JP2022033456A - 走査型検査装置、走査型検査装置の制御方法、及びプログラム - Google Patents

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誠 福原
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Abstract

【課題】走査型眼科装置において、良好な疑似カラー眼底画像を生成する。【解決手段】レーザ光で被検眼上を走査する走査線であって、1フレームの画像を構成するための複数の走査線を複数の走査線セットに分けて得られる走査線セットの内の一の走査線セットを第1の波長域のレーザ光で走査した後に、光出力部が出射するレーザ光の波長域を切替えて第2の波長域のレーザ光が出射されるように光出力部を制御可能とし、第1の波長域のレーザ光で一の走査線セットを走査した後に波長域が切替えられた場合に、第2の波長域のレーザ光で一の走査線セットを走査するように光走査部を制御し、第1の波長域のレーザ光の被検査物からの反射光を用いて取得した第1の画像と、第2の波長域のレーザ光の被検査物からの反射光を用いて取得した第2の画像とを用いて1フレームの疑似カラー画像を生成する。【選択図】図5

Description

本発明は、走査型検査装置、走査型検査装置の制御方法、及びプログラムに関する。
現在、レーザ光を走査して被検査物を撮影する走査型レーザ検眼鏡(SLO:Scanning Laser Ophthalmoscope)を用いた装置(以下、SLO装置と記す)が実用化されている。SLO装置は眼科の分野において好適に使用され、例えば被検眼の眼底表面の画像を高解像度で撮影することができる。SLO装置において、光源から出射されたレーザ光は、ガルバノミラー等により被検眼上を走査するように照射される。被検眼からの反射光は、穴開きミラー等によりレーザ光の光路と分離され、受光素子へ導かれる。受光素子で反射光の強度を検出することによって、被検眼眼底の二次元表面画像を得ることができる。
SLO装置において、眼底のカラー画像を得る方法が特許文献1に開示されている。この方法では、それぞれ単色のレーザ光を発する赤色レーザ光源、緑色レーザ光源、及び青色レーザ光源を設けている。そして、発光させるレーザ光源をフレーム毎に切替えて、被検眼上を走査するように各レーザ光を単独で照射し、該被検眼からの反射光を赤色レーザ光、緑色レーザ光、青色レーザ光毎に受光する。これにより、赤色静止画像、緑色静止画像、及び青色静止画像の各々を1フレームずつ順番に取得できる。そして、これら静止画像を合成(重ね合わせ)することで、疑似カラー画像を得ている。また、静止画像を合成する際には、各画像の特徴点を画像処理によって抽出し、特徴点の位置が一致するように補正処理を行うことにより、各静止画像間の位置ずれを補正している。
特開2009-219644号公報
人の眼は、固視していても、3種類の眼球運動(トレモア、ドリフト、マイクロサッケード)により常に動いていることが一般的に知られている。特に、眼球運動に障害のある人の眼球運動による固視の変動は激しい。特許文献1に開示されている疑似カラー画像の生成方法の場合、1フレームの間又はフレームにまたがって被検眼が動いてしまうと、赤色静止画像、緑色静止画像、及び青色静止画像それぞれの撮影位置が変わり、各色画像間で大きな位置ずれが発生してしまう。このような場合、上述した静止画像間の位置ずれ補正は容易ではなく、良好な疑似カラー画像は容易に作成できなくなる。
本発明は、上記課題を鑑みたものであって、より良好な疑似カラー画像を生成することが可能な走査型検査装置、走査型検査装置の制御方法、及びプログラムを提供することをその目的の一つとする。
上記課題を解決するために、本発明の一実施態様に係る走査型検査装置は、
撮影用のレーザ光であって、異なる波長域のレーザ光を出射する光出力部と、
前記撮影用のレーザ光で被検査物上を走査する走査線であって、1フレームの画像を構成するための複数の走査線を複数の走査線セットに分けて得られる走査線セットの内の一の走査線セットを第1の波長域のレーザ光で走査した後に、前記光出力部が出射するレーザ光の波長域を切替えて第2の波長域のレーザ光が出射されるように前記光出力部を制御可能な波長切替え部と、
前記第1の波長域のレーザ光で前記一の走査線セットを走査した後に前記波長域が切替えられた場合に、前記第2の波長域のレーザ光で前記一の走査線セットを走査するように光走査部を制御する光走査制御部と、
前記第1の波長域のレーザ光の前記被検査物からの反射光を用いて取得した第1の画像と、前記第2の波長域のレーザ光の前記被検査物からの反射光を用いて取得した第2の画像とを用いて1フレームの疑似カラー画像を生成する合成処理部と、
を備える。
本発明の一つによれば、より良好な疑似カラー画像を生成することができる。
本発明の実施例1に係るSLO装置の光学構成を示す模式図である。 本実施例1に係るSLO装置に用いられる制御部の構成を示す模式図である。 本実施例1に係る撮影の工程を説明するフローチャートである。 本実施例1に係る表示部に表示される画面を説明する概略図である。 本実施例1に係る眼底撮影の工程を説明するフローチャートである。 本実施例1に係る眼底撮影の工程を説明するタイミングチャートである。 本実施例1に係る位置ずれ補正を説明する概略図である。 本実施例2に係る眼底撮影の工程を説明するフローチャートである。 本実施例2に係る眼底撮影の工程を説明するタイミングチャートである。
本発明の例示的な実施例を、図面を参照して以下に詳細に説明する。ただし、以下の実施例で説明する寸法、材料、形状、及び構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更可能である。また、図面において、同一であるか又は機能的に類似している要素を示すために図面間で同じ参照符号を用いる。
[実施例1]
図1から図7を用いて、本発明の実施例1に係る眼科装置について説明する。なお、ここでは走査型検査装置(SLO装置)の一例として眼科装置を例示して以下の説明を行うが、本発明の適用対象は眼科装置に限られない。以下で述べる疑似カラー画像を得るために各波長域のレーザ光で被検査物を走査し、得られた各色画像を合成する走査型検査装置であれば、本発明の適用対象となり得る。例えば、走査型顕微鏡も、走査型検査装置に含まれる。また、撮影対象として被検眼の眼底を例示しているが、レーザ光を走査することで疑似カラー画像を得ることが可能であれば、撮影対象は被検眼の眼底に限られず、被検眼のその他の部位、皮膚、内臓等の種々の被検査物を撮影対象とすることができる。本実施例に係る眼科装置では、被検眼眼底上に照射されて該眼底上を走査するレーザ光の波長域を、該レーザ光が例えば同一の走査線を走査する毎に切り替えることとする。これにより、用いたレーザ光の波長域に対応して得られる1走査線での位置ずれは、装置構成上最少となり、走査後に位置補正を特に行わなくとも各色画像間の位置ずれを低減できる。以下、本実施例について詳述する。
<装置の光学構成>
本実施例に係る眼科装置の一例として、SLO装置の光学構成について図1の模式図を用いて説明する。本実施例に係るSLO装置は、光出力部100、眼底観察部、内部固視灯部、及び前眼撮影部300を備える。
光出力部100には、レーザ光を出力する4つの光源が配置される。具体的には、赤外レーザ光源101IR、赤色レーザ光源101R、緑色レーザ光源101G、及び青色レーザ光源101Bが配置される。赤外レーザ光源101IRは、赤外の波長域のレーザ光を出力する。赤色レーザ光源101Rは、赤色の波長域のレーザ光を出力する。緑色レーザ光源101Gは、緑色の波長域のレーザ光を出力する。青色レーザ光源101Bは、青色の波長域のレーザ光を出力する。
各レーザ光源には、出射されたレーザ光を平行光とするコリメータレンズが付随している。即ち、赤外レーザ光源101IR、赤色レーザ光源101R、緑色レーザ光源101G、及び青色レーザ光源101Bの各々に対して、コリメータレンズ103IR,103R,103G,103Bが配置される。また、出射された各々のレーザ光を同一光路に導くために、反射ミラー102IRと、波長分岐ミラー102R,102G,102Bとが各々の光源に対応して配置される。
反射ミラー102IRは、赤外レーザ光源101IRに対応して配置され、赤外の波長域のレーザ光の光路を折り曲げる。波長分岐ミラー102Rは、赤色の波長域のレーザ光を反射し、赤外の波長域のレーザ光を透過する。波長分岐ミラー102Gは、緑色の波長域のレーザ光を反射し、赤外及び赤色の波長域のレーザ光を透過する。波長分岐ミラー102Bは、赤外、赤色及び緑色の波長域のレーザ光を反射し、青色の波長域のレーザ光を透過する。以上の構成を備えることにより、光出力部100は、各々の波長域が異なる4種類のレーザ光を出射することが可能となる。
なお、光出力部100内の構成は例示であって、波長分岐ミラーの配置等は適宜変更できる。また、本実施例では各色に対応したレーザ光源を配することとしているが、用いるレーザ光源の数や種類はここでの例示に限られない。例えば、光出力部100からは、合成により疑似カラー画像が得られるように、少なくとも2種類の異なる波長域のレーザ光を出射できればよく、更には単一の波長可変レーザを配置することもできる。
光出力部100から出射したレーザ光の光路上には、波長分岐ミラー2、穴開きミラー3、フォーカスレンズ4、光走査部5、レンズ6、波長分岐ミラー7、波長分岐ミラー8、及び対物レンズ9が配置される。穴開きミラー3の反射方向には、受光部200が配置される。これら光学部材等によって、本実施例に係るSLO装置における眼底観察部が構成される。光走査部5は、光軸方向に隣接して配置(タンデム配置)された互いに直交するX、Y方向にレーザ光をそれぞれ走査する、ガルバノミラー、共振ミラー、又はポリゴンミラー等を用いたスキャナにより構成される。フォーカスレンズ4は図中矢印で示す光軸方向に移動可能であって、眼底観察時の合焦操作を司る。
光出力部100から出力されたレーザ光は、波長分岐ミラー2で反射し、穴開きミラー3の光軸上に設けられた穴を通過し、フォーカスレンズ4、光走査部5、及びレンズ6を経て波長分岐ミラー7に至る。波長分岐ミラー7で反射されたレーザ光は、波長分岐ミラー8で更に反射され、対物レンズ9を通り、被検眼Eの眼底Efに達する。
眼底Efで反射されたレーザ光は、眼底入射時と同一の光路を戻り、穴開きミラー3の周辺部分で反射される。穴開きミラー3で反射されたレーザ光の光路上には、受光部200が配置される。受光部200には、レンズ201と、APD(Avalanche Photo Diode)等の受光素子202とが配置される。穴開きミラー3で反射されたレーザ光は、受光部200に達する。なお、受光素子202には、PMT(Photomultiplier Tube)又はMPPC(Multi Pixcel Photon Counter)等を適用することもできる。
内部固視灯部は、波長分岐ミラー2の透過方向に配置され、固視灯光源11とコリメータレンズ10とを備える。固視灯光源11は、光出力部100から出力される光とは異なる可視波長の固視光を発生させる。本実施例において、固視灯光源11には、例えば、中心波長590nmのLED光源を用いているが、LD光源等を適用してもよい。固視灯光源11から出射した固視光は、コリメータレンズ10を経て波長分岐ミラー2を透過し、眼底観察部のレーザ光の光路に出射される。波長分岐ミラー2を透過した固視光は、穴開きミラー3の光軸上に構成された穴を通過し、光出力部100からのレーザ光と同様の光路で被検眼Eの眼底Efに達する。被検者は、光走査部5の走査タイミングと同期して点滅する固視灯光源11からの固視光から構成される固指標を見つめることで、固視を促される。
対物レンズ9の周りには、前眼部照明光源303a,303bが配置される。これらの光源により照明された被検眼Eの前眼部の像は、対物レンズ9を通り、波長分岐ミラー8を透過する。波長分岐ミラー8の透過方向には、レンズ301と撮像素子302が配置される。これらは、前眼撮影部300を構成する。波長分岐ミラー8を透過した前眼部の像は、レンズ301により二次元の撮像素子302の撮像面に結像する。
なお、上述した光出力部100、眼底観察部、内部固視灯部、及び前眼撮影部の配置は例示であって、その配置はここで説明したものに限られない。例えば個々の波長分岐ミラーの透過方向と反射方向とのいずれにどの構成を配置するかは、装置設計時の要請により適宜変更可能である。
<装置の制御部>
次に、図1に示した構成のSLO装置を制御する制御部について、図2の模式図を用いて説明する。本SLO装置を制御する制御部50は、波長切替え部51、光走査制御部52、画像生成部53、合成処理部54、表示制御部55、記憶部56等を備える。また、制御部50は、光出力部100、フォーカスレンズ4、光走査部5、受光部200、固視灯光源11、前眼撮影部300、前眼部照明光源303a,303b等と接続される。また、制御部50には、表示部400や、眼底観察部を被検眼Eに対して相対的に駆動する駆動部60、撮影データ、撮影条件、被検者に関する情報等を記憶するメモリ70等も接続される。波長切替え部51は、光出力部100に設けられた各光源のオンオフを制御することにより、該光出力部100から出射されるレーザ光の波長域を切替える。光走査制御部52は、光走査部5の各スキャナの動作を制御して、光出力部100からの出射光の眼底上での走査位置等を制御する。画像生成部53は、受光素子202や撮像素子302の出力に基づいて画像を生成する。合成処理部54は、後述する3つの波長域のレーザ光より得た画像の合成処理を行う。表示制御部55は、表示部400を制御して、該表示部400に種々の画像や装置の制御を行う画面等を表示させる。記憶部56は、制御部50が取得した各種データや画像生成部53等が生成した画像を記憶する。また、該記憶部56は、疑似カラー眼底画像生成の際の走査パターン等を記憶することもできる。
<撮影シーケンス>
次に、図1に示した構成のSLO装置を用いて、被検眼Eの眼底Efを撮影する方法について、図3のフローチャート及び図4に例示する表示画面を用いて説明する。図4は、例えばLCD等のモニタによって構成される表示部400の表示画面の一例を示している。本実施例では、表示画面には、前眼表示領域401、眼底表示領域402、フォーカス調整ボタン404、撮影ボタン405等が設けられている。
眼底の撮影が開始されると、制御部50はフローをステップS301に移行させる。ステップS301では、前眼撮影部300の撮像素子302の出力から画像生成部53が被検眼Eの前眼部画像を生成する。生成された前眼部画像は、表示制御部55によって、表示部400の前眼表示領域401に表示される。具体的には、被検眼EがSLO装置の前に配置された後、制御部50は、前眼部照明光源303a、303bを点灯させる。これによって、被検眼Eの前眼部は、前眼部照明光源303a、303bの発した光により照明される。このように照明された前眼部の像は、対物レンズ9を通り、波長分岐ミラー8を透過し、レンズ301により撮像素子302の撮像面に結像する。撮像素子302からの映像信号は、画像生成部53に入力される。画像生成部53は、映像信号をデジタルデータにリアルタイムに変換し、前眼部画像を生成する。そして、表示制御部55は、生成した前眼部画像を前眼表示領域401に表示させる。前眼部画像が取得されると、制御部50はフローをステップS302に移行させる。
本SLO装置を構成する上述した光学系は、不図示のステージ上に配置されている。制御部50は、ステージ内の駆動部60を制御し、光学系を被検眼Eに対して上下左右前後に駆動する。また、図1において破線で示す光学系の光軸は、撮像素子302の撮像面の中心と一致するように調整されている。このため、前眼撮影部300で撮影された前眼部画像の瞳孔中心と撮像中心との偏心量が、被検眼EとSLO装置の光学系の光軸との偏心量に相当する。
ステップS302では、被検眼Eの瞳孔中心と上述した光学系の光軸とが一致するように、該光学系の位置調整が行われる。具体的には、制御部50は、被検眼Eの前眼部画像のうちの特に虹彩の模様によって被検眼Eの偏心及びフォーカスの状態を判定する。そして、制御部50は、瞳孔中心と光学系の光軸とが一致し、合焦状態が得られるように駆動部60を制御して光学系と被検眼Eとの相対位置を調整する。これにより、制御部50は、虹彩と同一面である被検眼Eの瞳孔と光学系の対物レンズ9との距離(ワーキングディスタンス)を一定に保つ。操作者は、前眼表示領域401に表示される前眼部画像により光軸偏心を確認することができる。被検眼Eと光学系の光軸との位置合わせが終了すると、制御部50はフローをステップS303に移行させる。
ステップS303では、被検眼Eのアライメント用の眼底部画像(以下、これを眼底観察画像と記す)を生成し、表示部400の眼底表示領域402にこれを表示する。具体的には、ステップS302における位置調整によって瞳孔中心と撮像中心との偏心量が所定の値以下になると、波長切替え部51は、赤外レーザ光源101IRを点灯する。この時、赤色レーザ光源101R、緑色レーザ光源101G、及び青色レーザ光源101Bは消灯している。赤外レーザ光源101IRから出力する赤外レーザ光(以下、これを観察光と記す)は、コリメータレンズ103IRにより平行光に変換され、光出力部100から出射される。その後、観察光は、波長分岐ミラー2を反射し、穴開きミラー3の穴を通過し、フォーカスレンズ4を透過し、光走査部5を介してレンズ6を透過する。更に、レンズ6を透過した光は波長分岐ミラー7を反射し、波長分岐ミラー8を反射し、対物レンズ9により被検眼Eの瞳孔より眼底Efに至る。その際、該観察光は、光走査部5のXスキャナ及びYスキャナの動作によって眼底Ef上で二次元走査される。
観察光は、眼底Efの網膜を構成する層で反射・散乱され、戻り光として入射時と同一の光路を戻る。該戻り光は、穴開きミラー3の周辺部分で反射され、レンズ201を透過して受光素子202に導かれる。受光素子202から出力される光強度信号は、不図示のA/D変換器でデジタル信号にリアルタイムに変換された後、制御部50に入力される。画像生成部53は、入力されたデジタル信号から眼底観察画像を生成する。そして、表示制御部55は、生成した眼底観察画像を、表示部400の眼底表示領域402に表示させる。操作者は、この眼底観察画像を確認し、該眼底観察画像が最も明るくなるように表示部400のフォーカス調整ボタン404を操作してフォーカス調整を行う。例えばフォーカス調整後に一定時間経過する等、フォーカス調整が終了したと判定すると、制御部50はフローをステップS304に移行させる。
ステップS304では、制御部50は内部固視灯の点灯位置を調整する。具体的には、前記ステップS303における眼底画像生成・表示後、制御部50は、固視灯光源11を点灯し、内部固視標の表示を開始する。固視灯光源11から出射した光は、コリメータレンズ10により平行光に変換され、波長分岐ミラー2を透過し、観察光と同じ光路を経て被検眼Eの眼底Efに至る。
眼底Ef上の内部固指標の表示位置に対応して、表示制御部55は、眼底表示領域402上に×マーク403を表示する。操作者は、×マーク403の位置を操作することによって固視を促して眼底上で撮影したい所望の位置を指定する。制御部50は、操作者が指定した位置に応じて固視灯光源11の点灯タイミングを制御し、内部固視標を操作者の指定した位置に表示させる。これにより被検者の固視を促すことができ、眼底の所望の位置を観察することが可能となる。例えば×マーク403の操作後に所定の時間が経過する等、眼底の所望の位置が眼底表示領域402の略中心に表示されたと判定すると、制御部50はフローをステップS305に移行させる。
ステップS305では、表示部400の撮影ボタン405の押下げを入力として、眼底画像の撮影が実行される。眼底画像の撮影フローの詳細は後述する。これにより撮像された眼底画像は、記憶部56に記憶される。眼底画像が撮影されると、制御部50はフローをステップS306に移行させる。
ステップS306では、表示制御部55によって、ステップS305で撮影した眼底画像が表示部400に表示される。なお、撮影した眼底画像は、眼底表示領域402に表示してよいし、眼底表示領域402とは別に撮影した眼底画像用の表示領域を設けて、ここに表示させてもよい。なお、ステップS301からステップS304の処理は、上述した例では連続して行うこととしているが、これら処理は平行して行ってもよい。例えば、前眼部画像の生成及び位置調整と眼底観察画像の生成及び内部固視標の位置調整を平行して行ってもよい。
<眼底画像撮影シーケンス>
次に、ステップS305において実行される、眼底画像の撮影フローの詳細について、図5のフローチャート及び図6のタイミングチャートを用いて説明する。図6は、1フレームの疑似カラー眼底画像を生成する際の、赤外レーザ光、赤色レーザ光、緑色レーザ光、及び青色レーザ光の眼底への照射時間をタイミングチャートとして示している。疑似カラー画像の撮影開始前は、赤外レーザ光が眼底に照射され、表示部400には眼底観察画像が表示されている。制御部50は、撮影ボタン405が押下されたことを検出すると撮影を開始してフローをステップS501に移行させる。
ステップS501では、波長切替え部51は、赤外レーザ光源101IRを消灯させて観察光の被検眼Eへの照射を停止する。また、光走査制御部52は、光出力部100の出射光による眼底上の走査開始位置が、眼底画像の撮影開始位置となるように光走査部5を制御する。なお、観察光の消灯及び走査開始位置への移動開始のタイミングはここで述べたものに限られず、撮影条件等に応じて任意でよい。例えば、撮影ボタン405が押下されたことを検出した直後でもよいし、観察光による1フレーム分の走査が終わった後でもよい。なお、本明細書において述べる1フレームとは、例えば観察光を走査開始位置から走査終了位置まで一回走査することで得られるような、眼底画像1枚を構成する輝度情報を指す。赤外レーザ光源101IRが消灯すると、制御部50はフローをステップS502に移行させる。
ステップS502では、波長切替え部51は、赤色レーザ光源101Rを点灯させる。より詳細には、波長切替え部51は、走査開始位置が上述した撮影開始位置とされたことを検出したら、赤色レーザ光源101Rを点灯させる。また、波長切替え部51は、その際に赤色レーザ光源101R以外のレーザ光源が点灯していたら、これらを消灯させる。赤色レーザ光源101Rが点灯すると、制御部50はフローをステップS503に移行させる。
ステップS503では、光走査制御部52は、光走査部5を制御し、赤色レーザ光による1ライン(1走査線)分の走査を行う。図6では、赤色レーザ光(REDと表記)が1ライン分ONされた状態として示されている。これにより、被検眼Eの眼底Ef上の撮影開始位置から延在する1ラインだけ赤色レーザ光により走査され、受光部200にこの走査による赤色レーザ光の戻り光が導かれる。そして、受光部200から出力される光強度信号はデジタル信号に変換された後、制御部50に入力される。これによって、画像生成部53は、赤色レーザ光における1ライン分のデジタル信号を取得する。赤色レーザ光による1ライン分のデジタル信号が取得されると、制御部50はフローをステップS504に移行させる。
ステップS504では、波長切替え部51は、緑色レーザ光源101Gを点灯させる。より詳細には、波長切替え部51は、赤色レーザ光による1ライン分の走査が完了したら、赤色レーザ光源101Rを消灯する。また、光走査制御部52は、出射光の照射位置が赤色レーザ光の走査開始位置と同じ位置となるように光走査部5を制御する。そして、波長切替え部51は、出射光の照射位置が走査開始位置に移動したことを検出したら、緑色レーザ光源101Gを点灯させる。緑色レーザ光源101Gが点灯すると、制御部50はフローをステップS505に移行させる。
ステップS505では、光走査制御部52は、光走査部5を制御し、緑色レーザ光による1ライン分の走査を行う。図6では、緑色レーザ光(GREENと表記)が1ライン分ONされた状態として示されている。これにより、赤色レーザ光で走査済みの1ラインだけが、緑色レーザ光により走査され、受光部200にこの走査による緑色レーザ光の戻り光が導かれる。そして、受光部200から出力される光強度信号はデジタル信号に変換された後、制御部50に入力される。これによって、画像生成部53は、赤色レーザ光により走査された1ラインから、更に緑色レーザ光における1ライン分のデジタル信号を取得する。緑色レーザ光による1ライン分のデジタル信号が取得されると、制御部50はフローをステップS506に移行させる。
ステップS506では、波長切替え部51は、青色レーザ光源101Bを点灯させる。より詳細には、波長切替え部51は、緑色レーザ光による1ライン分の走査が完了したら、緑色レーザ光源101Gを消灯する。また、光走査制御部52は、出射光の照射位置が緑色レーザ光の走査開始位置と同じ位置となるように光走査部5を制御する。そして、波長切替え部51は、出射光の照射位置が走査開始位置に移動したことを検出したら、青色レーザ光源101Bを点灯させる。青色レーザ光源101Bが点灯すると、制御部50はフローをステップS507に移行させる。
ステップS507では、光走査制御部52は、光走査部5を制御し、青色レーザ光で1ライン分の走査を行う。図6では、青色レーザ光(BLUEと表記)が1ライン分ONされた状態として示されている。これにより、赤色レーザ光及び緑色レーザ光で走査済みの1ラインだけが、青色レーザ光により走査され、受光部200にこの走査による青色レーザ光の戻り光が導かれる。そして、受光部200から出力される光強度信号はデジタル信号に変換された後、制御部50に入力される。これによって、画像生成部53は、赤色レーザ光及び緑色レーザ光で走査された1ラインから、更に青色レーザ光における1ライン分のデジタル信号を取得する。青色レーザ光による1ライン分のデジタル信号が取得されると、制御部50はフローをステップS507に移行させる。
ステップS507では、波長切替え部51は、青色レーザ光による1ライン分の走査が完了したとして、青色レーザ光源101Bを消灯する。以上のステップS502からステップS507の動作を行うことによって、画像生成部53は、同一の走査線1ライン分の赤色レーザ光でのデジタル信号、緑色レーザ光でのデジタル信号、及び青色レーザ光でのデジタル信号を取得する。なお、この3色のレーザ光によるデジタルデータの取得に要する時間は、例えば赤外レーザ光による走査時における走査線3ライン分の時間に対応する。青色レーザ光源101Bが消灯されると、制御部50はフローをステップS508に移行させる。
ステップS508では、画像生成部53は、1フレームを構成する数の走査線に対する3色のレーザ光の走査が全て完了したかどうかを判断する。制御部50は、画像生成部53が、赤色レーザ光、緑色レーザ光、及び青色レーザ光でそれぞれ1フレーム分の走査線を走査したと判断したら、フローを移行させて撮影を終了する。撮影終了後、波長切替え部51は、赤外レーザ光源101IRを点灯し、観察光による眼底の走査が再開される。ステップS508において、赤色レーザ光、緑色レーザ光、及び青色レーザ光それぞれによりまだ1フレーム分の走査線の走査がなされていないと判断されると、制御部50はフローをステップS509に移行させる。
ステップS509では、光走査制御部52は、光出力部100の出射光の走査開始位置が、撮影開始位置から延在する最初の走査線の次の走査線の位置に移動するように光走査部5を制御する。或いは、光走査制御部52は、光出力部100の出射光の走査開始位置が、これまで走査した走査線の次の走査線の位置に移動するように光走査部5を制御する。出射光の照射位置の制御が終了すると、制御部50はフローをステップS502に移行させる。以降、1フレームを構成する走査線全てについて、赤色レーザ光、緑色レーザ光、及び青色レーザ光それぞれによる走査と、画像生成部53による対応するデジタル信号の取得とが行われる。これにより、図6に示される2ライン目以降の走査線についての各色画像の取得が行われる。ステップS508で赤色レーザ光、緑色レーザ光、及び青色レーザ光それぞれにより1フレーム分の走査線の走査が終了した(図6の撮影終了に対応)と判断されると撮影処理が終了する。
撮影処理終了後、画像生成部53は、赤色レーザ光における1フレーム分のデジタル信号から赤色眼底画像を生成する。また、同様に、緑色レーザ光における1フレーム分のデジタル信号から緑色眼底画像を生成し、青色レーザ光における1フレーム分のデジタル信号から青色眼底画像を生成する。合成処理部54は、生成された赤色眼底画像、緑色眼底画像、及び青色眼底画像を合成処理し、3色からなる疑似カラー眼底画像を生成する。また、各色眼底画像を合成処理する際に、疑似カラー眼底画像と眼底観察画像との間で位置ずれ補正を行うようにしてもよい。位置ずれ補正の方法は後述する。
なお、疑似カラー眼底画像を生成するタイミングは、上述したように撮影終了後でなくてもよい。例えば、各色のレーザ光により画像生成部53が1ライン分の3色のデジタル信号を取得した時点で、この1ライン分の疑似カラー眼底画像を生成してもよい。この場合、1ライン分の疑似カラー眼底画像が1フレーム分揃った時点で、1フレームの疑似カラー眼底画像を合成するとよい。また、この場合、1ライン分の疑似カラー眼底画像を生成した時点で、眼底表示領域402又は別の眼底撮影画像用の表示領域に、該1ライン分の疑似カラー眼底画像を順次表示してもよい。
上述したように、本実施例では、1ライン毎に走査するレーザ光の波長を変更し、異なる色の眼底画像を該1ラインから連続的に得ている。従って、同一ラインから得た異なる色の眼底画像間では取得時間の差がごく僅かであり、この時間において被検眼が動く可能性も非常に小さなものとなる。このため1フレーム毎の各色の画像を取得した場合と比較し、疑似カラー眼底画像を生成する場合に各色画像間での位置ずれを考慮する必要性が大幅に低減される。
なお、上述した例では赤色レーザ光源、緑色レーザ光源、青色レーザ光源をこの表記順に点灯、消灯して各色のレーザ光で1走査線上を走査している。しかし、レーザ光の走査順は必ずしもここで例示した順番で切替えなくてもよい。また、点灯、消灯するのではなく、例えば、シャッター等遮蔽手段を用いて、光出力部100から出射するレーザ光を制御してもよい。或いは、波長可変レーザを用いて、出射するレーザ光の波長域を制御してもよい。
また、上述した例では、1ラインを1つの単位(以下、これを1走査線セットと記す)として、1走査線セット毎に赤色レーザ光源、緑色レーザ光源、青色レーザ光源を点灯、消灯して該セットを走査している。しかし、短時間でレーザ光の色を切替えればよく、必ずしも1ラインを1走査線セットにしなくてもよい。例えば、共振スキャナの往復スキャン(2ライン)に対応する走査線を1走査線セットとしてレーザ光源を切替えて走査してもよい。或いは、ポリゴンスキャナのポリゴンミラーの面数毎を1走査線セットとしてレーザ光源を切替えて走査してもよい。また、上述した例では、1ライン毎に順次走査開始位置を切替えているが、走査していく走査線が必ずしも並びの順番となるように切替えなくてもよい。例えば、インターレース方式(とびとび)で走査開始位置を切替えてもよい。
即ち、本実施例では1ラインを1走査線セットとしていたが、複数ラインによって1走査線セットを構成してもよい。この場合、1フレームの画像を構成する走査線(ライン)を複数に分割して、複数の走査線セットを構成する。そして、複数の走査線セットのうちの1走査線セットに関しては、例えば赤色レーザ光で走査後、連続して緑色レーザ光及び青色レーザ光源で続けて走査する。そして、これらレーザ光の眼底からの反射光を合成して、疑似カラー眼底画像を生成する。この場合、例えば3色のレーザ光各々で1走査線セットを走査するために要する時間を被検眼の固視微動のサイクルに対して十分に小さくするように、1走査線セットに含まれる走査線の数を設定する。これにより、疑似カラー眼底画像の合成時においても、3色各々の眼底画像間での位置合わせが不要となる。
なお、複数ラインによって1走査線セットを構成する場合、走査線セット内の走査線数が十分に少なければ、走査線セット内での各色画像間での位置ずれは小さくなる。しかし、各走査線セットから得られた複数の疑似カラー眼底画像間では、補正すべき位置ずれが生じる場合がある。例えば走査線セットに含まれる走査線数が多くなり、1走査線セットのデジタル信号の取得に要する時間が長くなるほど、このような位置ずれが生じる可能性が高くなる。この場合、走査線セット各々から得た眼底画像間、或いは疑似カラー眼底画像間において、位置ずれ量を求め、各画像をつなぎ合わせることが必要となる。位置ずれ量については、例えば同じ色の眼底画像間、或いは疑似カラー画像間において、各走査線セットの境界位置に存在する例えば血管等を抽出し、これらの位置を合わせるようにして求めるとよい。
また、1走査線セットに含まれる走査線数が多い場合には、各走査線セット間で重複する走査線を設け、該走査線から得られる画像から位置ずれ量を求めてもよい。なお、赤色レーザ光、緑色レーザ光、及び青色レーザ光それぞれを眼底に照射した時の反射光の強さは異なる。例えば青色レーザ光の眼底からの反射率が低く、青色眼底画像は暗くなりやすく、他の色の眼底画像より特徴点を探索しにくい場合もある。即ち、撮影される眼底画像において共通する特徴点を得ることが困難な場合も生じ得る。しかし、ここで述べたように同一色の眼底画像間、或いは疑似カラー眼底画像間で位置ずれを求めれば、特徴点の探索、抽出は容易であり、その結果位置ずれ量も容易に求めることができる。また、本実施例によれば、個別の色画像を合成して疑似カラー画像を得る工程が基本的に存在しないことから、このような特徴点の抽出に困るような場合も大きく低減される。
<位置ずれ補正>
眼底観察画像はフレーム毎に取得され、表示されるが、疑似カラー眼底画像は1ライン毎に赤色眼底画像、緑色眼底画像、及び青色眼底画像を得た後に更にこれらを合成して表示される。このため、疑似カラー眼底画像とその取得前の眼底観察画像やその取得後の眼底観察画像とは取得時間に差が生じ、そのためこれら画像間での位置ずれは必然的に発生してしまう。
即ち、本実施例において、赤外レーザ光によって生成する眼底観察画像から疑似カラー眼底画像への切替えまでには、少なくとも3フレーム分のレーザ光の走査時間を要する。このため、眼底観察を中断して疑似カラー眼底画像を生成、表示する場合、被検眼の動きによって、中断前の眼底観察画像と疑似カラー眼底画像とがずれて表示される恐れがある。このような場合、操作者は、疑似カラー眼底画像の撮影に失敗したと判断しかねない。このようなことを防ぐために、疑似カラー眼底画像は、該疑似カラー画像取得前の眼底観察画像との間での位置ずれを補正した後に表示されることが望ましい。
以下では、このような例に対処するための眼底画像の位置ずれ補正について、図7の概略図を用いて説明する。なお、眼底画像間のずれ補正の方法として、本実施例ではその一例として公知の特徴点を用いる方法を用いる。図7で示す例では、特徴点を視神経乳頭としている。なお、本実施例では、視神経乳頭を特徴点として位置ずれ補正量を導き出したが、特徴点は視神経乳頭に限られず、例えば眼底血管等を特徴点としてもよい。しかし、特徴点はこれに限られず眼底上の判別容易な形態であれば使用可能であり、更にずれの検出や補正方法にはその他の公知の手法を用いることもできる。
制御部50は、上述したステップS301の処理の際に、眼底観察画像を取得する。この時の視神経乳頭の位置をD1=(X1,Y1)とする。また、制御部50は、上述したステップS502からステップS507の処理を繰り返して行うことによって、赤色眼底画像、緑色眼底画像、及び青色眼底画像を取得する。上述したように、各色眼底画像間での位置ずれは既に低減できているため、赤色眼底画像、緑色眼底画像、及び青色眼底画像の視神経乳頭の位置は同じD1′=(X1′,Y1′)とみなすことができる。そのため、各色眼底画像を合成処理する際に位置ずれ補正を行わなくてよい。そして、赤色眼底画像、緑色眼底画像、及び青色眼底画像を合成処理して生成した疑似カラー眼底画像の視神経乳頭の位置もD1′=(X1′,Y1′)とみなすことができる。
本実施例では、眼底観察画像と、1ライン毎に取得した赤色眼底画像、緑色眼底画像、青色眼底画像及び疑似カラー眼底画像との間での位置ずれ量はΔX=X1-X1′、ΔY=Y1-Y1′となる。この位置ずれ量ΔX、ΔYを位置ずれ補正量(ΔX,ΔY)とする。実際の疑似カラー眼底画像の表示に際しては、合成処理部54は、この補正量を考慮して疑似カラー眼底画像を生成する。また、表示制御部55は、得られた疑似カラー眼底画像を表示部400に表示させる。
なお、本実施例において、合成処理部54は、位置ずれ補正量(ΔX,ΔY)を赤色眼底画像、緑色眼底画像、青色眼底画像それぞれに適用して位置ずれ補正を行ってから合成処理を行う。しかし、補正方法はこれに限られず、赤色眼底画像、緑色眼底画像、及び青色眼底画像を合成処理して生成した疑似カラー眼底画像に適用して位置ずれ補正を行ってもよい。
また、合成処理部54は、眼底観察画像、赤色眼底画像、緑色眼底画像、及び青色眼底画像すべてに対して視神経乳頭の位置を画像処理によって検出しなくてもよい。これら赤色眼底画像、緑色眼底画像、及び青色眼底画の間に位置ずれはないと考えられることから、眼底観察画像との位置ずれの算出は、これらのいずれか1つの画像に対して行えばよい。例えば、撮影時に初めに走査するレーザ光により取得した眼底画像を算出対象としてもよく、本実施例の場合には赤色眼底画像を算出対象とするとよい。観察光となる赤外レーザ光の波長域と赤色レーザ光の波長域とは、緑色レーザ光の波長域や青色レーザ光の波長域と比べて近く、似た画像を取得できる。このため、同様の特徴点を検出しやすい。そのため、初めに赤色レーザ光での走査を実行し、得られた赤色眼底画像を眼底観察画像との位置ずれの算出に用いることが好ましい。
以上に述べたように、本実施例に係る走査型検査装置は、光出力部100と、波長切替え部51と、光走査制御部52と、合成処理部54と、を備える。光出力部100は、撮影用のレーザ光であって、例えば赤色、緑色、及び青色の異なる波長域のレーザ光を出射する。波長切替え部51は、光出力部100から出射される撮影用のレーザ光の波長域を、例えば前述した赤色、緑色及び青色に切り替える。本実施例で被検眼眼底に例示される被検査物は、レーザ光で該被検査物上を走査することで1枚の画像(1フレームの画像)が撮影される。1フレームの画像を構成するために、眼底上は複数の走査線に沿ってレーザ光で走査され、本実施例では、1フレームの画像を構成するための複数の走査線を複数の走査線セットに分けている。本実施例では特に、1つの走査線セットが1走査線から構成される例について述べている。波長切替え部51は、走査線セットの内の一の走査線セットを第1の波長域(赤色)のレーザ光で走査した後に、出射するレーザ光の波長域を切替えて第2の波長域(青色或いは緑色)のレーザ光が出射されるように光出力部を制御可能とされる。光走査制御部52は、赤色レーザ光で一の走査線セットを走査した後に波長域が切替えられた場合に、青色或いは緑色のレーザ光で一の走査線セットを再び走査するように光走査部5を制御する。合成処理部54は、赤色レーザ光の眼底からの反射光を用いて取得した第1の画像と、青色レーザ光の眼底からの反射光を用いて取得した第2の画像とを用いて1フレームの疑似カラー画像を生成する。また、ここで述べた各構成を上述ししたように制御することで、本実施例は、走査型検査装置の制御方法の一態様を構成する。
本実施例では、波長切替え部51は、第1の波長域(赤色)及び第2の波長域(緑色)とは異なる第3の波長域(青色)のレーザ光が出射されるように光出力部100を制御(制御可能とされている)できる。この場合に、光走査制御部52は、赤色レーザ光で一の走査線セットを走査し、緑色レーザ光で一の走査線セットを走査した後に、第3の波長域(青色)のレーザ光で一の走査線セットを再び走査するように光走査部5を制御できる。合成処理部54は、第1の画像(赤色眼底画像)と、第2の画像(緑色眼底画像)と、青色レーザ光の眼底からの反射光を用いて取得した第3の画像(青色眼底画像)と、を合成する。これにより、1フレームの疑似カラー画像(疑似カラー眼底画像)が生成できる。
一の走査線セットからは、赤色眼底画像の一部と、緑色眼底画像の一部と、青色眼底画像の一部とが得られる。赤色眼底画像の一部は、赤色レーザ光で一の走査線セットを走査して得た該一の走査線セットに対応し、緑色眼底画像の一部は、緑色レーザ光で該一の走査線セットを走査して得た該一の走査線セットに対応する。また、青色眼底画像の一部は、青色レーザ光で一の走査線セットを走査して得た該一の走査線セットに対応する。合成処理部54は、これら画像の一部を合成して一の走査線セットに対応する1フレームの疑似カラー眼底画像の一部を生成する。この場合、1フレームの疑似カラー眼底画像は、複数の走査線セットの各々に対応する該1フレームの疑似カラー眼底画像の一部を合成して生成される。
なお、本実施例において、光出力部100は、観察用の波長域のレーザ光(赤外レーザ光)を出力可能とされている。光走査制御部52は、眼底の観察用の赤外レーザ光が出射されるように波長切替え部51が光出力部100を制御した場合に、1フレームの観察用画像を構成するための複数の走査線を赤外レーザ光で連続して走査するように光走査部5を制御する。また、この場合、合成処理部54は、赤外レーザ光の眼底からの反射光を用いて取得した観察用画像(眼底観察画像)と、疑似カラー眼底画像との位置を合わせるように疑似カラー眼底画像を合成するとよい。また、本実施例に係る眼科装置は、表示部400に眼底観察画像と疑似カラー眼底画像とを表示させる表示制御部55を更に備える。眼底観察から眼底撮影への切り替え時、波長切替え部51は、撮影のための赤色レーザ光が光出力部100から出射されるまで赤外レーザ光を光出力部100から出射させる。この時、表示制御部55は、疑似カラー眼底画像が表示部400に表示されるまで、赤色レーザ光が光出力部100から出射されるまでに赤外レーザ光の走査により得た眼底観察画像を表示部400に表示させるとよい。
なお、上述したように、観察用の波長域が赤外光の波長域である場合、波長域が近いことから、撮影に際して最初に眼底に照射されるレーザ光の第1の波長域は、赤色光の波長域であるとよい。また、光走査部5には、ガルバノスキャナの他に、例えば共振ミラーを有するスキャナ(共振スキャナ)を用いることもできる。光走査部5に共振スキャナを用いた場合、上述した走査線セットは、該共振スキャナの往復走査に対応する2つの走査線から構成されるとよい。光走査部5には、例えばポリゴンミラーを有するポリゴンスキャナを用いることもできる。光走査部5にポリゴンスキャナを用いた場合、上述した走査線セットは、ポリゴンミラーの面数に対応する数の走査線から構成されるとよい。このように走査線セットを構成することで、レーザ光の波長切替えと走査位置の制御とをリンクさせることが可能となり、光走査制御部52の制御が容易となる。また、上述した実施例において、光走査制御部52は、1フレームの画像を構成する走査線を走査する際に、画像に配置される走査線の最も上の走査線から順に下に並ぶ走査線を順に走査することとしている。しかし、走査態様はこの降順に限られず、昇順であってもよく、インターレース方式でもよい。インターレース方式の場合、任意の数の走査線セットの数を空けて位置する走査線セットについて、撮影用レーザ光で順次走査するように光走査部5が制御される。このようなインターレース方式を採用することにより、例えば1ラインの疑似カラー眼底画像が得られる毎にこれらを順次表示させる場合、1フレーム分のデジタルデータをすべて得なくとも1枚の疑似カラー眼底画像が表示できる。即ち、解像度が低いが短時間で取得した疑似カラー眼底画像を表示できることから、眼底観察画像との位置合わせが容易になる等の効果が得られる。
以上の制御を行うことにより、短時間で、同一走査線内からの赤色レーザ光のデジタル信号、緑色レーザ光のデジタル信号、青色レーザ光のデジタル信号を取得することができる。これらデジタル信号を1走査線から得るために要する時間はごく短時間であり、これによって、1フレームの間又はフレームにまたがって被検眼が動いた場合でも、これらデジタル信号から生成した眼底画像間での位置ずれは小さくなる。従って、各色の1フレームの画像各々を得てから疑似カラー眼底画像を生成する場合と比較して、各走査線についての3つのデジタル信号の取得時間の間での被検眼の動きは少ないため、各色眼底画像間での位置ずれを低減することができる。
[実施例2]
実施例1では、1走査線を走査するレーザ光の波長域が1走査毎に切替えられるようにして該レーザ光で被検眼眼底上を走査し、該1走査線の赤色眼底画像、緑色眼底画像、及び青色眼底画像を連続的に取得する方法について説明した。これに対し、本実施例2では、レーザ光の波長域を切替えながら該レーザ光で被検眼眼底上を走査する他の例について述べる。本実施例では、同一セット内でのレーザ光の波長切替えとフレームでのレーザ光の切替えとを組み合わせる。なお、本実施例2に係るSLO装置の光学構成、制御部及び被検眼Eの眼底Efを撮影する方法は、実施例1において説明した光学構成、制御部及び撮影方法と同様であるため、ここでの詳述は省略する。
<眼底画像撮影シーケンス>
次に、本実施例に係る眼底画像の撮像フローの詳細について、図8のフローチャート及び図9のタイミングチャートを用いて説明する。図8は、1フレームの疑似カラー眼底画像を生成する際の、赤外レーザ光、赤色レーザ光、緑色レーザ光、及び青色レーザ光の眼底への照射時間をタイミングチャートとして示している。疑似カラー眼底画像の撮影開始前は、赤外レーザ光が眼底に照射され、表示部400には眼底観察画像が表示されている。制御部50は、撮影ボタン405が押下されたことを検出すると撮影を開始してフローをステップS801に移行させる。
ステップS801では、波長切替え部51は、赤外レーザ光源101IRを消灯させて観察光の被検眼Eへの照射を停止する。また、光走査制御部52は、光出力部100の出射光による眼底上の走査開始位置が、眼底画像の撮影開始位置となるように光走査部5を制御する。なお、観察光の消灯及び走査開始位置への移動開始のタイミングはここで述べたものに限られず、撮影条件等に応じて任意でよい。例えば、撮影ボタン405が押下されたことを検出した直後でもよいし、観察光による1フレーム分の走査が終わった後でもよい。なお、本明細書において述べる1フレームとは、例えば観察光を走査開始位置から走査終了位置まで一回走査することで得られるような、眼底画像1枚を構成する輝度情報を指す。赤外レーザ光源101IRが消灯すると、制御部50はフローをステップS802に移行させる。
ステップS802では、波長切替え部51は、赤色レーザ光源101Rを点灯させる。より詳細には、波長切替え部51は、走査開始位置が上述した撮影開始位置とされたことを検出したら、赤色レーザ光源101Rを点灯させる。また、波長切替え部51は、その際に赤色レーザ光源101R以外のレーザ光源が点灯していたら、これらを消灯させる。赤色レーザ光源101Rが点灯すると、制御部50はフローをステップS803に移行させる。
ステップS803では、光走査制御部52は、光走査部5を制御し、赤色レーザ光による1ライン(1走査線)分の走査を行う。図9では、赤色レーザ光(REDと表記)が1ライン分ONされた状態として示されている。これにより、被検眼Eの眼底Ef上の撮影開始位置から延在する1ラインだけ赤色レーザ光により走査され、受光部200にこの走査による赤色レーザ光の戻り光が導かれる。そして、受光部200から出力される光強度信号はデジタル信号に変換された後、制御部50に入力される。これによって、画像生成部53は、赤色レーザ光における1ライン分のデジタル信号を取得する。赤色レーザ光による1ライン分のデジタル信号が取得されると、制御部50はフローをステップS804に移行させる。
ステップS804では、波長切替え部51は、青色レーザ光源101Bを点灯させる。より詳細には、波長切替え部51は、赤色レーザ光による1ライン分の走査が完了したら、赤色レーザ光源101Rを消灯する。また、光走査制御部52は、出射光の照射位置が赤色レーザ光の走査開始位置と同じ位置となるように光走査部5を制御する。そして、波長切替え部51は、出射光の照射位置が走査開始位置に移動したことを検出したら、青色レーザ光源101Bを点灯させる。青色レーザ光源101Bが点灯すると、制御部50はフローをステップS805に移行させる。
ステップS805では、光走査制御部52は、光走査部5を制御し、青色レーザ光による1ライン分の走査を行う。図9では、青色レーザ光(BLUEと表記)が1ライン分ONされた状態として示されている。これにより、赤色レーザ光で走査済みの1ラインだけが青色レーザ光により再び走査され、受光部200にこの走査による青色レーザ光の戻り光が導かれる。そして、受光部200から出力される光強度信号はデジタル信号に変換された後、制御部50に入力される。これによって、画像生成部53は、赤色レーザ光により走査された1ラインから、更に青色レーザ光における1ライン分のデジタル信号を取得する。青色レーザ光による1ライン分のデジタル信号が取得されると、制御部50はフローをステップS806に移行させる。
ステップS806では、画像生成部53は、1フレームを構成する数の走査線に対する赤青2色のレーザ光の走査が全て完了したかどうかを判断する。制御部50は、画像生成部53が、赤色レーザ光及び青色レーザ光でそれぞれ1フレーム分の走査線を走査したと判断したら、フローをステップS808に移行させる。その際、波長切替え部51は、青色レーザ光源101Bを消灯させる。ステップS806において、赤色レーザ光及び青色レーザ光それぞれによりまだ1フレーム分の走査線の走査がなされていないと判断されると、制御部50はフローをステップS807に移行させる。
ステップS807では、光走査制御部52は、光出力部100の出射光の走査開始位置が、撮影開始位置から延在する最初の走査線の次の走査線の位置に移動するように光走査部5を制御する。或いは、光走査制御部52は、光出力部100の出射光の走査開始位置が、これまで走査した走査線の次の走査線の位置に移動するように光走査部5を制御する。出射光の照射位置の制御が終了すると、制御部50はフローをステップS802に移行させる。以降、1フレームを構成する走査線全てについて、赤色レーザ光及び青色レーザ光それぞれによる走査と、画像生成部53による対応するデジタル信号の取得が行われる。これにより、図6に示される2ライン目以降の走査線についての各色画像の取得が行われる。ステップS806で赤色レーザ光及び青色レーザ光それぞれにより1フレーム分の走査線の走査が終了した(図9の最終ライン目の右端に対応)と判断されると、制御部50はフローをステップS808に移行させる。
ステップS808では、光走査制御部52は、出射光の照射位置が緑色レーザ光の走査開始位置となるように光走査部5を制御する。なお、本実施例では緑色レーザ光で1フレーム分の走査線を連続して走査することから、走査開始位置は赤色レーザ光の1ライン目の走査を開始した際の撮影開始位置となる。また、その際に、波長切替え部51は、青色レーザ光源101Bを消灯する。出射光の照射位置の制御が終了すると、制御部50は、フローをステップS809に移行させる。
ステップS809では、波長切替え部51は、緑色レーザ光源101Gを点灯させる。波長切替え部51は、走査開始位置が所定の位置に移動したことを検出したら、緑色レーザ光源101Gを点灯する。緑色レーザ光源101Gの点灯後、制御部50は、フローをステップS810に移行させる。
ステップS810では、光走査制御部52は、光走査部5を制御し、緑色レーザ光で1フレーム分の走査を行う。図9では、緑色レーザ光(GREENと表記)が1フレーム分ONされた状態として示されている。これにより、1フレーム分を構成するライン全てが緑色レーザ光により連続的に走査され、受光部200にこの走査による緑色レーザ光による戻り光が導かれる。そして、受光部200から出力される光強度信号はデジタル信号に変換された後、制御部50に入力される。これによって、画像生成部53は、緑色レーザ光の走査により得られた1フレーム分のデジタル信号を取得する。ステップS810の処理を実行することにより、赤色レーザ光、青色レーザ光、及び緑色レーザ光による1フレーム分の走査線の走査が終了する。
ステップS810の処理が終了すると波長切替え部51は、緑色レーザ光源101Gを消灯させる(図9の撮影終了に対応)。また、制御部50は、フローを移行させ、撮影処理を終了させる。撮影処理終了後、波長切替え部51は、赤外レーザ光源101IRを点灯し、眼底観察画像の取得を開始する。取得された眼底観察画像は、表示部400に表示される。
撮影終了後、画像生成部53は、赤色レーザ光における1フレーム分のデジタル信号から赤色眼底画像を生成し、青色レーザ光における1フレーム分のデジタル信号から青色眼底画像を生成する。また、同様に、緑色レーザ光における1フレーム分のデジタル信号から緑色眼底画像を生成する。合成処理部54は、生成された赤色眼底画像、青色眼底画像、及び緑色眼底画像を合成処理し、3色からなる疑似カラー眼底画像を生成する。なお、各色眼底画像を合成処理する際に、眼底観察画像との間で位置ずれ補正を行うようにしてもよい。位置ずれ補正の方法は、実施例1において説明した疑似カラー眼底画像と眼底観察画像との位置ずれ補正の方法と同様であるため、ここでの詳述は省略する。また、実施例1と同様に、疑似カラー眼底画像と眼底観察画像との位置ずれ補正を行った後に疑似カラー眼底画像を表示するとよい。
なお、疑似カラー眼底画像を生成するタイミングは、上述したように撮影終了後でなくてもよい。例えば、赤色レーザ光又は青色レーザ光における1ライン分のデジタル信号を取得した時点で1ライン分の2色の眼底画像を合成した合成眼底画像を生成してもよい。この場合、赤色レーザ光及び青色レーザ光における1ライン分の合成眼底画像が1フレーム分揃った時点で、1フレームの2色の合成眼底画像を生成するとよい。そして、緑色レーザ光における1フレーム分のデジタル信号を取得した時点で1フレーム分の緑色眼底画像を生成し、これと2色の合成眼底画像とを合成処理して3色からなる疑似カラー眼底画像を生成する。
実施例1と同様に、本実施例においても、複数ラインによって1走査線セットを構成することができる。この場合、第1の実施例と同様に、必要に応じて各走査線セットから得た2色の合成眼底画像の各々について位置ずれ補正をしながらつなぎ合わせることが必要となることもある。また、本実施例の場合、1色のレーザ光で1フレーム分の眼底画像を単独で取得しており、1フレームにつなぎ合わせた合成眼底画像とこの単色の眼底画像とを更に合成することを要する。この場合、つなぎ合わせた合成眼底画像と単色の眼底画像との間の位置ずれ量を求めて該位置ずれ量を補正することを要する。この場合、眼底観察画像と疑似カラー眼底画像とを位置合わせした場合と同様の処理を、単色の眼底画像とつなぎ合わせた合成眼底画像との間で行うとよい。
上述したように、本実施例では、赤色レーザ光と青色レーザ光とに関し、1ラインごとに走査するレーザ光の波長を変更し、2色の眼底画像を該1ラインから連続的に得ている。従って、同一ラインから得た赤青2色の眼底画像間では取得時間の差がごく僅かであり、この時間において被検眼が動く可能性も非常に小さなものとなる。このため1フレーム毎の各色の画像を取得した場合と比較し、これら2色の眼底画像から合成眼底画像を生成する場合に各色画像間での位置ずれを考慮する必要性が大幅に低減される。緑色眼底画像の合成については従来の合成処理と同様となるが、少なくとも赤青2色の合成処理の負荷が低減されることから、合成処理全体としての処理の容易化を見込むことができる。
なお、上述した例では、赤色レーザ光と青色レーザ光とで同一走査線を連続的に走査し、緑色レーザ光で1フレームの走査を行うこととしているが、必ずしもこの組み合わせでなくてもよい。例えば赤色レーザ光と緑色レーザ光とで同一走査線を連続的に走査することとしてもよい。また、上述した例では、同一走査線を異なる色のレーザ光で連続的に走査した後に残りの色のレーザ光で1フレームの走査を実行しているが、必ずしもこの順番で行わなくてもよい。単色のレーザ光による1フレームの走査を先に行ってもよい。また、上述した例では、1走査線毎に、2色のレーザ光で走査することとしているが、実施例1で述べたように、1走査線セット毎にレーザ光の波長を切替えて、該1走査線セット毎に2色のレーザ光によるデジタル信号を取得することとしてもよい。
一方、人の眼は、光を感じると対光反射によって縮瞳が起こることが知られている。縮瞳が起こると、眼底を走査するレーザ光の反射光が瞳孔によって邪魔をされて、反射光量が減少し、眼底画像が暗くなる。また、縮瞳の起こりやすさは入射するレーザ光の波長域にも依存する。赤色レーザ光波長域、緑色レーザ光波長域、及び青色レーザ光波長域を比べた場合、特に緑色レーザ光波長域に対して縮瞳が起こりやすい。また、赤色レーザ光に比べて、青色レーザ光は眼底からの反射光が弱いため、眼底画像が暗くなりやすい。そのため、画像のコントラスト比が低く、画像処理によって特徴点の位置を検出しづらい。そのため、初めに赤色レーザ光、次に青色レーザ光の組み合わせでライン毎に走査し、最後に緑色レーザ光でフレームの走査をすることが好ましい。また、この場合、縮瞳に対応して緑色レーザ光の出力を変化させてもよい。
本実施例では、波長切替え部51は、第1の波長域(赤色)及び第2の波長域(青色)とは異なる第3の波長域(緑色)のレーザ光が出射されるように光出力部100を制御する。この場合に、光走査制御部52は、1フレームの画像を構成するための複数の走査線を緑色レーザ光で連続して走査するように光走査部5を制御(制御可能とされる)できる。合成処理部54は、緑色レーザ光の眼底からの反射光を用いて取得した1フレームの第3の画像(緑色眼底画像)と、第1の画像(赤色眼底画像)と第2の画像(青色眼底画像)とを合成した1フレームの合成画像と、を用いる。これにより、1フレームの疑似カラー画像(疑似カラー眼底画像)が生成できる。
一の走査線セットからは、赤色眼底画像の一部と、青色眼底画像の一部とが得られる。赤色眼底画像の一部は、赤色レーザ光で一の走査線セットを走査して得た該一の走査線セットに対応し、青色眼底画像の一部は、青色レーザ光で一の走査線セットを走査して得た該一の走査線セットに対応する。合成処理部54は、これら画像の一部を合成して一の走査線セットに対応する1フレームの合成画像(合成眼底画像)の一部を生成する。この場合、1フレームの合成画像は、複数の走査線セットの各々に対応する該1フレームの合成画像の一部を合成して生成される。合成処理部54は、このようにして得られた1フレームの合成画像と、緑色レーザ光で眼底を走査して得た1フレームの緑色眼底画像とを合成することで、疑似カラー眼底画像を生成する。なお、検査対象が被検眼である場合、1フレームの走査線を一度に走査する第3の波長域として、緑色光の波長域を選択するとよい。これにより縮瞳を低減して疑似カラー眼底画像を得ることができる。
以上の制御を行うことにより、同一セット内における赤色レーザ光のデジタル信号、青色レーザ光のデジタル信号を短時間で取得することができる。これによって、赤色眼底画像と青色眼底画像間での位置ずれを低減し、位置ずれ補正のために青色眼底画像から特徴点の位置を検出する画像処理をなくすことができる。また、緑色レーザ光による走査を最後にすることで縮瞳するタイミング及び縮瞳の時間を遅らせることができる。これによって、合成に適した赤色眼底画像、青色眼底画像、及び緑色眼底画像を取得することができ、より良好な疑似カラー眼底画像を生成することができる。
[その他の実施例]
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。該コンピュータは、1又は複数のプロセッサー又は回路を有し、コンピュータが実行可能命令を読み出して実行するために、分離した複数のコンピュータ又は分離した複数のプロセッサー又は回路のネットワークを含みうる。プロセッサー又は回路は、中央演算処理装置(CPU)、マイクロプロセッシングユニット(MPU)、グラフィクスプロセッシングユニット(GPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートウェイ(FPGA)を含みうる。また、プロセッサー又は回路は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、データフロープロセッサ(DFP)、又はニューラルプロセッシングユニット(NPU)を含みうる。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
50:制御部
51:波長切替え部
52:光走査制御部
53:画像生成部
54:合成処理部
100:光出力部

Claims (16)

  1. 撮影用のレーザ光であって、異なる波長域のレーザ光を出射する光出力部と、
    前記撮影用のレーザ光で被検査物上を走査する走査線であって、1フレームの画像を構成するための複数の走査線を複数の走査線セットに分けて得られる走査線セットの内の一の走査線セットを第1の波長域のレーザ光で走査した後に、前記光出力部が出射するレーザ光の波長域を切替えて第2の波長域のレーザ光が出射されるように前記光出力部を制御可能な波長切替え部と、
    前記第1の波長域のレーザ光で前記一の走査線セットを走査した後に前記波長域が切替えられた場合に、前記第2の波長域のレーザ光で前記一の走査線セットを走査するように光走査部を制御する光走査制御部と、
    前記第1の波長域のレーザ光の前記被検査物からの反射光を用いて取得した第1の画像と、前記第2の波長域のレーザ光の前記被検査物からの反射光を用いて取得した第2の画像とを用いて1フレームの疑似カラー画像を生成する合成処理部と、
    を備える走査型検査装置。
  2. 前記合成処理部は、前記第1の波長域のレーザ光で前記一の走査線セットを走査して得た前記一の走査線セットに対応する前記第1の画像の一部と、前記第2の波長域のレーザ光で前記一の走査線セットを走査して得た前記一の走査線セットに対応する前記第2の画像の一部と、を用いて前記一の走査線セットに対応する前記1フレームの疑似カラー画像の一部を生成し、
    前記1フレームの疑似カラー画像は、複数の走査線セットの各々に対応する前記1フレームの疑似カラー画像の一部を合成して生成される請求項1に記載の走査型検査装置。
  3. 前記第1の波長域及び前記第2の波長域とは異なる第3の波長域のレーザ光が出射されるように前記波長切替え部が前記光出力部を制御した場合に、前記第1の波長域のレーザ光で前記一の走査線セットを走査し、前記第2の波長域のレーザ光で前記一の走査線セットを走査した後に、前記光走査制御部は前記第3の波長域のレーザ光で前記一の走査線セットを走査するように光走査部を制御し、
    前記合成処理部は、前記第1の画像と、前記第2の画像と、前記第3の波長域のレーザ光の前記被検査物からの反射光を用いて取得した第3の画像と、を用いて前記1フレームの疑似カラー画像を生成する請求項1に記載の走査型検査装置。
  4. 前記合成処理部は、前記第1の波長域のレーザ光で前記一の走査線セットを走査して得た前記一の走査線セットに対応する前記第1の画像の一部と、前記第2の波長域のレーザ光で前記一の走査線セットを走査して得た前記一の走査線セットに対応する前記第2の画像の一部と、前記第3の波長域のレーザ光で前記一の走査線セットを走査して得た前記一の走査線セットに対応する前記第3の画像の一部と、を合成して前記一の走査線セットに対応する前記1フレームの疑似カラー画像の一部を生成し、
    前記1フレームの疑似カラー画像は、複数の走査線セットの各々に対応する前記1フレームの疑似カラー画像の一部を合成して生成される請求項3に記載の走査型検査装置。
  5. 前記光走査制御部は、前記第1の波長域及び前記第2の波長域とは異なる第3の波長域のレーザ光が出射されるように前記波長切替え部が前記光出力部を制御した場合に、前記1フレームの画像を構成するための複数の前記走査線を前記第3の波長域のレーザ光で連続して走査するように前記光走査部を制御可能であり、
    前記合成処理部は、前記第3の波長域のレーザ光の前記被検査物からの反射光を用いて取得した1フレームの第3の画像と、前記第1の画像と前記第2の画像とを合成した1フレームの合成画像と、を用いて前記1フレームの疑似カラー画像を生成する請求項1又は2に記載の走査型検査装置。
  6. 前記被検査物は、被検眼であって、
    前記第3の波長域は、緑色光の波長域である請求項3乃至5のいずれか1項に記載の走査型検査装置。
  7. 前記一の走査線セットに対応する前記1フレームの疑似カラー画像の一部が生成される毎に、前記生成された疑似カラー画像の一部を表示部に順次表示させる表示制御部を更に備える請求項2又は4に記載の走査型検査装置。
  8. 観察用画像を得るために、前記光出力部は、観察用の波長域のレーザ光を出力可能であり、
    前記光走査制御部は、前記被検査物の観察用の波長域のレーザ光が出射されるように前記波長切替え部が前記光出力部を制御した場合に、前記1フレームの画像を構成するための複数の前記走査線を前記観察用の波長域のレーザ光で連続して走査するように前記光走査部を制御する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の走査型検査装置。
  9. 前記合成処理部は、前記観察用の波長域のレーザ光の前記被検査物からの反射光を用いて取得した前記観察用画像と、前記疑似カラー画像との位置を合わせるように前記疑似カラー画像を合成する請求項8に記載の走査型検査装置。
  10. 表示部に前記観察用画像と前記疑似カラー画像とを表示させる表示制御部を更に備え、
    前記波長切替え部は、前記第1の波長域のレーザ光を前記光出力部から出射させるまで前記観察用の波長域のレーザ光を前記光出力部から出射させ、
    前記表示制御部は、前記疑似カラー画像が前記表示部に表示されるまで、前記第1の波長域のレーザ光が前記光出力部から出射されるまでに前記観察用の波長域のレーザ光の走査により得た観察用画像を前記表示部に表示させる請求項8又は9に記載の走査型検査装置。
  11. 前記観察用の波長域は、赤外光の波長域であり、
    前記第1の波長域は、赤色光の波長域である請求項8乃至10のいずれか1項に記載の走査型検査装置。
  12. 前記光走査部は、共振ミラーを有するスキャナを含み、
    前記走査線セットは、前記スキャナの往復走査に対応する2つの走査線からなる請求項1乃至11のいずれか1項に記載の走査型検査装置。
  13. 前記光走査部は、ポリゴンミラーを有するスキャナを含み、
    前記走査線セットは、前記ポリゴンミラーの面数に対応する数の走査線からなる請求項1乃至11のいずれか1項に記載の走査型検査装置。
  14. 前記光走査制御部は、前記1フレームの画像を構成する走査線において、任意の数の走
    査線セットの数を空けて位置する走査線セットについて、撮影用のレーザ光で順次走査するように前記光走査部を制御する請求項1乃至11のいずれか1項に記載の走査型検査装置。
  15. 撮影用のレーザ光であって、異なる波長域のレーザ光を出射する光出力部と、
    前記撮影用のレーザ光で被検査物上を走査する走査線であって、1フレームの画像を構成するための複数の走査線を複数の走査線セットに分けて得られる走査線セットの内の一の走査線セットを第1の波長域のレーザ光で走査した後に、前記光出力部が出射するレーザ光の波長域を切替えて第2の波長域のレーザ光が出射されるように前記光出力部を制御可能な波長切替え部と、を備える走査型検査装置の制御方法であって、
    前記第1の波長域のレーザ光で前記一の走査線セットを走査した後に前記波長域が切替えられた場合に、前記第2の波長域のレーザ光で前記一の走査線セットを走査するように光走査部を制御し、
    前記第1の波長域のレーザ光の前記被検査物からの反射光を用いて取得した第1の画像と、前記第2の波長域のレーザ光の前記被検査物からの反射光を用いて取得した第2の画像とを用いて1フレームの疑似カラー画像を生成する、
    ことを含む走査型検査装置の制御方法。
  16. プロセッサーによって実行されると、該プロセッサーに請求項15に記載の走査型検査装置の制御方法の各工程を実行させる、プログラム。
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