JP2022033607A - シリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法 - Google Patents

シリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シリコン単結晶基板中に導入される水素の濃度を簡便に高感度で評価することができる方法を提供すること。【解決手段】シリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法であって、対象とするシリコン単結晶基板を準備するステップと、前記対象とするシリコン単結晶基板に対して、キャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を測定することにより、前記対象とするシリコン単結晶基板中の水素濃度を評価するステップとを含むことを特徴とするシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法。【選択図】図1

Description

本発明は、シリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法に関する。
半導体デバイス用基板として、シリコン単結晶基板が広く用いられている。そのシリコン単結晶基板の製造工程や半導体デバイスの製造工程における様々な工程(例えば、洗浄工程、化学エッチング工程、プラズマエッチング工程、スパッタリング工程など)で、シリコン単結晶基板中に水素が導入されることが知られている。
シリコン単結晶基板中に導入された水素は、予め含まれているドーパントを不活性化したり、予め含まれている軽元素不純物である炭素や酸素と反応してドナーを形成したり、表面や界面のダングリングボンドと結合してそれらの電子状態を変化させたりする。このようなことにより、シリコン単結晶基板中に水素が導入されると半導体デバイスの電気特性に影響を及ぼすことから、シリコン単結晶基板中に導入される水素濃度の評価が重要となる。
シリコン単結晶基板中の水素濃度を測定する方法として、二次イオン質量分析法(SIMS)が挙げられる。SIMSでは、真空中で試料表面に一次イオンを照射することによって試料から放出された二次イオンを質量分析することにより、試料中に含まれる元素の種類と濃度を測定する。また、SIMSでは、一次イオンによる試料表面のスパッタリングを利用して、元素の深さ方向分布の測定が可能である。SIMSにより水素濃度の深さ方向における分布を測定する場合、水素濃度の検出下限は1×1016atoms/cm程度である。
また、特許文献1では、既知の水素濃度の水素ドープ結晶と被測定用シリコン結晶とを同一条件で熱処理してサーマルドナーを生成し、これらの結晶間でサーマルドナー濃度を比較して、被測定用シリコン結晶とドナー濃度が等しい水素ドープ結晶の水素濃度を、被測定用シリコン結晶の水素濃度の測定値とする方法が開示されている。
特開平07-066256号公報
上述したように、シリコン単結晶基板中に導入された水素は半導体デバイスの電気特性に影響を及ぼすことから、様々な工程で導入される水素濃度を評価することが重要である。
しかしながら、上述した従来技術の二次イオン質量分析法は、水素濃度に対する感度が低いという問題があった。
また、特許文献1の技術では、水素ドープ結晶の準備やサーマルドナーを生成するための熱処理に手間とコストがかかるという問題があった。また、熱処理によりサーマルドナーを生成するためには、水素ドープ結晶と被測定用シリコン結晶が酸素を高濃度に含んでいる必要があり、シリコン結晶の仕様が限定されるという問題があった。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、シリコン単結晶基板中に導入される水素の濃度を簡便に高感度で評価することができる方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、シリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法であって、
対象とするシリコン単結晶基板を準備するステップと、
前記対象とするシリコン単結晶基板に対して、キャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を測定することにより、前記対象とするシリコン単結晶基板中の水素濃度を評価するステップと
を含むことを特徴とするシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法を提供する。
シリコン単結晶基板の製造工程で導入された水素は、熱処理等を追加しなくてもドーパントを不活性化したりドナーを生成したりするため、シリコン単結晶基板中の水素が導入された領域においてキャリア濃度が変化する。このことから、上記のようにして、対象とするシリコン単結晶基板に対してキャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を測定することにより、製品のシリコン単結晶基板中の水素濃度や評価対象の水素導入工程において導入される水素濃度を簡便に高感度で評価することができる。
このとき、水素濃度を評価するステップでは、前記測定したキャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を、前記対象とするシリコン単結晶基板中の水素濃度の分布として評価することができる。
このように、本発明のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法では、測定したキャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を、対象とするシリコン単結晶基板中の水素濃度の分布としてそのまま評価することができる。
このとき、前記対象とするシリコン単結晶基板として、ドーパント濃度が1×1014atoms/cm以下のシリコン単結晶基板を準備することが好ましく、ドーパント濃度が7×1012atoms/cm以下のシリコン単結晶基板を準備することがより好ましい。
このように、対象とするシリコン単結晶基板のドーパント濃度が1×1014atoms/cm以下、より好ましくは7×1012atoms/cm以下であれば、シリコン単結晶基板に予め含まれているドーパントの濃度が低いので、製造工程で導入される水素によるキャリア濃度の変化を高感度に評価することができ、結果として、製造工程で導入される水素濃度を高感度に評価することができる。
このとき、前記対象とするシリコン単結晶基板を準備するステップは、
シリコン単結晶基板を準備するサブステップと、
前記準備したシリコン単結晶基板に対し、水素以外の雰囲気下で250℃以上の熱処理を施すことにより、前記準備したシリコン単結晶基板に含まれている水素を除去するサブステップと、
前記熱処理を施したシリコン単結晶基板に水素が導入されるサブステップと
を含み、
前記対象とするシリコン単結晶基板を準備することができる。
シリコン単結晶基板に水素以外の雰囲気により250℃以上の熱処理を施すことにより、シリコン単結晶基板に予め含まれている水素を効果的に拡散させて除去することができるので、その後に施される水素が導入されるサブステップのみで導入される水素を高感度に評価することができる。
また、このとき、前記水素が導入されるサブステップは、洗浄工程、化学エッチング工程、プラズマエッチング工程、スパッタリング工程のいずれか1つ以上の工程を含むことができる。
シリコン単結晶基板にこれらの工程が施されると、シリコン単結晶基板中に水素が導入され得るので、これらの工程で導入される水素の濃度を高感度に評価することができる。
またこのとき、前記準備するシリコン単結晶基板として、導電型がP型であるものを準備することができる。
シリコン単結晶基板の導電型がP型であれば、製造工程で該シリコン単結晶基板に導入される水素によるキャリア濃度の変化を高感度に評価することができ、結果として、製造工程で導入される水素濃度を高感度に評価することができる。
前記水素濃度を評価するステップにおいて、拡がり抵抗測定法を用いて、前記キャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を測定することができる。
キャリア濃度の変化量の深さ方向における分布の測定は、例えば、一般的に用いられている拡がり抵抗測定法を用いることができる。このように、一般的に用いられている測定法によりキャリア濃度の変化量を簡便に高感度で評価できることから、シリコン単結晶基板中の水素濃度を簡便に高感度で評価することができる。
以上のように、本発明のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法によれば、製品のシリコン単結晶基板や、評価対象の水素が導入される工程を施した後のシリコン単結晶基板に対し、シリコン単結晶基板中のキャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を測定することにより、製品のシリコン単結晶基板や評価対象の工程で導入されたシリコン単結晶基板の水素濃度を評価するので、水素濃度に対する感度が低かったり、手間やコストがかかる従来技術に比べて、簡便に高感度で水素濃度を評価することができる。すなわち、本発明によれば、シリコン単結晶基板中に導入される水素の濃度を簡便に高感度で評価できる方法を提供することができる。
このように、本発明により水素濃度を簡便に高感度で評価することにより、製品のシリコン単結晶基板や半導体デバイスの製造における各工程で導入される水素濃度を定量的に評価することができ、また、工程条件を変えた場合の導入される水素濃度の変化を定量的に評価できるので、半導体デバイスの電気特性の劣化防止や向上のために各工程で導入される水素濃度を制御する場合に有効である。
本発明のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法のフローを示す図である。 本発明のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法の一例のフローを示す図である。 実施例1において測定した抵抗率の深さ方向における分布を示す図である。 実施例1において測定したキャリア濃度の深さ方向における分布を示す図である。 実施例1において測定したキャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を示す図である。 実施例2において測定した抵抗率の深さ方向における分布を示す図である。 実施例2において測定したキャリア濃度の深さ方向における分布を示す図である。 実施例2において測定したキャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を示す図である。 実施例3において測定した抵抗率の深さ方向における分布を示す図である。 実施例3において測定したキャリア濃度の深さ方向における分布を示す図である。 実施例3において測定したキャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を示す図である。 実施例4において測定した抵抗率の深さ方向における分布を示す図である。 実施例4において測定したキャリア濃度の深さ方向における分布を示す図である。 実施例4において測定したキャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を示す図である。 比較例において測定した水素濃度の深さ方向における分布を示す図である。
前述したように、従来技術では、水素濃度に対する感度が低いという問題や、水素ドープ結晶の準備や熱処理によりサーマルドナーを生成する必要があり手間やコストがかかるという問題があった。
そのため、シリコン単結晶基板中に導入される水素の濃度を簡便に高感度で評価できる方法の開発が求められていた。
そこで、本発明者は、シリコン単結晶基板中の水素濃度をより簡便に高感度で評価できる方法に関して鋭意検討を重ねたところ、シリコン単結晶基板に対して、キャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を測定することにより、該シリコン単結晶基板中の水素濃度を評価すれば、製造工程で導入され得る水素の濃度を従来の評価方法よりも簡便に高感度で評価することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、シリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法であって、
対象とするシリコン単結晶基板を準備するステップと、
前記対象とするシリコン単結晶基板に対して、キャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を測定することにより、前記対象とするシリコン単結晶基板中の水素濃度を評価するステップと
を含むことを特徴とするシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法である。
以下、図1を参照しながら、本発明のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法をより具体的に説明する。
本発明のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法は、図1に示すように、対象とするシリコン単結晶基板を準備するステップS1と、対象とするシリコン単結晶基板中の水素濃度を評価するステップS2とを含む。以下、各ステップをより詳細に説明する。
[対象とするシリコン単結晶基板を準備するステップS1]
まず、対象とするシリコン単結晶基板を準備するステップ(第1のステップ、図1のS1)を行う。対象とするシリコン単結晶基板を準備する方法は、本発明において特に限定されない。例えば、フローティングゾーン法(FZ法)やチョクラルスキー法(CZ法)により育成されたシリコン単結晶からシリコンウェーハを切り出し、切断ダメージを取り除くためにシリコンウェーハに化学的エッチング処理を行なった後、機械的化学的研磨を行うことにより、対象とするシリコン単結晶基板を準備できる。
対象とするシリコン単結晶基板を準備するステップS1は、例えば図2に示すサブステップS、S及びSを含んでも良い。以下、各サブステップを説明する。
まず、シリコン単結晶基板を準備するサブステップSを行う。ここでのシリコン単結晶基板は、例えば先に説明した方法で準備することができる。
次に、先に準備したシリコン単結晶基板に対し、水素以外の雰囲気下で250℃以上の熱処理を施すことにより、準備したシリコン単結晶基板に含まれている水素を除去するサブステップSを行う。
熱処理温度の上限は、本発明において特に限定されないが、400℃以下とすることができる。熱処理温度を400℃以下とすることにより、準備したシリコン単結晶基板が酸素を高濃度に含んでいる場合でも、サーマルドナーや酸素析出物の発生を抑制することができ、また、熱処理温度が高温になるほど顕著になる金属汚染を抑制することができる。
熱処理の時間は、例えば、10分以上60分以下とすることができる。熱処理時間は、例えば10分以上60分以下とすることにより、シリコン単結晶基板に予め含まれている水素を効果的に拡散させて除去することができ、また、熱処理時間が長くなり効率的でなくなることを避けることができる。
また、熱処理の雰囲気は、水素を意図的に含ませた雰囲気でなければ良く、例えば、大気とすることができ、また、窒素、アルゴン、又はそれらの混合ガスなどとすることもできる。シリコン単結晶基板に厚い酸化膜等が形成されている場合は、熱処理の前にフッ酸処理などにより膜を除去することもできる。
このように、準備したシリコン単結晶基板に水素以外の雰囲気下で250℃以上の熱処理を施すことにより、準備したシリコン単結晶基板に予め含まれている水素を拡散させて除去することができる。このことにより、準備したシリコン単結晶基板に予め含まれている水素の影響を受けずに、その後のサブステップSのみで導入される水素の濃度を簡便で高感度に評価することができる。
次に、先に熱処理を施したシリコン単結晶基板に水素が導入されるサブステップSを行う。
水素が導入されるサブステップSは、続く水素濃度を評価するステップで評価対象とされるサブステップである。
水素が導入されるサブステップSは、特に限定されないが、洗浄工程、化学エッチング工程、プラズマエッチング工程、スパッタリング工程のいずれか1つ以上の工程を含むことができる。
シリコン単結晶基板にこれらの工程が施されると、シリコン単結晶基板中に水素が導入され得るので、これらの工程で導入され得る水素の濃度を高感度に評価することができる。
図2に示した例では、対象とするシリコン単結晶基板を準備するステップS1は、上記サブステップS~Sを含むことにより、対象とするシリコン単結晶基板を準備する。
このように、特定の水素が導入される工程を評価対象として、その工程において導入される水素濃度を評価する場合は、以上に説明したサブステップS~Sを行って、対象とするシリコン単結晶基板を準備することが好ましい。
図2に示した例では、水素を除去するサブステップSにおいてシリコン単結晶基板に熱処理を施してから、水素が導入されるサブステップSにおける評価対象となる工程を施すまでの間に、シリコン単結晶基板に洗浄などの工程を施すことは避けることが好ましい。これは、水素を除去するサブステップSの後、水素が導入されるサブステップS以外の工程によりシリコン単結晶基板に水素が導入されることを避けるためである。
或いは、特定の水素が導入される工程を評価対象として、その工程において導入される水素濃度を評価する場合であっても、対象とするシリコン単結晶基板を準備するステップS1は、上記水素を除去するサブステップSを含まなくても良い。
なお、本発明のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法は、上記のように個別の水素が導入される工程を評価対象とする態様だけではなく、製品のシリコン単結晶基板中の水素濃度を評価する態様も包含する。そのため、対象とするシリコン単結晶基板を準備するステップS1は、上記水素を除去するサブステップS及び上記水素が導入されるサブステップSを含まなくても良い。
[対象とするシリコン単結晶基板中の水素濃度を評価するステップS2]
次に、ステップS1で準備した、対象とするシリコン単結晶基板中の水素濃度を評価するステップS2を行う(第2のステップ)。
以下では、特定の水素が導入される工程を評価対象とする場合、すなわち、図2に示すように、シリコン単結晶基板を準備するサブステップS、水素を除去するサブステップS及び水素が導入されるサブステップSを含むステップS1で対象とするシリコン単結晶基板を準備した場合の、水素濃度を評価するステップS2について説明する。
先に説明したように、この例では、サブステップSで熱処理が施されたシリコン単結晶基板に対して、評価対象の水素が導入される工程、すなわち水素が導入されるサブステップSを施す。このとき、シリコン単結晶基板の表面から水素が導入されて、導入された水素が、シリコン単結晶基板に予め含まれているドーパントを不活性化したり、新たにドナーを生成したりする。これにより、シリコン単結晶基板の水素が導入された領域においてキャリア濃度が変化する。
この例の水素濃度を評価するステップS2では、水素が導入されるサブステップSの後のシリコン単結晶基板において、キャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を測定する。
キャリア濃度の変化量の測定方法としては、特に限定されず、例えば、拡がり抵抗測定法(SR法)を用いることができる。
例えば、SR法では、試料を斜めに研磨した研磨面に2探針を接触させて、そのプローブ間の拡がり抵抗を測定し、また、プローブ間の電位差の正負で導電型(P型又はN型)を判定し、測定した拡がり抵抗から較正曲線を用いて抵抗率を算出し、さらに、既存の抵抗率とキャリア濃度との関係に基づいて、上記の算出した抵抗率からキャリア濃度を求めることにより、キャリア濃度の深さ方向における分布を得る。
次に、各深さxにおけるキャリア濃度(Nc(x))とマトリックス(キャリア濃度がほぼ一定となる深い領域)におけるキャリア濃度(Nc(Bulk))とから、各深さxにおけるキャリア濃度の変化量(ΔNc(x))を求める。
ここで、水素が導入されるサブステップSの後の各深さにおける導電型が水素が導入されるサブステップSの前の導電型と同じ場合は、各深さxにおけるキャリア濃度(Nc(x))からマトリックスにおけるキャリア濃度(Nc(Bulk))を差し引いた値の絶対値を求め、各深さxにおけるキャリア濃度の変化量(ΔNc(x)=|Nc(x)-Nc(Bulk)|)とする。
また、水素が導入されるサブステップSの後の各深さにおける導電型が水素が導入されるサブステップSの前の導電型と異なる場合は、各深さxにおけるキャリア濃度(Nc(x))とマトリックスにおけるキャリア濃度(Nc(Bulk))を足し合わせた値を求め、各深さxにおけるキャリア濃度の変化量(ΔNc(x)=Nc(x)+Nc(Bulk))とする。
水素が導入されるサブステップSにおいてシリコン単結晶基板にかかる温度が高いと、導入された水素は深い領域まで拡散し、シリコン単結晶基板の深さ方向全体でキャリア濃度が変化する場合がある。そのような場合は、シリコン単結晶基板の水素が導入されるサブステップSの前のキャリア濃度を前記マトリックスにおけるキャリア濃度として、キャリア濃度の変化量を求める。
シリコン単結晶基板中に導入された水素は、シリコン単結晶基板に予め含まれ得るドーパントを不活性化する。また、水素自体がドナーとして働いたり、予め含まれている軽元素と反応してドナーを生成したりする場合もある。このことにより、シリコン単結晶基板中に水素が導入されると、水素が導入された領域のキャリア濃度が変化する。ドーパント1つの不活性化に水素1つが関与し、ドナー1つの生成に水素1つが関与すると考えられる。一方、導入された水素と予め含まれている軽元素が反応して電気的に不活性な複合体が生成される場合もある。
このようなことから、水素が導入されるサブステップSの後に測定したキャリア濃度の変化量は、シリコン単結晶基板中に導入された水素のうち、電気的に活性な浅い準位を不活性化した水素の濃度と浅い準位を生成した水素の濃度とに関係している。
そのため、例えば、水素濃度を評価するステップS2では、測定したキャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を、対象とするシリコン単結晶基板中の水素濃度の分布として、そのまま評価することができる。
サブステップSで水素が導入されるシリコン単結晶基板の導電型がP型の場合は、シリコン単結晶基板中に予め含まれているドーパントが不活性化すると、P型キャリア濃度が減少し、新たにドナーが生成されると、ドナー濃度の増加に伴ってキャリアの補償によりP型キャリア濃度が減少した後にN型キャリア濃度が増加する。このことから、上記の式により求めたキャリア濃度の変化量(ΔNc(x))は、電気的に活性な浅い準位を不活性化した水素の濃度と浅い準位を生成した水素の濃度との和となる。ここで、シリコン単結晶基板に予め含まれているドーパント濃度(マトリックスのキャリア濃度)が低い方が、より少ないキャリア濃度の変化量を検出することができるので、水素濃度をより高感度で評価できる。
一方、サブステップSで水素が導入されるシリコン単結晶基板の導電型がN型の場合は、予め含まれているドーパントが不活性化するとN型キャリア濃度が減少し、新たにドナーが生成されるとN型キャリア濃度が増加する。このことから、上記の式により求めたキャリア濃度の変化量(ΔNc(x))は、電気的に活性な浅い準位を不活性化した水素の濃度と浅い準位を生成した水素の濃度との差となる。そのため、シリコン単結晶基板の導電型がN型の場合、P型の場合と比較すると、導入された水素の濃度を低く評価することになるが、半導体デバイスの電気特性で重要なキャリア濃度の水素の導入による変化量を評価するという点では、このP型とN型との違いは無視することができる。ここで、シリコン単結晶基板に予め含まれているドーパント濃度(マトリックスのキャリア濃度)が低い方が、ドーパントの不活性化によるキャリア濃度の減少の影響を小さくでき、新たに生成されたドナーによるより少ないキャリア濃度の変化量を検出することができるので、水素濃度をより高感度で評価できる。
以上に説明したように、対象とするシリコン単結晶基板に予め含まれているドーパント濃度(マトリックスのキャリア濃度)が低いほど、水素濃度をより高感度で評価できる。例えば、対象とするシリコン単結晶基板として、ドーパント濃度が1×1014atoms/cm以下のシリコン単結晶基板を準備することが好ましく、ドーパント濃度が7×1012atoms/cm以下のシリコン単結晶基板を準備することがより好ましい。
このように、サブステップSで熱処理が施されたシリコン単結晶基板に対して水素が導入されるサブステップSを施して準備した対象とするシリコン単結晶基板に対して、キャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を測定することにより、評価対象の工程で導入された水素の濃度を簡便に高感度で評価することができる。
また、サブステップSで準備するシリコン単結晶基板の導電型がP型であれば、製造工程で導入される水素によるキャリア濃度の変化を高感度に評価することができ、結果として、製造工程で導入される水素濃度を高感度に評価することができる。
先にも述べたが、本発明は、上記のように個別の水素が導入される工程を評価対象とする態様だけではなく、製品のシリコン単結晶基板中の水素濃度を評価する態様も包含する。製品のシリコン単結晶基板中の水素濃度を評価する態様でも、製品のシリコン単結晶基板に対して、先に説明したのと同様の手順で、キャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を測定することにより、製品のシリコン単結晶基板中の水素濃度を高感度に簡便に評価することができる。
そして、本発明の評価方法によれば、対象とするシリコン単結晶基板の水素濃度が、SIMSでは測定できないような低濃度の水素濃度であっても、以下の実施例でも実証するように、簡便に高感度で評価することが可能となる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に示す実施例及び比較例では、水素が導入されるサブステップ(図2のサブステップSに対応)として、シリコン単結晶基板の製造工程や半導体デバイスの製造工程で一般的に用いられているSC-1洗浄(NHOH/H/HO)を行なった後、SC-2洗浄(HCl/H/HO)を行なった。水素が導入されるサブステップSとして上述の洗浄工程を選んだ理由は、洗浄工程で導入される水素の濃度は他のエッチング工程やスパッタリング工程で導入される水素の濃度よりも低いと考えられ、水素濃度に対する感度が低い従来のSIMSによる水素濃度の測定方法と比較し、本発明の効果をより効果的に示すことができるからである。
(実施例1)
実施例1では、以下の手順に従う本発明のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法の例で、シリコン単結晶基板に導入される水素の濃度を評価した。
まず、シリコン単結晶基板を準備するサブステップを行なった。
シリコン単結晶基板としては、CZ法により育成されたシリコン単結晶から作製されたCZシリコン単結晶基板を準備した。準備したシリコン単結晶基板は、直径が200mm、結晶面方位が(100)、導電型がP型(ボロンドープ)、ボロン濃度が約1×1014atoms/cm、酸素濃度が約12ppma(JEIDA)であった。
次に、準備したシリコン単結晶基板に対して、水素が導入されるサブステップを施した。
ここでは、具体的には、水素が導入される工程として、SC-1洗浄(NHOH/H/HO)を約75℃で約8分間行なった後、SC-2洗浄(HCl/H/HO)を約80℃で約2分間行なった。
上記シリコン単結晶基板を準備するサブステップと、上記水素が導入されるサブステップとの両方を行うことにより、対象とするシリコン単結晶基板を準備するステップS1(図1)を行なった。
次に、水素が導入されるサブステップを行なった後のシリコン単結晶基板に対し、以下の手順で、キャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を測定し、シリコン単結晶基板中の水素濃度を評価するステップS2(図1)を行なった。
まず、水素が導入されるサブステップを行なった後のシリコン単結晶基板において、基板表面を角度研磨した。角度研摩したシリコン単結晶基板について、SR測定法により表面から深さ約30μmまでの拡がり抵抗と導電型の深さ方向における分布とを測定した。
次に、測定された各深さにおける拡がり抵抗から抵抗率を求めることにより、図3に示す抵抗率の深さ方向における分布を得た。図3の結果では、いずれの深さにおいても導電型はP型であった。
次に、P型の場合の既知の抵抗率とキャリア濃度との関係に基づいて、上記の算出した抵抗率からキャリア濃度を求めることにより、図4に示すキャリア濃度の深さ方向における分布を得た。図4の結果から、表面から深さ約6μmまでの領域においてキャリア濃度が減少していることがわかる。
次に、図4の結果において、深さ約25~30μmのキャリア濃度の平均値(1.1×1014/cm)をマトリックスにおけるキャリア濃度(Nc(Bulk))として、測定された各深さxにおけるキャリア濃度(Nc(x))からマトリックスにおけるキャリア濃度を差し引いた値の絶対値を求めた。これらの絶対値を、各深さxにおけるキャリア濃度の変化量(ΔNc(x)=|Nc(x)-Nc(Bulk)|)としてプロットし、図5に示す、キャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を得た。
図5の結果から、キャリア濃度の変化量は、表面近傍で約1×1014/cmとなり、深さが深くなるに従って減少し、深さ約6μmで検出下限(約5×1012/cm)となったことが分かった。このことから、本実施例では、電気的に活性な浅い準位を不活性化した水素の濃度と浅い準位を生成した水素の濃度との和が、表面近傍では約1×1014atoms/cmで、この濃度の和は深さが深くなるに従って減少し、深さ約6μmで約5×1012atoms/cmとなる深さ方向における分布になっていることがわかった。
(実施例2)
実施例2では、以下の手順に従う本発明のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法の例で、シリコン単結晶基板に導入される水素の濃度を評価した。
まず、シリコン単結晶基板を準備するサブステップを行なった。
シリコン単結晶基板として、FZ法により育成されたシリコン単結晶から作製されたFZシリコン単結晶基板を準備した。準備したシリコン単結晶基板は、直径が200mm、結晶面方位が(100)、導電型がP型(ボロンドープ)、ボロン濃度が約5×1012atoms/cm、酸素濃度が約0.2ppma(JEIDA)であった。すなわち、実施例2では、ドーパント濃度が実施例1のそれよりも低いシリコン単結晶基板を用いた。
次に、準備したシリコン単結晶基板に対して、水素が導入されるサブステップを実施例1と同様な条件で施した。
上記シリコン単結晶基板を準備するサブステップと、上記水素が導入されるサブステップとの両方を行うことにより、対象とするシリコン単結晶基板を準備するステップS1(図1)を行なった。
次に、水素が導入されるサブステップを行なった後のシリコン単結晶基板に対し、以下の手順で、キャリア濃度の変化量の深さ方向分布を測定し、シリコン単結晶基板中の水素濃度を評価するステップS2(図1)を行なった。
まず、水素が導入されるサブステップを行なった後のシリコン単結晶基板において、基板表面を角度研磨した。角度研摩したシリコン単結晶基板について、SR測定法により表面から深さ約30μmまでの拡がり抵抗と導電型の深さ方向の分布とを測定した。
次に、測定された各深さにおける拡がり抵抗から抵抗率を求めることにより、図6に示す抵抗率の深さ方向における分布を得た。図6の結果では、各深さにおける導電型は、深さ0~約8μmの領域ではN型(図6中の△印)、約8μmより深い領域ではP型(図6中の○印)であった。
次に、各深さにおける導電型の場合の既知の抵抗率とキャリア濃度との関係に基づいて、上記の算出した抵抗率からキャリア濃度を求めることにより、図7に示すキャリア濃度の深さ方向における分布を得た。図7の結果から、深さ約20μmから約8μmにかけてP型キャリア(正孔)濃度(図7中の○印)が減少し、深さ約8μmから表面にかけてN型キャリア(電子)濃度(図7中の△印)が増加していることがわかる。
次に、図7の結果において、深さ約25~30μmのキャリア濃度の平均値(4.5×1012/cm)をマトリックスにおけるキャリア濃度(Nc(Bulk))として、深さ0~約8μmのN型領域では、測定された各深さxにおけるキャリア濃度(Nc(x))とマトリックスにおけるキャリア濃度とを足し合わせた値(ΔNc(x)=Nc(x)+Nc(Bulk))を求めた。また、深さ約8μmより深いP型領域では、測定された各深さxにおけるキャリア濃度(Nc(x))からマトリックスにおけるキャリア濃度から差し引いた値(ΔNc(x)=|Nc(x)-Nc(Bulk)|)の絶対値を求めた。以上のようにして求めた値を、各深さxにおけるキャリア濃度の変化量としてプロットし、図8に示すキャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を得た。
図8中の丸で囲った領域は、PN接合付近の高抵抗化している領域であり、抵抗率の測定精度が低いためにキャリア濃度の変化量が不連続になっている。
図8の結果から、キャリア濃度の変化量は、表面近傍で約2×1013/cmとなり、深さが深くなるに従って減少し、深さ約20μmで検出下限(約1×1011/cm)となったことが分かった。このことから、本実施例では、電気的に活性な浅い準位を不活性化した水素の濃度と浅い準位を生成した水素の濃度との和が、表面近傍では約2×1013atoms/cmで、この濃度の和は深さが深くなるに従って減少し、深さ約20μmで約1×1011atoms/cmとなる深さ方向における分布になっていることがわかった。
また、本実施例2の図8と実施例1の図5との比較から、シリコン単結晶基板に予め含まれているドーパント濃度の低い実施例2の方が水素が導入されるサブステップで導入される水素の濃度をより高感度で評価できることがわかる。
(実施例3)
実施例3では、図2に示すような本発明のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法の例で、シリコン単結晶基板に導入される水素の濃度を評価した。
まず、シリコン単結晶基板に水素以外の雰囲気により250℃以上の熱処理を施すサブステップSを含む、シリコン単結晶基板を準備するステップS1によりシリコン単結晶基板を準備した。
シリコン単結晶基板を準備するサブステップSでは、シリコン単結晶基板として、CZ法により育成されたシリコン単結晶から作製されたCZシリコン単結晶基板を準備した。準備したシリコン単結晶基板は、直径が200mm、結晶面方位が(100)、導電型がP型(ボロンドープ)、ボロン濃度が約5×1012atoms/cm、酸素濃度が約5ppma(JEIDA)であった。
続いて、準備したシリコン単結晶基板に熱処理を施して、準備したシリコン単結晶基板に含まれている水素を除去するサブステップSを行なった。熱処理の温度は250℃、時間は10分、雰囲気は大気とした。
次に、熱処理を施したシリコン単結晶基板に対して、水素が導入されるサブステップSを実施例1と同様な条件で施した。
次に、水素が導入されるサブステップSを行なった後のシリコン単結晶基板に対し、以下の手順で、キャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を測定し、シリコン単結晶基板中の水素濃度を評価するステップS2を行なった。
まず、水素が導入されるサブステップSを行なった後のシリコン単結晶基板において、基板表面を角度研磨した。角度研摩したシリコン単結晶基板について、SR測定法により表面から深さ約30μmまでの拡がり抵抗と導電型の深さ方向における分布を測定した。
次に、測定された各深さにおける拡がり抵抗から抵抗率を求めることにより、図9に示す抵抗率の深さ方向における分布を得た。図9の結果では、いずれの深さにおいても導電型はP型であった。
次に、P型の場合の既知の抵抗率とキャリア濃度との関係に基づいて、上記の算出した抵抗率からキャリア濃度を求めることにより、図10に示すキャリア濃度の深さ方向における分布を得た。図10の結果から、表面から深さ約20μmまでの領域においてキャリア濃度が減少していることがわかる。
次に、図10の結果において、深さ約25~30μmのキャリア濃度の平均値(4.8×1012/cm)をマトリックスにおけるキャリア濃度(Nc(Bulk))として、測定された各深さxにおけるキャリア濃度(Nc(x))からマトリックスにおけるキャリア濃度を差し引いた値の絶対値を求めた。これの絶対値を、各深さxにおけるキャリア濃度の変化量(ΔNc(x)=|Nc(x)-Nc(Bulk)|)としてプロットし、図11に示す、キャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を得た。
図11の結果から、キャリア濃度の変化量は、表面近傍で約2×1012/cmとなり、表面近傍から深さ約6μmまで増加し、その後は深さが深くなるに従って減少し、深さ約20μmで検出下限(約1×1011/cm)となったことが分かった。このことから、本実施例では、電気的に活性な浅い準位を不活性化した水素の濃度と浅い準位を生成した水素の濃度との和が、表面近傍で約2×1012atoms/cmとなり、表面近傍から深さ約6μmまで増加し、その後は深さが深くなるに従って減少し、深さ約20μmで約1×1011atoms/cmとなる深さ方向における分布になっていることがわかった。
(実施例4)
実施例4では、以下の手順に従う本発明のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法の例で、シリコン単結晶基板に導入される水素の濃度を評価した。
まず、シリコン単結晶基板を準備するサブステップを行なった。
シリコン単結晶基板として、CZ法により育成されたシリコン単結晶から作製されたCZシリコン単結晶基板を準備した。準備したシリコン単結晶基板は、直径が200mm、結晶面方位が(100)、導電型がN型(リンドープ)、リン濃度が約7×1012atoms/cm、酸素濃度が約3ppma(JEIDA)であった。
次に、準備したシリコン単結晶基板に対して、水素が導入されるサブステップを実施例1と同様な条件で施した。
上記シリコン単結晶基板を準備するサブステップと、上記水素が導入されるサブステップとの両方を行うことにより、対象とするシリコン単結晶基板を準備するステップS1(図1)を行なった。
次に、水素が導入されるサブステップを行なった後のシリコン単結晶基板に対し、以下の手順で、キャリア濃度の変化量の深さ方向分布を測定し、シリコン単結晶基板中の水素濃度を評価するステップS2(図1)を行なった。
まず、水素が導入されるサブステップを行なった後のシリコン単結晶基板において、基板表面を角度研磨した。角度研摩したシリコン単結晶基板について、SR測定法により表面から深さ約30μmまでの拡がり抵抗と導電型の深さ方向分布を測定した。
次に、測定された各深さにおける拡がり抵抗から抵抗率を求めることにより、図12に示す抵抗率の深さ方向における分布を得た。図12の結果では、いずれの深さにおいても導電型はN型であった。
次に、N型の場合の既知の抵抗率とキャリア濃度との関係に基づいて、上記の算出した抵抗率からキャリア濃度を求めることにより、図13に示すキャリア濃度の深さ方向における分布を得た。図13の結果から、表面から深さ約25μmまでの領域においてキャリア濃度が増加していることがわかる。
次に、図13の結果において、深さ約25~30μmのキャリア濃度の平均値(6.9×1012/cm)をマトリックスにおけるキャリア濃度(Nc(Bulk))として、測定された各深さxにおけるキャリア濃度(Nc(x))からマトリックスにおけるキャリア濃度を差し引いた値の絶対値を求めた。求めた絶対値を、各深さxにおけるキャリア濃度の変化量(ΔNc(x)=|Nc(x)-Nc(Bulk)|)としてプロットし、図14に示すキャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を得た。
図14の結果から、キャリア濃度の変化量は、表面近傍で約5×1012/cmとなり、深さが深くなるに従って減少し、深さ約25μmで検出下限(約1×1011/cm)となったことが分かった。このことから、本実施例では、電気的に活性な浅い準位を不活性化した水素の濃度と浅い準位を生成した水素の濃度の差が、表面近傍では約5×1012atoms/cmで、この濃度の差は深さが深くなるに従って減少し、深さ約25μmで約1×1011atoms/cmとなる深さ方向における分布になっていることがわかった。
以上の実施例のように、本発明のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法は、シリコン単結晶基板や半導体デバイスの製造に用いられる例えば洗浄工程で導入される水素濃度を定量的に評価することができ、また、工程条件を変えた場合の導入される水素濃度の変化を定量的に評価できるので、半導体デバイスの電気特性の劣化防止や向上のために各工程で導入される水素濃度を制御する場合に有効である。
また、以上の実施例で示したように、本発明のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法における水素濃度の検出下限は、上記実施例において準備した対象とするシリコン単結晶基板に予め含まれているドーパント濃度の少なくとも1/20以下となる。従って、シリコン単結晶基板に予め含まれているドーパント濃度を少なくとも2×1017atoms/cm以下とすれば、従来技術の検出下限が約1×1016atoms/cmであるSIMSよりも高感度で水素濃度を評価することができる。
また、実施例で示した洗浄工程のように、導入される水素の濃度が低い場合は、シリコン単結晶基板のドーパント濃度が1×1014atoms/cm以下であることが好ましく、ドーパント濃度が7×1012atoms/cm以下であることがより好ましい。
(比較例)
比較例では、図1に示すような本発明のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法を用いずに、従来技術であるSIMSにより水素濃度を評価した。
まず、FZ法により育成されたシリコン単結晶から作製されたFZシリコン単結晶基板を準備した。準備したFZシリコン単結晶基板の直径は200mm、結晶面方位は(100)、導電型はP型(ボロンドープ)、ボロン濃度は約5×1012atoms/cm、酸素濃度は約0.2ppma(JEIDA)であった。すなわち、実施例2で準備したのと同様のシリコン単結晶基板を準備した。
次に、準備したシリコン単結晶基板に対して、実施例1と同様な条件で水素が導入されるサブステップを施した。
次に、水素が導入されるサブステップを施したシリコン単結晶基板に対して、表面から深さ約30μmまでの水素濃度の深さ方向における分布をSIMSにより測定した。その結果を図15に示す。
図15の結果から、いずれの深さにおいても水素濃度は検出下限(約1×1016atoms/cm)となり、水素が導入されるサブステップで導入された水素の濃度を評価することができなかった。
以上、詳述したように、比較例では、本発明のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法を用いず、検出下限が約1×1016atoms/cmであったため、水素が導入されるサブステップで導入された水素の濃度を評価できなかった。
一方、本発明のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法を用いた実施例1~4では、水素が導入されるサブステップで導入された水素の濃度を簡便に高感度で評価することができた。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (8)

  1. シリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法であって、
    対象とするシリコン単結晶基板を準備するステップと、
    前記対象とするシリコン単結晶基板に対して、キャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を測定することにより、前記対象とするシリコン単結晶基板中の水素濃度を評価するステップと
    を含むことを特徴とするシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法。
  2. 前記水素濃度を評価するステップでは、前記測定したキャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を、前記対象とするシリコン単結晶基板中の水素濃度の分布として評価することを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法。
  3. 前記対象とするシリコン単結晶基板として、ドーパント濃度が1×1014atoms/cm以下のシリコン単結晶基板を準備することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法。
  4. 前記対象とするシリコン単結晶基板として、ドーパント濃度が7×1012atoms/cm以下のシリコン単結晶基板を準備することを特徴とする請求項3に記載のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法。
  5. 前記対象とするシリコン単結晶基板を準備するステップは、
    シリコン単結晶基板を準備するサブステップと、
    前記準備したシリコン単結晶基板に対し、水素以外の雰囲気下で250℃以上の熱処理を施すことにより、前記準備したシリコン単結晶基板に含まれている水素を除去するサブステップと、
    前記熱処理を施したシリコン単結晶基板に水素が導入されるサブステップと
    を含み、
    前記対象とするシリコン単結晶基板を準備することを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法。
  6. 前記水素が導入されるサブステップは、洗浄工程、化学エッチング工程、プラズマエッチング工程、スパッタリング工程のいずれか1つ以上の工程を含むことを特徴とする請求項5に記載のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法。
  7. 前記準備するシリコン単結晶基板として、導電型がP型であるものを準備することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法。
  8. 前記水素濃度を評価するステップにおいて、拡がり抵抗測定法を用いて、前記キャリア濃度の変化量の深さ方向における分布を測定することを特徴とする請求項1~請求項7に記載のシリコン単結晶基板中の水素濃度の評価方法。
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