JP2023074631A - 紡糸装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】繊維集合体の目付けを均一にする。【解決手段】紡糸装置10は、筒状のノズルヘッド20と、ノズルヘッド20から離れた箇所に配置されるコレクタ電極17と、コレクタ電極17のノズルヘッド20側に配置される帯状の捕集部材11と、を備えている。ノズルヘッド20は、内部に紡糸電極50が配置されるとともに、内部に紡糸液31が充填され、複数の紡糸孔36が所定間隔で形成されている。紡糸装置10は、紡糸電極50及びコレクタ電極17の間に電圧が印加されることにより、帯電した紡糸液31のジェットがコレクタ電極17に向けて噴射されて、捕集部材11により、繊維集合体14として捕集される。ノズルヘッド20は、複数である。複数のノズルヘッド20は、各ノズルヘッド20の長手方向を捕集部材11の幅方向に向け、かつ、各ノズルヘッド20同士が捕集部材11の幅方向に並ぶように配置されている。【選択図】図3
Description
本開示は、紡糸装置に関する。
特許文献1に開示されるエレクトロスピニング装置(紡糸装置)は、紡糸液から極細繊維を紡糸し、極細繊維からなる繊維集合体を連続して形成する装置である。エレクトロスピニング装置の貯留槽は、軸線に沿って延びるチューブにより構成されている。貯留槽は、軸線に沿う方向に互いに一定間隔で離間した複数箇所に紡糸孔があけられている。
従来の紡糸装置は、各紡糸孔からの紡糸液の吐出量が不均一であることに起因して、繊維集合体の目付けが不均一となる、という課題がある。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、繊維集合体の目付けを均一にすることを目的とする。本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、繊維集合体の目付けを均一にすることを目的とする。本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
内部に紡糸電極が配置されるとともに、内部に紡糸液が充填され、複数の紡糸孔が所定間隔で形成されている、筒状のノズルヘッドと、
前記ノズルヘッドから離れた箇所に配置されるコレクタ電極と、
前記コレクタ電極の前記ノズルヘッド側に配置される帯状の捕集部材と、を備え、
前記紡糸電極及び前記コレクタ電極の間に電圧が印加されることにより、帯電した前記紡糸液のジェットが前記コレクタ電極に向けて噴射されて、前記捕集部材により、繊維集合体として捕集される紡糸装置であって、
前記ノズルヘッドは、複数であり、
複数の前記ノズルヘッドは、各前記ノズルヘッドの長手方向を前記捕集部材の幅方向に向け、かつ、各前記ノズルヘッド同士が前記捕集部材の幅方向に並ぶように配置された、紡糸装置。
前記ノズルヘッドから離れた箇所に配置されるコレクタ電極と、
前記コレクタ電極の前記ノズルヘッド側に配置される帯状の捕集部材と、を備え、
前記紡糸電極及び前記コレクタ電極の間に電圧が印加されることにより、帯電した前記紡糸液のジェットが前記コレクタ電極に向けて噴射されて、前記捕集部材により、繊維集合体として捕集される紡糸装置であって、
前記ノズルヘッドは、複数であり、
複数の前記ノズルヘッドは、各前記ノズルヘッドの長手方向を前記捕集部材の幅方向に向け、かつ、各前記ノズルヘッド同士が前記捕集部材の幅方向に並ぶように配置された、紡糸装置。
本開示によれば、繊維集合体の目付けを均一にすることができる。
ここで、本開示の望ましい例を示す。
・前記捕集部材の幅方向に並ぶように配置された各前記ノズルヘッド同士は、前記捕集部材の前後方向に所定間隔ずれて配置されている、紡糸装置。
・前記捕集部材の幅方向に並ぶように配置された各前記ノズルヘッドについて、前記捕集部材の幅方向を一回横断するように配置された前記ノズルヘッドの集まりを1組とした場合に、全体には複数の組が存在している、紡糸装置。
・複数の前記ノズルヘッドは、千鳥配置とされている、紡糸装置。
・前記ノズルヘッドの両端側に記紡糸液を供給する供給部を備える、紡糸装置。
・前記捕集部材の幅方向に並ぶように配置された各前記ノズルヘッド同士は、前記捕集部材の前後方向に所定間隔ずれて配置されている、紡糸装置。
・前記捕集部材の幅方向に並ぶように配置された各前記ノズルヘッドについて、前記捕集部材の幅方向を一回横断するように配置された前記ノズルヘッドの集まりを1組とした場合に、全体には複数の組が存在している、紡糸装置。
・複数の前記ノズルヘッドは、千鳥配置とされている、紡糸装置。
・前記ノズルヘッドの両端側に記紡糸液を供給する供給部を備える、紡糸装置。
<実施形態1>
本実施形態は、紡糸装置10に本開示を適用したものである。以下、本実施形態の紡糸装置10について、図1~図4を参照して説明する。図1及び図2は、紡糸装置10の概略的な構成を示す図である。図3は、紡糸装置10におけるノズルヘッド20の配置の一例を示す図である。図4は、ノズルヘッド20の断面図である。
本実施形態は、紡糸装置10に本開示を適用したものである。以下、本実施形態の紡糸装置10について、図1~図4を参照して説明する。図1及び図2は、紡糸装置10の概略的な構成を示す図である。図3は、紡糸装置10におけるノズルヘッド20の配置の一例を示す図である。図4は、ノズルヘッド20の断面図である。
(紡糸装置の構成)
図1、図2に示す紡糸装置10は、エレクトロスピニング装置として構成されている。紡糸装置10は、紡糸液31から極細繊維を紡糸し、極細繊維からなる繊維集合体14、例えば不織布を連続して形成する装置である。
図1、図2に示す紡糸装置10は、エレクトロスピニング装置として構成されている。紡糸装置10は、紡糸液31から極細繊維を紡糸し、極細繊維からなる繊維集合体14、例えば不織布を連続して形成する装置である。
紡糸液31は、極細繊維を形成する樹脂材料を溶質とし、この溶質を揮発性の溶媒に溶解又は分散させたものである。溶質としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の合成樹脂が用いられる。溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)等の化合物が用いられる。
紡糸装置10は、図1~図3に示すように、ノズルヘッド20と、コレクタ電極17と、捕集部材11と、タンク41,45と、ポンプ43,47と、電源44と、を備えている。
ノズルヘッド20は、貯留した紡糸液31を外部に噴射させるための部材である。紡糸装置10を動作させると、ノズルヘッド20の内部に、紡糸液31が充填される。ノズルヘッド20は、円筒状であり、一方向(各図のY軸方向)に長い形状をなしている。ノズルヘッド20の全長は、例えば450mm以上である。ノズルヘッド20の全長の上限は特に限定されないが、例えば1200mm以下である。
ノズルヘッド20は、ノズルヘッド20の長手方向に沿って複数の紡糸孔36が所定間隔で形成されている。紡糸孔36は、紡糸液31を噴射させるための孔である。紡糸孔36は、ノズルヘッド20の側面に開口している。ノズルヘッド20の全長が長く、かつ、紡糸孔36の数が多い程、各紡糸孔36に向かう紡糸液31の圧力欠損のばらつきが大きくなる。このため、各紡糸孔36に向かう紡糸液31の圧力欠損のばらつきを抑制できる本開示の技術が有効である。なお、各図においては、ノズルヘッド20の各部の寸法及び紡糸孔36の数を変えて、ノズルヘッド20を概略的に描いている。
ノズルヘッド20は、図4に示すように、溶液槽30と、紡糸電極(供給電極)50と、を備えている。溶液槽30は、紡糸に必要な量の紡糸液31を貯留するためのものである。溶液槽30は、中心軸(軸線L1)に沿って直線状に延びる円管状のチューブによって構成されている。溶液槽30は、例えば、耐溶剤性樹脂によって形成されている。耐溶剤性樹脂は、例えば、フッ素樹脂(PTFE)などの合成樹脂である。
溶液槽30は、内管32と、外管33と、を備えている。外管33は、軸線L1に沿って直線状に延びる円管状のチューブである。外管33の外径は、例えば10mmである。内管32の外周面と外管33の内周面との間の空間は、紡糸液31が貯留される貯留空間35となっている。外管33の上部には、紡糸孔36が設けられている。
紡糸孔36は、平面視円形である。紡糸孔36の径は、好ましくは0.5mm-2.0mmであり、例えば、1.0mmである。紡糸孔36は、外管33の上部のうち、最も高い部分(頂部)に設けられている。紡糸孔36は、軸線L1に沿う方向に互いに一定間隔で離間した複数箇所に設けられている。隣り合う紡糸孔36の間隔は、好ましくは5mm-20mmであり、例えば10mmである。なお、隣り合う紡糸孔36の間隔は、各紡糸孔36の中心間の距離である。複数の紡糸孔36は、軸線L1に沿って列をなすように配列されている。
内管32は、紡糸液31を貯留空間35に供給する管である。内管32は、軸線L1に沿って直線状に延びる円管状のチューブである。内管32の径は、外管33の径よりも小さい。内管32は、外管33内に、外管33と同軸(軸線L1と同軸)となるように挿入されている。
内管32の上部には、円形の内孔37が設けられている。内孔37は、内管32の内部から外部へ紡糸液31を供給する孔である。内孔37は、軸線L1に沿う方向に互いに一定間隔(例えば10mm間隔)で離間した複数箇所に設けられている。複数の内孔37は、軸線L1に沿って列をなすように配列されている。内孔37は、紡糸孔36および軸線L1を含む面でノズルヘッド20を切断したときに、切断面に含まれる位置に設けられている。
ノズルヘッド20は、図4に示すように、両端部に設けられ、紡糸液31が供給される供給口61,62を有している。供給口61,62は、紡糸液31が供給される開口である。具体的には、供給口61,62は、内管32の両端部が外管33の両端部から突出し、軸線方向の両側に向けて開口する形態で設けられている。外管33の両端部は、貫通孔34を有する円板状の部材によって閉塞されている。供給口61,62には、配管42,46がそれぞれ接続される。供給口61,62に接続された状態において、配管42,46は、ノズルヘッド20との接続部位から軸線L1に沿って延びている。配管42,46の接続態様は特に限定されないが、Y軸方向の一端側の供給口61には配管42が接続され、他端側の供給口62には、一端側の供給口61とは別系統の配管46が接続される。
紡糸電極50は、金属等の導電性材料によって形成されている。紡糸電極50は、例えばステンレス製の針金である。紡糸電極50の線径は、例えば0.9mmである。紡糸電極50は、図4に示すように、内管32の内径よりも小径の線材(ワイヤ状の部材)によって構成されている。溶液槽30内では、紡糸電極50の全体が紡糸液31に浸漬されている。すなわち、紡糸電極50の外面の全体が、貯留空間35内で紡糸液31に接触している。
紡糸電極50は、溶液槽30内で溶液槽30の軸線L1に沿って延びるらせん形状(コイル形状)である。紡糸電極50は、軸線L1方向から見て円形に巻かれている。紡糸電極50の長さは、溶液槽30の中心軸の長さ(溶液槽30の両端間の軸線L1に沿う長さ)よりも長い。そのため、紡糸電極50は、溶液槽30の中心軸の長さ(溶液槽30の両端間の軸線L1に沿う長さ)と同じ長さとなる構成(直線状の構成)に比べて、紡糸液31との接触面積を大きくすることができる。また、紡糸電極50から紡糸液31への電荷付与効率を向上させることができる。紡糸電極50は、図示は省略するが、例えば、外管33の一端(図4では右端)に設けられた貫通孔を介して電源44に接続された配線に接続されている。
紡糸孔36は、図4に示すように、溶液槽30において、軸線L1を含む平面で紡糸電極50を切断したときにあらわれる頂部51を内側に含む位置(頂部51を囲む位置)に設けられている。例えば、軸線L1を含み上下方向に平行な面で紡糸電極50を切断したときに、頂部51があらわれる。紡糸孔36から頂部51が露出するため、帯電状態となる紡糸液31が紡糸孔36から直接噴射され易くなる。すなわち、紡糸液31が帯電状態で噴出し易くなる。
コレクタ電極17は、図1に示すように、送り出しローラ12と巻き取りローラ15との間に配置されている。コレクタ電極17は、金属等の導電性材料によって形成されている。コレクタ電極17は、捕集部材11の幅方向(図2の左右方向)に延びる平板状に形成されている。コレクタ電極17は、捕集部材11の上面に接触又は接近している。捕集部材11は、コレクタ電極17の紡糸電極50(図4参照)側(ノズルヘッド20側)の面に沿って配置されている。
捕集部材11は、帯状をなし、コレクタ電極17のノズルヘッド20側に配置される。捕集部材11において、幅方向(各図のY軸方向)と直交する方向(各図のX軸方向)を前後方向とする。捕集部材11は、可撓性を有する材料、例えば不織布等の捕集布によって形成されている。捕集部材11は、送り出しローラ12に巻き付けられることにより、ロール13の形態となる。この捕集部材11は、送り出しローラ12及び巻き取りローラ15の間で水平状態にされ、X軸方向に送られつつ、下側の面に繊維集合体14が積層される。繊維集合体14が積層された捕集部材11は、巻き取りローラ15によって巻き取られて、ロール16の形態になる。なお、繊維集合体14の使用に際しては、繊維集合体14の積層された捕集部材11がロール16から引き出されつつ、捕集部材11から繊維集合体14が剥離される。
タンク41,45の内部には、図3に示すように、紡糸液31が貯留されている。タンク41と溶液槽30は、配管42によって接続されている。また、タンク45と溶液槽30は、配管46によって接続されている。
ポンプ43,47は、配管42,46の途中に配置されており、タンク41,45内の紡糸液31を溶液槽30内に供給する。ポンプ43,47は、例えばプランジャポンプであり、紡糸液31の流量を調整可能である。ポンプ43,47は、1つのノズルヘッド20において、供給口61における紡糸液31の流量と、供給口62における紡糸液31の流量が略均一となるように調整される。ポンプ43,47は、ノズルヘッド20の両端側に紡糸液31を供給する供給部に相当する。
電源44は、直流電源によって構成されている。電源44のプラス電極は紡糸電極50に接続され、マイナス電極はコレクタ電極17に接続されている。
続いて、ノズルヘッド20の配置について説明する。図3は、ノズルヘッド20を捕集部材11側から見た平面図である。図3のY軸方向は捕集部材11の幅方向に相当する。紡糸装置10は、複数のノズルヘッド20を備えている。
複数のノズルヘッド20は、各ノズルヘッド20の長手方向を捕集部材11の幅方向に向けて配置されている。複数のノズルヘッド20は、捕集部材11と略平行な面内に配置されている。複数のノズルヘッド20は、紡糸孔36を上方に向けて、捕集部材11の下側に配置されている。複数のノズルヘッド20は、ステージ21に取り付けられてユニット22を構成する。
複数のノズルヘッド20は、各ノズルヘッド20同士が捕集部材11の幅方向に並ぶように配置されている。紡糸装置10は、1つのノズルヘッドが捕集部材11の幅方向を一回横断するように配置されるのではなく、複数に分割された1組のノズルヘッド群が捕集部材11の幅方向を一回横断するように配置される構成である。図3において、捕集部材11の幅方向を一回横断するように配置されたノズルヘッド20の集まりを、ノズルヘッド群20A,20B,20C,20Dとする。捕集部材11の幅方向に並ぶように配置された各ノズルヘッド20について、捕集部材11の幅方向を一回横断するように配置されたノズルヘッド20の集まりを1組とした場合に、全体には複数の組が存在している。本実施形態では、4組のノズルヘッド群20A~20Dが存在している。各ノズルヘッド群20A~20Dは、捕集部材11の前後方向について、略等間隔に並んで配置されている。
複数のノズルヘッド20は、捕集部材11の幅方向中央部に対して両側に配置されている。具体的には、8つのノズルヘッド20のうち4つのノズルヘッド20は、捕集部材11の幅方向の一方側(図3の上側)に配置されている。8つのノズルヘッド20のうち4つのノズルヘッド20は、捕集部材11の幅方向の他方側(図3の下側)に配置されている。この構成によれば、繊維集合体14を幅方向中央部で折り曲げて使用する場合に、繊維集合体14において、図3の上側のノズルヘッド20と図3の下側のノズルヘッド20との隙間に重なり、目付むらを生じやすい部位を折り曲げ位置とすることができる。
捕集部材11の幅方向に並ぶように配置された各ノズルヘッド20同士は、捕集部材11の前後方向(X軸方向)に所定間隔ずれて配置されている。各ノズルヘッド20がX軸方向にずれる間隔は特に限定されないが、例えば、ノズルヘッド20の外径以上、かつ30mm以下である。複数のノズルヘッド20は、千鳥配置されている。具体的には、図3の上側に配置されたノズルヘッド20と、図3の下側に配置されたノズルヘッド20は、互い違いに配置されている。
(繊維集合体の製造方法)
図1、図2を用いて繊維集合体14の製造方法について説明する。紡糸装置10を動作させ、捕集部材11を、コレクタ電極17の下面に接触または接近した状態で、送り出しローラ12から巻き取りローラ15に向けて一定速度で送る。また、ポンプ43,47を動作させ、ノズルヘッド20の両端側に紡糸液31を供給する。具体的には、タンク41,45内の紡糸液31を、図4に示す矢印のように、供給口61,62から内管32内に供給する。内管32内に供給された紡糸液31は、内管32の内孔37から貯留空間35に流入し、貯留空間35に充填される。これにより、紡糸液31が紡糸電極50に均一に塗布される。
図1、図2を用いて繊維集合体14の製造方法について説明する。紡糸装置10を動作させ、捕集部材11を、コレクタ電極17の下面に接触または接近した状態で、送り出しローラ12から巻き取りローラ15に向けて一定速度で送る。また、ポンプ43,47を動作させ、ノズルヘッド20の両端側に紡糸液31を供給する。具体的には、タンク41,45内の紡糸液31を、図4に示す矢印のように、供給口61,62から内管32内に供給する。内管32内に供給された紡糸液31は、内管32の内孔37から貯留空間35に流入し、貯留空間35に充填される。これにより、紡糸液31が紡糸電極50に均一に塗布される。
さらに、紡糸電極50とコレクタ電極17との間に電圧を印加する。詳細には、紡糸電極50をプラス電極とし、コレクタ電極17をマイナス電極として、両電極間に電源44から電圧を印加する。これにより、溶液槽30内の紡糸液31の全体がプラスに帯電される。紡糸電極50の周りの帯電の分布は、周方向に均一となるように紡糸液31を帯電させる。
ノズルヘッド20における複数の紡糸孔36の各々から紡糸液31を噴射させる。紡糸孔36において露出している紡糸液31の表面には、電荷が誘発され蓄積されている。この電荷は、互いに反発し合い、その反発力は紡糸液31の表面張力に対抗する。紡糸液31は、コレクタ電極17に向かう電気力線に沿って作用する静電気力(クーロン力)により吸引される。静電気力が紡糸液31の表面張力に打ち勝つと、帯電した紡糸液31が複数の紡糸孔36から噴出し始める。そして、帯電した紡糸液31のジェット38が複数の紡糸孔36から一斉に、コレクタ電極17に向けてそれぞれ噴射される。
本実施形態では、ノズルヘッド20を、ノズルヘッド20の長手方向(図3の白抜き矢印の方向)に往復移動させつつ、複数の紡糸孔36から紡糸液31を噴射させる。往復移動の幅は、複数の紡糸孔36の間隔の100%以上200%以下の幅であることが好ましく、例えば、10mm以上20mm以下である。ユニット22全体を図3の白抜き矢印の方向に往復移動することによって、複数のノズルヘッド20を同じ態様で往復移動させることができる。
コレクタ電極17に向けて噴射された繊維を分裂させ、捕集部材11により、繊維集合体14として捕集する。各ジェット38の表面積が体積に比較して大きいため、ジェット38中の溶媒が効率良く蒸発する。また、この蒸発によりジェットの体積が減少し、電荷密度がより高くなる。そのため、帯電した紡糸液31の反発力が増して、各ジェット38がさらに細いジェットへ分裂していく。そして、このような過程を経ながら、極細繊維が紡糸されるとともに、極細繊維からなる繊維集合体14が捕集部材11の下側の面に捕集される。
(作用効果)
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態の紡糸装置10は、複数のノズルヘッド20が、各ノズルヘッド20の長手方向を捕集部材11の幅方向に向け、かつ、各ノズルヘッド20同士が捕集部材11の幅方向に並ぶように配置されている。このような構成によれば、1つのノズルヘッドが捕集部材11の幅方向を一回横断するように配置された構成に比して、紡糸孔36毎の吐出量を均一にできる。このため、繊維集合体14の目付けを均一にできる。
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態の紡糸装置10は、複数のノズルヘッド20が、各ノズルヘッド20の長手方向を捕集部材11の幅方向に向け、かつ、各ノズルヘッド20同士が捕集部材11の幅方向に並ぶように配置されている。このような構成によれば、1つのノズルヘッドが捕集部材11の幅方向を一回横断するように配置された構成に比して、紡糸孔36毎の吐出量を均一にできる。このため、繊維集合体14の目付けを均一にできる。
以下、実証実験によって具体的に説明する。まず、1つのノズルヘッドを捕集部材11の幅方向に向けて配置して、捕集部材11を一回横断できるような比較例のノズルヘッドを準備した。次に、2つのノズルヘッド20を捕集部材11の幅方向に並べて配置して、捕集部材11を一回横断できるような実施例のノズルヘッド20を準備した。実施例のノズルヘッド20の長さは、比較例のノズルヘッドの長さの半分程度である。比較例のノズルヘッドと実施例のノズルヘッド20の両端側に紡糸液31を供給して、各紡糸孔36からの紡糸液31の吐出量を測定した。紡糸液31の供給量は、各紡糸孔36からの吐出量を平均した場合に、紡糸に適した量になるように調整した。比較例のノズルヘッドと実施例のノズルヘッド20は、いずれも、最も端側に位置する紡糸孔36からの吐出量が最大であり、中央に位置する紡糸孔36からの吐出量が最小であった。実施例のノズルヘッド20における紡糸液31の吐出量の最大値と最小値の差は、比較例のノズルヘッドにおける紡糸液31の吐出量の最大値と最小値の差よりも小さかった。このように、各ノズルヘッド20同士が捕集部材11の幅方向に並ぶように配置される構成によれば、紡糸孔36毎の吐出量を均一にできることがわかった。これは、ノズルヘッド20を短くすることによって、各紡糸孔36に向かう紡糸液31の圧力欠損のばらつきを抑制できたためと推測される。
本実施形態の紡糸装置10は、捕集部材11の幅方向に並ぶように配置された各ノズルヘッド20同士は、捕集部材11の前後方向に所定間隔ずれて配置されている。さらに、複数のノズルヘッド20は、千鳥配置とされている。この構成によれば、捕集部材11の幅方向に並んだノズルヘッド20同士が干渉しにくい。また、ノズルヘッド20に接続される配管42,46等の取り回しが容易である。
本実施形態の紡糸装置10は、捕集部材11の幅方向に並ぶように配置された各ノズルヘッド20について、捕集部材11の幅方向を一回横断するように配置されたノズルヘッド20の集まりを1組とした場合に、全体には複数の組が存在している。この構成によれば、各組のノズルヘッド20で紡糸された繊維が積層されることによって、繊維集合体14の目地むらを抑制できる。
本実施形態の紡糸装置10は、ノズルヘッド20の両端側に紡糸液31を供給するポンプ43,47を備える。このため、ノズルヘッドの一端側のみから紡糸液31を供給する構成に比して、より一層、紡糸孔36毎の吐出量を均一にできる。
<他の実施形態>
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施の形態も技術的範囲に含まれる。
(1)ノズルユニットは、円筒状以外にも、角筒状などであってもよい。ノズルヘッドの数及び配置も適宜変更可能である。例えば、ノズルヘッドは、図3のX軸方向について、1つのみ配置されていてもよい。ノズルヘッドは、図3のY軸方向について、3つ以上配置されていてもよい。
(2)複数のノズルヘッドがY軸方向に並んで配置されている構成において、各ノズルヘッドが次のように配置されていてもよい。図3のY軸方向に隣り合うノズルヘッド同士について、最も相手側に位置する紡糸孔同士の間隔が、Y軸方向について、各ノズルヘッドにおける紡糸孔の間隔と略同じであってもよい。この構成によれば、繊維集合体において、Y軸方向に隣り合うノズルヘッドの隙間に重なる部位において、紡糸される繊維集合体の目付むらが生じ難い。また、Y軸方向に隣り合うノズルヘッドは、X軸方向について、互いの紡糸孔が重なっていなければ、互いの溶液槽が一部重なっていてもよい。また、Y軸方向に隣り合うノズルヘッドは、配管等の取り回しができればX軸方向にずれていなくてもよい。すなわち、Y軸方向に隣り合うノズルヘッドは、X軸方向の位置を揃えて配置されていてもよい。
(3)複数の紡糸孔は、軸線L1の両側にジグザグ状に配列されていてもよい。紡糸孔のピッチは一定でなくてもよい。紡糸電極のらせん形状のピッチも一定でなくてもよいが、紡糸孔のピッチと整合しているとよい。内管の孔の大きさ、位置、及びピッチも適宜変更可能である。
(4)供給口の形状、大きさ、及び位置は適宜変更可能である。供給口は、ノズルヘッドの両端部において、ノズルヘッドの側面に開口していてもよい。また、ノズルヘッドの両端部に設けられた供給口には、1つのポンプから紡糸液がそれぞれ供給されてもよい。また、供給口は、ノズルヘッドの一端側のみに設けられてもよい。
(5)内管と外管の間の貯留空間には、多孔体が充填されてもよい。このような構成によれば、多孔体が内管の内孔から外管の紡糸孔に向かう紡糸液の流れの抵抗となる。そのため、各紡糸孔に向かう紡糸液の圧力欠損のばらつきを抑制できる。
(6)紡糸方法は、複数の紡糸孔の各々から紡糸液を噴射させる際に、ノズルヘッドを往復移動させなくてもよい。
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施の形態も技術的範囲に含まれる。
(1)ノズルユニットは、円筒状以外にも、角筒状などであってもよい。ノズルヘッドの数及び配置も適宜変更可能である。例えば、ノズルヘッドは、図3のX軸方向について、1つのみ配置されていてもよい。ノズルヘッドは、図3のY軸方向について、3つ以上配置されていてもよい。
(2)複数のノズルヘッドがY軸方向に並んで配置されている構成において、各ノズルヘッドが次のように配置されていてもよい。図3のY軸方向に隣り合うノズルヘッド同士について、最も相手側に位置する紡糸孔同士の間隔が、Y軸方向について、各ノズルヘッドにおける紡糸孔の間隔と略同じであってもよい。この構成によれば、繊維集合体において、Y軸方向に隣り合うノズルヘッドの隙間に重なる部位において、紡糸される繊維集合体の目付むらが生じ難い。また、Y軸方向に隣り合うノズルヘッドは、X軸方向について、互いの紡糸孔が重なっていなければ、互いの溶液槽が一部重なっていてもよい。また、Y軸方向に隣り合うノズルヘッドは、配管等の取り回しができればX軸方向にずれていなくてもよい。すなわち、Y軸方向に隣り合うノズルヘッドは、X軸方向の位置を揃えて配置されていてもよい。
(3)複数の紡糸孔は、軸線L1の両側にジグザグ状に配列されていてもよい。紡糸孔のピッチは一定でなくてもよい。紡糸電極のらせん形状のピッチも一定でなくてもよいが、紡糸孔のピッチと整合しているとよい。内管の孔の大きさ、位置、及びピッチも適宜変更可能である。
(4)供給口の形状、大きさ、及び位置は適宜変更可能である。供給口は、ノズルヘッドの両端部において、ノズルヘッドの側面に開口していてもよい。また、ノズルヘッドの両端部に設けられた供給口には、1つのポンプから紡糸液がそれぞれ供給されてもよい。また、供給口は、ノズルヘッドの一端側のみに設けられてもよい。
(5)内管と外管の間の貯留空間には、多孔体が充填されてもよい。このような構成によれば、多孔体が内管の内孔から外管の紡糸孔に向かう紡糸液の流れの抵抗となる。そのため、各紡糸孔に向かう紡糸液の圧力欠損のばらつきを抑制できる。
(6)紡糸方法は、複数の紡糸孔の各々から紡糸液を噴射させる際に、ノズルヘッドを往復移動させなくてもよい。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または本質から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施形態を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
10…紡糸装置
11…捕集部材
14…繊維集合体
17…コレクタ電極
20…ノズルヘッド
31…紡糸液
36…紡糸孔
43,47…ポンプ(供給部)
50…紡糸電極
61,62…供給口
11…捕集部材
14…繊維集合体
17…コレクタ電極
20…ノズルヘッド
31…紡糸液
36…紡糸孔
43,47…ポンプ(供給部)
50…紡糸電極
61,62…供給口
Claims (5)
- 内部に紡糸電極が配置されるとともに、内部に紡糸液が充填され、複数の紡糸孔が所定間隔で形成されている、筒状のノズルヘッドと、
前記ノズルヘッドから離れた箇所に配置されるコレクタ電極と、
前記コレクタ電極の前記ノズルヘッド側に配置される帯状の捕集部材と、を備え、
前記紡糸電極及び前記コレクタ電極の間に電圧が印加されることにより、帯電した前記紡糸液のジェットが前記コレクタ電極に向けて噴射されて、前記捕集部材により、繊維集合体として捕集される紡糸装置であって、
前記ノズルヘッドは、複数であり、
複数の前記ノズルヘッドは、各前記ノズルヘッドの長手方向を前記捕集部材の幅方向に向け、かつ、各前記ノズルヘッド同士が前記捕集部材の幅方向に並ぶように配置された、紡糸装置。 - 前記捕集部材の幅方向に並ぶように配置された各前記ノズルヘッド同士は、前記捕集部材の前後方向に所定間隔ずれて配置されている、請求項1に記載の紡糸装置。
- 前記捕集部材の幅方向に並ぶように配置された各前記ノズルヘッドについて、前記捕集部材の幅方向を一回横断するように配置された前記ノズルヘッドの集まりを1組とした場合に、全体には複数の組が存在している、請求項1又は請求項2に記載の紡糸装置。
- 複数の前記ノズルヘッドは、千鳥配置とされている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の紡糸装置。
- 前記ノズルヘッドの両端側に前記紡糸液を供給する供給部を備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の紡糸装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021187650A JP2023074631A (ja) | 2021-11-18 | 2021-11-18 | 紡糸装置 |
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ID=86541343
Family Applications (1)
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JP2021187650A Pending JP2023074631A (ja) | 2021-11-18 | 2021-11-18 | 紡糸装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2023074631A (ja) |
-
2021
- 2021-11-18 JP JP2021187650A patent/JP2023074631A/ja active Pending
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