JP2022042313A - 端子 - Google Patents

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Abstract

【課題】接点部の間の摩擦力の低減と、接点部の間の導通性の向上と、を両立可能な端子を提供すること。【解決手段】端子2は、相手側端子1が接触した状態で相手側端子1に対して摺動して相手側端子1に導通される接点部40を備える。端子2は、接点部40を少なくとも含む表面領域に、銀を含んで構成される銀皮膜40c1と銀よりも硬度の高い金属を含んで構成される高硬度金属皮膜40c2とが交互に配置された中間層皮膜40cと最外層皮膜としての銀皮膜40dとがこの順に接点部40の母材40a上に積層された多層メッキ皮膜、を有する。多層メッキ皮膜は、最外層皮膜である銀皮膜40dの膜厚aが、中間層皮膜40cに含まれる銀皮膜40c1の膜厚b,c,dの合計厚さよりも小さい、ように構成される。【選択図】図4

Description

本発明は、相手側端子が接触した状態で相手側端子に対して摺動して相手側端子に導通される接点部を備える端子に関する。
従来から、平板状の接点部を有する相手側端子(例えば、メス端子)を、その相手側端子に押圧接触する接点部を有する端子(例えば、オス端子)が提案されている。この種の端子は、一般に、双方の端子を接続する際、端子の接点部が相手側端子の接点部に押し付けられた状態で摺動することになる。そのため、このような摺動に起因して双方の接点部の間に生じる摩擦力に抗しながら、双方の端子を互いに接続させることになる。
例えば、従来の端子対の一つでは、上述した摩擦力を小さくするべく、オス端子の接点部の表面のうち、メス端子の接点部と摺動する箇所に限って、硫化銀のメッキ層を設けている(例えば、特許文献1を参照)。硫化銀のメッキ層は、錫などのメッキ層に比べて一般に摩擦係数が小さいため、双方の接点部の間に生じる摩擦力の低減を図り得る。
特開2014-175196号公報
ところで、硫化銀は錫などに比べて導電性に劣るため、接点部の間での導電性を向上するべく、硫化銀に代えて銀を含んで構成されるメッキ層を端子に設けることが考えられる。しかし、銀は硫化銀に比べて硬度が低いため、接点部同士の摺動によって銀のメッキ層の剥離や凝着が生じ得る。即ち、いわゆる凝着摩擦等が生じることで、接点部の間の摩擦力が増大する場合がある。このように、上述した従来の端子に用いられる硫化銀のメッキ層を単純に銀のメッキ層に置き換えると、本来の目的であった接点部の間の摩擦力の低減を図ることが困難となる可能性がある。このように、一般に、接点部の間の摩擦力の低減と、接点部の間の導通性の向上と、を両立させることは困難である。
本発明の目的の一つは、接点部の間の摩擦力の低減と、接点部の間の導通性の向上と、を両立可能な端子の提供である。
前述した目的を達成するために、本発明に係る端子は、下記[1]~[3]を特徴としている。
[1]
相手側端子が接触した状態で前記相手側端子に対して摺動して前記相手側端子に導通される接点部を備える端子であって、
当該端子の前記接点部は、
前記接点部を少なくとも含む表面領域に、銀を含んで構成される銀皮膜と銀よりも硬度の高い金属を含んで構成される高硬度金属皮膜とが交互に配置された中間層皮膜と、最外層皮膜としての前記銀皮膜と、がこの順に当該接点部の母材上に積層された多層メッキ皮膜、を有し、
前記多層メッキ皮膜は、
前記最外層皮膜である前記銀皮膜の膜厚が、前記中間層皮膜に含まれる前記銀皮膜の膜厚の合計厚さよりも小さい、ように構成される、
端子であること。
[2]
上記[1]に記載の端子において、
前記多層メッキ皮膜は、
前記中間層皮膜及び前記最外層皮膜が厚さ方向において一体的に突出した領域及び一体的に窪んだ領域を有する凹凸断面形状を有する、
端子であること。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の端子において、
前記多層メッキ皮膜は、
前記中間層皮膜に含まれる前記高硬度金属皮膜が前記最外層皮膜に隣接する、ように構成される、
端子であること。
上記[1]の構成の端子によれば、相手側端子に対して摺動することになる端子の接点部には、銀を含んで構成される銀皮膜と銀よりも硬度の高い金属(例えば、ニッケル等)を含んで構成される高硬度金属皮膜とが交互に配置された中間層皮膜と、最外層皮膜としての銀皮膜と、がこの順に母材上に積層された多層メッキ皮膜が、が設けられる。更に、最外層皮膜である銀皮膜の膜厚が、中間層皮膜に含まれる銀皮膜の膜厚の合計厚さよりも小さいように、多層メッキ皮膜が構成される。発明者の実験及び考察等によれば、このような多層メッキ皮膜を設けることで、単純に1層の厚い銀皮膜を設ける場合(例えば、最外層皮膜および中間層皮膜に含まれるすべての銀皮膜の膜厚の合計厚さと同じ厚さの1層の銀皮膜を設ける場合)に比べ、凝着摩擦が生じ難く、接点部における摩擦力を低減できることが明らかになった。これは、最外層皮膜の膜厚が薄いこと、及び、中間層皮膜内の高硬度金属皮膜に支えられて最外層皮膜の変形が抑制されることによると、考えられる。
更に、端子を相手側端子と接続する際の接点部の摺動や接続後の使用時に生じ得る微摺動摩耗などに起因して、最外層皮膜に損傷が生じて中間層皮膜が露出しても、端子の接点部と相手側端子との間に銀の摩耗粉が介在することから、接点部の間の導通性が過度に損なわれないことも、明らかになった。加えて、中間層皮膜内に更に摩耗が進行した場合であっても、銀皮膜と高硬度金属皮膜とが交互に配置されていることから、上記同様に接点部の間に銀の摩耗粉が介在する状態を維持し易いため、接点部の導通性が過度に損なわれないことが、明らかになった。
したがって、本構成の端子は、接点部の間の摩擦力の低減と、接点部の間の導通性の向上と、を両立可能である。
上記[2]の構成の端子によれば、多層メッキ皮膜が、中間層皮膜及び最外層皮膜が厚さ方向において一体的に突出した領域及び一体的に窪んだ領域を有する凹凸断面形状を有する。これにより、中間層皮膜及び最外層皮膜が平坦な形状を有する場合に比べ、多層メッキ皮膜が摩耗した際、接点部の間に銀皮膜同士が接触した部分や、銀の摩耗粉が介在された部分が生じ易い。よって、接点部の間の導通性を更に向上できる。
上記[3]の構成の端子によれば、高硬度金属皮膜が最外層皮膜に隣接するように、中間層皮膜が構成される。これにより、最外層皮膜に隣接する高硬度金属皮膜に支えられることで最外層皮膜の変形が抑制され、接点部における摩擦力を更に低減できる。
このように、本発明によれば、接点部の間の摩擦力の低減と、接点部の間の導通性の向上と、を両立可能な端子を提供できる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1は、本発明の実施形態に係るオス端子と、相手側端子であるメス端子と、が分離した状態にある端子対の斜視図である。 図2は、メス端子の接点部を示すためにメス端子の筒状部の一部を除去した図1に示す端子対の斜視図である。 図3(a)は、図2のA-A断面図であり、図3(b)は、オス端子のメス端子への挿入完了状態における図2のA-A断面に相当する図である。 図4(a)は、図3(b)のB部の拡大図であり、図4(b)は、図3(b)のC部の拡大図であり、図4(c)は、図4(b)のD部の拡大図である。 図5(a)及び図5(b)はそれぞれ、端子対の使用時に生じ得る接点部間の微摺動摩耗が進行した状態における図4(b)及び図4(c)に対応する図であり、図5(c)及び図5(d)は、その微摺動摩耗が更に進行した状態における図4(b)及び図4(c)に対応する図である。 図6は、変形例に係るオス端子における図4(a)に対応する図である。 図7(a)は、他の変形例に係る図4(a)に対応する図であり、図7(b)は、端子対の使用時に生じ得る接点部間の微摺動摩耗が進行した状態における図7(a)に対応する図であり、図7(c)は、その微摺動摩耗が更に進行した状態における図7(a)に対応する図である。
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るオス端子2、及び、相手側端子であるメス端子1からなる端子対について説明する。以下、説明の便宜上、図1に示すように、「前後方向」、「幅方向」、「上下方向」、「前」、「後」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「幅方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。
<端子対の構成>
以下、メス端子1及びオス端子2の構成について説明する。まず、オス端子2の構成について説明する。オス端子2は、図1~図3に示すように、前後方向に延びる平板状の板状部40を備える。板状部40は、メス端子1の後述する筒状部10に挿入されることで、メス端子1の後述する接点部30に導通される「接点部」として機能する。オス端子2は、本例では、1枚の金属板に対して、プレス加工及び曲げ加工等を加えた後に、その表面にメッキ処理を施すことで形成されている。メッキ処理については後述する。
次いで、メス端子1の構成について説明する。メス端子1は、図1~図3に示すように、オス端子2の板状部40が挿入される筒状部10と、筒状部10の後側に連続して形成されると共に電線(図示省略)が圧着されるバレル部20と、筒状部10の内部に形成されると共に挿入された板状部40に導通される接点部30と、を備える。メス端子1は、本例では、1枚の金属板に対して、プレス加工及び曲げ加工等を加えた後に、その表面にメッキ処理を施すことで形成されている。メッキ処理については後述する。
筒状部10は、本例では、前後方向に延びる角筒状の形状を有する。筒状部10は、底壁部11と、底壁部11の幅方向両端縁部から上側へ起立する一対の側壁部12と、幅方向一方側の側壁部12の上端縁部から幅方向他方側へ延びる上壁部及び幅方向他方側の側壁部12の上端縁部から幅方向一方側へ延びる上壁部が上下方向に積層されてなる上壁部13と、を備える。なお、上壁部13は、一対の側壁部12の上端縁部から幅方向内側へそれぞれ延びて幅方向内側の端面同士が接触する一対の上壁部から構成されてもよいし、幅方向一方側の側壁部12の上端縁部から幅方向他方側へ延びる1枚の上壁部のみによって構成されてもよい。
上壁部13には、前後方向に延びる凹凸部14が形成されている(図1及び図3を参照)。凹凸部14は、上面(外面)にて下方に窪み且つ下面(内面)にて下方に突出する部分である。凹凸部14の下面(内面)の頂面(前後方向且つ幅方向に延び且つ前後方向に長い平面)は、オス端子2の板状部40の上面41(平面)が当接するオス端子当接面15として機能する(図3(b)を参照)。
バレル部20は、筒状部10の後端の後側に隣接配置された一対の芯線加締め片21と、一対の芯線加締め片21の後側に隣接配置された一対の被覆加締め片22と、を備える。一対の芯線加締め片21は、メス端子1に接続される電線の先端部における被覆を除去して露出した芯線を加締め固定する部分である。一対の被覆加締め片22は、メス端子1に接続される電線の先端部における被覆を加締め固定する部分である。
図2及び図3に示すように、接点部30は、筒状部10の底壁部11の前端から連続して上後方へ屈曲する部分である固定端31から、固定端31より後側に位置する自由端32まで延びる片持ち梁状の板バネであり、上下方向に弾性変形可能となっている。
接点部30は、固定端31から後側(且つ若干上側)へ延びる平板状の平板部33と、自由端32から前側(且つ若干上側)へ延びる平板状の平板部34と、平板部33及び平板部34を前後方向に連結すると共に上側に突出する(上に凸の)曲板形状の連結部35と、からなる。連結部35の幅方向中央部には、突起部36(いわゆるインデント部)が形成されている。突起部36は、上面にて上方に突出し且つ下面にて上方に窪む部分である。接点部30のうちで突起部36の頂部が最も上側に位置している。接点部30の非弾性変形時にて、突起部36の頂部とオス端子当接面15との間隔は、オス端子2の板状部40の板厚より小さい。
よって、図3(a)に示すように、オス端子2の板状部40の筒状部10への挿入を開始すると、まず、板状部40の先端部が、突起部36とオス端子当接面15との間に進入し、板状部40の下面42が突起部36(即ち、接点部30)を下方に押し下げる。この結果、下方に弾性変形した接点部30の上向きの弾性復元力によって、突起部36が板状部40の下面42を上向きに押圧することで、板状部40が、突起部36とオス端子当接面15とで押圧されて挟持される。
このように、接点部30の弾性復元力によって板状部40が突起部36とオス端子当接面15とで押圧かつ挟持された状態が維持されながら、板状部40の筒状部10への挿入が進行していく。よって、板状部40の挿入の進行に伴い、板状部40の上面41が、オス端子当接面15に押圧接触した状態で摺動し、板状部40の下面42が、接点部30の突起部36に押圧接触した状態で摺動する。このため、これらの摺動に起因する摩擦力に抗して、板状部40の挿入が進行していく。
図3(b)に示すように、板状部40の筒状部10への挿入完了状態では、接点部30の弾性復元力によって突起部36と板状部40の下面42とが押圧接触した状態に維持されることで、突起部36及び板状部40(即ち、メス端子1及びオス端子2)が導通された状態に維持される。
<端子対のメッキ処理>
次いで、メス端子1及びオス端子2の表面に施されるメッキ処理について説明する。まず、オス端子2のメッキ処理について説明する。オス端子2には、図4(a)及び図4(b)に示すように、オス端子2の表面全体に対して、オス端子2の母材40aの上に、ニッケル(Ni)メッキ層40bが形成され、ニッケルメッキ層40bの上に、中間層40cが形成され、中間層40cの上に、最外層として銀(Ag)メッキ層40dが形成されている。中間層40cは、本例では、ニッケルメッキ層40bの上に形成された銀メッキ層40c1と、銀メッキ層40c1の上に形成されたニッケルメッキ層40c2と、の2層で構成される。中間層40c内のニッケルメッキ層40c2は、最外層である銀メッキ層40dに隣接している。最外層である銀メッキ層40dの厚さa(図4(a)参照)は、中間層40c内の銀メッキ層40c1の厚さb(図4(a)参照)より小さい(a<b)。母材40aとしては、例えば、銅又は銅合金が使用され得る。
なお、銀メッキ層40c1,40dは、必ずしも銀のみから構成されていなくてもよく、銀を主成分として他の成分や添加物(アンチモンやビスマス等)を含んでもよい。ニッケルメッキ層40bも、同様に、必ずしもニッケルのみから構成されていなくてもよく、ニッケルを主成分として他の成分や添加物を含んでもよい。
ニッケルメッキ層40bは、母材40aからの銅の拡散を抑制する下地層としての機能を果たす。中間層40c内の銀メッキ層40c1、及び、最外層である銀メッキ層40dは、銀が導電性に優れることに起因して、板状部40の導電性を高める機能を果たす。中間層40c内のニッケルメッキ層40c2は、最外層である銀メッキ層40dより硬度が高いので、薄い銀メッキ層40dを支えて銀メッキ層40dの変形を抑制する機能を果たす。銀メッキ層40dの変形が抑制されることで、メス端子1の接点部30(突起部36)との摺動による銀メッキ層40dの剥離や凝着が抑制されて、いわゆる凝着摩擦の発生が抑制されるので、板状部40における摩擦力が低減される。
ニッケルメッキ層40bの厚さは、例えば、0.5μmであり、中間層40c内の銀メッキ層40c1厚さは、例えば、0.8μmであり、中間層40c内のニッケルメッキ層40c2の厚さは、例えば、0.5μmであり、最外層である銀メッキ層40dの厚さは、例えば、0.2μmである。銀メッキ層40c1,40dの硬度は、ビッカース硬さ200以下である。
次いで、メス端子1のメッキ処理について説明する。本例では、メス端子1には、図4(b)に示すように、メス端子1の表面全体に対して、オス端子2と同じパターンの多層メッキ皮膜が形成されている。具体的には、メス端子1の母材30aの上に、ニッケルメッキ層30bが形成され、ニッケルメッキ層30bの上に、中間層30cが形成され、中間層30cの上に、最外層として銀メッキ層30dが形成さている。中間層30cは、本例では、ニッケルメッキ層30bの上に形成された銀メッキ層30c1と、銀メッキ層30c1の上に形成されたニッケルメッキ層30c2と、の2層で構成される。母材30aとしては、例えば、銅又は銅合金が使用され得る。メス端子1の多層メッキ皮膜を構成する各層の機能は、オス端子2の多層メッキ皮膜を構成する対応する層の機能と同じ機能を果たす。
次いで、オス端子2に対して、中間層40c(銀メッキ層40c1+ニッケルメッキ層c2)の上に最外層として銀メッキ層40dが形成され、且つ、最外層である銀メッキ層40dの厚さが中間層40c内の銀メッキ層40c1の厚さより小さいこと、による作用について説明する。
発明者の実験及び考察等によれば、このような多層メッキ皮膜を設けることで、単純に1層の厚い銀メッキ層を設ける場合(例えば、中間層40c内の銀メッキ層40c1の厚さと最外層である銀メッキ層40dの厚さとの合計と同じ厚さの1層の銀メッキ層を設ける場合)に比べ、厚さが小さい最外層である銀メッキ層40dが、中間層40c内の硬度が高く且つ隣接するニッケルメッキ層40c2に支えられて、銀メッキ層40dの変形が抑制される。このため、いわゆる凝着摩擦が生じ難くなり、板状部40における摩擦力を低減できることが明らかになっている。
オス端子2のメス端子1への挿入完了状態(図3(b)参照)での端子対の使用時、接点部間(板状部40と接点部30(突起部36)との間)において、微摺動摩耗が発生し得る。この微擦動摩耗によって、板状部40と接点部30(突起部36)との間には、図4(c)に示すように、板状部40の最外層である銀メッキ層40d及び接点部30(突起部36)の最外層である銀メッキ層30dの双方の摩耗に起因して、多数の銀の摩耗粉pが介在している。ここで、銀は酸化し難い性質を有するので、介在する銀の摩耗粉pが酸化されて酸化銀の摩耗粉に変質することは、殆どない。
図4(c)に示す状態から、微擦動摩耗が進行すると、図5(a)に示すように、板状部40の最外層であった銀メッキ層40d及び接点部30(突起部36)の最外層であった銀メッキ層30dの双方が消滅して、中間層40c内のニッケルメッキ層40c2、及び、中間層30c内のニッケルメッキ層30c2の双方が露出する。この状態では、図5(b)に示すように、板状部40と接点部30(突起部36)との間には、露出したニッケルメッキ層40c2,30c2の双方の摩耗に起因して、多数の酸化ニッケル(NiO)の摩耗粉qが介在し、且つ、上述した多数の銀の摩耗粉p(銀メッキ層40d,30dの双方の摩耗に起因する摩耗粉)が残存している。ここで、ニッケルの磨耗粉ではなく、ニッケルが酸化された酸化ニッケルの摩耗粉qが介在するのは、ニッケルが極めて酸化し易い性質を有することに基づく。
酸化ニッケル(の摩耗粉q)は導電性に劣る。これに対し、銀(の摩耗粉p)は導電性に優れる。図5(b)に示す状態では、微摺動摩耗に起因して中間層40c,30c内のニッケルメッキ層40c2,30c2が露出しても、板状部40と接点部30(突起部36)との間に多数の銀の摩耗粉pがなおも介在(残存)する。このため、中間層40c,30cを銀メッキ層40d,30dがそれぞれ覆っている状態(図4(c))に比べて、板状部40と接点部30(突起部36)との間の導通性が過度に損なわれないことが、明らかになっている。
図5(a)及び図5(b)に示す状態から、微擦動摩耗が更に進行すると、図5(c)に示すように、中間層40c,30cのニッケルメッキ層40c2,30c2の双方が消滅して、中間層40c内の銀メッキ層40c1、及び、中間層30c内の銀メッキ層30c1の双方が露出する。この状態では、図5(d)に示すように、上述した多数の酸化ニッケルの摩耗粉qが残存する一方で、上述した多数の銀の摩耗粉p(銀メッキ層40d,30dの双方の摩耗に起因する摩耗粉)が残存し、且つ、銀メッキ層40c1,30c1の双方の磨耗に起因する新たな多数の銀の摩耗粉pが介在している。よって、この状態においても、板状部40と接点部30(突起部36)との間に多数の銀の摩耗粉pがなおも介在(残存)するので、中間層40c,30cを銀メッキ層40d,30dがそれぞれ覆っている状態(図4(c))に比べて、板状部40と接点部30(突起部36)との間の導通性が過度に損なわれないことが、明らかになっている。
以上より、オス端子2に対して、中間層40c(銀メッキ層40c1+ニッケルメッキ層c2)の上に最外層として銀メッキ層40dが形成され、且つ、最外層である銀メッキ層40dの厚さが中間層40c内の銀メッキ層40c1の厚さより小さいこと、により、接点部間(板状部40と接点部30(突起部36)との間)の摩擦力の低減と、接点部間の導通性の向上と、を両立可能となっている。
<作用・効果>
以上、本実施形態に係るオス端子2によれば、メス端子1に対して摺動することになるオス端子2の板状部40には、銀メッキ層40c1と銀よりも硬度の高いニッケルメッキ層40c2とが交互に配置された中間層40cと最外層としての銀メッキ層40dとがこの順に母材40a上に積層された多層メッキ皮膜が、が設けられる。更に、最外層である銀メッキ層40dの厚さが、中間層40cに含まれる銀メッキ層40c1の厚さよりも小さい。発明者の実験及び考察等によれば、このような多層メッキ皮膜を設けることで、単純に1層の厚い銀メッキ層を設ける場合(例えば、最外層である銀メッキ層40dの厚さ及び中間層40c内の銀メッキ層40c1の厚さの合計と同じ厚さの1層の銀メッキ層を設ける場合)に比べ、最外層である銀メッキ層40dの厚さが薄く且つ中間層40c内の高硬度なニッケルメッキ層40c2に支えられて変形が抑制されることから凝着摩擦が生じ難く、板状部40における摩擦力を低減できることが明らかになった。更に、オス端子2とメス端子1との接続時の摺動や、接続後の使用時に生じ得る微摺動摩耗などに起因して中間層40cが露出しても、オス端子2の板状部40とメス端子1の接点部30(突起部36)との間に銀の摩耗粉pが介在することから、中間層40cを最外層である銀メッキ層40dが覆っている状態に比べて接点部間(板状部40と接点部30(突起部36)との間)の導通性が過度に損なわれないことが、明らかになった。加えて、中間層40c内にて更に摩耗が進行した場合であっても、銀メッキ層40c1とニッケルメッキ層c2とが交互に配置されていることから、上記同様に接点部間に銀の摩耗粉pが介在する状態を維持し易いため、接点部の導通性が過度に損なわれないことが、明らかになった。したがって、本実施形態に係るオス端子2は、接点部間の摩擦力の低減と、接点部間の導通性の向上と、を両立可能である。
更に、本実施形態に係るオス端子2によれば、硬度が高いニッケルメッキ層40c2が最外層である銀メッキ層40dに隣接するように、中間層40cが構成される。これにより、最外層である銀メッキ層40dに隣接する硬度が高いニッケルメッキ層40c2によって最外層である銀メッキ層40dの変形が抑制されることから、凝着摩擦を抑制して接点部における摩擦力を更に低減できる。
<他の態様>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用できる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば、上記実施形態では、下地層としてのニッケルメッキ層40bと最外層である銀メッキ層40dとの間に位置する中間層40cが、ニッケルメッキ層40bの上に形成された銀メッキ層40c1と、銀メッキ層40c1の上に形成されたニッケルメッキ層40c2と、の2層で構成されている(図4(a)参照)。これに対し、図6に示すように、下地層としてのニッケルメッキ層40bと最外層である銀メッキ層40dとの間に位置する中間層40cが、ニッケルメッキ層40bから銀メッキ層40dに向けて、銀メッキ層40c1とニッケルメッキ層40c2とがこの順で複数回(図6では、3回)繰り返して積層された複数層(図6では、6層)で構成されてもよい。この場合、最外層である銀メッキ層40dの厚さは、中間層40cに含まれる複数(3つ)の銀メッキ層40c1の厚さb,c,dの合計よりも小さくされる(a<b+c+d)。
図6に示す態様では、上記実施形態と比べて、中間層40c全体の厚さが大きい。このため、微擦動摩耗によって中間層40c全体が消滅するまでに要する時間が長くなる。この結果、接点部間(板状部40と接点部30(突起部36)との間)に銀の摩耗粉pが介在する状態を、長く継続させることができる。換言すれば、中間層40cを最外層である銀メッキ層40dが覆っている状態(図4(a)参照)と比べて接点部間の導通性が過度に損なわれない状態を、長く継続させることができる。
更に、上記実施形態では、オス端子2の板状部40の母材40aの表面が平面であることに起因して、多層メッキ皮膜を構成するニッケルメッキ層40b、中間層40c(銀メッキ層40c1+ニッケルメッキ層40c2)及び最外層である銀メッキ層40dの各々が、平坦な形状を有している(図4(a)参照)。これに対し、図7(a)に示すように、オス端子2の板状部40の母材40aの表面が、凹部と凸部とが交互に並ぶ凹凸形状であることに起因して、多層メッキ皮膜を構成するニッケルメッキ層40b、中間層40c(銀メッキ層40c1+ニッケルメッキ層40c2)及び最外層である銀メッキ層40dの全体が、厚さ方向において一体的に突出した領域及び一体的に窪んだ領域を交互に有する凹凸断面形状を有していてもよい。
この場合、図7(b)及び図7(c)から理解できるように、微擦動摩耗によって多層メッキ皮膜が摩耗していく過程において、銀メッキ層が全く露出しない期間が発生し難い。このため、多層メッキ皮膜を構成する各層が平坦な形状である場合(図4(a)参照)と比べて、接点部間において銀の摩耗粉pが介在される部分が生じ易い。よって、接点部間の導通性を更に向上できる。
更に、上記実施形態では、「高硬度金属皮膜」として、ニッケルメッキ層40c2が採用されている。これに対し、「高硬度金属皮膜」として、銀(Ag)と錫(Sn)との合金からなるメッキ層が採用されてもよい。
更に、上記実施形態では、オス端子2の表面全体に対して、図4(a)に示す多層メッキ皮膜が形成されている。これに対し、オス端子2の板状部40の表面全体に対してのみ、図4(a)に示す多層メッキ皮膜が形成されてもよい。更には、板状部40における接点部30(突起部36)との擦動による摺動痕が形成される領域に対してのみ、図4(a)に示す多層メッキ皮膜が形成されてもよい。
ここで、上述した本発明に係る端子の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
相手側端子(1)が接触した状態で前記相手側端子(1)に対して摺動して前記相手側端子(1)に導通される接点部(40)を備える端子(2)であって、
当該端子(2)の前記接点部(40)は、
前記接点部(40)を少なくとも含む表面領域に、銀を含んで構成される銀皮膜(40c1)と銀よりも硬度の高い金属を含んで構成される高硬度金属皮膜(40c2)とが交互に配置された中間層皮膜(40c)と、最外層皮膜としての前記銀皮膜(40d)と、がこの順に当該接点部(40)の母材(40a)上に積層された多層メッキ皮膜、を有し、
前記多層メッキ皮膜は、
前記最外層皮膜である前記銀皮膜(40d)の膜厚(a)が、前記中間層皮膜(40c)に含まれる前記銀皮膜(40c1)の膜厚(b,c,d)の合計厚さよりも小さい、ように構成される、
端子(2)。
[2]
上記[1]に記載の端子(2)において、
前記多層メッキ皮膜は、
前記中間層皮膜(40c)及び前記最外層皮膜(40d)が厚さ方向において一体的に突出した領域及び一体的に窪んだ領域を有する凹凸断面形状を有する、
端子(2)。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の端子(2)において、
前記多層メッキ皮膜は、
前記中間層皮膜(40c)に含まれる前記高硬度金属皮膜(40c2)が前記最外層皮膜(40d)に隣接する、ように構成される、
端子(2)。
1 メス端子(相手側端子)
2 オス端子(端子)
40 板状部(接点部)
40a 母材
40c 中間層(中間層皮膜)
40c1 銀メッキ層(銀皮膜)
40c2 ニッケルメッキ層(高硬度金属皮膜)
40d 銀メッキ層(最外層皮膜、銀皮膜)

Claims (3)

  1. 相手側端子が接触した状態で前記相手側端子に対して摺動して前記相手側端子に導通される接点部を備える端子であって、
    当該端子の前記接点部は、
    前記接点部を少なくとも含む表面領域に、銀を含んで構成される銀皮膜と銀よりも硬度の高い金属を含んで構成される高硬度金属皮膜とが交互に配置された中間層皮膜と、最外層皮膜としての前記銀皮膜と、がこの順に当該接点部の母材上に積層された多層メッキ皮膜、を有し、
    前記多層メッキ皮膜は、
    前記最外層皮膜である前記銀皮膜の膜厚が、前記中間層皮膜に含まれる前記銀皮膜の膜厚の合計厚さよりも小さい、ように構成される、
    端子。
  2. 請求項1に記載の端子において、
    前記多層メッキ皮膜は、
    前記中間層皮膜及び前記最外層皮膜が厚さ方向において一体的に突出した領域及び一体的に窪んだ領域を有する凹凸断面形状を有する、
    端子。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の端子において、
    前記多層メッキ皮膜は、
    前記中間層皮膜に含まれる前記高硬度金属皮膜が前記最外層皮膜に隣接する、ように構成される、
    端子。
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