JP2022046422A - 可変色粘着シート - Google Patents

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【課題】被着体への貼合わせ後に粘着剤層を局所的に変色可能であって、当該粘着剤層の変色部分の滲みを抑制するのに適した、可変色粘着シートを提供する。【解決手段】本発明の粘着シートSは、変色可能な粘着剤層10を備える可変色粘着シートである。粘着剤層10は、第1外部刺激によって発色可能な着色剤と、ベースポリマーと、重合性化合物とを含有し、第1外部刺激とは異なる第2外部刺激によって硬化可能である。【選択図】図1

Description

本発明は、可変色粘着シートに関する。
有機ELパネルなどのディスプレイパネルは、画素パネルおよびカバー部材などを含む積層構造を有する。そのようなディスプレイパネルの製造過程では、積層構造に含まれる要素どうしの貼り合わせのために、例えば、透明な粘着シートが用いられる。
また、ディスプレイパネルにおける画素パネルの光出射側(画像表示側)に配置される透明粘着シートとして、同シートの所定箇所に意匠性、遮蔽性、反射防止性などを付与するための着色部分が予め形成されている粘着シートを用いることが、提案されている。そのような粘着シートは、例えば下記の特許文献1に記載されている。特許文献1には、具体的には、カーボンブラック顔料を含有する着色部分を有する粘着シートが記載されている。
特開2017-203810号公報
しかしながら、ディスプレイパネルの製造過程において、着色部分が予め形成されている粘着シートを用いる場合、被着体に対する当該粘着シートの貼り合わせの後に、被着体と粘着シートの着色部分との間における異物および気泡の有無を適切に検査できない。ディスプレイパネル製造過程における粘着シートの貼り合わせには、当該貼り合わせ後に被着体と粘着シートとの間における異物および気泡の有無を適切に検査できることが求められる。
一方、ディスプレイパネル用の透明粘着シートに設けられる着色部分の機能確保の観点からは、着色部分における着色成分が経時的に拡散すること(即ち、着色部分の滲み)が抑制されることが、求められる。
本発明は、被着体への貼合わせ後に粘着剤層を局所的に変色可能であって、当該粘着剤層の変色部分の滲みを抑制するのに適した、可変色粘着シートを提供する。
本発明[1]は、変色可能な粘着剤層を備える可変色粘着シートであって、前記粘着剤層は、第1外部刺激によって発色可能な着色剤と、ベースポリマーと、重合性化合物とを含有し、前記第1外部刺激とは異なる第2外部刺激によって硬化可能である、可変色粘着シートを含む。
本発明[2]は、前記粘着剤層は、光重合開始剤を更に含有する、上記[1]に記載の可変色粘着シートを含む。
本発明[3]は、前記着色剤は、酸との反応により発色する化合物であり、前記粘着剤層は、光酸発生剤を更に含有する、上記[1]または[2]に記載の可変色粘着シートを含む。
本発明[4]は、前記着色剤は、酸との反応により発色する化合物であり、前記粘着剤層は、光酸発生剤および光重合開始剤を更に含有し、前記光酸発生剤の吸光度Xに対する前記光重合開始剤の吸光度Yの比率が2以上である波長領域を、波長300nm以上500nm以下の範囲内に有する、上記[1]に記載の可変色粘着シートを含む。
本発明[5]は、前記粘着剤層における前記重合性化合物の含有量は、前記ベースポリマー100質量部に対して5質量部以上50質量部以下である、上記[1]から[4]のいずれか一つに記載の可変色粘着シートを含む。
本発明[6]は、前記粘着剤層は、10μm以上300μm以下の厚さを有する、上記[1]から[5]のいずれか一つに記載の可変色粘着シートを含む。
本発明[7]は、前記粘着剤層の厚さ方向一方側に配置された基材を更に備える、上記[1]から[6]のいずれか一つに記載の可変色粘着シートを含む。
本発明の可変色粘着シートは、粘着剤層が、上記のように、第1外部刺激によって発色可能な着色剤を含有する。そのため、可変色粘着シートを被着体に貼り合わせた後、粘着剤層における変色予定部分に対する第1外部刺激の付与により、当該粘着剤層を局所的に変色させることができる。このような可変色粘着シートでは、貼り合わせ後であって粘着剤層の変色部分形成前に、同シートと被着体との間における異物および気泡の有無を検査できる。
また、可変色粘着シートは、粘着剤層が、上記のように、ベースポリマーと、重合性化合物とを含有し、第1外部刺激とは異なる第2外部刺激によって硬化可能である。このような可変色粘着シートは、被着体に対する貼り合わせに適した粘着剤層の柔らかさ(低弾性率性)を貼り合わせ時には確保しつつ、粘着剤層において変色予定部分または変色部分を包含する領域(例えば、粘着剤層の全体)を貼り合わせ後に高弾性率化するのに適する。粘着剤層のこのような高弾性率化は、粘着剤層において着色剤の拡散を抑制するのに適し、従って、変色部分が形成された粘着剤層においては当該変色部分の滲みを抑制するのに適する。
本発明の可変色粘着シートの一実施形態の断面模式図である。 本発明の可変色粘着シートの変形例(可変色粘着シートが基材付き片面粘着シートである場合)の断面模式図である。 本発明の可変色粘着シートの使用方法の一例を表す。図3Aは、可変色粘着シートおよび部材(被着体)を用意する工程を表し、図3Bは、可変色粘着シートを介して部材どうしを接合する工程を表し、図3Cは、可変色粘着シートの粘着剤層を硬化させる工程を表し、図3Dは、可変色粘着シートの粘着剤層に変色部分を形成する工程を表す。
本発明の可変色粘着シートの一実施形態としての粘着シートSは、図1に示すように、粘着剤層10を備える。粘着シートSは、所定の厚さのシート形状を有し、厚さ方向と直交する方向(面方向)に延びる。粘着シートSは、例えば、有機ELパネルなどのディスプレイパネル(画素パネルおよびカバー部材などを含む積層構造を有する)における画素パネルの画像表示側に配置される透明粘着シートとして、用いられる。
粘着剤層10は、粘着性組成物から形成された、透明性(可視光透過性)を有する感圧接着剤層である。粘着性組成物は、ベースポリマーと、重合性化合物と、第1外部刺激によって発色可能な着色剤と、本実施形態では更に光重合開始剤とを含有する。粘着剤層10は、後述の第1外部刺激を受けた部分が変色可能である。すなわち、粘着剤層10は、第1外部刺激を受けた部分の透明性が、事後的に低下可能である。また、粘着剤層10は、第1外部刺激とは異なる後述の第2外部刺激によって硬化可能である。
ベースポリマーは、粘着剤層10において粘着性を発現させるための粘着成分である。ベースポリマーは、室温域でゴム弾性を示す。ベースポリマーとしては、例えば、アクリルポリマー、ゴムポリマー、ポリエステルポリマー、ウレタンポリマー、ポリエーテルポリマー、シリコーンポリマー、ポリアミドポリマー、およびフッ素ポリマーが挙げられる。粘着剤層10における良好な透明性および粘着性を確保する観点から、ベースポリマーとしては、好ましくはアクリルポリマーが用いられる。
粘着剤層10におけるベースポリマーの含有割合は、粘着剤層10でのベースポリマーの機能を適切に発現させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上である。
アクリルポリマーは、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50質量%以上の割合で含むモノマー成分を重合することにより得られるポリマーである。「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、直鎖状または分岐状の炭素数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。そのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソトリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸イソテトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソオクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、および(メタ)アクリル酸エイコシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、好ましくは、炭素数1~12のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルが用いられ、より好ましくは、アクリル酸メチルと、炭素数2~12のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルとが併用され、更に好ましくは、アクリル酸メチルと、アクリル酸2-エチルヘキシルとが併用される。
モノマー成分における(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、粘着剤層10において粘着性等の基本特性を適切に発現させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上である。同割合は、例えば99質量%以下である。
モノマー成分は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な共重合性モノマーを含んでもよい。共重合性モノマーとしては、例えば、極性基を有するモノマーが挙げられる。極性基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、窒素原子含有環を有するモノマー、および、カルボキシ基含有モノマーが挙げられる。極性基含有モノマーは、アクリルポリマーへの架橋点の導入、アクリルポリマーの凝集力の確保など、アクリルポリマーの改質に役立つ。
共重合性モノマーは、好ましくは、水酸基含有モノマー、窒素原子含有環を有するモノマー、および、カルボキシ基含有モノマーからなる群から選択される少なくとも一種を含む。より好ましくは、共重合性モノマーは、水酸基含有モノマーおよび/または窒素原子含有環を有するモノマーを含む。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、および(4-ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレートが挙げられる。水酸基含有モノマーとしては、好ましくは(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルが用いられ、より好ましくはアクリル酸2-ヒドロキシエチルが用いられる。
モノマー成分における水酸基含有モノマーの割合は、アクリルポリマーへの架橋構造の導入、および、粘着剤層10における凝集力の確保の観点からは、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。同割合は、アクリルポリマー重合時の重合反応溶液の粘度調整、および、アクリルポリマーの極性(粘着剤層10における各種添加剤成分とアクリルポリマーとの相溶性に関わる)の調整の観点からは、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
窒素原子含有環を有するモノマーとしては、例えば、N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール、N-(メタ)アクリロイル-2-ピロリドン、N-(メタ)アクリロイルピペリジン、N-(メタ)アクリロイルピロリジン、N-ビニルモルホリン、N-ビニル-3-モルホリノン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-1,3-オキサジン-2-オン、N-ビニル-3,5-モルホリンジオン、N-ビニルピラゾール、N-ビニルイソオキサゾール、N-ビニルチアゾール、およびN-ビニルイソチアゾールが挙げられる。窒素原子含有環を有するモノマーとしては、好ましくはN-ビニル-2-ピロリドンが用いられる。
モノマー成分における、窒素原子含有環を有するモノマーの割合は、粘着剤層10における凝集力の確保、および、粘着剤層10における対被着体密着力の確保の観点からは、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。同割合は、アクリルポリマーのガラス転移温度の調整、および、アクリルポリマーの極性(粘着剤層10における各種添加剤成分とアクリルポリマーとの相溶性に関わる)の調整の観点からは、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、およびイソクロトン酸が挙げられる。
モノマー成分におけるカルボキシ基含有モノマーの割合は、アクリルポリマーへの架橋構造の導入、粘着剤層10における凝集力の確保、および、粘着剤層10における対被着体密着力の確保の観点からは、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。同割合は、アクリルポリマーのガラス転移温度の調整、および、酸による被着体の腐食リスクの回避の観点からは、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
モノマー成分は、他の共重合性モノマーを含んでいてもよい。他の共重合性モノマーとしては、例えば、酸無水物モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、スクシンイミド骨格を有するモノマー、マレイミド類、イタコンイミド類、アルコキシ基含有モノマー、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、および芳香族ビニル化合物が挙げられる。
酸無水物モノマーとしては、例えば、無水マレイン酸および無水イタコン酸が挙げられる。
スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、および(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸が挙げられる。
リン酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートが挙げられる。
エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルおよび(メタ)アクリル酸-2-エチルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有アクリレート、アリルグリシジルエーテル、および(メタ)アクリル酸グリシジルエーテルが挙げられる。
シアノ基含有モノマーとしては、例えば、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが挙げられる。
アミド基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルアセトアミドなどのN-ビニルカルボン酸アミド類、N-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、およびN-(メタ)アクリロイルモルホリンが挙げられる。N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド、およびN,N-ジ(t-ブチル)(メタ)アクリルアミドが挙げられる。N-アルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、およびN-n-ブチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。N-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(1-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、およびN-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミドが挙げられる。N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、およびN-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
スクシンイミド骨格を有するモノマーとしては、例えば、N-(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-6-オキシヘキサメチレンスクシンイミド、およびN-(メタ)アクリロイル-8-オキシヘキサメチレンスクシンイミドが挙げられる。
マレイミド類としては、例えば、N-シクロヘキシルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、およびN-フェニルマレイミドが挙げられる。
イタコンイミド類としては、例えば、N-メチルイタコンイミド、N-エチルイタコンイミド、N-ブチルイタコンイミド、N-オクチルイタコンイミド、N-2-エチルへキシルイタコンイミド、N-シクロへキシルイタコンイミド、およびN-ラウリルイタコンイミドが挙げられる。
アルコキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル類および(メタ)アクリル酸アルコキシアルキレングリコール類が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、および(メタ)アクリル酸エトキシプロピルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキレングリコール類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、および(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールが挙げられる。
ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルが挙げられる。
ビニルエーテル類としては、例えば、メチルビニルエーテルおよびエチルビニルエーテルが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、およびビニルトルエンが挙げられる。オレフィン類としては、例えば、エチレン、ブタジエン、イソプレン、およびイソブチレンが挙げられる。
共重合性モノマーは、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
アクリルポリマーは、上述のモノマー成分を重合させることによって形成することができる。重合方法としては、例えば溶液重合、塊状重合、および乳化重合が挙げられ、好ましくは溶液重合が挙げられる。溶液重合では、例えば、モノマー成分と重合開始剤とを溶媒に配合して反応溶液を調製した後、その反応溶液を加熱する。そして、反応溶液中でのモノマー成分の重合反応を経ることによって、アクリルポリマーを含むアクリルポリマー溶液を得ることができる。重合開始剤としては、例えば熱重合開始剤が用いられる。重合開始剤の使用量は、モノマー成分100質量部に対して、例えば0.05質量部以上であり、また、例えば1質量部以下である。
熱重合開始剤としては、例えば、アゾ重合開始剤および過酸化物重合開始剤が挙げられる。アゾ重合開始剤としては、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2'-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、および、2,2'-アゾビス(N,N'-ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドが挙げられる。過酸化物重合開始剤としては、例えば、ジベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルマレエ-ト、および過酸化ラウロイルが挙げられる。
アクリルポリマーの重量平均分子量は、粘着剤層10における凝集力の確保の観点からは、好ましくは100000以上、より好ましくは300000以上、更に好ましくは500000以上である。同重量平均分子量は、好ましくは5000000以下、より好ましくは3000000以下、更に好ましくは2000000以下である。アクリルポリマーの重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)によって測定してポリスチレン換算により算出される。
ベースポリマーのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは0℃以下、より好ましくは-10℃以下、更に好ましくは-20℃以下である。同ガラス転移温度は、例えば-80℃以上である。
ポリマーのガラス転移温度(Tg)については、下記のFoxの式に基づき求められるガラス転移温度(理論値)を用いることができる。Foxの式は、ポリマーのガラス転移温度Tgと、当該ポリマーを構成するモノマーのホモポリマーのガラス転移温度Tgiとの関係式である。下記のFoxの式において、Tgはポリマーのガラス転移温度(℃)を表し、Wiは当該ポリマーを構成するモノマーiの重量分率を表し、Tgiは、モノマーiから形成されるホモポリマーのガラス転移温度(℃)を示す。ホモポリマーのガラス転移温度については文献値を用いることができ、例えば、「Polymer Handbook」(第4版,John Wiley & Sons, Inc., 1999年)および「新高分子文庫7 塗料用合成樹脂入門」(北岡協三著,高分子刊行会,1995年)には、各種のホモポリマーのガラス転移温度が挙げられている。一方、モノマーのホモポリマーのガラス転移温度については、特開2007-51271号公報に具体的に記載されている方法によって求めることも可能である。
Foxの式 1/(273+Tg)=Σ[Wi/(273+Tgi)]
粘着性組成物は、ベースポリマーへの架橋構造の導入の観点から、架橋剤を含有してもよい。架橋剤としては、例えば、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、オキサゾリン架橋剤、アジリジン架橋剤、カルボジイミド架橋剤、および金属キレート架橋剤が挙げられる。架橋剤は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
イソシアネート架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、およびポリメチレンポリフェニルイソシアネートが挙げられる。また、イソシアネート架橋剤としては、これらイソシアネートの誘導体も挙げられる。当該イソシアネート誘導体としては、例えば、イソシアヌレート変性体およびポリオール変性体が挙げられる。イソシアネート架橋剤の市販品としては、例えば、コロネートL(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体,東ソー製)、コロネートHL(へキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体,東ソー製)、コロネートHX(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体,東ソー製)、およびタケネートD110N(キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体,三井化学製)が挙げられる。
エポキシ架橋剤としては、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、および1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンが挙げられる。
架橋剤の配合量は、粘着剤層10の凝集力を確保する観点からは、ベースポリマー100質量部に対して、例えば0.01質量部以上であり、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.07質量部以上である。粘着剤層10において良好なタック性を確保する観点からは、ベースポリマー100質量部に対する架橋剤の配合量は、例えば10質量部以下であり、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
ベースポリマーに架橋構造が導入される場合、架橋反応を効果的に進行させるために架橋触媒が用いられてもよい。架橋触媒としては、例えば、ジラウリン酸ジブチルスズ、テトラ-n-ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ナーセム第二鉄、およびブチルスズオキシドが挙げられ、好ましくはジラウリン酸ジブチルスズが用いられる。架橋触媒の使用量は、ベースポリマー100質量部に対して例えば0.0001質量部以上であり、また、1質量部以下である。
架橋触媒が用いられる場合、粘着性組成物から事後的に除去可能な架橋抑制剤が粘着性組成物に配合されてもよい。架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズが用いられる場合、架橋抑制剤としては、好ましくはアセチルアセトンが用いられる。この場合、粘着性組成物においては、アセチルアセトンがジラウリン酸ジブチルスズに配位し、ベールポリマーに対する架橋剤の架橋反応は抑制される。粘着シートSの後述の製造過程において、剥離フィルム上に粘着性組成物が塗布されて塗膜が形成された後、所望のタイミングでの加熱により、アセチルアセトンを揮発させて塗膜から除去できる。これにより、架橋剤の架橋反応を進行させることができる。
架橋抑制剤の配合量は、架橋触媒100質量部に対して、例えば100質量部以上、好ましくは1000質量部以上である。また、同配合量は、例えば5000質量部以下である。
重合性化合物は、重合性官能基を有する化合物である。当該重合性官能基は、エチレン性不飽和二重結合を有する。重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、およびプロペニル基が挙げられる。重合性化合物としては、例えば、一つの重合性官能基を有するモノマー(単官能モノマー)、および、複数の重合性官能基を有するモノマー(多官能モノマー)が挙げられる。また、重合性化合物としては、反応性の観点から、重合性官能基として(メタ)アクリロイル基を有する化合物が用いられる。(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を意味する。重合性化合物は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
単官能モノマーとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、ter-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチルメタクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、メタクリロキシオキシエチルアシッドフォスフェート、2-ヒドロキシエチルメタクリル酸フォスフェート、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロイルモルホリン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、およびN,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
多官能モノマーとしては、二官能モノマー、三官能モノマー、および、四官能以上の多官能モノマーが挙げられる。
二官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチエレングルコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジアクリレート、ジ(メタ)アクリロイルイソシアヌレート、およびアルキレンオキサイド変性ビスフェノールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
三官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、およびトリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートが挙げられる。
四官能以上の多官能モノマーとしては、例えば、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、およびイソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレートが挙げられる。
粘着剤層10の速硬化性の観点から、重合性化合物としては、好ましくは多官能モノマー、より好ましくは、三官能モノマーまたは四官能以上の多官能モノマーが用いられる。重合性化合物用の三官能モノマーとしては、好ましくはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、より好ましくはトリメチロールプロパントリアクリレートが用いられる。重合性化合物用の四官能以上の多官能モノマーとしては、好ましくはジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、より好ましくはジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが用いられる。
重合性化合物の配合量は、硬化後の粘着剤層10において充分な硬さを確保する観点からは、ベースポリマー100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは7質量部以上、更に好ましくは9質量部以上、特に好ましくは10質量部以上である。硬化後の粘着剤層10において充分な粘着力を確保する観点からは、ベースポリマー100質量部に対する重合性化合物の配合量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは45質量部以下、更に好ましくは43質量部以下である。
光重合開始剤は、重合性化合物の重合反応を開始させる。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル光重合開始剤、アセトフェノン光重合開始剤、α-ケトール光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド光重合開始剤、光活性オキシム光重合開始剤、ベンゾイン光重合開始剤、ベンジル光重合開始剤、ベンゾフェノン光重合開始剤、ケタール光重合開始剤、チオキサントン光重合開始剤、および、アシルフォスフィンオキサイド光重合開始剤が挙げられる。
着色剤は、好ましくは、酸との反応により発色する化合物(発色性化合物)である。着色剤が発色性化合物である場合、粘着性組成物は、酸発生剤を更に含有する。
発色性化合物としては、例えば、ロイコ色素、トリアリールメタン色素、ジフェニルメタン色素、フルオラン色素、スピロピラン色素、およびローダミン色素が挙げられる。発色性化合物は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
ロイコ色素としては、例えば、2'-アニリノ-6'-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-3'-メチルスピロ[フタリド-3,9'-[9H]キサンテン]、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジプロピルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジメチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、および、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリドが挙げられる。
トリアリールメタン色素としては、例えば、p,p',p”-トリス-ジメチルアミノトリフェニルメタンが挙げられる。ジフェニルメタン色素としては、例えば、4,4-ビス-ジメチルアミノフェニルベンズヒドリルベンジルエーテルが挙げられる。フルオラン色素としては、例えば、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオランが挙げられる。スピロピラン色素としては、例えば、3-メチルスピロジナフトピランが挙げられる。ローダミン色素としては、例えば、ローダミン-B-アニリノラクタムが挙げられる。
粘着剤層10において良好な着色性を確保する観点からは、発色性化合物としては、好ましくはロイコ色素、より好ましくは2'-アニリノ-6'-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-3'-メチルスピロ[フタリド-3,9'-[9H]キサンテン]が用いられる。
ベースポリマー100質量部に対する発色性化合物の配合量は、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。同配合量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下である。
酸発生剤としては、好ましくは、活性エネルギー線が照射されることによって酸を発生する光酸発生剤が用いられる。その場合、粘着剤層10は、第1外部刺激として活性エネルギー線の照射を受けた部分が変色可能である。具体的には、粘着剤層10において活性エネルギー線の照射を受けた部分では、光酸発生剤から酸が発生し、当該酸によって発色性化合物が発色する。粘着剤層10において活性エネルギー線の照射を受けた部分は、発色性化合物の発色に応じて、例えば暗色に着色する。第1外部刺激としての活性エネルギー線の種類は、光酸発生剤の種類(具体的には、光酸発生剤が酸を発生する活性エネルギー線の波長)によって定まる。活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、可視光、赤外線、X線、α線、β線、およびγ線が挙げられる。使用設備の多様性およびハンドリング容易性の観点からは、活性エネルギー線としては、好ましくは紫外線が挙げられる。
光酸発生剤としては、例えば、紫外線照射(第1外部刺激)によって酸を発生するオニウム化合物が挙げられる。オニウム化合物は、例えば、オニウムカチオンとアニオンとのオニウム塩の形態で提供される。オニウムカチオンとしては、例えば、ヨードニウムおよびスルホニウムが挙げられる。アニオンとしては、例えば、Cl,Br,I,ZnCl ,HSO ,BF ,PF ,AsF ,SbF ,CHSO ,CFSO ,CHSO ,(C),および(C)が挙げられる。光酸発生剤は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。粘着性組成物は、好ましくは、スルホニウムとCHSO とからなるオニウム塩(オニウム化合物)を光酸発生剤として含む。
ベースポリマー100質量部に対する酸発生剤の配合量は、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。同配合量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは12質量部以下である。
また、発色性化合物100質量部に対する酸発生剤の配合量は、例えば100質量部以上、好ましくは200質量部以上、より好ましくは300質量部以上、更に好ましくは330質量部以上である。同配合量は、好ましくは1000質量部以下、より好ましくは700質量部以下、更に好ましくは500質量部以下である。
粘着性組成物は、必要に応じて他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、シランカップリング剤、粘着性付与剤、可塑剤、軟化剤、酸化防止剤、界面活性剤、および帯電防止剤が挙げられる。
粘着シートSは、例えば、上述の粘着性組成物を剥離フィルム(第1剥離フィルム)上に塗布して塗膜を形成した後、当該塗膜を乾燥させることによって、製造できる(図1では、仮想線で示す剥離フィルムL上に粘着シートSが配置されている)。
剥離フィルムとしては、例えば、可撓性を有するプラスチックフィルムが挙げられる。当該プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、およびポリエステルフィルムが挙げられる。剥離フィルムの厚さは、例えば3μm以上であり、また、例えば200μm以下である。剥離フィルムの表面は、好ましくは離型処理されている。
粘着性組成物の塗布方法としては、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、およびダイコートが挙げられる。塗膜の乾燥温度は、例えば50℃~200℃である。乾燥時間は、例えば5秒~20分である。
粘着性組成物が架橋剤を含む場合、上述の乾燥と同時に又はその後のエージングによって、架橋反応が進行する。エージング条件は、架橋剤の種類によって適宜設定される。エージング温度は、例えば20℃~160℃である。エージング時間は、例えば、1分から7日である。
また、エージングの前または後に、第1剥離フィルム上の粘着剤層10の上に更に剥離フィルム(第2剥離フィルム)を積層してもよい。第2剥離フィルムは、表面離型処理が施された可撓性のプラスチックフィルムであり、第1剥離フィルムに関して上述したのと同様のものを用いることができる。
以上のようにして、剥離フィルムによって粘着面が被覆保護された粘着シートSを製造できる。各剥離フィルムは、粘着シートSを使用する際に必要に応じて粘着シートSから剥がされる。
粘着剤層10の厚さは、被着体に対する充分な粘着性を確保する観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上である。粘着シートSのハンドリング性の観点からは、粘着剤層10の厚さは、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは100μm以下、特に好ましくは50μm以下である。
粘着剤層10のヘイズは、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下である。このような構成は、粘着シートSを被着体に貼り合わせた後に粘着シートSと被着体との間における異物および気泡の有無を検査するのに適する。粘着剤層10のヘイズは、JIS K7136(2000年)に準拠して、ヘイズメーターを使用して測定できる。ヘイズメーターとしては、例えば、日本電色工業社製の「NDH2000」、および、村上色彩技術研究所社製の「HM-150型」が挙げられる。
粘着剤層10の波長400~700nmでの平均透過率(粘着剤層10に第1および第2外部刺激を与える前の平均透過率)は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上である。このような構成は、粘着シートSを被着体に貼り合わせた後に粘着シートSと被着体との間における異物および気泡の有無を検査するのに適する。
粘着シートSが、ガラス板に対する貼り合せを経た後に23℃、剥離角度180°および剥離速度300mm/分の剥離条件での剥離試験において当該ステンレス板に対して示す粘着力は、例えば1N/25mm以上であり、また、例えば50N/25mm以下である。
粘着剤層10(硬化前)が、周波数1Hzおよび昇温速度5℃/分の条件での動的粘弾性測定で示す、25℃でのせん断貯蔵弾性率(第1せん断貯蔵弾性率)は、好ましくは0.1×10Pa以上、より好ましくは0.2×10Pa以上、更に好ましくは0.3×10Pa以上である。第1せん断貯蔵弾性率は、好ましくは10×10Pa以下、より好ましくは5×10Pa以下、更に好ましくは3×10Pa以下である。
粘着シートSの粘着剤層10は、好ましくは、光酸発生剤の吸光度Xに対する光重合開始剤の吸光度Yの比率が2以上である波長領域を、波長300nm以上500nm以下の範囲内に有する。同比率は、好ましくは3以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは50以上、特に好ましくは100以上である。同比率は、例えば100万以下である。
粘着シートSは、図2に示すように、粘着剤層10に加えて基材20を備える基材付き片面粘着シートであってもよい。この場合、粘着シートSは、具体的には、粘着剤層10と、その厚さ方向の一方面側に配置される基材20とを備える。好ましくは、基材20は、粘着剤層10の厚さ方向の一方面に接触する。
基材20は、透明な支持体として機能する要素である。基材20は、例えば、可撓性を有するプラスチックフィルムである。プラスチックフィルムの構成材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース、ポリスチレン、およびポリカーボネートが挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、およびエチレン・ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリブチレンテレフタレートが挙げられる。ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド6,6、および部分芳香族ポリアミドが挙げられる。基材20において、その透明性と機械的強度とを両立させる観点からは、基材20のプラスチック材料は、好ましくはポリエステルであり、より好ましくはポリエチレンテレフタレートである。
基材20は透明性を有する。基材20のヘイズは、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下、更に好ましくは1%以下である。基材20のヘイズは、JIS K7136(2000年)に準拠して、ヘイズメーターを使用して測定できる。
基材20における粘着剤層10側の表面は、粘着剤層10との密着性を高めるための物理的処理、化学的処理、または下塗り処理が施されていてもよい。物理的処理としては、例えば、コロナ処理およびプラズマ処理が挙げられる。化学的処理としては例えば、酸処理およびアルカリ処理が挙げられる。
基材20の厚さは、基材20が支持体として機能するための強度を確保する観点からは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上である。また、粘着シートSにおいて適度な可撓性を実現する観点からは、基材20の厚さは、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
図2に示す粘着シートSは、例えば、第1剥離フィルムの代わりに基材20を用いること以外は上述の粘着シート製造方法と同様の方法により、製造できる。
図3Aから図3Dは、粘着シートSの使用方法の一例を表す。本方法は、用意工程と、接合工程と、硬化工程と、変色部分形成工程とを含む。
まず、用意工程では、図3Aに示すように、粘着シートSと、第1部材31と、第2部材32とを用意する。第1部材31は、例えば、有機ELパネルなどのディスプレイパネルである。第1部材31は、他の電子デバイス、および、光学デバイスであってもよい。第2部材32は、例えば透明基材である。透明基材としては、透明プラスチック基材および透明ガラス基材が挙げられる。
次に、接合工程では、図3Bに示すように、粘着シートSを介して第1部材31および第2部材32を接合する。これにより、積層体Zが得られる。積層体Zにおいて、粘着シートSは、第1部材31の厚さ方向一方面に接触するように配置され、第2部材32は、その粘着シートSの厚さ方向一方面に接触するように配置される。
接合工程の後、必要に応じて、部材31,32と粘着シートSとの間における異物および気泡の有無を検査する。
次に、硬化工程では、図3Cに示すように、積層体Z(上記検査を実施した場合には、検査を通過した積層体Z)における粘着剤層10に第2外部刺激を与えて粘着剤層10を硬化させる。本実施形態では、第2外部刺激は、活性エネルギー線照射である。この活性エネルギー線は、透明な第2部材32の側から粘着剤層10に対して照射される。本工程での活性エネルギー線照射用の光源としては、例えば、紫外線LEDライト、高圧水銀ランプ、およびメタルハライドランプが挙げられる。また、本工程の活性エネルギー線照射においては、光源から出射される活性エネルギー線における一部の波長領域をカットするための波長カットフィルターを、必要に応じて用いてもよい。
第2外部刺激としての活性エネルギー線は、第1外部刺激としての活性エネルギー線とは波長範囲が異なる。第2外部刺激としての活性エネルギー線は、本実施形態では、酸発生剤において実質的に酸を発生させない波長を有する。当該活性エネルギー線の波長範囲の下限は、好ましくは365nm、より好ましくは370nm、一層好ましくは375nm、より一層好ましくは380nm、更に好ましくは385nm、こと更に好ましくは390nm、特に好ましくは395nmである。本実施形態では、好ましくは、このような波長の活性エネルギー線照射を受けることによって重合性化合物の重合反応を開始させる光重合開始剤が、粘着剤層10に配合される。
本工程では、活性エネルギー線照射を受けた粘着剤層10において、光重合開始剤によって重合性化合物の重合反応が開始され、当該重合反応が進行する。これにより、粘着剤層10の弾性率が上昇する。
粘着剤層10は、上述のように、光酸発生剤の吸光度Xに対する光重合開始剤の吸光度Yの比率が2以上である波長領域(波長領域R)を、波長300nm以上500nm以下の範囲内に有するのが好ましい。波長領域Rにおける前記比率(Y/X)は、好ましくは3以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは100以上である。好ましくは、第2外部刺激として照射される活性エネルギー線の波長の少なくとも一部が波長領域R内にある。より好ましくは、第2外部刺激として照射される活性エネルギー線の波長の全てが波長領域R内にある。このような波長領域内の波長を有する活性エネルギー線を第2外部刺激として粘着剤層10に与える構成は、硬化工程において、粘着剤層10での変色を抑制しつつ粘着剤層10を硬化させるのに適する。硬化工程において、粘着剤層10での変色を抑制しつつ粘着剤層10を硬化させる観点からは、光酸発生剤の吸光度Xに対する光重合開始剤の吸光度Yの上記比率は、より大きい方が好ましい。
硬化後の粘着剤層10が、周波数1Hzおよび昇温速度5℃/分の条件での動的粘弾性測定で示す、25℃でのせん断貯蔵弾性率(第2せん断貯蔵弾性率)は、好ましくは0.2×10Pa以上、より好ましくは2×10Pa以上、更に好ましくは5×10Pa以上である。第2せん断貯蔵弾性率は、好ましくは100×10Pa以下、より好ましくは50×10Pa以下、更に好ましくは25×10Pa以下である。第1せん断貯蔵弾性率に対する第2せん断貯蔵弾性率の比率は、好ましくは2以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上である。同比率は、好ましくは300以下、より好ましくは250以下、更に好ましくは100以下、こと更に好ましくは50以下、特に好ましくは30以下である。
次に、変色部分形成工程では、図3Dに示すように、積層体Zにおける粘着剤層10に第1外部刺激を与えて、粘着剤層10において変色部分11を形成する。具体的には、透明な第2部材32の側から、粘着剤層10における所定領域をマスクするためのマスクパターン(図示略)を介して、粘着剤層10に対して第1外部刺激としての活性エネルギー線(第1活性エネルギー線)を照射する。これにより、粘着剤層10における当該マスクパターンでマスクされていない部分を変色させる。
本工程での活性エネルギー線照射用の光源としては、例えば、紫外線LEDライト、高圧水銀ランプ、およびメタルハライドランプが挙げられる。また、本工程の活性エネルギー線照射においては、光源から出射される活性エネルギー線における一部の波長領域をカットするための波長カットフィルターを、必要に応じて用いてもよい。
第1活性エネルギー線は、第2外部刺激としての上述の活性エネルギー線(第2活性エネルギー線)とは波長範囲が異なる。第1活性エネルギー線の波長範囲は、好ましくは、少なくとも第2活性エネルギー線の波長範囲より小さい範囲(短波長側の波長範囲)を含む(第1活性エネルギー線の波長範囲は、第2活性エネルギー線の波長範囲と重複する範囲を含んでもよい)。第1活性エネルギー線が波長範囲に下限を有する場合、または、例えば波長カットフィルターを用いて第1活性エネルギー線の波長範囲に下限を設ける場合、当該第1活性エネルギー線の波長範囲の下限は、好ましくは300nm、より好ましくは305nm、一層好ましくは310nm、より一層好ましくは315nm、更に好ましくは320nm、こと更に好ましくは325nm、特に好ましくは330nmである。或いは、第1活性エネルギー線には、波長300nm未満の光が含まれてもよい。そのような光の光源としては、例えば、高圧水銀ランプおよびメタルハライドランプが挙げられる。第1活性エネルギー線が波長範囲に上限を有する場合、または、例えば波長カットフィルターを用いて第1活性エネルギー線の波長範囲に上限を設ける場合、当該第1活性エネルギー線の波長範囲の上限は、好ましくは400nm、より好ましくは395nm、一層好ましくは390nm、より一層好ましくは385nm、更に好ましくは380nm、こと更に好ましくは375nm、特に好ましくは370nmである。本実施形態では、好ましくは、このような波長の活性エネルギー線照射を受けることによって酸を発生する光酸発生剤が、粘着剤層10に配合される。
本工程では、粘着剤層10において第1活性エネルギー線照射を受けた部分で、光酸発生剤から酸が発生し、当該酸との反応によって発色性化合物が発色する。これによって、粘着剤層10に変色部分11が形成される。このような変色部分形成工程は、硬化工程より前に実施されてもよい。
例えば以上のようにして、部材間の接合に粘着シートSを使用できる。第1部材31が有機ELパネルなどのディスプレイパネルである場合、当該パネルが備える画素パネル上に形成された金属配線に対応する(即ち対面する)パターン形状で変色部分11を設けることにより、当該金属配線での外光反射を抑制できる。
粘着シートSは、粘着剤層10が、上述のように、第1外部刺激によって発色可能な着色剤を含有する。そのため、粘着シートSを被着体(本実施形態では部材31,32)に貼り合わせた後、粘着剤層10における変色予定部分に対する第1外部刺激の付与により、粘着剤層10を局所的に変色させることができる。被着体に貼り合わせた後に粘着剤層10に変色部分11を形成できる粘着シートSでは、貼り合わせ後であって粘着剤層10の変色部分11形成前に、粘着シートSと被着体との間における異物および気泡の有無を検査できる。
また、粘着シートSは、粘着剤層10が、上述のように、ベースポリマーと、重合性化合物とを含有し、第1外部刺激とは異なる第2外部刺激によって硬化可能である。このような粘着シートSは、被着体に対する貼り合わせに適した粘着剤層10の柔らかさ(低弾性率性)を貼り合わせ時には確保しつつ、粘着剤層10において変色予定部分または変色部分11を包含する領域(例えば、粘着剤層10の全体)を貼り合わせ後に高弾性率化するのに適する。粘着剤層10のこのような高弾性率化は、粘着剤層10において着色剤の拡散を抑制するのに適し、従って、粘着剤層10の変色部分11の滲みを抑制するのに適する。
硬化後の粘着剤層10の第2せん断貯蔵弾性率は、上述のように、好ましくは0.2×10Pa以上、より好ましくは2×10Pa以上、更に好ましくは5×10Pa以上である。このような構成は、粘着剤層10に形成された変色部分11の滲みを抑制するのに適する。
硬化前の粘着剤層10の第1せん断貯蔵弾性率に対する第2せん断貯蔵弾性率の比率は、上述のように、好ましくは2以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上であり、また、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは30以下である。このような構成は、上述の接合工程での粘着シートS(粘着剤層10)による接合力と、変色部分11の滲み抑制とのバランスをとるのに適する。
本発明について、以下に実施例を示して具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されない。また、以下に記載されている配合量(含有量)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上述の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合量(含有量)、物性値、パラメータなどの上限(「以下」または「未満」として定義されている数値)または下限(「以上」または「超える」として定義されている数値)に代替できる。
〔実施例1〕
〈ベースポリマーの調製〉
撹拌機、温度計、還流冷却器、および窒素ガス導入管を備える反応容器内で、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)63質量部と、メタクリル酸メチル(MMA)9質量部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)13質量部と、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)15質量部と、重合開始剤としての2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2質量部と、溶媒としての酢酸エチル233質量部と含む混合物を、60℃で7時間、窒素雰囲気下で撹拌した(重合反応)。これにより、アクリルポリマーを含有するポリマー溶液を得た。このポリマー溶液中のアクリルポリマーの重量平均分子量(Mw)は120万であった。
〈粘着性組成物の調製〉
アクリルポリマーを含有する上述のポリマー溶液に、アクリルポリマー(ベースポリマー)100質量部あたり、重合性化合物としてのジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(ダイセル・オルネクス社製)11.1質量部と、光重合開始剤(商品名「Omnirad 819」,ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド,IGM Resins B.V.社製)0.1質量部と、発色性化合物としてのロイコ色素(商品名「S-205」,2'-アニリノ-6'-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-3'-メチルスピロ[フタリド-3,9'-[9H]キサンテン],山田化学工業社製)2.2質量部と、光酸発生剤(商品名「Sp-056」,スルホニウムとCHSO とのオニウム塩,ADEKA社製)7.8質量部と、架橋剤としてのイソシアネート架橋剤(商品名「タケネートD110N」,キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の75%酢酸エチル溶液,三井化学製)0.25質量部(固形分換算量)と、架橋触媒としてのジラウリン酸ジブチルスズ(商品名「OL-1」,1質量%酢酸エチル溶液,東京ファインケミカル社製)0.01質量部(固形分換算量)と、架橋抑制剤(架橋触媒に対する配位子)としてのアセチルアセトン3質量部とを加えて混合し、粘着性組成物を調製した。
〈粘着剤層の形成〉
表面が離型処理されている厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(基材フィルム)上に、ファウンテンロールによって粘着性組成物を塗布して塗膜を形成した。次に、この塗膜を、132℃で3分間の加熱によって、乾燥させた。これにより、基材フィルム上に厚さ25μmの粘着剤層を形成した。次に、基材フィルム上の粘着剤層に、セパレータ(一方面が離型処理されている厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)の離型処理面を貼り合わせた。その後、60℃で24時間、エージング処理し、粘着剤層中の架橋反応を進行させた。
以上のようにして、実施例1の粘着シートを作製した。実施例1の粘着シートにおける粘着剤層の組成について、単位を質量部として表1に示す(後記の実施例および比較例についても同様である)。
〔実施例2~5および比較例1〕
以下のこと以外は、実施例1の粘着シートと同様にして、実施例2~5および比較例1の各粘着シートを作製した。
実施例2~5の各粘着シートの作製過程では、粘着性組成物の調製において、表1に示す配合量で各成分を配合した。実施例4,5の粘着シート作製過程における粘着性組成物の調製において、重合性化合物としては、DPHAの代わりにトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)(大阪有機化学工業社製)を用いた。また、比較例1の粘着シートの作製過程では、粘着性組成物の調製において、表1に示す配合量で各成分を配合した(重合性化合物および光重合開始剤は配合しなかった)。
<光透過率>
実施例1~5および比較例1の各粘着シートの粘着剤層について、次のようにして、波長400~700nmでの平均透過率を調べた。
まず、粘着シートをイーグルガラス(厚さ0.55mm,松浪硝子社製)に貼り合せて、測定用サンプル(第1の測定用サンプル)を作製した。次に、測定用サンプルについて、日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計U4150を使用して、波長400~700nmでの平均透過率を測定した(第1の透過率測定)。本測定では、測定用サンプルの波長400~700nmにおける全光線透過率を1nmピッチで測定した。また、本測定では、イーグルガラスのみについて同一条件で測定して得られた透過率スペクトルをベースラインとして用いた。測定された粘着剤層の平均透過率T1(UV照射前の波長400~700nmでの平均透過率)を、表1に示す。
一方、実施例1~5および比較例1の各粘着シートについて、次のようにして、UV照射後における波長400~700nmでの平均透過率を調べた。
まず、上述の第1の測定用サンプルと同様のサンプルを作製した。次に、当該サンプルに対して紫外線を照射した。具体的には、サンプルにおける粘着シート(粘着剤層)に対し、23℃および相対湿度50%の環境下において、イーグルガラス側から同ガラス越しに、紫外線を照射した(当該UV照射により、粘着剤層中のロイコ染料と光酸発生剤とを反応させた)。このUV照射では、クォークテクノロジー社製のUV-LED照射装置(型番「QEL-350-RU6W-CW-MY」)における波長365nmのUV-LEDランプを光源として使用し、照射積算光量を8000mJ/cm(波長320~390nmの範囲での照射積算光量)とした。以上のようにして、測定用サンプル(第2の測定用サンプル)を作製した。
次に、第2の測定用サンプルについて、日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計U4150を使用して、波長400~700nmでの平均透過率を測定した(第2の透過率測定)。具体的な測定の方法および条件について、第2の透過率測定は、上述の第1の透過率測定と同じである。測定された粘着剤層の平均透過率T2(UV照射後の波長400~700nmでの平均透過率)を、表1に示す。また、上述の平均透過率T1に対する平均透過率T2の比率も、表1に示す。
<粘着剤層(硬化処理前)のせん断貯蔵弾性率>
実施例1~5および比較例1の各粘着シートの粘着剤層について、せん断貯蔵弾性率を動的粘弾性測定(第1測定)によって調べた。
第1測定用の試料は、次のようにして作製した。まず、測定対象の粘着剤層ごとに、60枚の粘着剤層(厚さ25μm)を積層して積層粘着剤層(厚さ1.5mm)を得た。次に、積層粘着剤層に対する打抜き加工により、第1測定用試料としての円柱状のペレット(厚さ1.5mm,直径7.9mm)を得た。
動的粘弾性測定には、動的粘弾性測定装置(商品名「ARES」,レオメトリック社製)を使用した。具体的には、直径7.9mmパラレルプレートの治具に測定用試料を固定した後、前記装置によって動的粘弾性測定を実施した。本測定では、測定モードをせん断モードとし、測定温度範囲を-70℃~250℃とし、昇温速度を5℃/分とし、周波数を1Hzとした。粘着剤層(硬化処理前)の25℃でのせん断貯蔵弾性率E1を表1に示す。
<粘着剤層(硬化処理後)のせん断貯蔵弾性率>
実施例1~5および比較例1の各粘着シートの粘着剤層について、硬化処理後のせん断貯蔵弾性率を動的粘弾性測定(第2測定)によって調べた。
第2測定用の試料(厚さ1.5mmの積層粘着剤層に対する打抜き加工によって得られた円柱状ペレット)は、積層前の60枚の粘着剤層のそれぞれに対して紫外線照射(硬化処理)したこと以外は、第1測定用試料と同様にして作製した。硬化処理では、具体的には、23℃および相対湿度50%の環境下で、積層前の各粘着剤層に対して紫外線照射した。この紫外線照射では、クォークテクノロジー社製のUV-LED照射装置(型番「QEL-350-RU6W-CW-MY」)における波長405nmのUV-LEDランプを光源として使用し、照射積算光量を2000mJ/cm(波長395~445nmの範囲での照射積算光量)とした。
第2測定は、第1測定と同様の装置および条件で実施した。粘着剤層(硬化処理後)の25℃、65℃、および85℃での各せん断貯蔵弾性率E2を表1に示す。
<変色部分の滲み抑制の評価>
実施例1~5および比較例1の各粘着シートの粘着剤層について、以下のようにして、形成される変色部分の滲み抑制の程度を調べた。
まず、実施例1~5および比較例1の粘着シートごとに、複数枚の粘着シートを用意した。
次に、粘着シートの粘着剤層に対し、23℃および相対湿度50%の環境下において紫外線照射した(当該紫外線照射により、実施例1~5の各粘着シートの粘着剤層は硬化した)。この紫外線照射では、クォークテクノロジー社製のUV-LED照射装置(型番「QEL-350-RU6W-CW-MY」)における波長405nmのUV-LEDランプを光源として使用し、基材フィルム越しに粘着剤層に紫外線を照射し、照射積算光量を2000mJ/cm(波長395~445nmの範囲での照射積算光量)とした(この紫外線照射条件は、上記第2測定の試料の作製過程における硬化処理での紫外線照射条件と同じである)。
次に、粘着シートの粘着剤層に対する、線状の開口部を有するフォトマスクを介した紫外線照射により、粘着剤層に線状の変色部分を形成した。フォトマスクは、粘着シートにおける基材フィルム側表面に配置されたドライフィルムフォトレジストから形成され、当該フォトマスクの開口部の線幅は250~280μm程度である(開口部の線幅は、フォトマスクごとに異なる)。紫外線照射では、クォークテクノロジー社製のUV-LED照射装置(型番「QEL-350-RU6W-CW-MY」)における波長365nmのUV-LEDランプを光源として使用し、フォトマスクおよび基材フィルム越しに粘着剤層に紫外線を照射し、照射積算光量を2000mJ/cm(波長320~390nmの範囲での照射積算光量)とした。
次に、粘着剤層に形成された線状変色部分の線幅を測定した(初期線幅の測定)。具体的には、まず、粘着剤層に形成された線状変色部分をデジタルマイクロスコープ(商品名「VHX-900」,KEYENCE社製)によって観察し、当該変色部分の一部とその近傍とを包含する領域を50倍の倍率で撮影した。次に、撮影された画像を画像解析ソフトによって二値化処理した。次に、二値化処理後の画像において、線状変色部分の線幅(W1)を測定した。
次に、粘着剤層に線状変色部分が形成されている粘着シートを、85℃で120時間、加熱処理した(第1耐久性試験)。
次に、粘着シートの粘着剤層における線状変色部分の線幅を測定した。具体的な測定方法は、初期線幅の測定に関して上述した測定方法と同じである。第1耐久性試験前の線状変色部分の線幅W1、第1耐久性試験後の線状変色部分の線幅W2、および、前記線幅W1に対する線幅W2の増加率(W2/W1)を、表1に示す。
また、実施例1~5および比較例1の各粘着シートの粘着剤層について、第1耐久性試験に代えて第2耐久性試験を実施したこと以外は上述の方法と同様にして、形成される線状変色部分の滲み抑制の程度を調べた。第2耐久性試験では、粘着剤層に線状変色部分が形成されている粘着シートを、65℃および相対湿度90%で120時間、加熱処理した。第2耐久性試験前の線状変色部分の線幅W1、第2耐久性試験後の線状変色部分の線幅W3、および、前記線幅W1に対する線幅W3の増加率(W3/W1)を、表1に示す。
[評価]
第1耐久性試験後の線状変色部分の線幅の増加率(W2/W1)は、実施例1~5の各粘着シートでは、比較例1の粘着シートよりも、小さかった。第2耐久性試験後の線状変色部分の線幅の増加率(W3/W1)も、実施例1~5の各粘着シートでは、比較例1の粘着シートよりも、小さかった。すなわち、実施例1~5の各粘着シートでは、比較例1の粘着シートよりも、粘着剤層の変色部分の滲みが抑制された。
Figure 2022046422000002
S 粘着シート(可変色粘着シート)
10 粘着剤層
11 変色部分
20 基材
31 第1部材
32 第2部材

Claims (7)

  1. 変色可能な粘着剤層を備える可変色粘着シートであって、
    前記粘着剤層は、
    第1外部刺激によって発色可能な着色剤と、ベースポリマーと、重合性化合物とを含有し、前記第1外部刺激とは異なる第2外部刺激によって硬化可能である、可変色粘着シート。
  2. 前記粘着剤層は、光重合開始剤を更に含有する、請求項1に記載の可変色粘着シート。
  3. 前記着色剤は、酸との反応により発色する化合物であり、
    前記粘着剤層は、光酸発生剤を更に含有する、請求項1または2に記載の可変色粘着シート。
  4. 前記着色剤は、酸との反応により発色する化合物であり、
    前記粘着剤層は、光酸発生剤および光重合開始剤を更に含有し、
    前記光酸発生剤の吸光度Xに対する前記光重合開始剤の吸光度Yの比率が2以上である波長領域を、波長300nm以上500nm以下の範囲内に有する、請求項1に記載の可変色粘着シート。
  5. 前記粘着剤層における前記重合性化合物の含有量は、前記ベースポリマー100質量部に対して5質量部以上50質量部以下である、請求項1から4のいずれか一つに記載の可変色粘着シート。
  6. 前記粘着剤層は、10μm以上300μm以下の厚さを有する、請求項1から5のいずれか一つに記載の可変色粘着シート。
  7. 前記粘着剤層の厚さ方向一方側に配置された基材を更に備える、請求項1から6のいずれか一つに記載の可変色粘着シート。
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