JP2022034311A - ノズルヘッド、紡糸方法および紡糸装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の紡糸孔からそれぞれ噴出される紡糸液の噴出量のばらつきを抑制することができるノズルヘッド、紡糸方法および紡糸装置を提供する。【解決手段】ノズルヘッド20は、溶液槽30と、多孔体60と、を備えている。溶液槽30は、内部から外部へ紡糸液31を供給する供給孔37が設けられた内管32と、内管32を囲み紡糸孔36が設けられた外管33と、を有している。多孔体60は、内管32と外管33との間に充填されている。【選択図】図4
Description
本開示は、ノズルヘッド、紡糸方法および紡糸装置に関する。
特許文献1に開示される電解紡糸装置は、エレクトロスピニング法により、微細なファイバを部材の表面に堆積させる装置である。電解紡糸装置は、原料液を噴出させるノズルヘッドを備えている。ノズルヘッドは、本体部と、複数のノズルと、を有している。本体部は、筒状であり、原料液が充填される。複数のノズルは、本体部に連通している。電解紡糸装置は、ノズルと収集体との間に電界を生じさせ、ノズルから原料液を引き出す。ノズルから引き出された原料液は、ファイバとなって収集体の上に堆積する。
特許文献1の電解紡糸装置では、本体部の長さが長くなるにつれて、長さ方向の各ノズル付近の位置における原料液の圧力欠損の大きさも異なってくる。そのため、各ノズル間で、原料液の流出量のばらつきが大きくなってしまう。その結果、各ノズル間でファイバの生成量が異なることとなり、ファイバの集合体(不織布など)において目付むらが生じるおそれがある。
本開示は、複数の紡糸孔からそれぞれ噴出される紡糸液の噴出量のばらつきを抑制することができるノズルヘッド、紡糸方法および紡糸装置を提供することを目的としている。
本開示のノズルヘッドは、内部に紡糸液を充填し、前記紡糸液を噴射させるための複数の紡糸孔を有する筒状の溶液槽と、前記紡糸液に接触した状態で前記溶液槽内に配置される紡糸電極と、を備えるノズルヘッドであって、前記溶液槽は、内部から外部へ前記紡糸液を供給する供給孔が設けられた内管と、前記内管を囲み前記紡糸孔が設けられた外管と、を有し、前記内管と前記外管との間に充填される多孔体を備えている。
本開示の紡糸方法は、紡糸電極とコレクタ電極との間に電圧が印加されることにより、帯電した紡糸液のジェットが前記紡糸電極から前記コレクタ電極に向けて噴射されて繊維にされ、前記コレクタ電極の前記紡糸電極側の面に沿って配置された捕集部材により、繊維集合体として捕集される紡糸方法であって、前記紡糸電極は、前記紡糸液が充填された筒状の溶液槽の内部に配置され、前記溶液槽は、前記紡糸液が供給される内管と、前記内管を囲み紡糸孔が設けられた外管と、を有し、前記内管と前記外管との間に多孔体を充填し、前記溶液槽に設けられた複数の紡糸孔から前記紡糸液を噴射させる。
本開示の紡糸装置は、上記ノズルヘッドと、前記紡糸電極から離れて配置されるコレクタ電極と、を備え、前記紡糸電極及び前記コレクタ電極の間に電圧が印加されることにより、帯電した紡糸液のジェットが前記コレクタ電極に向けて噴射されて繊維にされ、前記コレクタ電極の前記紡糸電極側の面に沿って配置された捕集部材により、繊維集合体として捕集される。
本開示によれば、複数の紡糸孔からそれぞれ噴出される紡糸液の噴出量のばらつきを抑制することができるノズルヘッド、紡糸方法および紡糸装置を提供することができる。
<実施形態1>
本実施形態は、図1に示す紡糸装置10に本発明を適用したものである。
本実施形態は、図1に示す紡糸装置10に本発明を適用したものである。
(紡糸装置の構成)
以下、本実施形態の紡糸装置10について、図1~図5を参照して説明する。図1、図2に示す紡糸装置10は、エレクトロスピニング装置として構成されている。紡糸装置10は、紡糸液31から極細繊維を紡糸し、極細繊維からなる繊維集合体14、例えば不織布を連続して形成する装置である。
以下、本実施形態の紡糸装置10について、図1~図5を参照して説明する。図1、図2に示す紡糸装置10は、エレクトロスピニング装置として構成されている。紡糸装置10は、紡糸液31から極細繊維を紡糸し、極細繊維からなる繊維集合体14、例えば不織布を連続して形成する装置である。
紡糸液31は、極細繊維を形成する樹脂材料を溶質とし、この溶質を揮発性の溶媒に溶解又は分散させたものである。溶質としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の合成樹脂が用いられる。溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)等の化合物が用いられる。
紡糸装置10は、図1、図2に示すように、捕集部材11と、コレクタ電極17と、ノズルヘッド20と、タンク41と、ポンプ43と、電源44と、を備えている。捕集部材11は、可撓性を有する材料、例えば不織布等の捕集布によって形成されている。捕集部材11は、送り出しローラ12に巻き付けられることにより、ロール13の形態となる。この捕集部材11は、送り出しローラ12及び巻き取りローラ15の間で水平状態にされ、下側の面に繊維集合体14が積層される。繊維集合体14が積層された捕集部材11は、巻き取りローラ15によって巻き取られて、ロール16の形態になる。なお、繊維集合体14の使用に際しては、繊維集合体14の積層された捕集部材11がロール16から引き出されつつ、捕集部材11から繊維集合体14が剥離される。
コレクタ電極17は、図1に示すように、送り出しローラ12と巻き取りローラ15との間に配置されている。コレクタ電極17は、金属等の導電性材料によって形成されている。コレクタ電極17は、捕集部材11の幅方向(図2の左右方向)に延びる平板状に形成されている。コレクタ電極17は、捕集部材11の上面に接触又は接近している。捕集部材11は、コレクタ電極17の後述する紡糸電極50(図4参照)側(溶液槽30側)の面に沿って配置されている。
ノズルヘッド20は、貯留した紡糸液31を外部に噴射させるための部材である。ノズルヘッド20は、図1~図4に示すように、溶液槽30と、紡糸電極(供給電極)50(図3、図4参照)と、多孔体60(図4参照)と、を備えている。溶液槽30は、紡糸に必要な量の紡糸液31を貯留するためのものである。溶液槽30は、図2に示すように、中心軸(軸線L1)に沿って直線状に延びる円管状のチューブによって構成されている。溶液槽30は、例えば、耐溶剤性樹脂によって形成されている。耐溶剤性樹脂は、例えば、フッ素樹脂(PTFE)などの合成樹脂である。溶液槽30は、図1、図2に示すように、軸線L1を捕集部材11の幅方向に合致させた状態で配置されている。
溶液槽30は、図4に示すように、内管32と、外管33と、を備えている。外管33は、軸線L1に沿って直線状に延びる円管状のチューブである。外管33は、内管32を囲んでいる。外管33の一端(図4では右端)は、閉塞されている。外管33の他端(図4では左端)の中心には、外管33の軸線L1に沿う方向に貫通する貫通孔34が形成されている。外管33の外径は、例えば10mmである。内管32の外周面と外管33の内周面との間の空間は、紡糸液31が貯留される貯留空間35となっている。
外管33の上部には、図3、図4に示すように、円形の紡糸孔36が設けられている。紡糸孔36は、紡糸液31を噴射させるための孔である。紡糸孔36の径は、例えば1.5mmである。紡糸孔36は、外管33の上部のうち、最も高い部分(頂部)に設けられている。紡糸孔36は、軸線L1に沿う方向に互いに一定間隔(例えば10mm間隔)で離間した複数箇所に設けられている。複数の紡糸孔36は、軸線L1に沿って列をなすように配列されている。
内管32は、紡糸液31を貯留空間35に供給する管である。内管32は、図4に示すように、軸線L1に沿って直線状に延びる円管状のチューブである。内管32の径は、外管33の径よりも小さい。内管32は、外管33内に、外管33と同軸(軸線L1と同軸)となるように挿入されている。内管32の一端(図4では右端)は、閉塞されている。内管32の他端(図4では左端)は、外管33の貫通孔34から他端側に突出している。内管32の他端(図4では左端)は、後述する配管42に接続されている。
内管32の上部には、図4に示すように、円形の供給孔37が設けられている。供給孔37は、内管32の内部から外部へ紡糸液31を供給する孔である。供給孔37は、内管32の上部のうち、最も高い部分(頂部)に設けられている。供給孔37は、軸線L1に沿う方向に互いに一定間隔(例えば10mm間隔)で離間した複数箇所に設けられている。複数の供給孔37は、軸線L1に沿って列をなすように配列されている。供給孔37は、紡糸孔36および軸線L1を含む面でノズルヘッド20を切断したときに、切断面に含まれる位置に設けられている。供給孔37は、軸線L1方向において、隣接する一対の紡糸孔36の間(例えば両紡糸孔36の間の中心)に設けられている。
溶液槽30は、図1、図2に示すように、捕集部材11の下側において、捕集部材11に対し平行となる状態で配置されている。溶液槽30は、紡糸孔36がコレクタ電極17の下方に位置するように配置されている。
多孔体60は、図4に示すように、溶液槽30の内部空間に配置されている。多孔体60は、内管32と外管33との間に充填されている。多孔体60は、スポンジ状の層である。多孔体60は、メラミン樹脂層である。多孔体60は、メラミン樹脂層によって構成されることで、紡糸液31に対する耐性が高くなり、電気絶縁性に優れている。メラミン樹脂層は、例えばN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)などに対して高い耐性を有している。多孔体60は、気泡が連なる連続気泡構造である。
多孔体60は、円筒形状である。多孔体60の内径は、内管32に組み付けられる前の状態で、内管32の外径と同じかそれよりもわずかに小さい。多孔体60の外径は、外管33に組み付けられる前の状態で、外管33の内径と同じかそれよりもわずかに大きい。多孔体60は、中心軸に沿って延びる孔61を有している。孔61に内管32が挿通されている。多孔体60の内周面(孔61)は、内管32の外周面に密着している。多孔体60の外周面は、後述する紡糸電極50が巻き付けられた部分を除いて外管33の内周面に密着している。多孔体60の一端(図4では右端)の外面は、外管33の一端(図4では右端)の内面に密着している。多孔体60の他端(図4では左端)の外面は、外管33の他端(図4では左端)の内面に密着している。
多孔体60は、内管32の供給孔37から外管33の紡糸孔36に向かう紡糸液31の流れの抵抗となる。そのため、ノズルヘッド20は、各紡糸孔36に向かう紡糸液31の圧力欠損のばらつきを抑制することができる。
紡糸電極50は、金属等の導電性材料によって形成されている。紡糸電極50は、例えばステンレス製の針金である。紡糸電極50の線径は、例えば0.9mmである。紡糸電極50は、図4に示すように、内管32の内径よりも小径の線材(ワイヤ状の部材)によって構成されている。
紡糸電極50は、溶液槽30内で溶液槽30の軸線L1に沿って延びるらせん形状(コイル形状)である。紡糸電極50は、図4に示すように、多孔体60に巻き回されている。多孔体60は、紡糸電極50が巻き回された状態で、溶液槽30の内部空間に配置されている。紡糸電極50は、軸線L1方向から見て円形に巻かれている。紡糸電極50の長さは、溶液槽30の中心軸の長さ(溶液槽30の両端間の軸線L1に沿う長さ)よりも長い。そのため、紡糸電極50は、溶液槽30の中心軸の長さ(溶液槽30の両端間の軸線L1に沿う長さ)と同じ長さとなる構成(直線状の構成)に比べて、紡糸液31との接触面積を大きくすることができる。そのため、紡糸電極50から紡糸液31への電荷付与効率を向上させることができる。紡糸電極50は、図示は省略するが、例えば、外管33の一端(図4では右端)に設けられた貫通孔を介して電源44に接続された配線に接続されている。
紡糸電極50は、多孔体60の外面に食い込むように巻き回されている。紡糸電極50は、外管33の内周面に沿って延びている。紡糸電極50の径(中心軸と後述する頂部51との最短距離)は、外管33の内周面の径と同程度である。紡糸電極50は、紡糸孔36に入り込む部分を除いて、湾曲部分全体が外管33の内周面に接触している。紡糸電極50のらせん形状のピッチは、例えば10mmである。すなわち、後述する頂部51が軸線L1方向に例えば10mm間隔で並んでいる。
紡糸孔36は、図5に示すように、溶液槽30において、軸線L1を含む平面で紡糸電極50を切断したときにあらわれる頂部51を内側に含む位置(頂部51を囲む位置)に設けられている。例えば、軸線L1を含み上下方向に平行な面で紡糸電極50を切断したときに、頂部51があらわれる。紡糸孔36から頂部51が露出するため、帯電状態となる紡糸液31が紡糸孔36から直接噴射され易くなる。すなわち、紡糸液31が帯電状態で噴出し易くなる。頂部51は、紡糸孔36の内側に位置している。頂部51は、下方側から紡糸孔36の中心まで入り込んでいる。紡糸電極50における頂部51に隣接する部分は、紡糸孔36の下縁部に接触している。
多孔体60の上部には、紡糸孔36を介して外部に露出する露出部62が形成されている。露出部62は、上下方向で紡糸孔36と重なる円形状である。露出部62の一部は、紡糸電極50の頂部51に接触している。露出部62は、頂部51によってわずかに押し下げられている。
溶液槽30内では、多孔体60が紡糸液31に浸漬されている。また、溶液槽30内では、紡糸電極50が紡糸液31に浸漬されている。すなわち、紡糸電極50の外面が、溶液槽30内で紡糸液31に接触している。
ノズルヘッド20は、例えば以下のような手順で作製することができる。まず、多孔体60の孔61に内管32を挿通させる。次に、多孔体60に紡糸電極50を巻き付ける。紡糸電極50は、らせん形状であるため、ワイヤ状の電極部材を巻き回すことで容易に製造することができる。多孔体60、内管32、及び紡糸電極50が一体になったものを、外管33の開放された他端(図4では左端)から挿入する。ここで、外管33は、例えば他端(図4では左端)が閉塞部材(貫通孔34を有する円板状の部材)によって開閉自在になっている。多孔体60の一端(図4では右端)の外面が、外管33の一端(図4では右端)の内面に密着した状態で、閉塞部材で外管33の他端(図4では左端)を閉塞する。このようにして、ノズルヘッド20が作製される。
電源44は、直流電源によって構成されている。電源44のプラス電極は紡糸電極50に接続され、マイナス電極はコレクタ電極17に接続されている。
(繊維集合体の製造方法)
図1、図2を用いて繊維集合体14の製造方法について説明する。紡糸装置10が動作すると、捕集部材11は、コレクタ電極17の下面に接触または接近した状態で、送り出しローラ12から巻き取りローラ15に向けて一定速度で送られる。そして、紡糸液31を紡糸電極50に塗布する。ポンプ43が動作すると、図4に示す矢印のように、タンク41内の紡糸液31が内管32内に供給される。内管32の供給孔37から貯留空間35に供給される紡糸液31は、多孔体60を介して供給孔37から紡糸孔36に向かう。例えば、紡糸液31は、多孔体60内の気泡を伝っていく(浸みていく)。なお、一部の紡糸液31は、多孔体60の外面と外管33の内面との間を伝って紡糸孔36に向かっていく構成であってもよい。これにより、紡糸液31が紡糸電極50に均一に塗布される。多孔体60は、内管32の供給孔37から外管33の紡糸孔36に向かう紡糸液31の流れの抵抗となる。そのため、多孔体60は、各紡糸孔36に向かう紡糸液31の流れの抵抗となるため、各紡糸孔36に向かう紡糸液31の圧力欠損のばらつきを抑制すると考えられる。
図1、図2を用いて繊維集合体14の製造方法について説明する。紡糸装置10が動作すると、捕集部材11は、コレクタ電極17の下面に接触または接近した状態で、送り出しローラ12から巻き取りローラ15に向けて一定速度で送られる。そして、紡糸液31を紡糸電極50に塗布する。ポンプ43が動作すると、図4に示す矢印のように、タンク41内の紡糸液31が内管32内に供給される。内管32の供給孔37から貯留空間35に供給される紡糸液31は、多孔体60を介して供給孔37から紡糸孔36に向かう。例えば、紡糸液31は、多孔体60内の気泡を伝っていく(浸みていく)。なお、一部の紡糸液31は、多孔体60の外面と外管33の内面との間を伝って紡糸孔36に向かっていく構成であってもよい。これにより、紡糸液31が紡糸電極50に均一に塗布される。多孔体60は、内管32の供給孔37から外管33の紡糸孔36に向かう紡糸液31の流れの抵抗となる。そのため、多孔体60は、各紡糸孔36に向かう紡糸液31の流れの抵抗となるため、各紡糸孔36に向かう紡糸液31の圧力欠損のばらつきを抑制すると考えられる。
続いて、紡糸電極50とコレクタ電極17との間に電圧を印加する。紡糸電極50をプラス電極とし、コレクタ電極17をマイナス電極として、両電極間に電源44から電圧が印加される。これにより、溶液槽30内の紡糸液31の全体がプラスに帯電される。紡糸電極50の周りの帯電の分布は、周方向に均一となるように紡糸液31を帯電させる。
続いて、溶液槽30の紡糸孔36から繊維を噴出させる。紡糸孔36において露出している紡糸液31の表面には、電荷が誘発され蓄積される。この電荷は、互いに反発し合い、その反発力は紡糸液31の表面張力に対抗する。紡糸液31は、コレクタ電極17に向かう電気力線に沿って作用する静電気力(クーロン力)により吸引される。静電気力が紡糸液31の表面張力に打ち勝つと、帯電した紡糸液31が複数の紡糸孔36から噴出し始める。そして、帯電した紡糸液31のジェット38が複数の紡糸孔36から一斉に、コレクタ電極17に向けてそれぞれ噴射される。上述したように、多孔体60によって、各紡糸孔36に向かう紡糸液31の圧力欠損のばらつきを抑制することができるため、各紡糸孔36から噴射される紡糸液31の噴射量の偏りが緩和される。
続いて、繊維を分裂させ、捕集部材11に捕集させる。各ジェット38の表面積が体積に比較して大きいため、ジェット38中の溶媒が効率良く蒸発する。また、この蒸発によりジェットの体積が減少し、電荷密度がより高くなる。そのため、帯電した紡糸液31の反発力が増して、各ジェット38がさらに細いジェットへ分裂していく。そして、このような過程を経ながら、極細繊維が紡糸されるとともに、極細繊維からなる繊維集合体14が捕集部材11の下側の面に捕集される。
(作用効果)
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態の紡糸装置10において、ノズルヘッド20は、内管32と外管33との間に充填される多孔体60を備えている。このような構成によって、多孔体60は、内管32の供給孔37から外管33の紡糸孔36に向かう紡糸液31の流れの抵抗となる。そのため、ノズルヘッド20は、各紡糸孔36に向かう紡糸液31の圧力欠損のばらつきを抑制することができる。これにより、ノズルヘッド20は、各紡糸孔36から噴射される紡糸液31の噴射量の偏りを緩和できる。その結果、各紡糸孔36間で極細繊維の生成量のばらつきが緩和されることとなり、極細繊維の集合体(不織布など)において目付むらが生じることを抑制できる。
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態の紡糸装置10において、ノズルヘッド20は、内管32と外管33との間に充填される多孔体60を備えている。このような構成によって、多孔体60は、内管32の供給孔37から外管33の紡糸孔36に向かう紡糸液31の流れの抵抗となる。そのため、ノズルヘッド20は、各紡糸孔36に向かう紡糸液31の圧力欠損のばらつきを抑制することができる。これにより、ノズルヘッド20は、各紡糸孔36から噴射される紡糸液31の噴射量の偏りを緩和できる。その結果、各紡糸孔36間で極細繊維の生成量のばらつきが緩和されることとなり、極細繊維の集合体(不織布など)において目付むらが生じることを抑制できる。
本実施形態の紡糸装置10のノズルヘッド20では、多孔体60がメラミン樹脂層である。このような構成によって、多孔体60は、紡糸液31に対する耐性が高くなり、電気絶縁性に優れる。
本実施形態の紡糸装置10のノズルヘッド20では、紡糸電極50が、溶液槽30の中心軸(軸線L1)に沿って延びるらせん形状であり、多孔体60に巻き回されている。このような構成によって、紡糸電極50は、紡糸電極の長さが溶液槽30の中心軸の長さ(溶液槽30の両端間の軸線L1に沿う長さ)と同じ構成(直線状の構成)に比べて、紡糸液31との接触面積が大きくなる。そのため、紡糸電極50から紡糸液31への電荷付与効率を向上させることができる。したがって、紡糸装置10は、紡糸効率を向上させることができる。
<他の実施形態>
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施の形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態1において、多孔体60は、メラミン樹脂層であったが、スポンジ状の層であればその他の材料で構成される層であってもよい。
(2)上記実施形態1において、紡糸電極50のらせん形状のピッチ(頂部51間の間隔)が一定であったが、一定でなくてもよい。また、紡糸電極50の径(中心軸と後述する頂部51との最短距離)も、均一でなくてもよい。
(3)上記実施形態1において、供給孔37は、軸線L1方向において、一対の紡糸孔36の間の中心に設けられていたが、その他の位置に設けられていてもよい。例えば、供給孔37は、上下方向で紡糸孔36と重なる位置や、その位置から軸線L1方向にわずかにずれた位置に設けられていてもよい。
(4)上記実施形態1において、内管32、外管33、および多孔体60は、円筒状であったが、その他の形状であってもよい。例えば、内管32、外管33、および多孔体60は、四角筒状などであってもよい。
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施の形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態1において、多孔体60は、メラミン樹脂層であったが、スポンジ状の層であればその他の材料で構成される層であってもよい。
(2)上記実施形態1において、紡糸電極50のらせん形状のピッチ(頂部51間の間隔)が一定であったが、一定でなくてもよい。また、紡糸電極50の径(中心軸と後述する頂部51との最短距離)も、均一でなくてもよい。
(3)上記実施形態1において、供給孔37は、軸線L1方向において、一対の紡糸孔36の間の中心に設けられていたが、その他の位置に設けられていてもよい。例えば、供給孔37は、上下方向で紡糸孔36と重なる位置や、その位置から軸線L1方向にわずかにずれた位置に設けられていてもよい。
(4)上記実施形態1において、内管32、外管33、および多孔体60は、円筒状であったが、その他の形状であってもよい。例えば、内管32、外管33、および多孔体60は、四角筒状などであってもよい。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または本質から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施形態を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
10…紡糸装置
11…捕集部材
14…繊維集合体
17…コレクタ電極
20…ノズルヘッド
30…溶液槽
31…紡糸液
32…内管
33…外管
36…紡糸孔
37…供給孔
50…紡糸電極
51…頂部
60…多孔体
11…捕集部材
14…繊維集合体
17…コレクタ電極
20…ノズルヘッド
30…溶液槽
31…紡糸液
32…内管
33…外管
36…紡糸孔
37…供給孔
50…紡糸電極
51…頂部
60…多孔体
Claims (5)
- 内部に紡糸液を充填し、前記紡糸液を噴射させるための複数の紡糸孔を有する筒状の溶液槽と、前記紡糸液に接触した状態で前記溶液槽内に配置される紡糸電極と、を備えるノズルヘッドであって、
前記溶液槽は、内部から外部へ前記紡糸液を供給する供給孔が設けられた内管と、前記内管を囲み前記紡糸孔が設けられた外管と、を有し、
前記内管と前記外管との間に充填される多孔体を備えているノズルヘッド。 - 前記多孔体は、メラミン樹脂層である請求項1に記載のノズルヘッド。
- 前記紡糸電極は、前記溶液槽の中心軸に沿って延びるらせん形状であり、前記多孔体に巻き回されている請求項1または請求項2に記載のノズルヘッド。
- 紡糸電極とコレクタ電極との間に電圧が印加されることにより、帯電した紡糸液のジェットが前記紡糸電極から前記コレクタ電極に向けて噴射されて繊維にされ、前記コレクタ電極の前記紡糸電極側の面に沿って配置された捕集部材により、繊維集合体として捕集される紡糸方法であって、
前記紡糸電極は、前記紡糸液が充填された筒状の溶液槽の内部に配置され、
前記溶液槽は、前記紡糸液が供給される内管と、前記内管を囲み紡糸孔が設けられた外管と、を有し、
前記内管と前記外管との間に多孔体を充填し、
前記溶液槽に設けられた複数の紡糸孔から前記紡糸液を噴射させる紡糸方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のノズルヘッドと、
前記紡糸電極から離れて配置されるコレクタ電極と、
を備え、
前記紡糸電極及び前記コレクタ電極の間に電圧が印加されることにより、帯電した紡糸液のジェットが前記コレクタ電極に向けて噴射されて繊維にされ、前記コレクタ電極の前記紡糸電極側の面に沿って配置された捕集部材により、繊維集合体として捕集される紡糸装置。
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JP2020138050A JP2022034311A (ja) | 2020-08-18 | 2020-08-18 | ノズルヘッド、紡糸方法および紡糸装置 |
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Cited By (1)
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CN114481341A (zh) * | 2022-03-24 | 2022-05-13 | 河南中纤新材料科技有限公司 | 一种用于线性电极溶液静电纺丝的喷头及其使用方法 |
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2020
- 2020-08-18 JP JP2020138050A patent/JP2022034311A/ja active Pending
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CN114481341A (zh) * | 2022-03-24 | 2022-05-13 | 河南中纤新材料科技有限公司 | 一种用于线性电极溶液静电纺丝的喷头及其使用方法 |
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