発明の詳細な説明
(関連出願の相互参照)
本願は、2014年11月14日に出願された欧州特許出願第14193225.1号の利益を主張するものであり、その開示内容の全てが参照によって本願に援用される。
(技術分野)
本開示は、概して感圧接着剤(PSA)の分野に関し、より具体的には、ゴム系感圧接着剤及び多層ゴム系感圧接着剤アセンブリの分野に関する。本開示はまた、このような感圧接着剤及びアセンブリの製造方法並びにその使用に関する。
(背景)
接着剤は、様々なマーキング、保持、保護、封止、及びマスキング目的のために使用されている。接着テープは、一般に、バッキング又は基材、及び接着剤を含む。多くの用途に特に好まれる接着剤の1つのタイプは、感圧接着剤に代表されるものである。
感圧テープは、家庭及び職場の実質的には至る所に存在する。その最も簡単な構成において、感圧テープは接着剤とバッキングとを備え、その全体構造は使用温度で粘着性を有し、適度な圧力のみによって各種の基材に接着して接合を形成する。このようにして、感圧テープは、完全で自己完結的な接合システムを構成する。
感圧接着剤(PSA)は当業者には周知であり、Pressure−Sensitive Tape Councilによると、PSAは以下を含む特性、すなわち、(1)強力かつ永久的な粘着力、(2)指圧以下の圧力による接着力、(3)被着物に留まる十分な能力、及び(4)十分な粘着力を有することが知られている。PSAとして良好に機能することが見出されている材料としては、必要な粘弾性特性を呈し、粘着、剥離接着、及び剪断保持力の所望のバランスをもたらすように設計及び配合されたポリマーが挙げられる。PSAは、室温(例えば、20℃)で通常の粘着性があることを特徴とする。PSAは、単に粘着性であること、又は表面に接着するという理由だけで組成物を包含するわけではない。
これらの要件は概して、A.V.Pocius in Adhesion and Adhesives Technology:An Introduction,2nd Ed.,Hanser Gardner Publication,Cincinnati,OH,2002に記述されているとおり、粘着性、接着性(剥離強度)、及び粘着性(剪断保持力)を個々に測定するように設計された試験手段によって評価される。これらの測定値は総合的に、PSAの特徴付けに使用されることが多い特性のバランスを構成する。
長年に渡る感圧テープの使用の拡大に伴い、性能要件はより厳しくなった。例えば、当初は室温で中程度の荷重を支持する用途を意図していた剪断保持力は、操作温度及び荷重に関して多くの用途に対応するため、大幅に増大した。多くの用途で、感圧接着剤は、高温、典型的には70℃〜120℃の範囲で荷重を支持することを求められ、これには、高い粘着力が要求される。同様に、特に、いわゆる低表面エネルギー(LSE)基材及び中表面エネルギー(MSE)基材等の、各種の接着が困難な表面に対する剥離力及び剪断抵抗に関し、改良され、用途の広い接着特性を有する感圧接着剤に対する高い必要性が生じた。
感圧接着剤に関して高まる性能要件に加え、揮発性有機化合物(VOC)の低減規制が、特に、例えば、建設市場又は自動車産業若しくは電子産業等における各種の内装用途(労働衛生及び労働安全性)にとって、ますます重要となりつつある。既知のアクリレート系感圧接着剤は、典型的には顕著な量の低分子量の有機残留物を含有しており、例えば、重合プロセスから生じる未反応のモノマー、重合開始剤の残留物、原材料由来の汚染物、又は製造プロセス中に形成された分解物等が含まれる。VOCとみなされるこれらの低分子量残留物は、接着テープの外に拡散することもあり、潜在的に有害となる可能性がある。既知のアクリレート系感圧接着剤にはまた、架橋されていない場合、一般的に、粘着力の欠如及び過度の流動性傾向の問題もある。この様相により、架橋されていないアクリレート系感圧接着剤が特にホットメルトプロセスによって製造されている場合に、その適用性や加工性が特に問題となる。
感圧接着剤の製造プロセスにおいて有機溶媒の使用を低減することは、総VOC濃度を低減するための直接的な手段の1つとして、急速に取り上げられるようになった。国際公開第01/44400号(Yang)に記載の、有機汚染物質に対して特定のスカベンジャーを使用することは、VOC濃度の低減を実現するための他の代替的方法である。しかしながら、従来技術から既知の、総VOC濃度を低減するための解決方法は、製造プロセスの複雑化及び生産コストの上昇を伴うことが多い。
従来技術から既知の感圧接着剤材料は、いわゆるLSE基材及びMSE基材を含む各種の基材に対し、VOC濃度特性の低減と併せて十分な粘着性を提供しない場合が多い。特に、観察される総VOC濃度は、例えば、建設市場又は自動車産業若しくは電子産業等における各種の内装用途に対する要求事項を満たさない場合が多い。部分的な解決策が、例えば、米国特許出願公開第2003/0082362(A1)号(Khandpurら)及び同第2004/0082700(A1)号(Khandpurら)に記載されている。
当該分野において既知の感圧接着剤に関連した技術的利点に異議を唱えるものではないが、安定で費用対効果が高く、総VOC濃度を低減する一方で、特に、LSE基材及びMSE基材を含む各種の基材に対し、優れた、多用途の接着特性を提供する感圧接着剤に対する必要性は依然として存在する。本開示の感圧接着剤、アセンブリ及び方法の他の利点は、下記の説明から明らかになるであろう。
(概要)
一態様によると、本開示は感圧接着剤に関し、この感圧接着剤は、
a)式Qn−Y
[式中、
(i)Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して式G−R(式中、各Rは、共役ジエン重合体、共役ジエン重合体の水素添加誘導体、又はこれらの任意の組み合わせを含むゴム状ブロックであり、かつ各Gは、モノビニル芳香族モノマー重合体を含むガラス状ブロックである)を有し、
(ii)nは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、かつ
(iii)Yは多官能性カップリング剤の残基である]
の多腕ブロックコポリマーと、
b)重量平均分子量Mwが少なくとも10,000g/molであるポリマー可塑剤と、
c)実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、揮発性有機化合物(VOC)値が、1000ppm未満である少なくとも1つの炭化水素粘着付与剤と、
d)場合により含まれる、式L−(G)m(式中、Lは、重合オレフィン、共役ジエン重合体、共役ジエン重合体の水素添加誘導体、又はこれらの任意の組み合わせを含むゴム状ブロックであり、かつmは1又は2である)の直鎖状ブロックコポリマーと、を含む。
他の一態様において、本開示は、上記の感圧接着剤と、この感圧接着剤に隣接するバッキング層と、を含む、多層感圧接着剤アセンブリを対象とする。
更に他の一態様によると、本開示は、上記の感圧接着剤(又は多層感圧接着剤アセンブリ)の製造方法を対象とし、この方法は、
a)多腕ブロックコポリマーと、ポリマー可塑剤と、実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、揮発性有機化合物(VOC)値が、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、400ppm未満、又は200ppm未満である少なくとも1つの炭化水素粘着付与剤と、場合により配合される、直鎖状ブロックコポリマーと、場合により配合される、好ましくは多官能性(メタ)アクリレート化合物の群から選択される架橋剤と、を配合して感圧接着剤配合物を形成する工程と、
b)場合により実施される、感圧接着剤配合物を、好ましくは化学線によって、より好ましくは電子線照射によって架橋する工程と、を含む。
更に他の一態様によると、本開示は、上記の感圧接着剤又は多層感圧接着剤アセンブリの、産業用途、好ましくは内装用途、更に好ましくは建設市場用途、自動車用途又は電子用途のための使用に関する。
(詳細な説明)
第1の態様によると、本開示は感圧接着剤に関し、この感圧接着剤は、
a)式Qn−Y
[式中、
(i)Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して式G−R(式中、各Rは、共役ジエン重合体、共役ジエン重合体の水素添加誘導体、又はこれらの組み合わせを含むゴム状ブロックであり、かつ各Gは、モノビニル芳香族モノマー重合体を含むガラス状ブロックである)を有し、
(ii)nは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、かつ
(iii)Yは多官能性カップリング剤の残基である]
の多腕ブロックコポリマーと、
b)重量平均分子量Mwが少なくとも10,000g/molであるポリマー可塑剤と、
c)実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、揮発性有機化合物(VOC)値が、1000ppm未満である少なくとも1つの炭化水素粘着付与剤と、
d)場合により含まれる、式L−(G)m(式中、Lは、重合オレフィン、共役ジエン重合体、共役ジエン重合体の水素添加誘導体、又はこれらの任意の組み合わせを含むゴム状ブロックであり、かつmは1又は2である)の直鎖状ブロックコポリマーと、を含む。
本開示に関し、驚くべきことに、上記の式の多腕スチレンブロックコポリマーと、重量平均分子量Mwが少なくとも10,000g/molであるポリマー可塑剤と、実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、揮発性有機化合物(VOC)値が1000ppm未満である少なくとも1つの炭化水素粘着付与剤と、を含む感圧接着剤は、総VOC濃度の低減に関して優れた特性及び性能を提供することが判明した。いくつかの有利な態様において、本明細書に記載の感圧接着剤は、知覚され得る臭いが非常に弱いか又は実質的にないことを特徴とする。
更に、本明細書に記載の感圧接着剤は、LSE基材及びMSE基材を含む各種の基材、並びに特に自動車クリアコートにおいて、接着特性と粘着特性について(特に剥離力及び静的剪断抵抗に関して)、驚くほど良好な全体バランスを提供する。いくつかの態様において、本開示による感圧接着剤は、総フォギングレベルの低減に関し、優れた特性と性能とを更に提供することを特徴とする。この低フォギング性により、典型的には、気体放出された構成成分の凝縮に対する抵抗が改善され、かつ対応する感圧接着剤の熱安定性が改善される。
そのため、本開示による感圧接着剤は、(産業)内装用途に特に好適であり、より詳細には建設市場用途、自動車用途又は電子用途に好適である。自動車用途に関し、本明細書に記載の感圧接着剤は、例えば、自動車本体の側面成形、ウェザーストリップ、又はバックミラーを接着するための特定の用途を見出すことができる。いくつかの態様において、本開示による感圧接着剤は有利な低フォギング性と共に提供され、電子用途に特に好適である。
本開示に関し、表現「低表面エネルギー基材」は、1cm当たり34ダイン未満の表面エネルギーを有する基材を指すことを意図する。このような材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン、すなわちHDPE、低密度ポリエチレン、すなわちLDPE、LLDPE)、及び例えば、ポリプロピレン(PP)/エチレンプロピレンジエンターポリマー(EPDM)/熱可塑性ポリオレフィン(TPO)等のポリプロピレン(PP)のブレンドが挙げられる。
本開示に関し、表現「中表面エネルギー基材」は、1cm当たり34〜70ダイン、典型的には1cm当たり34〜60ダイン、より典型的には1cm当たり34〜50ダインからなる表面エネルギーを有する基材を指すことを意図する。このような材料としては、ポリアミド6(PA6)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)/ABSブレンド、PC、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリウレタン(PUR)、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスチレン(PS)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、クリアコート表面、特に自動車等の車両のクリアコート表面又は産業用途の被覆表面、及び繊維強化プラスチック等の複合材料が挙げられる。
表面エネルギーは典型的には、例えば、ASTM D7490−08に記載の接触角測定により測定される。
本開示による感圧接着剤は、式Qn−Y
[式中、
(i)Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して式G−R(式中、各Rは、共役ジエン重合体、共役ジエン重合体の水素添加誘導体、又はこれらの任意の組み合わせを含むゴム状ブロックであり、かつ各Gは、モノビニル芳香族モノマー重合体を含むガラス状ブロックである)を有し、
(ii)nは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、かつ
(iii)Yは多官能性カップリング剤の残基である]を含む。
典型的な一態様において、ゴム状ブロックは、室温未満のガラス転移温度(Tg)を呈する。いくつかの態様において、ゴム状ブロックのTgは約0℃未満、又は約−10℃未満である。いくつかの態様において、ゴム状ブロックのTgは約−40℃未満、又は約−60℃未満である。
典型的な一態様において、ガラス状ブロックは、室温を超えるTgを呈する。いくつかの実施形態において、ガラス状ブロックのTgは少なくとも約40℃、少なくとも約60℃、少なくとも約80℃、又は少なくとも約100℃である。
用語「ガラス転移温度」及び「Tg」は互換的に使用され、材料又は混合物のガラス転移温度を指す。別途記載のない限り、ガラス転移温度値は、示差走査熱量測定法(DSC)によって測定される。
本開示の特定の一態様において、本明細書で使用する多腕スチレンブロックコポリマーは、nが3〜10又は3〜5の範囲である。いくつかの他の態様において、nは4であり、いくつかの他の実施において、nは6以上である。
本明細書における使用に好適なゴム状ブロックRは、共役ジエン重合体、共役ジエン重合体の水素添加誘導体、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの腕のゴム状ブロックは、イソプレン、ブタジエン、エチレンブタジエンコポリマー、又はポリイソプレン若しくはポリブタジエンの水素添加誘導体、及びこれらの組み合わせ若しくは混合物からなる群から選択される共役ジエン重合体を含む。有利な一態様によると、各腕のゴム状ブロックは、イソプレン、ブタジエン、エチレンブタジエンコポリマー、又はポリイソプレン若しくはポリブタジエンの水素添加誘導体、及びこれらの任意の組み合わせ若しくは混合物からなる群から選択される共役ジエン重合体を含む。
本開示による感圧接着剤の好ましい一態様によると、多腕ブロックコポリマーのゴム状ブロックのうちの少なくとも1つは、イソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共役ジエンを含む。より好ましくは、多腕ブロックコポリマーのゴム状ブロックのそれぞれは、イソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される共役ジエンを含む。
本開示による感圧接着剤の特に有利な態様によると、多腕ブロックコポリマーの少なくとも1つの腕は、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。より好ましくは、多腕ブロックコポリマーの各腕は、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。更により好ましくは、多腕ブロックコポリマーの各腕は、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
本明細書における使用に好適なガラス状ブロックGは、モノビニル芳香族モノマー重合体を含む。いくつかの典型的な態様において、少なくとも1つの腕のガラス状ブロックは、スチレン、スチレン相溶性ブレンド、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるモノビニル芳香族モノマーを含む。有利な一態様によると、各腕のガラス状ブロックは、スチレン、スチレン相溶性ブレンド、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるモノビニル芳香族モノマーを含む。
本開示の有利な実施によると、本明細書で使用する多腕ブロックコポリマーは、(多腕)星形ブロックコポリマーである。本開示による感圧接着剤のより有利な一態様において、多腕ブロックコポリマーは、多モードブロックコポリマーである。本明細書で使用する用語「多モード」は、コポリマーが少なくとも2つの異なる分子量を有する末端ブロックを含むことを意味する。このようなブロックコポリマーはまた、少なくとも1つの「高」分子量末端ブロックと、少なくとも1つの「低」分子量末端ブロックと、を有することを特徴とし、高及び低という用語は互いに相対的に用いられる。いくつかの特定の態様において、低分子量末端ブロックの数平均分子量(Mn)Lに対する、高分子量末端ブロックの数平均分子量(Mn)Hの比は、少なくとも約1.25である。
いくつかの特定の態様において、(Mn)Hは約5000〜約50000の範囲である。いくつかの実施形態において(Mn)Hは少なくとも約8000であり、またいくつかの態様においては少なくとも約10000である。いくつかの態様において、(Mn)Hは約35000以下である。いくつかの態様において、(Mn)Lは約1000〜約10000の範囲である。いくつかの態様において、(Mn)Lは少なくとも約2000であり、またいくつかの態様においては少なくとも約4000である。いくつかの態様において、(Mn)Lは約9000未満であり、またいくつかの態様においては約8000未満である。
他の有益な一態様によると、多腕ブロックコポリマーは非対称なブロックコポリマーである。本明細書で使用する用語「非対称」は、ブロックコポリマーの腕の全てが同一とは限らないことを意味する。概して、多モードブロックコポリマーは、末端ブロックの分子量が全て同一とは限らないため、多モードブロックコポリマーの全ての腕が同一とは限らず、したがって、非対称なブロックコポリマー(すなわち、多モードで非対称なブロックコポリマー)である。いくつかの態様において、本開示のブロックコポリマーは、多モードで非対称なブロックコポリマーである。
本明細書で使用する多腕ブロックコポリマーは、例えば、米国特許第7,163,741(B1)号(Khandpurら)に記載されている。多腕ブロックコポリマー、特に多モードで非対称のブロックコポリマーの製造方法は、例えば、米国特許第5,296,547号(Nestegardら)、又は同第5,393,787号(Nestegardら)に記載されており、これらの内容は参照により本明細書に援用される。
概して、本明細書で使用する多官能性カップリング剤は、任意のポリアルケニルカップリング剤、又は、リビングポリマーのカルバニオンと反応して架橋ポリマーを形成することができる官能基を有することが知られている他の物質であってもよい。ポリアルケニルカップリング剤は、脂肪族、芳香族、又は複素環であってもよい。代表的な脂肪族ポリアルケニルカップリング剤としては、これらに限定されるものではないが、ポリビニル及びポリアルキルアセチレン、ジアセチレン、ホスフェート、ホスフィット、及びジメタクリレート(例えば、エチレンジメタクリレート)が挙げられる。代表的な芳香族ポリアルケニルカップリング剤としては、これらに限定されるものではないが、ポリビニルベンゼン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルナフタレン、及びジビニルズレンが挙げられる。代表的なポリビニル基としては、これらに限定されるものではないが、ジビニル基、トリビニル基、及びテトラビニル基が挙げられる。いくつかの態様において、ジビニルベンゼン(DVB)を使用してもよく、オルト−ジビニルベンゼン、メタ−ジビニルベンゼン、パラ−ジビニルベンゼン、及びこれらの混合物を含んでもよい。代表的な複素環式ポリアルケニルカップリング剤としては、これらに限定されるものではないが、ジビニルピリジン、及びジビニルチオフェンが挙げられる。他の代表的な多官能性カップリング剤としては、これらに限定されるものではないが、ハロゲン化ケイ素、ポリエポキシド、ポリイソシアネート、ポリケトン、ポリ酸無水物、及びジカルボン酸エステルが挙げられる。
典型的な一態様によると、上記の多腕ブロックコポリマーは、例えば、感圧接着剤の重量を基準として最大80重量%の量で使用される。いくつかの代表的な態様において、多腕ブロックコポリマーの量は、例えば、感圧接着剤の重量を基準として20重量%〜80重量%、20重量%〜70重量%、25重量%〜60重量%、又は25重量%〜50重量%の範囲とすることができる。
いくつかの有利な態様において、本開示の感圧接着剤は、場合により含まれる、式L−(G)m(式中、Lはゴム状ブロックを表し、Gはガラス状ブロックを表し、かつガラス状ブロックの数mは1又は2である)の直鎖状ブロックコポリマーを含んでもよい。本明細書における使用に好適なゴム状ブロックLは、重合オレフィン、共役ジエン重合体、共役ジエン重合体の水素添加誘導体、又はこれらの任意の組み合わせを含み、かつmは1又は2である。本開示に関し、驚くべきことに、上記の直鎖状ブロックコポリマーを添加することにより、感圧接着剤の(コ)ポリマー前駆体に対し、また、得られる感圧接着剤に対して、様々な有利な効果がもたらされ得ることが判明した。特に、上記の直鎖状ブロックコポリマーを添加すると、この化合物の粘度低下作用により、感圧接着剤の(コ)ポリマー前駆体の加工性に有利な影響を及ぼすことができ、その結果、感圧接着剤には向上した視覚的及び美的な外観がもたらされる。また、上記の直鎖状ブロックコポリマーの存在により、得られた感圧接着剤に、向上した粘着性能を更にもたらすことができる。
いくつかの態様において、mは1であり、直鎖状ブロックコポリマーは、1つのゴム状ブロックL及び1つのガラス状ブロックGを含むジブロックコポリマーである。いくつかの態様において、mは2であり、直鎖状ブロックコポリマーは2つのガラス状末端ブロック及び1つのゴム状中間ブロックを含み、すなわち直鎖状ブロックコポリマーはトリブロックコポリマーである。
いくつかの態様において、ゴム状ブロックLは、共役ジエン重合体、共役ジエン重合体の水素添加誘導体、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様において、共役ジエンは4〜12個の炭素原子を含む。代表的な共役ジエンとしては、これらに限定されるものではないが、ブタジエン、イソプレン、エチルブタジエン、フェニルブタジエン、ピペリレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、エチルヘキサジエン、及びジメチルブタジエンが挙げられる。共役ジエン重合体は、個別に又は互いにコポリマーとして用いることができる。好ましくは、直鎖状ブロックコポリマーのゴム状ブロックLは、イソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共役ジエンを含む。いくつかの他の態様において、ゴム状ブロックLは、例えばイソブチレン等の重合オレフィンを含む。
いくつかの態様において、少なくとも1つのガラス状ブロックGはモノビニル芳香族モノマー重合体を含む。いくつかの他の態様において、トリブロックコポリマーのガラス状ブロックは両方とも、モノビニル芳香族モノマー重合体を含む。いくつかの他の態様において、直鎖状ブロックコポリマーは2つのガラス状ブロックを含む。更に他の一態様によると、モノビニル芳香族モノマーは8〜18個の炭素原子を含む。代表的なモノビニル芳香族モノマーとしては、これらに限定されるものではないが、スチレン、ビニルピリジン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジ−n−ブチルスチレン、イソプロピルスチレン、他のアルキル化スチレン、スチレン類似体、及びスチレン同族体が挙げられる。いくつかの態様において、モノビニル芳香族モノマーは、スチレン、スチレン相溶性モノマー又はモノマーブレンド、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
本明細書で使用する「スチレン相溶性モノマー又はモノマーブレンド」は、重合又は共重合することができ、優先的にポリスチレン又はブロックコポリマーのポリスチレン末端ブロックと会合する、モノマー又はモノマーのブレンドを指す。相溶性は、モノマースチレンとの実際の共重合、相溶性モノマー若しくはブレンドの溶解性、又はホットメルト若しくは溶媒処理中のポリスチレン相中の重合モノマー若しくはブレンドの溶解性、又は処理後の放置中のスチレンリッチな相ドメインとの、モノマー若しくはブレンドの会合から生じ得る。
いくつかの他の態様において、直鎖状ブロックコポリマーはジブロックコポリマーである。いくつかの態様において、ジブロックコポリマーは、スチレン−イソプレン、及びスチレン−ブタジエンからなる群から選択される。いくつかの態様において、直鎖状ブロックコポリマーはトリブロックコポリマーである。いくつかの態様において、トリブロックコポリマーは、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、スチレン−イソブチレン−スチレン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。ジブロック及びトリブロックコポリマーは市販されており、例えば、商品名VECTORでDexco Polymer LP,Houston,Texasより入手可能なもの、及び商品名KRATONでKraton Polymers U.S.LLC,Houston,Texasより入手可能なものがある。製造時及び/又は購買時、トリブロックコポリマーは、若干のジブロックコポリマーも含有している場合がある。
本開示による感圧接着剤の特定の一態様において、本明細書で使用する炭化水素粘着付与剤(複数可)の揮発性有機化合物(VOC)値は、実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、800ppm未満、600ppm未満、400ppm未満、又は200ppm未満である。
好ましい一態様によると、本明細書で使用する炭化水素粘着付与剤(複数可)の揮発性フォギング化合物(FOG)値は、実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、又は500ppm未満である。本開示に関し、驚くべきことに、ゴム系エラストマー材料と、実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、揮発性フォギング化合物(FOG)値が1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、又は500ppm未満である少なくとも1つの粘着付与剤と、を含む感圧接着剤は、気体放出された構成成分の凝縮に対する抵抗性及び/又は対応する感圧接着剤の熱安定性に関し、優れた特性及び性能をもたらすことが判明した。有利な低フォギング性を有する感圧接着剤は、電子用途に特に好適である。
更に好ましくは、本明細書で使用する炭化水素粘着付与剤(複数可)の気体放出値は、実験の項に記載のオーブン気体放出試験法に従い重量減少分析により測定した場合に、1重量%未満、0.8重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、又は0.1重量%未満である。本開示に関し、驚くべきことに、ゴム系エラストマー材料と、実験の項に記載のオーブン気体放出試験法に従い重量減少分析により測定した場合に、気体放出値が1重量%未満、0.8重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、又は0.1重量%未満である少なくとも1つの炭化水素粘着付与剤と、を含む感圧接着剤は、優れた熱安定性を提供することが判明した。
上に詳述したVOC要件及び好ましくは上に詳述したFOG濃度要件をも満たす限り、従来の感圧接着材組成物に典型的に含まれる任意の炭化水素粘着付与剤を、本開示に関して使用することができる。有用な炭化水素粘着付与剤は、典型的には(コ)ポリマー材料と混和できるものが選択される。本明細書で使用する好適な炭化水素粘着付与剤(複数可)は、本開示を考慮すれば、当業者によって容易に特定することができる。
固体又は液体の炭化水素粘着付与剤を加えてもよいが、固体の炭化水素粘着付与剤が好ましい。固体粘着付与剤は、概して数平均分子量(Mw)が10,000グラム/モル以下で、軟化点は約70℃を上回る。液体粘着付与剤は、軟化点が約0℃〜約20℃の粘性の物質である。
好適な粘着付与樹脂としては、ポリテルペン(例えば、αピネン系樹脂、βピネン系樹脂、及びリモネン系樹脂)及び芳香族変性ポリテルペン樹脂(例えば、フェノール変性ポリテルペン樹脂)等のテルペン樹脂、クマラン−インデン樹脂、並びにC5系炭化水素樹脂、C9系炭化水素樹脂、C5/C9系炭化水素樹脂、及びジシクロペンタジエン系樹脂等の石油系樹脂を挙げることができる。これらの粘着付与樹脂は、添加されると、水素添加され、特定の感圧接着剤組成物に対するこれらの色の寄与を低減することができる。上に詳述したVOC要件及び好ましくは上に詳述したFOG濃度要件をも満たす限り、様々な粘着付与剤の組み合わせを、所望であれば使用することができる。
炭化水素樹脂である粘着付与剤は、様々な石油系原料から調製することができる。これらの原料は、脂肪族炭化水素(主として、トランス−1,3−ペンタジエン、シス−1,3−ペンタジエン、2−メチル−2−ブテン、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、及びシクロペンテンの混合物等の、いくつかの他のモノマーの存在を伴うC5モノマー)、芳香族炭化水素(主として、ビニルトルエン、ジシクロペンタジエン、インデン、メチルスチレン、スチレン、及びメチルインデンの混合物等の、いくつかの他のモノマーの存在を伴うC9モノマー)、又はこれらの混合物であり得る。C5モノマー由来の粘着付与剤はC5系炭化水素樹脂と呼ばれ、C9モノマー由来のものはC9系炭化水素樹脂と呼ばれる。いくつかの粘着付与剤は、C5モノマーとC9モノマーとの混合物由来、又はC5系炭化水素粘着付与剤とC9系炭化水素粘着付与剤とのブレンド由来である。これらの粘着付与剤は、C5/C9系炭化水素粘着付与剤と呼ばれることがある。これらの樹脂のいずれかは、部分的又は完全に水素添加し、これらの色、これらの熱安定性、又はこれらのプロセス相溶性を改善することができる。
C5系炭化水素樹脂は、Eastman Chemical Companyより商品名PICCOTAC及びEASTOTACで、Cray Valleyより商品名WINGTACKで、Neville Chemical Companyより商品名NEVTAC LXで、並びにKolon Industries、Inc.より商品名HIKOREZで市販されている。C5系炭化水素樹脂は、Eastman Chemicalより、様々な水素添加度のものが、商品名EASTOTACKで市販されている。
C9系炭化水素樹脂は、Eastman Chemical Companyより商品名PICCO、KRISTLEX、PLASTOLYN、PICCOTAC、及びENDEXで、Cray Valleyより商品名NORSOLENEで、Ruetgers N.V.より商品名NOVAREZで、並びにKolon Industries,Inc.より商品名HIKOTACで市販されている。これらの樹脂は、部分的又は完全に水素添加することができる。水素添加の前には、C9系炭化水素樹脂は、プロトン核磁気共鳴による測定では、芳香族が約40パーセントであることが多い。水素添加C9系炭化水素樹脂は、例えば、Eastman Chemicalより商品名REGALITE及びREGALREZで市販されており、これらは50〜100パーセント(例えば、50パーセント、70パーセント、90パーセント、及び100パーセント)水素添加されている。部分的に水素添加された樹脂は、典型的にはいくつかの芳香環を有する。
様々なC5/C9系炭化水素粘着付与剤が、Arakawaより商品名ARKONで、Zeonより商品名QUINTONEで、Exxon Mobile Chemicalより商品名ESCOREZで、並びにNewport Industriesより商品名NURES及びH−REZで市販されている。本開示に関し、本明細書における使用に好適な炭化水素粘着付与剤は、Exxon Mobile Chemicalより商品名ESCOREZで市販されているC5/C9系炭化水素粘着付与剤のなかから有利に選択することができる。
本開示の感圧接着剤の好ましい一態様によると、本明細書で使用する炭化水素粘着付与剤は、脂肪族炭化水素樹脂、脂環式炭化水素樹脂、芳香族変性脂肪族及び脂環式樹脂、芳香族樹脂、水素添加炭化水素樹脂、テルペン及び変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル、並びにこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
本開示の有利な一態様において、粘着付与樹脂は、C5系炭化水素樹脂、C9系炭化水素樹脂、C5/C9系炭化水素樹脂、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。他の有利な一態様において、粘着付与樹脂は、水素添加テルペン樹脂、水素添加ロジン樹脂、水素添加C5系炭化水素樹脂、水素添加C9系炭化水素樹脂、水素添加C5/C9系炭化水素樹脂、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
有利な一態様によると、本開示による感圧接着剤は、実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、揮発性有機化合物(VOC)値が1000ppm未満である、第1の炭化水素粘着付与剤を含み、第1の炭化水素粘着付与剤のTgは好ましくは少なくとも60℃であり、好ましくは、第1の炭化水素粘着付与剤は主としてゴム状ブロックと相溶性がある。
有利な一態様において、第1の炭化水素粘着付与剤は、主としてゴム状ブロックの少なくともいくつかと相溶性がある。いくつかの態様において、第1の炭化水素粘着付与剤は、主として直鎖状ブロックコポリマーのゴム状ブロック及び多腕ブロックコポリマーの各ゴム状ブロックと相溶性がある。
本明細書で使用する粘着付与剤は、ブロックと混和できる場合、そのブロックと「相溶性がある」。一般に、粘着付与剤のブロックとの混和性は、そのブロックのTgに対する粘着付与剤の効果を測定することによって求めることができる。粘着付与剤がブロックと混和できる場合、粘着付与剤はそのブロックのTgを変化させる(例えば、上昇させる)。粘着付与剤は、少なくともそのブロックと混和できる場合、ブロックと「主として相溶性がある」が、他のブロックとも混和できる場合がある。例えば、主としてゴム状ブロックと相溶性がある粘着付与剤は、ゴム状ブロックと混和できるが、ガラス状ブロックとも混和できる場合がある。
一般に、相対的に低い溶解度パラメータを有する樹脂は、ゴム状ブロックと会合する傾向があるが、これらの樹脂の分子量又は軟化点が低下するにつれ、これらのガラス状ブロックへの溶解度が上昇する傾向がある。
主としてゴム状ブロックと相溶性がある代表的な第1の炭化水素粘着付与剤は、重合テルペン、ヘテロ官能性テルペン、クマロン−インデン樹脂、ロジン酸、ロジン酸エステル、不均化ロジン酸エステル、水素添加、C5脂肪族樹脂、C9水素添加芳香族樹脂、C5/C9脂肪族/芳香族樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、C5/C9及びジシクロペンタジエン前躯体由来の水素添加炭化水素樹脂、水素添加スチレンモノマー樹脂、並びにこれらの任意のブレンドからなる群から有利に選択される。
他の有利な一態様によると、本開示による感圧接着剤は、実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、揮発性有機化合物(VOC)値が1000ppm未満である、第2の炭化水素粘着付与剤を場合により含んでもよく、第2の炭化水素粘着付与剤のTgは好ましくは少なくとも60℃であり、好ましくは、第2の炭化水素粘着付与剤は主としてガラス状ブロックと相溶性がある。
本開示に関し、驚くべきことに、主としてガラス状ブロックと相溶性がある第2の炭化水素粘着付与剤を添加することにより、感圧接着剤の高温剪断性能に有利な影響を及ぼし得ることが判明した。主としてガラス状ブロックと相溶性がある第2の炭化水素粘着付与剤の存在により、特に、例えば、臨界塗料基材及び臨界クリアコート系、特に自動車の臨界クリアコート系等の臨界基材に対し、向上した接着性能をもたらすことにもつながり得る。
好ましい一形態において、主としてガラス状ブロックと相溶性がある第2の炭化水素粘着付与剤は、クマロン−インデン樹脂、ロジン酸、ロジン酸エステル、不均化ロジン酸エステル、C9芳香族、スチレン、α−メチルスチレン、純粋なモノマー樹脂、及びC9/C5芳香族変性脂肪族炭化水素、並びにこれらのブレンドからなる群から有利に選択される。
本開示による感圧接着剤のいくつかの態様において、第1及び/又は第2の炭化水素粘着付与剤のTgは、少なくとも65℃、又は少なくとも70℃である。いくつかの態様において、第1及び第2の炭化水素粘着付与剤のTgは、両方とも、少なくとも65℃、又は少なくとも70℃である。
本開示による感圧接着剤のいくつかの態様において、第1及び/又は第2の炭化水素粘着付与剤の軟化点は、少なくとも約115℃、又は少なくとも約120℃である。いくつかの態様において、第1及び第2の炭化水素粘着付与剤の軟化点は、両方とも、少なくとも約115℃、又は少なくとも約120℃である。
本開示による感圧接着剤の典型的な一態様によると、全てのブロックコポリマーの総重量対全ての炭化水素粘着付与剤の総重量の比は、2.4:1〜1:2.4、2.0:1〜1:2.0、1.5:1〜1:1.5、1.2:1〜1:1.2、1.15:1〜1:1.15、又は1.1:1〜1:1.1の範囲である。
感圧接着剤の典型的な一態様によると、炭化水素粘着付与剤のいずれかを、例えば、感圧接着剤の重量を基準として最大80重量%の量で使用することができる。いくつかの態様において、粘着付与剤は、感圧接着剤の重量を基準として最大70重量%、最大60重量%、最大55重量%、最大50重量%、又は最大45重量%の量で使用することができる。粘着付与剤の量は、例えば、感圧接着剤の重量を基準として5重量%〜60重量%、5重量%〜50重量%、10重量%〜45重量%、又は15重量%〜45重量%の範囲とすることができる。
本開示による感圧接着剤は、重量平均分子量Mwが少なくとも10,000g/molであるポリマー可塑剤を更に含む。上記の重量平均分子量の要件を満たす限り、典型的には当業者に既知の任意のポリマー可塑剤を、本開示に関して使用することができる。
重量平均分子量Mwが少なくとも10,000g/molであるポリマー可塑剤を使用することにより、感圧接着剤の総合的な剪断性能、特に高温(典型的には70℃)における剪断性能に対して有利な影響を及ぼす。更に、重量平均分子量Mwが少なくとも10,000g/molであるポリマー可塑剤は、VOC濃度及びFOG濃度の低減に関し、優れた特性及び性能をもたらすことが判明した。
本明細書で使用する有用なポリマー可塑剤は、典型的には、(コ)ポリマー材料及び任意選択の添加剤等の組成物中の他の構成成分と混和できるものが選択される。本明細書における使用に好適なポリマー可塑剤は、本開示を考慮すれば、当業者によって容易に特定することができる。本明細書において使用することができるポリマー可塑剤の典型例としては、これらに限定されるものではないが、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、非晶質ポリオレフィン及びそのコポリマー、シリコーン、ポリアクリレート、オリゴマーポリウレタン、エチレンプロピレンコポリマー、これらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択されるものを挙げることができる。
有利には、本明細書で使用するポリマー可塑剤(複数可)の揮発性有機化合物(VOC)値は、実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、400ppm未満、又は200ppm未満である。
更に有利には、本明細書で使用するポリマー可塑剤(複数可)の揮発性フォギング化合物(FOG)値は、実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、2500ppm未満、2000ppm未満、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、又は500ppm未満である。
更にまた有利には、本明細書で使用するポリマー可塑剤(複数可)の気体放出値は、実験の項に記載のオーブン気体放出試験法に従い重量減少分析により測定した場合に、1重量%未満、0.8重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、又は0.1重量%未満である。
有利な一態様によると、ポリマー可塑剤の重量平均分子量Mwは少なくとも20,000g/mol、少なくとも30,000g/mol、又は少なくとも50,000g/molである。更に有利には、ポリマー可塑剤の重量平均分子量Mwは100,000g/mol以下、90,000g/mol未満、80,000g/mol未満、70,000g/mol未満、又は60,000g/mol未満である。
ポリマー可塑剤の重量平均分子量Mwは、当業者に既知の任意の方法、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)としても知られるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)又は光散乱法によって測定することができる。特記しない限り、ポリマー可塑剤の重量平均分子量Mwは、ASTM D4001−13に従い、光散乱によって測定する。
本開示の感圧接着剤の他の有利な一態様において、ポリマー可塑剤の重量平均分子量Mwは、30,000g/mol〜80,000g/mol又は30,000g/mol〜60,000g/molからなる。
本開示の感圧接着剤の特に好ましい実施によると、ポリマー可塑剤はポリイソブチレン可塑剤である。本明細書において使用することができるポリイソブチレン可塑剤の典型例としては、これらに限定されるものではないが、BASFより商品名OPPANOLで市販されているもののなかで、特にOPPANOL Bシリーズから選択されるものが挙げられる。
典型的な一態様によると、ポリマー可塑剤は、例えば、感圧接着剤の重量を基準として最大40重量%の量で使用される。いくつかの態様において、ポリイソブチレン可塑剤は、感圧接着剤の重量を基準として最大35重量%、最大30重量%、又は最大25重量%の量で使用することができる。ポリマー可塑剤の量は、例えば、感圧接着剤の重量を基準として1重量%〜40重量%、2重量%〜30重量%、又は5重量%〜30重量%、又は5重量%〜25重量%の範囲とすることができる。
感圧接着剤の他の典型的な一態様によると、ポリマー可塑剤の総量は、感圧接着剤の総重量を基準として重量%で表すと、20重量%以下、18重量%以下、15重量%以下、又は12重量%以下である。いくつかの他の態様において、ポリマー可塑剤の総量は、感圧接着剤の総重量を基準として重量%で表すと、6重量%以上、又は7重量%以上である。更にいくつかの他の態様において、ポリマー可塑剤の総量は、感圧接着剤の総重量を基準として重量%で表すと、2〜20重量%、4〜15重量%、又は6〜15重量%からなる。
いくつかの態様において、本開示の感圧接着剤は、任意選択成分として、充填材を更に含んでもよい。このような充填材は、例えば、感圧接着剤の機械的安定性を増大させるために有利に使用してもよく、また剪断抵抗力及び剥離抵抗力を増大させることもできる。
当業者に一般に既知の任意の充填材を、本開示に関して使用することができる。本明細書において使用することができる充填材の典型的な例としては、これらに限定されるものではないが、膨張パーライト、微小球、膨張性微小球、セラミック球、ゼオライト、粘土充填材、ガラスビーズ、中空無機ビーズ、シリカ型充填材、疎水性シリカ型充填材、親水性シリカ型充填材、ヒュームドシリカ、繊維、特にガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、シリカ繊維、セラミック繊維、電気伝導性及び/又は熱伝導性粒子、ナノ粒子、特にシリカナノ粒子、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるものが挙げられる。
本開示の典型的な一態様において、感圧接着剤は、微小球、膨張性微小球、好ましくはペンタン充填膨張性微小球、ガス状空隙、ガラスビーズ、ガラス微小球、ガラスバブル、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択されるいかなる充填材も含まない。より典型的には、感圧接着剤は、膨張性微小球、ガラスバブル、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択されるいかなる充填材も含まない。
存在する場合、本明細書で使用する充填材は、感圧接着剤中に任意の好適な量で使用することができる。いくつかの代表的な態様において、充填材は、感圧接着剤の重量を基準として最大30重量部、最大25重量部、又は最大20重量部の量で存在する。いくつかの他の代表的な態様において、この量は典型的には、感圧接着剤の重量を基準として少なくとも1重量部、又は少なくとも3重量部である。
したがって、いくつかの代表的な態様において、充填材は、感圧接着剤の重量を基準として1〜20重量部、3〜15重量部、又は5〜13重量部の範囲の量で存在する。いくつかの他の代表的な態様において、充填材は、感圧接着剤の重量を基準として1〜20重量部、2〜15重量部、又は2〜10重量部の範囲の量で存在する。
本開示の感圧接着剤は、任意選択成分として、架橋性添加剤(架橋剤とも呼ぶ)を更に含んでもよい。架橋剤は、ポリマー材料の粘着力及び引張強度を増加させるために使用することができる。本明細書における使用に好適な架橋性添加剤は、複数の(メタ)アクリロイル基を有してもよい。
複数の(メタ)アクリロイル基を有する架橋剤は、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート等とすることができる。これらの架橋剤は、例えば、(メタ)アクリル酸を多価アルコール(すなわち、少なくとも2つの水酸基を有するアルコール)と反応させることによって形成することができる。多価アルコールは、2つ、3つ、4つ、又は5つの水酸基を有することが多い。架橋剤の混合物も使用してもよい。
多くの態様において、架橋剤は、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含む。2つのアクリロイル基を有する代表的な架橋剤としては、これらに限定されるものではないが、1,2−エタンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,12−ドデカンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレン/ポリプロピレンコポリマージアクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、プロポキシル化グリセリントリ(メタ)アクリレート、及びネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート変性カプロラクトンが挙げられる。
3つ又は4つの(メタ)アクリロイル基を有する代表的な架橋剤としては、これらに限定されるものではないが、トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、Cytec Industries,Inc.,Smyrna,GAより商品名TMPTA−Nで、またSartomer,Exton,PAより商品名SR−351で市販されている)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(例えば、Sartomer,Exton,PAより商品名SR−350で市販されている)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(例えば、Sartomerより商品名SR−444で市販されている)、トリス(2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート)トリアクリレート(例えば、Sartomerより商品名SR−368で市販されている)、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとの混合物(例えば、Cytec Industries,Inc.,より商品名PETIAで、テトラアクリレート対トリアクリレートの比が約1:1のもの、及び商品名PETA−Kで、テトラアクリレート対トリアクリレートの比が約3:1のものが市販されている)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えば、Sartomerより商品名SR−295で市販されている)、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート(例えば、Sartomerより商品名SR−355で市販されている)、並びにエトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えば、Sartomerより商品名SR−494で市販されている)が挙げられる。5つの(メタ)アクリロイル基を有する代表的な架橋剤としては、これに限定されるものではないが、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(例えば、Sartomerより商品名SR−399で市販されている)が挙げられる。
いくつかの態様において、架橋剤は、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含むポリマー材料である。例えば、架橋剤は、少なくとも2つのアクリロイル基を有するポリ(アルキレンオキシド)(例えば、Sartomerより市販されているSR210、SR252、及びSR603等のポリエチレングリコールジアクリレート)又は少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するポリ(ウレタン)(例えば、SartomerのCN9018等のポリウレタンジアクリレート)とすることができる。架橋剤の分子量が大きくなるにつれ、得られるアクリルコポリマーは、破断前に、より大きい伸びを有する傾向がある。ポリマー架橋剤は、非ポリマー架橋剤と比較して、より高い重量%量で使用される傾向がある。
更に他の架橋の方法において、熱架橋剤は、場合により含まれる、好適な促進剤及び遅延剤と組み合わせて使用してもよい。本明細書における使用に好適な熱架橋剤としては、これらに限定されるものではないが、イソシアネート、より詳細には、三量化イソシアネート及び/若しくは遮断剤を含まない立体障害型イソシアネート、又はエポキシド−アミン架橋剤系等の他のエポキシド化合物が挙げられる。有利な架橋剤系及び方法は、例えば、ドイツ特許第202009013255(U1)号、欧州特許第2 305 389(A1)号、同第2 414 143(A1)号、同第2 192 148(A1)号、同第2 186 869号、同第0 752 435(A1)号、同第1 802 722(A1)号、同第1 791 921(A1)号、同第1 791 922(A1)号、同第1 978 069(A1)号、及びドイツ特許第10 2008 059 050(A1)号の記載に説明されており、これらの関連内容は、参照により本明細書に援用される。特に有利な架橋剤系及び方法が、欧州特許第0 752 435(A1)号、及び同第1 978 069(A1)号に記載されている。本明細書における使用に好適な促進剤及び遅延剤系は、例えば、米国特許出願公開第2011/0281964(A1)号に記載されており、その関連内容は参照により本明細書に明示的に援用される。本明細書での使用に好適な熱架橋剤としては、エポキシシクロヘキシル誘導体、特にエポキシシクロヘキシルカルボキシレート誘導体が挙げられ、Cytec Industries Inc.より商品名UVACURE 1500で市販されている(3,4−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレートが特に好ましい。特定の一態様によると、本明細書で使用するゴム系エラストマー材料は、エポキシド基と架橋可能な(コ)ポリマー又はコポリマーを含んでもよい。これに対応し、使用されるモノマー又はコモノマーの少なくとも一部は、有利には、エポキシド基と架橋可能な官能性モノマーとしてもよい。酸基(特にカルボン酸基、スルホン基、又はホスホン酸基)、及び/又は水酸基、及び/又は酸無水物基、及び/又はエポキシド基、及び/又はアミン基を有するモノマー、特に、カルボン酸基を含むモノマーを好適に使用してもよい。好適な官能性モノマーは、例えば、米国特許出願公開第2005/0288436(A1)号に記載されている。
架橋性添加剤は、存在する場合、感圧接着剤の重量を基準として例えば最大40重量%の量で使用することができる。いくつかの態様において、架橋性添加剤は、感圧接着剤の重量を基準として最大20重量%、最大15重量%、最大10重量%、又は最大5重量%の量で使用することができる。架橋性添加剤の量は、例えば、感圧接着剤の重量を基準として0.1重量%〜10重量%、0.5重量%〜8重量%、1重量%〜6重量%、又は2重量%〜5重量%の範囲とすることができる。
熱架橋性添加剤、水架橋性添加剤、又は感光性架橋性添加剤の他に、架橋はまた、ガンマ放射線又は電子線放射等の高エネルギー電磁放射線を使用して達成することができる。
本開示の有利な一態様において、本明細書で使用する架橋性添加剤は、化学線、より好ましくは電子線照射によって活性化される/活性化可能である。より好ましい一態様において、架橋性添加剤は、多官能性(メタ)アクリレート化合物の群から選択される。代表的な多官能性(メタ)アクリレート化合物は、好ましくは少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基、詳細には3つ又は4つの(メタ)アクリロイル基、より詳細には3つの(メタ)アクリロイル基を含む。
他の有利な一態様において、多官能性(メタ)アクリレート化合物は、下記の式:
H2C=C(R1)−(CO)−O−R2−[O−(CO)−(R1)C=CH2]n
(式中、R1は水素又はメチル基であり、nは1、2、3、又は4であり、R2は、例えば、アルキレン、アリーレン、ヘテロアルキレン、又はこれらの任意の組み合わせ等の、アルカン、芳香族化合物、ヘテロアルカン、又はこれらの任意の組み合わせの(n+1)価のラジカルである)を有する。
更に有利な他の一態様によると、本明細書で使用する架橋性添加剤は、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される多官能性(メタ)アクリレート化合物である。
特に有利な一態様において、本開示による感圧接着剤は、好ましくは化学線によって、より好ましくは電子線照射によって架橋される。好ましい一態様によると、感圧接着剤は電子線照射によって架橋され、電子線照射の線量は、好ましくは50kGy〜150kGyからなる。更に特定の一態様において、電子線照射は、感圧接着剤内で対称な照射特性を得られるように、両側から実施される。
本開示に関し、驚くべきことに、上記の感圧接着剤配合物を、特に化学線によって、好ましくは電子線照射によって架橋することにより、室温及び高温(例えば、70℃又は90℃)の両方における優れた静的剪断性能を特徴とする感圧接着剤が得られることが判明した。
電子線照射に基づく架橋を行いながら、好適な電子線加速電圧を選択すると共に、好適な電子線照射線量を見出すことは、十分に当業者の実施範囲内である。好適な加速電圧は、典型的には、対応する感圧接着剤配合物層の被覆重量に応じて選択及び適合される。代表的な電子線加速電圧は、25〜1200g/m2の被覆重量の感圧接着剤層に対し、典型的には140〜300kVからなる。両側から照射する場合、感圧接着剤層の被覆重量は最大1800g/m2とすることができる。
有利には、本開示の感圧接着剤は、50kGy〜150kGyからなる電子線照射線量を使用して架橋することができる。
特定の一態様によると、本開示による感圧接着剤は、
a)感圧接着剤の重量を基準として20重量%〜80重量%、20重量%〜70重量%、25重量%〜60重量%、又は25重量%〜50重量%の多腕ブロックコポリマーと、
b)感圧接着剤の重量を基準として20重量%〜70重量%、25重量%〜60重量%、又は25重量%〜50重量%の炭化水素粘着付与剤(複数可)と、
c)感圧接着剤の重量を基準として2重量%〜20重量%、4重量%〜15重量%、又は6重量%〜15重量%のポリマー可塑剤と、
d)場合により含まれる、感圧接着剤の重量を基準として3重量%〜40重量%、5重量%〜30重量%、又は10重量%〜25重量%の直鎖状ブロックコポリマーと、
e)場合により含まれる、感圧接着剤発泡体の重量を基準として0.1重量%〜10重量%、0.5重量%〜8重量%、1重量%〜6重量%、又は2重量%〜5重量%の架橋性添加剤と、を含み、架橋性添加剤は、好ましくは、多官能性(メタ)アクリレート化合物の群から選択される。
本開示を考慮すれば当業者には明らかとなるように、他の添加剤を、場合により含まれる感圧接着剤に含ませ、任意の所望の特性を達成することができる。このような添加剤としては、これらに限定されるものではないが、更なる粘着付与剤、顔料、強靱化剤、強化剤、難燃剤、抗酸化剤、重合開始剤、及び様々な安定剤が挙げられる。添加剤は、典型的には、所望の最終特性を得るのに十分な量で添加される。
特定の一態様によると、本開示の感圧接着剤はホットメルト感圧接着剤である。本明細書で使用するホットメルト感圧接着剤は、通常の室温を著しく上回る加工温度で基材又は薄層のキャリア上に被覆できるような溶融粘度特性を有するポリマー又はブレンドされたポリマー材料であるが、室温における有用な感圧接着特性を保持している。
本開示の感圧接着剤組成物は、当該技術分野において既知の方法を用いて製造することができる。例えば、これらは、ブロックコポリマー、好適な粘着付与剤、任意の可塑剤(複数可)、及び任意の他の添加剤を好適な溶媒中に溶解することによって作製可能であり、溶媒型接着剤を作製することができる。次いで、接着剤を基材(例えば、剥離ライナー、テープバッキング、コア、又はパネル)上に、従来の手段(例えば、ナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、ロッドコーティング、カーテンコーティング、スプレーコーティング、エアナイフコーティング)を用いて被覆することができる。いくつかの態様において、次いで接着剤を乾燥させ、溶媒の少なくとも一部を除去する。いくつかの有利な態様においては、実質的に全ての溶媒が除去される。
いくつかの代替の実施において、感圧接着剤は、実質的に無溶媒のプロセスで調製される(すなわち、接着剤は溶媒を約10重量%以下、いくつかの態様では溶媒を約5重量%以下、また、いくつかの態様では溶媒を1重量%以下又は微量以下の溶媒しか含まない(すなわち、本質的に溶媒を含まない))。いくつかの態様において、感圧接着剤は残留溶媒を含む場合があり、例えば、接着剤を溶媒中で調製する場合があり、次の処理、例えば、被覆の前に溶媒が除去される。概して、残留溶媒は約5%以下で存在し、いくつかの態様においては、溶媒は約1%以下か、又は微量以下である(すなわち、本質的に溶媒は存在しない)。このような実質的に無溶媒のプロセスは既知であり、例えば、カレンダー加工又はロールミリング加工による配合と、押出(例えば、単軸、二軸、ディスク軸、往復単軸、ピンバレル単軸等)と、を含む。BRABENDER又はBANBURY密閉式ミキサー等の市販の装置もまた、接着剤組成物をバッチ混合するために利用可能である。配合後、接着剤はダイを通して接着剤層等の所望の形態に被覆することができ、あるいは回収して後で成形してもよい。
いくつかの態様において、溶媒型接着剤を使用することができる。いくつかの態様において、このような接着剤は、少なくとも約20重量%の溶媒を含み、ある態様では少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、又は少なくとも約60重量%の溶媒を含む。溶媒型接着剤を被覆及び乾燥する任意の既知の方法を使用することができる。
有利な一態様によると、本開示による感圧接着剤は、厚さが1500マイクロメートル(μm)未満、1000μm未満、800μm未満、600μm未満、400μm未満、200μm未満、150μm未満、又は100μm未満の層の形態である。更に有利には、感圧接着剤は、20〜1500μm、20〜1000μm、20〜500μm、30〜400μm、30〜250μm、40〜200μm、又は50〜150μmからなる厚さの層の形態である。
本開示の感圧接着剤は、単一層構造体の形態をとり、本質的に感圧接着剤層からなってもよい。このような単一感圧接着剤層は、両面接着テープとして有利に使用することができる。
他の一態様によると、本開示は、次いで、上記の感圧接着剤と、この感圧接着剤に隣接するバッキング層と、を含む、多層感圧接着剤アセンブリを対象とする。本開示による感圧接着剤アセンブリは、その最終的な用途及び所望の特性に応じて任意の好適な種類の設計又は構成を有してもよいが、ただし、上記のアセンブリは少なくとも上記の感圧接着剤を含むものとする。
代表的な一態様によると、本開示の感圧接着剤アセンブリは、2つ以上の重畳した層、すなわち、第1の感圧接着剤層と、例えば、バッキング層及び/又は更なる感圧接着剤層等の隣接する層と、を含む、多層構造体の形態をとってもよい。このような接着剤多層構成体又はテープは、2つの物体を互いに接着する二重層接着テープとして有利に使用することができる。これに関連して、本明細書における使用に好適なバッキング層は、少なくとも部分的な感圧接着剤特性を呈してもよく、又は呈しなくてもよい。
したがって、特定の一態様において、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、第1主面及び第2主面を有するバッキング層と、第1主面に接合された第1の感圧接着剤スキン層と、を含み、第1の感圧接着剤スキン層は、上記の感圧接着剤を含む。
いくつかの他の実施において、多層感圧接着剤アセンブリは、第2主面に接合された第2の感圧接着剤スキン層を更に含む。このような感圧接着剤アセンブリは三重層の設計を反映し、バッキング層が、例えば、2つの感圧接着剤層の間に挟持されていてもよい。多層感圧接着剤アセンブリのいくつかの態様において、第1の感圧接着剤スキン層と第2の感圧接着剤スキン層とは同一の接着剤であり、上記の感圧接着剤を含む。いくつかの代替的態様において、第1の感圧接着剤スキン層及び第2の感圧接着剤スキン層は、上記の感圧接着剤をそれぞれ独立して含む。
いくつかの実施において、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、有利には、スキン/コア/スキンの多層アセンブリの形態であってもよく、バッキング層が多層感圧接着剤アセンブリのコア層である。本明細書で使用する用語「コア」は、用語「バッキング」と互換的に使用することができる。
任意の既知のバッキング又はコアを本願明細書において使用することができる。好適なバッキング層は、プラスチック(例えば、二軸延伸ポリプロピレンを含むポリプロピレン、ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリウレタンアクリレート等のポリオレフィン、ポリエチレンテレテフタレート等のポリエステル)、不織材(例えば、紙、布、不織スクリム)、金属箔、発泡体(例えば、ポリアクリリック、ポリエチレン、ポリウレタン、ネオプレン)等から作製することができる。
本開示による多層感圧接着剤アセンブリの好ましい一態様によると、バッキングは、ポリマー発泡体層の形態をとる。本開示の文脈において、用語「ポリマー発泡体」はポリマー系材料を指すことを意図し、この材料は、空隙を、典型的には少なくとも5体積%、典型的には10体積%〜80体積%、又は10体積%〜65体積%の量で含む。空隙は、気体によって形成された気泡等の既知の方法のいずれかによって得ることができる。あるいは、空隙は、中空ポリマー粒子、中空ガラス微小球、中空セラミック微小球等の中空充填材の組み込みによって得ることができる。他の代替的一態様によると、空隙は、熱膨張性微小球、好ましくはペンタン充填膨張性微小球の組み込みによって得ることができる。本明細書で使用する熱膨張性微小球は、ポリマー溶融物が押出ダイを通過する際に膨張することができる。膨張性微小球を含むポリマー混合物はまた、これらの膨張温度未満の温度で押出することもでき、後の工程でテープを微小球の膨張温度より高い温度に露出することによって膨張させることができる。あるいは、空隙は、化学的発泡剤の分解によって得ることができる。
ポリマー発泡体層の密度は、典型的には0.30g/cm3〜1.5g/cm3、0.35g/cm3〜1.10g/cm3、又は0.40g/cm3〜0.95g/cm3からなる。この密度は、空隙又は気泡を含めることによって達成される。典型的には、ポリマー発泡体層は、少なくとも5体積%の空隙、例えば15体積%〜45体積%、又は20体積%〜45体積%の空隙を含む。
ポリマー発泡体層内の空隙又は気泡は、当該技術分野で説明されている既知の方法のいずれかで作り出すことができ、この方法には、気体若しくは発泡剤の使用、及び/又は中空ポリマー粒子、中空ガラス微小球、中空セラミック微小球、又は膨張性微小球、好ましくはペンタン充填膨張性微小球等の中空充填材を、ポリマー発泡体層用の組成物中に組み込むことが含まれる。
本明細書で使用するポリマー発泡体層の厚さは、例えば、100〜6000マイクロメートル(μm)、200〜4000μm、500〜2000μm、又は800〜1500μmからなる。本記述を考慮すれば当業者には明白であるように、ポリマー発泡体層の好ましい厚さは、目的とする用途に応じて異なる。
いくつかの態様において、ポリマー発泡体層は室温で粘弾特性を有する。いくつかの他の態様において、発泡体は熱可塑性発泡体を含んでもよい。いくつかの他の態様において、発泡体は熱硬化性発泡体を含んでもよい。代表的な発泡体は、例えば、the Handbook of Polymer Foams,David Eaves,editor,published by Shawbury,Shrewsbury,Shropshire,UK:Rapra Technology,2004にも記載されている。
ポリマー発泡体層の形態のバッキングを含む多層感圧接着剤アセンブリは、単層感圧接着剤と比較すると、接着(瞬間接着)を感圧接着剤層(通常スキン層とも呼ばれる)の配合によって調整することができ、一方で、適用の問題、変形の問題、及びエネルギー分布等の総合的なアセンブリの他の特性/要件が、ポリマー発泡体層(通常コア層とも呼ばれる)の適切な配合によって対処され得るという点で、特に有利である。
多層感圧接着剤アセンブリの典型的な一態様によると、バッキング層は、ゴム系エラストマー材料、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリビニル、ポリビニルピロリドン、及びこれらの任意の組み合わせ、コポリマー、又は混合物からなる群から選択されるポリマー基材を含む。
有利な一態様において、バッキング層は、ゴム系エラストマー材料からなる群から選択されるポリマー基材を含む。有利には、ゴム系エラストマー材料は、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマー材料、非熱可塑性エラストマー材料、熱可塑性炭化水素エラストマー材料、非熱可塑性炭化水素エラストマー材料、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
多層感圧接着剤アセンブリのいくつかの態様において、ゴム系エラストマー材料は、ハロゲン化ブチルゴム、特にブロモブチルゴム及びクロロブチルゴム、ハロゲン化イソブチレン−イソプレンコポリマー、ブロモ−イソブチレン−イソプレンコポリマー、クロロ−イソブチレン−イソプレンコポリマー、ブロックコポリマー、オレフィンブロックコポリマー、ブチルゴム、合成ポリイソプレン、エチレン−オクチレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム、ポリイソブチレン、ポリ(α−オレフィン)、エチレン−α−オレフィンコポリマー、エチレン−α−オレフィンブロックコポリマー、スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−ブタジエンランダムコポリマー、オレフィンポリマー、オレフィンコポリマー、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
いくつかの好ましい態様において、ゴム系エラストマー材料は、スチレンブロックコポリマー、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。多層感圧接着剤アセンブリのより好ましい一態様において、ゴム系エラストマー材料は、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
更に好ましい一態様において、ゴム系エラストマー材料は、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
いくつかの典型的な態様において、バッキング層は、好ましくは、微小球、膨張性微小球、好ましくはペンタン充填膨張性微小球、ガス状空隙、ガラスビーズ、ガラス微小球、ガラスバブル、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から、より好ましくは、膨張性微小球、ガラスバブル、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、少なくとも1つの充填材を更に含む。好ましくは、少なくとも1つの充填材は、膨張性微小球、ガラスバブル、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
本開示による感圧接着剤アセンブリのいくつかの特定の態様において、プライマー層を感圧接着剤層(複数可)とバッキング(すなわちコア)層との間に挿入してもよい。本開示に関し、当業者に公知の任意のプライマー組成物を使用することができる。本開示を考慮すれば、適切なプライマー組成物を見出すことは、十分に当業者の能力の範囲内である。本明細書における使用に有用なプライマーは、例えば、米国特許第5,677,376号(Groves)及び同第5,605,964号(Groves)に記載されており、これらの内容は参照により本明細書に援用される。
いくつかの態様において、本開示による感圧接着剤アセンブリは、好ましくは化学線によって、より好ましくは電子線照射によって架橋される。好ましい一態様によると、感圧接着剤アセンブリは電子線照射によって架橋され、電子線照射の線量は、好ましくは50kGy〜150kGyからなる。
感圧接着剤アセンブリ中に含まれる様々な感圧接着剤層(複数可)及び他の任意選択の層(複数可)の厚さは、所望の実施及び関連する特性に応じて幅広く変化し得る。例えば、厚さは、各層について独立して、25マイクロメートル(μm)〜6000μm、40μm〜3000μm、50μm〜3000μm、50μm〜2000μm、又は50μm〜1500μmを選択することができる。
多層感圧接着剤アセンブリがスキン/コア型多層感圧接着剤アセンブリの形態をとり、バッキング層が多層感圧接着剤アセンブリのコア層であり、感圧接着剤層が多層感圧接着剤アセンブリのスキン層である特定の実施によると、感圧接着剤層は、バッキング/コア層と比較して、より小さい厚さであることが好ましい。これは、多層感圧接着剤アセンブリがポリマー発泡体感圧接着剤テープの形態をとる実施において特に有利である。例えば、感圧接着剤層の厚さは、典型的には、20μm〜250μm、又は40μm〜200μmの範囲であってもよく、バッキング発泡体層の厚さは、典型的には、100μm〜6000μm、400μm〜3000μm、又は800μm〜2000μmの範囲であってもよい。このような多層感圧接着剤アセンブリは、典型的には、高い剥離接着性を呈する。理論による束縛を望むものではないが、このような高い剥離接着性は、感圧接着剤層と比較して相対的に厚いポリマー発泡体層の安定化効果によるものと考えられる。
特に有利な態様によると、上記の感圧接着剤又は上記の多層感圧接着剤アセンブリの揮発性有機化合物(VOC)値は、実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、2000ppm未満、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、500ppm未満、400ppm未満、又は300ppm未満である。
更に有利には、上記の感圧接着剤又は上記の多層感圧接着剤アセンブリの揮発性有機化合物(VOC)値は、VDA,Association of the German Automobile Industryの試験法VDA278(Thermal Desorption Analysis of Organic Emissions for the Characterization of Non−Metallic Materials for Automobiles)に従い熱脱離分析により測定した場合に、2000ppm未満、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、500ppm未満、400ppm未満、又は300ppm未満である。
更に有利には、上記の感圧接着剤又は上記の多層感圧接着剤アセンブリの揮発性フォギング化合物(FOG)値は、実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、4000ppm未満、3000ppm未満、2500ppm未満、2000ppm未満、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、500ppm未満、又は400ppm未満である。
更に有利には、上記の感圧接着剤又は上記の多層感圧接着剤アセンブリの揮発性フォギング化合物(FOG)値は、VDA,Association of the German Automobile Industryの試験法VDA278(Thermal Desorption Analysis of Organic Emissions for the Characterization of Non−Metallic Materials for Automobiles)に従い熱脱離分析により測定した場合に、4000ppm未満、3000ppm未満、2500ppm未満、2000ppm未満、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、500ppm未満、又は400ppm未満である。
他の有利な一実施によると、上記の感圧接着剤又は上記の多層感圧接着剤アセンブリの静的剪断強度値は、実験の項に記載の静的剪断力試験法に従い70℃で測定した場合に、2000分超、4000分超、6000分超、8000分超、又は10000分超である。
更に他の有利な一実施によると、上記の感圧接着剤又は上記の多層感圧接着剤アセンブリの静的剪断強度値は、実験の項に記載の静的剪断力試験法に従い90℃で測定した場合に、2000分超、4000分超、6000分超、8000分超、又は10000分超である。
本開示は、上記の感圧接着剤(又は多層感圧接着剤アセンブリ)の製造方法を更に対象とし、この方法は、
a)多腕ブロックコポリマーと、ポリマー可塑剤と、実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、揮発性有機化合物(VOC)値が、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、400ppm未満、又は200ppm未満である少なくとも1つの炭化水素粘着付与剤と、場合により配合される、直鎖状ブロックコポリマーと、場合により配合される、好ましくは多官能性(メタ)アクリレート化合物の群から選択される架橋剤と、を配合して感圧接着剤配合物を形成する工程と、
b)場合により実施される、感圧接着剤配合物を、好ましくは化学線によって、より好ましくは電子線照射によって架橋する工程と、を含む。
本開示による方法の代表的な一態様によると、この方法は無溶媒法である。無溶媒法によって、本明細書では、感圧接着剤の製造方法の処理工程中に添加される溶媒が実質的に存在しないことを反映することを意図する。
ある特定の態様においては、感圧接着剤の製造方法は、ホットメルト加工工程、好ましくは連続ホットメルト混合処理工程、より好ましくはホットメルト押出加工工程、特に二軸ホットメルト押出加工工程を含む。
感圧接着剤又は多層感圧接着剤アセンブリの製造方法の有利な一態様によると、炭化水素粘着付与剤(複数可)及び/又はポリマー可塑剤(複数可)は、配合媒体中に供給される前に、最小限度の熱ストレスに暴露される。本開示に関し、炭化水素粘着付与剤(複数可)及び/又はポリマー可塑剤(複数可)に適用される高温の熱ストレスが長時間に及ぶと、これらの原材料の熱分解及び/又は酸化分解を加速し、またVOCの生成を引き起こすことがある。
したがって、感圧接着剤又は多層感圧接着剤アセンブリの製造方法の好ましい一態様においては、炭化水素粘着付与剤(複数可)及びポリマー可塑剤(複数可)は、ドラムアンローダーを供給装置として使用して、配合媒体に加えられる。
あるいは、炭化水素粘着付与剤(複数可)及び/又はポリマー可塑剤(複数可)は、単軸供給押出機によって、配合媒体中に供給される。あるいはまた、炭化水素粘着付与剤(複数可)及び/又はポリマー可塑剤(複数可)は、排出スクリューを有する混練装置によって、配合媒体中に供給される。
感圧接着剤又は多層感圧接着剤アセンブリの製造方法の他の有利な一態様によると、炭化水素粘着付与剤(複数可)及び/又はポリマー可塑剤(複数可)は、容量フィーダー又は重量フィーダーによって、固体状態で配合媒体に加えられる。
いくつかの特定の態様において、押出プロセス中に、配合された接着剤溶融物に対して真空が適用される。真空は、発泡剤を添加する前に、スキン配合溶融物及び/又はコア配合溶融物に対して区別なく適用することができる。
感圧接着剤又は多層感圧接着剤アセンブリの製造方法の他の代表的な一態様によると、共沸剤(chemical entrainer)が、配合された接着剤溶融物に添加され、後に押出プロセスにおいて除去される。本明細書における使用に好適な共沸剤は、熱の作用下で揮発性の化学物質を放出する液体、気体又は化合物である。有利には、使用される共沸剤は、更なる揮発物又は最後に残った微量の揮発物を共沸することができる。好適な共沸剤は、スキンPSA溶融物に、かつ/又はコア溶融物に添加され、後に押出プロセスにおいて除去される。共沸剤がコア配合物に添加される場合、後者は、好ましくは発泡剤を加える前に除去される。
感圧接着剤を製造するこの方法の特定の一態様によると、感圧接着剤層の前駆体が基材上に堆積され、次に、好ましくは化学線によって、より好ましくは電子線放射によって後硬化される。
多層感圧接着剤アセンブリの製造に関し、様々な層を別々に調製し、続いて互いに積層してもよい。代替の代表的な一態様によると、様々な層の対応する前駆体は、単一の処理工程の一部として調製してもよい。
しかしながら、感圧接着剤及び多層感圧接着剤アセンブリの製造は、前述の方法に限定されない。代替の調製方法は、本開示を考慮すれば、当業者によって容易に特定することができる。例えば、感圧接着剤又は多層感圧接着剤アセンブリは、溶媒法によって製造することができる。
本開示の感圧接着剤は、様々な基材上に被覆/適用し、接着剤被覆物品を製造することができる。基材は、可撓性又は非可撓性とすることができ、また、ポリマー材料、紙、ガラス若しくはセラミック材料、金属、又はこれらの組み合わせで形成することができる。好適なポリマー基材としては、これらに限定されるものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート、ポリメチル(メタ)アクリレート(PMMA)、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、エチルセルロース、及びポリウレタンから調製されるもの等のポリマーフィルムが挙げられる。発泡体バッキングを使用してもよい。その他の基材の例としては、これらに限定されるものではないが、ステンレス鋼等の金属、金属又は金属酸化物で被覆したポリマー材料、金属又は金属酸化物で被覆したガラス等が挙げられる。
本開示の感圧接着剤は、ラベル、テープ、標識、カバー、マーキングの印、表示構成要素、タッチパネル等の、従来から知られている任意の物品に使用することができる。微細複製された表面を有する可撓性バッキング材料もまた、企図される。
感圧接着剤は、特定の基材に対して適宜改変した任意の従来のコーティング法を用い、基材上に被覆/適用することができる。例えば、感圧接着剤は、ローラーコーティング、フローコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、ナイフコーティング、及びダイコーティング等の方法により、様々な固体基材に適用/被覆することができる。これらの様々なコーティング法により、感圧接着剤を基材上に厚さを変えて定置することが可能となり、アセンブリのより広範な使用が可能となる。
感圧接着剤を適用することができる基材は、特定の用途に応じて選択される。例えば、感圧接着剤は、特にその第2及び/又は第3の感圧接着剤層によって、シート製品(例えば、装飾用グラフィック及び反射性製品)、ラベル素材、及びテープバッキングに適用することができる。更に、感圧接着剤は、更に別の基材又は対象物をパネル又は窓に取り付けることができるように、金属パネル(例えば、自動車パネル)又はガラス窓等の他の基材上に直接適用してもよい。したがって、本開示の感圧接着剤は、自動車製造業(例えば、外装品又はウェザーストリップの取り付け用)、建設業、ソーラーパネル建設業、又は電子産業(例えば、モバイルハンドヘルド式デバイスにおけるディスプレイの固定用)において特定の用途を見出すことができる。
そのため、本開示による感圧接着剤は、(産業)内装用途に特に好適であり、より詳細には建設市場用途、自動車用途又は電子用途に好適である。自動車用途に関し、本明細書に記載の感圧接着剤は、例えば、自動車本体の側面成形、ウェザーストリップ、又はバックミラーを接着するための特定の用途を見出すことができる。本開示による感圧接着剤は、特に電着下塗り又は顔料下塗りを含む自動車塗料系によって塗装される基材/パネルへの接着に、また、特にクリアコート表面、とりわけ自動車両用のクリアコートへの接着に好適である。本開示による感圧接着剤は、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はこれらのコポリマー等の低エネルギー表面への接着に特に好適である。
したがって、本開示は、上記の感圧接着剤又は多層感圧接着剤アセンブリの、産業用途、好ましくは内装(産業)用途、より好ましくは建設市場用途、自動車用途、又は電子用途のための使用を更に対象とする。
いくつかの態様において、本開示による感圧接着剤又は多層感圧接着剤アセンブリは、低表面エネルギー(LSE)基材に対する強力な凝縮結合を形成するのに特に有用であり得る。
しかしながら、これらの接着剤の使用は、低表面エネルギー基材に限定されるものではない。感圧接着剤及び多層感圧接着剤アセンブリは、いくつかの態様において、驚くべきことに、中表面エネルギー(MSE)基材に良好に接着する。このような材料としては、ポリアミド6(PA6)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、PC/ABSブレンド、PC、PVC、PA、ポリウレタン、PUR、TPE、POM、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、クリアコート表面、特に自動車等の車両のクリアコート又は工業用途用の被覆表面、及び繊維強化プラスチックのような複合材料が挙げられる。
したがって、本開示は、上記の感圧接着剤発泡体又は感圧接着剤アセンブリの、低表面エネルギー基材及び/又は中表面エネルギー基材への接合のための使用を更に対象とする。
感圧接着剤は感圧接着剤転写テープの形態で提供することもできるが、その場合、感圧接着剤アセンブリの少なくとも1つの層は、後に永久基材に貼付するために、剥離ライナー上に配置される。感圧接着剤アセンブリは、片面被覆テープ又は両面被覆テープとして提供することもでき、その場合、感圧接着剤アセンブリは、恒久的なバッキング上に配置される。バッキングは、プラスチック(例えば、二軸延伸ポリプロピレンを含むポリプロピレン、ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリウレタンアクリレート等のポリオレフィン、ポリエチレンテレテフタレート等のポリエステル)、不織材(例えば、紙、布、不織スクリム)、金属箔、発泡体(例えば、ポリアクリリック、ポリエチレン、ポリウレタン、ネオプレン)等から作製することができる。ポリマー発泡体は、3M Co.,Voltek,Sekisui、及びその他の様々な供給元より市販されている。片面テープについては、感圧接着剤は、バッキング材の一表面に適用され、また、好適な剥離材が、バッキング材の反対側の表面に適用される。剥離材は既知であり、例えば、シリコーン、ポリオレフィン、ポリカーバメート、ポリアクリリック等が挙げられる。両面被覆テープでは、感圧接着剤は、バッキング材料の一表面に適用され、また、感圧接着剤は、バッキング材料の反対側の表面に配置される。両面被覆テープは、剥離ライナー上に保持されることが多い。
感圧接着剤又は多層感圧接着剤アセンブリである、様々な品目が提供される。
品目1は感圧接着剤であって、
a)式Qn−Y
[式中、
(i)Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して式G−R(式中、各Rは、共役ジエン重合体、共役ジエン重合体の水素添加誘導体、又はこれらの任意の組み合わせを含むゴム状ブロックであり、かつ各Gは、モノビニル芳香族モノマー重合体を含むガラス状ブロックである)を有し、
(ii)nは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、かつ
(iii)Yは多官能性カップリング剤の残基である]
の多腕ブロックコポリマーと、
b)重量平均分子量Mwが少なくとも10,000g/molであるポリマー可塑剤と、
c)実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、揮発性有機化合物(VOC)値が、1000ppm未満である少なくとも1つの炭化水素粘着付与剤と、
d)場合により含まれる、式L−(G)m(式中、Lは、重合オレフィン、共役ジエン重合体、共役ジエン重合体の水素添加誘導体、又はこれらの任意の組み合わせを含むゴム状ブロックであり、かつmは1又は2である)の直鎖状ブロックコポリマーと、を含む。
品目2は品目1に記載の感圧接着剤であって、炭化水素粘着付与剤(複数可)の揮発性有機化合物(VOC)値は、実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、800ppm未満、600ppm未満、400ppm未満、又は200ppm未満である。
品目3は品目1又は2に記載の感圧接着剤であって、炭化水素粘着付与剤(複数可)の揮発性フォギング化合物(FOG)値は、実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、又は500ppm未満である。
品目4は品目1〜3のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、炭化水素粘着付与剤(複数可)の気体放出値は、実験の項に記載のオーブン気体放出試験法に従い重量減少分析により測定した場合に、1重量%未満、0.8重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、又は0.1重量%未満である。
品目5は品目1〜4のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、ポリマー可塑剤の重量平均分子量Mwは少なくとも20,000g/mol、少なくとも30,000g/mol、又は少なくとも50,000g/molである。
品目6は品目1〜5のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、ポリマー可塑剤の重量平均分子量Mwは100,000g/mol以下、90,000g/mol未満、80,000g/mol未満、70,000g/mol未満、60,000g/mol未満、50,000g/mol未満、又は40,000g/mol未満である。
品目7は品目1〜6のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、ポリマー可塑剤の重量平均分子量Mwは30,000g/mol〜80,000g/mol又は30,000g/mol〜60,000g/molからなる。
品目8は品目1〜7のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、ポリマー可塑剤(複数可)の揮発性有機化合物(VOC)値は、実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、400ppm未満、又は200ppm未満である。
品目9は品目1〜8のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、ポリマー可塑剤(複数可)の揮発性フォギング化合物(FOG)値は、実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、2500ppm未満、2000ppm未満、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、又は500ppm未満である。
品目10は品目1〜9のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、ポリマー可塑剤(複数可)の気体放出値は、実験の項に記載のオーブン気体放出試験法に従い重量減少分析により、1重量%未満、0.8重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、又は測定した場合に、0.1重量%未満である。
品目11は品目1〜10のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、ポリマー可塑剤はポリイソブチレン可塑剤である。
品目12は品目1〜11のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、多腕ブロックコポリマーは星型ブロックコポリマーである。
品目13は品目8に記載の感圧接着剤であって、多腕ブロックコポリマーは、多モードで非対称な星型ブロックコポリマーである。
品目14は品目1〜13のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、直鎖状ブロックコポリマーのゴム状ブロックは、イソブチレンか、又はイソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共役ジエンか、が選択されるオレフィンを含む。
品目15は品目1〜14のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、直鎖状ブロックコポリマーのゴム状ブロックは、イソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共役ジエンを含む。
品目16は品目1〜15のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、多腕ブロックコポリマーのゴム状ブロックのうちの少なくとも1つは、イソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共役ジエンを含み、好ましくは、多腕ブロックコポリマーのゴム状ブロックのそれぞれが、イソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共役ジエンを含む。
品目17は品目1〜16のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、直鎖状ブロックコポリマーのガラス状ブロックの少なくとも1つは、スチレン、スチレン相溶性ブレンド、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるモノビニル芳香族モノマーである。
品目18は品目1〜17のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、多腕ブロックコポリマーのガラス状ブロックのうちの少なくとも1つは、スチレン、スチレン相溶性ブレンド、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるモノビニル芳香族モノマーであり、好ましくは、多腕ブロックコポリマーのガラス状ブロックのそれぞれが、スチレン、スチレン相溶性ブレンド、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるモノビニル芳香族モノマーである。
品目19は品目1〜18のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、直鎖状ブロックコポリマーは2つのガラス状ブロックを含む。
品目20は品目1〜19のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、直鎖状ブロックコポリマーは、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソブチレン−スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
品目21は品目1〜20のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、多腕ブロックコポリマーの少なくとも1つの腕は、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、多腕ブロックコポリマーの各腕が、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
品目22は品目1〜21のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、揮発性有機化合物(VOC)値が1000ppm未満である、第1の炭化水素粘着付与剤を含み、第1の炭化水素粘着付与剤のTgは好ましくは少なくとも60℃であり、好ましくは、第1の炭化水素粘着付与剤は主としてゴム状ブロックと相溶性がある。
品目23は品目1〜22のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、揮発性有機化合物(VOC)値が1000ppm未満である、第2の炭化水素粘着付与剤を更に含み、第2の炭化水素粘着付与剤のTgは好ましくは少なくとも60℃であり、好ましくは、第2の炭化水素粘着付与剤は主としてガラス状ブロックと相溶性がある。
品目24は品目22又は23に記載の感圧接着剤であって、第1及び/又は第2の炭化水素粘着付与剤のTgは少なくとも65℃である。
品目25は品目22〜24のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、第1及び/又は第2の炭化水素粘着付与剤の軟化点は少なくとも約115℃、好ましくは少なくとも約120℃である。
品目26は品目22〜25のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、第1の炭化水素粘着付与剤は、重合テルペン、ヘテロ官能性テルペン、クマロン−インデン樹脂、ロジン酸エステル、不均化ロジン酸エステル、水素添加ロジン酸、C5脂肪族樹脂、C9水素添加芳香族樹脂、C5/C9脂肪族/芳香族樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、C5/C9及びジシクロペンタジエン前躯体から生じる水素添加炭化水素樹脂、水素添加スチレンモノマー樹脂、並びにこれらのブレンドからなる群から選択される。
品目27は品目22〜26のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、第2の炭化水素粘着付与剤は、クマロン−インデン樹脂、ロジン酸、ロジン酸エステル、不均化ロジン酸エステル、C9芳香族、スチレン、α−メチルスチレン、純粋なモノマー樹脂、及びC9/C5芳香族変性脂肪族炭化水素、並びにこれらのブレンドからなる群から選択される。
品目28は品目1〜27のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、多腕ブロックコポリマーの腕の数nは3〜5の整数(両端の値を含む)であり、好ましくはnは4である。
品目29は品目1〜28のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、全てのブロックコポリマーの総重量対全ての炭化水素粘着付与剤の総重量の比は、2.4:1〜1:2.4、2:1〜1:2、1.5:1〜1:1.5、1.2:1〜1:1.2、1.15:1〜1:1.15、又は1.1:1〜1:1.1の範囲である。
品目30は品目1〜29のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、ポリマー可塑剤の総量は、感圧接着剤の総重量を基準として重量%で表すと、20重量%以下、18重量%以下、15重量%以下、又は12重量%以下である。
品目31は品目1〜30のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、ポリマー可塑剤の総量は、感圧接着剤の総重量を基準として重量%で表すと、6重量%以上、又は7重量%以上である。
品目32は品目1〜31のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、ポリマー可塑剤の総量は、感圧接着剤の総重量を基準として重量%で表すと、2〜20重量%、4〜15重量%、又は6〜15重量%からなる。
品目33は品目1〜32のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、好ましくは化学線によって、より好ましくは電子線照射によって活性化される架橋性添加剤を更に含む。
品目34は品目33に記載の感圧接着剤であって、架橋性添加剤は、多官能性(メタ)アクリレート化合物の群から選択される。
品目35は品目1〜34のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、多官能性(メタ)アクリレート化合物を更に含み、この多官能性(メタ)アクリレート化合物は、好ましくは少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基、詳細には3つ又は4つの(メタ)アクリロイル基、より詳細には3つの(メタ)アクリロイル基を含む。
品目36は品目1〜35のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、好ましくは化学線によって、より好ましくは電子線照射によって架橋される。
品目37は品目1〜36のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、微小球、膨張性微小球、好ましくはペンタン充填膨張性微小球、膨張微小球、ガス状空隙、ガラスビーズ、ガラス微小球、ガラスバブル、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、いずれの充填材も含まない。
品目38は品目1〜37のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、
a)感圧接着剤の重量を基準として20重量%〜80重量%、20重量%〜70重量%、25重量%〜60重量%、又は25重量%〜50重量%の多腕ブロックコポリマーと、
b)感圧接着剤の重量を基準として20重量%〜70重量%、25重量%〜60重量%、又は25重量%〜50重量%の炭化水素粘着付与剤(複数可)と、
c)感圧接着剤の重量を基準として2重量%〜20重量%、4重量%〜15重量%、又は6重量%〜15重量%のポリマー可塑剤と、
d)場合により含まれる、感圧接着剤の重量を基準として3重量%〜40重量%、5重量%〜30重量%、又は10重量%〜25重量%の直鎖状ブロックコポリマーと、
場合により含まれる、感圧接着剤発泡体の重量を基準として0.1重量%〜10重量%、0.5重量%〜8重量%、1重量%〜6重量%、又は2重量%〜5重量%の架橋性添加剤と、を含み、架橋性添加剤は、好ましくは、多官能性(メタ)アクリレート化合物の群から選択される。
品目39は品目1〜38のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、ホットメルト接着剤である。
品目40は品目1〜39のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、溶媒型接着剤である。
品目41は品目1〜40のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、厚さが1500μm未満、1000μm未満、800μm未満、600μm未満、400μm未満、200μm未満、150μm未満、又は100μm未満の層の形態である。
品目42は品目1〜41のいずれか1つに記載の感圧接着剤であって、20〜1500μm、20〜1000μm、20〜500μm、30〜400μm、30〜250μm、40〜200μm、又は50〜150μmからなる厚さの層の形態である。
品目43は多層感圧接着剤アセンブリであって、品目1〜42のいずれか1つに記載の感圧接着剤と、感圧接着剤に隣接するバッキング層と、を含む。
品目44は品目43に記載の多層感圧接着剤アセンブリであって、第1主面及び第2主面を有するバッキング層と、第1主面に接合された第1の感圧接着剤スキン層と、を含み、第1の感圧接着剤スキン層は、品目1〜42のいずれか1つに記載の感圧接着剤を含む。
品目45は品目44に記載の多層感圧接着剤アセンブリであって、第2主面に接合された第2の感圧接着剤スキン層を更に含む。
品目46は品目45に記載の多層感圧接着剤アセンブリであって、第1の感圧接着剤スキン層と第2の感圧接着剤スキン層とは、同一の接着剤である。
品目47は品目46に記載の多層感圧接着剤アセンブリであって、第1の感圧接着剤スキン層及び第2の感圧接着剤スキン層は、品目1〜42のいずれか1つに記載の感圧接着剤をそれぞれ独立して含む。
品目48は品目45〜47のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリであって、スキン/コア/スキンの多層感圧接着剤アセンブリの形態であり、バッキング層は多層感圧接着剤アセンブリのコア層である。
品目49は品目43〜48のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリであって、バッキングは発泡体バッキングである。
品目50は品目43〜49のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリであって、バッキング層は、ゴム系エラストマー材料、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリビニル、ポリビニルピロリドン、及びこれらの任意の組み合わせ、コポリマー、又は混合物からなる群から選択されるポリマー基材を含む。
品目51は品目50に記載の多層感圧接着剤アセンブリであって、バッキング層は、ゴム系エラストマー材料からなる群から選択されるポリマー基材を含む。
品目52は品目51に記載の多層感圧接着剤アセンブリであって、ゴム系エラストマー材料は、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマー材料、非熱可塑性エラストマー材料、熱可塑性炭化水素エラストマー材料、非熱可塑性炭化水素エラストマー材料、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
品目53は品目51又は52に記載の多層感圧接着剤アセンブリであって、ゴム系エラストマー材料は、ハロゲン化ブチルゴム、特にブロモブチルゴム及びクロロブチルゴム、ハロゲン化イソブチレン−イソプレンコポリマー、ブロモ−イソブチレン−イソプレンコポリマー、クロロ−イソブチレン−イソプレンコポリマー、ブロックコポリマー、オレフィンブロックコポリマー、ブチルゴム、合成ポリイソプレン、エチレン−オクチレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム、ポリイソブチレン、ポリ(α−オレフィン)、エチレン−α−オレフィンコポリマー、エチレン−α−オレフィンブロックコポリマー、スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−ブタジエンランダムコポリマー、オレフィンポリマー、オレフィンコポリマー、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
品目54は品目51〜53のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリであって、ゴム系エラストマー材料は、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
品目55は品目51〜53のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリであって、ゴム系エラストマー材料は、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソブチレン−スチレンブロックコポリマー、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
品目56は品目51〜55のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリであって、バッキング層は、好ましくは、微小球、膨張性微小球、好ましくはペンタン充填膨張性微小球、膨張微小球、ガス状空隙、ガラスビーズ、ガラス微小球、ガラスバブル、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から、より好ましくは、膨張性微小球、ガラスバブル、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される、少なくとも1つの充填材を更に含む。
品目57は品目56に記載の多層感圧接着剤アセンブリであって、少なくとも1つの充填材は、膨張性微小球、膨張微小球、ガラスバブル、及びこれらの任意の組み合わせ又は混合物からなる群から選択される。
品目58は品目1〜57のいずれか1つに記載の感圧接着剤又は多層感圧接着剤アセンブリであって、揮発性有機化合物(VOC)値が、実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、2000ppm未満、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、500ppm未満、400ppm未満、又は300ppm未満である。
品目59は品目1〜58のいずれか1つに記載の感圧接着剤又は多層感圧接着剤アセンブリであって、揮発性有機化合物(VOC)値が、試験法VDA278に従い熱脱離分析により測定した場合に、2000ppm未満、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、500ppm未満、400ppm未満、又は300ppm未満である。
品目60は品目1〜59のいずれか1つに記載の感圧接着剤又は多層感圧接着剤アセンブリであって、揮発性フォギング化合物(FOG)値が、実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、4000ppm未満、3000ppm未満、2500ppm未満、2000ppm未満、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、500ppm未満、又は400ppm未満である。
品目61は品目1〜60のいずれか1つに記載の感圧接着剤又は多層感圧接着剤アセンブリであって、揮発性フォギング化合物(FOG)値が、試験法VDA278に従い熱脱離分析により測定した場合に、4000ppm未満、3000ppm未満、2500ppm未満、2000ppm未満、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、500ppm未満、又は400ppm未満である。
品目62は品目1〜61のいずれか1つに記載の感圧接着剤又は多層感圧接着剤アセンブリであって、静的剪断強度値は、実験の項に記載の静的剪断力試験法に従い70℃で測定した場合に、2000分超、4000分超、6000分超、8000分超、又は10000分超である。
品目63は品目1〜62のいずれか1つに記載の感圧接着剤又は多層感圧接着剤アセンブリであって、静的剪断強度値は、実験の項に記載の静的剪断力試験法に従い90℃で測定した場合に、2000分超、4000分超、6000分超、8000分超、又は10000分超である。
項目64は品目1〜63のいずれか1つに記載の感圧接着剤(又は多層感圧接着剤アセンブリ)の製造方法であって、
a)多腕ブロックコポリマーと、ポリマー可塑剤と、実験の項に記載の重量減少試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、揮発性有機化合物(VOC)値が、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、400ppm未満、又は200ppm未満である少なくとも1つの炭化水素粘着付与剤と、場合により配合される、直鎖状ブロックコポリマーと、場合により配合される、好ましくは多官能性(メタ)アクリレート化合物の群から選択される架橋剤と、を配合して感圧接着剤配合物を形成する工程と、
b)場合により実施される、感圧接着剤配合物を、好ましくは化学線によって、より好ましくは電子線照射によって架橋する工程と、を含む。
項目65は項目64に記載の方法であって、無溶媒法である。
項目66は項目64又は65に記載の方法であって、ホットメルト加工工程、好ましくは連続ホットメルト混合処理工程、より好ましくはホットメルト押出加工工程、特に二軸ホットメルト押出加工工程を含む。
項目67は項目64〜66のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリを製造するための方法であって、バッキング層をホットメルト押出する工程を含み、バッキング層は、好ましくは発泡体バッキングである。
項目68は項目67に記載の方法であって、第1の感圧接着剤スキン層は、バッキング層をホットメルト押出した直後に、バッキング層の第1主面に接合される。
項目69は項目68に記載の方法であって、第2の感圧接着剤スキン層は、バッキング層をホットメルト押出した直後に、また、好ましくは、第1の感圧接着剤スキン層がバッキング層の第1主面に接合される工程と同時に、バッキング層の第2主面に接合される。
項目70は、産業用途、好ましくは内装用途、より好ましくは建設市場用途、自動車用途、又は電子用途のための、品目1〜63のいずれか1つに記載の感圧接着剤又は多層感圧接着剤アセンブリの使用である。
項目71は、低表面エネルギー基材及び/又は中表面エネルギー基材への接合のための、品目1〜63のいずれか1つに記載の感圧接着剤又は多層感圧接着剤アセンブリの使用である。
本開示は、下記の実施例により更に説明される。これらの実施例は単に例示目的のものに過ぎず、添付の「特許請求の範囲」の限定を意図するものではない。
適用される試験方法:
TGA試験法
TGA(熱重量分析)測定は、Texas InstrumentsのQ5000IR装置によって実施する。試料を白金皿に秤取し、オートサンプラーによって装置のオーブンに定置する。オーブンの窒素流量は25mL/分で、天秤の窒素流量は10mL/分である。温度は30℃で平衡化し、15分間保持する。その後、60℃/分の勾配で90℃まで昇温する。次に、90℃を30分間保持する。次の工程で、60℃/分の勾配で120℃まで昇温する。120℃を60分間保持する。重量減少を90℃で30分間(VOC分析)、また120℃で60分間(FOG分析)記録する。
10℃/分の勾配で800℃まで昇温し、試験を終了する。次に、温度を600℃で平衡化し、オーブンを空気でパージし、10℃/分の勾配で900℃まで昇温する。
オーブン気体放出試験法
原材料試料の気体放出の測定は、選択した原材料10gをアルミニウムカップに0.1mgの精度で秤取することによって、実施する。この工程の前に、アルミニウムカップを0.1mgの範囲の精度で予め秤量しておく。秤取した試験試料を強制エアオーブンに120℃で2時間、又は160℃で2時間定置する。試料をオーブンから取り出し、周囲温度(23℃+/−2℃)で30分間放冷した後、充填したアルミニウムカップを再度秤量する。オーブン乾燥前後の試料の重量減少を計算し、%単位で記録する。
VDA試験法278による有機物放散の熱脱離分析
VDA試験法278は、自動車の内装の製造に使用される非金属部品からの有機物放散の測定のために使用される試験法である(VDAは、「Verband der Automobilindustrie」、the German Association of Automobilistsの略である)。試験法により、放散された有機化合物は以下の2つのグループに分類される。
VOC値−最大n−C25の揮発性及び半揮発性化合物の合計、並びに
FOG値−n−C14〜n−C32の半揮発性及び重化合物の合計。
VOC値及びFOG値の測定のため、接着剤試料30mg+/−5mgを空のガラス試料管に直接秤取する。試料から揮発性及び半揮発性有機化合物をガス流に抽出し、二次トラップに再度集めた後、GCに注入して分析する。自動加熱脱着装置(Markes International Ultra−UNITY system)を、このようにしてVDA278試験に使用する。
試験法は、2つの抽出段階を含む。
1)VOC分析。試料から90℃で30分間脱着させて、最大n−C25のVOCを抽出させることを伴う。この後、試料1g当たりμgトルエン当量として各化合物の半定量分析を行う。
2)FOG分析。試料から120℃で60分間脱着させて、n−C14〜n−C32の範囲の半揮発性化合物を抽出させることを伴う。この後、試料1g当たりμgヘキサデカン当量として各化合物の半定量分析を行う。
表記のVOC値は、試料当たり2回の測定値の平均である。VDA278試験法に記載のとおり、測定値のより高い値を結果として示す。FOG値を求めるために、VOC分析後、脱着管に2番目の試料を保持し、120℃まで60分間、再加熱する。
300mm/分での90°剥離試験(FINAT Test Method No.2,8th edition 2009に従う)
単層感圧接着剤フィルムの90°剥離試験
試験に先立ち、感圧接着剤フィルムを、厚さ50μmのPETバッキング(Hostaphan RN 50として市販)上に積層する。このようにして得られる感圧接着剤の細片を感圧接着剤フィルム試料材料から縦方向に切り出し、幅12.7mm及び長さ120mm超の試験細片を得る。
試験試料の調製のため、ライナーを除去した後、各PSAアセンブリ細片の接着剤被覆側を、清潔な試験パネル上に、接着剤側を下にして指で軽く押して定置する。次に、試験試料を、標準FINAT試験ローラー(重量2kg)によって速度約10mm/秒で2回回転させ、接着剤の塊と表面との間で密着させる。感圧接着剤アセンブリの細片を試験パネルに貼付した後、試験試料を、試験に先立ち、周囲室温(23℃+/−2℃、相対湿度50%+/−5%)で24時間放置する。
剥離試験のため、試験試料を、最初の工程で、Zwick引張試験機(Model Z020、Zwick/Roell GmbH,Ulm,Germanyより市販)の下方可動掴み具内に固定する。感圧接着剤フィルムの細片を90°の角度で折り返し、その自由端を、90°測定用に一般に利用される構成の引張試験機の上方掴み具内に把持する。引張試験機は、300mm/分の掴み具分離速度に設定する。試験結果は、12.7mm当たりのニュートン、すなわち0.5インチ当たりのニュートン(N/12.7mm、すなわちN/0.5in)の単位で表す。引用される剥離値は、2回の90°剥離測定値の平均である。
多層感圧接着剤アセンブリの90°剥離
本発明による、幅10mm及び長さ120mm超の多層感圧接着剤アセンブリの細片を、試料材料から縦方向に切り取る。
試験サンプル調製のため、ライナーをまず接着剤の片面から除去し、次の寸法22×1.6cm、厚さ0.13mmのアルミニウム細片上に定置する。次に、ライナーを除去した後、各PSAアセンブリの細片の接着剤被覆側を、清潔な試験パネル上に、接着剤側を下にして指で軽く押して定置する。次に、試験試料を、標準FINAT試験ローラー(重量6.8kg)によって速度約10mm/秒で2回回転させ、接着剤の塊と表面との間で密着させる。感圧接着剤アセンブリの細片を試験パネルに貼付した後、試験試料を、試験に先立ち、周囲室温(23℃+/−2℃、相対湿度50%+/−5%)で24時間放置する。
剥離試験のため、試験試料を、最初の工程で、Zwick引張試験機(Model Z020、Zwick/Roell GmbH,Ulm,Germanyより市販)の下方可動掴み具内に固定する。多層感圧接着剤フィルムの細片を90°の角度で折り返し、その自由端を、90°測定用に一般に利用される構成の引張試験機の上方掴み具内に把持する。引張試験機は、300mm/分の掴み具分離速度に設定する。試験結果は10mm当たりのニュートン(N/10mm)の単位で得て、単層感圧接着剤構成体との比較のため、半インチ当たりのニュートン(N/0.5in、すなわちN/12.7mm)の単位に換算する。提示する剥離値は、2回の90°剥離測定値の平均である。
室温、500gによる静的剪断試験(FINAT Test Method 8,8th edition 2009に従う)
試験は周囲室温(23℃+/−2℃及び相対湿度50%+/−5%)で実施する。本開示による感圧接着剤フィルムを、厚さ50μmのPETバッキング(Hostaphan RN 50として市販)上に積層する。試験片を、試料材料から13mm×175mmの寸法に切り出す。次にライナーを除去し、接着剤の細片をCeramic Clear 5(CC5)プレートに12.7×25.4mm重ね合わせて接着する。規定の重量を保持するため、試験片の端にループを作る。次に、試験試料を、標準FINAT試験ローラー(重量2kg)によって速度約10mm/秒で4回回転させ、接着剤の塊と表面との間で密着させる。感圧接着剤アセンブリの細片を試験パネルに貼付した後、試験試料を、試験に先立ち、周囲室温(23℃+/−2℃、相対湿度50%+/−5%)で24時間放置する。
次に、各試料を、自動時間記録計を備える、垂直の剪断スタンド(+2°の配置)に定置する。500gの重りをループに掛ける。破損までの時間を測定し、分単位で記録する。目標値は10,000分である。各構成体につき2つの試料を測定する。記録時間「>10000」は、接着剤が10,000分後に破損しなかったことを示す。
70℃又は90℃、500gによる静的剪断試験(FINAT Test Method 8,8th edition 2009に従う)
試験は70℃又は90℃で実施する。感圧接着剤フィルムを、厚さ50μmのPETバッキング(Hostaphan RN 50として市販)上に積層する。試験片を、試料材料から13mm×175mmの寸法に切り出す。次にライナーを除去し、接着剤の細片をCeramic Clear 5(CC5)プレートに12.7×25.4mm重ね合わせて接着する。規定の重量を保持するため、試験片の端にループを作る。次に、試験試料を、標準FINAT試験ローラー(重量2kg)によって速度約10mm/秒で4回回転させ、接着剤の塊と表面との間で密着させる。感圧接着剤アセンブリの細片を試験パネルに貼付した後、試験試料を、試験に先立ち、周囲室温(23℃+/−2℃、相対湿度50%+/−5%)で24時間放置する。
次に、各試料を、自動時間記録計を備える、垂直の剪断スタンド(+2°の配置)に70℃又は90℃で定置する。オーブン中に10分放置した後、500gの重りをループに掛ける。破損までの時間を測定し、分単位で記録する。目標値は10,000分である。各構成体につき2つの試料を測定する。記録時間「>10000」は、接着剤が10,000分後に破損しなかったことを示す。
試験に使用される試験基材:
本開示による多層感圧接着剤及びアセンブリを、下記の基材に対するこれらの接着剤特性に関して試験する。
PP:ポリプロピレンプレート(「Kunststoffpruefkoerper PP nature」;Fabrikat Simona HWST;150cm×50×2mm),Rocholl GmbH,Aglatershausen,Germanyより市販。
試験に先立ち、PP基材を次のように洗浄する。PPパネルから、まず軽く力を加えながら乾燥したティッシュで表面のあらゆる残留物/ワックス状の化合物を除去し、次に、イソプロピルアルコール:蒸留水の混液(1:1)で洗浄し、ティッシュで乾燥させる。
接着剤試験を、下記の自動車用クリアコートパネル上で更に実施する。
BASF Coatingsより入手可能なUreGlossクリアコート被覆パネル
PPG Industriesより入手可能なCeramiClear5(「CC5」)被覆パネル
上に列挙した自動車用クリアコートとしては、アクリル樹脂、及び単独あるいはヒドロキシ官能基若しくはグリシジル官能基又はカルバミン酸残基を含むコポリマーとの混合物で使用されるポリエステル、又は水酸基、遊離酸基及び更なるコモノマー(例えば、スチレン)を有するアクリル酸とメタクリル酸エステルとのコポリマーが挙げられる。パネルを、90°剥離及び剪断試験に先立ち、必要な寸法に切断する。試験前に、自動車用のクリアコートで被覆したパネルを、イソプロピルアルコールと蒸留水との1:1の混液で洗浄する。次いで、試験パネルを紙ティッシュで拭く。
使用される原材料:
使用される原材料及び市販の接着テープを、下記の表1にまとめる。
低VOCに関する原材料の選別:
気体放出挙動及び熱安定性に関して原材料を事前に選別するため、前述の試験方法の項に記載のオーブン気体放出試験を、120℃及び160℃で実施する。結果を下記の表2に示す。
表2において、粘着付与剤の炭化水素樹脂Escorez 5615及びEscorez 1304が、120℃において非常に低い気体放出を、また、160℃において非常に良好な熱安定性を示す。対照的に、Regalite R9100及びR1090は、120℃において、より高い気体放出挙動を、160℃において、顕著な重量減少を示す。160℃における重量減少は、原材料の熱安定性、及び原材料がホットメルト型のプロセスにおいて高温で加工される際の挙動について、良好な指標を提供する。
可塑剤に関しては、Oppanol B10N及びB12Nの両方が、液状炭化水素樹脂Piccotac 1020Eと比較すると、非常に低い気体放出挙動と、160℃において優れた熱安定性とを示す。これらの知見に基づき、低VOC挙動に関する予備選択を想定することができる。
向上した低VOC挙動に関する原材料の予備選別の別の方法は、試験方法の項に前述したTGA(熱重量分析)測定によるものである。TGA測定の結果は下記の表3に示す。値は2回の測定の平均である。これらにはまた、既存の市販のアクリル系接着剤に基づく発泡体テープとの比較も含まれる。
表3より、重量平均分子量Mwに応じたポリマー可塑剤の気体放出の違いを、更に見ることができる。51000g/molのポリイソブチレン可塑剤Oppanol B12Nの気体放出は90及び120℃において非常に低いのに対し、重量平均分子量Mwがそれぞれ1600及び4140g/molのポリイソブチレンであるGlissopal 1000及びV1500は、非常に高い量の揮発性有機化合物を有する。
中間ブロック粘着付与剤のなかでは、TGA気体放出試験によると、例えばEscorez 5615及びEscorez 5340が、Regalite 1125、Regalite 9100、又はRegalite 1090よりも、はるかに低い気体放出値を有し、より熱安定であることが明らかである。
末端ブロック粘着付与剤のなかでは、Novarez C140の気体放出挙動がNovares C120よりも低い。その他の非常に有益な低VOC末端ブロック粘着付与剤は、Novares T140M、Plastolyn 290LV及びKristalex 5140LVである。
現在市販されているアクリル系PSA発泡体テープは、TGA試験法で分析すると、高レベルのVOC値及びFog値を呈する。アクリル系PSA発泡体テープACX 7065の重量減少は、90℃において30分後に1974ppmであり、120℃において更に60分後の重量減少は5732ppmである。
オーブン気体放出試験の結果をTGA試験結果と組み合わせることにより、低VOC多層感圧接着剤及びアセンブリ用原材料の好ましい選択が明確に示される。
溶媒からの感圧接着剤(「PSA」)の調製:
表4に後で示す原材料の質量(合計50.675g)の半分をガラスジャーに秤取する。次いでトルエン75gを加える。ジャーを金属の蓋で覆い、回転ロール上に定置する。次いで混合物を2日間、全ての構成成分が溶解するまで回転する。
溶液を、ナイフコータを使用し、シリコーン処理した紙のライナー上に被覆する。湿潤状態のフィルムは300μmの厚さである。トルエンを、室温(23℃+/−2℃、相対湿度50%+/−5%)で20分間、フィルムから蒸発させてから、PSA被覆を110℃で3分間アニールする。
PETバッキング上への感圧接着剤テープの積層
接着性試験を実施するため、感圧接着剤層を、厚さ50μmのPETバッキング(Hostaphan RN 50として市販)上に積層し、PETバッキングを含むPSAテープを得る。
電子線実験
溶媒被覆から得られたPSAテープをまた、電子線で架橋する。PSAテープの接着剤側を、ここで、100g/cm2でシリコーン処理したポリエチレンライナーによって覆う。次いで、構成体を、ライナーを介し、加速電圧245kV及び線量75kGyの電子線で照射する。窒素間隙は30mmに調整する。
表2又は表3のPSA原材料の気体放出値から、低VOC感圧接着剤を作製するための適切な原材料の組み合わせを選択することができる。比較例C1は直鎖状SBSポリマーKraton D1102に基づく。Ex.1は、分枝状SBSポリマーであるKraton D1116に基づく。感圧接着剤のEx.2〜Ex.7は、全て星形SISポリマーであるKraton D1340に基づく。直鎖状トリブロックSISコポリマーであるKraton D1161は、Ex.5〜Ex.7において星形SISポリマーの直鎖状SISポリマーとのブレンドを含むSIS系接着剤を提供するため、追加的に使用する。このようにして、Ex.2〜Ex.7に対し、Escorez 5615が中間ブロック粘着付与剤として、Oppanol B12N(PIB)が低気体放出ポリマー可塑剤として選択され、末端ブロック粘着付与剤は除外された。Ex.8において、星形SISブロックコポリマーKraton D1340を、Escorez 5615(中間ブロック粘着付与剤)とPlastolyn 290LV(末端ブロック粘着付与剤)との低気体放出粘着付与剤のブレンド、及び低気体放出可塑剤Oppanol B12Nと配合する。最後に、Ex.14は、E5615、Plastolyn 290LV、及びOppanol B12Nを配合された、星形SIS Kraton D1340及び星形SBS Kraton D1116の組み合わせに基づくPSA構成体について記述する。比較例C2は、星形Kraton D1340が直鎖状SISポリマーであるKraton D1161に取り替えられていることを除き、組成がEx.8と同一である。Irganox 1010を抗酸化剤として全ての実施例に加える。
ホットメルトプロセスによる感圧接着剤(「PSA」)の調製及びVDA 278試験結果
VOC分析及びFOG分析用に、ホットメルト押出試料(Ex.9〜Ex.11)及び1つの比較例C3を調製する。配合を下記の表5に列挙する。感圧接着剤を二軸押出機で押出し、ロータリーロッドダイを使用して被覆し、シリコーン処理した剥離紙とする。二軸押出機はWerner & Pfleiderer(Stuttgart,Germany)より入手可能な共回転式ZSK25であり、11のヒートゾーンを有し、スクリューの直径は25mm、L/D(長さ/直径)比は46である。Ex.9の押出機の温度特性及び押出条件を下記の表6に、Ex.10については表7に、Ex.11については表8に、また比較例C3については表9に記載する。
上記の表5に列挙したアクリレートポリマーはEx.11及びC3に使用し、イソオクチルアクリレート(IOA)45部、ブチルアクリレート(BA)45部、アクリル酸(AA)10部、IRGACURE 651 0.15部、及びイソオクチルチオグリコレート(IOTG)0.06部を混合して調製する。ディスクリートフィルムパッケージ(Discreet film packages)を、包装フィルム(CT Film,Dallas,TexasよりVA−24 Filmとして販売されている厚さ0.0635mmのエチレンビニルアセテートコポリマーフィルム)から形成する。アクリレート組成物を、寸法が約10センチメートル(cm)×5cm×厚さ0.5cmのフィルムパッケージ内に密閉する。約21℃〜約32℃に維持した水浴中に浸漬しながら、パッケージを、強度約3.5ミリワット/平方センチメートル(mW/sq cm)及び総エネルギー約1680ミリジュール/平方センチメートル(mJ/sq cm)の紫外線(UV)に曝露する。包装の形成及び硬化方法は、米国特許第5,804,610号の実施例1に記載されている。
Ex.9については、Kraton D1340、Kraton D1161、及びIrganox 1010をタンブルミキサー中でブレンドし、ブレンド1を得る。次いでブレンド1を二軸押出機のゾーンZ1に、Brabenderの重量減少フィーダーを使用し、スループット2.129kg/時で供給する。炭化水素粘着付与剤Escorez 5615もまた、Brabenderの重量スクリューフィーダーを使用し、スループット2.037kg/時でゾーンZ1に供給する。Oppanol B12Nを、20Lドラムアンローダー(Robatech RMC20)を使用し、スループット0.340kg/時でゾーンZ7に供給する。押出機のスクリュー回転数は、300rpmに保つ。押出機とダイとの間で、接着剤溶融物を、歯車ポンプ(165℃)によって計量し、押出機とコーティングダイ(185℃)とを接合する加熱したホース(170℃)を通して送る。感圧接着剤Ex.9の厚さは約90μmである。
Ex.10については、Kraton D1340及びIrganox1010をタンブルミキサー中でブレンドし、ブレンド2を得る。次いでブレンド2を二軸押出機のゾーンZ2に、Brabenderの重量減少フィーダーを使用して供給する。炭化水素粘着付与剤Escorez 5615もまた、Brabenderの重量スクリューフィーダーを使用し、ゾーンZ2に供給する。Oppanol B12Nを、20Lドラムアンローダー(Robatech RMC20)を使用してゾーンZ6に供給する。38mbarの真空を、真空ポートを備えたゾーン10に適用する。押出機のスクリュー回転数は、450rpmに設定する。総スループットは10kg/時である。押出機とダイとの間で、接着剤溶融物を、歯車ポンプ(165℃)によって計量し、押出機とコーティングダイ(185℃)とを接合する加熱したホース(170℃)を通して送る。
Ex.11については、Kraton D1340、Kraton D1161、Irganox1010、及びCarbon Black MBをタンブルミキサー中でブレンドし、ブレンド3を得る。ブレンド3を、二軸押出機のゾーンZ1に、Lindenフィーダーを使用し、スループット2.361kg/時で供給する。粘着付与剤ブレンド4(Escorez 5615及びNovares C140)を、振動式フィーダー(K−TronのK−SFS−24)及びWerner & Pfleidererのサイドスタッファーを使用し、スループット2.104kg/時でゾーンZ3に加える。IOA/BA/AAが45/45/10のアクリレートポリマーを、単軸押出機を使用し、ゾーンZ5に供給する。低気体放出可塑剤Oppanol B12Nを、20Lドラムアンローダー(Robatech RMC20)を使用し、スループット0.368kg/時でゾーンZ7に供給する。二軸押出機のスクリュー速度は、300rpmである。押出機とダイとの間で、接着剤溶融物を、歯車ポンプ(175℃)によって計量し、押出機とコーティングダイ(175℃)とを接合する加熱したホース(175℃)を通して送る。感圧接着剤の厚さは約90μmである。
ホットメルト感圧接着剤の比較例C3は、多腕ブロックコポリマーKraton D1340、直鎖状ブロックコポリマーKraton D1161、高気体放出中間ブロック粘着付与剤Regalite 1125、高気体放出の第2のインデンクマロン粘着付与剤Novares C120、高気体放出鉱油可塑剤Nyplast 222B、及びいくつかの添加剤(Irganox 1010、アクリレートポリマー(45/45/10 2−EHA/BA/AA)、カーボンブラックマスターバッチ)からなる。
比較例C3の作製には、Kraton D1340、Kraton D1161、Irganox1010、及びCarbon Black MBをタンブルミキサー中でブレンドし、ブレンド5を得る。ブレンド5を、二軸押出機のゾーンZ1に、Lindenフィーダーを使用し、スループット2.361kg/時で供給する。粘着付与剤ブレンド6(Regalite 1125及びNovares C120)を、振動式フィーダー(K−TronのK−SFS−24)及びWerner & Pfleidererのサイドスタッファーを使用し、スループット2.104kg/時でゾーンZ3に加える。IOA/BA/AAが45/45/10のアクリレートポリマーを、単軸押出機を使用し、ゾーンZ5に供給する。鉱油Nyplast 222Bを、Dynatecの歯車ポンプによって加える。二軸押出機のスクリュー速度は、300rpmに設定する。押出機とダイとの間で、接着剤溶融物を、歯車ポンプ(175℃)によって計量し、押出機とコーティングダイ(175℃)とを接合する加熱したホース(175℃)を通して送る。感圧接着剤比較例C3の厚さは約90μmである。
Ex.9〜Ex.11及び比較例C3のVOC濃度及びFog濃度をVDA 278に従って測定し、下記の表10にまとめる。
Ex.9〜Ex.11のVDA 278試験結果によると、C3は、Nyplast 222B、中間ブロック粘着付与剤Regalite 1125、及び末端ブロック粘着付与剤Novares C120の使用の結果、VOC値及びFOG値の特に強い増加をもたらす。これらの原材料は、低VOC原材料選別において、既に高いTGA重量減少値を示している。
個々の層のホットメルト加工及び後のこれらの積層による多層感圧接着剤(「PSA」)アセンブリの調製
本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、発泡体層と、発泡体層の両側の面に第1及び/又は第2の感圧接着剤層を有する。
本開示による多層PSAアセンブリで使用するための第1及び/又は第2の感圧層(「スキン層」)用に選択された配合は、上記のEx.11である。
本開示によるPSAアセンブリを作製するため、発泡体層もまた作製する。発泡体層の配合を下記の表11に示す。これらはまた、11のヒートゾーンを有し、L/D(長さ/直径)比が46の25mm共回転式二軸押出機(Werner& Pfleiderer,Stuttgart,GermanyのZSK25)中で配合する。
発泡体1及び発泡体2の調製のため、スクリュー速度を350rpmに設定する。Kraton D1340をIrganox 1010とタンブルミキサー中でブレンドし、ブレンド9を得る。次いでブレンド9を二軸押出機のゾーンZ1に、ロスインウェイトフィーダー(K−Tron)を使用し、スループット2.16kg/時で供給する。炭化水素樹脂粘着付与剤Escorez 5615もまた、ゾーンZ1に、振動式フィーダー(K−TronのK−SFS−24)を使用し、スループット3.00kg/時で加える。次に、可塑剤Oppanol B12NをゾーンZ4に、20Lドラムアンローダー(Robatch RMC20)を使用し、スループット0.90kg/時で供給する。膨張性微小球FN100MDをゾーンZ9に、ロスインウェイト二軸スクリューフィーダー(BrabenderのMiniTwin)を使用し、スループット180g/時で加える。ガラスバブルはゾーンZ8に、容量二軸スクリューフィーダー(K−TronのKT20)を使用し、360g/時で、発泡体2に対して添加する。膨張性微小球は押出機のスクリューによって直ちに運ばれ、押出プロセス末端のロータリーロッドダイを通過した後でのみ膨張することができ、これによって発泡体層が形成される。
押出機とダイとの間で、接着剤溶融物を、歯車ポンプ(150℃)によって計量し、押出機とコーティングダイ(160℃)とを接合する加熱したホース(150℃)を通して送る。
発泡体層の温度特性及び押出条件を下記の表12に列挙する。
下記の表13に、第1及び/又は第2の感圧接着剤層(両方ともスキン層Ex.11)が、最初の工程で、選択された発泡体層の両側の面に積層される、2つの積層3層感圧接着剤アセンブリの構造を示す。これらの積層3層PSAアセンブリは、次いで両側を、2面がシリコーンで被覆されたポリエチレン剥離ライナーで覆う。次いで、試料に、剥離ライナーを介して両側から、加速電圧280kV下、電子線の線量100kGyで照射する。
Ex.12(100kGy)及び比較例ACX 7065のVOC濃度及びFog濃度をVDA 278に従って測定し、下記の表14にまとめる。本開示の多層PSA構成体は非常に低いVOC値及びFog値を有する。対照的に、市販のアクリル比較例ACX 7065は非常に高いVOC値及びFog値を有する。
感圧接着剤及び多層感圧接着剤アセンブリの機械的試験結果
室温(RT)における90°剥離試験
実施例の室温における90°剥離試験の結果を下記の表15に示す。
70℃及び90℃における静的剪断力試験
静的剪断力試験の結果を下記の表16に列挙する。電子線架橋された実施例は、選択した線量と共に括弧内に示す。全ての電子線架橋はクローズドフェース電子線として行った。つまり、試料の照射は、2つの対向するライナーを通して行われたということである。
SBS系PSAの剥離及び70℃の静的剪断性能は、自動車用クリアコートCC5において評価する。電子線架橋を施さない場合、完全に直鎖状SBSトリブロックコポリマーに基づくC1は、70℃の静的剪断力において、20分後に粘着破壊(cohesive failure)状態によって破損する。分岐状スチレンブタジエンブロックコポリマーに基づくEx.1は、既に明らかに向上した、5000分を超える70℃静的剪断性能を示す。
星形SBS PSA実施例Ex.1の高温静的剪断性能は、電子線架橋によって更に向上する可能性がある。電子線架橋によって、Ex.1(75kGy)は、70℃及び90℃において10000分を超える静的剪断性能を保持することができた。比較例C1(75kGy)は既に70℃では40分後、また90℃では9分後にCF状態によって破損した。
概して、星形SISブロックコポリマーの直鎖状SISブロックコポリマーに対する利点が、2つの前の表(表15及び表16)から見ることができ、例えば、星形系PSA実施例Ex.8は、CC5において、直鎖状SISブロックコポリマー系配合物C2(10.1N/12.7)と比較して、非常に高い剥離値を呈する(18.4N/12.7mm)。しかしながら、主要な利点は、直鎖状SISブロックコポリマー系PSAに対し、星形ブロックコポリマー系PSAの70℃の静的剪断性能が向上したことである。C2は70℃の静的剪断力実験において175分だけ保持するのに対し、Ex.8は10000分を超える保持力を呈する。
直鎖状SISブロックコポリマーに対する星形ブロックコポリマーの利点は電子線架橋後にも明らかであり、C2(75kGy)は電子線による架橋にも関わらず、90℃静的剪断力試験において30分後に損傷したのに対し、Ex.8(75kGy)は10000分を超える高い値に留まる。
Ex.2〜Ex.4は、PP及びCC5等の、臨界LSE基材において優れた90°剥離性能を示す。Ex.5〜Ex.7において、星形Kraton D1340ゴムを、星形Kraton D1340の直鎖状Kraton D1161との70/30ブレンドで置き換える。PPにおける90℃剥離性能は、軟化した接着剤のため、Kraton D1340のみに基づく構成体と比較して向上する。
Ex.14は星形SISを星形SBSと低VOC感圧接着剤において組み合わせた利点を示す。すなわち、Ex.14は、70℃における静的剪断力試験において、9336分後に損傷したのみである。Ex.14(75kGyクローズドフェース)について、更に電子線架橋することにより、70℃及び90℃における静的剪断力保持性能を、10000分を超えるまでに向上することができる。
最後に、多層感圧接着剤アセンブリEx.12及びEx.13は、全ての選択された実施例のなかで、CC5及びUreglossにおいて最も高い90°剥離値を示す。