JP2022046132A - 湿気硬化型ホットメルト粘着剤 - Google Patents

湿気硬化型ホットメルト粘着剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2022046132A
JP2022046132A JP2020152034A JP2020152034A JP2022046132A JP 2022046132 A JP2022046132 A JP 2022046132A JP 2020152034 A JP2020152034 A JP 2020152034A JP 2020152034 A JP2020152034 A JP 2020152034A JP 2022046132 A JP2022046132 A JP 2022046132A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
epoxy
moisture
mass
hot melt
epoxy group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020152034A
Other languages
English (en)
Inventor
祐亮 佐々木
Yusuke Sasaki
彩子 宮本
Ayako Miyamoto
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Artience Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Ink SC Holdings Co Ltd filed Critical Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
Priority to JP2020152034A priority Critical patent/JP2022046132A/ja
Publication of JP2022046132A publication Critical patent/JP2022046132A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

【課題】塗工性が良好でオレフィン系被着体への粘着力に優れ、かつ、耐熱粘着力及び耐熱保持力、水蒸気バリア性、に優れる湿気硬化型ホットメルト粘着剤を提供すること。【解決手段】分子鎖の両末端にエポキシ基を有するポリブタジエン(a1)およびエポキシ変性ブロック共重合体(a2)を含むエポキシ基を有する成分(A)と、粘着付与樹脂(B)と、イミン系硬化剤(C)とを含み、エポキシ変性ブロック共重合体(a2)は、ビニル芳香族化合物由来の構造単位を主体とする重合体ブロックおよび共役ジエン化合物由来の構造単位を主体とする重合体ブロックを有し、前記共役ジエン化合物由来の構造単位が有する不飽和炭素の二重結合がエポキシ化されたブロック重合体である、湿気硬化型ホットメルト粘着剤により解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、湿気硬化型ホットメルト粘着剤に関する。
溶剤を使用しないホットメルト粘着剤は、火災リスクが低く、製本、食品包装、衛生材料、繊維、建材、自動車分野等広く利用されている。加えて、乾燥オーブンが不要なことから省スペース、省エネルギー化に向けて活用の幅が広がっており、ホットメルト粘着剤に求められる要求性能は日に日に増している。
例えばポリプロピレン(PP)やエチレン酢酸ビニル(EVA)等の密着しにくいオレフィン系被着体への高い粘着性が要求されている。さらに自動車や電子部品の用途を想定し、高温環境でも高い粘着力及び保持力を維持する性能(以下、耐熱粘着力及び耐熱保持力と省略)が求められている。一方、高温高湿環境下において水分の浸透による被着体の劣化抑制や、電子部品を保護する目的のため水蒸気バリア性が要求される用途も増している。
特許文献1には、酸無水物基、マレイン酸基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、アルコキシシリル基、シラノール基、シリルエーテル基、ヒドロキシル基およびエポキシ基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する共役ジエン系ブロック重合体を主成分とするホットメルト粘着剤が開示されている。
また、特許文献2には、耐熱粘着力に優れたホットメルト粘着剤を得る方法として、エポキシ基を有する共役ジエン系ブロック重合体とエポキシ樹脂硬化剤を含むホットメルト粘着剤が開示されている。
しかし、従来のホットメルト粘着剤では、近年要求されているレベルの耐熱粘着力及び耐熱保持力は発現せず、PPやEVAのようなオレフィン系被着体への粘着力及び、水蒸気バリア性も大きく不足していた。
また、上記の性能と共に塗工適性が良好な溶融粘度を有するホットメルト粘着剤が求められていた(以下、塗工性と省略)。
特開2014-70099号公報 特開平8-245939号公報
本発明の解決しようとする課題は、塗工性が良好でオレフィン系被着体への粘着力に優れ、かつ、耐熱粘着力及び耐熱保持力、水蒸気バリア性、に優れる湿気硬化型ホットメルト粘着剤を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の実施態様は、分子鎖の両末端にエポキシ基を有するポリブタジエン(a1)およびエポキシ変性ブロック共重合体(a2)を含むエポキシ基を有する成分(A)と、粘着付与樹脂(B)と、イミン系硬化剤(C)とを含み、エポキシ変性ブロック共重合体(a2)は、ビニル芳香族化合物由来の構造単位を主体とする重合体ブロックおよび共役ジエン化合物由来の構造単位を主体とする重合体ブロックを有し、前記共役ジエン化合物由来の構造単位が有する不飽和炭素の二重結合がエポキシ化されたブロック重合体である、湿気硬化型ホットメルト粘着剤に関する。
本発明は、従来の湿気硬化型ホットメルト接着剤と比較して、塗工性が良好でオレフィン系被着体への粘着力に優れ、かつ、耐熱粘着力及び耐熱保持力、水蒸気バリア性に優れる湿気硬化型ホットメルト接着剤を提供することができる。
本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤について説明する。
なお、本明細書では、分子鎖の両末端にエポキシ基を有するポリブタジエン(a1)を、両末端エポキシブタジエン(a1)と略記することがある。
本明細書において「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値の範囲として含むものとする。
本明細書中に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、それぞれ独立に一種単独でも二種以上を併用してもよい。
なお、構造単位の含有率は、共重合体を合成する際に使用する全原料化合物の合計100質量%に占めるそれぞれの原料化合物の含有率(質量%)より求めることができる。
また「Mw」および「Mn」は、順にゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量および数平均分子量であり、これらは、[実施例]の項に記載の方法にて測定することができる。
《湿気硬化型ホットメルト接着剤》
本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤は、分子鎖の両末端にエポキシ基を有するポリブタジエン(a1)およびエポキシ変性ブロック共重合体(a2)を含むエポキシ基を有する成分(A)と、粘着付与樹脂(B)と、イミン系硬化剤(C)とを含み、エポキシ変性ブロック共重合体(a2)は、ビニル芳香族化合物由来の構造単位を主体とする重合体ブロックおよび共役ジエン化合物由来の構造単位を主体とする重合体ブロックを有し、前記共役ジエン化合物由来の構造単位が有する不飽和炭素の二重結合がエポキシ化されたブロック重合体である。
湿気硬化型ホットメルト粘着剤は塗工して粘着剤層を形成して用いる。
粘着剤層は含有するイミン系硬化剤(C)が、空気中に含まれる湿気又は被着体の基材に含まれる水分との反応により一級アミンを生成し、エポキシ基を有する成分(A)と反応して架橋構造を形成し硬化粘着剤層を形成する。上記の架橋構造を形成することによって耐熱粘着力、耐熱保持力及び、オレフィン系被着体への粘着力が向上する。
粘着剤層は養生して硬化粘着剤層を形成した後に被着体に貼り付けて使用する。また、粘着剤層を被着体に貼り付けた後、養生して硬化粘着剤層を形成してもよい。一方、湿気硬化型ホットメルト粘着剤を被着体に直接塗工して粘着剤層を形成し、その後硬化粘着剤層を形成してもよい。
<エポキシ基を有する成分(A)>
エポキシ基を有する成分(A)は、両末端エポキシブタジエン(a1)、エポキシ変性ブロック共重合体(a2)、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3)、その他エポキシ基を有する化合物、に分類され、本発明の湿気硬化型ホットメルト接着剤は、分子鎖の両末端にエポキシ基を有するポリブタジエン(a1)、およびエポキシ変性ブロック共重合体(a2)を含む。
(両末端エポキシブタジエン(a1))
両末端エポキシブタジエン(a1)は、分子鎖の両末端にエポキシ基を有するポリブタジエンであれば特に限定されない。例えば、公知の方法によりポリブタジエンにエポキシ基を導入して得られるエポキシ変性ポリブタジエンを使用することができ、主に硬化粘着剤層の粘着力を付与する。
なお、両末端エポキシブタジエン(a1)の不飽和結合は部分的に水素添加したものでもよい。
両末端エポキシブタジエン(a1)は、分子鎖の両末端以外にもエポキシ基を有するものであってもよい。上記のポリブタジエンを不活性溶媒中でハイドロパ-オキサイド類、過酸類などのエポキシ化剤と反応させることにより両末端以外にもエポキシ基を導入することができる。エポキシ変性ブロック共重合体(a2)及び粘着付与樹脂との相溶性、並びにオレフィン系被着体への粘着力を高める観点から、分子鎖の両末端にのみエポキシ基を有するポリブタジエンが好ましい。
両末端エポキシブタジエン(a1)のエポキシ当量は500~3000(g/eq)が好ましく500~1500がより好ましい。両末端エポキシブタジエン(a1)のエポキシ当量を500(g/eq)以上とすることでオレフィン系被着体への粘着力が向上する。
これはエポキシ変性ブロック共重合体(a2)との相溶性が良好となり、エポキシ変性ブロック共重合体(a2)の共役ジエン化合物由来の構造単位を主体とする重合体ブロックを適度に軟化するためであると考えられる。両末端エポキシブタジエン(a1)のエポキシ当量を3000(g/eq)以下とすることで耐熱保持力が向上する。
両末端エポキシブタジエン(a1)のポリブタジエンのユニットは1,2結合または1,4結合のいずれでもよく、これらの混合物でもよいが、1,4結合のポリブタジエンであることが好ましい。1,4結合のポリブタジエンとすることでエポキシ変性ブロック共重合体(a2)との相溶性が向上し、耐熱粘着力がより良好となる。
両末端エポキシブタジエン(a1)の重量平均分子量は、500~50000が好ましく、700~20000がより好ましく、1000~5000がさらに好ましい。両末端エポキシブタジエン(a1)の重量平均分子量を500以上とすることで、耐熱粘着力がより向上する。両末端エポキシブタジエン(a1)の重量平均分子量を50000以下とすることで溶融粘度を下げることができ、塗工性をより向上できる。
両末端エポキシブタジエン(a1)は、エポキシ基を有する成分(A)と粘着付与樹脂(B)との合計100質量%中、両末端エポキシブタジエン(a1)を15質量%以上含有することにより、塗工性および粘着力が向上し、両末端エポキシブタジエン(a1)を40質量%以下とすることにより、水蒸気バリア性および耐熱保持力がより良好となる。エポキシ基を有する成分(A)と粘着付与樹脂(B)との合計100質量%中、両末端エポキシブタジエン(a1)の含有率は、好ましくは15~30質量%であり、より好ましくは、15~25質量%である。
両末端エポキシブタジエン(a1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、分子鎖の両末端にヒドロキシル基を有するポリブタジエンを、適切なエピクロルヒドリンと、アルカリ条件下で反応させるか又はその代わりに酸性触媒下で反応させ、次にアルカリ処理する方法や、分子鎖の両末端にヒドロキシル基を有するポリブタジエンをジイソシアネートと反応させてウレタン化し、ここにヒドロキシル基含有エポキシ化合物を反応させる方法や、分子鎖の両末端にカルボン酸を有するポリブタジエンとビスフェノール型エポキシ樹脂とを反応させる方法で得ることができる。このような分子鎖の両末端にエポキシ基を有するポリブタジエンの市販品としては、例えば、ナガセケムテック社のデナレックスシリーズや日本曹達社のEPBシリーズが挙げられる。
(エポキシ変性ブロック共重合体(a2))
エポキシ変性ブロック共重合体(a2)は、ビニル芳香族化合物由来の構造単位を主体とする重合体ブロックおよび共役ジエン化合物由来の構造単位を主体とする重合体ブロックを有し、前記共役ジエン化合物由来の構造単位が有する不飽和炭素の二重結合がエポキシ化されたブロック重合体である。前記共役ジエン化合物由来の構造単位が有する不飽和炭素の二重結合は一部エポキシ化されたものでも良いし、全てエポキシ化されたものでもよい。
なお、共役ジエン化合物の不飽和結合は部分的に水素添加されていてもよい。
ビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-第3級ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、p-メチルスチレン、1,1-ジフェニルスチレン等が挙げられ、中でもスチレンが好ましい。
共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、ピペリレン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、フェニル-1,3-ブタジエン等が挙げられ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましく、共役ジエン化合物の不飽和結合は部分的に水素添加したものでもよい。
エポキシ変性ブロック共重合体(a2)は、ビニル芳香族化合物由来の構造単位を主体とする重合体ブロックXと、共役ジエン化合物由来の構造単位を主体とする重合体ブロックYとからなるブロック共重合体である。ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組み合わせのいずれであってもよい。例えば、X-YX、Y-X-Y、(X-Y-)n、X-Y-X-Y-X等の構造を有するビニル芳香族化合物-共役ジエン化合物ブロック重合体である。なお、nは、1以上の整数である。中でも、スチレン-ブタジエン-スチレントリブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレントリブロック共重合体が好ましい。
エポキシ変性ブロック共重合体(a2)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、上記のブロック共重合体を不活性溶媒中でハイドロパ-オキサイド類、過酸類などのエポキシ化剤と反応させることにより得ることができる。このようなエポキシ変性ブロック共重合体の市販品としては、例えば、ダイセル社のエポフレンドシリーズが挙げられる。
エポキシ変性ブロック共重合体(a2)のビニル芳香族化合物由来の構造単位の含有率は、エポキシ変性ブロック共重合体(a2)100質量%中、5~70質量%が好ましく、より好ましくは10~50質量%である。エポキシ変性ブロック共重合体(a2)中のビニル芳香族化合物由来の構造単位の含有率を5質量%以上とすることで塗膜の凝集力が向上し、耐熱保持力がより良好となる。エポキシ変性ブロック共重合体(a2)のビニル芳香族化合物由来の構造単位の含有率を70質量%以下とすることで、塗膜の柔軟性が向上し、オレフィン系被着体への粘着力がより良好になる。
エポキシ変性ブロック共重合体(a2)の共役ジエン化合物由来の構造単位は、不飽和結合が部分的に水素添加されたものでもよく、共役ジエン化合物の水素添加は不飽和度が5%以上、好ましくは10%以上である。
エポキシ変性ブロック共重合体(a2)のエポキシ当量は、500~3000(g/eq)が好ましく1000~2000がより好ましい。エポキシ変性ブロック共重合体(a2)のエポキシ当量を500(g/eq)以上とすることでオレフィン系被着体への粘着力がより向上する。エポキシ変性ブロック共重合体(a2)のエポキシ当量を3000(g/eq)以下とすることで耐熱粘着力がより向上する。
エポキシ変性ブロック共重合体(a2)の重量平均分子量は、10000~500000が好ましく、30000~200000がより好ましい。エポキシ変性ブロック共重合体(a2)の重量平均分子量を10000以上とすることで塗膜の凝集力が向上し、耐熱保持力がより良好となる。エポキシ変性ブロック共重合体(a2)の重量平均分子量を500000以下とすることで溶融粘度を下げることができ、塗工性をより向上できる。
エポキシ変性ブロック共重合体(a2)は、主に硬化粘着剤層に凝集力を付与するために用いられ、耐熱粘着力及び耐熱保持力が向上する。エポキシ基を有する成分(A)と粘着付与樹脂(B)との合計100質量%中、エポキシ変性ブロック共重合体(a2)の含有率は、好ましくは10~35質量%であり、より好ましくは20~30質量%である。エポキシ変性ブロック共重合体(a2)を10質量%以上とすることにより、塗膜の凝集力が向上し耐熱保持力がより良好となり、エポキシ変性ブロック共重合体(a2)を35質量%以下とすることにより、溶融粘度を下げることができ、塗工性をより向上できる。
(エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3))
耐熱粘着力をさらに向上させる観点からエポキシ基を有する成分(A)は、両末端エポキシブタジエン(a1)およびエポキシ変性ブロック共重合体(a2)に加えて、さらにエチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3)を含むことが好ましい。
エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3)は、少なくともエチレンとグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートとを共重合してなる共重合体である。
エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3)は、さらに、その他ラジカル重合性モノマーを構成成分として用いた共重合体であってもよい。その他ラジカル重合性モノマーとしては、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸n-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、無水マレイン酸などを挙げることができるが、こられに限定されるものではない。
エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3)の製造方法としては上記した構造を有するものであればどのような製造方法でもよいが、例えば、常用のフリーラジカル重合法のような公知の方法により製造することができる。このようなエチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3)の市販品としては、例えば、住友化学社のボンドファーストシリーズやアルケマ社のロタダーシリーズが挙げられる。
エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3)を構成する全単量体100質量%中のエチレン含有率は、10~99質量%が好ましく、より好ましくは50~95質量%である。エチレン含有率を10質量%以上とすることで、オレフィン系被着体への粘着力がより向上する。エチレン含有率を99質量%以下とすることで、耐熱粘着力がより向上する。
エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3)を構成する全単量体100質量%中のグリシジル(メタ)アクリレート含有率は、1~50質量%が好ましく、より好ましくは3~30質量%である。グリシジル(メタ)アクリレート含有率を1質量%以上とすることで、耐熱粘着力がより向上する。グリシジル(メタ)アクリレート含有率を50質量%以下とすることで、エポキシ変性ブロック共重合体との相溶性がよくなり、オレフィン系被着体への粘着力がより向上する。
エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3)の重量平均分子量は、3000~200000が好ましく、5000~100000がより好ましい。エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3)の重量平均分子量を3000以上とすることで、耐熱保持力がより向上する。エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3)の重量平均分子量を100000以下とすることで溶融粘度を下げることができ、塗工性をより向上できる。
エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3)の軟化点としては、好ましくは40~180℃であり、より好ましくは、80~140℃である。軟化点が前記範囲にあるエチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3)を用いることで、塗膜の凝集力がより向上し、耐熱保持力に優れた粘着剤を得ることができる。
なお、本発明の軟化点は、環球法によるものであり、JIS K5601-2-2に準拠して測定した値を示す。
エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3)は、主に湿気硬化型ホットメルト粘着剤の耐熱粘着力を向上させるために用いられる。
エポキシ基を有する成分(A)と粘着付与樹脂(B)との合計100質量%中、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3)の含有量は好ましくは1~30質量%であり、より好ましくは、3~10質量%である。エポキシ基を有する成分(A)と粘着付与樹脂(B)との合計100質量%中、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3)を1質量%以上とすることにより、硬化粘着剤層の架橋密度が高くなり、耐熱粘着力がより良好となり、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3)を30質量%以下とすることにより、溶融粘度を下げることができ塗工性をより向上できる。
<粘着付与樹脂(B)>
本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤は粘着付与樹脂(B)を含有する。粘着付与樹脂(B)とエポキシ基を有する成分(A)とを併用することにより、塗工性および水蒸気バリア性が向上する。
粘着付与樹脂(B)は、例えば、脂肪族系石油樹脂(C5系石油樹脂)、芳香族系石油樹脂(C9系石油樹脂)、ジシクロペンタジエン系石油樹脂(DCPD系石油樹脂)等の脂環族系石油樹脂、脂肪族/芳香族共重合系石油樹脂、脂環族/芳香族共重合系石油樹脂、脂肪族/脂環族共重合系石油樹脂、前記例示の石油樹脂を水添してなる水添石油樹脂、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレンフェノール樹脂、キシレン樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール樹脂、フェノール変性石油樹脂、ロジンエステル樹脂、変性ロジンエステル樹脂、低分子量ポリスチレン系樹脂、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂などが挙げられる。これらは単独または2種以上併用できる。
これらの中で、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、脂肪族/芳香族共重合系石油樹脂、脂環族/芳香族共重合系石油樹脂、脂肪族/脂環族共重合系石油樹脂、前記例示の石油樹脂を水添してなる水添石油樹脂、ロジンエステル樹脂、または水添テルペン樹脂が好ましく、芳香族系石油樹脂、脂環族/芳香族共重合系石油樹脂を水添してなる水添石油樹脂がより好ましい。
前記のような剛直な芳香環あるいは脂環構造を有する石油樹脂を併用することにより、気体が拡散し難くなり水蒸気バリア性が向上すると考えられる。
芳香族系石油樹脂を水添してなる水添石油樹脂は一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、荒川化学社のアルコンシリーズやイーストマン社のリガライトシリーズが挙げられる。また、脂肪族/芳香族共重合系石油樹脂を水添してなる水添石油樹脂は一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、出光興産社のアイマーブシリーズやJXTG社のT‐REZシリーズが挙げられる。
粘着付与樹脂(B)の軟化点は、好ましくは50~200℃であり、より好ましくは、80~150℃である。軟化点が前記範囲にある粘着付与樹脂を用いることで、塗膜の凝集力が向上し、耐熱保持力により優れた粘着剤層を得ることができる。
なお、本発明の軟化点は、環球法によるものであり、JIS K5601-2-2に準拠して測定した値を示す。
粘着付与樹脂(B)の含有率は、エポキシ基を有する成分(A)と粘着付与樹脂(B)との合計100質量%中、25~60質量%が好ましく、30~55質量%がより好ましく、35~50質量%がさらに好ましい。粘着付与樹脂(B)の含有率を25質量%以上とすることによりオレフィン系被着体への粘着力がより優れ、粘着付与樹脂(B)の含有率を60質量%以下とすることにより耐熱保持力がより良好となる。
<イミン系硬化剤(C)>
イミン系硬化剤(C)は、イミノ基(炭素-窒素二重結合基)を有する化合物であれば、限定されず、分子内に一級アミンをもつ化合物と、分子内にケトンまたはアルデヒド基をもつ化合物との縮合反応物が挙げられる。
以下、ケトン由来のイミン系硬化剤をケチミン系硬化剤、アルデヒド由来のイミン系硬化剤をアルジミン系硬化剤と称することがある。
イミン系硬化剤(C)は、空気中や被着体に含まれる水分との反応により、一級アミンを生成し、エポキシ基を有する成分(A)の硬化剤として機能する。上記の硬化反応によって湿気硬化型ホットメルト粘着剤は硬化し、耐熱粘着力及び耐熱保持力が向上する。
イミン系硬化剤のなかでも、分子内に一級アミンをもつ化合物と、分子内にケトンをもつ化合物との縮合反応物である、ケチミン系硬化剤であることが、耐熱粘着力及び耐熱保持力により優れる点で好ましい。
前記分子内に一級アミンをもつ化合物としては、その構造や分子量は限定されるものではないが、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ジエチレントリアミン(DTA)、ジプロプレンジアミン(DPDA)、トリエチレンテトラミン(TTA)、トラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、テトリメチルヘキサメチレンジアミン、N-アミノエチルピペラジン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、ジエチルアミノプロピルアミン(DEAPA)、メタキシリレンジアミン(MXDA)、イソホロンジアミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3-BAC)、1-シクロヘキシルアミノ-3-アミノプロパン、3-アミノメチル-3,3,5-トリメチル-シクロヘキシルアミン、ノルボルナンジアミノメチル等があげられる。これらの中で、嵩高い分子構造をもつ化合物を用いることにより、反応性が抑制され適度な保存安定性を得ることができる。好ましくは1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、ジエチルアミノプロピルアミン(DEAPA)、ジエチルアミノプロピルアミン(DEAPA)、メタキシリレンジアミン(MXDA)、イソホロンジアミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3-BAC)、ノルボルナンジアミノメチルを用いるものである。より好ましくはメタキシリレンジアミン(MXDA)イソホロンジアミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3-BAC)、ノルボルナンジアミノメチルを用いるものである。さらに、本発明における分子内に一級アミンをもつ化合物は、上記で例示した分子内に一級アミンをもつ化合物にアジリジンを反応させたアジリジン付加物でもよい。また、上記分子内に一級アミンをもつ化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。
前記分子内にケトン基をもつ化合物としては、その構造や分子量は限定されるものではないが、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、イソブチルメチルケトン(MIBK)、t-ブチルメチルケトン、t-ブチルエチルケトン、イソプロピルメチルケトン、イソプロピルエチルケトン、ジイソプロピルケトン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、メチルシクロヘキシルケトン、シクロヘキサノン等があげられ、前記分子内にアルデヒド基をもつ化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ペンタナール、ヘキサナール、デカナール、シクロヘキサンカルボアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール等が挙げられる。
これらの中で、嵩高い分子構造をもつ化合物を用いることにより、反応性が抑制され適度な保存安定性を得ることができる。好ましくはイソブチルメチルケトン(MIBK)、t-ブチルメチルケトン、t-ブチルエチルケトン、イソプロピルメチルケトン、イソプロピルエチルケトン、ジイソプロピルケトン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、メチルシクロヘキシルケトン、シクロヘキサノンを用いるものである。より好ましくはイソブチルメチルケトン(MIBK)、t-ブチルメチルケトン、イソプロピルメチルケトン、プロピオフェノン、メチルシクロヘキシルケトンを用いるものである。上記分子内にケトンまたはアルデヒド基をもつ化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。
イミン系硬化剤(C)の製造方法としては例えば、前記分子内に一級アミンをもつ化合物と前記分子内にケトンまたはアルデヒド基をもつ化合物とを熱環流下、脱離してくる水を留去しながら反応させて得られる。この反応は、無溶媒下、あるいはトルエン、キシレンなどの溶媒存在下いずれで行ってもよい。上記反応は、通常ケトンまたはアルデヒド過剰下で行われる。
イミン系硬化剤(C)のアミン価は、5~1000(KOHmg/g)が好ましく100~500がより好ましい。イミン系硬化剤(C)のアミン価を5(KOHmg/g)以上とすることで塗膜の凝集力が向上し耐熱保持力が良好となる。イミン系硬化剤(C)のアミン価を1000(KOHmg/g)以下とすることで塗工性と保存安定性が向上する。
イミン系硬化剤(C)の含有率は、湿気硬化型ホットメルト粘着剤の固形分100質量%中、1~9質量%が好ましく、1.5~8質量%がより好ましく、2~6質量%がさらに好ましい。1質量%以上とすることにより硬化粘着剤層の架橋密度が高くなり、耐熱保持力がより良好となり、イミン系硬化剤(C)を9質量%以下とすることにより、柔軟な硬化皮膜を形成することができるため粘着力がより良好となる。
また、エポキシ基を有する成分(A)が有するエポキシ基とイミン系硬化剤(C)が加水分解して生成するアミノ基のモル比(エポキシ基/アミノ基)は、好ましくは2~15、より好ましくは、3~8である。前記モル比を2以上とすることにより、柔軟な硬化皮膜を形成することができるため粘着力がより良好となり、前記モル比を15以下とすることにより、硬化粘着剤層の架橋密度が高くなり、耐熱保持力がより良好となる。
<湿気硬化型ホットメルト接着剤の製造方法>
本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤の製造方法の一例を説明する。反応容器内にドライ窒素を吹き込み、水分が入らないようにして、エポキシ基を有する成分(A)、粘着付与樹脂(B)及び、イミン系硬化剤(C)を溶融、ブレンドして均一混合物とすることにより製造する。溶融、ブレンド温度は、90℃以上180℃以下が好ましい。溶融温度が90℃未満であると、ブレンドが均一にならない場合があり、一方180℃を超える場合には、熱劣化による褐色化や熱分解などの問題が生じる場合がある。上記の製法は溶剤を必要としないが溶剤を用いてもよい。この場合、ブレンド温度はその溶剤の沸点以下で行う必要がある。
例えばブレンドのための装置としては、攪拌機、押出機など従来から周知、公知のブレンド装置を用いることができる。このとき、溶融、ブレンドの方法、溶融、ブレンドの順序は任意でよいが、例えば、まず所定量の両末端エポキシブタジエン(a1)および粘着付与樹脂(B)をブレンダー容器内へ投入し、溶融、攪拌を続けながら、エポキシ変性ブロック共重合体(a2)、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3)を順次投入、加熱溶融した後、イミン系硬化剤(C)を投入、ブレンドして、均一混合物とすることにより形成される。また、これらを二軸押出機で同時に混練してもよい。
前記湿気硬化型ホットメルト粘着剤は、エポキシ基を有する成分(A)、粘着付与樹脂(B)、およびイミン系硬化剤(C)に加えてさらにその他添加剤を含有してもよい。
その他添加剤としては、例えば、硬化触媒、水分除去剤、酸化防止剤、安定剤、充填材、染料、顔料、蛍光増白剤、シランカップリング剤、ワックス、熱可塑性樹脂等を用いることができる。
湿気硬化型ホットメルト粘着剤の150℃における溶融粘度は、塗工性の観点から好ましくは1000~50000mPa・s、より好ましくは、3000~30000mPa・sである。なお、前記溶融粘度の測定方法は、実施例にて詳細に記載する。
本発明の反応性ホットメルト粘着剤の使用形態の一例として、基材と被着体を貼り合わせる粘着フィルムの用途に使用できる。以下に、粘着剤フィルムの製造方法について説明する。基材の貼り合せ面に100~180℃、好ましくは120℃~160℃の温度で溶融された本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤を塗工し、粘着剤層を形成する。必要に応じて、前記粘着剤層を保護するためのカバーフィルムを貼り合わせる。さらに後述の条件で養生を行うことにより硬化粘着剤層を形成する。
前記粘着フィルムの養生については、基材とカバーフィルムが貼り合わされた状態でもよいし、基材と被着体が貼り合わされた状態でもよいが、被着体への密着性を向上させる観点から、基材と被着体を接触させた状態で養生を行うことが好ましい。
本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤の養生条件は、25℃、50%RHで7日以上または40℃、80%RHで1日以上養生を行うことが好ましい。前記条件で養生を行うことにより、イミン系硬化剤(C)の加水分解反応及びイミン系硬化剤(C)が加水分解して生成するアミンとエポキシ基を有する成分(A)との反応が十分に進み耐熱粘着力及び耐熱保持力が向上する。
前記湿気硬化型ホットメルト粘着剤の塗布方法としては、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ブレードコート法、スプレーコート法、エアナイフコート法、カーテンコート法、ダイコート法、コンマコート法が挙げられる。
基材としては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のプラスチック製フィルム、ガラス板等の無機材料、不織布、紙等が挙げられる。基材は、シリコーン等の離型剤で表面が剥離処理されていてもよいし、コロナ処理されていてもよい。
カバーフィルムとしては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のプラスチック製フィルムが挙げられる。カバーフィルムは、シリコーン等の離型剤で表面が剥離処理されていてもよい。
また、本願の湿気硬化型ホットメルト粘着剤は粘着剤層単層又は、粘着剤層/基材/粘着剤層の積層構成とし、両面粘着フィルムとして使用することもできる。上記構成において粘着剤層はあらかじめ養生し硬化粘着剤層としてもよい。
本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤の具体的な使用用途並びに被着体としては特に限定されず、例えば、自動車、建材、電気製品等に使用される緩衝材、遮音材、断熱材のポリオレフィン発泡体と各種基材との接着、自動車内装材用のドアパネルや天井材、ドアパネル、パーティション、家具、事務機器等の心材と表面材との接着、画像表示装置(有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、量子ドットディスプレイ)、発光装置(有機EL照明、量子ドット照明)、各種電子部材(有機薄膜太陽電池、薄膜トランジスタ)、およびタッチパネルを含む入出力装置を構成する部材の接着、前記部材の封止等が挙げられる。
以下、製造例および実施例を挙げてさらに具体的に説明する。しかし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[分子量の測定]
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定した。測定条件は以下の通りである。なお、MwおよびMnはいずれも、ポリスチレン換算値である。
測定装置:昭光サイエンス社製GPC装置 「SHODEX GPC-101」
カラム:KF-G 4A/KF-805/KF-803/KF-802
温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン( THF)
流速:1.0mL/分
検出器:RI(示差屈折計)
[エポキシ当量の測定方法]
エポキシ当量は、JIS K 7236に準拠して測定して求めた。
[イミン系硬化剤のアミン価の測定方法]
アミン価は、JIS K 7237に定められた滴定法に準拠して測定して求めた。
(両末端エポキシブタジエン(a1-1)の合成)
両末端にヒドロキシル基を有するポリブタジエン280g(0.1mol,出光興産社、Polybd R-45HT)とエピクロルヒドリン20.4g(0.22mol,住友化学社)とを反応させて、アルカリ処理することにより、エポキシ当量1535、数平均分子量2800の分子鎖の両末端エポキシブタジエン(a1-1)を得た。
(両末端エポキシブタジエン(a1-2)の合成)
分子鎖の両末端にヒドロキシル基を有するポリブタジエンとして、Polybd R-45HTの代わりにG-1000(日本曹達社)を用いる以外は、製造例1と同様に反応させ、エポキシ当量480、数平均分子量1400の分子鎖の両末端エポキシブタジエン(a1-2)を得た。
(両末端エポキシブタジエン(a1-3)の合成)
分子鎖の両末端にヒドロキシル基を有するポリブタジエンとして、Polybd R-45HTの代わりにPolybd R-15HT(出光興産社)を用いる以外は、製造例1と同様に反応させ、エポキシ当量515、数平均分子量1200の分子鎖の両末端エポキシブタジエン(a1-3)を得た。
(分子鎖の両末端エポキシブタジエン(a1-4)の合成)
分子鎖の両末端にヒドロキシル基を有するポリブタジエンとして、Polybd R-45HTの代わりにG-2000(日本曹達社)を用いる以外は、製造例1と同様に反応させ、エポキシ当量1009、数平均分子量2100の分子鎖の両末端エポキシブタジエン(a1-4)を得た。
以下、実施例で使用したその他の材料を示す。
(エポキシ変性ブロック共重合体(a2))
・AT-501;「エポフレンドAT-501」(ダイセル社、エポキシ当量1050、数平均分子量50000)
(エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3))
・BF-2C;「ボンドファースト」BF-2C(住友化学社、エポキシ当量580、数平均分子量32000)
(粘着付与樹脂(B))
・M-100;「アルコンM-100」(荒川化学社、部分水添芳香族系石油樹脂、軟化点100℃)
・S-100;「アイマーブS-100」(出光興産社、部分水添脂環族/芳香族共重合系石油樹脂、軟化点100℃)
(イミン系硬化剤(C))
・H30;「jERキュアH30」(三菱ケミカル社、ケチミン系硬化剤、アミン価276mgKOH/g)
(その他成分)
・JP-100(日本曹達社、ブタジエン由来の構造単位が有する不飽和炭素の二重結合をエポキシ化することにより得られる主鎖にエポキシ基を有するポリブタジエン、エポキシ当量212、数平均分子量1200)
(実施例1)
撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、分子鎖の両末端エポキシブタジエン(a1-1)を30部及び粘着付与樹脂(B)としてアルコンM-100を45部込み、150℃で加熱溶融した。この溶融物に、エポキシ変性ブロック共重合体(a2)であるエポフレンドAT-501を25部仕込み、均一混合物とした後、イミン系硬化剤(C)であるjERキュアH30を2.2部投入、ブレンドして、均一混合物とすることで湿気硬化型ホットメルト粘着剤を得た。
(実施例2~19、比較例1~4)
表1、2に示した組成、および配合量(質量部)に変更した以外は実施例1と同様の方法で湿気硬化型ホットメルト粘着剤を作製した。
得られた湿気硬化型ホットメルト粘着剤の塗工性と、水蒸気バリア性と、オレフィン系被着体への粘着力および耐熱粘着力と、耐熱保持力とを下記の方法により評価した。
(塗工性)
得られた湿気硬化型ホットメルト粘着剤の150℃における溶融粘度を測定し、塗工性を下記のように評価した。
湿気硬化型ホットメルト粘着剤を150℃で1時間加熱溶解した後、100mLをマヨネーズ瓶にサンプリングし、B型粘度計(ローター♯4、回転数12rpm)にて溶融粘度を測定し塗工性を評価した。
[評価基準]
〇(優良) :20000mPa・s未満
〇△(良) :20000mPa・s以上、30000未満mPa・s、
△(可) :30000mPa・s以上、50000未満mPa・s、
×(不可) :50000mPa・s以上
(水蒸気バリア性)
湿気硬化型ホットメルト粘着剤を150℃で加熱溶融し、アプリケーターを使用して厚さ50μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、湿気硬化型ホットメルト粘着剤の厚さが50μmとなるように塗工した。25℃、50%RHで7日間放置し、硬化粘着剤層付きPETフィルムを得た。次いで前記フィルムの水蒸気透過率JT(g/m・日)を下記測定条件により評価した。
測定装置:日立ハイテクサイエンス社製 「mocon PERMATRN-W 3/33」
温度:40℃
湿度:90%RH
流量 10mL/min(窒素)
測定面積 50cm (円形)
次いで(式1)により硬化粘着剤層単層の水蒸気透過率J1(g/m・日)を算出し水蒸気バリア性を評価した。

1/JT = 1/J1 + 1/J2 ・・・(式1)
JT:硬化粘着剤層付きPETフィルムの水蒸気透過率(g/m・日)
J1:硬化粘着剤層単層の水蒸気透過率(g/m・日)
J2:PETフィルムの水蒸気透過率(g/m・日)
[評価基準]
〇(優良) :100g/m・日未満
△(可) :100g/m・日以上、200g/m・日未満
×(不可) :200g/m・日以上
(オレフィン系被着体への粘着力)
水蒸気バリア性の評価と同様の方法で硬化粘着剤層付きPETフィルムを作製した。次いで幅25mm、長さ80mmに断裁し、被着体としてポリプロピレン(PP)板に、質量2kgの圧着ローラを2往復させることで圧着し試験片を得た。試験片を23℃の恒温室中で1時間静置した後、23℃の恒温室中で、試験片の180度角剥離強度(剥離速度:300mm/分)を測定しオレフィン系被着体への粘着力とした。
[評価基準]
〇(優良) :10N/25mm以上
〇△(良) :5N/25mm以上、10N/25mm未満
△(可) :2N/25mm以上、5N/25mm未満
×(不可) :2N/25mm未満
(耐熱粘着力)
水蒸気バリア性の評価と同様の方法で硬化粘着剤層付きPETフィルムを作製した。次いで幅25mm、長さ80mmに断裁し、被着体としてポリプロピレン(PP)板に、質量2kgの圧着ローラを2往復させることで圧着し試験片を得た。試験片を23℃の恒温室中で1時間静置した後、80℃の雰囲気中で、試験片の180度角剥離強度(剥離速度:300mm/分)を測定し耐熱粘着力とした。
[評価基準]
〇(優良) :5N/25mm以上
〇△(良) :3N/25mm以上、5N/25mm未満
△(可) :1N/25mm以上、3N/25mm未満
×(不可) :1N/25mm未満
(耐熱保持力)
水蒸気バリア性の評価と同様の方法で硬化粘着剤層付きPETフィルムを作製した。次いで幅25mm、長さ80mmに断裁し、被着体としてSUS板を用い、貼り合わせ面積を25mm×25mmとし、質量2kgの圧着ローラを2往復させることで圧着し試験片を得た。試験片を23℃の恒温室中で1時間静置した後、50℃のオーブン中で、1kgの荷重を粘着剤層面に対して平行方向にかけ、荷重付加開始から24時間後にもとの位置からのずれ長さ(mm)を測定し耐熱保持力を評価した。
[評価基準]
〇(優良) :0mm(ずれなし)
〇△(良) :5mm未満
△(可) :5mm以上、25mm未満
×(不可) :25mm未満
Figure 2022046132000001
Figure 2022046132000002
表1の実施例1~19に示す本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤は、塗工性、水蒸気バリア性、オレフィン系被着体への粘着力、耐熱粘着力及び耐熱保持力に優れていた。
一方、比較例1に示す湿気硬化型ホットメルト粘着剤は、前記両末端エポキシブタジエン(a1)を含まない様態であり、オレフィン系被着体への粘着力及び耐熱粘着力が不可であった。比較例2に示す湿気硬化型ホットメルト粘着剤は、前記エポキシ変性ブロック共重合体(a2)を含まない様態であり、オレフィン系被着体への粘着力及び耐熱粘着力が不可であった。比較例3に示す湿気硬化型ホットメルト粘着剤は、前記粘着付与樹脂(B)を含まない様態であり、塗工性及び水蒸気バリア性が不可であった。比較例4に示す湿気硬化型ホットメルト粘着剤は、前記イミン系硬化剤(C)を含まない様態であり、耐熱保持力が不可であった。
本発明の湿気硬化型ホットメルト粘着剤は、自動車、建材、有機ELや液晶ディスプレイなどの電気部品と各種基材との接着に好適に使用できる。

Claims (6)

  1. 分子鎖の両末端にエポキシ基を有するポリブタジエン(a1)およびエポキシ変性ブロック共重合体(a2)を含むエポキシ基を有する成分(A)と、粘着付与樹脂(B)と、イミン系硬化剤(C)とを含み、
    エポキシ変性ブロック共重合体(a2)は、ビニル芳香族化合物由来の構造単位を主体とする重合体ブロックおよび共役ジエン化合物由来の構造単位を主体とする重合体ブロックを有し、
    前記共役ジエン化合物由来の構造単位が有する不飽和炭素の二重結合がエポキシ化されたブロック重合体である、
    湿気硬化型ホットメルト粘着剤。
  2. 分子鎖の両末端にエポキシ基を有するポリブタジエン(a1)のエポキシ当量が500~3000(g/eq)である、請求項1記載の湿気硬化型ホットメルト粘着剤。
  3. エポキシ基を有する成分(A)が、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3)をさらに含む、請求項1または2記載の湿気硬化型ホットメルト粘着剤。
  4. エポキシ基を有する成分(A)が有するエポキシ基とイミン系硬化剤(C)が加水分解して生成するアミノ基のモル比(エポキシ基/アミノ基)が、2~15の範囲である、請求項1~3いずれか1項記載の湿気硬化型ホットメルト粘着剤。
  5. エポキシ基を有する成分(A)と粘着付与樹脂(B)との合計100質量%中、分子鎖の両末端にエポキシ基を有するポリブタジエン(a1)を15~40質量%、エポキシ変性ブロック共重合体(a2)を10~35質量%、粘着付与樹脂(B)を25~60質量%含む、請求項1~4いずれか1項記載の湿気硬化型ホットメルト粘着剤。
  6. エポキシ基を有する成分(A)と粘着付与樹脂(B)との合計100質量%中、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(a3)を1~30質量%含む、請求項3~5いずれか1項記載の湿気硬化型ホットメルト粘着剤。
JP2020152034A 2020-09-10 2020-09-10 湿気硬化型ホットメルト粘着剤 Pending JP2022046132A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020152034A JP2022046132A (ja) 2020-09-10 2020-09-10 湿気硬化型ホットメルト粘着剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020152034A JP2022046132A (ja) 2020-09-10 2020-09-10 湿気硬化型ホットメルト粘着剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022046132A true JP2022046132A (ja) 2022-03-23

Family

ID=80779655

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020152034A Pending JP2022046132A (ja) 2020-09-10 2020-09-10 湿気硬化型ホットメルト粘着剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022046132A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI640590B (zh) Polyolefin-based adhesive composition
JP6807309B2 (ja) ゴム系感圧接着剤
CN104039888A (zh) 密封用树脂组合物
JPH06107745A (ja) ブロック共重合体
WO2008004519A1 (fr) Composition adhésive de caoutchouc solide et feuille adhésive de celle-ci
US6541553B1 (en) Formulation for strippable adhesive and coating films and high performance adhesive
JP6619525B2 (ja) 光学用粘着剤組成物及びこの硬化物を含む光学用粘着層
TW202219223A (zh) 化合物、化合物之製造方法、黏著劑組成物、及黏著帶
TW202031841A (zh) 聚烯烴系黏接劑組成物
EP3612611B1 (en) Blended block copolymer/silicone pressure sensitive adhesives
JP2022046132A (ja) 湿気硬化型ホットメルト粘着剤
WO2016111286A1 (ja) 加飾物品および加飾用積層体
CN111108162A (zh) 含固化性接合材料的层叠体的制造方法
WO2007063812A1 (ja) 粘着剤組成物よびそれを用いてなる表面保護材
US6794441B2 (en) Die cuttable label adhesive formulation
JP2000256634A (ja) 反応性ホットメルト接着剤組成物及び接着方法
JP2008127450A (ja) 一液型プレコート用接着剤組成物
JPH09165565A (ja) 接着剤組成物
JP3521009B2 (ja) 粘接着剤用ブロック共重合体
JP3339172B2 (ja) ブロック共重合体の製造方法
JP3346906B2 (ja) 粘接着剤用ブロック共重合体組成物
JP4674037B2 (ja) 無溶剤の耐可塑剤ビニル製電気用テープ
JP3339171B2 (ja) ブロック共重合体の製造方法
WO2018221573A1 (ja) 接着剤組成物、接着シート、及び封止体
JP2001011424A (ja) 紫外線硬化性粘着剤組成物