JP2022042654A - 踏力発生装置 - Google Patents

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【課題】踏力に段差を生じさせる。【解決手段】踏力発生装置1は、軸線方向D1に延びる内部空間11を有するシリンダ3と、内部空間11に摺動可能に収容されて、軸線方向D1において内部空間11を第一空間11Aと第二空間11Bとに仕切るピストン4と、ピストン4に接続されて、ピストン4の第二空間11B側においてシリンダ3から突出し、クラッチペダル2と連結されるロッド5と、第一空間11Aに収容された第一スプリング6と、第二空間11Bに収容された第二スプリング7と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、踏力を発生させるための踏力発生装置に関する。
トラック等の車両においては、踏込量を検出可能なペダル装置を備えたものがある。このようなペダル装置としては、例えば、ドライブバイワイヤ、ブレーキバイワイヤ、クラッチバイワイヤ等がある(例えば、特許文献1参照)。ドライブバイワイヤは、ドライバによるアクセルペダルの踏み込み量をセンサで検出し、このセンサの検出結果に基づいてスロットル制御を行うものである。ブレーキバイワイヤは、ドライバによるブレーキペダルの踏み込み量をセンサで検出し、このセンサの検出結果に基づいてブレーキ制御を行うものである。クラッチバイワイヤは、例えば、AMT(Automatic Manual Transmission)等を搭載した車両において、微速走行を容易に行えるようにするために運転者によるクラッチ操作を可能とするものである。つまり、クラッチバイワイヤは、クラッチペダルの踏み込み量をセンサで検出し、このセンサの検出結果に基づいてAMTのクラッチ制御を行うものである。
特開2009-222068号公報
このようなペダル装置においては、運転者の違和感を低減させるために、踏力を発生する踏力発生装置が設けられたものがある。踏力発生装置は、ペダルにスプリングを取り付けることで、ペダルの踏込ストロークに対する反力を付加するものである。
しかしながら、クラッチバイワイヤにおいては、単に踏力を発生させただけでは、クラッチの切れ点又は繋ぎ点が分からないという問題がある。また、クラッチバイワイヤに限らず、ドライブバイワイヤ及びブレーキバイワイヤ等の様々なペダル装置においても、踏力に段差を生じさせることができれば、様々な機能を持たせることができるとともに、調整の幅を広げることができる。
そこで、本発明は、踏力に段差を生じさせることができる踏力発生装置を提供することを課題とする。
本発明に係る踏力発生装置は、軸線方向に延びる内部空間を有するシリンダと、内部空間に摺動可能に収容されて、軸線方向において内部空間を第一空間と第二空間とに仕切るピストンと、ピストンに接続されて、ピストンの第二空間側においてシリンダから突出し、ペダルと連結されるロッドと、第一空間に収容された第一スプリングと、第二空間に収容された第二スプリングと、を備える。
この踏力発生装置では、シリンダの内部空間に摺動可能に収容されたピストンが、軸線方向において内部空間を第一空間と第二空間とに仕切り、第一空間及び第二空間のそれぞれに第一スプリング及び第二スプリングが収容されている。このため、ロッドに連結されたペダルを踏むことで、ピストンにより第一スプリング及び第二スプリングを伸縮させることができる。このとき、第一スプリングの自然長及び第二スプリングの自然長を調整することで、第一スプリング及び第二スプリングの双方が伸縮するストローク区間と、第二スプリングが伸縮しないストローク区間と、を形成することができる。これにより、踏力に段差を生じさせることができる。
第一スプリングは、軸線方向に圧縮された状態で第一空間に収容されており、第二スプリングは、軸線方向に圧縮された状態で第二空間に収容されており、第二スプリングの自然長と第二スプリングの最大圧縮長との差は、ピストンの最大ストローク長よりも短くてもよい。この踏力発生装置では、第一スプリング及び第二スプリングが軸線方向に圧縮された状態で第一空間及び第二空間に収容されており、第二スプリングの自然長と第二スプリングの最大圧縮長との差がピストンの最大ストローク長よりも短いため、シリンダに対するピストンのストロークの途中で、第二スプリングが自然長になる。このため、ペダルを踏み込んでロッドをピストンに押し込むと、始めは第一スプリング及び第二スプリングの反力が作用するが、第二スプリングが自然長になった後は第二スプリングの反力が作用しなくなる。ペダルを戻してロッドをピストンから引き出すときも同様である。これにより、踏力に段差を生じさせることができる。
第一スプリングの自然長と第二スプリングの自然長とピストンの長さとの和は、シリンダの長さよりも長く、第二スプリングの自然長と第二スプリングの最大圧縮長との差は、ピストンの最大ストローク長よりも短くてもよい。この踏力発生装置では、第一スプリングの自然長と第二スプリングの自然長とピストンの長さとの和がシリンダの長さよりも長いため、第一空間及び第二空間のそれぞれに第一スプリング及び第二スプリングが圧縮された状態で収容される。そして、第二スプリングの自然長と第二スプリングの最大圧縮長との差がピストンの最大ストローク長よりも短いため、シリンダに対するピストンのストロークの途中で、第二スプリングが自然長になる。このため、ペダルを踏み込んでロッドをピストンに押し込むと、始めは第一スプリング及び第二スプリングの反力が作用するが、第二スプリングが自然長になった後は第二スプリングの反力が作用しなくなる。ペダルを戻してロッドをピストンから引き出すときも同様である。これにより、踏力に段差を生じさせることができる。
ピストンは、軸線方向における圧縮荷重が大きくなるほどシリンダへの押圧力が大きくなる摩擦可変機構を有してもよい。この踏力発生装置では、ペダルを踏み込んでロッドをシリンダに押し込むと、ピストンが受ける軸線方向における圧縮荷重が大きくなるため、ピストンのシリンダへの押圧力が大きくなる。その結果、ピストンとシリンダとの間の摩擦力が大きくなって、踏力が大きくなる。一方、ペダルを戻してロッドをシリンダから引き出すと、ピストンが受ける軸線方向における圧縮荷重が小さくなるため、ピストンのシリンダへの押圧力が弱くなる。その結果、ピストンとシリンダとの間の摩擦力が小さくなって、踏力が小さくなる。これにより、ペダルを踏み込むときとペダルを戻すときとで踏力が異なるヒステリシス特性を得ることができる。
摩擦可変機構は、軸線方向に対して傾斜する第一傾斜面を有する第一分割体と、第一傾斜面に当接される当接面を有する第二分割体と、を有してもよい。この踏力発生装置では、摩擦可変機構が、軸線方向に対して傾斜する第一傾斜面を有する第一分割体と第一傾斜面に当接される当接面を有する第二分割体とを有するため、ピストンが軸線方向における圧縮荷重を受けると、第一傾斜面に沿って第一分割体と第二分割体とが軸線方向と直交する方向における逆方向に移動してシリンダに押し付けられる。このため、ペダルを踏み込むことによりピストンが受ける軸線方向における圧縮荷重が大きくなると、第一分割体及び第二分割体のシリンダへの押圧力と、第一分割体の第二分割体への押圧力及び第二分割体の第一分割体への押圧力と、が大きくなる。一方、ペダルを戻すことによりピストンが受ける軸線方向における圧縮荷重が小さくなると、第一分割体及び第二分割体のシリンダへの押圧力と、第一分割体の第二分割体への押圧力及び第二分割体の第一分割体への押圧力と、が小さくなる。これにより、簡易な構成で、ペダルを踏み込むときとペダルを戻すときとで踏力が異なるヒステリシス特性を得ることができる。
本発明によれば、踏力に段差を生じさせることができる。
実施形態に係る踏力発生装置を示す縦断面図である。 図1に示す踏力発生装置の一部を示す縦断面図である。 図1に示す踏力発生装置の一部を示す縦断面図である。 クラッチペダルを踏み込んだ状態を示す、図3に対応する縦断面図である。 ピストンを示す図である。 クラッチペダルを踏み込んでいるときのピストンの状態を示す図である。 クラッチペダルを戻しているときのピストンの状態を示す図である。 ストロークと踏力との関係を示したグラフである。 ストロークと踏力との関係を示したグラフである。 ストロークと踏力との関係を示したグラフである。 比較例の踏力発生装置を示す縦断面図である。 図11に示す踏力発生装置の一部を示す縦断面図である。 比較例のストロークと踏力との関係を示したグラフである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態は、本発明に係る踏力発生装置を、AMTを搭載した車両のクラッチバイバイワイヤにおいて、クラッチペダルに踏力を発生させるダミークラッチマスターシリンダに適用したものである。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、実施形態に係る踏力発生装置を示す縦断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る踏力発生装置1は、クラッチペダル2と、シリンダ3と、ピストン4と、ロッド5と、第一スプリング6と、第二スプリング7と、リターンスプリング8と、を備える。
クラッチペダル2は、車両の運転者がクラッチ操作を行うために足で踏み込むペダルである。クラッチペダル2は、車両(不図示)に固定されたステー9に対して揺動可能に連結されている。なお、クラッチペダル2の周囲には、クラッチペダル2の踏込量を検出可能なセンサ(不図示)が設けられており、車両の電子制御ユニット(不図示)は、当該センサで検出した踏込量に基づいてクラッチ制御を行う。クラッチペダル2の踏込量は、例えば、クラッチペダル2の移動量に基づいて検出してもよく、ロッド5のストローク量に基づいて検出してもよい。
図2及び図3は、図1に示す踏力発生装置の一部を示す縦断面図である。具体的には、図2は、踏力発生装置1の一部として、シリンダ3、ピストン4、及びロッド5を示しており、図3は、踏力発生装置1の一部として、シリンダ3、ピストン4、ロッド5、第一スプリング6、及び第二スプリング7を示している。図4は、クラッチペダルを踏み込んだ状態を示す、図3に対応する縦断面図である。
図1~図4に示すように、シリンダ3は、ステー9に固定されている。シリンダ3の内側には、軸線方向D1に延びる内部空間11が形成されている。つまり、シリンダ3は、軸線方向D1に延びる円筒状に形成されており、シリンダ3の内周面3Aが、内部空間11を形成している。
ピストン4は、シリンダ3の内部空間11に摺動可能に収容されて、軸線方向D1において内部空間11を第一空間11Aと第二空間11Bとに仕切る。なお、ピストン4は、第一空間11Aと第二空間11Bとの間に配置されていればよく、第一空間11Aと第二空間11Bとの間を気密にする必要はない。
ロッド5は、ピストン4に接続されて、ピストン4の第二空間11B側においてシリンダ3から突出ている。また、ロッド5は、クラッチペダル2と連結されている。このため、クラッチペダル2を踏み込むことで、ロッド5を介してピストン4をシリンダ3に対して軸線方向D1に摺動することが可能となっている。つまり、クラッチペダル2を踏んだり戻したりすることで、シリンダ3に対してクラッチペダル2、ロッド5及びピストン4をストロークすることができる。なお、ロッド5とクラッチペダル2とは、直接的に連結されていてもよく、他部材を介して間接的に連結されていてもよい。
第一スプリング6は、第一空間11Aに収容されており、第二スプリング7は、第二空間11Bに収容されている。具体的に説明すると、クラッチペダル2が踏み込まれていない状態を初期状態とした場合、初期状態において、第一スプリング6は、軸線方向D1に圧縮された状態で第一空間11Aに収容されているとともに、第二スプリング7は、軸線方向D1に圧縮された状態で第二空間11Bに収容されている。
ここで、第一スプリング6及び第二スプリング7が伸縮されていない自然状態における長さ(自由高さ)を、第一スプリング6及び第二スプリング7の自然長という。また、内部空間11に第一スプリング6及び第二スプリング7が収容されている状態において、ピストン4が軸線方向D1に摺動可能な最大長さを、ピストン4の最大ストローク長という。また、第二スプリング7を完全に圧縮した状態の長さを、第二スプリング7の最大圧縮長という。また、軸線方向D1におけるピストン4の最小長さを、ピストン4の長さという。後述するように、ピストン4は、第一分割体20と第二分割体30とに分割されており、第一分割体20と第二分割体30との位置関係が変わることで軸線方向D1におけるピストン4の長さが変わる。このため、第一分割体20と第二分割体30との位置関係が変わることで軸線方向D1においてピストン4が最も短くなった状態の長さを、軸線方向D1におけるピストン4の最小長さ、つまり、ピストン4の長さという。また、軸線方向D1におけるシリンダ3の内部空間11の長さを、シリンダ3の長さという。
この場合、第一スプリング6の自然長と第二スプリング7の自然長とピストン4の長さとの和は、シリンダ3の長さよりも長くなっている。このため、クラッチペダル2が踏み込まれていない状態において、ピストン4は、第一スプリング6及び第二スプリング7の双方から軸線方向D1における圧縮荷重を受けている。
第二スプリング7の自然長と第二スプリング7の最大圧縮長との差は、ピストン4の最大ストローク長よりも短くなっている。このため、シリンダ3に対するクラッチペダル2、ロッド5及びピストン4のストロークの途中で、第二スプリング7が自然長になるように構成されている。つまり、ピストン4が第一空間11A側の先端に到達する前に、第二スプリング7が自然長まで伸ばされて、第二スプリング7の反力が無くなるように構成されている。第二スプリング7が自然長となるストローク位置を踏力変化点Sといい、踏力変化点Sは、クラッチ(不図示)の繋ぎ点及び切れ点と一致するように設定されている。
図8は、ストロークと踏力との関係を示したグラフである。図8では、横軸に、ピストン4、ロッド5、又はクラッチペダル2のストロークを示しており、縦軸に、クラッチペダル2を踏む踏力を示している。また、F1は、第一スプリング6の反力に対応する踏力を示しており、F2は、第二スプリング7の反力に対応する踏力を示しており、F3は、第一スプリング6及び第二スプリング7を合わせた反力に対応する踏力を示している。
図1~図4及び図8に示すように、クラッチペダル2を踏み込んでロッド5をシリンダ3に押し込んでいくと、始めは第一スプリング6及び第二スプリング7の双方の反力が作用する。そして、踏力変化点Sを超えて第二スプリング7が自然長になった後は、第一スプリング6の反力は作用するが第二スプリング7の反力は作用しなくなる。反対に、クラッチペダル2を戻してロッド5をピストン4から引き出していくと、始めは、第二スプリング7の反力が作用せずに第一スプリング6の反力が作用するが、踏力変化点Sを超えて第二スプリング7が圧縮され始めた後は、第一スプリング6及び第二スプリング7の双方の反力が作用する。つまり、踏力変化点Sよりも初期状態からのストローク長が短い第一ストローク区間S1は、第一スプリング6及び第二スプリング7の双方が伸縮するストローク区間となり、踏力変化点Sよりも初期状態からのストローク長が長い第二ストローク区間S2は、第二スプリング7が伸縮せずに第一スプリング6が伸縮するストローク区間となる。
図1~図4に示すように、リターンスプリング8は、シリンダ3に押し込まれたロッド5をシリンダ3から引き戻す。リターンスプリング8は、ステー9に形成された第一掛止部9Aとロッド5に形成された第二掛止部5Aとの間に圧縮された状態で配置されている。
図9は、ストロークと踏力との関係を示したグラフである。図9では、横軸に、ピストン4、ロッド5、又はクラッチペダル2のストロークを示しており、縦軸に、クラッチペダル2を踏む踏力を示している。また、F1は、第一スプリング6の反力に対応する踏力を示しており、F2は、第二スプリング7の反力に対応する踏力を示しており、F4は、リターンスプリング8の反力に対応する踏力を示しており、F5は、第一スプリング6、第二スプリング7及びリターンスプリング8を合わせた反力に対応する踏力を示している。
図1~図4及び図9に示すように、リターンスプリング8は、第一ストローク区間S1及び第二ストローク区間S2の何れの区間においても伸縮する。このため、リターンスプリング8を加味して考えると、第一ストローク区間S1では、第一スプリング6、第二スプリング7及びリターンスプリング8が伸縮して、第一スプリング6、第二スプリング7及びリターンスプリング8を合わせた反力が発生する。一方、第二ストローク区間S2では、第二スプリング7が伸縮せずに第一スプリング6及びリターンスプリング8が伸縮して、第一スプリング6及びリターンスプリング8を合わせた反力が発生する。
図5は、ピストンを示す図であり、図6は、クラッチペダルを踏み込んでいるときのピストンの状態を示す図であり、図7は、クラッチペダルを戻しているときのピストンの状態を示す図である。図1~図7に示すように、ピストン4は、第一分割体20と、第二分割体30と、に分割されている。第一分割体20及び第二分割体30は、軸線方向D1における圧縮荷重が大きくなるほどシリンダ3の内周面3Aへの押圧力が大きくなる摩擦可変機構として機能する。第一分割体20は、第二分割体30の第一空間11A側に配置されて、第一スプリング6に当接可能となっている。第二分割体30は、第一分割体20の第二空間11B側に配置されて、第二スプリング7に当接可能となっている。
第一分割体20は、第二分割体30とは反対側の面において、第一スプリング6に当接される。第一分割体20は、第二分割体30側の面として、第一傾斜面21と、第一山側平坦面22と、第一谷側平坦面23と、を有する。第一傾斜面21は、軸線方向D1に対して傾斜する面である。第一山側平坦面22は、第一傾斜面21の第二分割体30側の端縁から軸線方向D1と直交する方向に延びる面である。第二谷側平坦面33は、第一傾斜面21の第二分割体30とは反対側の端縁から軸線方向D1と直交する方向に延びる面である。
第二分割体30は、第一分割体20とは反対側の面において、第二スプリング7に当接される。第二分割体30は、第一分割体20側の面として、第二傾斜面31と、第二山側平坦面32と、第二谷側平坦面33と、を有する。第二傾斜面31は、軸線方向D1に対して傾斜する面であって、第一傾斜面21が当接される当接面である。第二山側平坦面32は、第二傾斜面31の第一分割体20側の端縁から軸線方向D1と直交する方向に延びて、第一谷側平坦面23と対向する面である。第二谷側平坦面33は、第二傾斜面31の第一分割体20とは反対側の端縁から軸線方向D1と直交する方向に延びて、第一山側平坦面22と対向する面である。
第一分割体20及び第二分割体30は、軸線方向D1と直交する面において内部空間11よりも小さく形成されている。そして、第一分割体20及び第二分割体30は、軸線方向D1の圧縮荷重を受けることにより、第一傾斜面21及び第二傾斜面31に沿って摺動し、これにより、第一山側平坦面22と第二谷側平坦面33とが近接し、第一谷側平坦面23と第二山側平坦面32とが近接し、第一分割体20と第二分割体30とが軸線方向D1と直交する方向における逆方向に移動するように構成されている。軸線方向D1に対する第一傾斜面21及び第二傾斜面31の傾斜角度θは、例えば、0°より大きく90°未満(0°<θ<90°)であり、0°より大きく45°以下(0°<θ≦45°)が好ましく、0°より大きく20°以下(0°<θ≦20°)がより好ましい。
図6は、クラッチペダルを踏み込んでいるときのピストンの状態を示す図である。図6に示すように、クラッチペダル2を踏み込んでロッド5をシリンダ3に押し込んでいく際は、第一分割体20及び第二分割体30は、クラッチペダル2を踏み込む踏力により軸線方向D1の圧縮荷重が大きくなる。その結果、第一分割体20及び第二分割体30は、軸線方向D1と直交する方向における逆方向への移動量が大きくなって、シリンダ3の内周面3Aへの押圧力が大きくなる。つまり、第一分割体20及び第二分割体30とシリンダ3の内周面3Aとの摩擦力が大きくなる。
図7は、クラッチペダルを戻しているときのピストンの状態を示す図である。図7に示すように、クラッチペダル2を戻してロッド5をシリンダ3から引き出していく際は、第一分割体20及び第二分割体30は、クラッチペダル2を踏み込む踏力が無くなることで軸線方向D1の圧縮荷重が小さくなる。その結果、第一分割体20及び第二分割体30は、軸線方向D1と直交する方向における逆方向への移動量が小さくなって、シリンダ3の内周面3Aへの押圧力が小さくなる。つまり、第一分割体20及び第二分割体30とシリンダ3の内周面3Aとの摩擦力が小さくなる。
図10は、ストロークと踏力との関係を示したグラフである。図10では、横軸に、ピストン4、ロッド5、又はクラッチペダル2のストロークを示しており、縦軸に、クラッチペダル2を踏む踏力を示している。また、F5は、第一スプリング6、第二スプリング7及びリターンスプリング8を合わせた反力に対応する踏力を示しており、F6は、クラッチペダル2を踏み込んでロッド5をシリンダ3に押し込んでいくときの、ピストン4とシリンダ3との間の摩擦力に対応する踏力を示しており、F7は、クラッチペダル2を戻してロッド5をピストン4から引き出していくときの、ピストン4とシリンダ3との間の摩擦力に対応する踏力を示しており、F8は、クラッチペダル2を踏む踏力を示している。なお、図10に示すF5は、図9に示すF5と同じである。
図1~図7及び図10に示すように、クラッチペダル2を踏み込んでロッド5をシリンダ3に押し込んでいく際は、第一分割体20及び第二分割体30とシリンダ3の内周面3Aとの摩擦力及び第一分割体20と第二分割体30との摩擦力が大きくなり、クラッチペダル2を戻してロッド5をピストン4から引き出していく際は、第一分割体20及び第二分割体30とシリンダ3の内周面3Aとの摩擦力及び第一分割体20と第二分割体30との摩擦力が小さくなる。このため、クラッチペダル2を踏み込んでロッド5をシリンダ3に押し込んでいくときの、ピストン4とシリンダ3との間の摩擦力に対応する踏力F6は、クラッチペダル2を戻してロッド5をピストン4から引き出していくときの、ピストン4とシリンダ3との間の摩擦力に対応する踏力F7よりも大きくなる。つまり、クラッチペダル2を踏む踏力に、クラッチペダル2を踏み込んでロッド5をシリンダ3に押し込んでいくときに大きくなり、クラッチペダル2を戻してロッド5をピストン4から引き出していくとき小さくなる、ヒステリシス特性が発生する。
ここで、図11及び図12を参照して、比較例の踏力発生装置について説明する。図11は、比較例の踏力発生装置を示す縦断面図であり、図12は、図11に示す踏力発生装置の一部を示す縦断面図である。
図11及び図12に示すように、比較例の踏力発生装置101は、車両(不図示)に固定されたステー109に対して揺動可能に連結されクラッチペダル102と、ステー109に固定されシリンダ103と、シリンダ103の内部空間に摺動可能に収容されて、単一の部材で構成されたピストン104と、ピストン104に接続されてクラッチペダル102と連結されたロッド105と、シリンダ103の内部空間に収容されたスプリング106と、ステー109とロッド105とに掛止されてシリンダ103に押し込まれたロッド105をシリンダ103から引き戻すリターンスプリング108と、を備える。つまり、比較例の踏力発生装置101は、シリンダ103の内部空間に一つのスプリング106のみが収容されている点と、ピストン10が単一の部材で構成されている点とで、本実施形態に係る踏力発生装置1と相違する。
図13は、比較例のストロークと踏力との関係を示したグラフである。図13では、横軸に、ピストン104、ロッド105、又はクラッチペダル102のストロークを示しており、縦軸に、クラッチペダル102を踏む踏力を示している。図13に示すように、比較例の踏力発生装置101では、シリンダ103の内部空間に一つのスプリング106しか収容されていないため、踏力に段差が生じない。また、ピストン104が単一の部材で構成されているため、クラッチペダル102を踏み込んでロッド105をシリンダ103に押し込んでいくときと、クラッチペダル102を戻してロッド105をピストン104から引き出していくときとで、クラッチペダル102を踏む踏力が異なるヒステリシス特性は発生しない。
これに対し、本実施形態に係る踏力発生装置1では、シリンダ3の内部空間11に摺動可能に収容されたピストン4が、軸線方向D1において内部空間11を第一空間11Aと第二空間11Bとに仕切り、第一空間11A及び第二空間11Bのそれぞれに第一スプリング6及び第二スプリング7が収容されている。このため、ロッド5に連結されたクラッチペダル2を踏むことで、ピストン4により第一スプリング6及び第二スプリング7を伸縮させることができる。このとき、第一スプリング6及び第二スプリング7の自然長を調整することで、第一スプリング6及び第二スプリング7の双方が伸縮する第一ストローク区間S1と、第二スプリング7が伸縮しない第二ストローク区間S2と、を形成することができる。これにより、踏力に段差を生じさせることができる。なお、踏力に段差がないとは、ピストン104、ロッド105、又はクラッチペダル102のストロークに対する踏力の変化が線形であることをいい、踏力に段差があるとは、例えば図8~図10に示すように、ピストン4、ロッド5、又はクラッチペダル2のストロークに対する踏力の変化が非線形であることをいう。
また、この踏力発生装置1では、第一スプリング6の自然長と第二スプリング7の自然長とピストン4の長さとの和がシリンダ3の長さよりも長いため、第一スプリング6及び第二スプリング7が軸線方向に圧縮された状態で第一空間11A及び第二空間11Bに収容された状態となる。そして、第二スプリング7の自然長と第二スプリング7の最大圧縮状態での長さとの差がピストン4の最大ストローク長よりも短いため、シリンダ3に対するピストン4のストロークの途中で、第二スプリング7が自然長になる。このため、クラッチペダル2を踏み込んでロッド5をピストン4に押し込むと、始めは第一スプリング6及び第二スプリング7の反力が作用するが、第二スプリング7が自然長になった後は第二スプリング7の反力が作用しなくなる。クラッチペダル2を戻してロッド5をピストン4から引き出すときも同様である。これにより、踏力に段差を生じさせることができるため、クラッチの繋ぎ点及び切れ点に踏力変化点Sが設定されていることで、クラッチの繋ぎ点及び切れ点が分かり易くすることができる。
また、この踏力発生装置1では、クラッチペダル2を踏み込んでロッド5をシリンダ3に押し込むと、ピストン4が受ける軸線方向D1における圧縮荷重が大きくなるため、ピストン4のシリンダ3の内周面3Aへの押圧力と、ピストン4における第一分割体20の第二分割体30への押圧力及び第二分割体30の第一分割体20への押圧力と、が大きくなる。その結果、ピストン4とシリンダ3との間の摩擦力及びピストン4の第一分割体20と第二分割体30との間の摩擦力が大きくなって、踏力が大きくなる。一方、クラッチペダル2を戻してロッド5をシリンダ3から引き出すと、ピストン4が受ける軸線方向D1における圧縮荷重が小さくなるため、ピストン4のシリンダ3の内周面3Aへの押圧力が弱くなる。その結果、ピストン4とシリンダ3との間の摩擦力が小さくなって、踏力が小さくなる。これにより、クラッチペダル2を踏み込むときとクラッチペダル2を戻すときとで踏力が異なるヒステリシス特性を得ることができる。
また、この踏力発生装置1では、摩擦可変機構が、軸線方向D1に対して傾斜する第一傾斜面21を有する第一分割体20と第一傾斜面21に当接される第二傾斜面31を有する第二分割体30とを有するため、ピストン4が軸線方向D1における圧縮荷重を受けると、第一傾斜面21に沿って第一分割体20と第二分割体30とが軸線方向D1と直交する方向における逆方向に移動してシリンダ3の内周面3Aに押し付けられる。このため、クラッチペダル2を踏み込むことによりピストン4が受ける軸線方向D1における圧縮荷重が大きくなると、第一分割体20及び第二分割体30のシリンダ3の内周面3Aへの押圧力と、ピストン4における第一分割体20の第二分割体30への押圧力及び第二分割体30の第一分割体20への押圧力と、が大きくなる。一方、クラッチペダル2を戻すことによりピストン4が受ける軸線方向D1における圧縮荷重が小さくなると、第一分割体20及び第二分割体30のシリンダ3の内周面3Aへの押圧力と、ピストン4における第一分割体20の第二分割体30への押圧力及び第二分割体30の第一分割体20への押圧力と、が小さくなる。これにより、簡易な構成で、クラッチペダル2を踏み込むときとクラッチペダル2を戻すときとで踏力が異なるヒステリシス特性を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用してもよい。
例えば、本発明は、ドライブバイワイヤ及びブレーキバイワイヤ等の様々なペダル装置の踏力発生装置に適用してもよい。これにより、ペダル装置に様々な機能を持たせることができるとともに、ペダル装置の調整の幅を広げることができる。
また、ピストンは、単一の部材で構成されていてもよく、3以上に分割されて構成されていてもよい。
1…踏力発生装置、2…クラッチペダル、3…シリンダ、3A…内周面、4…ピストン、5…ロッド、5A…第二掛止部、6…第一スプリング、7…第二スプリング、8…リターンスプリング、9…ステー、9A…第一掛止部、11…内部空間、11A…第一空間、11B…第二空間、20…第一分割体、21…第一傾斜面、22…第一山側平坦面、23…第一谷側平坦面、30…第二分割体、31…第二傾斜面、32…第二山側平坦面、33…第二谷側平坦面、101…踏力発生装置、102…クラッチペダル、103…シリンダ、104…ピストン、105…ロッド、106…スプリング、108…リターンスプリング、109…ステー、D1…軸線方向。

Claims (5)

  1. 軸線方向に延びる内部空間を有するシリンダと、
    前記内部空間に摺動可能に収容されて、前記軸線方向において前記内部空間を第一空間と第二空間とに仕切るピストンと、
    前記ピストンに接続されて、前記ピストンの前記第二空間側において前記シリンダから突出し、ペダルと連結されるロッドと、
    前記第一空間に収容された第一スプリングと、
    前記第二空間に収容された第二スプリングと、を備える、
    踏力発生装置。
  2. 前記第一スプリングは、前記軸線方向に圧縮された状態で前記第一空間に収容されており、
    前記第二スプリングは、前記軸線方向に圧縮された状態で前記第二空間に収容されており、
    前記第二スプリングの自然長と前記第二スプリングの最大圧縮長との差は、前記ピストンの最大ストローク長よりも短い、
    請求項1に記載の踏力発生装置。
  3. 前記第一スプリングの自然長と前記第二スプリングの自然長と前記ピストンの長さとの和は、前記シリンダの長さよりも長く、
    前記第二スプリングの自然長と前記第二スプリングの最大圧縮長との差は、前記ピストンの最大ストローク長よりも短い、
    請求項1又は2に記載の踏力発生装置。
  4. 前記ピストンは、前記軸線方向における圧縮荷重が大きくなるほど前記シリンダへの押圧力が大きくなる摩擦可変機構を有する、
    請求項1~3の何れか一項に記載の踏力発生装置。
  5. 前記摩擦可変機構は、前記軸線方向に対して傾斜する第一傾斜面を有する第一分割体と、前記第一傾斜面に当接される当接面を有する第二分割体と、を有する、
    請求項4に記載の踏力発生装置。
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