1変調信号を生成する第1変調信号生成部と、前記第1変調信号を振幅制御しかつ前記第1変調信号の位相を第2位相だけシフトさせて前記第2変調信号を生成する第2変調信号生成部と、を有すること特徴としている。
本発明の光コム発生器によれば、マッハツェンダ変調器を駆動するための第1及び第2変調信号を適切に設定し得るので、単一のマッハツェンダ変調器でモード数が多数となる広帯域の光コムを生成することができる。そのような単一のマッハツェンダ変調器を含む光コム発生器を用いた本発明のレーザードップラー振動計によれば、従来よりも簡素かつ安価な構成で多点計測をすることができる。
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図6は本発明による光コム発生器の変調部600の基本構成を示している。かかる光コム発生器の変調部600は、2つの光導波路601、602を備えたマッハツェンダ変調器である。すなわち、光導波路601、602はその両端側で各々結合し、入力光を2つの光導波路601、602に分岐し、2つの光導波路601、602を再び合波して光出力するマッハツェンダ型光干渉計が構成されている。第1光導波路(アーム)を構成する光導波路601には、一方の変調信号電圧が印加される電極611(第1電極)が設けられ、第2光導波路(アーム)を構成する光導波路602には干渉計の位相差を調整するために他方の変調信号電圧が印加される電極612(第2電極)が設けられている。これら電圧を印加することにより光導波路601、602を伝搬する光に位相変化を与え、発生した位相差に応じて出力される光強度及び光位相を変化させて、変調動作を実現している。
本発明による光コム発生器は、かかる単一のマッハツェンダ変調器600を用いて広帯域の光コムの生成を行う。電極611には式(8)に示される変調電圧(第1変調信号)が印加され、電極612には式(9)に示される変調電圧(第2変調信号)が印加される。
a sin ωt+b sin(2ωt+θ) ・・・(8)
M[a sin(ωt+δ)+b sin(2ωt+θ+δ)] ・・・(9)
ここで、変調周波数fはf=ω/2Πであり、アレイ導波路回折格子(後述する図8の806)で分配可能な周波数領域(10GHz程度)である。またMは両アームの電圧比を決定するための正の定数、a,bは変調度、θ,δは位相である。
M[a sin(ωt+δ)+b sin(2ωt+θ+δ)] ・・・(9)
ここで、変調周波数fはf=ω/2Πであり、アレイ導波路回折格子(後述する図8の806)で分配可能な周波数領域(10GHz程度)である。またMは両アームの電圧比を決定するための正の定数、a,bは変調度、θ,δは位相である。
式(8)、(9)で示した変調信号を生成する信号生成部は、図7に示された構成を備えている。変調信号生成部は、周波数発信器701、分配器702、712、増幅器703、707、713、フィルタ704、708、減衰器705、709、714、周波数ダブラ706、位相シフタ710、715、合成器711を備えている。式(8)で表される第1変調信号を生成する部分701~712が第1変調信号生成部であり、式(9)で表される第2変調信号を生成する部分713~715が第2変調信号生成部である。
周波数発信器701は上述した周波数fを有する正弦波電気信号(第1正弦波電気信号)を発信する。分配器702は周波数発信器701に接続され、周波数発信器701から発信された電気信号を2つに分配する。増幅器703は分配器702の一方の出力に接続され、分配された電気信号を増幅する。増幅器703の出力にはフィルタ704が接続され、フィルタ704は周波数fを含む第1の特定周波数帯域の信号を通過させる。フィルタ704の出力には減衰器705が接続され、減衰器705によって信号レベルが減衰される。周波数ダブラ706は分配器702の他方の出力に接続され、分配された正弦波電気信号の周波数fを2倍した周波数2fを有する正弦波電気信号(第2正弦波電気信号)に変換する。増幅器707は周波数ダブラ706の出力に接続され、周波数2fの電気信号を増幅する。増幅器707の出力にはフィルタ708が接続され、フィルタ708は周波数2fを含む第2の特定周波数帯域の信号を通過させる。フィルタ708の出力には減衰器709が接続され、減衰器709によって信号レベルが減衰される。位相シフタ710は減衰器709の出力に接続され、減衰器709から出力された電気信号の位相をθ(第1位相)だけシフトさせる。
合成器711は減衰器705の出力信号と位相シフタ710の出力信号とを合成する。合成器711の出力には分配器712が接続されている。分配器712は合成器711から出力された電気信号を2つに分配する。分配器712の一方の出力に電極611が接続されている。分配器712の他方の出力には増幅器713が接続されている。増幅器713は分配器712の他方の出力から供給される電気信号を増幅する。増幅器713の出力には減衰器714が接続され、減衰器714によって信号レベルが減衰される。位相シフタ715は減衰器714の出力に接続され、減衰器714から出力された電気信号の位相をδ(第2位相)だけシフトさせる。位相シフタ715の出力に電極612が接続されている。
このような構成を有する信号生成部においては、周波数発信器701から出力される周波数fの正弦波電気信号を分配器702によって2分配される。分配器712の一方の出力の正弦波信号は変調度a(第1変調度)を満たすように増幅器703、フィルタ704、減衰器705によって振幅制御(電圧制御)され、合成器711の一方に入力される。この合成器711の一方に入力される信号が第3変調信号である。分配器712の他方の出力の正弦波電気信号は周波数ダブラ706によって周波数が2fに変換された後、変調度b(第2変調度)を満たすように増幅器707、フィルタ708、減衰器709によって振幅制御される。そして、振幅制御後の信号に対して位相シフタ710によって位相θがシフト制御され、シフト制御後の信号が第4変調信号であり、これが合成器711の他方に入力される。合成器711によって互いに合成された信号(第3変調信号+第4変調信号)は分配器712に入力され、分配器712の一方の出力信号が式(8)で表される第1変調信号としてマッハツェンダ変調器600の電極611に印加される。
分配器712の他方の出力信号は定数M(所定の定数)を満たすように増幅器713と減衰器714とによって振幅制御され、位相シフタ715によって位相δがシフト制御され、式(9)で表される第2変調信号としてマッハツェンダ変調器600の電極612に印加される。このようにマッハツェンダ変調器600の電極611、612に印加される第1及び第2変調信号を式(8)、(9)で示した信号として生成することができる。
図8は多点計測型のレーザードップラー振動計の構成を示している。このレーザードップラー振動計は、レーザー光源801、カプラ802、光コム発生器803、808、偏波ビームスプリッタ804、1/4波長板805、アレイ導波路回折格子806、センサーヘッド807(1)~807(n)、周波数シフタ809、光位相検出回路810、受光器811、アナログ・デジタル変換器812、信号処理回路813を備えている。光コム発生器803、808の各々は図6及び図7に示した光コム発生器である。また、センサーヘッド807(1)~807(n)の数nは2以上の整数である。
レーザー光源801は中心周波数f0の連続光を発射する。レーザー光源801に光学的に接続されたカプラ802はレーザー光源801から発射された連続光を2分岐する。一方が測定光、他方が局発光として用いられる。カプラ802の測定光出力には光コム発生器803が光学的に接続されている。更に、光コム発生器803の光出力には偏波ビームスプリッタ804、1/4波長板805、アレイ導波路回折格子806、センサーヘッド807(1)~807(n)まではその順に光学的に接続され、光コムの測定光が通過する測定光学系を形成している。カプラ802の局発光出力からは光コム発生器808、周波数シフタ809、光位相検出回路810の一方の入力まではその順に光学的に接続され、局発光が通過する光学系を形成している。光位相検出回路810の他方の入力は偏波ビームスプリッタ804に光学的に接続され、偏波ビームスプリッタ804によって反射された光を受け入れる。光位相検出回路810は2つの入力光の光位相を検出して出力する。光位相検出回路810の光出力には受光器811が光学的に接続されている。受光器811は受光した光の強度に応じたアナログの電圧信号に変換する。受光器811の出力にはアナログ・デジタル変換器812を介して信号処理回路813が電気的に接続されている。
図8のレーザードップラー振動計においては、レーザー光源801から発射された連続光がカプラ802で2分岐される。カプラ802から出力される一方の測定光は光コム発生器803の光入力に入力され、光コムに変換され、光コムは光コム発生器803の光出力から出力される。光コムは、図1の振動計と同様に偏波ビームスプリッタ804を通過した後、λ/4波長板805によって直線偏光から円偏光に変換される。その後、アレイ導波路回折格子806によって測定光の各モード光が各センサーヘッド807(1)~807(n)へ分配され、空間に出射され、複数の測定対象814(1)~814(n)に各々照射される。
測定対象814(1)~814(n)から発生された散乱光は、測定光に対して反対回りの円偏光に変化し、センサーヘッド807(1)~807(n)によって捕捉される。そしてアレイ導波路回折格子806によって各散乱光が合波され、1/4波長板805を通過した後、偏波ビームスプリッタ804によって反射され、光位相検出回路810に入射される。
カプラ802から出力される他方の局発光は、光コム発生器808によって光コムに変換され、周波数シフタ809により中心周波数がfshiftだけシフトされた後に光位相検出回路810に入射される。光位相検出回路810の出力光は、受光器811によって光電変換され、アナログの電圧信号となる。電圧信号はアナログ・デジタル変換器812によってデジタル化された後、信号処理回路813に供給される。信号処理回路813からは光の位相、すなわち振動の情報が得られる。
ここで、図9に示すように、測定光及び局発光の各々の光コムの周波数問隔を各々frep1、frep2とすると、光位相検出回路810の出力光は、中心周波数fshift、周波数間隔Δfrep=|frep2-frep1|の光コムとなる。よって、Δfrepがマイクロ波領域の値となるようにfrep1及びfrep2を制御するとマイクロ波領域のコムが生成され、各測定対象の振動を一括で計測することが可能となる。
レーザー光源801の中心周波数f0をf0=ω0/2Πとすると、マッハツェンダ変調器600の出力は
で表される。これは中心周波数f0、周波数間隔fの光コムとなる。ここで簡単のため出力光の電場強度は規格化している。5つのパラメータa、b、M、θ、δを設定することによってスペクトルの形状を制御することが可能である。
一例として21個のモードをもつコムを生成する場合を試してみた。コムの平坦化の条件として、21本のモードの最大パワーと最小パワーの差が最小となる場合を仮定し、シミュレーションによってパラメータを最適化した結果、図10(a)のようなコムが得られた。最大パワーと最小パワーの差が3dB以下となり、平坦なコムが得られることが分かる。また、このときのパラメータの値はa=0.38Π、b=1.4Π、M=1、θ=Π/2、δ=0となった。一方、非特許文献3に記載された従来法を適用して21個のモードを最適化した結果、図10(b)のようなコムが得られた。図10(b)のコムでは図10(a)よりも各モードのパワー値がばらついており、コムとしては不適当であると考えられる。実際、最大パワーと最小パワーの差は約13dBとなった。これにより、上記した実施例のマッハツェンダ変調器600を用いた構成が有効であることが分かる。
このように実施例によれば、マッハツェンダ変調器を駆動するための2つの変調信号を設定することによって単一のマッハツェンダ変調器で多くのモード数からなる広帯域の光コムを生成することが可能となり、その結果、レーザードップラー振動計において従来よりも簡素かつ安価な構成で多点計測が可能となる。
なお、本発明の光コム発生器は上記した実施例ではレーザードップラー振動計に使用されているが、等しい周波数間隔を持った線スペクトル列の光を用いる他の光学機器にも本発明の光コム発生器を適用することができる。
101,801 レーザー光源
102,802 カプラ
103,804 偏波ビームスプリッタ
104,805 λ/4波長板
105,807(1)~807(n) センサーヘッド
106,809 周波数シフタ
107,810 光位相検出回路
108,811 受光器
109,812 アナログ・デジタル変換器
110,813 信号処理回路
111,814(1)~814(n) 測定対象
600 マッハツェンダ変調器
601,602 光導波路
611,612 電極
701 周波数発信器
702,712 分配器
703,707,713 増幅器
704,708 フィルタ
705,709,714 減衰器
706 周波数ダブラ
710,715 位相シフタ
711 合成器
803,808 光コム発生器
806 アレイ導波路回折格子
102,802 カプラ
103,804 偏波ビームスプリッタ
104,805 λ/4波長板
105,807(1)~807(n) センサーヘッド
106,809 周波数シフタ
107,810 光位相検出回路
108,811 受光器
109,812 アナログ・デジタル変換器
110,813 信号処理回路
111,814(1)~814(n) 測定対象
600 マッハツェンダ変調器
601,602 光導波路
611,612 電極
701 周波数発信器
702,712 分配器
703,707,713 増幅器
704,708 フィルタ
705,709,714 減衰器
706 周波数ダブラ
710,715 位相シフタ
711 合成器
803,808 光コム発生器
806 アレイ導波路回折格子
Claims (5)
- 光入力に各々の一端が結合しかつ光出力に各々の他端が結合した第1光導波路及び第2光導波路と、前記第1光導波路及び前記第2光導波路との各々に設けられた第1電極及び第2電極と、を有するマッハツェンダ変調器と、
前記第1電極に第1変調信号を印加しかつ前記第2電極に第2変調信号を印加する信号生成部と、を備えた光コム発生器であって、
前記信号生成部は、
第1正弦波電気信号を振幅制御して第3変調信号を生成し、前記第1正弦波電気信号の2倍の周波数を有する第2正弦波電気信号を振幅制御しかつ前記第2正弦波信号の位相を第1位相だけシフトさせて第4変調信号を生成し、前記第3変調信号と前記第4変調信号とを合成して前記第1変調信号を生成する第1変調信号生成部と、
前記第1変調信号を振幅制御しかつ前記第1変調信号の位相を第2位相だけシフトさせて前記第2変調信号を生成する第2変調信号生成部と、を有すること特徴とする光コム発生器。 - 前記第1正弦波電気信号に対する振幅制御、前記第2正弦波電気信号に対する振幅制御、前記第1変調信号に対する振幅制御、前記第1位相のシフト量、及び前記第2位相のシフト量は、前記第1電極及び前記第2電極に印加可能な電圧範囲内において、前記光出力から得られる光コムの全てのモードのうちの最大パワーと最小パワーとの差が最小となるように設定されることを特徴とする請求項1記載の光コム発生器。
- 前記第1変調信号生成部は、
前記第1正弦波電気信号を生成する周波数発信器と、
前記第1正弦波電気信号を2分配する第1分配器と、
前記第1分配器の一方の出力から分配された前記第1正弦波電気信号を増幅する第1増幅器と、
前記第1増幅器の出力に接続され、第1の特定周波数帯域内の信号を通過させる第1フィルタと、
前記第1フィルタの出力に接続され前記第3変調信号を出力する第1減衰器と、
前記第1分配器の他方の出力から分配された前記第1正弦波電気信号の周波数を2倍にして前記第2正弦波電気信号を生成する周波数ダブラと、
前記第2正弦波電気信号を増幅する第2増幅器と、
前記第2増幅器の出力に接続され、第2の特定周波数帯域内の信号を通過させる第2フィルタと、
前記第2フィルタの出力に接続され、前記第2フィルタの出力信号を減衰させる第2減衰器と、
前記第2減衰器の出力に接続され、前記第2減衰器の出力信号の位相を前記第1位相だけシフトさせて前記第4変調信号を生成する第1位相シフタと、
前記第3変調信号と前記第4変調信号とを合成して前記第1変調信号を生成する合成器と、
前記第1変調信号を2分配する第2分配器と、を含み、
前記第2分配器の一方の出力から分配された前記第1変調信号を前記第1電極に印加し、
前記第2変調信号生成部は、
前記第2分配器の他方の出力から分配された前記第1変調信号を増幅する第3増幅器と、
前記第3増幅器の出力に接続され、前記第1変調信号の電圧レベルを減衰させる第3減衰器と、
前記第3減衰器の出力に接続され、前記第3減衰器の出力信号の位相を前記第2位相だけシフトさせて前記第2変調信号を生成する第2位相シフタと、を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の光コム発生器。 - 前記第1増幅器、前記第1フィルタ、及び前記第1減衰器は第1変調度を満たすように前記第1正弦波電気信号の振幅制御を行い、
前記第2増幅器、前記第2フィルタ、及び前記第2減衰器は第2変調度を満たすように前記第2正弦波電気信号の振幅制御を行い、
前記第3増幅器、及び前記第3減衰器は所定の定数を満たすように前記第1変調信号の振幅制御を行うことを特徴とする請求項3記載の光コム発生器。 - レーザー光を測定光と局発光とに分岐させるカプラと、
前記測定光を入力し、当該入力測定光を光コムの測定光に変換して出力する第1光コム発生器と、
前記光コムの測定光を前記光コムのモード各々で割り当てられた複数のセンサーヘッドを介して各々の測定対象に照射し、当該照射によって前記複数のセンサーヘッドの各々で捕捉された前記測定対象からの前記モード各々の散乱光を集光する測定光学系と、
前記局発光を入力し、当該入力局発光を前記光コムの局発光に変換して出力する第2光コム発生器と、
前記光コムの前記局発光を周波数シフトさせる周波数シフタと、
前記周波数シフト後の前記光コムの前記局発光と前記測定光学系で集光された前記散乱光との光位相差を各々検出する光位相検出部と、
前記光位相検出部によって検出された前記光位相差の各々を電気信号に変換して振動情報を得る電気処理系と、を備えた多点計測型のレーザードップラー振動計であって、
前記第1光コム発生器及び前記第2光コム発生器の各々は、
光入力に各々の一端が結合しかつ光出力に各々の他端が結合した第1光導波路及び第2光導波路と、前記第1光導波路及び前記第2光導波路との各々に設けられた第1電極及び第2電極と、を有するマッハツェンダ変調器と、
前記第1電極に第1変調信号を印加しかつ前記第2電極に第2変調信号を印加する信号生成部と、を備え、
前記信号生成部は、
第1正弦波電気信号を振幅制御して第3変調信号を生成し、前記第1正弦波電気信号の2倍の周波数を有する第2正弦波電気信号を振幅制御しかつ前記第2正弦波信号の位相を第1位相だけシフトさせて第4変調信号を生成し、前記第3変調信号と前記第4変調信号とを合成して前記第1変調信号を生成する第1変調信号生成部と、
前記第1変調信号を振幅制御しかつ前記第1変調信号の位相を第2位相だけシフトさせて前記第2変調信号を生成する第2変調信号生成部と、を有すること特徴とする多点計測型のレーザードップラー振動計。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020153053A JP2022047249A (ja) | 2020-09-11 | 2020-09-11 | 光コム発生器及びレーザードップラー振動計 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020153053A JP2022047249A (ja) | 2020-09-11 | 2020-09-11 | 光コム発生器及びレーザードップラー振動計 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022047249A true JP2022047249A (ja) | 2022-03-24 |
Family
ID=80780275
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020153053A Pending JP2022047249A (ja) | 2020-09-11 | 2020-09-11 | 光コム発生器及びレーザードップラー振動計 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022047249A (ja) |
-
2020
- 2020-09-11 JP JP2020153053A patent/JP2022047249A/ja active Pending
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