JP2022043661A - タイヤ - Google Patents

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拓真 吉住
Takuma Yoshizumi
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Abstract

【課題】耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能に優れたタイヤを提供する。【解決手段】ポリアミドポリエーテルエラストマーを含む支持部材を備えたタイヤであって、前記支持部材中のポリアミドポリエーテルエラストマー含有量(PA(質量%))と、プライトッピングゴムの硫黄量(TSp(質量%))とが下記(式1)を満たすタイヤ。(式1) PA-TSp<15.0【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤに関する。
タイヤは、諸性能が付与された様々な部材により構成され、サイドウォール等のタイヤを支持する部材には、耐亀裂成長性、耐外傷性等の物性が要求されている。例えば、特許文献1には、ポリアミドポリエーテルエラストマー等を配合した耐外傷性、耐屈曲疲労性に優れたタイヤが開示されている。
特開2019-77809号公報
しかしながら、タイヤの性能改善の要求は大きく、耐亀裂成長性、耐ピンチカット性等の性能の更なる改善が望まれている。
本発明は、前記課題を解決し、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能に優れたタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ポリアミドポリエーテルエラストマーを含む支持部材を備えたタイヤであって、
前記支持部材中のポリアミドポリエーテルエラストマー含有量(PA(質量%))と、プライトッピングゴムの硫黄量(TSp(質量%))とが下記(式1)を満たすタイヤに関する。
(式1) PA-TSp<15.0
前記PA(質量%)及び前記TSp(質量%))が下記式を満たすことが好ましい。
PA-TSp≦12.0
前記PA(質量%)が下記式を満たすことが好ましい。
6.0≦PA≦11.0
前記TSp(質量%)が下記式を満たすことが好ましい。
1.7≦TSp≦2.6
前記支持部材は、ゴム成分100質量部に対する前記ポリアミドポリエーテルエラストマーの含有量が5~30質量部であることが好ましい。
前記支持部材は、ゴム成分100質量部に対する酸変性ポリオレフィンの含有量が3~20質量部であることが好ましい。
前記支持部材は、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量が20~60質量%、ブタジエンゴムの含有量が40~80質量%であり、前記プライトッピングゴムは、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量が50~85質量%、スチレンブタジエンゴムの含有量が15~50質量%であることが好ましい。
前記支持部材は、ゴム成分100質量部に対する窒素吸着比表面積55m/g以下のカーボンブラックの含有量が10~60質量部であることが好ましい。
前記プライトッピングゴムは、ゴム成分100質量部に対する硬化レジンの含有量が0.5~5.0質量部であることが好ましい。
前記支持部材の硫黄量(TSs(質量%))と、前記プライトッピングゴムの硫黄量(TSp(質量%))とが下記(式2)を満たすことが好ましい。
(式2) TSp-TSs<2.0
本発明は、ポリアミドポリエーテルエラストマーを含む支持部材を備えたタイヤであって、前記支持部材中のポリアミドポリエーテルエラストマー含有量(PA(質量%))と、プライトッピングゴムの硫黄量(TSp(質量%))とが下記(式1)を満たすタイヤであるので、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能に優れたタイヤを提供できる。
本発明の一実施形態であるタイヤの部分断面図である。
本発明は、ポリアミドポリエーテルエラストマーを含む支持部材を備えたタイヤであって、前記支持部材中のポリアミドポリエーテルエラストマー含有量(PA(質量%))と、プライトッピングゴムの硫黄量(TSp(質量%))とが前記(式1)を満たすタイヤである。このようなタイヤは、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能に優れている。
ここで、路面にあるポットホール等の段差をタイヤが通過する際、タイヤには大きな衝撃力が加えられ、タイヤは路面とリムのフランジとに挟まれ、タイヤのサイドウォールからクリンチに至る部分が大きく変形し、カーカスに含まれるコードに大きな張力が作用し、張力の程度によってはコードが切断することがあり、このようなコードの切断を伴う損傷がピンチカットと称されている。そして本発明のタイヤは、このようなピンチカットを抑制する耐ピンチカット性と、耐亀裂成長性との総合性能に優れているものであり、サイドウォール、サイド補強層(ランフラットタイヤにおけるサイド補強層)、クリンチ、ベーストレッド、プライ以外のコードトッピングゴムなどの支持部材の少なくとも1つを、ポリアミドポリエーテルエラストマーを含み、かつ前記(式1)を満たす構成にすることで、サイドウォールからクリンチに至る部分の変形を防止し、コードの切断が抑制される結果、ピンチカットの抑制が可能となる。
前述の作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のメカニズムにより奏するものと推察される。
サイドウォール等のタイヤの支持部材にポリアミドポリエーテルエラストマーを配合すると、高硬度化と耐亀裂成長性の両立が可能となる一方で、該支持部材とプライのプライトッピングゴムとの界面における二重結合量が乏しくなることに起因して、界面で剥離が生じる懸念がある。この点について、該支持部材中に含まれるポリアミドポリエーテルエラストマーの含有量(PA)と、該プライトッピングゴムの硫黄量(TSp)とを(式1)「PA-TSp<15.0」を充足するように調整することにより、ポリアミドポリエーテルエラストマーにより減少した界面の二重結合にプライトッピングゴムの硫黄が結合しやすい状態となり、支持部材とプライの界面における補強性が向上する。よって、支持部材における変形を抑制しつつ、界面における補強性が向上するため、縁石乗り上げやポットホールに落ちた際などの大変形に対する耐ピンチカット性能が向上する。従って、タイヤの耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能が顕著に改善されると推察される。
このように、ポリアミドポリエーテルエラストマーを含む支持部材を備え、かつ該支持部材中のポリアミドポリエーテルエラストマー含有量(PA(質量%))と、プライトッピングゴムの硫黄量(TSp(質量%))とが(式1)「PA-TSp<15.0」を満たすタイヤの構成にすることにより、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能の改善という課題(目的)を解決するものである。すなわち、「PA-TSp<15.0」の構成は、課題(目的)を規定したものではなく、本願の課題は、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能の改善であり、そのための解決手段として当該パラメーターを満たすような構成にしたものである。
前記支持部材は、タイヤを支持する部材であり、例えば、サイドウォール、サイド補強層(ランフラットタイヤにおけるサイド補強層)、クリンチ、ベーストレッド、プライ以外のコードトッピングゴムなどが挙げられる。なかでも、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能に優れているという観点から、サイドウォール、サイド補強層、クリンチに好適に適用できる。
前記プライトッピングゴム(カーカストッピングゴム)で被覆されるタイヤ部材は、プライ(カーカス)である。
タイヤは、支持部材中のポリアミドポリエーテルエラストマーの含有量(PA(質量%))と、プライトッピングゴムの硫黄量(TSp(質量%))とが、下記(式1)を満たす。
(式1) PA-TSp<15.0
耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能の観点から、PA-TSpは、12.0以下が好ましく、9.0以下がより好ましく、7.0以下が更に好ましく、6.0以下が特に好ましい。下限は特に限定されないが、0.5以上が好ましく、2.5以上がより好ましく、3.0以上が更に好ましく、3.5以上が特に好ましい。
PAは、4.5質量%以上が好ましく、6.0質量%以上がより好ましく、6.5質量%以上が更に好ましく、7.0質量%以上が特に好ましい。上限は、16.0質量%以下が好ましく、13.0質量%以下がより好ましく、11.0質量%以下が更に好ましく、9.0質量%以下が特に好ましく、8.5質量%以下が最も好ましい。上記範囲内にすることで、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
TSpは、1.5質量%以上が好ましく、1.7質量%以上がより好ましく、1.8質量%以上が更に好ましく、1.9質量%以上が特に好ましい。上限は、3.0質量%以下が好ましく、2.6質量%以下がより好ましく、2.4質量%以下が更に好ましく、2.3質量%以下が特に好ましい。上記範囲内にすることで、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
なお、PA(支持部材中のポリアミドポリエーテルエラストマー含有量)は、支持部材を構成するゴム組成物(未加硫のゴム組成物)に配合した全成分量(100質量%)中のポリアミドポリエーテルエラストマーの配合量(質量%)である。TSp(プライトッピングゴムの硫黄量)は、プライを構成するプライトッピング用ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)の硫黄量、後述のTSs(支持部材の硫黄量)は、支持部材を構成する支持部材用ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)の硫黄量であり、後述の実施例に記載の方法で測定できる。
TSp、後述のTSsの調整方法は特に限定されないが、例えば、硫黄、加硫促進剤、シランカップリング剤等の硫黄原子を含む薬品の配合比率を増やす、等の方法で、値が高まる傾向がある。
<支持部材>
前記タイヤは、ポリアミドポリエーテルエラストマーを含む支持部材を備える。
支持部材は、例えば、ポリアミドポリエーテルエラストマーを含むゴム組成物(支持部材用ゴム組成物)から構成される。
(ポリアミドポリエーテルエラストマー)
支持部材用ゴム組成物において、ポリアミドポリエーテルエラストマーの含有量は、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能の観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは12質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、更に好ましくは22質量部以下である。上記範囲内にすることで、高硬度化と耐亀裂成長性の両立が可能となる傾向がある。このような作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、所定量のポリアミドポリエーテルエラストマーを配合することで、隣接部材との接着性能を損なうことなく、高硬度化により大変形時の耐ピンチカット性を高めることができるものと推察される。
ポリアミドポリエーテルエラストマーの融点は、70~160℃が好ましい。下限は90℃以上がより好ましく、上限は150℃以下がより好ましい。
なお、融点は、例えば、(株)島津製作所製の示差走査熱量計「DSC-50」を用いて窒素雰囲気下で測定できる。具体的には、室温から230℃まで10℃/minの速度で昇温し(昇温ファーストラン)、230℃で10分保持した後、-100℃まで10℃/minの速度で降温し(降温ファーストラン)、次に230℃まで10℃/minの速度で昇温した(昇温セカンドラン)。得られたDSCチャートから降温ファーストランの発熱ピーク温度を結晶化温度(Tc)、昇温セカンドランの吸熱ピーク温度を融点(Tm)として測定できる。
支持部材用ゴム組成物に使用されるポリアミドポリエーテルエラストマーとしては、ポリアミドを含むハードセグメント及びポリエーテルを含むソフトセグメントを有する共重合体などが挙げられる。なかでも、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能の観点から、ポリアミドブロック(ハードセグメント)及びポリエーテルブロック(ソフトセグメント)を有するブロック共重合体が好ましく、脂肪族ポリアミドブロック(ハードセグメント)及び脂肪族ポリエーテルブロック(ソフトセグメント)を有するブロック共重合体がより好ましい。
ポリアミドポリエーテルエラストマーとして、具体的には、下記式(I)で示される構造を有する化合物などが挙げられる。
-[A-X-B- (I)
(式中、Aはポリアミドブロックを表し、Bはポリエーテルブロックを表し、Xはポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを結合する結合基を表し、nは1以上の整数を表す。)
前記式において、繰り返し単位[A-X-B]間で、ポリアミドブロック(A)、ポリエーテルブロック(B)は、それぞれ同一でも異なるものでもよい。各結合基Xは、同一又は異なって、-CO-NH-、-CO-O-であることが好ましい。
ポリアミドポリエーテルエラストマーの重量平均分子量(Mw)は、1.0×10~2.0×10であることが好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めたものである。
ポリアミドブロック(A)としては、例えば、ラクタム、アミノカルボン酸、ジアミンとジカルボン酸の塩等のポリアミド形成性モノマーの1種又は2種以上の重合により誘導されるものが挙げられる。
ラクタムとしては、ε-カプロラクタム、ω-ヘプタラクタム、ω-カプリルラクタム、ω-ウンデカラクタム、ω-ドデカラクタム等の炭素数5~20の脂肪族ラクタムが挙げられ、なかでも、炭素数5~12の脂肪族ラクタムが好ましい。アミノカルボン酸としては、ω-アミノカプロン酸、ω-アミノエナント酸、ω-アミノカプリル酸、ω-アミノペルコン酸、ω-アミノカプリン酸、6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等の炭素数5~20が挙げられ、なかでも、炭素数5~11のアミノカルボン酸が好ましい。ジアミンとジカルボン酸の塩におけるジアミンとしては、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、テトラエチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、フェニレンジアミン、メタキシリレンジアミン等の炭素数2~20のジアミンが挙げられる。ジアミンとジカルボン酸の塩におけるジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、スベリン酸、アゼライン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、フマル酸、フタル酸、キシリレンジカルボン酸、ダイマー酸(リノール酸やオレイン酸を主成分とする不飽和脂肪酸より合成される炭素数36の不飽和ジカルボン酸)等の炭素数2~36のジカルボン酸が挙げられる。ジアミンとジカルボン酸の塩のなかでも、前記例示のジアミンとジカルボン酸の塩が好ましく、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、テトラエチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミンからなる群より選択される1種と、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、テレフタル酸及びイソフタル酸からなる群より選択される1種との塩がより好ましい。
ポリアミドブロックを構成するポリアミド単位の例としては、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリヘプトラクタム(ナイロン7)、ポリカプリルラクタム(ナイロン8)、ポリノナノラクタム(ナイロン9)、ポリウンデカノラクタム(ナイロン11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン12)などのラクタム類の開環重合体;カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/ノナノラクタム共重合体(ナイロン6/9)などのラクタム類の開環共重合体;ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン86)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン106)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン108)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンアジパミド共重合体(ナイロン26/66)などのジアミンとジカルボン酸の重縮合物;カプロラクタム/ヘキサメチレンアジパミド共重合体(ナイロン6/66)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンアジパミド共重合体(ナイロン12/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン66/610)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンアジバミド/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン6/66/610)などのラクタム類/ジアミン/ジカルボン酸の共重合体が挙げられる。なかでも、ラクタム類の開環重合体及び共重合体が好ましく、ポリラウリルラクタム(ナイロン12)がより好ましい。
ポリエーテルブロック(B)としては、例えば、ポリオキシアルキレンポリオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシテトラメチレンジオール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシテトラメチレンオキシプロピレンジオール等)、下記式(II)で示されるABA型トリブロックポリエーテル、ポリエーテルジアミン等のポリエーテルの1種又は2種以上の重合により誘導されるものが挙げられる。なお、ポリエーテルの末端がアミンで変性されたものでもよい。
Figure 2022043661000001
(式中、xは1~20の整数、yは4~50の整数、zは1~20の整数である。)
xは2~6の整数が好ましい。yは6~12の整数が好ましい。zは1~5の整数が好ましい。
ハードセグメントの数平均分子量(Mn)は、好ましくは300以上であり、上限は、好ましくは15000以下、より好ましくは600以下である。ソフトセグメントの数平均分子量(Mn)は、好ましくは200以上、より好ましくは650以上であり、上限は、好ましくは6000以下、より好ましくは2000以下である。上記ハードセグメントと上記ソフトセグメントとの質量比(ハードセグメント:ソフトセグメント)は、20:80~95:5が好ましく、30:70~80:20がより好ましい。
上記ハードセグメントと上記ソフトセグメントとの組合せとしては、上述で挙げたハードセグメントとソフトセグメントとのそれぞれの組合せが挙げられるが、なかでも、ラウリルラクタムの開環重縮合体とポリエチレングリコールとの組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体とポリプロピレングリコールとの組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体とポリテトラメチレンエーテルグリコールとの組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体と上記式(II)のABA型トリブロックポリエーテルとの組合せが好ましく、ラウリルラクタムの開環重縮合体と上記式(II)のABA型トリブロックポリエーテルとの組合せがより好ましい。ラウリルラクタムの開環重縮合体と上記式(II)のABA型トリブロックポリエーテルとの組合せを有するポリアミドポリエーテルエラストマーの市販品として、UBESTA XPA 9040X1が挙げられる。
ポリアミドポリエーテルエラストマーの市販品としては、宇部興産(株)製のUBESTA XPAの各シリーズ(UBESTA XPA 9040X1、同9040F1、同9048X1、同9048F1、同9055X1、同9055F1、同9063X1、同9063F1、同9068X1、同9068F1、同9040X2、同9048X2、同9040F2、同9048F2、同9035Xなど)を使用できる。なお、ポリアミドポリエーテルエラストマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
(酸変性ポリオレフィン)
支持部材用ゴム組成物は、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能の観点から、酸変性ポリオレフィンを含むことが好ましい。
支持部材用ゴム組成物において、酸変性ポリオレフィンの含有量は、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能の観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは8質量部以下である。上記範囲内にすることで、高硬度化と耐亀裂成長性の両立が可能となる傾向がある。このような作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、所定量の酸変性ポリオレフィンを配合することで、ポリアミドポリエーテルエラストマーの系内の分散が向上し、効果的にネットワークを形成し、耐亀裂成長性、耐ピンチカット性が向上したものと推察される。
酸変性ポリオレフィンは、23℃で固体であることが好ましい。酸変性ポリオレフィンの融点は、105~146℃であることが好ましく、110~145℃であることがより好ましい。なお、酸変性ポリオレフィンの融点は、ASTM D2117に準じて測定できる。
酸変性ポリオレフィンとしては、カルボン酸で変性されたポリオレフィンなどが挙げられる。酸変性ポリオレフィンの骨格は、単独重合体、共重合体のいずれでもよい。酸変性ポリオレフィンの主鎖としては、例えば、オレフィンから形成される繰り返し単位を有するポリオレフィンが好ましい。オレフィンとしては、例えば、エチレン;プロピレン、1-ブテン、1-オクテン等のα-オレフィン;等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィンの骨格(主鎖)を構成するポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリオクテンなどの単独重合体;少なくとも2種のオレフィンから形成される共重合体;などが挙げられる。なかでも、単独重合体が好ましく、ポリプロピレン、ポリエチレンがより好ましい。
ポリエチレンとしては、低密度から高密度のポリエチレンなどが挙げられる。なかでも、高密度ポリエチレンが好ましい。酸変性ポリオレフィンの主鎖が高密度ポリエチレンである場合、このような酸変性ポリオレフィンの密度は940~980kg/mが好ましい。なお、酸変性ポリオレフィンの密度は、ASTM D1505に準じて測定できる。
ポリオレフィンを変性するカルボン酸としては、不飽和カルボン酸などが挙げられる。具体的には、アクリル酸、メタアクリル酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;酸無水物;等が挙げられる。酸無水物としては、ジカルボン酸の無水物等が挙げられる。なかでも、無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸が好ましい。
前述の酸変性ポリオレフィンのなかでも、酸無水物で変性されたポリオレフィンが好ましく、無水マレイン酸で変性されたポリオレフィンがより好ましい。
なお、酸変性ポリオレフィンにおいて、カルボン酸が主鎖のどの位置に結合するかは特に制限されず、末端、側鎖などが挙げられる。なかでも、カルボン酸が側鎖として主鎖に結合することが好ましい。カルボン酸と主鎖とは直接又は有機基を介して結合できる。有機基は特に制限されない。
酸変性ポリオレフィンの製造方法は特に限定されず、従来公知の方法が挙げられ、グラフト重合による製造方法等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィンの市販品としては、アドマーQE060(三井化学社製)などの無水マレイン酸変性ポリプロピレン;アドマーHE810(三井化学社製)などの無水マレイン酸変性高密度ポリエチレンが挙げられる。なお、酸変性ポリオレフィンは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
(ゴム成分)
支持部材用ゴム組成物に使用可能なゴム成分としては、例えば、ジエン系ゴムを使用できる。ジエン系ゴムとしては、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。また、ブチル系ゴム、フッ素ゴムなども挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能の観点から、イソプレン系ゴム、BR、SBRが好ましく、イソプレン系ゴム、BRがより好ましい。
上記ジエン系ゴムは、非変性ジエン系ゴムでもよいし、変性ジエン系ゴムでもよい。
変性ジエン系ゴムとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するジエン系ゴムであればよく、例えば、ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性ジエン系ゴム(末端に上記官能基を有する末端変性ジエン系ゴム)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性ジエン系ゴムや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性ジエン系ゴム(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性ジエン系ゴム)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性ジエン系ゴム等が挙げられる。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴムなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
支持部材用ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。上限は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。上記範囲内にすることで、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
BRは特に限定されず、例えば、高シス含量のハイシスBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類系触媒を用いて合成したBR(希土類BR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、BRは、シス含量が90質量%以上のハイシスBRを含むことが好ましい。該シス含量は、95質量%以上がより好ましい。なお、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
また、BRは、非変性BRでもよいし、変性BRでもよい。変性BRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性BRが挙げられる。
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
支持部材用ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。上限は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。上記範囲内にすることで、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
支持部材用ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴム及びBRの合計含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上である。上限は特に限定されず、100質量%でもよい。上記範囲内にすることで、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRは、非変性SBRでもよいし、変性SBRでもよい。変性SBRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性SBRが挙げられる。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
支持部材用ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下で、0質量%でもよい。上記範囲内にすることで、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
(充填材)
支持部材用ゴム組成物は、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能の観点から、充填材を含むことが好ましい。
充填材としては特に限定されず、ゴム分野で公知の材料を使用でき、例えば、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどの無機フィラー等が挙げられる。なかでも、カーボンブラック、シリカが好ましく、カーボンブラックがより好ましい。
支持部材用ゴム組成物において、充填材の含有量(充填材の合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは40質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。上記範囲内にすることで、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
支持部材用ゴム組成物に使用可能なカーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、130m/g以下が更に好ましい。下限は特に限定されないが、5m/g以上が好ましく、10m/g以上がより好ましい。上記範囲内にすることで、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2:2001によって求められる。
支持部材用ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量(カーボンブラックの総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは40質量部以上、特に好ましくは45質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは60質量部以下、特に好ましくは55質量部以下である。上記範囲内にすることで、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
支持部材用ゴム組成物において、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能の観点から、特に、窒素吸着比表面積(NSA)が55m/g以下のカーボンブラックを含むことが好ましい。より好ましくは50m/g以下が、更に好ましくは45m/g以下である。下限は特に限定されないが、5m/g以上が好ましく、10m/g以上がより好ましい。
支持部材用ゴム組成物において、NSA55m/g以下のカーボンブラックの含有量は、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能の観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内にすることで、低発熱と耐亀裂成長性の両立が可能となる傾向がある。このような作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、NSA55m/g以下のカーボンブラックを配合することで、ゴム系内の補強性・柔軟性がバランスよく向上し、更に耐亀裂成長性を向上させることが可能となったものと推察される。
(シリカ)
支持部材用ゴム組成物に使用可能なシリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。市販品としては、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは150m/g以上である。シリカのNSAの上限は特に限定されないが、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下、更に好ましくは200m/g以下である。上記範囲内にすることで、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
支持部材用ゴム組成物がシリカを含有する場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である。上記範囲内にすることで、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
(シランカップリング剤)
支持部材用ゴム組成物がシリカを含有する場合、シランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
支持部材用ゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内にすることで、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
(可塑剤)
支持部材用ゴム組成物には、可塑剤を配合してもよい。可塑剤とは、ゴム成分に可塑性を付与する材料であり、例えば、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)、樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
支持部材用ゴム組成物において、可塑剤の含有量(可塑剤の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、特に好ましくは15質量部以下である。該含有量の下限は、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7質量部以上である。上記範囲内にすることで、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
支持部材用ゴム組成物に使用可能な液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)としては特に限定されず、オイル、液状ポリマー(液状樹脂、液状ジエン系ポリマーなど)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
支持部材用ゴム組成物において、液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、特に好ましくは15質量部以下である。該含有量の下限は、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7質量部以上である。上記範囲内にすることで、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。なお、オイルの含有量も同様の範囲が望ましい。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。市販品としては、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)、日清オイリオグループ(株)等の製品を使用できる。なかでも、プロセスオイル(パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等)、植物油が好ましい。
液状樹脂としては、テルペン系樹脂(テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂を含む)、ロジン樹脂、スチレン系樹脂、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、クマロンインデン系樹脂(クマロン、インデン単体樹脂を含む)、フェノール樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。また、これらの水素添加物も使用可能である。
液状ジエン系ポリマーとしては、25℃で液体状態の液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)、液状ファルネセン重合体、液状ファルネセンブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。また、これらの水素添加物も使用可能である。
支持部材用ゴム組成物に使用可能な上記樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)としては、例えば、常温(25℃)で固体状態の芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。また、樹脂は、水添されていてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、芳香族ビニル重合体、石油樹脂、テルペン系樹脂が好ましい。
支持部材用ゴム組成物が上記樹脂を含有する場合、上記樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、特に好ましくは15質量部以下である。該含有量の下限は、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7質量部以上である。上記範囲内にすることで、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
上記樹脂の軟化点は、60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましい。上限は、160℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましく、115℃以下が更に好ましい。上記範囲内にすることで、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
なお、上記樹脂の軟化点は、JIS K6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
上記芳香族ビニル重合体は、芳香族ビニルモノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂が挙げられ、具体的には、スチレンの単独重合体(スチレン樹脂)、α-メチルスチレンの単独重合体(α-メチルスチレン樹脂)、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、スチレンと他のモノマーの共重合体などが挙げられる。
上記クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
上記クマロン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロンを含む樹脂である。
上記インデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む樹脂である。
上記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるポリマー等の公知のものを使用できる。なかでも、酸触媒で反応させることにより得られるもの(ノボラック型フェノール樹脂など)が好ましい。
上記ロジン樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、これらの水素添加物に代表されるロジン系樹脂等が挙げられる。
上記石油樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、これらの水素添加物などが挙げられる。なかでも、DCPD樹脂、水添DCPD樹脂が好ましい。
上記テルペン系樹脂は、テルペンを構成単位として含むポリマーであり。例えば、テルペン化合物を重合して得られるポリテルペン樹脂、テルペン化合物と芳香族化合物とを重合して得られる芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。また、これらの水素添加物も使用できる。
上記ポリテルペン樹脂は、テルペン化合物を重合して得られる樹脂である。該テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオールなどが挙げられる。
上記ポリテルペン樹脂としては、上述したテルペン化合物を原料とするピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、ピネン/リモネン樹脂などが挙げられる。なかでも、ピネン樹脂が好ましい。ピネン樹脂は、通常、異性体の関係にあるα-ピネン及びβ-ピネンの両方を含んでいるが、含有する成分の違いにより、β-ピネンを主成分とするβ-ピネン樹脂と、α-ピネンを主成分とするα-ピネン樹脂とに分類される。
上記芳香族変性テルペン樹脂としては、上記テルペン化合物及びフェノール系化合物を原料とするテルペンフェノール樹脂や、上記テルペン化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンスチレン樹脂などが挙げられる。また、上記テルペン化合物、フェノール系化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンフェノールスチレン樹脂も使用できる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。また、スチレン系化合物としては、スチレン、α-メチルスチレンなどが挙げられる。
上記アクリル系樹脂は、アクリル系モノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、カルボキシル基を有し、芳香族ビニルモノマー成分とアクリル系モノマー成分とを共重合して得られる、スチレンアクリル樹脂等のスチレンアクリル系樹脂などが挙げられる。なかでも、無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂を好適に使用できる。
上記無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂とは、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4,414,370号明細書、特開昭59-6207号公報、特公平5-58005号公報、特開平1-313522号公報、米国特許第5,010,166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42-45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)である。なお、本明細書において、(メタ)アクリルは、メタクリル及びアクリルを意味する。
上記アクリル系樹脂を構成するアクリル系モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル(2エチルヘキシルアクリレート等のアルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。
上記アクリル系樹脂を構成する芳香族ビニルモノマー成分としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ビニルが挙げられる。
また、上記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体、芳香族ビニルと共に、他のモノマー成分を使用してもよい。
上記可塑剤としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXTGエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業等の製品を使用できる。
(他の材料)
支持部材用ゴム組成物は、耐クラック性、耐オゾン性等の観点から、老化防止剤を含有することが好ましい。
老化防止剤としては特に限定されないが、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。市販品としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
支持部材用ゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。該含有量は、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下である。
支持部材用ゴム組成物は、ステアリン酸を含むことが好ましい。ゴム組成物において、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは0.5~5質量部である。
なお、ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
支持部材用ゴム組成物は、酸化亜鉛を含むことが好ましい。ゴム組成物において、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
なお、酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
支持部材用ゴム組成物は、ワックスを配合してもよい。支持部材用ゴム組成物において、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
ワックスとしては特に限定されず、石油系ワックス、天然系ワックスなどが挙げられ、また、複数のワックスを精製又は化学処理した合成ワックスも使用可能である。これらのワックスは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。天然系ワックスとしては、石油外資源由来のワックスであれば特に限定されず、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうなどの植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムなどの鉱物系ワックス;及びこれらの精製物などが挙げられる。市販品としては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
支持部材用ゴム組成物には、ポリマー鎖に適度な架橋鎖を形成し、良好な性能を付与するという点で、硫黄を配合することが好ましい。
支持部材用ゴム組成物において、硫黄の含有量(純硫黄量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上、特に好ましくは1.2質量部以上である。該含有量は、好ましくは3.0質量部以下、より好ましくは2.3質量部以下、更に好ましくは2.0質量部以下、特に好ましくは1.8質量部以下である。上記範囲内にすることで、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
支持部材用ゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。
支持部材用ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.7質量部以上、特に好ましくは0.8質量部以上である。上限は、好ましくは3.0質量部以下、より好ましくは1.5質量部以下、更に好ましくは1.3質量部以下、特に好ましくは1.2質量部以下である。上記範囲内にすることで、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
加硫促進剤の種類は特に制限はなく、通常用いられているものを使用可能である。加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系、グアニジン系、ベンゾチアゾール系加硫促進剤が好ましい。
ゴム組成物には、前記成分以外にも、タイヤ工業において一般的に用いられている配合剤、例えば、離型剤等の材料を適宜配合してもよい。
<プライ>
前記タイヤは、プライを備える。
プライは、例えば、前記(式1)を満たす硫黄量を持つゴム組成物(プライトッピング用ゴム組成物)から構成される。
(ゴム成分)
プライトッピング用ゴム組成物に使用可能なゴム成分としては、例えば、前述のジエン系ゴムを使用できる。なかでも、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能の観点から、イソプレン系ゴム、BR、SBRが好ましく、イソプレン系ゴム、SBRがより好ましい。イソプレン系ゴム、BR、SBRとしては、例えば、前述のものを使用できる。
プライトッピング用ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。上限は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。上記範囲内にすることで、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
プライトッピング用ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下で、0質量%でもよい。上記範囲内にすることで、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
SBRのスチレン含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。該スチレン含有量は、好ましくは45質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内にすることで、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
なお、本明細書において、スチレン含有量は、H-NMR測定によって測定できる。
SBRのビニル結合量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上である。該ビニル結合量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、特に好ましくは15質量%以下、最も好ましくは13質量%以下である。上記範囲内にすることで、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
なお、本明細書において、ビニル結合量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
プライトッピング用ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。上限は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。上記範囲内にすることで、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
プライトッピング用ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴム及びSBRの合計含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上である。上限は特に限定されず、100質量%でもよい。上記範囲内にすることで、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
(充填材)
プライトッピング用ゴム組成物は、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能の観点から、充填材を含むことが好ましい。充填材としては、例えば、前述のものを使用できる。なかでも、カーボンブラック、シリカが好ましく、カーボンブラックがより好ましい。
プライトッピング用ゴム組成物において、充填材の含有量(充填材の合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは40質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは65質量部以下、特に好ましくは55質量部以下である。上記範囲内にすることで、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
プライトッピング用ゴム組成物に使用可能なカーボンブラックとしては、例えば、前述のものを使用できる。カーボンブラックは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、30m/g以上が好ましく、50m/g以上がより好ましく、70m/g以上がより好ましい。上限は、200m/g以下が好ましく、100m/g以下がより好ましく、85m/g以下が更に好ましい。上記範囲内にすることで、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
プライトッピング用ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは40質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは60質量部以下、特に好ましくは55質量部以下である。上記範囲内にすることで、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
(シリカ)
プライトッピング用ゴム組成物に使用可能なシリカとしては、例えば、前述のものを使用できる。シリカは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
プライトッピング用ゴム組成物がシリカを含有する場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である。上記範囲内にすることで、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
(シランカップリング剤)
プライトッピング用ゴム組成物がシリカを含有する場合、シランカップリング剤を含むことが好ましい。使用可能なシランカップリング剤としては、例えば、前述のものを使用できる。シランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
プライトッピング用ゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内にすることで、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
(可塑剤)
プライトッピング用ゴム組成物には、可塑剤を配合してもよい。可塑剤としては、例えば、前述のものを使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
プライトッピング用ゴム組成物において、可塑剤の含有量(可塑剤の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、特に好ましくは15質量部以下である。該含有量の下限は、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7質量部以上である。上記範囲内にすることで、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
プライトッピング用ゴム組成物に使用可能な液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)としては特に限定されず、例えば、前述のものを使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
プライトッピング用ゴム組成物において、液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、特に好ましくは15質量部以下である。該含有量の下限は、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7質量部以上である。上記範囲内にすることで、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。なお、オイルの含有量も同様の範囲が望ましい。
プライトッピング用ゴム組成物に使用可能な上記樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)としては、例えば、前述のものを使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
プライトッピング用ゴム組成物が上記樹脂を含有する場合、上記樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、特に好ましくは15質量部以下である。該含有量の下限は、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7質量部以上である。上記範囲内にすることで、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
(硬化レジン(硬化樹脂))
プライトッピング用ゴム組成物は、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能の観点から、硬化レジン(硬化樹脂)を含むことが好ましい。硬化レジンとは、硬化性(架橋性)を持つ樹脂であり、例えば、レゾルシノール樹脂(縮合物)、変性レゾルシノール樹脂(縮合物)、クレゾール樹脂、変性クレゾール樹脂、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂などが挙げられる。なかでも、変性レゾルシノール樹脂、変性フェノール樹脂が好ましい。
レゾルシノール樹脂としては、例えば、レゾルシノール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。変性レゾルシノール樹脂としては、例えば、レゾルシノール樹脂の繰り返し単位の一部をアルキル化したものが挙げられる。クレゾール樹脂としては、例えば、クレゾール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。変性クレゾール樹脂としては、例えば、クレゾール樹脂の末端のメチル基を水酸基に変性したもの、クレゾール樹脂の繰り返し単位の一部をアルキル化したものが挙げられる。フェノール樹脂としては、例えば、フェノール・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。変性フェノール樹脂としては、フェノール樹脂をカシューオイル、トールオイル、アマニ油、各種動植物油、不飽和脂肪酸、ロジン、アルキルベンゼン樹脂、アニリン、メラミン等を用いて変性した樹脂が挙げられる。
プライトッピング用ゴム組成物において、上記硬化レジンの含有量は、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能の観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、硬度差低減による耐久性の向上効果が得られる傾向がある。このような作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、プライと支持部材の硬度差を小さくすることで、界面での局所的な応力の集中が軽減し、大変形に対する界面での補強性が向上したものと推察される。なお、レゾルシノール樹脂(縮合物)、変性レゾルシノール樹脂(縮合物)、クレゾール樹脂、変性クレゾール樹脂、フェノール樹脂及び変性フェノール樹脂の合計含有量や、レゾルシノール樹脂(縮合物)の含有量も同様の範囲が望ましい。
(硬化剤)
プライトッピング用ゴム組成物は、上記硬化レジンとともに、ヘキサメトキシメチロールメラミン(HMMM)の部分縮合物及びヘキサメチロールメラミンペンタメチルエーテル(HMMPME)の部分縮合物からなる群より選択される少なくとも1種のメチレン供与体を含むことが好ましい。このようなメチレン供与体は、硬化剤として機能する。なお、硬化レジン及び硬化剤は、硬化性、架橋性を有する材料であり、前述の可塑剤には該当しない。
プライトッピング用ゴム組成物において、上記メチレン供与体の含有量(HMMMの部分縮合物及びHMMPMEの部分縮合物の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上である。上限は、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。該含有量の下限は、上記範囲内にすることで、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
(他の材料)
プライトッピング用ゴム組成物は、前述の老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、ワックス、離型剤等の他の材料を適宜配合してもよい。これらの材料としては、例えば、前述のものを使用できる。これらの材料の含有量も同様の範囲を使用できる。
プライトッピング用ゴム組成物は、硫黄を含有することが好ましい。硫黄としては、前述のものを使用できる。
プライトッピング用ゴム組成物において、硫黄の含有量(純硫黄量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは3.0質量部以上、更に好ましくは3.5質量部以上、特に好ましくは3.7質量部以上である。該含有量は、好ましくは8.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは4.5質量部以下、特に好ましくは4.2質量部以下である。上記範囲内にすることで、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
プライトッピング用ゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。加硫促進剤としては、前述のものを使用できる。
プライトッピング用ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.7質量部以上、更に好ましくは0.8質量部以上、特に好ましくは0.9質量部以上である。上限は、好ましくは3.0質量部以下、より好ましくは1.6質量部以下、更に好ましくは1.4質量部以下、特に好ましくは1.3質量部以下である。上記範囲内にすることで、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能が改善される傾向がある。
タイヤは、支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能の観点から、支持部材の硫黄量(TSs(質量%))と、プライトッピングゴムの硫黄量(TSp(質量%))とが下記(式2)を満たすことが好ましい。
(式2) TSp-TSs<2.0
(式2)を充足することで、硬度差低減による耐久性の向上効果が得られる。このような作用効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、支持部材とプライの硫黄量の濃度差を小さくすることで、界面での共加硫が強化され、界面でも補強性が向上したものと推察される。
支持部材との加硫接着性及びテキスタイルコードとの接着性、耐ピンチカット性の総合性能の観点から、TSp-TSsは、1.7質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、1.3質量%以下が更に好ましく、1.2質量%以下が特に好ましい。下限は特に限定されないが、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、0.7質量%以上が特に好ましい。
プライ(カーカス)は、従来公知の方法により製造でき、例えば、複数のプライコード(カーカスコード)を引き伸ばして並列に配列した状態でプライコードの上下に未加硫のプライトッピング用ゴム組成物(カーカストッピング用ゴム組成物)をトッピング(被覆)することにより作製できる。なお、プライコードとしては、従来から公知のものを用いることができ、例えば、ポリエステル等の有機繊維からなるテキスタイルコード(繊維コード)、スチールからなるスチールコード等を用いることができる。
支持部材用ゴム組成物、プライトッピング用ゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常50~200℃、好ましくは80~190℃であり、混練時間は、通常30秒~30分、好ましくは1分~30分である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常100℃以下、好ましくは室温~80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、通常120~200℃、好ましくは140~180℃である。
タイヤは、ゴム組成物を用いて通常の方法により製造される。すなわち、上記成分を配合した支持部材用ゴム組成物、プライトッピング用ゴム組成物を未加硫の段階で、支持部材、プライの形状に合わせて押し出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することで、タイヤが得られる。
タイヤとしては、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤなどが挙げられる。なかでも、空気入りタイヤが好ましい。タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)などに使用可能である。また、それぞれのタイヤは、サイド補強層を備えたランフラットタイヤでもよい。なかでも、乗用車用タイヤ、大型乗用車用タイヤ、大型SUV用タイヤ、ライトトラック用タイヤに好適に使用できる。
図1は、本発明の一実施形態であるタイヤの部分断面図を示す。なお、本発明はこの形態に限定されるものではない。
図1に示す空気入りタイヤは、トレッド部1と、サイドウォール4と、クリンチ5と、ビード部6と、トレッド部1とサイドウォール4とのタイヤの径方向内側を通り、ビード部6に沿って配設されたプライ3と、トレッド部1とプライ3との間に配設されたブレーカー層2とが設けられている。プライ3の両端は、ビード部6に配置された一対のビードコア7に沿って折り返されて係止されており、プライ3のリムRに接する箇所にはチェーファー8が配設されている。また、リムRはクリンチ5と当接しており、このクリンチ5は、プライ3及びサイドウォール4と接続している。例えば、支持部材としてサイドウォール4を適用したタイヤが一形態として挙げられる。
以下に、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:TSR20
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス含有量97質量%)
SBR:JSR(株)製のJSR1502(スチレン含有量25.2質量%)
カーボンブラックN220:三菱化学(株)製のダイアブラックN220(NSA114m/g)
カーボンブラックN330:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN330(NSA78m/g)
カーボンブラックN550:三菱化学(株)製のダイアブラックN550(NSA40m/g)
ポリアミドポリエーテルエラストマー:宇部興産社製のUBESTA XPA 9040X1(融点130℃)
酸変性ポリオレフィン:三井化学社製のアドマー HE810(無水マレイン酸変性ポリエチレン、主鎖はエチレンの単独重合体であり、無水マレイン酸によって変性されている。無水マレイン酸は上記主鎖に側鎖として結合する。融点130℃、密度960kg/m
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスNH-70S(アロマ系プロセスオイル)
老化防止剤6C:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン)
老化防止剤RD:大内新興化学工業(株)製ノクラック224(ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン))
硬化レジン:田岡化学工業(株)製のスミカノール620(変性レゾルシノール樹脂(変性レゾルシノール・ホルムアルデヒド縮合物))
硬化剤:住友化学工業(株)製のスミカノール507A(変性エーテル化メチロールメラミン樹脂(ヘキサメチロールメラミンペンタメチルエーテル(HMMPME)の部分縮合物)、シリカとオイル35質量%含有)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:東邦亜鉛(株)製の銀嶺R
硫黄1:日本乾溜工業(株)製のセイミサルファー(二硫化炭素による不溶物60%以上の不溶性硫黄、オイル分10質量%、表の数値は純硫黄量)
硫黄2:フレキシス(株)製のクリステックスHSOT20(硫黄80質量%及びオイル分20質量%を含む不溶性硫黄、表の数値は純硫黄量)
加硫促進剤DM:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM(ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド)
加硫促進剤NS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
<実施例及び比較例>
(支持部材用ゴム組成物)
表1に示す配合内容に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た(ベース練り工程)。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、105℃の条件下で3分間練り込み、支持部材用未加硫ゴム組成物を得た(仕上げ練り工程)。
得られた支持部材用未加硫ゴム組成物を170℃の条件下で12分間プレス加硫し、支持部材用加硫ゴム組成物を得た。
(プライトッピング用ゴム組成物)
表2に示す配合内容に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た(ベース練り工程)。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、105℃の条件下で3分間練り込み、プライトッピング用未加硫ゴム組成物を得た(仕上げ練り工程)。
(試験用タイヤの製造)
表3の仕様に従い、得られた各支持部材用未加硫ゴム組成物、各プライ用未加硫ゴム組成物を用いて、支持部材用未加硫ゴム組成物(サイドウォール用未加硫ゴム組成物)をサイドウォールの形状に押出し成形し、タイヤ成形機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、170℃の条件下で12分間加硫し、各試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を得た(架橋工程)。なお、成形の際、プライ(カーカス)については、得られたプライ用未加硫ゴム組成物をシート形状にして繊維コード(1670dtex/2-PET)を被覆し、プライの形状に成形した。
作製された支持部材用加硫ゴム組成物、試験用タイヤを使用して、下記の評価を行った。物性、評価に関し、結果を表1~3に示した。なお、表3の基準比較例は、比較例3とした。
(硫黄量)
各試験用タイヤのサイドウォール、プライからサイドウォールゴム、プライトッピングゴムをそれぞれ採取して作製した各試験片について、JIS-K6233:2016に準拠した酸素燃焼フラスコ法により、試験片中の硫黄量(質量%)を算出した(TSs、TSp)。
(耐亀裂成長性(支持部材))
各支持部材用加硫ゴム組成物を用いて、1mm×50mm×20mmのゴムスラブシートを作製し、サンプル幅の2mmまでカミソリにてカットして初期亀裂を入れ、長辺方向(カット方向に垂直な方向)に繰り返し歪みを加えた。歪み率は5%、周波数は5Hz、サンプル温度は70℃とした。繰り返し歪みを加えてから亀裂成長長さが1mm程度になるまでの、初期の亀裂成長速度dc/dn(m/cycle)を測定した。なお、データはN=4の平均とした。基準比較例の初期の亀裂成長速度を100とし、指数化した。指数が大きいほど、亀裂の成長が抑制され、耐亀裂成長性に優れることを示す。
(耐ピンチカット性)
各試験用タイヤを試験機に装着し、このタイヤに荷重を付与し、このタイヤのバットレス領域とビードの部分の領域とを挟み、そのときの荷重-歪み曲線を計測した。この計測は、プライ(カーカス)に含まれるコードが破断した時点で終了した。得られた曲線に基づいて、単位歪み当たりの荷重の積算値(タイヤ破壊エネルギー)を算出した。この結果について、基準比較例を100とし、指数化した。数値が大きいほど耐ピンチカット性が良好である。
Figure 2022043661000002
Figure 2022043661000003
Figure 2022043661000004
表より、ポリアミドポリエーテルエラストマーを含む支持部材でかつ、該支持部材中のポリアミドポリエーテルエラストマー含有量(PA(質量%))とプライトッピングゴムの硫黄量(TSp(質量%))とが前記(式1)を満たす実施例のタイヤは、耐亀裂成長性及び耐ピンチカット性の総合性能(耐亀裂成長性(支持部材)と耐ピンチカット性の2つの指数の総和で表す)に優れていた。
1 トレッド部
2 ブレーカー層
3 プライ
4 サイドウォール
5 クリンチ
6 ビード部
7 ビードコア
8 チェーファー
R リム

Claims (10)

  1. ポリアミドポリエーテルエラストマーを含む支持部材を備えたタイヤであって、
    前記支持部材中のポリアミドポリエーテルエラストマー含有量(PA(質量%))と、プライトッピングゴムの硫黄量(TSp(質量%))とが下記(式1)を満たすタイヤ。
    (式1) PA-TSp<15.0
  2. 前記PA(質量%)及び前記TSp(質量%))が下記式を満たす請求項1記載のタイヤ。
    PA-TSp≦12.0
  3. 前記PA(質量%)が下記式を満たす請求項1又は2記載のタイヤ。
    6.0≦PA≦11.0
  4. 前記TSp(質量%)が下記式を満たす請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ。
    1.7≦TSp≦2.6
  5. 前記支持部材は、ゴム成分100質量部に対する前記ポリアミドポリエーテルエラストマーの含有量が5~30質量部である請求項1~4のいずれかに記載のタイヤ。
  6. 前記支持部材は、ゴム成分100質量部に対する酸変性ポリオレフィンの含有量が3~20質量部である請求項1~5のいずれかに記載のタイヤ。
  7. 前記支持部材は、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量が20~60質量%、ブタジエンゴムの含有量が40~80質量%であり、
    前記プライトッピングゴムは、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量が50~85質量%、スチレンブタジエンゴムの含有量が15~50質量%である請求項1~6のいずれかに記載のタイヤ。
  8. 前記支持部材は、ゴム成分100質量部に対する窒素吸着比表面積55m/g以下のカーボンブラックの含有量が10~60質量部である請求項1~7のいずれかに記載のタイヤ。
  9. 前記プライトッピングゴムは、ゴム成分100質量部に対する硬化レジンの含有量が0.5~5.0質量部である請求項1~8のいずれかに記載のタイヤ。
  10. 前記支持部材の硫黄量(TSs(質量%))と、前記プライトッピングゴムの硫黄量(TSp(質量%))とが下記(式2)を満たす請求項1~9のいずれかに記載のタイヤ。
    (式2) TSp-TSs<2.0
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