JP2022036752A - レンズユニット及び画像投影装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】非球面ミラー(非球面反射部材)周辺の保護及び防塵へ配慮しながら部品点数が増加することなくコストダウン可能なレンズユニットを提供する。【解決手段】レンズ光学系35、非球面ミラー10などの投射光学系により画像を画像投影面104などの被投射面に投射する画像投射装置に用いられるレンズユニット50などのレンズユニットであって、前記投射光学系は、屈折光学系を少なくとも一つ含んだレンズ光学系と、全体として正のパワーを有する反射面11などの反射面を具備する非球面ミラー10などの非球面反射部材と、を備え、前記レンズ光学系及び前記非球面反射部材を収容するハウジング51などの筐体を具備し、前記非球面反射部材の外周面を覆うカバー部材を有し、前記カバー部材が前記筐体と一体的に形成されているレンズユニットである。【選択図】図2
Description
本発明は、レンズユニット及び画像投影装置に関する。
超短焦点プロジェクタに代表される、レンズユニット鏡筒構造を有するレンズユニットを使用した画像投影装置において、ミラー光学系筐体構造として、組み付け構造の本体となる筐体(ハウジング等)に対して非球面ミラー、レンズ光学系、カバーガラスを組み付ける構造が広く知られている(例えば特許文献1~3等参照)。
このような方式のミラー光学系筐体構造の場合、非球面ミラーの保護と防塵対策を兼ねたカバーを要するため、カバー部品のコスト及びカバー組み付け作業分のコストが掛かっている現状にある。
このような方式のミラー光学系筐体構造の場合、非球面ミラーの保護と防塵対策を兼ねたカバーを要するため、カバー部品のコスト及びカバー組み付け作業分のコストが掛かっている現状にある。
特許文献1及び2では、防塵用カバーガラスに関する記述はあるが、折返しミラー(非球面ミラー)周辺の防塵に関する言及は何もなされていない。
一方、特許文献3では、折返しミラー(平面ミラー)を防塵用カバーと共用することが開示されているが、特に位置(角度)精度が必要となる非球面ミラーには適さないと考えられていた。その理由としては、折返しミラーである非球面ミラーは解像品質に合わせた3次元的な位置(角度)調整、即ち非球面ミラーの姿勢調整が必要なためである。
上記特許文献1~3を含む従来技術では、非球面ミラーの保護と防塵対策とを兼ねたカバー部材を、筐体(ハウジング等)とは別に新たに要し、部品点数の増加、これに伴う部品のコスト及びカバー組み付け作業分のコストが上昇するという問題がある。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、非球面ミラー(非球面反射部材)周辺の保護及び防塵へ配慮しながら部品点数が増加することなくコストダウン可能なレンズユニットを提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係るレンズユニットは、投射光学系により画像を被投射面に投射する画像投射装置に用いられるレンズユニットであって、前記投射光学系は、屈折光学系を少なくとも一つ含んだレンズ光学系と、全体として正のパワーを有する反射面を具備する非球面反射部材と、を備え、前記レンズ光学系及び前記非球面反射部材を収容する筐体を具備する。
本発明によれば、非球面反射部材(例えば非球面ミラー)周辺の保護及び防塵へ配慮しながら部品点数が増加することなくコストダウン可能なレンズユニットを提供することができる。
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態を詳細に説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能及び形状等を有する構成要素(部材や構成部品)等については、混同の虞がない限り一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。
本発明の一実施形態として、画像投影装置の構成の一例を図1に示す。
図1に示す画像投影装置100は、光束を射出する光源101と、投射すべき画像を表示して、透過する光束に画像情報を付与する空間光変調素子102と、を有している。
画像投影装置100はまた、画像を被投射面としての画像投影面104に投射ないし投影するための投射光学系ないし投影光学系たるレンズユニット50と、画像投影面104に投影するべき画像を表示するために空間光変調素子102を制御する制御部109と、を有している。画像投影面104は、スクリーン104とも呼ばれる。
本発明の一実施形態として、画像投影装置の構成の一例を図1に示す。
図1に示す画像投影装置100は、光束を射出する光源101と、投射すべき画像を表示して、透過する光束に画像情報を付与する空間光変調素子102と、を有している。
画像投影装置100はまた、画像を被投射面としての画像投影面104に投射ないし投影するための投射光学系ないし投影光学系たるレンズユニット50と、画像投影面104に投影するべき画像を表示するために空間光変調素子102を制御する制御部109と、を有している。画像投影面104は、スクリーン104とも呼ばれる。
光源101は、光線を出射する発光源たるハロゲンランプを用いて、白色光を略並行に出射する。ここで光源としてはメタルハライドランプや高圧水銀ランプ、LEDを用いてもよい。
光源101は白色光源であるが、R、G、B等の基本色に対応するレーザー光源のような単色光源を複数用いたものであってもよい。
光源101は白色光源であるが、R、G、B等の基本色に対応するレーザー光源のような単色光源を複数用いたものであってもよい。
空間光変調素子102は、入射した光束を透過して空間的な変調を付与して出射することで画像情報を与える画像表示手段たる液晶パネルである。なお、空間光変調素子102は、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)のような反射型の空間光変調素子であってもよい。
ここで、レンズユニット50が画像投影装置100に取り付けられた状態におけるレンズユニット50への入射光の光軸、即ちレンズ光軸LをZ軸、Z軸に垂直な方向のうち、図1における紙面上下方向に平行な軸をY軸と定め、Z軸及びY軸にそれぞれ垂直な軸をX軸と定める。なお、X軸、Y軸、Z軸それぞれの方向について、図1に示す矢印の方向をそれぞれ正方向と定める。
なお、図1において、括弧を付して示す符号1000は比較例(従来例)に係る画像投影装置を、括弧を付して示す符号500は比較例(従来例)に係るレンズユニット500を、それぞれ表している。一実施形態に係る画像投影装置100は、比較例に係る画像投影装置1000と比較して、レンズユニット500に代えてレンズユニット50を備えている点が主に相違し、その他の構成は同じである。
なお、図1において、括弧を付して示す符号1000は比較例(従来例)に係る画像投影装置を、括弧を付して示す符号500は比較例(従来例)に係るレンズユニット500を、それぞれ表している。一実施形態に係る画像投影装置100は、比較例に係る画像投影装置1000と比較して、レンズユニット500に代えてレンズユニット50を備えている点が主に相違し、その他の構成は同じである。
本発明の一実施形態に係る画像投影装置100は、後述するようにレンズユニット50の構成にその特徴がある。レンズユニット50の構成を理解し易くするために、まず図7、図8を参照して比較例に係るレンズユニット500の構成について説明する。図7は比較例のレンズユニットを構成する各部材の分解斜視図、図8は図7のレンズユニットの断面図である。
レンズユニット500は、図7及び図8に示すように、メイン筐体たるハウジング501と、レンズ光学系350と、非球面反射部材としての非球面ミラー10と、カバーガラス15と、非球面ミラーカバー510と、トップカバー520と、を有している。
ハウジング501は、樹脂で一体的に形成されており、非球面ミラー10及びレンズ光学系350を収容している。レンズ光学系350及び非球面ミラー10は、図示を省略したネジ等の締結部材を介してハウジング501に対して着脱可能に取り付けられている。
非球面ミラー10は、全体として正のパワーを有する反射面11を具備している。なお、図8に示す反射面11には、正のパワーの有効反射面の境界としての段差部11aが形成されているが、後述する他の図(図9、図10等)では図示の簡明化を図るため、この段差部11aの図示を省略する(後述する一実施形態に係る図3~図5も同じ)。
非球面ミラーカバー510は、樹脂で一体的に形成されており、非球面ミラー10の反射面11と反対側の外周面12周辺を覆うように、ネジ等の締結部材を介してハウジング501に対して着脱可能に取り付けられている。非球面ミラーカバー510は、ハウジング501とは別部材で形成されており、非球面ミラー10の保護及び防塵機能を有する。
レンズ光学系350は、Z軸上に配置されて投射光学系を構成する屈折光学系を少なくとも一つ含んで構成されている。レンズ光学系350は、図の左側から図の右側に向かって順に、前群側レンズ光学系200と、後群側レンズ光学系300とを具備しており、実質的に一つの屈折光学系ユニットを構成している。
前群側レンズ光学系200は、図の左側から図の右側に向かって順に、固定群のプラスチック製のレンズ221と、フォ-カス用レンズである移動群のレンズ222と、固定群のレンズ223、224と、を有している。移動群のレンズ222は、Z軸の回りに回動可能に構成されていて、Z軸の正及び負方向(図において左右方向)に移動することにより、像面調整(フォ-カシング)する。
固定群のレンズ221の外周部は、レンズ保持枠とも呼ばれるレンズセル221aに保持されている。レンズ221は、レンズセル221aを介して鏡筒231に配置されている。移動群のレンズ222の外周部も同様に、レンズセル222aに保持されている。レンズ222は、レンズセル222aを介して鏡筒232に配置されている。
固定群のレンズ223及び224の各外周部は、共通のレンズセル223aに保持されている。各レンズ223、224は、レンズセル223aを介して鏡筒233に配置されている。
固定群のレンズ223及び224の各外周部は、共通のレンズセル223aに保持されている。各レンズ223、224は、レンズセル223aを介して鏡筒233に配置されている。
後群側レンズ光学系300は、図の左側から図の右側に向かって順に、固定群のレンズ331と、固定群の対物レンズ332と、を有している。
固定群のレンズ331及び対物レンズ332の各外周部は、共通のレンズセル331aに保持されている。固定群のレンズ331及び対物レンズ332は、レンズセル331aを介して鏡筒233に配置されている。
レンズユニット500では、前群側レンズ光学系200と後群側レンズ光学系300とを具備するレンズ光学系350が上記した各鏡筒231、232、233が一体となってネジ等の締結部材を介してハウジング501に取り付けられている。
カバーガラス15は、非球面ミラー10で折り返し反射された光束を図1に示す画像投影面(スクリーン)104に向けて透過する機能を有する。樹脂製のトップカバー520は、ゴムパッキンやクッション材等の防塵部材を介して、カバーガラス15の全周囲を覆うようにカバーガラス15に組み付けられている。トップカバー520は、図示を省略したネジ等の締結部材を介してハウジング501に対して着脱可能に取り付けられている。
ハウジング501とレンズ光学系350との間、及びハウジング501と非球面ミラーカバー510との間では、ゴムパッキンやクッション材を使用した防塵処理がそれぞれなされている。
レンズユニット500の光束(光線)経路について説明する。
固定群の対物レンズ332より入射した光束は、固定群のレンズ331→固定群のレンズ224→固定群のレンズ223→移動群のレンズ222→固定群のレンズ221の順にレンズ光学系350の中を進む。固定群のレンズ221より出射した光束が非球面ミラー10の反射面11で折り返し反射され、カバーガラス15を透過して画像投影面(スクリーン)104へ投影される。
固定群の対物レンズ332より入射した光束は、固定群のレンズ331→固定群のレンズ224→固定群のレンズ223→移動群のレンズ222→固定群のレンズ221の順にレンズ光学系350の中を進む。固定群のレンズ221より出射した光束が非球面ミラー10の反射面11で折り返し反射され、カバーガラス15を透過して画像投影面(スクリーン)104へ投影される。
図9~図11を併用して、レンズユニット500における非球面ミラー10の姿勢調整機構について説明する。図9は比較例の非球面ミラーカバーを取り外して非球面ミラーを右斜め上方から見たときの、ハウジングを破断して姿勢調整部の要部を示す斜視図、図10は図9の非球面ミラー中央部周りの断面図、図11は比較例における非球面ミラーカバーを取り外した状態でハウジング内部を示す斜視図である。
図8、図10に示すように、非球面ミラー10の上部の中央には、球面形状をなす姿勢調整軸13が一体形成されている。姿勢調整軸13の近傍には、板バネ軸受ブラケット530が図7~図10におけるハウジング501の左端部上部に取り付け固定されている。板バネ軸受ブラケット530には、姿勢調整軸13を3次元方向(Z軸、X軸、Y軸)に回転可能に支持する軸受531が形成されている。また、板バネ軸受ブラケット530には、姿勢調整軸13を図10の軸受531に常に押し付ける向きに付勢する板バネ540がネジを介して取り付け・固定されている。
図7、図9等に示す非球面ミラー10の紙面手前側及び紙面奥側の下部には、一対の耳部14が遠心方向に突出するように一体形成されている。各耳部14には、後述する調整用ネジ560挿通用の穴14aが形成されている。
一方、ハウジング501に取り付けられる非球面ミラー10の各耳部14の下方近傍には、ハウジング501に一体的に形成された、ネジ穴が形成されたネジ取付部570が設けられている。
一方、ハウジング501に取り付けられる非球面ミラー10の各耳部14の下方近傍には、ハウジング501に一体的に形成された、ネジ穴が形成されたネジ取付部570が設けられている。
上述の通り、非球面ミラー10は、姿勢調整軸13の回りに、姿勢調整軸13と反対側のハウジング501(ネジ取付部570側)に設けられた圧縮コイルバネ550、姿勢調整部材としての調整用ネジ560を介して姿勢調整可能に構成されている。圧縮コイルバネ550は、非球面ミラー10を内壁面である反射面11から外側に突出する向きに付勢する弾性部材である。
ミラーカバー510をハウジング501から取り外した状態(図11参照)においては、ハウジング501に一体的に形成されている内部ハウジング503が露出される。ハウジング501の内部ハウジング503の開口部は比較的大きく、設計的な自由度が高いものであった。
比較例のハウジング501では、非球面ミラーカバー510が後付け(非球面ミラー10を先に内部ハウジング503に組み付ける)のため、非球面ミラー10の姿勢調整部に関係する部位の形状加工は設計的に自由度が高いものとなっていた。そのため、以下のように光学性能に合わせて調整用ネジ560の押し引きで非球面ミラー10の姿勢を調整し、姿勢調整後に非球面ミラーカバー510を組み付ければよかった。
比較例のハウジング501では、非球面ミラーカバー510が後付け(非球面ミラー10を先に内部ハウジング503に組み付ける)のため、非球面ミラー10の姿勢調整部に関係する部位の形状加工は設計的に自由度が高いものとなっていた。そのため、以下のように光学性能に合わせて調整用ネジ560の押し引きで非球面ミラー10の姿勢を調整し、姿勢調整後に非球面ミラーカバー510を組み付ければよかった。
非球面ミラー10を姿勢調整する際には、先ず、非球面ミラーカバー510をハウジング501から取り外し(図11参照)、そのときに図11に示すように露出される内部ハウジング503の図において左右両側に形成されたネジ挿通用穴503aに調整用ネジ560を挿通する。
次いで、非球面ミラー10の各耳部14の穴14aに調整用ネジ560を挿通するとともに、調整用ネジ560を圧縮コイルバネ550に挿通した上で、ネジ取付部570に対する調整用ネジ560の締め込み量を調整すること、換言すれば図9に付記したように「ネジの押し引きで姿勢調整」することで、非球面ミラー10の姿勢調整を行うことができる。
次いで、非球面ミラー10の各耳部14の穴14aに調整用ネジ560を挿通するとともに、調整用ネジ560を圧縮コイルバネ550に挿通した上で、ネジ取付部570に対する調整用ネジ560の締め込み量を調整すること、換言すれば図9に付記したように「ネジの押し引きで姿勢調整」することで、非球面ミラー10の姿勢調整を行うことができる。
図2、図3を参照して一実施形態に係るレンズユニット50の構成について説明する。図2は一実施形態のレンズユニットを構成する各部材の分解斜視図、図3は図2のレンズユニットの断面図である。
レンズユニット50は、図7及び図8に示した比較例に係るレンズユニット500と比較して、図2及び図3に示すように、第1にハウジング501に代えて、メイン筐体として機能するハウジング51を用いる点、第2にレンズ光学系350に代えて、レンズ光学系35を用いる点が主に相違する。
レンズユニット50は、図7及び図8に示した比較例に係るレンズユニット500と比較して、図2及び図3に示すように、第1にハウジング501に代えて、メイン筐体として機能するハウジング51を用いる点、第2にレンズ光学系350に代えて、レンズ光学系35を用いる点が主に相違する。
ハウジング51は、ハウジング501と比較して、非球面ミラー10の外周面12を覆うカバー部材としての非球面ミラーカバー510を除去して、非球面ミラーカバー510と同等の機能を有するカバー部材をハウジング51と一体的に形成した点が相違する。
レンズ光学系35は、レンズ光学系350と比較して、前群側レンズ光学系200に代えた前群側レンズ光学系20と、後群側レンズ光学系300に代えた後群側レンズ光学系30とを具備している点が相違する。
上述した通り、レンズユニット50は、ハウジング51と、レンズ光学系35と、レンズユニット500と同様の、非球面反射部材としての非球面ミラー10及びカバーガラス15と、トップカバー52と、を有している。
以下、ハウジング51及びレンズ光学系35について、上記した相違点を中心に説明する。
以下、ハウジング51及びレンズ光学系35について、上記した相違点を中心に説明する。
ハウジング51は、樹脂で一体的に形成されており、非球面ミラー10及び少なくとも前群側レンズ光学系20の一部を収容している。前群側レンズ光学系20及び後群側レンズ光学系30は、図示を省略したネジ等の締結部材を介してハウジング51に対して着脱可能に取り付けられている。非球面ミラー10は、後述するように姿勢調整可能な状態でハウジング51に支持され収容されている。
非球面ミラー10は、樹脂で一体的に形成し、反射面11をアルミニウム等の金属で蒸着して形成されている。非球面ミラー10は、これに限らず、アルミニウム等の金属で形成してもよい。
非球面ミラー10は、樹脂で一体的に形成し、反射面11をアルミニウム等の金属で蒸着して形成されている。非球面ミラー10は、これに限らず、アルミニウム等の金属で形成してもよい。
レンズ光学系35は、Z軸上に配置されて投射光学系を構成する屈折光学系を少なくとも一つ含んで構成されている。レンズ光学系35は、図の左側から図の右側に向かって順に、前群側レンズ光学系20と、後群側レンズ光学系30とを具備しており、実質的に一つの屈折光学系ユニットを構成している。
前群側レンズ光学系20は、図の左側から図の右側に向かって順に、固定群のプラスチック製のレンズ21と、フォ-カス用レンズとして機能する移動群のレンズ22、23、24、25と、を有している。移動群のレンズ22、23、24、25は、Z軸の回りに回動可能に構成されていて、Z軸の正及び負方向(図において左右方向)に移動することにより、像面調整(フォ-カシング)する。このように前群側レンズ光学系20は、投射画像を拡大投射する画像投影面(スクリーン)での最適なフォ-カス位置を容易に実現できるように、像面調整機能を有する投射レンズを用いた構成である。又、最適な画面サイズを実現するためにズーム・変倍機能を持たせることもできる。
固定群のレンズ21は、プラスチック製のレンズである。比較例(従来例)として図8に示した前群側レンズ光学系200の固定群のレンズ221外周部は、レンズ保持枠としてのレンズセル221aに保持されていた。これに対して、本実施形態の固定群のレンズ21は、レンズ保持枠に設けられる構成ではなく、ハウジング51に一体的に構成されている点が大きく異なる。
このように、本実施形態のレンズユニット50では、前群側レンズ光学系20の一部である固定群のレンズ21がハウジング51と実質的に一体的に構成されている。
移動群をそれぞれ構成する、レンズ22の外周部はレンズセル22aに、レンズ23の外周部はレンズセル23aに、レンズ24の外周部はレンズセル24aに、レンズ25の外周部はレンズセル25aに、それぞれ保持されている。そして、移動群のレンズ22、23、24、25は、レンズセル22a、23a、24a、25aを介して鏡筒26に配置されている。
後群側レンズ光学系30は、図の左側から図の右側に向かって順に、固定群のレンズ31と、対物レンズ32と、を有している。固定群のレンズ31及び対物レンズ32の外周部は、共通のレンズセル31aに保持されている。レンズ31及び対物レンズ32は、レンズセル31aを介して鏡筒27に配置されている。
カバーガラス15は、非球面ミラー10の上面周辺を覆うトップカバー52に取り付けられている。トップカバー52は、図示を省略したネジ等の締結部材を介してハウジング51に対して着脱可能に取り付けられている。
ハウジング51と後群側レンズ光学系30との間、及びハウジング51とトップカバー52との間では、ゴムパッキンやクッション材を使用した防塵処理がそれぞれなされている。
レンズユニット50の光束経路について説明する。
固定群の対物レンズ32より入射した光束は、固定群のレンズ31→移動群のレンズ25→移動群のレンズ24→移動群のレンズ23→移動群のレンズ22→固定群のレンズ21の順にレンズ光学系35の中を進む。固定群のレンズ21より出射した光束が非球面ミラー10の反射面11で折り返し反射され、カバーガラス15を透過して画像投影面(スクリーン)104へ投影される。
固定群の対物レンズ32より入射した光束は、固定群のレンズ31→移動群のレンズ25→移動群のレンズ24→移動群のレンズ23→移動群のレンズ22→固定群のレンズ21の順にレンズ光学系35の中を進む。固定群のレンズ21より出射した光束が非球面ミラー10の反射面11で折り返し反射され、カバーガラス15を透過して画像投影面(スクリーン)104へ投影される。
図4~図6を併用して、本実施形態のレンズユニット50における非球面ミラー10の姿勢調整機構について説明する。図4(a)は本実施形態の非球面ミラーを右斜め上方から見たときの、ハウジングを破断して姿勢調整部の要部を示す斜視図、図4(b)は本実施形態で用いる板金バネの形状を示す斜視図、図5は図4の非球面ミラー中央部周りの断面図、図6は本実施形態におけるハウジング外部を示す斜視図である。
上述したレンズユニット50の光束経路により画像投影面(スクリーン)104へ投影される画像を精確的かつ経時安定的に得るためには、非球面ミラー10の反射面11を3次元な位置(角度)調整を行うための姿勢調整機構は必須の構成である。
上述したレンズユニット50の光束経路により画像投影面(スクリーン)104へ投影される画像を精確的かつ経時安定的に得るためには、非球面ミラー10の反射面11を3次元な位置(角度)調整を行うための姿勢調整機構は必須の構成である。
本実施形態の非球面ミラー10の姿勢調整機構は、図3~図11で説明した比較例のそれと比較して、圧縮コイルバネ550に代えて、図4、図5に示す弾性部材としての板金バネ55を用いる点、及び調整用ネジ560に代えて、図4、図5に示す姿勢調整部材としての調整用ネジ56を用いる点が主に相違する。弾性部材は、板金バネ55に限らず、樹脂等の部材で形成されたものでもよい。
図3、図5に示すように、非球面ミラー10の一端部としての上部の中央には、上記した比較例と同様の球面形状をなす姿勢調整軸13が図の右方に突出するように一体形成されている。姿勢調整軸13の近傍には、板バネ軸受ブラケット53が図2~図5におけるハウジング51の左端部上部に取り付け固定されている。板バネ軸受ブラケット53には、姿勢調整軸13を3次元方向(Z軸、X軸、Y軸)に回転可能に支持する軸受53aが形成されている。また、板バネ軸受ブラケット53には、姿勢調整軸13を図5の軸受53aに常に押し付ける向きに付勢する板バネ54がネジを介して取り付け・固定されている。
図2、図4等に示す非球面ミラー10の紙面手前側及び紙面奥側の下部には、上記した比較例と同様の一対の耳部14が遠心方向に突出するように一体形成されている。各耳部14には、後述する調整用ネジ56締結用のネジ穴14bが形成されている。
一方、ハウジング51に取り付け支持される非球面ミラー10の一対の耳部14の中央下方近傍には、ハウジング51に一体的に形成された姿勢調整部材取り付け部としての、板金バネ55固定用ネジ穴が形成されたバネ取付部51bが設けられている。
一方、ハウジング51に取り付け支持される非球面ミラー10の一対の耳部14の中央下方近傍には、ハウジング51に一体的に形成された姿勢調整部材取り付け部としての、板金バネ55固定用ネジ穴が形成されたバネ取付部51bが設けられている。
図4(b)に示すように、板金バネ55には、板金バネ55固定用の穴55cがその中央部に、調整用ネジ56の先端が当接するネジ当接部55bがその両端部に、それぞれ一体形成されている。
上述の通り、非球面ミラー10は、姿勢調整軸13の回りに、姿勢調整軸13と反対側のバネ取付部51b側に設けられた板金バネ55、姿勢調整部材としての調整用ネジ56を介して姿勢調整可能に構成されている。板金バネ55は、非球面ミラー10を内壁面である反射面11から外側に突出する向きに付勢する弾性部材として機能する。
非球面ミラー10を姿勢調整する際には、図6に示すように、レンズユニット50の正面側の非球面ミラー10の外周面12を覆っているハウジング51の図において左右両側に形成されたネジ挿通用穴51aに調整用ネジ56(図4参照)を挿通する。
次いで、非球面ミラー10の各耳部14のネジ穴14bに調整用ネジ56をネジ込むとともに、調整用ネジ56を板金バネ55の付勢力に抗しつつ、板金バネ55のネジ当接部55bに突き当て、非球面ミラー10の各耳部14に対する調整用ネジ56の締め込み量を調整すること、換言すれば図4に付記したように「ネジの押し引きで姿勢調整」することで、非球面ミラー10の姿勢調整を行うことができる。
次いで、非球面ミラー10の各耳部14のネジ穴14bに調整用ネジ56をネジ込むとともに、調整用ネジ56を板金バネ55の付勢力に抗しつつ、板金バネ55のネジ当接部55bに突き当て、非球面ミラー10の各耳部14に対する調整用ネジ56の締め込み量を調整すること、換言すれば図4に付記したように「ネジの押し引きで姿勢調整」することで、非球面ミラー10の姿勢調整を行うことができる。
上述した通り、本実施形態の非球面ミラー10の姿勢調整においては、ハウジング51の外側から姿勢調整部材としての調整用ネジ56の押し引きで調整可能となっている。
上述したように、比較例のハウジング501では、非球面ミラーカバー510が後付け(非球面ミラー10を先に内部ハウジング503に組み付ける)のため、非球面ミラー10の姿勢調整部に関係する部位の形状加工は設計的に自由度が高いものとなっていた。そのため、光学性能に合わせて調整用ネジ560の押し引きで非球面ミラー10の姿勢を調整し、姿勢調整後に非球面ミラーカバー510を組み付ければよかった。
しかしながら、本実施形態においては、非球面ミラーカバー510を除去し、非球面ミラーカバー510と同等の機能を有するカバー部材をハウジング51と一体的に形成したことにより、比較例の姿勢調整部のような形状加工が難しくなった。
しかしながら、本実施形態においては、非球面ミラーカバー510を除去し、非球面ミラーカバー510と同等の機能を有するカバー部材をハウジング51と一体的に形成したことにより、比較例の姿勢調整部のような形状加工が難しくなった。
上述したように、比較例(従来例)においては、非球面ミラー10の姿勢調整機構が必須であることから、これが障害となって長らくの間本発明に到達できなかった。しかしながら、ハウジング51の外側から調整用ネジ56の押し引きで調整可能な機構を発想することにより、本発明を着想し実現することができたと言える。
以上説明した通り、本実施形態によれば、非球面ミラー(非球面反射部材)周辺の保護及び防塵へ配慮しながら部品点数が増加することなくコストダウン可能なレンズユニットを提供することができる。
上記実施形態には、実質的に以下の態様及び効果が記載されていたと言える。
即ち、第1の態様は、レンズ光学系35、非球面ミラー10などの投射光学系により画像を画像投影面104などの被投射面に投射する画像投射装置に用いられるレンズユニット50などのレンズユニットであって、前記投射光学系は、屈折光学系を少なくとも一つ含んだレンズ光学系と、全体として正のパワーを有する反射面11などの反射面を具備する非球面ミラー10などの非球面反射部材と、を備え、前記レンズ光学系及び前記非球面反射部材を収容するハウジング51などの筐体を具備するレンズユニットである。
かかる構成により、第1の態様によれば、非球面ミラー(非球面反射部材)周辺の保護及び防塵へ配慮しながら部品点数が増加することなくコストダウン可能なレンズユニットを提供することができる。
即ち、第1の態様は、レンズ光学系35、非球面ミラー10などの投射光学系により画像を画像投影面104などの被投射面に投射する画像投射装置に用いられるレンズユニット50などのレンズユニットであって、前記投射光学系は、屈折光学系を少なくとも一つ含んだレンズ光学系と、全体として正のパワーを有する反射面11などの反射面を具備する非球面ミラー10などの非球面反射部材と、を備え、前記レンズ光学系及び前記非球面反射部材を収容するハウジング51などの筐体を具備するレンズユニットである。
かかる構成により、第1の態様によれば、非球面ミラー(非球面反射部材)周辺の保護及び防塵へ配慮しながら部品点数が増加することなくコストダウン可能なレンズユニットを提供することができる。
第2の態様は、第1の態様において、前記非球面反射部材の外周面を覆うカバー部材を有し、前記カバー部材が前記筐体と一体的に形成されている。
第3の態様は、第1又は第2の態様において、前群側レンズ光学系20の固定群のレンズ21などの前記レンズ光学系の一部は、前記筐体と一体的に構成されている。
第4の態様は、第1~第3の何れか1つの態様において、前記非球面反射部材は、該非球面反射部材の一端部に形成された姿勢調整軸13などの姿勢調整軸を支持する、前記筐体側に設けられた軸受53aなどの軸受によって前記姿勢調整軸の回りに姿勢調整可能に構成されており、前記非球面反射部材の姿勢を調整するための、前記軸受と反対側の前記筐体側に設けられた調整用ネジ56などの姿勢調整部材を有する。
第5の態様は、第4の態様において、前記非球面反射部材を前記内壁面から外側に突出する向きに付勢する板金バネ55などの弾性部材を有する。
第6の態様は、第5の態様において、前記弾性部材が、弾性を有する板金又は樹脂等の部材で形成されている。
第7の態様は、第4~第6の何れか1つの態様において、前記姿勢調整部材が、ネジである。
第8の態様は、第4~第7の何れか1つの態様において、前記姿勢調整部材は、前記筐体の外側から調整可能である。
第9の態様は、第1~第8の何れか1つの態様のレンズユニットを備える画像投影装置である。
ここで、上述した背景技術について更に詳しく補説する。
特許文献1(特許第5309980号公報)では、防塵用カバーガラス入射角要因での反射による投影画面輝度低下対策として蒸着膜の処理を行うことが提案されていて、防塵用カバーガラスに関する記述はある。しかしながら、折返しミラー(非球面ミラー)周辺の防塵に関する言及は何もなされていない。
特許文献1(特許第5309980号公報)では、防塵用カバーガラス入射角要因での反射による投影画面輝度低下対策として蒸着膜の処理を行うことが提案されていて、防塵用カバーガラスに関する記述はある。しかしながら、折返しミラー(非球面ミラー)周辺の防塵に関する言及は何もなされていない。
特許文献2(特許第5544711号公報)では、防塵用カバーガラス入射角要因での反射による投影画面輝度低下対策としてカバー部の形状を工夫し、カバー部の入射面における投射光の反射率を低下させるために、投射光の入射側に屈曲させることが提案されている。しかしながら、特許文献1と同様に、折返しミラー(非球面ミラー)周辺の防塵に関する言及は何もなされていない。
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、画像投影装置は、1つの液晶パネルでカラーの画像情報を与える1板式のカラープロジェクタとしたが、これに限らず、3板式のカラープロジェクタであっても良いし、モノクロの画像投影装置であってもよい。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
10 非球面ミラー(非球面反射部材の一例)
11 反射面
12 外周面
13 姿勢調整軸
14 耳部
15 カバーガラス
20 前群レンズ光学系(投射光学系、屈折光学系の一例)
30 後群レンズ光学系(投射光学系、屈折光学系の一例)
35 レンズ光学系(投射光学系、屈折光学系の一例)
50 レンズユニット
51 ハウジング(筐体の一例)
53a 軸受
55 板金バネ(弾性部材の一例)
56 調整用ネジ(姿勢調整部材の一例)
100 画像投影装置
104 画像投影面(被投射面の一例)
11 反射面
12 外周面
13 姿勢調整軸
14 耳部
15 カバーガラス
20 前群レンズ光学系(投射光学系、屈折光学系の一例)
30 後群レンズ光学系(投射光学系、屈折光学系の一例)
35 レンズ光学系(投射光学系、屈折光学系の一例)
50 レンズユニット
51 ハウジング(筐体の一例)
53a 軸受
55 板金バネ(弾性部材の一例)
56 調整用ネジ(姿勢調整部材の一例)
100 画像投影装置
104 画像投影面(被投射面の一例)
Claims (9)
- 投射光学系により画像を被投射面に投射する画像投射装置に用いられるレンズユニットであって、
前記投射光学系は、
屈折光学系を少なくとも一つ含んだレンズ光学系と、
全体として正のパワーを有する反射面を具備する非球面反射部材と、を備え、
前記レンズ光学系及び前記非球面反射部材を収容する筐体を具備するレンズユニット。 - 請求項1に記載のレンズユニットにおいて、
前記非球面反射部材の外周面を覆うカバー部材を有し、
前記カバー部材が前記筐体と一体的に形成されていることを特徴とするレンズユニット。 - 請求項1又は2に記載のレンズユニットにおいて、
前記レンズ光学系の一部は、前記筐体と一体的に構成されていることを特徴とするレンズユニット。 - 請求項1~3の何れか1つに記載のレンズユニットにおいて、
前記非球面反射部材は、該非球面反射部材の一端部に形成された姿勢調整軸を支持する、前記筐体側に設けられた軸受によって前記姿勢調整軸の回りに姿勢調整可能に構成されており、
前記非球面反射部材の姿勢を調整するための、前記軸受と反対側の前記筐体側に設けられた姿勢調整部材を有することを特徴とするレンズユニット。 - 請求項4に記載のレンズユニットにおいて、
前記非球面反射部材を前記内壁面から外側に突出する向きに付勢する弾性部材を有することを特徴とするレンズユニット。 - 請求項5に記載のレンズユニットにおいて、
前記弾性部材が、弾性を有する板金又は樹脂等の部材で形成されていることを特徴とするレンズユニット。 - 請求項4~6の何れか1つに記載のレンズユニットにおいて、
前記姿勢調整部材が、ネジであることを特徴とするレンズユニット。 - 請求項4~7の何れか1つに記載のレンズユニットにおいて、
前記姿勢調整部材は、前記筐体の外側から調整可能であることを特徴とするレンズユニット。 - 請求項1~8の何れか1つに記載のレンズユニットを備えることを特徴とする画像投影装置。
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