JP2022044110A - 記憶装置、cpu、及び電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速に動作し、メモリセルに保持されたデータを高い精度で読み取ることができる記憶装置を提供する。【解決手段】メモリセルを有し、メモリセルは、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、を有する記憶装置。第1のトランジスタは、第1のゲートと、第2のゲートと、第1のゲート絶縁層と、第2のゲート絶縁層と、を有する。第1のゲート絶縁層は、第1のゲートに対するゲート絶縁層であり、第2のゲート絶縁層は、第2のゲートに対するゲート絶縁層である。第1のゲート絶縁層は、強誘電性を有する。第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第2のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続され、第2のゲートは、第2のトランジスタのソース又はドレインの他方と電気的に接続される。【選択図】図3

Description

本発明の一態様は、記憶装置、CPU、及び電子機器に関する。
なお本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の技術分野は、物、駆動方法、又は、製造方法に関するものである。又は、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、又は、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、蓄電装置、撮像装置、記憶装置、信号処理装置、センサ、プロセッサ、電子機器、システム、それらの駆動方法、それらの製造方法、又はそれらの検査方法を一例として挙げることができる。
近年、扱われるデータ量の増大に伴って、より大きな記憶容量を有する記憶装置が求められている。単位面積あたりの記憶容量を増加させるためには、3D NAND型の記憶装置等のように、メモリセルを積層して形成することが有効である(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。メモリセルを積層して設けることにより、単位面積当たりの記憶容量をメモリセルの積層数に応じて増加させることができる。
米国特許出願公開2011/0065270号明細書 米国特許出願公開2016/0149004号明細書 米国特許出願公開2013/0069052号明細書
コンピュータのキャッシュメモリ、メインメモリ等に適用する記憶装置としては、アクセスに必要な時間が短いこと、換言すれば、例えば、書き込み速度、及び読み出し速度が速いことが求められている。例えば、SRAM(Static Random Access Memory)、及びDRAM(Dynamic Random Access Memory)のアクセス時間(遅延時間、レイテンシと呼ばれる場合がある。)は、およそ数nsから数十nsであるため、コンピュータのキャッシュメモリ、メインメモリ等として用いられている。しかし、SRAM、及びDRAM等は揮発性メモリであるため、データを保持している間は消費電力が高くなる場合がある。そのため、コンピュータのキャッシュメモリ、メインメモリに使われる記憶装置としては、大きい記憶容量であることに加えて、消費電力が低いことが求められている。
本発明の一態様は、消費電力が低い記憶装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、記憶容量が大きい記憶装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、高速に動作する記憶装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、メモリセルに保持されたデータを高い精度で読み取ることができる記憶装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、信頼性が高い記憶装置を提供することを課題の一とする。
又は、本発明の一態様は、新規な記憶装置等を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、上記記憶装置を有する電子機器を提供することを課題の一とする。
なお本発明の一態様の課題は、上記列挙した課題に限定されない。上記列挙した課題は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお他の課題は、以下の記載で述べる、本項目で言及していない課題である。本項目で言及していない課題は、当業者であれば明細書又は図面等の記載から導き出せるものであり、これらの記載から適宜抽出することができる。なお、本発明の一態様は、上記列挙した課題、及び他の課題のうち、少なくとも一つの課題を解決するものである。なお、本発明の一態様は、上記列挙した課題、及び他の課題の全てを解決する必要はない。
本発明の一態様は、メモリセルを有し、メモリセルは、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、を有し、第1のトランジスタは、第1のゲートと、第2のゲートと、第1のゲート絶縁層と、第2のゲート絶縁層と、を有し、第1のゲート絶縁層は、第1のゲートに対するゲート絶縁層であり、第2のゲート絶縁層は、第2のゲートに対するゲート絶縁層であり、第1のゲート絶縁層は、強誘電性を有し、第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第2のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続され、第2のゲートは、第2のトランジスタのソース又はドレインの他方と電気的に接続される記憶装置である。
又は、上記態様において、第1層と、第1層と重なる第2層と、を有し、第1層は、第1の回路と、第2の回路と、を有し、第2層は、メモリセルを有し、第1の回路は、第1のゲートに供給する電位を生成する機能を有し、第2の回路は、第2のトランジスタのオンオフを制御する機能を有してもよい。
又は、上記態様において、記憶装置は、メモリセルにデータを書き込む書込み動作と、データを読み出す読出し動作と、を行う機能を有し、第2の回路は、書込み動作を行う期間において、第2のトランジスタをオン状態とする機能を有し、第2の回路は、読出し動作を行う期間において、第2のトランジスタをオフ状態とする機能を有してもよい。
又は、上記態様において、第2のゲート絶縁層は、常誘電性を有してもよい。
又は、上記態様において、第1のゲート絶縁層は、酸化ハフニウム及び/又は酸化ジルコニウムを有してもよい。
又は、上記態様において、第2のトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有してもよい。
又は、本発明の一態様は、第1層と、第1層と重なる第2層と、を有し、第1層は、第1の回路と、第2の回路を有し、第2層は、メモリセルを有し、メモリセルは、トランジスタと、容量と、を有し、トランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、容量は、強誘電体層を有し、トランジスタのソース又はドレインの一方は、第1の回路と電気的に接続され、トランジスタのソース又はドレインの他方は、容量の一方の電極と電気的に接続され、トランジスタのゲートは、第2の回路と電気的に接続される記憶装置である。
又は、上記態様において、第1の回路は、ビット線ドライバ回路に相当し、第2の回路は、ワード線ドライバ回路に相当してもよい。
又は、上記態様において、強誘電体層は、酸化ハフニウム及び/又は酸化ジルコニウムを有してもよい。
又は、本発明の一態様の記憶装置と、基板と、を有するCPUも、本発明の一態様である。
又は、本発明の一態様の記憶装置と、表示部と、を有する電子機器も、本発明の一態様である。
本発明の一態様により、消費電力が低い記憶装置を提供することができる。又は、本発明の一態様により、記憶容量が大きい記憶装置を提供することができる。又は、本発明の一態様により、高速に動作する記憶装置を提供することができる。又は、本発明の一態様により、メモリセルに保持されたデータを高い精度で読み取ることができる記憶装置を提供することができる。又は、本発明の一態様により、信頼性が高い記憶装置を提供することができる。
又は、本発明の一態様により、新規な記憶装置等を提供することができる。又は、本発明の一態様により、上記記憶装置を有する電子機器を提供することができる。
なお本発明の一態様の効果は、上記列挙した効果に限定されない。上記列挙した効果は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお他の効果は、以下の記載で述べる、本項目で言及していない効果である。本項目で言及していない効果は、当業者であれば明細書又は図面等の記載から導き出せるものであり、これらの記載から適宜抽出することができる。なお、本発明の一態様は、上記列挙した効果、及び他の効果のうち、少なくとも一つの効果を有するものである。従って本発明の一態様は、場合によっては、上記列挙した効果を有さない場合もある。
図1は、記憶装置の構成例を示すブロック図である。 図2(A)、及び図2(B)は、記憶装置の構成例を示すブロック図である。 図3(A)は、メモリセルの構成例を示す回路図である。図3(B)は、トランジスタの構成例を示す断面模式図である。 図4(A)は、強誘電体層のヒステリシス特性の一例を示すグラフである。図4(B)は、メモリセルの駆動方法の一例を示すタイミングチャートである。 図5(A)、及び図5(B)は、メモリセルの駆動方法の一例を示す断面模式図である。 図6(A)、及び図6(B)は、メモリセルの駆動方法の一例を示す断面模式図である。 図7(A)乃至図7(E)は、メモリセルの構成例を示す回路図である。 図8(A)、及び図8(B)は、メモリセルの駆動方法の一例を示すタイミングチャートである。 図9は、記憶装置の構成例を示す断面図である。 図10は、記憶装置の構成例を示す断面図である。 図11(A)は、トランジスタの構成例を示す上面図である。図11(B)乃至図11(D)は、トランジスタの構成例を示す断面図である。 図12は、トランジスタの構成例を示す断面図である。 図13(A)は、IGZOの結晶構造の分類を説明する図である。図13(B)は、CAAC-IGZO膜のXRDスペクトルを説明する図である。図13(C)は、CAAC-IGZO膜の極微電子線回折パターンを説明する図である。 図14は、CPUの構成例を示すブロック図である。 図15(A)乃至図15(E)は、電子機器の一例を示す図である。 図16(A)乃至図16(H)は、電子機器の一例を示す図である。 図17(A)、及び図17(B)は、情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い意味での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductor又は単にOSともいう)等に分類される。例えば、トランジスタの活性層に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、金属酸化物が増幅作用、整流作用、及びスイッチング作用の少なくとも1つを有するトランジスタのチャネル形成領域を構成し得る場合、当該金属酸化物を、金属酸化物半導体(metal oxide semiconductor)と呼称することができる。また、OSトランジスタと記載する場合においては、金属酸化物又は酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
また、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
また、本明細書等において、各実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて、本発明の一態様とすることができる。また、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、互いに構成例を適宜組み合わせることが可能である。
なお、ある一つの実施の形態の中で述べる内容(一部の内容でもよい)は、その実施の形態で述べる別の内容(一部の内容でもよい)と、一つ若しくは複数の別の実施の形態で述べる内容(一部の内容でもよい)との少なくとも一つの内容に対して、適用、組み合わせ、又は置き換え等を行うことができる。
なお、実施の形態の中で述べる内容とは、各々の実施の形態において、様々な図を用いて述べる内容、又は明細書に記載される文章を用いて述べる内容のことである。
なお、ある一つの実施の形態において述べる図(一部でもよい)は、その図の別の部分、その実施の形態において述べる別の図(一部でもよい)と、一つ若しくは複数の別の実施の形態において述べる図(一部でもよい)との少なくとも一つの図に対して、組み合わせることにより、さらに多くの図を構成させることができる。
本明細書に記載の実施の形態については、図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなく、その形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態の発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、斜視図等において、図面の明確性を期すために、一部の構成要素の記載を省略している場合がある。
本明細書等において、複数の要素に同じ符号を用いる場合、特に、それらを区別する必要があるときには、符号に“_1”、“[n]”、“[m,n]”等の識別用の符号を付記して記載する場合がある。
また、本明細書の図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値等に限定されない。例えば、ノイズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、又は、タイミングのずれによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき等を含むことが可能である。
また、本明細書等において、「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものである。従って、構成要素の数を限定するものではない。また、構成要素の順序を限定するものではない。例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素が、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において「第2」に言及された構成要素とすることもありうる。また例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素を、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において省略することもありうる。
また、本明細書等において、「上に」、「下に」等の配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている場合がある。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書等で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。例えば、「導電体の上面に位置する絶縁体」の表現では、示している図面の向きを180度回転することによって、「導電体の下面に位置する絶縁体」と言い換えることができる。
また、「上」、及び「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上又は直下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
また、本明細書等において、「膜」、「層」等の語句は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、場合によっては、又は、状況に応じて、「膜」、「層」等の語句を使わずに、別の用語に入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」又は「導電膜」という用語を、「導電体」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、例えば、「絶縁層」、「絶縁膜」という用語を、「絶縁体」という用語に変更することが可能な場合がある。
また、本明細書等において「電極」、「配線」、「端子」等の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」、又は「配線」の用語は、複数の「電極」又は「配線」が一体となって形成されている場合等も含む。また、例えば、「端子」は「配線」又は「電極」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。更に、「端子」の用語は、複数の「電極」、「配線」、「端子」等が一体となって形成されている場合等も含む。そのため、例えば、「電極」は「配線」又は「端子」の一部とすることができ、また、例えば、「端子」は「配線」又は「電極」の一部とすることができる。また、「電極」、「配線」、「端子」等の用語は、場合によって、「領域」等の用語に置き換える場合がある。
また、本明細書等において、「配線」、「信号線」、「電源線」等の用語は、場合によっては、又は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「配線」という用語を、「信号線」という用語に変更することが可能な場合がある。また、例えば、「配線」という用語を、「電源線」等の用語に変更することが可能な場合がある。また、その逆も同様で、「信号線」、「電源線」等の用語を、「配線」という用語に変更することが可能な場合がある。「電源線」等の用語は、「信号線」等の用語に変更することが可能な場合がある。また、その逆も同様で「信号線」等の用語は、「電源線」等の用語に変更することが可能な場合がある。また、配線に印加されている「電位」という用語を、場合によっては、又は、状況に応じて、「信号」等という用語に変更することが可能な場合がある。また、その逆も同様で、「信号」等の用語は、「電位」という用語に変更することが可能な場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の記憶装置について説明する。
<記憶装置の構成例>
図1は、本発明の一態様の記憶装置の構成を示している。記憶装置MDVは、周辺回路PHL、及びメモリセルアレイMCAを有する。周辺回路PHLは、ローデコーダ2621、ワード線ドライバ回路2622、ビット線ドライバ回路2630、及び出力回路2640、コントロールロジック回路2660を有する。
ビット線ドライバ回路2630は、カラムデコーダ2631、プリチャージ回路2632、センスアンプ2633、及び書き込み回路2634を有する。プリチャージ回路2632は、後述するメモリセルMCに電気的に接続される配線(図1に図示していない)を所定の電位にプリチャージする機能を有する。センスアンプ2633は、メモリセルMCから読み出された電位(又は電流)をデータ信号として取得して、当該データ信号を増幅する機能を有する。増幅されたデータ信号は、出力回路2640を介して、デジタルのデータ信号RDATAとして記憶装置MDVの外部に出力される。
また、記憶装置MDVには、外部から電源電圧として低電源電圧(VSS)、周辺回路PHL用の高電源電圧(VDD)、メモリセルアレイMCA用の電源電圧(VIL)が供給される。
また、記憶装置MDVには、制御信号(CE、WE、RE)、アドレス信号ADDR、データ信号WDATAが外部から入力される。アドレス信号ADDRは、ローデコーダ2621及びカラムデコーダ2631に入力され、データ信号WDATAは書き込み回路2634に入力される。
コントロールロジック回路2660は、外部からの入力信号(CE、WE、RE)を処理して、ローデコーダ2621、カラムデコーダ2631の制御信号を生成する。CEは、チップイネーブル信号であり、WEは、書き込みイネーブル信号であり、REは、読み出しイネーブル信号である。コントロールロジック回路2660が処理する信号は、これに限定されるものではなく、必要に応じて、他の制御信号を入力すればよい。
なお、上述の各回路あるいは各信号は、必要に応じて、適宜、取捨することができる。
図2(A)、及び図2(B)は、記憶装置MDVの構成例を示す図である。図2(A)では、周辺回路PHLと、メモリセルアレイMCAと、が積層して設けられる構成を示している。具体的には、周辺回路PHLが、メモリセルアレイMCAの下層に設けられる構成を示している。
図2(A)の記憶装置MDVにおいて、メモリセルアレイMCAは、一例として、m×n個(m、nは1以上の整数とする。)のメモリセルMCを有する。また、メモリセルアレイMCAにおいて、メモリセルMCは、m行n列のマトリクス状に配置されている。なお、図2(A)では、複数のメモリセルMCのうち、メモリセルMC[1,1]、メモリセルMC[m,1]、メモリセルMC[1,n]、メモリセルMC[m,n]を抜粋して示している。
また、図2(A)の記憶装置MDVにおいて、周辺回路PHLは、回路WDaと、回路WDbと、回路BDと、回路CLCと、回路OPCと、を有する。なお、周辺回路PHLは、回路WDaと、回路WDbと、回路BDと、回路CLCと、回路OPCと、の全部を有する構成でなく、回路WDaと、回路WDbと、回路BDと、回路CLCと、回路OPCと、から選ばれた一以上の回路を有する構成としてもよい。
回路WDa、及び回路WDbは、一例として、図1におけるワード線ドライバ回路2622に相当する回路とすることができる。また、回路WDaは、一例として、配線WLa[1]乃至配線WLa[m]に電気的に接続され、回路WDbは、一例として、配線WLb[1]乃至配線WLb[m]に電気的に接続される。回路WDaは、配線WLaを介してメモリセルMCに供給する信号を生成する機能を有し、回路WDbは、配線WLbを介してメモリセルMCに供給する信号を生成する機能を有する。
回路BDは、一例として、図1におけるビット線ドライバ回路2630に相当する回路とすることができる。また、回路BDは、一例として、配線BLa[1]乃至配線BLa[n]、及び配線BLb[1]乃至配線BLb[n]に電気的に接続される。回路BDは、配線BLaを介してメモリセルMCに供給する信号、及び配線BLbを介してメモリセルMCに供給する信号を生成する機能を有する。また、回路BDは、配線BLaの電位又は電流を読み取る機能を有する。又は、回路BDは、配線BLbの電位又は電流を読み取る機能を有する。
回路CLCは、一例として、図1におけるコントロールロジック回路2660に相当する回路とすることができる。
回路OPCは、一例として、図1における出力回路2640に相当する回路とすることができる。
図2(A)の記憶装置MDVの構成例において、周辺回路PHLは、例えば、半導体基板上に形成することができる。つまり、回路WDaと、回路WDbと、回路BDと、回路OPCと、回路CLCと、は、半導体基板上に形成することができる。また、半導体基板としては、例えば、シリコンを材料とした基板とすることで、当該基板上にシリコンをチャネル形成領域に含むトランジスタ(以後、Siトランジスタと呼称する。)を形成することができる。そのため、周辺回路PHLに含まれているトランジスタとして、Siトランジスタを適用することができる。
また、半導体基板としては、例えば、ゲルマニウムを材料とした基板としてもよい。また、周辺回路PHLは、化合物半導体基板上に形成してもよく、当該化合物半導体基板としては、炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウム等を材料とした基板が挙げられる。また、周辺回路PHLは、半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えば、SOI(Silicon On Insulator)基板上に形成してもよい。
また、周辺回路PHLは、例えば、絶縁体基板上に形成することができる。当該絶縁体基板としては、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板等)、樹脂基板等が挙げられる。また、周辺回路PHLは、例えば、導電体基板上に形成することができる。当該導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板等が挙げられる。但し、絶縁体基板及び導電体基板は、半導体基板と異なって基板自体にチャネル形成領域を形成することができないため、絶縁体基板及び導電体基板に直接トランジスタを形成することができない。そのため、絶縁体基板又は導電体基板にトランジスタを形成するには、絶縁体基板又は導電体基板の上方に別途半導体膜を設ける必要がある。
図2(A)の記憶装置MDVの構成例において、メモリセルアレイMCAを周辺回路PHLの上方に設ける方法としては、例えば、半導体工程によって形成する方法が挙げられる。特に、OSトランジスタは、半導体工程によって形成することができるため、メモリセルアレイMCAに含まれているトランジスタとしてOSトランジスタを適用することによって、半導体基板、及び周辺回路PHLの上方にメモリセルアレイMCAを設けることができる。
また、図2(A)では、周辺回路PHLの上方にメモリセルアレイMCAが1個設けられた構成を示したが、本発明の一態様の記憶装置は、これに限定されない。例えば、本発明の一態様の記憶装置は、周辺回路PHLの上方には、積層された複数のメモリセルアレイMCAを設けてもよい。図2(B)では、周辺回路PHLの上方に、メモリセルアレイMCA[1]乃至メモリセルアレイMCA[p](pは2以上の整数とする。)が積層された記憶装置の構成を示している。
<メモリセルの構成例1>
図3(A)は、メモリセルMCの構成例を示す回路図である。メモリセルMCは、例えば、トランジスタFTrと、トランジスタTrと、を有する。
トランジスタFTrは、ゲートの他、バックゲートを有する。なお、トランジスタTrは、バックゲートを有してもよいし、有さなくてもよい。
本明細書等において、単に「ゲート」と呼ぶ場合は、フロントゲートを意味する場合がある。又は、フロントゲートとバックゲートの一方又は両方を意味する場合がある。また、トランジスタがゲートとバックゲートを有するデュアルゲート型である場合、ゲート又はバックゲートの一方を第1のゲートと呼び、ゲート又はバックゲートの他方を第2のゲートと呼ぶ場合がある。なお、デュアルゲート型のトランジスタにおいて、ゲートとバックゲートを入れ替えても本発明の一態様を適用できる場合がある。
トランジスタFTrのソース又はドレインの一方、及びトランジスタTrのソース又はドレインの一方は、配線BLaと電気的に接続される。トランジスタFTrのソース又はドレインの他方は、配線BLbと電気的に接続される。トランジスタFTrのゲートは、配線WLaと電気的に接続される。トランジスタTrのソース又はドレインの他方は、トランジスタFTrのバックゲートと電気的に接続される。トランジスタTrのゲートは、配線WLbと電気的に接続される。ここで、トランジスタTrのソース又はドレインの他方と、トランジスタFTrのバックゲートと、が電気的に接続されるノードをノードNBとする。
前述のように、トランジスタFTrのゲートは配線WLaと電気的に接続され、配線WLaに供給される電位は図2(A)等に示す回路WDaが生成する。よって、回路WDaは、トランジスタFTrのゲートに供給する電位を生成する機能を有する。
トランジスタTrはスイッチとしての機能を有し、トランジスタTrのゲートに高電位を印加することによりトランジスタTrはオン状態となり、トランジスタTrのゲートに低電位を印加することによりトランジスタTrはオフ状態となる。また、前述のようにトランジスタTrのゲートは配線WLbと電気的に接続され、配線WLbに供給される電位は図2(A)等に示す回路WDbが生成する。以上より、回路WDbは、トランジスタTrのオンオフを制御する機能を有する。
図3(B)は、トランジスタFTrの構成例を示す断面模式図である。トランジスタFTrは、導電層11と、絶縁層13と、半導体層15と、導電層17aと、導電層17bと、強誘電体層19と、導電層21と、を有する。
導電層11は、トランジスタFTrのバックゲートとしての機能を有し、絶縁層13は、導電層11に対するゲート絶縁層としての機能を有する。導電層17aは、トランジスタFTrのソース又はドレインの一方としての機能を有し、導電層17bは、トランジスタFTrのソース又はドレインの他方としての機能を有する。導電層21は、トランジスタFTrのゲートとしての機能を有し、強誘電体層19は、導電層21に対するゲート絶縁層としての機能を有する。
強誘電体層19は、強誘電性を有し得る材料を有する。よって、トランジスタFTrは、強誘電体ゲートトランジスタであるということができる。一方、絶縁層13は、常誘電性を有し得る材料を有することができる。メモリセルMCに強誘電体ゲートトランジスタを設けることで、詳細は後述するが、メモリセルMCにキャパシタを設けなくてもメモリセルMCにデータを保持することができる。また、記憶装置MDVを不揮発性メモリとすることができる。さらに、記憶装置MDVの消費電力を低減することができる。
本明細書等において、強誘電性とは、電圧を印加して分極させた後に電圧の印加を停止しても、分極の状態を保つ性質を示す。また、常誘電性とは、電圧を印加して分極させた後に電圧の印加を停止すると、分極の状態が維持されず消滅する性質を示す。
強誘電性を有しうる材料としては、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、HfZrO(Xは0よりも大きい実数とする)、酸化ハフニウムに元素J1(ここでの元素J1は、ジルコニウム(Zr)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、ガドリニウム(Gd)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)など。)を添加した材料、酸化ジルコニウムに元素J2(ここでの元素J2は、ハフニウム(Hf)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、ガドリニウム(Gd)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)など。)を添加した材料、などが挙げられる。また、強誘電性を有しうる材料として、PbTiO、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、タンタル酸ビスマス酸ストロンチウム(SBT)、ビスマスフェライト(BFO)、チタン酸バリウム、などのペロブスカイト構造を有する圧電性セラミックを用いてもよい。また、強誘電性を有しうる材料としては、例えば、上記に列挙した材料から選ばれた複数の材料、又は、上記に列挙した材料から選ばれた複数の材料からなる積層構造とすることができる。ところで、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、HfZrO、および酸化ハフニウムに元素J1を添加した材料などは、成膜条件だけでなく、各種プロセスなどによっても結晶構造(特性)が変わり得る可能性があるため、本明細書等では強誘電性を発現する材料のみを強誘電体と呼ぶのではなく、強誘電性を有しうる材料または強誘電性を有せしめると呼んでいる。
中でも強誘電性を有しうる材料として、酸化ハフニウム、あるいは酸化ハフニウムおよび酸化ジルコニウムを有する材料は、数nmといった薄膜に加工しても強誘電性を有しうることができるため、好ましい。
常誘電性を有し得る材料としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素及び窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン等を用いることができる。特に、酸化シリコン、及び酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。
半導体層15として、金属酸化物を適用することができる。当該金属酸化物は、インジウム、ガリウム、亜鉛の少なくとも一を含む酸化物であることが好ましい。また、当該酸化物の代わりとしては、インジウム、元素M(元素Mとしては、例えば、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウム等から選ばれた一種、又は複数種等が挙げられる。)、亜鉛の少なくとも一を含む酸化物を用いてもよい。
以上より、トランジスタFTrとしては、例えばOSトランジスタを適用することができる。
また、OSトランジスタは、オフ電流が極めて小さいという特性を有する。よって、トランジスタTrとしてOSトランジスタを適用すると、詳細は後述するが、ノードNBの電位を長期間保持することができ好ましい。
さらに、OSトランジスタは、高耐圧であるという特性を有する。よって、トランジスタFTrをOSトランジスタとすることにより、トランジスタFTrを微細化しても、トランジスタFTrに高電圧を印加することができる。また、トランジスタTrをOSトランジスタとすることにより、トランジスタTrを微細化しても、トランジスタTrに高電圧を印加することができる。トランジスタFTr、及び/又はトランジスタTrを微細化することにより、メモリセルMCの占有面積を小さくすることができる。よって、メモリセルMCを高密度に配置することができる。これにより、記憶装置MDVを、記憶容量が大きな記憶装置とすることができる。
なお、トランジスタFTr、及びトランジスタTrは、OSトランジスタとしなくてもよい。例えば、トランジスタFTr、及び/又はトランジスタTrとして、Siトランジスタを適用することができる。例えば、トランジスタFTr、及び/又はトランジスタTrとして、チャネル形成領域にアモルファスシリコンを有するトランジスタを適用することができる。又は、トランジスタFTr、及び/又はトランジスタTrとして、チャネル形成領域に低温ポリシリコンを有するトランジスタを適用することができる。
なお、図3(A)では、トランジスタFTr、及びトランジスタTrをnチャネル型トランジスタとしているが、トランジスタFTr又はトランジスタTrの一方又は双方をpチャネル型トランジスタとしてもよい。
強誘電体層19は、ヒステリシス特性を有する。図4(A)は、当該ヒステリシス特性の一例を示すグラフである。図4(A)において、横軸は強誘電体層19に印加する電圧を示す。当該電圧は、例えば半導体層15の電位と、導電層21の電位と、の差とすることができる。
また、図4(A)において、縦軸は強誘電体層19の分極量を示し、正の値の場合は正電荷が半導体層15側に偏り、負電荷が導電層21側に偏っていることを示す。一方、分極量が負の値の場合は、正電荷が導電層21側に偏り、負電荷が半導体層15側に偏っていることを示す。
なお、図4(A)のグラフの横軸に示す電圧を、導電層21の電位と、半導体層15の電位と、の差としてもよい。また、図4(A)のグラフの縦軸に示す分極量を、正電荷が導電層21側に偏り、負電荷が半導体層15側に偏っている場合に正の値とし、正電荷が半導体層15側に偏り、負電荷が導電層21側に偏っている場合に負の値としてもよい。
図4(A)に示すように、強誘電体層19のヒステリシス特性は、曲線51と、曲線52と、により表すことができる。曲線51と曲線52の交点における電圧を、VSP、及び-VSPとする。VSPと-VSPは、極性が異なるということができる。
強誘電体層19に-VSP以下の電圧を印加した後に、強誘電体層19に印加する電圧を高くしていくと、強誘電体層19の分極量は、曲線51に従って増加する。一方、強誘電体層19にVSP以上の電圧を印加した後に、強誘電体層19に印加する電圧を低くしていくと、強誘電体層19の分極量は、曲線52に従って減少する。よって、VSP、及び-VSPは、飽和分極電圧ということができる。なお、例えばVSPを第1の飽和分極電圧と呼び、-VSPを第2の飽和分極電圧と呼ぶ場合がある。
ここで、強誘電体層19の分極量が曲線51に従って変化する際の、強誘電体層19の分極量が0である場合における、強誘電体層19に印加される電圧をVcとする。また、強誘電体層19の分極量が曲線52に従って変化する際の、強誘電体層19の分極量が0である場合における、強誘電体層19に印加される電圧を-Vcとする。Vc、及び-Vcは、抗電圧ということができる。Vcの値、及び-Vcの値は、-VSPとVSPの間の値であるということができる。なお、例えばVcを第1の抗電圧と呼び、-Vcを第2の抗電圧と呼ぶ場合がある。
<メモリセルの駆動方法の一例1>
以下では、図3(A)に示すメモリセルMCの駆動方法の一例を説明する。以下の説明において、強誘電体層19に印加される電圧とは、半導体層15の電位と、導電層21の電位と、の差を示すものとする。また、トランジスタFTr、及びトランジスタTrは、nチャネル型トランジスタとする。
図4(B)は、図3(A)に示すメモリセルMCの駆動方法の一例を示すタイミングチャートである。具体的には、メモリセルMC[i,j](iは1以上m以下の整数とし、jは1以上n以下の整数とする。)の駆動方法の一例を示すタイミングチャートである。図4(B)において、“H”は高電位を示し、“L”は低電位を示す。メモリセルMCの駆動方法等を示す他の図面においても同様の記載をする。
図4(B)では、メモリセルMC[i,j]に2値のデジタルデータを書き込み、読み出す例を示している。具体的には、図4(B)では、時刻T01乃至時刻T04においてメモリセルMC[i,j]にデータ“1”を書き込んだ後読み出し、時刻T11乃至時刻T14においてメモリセルMC[i,j]にデータ“0”を書き込んだ後読み出す例を示している。
時刻T01乃至時刻T02において、配線WLa[i]の電位を-Vwとし、配線BLa[j]の電位、及び配線BLb[j]の電位をVwとする。これにより、トランジスタFTrの強誘電体層19に印加される電圧は、2Vwとなる。
ここで、図4(A)に示すように、Vwは、Vc以上、且つ2Vc以下とする。また、2Vwは、VSP以上とすることが好ましい。
図5(A)は、時刻T01乃至時刻T02におけるトランジスタFTrの状態を示す断面模式図である。図5(A)に示すように、強誘電体層19に印加される電圧を2Vwとすることにより、強誘電体層19の電荷は、半導体層15側に正電荷が偏り、導電層21側に負電荷が偏る。これにより、メモリセルMC[i,j]にデータ“1”を書き込むことができる。よって、時刻T01乃至時刻T02は、書き込み動作を行う期間であるということができる。
また、時刻T01乃至時刻T02において、配線WLb[i]の電位を高電位とする。これにより、トランジスタTrがオン状態となる。よって、ノードNB[i,j]の電位が、配線BLa[j]の電位であるVwとなる。前述のように、トランジスタTrのゲートに供給される電位は、回路WDbが生成する。以上より、回路WDbは、書き込み動作を行う期間において、トランジスタTrをオン状態とする機能を有する。
時刻T02乃至時刻T03において、まず、配線WLb[i]の電位を低電位とする。これにより、トランジスタTrがオフ状態となる。これにより、ノードNB[i,j]の電位が、配線BLa[j]の電位に依らずに保持される。
配線WLb[i]の電位を低電位とした後、例えば配線WLa[i]の電位、配線BLa[j]の電位、及び配線BLb[j]の電位を、GNDとする。ここで、GNDは、例えば接地電位とすることができる。これにより、メモリセルMC[i,j]へのデータの書き込みが完了する。なお、時刻T02乃至時刻T03において、配線WLa[i]の電位と、配線BLa[j]の電位と、配線BLb[j]の電位と、を互いに同一にする必要はなく、強誘電体層19において分極反転が発生しない電位、つまり強誘電体層19の分極量が0以上となるような電位であれば任意の電位とすることができる。また、GNDは、記憶装置MDVを本発明の一態様の趣旨を充足するように駆動させることができるのであれば、必ずしも接地電位としなくてもよい。
ここで、2Vwを飽和分極電圧であるVSP以上とすることにより、時刻T01以前において曲線51、又は曲線52のいずれに従って強誘電体層19の分極量が変化する場合であっても、時刻T02乃至時刻T03では曲線52に従って強誘電体層19の分極量が変化する。図4(A)に示すように、曲線52における抗電圧である-Vcは、曲線51における抗電圧であるVcより低い。よって、2Vwを飽和分極電圧であるVSP以上とすることにより、時刻T02乃至時刻T03において強誘電体層19の分極反転が生じにくくなる。
例えば、時刻T02乃至時刻T03において、曲線51に従って強誘電体層19の分極量が変化する場合は、配線WLa[i]の電位、配線BLa[j]の電位、及び配線BLb[j]の電位を全て等しくすると、強誘電体層19に印加される電圧が0Vとなり、曲線51における抗電圧であるVcを下回る。よって、強誘電体層19において分極反転が発生する。これにより、メモリセルMC[i,j]に書き込まれたデータが消去される。一方、時刻T02乃至時刻T03において、曲線52に従って強誘電体層19の分極量が変化する場合は、配線WLa[i]の電位、配線BLa[j]の電位、及び配線BLb[j]の電位を全て等しくしても、強誘電体層19に印加される電圧は、曲線52における抗電圧である-Vcを上回る。よって、配線WLa[i]の電位、配線BLa[j]の電位、及び配線BLb[j]の電位を例えば全てGNDとした場合であっても、メモリセルMC[i,j]に書き込まれたデータを保持することができる。
時刻T03乃至時刻T04において、まず、配線WLa[i]を電気的に浮遊状態とする。具体的には、回路WDaを用いて、配線WLa[i]を電気的に浮遊状態とする。配線WLa[i]を電気的に浮遊状態とした後、配線BLa[j]の電位をVrとし、配線BLb[j]の電位を例えばGNDとする。ここで、Vrは、例えばGNDより高い電位とする。
図5(B)は、時刻T03乃至時刻T04におけるトランジスタFTrの状態を示す断面模式図である。図5(B)に示すように、時刻T03乃至時刻T04では、トランジスタFTrのゲート絶縁層として機能する強誘電体層19において、半導体層15側に正電荷が分極している。トランジスタFTrはnチャネル型トランジスタとしているため、ドレイン-ソース間の電位差“Vr-GND”に起因して、半導体層15に電流Iが流れる。回路BDが、電流Iが流れた旨を読み取ることにより、メモリセルMC[i,j]に保持されたデータ“1”を読み出すことができる。よって、時刻T03乃至時刻T04は、読み出し動作を行う期間であるということができる。なお、強誘電体層19において分極反転が発生しないのであれば、配線WLa[i]を電気的に浮遊状態としなくてもよい。
また、時刻T03乃至時刻T04において、配線WLb[i]の電位は低電位とする。これにより、トランジスタTrがオフ状態となる。よって、ノードNB[i,j]の電位がVwに保持される。よって、トランジスタFTrのバックゲートとして機能する導電層11の電位は、Vwとなっている。Vwは、正電位とすることができる。よって、例えばトランジスタFTrに導電層11が設けられない場合と比較して、電流Iの電流値を大きくすることができる。これにより、記憶装置MDVは、読み出し動作を高速に行うことができる。よって、記憶装置MDVは、高速に動作する記憶装置とすることができる。なお、図5(B)では、導電層11の電位を“H”としている。
前述のように、トランジスタTrのゲートに供給される電位は、回路WDbが生成する。よって、回路WDbは、読み出し動作を行う期間において、トランジスタTrをオフ状態とする機能を有する。
なお、図4(B)では、時刻T03乃至時刻T04等において配線BLa[j]の電位をVr、配線BLb[j]の電位をGNDとし、VrはVwより高い電位としているが、電流Iが流れるのであれば、配線BLa[j]の電位、及び配線BLb[j]の電位は任意の電位とすることができる。例えば、配線BLa[j]の電位を、配線BLb[j]の電位より低くしてもよい。
時刻T04乃至時刻T11において、まず、配線WLa[i]の電位をGNDとする。配線WLa[i]の電位をGNDとした後、配線BLa[j]の電位をGNDとする。以上により、メモリセルMC[i,j]に対する読み出し動作が完了する。なお、時刻T04乃至時刻T11において、配線WLa[i]の電位、及び配線BLa[j]の電位は、必ずしも接地電位でなくてもよい。
時刻T11乃至時刻T12において、配線WLa[i]の電位をVwとし、配線BLa[j]の電位、及び配線BLb[j]の電位を-Vwとする。これにより、トランジスタFTrの強誘電体層19に印加される電圧は、-2Vwとなる。
図6(A)は、時刻T11乃至時刻T12におけるトランジスタFTrの状態を示す断面模式図である。図6(A)に示すように、強誘電体層19に印加される電圧を-2Vwとすることにより、強誘電体層19の電荷は、導電層21側に正電荷が偏り、半導体層15側に負電荷が偏る。これにより、メモリセルMC[i,j]にデータ“0”を書き込むことができる。よって、時刻T11乃至時刻T12は、書き込み動作を行う期間であるということができる。
また、時刻T11乃至時刻T12において、配線WLb[i]の電位を高電位とする。これにより、トランジスタTrがオン状態となる。よって、ノードNB[i,j]の電位が、配線BLa[j]の電位である-Vwとなる。
時刻T12乃至時刻T13において、まず、配線WLb[i]の電位を低電位とする。これにより、トランジスタTrがオフ状態となる。これにより、ノードNB[i,j]の電位が、配線BLa[j]の電位に依らずに保持される。
配線WLb[i]の電位を低電位とした後、例えば配線WLa[i]の電位、配線BLa[j]の電位、及び配線BLb[j]の電位を、GNDとする。これにより、メモリセルMC[i,j]へのデータの書き込みが完了する。なお、時刻T12乃至時刻T13において、配線WLa[i]の電位と、配線BLa[j]の電位と、配線BLb[j]の電位と、を互いに同一にする必要はなく、強誘電体層19において分極反転が発生しない電位、つまり強誘電体層19の分極量が0以下となるような電位であれば任意の電位とすることができる。
時刻T13乃至時刻T14において、まず、配線WLa[i]を電気的に浮遊状態とする。具体的には、回路WDaを用いて、配線WLa[i]を電気的に浮遊状態とする。配線WLa[i]を電気的に浮遊状態とした後、配線BLa[j]の電位をVrとし、配線BLb[j]の電位を例えばGNDとする。ここで、時刻T03乃至時刻T04と同様に、Vrは、例えばGNDより高い電位とする。
図6(B)は、時刻T13乃至時刻T14におけるトランジスタFTrの状態を示す断面模式図である。図6(B)に示すように、時刻T13乃至時刻T14では、トランジスタFTrのゲート絶縁層として機能する強誘電体層19において、半導体層15側に負電荷が分極している。トランジスタFTrはnチャネル型トランジスタとしているため、トランジスタFTrのドレイン-ソース間の電位差が“Vr-GND”であったとしても、時刻T03乃至時刻T04とは異なり半導体層15には電流が流れない。図6(B)では、半導体層15に電流が流れないことを、半導体層15に×印を付して示している。なお、強誘電体層19において分極反転が発生しないのであれば、配線WLa[i]を電気的に浮遊状態としなくてもよい。
回路BDが、トランジスタFTrのドレイン-ソース間の電位差を“Vr-GND”としたにも関わらず半導体層15に電流が流れなかった旨を読み取ることにより、メモリセルMC[i,j]に保持されたデータ“0”を読み出すことができる。よって、時刻T13乃至時刻T14は、読み出し動作を行う期間であるということができる。
また、時刻T13乃至時刻T14において、配線WLb[i]の電位は低電位とする。これにより、トランジスタTrがオフ状態となる。よって、ノードNB[i,j]の電位が-Vwに保持される。よって、トランジスタFTrのバックゲートとして機能する導電層11の電位は、-Vwとなっている。-Vwは、負電位とすることができる。よって、例えばトランジスタFTrに導電層11が設けられない場合より、半導体層15に意図しない電流が流れることを抑制することができる。これにより、記憶装置MDVは、メモリセルMC[i,j]に保持されたデータ“0”を高い精度で読み取ることができる。なお、図6(B)では、導電層11の電位を“L”としている。
時刻T14以降において、まず、配線WLa[i]の電位をGNDとする。配線WLa[i]の電位をGNDとした後、配線BLa[j]の電位をGNDとする。以上により、メモリセルMC[i,j]に対する読み出し動作が完了する。なお、時刻T14以降において、配線WLa[i]の電位、及び配線BLa[j]の電位は、必ずしも接地電位でなくてもよい。
以上、本発明の一態様の記憶装置では、読み出し動作により半導体層15に電流が流れる場合、つまりメモリセルMCにデータ“1”が保持されている場合は、強誘電体ゲートトランジスタであるトランジスタFTrのバックゲートの電位を例えば高電位とすることができる。一方、読み出し動作により半導体層15に電流が流れない場合、つまりメモリセルMCにデータ“0”が保持されている場合は、強誘電体ゲートトランジスタであるトランジスタFTrのバックゲートの電位を例えば低電位とすることができる。これにより、本発明の一態様の記憶装置は、メモリセルMCに保持されたデータを、高速かつ高い精度で読み取ることができる。なお、メモリセルMCにデータ“0”が保持されている場合に、読み出し動作により半導体層15に電流が流れるものとし、メモリセルMCにデータ“1”が保持されている場合に、読み出し動作により半導体層15に電流が流れないものとしてもよい。
また、時刻T01乃至時刻T02、及び時刻T11乃至時刻T12における配線WLa[i]の電位の絶対値と、配線BLa[j]及び配線BLb[j]の電位の絶対値と、は全てVwで等しいとしているが、本発明の一態様はこれに限らない。時刻T01乃至時刻T02、及び時刻T11乃至時刻T12において、配線WLa[i]の電位の絶対値と、配線BLa[j]及び配線BLb[j]の電位の絶対値と、が異なってもよい。例えば、第1の飽和分極電圧の絶対値と第2の飽和分極電圧の絶対値が異なり、第1の抗電圧の絶対値と第2の抗電圧の絶対値が異なる場合、配線WLa[i]の電位の絶対値と、配線BLa[j]及び配線BLb[j]の電位の絶対値と、を異なるものとすることができる。
さらに、時刻T01乃至時刻T14において、配線WLa[i]以外の配線WLaの電位、配線BLa[j]以外の配線BLaの電位、及び配線BLb[j]以外の配線BLbの電位は、例えばGNDとし、配線WLb[i]以外の配線WLbの電位は、例えば低電位とする。これにより、メモリセルMC[i,j]以外のメモリセルMCにデータが書き込まれ、またメモリセルMC[i,j]以外のメモリセルMCからデータが読み出されることを抑制することができる。
<メモリセルの構成例2>
以下では、メモリセルMCの、図3(A)とは異なる構成例を説明する。図7(A)乃至図7(E)は、メモリセルMCの構成例を示す回路図である。
図7(A)は、図3(A)に示すメモリセルMCの変形例であり、トランジスタTrのソース又はドレインの一方が、配線BLbと電気的に接続される点が、図3(A)に示すメモリセルMCと異なる。また、トランジスタTrのソース又はドレインの一方は、配線BLaと、配線BLbと、の両方と電気的に接続されてもよい。
図7(B)は、図3(A)に示すメモリセルMCの変形例であり、メモリセルMCが抵抗Rを有する点が、図3(A)に示すメモリセルMCと異なる。
抵抗Rの一方の端子は、トランジスタTrのソース又はドレインの他方と電気的に接続される。抵抗Rの他方の端子は、ノードNBと電気的に接続される。
メモリセルMCに抵抗Rを設けることにより、トランジスタTrをオン状態とした場合に、配線BLaの電位と、ノードNBの電位と、を異ならせることができる。例えば、配線BLaの電位をVwとしてトランジスタTrをオン状態とした場合、抵抗Rによる電圧降下により、ノードNBの電位をVwより低くすることができる。これにより、例えばトランジスタFTrのバックゲートの電界に起因する、トランジスタFTrの強誘電体層19の分極量の変化を抑制することができる。
図7(C)に示すメモリセルMCは、トランジスタFTrを有する。トランジスタFTrのソース又はドレインの一方は、配線BLaと電気的に接続される。トランジスタFTrのソース又はドレインの他方は、配線BLbと電気的に接続される。トランジスタFTrのゲートは、配線WLと電気的に接続される。トランジスタFTrのバックゲートは、配線BGLと電気的に接続される。
図7(C)に示す配線WLは、図2(A)等に示す回路WDaと電気的に接続される。メモリセルMCが図7(C)に示す構成である場合、記憶装置MDVは回路WDbを有しない構成とすることができる。
図7(C)に示すメモリセルMCでは、配線BGLの電位を制御することにより、トランジスタFTrのバックゲートの電位を制御することができる。例えば、図4(B)に示す時刻T03乃至時刻T04において、配線BGLの電位を高電位とし、時刻T13乃至時刻T14において、配線BGLの電位を低電位とする。なお、図7(C)に示すメモリセルMCでは、トランジスタFTrはバックゲートを有さなくてもよい。
記憶装置MDVが図7(A)乃至図7(C)に示すメモリセルMCを有する場合、記憶装置MDVは不揮発性メモリとしての機能を有する。
図7(D)に示すメモリセルMCは、トランジスタTr2と、容量Feと、を有する。なお、トランジスタTr2は、図3(A)等に示すトランジスタTrと同様に、バックゲートを有してもよいし、有していなくてもよい。また、図7(D)では、トランジスタTr2をnチャネル型トランジスタとしているが、pチャネル型トランジスタとしてもよい。
トランジスタTr2のソース又はドレインの一方は、配線BLと電気的に接続される。トランジスタTr2のソース又はドレインの他方は、容量Feの一方の電極と電気的に接続される。トランジスタTr2のゲートは、配線WLと電気的に接続される。容量Feの他方の電極は、配線PLと電気的に接続される。
トランジスタTr2はスイッチとしての機能を有し、配線WLに高電位を印加することによりトランジスタTr2はオン状態となり、配線WLに低電位を印加することによりトランジスタTr2はオフ状態となる。配線WLは、例えば図2(A)等に示す回路WDbと電気的に接続される。この場合、回路WDbは、トランジスタTr2のオンオフを制御する機能を有する。なお、メモリセルMCが図7(D)に示す構成である場合、記憶装置MDVは回路WDaを有しない構成とすることができる。
容量Feは、2つの電極の間に、誘電体層として強誘電性を有し得る材料を有する。容量Feが有する誘電体層として、トランジスタFTrが有する強誘電体層19と同様の材料を有する誘電体層を用いることができる。容量Feをこのような構成とすることにより、記憶装置MDVを不揮発性メモリとすることができる。
以下では、容量Feが有する誘電体層を、強誘電体層と呼ぶ。当該強誘電体層が有する特性は、図4(A)を参酌することができる。
容量Feが有する強誘電体層に印加される電圧は、容量Feの一方の電極の電位と、容量Feの他方の電極の電位と、の差により表すことができる。ここで、前述のように、容量Feの他方の電極は、配線PLと電気的に接続される。よって、配線PLの電位を制御することにより、容量Feが有する強誘電体層に印加される電圧を制御することができる。ここで、配線PLの電位は、図2(A)等に示す周辺回路PHLに設けられる回路により生成することができる。配線PLは、プレート線とすることができる。
トランジスタTr2として、OSトランジスタを適用することが好ましい。前述のように、OSトランジスタは、オフ電流が極めて低いという特性を有する。よって、トランジスタTr2としてOSトランジスタを適用することにより、メモリセルMCに書き込まれたデータを長期間保持することができる。
また、前述のように、OSトランジスタは、高耐圧であるという特性を有する。よって、トランジスタTr2をOSトランジスタとすることにより、トランジスタTr2を微細化しても、トランジスタTr2に高電圧を印加することができる。トランジスタTr2を微細化することにより、メモリセルMCの占有面積を小さくすることができる。例えば、図7(D)に示すメモリセルMCの1個あたりの占有面積は、SRAMセルの1個あたりの占有面積の1/3乃至1/6とすることができる。よって、メモリセルMCを高密度に配置することができる。これにより、記憶装置MDVを、記憶容量が大きな記憶装置とすることができる。
なお、トランジスタTr2は、OSトランジスタとしなくてもよい。例えば、トランジスタTr2として、Siトランジスタを適用することができる。例えば、トランジスタTr2として、チャネル形成領域にアモルファスシリコンを有するトランジスタを適用することができる。又は、トランジスタTr2として、チャネル形成領域に低温ポリシリコンを有するトランジスタを適用することができる。
<メモリセルの駆動方法の一例2>
以下では、図7(D)に示すメモリセルMCの駆動方法の一例を説明する。以下の説明において、容量Feの強誘電体層に印加される電圧とは、容量Feの一方の電極の電位と、容量Feの他方の電極(配線PL)の電位と、の差を示すものとする。また、トランジスタTr2は、nチャネル型トランジスタとする。
図8(A)は、図7(D)に示すメモリセルMCの駆動方法の一例を示すタイミングチャートである。図8(A)では、メモリセルMCに2値のデジタルデータを書き込み、読み出す例を示している。具体的には、図8(A)では、時刻T21乃至時刻T22においてメモリセルMCにデータ“1”を書き込み、時刻T23乃至時刻T25において読み出し及び再書き込みを行い、時刻T31乃至時刻T33において読み出し、及びメモリセルMCへのデータ“0”の書き込みを行い、時刻T34乃至時刻T36において読み出し及び再書き込みを行い、時刻T37乃至時刻T39において読み出し、及びメモリセルMCへのデータ“1”の書き込みを行う例を示している。
図2(A)等に示す回路BDが有するセンスアンプ(例えば、図1に示すセンスアンプ2633に相当する。)には、基準電位としてVrefが供給されるものとする。図8(A)等に示す読み出し動作において、配線BLの電位がVrefより高い場合は、回路BDによりデータ“1”が読み取られるものとする。一方、配線BLの電位がVrefより低い場合は、回路BDによりデータ“0”が読み取られるものとする。なお、VrefはGNDより高く、2Vwより低いものとしているが、例えば2Vwより高くてもよい。
時刻T21乃至時刻T22において、配線WLの電位を高電位とする。これにより、トランジスタTr2がオン状態となる。また、配線BLの電位を2Vwとする。トランジスタTr2はオン状態であるため、容量Feの一方の電極の電位は2Vwとなる。さらに、配線PLの電位をGNDとする。以上より、容量Feの強誘電体層に印加される電圧は、“2Vw-GND”となる。これにより、メモリセルMCにデータ“1”を書き込むことができる。よって、時刻T21乃至時刻T22は、書き込み動作を行う期間であるということができる。
時刻T22乃至時刻T23において、配線BLの電位、及び配線PLの電位をGNDとする。これにより、容量Feの強誘電体層に印加される電圧は、0Vとなる。時刻T21乃至時刻T22において容量Feの強誘電体層に印加される電圧“2Vw-GND”はVSP以上とすることができることから、時刻T22乃至時刻T23において、容量Feの強誘電体層の分極量は図4(A)に示す曲線52に従って変化する。以上より、時刻T22乃至時刻T23では、容量Feの強誘電体層において分極反転は発生しない。
配線BLの電位、及び配線PLの電位をGNDとした後、配線WLの電位を低電位とする。これにより、トランジスタTr2がオフ状態となる。以上により、書き込み動作が完了し、メモリセルMCへデータ“1”が保持される。なお、配線BL、及び配線PLの電位は、容量Feの強誘電体層において分極反転が発生しないのであれば任意の電位とすることができる。
時刻T23乃至時刻T24において、配線WLの電位を高電位とする。これにより、トランジスタTr2がオン状態となる。また、配線PLの電位を2Vwとする。配線PLの電位を2Vwとすることにより、容量Feの強誘電体層に印加される電圧が、“GND-2Vw”となる。前述のように、時刻T21乃至時刻T22において容量Feの強誘電体層に印加される電圧は“2Vw-GND”である。よって、容量Feの強誘電体層において分極反転が発生する。分極反転の際に、配線BLに電流が流れ、配線BLの電位はVrefより高くなる。よって、回路BDが、メモリセルMCに保持されたデータ“1”を読み出すことができる。したがって、時刻T23乃至時刻T24は、読み出し動作を行う期間であるということができる。
上記読み出しは、破壊読み出しであるため、メモリセルMCに保持されたデータ“1”は失われる。そこで、時刻T24乃至時刻T25において、配線BLの電位を2Vwとし、配線PLの電位をGNDとする。これにより、メモリセルMCにデータ“1”を再書き込みする。よって、時刻T24乃至時刻T25は、再書き込み動作を行う期間であるということができる。
時刻T25乃至時刻T31において、配線BLの電位、及び配線PLの電位をGNDとする。その後、配線WLの電位を低電位とする。以上により、再書き込み動作が完了し、メモリセルMCにデータ“1”が保持される。
時刻T31乃至時刻T32において、配線WLの電位を高電位とし、配線PLの電位を2Vwとする。メモリセルMCにはデータ“1”が保持されているため、配線BLの電位がVrefより高くなり、メモリセルMCに保持されているデータ“1”が読み出される。よって、時刻T31乃至時刻T32は、読み出し動作を行う期間であるということができる。
時刻T32乃至時刻T33において、配線BLの電位をGNDとする。トランジスタTr2はオン状態であるため、容量Feの一方の電極の電位はGNDとなる。また、配線PLの電位を2Vwとする。以上より、容量Feの強誘電体層に印加される電圧は、“GND-2Vw”となる。これにより、メモリセルMCにデータ“0”を書き込むことができる。よって、時刻T32乃至時刻T33は、書き込み動作を行う期間であるということができる。
時刻T33乃至時刻T34において、配線BLの電位、及び配線PLの電位をGNDとする。これにより、容量Feの強誘電体層に印加される電圧は、0Vとなる。時刻T32乃至時刻T33において容量Feの強誘電体層に印加される電圧“GND-2Vw”は-VSP以下とすることができることから、時刻T33乃至時刻T34において、容量Feの強誘電体層の分極量は図4(A)に示す曲線51に従って変化する。以上より、時刻T33乃至時刻T34では、容量Feの強誘電体層において分極反転は発生しない。
配線BLの電位、及び配線PLの電位をGNDとした後、配線WLの電位を低電位とする。これにより、トランジスタTr2がオフ状態となる。以上により、書き込み動作が完了し、メモリセルMCへデータ“0”が保持される。なお、配線BL、及び配線PLの電位は、容量Feの強誘電体層において分極反転が発生しないのであれば任意の電位とすることができる。
時刻T34乃至時刻T35において、配線WLの電位を高電位とする。これにより、トランジスタTr2がオン状態となる。また、配線PLの電位を2Vwとする。配線PLの電位を2Vwとすることにより、容量Feの強誘電体層に印加される電圧が、“GND-2Vw”となる。前述のように、時刻T32乃至時刻T33において容量Feの強誘電体層に印加される電圧は“GND-2Vw”である。よって、容量Feの強誘電体層において分極反転が発生しない。よって、配線BLに流れる電流量は、容量Feの強誘電体層において分極反転が発生する場合より小さい。これにより、配線BLの電位の上昇幅は、容量Feの強誘電体層において分極反転が発生する場合より小さくなり、具体的には配線BLの電位はVref以下となる。よって、回路BDが、メモリセルMCに保持されたデータ“0”を読み出すことができる。したがって、時刻T34乃至時刻T35は、読み出し動作を行う期間であるということができる。
時刻T35乃至時刻T36において、配線BLの電位をGNDとし、配線PLの電位を2Vwとする。これにより、メモリセルMCにデータ“0”を再書き込みする。よって、時刻T35乃至時刻T36は、再書き込み動作を行う期間であるということができる。
時刻T36乃至時刻T37において、配線BLの電位、及び配線PLの電位をGNDとする。その後、配線WLの電位を低電位とする。以上により、再書き込み動作が完了し、メモリセルMCにデータ“0”が保持される。
時刻T37乃至時刻T38において、配線WLの電位を高電位とし、配線PLの電位を2Vwとする。メモリセルMCにはデータ“0”が保持されているため、配線BLの電位がVrefより低くなり、メモリセルMCに保持されているデータ“0”が読み出される。よって、時刻T37乃至時刻T38は、読み出し動作を行う期間であるということができる。
時刻T38乃至時刻T39において、配線BLの電位を2Vwとする。トランジスタTr2はオン状態であるため、容量Feの一方の電極の電位は2Vwとなる。また、配線PLの電位をGNDとする。以上より、容量Feの強誘電体層に印加される電圧は、“2Vw-GND”となる。これにより、メモリセルMCにデータ“1”を書き込むことができる。よって、時刻T38乃至時刻T39は、書き込み動作を行う期間であるということができる。
時刻T39以降において、配線BLの電位、及び配線PLの電位をGNDとする。その後、配線WLの電位を低電位とする。以上により、書き込み動作が完了し、メモリセルMCにデータ“1”が保持される。
図8(B)は、図7(D)に示すメモリセルMCの駆動方法の一例を示すタイミングチャートであり、図8(A)とは異なる駆動方法を示す。図8(B)においても、図8(A)と同様に、メモリセルMCに2値のデジタルデータを書き込み、読み出す例を示している。具体的には、図8(B)では、時刻T51乃至時刻T52においてメモリセルMCにデータ“1”を書き込み、時刻T53乃至時刻T55において読み出し及び再書き込みを行い、時刻T61乃至時刻T63において読み出し、及びメモリセルMCへのデータ“0”の書き込みを行い、時刻T64乃至時刻T66において読み出し及び再書き込みを行い、時刻T67乃至時刻T69において読み出し、及びメモリセルMCへのデータ“1”の書き込みを行う例を示している。
また、読み出し動作において、配線BLの電位がVrefより高い場合は、回路BDによりデータ“1”が読み取られるものとする。一方、配線BLの電位がVrefより低い場合は、回路BDによりデータ“0”が読み取られるものとする。
時刻T41乃至時刻T42において、配線WLの電位を高電位とする。これにより、トランジスタTr2がオン状態となる。また、配線BLの電位をGNDとし、配線PLの電位を2Vwとする。以上より、容量Feの強誘電体層に印加される電圧は、“GND-2Vw”となる。図4(A)に示すように、“GND-2Vw”は、GNDを0Vとすると、-VSPより低くすることができる。よって、時刻T41以前において曲線51、又は曲線52のいずれに従って容量Feの強誘電体層の分極量が変化する場合であっても、時刻T35以降では曲線51に従って容量Feの強誘電体層の分極量が変化する。つまり、時刻T41乃至時刻T42は、容量Feの強誘電体層の分極状態をリセットする、リセット動作を行う期間ということができる。
時刻T42乃至時刻T51において、配線WLの電位を低電位とする。これにより、トランジスタTr2がオフ状態となる。また、配線PLの電位を、例えばGNDとする。以上により、リセット動作が完了する。
時刻T51乃至時刻T69以降における配線WLの電位は、図8(A)に示す時刻T21乃至時刻T39以降における配線WLの電位と同様とすることができる。また、時刻T51乃至時刻T69において、配線PLの電位は例えばGNDとする。
時刻T51乃至時刻T52等において、容量Feの一方の電極の電位を“V1”とすることにより、メモリセルMCにデータ“1”が書き込まれる。一方、時刻T62乃至時刻T63等において、容量Feの一方の電極の電位を“V0”とすることにより、メモリセルMCにデータ“0”が書き込まれる。ここで、V0は、容量Feの抗電圧であるVc以上の電位とする。また、V1は、V0より高く、且つVSPより低い電位とする。なお、Vrefは、V0より高くV1より低いものとしているが、例えばV0以下としてもよい。
時刻T53乃至時刻T54において、配線BLの電位がVrefより高くなることから、回路BDが、メモリセルMCに保持されたデータ“1”を読み出すことができる。ここで、当該読み出しは破壊読み出しであるため、メモリセルMCに保持されたデータ“1”は失われる。そこで、時刻T54乃至時刻T55において、配線BLの電位をV1とする。これにより、メモリセルMCにデータ“1”を再書き込みする。また、時刻T61乃至時刻T62においても、配線BLの電位がVrefより高くなることから、回路BDが、メモリセルMCに保持されたデータ“1”を読み出すことができる。
時刻T64乃至時刻T65において、配線BLの電位がVrefより低くなることから、回路BDが、メモリセルMCに保持されたデータ“0”を読み出すことができる。時刻T65乃至時刻T66において、配線BLの電位をV0とすることにより、メモリセルMCにデータ“0”を再書き込みする。また、時刻T67乃至時刻T68においても、配線BLの電位がVrefより低くなることから、回路BDが、メモリセルMCに保持されたデータ“0”を読み出すことができる。
メモリセルMCに書き込まれたデータが“1”と“0”のいずれであっても、容量Feの強誘電体層に印加される電圧は、抗電圧であるVcより高い。よって、メモリセルMCに書き込まれたデータがいずれであっても、読み出し動作を行う期間において、容量Feの強誘電体層における分極反転は発生しない。
図8(B)に示す方法でメモリセルMCを駆動させることにより、書き込み動作を行う期間、読み出し動作を行う期間、及び再書き込み動作を行う期間において、配線PLに定電位を供給する。これにより、書き込み動作、読み出し動作、及び再書き込み動作を高速に行うことができる。よって、記憶装置MDVを高速に駆動させることができる。
以上が図7(D)に示すメモリセルMCの駆動方法の一例である。
<メモリセルの構成例3>
図7(E)に示すメモリセルMCは、メモリセルMCaと、メモリセルMCbと、を有する。メモリセルMCaは、トランジスタTr2aと、容量Feaと、を有する。メモリセルMCbは、トランジスタTr2bと、容量Febと、を有する。
トランジスタTr2aのソース又はドレインの一方は、配線BLaと電気的に接続される。トランジスタTr2aのソース又はドレインの他方は、容量Feaの一方の電極と電気的に接続される。トランジスタTr2bのソース又はドレインの一方は、配線BLbと電気的に接続される。トランジスタTr2bのソース又はドレインの他方は、容量Febの一方の電極と電気的に接続される。トランジスタTr2aのゲート、及びトランジスタTr2bのゲートは、配線WLと電気的に接続される。容量Feaの他方の電極、及び容量Febの他方の電極は、配線PLと電気的に接続される。配線BLa、及び配線BLbは、図2(A)等に示す回路BDと電気的に接続される。
メモリセルMCa、及びメモリセルMCbは、それぞれ図7(D)に示すメモリセルMCと同様の構成とすることができる。よって、図7(E)に示すメモリセルMCは、図7(D)に示すメモリセルMCと同様の構成のメモリセルを2個有する構成である。
図7(E)に示す構成のメモリセルMCでは、メモリセルMCaと、メモリセルMCbと、に相補データを書き込む。つまり、メモリセルMCaにデータ“1”を書き込む場合は、メモリセルMCbにデータ“0”を書き込む。一方、メモリセルMCaにデータ“0”を書き込む場合は、メモリセルMCbにデータ“1”を書き込む。
メモリセルMCが図7(E)に示す構成である場合、図2(A)等に示す回路BDは、配線BLaの電位と、配線BLbの電位と、の差を検出することにより、メモリセルMCに書き込まれたデータを読み取ることができる。よって、回路BDは、メモリセルMCに書き込まれたデータを高い精度で読み取ることができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の記憶装置の断面構成例等について説明する。
図9は、本発明の一態様の記憶装置の構成例を示す断面図である。図9には、本発明の一態様の記憶装置の構成要素のうち、トランジスタ300、及びトランジスタ200a等を示している。ここで、トランジスタ200aは、トランジスタ300の上方に設けられるものとしている。トランジスタ200aは、酸化物半導体を有する半導体層にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。
トランジスタ300は、実施の形態1に示す周辺回路PHL等に設けられるトランジスタとすることができる。トランジスタ200aは、実施の形態1に示すトランジスタFTr、又はトランジスタTr等とすることができる。
図9に示す記憶装置において、配線1001はトランジスタ300のソースと電気的に接続され、配線1002はトランジスタ300のドレインと電気的に接続される。また、配線1003はトランジスタ200aのソース又はドレインの一方と電気的に接続され、配線1004はトランジスタ200aのゲートと電気的に接続され、配線1005はトランジスタ200aのソース又はドレインの他方と電気的に接続され、配線1006はトランジスタ200aのバックゲートと電気的に接続される。さらに、配線1007はトランジスタ300のゲートと電気的に接続される。
<トランジスタ300>
トランジスタ300は、基板311上に設けられ、ゲートとして機能する導電体316、ゲート絶縁体として機能する絶縁体315、基板311の一部からなる半導体領域313、及びソース領域又はドレイン領域として機能する低抵抗領域314a、及び低抵抗領域314bを有する。トランジスタ300は、pチャネル型、あるいはnチャネル型のいずれでもよい。
ここで、図9に示すトランジスタ300はチャネルが形成される半導体領域313(基板311の一部)が凸形状を有する。また、半導体領域313の側面及び上面を、絶縁体315を介して、導電体316が覆うように設けられている。なお、導電体316は仕事関数を調整する材料を用いてもよい。このようなトランジスタ300は半導体基板の凸部を利用していることからFIN型トランジスタとも呼ばれる。なお、凸部の上部に接して、凸部を形成するためのマスクとして機能する絶縁体を有していてもよい。また、ここでは半導体基板の一部を加工して凸部を形成する場合を示したが、SOI基板を加工して凸形状を有する半導体膜を形成してもよい。
なお、図9に示すトランジスタ300は一例であり、その構造に限定されず、回路構成又は駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
<配線層>
各構造体の間には、層間膜、配線、及びプラグ等が設けられた配線層が設けられていてもよい。また、配線層は、設計に応じて複数層設けることができる。ここで、プラグ又は配線としての機能を有する導電体は、複数の構造をまとめて同一の符号を付与する場合がある。また、本明細書等において、配線と、配線と電気的に接続するプラグとが一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機能する場合、及び導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
例えば、トランジスタ300上には、層間膜として、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、及び絶縁体326が順に積層して設けられている。また、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、及び絶縁体326には導電体328、及び導電体330等が埋め込まれている。なお、導電体328、及び導電体330はプラグ、又は配線として機能する。
また、層間膜として機能する絶縁体は、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。例えば、絶縁体322の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
絶縁体326、及び導電体330上に、配線層を設けてもよい。例えば、図9において、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354が順に積層して設けられている。また、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354には、導電体356が形成されている。導電体356は、プラグ、又は配線として機能する。
同様に、絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、及び絶縁体216には、導電体218等が埋め込まれている。また、絶縁体222、絶縁体275、絶縁体280、絶縁体282、絶縁体283、及び絶縁体285には、導電体240等が埋め込まれている。さらに、導電体240上には、導電体112が設けられている。なお、導電体218、導電体240、及び導電体112は、プラグ、又は配線としての機能を有する。さらに、導電体112上、及び絶縁体285上には絶縁体160が設けられ、絶縁体160上には絶縁体286が設けられている。
ここで、プラグとして機能する導電体218の側面に接して絶縁体217が設けられる。絶縁体217は、絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、及び絶縁体216に形成された開口の内壁に接して設けられている。つまり、絶縁体217は、導電体218と、絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、及び絶縁体216と、の間に設けられている。
絶縁体217としては、例えば、窒化シリコン、酸化アルミニウム、又は窒化酸化シリコン等の絶縁体を用いればよい。絶縁体217は、絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、及び絶縁体216等に接して設けられるので、絶縁体210又は絶縁体216等から水又は水素等の不純物が、導電体218を通じてトランジスタ200aの半導体層に混入するのを抑制することができる。特に、窒化シリコンは水素に対するブロッキング性が高いので好適である。また、絶縁体210又は絶縁体216に含まれる酸素が導電体218に吸収されるのを抑制することができる。
層間膜として用いることができる絶縁体としては、絶縁性を有する酸化物、窒化物、酸化窒化物、窒化酸化物、金属酸化物、金属酸化窒化物、金属窒化酸化物等がある。
例えば、層間膜として機能する絶縁体には、比誘電率が低い材料を用いることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。したがって、絶縁体の機能に応じて、材料を選択するとよい。
例えば、絶縁体210、絶縁体352、及び絶縁体354等には、比誘電率の低い絶縁体を有することが好ましい。例えば、当該絶縁体は、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素及び窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン又は樹脂等を有することが好ましい。又は、当該絶縁体は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素及び窒素を添加した酸化シリコン又は空孔を有する酸化シリコンと、樹脂との積層構造を有することが好ましい。酸化シリコン及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、樹脂と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の低い積層構造とすることができる。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミド等)、ポリイミド、ポリカーボネート又はアクリル等がある。
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、水素等の不純物及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にすることができる。従って、絶縁体214、絶縁体212及び絶縁体350等には、水素等の不純物及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体を用いればよい。
水素等の不純物及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウム又はタンタルを含む絶縁体を、単層で、又は積層で用いればよい。具体的には、水素等の不純物及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム又は酸化タンタル等の金属酸化物、窒化酸化シリコン又は窒化シリコン等を用いることができる。
配線、プラグに用いることができる導電体としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム等から選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイド等のシリサイドを用いてもよい。
例えば、導電体328、導電体330、導電体356、導電体218、導電体240、及び導電体112等としては、上記の材料で形成される金属材料、合金材料、金属窒化物材料、又は金属酸化物材料等の導電性材料を、単層又は積層して用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステン、モリブデン等の高融点材料を用いることが好ましく、タングステンを用いることが好ましい。又は、アルミニウム、銅等の低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
<酸化物半導体が設けられた層の配線、又はプラグ>
なお、トランジスタ200aの半導体層に、酸化物半導体を用いる場合、酸化物半導体の近傍に過剰酸素領域を有する絶縁体を設けることがある。その場合、該過剰酸素領域を有する絶縁体と、該過剰酸素領域を有する絶縁体に設ける導電体との間に、バリア性を有する絶縁体を設けることが好ましい。
例えば、図9では、過剰酸素を有する絶縁体280と、導電体240との間に、絶縁体241を設けるとよい。絶縁体241と、絶縁体222、絶縁体282、及び絶縁体283とが接して設けられることで、トランジスタ200aは、バリア性を有する絶縁体により、封止する構造とすることができる。
つまり、絶縁体241を設けることで、絶縁体280が有する過剰酸素が、導電体240に吸収されることを抑制することができる。また、絶縁体241を有することで、不純物である水素が、導電体240を介して、トランジスタ200aへ拡散することを抑制することができる。
なお、絶縁体241としては、水又は水素等の不純物、及び酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム又は酸化ハフニウム等を用いることが好ましい。特に、窒化シリコンは水素に対するブロッキング性が高いため好ましい。また、他にも、例えば、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム又は酸化タンタル等の金属酸化物等を用いることができる。
ここで絶縁体283、及び絶縁体282には導電体240が、絶縁体214、及び絶縁体212には導電体218が貫通しているが、上記の通り、絶縁体241が導電体240に接して設けられ、絶縁体217が導電体218に接して設けられている。これにより、導電体240及び導電体218を介して、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体282、及び絶縁体283の内側に混入する水素を低減することができる。このようにして、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体282、絶縁体283、絶縁体241、及び絶縁体217でトランジスタ200aを封止し、絶縁体274等に含まれる水素等の不純物が外側から混入するのを低減することができる。
<ダイシングライン>
以下では、大面積基板を半導体素子ごとに分断することによって、複数の記憶装置をチップ状で取り出す場合に設けられるダイシングライン(スクライブライン、分断ライン、又は切断ラインと呼ぶ場合がある)について説明する。分断方法としては、例えば、まず、基板に半導体素子を分断するための溝(ダイシングライン)を形成した後、ダイシングラインにおいて切断し、複数の記憶装置に分断(分割)する場合がある。
ここで、例えば、図9に示すように、絶縁体283と、絶縁体214とが接する領域がダイシングラインと重なるように設計することが好ましい。つまり、複数のトランジスタ200aを有するメモリセルの外縁に設けられるダイシングラインとなる領域近傍において、絶縁体282、絶縁体280、絶縁体275、絶縁体222、及び絶縁体216に開口を設ける。
つまり、絶縁体282、絶縁体280、絶縁体275、絶縁体222、及び絶縁体216に設けた開口において、絶縁体214と、絶縁体283とが接する。
また、例えば、絶縁体282、絶縁体280、絶縁体275、絶縁体222、及び絶縁体216の他、絶縁体214に開口を設けてもよい。このような構成とすることで、絶縁体282、絶縁体280、絶縁体275、絶縁体222、絶縁体216、及び絶縁体214に設けた開口において、絶縁体212と、絶縁体283とが接する。このとき、絶縁体212と、絶縁体283とを同材料及び同方法を用いて形成してもよい。絶縁体212、及び絶縁体283を、同材料、及び同方法で設けることで、密着性を高めることができる。例えば、窒化シリコンを用いることが好ましい。
当該構造により、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体282、及び絶縁体283で、トランジスタ200aを包み込むことができる。絶縁体212、絶縁体214、絶縁体282、及び絶縁体283の少なくとも一は、酸素、水素、及び水の拡散を抑制する機能を有しているため、本実施の形態に示す半導体素子が形成された回路領域ごとに、基板を分断することにより、複数のチップに加工しても、分断した基板の側面方向から、水素又は水等の不純物が混入し、トランジスタ200aに拡散することを防ぐことができる。
また、当該構造により、絶縁体280の過剰酸素が外部に拡散することを抑制することができる。従って、絶縁体280の過剰酸素は、効率的にトランジスタ200aにおけるチャネルが形成される酸化物に供給される。当該酸素により、トランジスタ200aにおけるチャネルが形成される酸化物の酸素欠損を低減することができる。これにより、トランジスタ200aにおけるチャネルが形成される酸化物を欠陥準位密度が低い、安定な特性を有する酸化物半導体とすることができる。つまり、トランジスタ200aの電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることができる。
図10は、本発明の一態様の記憶装置の構成例を示す断面図であり、図9に示す記憶装置の変形例である。図10に示す記憶装置は、トランジスタ200aの代わりにトランジスタ200bを有し、またトランジスタ200bの上方に容量100が設けられる点が、図9に示す記憶装置と異なる。
トランジスタ200bは、実施の形態1に示すトランジスタTr2、トランジスタTr2a、又はトランジスタTr2b等とすることができる。また、容量100は、実施の形態1に示す容量Fe、容量Fea、又は容量Feb等とすることができる。
トランジスタ200bについての説明は、トランジスタ200aについての説明を適宜参酌することができる。
図10に示す記憶装置では、トランジスタ200bのソース又はドレインの他方は、容量100の一方の電極と電気的に接続され、配線1005は、容量100の他方の電極と電気的に接続される。
容量100は、導電体110と、導電体110を覆う絶縁体130と、絶縁体130を覆う導電体120(導電体120a、及び導電体120b)と、を有する。絶縁体130は、強誘電性を有し得る材料を有する。
導電体110は、導電体112と同じ層に形成されており、導電体240の上面に接する。導電体110は、導電体240を介してトランジスタ200bのソース又はドレインの他方と電気的に接続される。
また、導電体120、絶縁体130、及び導電体112を覆って、絶縁体155が設けられることが好ましい。絶縁体155は、水素を捕獲及び固着する機能を有する絶縁体を用いることが好ましい。例えば、酸化アルミニウムなどを用いることが好ましい。このような絶縁体155を、容量100を覆うように設けることにより、容量100の絶縁体130に含まれる水素を捕獲および固着し、絶縁体130中の水素濃度を低減することができる。これにより、絶縁体130の強誘電性を高めることができる。また、導電体110と導電体120間のリーク電流を低減することができる。なお、これに限られず、絶縁体155を設けない構成にしてもよい。
また、導電体112及び導電体120の上に、水素に対するバリア絶縁膜として機能する、絶縁体152a及び絶縁体152bを設けることが好ましい。絶縁体152a及び絶縁体152bは、絶縁体155の上に設けられる。このような絶縁体152a及び絶縁体152bを設けることで、絶縁体152b上の絶縁体286に含まれる水素等の不純物が、容量100、導電体112、及び導電体240を介して、トランジスタ200bに拡散することを抑制することができる。
<トランジスタの構成例>
図11(A)乃至図11(D)は、トランジスタ200a、及びトランジスタ200bに適用することができるトランジスタ200の構成例を示す上面図、及び断面図である。ここで、図11(B)は、図11(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、図11(C)は、図11(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。また、図11(D)は、図11(A)にA5-A6の一点鎖線で示す部位の断面図である。なお、図11(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いている。
図11(B)乃至図11(D)には、絶縁体212と、絶縁体212上の絶縁体214と、絶縁体214上のトランジスタ200と、トランジスタ200上の絶縁体280と、絶縁体280上の絶縁体282と、絶縁体282上の絶縁体283と、絶縁体283上の絶縁体274と、絶縁体283上、及び絶縁体274上の絶縁体285と、を示している。絶縁体212、絶縁体214、絶縁体216、絶縁体280、絶縁体282、絶縁体283、絶縁体285、及び絶縁体274は層間膜として機能する。また、トランジスタ200と電気的に接続し、プラグとして機能する導電体240(導電体240a、及び導電体240b)を有する。なお、プラグとして機能する導電体240の側面に接して絶縁体241(絶縁体241a、及び絶縁体241b)が設けられる。また、絶縁体285上、及び導電体240上には、導電体240と電気的に接続し、配線として機能する導電体246(導電体246a、及び導電体246b)が設けられる。また、絶縁体283は、絶縁体214の上面の一部、絶縁体216の側面、絶縁体222の側面、絶縁体275の側面、絶縁体280の側面、ならびに絶縁体282の側面及び上面と接する。
絶縁体280、絶縁体282、絶縁体283、及び絶縁体285の開口の内壁に接して絶縁体241aが設けられ、絶縁体241aの側面に接して導電体240aが設けられている。また、絶縁体280、絶縁体282、絶縁体283、及び絶縁体285の開口の内壁に接して絶縁体241bが設けられ、絶縁体241bの側面に接して導電体240bが設けられている。なお、絶縁体241は、第1の絶縁体が上記開口の内壁に接して設けられ、さらに内側に第2の絶縁体が設けられる構造になっている。また、導電体240は、第1の導電体が絶縁体241の側面に接して設けられ、さらに内側に第2の導電体が設けられる構造になっている。ここで、導電体240の上面の高さと、導電体246と重なる領域の、絶縁体285の上面の高さと、は同程度にできる。
なお、トランジスタ200では、絶縁体241の第1の絶縁体及び絶縁体241の第2の導電体を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、絶縁体241を単層、又は3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。また、トランジスタ200では、導電体240の第1の導電体及び導電体240の第2の導電体を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体240を単層、又は3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。構造体が積層構造を有する場合、形成順に序数を付与し、区別する場合がある。
[トランジスタ200]
図11(A)乃至図11(D)に示すように、トランジスタ200は、絶縁体214上の絶縁体216と、絶縁体214及び/又は絶縁体216に埋め込まれるように配置された導電体205(導電体205a、及び導電体205b)と、絶縁体216上、及び導電体205上の絶縁体222と、絶縁体222上の絶縁体224と、絶縁体224上の酸化物230aと、酸化物230a上の酸化物230bと、酸化物230b上の導電体242aと、導電体242a上の絶縁体271aと、酸化物230b上の導電体242bと、導電体242b上の絶縁体271bと、酸化物230b上の絶縁体250と、絶縁体250上に位置し、酸化物230bの一部と重なる導電体260(導電体260a、及び導電体260b)と、絶縁体222、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、導電体242a、導電体242b、絶縁体271a、及び絶縁体271b上に配置される絶縁体275と、を有する。ここで、図11(B)及び図11(C)に示すように、絶縁体250は、絶縁体222の上面、絶縁体224の側面、酸化物230aの側面、酸化物230bの側面及び上面、導電体242の側面、絶縁体271の側面、絶縁体275の側面、及び絶縁体280の側面と接する。また、導電体260の上面は、絶縁体250の最上部、及び絶縁体280の上面と高さが概略一致するように配置される。また、絶縁体282は、導電体260、絶縁体250、及び絶縁体280のそれぞれの上面の少なくとも一部と接する。
なお、以下において、酸化物230aと酸化物230bをまとめて酸化物230と呼ぶ場合がある。また、導電体242aと導電体242bをまとめて導電体242と呼ぶ場合がある。また、絶縁体271aと絶縁体271bをまとめて絶縁体271と呼ぶ場合がある。
絶縁体280、及び絶縁体275には、酸化物230bに達する開口が設けられる。当該開口内に、絶縁体250、及び導電体260が配置されている。また、トランジスタ200のチャネル長方向において、絶縁体271a、及び導電体242aと、絶縁体271b、及び導電体242bと、の間に導電体260、及び絶縁体250が設けられている。絶縁体250は、導電体260の側面と接する領域と、導電体260の底面と接する領域と、を有する。
酸化物230は、絶縁体224の上に配置された酸化物230aと、酸化物230aの上に配置された酸化物230bと、を有することが好ましい。酸化物230b下に酸化物230aを有することで、酸化物230aよりも下方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の拡散を抑制することができる。
なお、トランジスタ200では、酸化物230が、酸化物230a、及び酸化物230bの2層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、酸化物230bの単層、又は3層以上の積層構造を設ける構成にしてもよいし、酸化物230a、及び酸化物230bのそれぞれが積層構造を有していてもよい。
導電体260は、ゲート電極として機能し、導電体205は、バックゲート電極として機能する。また、絶縁体250は、ゲート電極に対するゲート絶縁体として機能し、絶縁体222、及び絶縁体224は、バックゲート電極に対するゲート絶縁体として機能する。また、導電体242aは、ソース又はドレインの一方として機能し、導電体242bは、ソース又はドレインの他方として機能する。また、酸化物230の導電体260と重畳する領域の少なくとも一部はチャネル形成領域として機能する。
ここで、図11(B)におけるチャネル形成領域近傍の拡大図を図12(A)に示す。酸化物230bに酸素が供給されることで、導電体242aと導電体242bの間の領域にチャネル形成領域が形成される。よって、図12(A)に示すように、酸化物230bは、トランジスタ200のチャネル形成領域として機能する領域230bcと、領域230bcを挟むように設けられ、ソース領域又はドレイン領域として機能する領域230ba及び領域230bbと、を有する。領域230bcは、少なくとも一部が導電体260と重畳している。言い換えると、領域230bcは、導電体242aと導電体242bの間の領域に設けられている。領域230baは、導電体242aに重畳して設けられており、領域230bbは、導電体242bに重畳して設けられている。
チャネル形成領域として機能する領域230bcは、領域230ba及び領域230bbよりも、酸素欠損が少なく、又は不純物濃度が低いため、キャリア濃度が低い高抵抗領域である。よって領域230bcは、i型(真性)又は実質的にi型であるということができる。
また、ソース領域又はドレイン領域として機能する領域230ba及び領域230bbは、酸素欠損が多く、又は水素、窒素、金属元素等の不純物濃度が高い、ことでキャリア濃度が増加し、低抵抗化した領域である。すなわち、領域230ba及び領域230bbは、領域230bcと比較して、キャリア濃度が高く、低抵抗なn型の領域である。
ここで、チャネル形成領域として機能する領域230bcのキャリア濃度は、1×1018cm-3以下であることが好ましく、1×1017cm-3未満であることがより好ましく、1×1016cm-3未満であることがさらに好ましく、1×1013cm-3未満であることがさらに好ましく、1×1012cm-3未満であることがさらに好ましい。なお、チャネル形成領域として機能する領域230bcのキャリア濃度の下限値については、特に限定は無いが、例えば、1×10-9cm-3とすることができる。
また、領域230bcと領域230ba又は領域230bbとの間に、キャリア濃度が、領域230ba及び領域230bbのキャリア濃度と同等、又はそれよりも低く、領域230bcのキャリア濃度と同等、又はそれよりも高い、領域が形成されていてもよい。つまり、当該領域は、領域230bcと領域230ba又は領域230bbとの接合領域として機能する。当該接合領域は、水素濃度が、領域230ba及び領域230bbの水素濃度と同等、又はそれよりも低く、領域230bcの水素濃度と同等、又はそれよりも高くなる場合がある。また、当該接合領域は、酸素欠損が、領域230ba及び領域230bbの酸素欠損と同等、又はそれよりも少なく、領域230bcの酸素欠損と同等、又はそれよりも多くなる場合がある。
なお、図12(A)では、領域230ba、領域230bb、及び領域230bcが酸化物230bに形成される例について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、上記の各領域が酸化物230bだけでなく、酸化物230aまで形成されてもよい。
また、酸化物230において、各領域の境界を明確に検出することが困難な場合がある。各領域内で検出される金属元素、ならびに水素、及び窒素等の不純物元素の濃度は、領域ごとの段階的な変化に限らず、各領域内でも連続的に変化していてもよい。つまり、チャネル形成領域に近い領域であるほど、金属元素、ならびに水素、及び窒素等の不純物元素の濃度が減少していればよい。
トランジスタ200は、チャネル形成領域を含む酸化物230(酸化物230a、及び酸化物230b)に、半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう。)を用いることが好ましい。
また、半導体として機能する金属酸化物は、バンドギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。このように、バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
酸化物230として、例えば、インジウム、元素M及び亜鉛を有するIn-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、錫、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウム等から選ばれた一種、又は複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。また、酸化物230として、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物、インジウム酸化物を用いてもよい。
ここで、酸化物230bに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物230aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。
このように、酸化物230bの下に酸化物230aを配置することで、酸化物230aよりも下方に形成された構造物からの、酸化物230bに対する、不純物及び酸素の拡散を抑制することができる。
また、酸化物230a及び酸化物230bが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、酸化物230aと酸化物230bの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。酸化物230aと酸化物230bとの界面における欠陥準位密度を低くすることができるため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さく、高いオン電流が得られる。
酸化物230bは、結晶性を有することが好ましい。特に、酸化物230bとして、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)を用いることが好ましい。
CAAC-OSは、結晶性の高い、緻密な構造を有しており、不純物及び欠陥(例えば、酸素欠損(V等)が少ない金属酸化物である。特に、金属酸化物の形成後に、金属酸化物が多結晶化しない程度の温度(例えば、400℃以上600℃以下)で加熱処理することで、CAAC-OSをより結晶性の高い、緻密な構造にすることができる。このようにして、CAAC-OSの密度をより高めることで、当該CAAC-OS中の不純物又は酸素の拡散をより低減することができる。
一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することが難しいため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。したがって、CAAC-OSを有する金属酸化物は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する金属酸化物は熱に強く、信頼性が高い。
酸化物半導体を用いたトランジスタは、酸化物半導体中のチャネルが形成される領域に不純物及び酸素欠損が存在すると、電気特性が変動しやすく、信頼性が悪くなる場合がある。また、酸素欠損近傍の水素が、酸素欠損に水素が入った欠陥(以下、VHと呼ぶ場合がある。)を形成し、キャリアとなる電子を生成する場合がある。このため、酸化物半導体中のチャネルが形成される領域に酸素欠損が含まれていると、トランジスタはノーマリーオン特性(ゲート電極に電圧を印加しなくてもチャネルが存在し、トランジスタに電流が流れる特性)となりやすい。したがって、酸化物半導体中のチャネルが形成される領域では、不純物、酸素欠損、及びVHはできる限り低減されていることが好ましい。言い換えると、酸化物半導体中のチャネルが形成される領域は、キャリア濃度が低減され、i型(真性化)又は実質的にi型であることが好ましい。
これに対して、酸化物半導体の近傍に、加熱により脱離する酸素(以下、過剰酸素と呼ぶ場合がある。)を含む絶縁体を設け、熱処理を行うことで、当該絶縁体から酸化物半導体に酸素を供給し、酸素欠損、及びVHを低減することができる。ただし、ソース領域又はドレイン領域に過剰な量の酸素が供給されると、トランジスタ200のオン電流の低下、又は電界効果移動度の低下を引き起こすおそれがある。さらに、ソース領域又はドレイン領域に供給される酸素が基板面内でばらつくことで、トランジスタを有する記憶装置の特性にばらつきが出ることになる。
よって、酸化物半導体中において、チャネル形成領域として機能する領域230bcは、キャリア濃度が低減され、i型又は実質的にi型であることが好ましいが、ソース領域又はドレイン領域として機能する領域230ba及び領域230bbは、キャリア濃度が高く、n型であることが好ましい。つまり、酸化物半導体の領域230bcの酸素欠損、及びVHを低減し、領域230ba及び領域230bbには過剰な量の酸素が供給されないようにすることが好ましい。
そこで、本実施の形態では、酸化物230b上に導電体242a及び導電体242bを設けた状態で、酸素を含む雰囲気でマイクロ波処理を行い、領域230bcの酸素欠損、及びVHの低減を図る。ここで、マイクロ波処理とは、例えばマイクロ波を用いて高密度プラズマを発生させる電源を有する装置を用いた処理のことを指す。
酸素を含む雰囲気でマイクロ波処理を行うことで、マイクロ波、又はRF等の高周波を用いて酸素ガスをプラズマ化し、当該酸素プラズマを作用させることができる。このとき、マイクロ波、又はRF等の高周波を領域230bcに照射することもできる。プラズマ、マイクロ波等の作用により、領域230bcのVHを分断し、水素Hを領域230bcから除去し、酸素欠損Vを酸素で補填することができる。つまり、領域230bcにおいて、「VH→H+V」という反応が起きて、領域230bcの水素濃度を低減することができる。よって、領域230bc中の酸素欠損、及びVHを低減し、キャリア濃度を低下させることができる。
また、酸素を含む雰囲気でマイクロ波処理を行う際、マイクロ波、又はRF等の高周波、酸素プラズマ等の作用は、導電体242a及び導電体242bに遮蔽され、領域230ba及び領域230bbには及ばない。さらに、酸素プラズマの作用は、酸化物230b、及び導電体242を覆って設けられている、絶縁体271、及び絶縁体280によって、低減することができる。これにより、マイクロ波処理の際に、領域230ba及び領域230bbで、VHの低減、及び過剰な量の酸素供給が発生しないので、キャリア濃度の低下を防ぐことができる。
また、絶縁体250となる絶縁膜の成膜後に、酸素を含む雰囲気でマイクロ波処理を行うとことが好ましい。このように絶縁体250を介して、酸素を含む雰囲気でマイクロ波処理を行うことで、効率よく領域230bc中へ酸素を注入することができる。
また、領域230bc中に注入される酸素は、酸素原子、酸素分子、酸素ラジカル(Oラジカルともいう、不対電子をもつ原子又は分子、あるいはイオン)等様々な形態がある。なお、領域230bc中に注入される酸素は、上述の形態のいずれか一又は複数であればよく、特に酸素ラジカルであると好適である。また、絶縁体250の膜質を向上させることができるので、トランジスタ200の信頼性が向上する。
このようにして、酸化物半導体の領域230bcで選択的に酸素欠損、及びVHを除去して、領域230bcをi型又は実質的にi型とすることができる。さらに、ソース領域又はドレイン領域として機能する領域230ba及び領域230bbに過剰な酸素が供給されるのを抑制し、n型を維持することができる。これにより、トランジスタ200の電気特性の変動を抑制し、基板面内でトランジスタ200の電気特性がばらつくのを抑制することができる。
以上のような構成にすることで、トランジスタ特性のばらつきが少ない記憶装置を提供することができる。また、信頼性が良好な記憶装置を提供することができる。また、良好な電気特性を有する記憶装置を提供することができる。
また、図11(C)に示すように、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面視において、酸化物230bの側面と酸化物230bの上面との間に、湾曲面を有してもよい。つまり、当該側面の端部と当該上面の端部は、湾曲してもよい(以下、ラウンド状ともいう。)。
上記湾曲面での曲率半径は、0nmより大きく、導電体242と重なる領域の酸化物230bの膜厚より小さい、又は、上記湾曲面を有さない領域の長さの半分より小さいことが好ましい。上記湾曲面での曲率半径は、具体的には、0nmより大きく20nm以下、好ましくは1nm以上15nm以下、さらに好ましくは2nm以上10nm以下とする。このような形状にすることで、絶縁体250、及び導電体260の、酸化物230bへの被覆性を高めることができる。
酸化物230は、化学組成が異なる複数の酸化物層の積層構造を有することが好ましい。具体的には、酸化物230aに用いる金属酸化物において、主成分である金属元素に対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、主成分である金属元素に対する元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物230aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物230aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。
また、酸化物230bは、CAAC-OS等の結晶性を有する酸化物であることが好ましい。CAAC-OS等の結晶性を有する酸化物は、不純物及び欠陥(酸素欠損等)が少なく、結晶性の高い、緻密な構造を有している。よって、ソース電極又はドレイン電極による、酸化物230bからの酸素の引き抜きを抑制することができる。これにより、熱処理を行っても、酸化物230bから酸素が引き抜かれることを低減できるので、トランジスタ200は、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対して安定である。
ここで、酸化物230aと酸化物230bの接合部において、伝導帯下端はなだらかに変化する。換言すると、酸化物230aと酸化物230bの接合部における伝導帯下端は、連続的に変化又は連続接合するともいうことができる。このようにするためには、酸化物230aと酸化物230bとの界面に形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
具体的には、酸化物230aと酸化物230bが、酸素以外に共通の元素を主成分として有することで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物230bがIn-M-Zn酸化物の場合、酸化物230aとして、In-M-Zn酸化物、M-Zn酸化物、元素Mの酸化物、In-Zn酸化物、インジウム酸化物等を用いてもよい。
具体的には、酸化物230aとして、In:M:Zn=1:3:4[原子数比]もしくはその近傍の組成、又はIn:M:Zn=1:1:0.5[原子数比]もしくはその近傍の組成の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物230bとして、In:M:Zn=1:1:1[原子数比]もしくはその近傍の組成、In:M:Zn=1:1:2[原子数比]もしくはその近傍の組成、又はIn:M:Zn=4:2:3[原子数比]もしくはその近傍の組成の金属酸化物を用いればよい。なお、近傍の組成とは、所望の原子数比の±30%の範囲を含む。また、元素Mとして、ガリウムを用いることが好ましい。
なお、金属酸化物をスパッタリング法により成膜する場合、上記の原子数比は、成膜された金属酸化物の原子数比に限られず、金属酸化物の成膜に用いるスパッタリングターゲットの原子数比であってもよい。
酸化物230a及び酸化物230bを上述の構成とすることで、酸化物230aと酸化物230bとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ200は大きいオン電流、及び高い周波数特性を得ることができる。
絶縁体212、絶縁体214、絶縁体271、絶縁体275、絶縁体282、絶縁体283、及び絶縁体285の少なくとも一は、水、水素等の不純物が、基板側から、又は、トランジスタ200の上方からトランジスタ200に拡散するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。したがって、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体271、絶縁体275、絶縁体282、絶縁体283、及び絶縁体285の少なくとも一は、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(NO、NO、NO等)、銅原子等の不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。
なお、本明細書において、バリア絶縁膜とは、バリア性を有する絶縁膜のことを指す。本明細書において、バリア性とは、対応する物質の拡散を抑制する機能(透過性が低いともいう)とする。又は、対応する物質を、捕獲、及び固着する(ゲッタリングともいう)機能とする。
絶縁体212、絶縁体214、絶縁体271、絶縁体275、絶縁体282、絶縁体283、及び絶縁体285としては、水、水素等の不純物、及び酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁体を用いることが好ましく、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム、インジウムガリウム亜鉛酸化物、窒化シリコン、又は窒化酸化シリコン等を用いることができる。例えば、絶縁体212、絶縁体275、及び絶縁体283として、より水素バリア性が高い、窒化シリコン等を用いることが好ましい。また、例えば、絶縁体214、絶縁体271、絶縁体282、及び絶縁体285として、水素を捕獲及び水素を固着する機能が高い、酸化アルミニウム又は酸化マグネシウム等を用いることが好ましい。これにより、水、水素等の不純物が絶縁体212、及び絶縁体214を介して、基板側からトランジスタ200側に拡散するのを抑制することができる。又は、水、水素等の不純物が絶縁体285よりも外側に配置されている層間絶縁膜等から、トランジスタ200側に拡散するのを抑制することができる。又は、絶縁体224等に含まれる酸素が、絶縁体212、及び絶縁体214を介して基板側に、拡散するのを抑制することができる。又は、絶縁体280等に含まれる酸素が、絶縁体282等を介してトランジスタ200より上方に、拡散するのを抑制することができる。この様に、トランジスタ200を、水、水素等の不純物、及び酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁体212、絶縁体214、絶縁体271、絶縁体275、絶縁体282、絶縁体283、及び絶縁体285で取り囲む構造とすることが好ましい。
ここで、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体271、絶縁体275、絶縁体282、絶縁体283、及び絶縁体285として、アモルファス構造を有する酸化物を用いることが好ましい。例えば、AlO(xは0より大きい任意数)、又はMgO(yは0より大きい任意数)等の金属酸化物を用いることが好ましい。このようなアモルファス構造を有する金属酸化物では、酸素原子がダングリングボンドを有しており、当該ダングリングボンドで水素を捕獲又は固着する性質を有する場合がある。このようなアモルファス構造を有する金属酸化物をトランジスタ200の構成要素として用いる、又はトランジスタ200の周囲に設けることで、トランジスタ200に含まれる水素、又はトランジスタ200の周囲に存在する水素を捕獲又は固着することができる。特にトランジスタ200のチャネル形成領域に含まれる水素を捕獲又は固着することが好ましい。アモルファス構造を有する金属酸化物をトランジスタ200の構成要素として用いる、又はトランジスタ200の周囲に設けることで、良好な特性を有し、信頼性の高いトランジスタ200、及び記憶装置を作製することができる。
また、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体271、絶縁体275、絶縁体282、絶縁体283、及び絶縁体285は、アモルファス構造であることが好ましいが、一部に多結晶構造の領域が形成されていてもよい。また、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体271、絶縁体275、絶縁体282、絶縁体283、及び絶縁体285は、アモルファス構造の層と、多結晶構造の層と、が積層された多層構造であってもよい。例えば、アモルファス構造の層の上に多結晶構造の層が形成された積層構造でもよい。
絶縁体212、絶縁体214、絶縁体271、絶縁体275、絶縁体282、絶縁体283、及び絶縁体285の成膜は、例えば、スパッタリング法を用いて行えばよい。スパッタリング法は、成膜ガスに水素を含む分子を用いなくてよいので、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体271、絶縁体275、絶縁体282、絶縁体283、及び絶縁体285の水素濃度を低減することができる。なお、成膜方法は、スパッタリング法に限られるものではなく、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法等を適宜用いてもよい。
また、絶縁体212、絶縁体275、及び絶縁体283の抵抗率を低くすることが好ましい場合がある。例えば、絶縁体212、絶縁体275、及び絶縁体283の抵抗率を概略1×1013Ωcmとすることで、記憶装置作製工程のプラズマ等を用いる処理において、絶縁体212、絶縁体275、及び絶縁体283が、導電体205、導電体242、導電体260、又は導電体246のチャージアップを緩和することができる場合がある。絶縁体212、絶縁体275、及び絶縁体283の抵抗率は、好ましくは、1×1010Ωcm以上1×1015Ωcm以下とする。
また、絶縁体216、絶縁体274、絶縁体280、及び絶縁体285は、絶縁体214よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体216、絶縁体274、絶縁体280、及び絶縁体285として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素及び窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン等を適宜用いればよい。
導電体205は、酸化物230、及び導電体260と、重なるように配置する。ここで、導電体205は、絶縁体216に形成された開口に埋め込まれて設けることが好ましい。また、導電体205の一部が絶縁体214に埋め込まれる場合がある。
導電体205は、導電体205a、及び導電体205bを有する。導電体205aは、当該開口の底面及び側壁に接して設けられる。導電体205bは、導電体205aに形成された凹部に埋め込まれるように設けられる。ここで、導電体205bの上面の高さは、導電体205aの上面の高さ及び絶縁体216の上面の高さと概略一致する。
ここで、導電体205aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(NO、NO、NO等)、銅原子等の不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
導電体205aに、水素の拡散を低減する機能を有する導電性材料を用いることにより、導電体205bに含まれる水素等の不純物が、絶縁体224等を介して、酸化物230に拡散するのを防ぐことができる。また、導電体205aに、酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることにより、導電体205bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、酸化ルテニウム等を用いることが好ましい。したがって、導電体205aとしては、上記導電性材料を単層又は積層とすればよい。例えば、導電体205aは、窒化チタンを用いればよい。
また、導電体205bは、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。例えば、導電体205bは、タングステンを用いればよい。
導電体205は、バックゲート電極として機能する場合がある。その場合、導電体205に印加する電位を、導電体260に印加する電位と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ200のしきい値電圧(Vth)を制御することができる。特に、導電体205に負の電位を印加することにより、トランジスタ200のVthをより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体205に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体260に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
また、導電体205の電気抵抗率は、上記の導電体205に印加する電位を考慮して設計され、導電体205の膜厚は当該電気抵抗率に合わせて設定される。また、絶縁体216の膜厚は、導電体205とほぼ同じになる。ここで、導電体205の設計が許す範囲で導電体205及び絶縁体216の膜厚を薄くすることが好ましい。絶縁体216の膜厚を薄くすることで、絶縁体216中に含まれる水素等の不純物の絶対量を低減することができるので、当該不純物が酸化物230に拡散するのを低減することができる。
なお、導電体205は、図11(A)に示すように、酸化物230の導電体242a及び導電体242bと重ならない領域の大きさよりも、大きく設けるとよい。特に、図11(C)に示すように、導電体205は、酸化物230a及び酸化物230bのチャネル幅方向の端部よりも外側の領域においても、延伸していることが好ましい。つまり、酸化物230のチャネル幅方向における側面の外側において、導電体205と、導電体260とは、絶縁体を介して重畳していることが好ましい。当該構成を有することで、ゲート電極として機能する導電体260の電界と、バックゲート電極として機能する導電体205の電界によって、酸化物230のチャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。本明細書において、ゲート、及びバックゲートの電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(S-channel)構造とよぶ。
なお、本明細書等において、S-channel構造のトランジスタとは、一対のゲート電極の一方及び他方の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を表す。また、本明細書等で開示するS-channel構造は、Fin型構造及びプレーナ型構造とは異なる。S-channel構造を採用することで、短チャネル効果に対する耐性を高める、別言すると短チャネル効果が発生し難いトランジスタとすることができる。
また、図11(C)に示すように、導電体205は延伸させて、配線としても機能させている。ただし、これに限られることなく、導電体205の下に、配線として機能する導電体を設ける構成にしてもよい。また、導電体205は、必ずしも各トランジスタに一個ずつ設ける必要はない。例えば、導電体205を複数のトランジスタで共有する構成にしてもよい。
なお、トランジスタ200では、導電体205は、導電体205a、及び導電体205bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体205は、単層、又は3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。
絶縁体222、及び絶縁体224は、ゲート絶縁体として機能する。
絶縁体222は、水素(例えば、水素原子、水素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。また、絶縁体222は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体222は、絶縁体224よりも水素及び酸素の一方又は双方の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。
絶縁体222は、絶縁性材料であるアルミニウム及びハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。当該絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)等を用いることが好ましい。又は、ハフニウム及びジルコニウムを含む酸化物、例えばハフニウムジルコニウム酸化物を用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体222を形成した場合、絶縁体222は、酸化物230から基板側への酸素の放出及び、トランジスタ200の周辺部から酸化物230への水素等の不純物の拡散を抑制する層として機能する。よって、絶縁体222を設けることで、水素等の不純物が、トランジスタ200の内側へ拡散することを抑制し、酸化物230中の酸素欠損の生成を抑制することができる。また、導電体205が、絶縁体224及び、酸化物230が有する酸素と反応することを抑制することができる。
又は、上記絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。又は、これらの絶縁体を窒化処理してもよい。また、絶縁体222は、これらの絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコン又は窒化シリコンを積層して用いてもよい。
また、絶縁体222は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、ハフニウムジルコニウム酸化物等の、いわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層又は積層で用いてもよい。トランジスタの微細化、及び高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流等の問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。また、絶縁体222として、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、(Ba,Sr)TiO(BST)等の誘電率が高い物質を用いることができる場合もある。
酸化物230と接する絶縁体224は、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を適宜用いればよい。
また、トランジスタ200の作製工程中において、酸化物230の表面が露出した状態で、加熱処理を行うと好適である。当該加熱処理は、例えば、100℃以上600℃以下、より好ましくは350℃以上550℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、又は酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。例えば、加熱処理は酸素雰囲気で行うことが好ましい。これにより、酸化物230に酸素を供給して、酸素欠損(V)の低減を図ることができる。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。又は、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、又は10%以上含む雰囲気で行ってもよい。又は、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、又は10%以上含む雰囲気で加熱処理した後に、連続して窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理を行っても良い。
なお、酸化物230に加酸素化処理を行うことで、酸化物230中の酸素欠損を、供給された酸素により修復させる、別言すると「V+O→null」という反応を促進させることができる。さらに、酸化物230中に残存した水素に供給された酸素が反応することで、当該水素をHOとして除去する(脱水化する)ことができる。これにより、酸化物230中に残存していた水素が酸素欠損に再結合してVHが形成されるのを抑制することができる。
なお、絶縁体222、及び絶縁体224が、2層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。また、絶縁体224は、酸化物230aと重畳して島状に形成してもよい。この場合、絶縁体275が、絶縁体224の側面及び絶縁体222の上面に接する構成になる。
導電体242a、及び導電体242bは酸化物230bの上面に接して設けられる。導電体242a及び導電体242bは、それぞれトランジスタ200のソース電極又はドレイン電極として機能する。
導電体242(導電体242a、及び導電体242b)としては、例えば、タンタルを含む窒化物、チタンを含む窒化物、モリブデンを含む窒化物、タングステンを含む窒化物、タンタル及びアルミニウムを含む窒化物、チタン及びアルミニウムを含む窒化物等を用いることが好ましい。本発明の一態様においては、タンタルを含む窒化物が特に好ましい。また、例えば、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物等を用いてもよい。これらの材料は、酸化しにくい導電性材料、又は、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。
なお、酸化物230b等に含まれる水素が、導電体242a又は導電体242bに拡散する場合がある。特に、導電体242a及び導電体242bに、タンタルを含む窒化物を用いることで、酸化物230b等に含まれる水素は、導電体242a又は導電体242bに拡散しやすく、拡散した水素は、導電体242a又は導電体242bが有する窒素と結合することがある。つまり、酸化物230b等に含まれる水素は、導電体242a又は導電体242bに吸い取られる場合がある。
また、導電体242の側面と導電体242の上面との間に、湾曲面が形成されないことが好ましい。当該湾曲面が形成されない導電体242とすることで、図11(D)に示すような、チャネル幅方向の断面における、導電体242の断面積を大きくすることができる。これにより、導電体242の導電率を大きくし、トランジスタ200のオン電流を大きくすることができる。
絶縁体271aは、導電体242aの上面に接して設けられており、絶縁体271bは、導電体242bの上面に接して設けられている。絶縁体271は、少なくとも酸素に対するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。したがって、絶縁体271は、酸素の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体271は、絶縁体280よりも酸素の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。絶縁体271としては、例えば、酸化アルミニウム又は酸化マグネシウム等の絶縁体を用いればよい。
絶縁体275は、絶縁体224、酸化物230a、酸化物230b、導電体242、及び絶縁体271を覆うように設けられる。絶縁体275として、水素を捕獲及び水素を固着する機能を有することが好ましい。その場合、絶縁体275としては、窒化シリコン又は、アモルファス構造を有する金属酸化物、例えば、酸化アルミニウム又は酸化マグネシウム等の絶縁体を含むことが好ましい。また、例えば、絶縁体275として、酸化アルミニウムと、当該酸化アルミニウム上の窒化シリコンの積層膜を用いてもよい。
上記のような絶縁体271及び絶縁体275を設けることで、酸素に対するバリア性を有する絶縁体で導電体242を包み込むことができる。つまり、絶縁体224、及び絶縁体280に含まれる酸素が、導電体242に拡散するのを防ぐことができる。これにより、絶縁体224、及び絶縁体280に含まれる酸素によって、導電体242が直接酸化されて抵抗率が増大し、オン電流が低減するのを抑制することができる。
絶縁体250は、ゲート絶縁体の一部として機能する。トランジスタ200が、実施の形態1に示すトランジスタFTrである場合、絶縁体250は、強誘電性を有し得る材料を有する。一方、トランジスタ200が、実施の形態1に示すトランジスタTr、トランジスタTr2、トランジスタTr2a、又はトランジスタTr2bである場合、絶縁体250は、常誘電性を有し得る材料を有する。
絶縁体250は、絶縁体224と同様に、絶縁体250中の水、水素等の不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体250の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましく、0.5nm以上15.0nm以下とするのがより好ましい。この場合、絶縁体250は、少なくとも一部において、上記のような膜厚の領域を有していればよい。
導電体260は、トランジスタ200のゲート電極として機能する。導電体260は、導電体260aと、導電体260aの上に配置された導電体260bと、を有することが好ましい。例えば、導電体260aは、導電体260bの底面及び側面を包むように配置されることが好ましい。また、図11(B)及び図11(C)に示すように、導電体260の上面は、絶縁体250の上面と概略一致している。なお、図11(B)及び図11(C)では、導電体260は、導電体260aと導電体260bの2層構造として示しているが、単層構造でもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。
導電体260aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子、銅原子等の不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
また、導電体260aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、絶縁体250に含まれる酸素により、導電体260bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、酸化ルテニウム等を用いることが好ましい。
また、導電体260は、配線としても機能するため、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、導電体260bは、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体260bは積層構造としてもよく、例えば、チタン、又は窒化チタンと上記導電性材料との積層構造としてもよい。
また、トランジスタ200では、導電体260は、絶縁体280等に形成されている開口を埋めるように自己整合的に形成される。導電体260をこのように形成することにより、導電体242aと導電体242bとの間の領域に、導電体260を位置合わせすることなく確実に配置することができる。
また、図11(C)に示すように、トランジスタ200のチャネル幅方向において、絶縁体222の底面を基準としたときの、導電体260の、導電体260と酸化物230bとが重ならない領域の底面の高さは、酸化物230bの底面の高さより低いことが好ましい。ゲート電極として機能する導電体260が、絶縁体250等を介して、酸化物230bのチャネル形成領域の側面及び上面を覆う構成とすることで、導電体260の電界を酸化物230bのチャネル形成領域全体に作用させやすくなる。よって、トランジスタ200のオン電流を増大させ、周波数特性を向上させることができる。絶縁体222の底面を基準としたときの、酸化物230a及び酸化物230bと、導電体260とが、重ならない領域における導電体260の底面の高さと、酸化物230bの底面の高さと、の差は、0nm以上100nm以下、好ましくは、3nm以上50nm以下、より好ましくは、5nm以上20nm以下とする。
絶縁体280は、絶縁体275上に設けられ、絶縁体250、及び導電体260が設けられる領域に開口が形成されている。また、絶縁体280の上面は、平坦化されていてもよい。
層間膜として機能する絶縁体280は、誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。絶縁体280は、例えば、絶縁体216と同様の材料を用いて設けることが好ましい。特に、酸化シリコン及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。特に、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、空孔を有する酸化シリコン等の材料は、加熱により脱離する酸素を含む領域を容易に形成することができるため好ましい。
絶縁体280は、絶縁体280中の水、水素等の不純物濃度は低減されていることが好ましい。例えば、絶縁体280は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン等のシリコンを含む酸化物を適宜用いればよい。
絶縁体282は、水、水素等の不純物が、上方から絶縁体280に拡散するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましく、水素等の不純物を捕獲する機能を有することが好ましい。また、絶縁体282は、酸素の透過を抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。絶縁体282としては、アモルファス構造を有する金属酸化物、例えば、酸化アルミニウム等の絶縁体を用いればよい。この場合、絶縁体282は、少なくとも酸素と、アルミニウムと、を有する絶縁体となる。絶縁体212と絶縁体283に挟まれた領域内で、絶縁体280に接して、水素等の不純物を捕獲する機能を有する、絶縁体282を設けることで、絶縁体280等に含まれる水素等の不純物を捕獲し、当該領域内における、水素の量を一定値にすることができる。特に、絶縁体282として、アモルファス構造を有する酸化アルミニウムを用いることで、より効果的に水素を捕獲又は固着できる場合があるため好ましい。これにより、良好な特性を有し、信頼性の高いトランジスタ200、及び記憶装置を作製することができる。
絶縁体283は、水、水素等の不純物が、上方から絶縁体280に拡散するのを抑制するバリア絶縁膜として機能する。絶縁体283は、絶縁体282の上に配置される。絶縁体283としては、窒化シリコン又は窒化酸化シリコン等の、シリコンを含む窒化物を用いることが好ましい。例えば、絶縁体283としてスパッタリング法で成膜された窒化シリコンを用いればよい。絶縁体283をスパッタリング法で成膜することで、密度が高い窒化シリコン膜を形成することができる。また、絶縁体283として、スパッタリング法で成膜された窒化シリコンの上に、さらに、PEALD法又は、CVD法で成膜された窒化シリコンを積層してもよい。
導電体240a及び導電体240bは、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体240a及び導電体240bは積層構造としてもよい。
また、導電体240を積層構造とする場合、絶縁体285、絶縁体283、絶縁体282、絶縁体280、絶縁体275、及び絶縁体271の近傍に配置される第1の導電体には、水、水素等の不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。例えば、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、ルテニウム、酸化ルテニウム等を用いることが好ましい。また、水、水素等の不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料は、単層又は積層で用いてもよい。また、絶縁体283より上層に含まれる水、水素等の不純物が、導電体240a及び導電体240bを通じて酸化物230に混入するのを抑制することができる。
絶縁体241a及び絶縁体241bとしては、絶縁体275等に用いることができるバリア絶縁膜を用いればよい。例えば、絶縁体241a及び絶縁体241bとして、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化酸化シリコン等の絶縁体を用いればよい。絶縁体241a及び絶縁体241bは、絶縁体283、絶縁体282、及び絶縁体271に接して設けられるので、絶縁体280等に含まれる水、水素等の不純物が、導電体240a及び導電体240bを通じて酸化物230に混入するのを抑制することができる。特に、窒化シリコンは水素に対するブロッキング性が高いので好適である。また、絶縁体280に含まれる酸素が導電体240a及び導電体240bに吸収されるのを防ぐことができる。
絶縁体241a及び絶縁体241bを、図11(B)に示すように積層構造にする場合、絶縁体280等の開口の内壁に接する第1の絶縁体と、その内側の第2の絶縁体は、酸素に対するバリア絶縁膜と、水素に対するバリア絶縁膜を組み合わせて用いることが好ましい。
例えば、第1の絶縁体として、ALD法で成膜された酸化アルミニウムを用い、第2の絶縁体として、PEALD法で成膜された窒化シリコンを用いればよい。このような構成にすることで、導電体240の酸化を抑制し、さらに、導電体240に水素が混入するのを低減することができる。
また、導電体240aの上面、及び導電体240bの上面に接して配線として機能する導電体246(導電体246a、及び導電体246b)を配置してもよい。導電体246は、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、当該導電体は、積層構造としてもよく、例えば、チタン、又は窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。なお、当該導電体は、絶縁体に設けられた開口に埋め込むように形成してもよい。
<結晶構造の分類>
以下では、酸化物半導体における、結晶構造の分類について、図13(A)を用いて説明を行う。図13(A)は、酸化物半導体、代表的にはIGZO(Inと、Gaと、Znと、を含む金属酸化物)の結晶構造の分類を説明する図である。
図13(A)に示すように、酸化物半導体は、大きく分けて「Amorphous(無定形)」と、「Crystalline(結晶性)」と、「Crystal(結晶)」と、に分類される。また、「Amorphous」の中には、completely amorphousが含まれる。また、「Crystalline」の中には、CAAC(c-axis-aligned crystalline)、nc(nanocrystalline)、及びCAC(cloud-aligned composite)が含まれる。なお、「Crystalline」の分類には、single crystal、poly crystal、及びcompletely amorphousは除かれる。また、「Crystal」の中には、single crystal、及びpoly crystalが含まれる。
なお、図13(A)に示す太枠内の構造は、「Amorphous(無定形)」と、「Crystal(結晶)」との間の中間状態であり、新しい境界領域(New crystalline phase)に属する構造である。すなわち、当該構造は、エネルギー的に不安定な「Amorphous(無定形)」及び、「Crystal(結晶)」とは全く異なる構造と言い換えることができる。
なお、膜又は基板の結晶構造は、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)スペクトルを用いて評価することができる。ここで、「Crystalline」に分類されるCAAC-IGZO膜のGIXD(Grazing-Incidence XRD)測定で得られるXRDスペクトルを図13(B)に示す。なお、GIXD法は、薄膜法又はSeemann-Bohlin法ともいう。以降、図13(B)に示すGIXD測定で得られるXRDスペクトルを、単にXRDスペクトルと記す。なお、図13(B)に示すCAAC-IGZO膜の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]近傍である。また、図13(B)に示すCAAC-IGZO膜の厚さは、500nmである。
図13(B)に示すように、CAAC-IGZO膜のXRDスペクトルでは、明確な結晶性を示すピークが検出される。具体的には、CAAC-IGZO膜のXRDスペクトルでは、2θ=31°近傍に、c軸配向を示すピークが検出される。なお、図13(B)に示すように、2θ=31°近傍のピークは、ピーク強度が検出された角度を軸に左右非対称である。
また、膜又は基板の結晶構造は、極微電子線回折法(NBED:Nano Beam Electron Diffraction)によって観察される回折パターン(極微電子線回折パターンともいう。)にて評価することができる。CAAC-IGZO膜の回折パターンを、図13(C)に示す。図13(C)は、電子線を基板に対して平行に入射するNBEDによって観察される回折パターンである。なお、図13(C)に示すCAAC-IGZO膜の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]近傍である。また、極微電子線回折法では、プローブ径を1nmとして電子線回折が行われる。
図13(C)に示すように、CAAC-IGZO膜の回折パターンでは、c軸配向を示す複数のスポットが観察される。
<<酸化物半導体の構造>>
なお、酸化物半導体は、結晶構造に着目した場合、図13(A)とは異なる分類となる場合がある。例えば、酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、上述のCAAC-OS、及びnc-OSがある。また、非単結晶酸化物半導体には、多結晶酸化物半導体、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、非晶質酸化物半導体、等が含まれる。
ここで、上述のCAAC-OS、nc-OS、及びa-like OSの詳細について、説明を行う。
[CAAC-OS]
CAAC-OSは、複数の結晶領域を有し、当該複数の結晶領域はc軸が特定の方向に配向している酸化物半導体である。なお、特定の方向とは、CAAC-OS膜の厚さ方向、CAAC-OS膜の被形成面の法線方向、又はCAAC-OS膜の表面の法線方向である。また、結晶領域とは、原子配列に周期性を有する領域である。なお、原子配列を格子配列とみなすと、結晶領域とは、格子配列の揃った領域でもある。さらに、CAAC-OSは、a-b面方向において複数の結晶領域が連結する領域を有し、当該領域は歪みを有する場合がある。なお、歪みとは、複数の結晶領域が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。つまり、CAAC-OSは、c軸配向し、a-b面方向には明らかな配向をしていない酸化物半導体である。
なお、上記複数の結晶領域のそれぞれは、1つ又は複数の微小な結晶(最大径が10nm未満である結晶)で構成される。結晶領域が1つの微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の最大径は10nm未満となる。また、結晶領域が多数の微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の大きさは、数十nm程度となる場合がある。
また、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズ、チタン等から選ばれた一種、又は複数種)において、CAAC-OSは、インジウム(In)、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛(Zn)、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能である。よって、(M,Zn)層にはインジウムが含まれる場合がある。また、In層には元素Mが含まれる場合がある。なお、In層にはZnが含まれる場合もある。当該層状構造は、例えば、高分解能TEM像において、格子像として観察される。
CAAC-OS膜に対し、例えば、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、c軸配向を示すピークが2θ=31°又はその近傍に検出される。なお、c軸配向を示すピークの位置(2θの値)は、CAAC-OSを構成する金属元素の種類、組成等により変動する場合がある。
また、例えば、CAAC-OS膜の電子線回折パターンにおいて、複数の輝点(スポット)が観測される。なお、あるスポットと別のスポットとは、試料を透過した入射電子線のスポット(ダイレクトスポットともいう。)を対称中心として、点対称の位置に観測される。
上記特定の方向から結晶領域を観察した場合、当該結晶領域内の格子配列は、六方格子を基本とするが、単位格子は正六角形とは限らず、非正六角形である場合がある。また、上記歪みにおいて、五角形、七角形等の格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリー)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないこと、金属原子が置換することで原子間の結合距離が変化すること等によって、歪みを許容することができるためと考えられる。
なお、明確な結晶粒界が確認される結晶構造は、いわゆる多結晶(polycrystal)と呼ばれる。結晶粒界は、再結合中心となり、キャリアが捕獲されトランジスタのオン電流の低下、電界効果移動度の低下等を引き起こす可能性が高い。よって、明確な結晶粒界が確認されないCAAC-OSは、トランジスタの半導体層に好適な結晶構造を有する結晶性の酸化物の一つである。なお、CAAC-OSを構成するには、Znを有する構成が好ましい。例えば、In-Zn酸化物、及びIn-Ga-Zn酸化物は、In酸化物よりも結晶粒界の発生を抑制できるため好適である。
CAAC-OSは、結晶性が高く、明確な結晶粒界が確認されない酸化物半導体である。よって、CAAC-OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入、欠陥の生成等によって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物及び欠陥(酸素欠損等)の少ない酸化物半導体ともいえる。従って、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。また、CAAC-OSは、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対しても安定である。したがって、OSトランジスタにCAAC-OSを用いると、製造工程の自由度を広げることが可能となる。
[nc-OS]
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。別言すると、nc-OSは、微小な結晶を有する。なお、当該微小な結晶の大きさは、例えば、1nm以上10nm以下、特に1nm以上3nm以下であることから、当該微小な結晶をナノ結晶ともいう。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OS又は非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。例えば、nc-OS膜に対し、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、結晶性を示すピークが検出されない。また、nc-OS膜に対し、ナノ結晶よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OS膜に対し、ナノ結晶の大きさと近いかナノ結晶より小さいプローブ径(例えば1nm以上30nm以下)の電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。)を行うと、ダイレクトスポットを中心とするリング状の領域内に複数のスポットが観測される電子線回折パターンが取得される場合がある。
[a-like OS]
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a-like OSは、鬆又は低密度領域を有する。即ち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。また、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、膜中の水素濃度が高い。
<<酸化物半導体の構成>>
次に、上述のCAC-OSの詳細について、説明を行う。なお、CAC-OSは材料構成に関する。
[CAC-OS]
CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、又はその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つ又は複数の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、又はその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、又はパッチ状ともいう。
さらに、CAC-OSとは、第1の領域と、第2の領域と、に材料が分離することでモザイク状となり、当該第1の領域が、膜中に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。つまり、CAC-OSは、当該第1の領域と、当該第2の領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。
ここで、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSを構成する金属元素に対するIn、Ga、及びZnの原子数比のそれぞれを、[In]、[Ga]、及び[Zn]と表記する。例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSにおいて、第1の領域は、[In]が、CAC-OS膜の組成における[In]よりも大きい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、CAC-OS膜の組成における[Ga]よりも大きい領域である。又は、例えば、第1の領域は、[In]が、第2の領域における[In]よりも大きく、且つ、[Ga]が、第2の領域における[Ga]よりも小さい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、第1の領域における[Ga]よりも大きく、且つ、[In]が、第1の領域における[In]よりも小さい領域である。
具体的には、上記第1の領域は、インジウム酸化物、インジウム亜鉛酸化物等が主成分である領域である。また、上記第2の領域は、ガリウム酸化物、ガリウム亜鉛酸化物等が主成分である領域である。つまり、上記第1の領域を、Inを主成分とする領域と言い換えることができる。また、上記第2の領域を、Gaを主成分とする領域と言い換えることができる。
なお、上記第1の領域と、上記第2の領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、Inを主成分とする領域(第1の領域)と、Gaを主成分とする領域(第2の領域)とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
CAC-OSをトランジスタに用いる場合、第1の領域に起因する導電性と、第2の領域に起因する絶縁性とが、相補的に作用することにより、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSに付与することができる。つまり、CAC-OSとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。導電性の機能と絶縁性の機能とを分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。よって、CAC-OSをトランジスタに用いることで、高いオン電流(Ion)、高い電界効果移動度(μ)、及び良好なスイッチング動作を実現することができる。
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、CAC-OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
<酸化物半導体を有するトランジスタ>
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
トランジスタのチャネル形成領域には、キャリア濃度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体のチャネル形成領域のキャリア濃度は1×1017cm-3以下、好ましくは1×1015cm-3以下、さらに好ましくは1×1013cm-3以下、より好ましくは1×1011cm-3以下、さらに好ましくは1×1010cm-3未満であり、1×10-9cm-3以上である。なお、酸化物半導体膜のキャリア濃度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性又は実質的に高純度真性と言う。なお、キャリア濃度の低い酸化物半導体を、高純度真性又は実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ場合がある。
また、高純度真性又は実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
<不純物>
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコン又は炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体のチャネル形成領域におけるシリコン及び炭素の濃度と、酸化物半導体のチャネル形成領域との界面近傍のシリコン又は炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1017atoms/cm以下とする。
また、酸化物半導体にアルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体のチャネル形成領域中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1016atoms/cm以下にする。
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア濃度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。又は、酸化物半導体において、窒素が含まれると、トラップ準位が形成される場合がある。この結果、トランジスタの電気特性が不安定となる場合がある。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体のチャネル形成領域中の窒素濃度を、5×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm以下にする。
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体のチャネル形成領域における中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体のチャネル形成領域において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm未満、好ましくは5×1019atoms/cm未満、より好ましくは1×1019atoms/cm未満、さらに好ましくは5×1018atoms/cm未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満にする。
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1で示した記憶装置を有するCPUについて説明する。
図14は、実施の形態1で示した記憶装置を少なくとも一部に用いたCPUである、CPU1100構成例を示すブロック図である。
CPU1100は、基板1190上に、ALU1191(ALU:Arithmetic logic unit、演算回路)、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース1198(Bus I/F)、書き換え可能なROM1199、及びROMインターフェース1189(ROM I/F)を有している。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板等を用いる。ROM1199及びROMインターフェース1189は、別チップに設けてもよい。もちろん、図14に示すCPU1100は、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。例えば、CPU1100、又は演算回路を含む構成を一つのコアとし、当該コアを複数含み、それぞれのコアが並列で動作するような構成としてもよい。また、CPUが内部演算回路、又はデータバスで扱えるビット数は、例えば8ビット、16ビット、32ビット、64ビット等とすることができる。
バスインターフェース1198を介してCPU1100に入力された命令は、インストラクションデコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195に入力される。
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種制御を行なう。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御するための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPU1100のプログラム実行中に、外部の入出力装置、又は周辺回路からの割り込み要求を、その優先度又はマスク状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のアドレスを生成し、CPU1100の状態に応じてレジスタ1196の読み出し又は書き込みを行なう。
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、及びレジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミングコントローラ1195は、基準クロック信号を元に、内部クロック信号を生成する内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号を上記各種回路に供給する。
CPU1100では、レジスタ1196に、メモリセルが設けられている。レジスタ1196として、実施の形態1に示した記憶装置を適用することができる。これにより、レジスタ1196は大容量のデータを保持することができる。
CPU1100において、レジスタコントローラ1197は、ALU1191からの指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。すなわち、レジスタ1196が有するメモリセルにおいて、フリップフロップによるデータの保持を行うか、容量によるデータの保持を行うかを、選択する。フリップフロップによるデータの保持が選択されている場合、レジスタ1196内のメモリセルへの、電源電圧の供給が行われる。容量におけるデータの保持が選択されている場合、容量へのデータの書き換えが行われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧の供給を停止することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の記憶装置の応用例について説明する。
本発明の一態様の記憶装置は、例えば、各種電子機器(例えば、情報端末、コンピュータ、スマートフォン、電子書籍端末、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、録画再生装置、ナビゲーションシステム、ゲーム機等)に適用できる。また、イメージセンサ、IoT(Internet of Things)、ヘルスケア等に用いることもできる。なお、ここで、コンピュータとは、タブレット型のコンピュータ、ノート型のコンピュータ、及びデスクトップ型のコンピュータの他、サーバシステムのような大型のコンピュータを含むものである。
[PC用の拡張デバイス]
上記実施の形態で説明した記憶装置は、PC(Personal Computer)等の計算機、情報端末用の拡張デバイスに適用することができる。これにより、拡張デバイスは大容量のデータを保持することができる。
図15(A)は、当該拡張デバイスの一例として、持ち運びのできる、情報の記憶が可能なチップが搭載された、PCに外付けする拡張デバイス6100を示している。拡張デバイス6100は、例えば、USB(Universal Serial Bus)等でPCに接続することで、当該チップによる情報の記憶を行うことができる。なお、図15(A)は、持ち運びが可能な形態の拡張デバイス6100を図示しているが、本発明の一態様の拡張デバイスは、これに限定されず、例えば、冷却用ファン等を搭載した比較的大きい形態の拡張デバイスとしてもよい。
拡張デバイス6100は、筐体6101、キャップ6102、USBコネクタ6103及び基板6104を有する。基板6104は、筐体6101に収納されている。基板6104には、上記実施の形態で説明した記憶装置等を駆動する回路が設けられている。例えば、基板6104には、電子部品4700、コントローラチップ6106が取り付けられている。USBコネクタ6103は、外部装置と接続するためのインターフェースとして機能する。
[SDカード]
上記実施の形態で説明した記憶装置は、情報端末、又はデジタルカメラ等の電子機器に取り付けが可能なSDカードに適用することができる。これにより、SDカードは大容量のデータを保持することができる。
図15(B)はSDカードの外観の模式図であり、図15(C)は、SDカードの内部構造の模式図である。SDカード5110は、筐体5111、コネクタ5112及び基板5113を有する。コネクタ5112が外部装置と接続するためのインターフェースとして機能する。基板5113は筐体5111に収納されている。基板5113には、記憶装置及び記憶装置を駆動する回路が設けられている。例えば、基板5113には、電子部品4700、コントローラチップ5115が取り付けられている。なお、電子部品4700とコントローラチップ5115とのそれぞれの回路構成は、上述の記載に限定せず、状況に応じて、適宜回路構成を変更してもよい。例えば、電子部品に備えられている書き込み回路、ロードライバ、読み出し回路等は、電子部品4700でなく、コントローラチップ5115に組み込んだ構成としてもよい。
基板5113の裏面側にも電子部品4700を設けることで、SDカード5110の容量を増やすことができる。また、無線通信機能を備えた無線チップを基板5113に設けてもよい。これによって、外部装置とSDカード5110との間で無線通信を行うことができ、電子部品4700のデータの読み出し、書き込みが可能となる。
[SSD]
上記実施の形態で説明した記憶装置は、情報端末等電子機器に取り付けが可能なSSD(Solid State Drive)に適用することができる。これにより、SSDは大容量のデータを保持することができる。
図15(D)はSSDの外観の模式図であり、図15(E)は、SSDの内部構造の模式図である。SSD5150は、筐体5151、コネクタ5152及び基板5153を有する。コネクタ5152が外部装置と接続するためのインターフェースとして機能する。基板5153は筐体5151に収納されている。基板5153には、記憶装置及び記憶装置を駆動する回路が設けられている。例えば、基板5153には、電子部品4700、メモリチップ5155、コントローラチップ5156が取り付けられている。基板5153の裏面側にも電子部品4700を設けることで、SSD5150の容量を増やすことができる。メモリチップ5155にはワークメモリが組み込まれている。例えば、メモリチップ5155には、DRAMチップを用いればよい。コントローラチップ5156には、プロセッサ、ECC回路等が組み込まれている。なお、電子部品4700と、メモリチップ5155と、コントローラチップ5115と、のそれぞれの回路構成は、上述の記載に限定せず、状況に応じて、適宜回路構成を変更してもよい。例えば、コントローラチップ5156にも、ワークメモリとして機能するメモリを設けてもよい。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態5)
本発明の一態様の記憶装置は、CPU、GPU等のプロセッサ、又はチップに用いることができる。図16(A)乃至図16(H)に、本発明の一態様のCPU、GPU等のプロセッサ、又はチップを備えた電子機器の具体例を示す。
<電子機器・システム>
本発明の一態様のGPU又はチップは、様々な電子機器に搭載することができる。電子機器の例としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型又はノート型の情報端末用等のモニタ、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、パチンコ機等の大型ゲーム機、等の比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、電子ブックリーダー、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、等が挙げられる。また、本発明の一態様のGPU又はチップを電子機器に設けることにより、電子機器に人工知能を搭載することができる。
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信することで、表示部で映像、情報等の表示を行うことができる。また、電子機器がアンテナ及び二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
本発明の一態様の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像等)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付又は時刻等を表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出す機能等を有することができる。図16(A)乃至図16(H)に、電子機器の例を示す。
[情報端末]
図16(A)には、情報端末の一種である携帯電話(スマートフォン)が図示されている。情報端末5100は、筐体5101と、表示部5102と、を有しており、入力用インターフェースとして、タッチパネルが表示部5102に備えられ、ボタンが筐体5101に備えられている。
情報端末5100は、本発明の一態様のチップを適用することで、人工知能を利用したアプリケーションを実行することができる。人工知能を利用したアプリケーションとしては、例えば、会話を認識してその会話内容を表示部5102に表示するアプリケーション、表示部5102に備えるタッチパネルに対してユーザが入力した文字、図形等を認識して、表示部5102に表示するアプリケーション、指紋、声紋等の生体認証を行うアプリケーション等が挙げられる。
図16(B)には、ノート型情報端末5200が図示されている。ノート型情報端末5200は、情報端末の本体5201と、表示部5202と、キーボード5203と、を有する。
ノート型情報端末5200は、先述した情報端末5100と同様に、本発明の一態様のチップを適用することで、人工知能を利用したアプリケーションを実行することができる。人工知能を利用したアプリケーションとしては、例えば、設計支援ソフトウェア、文章添削ソフトウェア、献立自動生成ソフトウェア等が挙げられる。また、ノート型情報端末5200を用いることで、新規の人工知能の開発を行うことができる。
なお、上述では、電子機器としてスマートフォン、及びノート型情報端末を例として、それぞれ図16(A)、図16(B)に図示したが、スマートフォン、及びノート型情報端末以外の情報端末を適用することができる。スマートフォン、及びノート型情報端末以外の情報端末としては、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)、デスクトップ型情報端末、ワークステーション等が挙げられる。
[ゲーム機]
図16(C)は、ゲーム機の一例である携帯ゲーム機5300を示している。携帯ゲーム機5300は、筐体5301、筐体5302、筐体5303、表示部5304、接続部5305、操作キー5306等を有する。筐体5302、及び筐体5303は、筐体5301から取り外すことが可能である。筐体5301に設けられている接続部5305を別の筐体(図示せず)に取り付けることで、表示部5304に出力される映像を、別の映像機器(図示せず)に出力することができる。このとき、筐体5302、及び筐体5303は、それぞれ操作部として機能することができる。これにより、複数のプレイヤーが同時にゲームを行うことができる。筐体5301、筐体5302、及び筐体5303の基板に設けられているチップ等に先の実施の形態に示すチップを組み込むことができる。
また、図16(D)は、ゲーム機の一例である据置型ゲーム機5400を示している。据置型ゲーム機5400には、無線又は有線でコントローラ5402が接続される。
携帯ゲーム機5300、据置型ゲーム機5400等のゲーム機に本発明の一態様のGPU又はチップを適用することによって、低消費電力のゲーム機を実現することができる。また、低消費電力により、回路からの発熱を低減することができるため、発熱によるその回路自体、周辺回路、及びモジュールへの影響を少なくすることができる。
更に、携帯ゲーム機5300に本発明の一態様のGPU又はチップを適用することによって、人工知能を有する携帯ゲーム機5300を実現することができる。
本来、ゲームの進行、ゲーム上に登場する生物の言動、ゲーム上で発生する現象等の表現は、そのゲームが有するプログラムによって定められているが、携帯ゲーム機5300に人工知能を適用することにより、ゲームのプログラムに限定されない表現が可能になる。例えば、プレイヤーが問いかける内容、ゲームの進行状況、時刻、ゲーム上に登場する人物の言動が変化するといった表現が可能となる。
また、携帯ゲーム機5300で複数のプレイヤーが必要なゲームを行う場合、人工知能によって擬人的にゲームプレイヤーを構成することができるため、対戦相手を人工知能によるゲームプレイヤーとすることによって、1人でもゲームを行うことができる。
図16(C)、図16(D)では、ゲーム機の一例として携帯ゲーム機、及び据置型ゲーム機を図示しているが、本発明の一態様のGPU又はチップを適用するゲーム機はこれに限定されない。本発明の一態様のGPU又はチップを適用するゲーム機としては、例えば、娯楽施設(ゲームセンター、遊園地等)に設置されるアーケードゲーム機、スポーツ施設に設置されるバッティング練習用の投球マシン等が挙げられる。
[大型コンピュータ]
本発明の一態様のGPU又はチップは、大型コンピュータに適用することができる。
図16(E)は、大型コンピュータの一例である、スーパーコンピュータ5500を示す図である。図16(F)は、スーパーコンピュータ5500が有するラックマウント型の計算機5502を示す図である。
スーパーコンピュータ5500は、ラック5501と、複数のラックマウント型の計算機5502と、を有する。なお、複数の計算機5502は、ラック5501に格納されている。また、計算機5502には、複数の基板5504が設けられ、当該基板上に上記実施の形態で説明したGPU又はチップを搭載することができる。
スーパーコンピュータ5500は、主に科学技術計算に利用される大型コンピュータである。科学技術計算では、膨大な演算を高速に処理する必要があるため、消費電力が高く、チップの発熱が大きい。スーパーコンピュータ5500に本発明の一態様のGPU又はチップを適用することによって、低消費電力のスーパーコンピュータを実現することができる。また、低消費電力により、回路からの発熱を低減することができるため、発熱によるその回路自体、周辺回路、及びモジュールへの影響を少なくすることができる。
図16(E)、図16(F)では、大型コンピュータの一例としてスーパーコンピュータを図示しているが、本発明の一態様のGPU又はチップを適用する大型コンピュータはこれに限定されない。本発明の一態様のGPU又はチップを適用する大型コンピュータとしては、例えば、サービスを提供するコンピュータ(サーバー)、大型汎用コンピュータ(メインフレーム)等が挙げられる。
[移動体]
本発明の一態様のGPU又はチップは、移動体である自動車、及び自動車の運転席周辺に適用することができる。
図16(G)は、移動体の一例である自動車の室内におけるフロントガラス周辺を示す図である。図16(G)では、ダッシュボードに取り付けられた表示パネル5701、表示パネル5702、表示パネル5703の他、ピラーに取り付けられた表示パネル5704を図示している。
表示パネル5701乃至表示パネル5703は、スピードメーター、タコメーター、走行距離、燃料計、ギア状態、エアコンの設定等を表示することで、様々な情報を提供することができる。また、表示パネルに表示される表示項目、レイアウト等は、ユーザの好みに合わせて適宜変更することができ、デザイン性を高めることが可能である。表示パネル5701乃至表示パネル5703は、照明装置として用いることも可能である。
表示パネル5704には、自動車に設けられた撮像装置(図示しない。)からの映像を映し出すことによって、ピラーで遮られた視界(死角)を補完することができる。すなわち、自動車の外側に設けられた撮像装置からの画像を表示することによって、死角を補い、安全性を高めることができる。また、見えない部分を補完する映像を映すことによって、より自然に違和感なく安全確認を行うことができる。表示パネル5704は、照明装置として用いることもできる。
本発明の一態様のGPU又はチップは人工知能の構成要素として適用できるため、例えば、当該チップを自動車の自動運転システムに用いることができる。また、当該チップを道路案内、危険予測等を行うシステムに用いることができる。表示パネル5701乃至表示パネル5704には、道路案内、危険予測等の情報を表示する構成としてもよい。
なお、上述では、移動体の一例として自動車について説明しているが、移動体は自動車に限定されない。例えば、移動体としては、電車、モノレール、船、飛行体(ヘリコプター、無人航空機(ドローン)、飛行機、ロケット)等も挙げることができ、これらの移動体に本発明の一態様のチップを適用して、人工知能を利用したシステムを付与することができる。
[電化製品]
図16(H)は、電化製品の一例である電気冷凍冷蔵庫5800を示している。電気冷凍冷蔵庫5800は、筐体5801、冷蔵室用扉5802、冷凍室用扉5803等を有する。
電気冷凍冷蔵庫5800に本発明の一態様のチップを適用することによって、人工知能を有する電気冷凍冷蔵庫5800を実現することができる。人工知能を利用することによって電気冷凍冷蔵庫5800は、電気冷凍冷蔵庫5800に保存されている食材、その食材の消費期限等を基に献立を自動生成する機能、電気冷凍冷蔵庫5800に保存されている食材に合わせた温度に自動的に調節する機能等を有することができる。
電化製品の一例として電気冷凍冷蔵庫について説明したが、その他の電化製品としては、例えば、掃除機、電子レンジ、電子オーブン、炊飯器、湯沸かし器、IH調理器、ウォーターサーバ、エアーコンディショナーを含む冷暖房器具、洗濯機、乾燥機、オーディオビジュアル機器等が挙げられる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の記憶装置を適用した情報処理システムの一例について説明する。
図17(A)は、情報処理システム2000の構成例を示すブロック図である。情報処理システム2000では、基板2010上にCPU2011、GPU2013、AIアクセラレータ2015、及びメモリ2017が設けられる。つまり、CPU2011、GPU2013、AIアクセラレータ2015、及びメモリ2017は、1つのチップに形成することができる。また、基板2010の外部に、記憶装置2020が設けられる。つまり、記憶装置2020は、外付けの記憶装置である。
CPU2011は、例えば図14に示す構成のCPUを適用することができる。CPU2011は、オペレーティングシステムの実行、データの制御、各種演算やプログラムの実行など、汎用の処理を行う機能を有する。
GPU2013は、行列演算等、多数のデータの並列計算を行う機能を有する。AIアクセラレータ2015は、ニューラルネットワークの演算を行う機能を有する。例えば、積和演算を行う機能を有する。メモリ2017は、CPU2011、GPU2013、又はAIアクセラレータ2015から出力されたデータを保持する機能を有する。また、メモリ2017は、保持されたデータを、CPU2011、GPU2013、又はAIアクセラレータ2015に供給する機能を有する。メモリ2017は、キャッシュメモリ、またはメインメモリとすることができる。記憶装置2020は、ストレージとしての機能を有し、データを長期間保持する機能を有する。
メモリ2017、及び記憶装置2020として、上記実施の形態に示した記憶装置を適用することができる。これにより、メモリ2017、及び記憶装置20は大容量のデータを保持することができる。
以上より、情報処理システム2000は、自動車の自動運転システムとすることができる。また、情報処理システム2000は、上記実施の形態で示した、人工知能を利用したシステムとすることができる。
図17(B)は、情報処理システム2100の構成例を示すブロック図である。情報処理システム2100では、基板2010上にCPU2111、プログラムメモリ2113、及びデータメモリ2115を有する。つまり、CPU2111、プログラムメモリ2113、及びデータメモリ2115は、1つのチップに形成することができる。
プログラムメモリ2113は、情報処理システム2100の動作を制御するためのプログラムを保持する機能を有する。CPU2111は、プログラムメモリ2113に保持されたプログラムを実行する機能を有する。データメモリ2115は、CPU2111がプログラムを実行することにより生成されたデータを保持する機能を有する。データメモリ2115に保持されたデータは、上記プログラムに応じてCPU2111により取得される。
プログラムメモリ2113は、不揮発性メモリであることが好ましい。よって、プログラムメモリ2113は、上記実施の形態に示した記憶装置を適用することが好ましい。また、プログラムメモリ2113として、上記実施の形態に示した記憶装置を適用することにより、情報処理システム2100を高速に駆動させることができる。
情報処理システム2100は、例えばマイクロコンピュータに適用することができる。例えば、車載のマイクロコンピュータに適用することができる。情報処理システム2100を車載のマイクロコンピュータに適用する場合、情報処理システム2100は例えばエンジン制御を行う機能を有することができる。また、情報処理システム2100は、電子機器の動作を制御するために当該電子機器に設けられるマイクロコンピュータに適用することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
11 導電層
13 絶縁層
15 半導体層
17a 導電層
17b 導電層
19 強誘電体層
20 記憶装置
21 導電層
51 曲線
52 曲線
100 容量
110 導電体
112 導電体
120 導電体
120a 導電体
120b 導電体
130 絶縁体
152a 絶縁体
152b 絶縁体
155 絶縁体
160 絶縁体
200 トランジスタ
200a トランジスタ
200b トランジスタ
205 導電体
205a 導電体
205b 導電体
210 絶縁体
212 絶縁体
214 絶縁体
216 絶縁体
217 絶縁体
218 導電体
222 絶縁体
224 絶縁体
230 酸化物
230a 酸化物
230b 酸化物
230ba 領域
230bb 領域
230bc 領域
240 導電体
240a 導電体
240b 導電体
241 絶縁体
241a 絶縁体
241b 絶縁体
242 導電体
242a 導電体
242b 導電体
246 導電体
246a 導電体
246b 導電体
250 絶縁体
260 導電体
260a 導電体
260b 導電体
271 絶縁体
271a 絶縁体
271b 絶縁体
274 絶縁体
275 絶縁体
280 絶縁体
282 絶縁体
283 絶縁体
285 絶縁体
286 絶縁体
300 トランジスタ
311 基板
313 半導体領域
314a 低抵抗領域
314b 低抵抗領域
315 絶縁体
316 導電体
320 絶縁体
322 絶縁体
324 絶縁体
326 絶縁体
328 導電体
330 導電体
350 絶縁体
352 絶縁体
354 絶縁体
356 導電体
1001 配線
1002 配線
1003 配線
1004 配線
1005 配線
1006 配線
1007 配線
1100 CPU
1189 ROMインターフェース
1190 基板
1191 ALU
1192 ALUコントローラ
1193 インストラクションデコーダ
1194 インタラプトコントローラ
1195 タイミングコントローラ
1196 レジスタ
1197 レジスタコントローラ
1198 バスインターフェース
1199 ROM
2000 情報処理システム
2010 基板
2011 CPU
2013 GPU
2015 AIアクセラレータ
2017 メモリ
2020 記憶装置
2100 情報処理システム
2111 CPU
2113 プログラムメモリ
2115 データメモリ
2621 ローデコーダ
2622 ワード線ドライバ回路
2630 ビット線ドライバ回路
2631 カラムデコーダ
2632 プリチャージ回路
2633 センスアンプ
2634 回路
2640 出力回路
2660 コントロールロジック回路
4700 電子部品
5100 情報端末
5101 筐体
5102 表示部
5110 SDカード
5111 筐体
5112 コネクタ
5113 基板
5115 コントローラチップ
5150 SSD
5151 筐体
5152 コネクタ
5153 基板
5155 メモリチップ
5156 コントローラチップ
5200 ノート型情報端末
5201 本体
5202 表示部
5203 キーボード
5300 携帯ゲーム機
5301 筐体
5302 筐体
5303 筐体
5304 表示部
5305 接続部
5306 操作キー
5400 据置型ゲーム機
5402 コントローラ
5500 スーパーコンピュータ
5501 ラック
5502 計算機
5504 基板
5701 表示パネル
5702 表示パネル
5703 表示パネル
5704 表示パネル
5800 電気冷凍冷蔵庫
5801 筐体
5802 冷蔵室用扉
5803 冷凍室用扉
6100 拡張デバイス
6101 筐体
6102 キャップ
6103 USBコネクタ
6104 基板
6106 コントローラチップ

Claims (11)

  1. メモリセルを有し、
    前記メモリセルは、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、を有し、
    前記第1のトランジスタは、第1のゲートと、第2のゲートと、第1のゲート絶縁層と、第2のゲート絶縁層と、を有し、
    前記第1のゲート絶縁層は、前記第1のゲートに対するゲート絶縁層であり、
    前記第2のゲート絶縁層は、前記第2のゲートに対するゲート絶縁層であり、
    前記第1のゲート絶縁層は、強誘電性を有し、
    前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続され、
    前記第2のゲートは、前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方と電気的に接続される記憶装置。
  2. 請求項1において、
    第1層と、前記第1層と重なる第2層と、を有し、
    前記第1層は、第1の回路と、第2の回路と、を有し、
    前記第2層は、前記メモリセルを有し、
    前記第1の回路は、前記第1のゲートに供給する電位を生成する機能を有し、
    前記第2の回路は、前記第2のトランジスタのオンオフを制御する機能を有する記憶装置。
  3. 請求項2において、
    前記記憶装置は、前記メモリセルにデータを書き込む書込み動作と、前記データを読み出す読出し動作と、を行う機能を有し、
    前記第2の回路は、前記書込み動作を行う期間において、前記第2のトランジスタをオン状態とする機能を有し、
    前記第2の回路は、前記読出し動作を行う期間において、前記第2のトランジスタをオフ状態とする機能を有する記憶装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項において、
    前記第2のゲート絶縁層は、常誘電性を有する記憶装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項において、
    前記第1のゲート絶縁層は、酸化ハフニウム及び/又は酸化ジルコニウムを有する記憶装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項において、
    前記第2のトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有する記憶装置。
  7. 第1層と、前記第1層と重なる第2層と、を有し、
    前記第1層は、第1の回路と、第2の回路を有し、
    前記第2層は、メモリセルを有し、
    前記メモリセルは、トランジスタと、容量と、を有し、
    前記トランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、
    前記容量は、強誘電体層を有し、
    前記トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第1の回路と電気的に接続され、
    前記トランジスタのソース又はドレインの他方は、前記容量の一方の電極と電気的に接続され、
    前記トランジスタのゲートは、前記第2の回路と電気的に接続される記憶装置。
  8. 請求項7において、
    前記第1の回路は、ビット線ドライバ回路に相当し、
    前記第2の回路は、ワード線ドライバ回路に相当する記憶装置。
  9. 請求項7又は8において、
    前記強誘電体層は、酸化ハフニウム及び/又は酸化ジルコニウムを有する記憶装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一の記憶装置と、基板と、を有するCPU。
  11. 請求項1乃至9のいずれか一の記憶装置と、表示部と、を有する電子機器。
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WO2023242664A1 (ja) * 2022-06-17 2023-12-21 株式会社半導体エネルギー研究所 半導体装置、記憶装置
WO2024042419A1 (ja) * 2022-08-24 2024-02-29 株式会社半導体エネルギー研究所 記憶装置

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WO2023242664A1 (ja) * 2022-06-17 2023-12-21 株式会社半導体エネルギー研究所 半導体装置、記憶装置
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