この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。尚、図中同一または相当部分には同一符号を付し、説明の重複を避けるためにその説明は繰返さない。
この発明の実施形態1の棚板保持部材と棚用ブラケット1について、図1~図7を参照して説明する。図1は、この発明の実施形態1に係る棚板保持部材を取り付けた支柱に棚用ブラケットを取り付けた状態を示す上面図、図2は、この発明の実施形態1に係る棚板保持部材を取り付けた支柱に棚用ブラケットを取り付けた状態を示す側面図、図3は、この発明の実施形態1に係る棚板保持部材と棚用ブラケットを示す分解斜視図、図4は、この発明の実施形態1に係る棚板保持部材を取り付けた支柱に棚用ブラケットを取り付けた状態を示す拡大した正面図、図5は、この発明の実施形態1に係る棚板保持部材と棚用ブラケットを支柱に取り付けた状態を示す斜視図である。
図1~図5に示すように、棚用ブラケット1は、金属板製で形成され、後端部に上下一定間隔をおいて2段以上、この実施形態においては、2段の逆L字形に垂れ下がる係止フック10が形成されている。この係止フック10の基端部には、支柱102のスリット107に嵌め込むための矩形状の切り込み11が設けられている(図3参照)。
棚用ブラケット1の先端には、上面の棚板載置面1aから立ち上がる立ち上がり部15が設けられている。この立ち上がり部15は、棚用ブラケット1の棚板載置面1a上に載置される棚板104が前方から脱落することを防止する。
さらに、この実施形態の棚用ブラケット1の立ち上がり部15には、樹脂製の保護キャップ16が装着されている。この保護キャップ16は、棚板載置面1aに載置される棚板104の前面104aに当接し、棚板104の当たりを緩和すると共に、棚板104との間の摩擦を大きくして左右のずれを抑制する。また、棚用ブラケット1の金属部分の先端部15aを樹脂製の保護キャップ16により覆うことで、金属製の棚用ブラケット1の先端部15aを保護する機能も有する。
この実施形態1においては、立ち上がり部15は、棚用ブラケット1と一体に金属板製で形成されている。この発明において、棚用ブラケット1の立ち上がり部とは、棚用ブラケット1と一体に形成された立ち上がり部に限らず、樹脂製の立ち上がり部を棚用ブラケット1の棚板載置面1a上に取り付けたものを含む。この実施形態1における立ち上がり部15は、先端が棚板載置面1aから上方に立ち上がった先端部15aに保護キャップ16を装着されたものである。なお、保護キャップ16を装着せずに、金属板製の上方に立ち上がった先端部15aで立ち上がり部15を構成してもよい。
図5及び図7に示すように、支柱102の連続する上下2つのスリット107に2段の係止フック10が挿入され、それぞれの係止フック10の基端部の切り込み11がスリット107の端部にはめ込まれ、棚用ブラケット1が支柱102に取り付けられる。スリット107に係止フック10を係止することにより、棚用ブラケット1が支柱102に片持ち状に支持される。
棚用ブラケット1は、上面に棚板載置面1aが設けられる。この棚用ブラケット1は、例えば、2.6mm~3.2mmの板厚の鋼材を打ち抜き加工により形成される。この実施形態1では、棚用ブラケット1は、2.6mmの板厚のものを用いた。
尚、棚用ブラケット1は、この板厚のものに限らず、用途により、色々な厚みの鋼材が用いられる。また、上記した実施形態1においては、棚用ブラケット1の棚板載置面1a上に直接棚板を載置している。さらに、棚用ブラケット1の棚板載置面1a上に断面がコ字状の樹脂製滑り止め材を嵌め込んだ棚用ブラケット1を用いてもよい。
図3、図6及び図7に示すように、この実施形態においては、棚用ブラケット1には、下段の係止フック10の上面に連接して、抜け止め部材4が取り付けられる矩形状の切り欠き部14が設けられている。すなわち、係止フック10、10間に抜け止め部材4を装着するための切り欠き部14が設けられている。この切り欠き部14に抜け止め部材4が装着される。
抜け止め部材4は、先端に下段の係止フック10の上面と支柱102のスリット107の間の隙間にはめ込まれる突起41を有する。切り欠き部14に取り付けられた抜け止め部材4は、棚用ブラケット1が支柱102に取り付けられた後、スリット107と係止フック10との隙間に、突起41を差し込み、棚用ブラケット1が支柱102から抜け落ちることを防止する。
図4及び図5に示すように、この発明においては、支柱102のスリット107に可撓性の棚板保持部材2が取り付けられる。この実施形態1においては、棚用ブラケット1の上段の係止フック10が係止される支柱102のスリット107の1つ上のスリット107に棚板保持部材2が取り付けられる。後述するように、この棚板保持部材2は、棚用ブラケット1上に載置される棚板104の後面104bと当接することにより変形し、棚板104を棚用ブラケット1の立ち上がり部15方向へ押し付け、棚板104を固定するとともに、棚板104の位置ずれを防止する。
次に、棚板保持部材2につき、図8A~図8Gを参照して説明する。図8A~図8Gは、この発明の実施形態1に係る棚板保持部材を示し、図8Aは正面側から示す斜視図、図8Bは背面側から示す正面図、図8Cは右側面図、図8Dは左側面図、図8Eは背面図、図8Fは上面図、図8Gは図8EのG-G線断面図である。
この棚板保持部材2は、可撓性の材料で形成され、棚板104の後面104bが当接し、棚板104が押し付けられると変形することができるように構成されている。ここで、棚板104の後面104bは、棚板104が支柱102側に対向する面であり、棚板104の前面104aは、棚板104が棚用ブラケット1の先端部の立ち上がり部15に対向する面である。
棚板保持部材2は、例えば、軟質性樹脂で形成される。この実施形態1においては、軟質性樹脂として、EVA樹脂が用いられる。尚、軟質性樹脂は、EVA樹脂に限らず、図10~図13に示すように、棚板104の後面104bに当接して変形し、棚板104を棚用ブラケット1の立ち上がり部15(保護キャップ16)方向に押圧する力が加わるものであればよく、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、軟質塩化ビニル(PVC)、スチレン系エストラマー、シリコンゴムなどを用いることができる。
図1、図2、図3、図4、図6、図7及び図8A~図8Gに示すように、棚板保持部材2は、支柱102のスリット107に挿入される係合部21aを備えた本体部21と、本体部21に連接する翼部22aを備える。翼部22aは本体部21から前記棚用ブラケット1の前後方向に対して直交する方向に遠ざかるに従い、前記支柱102に取り付ける側から遠ざかるように形成されている。言い換えれば、翼部22aは、本体部21から前記棚用ブラケット1の前後方向に対して直交する方向に遠ざかるに従い、棚用ブラケット1の立ち上がり部15側に近づくように形成されている。
両翼部22a、22a間は、図8A、図8B、図8Fに示すように、支柱102の前面が嵌まり込む隙間22eが設けられている。すなわち、本体部21の幅は、支柱102の前面の幅に対応している。図1、図5及び図7に示すように、棚板保持部材2を支柱102のスリット107に取り付けると、本体部21の背面が支柱102の前面と当接し、翼部22aの一部が支柱102の側面に位置する。これにより、支柱102に取り付けられた棚板保持部材2は、支柱102に対して揺れることなく保持される。
翼部22aは、棚板104を棚用ブラケット1の上面に載置した際に、棚板104を棚用ブラケット1の立ち上がり部15側へ押し付けるように作用する。すなわち、支柱102に取り付けられた棚板保持部材2に棚板104の後面104bが当接することにより、棚板保持部材2の翼部22aが変形し、棚板104の前面104aは棚用ブラケット1の立ち上がり部15方向に押圧される。これにより、棚板104は、棚板保持部材2と棚用ブラケット1の立ち上がり部15の間に挟み込まれ、棚板104が固定されると共に、棚板104の位置ずれを防止することができる。
図7及び図8Gに示すように、本体部21の支柱102と対向する面には、逆L字型に垂れ下がる係合部21aが設けられている。係合部21aの基端部には、支柱102のスリット107の下端に嵌め込むための矩形状の切り込み21dが設けられている。係合部21aの先端部には、突起21cが設けられている。
図8Gに示すように、切り込み21dの幅d1は、スリット107の端部の板厚と同じか僅かに大きく形成されている。突起21cと対向する切り込み21dとの間の幅d2は、スリット107の端部の板厚より小さく形成されている。これにより、棚板保持部材2を支柱102のスリット107に挿入し、スリット107の下端に係合部21aを押し下げる際に、突起21c部分が変形しつつ、スリット107の下端部と切り込み21dが係合する。棚板保持部材2は、係合部21aの切り込み21dによる保持と突起21cによる押圧力によりスリット107に確実に固定される。
尚、係合部21aは、突起21cを設けなくても切り込み21dによりスリット107の下端に保持することはできる。突起21cを設けることでより保持力をあげることができる。これにより、棚板104を取り付けるまでの間に、手などが当たり上方に力が加わってもスリット107から係合部21aが外れて棚板保持部材2が脱落することを防止できる。
この実施形態1においては、係合部21aは、頭部21bが本体部21より上方に突出している。頭部21bが本体部21より上部に突出させることにより、棚板保持部材2の上下方向が容易に把握できる。すなわち、頭部21bにより、棚板保持部材2の上下方向が把握でき、頭部21bがある方向を上にして、スリット107に棚板保持部材2を挿入し、棚板保持部材2を下方向に移動させることにより、スリット107に棚板保持部材2を取り付けることができる。
本体部21に連接して設けられる翼部22aは、支柱102に取り付ける棚用ブラケット1の先端の立ち上がり部15側に向かって円弧状に曲がって形成されている。この実施形態においては、本体部21及ぶ翼部22aは、9mm程度の高さを有し、本体部21から両翼部22aの先端まで5.5~6.0mm程度長さを有している。そして、本体部21及ぶ翼部22aの先端並びに側面は面取り形状に形成され、人にエッジが当たることを防いでいる。
この翼部22aは、支柱102に取り付ける棚用ブラケット1の前面の前後方向に対して直交する方向に遠ざかるに従い、支柱102から遠ざかるように形成されている。この実施形態1においては、翼部22aは、円弧状に曲がって形成されている。すなわち、翼部22aは端部22cに近づくほど、棚板104の奥行き寸法より、棚用ブラケット1が取り付けられる支柱102の前面との距離が小さくなるように構成されている。
図1に示すように、支柱102に取り付けられた本体部21と棚用ブラケット1の立ち上がり部15の支柱側端面1cとの間の寸法aは、棚用ブラケット1上に載置する棚板104の奥行きより少し大きく形成されている。すなわち、支柱102に取り付けられた本体部21と棚用ブラケット1の立ち上がり部15の支柱側端面1cとの間の寸法aは、棚用ブラケット1上に載置される棚板104の奥行き対応する寸法に形成されている。
この実施形態1では、棚用ブラケット1上に載置される棚板104の奥行きは300mmである。棚板104の奥行きが300mmの場合、棚用ブラケット1が支柱102に取り付けられた時に棚板保持部材2の本体部21と棚用ブラケット1の立ち上がり部15の支柱側端面1cまでの寸法aが301mm程度になるように寸法が設定されている。すなわち、棚板保持部材2を棚用ブラケット1の先端部13に取り付けた時に、本体部21の前面は、棚板104の奥行きに対応してわずかに長くなる寸法に設定されている。
棚板保持部材2の端部22c間の幅寸法は、この実施形態においては、40mmである。本体部21及び翼部22aの高さd(図2参照、図8G)は、10mm程度である。この実施形態1においては、棚板104の高さは18mmであり、図4及び図14に示すように、棚用ブラケット1の棚板載置面1a上に棚板104を載置した際、棚板保持部材2は、棚板104の正面からは隠れるように構成されている。
尚、棚板保持部材2の端部22c間の幅寸法及び本体部21及び翼部22aの高さは、これに限らず、載置する棚板104の大きさ、棚板104に加える押し付け力などを考慮して適宜設定される。
翼部22aは、本体部21から棚用ブラケット1の係止フック10から立ち上がり部15)に向かう方向に対して直交する方向に円弧状に延びる。翼部22aの端部22cは、本体部21から遠ざかるように形成されている。この実施形態1では、本体部21から遠ざかる寸法b(図1参照)は、4.5mm程度に形成されている。すなわち、棚板保持部材2は、本体部21から翼部22aの端部22cに向かって棚板104の奥行きより、立ち上がり部15の支柱側端面1cとの間が漸次短くなっている。これにより、棚板104を棚用ブラケット1上に載置すると、翼部22aを外側へスムーズに押し広げるように変形させて棚板104が設置されることになる。
図4、図5及び図6に示すように、棚用ブラケット1を取り付けるスリット107の1つ上のスリット107に棚板保持部材2の係合部21aを合わせて、スリット107内に係合部21aを挿入し、棚板保持部材2を下方向に移動させ、スリット107の下端と係合部21aの切り込み21dを係合させ、スリット107に棚板保持部材2を取り付ける。
図6に示すように、スリット107の下端部に棚板保持部材2の係合部21aの切り込み21dが完全に嵌め込まれると、突起21cの押圧力により棚板保持部材2がしっかりと支柱102に取り付けられる。
図5、図6及び図8に示すように、支柱102のスリット107に棚用ブラケット1の係止フック10を挿入し、支柱102に棚用ブラケット1を片持ち状に支持させる。
棚用ブラケット1と棚板保持部材2の取り付け順序はどちらが先でもよい。この実施形態1においては、棚用ブラケット1の上段の係止フック10が挿入されたスリット107の1つ上のスリット107に棚板保持部材2が取り付けられる。
図9に示すように、棚用ブラケット1の棚板載置面1aに棚板104を載置していない状態と、図10に示すように、棚用ブラケット1の棚板載置面1aに棚板104を載置している状態を比べると、円弧状の翼部22aは、棚板104の後面104bに当接することにより、立ち上がり部15から遠ざかる方向に押し広がれて変形される。翼部22aの端部22cの棚板104と対向する面は、本体部21の前面の略延長上に位置することになる。
棚板104を棚用ブラケット1上に載置する場合、図14に示すように、棚板104の後面104bを支柱102に取り付けた棚板保持部材2に沿わせて、上から棚板104を図中矢印方向へ押し下げて行く。この時、図10~図13に示すように、翼部22aは、軟質性樹脂で形成されているので、棚板104の後面104bに当接することにより、翼部22aが変形し、棚板104が棚用ブラケット1上に載置される。このように、翼部22aは、押し広がるように変形されているので、翼部22aは、棚板104を棚用ブラケット1の立ち上がり部15方向へ押圧することになり、棚板保持部材2と立ち上がり部15との間で棚板104を挟み込み、棚板104を固定するとともに、棚板104の位置ずれを防止することができる。
さらに、この実施形態1においては、翼部22aの端部22cより中央側に半球状の突出部22dが設けられている。半球状の突出部22dの先端から棚用ブラケット1の立ち上がり部15の前面に対応する位置までの距離が端部22cと同じかそれより僅かに棚用ブラケット1の立ち上がり部15の前面側に位置するような大きさに形成されている。この実施形態1においては、突出部22dは翼部22aより前方へ1mm程度突出している。
この半球状の突出部22dにより、棚板104との接触面積を大きくし、棚板104を翼部22aにしっかりと保持させるように構成している。尚、半球状突出部22dを設けない場合においても棚板104を固定するとともに、棚板104の位置ずれを防止することができる。
実施形態1においては、突出部22dは、半球状に形成されているが、突出部22dの形状は半球状以外でもよい。例えば、矩形状、楕円形状など棚板104との接触面積を大きくするものであれば、その形状は問わない。
図14及び図15に示すように、壁面105に所定の間隔、例えば、900mm間隔で取り付けられた左右一対の支柱102、102に、棚用ブラケット1、1をそれぞれ片持ち状に支持させる。図15に示すように、棚板104の後面104bを支柱102に取り付けた棚板保持部材2に沿わせて、上から棚板104を図中矢印方向へ押し下げて行くと、棚板104の後面104bに当接することにより、翼部22aが変形し、棚板104が棚用ブラケット1上に載置される。このように、翼部22aは、押し広がるように変形されているので、翼部22aは、棚板104を棚用ブラケット1の立ち上がり部15方向へ押圧することになり、棚板104を固定するとともに、棚板104の位置ずれを防止することができる。
棚板104は、棚板保持部材2の翼部22aと当接することにより固定される。このように、棚板104を棚用ブラケット1の立ち上がり部15と棚板保持部材2の翼部22aに嵌め込むだけで、棚板104の固定が行える。棚板104は、棚板保持部材2の翼部22aと当接しているので、棚板104の位置ずれ抑制できる。
このように、この実施形態1においては、棚板を固定するためのビス留め等は不要となり、作業性が向上する。また、支柱102の間隔が変わっても棚板104を棚用ブラケット1の立ち上がり部15と棚板保持部材2の翼部22aで固定するので、支柱の間隔に関係なく棚板の固定が行える。
また、棚用ブラケット1、1の立ち上がり部15側は棚板104の前面104a側で固定されることになる。このため、棚用ブラケット1、1の左右の振れも抑制することができる。
また、棚板104を取り外す時には、棚板104を翼部22aの加圧力に抗して棚用ブラケット1の下方から上に持ち上げることにより、棚板104を取り外すことができる。これにより、棚板104を設置する高さなどを容易に変更することができる。
さらに、支柱102、102の間隔は、棚板104の幅方向内であれば変更可能であり、支柱102、102の間隔に応じて棚板104を用意することはなくなる。このように、支柱の間隔に対応した棚板を準備する必要もなくなり、棚板の種類を減らすことができ、棚板の在庫も少なくすることができる。
また、棚板104の幅と支柱102、102の間隔との関係に余裕ができ、棚装置を設置する場所の自由度を増すことができる。
上記した実施形態1においては、支柱102のスリット107に取り付けられる可撓性の棚板保持部材2には、円弧状の翼部22aが設けられている。翼部22aは、円弧状に限らず、翼部22aの端部が棚板104の奥行き寸法より、棚用ブラケット1が取り付けられる支柱102の前面との距離が小さくなるよう形成されればその形状は問わない。図16に棚板保持部材2aの変形例を示す。
図16に示す変形例1に係る棚板保持部材2aは、翼部220aが実施形態1の翼部22aと相違する。他の構成は実施形態1と同様である。
翼部220aは、支柱102に取り付ける係止フック10側に向かって本体部220から棚用ブラケット1の前面の前後方向に対して直交する方向に遠ざかるに従い、棚用ブラケット1の立ち上がり部15側に近づく翼部220aが形成されている。この変形例においては、翼部220aは、直線状に斜めに棚用ブラケット1の立ち上がり部15側に近づくように形成されている。そして、翼部220aの端部220cに近づくほど、棚板104の奥行き寸法より、棚用ブラケット1の立ち上がり部15との距離が小さくなるように構成されている。
翼部220aは、端部220cに向かって棚板104の奥行きより、棚用ブラケット1の立ち上がり部15の前面位置との間が漸次短くなっている。これにより、棚板104を棚用ブラケット1上に載置すると、翼部220aを外側へスムーズに押し広げるように変形させて棚板104が設置されることになる。
上記した実施形態1及び変形例1においては、翼部22a(220a)は、支柱102に取り付ける係止フック10側に向かって本体部21から棚用ブラケット1の前面の前後方向に対して直交する方向に遠ざかるに従い、棚用ブラケット1の立ち上がり部15に取り付ける側に近づく翼部22a(220a)が形成されている。図17に示す変形例2は、棚板保持部材2bの翼部220eの端部220f部分が棚板104の奥行き寸法より、棚用ブラケット1の立ち上がり部15と支柱102の前面との距離が小さくなるように構成されている。他の構成は実施形態1と同様である。
翼部220eは、棚板104の後面104bが当接した際に撓みやすいように、肉厚を薄くしている。
翼部220eの端部220fは、支柱102の前面基準となる位置との間が短くなっている。これにより、棚板104を棚用ブラケット1上に載置すると、翼部220eを外側へスムーズに押し広げるように変形させて棚板104が設置されることになる。
図18A及び図18Bに示す変形例3に係る棚板保持部材2cは、係合部21a0aが実施形態1の係合部21aと相違する。この変形例3の係合部21a0aは、頭部210bが本体部21の上部と同じ高さにしている。他の構成は実施形態1と同様であるので、同一部分には、同一符号を付して説明は省略する。頭部210bが本体部21の上部と同じ高さにすることにより、棚板104の高さ(板厚)が小さいものに対しても棚板104の正面から棚板保持部材2cを隠すことができる。
この発明の実施形態2の棚板保持部材と棚用ブラケット1について、図19~図23Bを参照して説明する。図19は、この発明の実施形態2に係る棚板保持部材を取り付けた支柱に棚用ブラケットを取り付けた状態を示す側面図、図20は、この発明の実施形態2に係る棚板保持部材と棚用ブラケットを示す分解斜視図、図21は、この発明の実施形態2に係る棚板保持部材を取り付けた支柱に棚用ブラケットを取り付けた状態を示す拡大した正面図、図22は、この発明の実施形態2に係る棚板保持部材と棚用ブラケットを支柱に取り付ける状態を示す拡大断面図、図23Aは、この発明の実施形態2に係る棚板保持部材を正面側から示す斜視図、図23Bは、この発明の実施形態2に係る棚板保持部材を背面側から示す斜視図である。支柱102及び棚用ブラケット1は、実施形態1と同じものが用いられる。
この実施形態2に係る棚板保持部材2dは、可撓性の材料で形成され、実施形態1と同様に、棚板104の後面104bが当接し、棚板104が押し付けられると変形することができるように構成されている。
棚板保持部材2dは、支柱102のスリット107に挿入される係合部210aを上部に備えた本体部21と、本体部21に連接する翼部22aを備える。翼部22aは本体部21から前記棚用ブラケット1の前後方向に対して直交する方向に遠ざかるに従い、前記支柱102に取り付ける側から遠ざかるように形成されている。言い換えれば、翼部22aは、本体部21から前記棚用ブラケット1の前後方向に対して直交する方向に遠ざかるに従い、棚用ブラケット1の立ち上がり部15側に近づくように形成されている。
実施形態2の棚板保持部材2dと実施形態1の棚板保持部材2とは、係合部210aの構成が相違する。係合部210aの構成以外は実施形態1と同じ構成である。
この実施形態2の係合部210aは、本体部21の上部に連接して設けられ、係合部210aには、スリット107に挿入される一対の係合爪211a、211bが設けられている。
この係合爪211a、221bは上下にずらして、一方がスリット107の一方の側端部に係合し、他方がスリット107の他方の側端部に係合する。
係合爪211a、211bは、先端部(スリット107への挿入側)から本体部21側に向かってテーパ状に拡がって形成されている。両係合爪211a、211bは、先端部はスリット107より僅かに内側に位置し、本体部21側に向かうに連れて、スリットより僅かに外側に位置するように形成されている。
係合爪211a、211bの基端部には、切り込み212が設けられており、係合爪211a、211bの両切り込み212間の距離は、スリット107の幅より僅かに小さくしている。
図22に示すように、棚板保持部材2dを支柱102のスリット107に押し込むと、係合爪211a、211bが撓んでスリット107内に挿入される。そして、切り込み212がスリット107の側端部に係合し、スリット107に棚板保持部材2dが取り付けられる。
係合爪211a、211bは、上下方向にずらして配置され、上側の係合爪211aの上端部と下側の係合爪211bの下端部までの距離は、スリット107の高さ方向の寸法に対応させている。これにより、この実施形態2の棚板保持部材2dをスリット107に挿入して取り付けると、上下方向に移動することなく、支柱102のスリット107に取り付けることができる。
棚用ブラケット1を取り付けるスリット107の1つ上のスリット107に棚板保持部材2dの係合爪211a、211bを合わせて、スリット107内に係合爪211a、211bを挿入し、スリット107に棚板保持部材2dを取り付ける。
支柱102のスリット107に棚用ブラケット1の係止フック10を挿入し、支柱102に棚用ブラケット1を片持ち状に支持させる。
棚用ブラケット1と棚板保持部材2dの取り付け順序はどちらが先でもよい。
棚板104の後面104bを支柱102に取り付けた棚板保持部材2に沿わせて、上から棚板104を押し下げて行く。この時、翼部22aは、軟質性樹脂で形成されているので、棚板104の後面104bに当接することにより、翼部22aが変形し、棚板104が棚用ブラケット1上に載置される。このように、翼部22aは、押し広がるように変形されているので、翼部22aは、棚板104を棚用ブラケット1の立ち上がり部15方向へ押圧することになり、棚板保持部材2dと立ち上がり部15との間で棚板104を挟み込み、棚板104を固定するとともに、棚板104の位置ずれを防止することができる。
このように、この実施形態2においては、棚板を固定するためのビス留め等は不要となり、作業性が向上する。また、支柱102の間隔が変わっても棚板104を棚用ブラケット1の立ち上がり部15と棚板保持部材2の翼部22aで固定するので、支柱の間隔に関係なく棚板の固定が行える。
また、棚用ブラケット1、1の立ち上がり部15側は棚板104の前面104a側で固定されることになる。このため、棚用ブラケット1、1の左右の振れも抑制することができる。
上記した実施形態1及び2においては、係合部21a及び係合部210aは、支柱1025のスリット107内に挿入され、支柱102に取り付けられている。棚板保持部材2~2dの支柱102への取り付けは、スリット107内に係合部21a(210a)を挿入せずに取り付けてもよい。例えば、支柱102の両側面を挟むようにした係合部を棚板保持部材に設け、支柱102の両側面を係合部で挟み込んで支柱107に棚板保持部材2~2dをとりつけてもよい。
この発明の実施形態3の棚板保持部材と棚用ブラケット1について、図24~図29を参照して説明する。図24は、この発明の実施形態3に係る棚板保持部材を取り付けた棚用ブラケットを示す側面図、図25は、この発明の実施形態3に係る棚板保持部材と棚用ブラケットを示す分解斜視図、図26は、この発明の実施形態3に係る棚板保持部材と棚用ブラケットを示す分解拡大断面図、図27は、この発明の実施形態3に係る棚板保持部材と棚用ブラケットを示す分解拡大断面図、図28A、この発明の実施形態3に係る棚板保持部材を正面側から示す斜視図、図28B、この発明の実施形態3に係る棚板保持部材を背面側から示す斜視図、図29は、この発明の実施形態3に係る棚板保持部材と棚用ブラケットを支柱に取り付けた状態を示す斜視図である。支柱102及び棚用ブラケット1は、実施形態1と同じものが用いられる。
この実施形態3に係る棚板保持部材2eは、可撓性の材料で形成され、実施形態1及び実施形態2と同様に、棚板104の後面104bが当接し、棚板104が押し付けられると変形することができるように構成されている。
棚板保持部材2eは、支柱102のスリット107に挿入される係合部221aを背面に備えた本体部21と、本体部21に連接する翼部22aとを備える。さらに、棚板保持部材2eは、本体部21の下側に棚用ブラケット1の棚板載置面1aに嵌め込まれる一対の脚部222を備える。
実施形態3の棚板保持部材2eと実施形態1の棚板保持部材2とは、係合部221aの構成と、脚部222を設けたことが相違する。その他の構成以外は実施形態1と同じ構成である。この実施形態3の棚板保持部材2eは、棚用ブラケット1を支柱102のスリット107に係合させた時、棚用ブラケット1と支柱102の両方に取り付けられる。
この棚板保持部材2eは、棚用ブラケット1に取り付けられ、棚用ブラケット1の上側の係止フック10が挿入されるスリット107と同じスリット107に係合部221aが差し込まれる。すなわち、この実施形態3の棚板保持部材2eは、棚用ブラケット1とともに上側の係止フック10が差し込まれるスリット107に挿入され、取り付けられる。
この実施形態3の係合部221aは、本体部21の背面に連接して設けられ、スリット107の幅より僅かに大きい幅を有する。係合部221aは、スリット107に変形しながら押し込まれ、スリット107に棚板保持部材2eが取り付けられる。
本体部21の下側に設けられる一対の脚部222は、棚用ブラケット1の板厚と同じ間隔を有して対向して設けられている。脚部222の先端部は突起222aが設けられ、突起222a間の間隔は棚用ブラケット1の板厚より僅かに狭く形成している。
図26に示すように、棚用ブラケット1の棚板載置面1aの上方から棚板保持部材2eの脚部222の位置を合わせて、押し下げる。脚部222の突起222aが押し広げつつ、脚部222の根元まで押し込んで、棚板保持部材2eが棚用ブラケット1に取り付けられる。
棚板保持部材2を取り付けた棚用ブラケット1の係止フック10を支柱102のスリット107に係止させて支柱102に棚用ブラケット1が片持ち状に支持される。必要に応じて棚板保持部材2を棚用ブラケット1の棚板載置面1aに沿ってスリット107方向に移動させる。棚用ブラケット1の上側の係止フック10が係止されるスリット107と同じスリット107に棚板保持部材2eの係合部221aを挿入して取り付ける。
棚板104の後面104bを支柱102に取り付けた棚板保持部材2eに沿わせて、上から棚板104を押し下げて行く。この時、翼部22aは、軟質性樹脂で形成されているので、棚板104の後面104bに当接することにより、翼部22aが変形し、棚板104が棚用ブラケット1上に載置される。このように、翼部22aは、押し広がるように変形されているので、翼部22aは、棚板104を棚用ブラケット1の立ち上がり部15方向へ押圧することになり、棚板保持部材2eと立ち上がり部15との間で棚板104を挟み込み、棚板104を固定するとともに、棚板104の位置ずれを防止することができる。
このように、この実施形態3においては、棚板を固定するためのビス留め等は不要となり、作業性が向上する。また、支柱102の間隔が変わっても棚板104を棚用ブラケット1の立ち上がり部15と棚板保持部材2の翼部22aで固定するので、支柱の間隔に関係なく棚板の固定が行える。
また、棚用ブラケット1、1の立ち上がり部15側は棚板104の前面104a側で固定されることになる。このため、棚用ブラケット1、1の左右の振れも抑制することができる。
上記した実施形態3は、係合部221aを設けているが、係合部221aを無くし、脚部222により、棚用ブラケット1に棚板保持部材2eに取り付けるように構成してもよい。すなわち、棚用ブラケット1に棚板保持部材2eを取り付けるような構成にしてもよい。
尚、上記した実施形態においては、棚板保持部材2、2a、2b、2c、2dは、軟質性樹脂材料で形成しているが、可撓性がある材料であれば、軟質性樹脂材料には限らない。例えば、板バネ鋼材などの金属材料を用いてもよい。
尚、上記した実施形態においては、立ち上がり部15は、棚用ブラケット1と一体に金属板製で形成されている。前述したように、立ち上がり部15は、樹脂製の立ち上がり部を棚用ブラケット1の棚板載置面1a上に取り付けたものでもよい。樹脂製の立ち上がり部を設けた棚用ブラケット1の例を図30に従い説明する。図30は、棚用ブラケット1の先端部を拡大した断面図である。
棚用ブラケット1の先端部113に樹脂製の立ち上がり部材150が装着されている。立ち上がり部材150は、本体部151と棚板の脱落を防止するために、本体部151の上部の載置面151aから上方に立ち上がる立ち上がり部152が設けられている。本体部151の棚用ブラケット1の先端部に対向する面には、棚用ブラケット1の板厚に対応した矩形状の挿入部(図示せず)が設けられている。立ち上がり部152には、空隙部153、154が設けられ、立ち上がり部152の先端部のクッション性を向上させている。
本体部151の底面には、抜け止め用テーパ部155が設けられている。この抜け止め用テーパ部155は、棚用ブラケット1の先端部113が挿入される挿入口から立ち上がり部152の方向に向かって高さが高くなるように形成されている。抜け止め用テーパ部155の立ち上がり部152側の端部は底面から直交するように形成されている。
棚用ブラケット1の先端部113の下方には先端から後端に向かって深さが浅くなるテーパ状凹部112が設けられている。この凹部112の先端側は上下方向に直交している。この凹部112は、前述した立ち上がり部材150に設けられた抜け止め用テーパ部155が嵌まり込む形状に形成されている。
棚用ブラケット1の先端部113に立ち上がり部材150の挿入口を合わせて、立ち上がり部材150の挿入部内に棚用ブラケット1の先端部113を挿入する。この時、立ち上がり部材150の底面には、抜け止め用テーパ部155があるが、抜け止め用テーパ部155は挿入口側から先端に向かってテーパ状に形成されているので、棚用ブラケット1の先端部113が挿入部に挿入される。
図30に示すように、立ち上がり部材150の挿入部内に棚用ブラケット1の先端部113が完全に挿入されると、棚用ブラケット1の凹部112に、抜け止め用テーパ部155が嵌まり込む。一旦、棚用ブラケット1の凹部112に抜けど止め用テーパ部155が嵌まり込むと、テーパ形状により、棚用ブラケット1から立ち上がり部材150が外れることはない。
このように、この発明は、樹脂製の立ち上がり部材150を先端に取り付けた棚用ブラケット1を用いてもよい。
また、この発明の棚用ブラケットは、例えば、住宅等に備え付けられるクローゼット、シューズクローク、シューズボックスなどの棚装置に用いることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。