JP2022035300A - シートベルトリトラクタ、シートベルト装置及び制御方法 - Google Patents

シートベルトリトラクタ、シートベルト装置及び制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シートベルトの張力の低下を抑制すること。【解決手段】スプールと、前記スプールを回転させるモータと、前記スプールがシートベルトの引き出し方向に回転しているときに前記モータにブレーキ電流を還流させているブレーキ制御状態で、前記ブレーキ電流が目標電流よりも低い場合、前記モータに流す電流を、前記ブレーキ電流から、前記シートベルトを前記スプールに巻き取らせる方向に前記モータを回転させる巻取り電流に切り替える制御装置と、を備える、シートベルトリトラクタ。例えば、前記制御装置は、前記ブレーキ制御状態で、前記ブレーキ電流が前記目標電流よりも低く且つ前記ブレーキ電流の大きさを制御するデューティ比が最大値まで上昇している場合、前記モータに流す電流を、前記ブレーキ電流から前記巻取り電流に切り替える。【選択図】図4

Description

本発明は、シートベルトリトラクタ、シートベルト装置及び制御方法に関する。
シートベルトを巻き取るモータの給電端子を短絡する短絡部を備え、該モータにより巻き取ってあるシートベルトの引出しを前記給電端子の短絡により阻止するシートベルト装置において、前記シートベルトの引出速度を検出する引出速度検出部と、該引出速度検出部により検出した引出速度に基づいて前記短絡部による短絡を制御する制御部とを備えるシートベルト装置が知られている。シートベルトの引出速度の増大に伴って短絡頻度を増大させることにより回生ブレーキを増大させて、シートベルトが乗員に与える負荷を低減することが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
特開2011-93431号公報
しかしながら、シートベルトの張力はシートベルトの引き出し速度に比例するため、シートベルトの引出しを給電端子の短絡により阻止する制御だけでは、シートベルトの引き出し速度が低いとき、シートベルトの張力が不足する場合がある。
本開示は、シートベルトの張力の低下を抑制可能なシートベルトリトラクタ、シートベルト装置及び制御方法を提供する。
本開示の一態様では、
スプールと、
前記スプールを回転させるモータと、
前記スプールがシートベルトの引き出し方向に回転している引き出し回転状態で、前記シートベルトを前記スプールに巻き取らせる方向に前記モータを回転させる巻取り電流を前記モータに流すことで、前記シートベルトに作用する張力を調整する制御装置と、を備える、シートベルトリトラクタが提供される。
本開示によれば、シートベルトの張力の低下を抑制できる。
シートベルト装置及びシートベルトリトラクタの構成の一例を示す図である。 制御方法の一例を説明するための図である。 制御装置の構成例を示す図である。 制御方法の一例を示すフローチャートである。 目標電流の設定方法の第1例を示すタイミングチャートである。 目標電流の設定方法の第2例を示すタイミングチャートである。 目標電流の設定方法の第3例を示すタイミングチャートである。 目標電流の設定方法の第4例を示すタイミングチャートである。
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、シートベルト装置100の一例を模式的に示す構成図である。シートベルト装置100は、自動車等の車両13に搭載される。シートベルト装置100は、例えば、シートベルト2と、ショルダーアンカー3と、タング4と、バックル5と、シートベルトリトラクタ(以下、単に「リトラクタ」とも称する)10とを備える。リトラクタ10は、シートベルト巻き取り機構(以下、単に「巻き取り機構」とも称する)6と、制御装置1とを備える。
シートベルト2は、車両13のシート11に座る乗員9を拘束する帯状部材の一例であり、巻き取り機構6から引き出し可能に巻き取り機構6に巻き取られる。シートベルト2の一方の端部は、巻き取り機構6に接続され、シートベルト2のもう一方の端部は、車体、プリテンショナ装置又はシート11などに固定される。シートベルトは、ウェビングとも称される。
ショルダーアンカー3は、巻き取り機構6から引き出されたシートベルト2を乗員9の肩部の方へガイドするガイド部材であり、例えば、車室の側壁又はシート11に固定される。
タング4は、ショルダーアンカー3によりガイドされたシートベルト2にスライド可能に取り付けられる部材である。
バックル5は、タング4が着脱可能に係合される部材の一例であり、例えば、車体の床又はシート11に固定される。
リトラクタ10は、例えば、シート11の近傍の車体又はシート11自体に固定される。リトラクタ10は、シートベルト2の巻き取り又は引き出しを可能にする巻き取り機構6と、巻き取り機構6の動作を制御する制御装置1とを備える。
巻き取り機構6は、シートベルト2を巻き取るためのスプール8と、スプール8を回転させるモータ7と、モータ7とスプール8との間で動力を伝達する動力伝達機構17とを備える。スプール8には、シートベルト2の一端が固定される。モータ7は、スプール8を回転させる駆動力を発生する。モータ7の回転軸は、動力伝達機構17を介して、スプール8の回転軸と連結する。
制御装置1は、モータ7を駆動することによって、巻き取り機構6によるシートベルト2の巻き取り動作(又は、巻き取り動作と引き出し動作の両方)を制御する。制御装置1は、モータ7を駆動する駆動回路14と、駆動回路14の駆動動作を制御する制御回路15とを備える。
駆動回路14は、制御回路15から供給される少なくとも一つの制御信号(例えば、PWM(パルス幅変調)の制御信号)に従って、モータ7を駆動する駆動電流をモータ7に流す。駆動回路14の具体例として、4つのスイッチング素子によってモータ7を駆動するHブリッジ駆動回路、複数のスイッチング素子によってモータ7を駆動するインバータ回路などが挙げられる。駆動回路14の形態は、これらに限られず、要求される仕様に応じて、決められる。
制御回路15は、モータ7を駆動する駆動電流の大きさ(又は、駆動電流の大きさと向き)を制御する少なくとも一つの制御信号(例えば、PWMの制御信号)を、駆動回路14に対して出力する。制御回路15の各機能は、メモリに記憶されたプログラムに従ってCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが動作することにより実現される。制御回路15の具体例として、CPUとメモリとを備えるマイクロコンピュータなどが挙げられる。
制御回路15は、モータ7に流れる電流を検出する電流測定回路による電流測定結果等を用いて、駆動回路14に含まれる複数のスイッチング素子を駆動する駆動制御部である。
制御回路15は、シートベルト2をスプール8に巻き取らせるモード(巻き取りモード)では、シートベルト2の巻き取り方向に対応する正転方向にモータ7が回転(正回転)するように、駆動回路14の各スイッチング素子を制御する。
各スイッチング素子がこのように制御されることにより、駆動回路14は、シートベルト2の巻き取り方向にスプール8を回転させる方向(正転方向)に、モータ7を回転(正回転)させることができる。モータ7の回転軸が正回転すると、その正回転の駆動力は、動力伝達機構17によって、スプール8に伝達される。これにより、スプール8は、シートベルト2を巻き取る方向に回転するので、シートベルト2はスプール8に巻き取られる。
一方、制御回路15は、シートベルト2をスプール8から引き出させるモード(引き出しモード)では、シートベルト2の引き出し方向に対応する逆転方向にモータ7が回転(逆回転)するように、駆動回路14の各スイッチング素子を制御する。
各スイッチング素子がこのように制御されることにより、駆動回路14は、シートベルト2の引き出し方向にスプール8を回転させる方向(逆転方向)に、モータ7を回転(逆回転)させることができる。モータ7の回転軸が逆回転すると、その逆回転の駆動力は、動力伝達機構17によって、スプール8に伝達される。これにより、スプール8は、シートベルト2を引き出す方向に回転するので、シートベルト2はスプール8から引き出される。
また、モータ7の回転軸とスプール8の回転軸とが動力伝達機構17によって連結されている状態において、スプール8に加えられる外力によってモータ7が回されると、モータ7に逆起電力が発生する。制御回路15は、この逆起電力によって生ずる電流(回生電流、ブレーキ電流ともいう)をモータ7に還流させるように駆動回路14を制御することで、モータ7の回転を抑制しブレーキをかける。
制御回路15がモータ7の回転を駆動回路14の制御により抑制することで、例えば、車両衝突時に乗員9に作用する衝突エネルギーを吸収することが可能となる。
例えば、リトラクタ10外部の車載コンピュータは、車両13の衝突が検知又は予測された場合、シートベルト2の乗員9に対する拘束力制御を開始するための指令信号を送信する。
制御回路15は、タング4がバックル5に係合されシートベルト2が乗員9に装着された状態において、リトラクタ10外部の車載コンピュータからの指令信号を受信する等の条件が成立すると、シートベルト2の乗員9に対する拘束力制御を開始する。
制御回路15は、当該条件が成立すると、衝突時の衝撃に準備するため、シートベルト2の巻き取り方向に対応する正転方向にモータ7が回転(正回転)するように、駆動回路14の各スイッチング素子を制御する。モータ7の回転軸が正回転すると、その正回転の駆動力は、動力伝達機構17によって、スプール8に伝達される。これにより、スプール8は、シートベルト2を巻き取る方向に回転するので、シートベルト2はスプール8に巻き取られる。その結果、シートベルト2による乗員9に対する拘束力は上がる。
その後、乗員9が衝突時の慣性により車両前方に移動すると、乗員9の車両前方への慣性力により、シートベルト2がスプール8から引き出される。シートベルト2がスプール8から引き出される方向にスプール8が回転すると、その回転力は、動力伝達機構17によって、モータ7の回転軸に伝達される。これにより、モータ7の回転軸は、逆転方向に回されるので、モータ7に逆起電力が発生する。
制御回路15は、この逆起電力によって生ずる電流(回生電流、ブレーキ電流ともいう)をモータ7に還流させるように駆動回路14を制御することで、シートベルト2の引き出し方向にスプール8を回転させる逆転方向にモータ7が回転することを抑制できる。その結果、車両衝突時に乗員9に作用する衝突エネルギーを吸収することが可能となる。
しかしながら、シートベルト2の張力はシートベルト2の引き出し速度に比例するため、シートベルト2の引き出しをブレーキ電流により阻止する制御だけでは、シートベルト2の引き出し速度が低いとき、シートベルト2の張力が不足する場合がある。本実施形態における制御装置1の制御回路15は、シートベルト2の張力の不足を補って、シートベルト2の張力の低下を抑制可能な制御方法で拘束力制御を実行する。
図2は、制御装置1の制御回路15が拘束力制御の際に行う制御方法の一例を説明するための図である。制御回路15は、モータ7に流れる電流(モータ電流)を制御することにより、シートベルト2の張力を調整する。制御回路15は、シートベルト2の引き出し時にモータ7にブレーキ電流を還流させ、ブレーキ電流の大きさをPWM制御で調整することでシートベルト2の張力(荷重)を変化させる。ブレーキ電流を還流させているブレーキモードでは、図2に示されるように、シートベルト2の引き出し速度が速くなるにつれて、ブレーキ電流とシートベルト2の張力は大きくなる。モータ7に流れる電流はシートベルト2の張力と等価なので、モータ7に流れる電流が増えればシートベルト2の張力も増えるという特性を有する。
しかしながら、このような特性だと、スプール8が回転していないタイミングP2ではシートベルト2の張力は零であり、スプール8の引き出し速度が比較的低い期間P3でも、ブレーキ電流が低いためシートベルト2の張力が十分に大きくならないことがある。ブレーキ電流の電流値に応じて発生可能な最大張力には限界がある。そのため、シートベルト2の張力が必要な張力に対して不足する場合がある。
そこで、制御回路15は、シートベルト2の張力の不足分を補うため、スプール8の回転が零のタイミングやシートベルト2の引き出し速度が比較的遅い期間では、ブレーキ電流に代えて、シートベルト2をスプール8に巻き取らせる方向にモータ7を回転させる巻取り電流をモータ7に流す。これにより、ブレーキ電流だけでは不足するシートベルト2の張力を確保できる。
そして、制御回路15は、乗員の移動によってシートベルト2が引き出されてシートベルト2の引き出し速度が徐々に速くなると、それに合わせて、モータ7に流す巻取り電流を減少させる。制御回路15は、モータ7に流れる電流が目標電流に到達すると、モータ7に流す電流を巻取り電流からブレーキ電流に切り替える。制御回路15は、ブレーキ電流の大きさをPWM制御で調整することで、モータ7に流れる電流を目標電流に収束させる。
図3は、制御装置1の構成例を示す図である。図3は、モータ7が三相のブラシレスモータの場合を例示する。制御装置1は、制御回路15に制御される駆動回路14は、3相のハーフブリッジ回路14u,14v,14wを有する。モータ7は、3相のコイルを内蔵する。なお、モータ7がブラシ付きモータの場合、例えば、ハーフブリッジ回路14wの無いHブリッジ回路で駆動可能である。
駆動回路14は、電源VBとグランド(GND)との間に接続されている。U相のハーフブリッジ回路14uは、スイッチング素子21,22を有し、スイッチング素子21,22の中間接続点は、モータ7のU相コイルの一端に接続される。V相のハーフブリッジ回路14vは、スイッチング素子23,24を有し、スイッチング素子21,22の中間接続点は、モータ7のV相コイルの一端に接続される。W相のハーフブリッジ回路14wは、スイッチング素子25,26を有し、スイッチング素子25,26の中間接続点は、モータ7のW相コイルの一端に接続される。
スイッチング素子21,22,23,24,25,26は、オン/オフ動作する半導体素子であり、電圧制御型のトランジスタでも、電流制御型のバイポーラトランジスタでもよい。電圧制御型のトランジスタには、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などがある。
スイッチング素子21,22,23,24,25,26は、それぞれに逆並列に接続されるダイオードを備え、ダイオードは、スイッチング素子のボディダイオードでもよいし、追加接続された整流素子でもよい。
制御回路15は、スイッチング素子21~26の各々をオン状態かオフ状態かに制御する制御信号S1~S6を生成して出力する。
モータ7に流れる電流を測定する電流測定回路は、その測定結果を制御回路15に対して出力する電流測定部である。制御回路15は、ローサイドのスイッチング素子22,24,26を全てオン状態にすることで、モータ7にブレーキ電流を還流させる。電流測定回路は、モータ7に流れる巻取り電流とモータ7に還流するブレーキ電流と両方を検出できるように、3つの電流検出回路16u,16v,16wを有する。電流検出回路16uは、ローサイドのスイッチング素子22とグランドとの間の電流経路に流れる電流iuをシャント抵抗等により検出する。電流検出回路16vは、ローサイドのスイッチング素子24とグランドとの間の電流経路に流れる電流ivをシャント抵抗等により検出する。電流検出回路16wは、ローサイドのスイッチング素子26とグランドとの間の電流経路に流れる電流iwをシャント抵抗等により検出する。
制御回路15は、電流iu,iv,iwに基づいて、モータ7に流れる電流iを算出する。例えば、制御回路15は、電流iu,iv,iwの各絶対値の和(=|iu|+|iv|+|iw|)をモータ7に流れる電流iとする。制御回路15は、電流iu,iv,iwの各絶対値の和の半分(=(|iu|+|iv|+|iw|)/2)をモータ7に流れる電流iとしてもよい。
図4は、制御装置1が拘束力制御で実行する制御方法の一例を示すフローチャートである。制御装置1の制御回路15は、拘束力制御を開始するための指令信号を受信すると、図4に示す一連の処理を開始し、一連の処理を所定の制御周期で繰り返す。
ステップS10にて、制御回路15は、スプール8の回転を検出するセンサからの回転検出信号に基づいて、スプール8の回転方向がシートベルト2の引き出し方向か否かを判定する。制御回路15は、スプール8の回転方向が引き出し方向と判定した場合(スプール8がシートベルト2の引き出し方向に回転している状態と判定した場合)、ステップS20の処理を行う。一方、制御回路15は、スプール8の回転方向が引き出し方向ではないと判定した場合(スプール8が停止状態又はスプール8の回転方向が巻取り方向)と判定した場合、巻取り電流制御A1を行う。
制御回路15は、巻取り電流制御A1では、シートベルト2をスプール8に巻き取らせる方向にモータ7を回転させる巻取り電流がモータ7に流れて目標電流に収束するように、スイッチング素子21~26のそれぞれをオン状態又はオフ状態に制御する。制御回路15は、巻取り電流制御A1において、巻取り電流を目標電流に近づけるデューティ比で、スイッチング素子21~26のそれぞれをオン状態又はオフ状態にPWM制御でスイッチングさせる。
一方、制御回路15は、スプール8の回転方向が引き出し方向とステップS10にて判定した場合、前回の制御周期での制御が巻取り電流制御A1かブレーキ制御A2か否かを判断する。制御回路15は、ブレーキ制御A2では、全てのローサイドのスイッチング素子22,24,26のみをオン状態にする。これにより、シートベルト2の引き出し方向にスプール8を回転させる逆転方向にモータ7が回転することを抑制するブレーキ電流が流れる。制御回路15は、ブレーキ制御A2では、モータ7に流れるブレーキ電流を目標電流に近づけるデューティ比で、ローサイドのスイッチング素子22,24,26を全て同期間オン状態にすることと同期間オフ状態にすることとを繰り返す。
制御回路15は、前回の制御周期での制御が巻取り電流制御A1である場合、ステップS30の処理を行い、前回の制御周期での制御がブレーキ制御A2である場合、ステップS50の処理を行う。
ステップS30にて、制御回路15は、電流検出回路iu等の電流測定回路により測定された巻取り電流iが目標電流(閾値)よりも高いか否かを判定する。制御回路15は、巻取り電流iが目標電流以下である場合には、巻取り電流制御A1を行う。このときの巻取り電流制御A1は、巻取り電流iが目標電流以下なので、シートベルト2の張力が不足しているとして、デューティ比を上昇させて巻取り電流iを上昇させる。
ステップS30にて、制御回路15は、測定された巻取り電流iが目標電流よりも高いと判定した場合、ステップS40の処理を行う。ステップS40にて、制御回路15は、巻取り電流iの大きさを制御するデューティ比が所定の最小値まで低下しているか否かを判定する。
制御回路15は、巻取り電流iの大きさを制御するデューティ比が所定の最小値よりも高いとステップS40にて判定した場合、巻取り電流制御A1を行う。このときの巻取り制御は、巻取り電流iが目標電流よりも高いので、デューティ比を低下させて巻取り電流iを減少させる。
一方、制御回路15は、巻取り電流iの大きさを制御するデューティ比が所定の最小値まで低下している(所定の最小値に等しい)とステップS40にて判定した場合、モータ7に流す電流を、巻取り電流からブレーキ電流に切り替える(ブレーキ制御A2)。つまり、制御回路15は、デューティ比を最小値まで低下させても、巻取り電流iが目標電流よりも高いままである(巻取り電流iが目標電流まで低下しないとして)、巻取り電流制御A1からブレーキ制御A2に切り替える。
制御回路15は、前回の制御周期での制御がブレーキ制御A2であるとステップS20にて判定した場合、ステップS50の処理を行う。
ステップS50にて、制御回路15は、電流検出回路iu等の電流測定回路により測定されたブレーキ電流iが目標電流(閾値)よりも低いか否かを判定する。制御回路15は、ブレーキ電流iが目標電流以上である場合には、ブレーキ制御A2を行う。このときのブレーキ電流A2は、ブレーキ電流iが目標電流以上なので、シートベルト2の張力が目標よりも高いとして、デューティ比を低下させてブレーキ電流iを減少させる。
ステップS50にて、制御回路15は、測定されたブレーキ電流iが目標電流よりも低いと判定した場合、ステップS60の処理を行う。ステップS60にて、制御回路15は、ブレーキ電流iの大きさを制御するデューティ比が所定の最大値まで上昇しているか否かを判定する。
制御回路15は、ブレーキ電流iの大きさを制御するデューティ比が所定の最大値よりも低いとステップS60にて判定した場合、ブレーキ制御A2を行う。このときのブレーキ制御A2は、ブレーキ電流iが目標電流よりも低いので、デューティ比を上昇させてブレーキ電流iを増加させる。
一方、制御回路15は、ブレーキ電流iの大きさを制御するデューティ比が所定の最大値まで上昇している(所定の最大値に等しい)とステップS60にて判定した場合、モータ7に流す電流を、ブレーキ電流から巻取り電流に切り替える(巻取り電流制御A1)。つまり、制御回路15は、デューティ比を最大値まで上昇させても、ブレーキ電流iが目標電流よりも低いままである(ブレーキ電流iが目標電流まで上昇しないとして)、ブレーキ制御A2から巻取り電流制御A1に切り替える。
このように、制御回路15は、スプール8がシートベルト2の引き出し方向に回転しているときにモータ7にブレーキ電流を還流させているブレーキ制御状態A2で、ブレーキ電流が目標電流よりも低い場合、モータ7に流す電流を、ブレーキ電流から巻取り電流に切り替える。よって、シートベルト2の引き出し速度が比較的低くても、シートベルト2の張力の低下を抑制できる。
制御装置1の制御回路15は、上記の目標電流を時間の経過に伴って変化させてもよい。次に、目標電流の設定方法について、図5~8を参照して説明する。
なお、図5~8のタイミングチャートの縦軸の「設定電流」は、上記の目標電流に相当する。設定電流(目標電流)は、3つの電流検出回路16u,16v,16wの各検出値の絶対値の和(=|iu|+|iv|+|iw|)と比較されてもよいし、各検出値の絶対値の和の半分(=(|iu|+|iv|+|iw|)/2)と比較されてもよい。モータ7がブラシ付きモータの場合、電流iwを無くせばよい。
また、図5~8のタイミングチャートにおいて、例えば、時間やモータ回転の各々が以下の3つの条件、
・エアバッグECUの衝突信号から規定時間T1経過した場合
・自動ブレーキの衝突予知信号から規定時間T2経過した場合
・モータの回転が停止してから規定時間T3経過した場合
のうちの少なくとも一つを満たすと、制御回路15は、目標電流の設定および拘束力制御を終了する。
図5は、初期拘束力をアップするための、目標電流の設定方法の第1例を示すタイミングチャートである。制御回路15は、衝突時の乗員拘束性能を向上させるために高い電流I1に目標電流を設定する。その後、制御回路15は、時間、モータ電流、モータ回転、ベルト張力に応じた張力(エネルギー吸収荷重(EA荷重))となるように目標電流を電流I2に変更する。
制御回路15は、例えば、時間、モータ電流、モータ回転、ベルト張力の各々が以下の条件を満たすと、目標電流を電流I1から電流I2に低下させる。
〔時間の条件〕
・エアバッグの展開完了までの時間(規定値。衝突加速度波形によりエアバッグECU等の外部機器が判断)が経過した場合
・衝突により乗員が移動を開始するタイミング(衝突加速度波形によりエアバッグECU等の外部機器が判断)が経過した場合
〔モータ電流の条件〕
・シートベルトが引き出られることにより発生する回生電流が所定電流値以上増加した場合(乗員が激しく移動しているため目標電流を電流I1に増加させる)
・回生電流が所定電流値未満に減少した場合(乗員がエアバッグに接触したとして目標電流を電流I2に低下させる)
〔モータ回転の条件〕
・シートベルトの引き出し速度が所定速度値以上速い場合(目標電流を電流I1に増加させる)
・引き出し速度が所定速度値未満に減少した場合に(乗員がエアバッグに接触したとして目標電流を電流I2に低下させる)
〔ベルト張力〕
・シートベルトの張力が一定になるように、モータに流れる電流の調整が必要な場合(目標電流を電流I1又は電流I2に変更する)。
図6は、衝突予知検知による動作のときの、目標電流の設定方法の第2例を示すタイミングチャートである。制御回路15は、衝突前から拘束力制御を開始して衝突に備える。目標電流を電流I1から電流I2に低下させる条件は、図5の第1例の場合と同じでよい。
図7は、胸たわみを低減するための、目標電流の設定方法の第3例を示すタイミングチャートである。制御回路15は、乗員拘束終了後、衝突直後の乗員移動開始時に発生するシートベルト張力を低減するために、目標電流を電流I3に下げておく。その後、制御回路15は、モータの回転およびシートベルトの張力に基づいて乗員の移動を検知し、乗員の移動量を抑制するために目標電流を電流I2に変更する。
図8は、可変のEA荷重(シートベルト張力)発生のための、目標電流の設定方法の第4例を示すタイミングチャートである。例えば、制御回路15は、モータ回転による乗員の移動量が所定量以上多い場合、移動量抑制のために目標電流を電流I3から電流I2に上昇させる。制御回路15は、エアバッグの展開までは高い電流I2に目標電流を設定して乗員の移動を抑制し、エアバッグ展開後は目標電流を電流I4に下げる。制御回路15は、例えば、衝突速度、衝突角度、乗員体格、シート位置の各々が以下の複数の条件のうちの少なくとも一つを満たすと、電流I1,I3(I1とI3とのうちの一方でもよい)を変更する。
・衝突速度が所定速度よりも速いと、衝突が激しくなることが予想されるため、電流I1,I3を高く設定する。
・衝突速度が所定速度よりも遅いと、衝突が緩いことが予想されるため、電流I1,I3を低く設定する。
・衝突角度が所定角度以上の場合やオフセット衝突の場合は、乗員が斜めに移動することを抑制するために、電流I1,I3を高く設定する。
・乗員の体重に比例して電流I1,I3を調整し、乗員の移動量を適正に保つ。
・シートの位置が所定位置よりも後ろの場合、生存空間の距離が長いため、目標電流(=張力)を低くする。長い距離を使って衝突エネルギーを吸収することができる。
以上、シートベルトリトラクタを実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
1 制御装置
2 シートベルト
6 シートベルト巻き取り機構
7 モータ
8 スプール
10 シートベルトリトラクタ
14 駆動回路
14A,14B,14C 駆動回路
15 制御回路
17 動力伝達機構
21,22,23,24,25,26 スイッチング素子
100 シートベルト装置

Claims (12)

  1. スプールと、
    前記スプールを回転させるモータと、
    前記スプールがシートベルトの引き出し方向に回転しているときに前記モータにブレーキ電流を還流させているブレーキ制御状態で、前記ブレーキ電流が目標電流よりも低い場合、前記モータに流す電流を、前記ブレーキ電流から、前記シートベルトを前記スプールに巻き取らせる方向に前記モータを回転させる巻取り電流に切り替える制御装置と、を備える、シートベルトリトラクタ。
  2. 前記制御装置は、前記ブレーキ制御状態で、前記ブレーキ電流が前記目標電流よりも低く且つ前記ブレーキ電流の大きさを制御するデューティ比が最大値まで上昇している場合、前記モータに流す電流を、前記ブレーキ電流から前記巻取り電流に切り替える、請求項1に記載のシートベルトリトラクタ。
  3. 前記制御装置は、前記ブレーキ制御状態で、前記ブレーキ電流が前記目標電流よりも低く且つ前記ブレーキ電流の大きさを制御するデューティ比が前記最大値よりも低い場合、前記デューティ比を上昇させて前記ブレーキ電流を増加させ、前記ブレーキ電流が前記目標電流よりも低く且つ前記ブレーキ電流の大きさを制御するデューティ比が前記最大値に等しい場合、前記モータに流す電流を、前記ブレーキ電流から前記巻取り電流に切り替える、請求項2に記載のシートベルトリトラクタ。
  4. 前記制御装置は、前記ブレーキ制御状態で、前記ブレーキ電流が前記目標電流よりも高い場合、前記ブレーキ電流を減少させる、請求項1から3のいずれか一項に記載のシートベルトリトラクタ。
  5. 前記制御装置は、前記スプールの回転方向が前記引き出し方向のとき、前記巻取り電流が前記目標電流よりも高い場合、前記巻取り電流を減少させる、請求項1から4のいずれか一項に記載のシートベルトリトラクタ。
  6. 前記制御装置は、前記スプールの回転方向が前記引き出し方向のとき、前記巻取り電流が前記目標電流よりも高く且つ前記巻取り電流の大きさを制御するデューティ比が最小値まで低下している場合、前記モータに流す電流を、前記巻取り電流から前記ブレーキ電流に切り替える、請求項5に記載のシートベルトリトラクタ。
  7. 前記制御装置は、前記スプールの回転方向が前記引き出し方向のとき、前記巻取り電流が前記目標電流よりも高く且つ前記巻取り電流の大きさを制御するデューティ比が前記最小値よりも高い場合、前記デューティ比を低下させて前記巻取り電流を減少させ、前記巻取り電流が前記目標電流よりも高く且つ前記巻取り電流の大きさを制御するデューティ比が前記最小値に等しい場合、前記モータに流す電流を、前記巻取り電流から前記ブレーキ電流に切り替える、請求項6に記載のシートベルトリトラクタ。
  8. 前記制御装置は、前記スプールの回転方向が前記引き出し方向のとき、前記巻取り電流が前記目標電流よりも低い場合、前記巻取り電流を上昇させる、請求項1から7のいずれか一項に記載のシートベルトリトラクタ。
  9. 前記制御装置は、前記モータに流す電流を前記ブレーキ電流から前記巻取り電流に切り替え後、前記スプールの回転方向を判定し、前記スプールが停止又は前記スプールの回転方向が前記シートベルトの巻取り方向の場合、前記巻取り電流を前記モータに流す、請求項1から8のいずれか一項に記載のシートベルトリトラクタ。
  10. 前記制御装置は、時間の経過に伴って、前記目標電流を変化させる、請求項1から9のいずれか一項に記載のシートベルトリトラクタ。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載のシートベルトリトラクタと、前記シートベルトと、前記シートベルトに取り付けられるタングと、前記タングが着脱可能に係合されるバックルとを備える、シートベルト装置。
  12. スプールがシートベルトの引き出し方向に回転しているときに前記スプールを回転させるモータにブレーキ電流を還流させているブレーキ制御状態で、前記ブレーキ電流が目標電流よりも低い場合、前記モータに流す電流を、前記ブレーキ電流から、前記シートベルトを前記スプールに巻き取らせる方向に前記モータを回転させる巻取り電流に切り替える制御方法。
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