JP2022044554A - ケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】耐屈曲性を向上でき、かつ、良好な伝送特性が得られるケーブルを提供する。【解決手段】ケーブル1は、線状の介在2および信号伝送用の複数の線心3を有するケーブルコア5と、ケーブルコア5の周囲を覆うシールド層7と、シールド層7の周囲を覆うシース8と、を備え、介在2は、ケーブル中心に設けられた第1介在21と、第1介在21の周囲に、ケーブル長手方向に垂直な断面視で第1介在21と十字状をなすように設けられた複数の第2介在22と、で構成されており、ケーブルコア5は、複数の線心3と複数の第2介在22とが周方向に交互に配置されるように、第1介在21の周囲に螺旋状に撚り合わせられている。【選択図】図1
Description
本発明は、ケーブルに関する。
信号伝送用の通信ケーブルとしては、例えば、LANケーブルや同軸ケーブル等がある。特に、LANケーブルとして、特許文献1では、中心から放射状に延びる4つの隔壁を有する十字状介在と、十字状介在の隔壁間に配置された対撚線と、十字状介在および対撚線の外周に順に設けられたシールド層及びシースとを備えたツイストペアケーブルが提案されている。
近年、産業用のロボット等において可動部や揺動部をまたいで信号伝送用のケーブルを配線したいという要望がある。可動部や揺動部をまたいで配線される信号伝送用のケーブルには、例えばカテゴリー6Aといった規格を満足する良好な伝送特性と、高い耐屈曲性とが要求される。
しかしながら、上述の十字状介在を用いたツイストペアケーブルを可動部や揺動部に配線するケーブルとして用いた場合では、十字状介在が曲がりにくく、ケーブルを繰り返し屈曲した際に十字状介在が破断しやすいため、十分な耐屈曲性が得られないという課題がある。また、十字状介在が破断すると、その破断箇所で漏話が発生して対撚線間のクロストーク(対間クロストーク)が大きくなってしまい、また対撚線の位置が安定しなくなるために、伝送特性が劣化してしまうということもある。
そこで、本発明は、耐屈曲性を向上でき、かつ、良好な伝送特性が得られるケーブルを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決することを目的として、線状の介在および信号伝送用の複数の線心を有するケーブルコアと、前記ケーブルコアの周囲を覆うシールド層と、前記シールド層の周囲を覆うシースと、を備え、前記介在は、ケーブル中心に設けられた第1介在と、前記第1介在の周囲に、ケーブル長手方向に垂直な断面視で前記第1介在と十字状をなすように設けられた複数の第2介在と、で構成されており、前記ケーブルコアは、前記複数の線心と前記複数の第2介在とが周方向に交互に配置されるように、前記第1介在の周囲に螺旋状に撚り合わせられている、ケーブルを提供する。
本発明によれば、耐屈曲性を向上でき、かつ、良好な伝送特性が得られるケーブルを提供できる。
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、本実施の形態に係るケーブルの長手方向に垂直な断面を示す断面図である。ケーブル1は、産業用のロボット等において可動部や揺動部をまたいで配線される信号伝送用のケーブル(所謂LANケーブル)である。本実施の形態に係るケーブル1は、カテゴリー6AのLANケーブルである。
図1に示すように、ケーブル1は、線状の介在2および信号伝送用の複数の線心3を有するケーブルコア5と、ケーブルコア5の周囲に巻き付けられた押え巻きテープ6と、押え巻きテープ6の周囲を覆うように設けられたシールド層7と、シールド層7の周囲を覆うシース8と、を備えている。
(線心3)
本実施の形態では、線心3は対撚線30からなる。対撚線30は、差動信号を伝送するために用いられるものであり、一対の絶縁電線31を撚り合わせて構成されている。本実施の形態では、4本の対撚線30が用いられており、合計8本の絶縁電線31が用いられている。なお、ケーブル1に用いる対撚線30(線心3)の数はこれに限定されない。また、線心3としては、対撚線30以外に、一対の絶縁電線31を平行に配置した二心平行ケーブル等であってもよい。
本実施の形態では、線心3は対撚線30からなる。対撚線30は、差動信号を伝送するために用いられるものであり、一対の絶縁電線31を撚り合わせて構成されている。本実施の形態では、4本の対撚線30が用いられており、合計8本の絶縁電線31が用いられている。なお、ケーブル1に用いる対撚線30(線心3)の数はこれに限定されない。また、線心3としては、対撚線30以外に、一対の絶縁電線31を平行に配置した二心平行ケーブル等であってもよい。
対撚線30を構成する絶縁電線31は、導体311と、導体311の周囲を被覆している絶縁体312と、を有している。曲げに対する耐久性を高めるために、導体311としては、複数本の金属素線を集合撚りした撚線導体からなるものを用いるとよい。本実施の形態では、導体311として、外径が0.08mmのすずめっき軟銅線等からなる金属素線を複数本撚り合わせた撚線導体を用いた。
ケーブル1の細径化を図るために、絶縁体312の厚さは、できるだけ薄くすることが望ましい。絶縁体312の厚さは、例えば、0.10mm~0.30mm程度とすることがよい。なお、絶縁電線31の外径は、例えば、0.6mm~1.0mmであるとよい。本実施の形態では、薄肉で押出成形が可能なフッ素樹脂からなる絶縁体312を用いた。絶縁体312に用いるフッ素樹脂としては、FEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー)やPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)が挙げられる。また、絶縁体312としては、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)からなるものを用いてもよい。なお、絶縁体312は、FEPやPFAからなるフッ素樹脂で構成される場合の方がPEやPPで構成される場合に比べて、ケーブルを繰り返し屈曲した際に絶縁体312の表面が他の部材(介在や他の絶縁電線31の絶縁体312)と接触するときの摩擦が低減される(すなわち、滑りやすくなる)。これにより、ケーブル1は、高い耐屈曲性を得ることができる。
また、絶縁体312は、導体311の周囲にチューブ押出しにより筒状に形成されているとよい。これにより、絶縁体312内で導体311が絶縁電線31の長手方向に移動可能となり、ケーブル1を曲げた際に導体311に断線が発生しにくくなる。
各対撚線30において、導体311の撚り方向と、対撚線30の撚り方向とは、反対方向とされる。これは、例えば導体311と対撚線30の撚り方向を同じ方向とした場合、導体311の撚りが締まる方向に対撚線30が撚り合されることになり、導体311に含まれる金属素線にかかる負荷が大きくなり、ケーブル1を曲げた際等に断線が生じやすくなるおそれがあるためである。なお、導体311の撚り方向とは、絶縁電線31の一端から見たときに、他端側から一端側にかけて金属素線が回転している方向である。また、対撚線30の撚り方向とは、対撚線30の一端から見たときに、他端側から一端側にかけて絶縁電線31が回転している方向である。
対撚線30間のクロストーク(対間クロストークという)を抑制するため、各対撚線30の撚りピッチは、それぞれ異なるように設定されるとよい。各対撚線30の撚りピッチは、例えば、10mm~20mmの範囲において、それぞれ異なるようにするとよく、各対撚線30の撚りピッチの差を2mm以上とすることが望ましい。なお、対撚線30の撚りピッチとは、対撚線30の周方向において任意の絶縁電線31が同じ周方向位置となる箇所の対撚線30の長手方向に沿った間隔である。
(介在2)
介在2は、1本の第1介在21と、4本の第2介在22とで構成されており、ケーブル長手方向に垂直な断面視において、第1介在21と第2介在22とが十字状をなすように設けられている。
介在2は、1本の第1介在21と、4本の第2介在22とで構成されており、ケーブル長手方向に垂直な断面視において、第1介在21と第2介在22とが十字状をなすように設けられている。
第1介在21は、ケーブル中心に設けられている。ケーブル中心は、ケーブル1を屈曲した際に最も応力が集中しやすい部分であり、このケーブル中心に第1介在21を配置することで、ケーブル1を繰り返し屈曲した際に各対撚線30にかかる負荷を抑制し、絶縁電線31の断線を抑制して、耐屈曲性を向上することができる。
第2介在22は、対撚線30(線心3)同士を周方向に離間させることで、対間クロストークを抑制する役割を果たしており、周方向に隣り合う対撚線30の間に配置されている。すなわち、ケーブル1では、第1介在21の外周に、対撚線30と第2介在22とが周方向に交互に配置されている。第1介在21の外径は、第2介在22の外径よりも大きく、例えば、第2介在22の外径の1.5倍~1.7倍であるとよい。これにより、ケーブル1では、対撚線30と第2介在22とを交互に配置させたときの耐屈曲性をより向上させることが可能になる。本実施の形態では、第1介在21の外径を第2介在22の外径の1.66倍とした。すなわち、第1介在21の太さは、第2介在22の太さよりも太く、ケーブル長手方向に垂直な断面の断面積は、第1介在21の方が第2介在22よりも大きい。
第2介在22の外径は、対撚線30(線心3)の外径と略同等とされる。より具体的には、第2介在22の外径は、対撚線30(線心3)の外径の0.8倍以上1.0倍以下とするとよい。第2介在22の外径を対撚線30の外径の0.8倍以上とすることで、ケーブル1を繰り返し屈曲した場合であっても、周方向に隣り合う対撚線30を十分に離間させて対間クロストークを抑制できる。対間クロストークをより抑制するために、第2介在22の外径は、対撚線30の外径の0.9倍以上とすることがより望ましい。また、第2介在22の外径が対撚線30の外径よりも大きくなると、対撚線30の周囲の隙間が大きくなって対撚線30の配置が安定しなくなり、伝送特性が劣化してしまうおそれがあるため、第2介在22の外径は、対撚線30の外径の1.0倍以下とすることが望ましい。すなわち、第2介在22の外径を、対撚線30の外径の1.0倍以下とすることで、ケーブル1を繰り返し屈曲した場合であっても、対撚線30の配置を安定させて、対撚線30同士の距離が一定に保たれやすくなり、対撚線30の位置ずれによる伝送特性の劣化を抑制できる。ここでは、対撚線30の外径を1.28mmとし、第2介在22の外径を1.20mmとした。
本実施の形態では、第1介在21の周囲に4つの第2介在22が等間隔で配置されることになるため、ケーブル長手方向に垂直な断面において、第1介在21と第2介在22とが一体になって全体として略十字状の介在が配置されていることになる。従来、ケーブル長手方向に垂直な断面形状が十字状である1個の介在を用いた通信ケーブルが知られているが、このような通信ケーブルでは、十字状の介在の影響でケーブルが曲がりにくく、また繰り返し屈曲した際に曲がりにくい十字状の介在が破断してしまいやすい。介在が破断すると、その破断箇所で漏話が発生して対間クロストークが大きくなってしまい、また対撚線30の位置が安定しなくなるために伝送特性も劣化してしまう。
これに対して、本実施の形態では、ケーブル中心に配置される第1介在21と、その周囲に第1介在21とは別体に配置される複数の第2介在22とによって十字状の介在2を形成しているため、ケーブル1を屈曲した際に、第1介在21と第2介在22とがケーブル長手方向に相対的に移動して、屈曲時の応力を分散される。その結果、ケーブル1を繰り返し屈曲しても、第1及び第2介在21,22が破断しにくくなり、耐屈曲性を向上させると共に、対撚線30の位置ずれや対間クロストークの増加を抑えて良好な伝送特性を維持することが可能になる。
さらに、本実施の形態では、複数の第2介在22は、ケーブルコア5が屈曲されたときに第1介在21と接離可能(接したり離れたりすることが可能)に設けられている。これにより、ケーブル屈曲時の第2介在22の破断をより抑制し、耐屈曲性をより向上させることが可能になる。
第1介在21及び第2介在22としては、その表面が滑りやすく、摩耗しにくい材質から構成されることが望ましい。また、第1介在21及び第2介在22としては、伝送特性の劣化を抑制するため、なるべく誘電率が低い材質から構成されることが望ましい。このような特性を満足する第1介在21及び第2介在22に公的な材質としては、例えば、PE(ポリエチレン)、フッ素樹脂、XF(改質フッ素樹脂)を樹脂表面にコーティングしたXFコート線などが挙げられる。
ここでは、製造コストを抑制するために第1介在21と第2介在22とを同じ材質としたが、これに限らず、第1介在21と第2介在22とを異なる材質で構成してもよい。この場合、ケーブル中心に配置される第1介在21は屈曲時に受ける負荷が大きくなるために、第1介在21の引張強さは、第2介在22の引張強さ以上とするとよい。
また、本実施の形態では、第1介在21及び第2介在22の断面形状を円形状(負荷がかかっていない状態において円形状)としている。これに限らず、第1介在21及び第2介在22の断面形状は、例えば、楕円形状や多角形状であってもよい。ただし、対撚線30の外形と揃えてケーブル全体のバランスがとりやすく、また、対撚線30や介在21,22同士の接触面積を抑えて屈曲時にケーブル長手方向に移動しやすくするという観点から、第1介在21及び第2介在22の断面形状を円形状とすることがより望ましいといえる。
(ケーブルコア5)
ケーブルコア5は、第1介在21の周囲に、4本の対撚線30と4本の第2介在22とを螺旋状に撚り合わせて構成される。このとき、周方向において対撚線30と第2介在22とが交互に配置される。ケーブルコア5の撚り方向は、対撚線30の撚り方向と反対方向とされる。つまり、ケーブルコア5の撚り方向は、導体311の撚り方向と同じ方向とされる。なお、ケーブルコア5の撚り方向とは、ケーブルコア5の一端から見たときに、ケーブルコア5の他端側から一端側にかけて対撚線30及び第2介在22が回転している方向である。
ケーブルコア5は、第1介在21の周囲に、4本の対撚線30と4本の第2介在22とを螺旋状に撚り合わせて構成される。このとき、周方向において対撚線30と第2介在22とが交互に配置される。ケーブルコア5の撚り方向は、対撚線30の撚り方向と反対方向とされる。つまり、ケーブルコア5の撚り方向は、導体311の撚り方向と同じ方向とされる。なお、ケーブルコア5の撚り方向とは、ケーブルコア5の一端から見たときに、ケーブルコア5の他端側から一端側にかけて対撚線30及び第2介在22が回転している方向である。
本実施の形態では、第2介在22の外径を対撚線30の外径よりも小さくしているため、対撚線30は、第1介在21の外面と、押え巻きテープ6の内面に直接接触している。第2介在22は、周方向に隣り合う対撚線30と押え巻きテープ6の内面との間の隙間を埋めるように設けられており、周方向に隣り合う対撚線30と押え巻きテープ6とには直接接触しているが、第1介在21には接触していない。
(押え巻きテープ6)
ケーブルコア5の周囲には、押え巻きテープ6が螺旋状に巻き付けられている。押え巻きテープ6は、ケーブルコア5の撚りが解けることを抑制し、かつ、ケーブルコア5とシールド層7とを隔離する役割を果たすものである。押え巻きテープ6は、その幅方向の一部が重なるように、ケーブルコア5の周囲に螺旋状に巻き付けられている。ケーブル1を繰り返し屈曲した際に、押え巻きテープ6がシールド層7を損傷しないように、押え巻きテープ6としては、できるだけ剛性が低く、直線状に戻ろうとする復元力(弾性力)が小さいものを用いることが望ましく、例えば、紙テープまたは不織布テープからなるものを用いるとよい。
ケーブルコア5の周囲には、押え巻きテープ6が螺旋状に巻き付けられている。押え巻きテープ6は、ケーブルコア5の撚りが解けることを抑制し、かつ、ケーブルコア5とシールド層7とを隔離する役割を果たすものである。押え巻きテープ6は、その幅方向の一部が重なるように、ケーブルコア5の周囲に螺旋状に巻き付けられている。ケーブル1を繰り返し屈曲した際に、押え巻きテープ6がシールド層7を損傷しないように、押え巻きテープ6としては、できるだけ剛性が低く、直線状に戻ろうとする復元力(弾性力)が小さいものを用いることが望ましく、例えば、紙テープまたは不織布テープからなるものを用いるとよい。
(シールド層7)
シールド層7は、複数本の金属素線を編み合わせた編組シールドからなり、押え巻きテープ6の周囲を覆うように設けられている。本実施の形態では、押え巻きテープ6の周囲を覆うように設けられた第1シールド層71と、第1シールド層71の周囲を覆うように設けられた第2シールド層72と、からなる2層構造のシールド層7を用いているが、シールド層7は1層であってもよい。
シールド層7は、複数本の金属素線を編み合わせた編組シールドからなり、押え巻きテープ6の周囲を覆うように設けられている。本実施の形態では、押え巻きテープ6の周囲を覆うように設けられた第1シールド層71と、第1シールド層71の周囲を覆うように設けられた第2シールド層72と、からなる2層構造のシールド層7を用いているが、シールド層7は1層であってもよい。
ケーブル1の細径化及び可とう性向上のため、第1及び第2シールド層71、72に用いる金属素線としては、外径0.10mm未満の細径のものを用いるとよい。本実施の形態では、外径0.08mmの軟銅線からなる金属素線を用いた。なお、第1及び第2シールド層71、72は、複数本の金属編組を螺旋状に横巻きして配置させた横巻きシールドでもよい。また、第1及び第2シールド層71、72を構成する金属素線としては、銅、アルミニウムまたはそれらの合金からなる素線、あるいは繊維糸の外面に金属箔や金属めっきからなる金属層を有する素線などを用いることができる。
(シース8)
シース8は、シールド層7(第2シールド層72)の周囲を覆うように設けられている。本実施の形態では、シース8として、ポリ塩化ビニル樹脂からなるものを用いた。ただし、シース8の材質はこれに限定されず、例えばウレタン樹脂、フッ素樹脂、フッ素ゴム等の少なくとも1種の樹脂を主成分(ベース)とする樹脂組成物からなるものであってもよい。なお、シース8の厚さは、0.6mm以上1.0mm以下であり、ケーブル1の外径は、6.0mm以上9.0mm以下である。本実施の形態では、シース8の厚さを0.8mmとし、ケーブル1の外径を7.2mmとした。
シース8は、シールド層7(第2シールド層72)の周囲を覆うように設けられている。本実施の形態では、シース8として、ポリ塩化ビニル樹脂からなるものを用いた。ただし、シース8の材質はこれに限定されず、例えばウレタン樹脂、フッ素樹脂、フッ素ゴム等の少なくとも1種の樹脂を主成分(ベース)とする樹脂組成物からなるものであってもよい。なお、シース8の厚さは、0.6mm以上1.0mm以下であり、ケーブル1の外径は、6.0mm以上9.0mm以下である。本実施の形態では、シース8の厚さを0.8mmとし、ケーブル1の外径を7.2mmとした。
(伝送特性の評価)
図1のケーブル1を試作し、各対撚線30間の対間クロストーク(遠端漏話)及び減衰量を測定した。ケーブル長は8mとし、20℃の環境下で、1.0MHz~500.0MHzの周波数でネットワークアナライザを用いて対間クロストーク及び減衰量の測定を行った。対間クロストークの測定結果及びカテゴリー6Aの規格値をまとめて表1に示す。また、減衰量の測定結果及びカテゴリー6Aの規格値をまとめて表2に示す。なお、表1,2では、4つの対撚線30をそれぞれA~Dであらわしている。例えば、表1における対間クロストーク欄の1行目がA、2行目がBと表示されている列は、対撚線Aと対撚線Bとの間の対間クロストークを表している。
図1のケーブル1を試作し、各対撚線30間の対間クロストーク(遠端漏話)及び減衰量を測定した。ケーブル長は8mとし、20℃の環境下で、1.0MHz~500.0MHzの周波数でネットワークアナライザを用いて対間クロストーク及び減衰量の測定を行った。対間クロストークの測定結果及びカテゴリー6Aの規格値をまとめて表1に示す。また、減衰量の測定結果及びカテゴリー6Aの規格値をまとめて表2に示す。なお、表1,2では、4つの対撚線30をそれぞれA~Dであらわしている。例えば、表1における対間クロストーク欄の1行目がA、2行目がBと表示されている列は、対撚線Aと対撚線Bとの間の対間クロストークを表している。
表1及び表2に示すように、本実施の形態に係るケーブル1は、1.0MHz~500.0MHzの周波数帯域において、対間クロストーク、減衰量ともにカテゴリー6Aの規格値を満足しており、良好な伝送特性を有していることが確認できた。
(耐屈曲性の評価)
図1のケーブル1を3本作製し、作製した3本のケーブル1のそれぞれについて、左右90度屈曲試験を行い、耐屈曲性を評価した。左右90度屈曲試験は、図4に示すように、試料となるケーブル1の下端に荷重W=2N(0.2kgf)の錘を吊り下げ、ケーブル1の左右に湾曲した形の曲げジグ100を取り付けた状態で、曲げジグ100に沿って左右方向に向けて屈曲角±90°の曲げを加えるようにケーブル1を屈曲させることで行った。屈曲R(曲げ半径)は、ケーブル1の外径(約7.2mm)の約2倍とした。屈曲速度は30回/分とし、屈曲回数は左右方向への1往復を1回としてカウントした。そして、ケーブル1の屈曲を繰り返し、適宜回ごとにケーブル1の両端間で導体311の導通を調べ、抵抗値が試験前の抵抗値(初期の抵抗値)に対して20%増加したときに破断が生じたものとみなし、そのときの屈曲回数を屈曲寿命とした。
図1のケーブル1を3本作製し、作製した3本のケーブル1のそれぞれについて、左右90度屈曲試験を行い、耐屈曲性を評価した。左右90度屈曲試験は、図4に示すように、試料となるケーブル1の下端に荷重W=2N(0.2kgf)の錘を吊り下げ、ケーブル1の左右に湾曲した形の曲げジグ100を取り付けた状態で、曲げジグ100に沿って左右方向に向けて屈曲角±90°の曲げを加えるようにケーブル1を屈曲させることで行った。屈曲R(曲げ半径)は、ケーブル1の外径(約7.2mm)の約2倍とした。屈曲速度は30回/分とし、屈曲回数は左右方向への1往復を1回としてカウントした。そして、ケーブル1の屈曲を繰り返し、適宜回ごとにケーブル1の両端間で導体311の導通を調べ、抵抗値が試験前の抵抗値(初期の抵抗値)に対して20%増加したときに破断が生じたものとみなし、そのときの屈曲回数を屈曲寿命とした。
作製した3本のケーブル1に対して、屈曲R(曲げ半径)がケーブル1の外径の約2倍という厳しい条件で左右90度屈曲試験を行った結果では、屈曲回数が100万回に到達したときの抵抗値の増加が0.1%~3.4%であった。すなわち、本実施の形態に係るケーブル1は、屈曲回数が100万回に到達した段階でも導体311の抵抗値が殆ど増加せず(抵抗値の増加が5%以下であり)、屈曲寿命に到達しなかった。
(変形例)
本実施の形態では、第1介在21が単一の材質で構成される場合について説明したが、これに限らず、第1介在21が複数の材質を組み合わせて構成されてもよい。例えば、図2に示すケーブル1aのように、第1介在21が、テンションメンバ21aと、テンションメンバの周囲を覆う絶縁層21bと、を有していてもよい。テンションメンバ21aとしては、例えば鋼線を撚り合わせたものや、高張力繊維等を用いることができる。第1介在21がテンションメンバ21aを有することで、このテンションメンバ21aが屈曲時の引張力を受けることが可能になり、激しく屈曲を繰り返したり、ケーブルを架線したりするような用途であっても、断線を抑制可能な高い耐屈曲性を実現できる。
本実施の形態では、第1介在21が単一の材質で構成される場合について説明したが、これに限らず、第1介在21が複数の材質を組み合わせて構成されてもよい。例えば、図2に示すケーブル1aのように、第1介在21が、テンションメンバ21aと、テンションメンバの周囲を覆う絶縁層21bと、を有していてもよい。テンションメンバ21aとしては、例えば鋼線を撚り合わせたものや、高張力繊維等を用いることができる。第1介在21がテンションメンバ21aを有することで、このテンションメンバ21aが屈曲時の引張力を受けることが可能になり、激しく屈曲を繰り返したり、ケーブルを架線したりするような用途であっても、断線を抑制可能な高い耐屈曲性を実現できる。
また、図3に示すケーブル1bのように、断面円形状の絶縁層21cの周囲に、樹脂テープ21dを螺旋状に巻き付けて第1介在21を構成してもよい。例えば、PTFEは表面の滑りは良いものの高価な材質であるが、例えば、絶縁層21cにPE等の安価な樹脂を用い、その周囲にPTFE等の滑りの良い材質からなる樹脂テープ21dを巻き付ける構成とすることで、コストの低減を図りつつも、表面の滑りがよい第1介在21を実現でき、低コストかつ耐屈曲性の良好なケーブル1bを実現できる。
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係るケーブル1では、ケーブル中心に設けられた線状の第1介在21と、一対の絶縁電線31を撚り合わせてなる複数の対撚線30と、対撚線30と同数の線状の複数の第2介在22と、対撚線30と第2介在22とが周方向に交互に配置されるように、第1介在21の周囲に複数の対撚線30と複数の第2介在22とを螺旋状に撚り合わせてなるケーブルコア5の周囲を覆うように設けられたシールド層7と、シールド層7の周囲を被覆しているシース8と、を備えている。
以上説明したように、本実施の形態に係るケーブル1では、ケーブル中心に設けられた線状の第1介在21と、一対の絶縁電線31を撚り合わせてなる複数の対撚線30と、対撚線30と同数の線状の複数の第2介在22と、対撚線30と第2介在22とが周方向に交互に配置されるように、第1介在21の周囲に複数の対撚線30と複数の第2介在22とを螺旋状に撚り合わせてなるケーブルコア5の周囲を覆うように設けられたシールド層7と、シールド層7の周囲を被覆しているシース8と、を備えている。
第2介在22により周方向に隣り合う対撚線30を離間させることで、対間距離を大きくして対間クロストークを抑制することが可能となり、カテゴリー6Aの規格値を満足する良好な伝送特性を得ることが可能になる。また、第1介在21と第2介在22とを分割して構成することで、第1介在21に対して第2介在22がケーブル長手方向に移動できるようになり、ケーブル1を繰り返し屈曲しても、第1介在21や第2介在22が破断しにくくなる。
さらに、第2介在22の外径を、対撚線30の外径の0.8倍以上1.0倍以下とすることで、対間距離を確保して対間クロストークを抑制し、かつ、ケーブル屈曲時においても対撚線30の位置(対撚線30同士の位置関係)を一定に維持することが可能になり、数百万回~数千万回の繰り返し屈曲に耐える高い耐屈曲性を有し、かつ、カテゴリー6Aの規格値を十分に満足する良好な伝送特性を有するケーブル1を得実現できる。
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
[1]線状の介在(2)および信号伝送用の複数の線心(3)を有するケーブルコア(5)と、前記ケーブルコア(5)の周囲を覆うシールド層(7)と、前記シールド層(7)の周囲を覆うシース(8)と、を備え、前記介在(2)は、ケーブル中心に設けられた第1介在(21)と、前記第1介在(21)の周囲に、ケーブル長手方向に垂直な断面視で前記第1介在(21)と十字状をなすように設けられた複数の第2介在(22)と、で構成されており、前記ケーブルコア(5)は、前記複数の線心(3)と前記複数の第2介在(22)とが周方向に交互に配置されるように、前記第1介在(21)の周囲に螺旋状に撚り合わせられている、ケーブル(1)。
[2]前記複数の第2介在(22)は、前記ケーブルコア(5)が屈曲されたときに前記第1介在(21)と接離可能に設けられている、[1]に記載のケーブル(1)。
[3]前記第1介在(21)の外径が、前記第2介在(22)の外径よりも大きい、[1]または[2]に記載のケーブル(1)。
[4]前記第2介在(22)の外径が、前記線心の外径の0.8倍以上1.0倍以下である、[1]乃至[3]の何れか1項に記載のケーブル(1)。
[5]前記第1介在(21)の引張強さが、前記第2介在(22)の引張強さ以上である、[1]乃至[4]の何れか1項に記載のケーブル(1)。
[6]前記線心(3)が、対撚線(30)からなる、[1]乃至[4]の何れか1項に記載のケーブル。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
1…ケーブル
2…介在
21…第1介在
22…第2介在
3…線心
30…対撚線
31…絶縁電線
5…ケーブルコア
6…押え巻きテープ
7…シールド層
8…シース
2…介在
21…第1介在
22…第2介在
3…線心
30…対撚線
31…絶縁電線
5…ケーブルコア
6…押え巻きテープ
7…シールド層
8…シース
Claims (6)
- 線状の介在および信号伝送用の複数の線心を有するケーブルコアと、
前記ケーブルコアの周囲を覆うシールド層と、
前記シールド層の周囲を覆うシースと、を備え、
前記介在は、ケーブル中心に設けられた第1介在と、前記第1介在の周囲に、ケーブル長手方向に垂直な断面視で前記第1介在と十字状をなすように設けられた複数の第2介在と、で構成されており、
前記ケーブルコアは、前記複数の線心と前記複数の第2介在とが周方向に交互に配置されるように、前記第1介在の周囲に螺旋状に撚り合わせられている、
ケーブル。 - 前記複数の第2介在は、前記ケーブルコアが屈曲されたときに前記第1介在と接離可能に設けられている、
請求項1に記載のケーブル。 - 前記第1介在の外径が、前記第2介在の外径よりも大きい、
請求項1または2に記載のケーブル。 - 前記第2介在の外径が、前記線心の外径の0.8倍以上1.0倍以下である、
請求項1乃至3の何れか1項に記載のケーブル。 - 前記第1介在の引張強さが、前記第2介在の引張強さ以上である、
請求項1乃至4の何れか1項に記載のケーブル。 - 前記線心が、対撚線からなる、
請求項1乃至5の何れか1項に記載のケーブル。
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Family Applications (1)
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2021
- 2021-07-12 JP JP2021114981A patent/JP2022044554A/ja active Pending
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