以下に添付図面を参照して、画像読取装置および画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかるシート搬送装置を備えた画像形成装置の概略構成図である。なお、本実施の形態は、画像形成装置をコピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用している。
まず、構成について説明する。図1に示すように、画像形成装置としての複合機1は、シート搬送装置としての自動原稿搬送装置(以下、単にADF(Auto Document Feeder)という)2と、給紙部3と、画像読取部4と、画像形成部5とを備えている。ADF2および画像読取部4が、画像読取装置として機能する。
ADF2は、原稿トレイ11と、各種ローラ等からなる搬送部13とを備えている。ADF2は、搬送部13により原稿トレイ11に載置されたシートとしての原稿をスリットガラス7上に搬送し、スリットガラス7を介して画像読取部4により原稿の表面画像を読み取る。次いで、ADF2は、表面画像の読み取りが終了した原稿を、第2読取部101に搬送し、第2読取部101により原稿の裏面画像を読み取る。ADF2は、第2読取部101の図示しないスリットガラスと白色ガイド板70との間を通過させた後、排紙トレイ12に排紙する。
また、ADF2は、画像読取部4に対して図示しない開閉機構を介して開閉自在に取り付けられている。
給紙部3は、用紙サイズの異なる記録媒体としての記録紙を収納する給紙カセット21、22と、給紙カセット21、22に収納された記録紙を画像形成部5の画像形成位置まで搬送する各種ローラからなる給紙手段23とを有している。
画像読取部4は、光源および第1のミラー部材を搭載した第1キャリッジ25と、第2ミラー部材をおよび第3ミラー部材搭載した第2キャリッジ26と、結像レンズ27と、CCD等からなる撮像部28とを備えている。
画像読取部4は、ADF2によって原稿を読み取る場合には、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26をスリットガラス7の下方で停止させる。その後、画像読取部4は、第1キャリッジ25に搭載された光源によりスリットガラス7上を通過中の原稿に光を照射し、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26に搭載された第1~第3のミラー部材により原稿からの反射光を折り返させ、その反射光を結像レンズ27により結像して撮像部28で読み取らせる。
また、スリットガラス7よりも大面積のコンタクトガラス8に載置された原稿を読み取る場合には、画像読取部4は、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26をコンタクトガラス8の下方で、図1中、左右方向(副走査方向)に移動させながら、第1キャリッジ25に搭載された光源によりコンタクトガラス8上に載置された原稿に光を照射し、第1キャリッジ25および第2キャリッジ26に搭載された第1~第3のミラー部材により原稿からの反射光を折り返させ、その反射光を結像レンズ27により結像して撮像部28で読み取らせる。
画像形成部5は、画像形成手段を構成するものである。画像形成部5は、露光装置31と、複数の感光体ドラム32と、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックからなる異なる色のトナーを備えた現像装置33と、転写ベルト34と、定着装置35とを備えている。
画像形成部5は、撮像部28に読み取られた読取画像に基づいて、露光装置31により感光体ドラム32を露光して感光体ドラム32に潜像を形成し、現像装置33により感光体ドラム32に異なる色のトナーを供給して現像する。
そして、画像形成部5は、転写ベルト34により感光体ドラム32に現像された像を給紙部3から供給された記録紙に転写した後、定着装置35により記録紙に転写されたトナー画像のトナーを溶融して、記録紙にカラー画像を定着する。
図2を参照してADF2について詳細に説明する。図2は、ADF2の概略構成図である。
図2に示すように、原稿トレイ11は、可動原稿テーブル41と、一対のサイドガイド板42とを有している。可動原稿テーブル41は、原稿トレイ11の給紙方向先端部分を構成しており、基端部を支点として上下方向(図中矢印a-b方向)に回動する。このように、原稿トレイ11は、可動原稿テーブル41を回動することにより、原稿トレイ11に載置された原稿の給紙方向先端部分を適切な高さに合わせることができる。
可動原稿テーブル41の先端部の上方には、給紙適正位置センサ87が設けられている。給紙適正位置センサ87は、原稿トレイ11に載置された原稿の給紙方向先端部分が適切な高さである給紙適正位置に保持されているかを検知する。なお、本実施の形態に係る給紙適正位置とは、原稿束の最上位の原稿と後述するピックアップローラ61とが接触する位置をいう。
可動原稿テーブル41の先端部の下方には、ホームポジションセンサ88が設けられている。ホームポジションセンサ88は、可動原稿テーブル41がホームポジションにあるか否かを検知する。
原稿トレイ11には、少なくとも同一原稿サイズの原稿の向きが縦と横のいずれになっているかを検知する原稿長さ検知センサ89、90が設けられている。原稿長さ検知センサ89、90は、給送方向に離隔して設けられている。なお、原稿長さ検知センサ89、90としては、光学的手段により原稿と未接触で検知する反射型センサ、または原稿1枚にても検知可能なように原稿と接触する接触式のアクチュエータタイプのセンサを用いてもよい。
一対のサイドガイド板42は、原稿トレイ11に載置された原稿の給紙方向に対する左右方向を位置決めするように立設されている。一対のサイドガイド板42の片側は、給紙方向に対する左右方向にスライド自在となっている。このため、原稿トレイ11には異なるサイズの原稿が載置可能となっている。
したがって、可動原稿テーブル41を含む原稿トレイ11上に、原稿表面を上向きの状態でセットされた原稿束は、一対のサイドガイド板42により原稿の給紙方向に対する左右方向が位置決めされる。
一対のサイドガイド板42の固定側には、原稿の載置により回動するセットフィラー43が設けられている。セットフィラー43の先端部の移動軌跡上の最下部には、原稿トレイ11に原稿が載置されたことを検知する原稿セットセンサ82が設けられている。すなわち、原稿セットセンサ82は、原稿トレイ11に原稿が載置されると、セットフィラー43が回動して、セットフィラー43の先端部が原稿セットセンサ82から外れて、原稿の載置を検知する。
したがって、上述の原稿束のセットはセットフィラー43、原稿セットセンサ82により検知され、I/F107(図4参照)により本体制御部105(図4参照)に送信される。
さらに、原稿がセットされたことを上述のセットフィラー43、原稿セットセンサ82により検知すると、コントローラ100(図4参照)は、底板上昇モータ96を正転させて原稿束の最上面が後述するピックアップローラ61と接触するように可動原稿テーブル41を上昇させる。
ADF2の搬送部13は、分離給送部51と、プルアウト部52と、ターン部53と、第1読取搬送部54と、第2読取搬送部55と、排紙部56とを備えている。
分離給送部51は、給紙口近傍に配置されたピックアップローラ61と、搬送経路を挟んで対向するように配置された給紙ベルト62およびリバースローラ63とを有している。ピックアップローラ61は、給紙ベルト62に取り付けられた支持アーム部材64により支持されており、図示しないカム機構を介して原稿束に接触する接触位置と原稿束から離れた離隔位置との間を上下方向(図中c-d方向)に回動する。
したがって、本体操作部106(図4参照)よりプリントキーが押下され、本体制御部105からI/F107を介してコントローラ100に原稿給紙信号が送信されると、ピックアップローラ61は、給紙モータ93(図4参照)の正転によりコロが回転駆動し、原稿トレイ11上の数枚(理想的には1枚)の原稿をピックアップする。回転方向は、最上位の原稿を給紙口に搬送する方向である。
給紙ベルト62は、給送方向に回転し、リバースローラ63は、給送方向と逆方向に回転する。また、リバースローラ63は、原稿が重送された場合に、給紙ベルト62に対して逆方向に回転する。また、リバースローラ63は、給紙ベルト62に接している場合、または原稿を1枚のみ搬送している場合には、図示しないトルクリミッタの働きにより、給紙ベルト62に連れ回りする。
より具体的には、リバースローラ63は、給紙ベルト62に所定圧で接し、給紙ベルト62に直接接している状態、または原稿1枚を介して接している状態では給紙ベルト62の回転につられて反時計方向に連れ回りする。また、リバースローラ63は、原稿が万が一2枚以上給紙ベルト62とリバースローラ63との間に侵入したときは、連れ回り力がトルクリミッタのトルクよりも低くなるように設定されており、本来の回転方向である時計方向に回転し、余分な原稿を押し戻す働きをする。リバースローラ63がこのように動作することにより、原稿の重送が防止される。
このように分離給送部51は、ピックアップローラ61が原稿トレイ11に載置された原稿束の最上位の原稿に転接することにより給紙口内に原稿を送り出し、原稿が重送された場合に給紙ベルト62とリバースローラ63とにより分離して送り出す。
プルアウト部52は、搬送経路を挟むように配置された一対のローラからなるプルアウトローラ65を有している。プルアウト部52は、プルアウトローラ65とピックアップローラ61の駆動タイミングにより、送り出された原稿を一次突当整合し、整合後の原稿を引き出し搬送する。また、分離給送部51とプルアウト部52との間の搬送経路には、突き当てセンサ84が配置される。突き当てセンサ84は、給紙ベルト62によって搬送される原稿の先端を検知する。
したがって、給紙ベルト62とリバースローラ63との作用により、1枚に分離された原稿は、給紙ベルト62によってさらに搬送され、突き当てセンサ84によりその先端が検知される。そして、搬送される原稿は、停止しているプルアウトローラ65に突き当たる。
その後、原稿は上述の突き当てセンサ84の検知から予め定められた距離だけ搬送され、プルアウトローラ65に所定量の撓みをもって押し当てられた状態で給紙モータ93を停止させることにより、給紙ベルト62の駆動が停止する。このとき、コントローラ100は、ピックアップモータ92を回転させることでピックアップローラ61を原稿上面から退避させるとともに、原稿を給紙ベルト62の搬送力のみで搬送する。これにより、原稿先端はプルアウトローラ65の上下ローラ対のニップに侵入し、原稿先端の整合(スキュー補正)が行われる。
スキュー補正が行われると、コントローラ100は、給紙モータ93を逆転駆動し、プルアウトローラ65および後述する中間ローラ66を回転させる。このとき(給紙モータ93逆転時)、プルアウトローラ65および中間ローラ66は、駆動されるが、ピックアップローラ61および給紙ベルト62は、駆動されていない。
次いで、ターン部53は、搬送経路の上から下に向けてカーブしたカーブ部を挟むように配置された一対のローラからなる中間ローラ66および読取入口ローラ67を有している。ターン部53は、中間ローラ66により引き出し搬送された原稿を、カーブ部を搬送することによりターンさせて、読取入口ローラ67により原稿の表面を下方に向けてスリットガラス7近傍まで搬送する。また、プルアウト部52とターン部53との間の搬送経路には、原稿幅センサ85が配置される。原稿幅センサ85は、原稿の幅方向に複数並べた受光素子から構成されており、搬送経路を挟んで対向位置に設けられた照射光からの受光結果に基づき原稿幅を検知する。
したがって、プルアウトローラ65により中間ローラ66に搬送される原稿は、原稿幅センサ85により、原稿の搬送方向に直行する幅方向のサイズが検知される。
また、プルアウトローラ65および中間ローラ66の駆動により、プルアウト部52からターン部53に原稿が搬送される際には、プルアウト部52での搬送速度を後述する第1読取搬送部54での搬送速度よりも高速に設定することにより、原稿を第1読取搬送部54に搬送する処理時間の短縮が図られている。
次に、中間ローラ66と読取入口ローラ67との間の搬送経路には、読取入口センサ86が配置されている。読取入口センサ86は、中間ローラ66から読取入口ローラ67に搬送される原稿先端を検知する。
ここで、原稿先端が上述の読取入口センサ86により検知されると、コントローラ100は、読取入口ローラ67の上下ローラ対のニップに原稿先端が進入する前に、原稿搬送速度を読取搬送速度と同速にするため原稿搬送速度の減速を開始する。同時に、コントローラ100は、読取モータ94を正転駆動して読取入口ローラ67、第1読取出口ローラ69、第2読取出口ローラ71を駆動する。
第1読取搬送部54は、スリットガラス7に搬送経路を挟んで対向する位置に配置された第1読取ローラ68と、読取終了後の搬送経路を挟むように配置された一対のローラからなる第1読取出口ローラ69とを有している。第1読取搬送部54は、スリットガラス7の近傍まで搬送された原稿の表面を第1読取ローラ68によりスリットガラス7に接触させながら搬送し、読取終了後の原稿を第1読取出口ローラ69によりさらに搬送する。
また、読取入口ローラ67と第1読取ローラ68との間の搬送経路には、レジストセンサ81が配置されている。レジストセンサ81は、読取入口ローラ67により第1読取搬送部54に搬送される原稿の先端を検知する。
したがって、原稿先端がレジストセンサ81により検知されると、コントローラ100は所定の搬送距離で減速し、原稿を第1読取ローラ68および読取位置20の手前で一時停止させるとともに、I/F107を介して本体制御部105にレジスト停止信号を送信する。次いで、コントローラ100は、本体制御部105より読取開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿先端がガイド部材75により案内されて読取位置20に到達するまでに、所定の搬送速度に立ち上がるように増速して搬送させる。コントローラ100は、読取モータ94のパルスカウントにより検知された原稿先端が読取位置20に到達するタイミングで、本体制御部105に対して表面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号を送信する。このゲート信号は、読取位置20を原稿後端が抜けるまで送信される。
第2読取搬送部55は、原稿の裏面を読み取る読取手段としての第2読取部101と、第2読取部101に搬送経路を挟んで対向する位置に配置された平板形状の白色ガイド板70と、原稿の裏面の読取終了後の搬送経路を挟むように配置された一対の第2読取出口ローラ71とを有している。また、第1読取搬送部54と第2読取搬送部55との間の搬送経路には、排紙センサ83が配置されている。平板形状の白色ガイド板70は、ガイド部材73,74にそれぞれ近接する位置に設けられ、ガイド部材73,74とともに搬送経路の一部を構成する。
第2読取搬送部55は、表面が読み取られた原稿を白色ガイド板70と第2読取部101の読取面との間を通過させ、第2読取出口ローラ71により排紙口に向けて搬送する。なお、両面読取を行わない場合には、原稿は第2読取部101を素通りする。
次いで、排紙部56は、排紙口の近傍に一対の排紙ローラ72が設けられている。一対の排紙ローラ72は、第2読取出口ローラ71により搬送された原稿を排紙トレイ12に排紙する。
したがって、片面読取の場合には、第1読取搬送部54を通過した原稿は、ガイド部材73により第2読取搬送部55へ案内され、その第2読取搬送部55を経て排紙部56へ搬送される。この際、コントローラ100は、原稿先端が排紙センサ83により検知されると、排紙モータ95(図4参照)を正転駆動して排紙ローラ72を反時計方向に回転させる。また、コントローラ100は、排紙センサ83により原稿先端が検知されてから、排紙モータ95のパルスをカウントし、原稿後端が排紙ローラ72の上下ローラ対のニップ部から抜ける直前に排紙モータ95の駆動速度を減速させて、排紙トレイ12上に排出される原稿が飛び出さないように制御する。
一方、両面読取の場合には、コントローラ100は、排紙センサ83により原稿先端が検知されてから、読取モータ94(図4参照)のパルスをカウントする。次いで、コントローラ100は、第2読取部101に原稿先端が到達するタイミングで第2読取部101に対し、副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号を送信する。このゲート信号は、第2読取部101を原稿後端が抜けるまで送信される。白色ガイド板70は、第2読取部101における原稿の浮きを抑えると同時に、第2読取部101におけるシェーディングデータを取得するための濃度基準部材を兼ねるものである。
ここで、図3は白色ガイド板70およびガイド部材73,74との位置関係を示す図である。図3に示すように、本実施形態においては、上述のように、濃度基準部材として平板形状の白色ガイド板70を採用し、ローラ形状の濃度基準部材を使用しない。そのため、図3に示すように、白色ガイド板70とガイド部材73,74との間において副走査方向における隙間が発生しにくいため、原稿の紙詰まりが発生しにくくなっている。
次に、ADF2の制御構成について説明する。図4は、ADF2の制御構成を示すブロック図である。
図4に示すように、ADF2は、ADF2全体の制御を行うコントローラ100を備えている。ADF2は、コントローラ100に信号を入力するセンサ等として、レジストセンサ81、原稿セットセンサ82、排紙センサ83、突き当てセンサ84、原稿幅センサ85、読取入口センサ86、給紙適正位置センサ87、ホームポジションセンサ88、原稿長さ検知センサ89、90を備えている。これら各センサ81~90は、コントローラ100に接続されている。
また、ADF2は、コントローラ100から信号を出力してADF2の各部の駆動制御するモータ等として、ピックアップモータ92、給紙モータ93、読取モータ94、排紙モータ95、底板上昇モータ96およびガイド移動モータ97を備えている。各モータ92~97は、コントローラ100に接続されている。底板上昇モータ96は、可動原稿テーブル41を昇降する。ピックアップモータ92は、ピックアップローラ61を上下動する。
給紙モータ93は、ピックアップローラ61、給紙ベルト62、リバースローラ63、プルアウトローラ65および中間ローラ66を回転駆動する。読取モータ94は、読取入口ローラ67、第1読取ローラ68、第1読取出口ローラ69および第2読取出口ローラ71を回転駆動する。排紙モータ95は、排紙ローラ72を回転駆動する。
ガイド移動モータ97は、濃度基準部材としての白色ガイド板70を原稿搬送方向と直交する方向である主走査方向に移動させる。
各モータ92~97は、上記した各センサの検知信号に基づいてコントローラ100によって制御される。また、ADF2は、原稿の裏面を読み取る第2読取部101を備えている。第2読取部101は、コントローラ100に接続されている。
白色ガイド板70は、例えばラックアンドピニオンで構成される移動手段を備える。ここで、図5は白色ガイド板70を移動させる移動手段の構成を示す図である。図5に示すように、白色ガイド板70は、ガイド板移動部材80の上面に、主走査方向へ往復スライド可能に設置されている。白色ガイド板10は、長手方向すなわち主走査方向の一方側面部にラック部70aが形成されており、後述するピニオン71と歯合することによって、白色ガイド板70を主走査方向へ移動させるようになっている。
一方、ガイド板移動部材80は、白色ガイド板70同様、平板で構成されるとともに、副走査方向を短手方向、主走査方向を長手方向とする略長方形に形成されており、白色ガイド板70を主走査方向にスライド可能に保持するようになっている。ここで、ガイド板移動部材80は、白色ガイド板70に対向する面に図示を省略しているが、例えばスライドレール等が設けられており、このスライドレール上を白色ガイド板70がスライドすることにより、白色ガイド板70を主走査方向へ往復スライド可能にしている。
また、このガイド板移動部材80には、ガイド移動モータ97およびピニオン71が設置されている。ピニオン71には、歯合部が形成されており、この歯合部は白色ガイド板70に形成されたラック部70aと歯合するようになっている。
ガイド移動モータ97は、コントローラ100からの信号により正転方向または逆転方向に回転駆動するようになっており、ピニオン71との間に架け渡された駆動ベルト72を介してガイド移動モータ97の駆動力をピニオン71に伝達するようになっている。すなわち、ガイド移動モータ97は、駆動ベルト72を介してピニオン71を回転駆動させることによって、白色ガイド板70を主走査方向に移動させるようになっている。
上述のように、本実施の形態においては、ガイド移動モータ97およびピニオン71、駆動ベルト72が移動手段を構成している。
また、複合機1は、本複合機1全体の制御を行う本体制御部105、各種の入力操作や動作指示を行う本体操作部106を備えている。コントローラ100と本体制御部105は、I/F107を介して接続されており、双方間で制御信号等のデータの授受が行われる。
図6を参照して、第2読取部101の制御構成について説明する。図6は、ADF2の第2読取部101の制御構成を示すブロック図である。
図6に示すように、第2読取部101は、画像読取部4は、光源部111と、画像読取部4は、センサチップ112と、増幅器113と、A/D114と、画像処理部115と、フレームメモリ116とを備えている。なお、上述のセンサチップ112は、等倍密着イメージセンサと称される公知の光電変換素子と集光レンズとを具備するものである。
第2読取部101は、照射手段として機能する光源部111によりコントローラ100からの点灯信号に基づいて原稿に光を照射する。そして、第2読取部101は、読取手段として機能する各センサチップ112により原稿からの反射光を受光して、電気信号に変換して出力する。
第2読取部101は、各センサチップ112から出力された電気信号を、増幅器113により増幅し、A/D114によりアナログ信号からデジタル信号に変換して画像処理部115により画像処理を行う。第2読取部101は、画像処理部115により画像処理が行われた信号をフレームメモリ116に記憶する。
また、第2読取部101は、コントローラ100からのタイミング信号に基づいてフレームメモリ116に記憶された信号の出力制御を行う出力制御回路117と、出力制御回路117から出力される信号を本体制御部105に出力するI/F回路118とを備えている。
したがって、第2読取部101は、フレームメモリ116に蓄積した画像データを出力制御回路117、I/F回路118を介して本体制御部105に転送する。本体制御部105は、原稿の裏面を読み取った画像データを画像処理回路120へ転送する。
また、画像処理回路120は、第2読取部101により濃度基準部材としての白色ガイド板70を読み取った際の画像データに基づいてシェーディング補正を行う。
ここで、画像処理回路120について詳述する。図7は、画像処理回路120の機能構成を示すブロック図である。図7に示すように、画像処理回路120は、画像処理部(前段)1201と、画像処理部(後段)1202と、を備える。画像処理回路120は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成される画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)である。画像処理部(前段)1201は、原稿を読んでいる間に第2読取部101で取り込んだ画像データに対してシェーディング補正を行い、画像処理部(後段)1202に画像データを出力する。画像処理部(後段)1202は、色変換やフィルタ画像処理などを行う。
画像処理部(前段)1201は、画像並び替え部1204と、白補正部1205と、を備える。
画像並び替え部1204は、第2読取部101より入力された画像データ(デジタル)に対して、画像データが主走査方向の1画素目から順番に並ぶように制御する。画像並び替え部1204は、並び替えた画像データを白補正部1205に出力する。
白補正部1205は、シェーディングデータの生成と、生成したシェーディングデータを用いたシェーディング補正と、を実施する。より詳細には、白補正部1205は、シェーディング補正部1206と、異物除去およびシェーディングデータ生成部1207と、シェーディングデータメモリ1208と、を備える。
シェーディング補正部1206は、詳細は後述するが主走査方向に白色ガイド板70を移動させている間に取り込んだ画像データを取り込んで、シェーディングデータを生成する。
異物除去およびシェーディングデータ生成部1207は、シェーディングデータ生成部として機能する。異物除去およびシェーディングデータ生成部1207は、異物の無いデータを用いてシェーディングデータを生成して、シェーディングデータメモリ1208に格納する。
ここで、異物除去およびシェーディングデータ生成部1207について詳述する。図8は、異物除去およびシェーディングデータ生成部1207の機能構成を示すブロック図である。図8に示すように、異物除去およびシェーディングデータ生成部1207は、閾値判定部1209と、副走査画素加算部1210と、副走査平均値算出部1211と、加算メモリ1212と、を備える。
閾値判定部1209は、白色ガイド板70を主走査方向に移動している最中に読み取った画像データに対して、予め設定した閾値範囲内の画像データのみを後段の副走査画素加算部1210に出力する。なお、閾値は、白色ガイド板70のムラ、第2読取部101の光源部111の照度や第2読取部101のセンサチップ112の経時変動を加味して設定する。
副走査画素加算部1210は、閾値範囲内だった画像データを、副走査方向に加算メモリ1212を使用して画素毎に加算していく。そして、副走査画素加算部1210は、各画素の合計値と、各画素のラインカウンタ(画素毎に副走査方向で加算した回数)とを、副走査平均値算出部1211に対して出力する。
副走査平均値算出部1211は、各画素の合計値と各画素のラインカウンタとにより、各画素の平均値を算出する。そして、副走査平均値算出部1211は、シェーディングデータを生成し、シェーディングデータメモリ1208に画像データを格納する。
次に、第2読取部101に対向して設けられた濃度基準部材を兼ねる白色ガイド板70について説明する。
従来の技術では、平板形状の濃度基準部材を主走査方向あるいは副走査方向に移動させながら取得した画像データを利用し、汚れや傷の影響を避けながらシェーディングデータを生成するようにしていたが、機構構成の制約上、平板形状の濃度基準部材の移動距離が少ない場合において、ゴミなどの異物の影響を除去しきれない、という問題があった。
そこで本実施の形態に係るADF2は、以下に説明するように濃度基準部材としての白色ガイド板70を原稿搬送方向と直交する方向である主走査方向に移動可能な構成とするとともに、白色ガイド板70が主走査方向に移動中に読み取ったデータから、異物除去およびシェーディングデータ生成部1207が白色ガイド板70上の異物の影響を除去したデータを用いて、シェーディングデータを生成することを可能としている。
図9は、白色ガイド板70の移動例を示す図である。図9は、白色ガイド板70が主走査方向の後端側にシフトする例である。図9に示すように、コントローラ100は、ガイド移動モータ97を回転駆動することにより、図示しないアクチュエータなどの移動手段を介して、白色ガイド板70を原稿搬送方向と直交する方向である主走査方向に移動させる。
ここで、図9に示す例のように、白色ガイド板70の主走査方向の中央付近には、異物(汚れ)が付着しているものとする。異物は、例えば紙粉などの浮遊系の異物であり、サイズは2mm程度であるとする。
したがって、サイズが2mm程度の異物が白色ガイド板70に付着している場合には、白色ガイド板70を主走査方向へ2mm以上移動することで、異物の影響を受けない白色ガイド板70の読取データの取得が可能となる。
次いで、異物除去およびシェーディングデータ生成部1207における異物除去処理について説明する。
ここで、図10は異物除去処理の一例を概略的に示す図である。図10は、図9のようにして白色ガイド板70を主走査方向の後端側に移動させながら取得した読取結果を示すものである。なお、図10に示す第2読取部101における読取結果は、主走査方向に8画素で副走査方向に4ラインの例としている。
なお、図10に示す例では、白色ガイド板70を移動(シフト)させながら読み取っているが、これに限定するものではなく、白色ガイド板70を移動させていない期間のデータを含んでいても良い。
図10に示す例では、白色ガイド板70の移動前において、白色ガイド板70に付着した異物の位置は6画素目である。そして、白色ガイド板70が主走査方向の後端側に移動させられることで、第2読取部101の異物を読み取る画素位置が後端側に徐々にシフトしてく。図10に示す例では、第2読取部101の1ライン目は6画素目の異物を読み取り、最終的に第2読取部101の4ライン目では8画素目が白色ガイド板70上の異物を読み取る。
次に、異物除去およびシェーディングデータ生成部1207における異物除去およびシェーディングデータ生成の具体的な動作について説明する。図11は、異物除去およびシェーディングデータ生成の具体的な動作を示す図である。
図11に示すように、異物除去およびシェーディングデータ生成部1207の閾値判定部1209には、白色ガイド板70の読取結果が入力される。また、閾値判定部1209には、汚れの影響を受けない正常範囲を設定する閾値が設定されている。本実施形態の閾値は、下限が190digitで上限が210digitに設定されている。閾値判定部1209は、閾値範囲内だった画像データのみを、副走査画素加算部1210に出力する。
異物除去およびシェーディングデータ生成部1207の副走査画素加算部1210の役割は2つある。以下において、詳述する。
(1)入力されたデータの加算
まず、副走査画素加算部1210は、入力された画像データの加算を行う。この動作の流れは、以下の通りである。
・1ライン目:入力された画像データを加算メモリ1212に書き込む。
・2ライン目:入力された画像データと加算メモリ1212のデータを足し算し、その合計値を加算メモリ1212に書き込む。
・3ライン目:入力された画像データと加算メモリ1212のデータを足し算し、その合計値を加算メモリ1212に書き込む。
・4ライン目:入力された画像データと加算メモリ1212のデータを足し算し、その合計値を加算メモリ1212に書き込むと同時に、副走査平均値算出部1211に出力する。
この時、閾値判定で閾値範囲内のデータのみ入力されるため、図10で示した白色ガイド板70に付着した異物を含む下記のデータは、副走査画素加算部1210には入力されない。
・1ライン目:6画素目
・2ライン目:7画素目
・3ライン目:7画素目
・4ライン目:8画素目
副走査画素加算部1210は、対象画素の上記ライン目では、入力データを“0”扱いとする。副走査画素加算部1210は、前ライン目までに加算されていた加算メモリ1212の値を再度加算メモリ1212に書き込む。その結果、加算結果は、図11に示すように、1~5画素目は800digit@8bitで、6画素目は600digit@8bit、7画素は400digit@8bit、8画素は600digit@8bitとなる。
(2)閾値範囲内のライン数のカウント
また、副走査画素加算部1210は、閾値判定部1209より入力された閾値範囲内の画像データを画素毎にカウントする。図11に示すように、1~5画素目までは汚れの影響を受けていないのでカウンタは“4”、6~8画素目は閾値範囲外のデータが除去されているラインがあるため、それぞれ画素カウンタは“3”,“2”,“3”となる。副走査画素加算部1210は、この画素カウンタの結果も、副走査平均値算出部1211に出力する。
副走査平均値算出部1211は、図11に示すように、副走査平均値算出部1211より入力された加算結果とラインカウンタとを用いて、各画素毎の加算結果をラインカウンタ数で除算する。副走査平均値算出部1211は、この除算結果をシェーディングデータメモリ1208に書き込む。
このように、予め異物の影響を受けていないと判断できる閾値を設定し、閾値範囲外のデータを除外してシェーディングデータを生成することで、白色ガイド板70上の汚れや傷の影響を受けなくすることができる。
このように本実施形態によれば、平板形状の濃度基準部材である白色ガイド板70に汚れや傷などの異物が付いていたとしても、白色ガイド板70を主走査方向に動かすことで、各画素は異物の影響を受けていない領域の白色ガイド板70のデータを読み取ることができる。また、異物除去およびシェーディングデータ生成部1207が、異物の影響を受けていない領域のデータを用いてシェーディングデータを生成するので、異物の影響を除去したシェーディングデータを生成することができる。
(変形例)
ここで、第1の実施の形態の変形例について説明する。
図12は、第1の実施の形態にかかる画像処理回路120の機能構成の変形例を示すブロック図である。図12に示すように、画像処理部(前段)1201は、画像並び替え部1204と白補正部1205との間に、黒補正部1213を備える。
画像並び替え部1204は、並び替えた画像データを黒補正部1213に出力する。黒補正部1213は、入力光量がない場合の第2読取部101のセンサチップ112の出力データを減算する黒補正処理を実施して白補正部1205に出力する。
このように黒補正データを取り除いた状態で異物除去を行うことで、異物除去精度を向上させることができる。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、白色ガイド板70を読み取っている間の出力値の高い上位の数ラインのデータを用いて異物除去およびシェーディングデータ生成を行う点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
図13は、第2の実施の形態にかかる異物除去およびシェーディングデータ生成部1207の機能構成を示すブロック図である。図13に示すように、異物除去およびシェーディングデータ生成部1207は、大小比較部1214と、ラインメモリ1215と、副走査画素加算部1210と、副走査平均値算出部1211と、を備える。
大小比較部1214は、白色ガイド板70を主走査方向に移動している最中に読み取った画像データに対して、予め任意のライン数を設定しておく。そして、大小比較部1214は、白色ガイド板70を読み取った期間内の画像データにおいて、各画素毎に読取結果の数値の高い任意のライン数のデータをラインメモリ1215に格納する。
この時、大小比較部1214は、任意のライン数の中で各画素毎に最も小さい出力値と入力された画像データとを大小判定にて比較して、入力された画像データの数値が高い場合は対象画素のラインメモリ1215の最も小さい出力値と入れ替えを行う。なお、大小比較部1214は、あらかじめ設定した閾値範囲外の画像データに対しては入れ替えを行わない。なお、閾値は、白色ガイド板70のムラ、第2読取部101の光源部111の照度や第2読取部101のセンサチップ112の経時変動を加味して設定する。
副走査平均値算出部1211は、予め設定した任意のライン数を用いて、各画素の平均値を算出して、シェーディングデータを生成し、シェーディングデータメモリ1208に画像データを格納する。
本実施形態において、副走査平均値算出部1211が任意のライン数を設けている理由は、一般的に濃度基準部材を兼ねる白色ガイド板70には濃度ムラが存在するため、複数のエリアで取得したラインで平均化することが望ましいためである。
次に、異物除去およびシェーディングデータ生成部1207における異物除去およびシェーディングデータ生成の具体的な動作について説明する。図14は、異物除去およびシェーディングデータ生成の具体的な動作を示す図である。図14に示す例は、ラインメモリ1215のライン数を2ラインとした場合の例である。
図14に示すように、異物除去およびシェーディングデータ生成部1207の大小比較部1214には、白色ガイド板70の読取結果が入力される。
異物除去およびシェーディングデータ生成部1207の大小比較部1214は、下記の動作を行う。
・1ライン目:ラインメモリ1215に1ライン目のデータを1番出力値が低いデータとして書き込む。
・2ライン目:2ライン目のデータをラインメモリ1215に書き込む。その際、ラインメモリ1215の1番出力値が低いデータと2ライン目のデータを各画素毎に比較して、1番出力値が低いデータと2番出力値が低いデータの入れ替えを行う。
・3ライン目:3ライン目のデータとラインメモリ1215の1番出力値が低いデータとを比較して、3ライン目のデータが高い場合は、対象画素のラインメモリ1215の1番出力値が低いデータと入れ替えを行う。入れ替えを行う際は、2番目に出力が低いデータと3ライン目のデータの数値を比較して、数値が低い方を1番出力値が低いデータに設定して、数値が高い方を2番目に出力値が低いデータに設定する。図14に示す例では、6画素目にて、数値がラインメモリ1215の1番目出力値の低いデータが100digitに対して、3ライン目のデータの出力値が200digitのため、ラインメモリ1215の数値の入れ替えが発生している。
・4ライン目:4ライン目のデータとラインメモリ1215の1番出力値が低いデータとを比較して、4ライン目のデータが高い場合は、対象画素のラインメモリ1215の1番出力値が低いデータと入れ替えを行う。入れ替えを行う際は、2番目に出力が低いデータと4ライン目のデータの数値を比較して、数値が低い方を1番出力値が低いデータに設定して、数値が高い方を2番出力値が低いデータに設定する。図14に示す例では、7画素目にて数値がラインメモリ1215の1番目出力値の低いデータが100digitに対して、3ライン目のデータの出力値が200digitのため、ラインメモリ1215の数値の入れ替えが発生している。
そして、副走査画素加算部1210は、ラインメモリ1215の2ライン分のデータを加算して、副走査平均値算出部1211に出力する。
副走査平均値算出部1211は、副走査画素加算部1210で加算したデータを“2”で除算して、シェーディングデータを生成して、シェーディングデータメモリ1208に書き込む。
このように、複数のラインの平均値を用いてシェーディングデータを生成する理由は、白色ガイド板70のムラの影響を除外するためである。
このように本実施形態によれば、平板形状の濃度基準部材である白色ガイド板70を読み取っている間の出力値の高い上位数ラインのデータを用いることで、汚れなどの異物の影響を受けにくいシェーディングデータを生成することが可能となる。本実施形態によれば、第1の実施の形態と比較してシェーディングデータ生成時の除算の数値が画素毎に共通なため、回路は簡易となる。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態は、白色ガイド板70を複数ライン読み取った際に、白色ガイド板70を読み取った現在の結果と過去の結果を比較して、過去の結果に対して閾値範囲外のデータが入力された場合に異物として判断する点が、第1の実施の形態および第2の実施の形態と異なる。以下、第3の実施の形態の説明では、第1の実施の形態または第2の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態または第2の実施の形態と異なる箇所について説明する。
図15は、第3の実施の形態にかかる異物除去およびシェーディングデータ生成部1207の機能構成を示すブロック図である。図15に示すように、異物除去およびシェーディングデータ生成部1207は、閾値判定部1209と、副走査画素加算部1210と、加算メモリ1212と、副走査平均値算出部1211と、を備える。
異物除去およびシェーディングデータ生成部1207は、白色ガイド板70を主走査方向に移動している最中に読み取った画像データに対して、下記の処理を実行する。
・1ライン目:閾値判定部1209による判定をスルーして、副走査画素加算部1210に画像データを入力して、加算メモリ1212にデータを書き込む。
・2ライン目:1ライン目の加算メモリ1212に書き込まれたデータを副走査平均値算出部1211に入力する。副走査平均値算出部1211は、現時点の入力ライン数(ここでは1ライン)で、入力された画像データを除算して閾値判定部1209に入力する。
閾値判定部1209は、白色ガイド板70の読取結果とあらかじめ設定した閾値を比較して、白色ガイド板70の読取結果が閾値範囲内の場合、白色ガイド板70の読取結果を副走査画素加算部1210に入力する。一方、閾値判定部1209は、白色ガイド板70の読取結果とあらかじめ設定した閾値を比較して、白色ガイド板70の読取結果が閾値範囲外の場合、副走査平均値算出部1211より入力された平均値を副走査画素加算部1210に入力する。言い換えるならば、汚れが無ければ濃度基準部材の読取結果を、汚れがあると判定した場合は副走査平均値算出より入力された平均値を採用する。
なお、閾値は、異物の有無を判別する目的で値を設定する。なお、閾値は、白色ガイド板70のムラ、第2読取部101の光源部111の照度や第2読取部101のセンサチップ112の経時変動を加味して設定する。
異物除去およびシェーディングデータ生成部1207は、以降、2ライン目の動作を繰り返す。
副走査平均値算出部1211は、白色ガイド板70の読取期間が終了した場合、副走査平均値算出部1211の出力をシェーディングデータメモリ1208に書き込む。
なお、上記説明では、1ライン目のデータは無条件で加算メモリ1212に書き込まれると記載したが、これに限るものではなく、1ライン目にゴミがあることを想定して、閾値判定部1209による処理を実施して、閾値範囲外であれば、閾値の中心値などを設定しても良い。このようにすることで、シェーディンデータを生成する為に複数ラインで平均化する際に、ゴミデータを交えるよりも平均化時の誤差を低減することができる。
次に、異物除去およびシェーディングデータ生成部1207における異物除去およびシェーディングデータ生成の具体的な動作について説明する。図16は、異物除去およびシェーディングデータ生成の具体的な動作を示す図である。図16に示す例では、図16(a)は白色ガイド板70を読み取った入力データ、図16(b)は異物除去およびシェーディングデータ生成の具体的な動作を示す図である。図16に示す例では、7画素目に着目している。なお、閾値判定部1209にて設定している閾値は、上限210digit、下限190digitである。
図16を参照し、異物除去およびシェーディングデータ生成部1207が実行する7画素目の異物除去およびシェーディングデータ生成の動きについて説明する。
・1ライン目:入力された画像データは200digit、1ライン目のため副走査平均値算出部1211からの出力はないため、閾値判定部1209の出力は200digiitとなる。加算メモリ1212には200digitが入力される。
・2ライン目:入力された画像データは100digit、副走査平均値算出部1211からの出力は1ライン目の加算メモリ1212のデータを現在まで読んだライン数で除算した値200digit(200/1=200)である。閾値判定部1209は、入力データが閾値範囲(190digit以上210digit以下)外であるため、入力データではなく、副走査平均値算出部1211からの出力(200digit)を副走査画素加算部1210に入力する。副走査画素加算部1210は、加算メモリ1212の現在の値(200digit)と閾値判定部1209が出力した値(200digit)を合算して(400digit)、再度加算メモリ1212に書き込む。
・3ライン目:入力された画像データは100digit、副走査平均値算出部1211からの出力は2ライン目の加算メモリ1212のデータを現在まで読んだライン数で除算した値200digit(400/2=200)である。閾値判定部1209は、入力データが閾値範囲(190digit以上210digit以下)外であるため、入力データではなく、副走査平均値算出部1211からの出力(200digit)を副走査画素加算部1210に入力する。副走査画素加算部1210は、加算メモリ1212の現在の値(400digit)と閾値判定部1209が出力した値(200digit)を合算して(600digit)、再度加算メモリ1212に書き込む。
・4ライン目:入力された画像データは195digit、副走査平均値算出部1211からの出力は2ライン目の加算メモリ1212のデータを現在まで読んだライン数で除算した値200digit(600/3=200)である。閾値判定部1209は、入力データが閾値範囲(190digit以上210digit以下)内であるため、入力データ(195digit)を副走査画素加算部1210に入力する。副走査画素加算部1210は、加算メモリ1212の現在の値(600digit)と2閾値判定部1209が出力した値(195digit)を合算して(795digit)、再度加算メモリ1212に書き込む。
このように本実施形態によれば、平板形状の濃度基準部材である白色ガイド板70上で汚れなどの異物の影響を受けていない領域でシェーディングデータを生成することができる。第1の実施の形態と比較してシェーディングデータ生成時の除算の数値が画素毎に共通なため、回路は簡易となる。また、ラインカウンタも必要ない。さらに、第2の実施の形態と比較して、大規模なラインメモリを持つ必要が無いため、メモリ数を削減することができる。
なお、上記各実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。