JP2022033075A - 作業機 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に開示された作業機は、原動機の動力を利用して駆動する作業装置や走行装置を有し、これらの装置によって作業を行う。また、作業機は、原動機の動力により駆動する油圧ポンプを有し、該油圧ポンプから吐出する作動油によって、オイルクーラ、ラジエータ等の冷却対象を冷却する冷却装置を駆動している。
本発明は、前記問題点に鑑み、作業性の向上を図ることができる作業機を提供することを目的とする。
また、前記制御装置は、前記原動機実回転数が閾値回転数よりも低下した場合に前記減少制御を行い、前記原動機実回転数が閾値回転数よりも低下していない場合に前記ファン目標回転数を設定する第1設定部と、前記減少制御を行う場合の前記ファン目標回転数を設定する第2設定部と、前記復帰制御を行う場合の前記ファン目標回転数を設定する第3設定部と含む。
また、前記第3設定部は、前記測定装置で測定された水温及び油温の少なくともいずれかが大きくなるにつれて、前記第3ファン目標回転数の増加幅を大きくする。
前記制御装置は、作業機を循環する冷却水の水温に基づいて設定される前記ファン目標回転数と、作業機を循環する作動油の油温に基づいて設定される前記ファン目標回転数とのうちの高い方の前記ファン目標回転数を選択する。
また、前記冷却装置は、前記作動油によって前記冷却ファンを回転させる油圧モータと、前記油圧モータの入側及び出側に接続されたバイパス油路と、前記バイパス油路に流れる作動油の流量を調節する油圧調整部とを有し、前記油圧調整部によって前記作動油の流量を調節することで、前記ファン目標回転数を変更する。
図13は、本発明に係る作業機1の側面図を示している。図13では、作業機1の一例として、コンパクトトラックローダを示している。但し、本発明に係る作業機1はコンパクトトラックローダに限定されず、例えば、スキッドステアローダ等の他の種類のローダ作業機であってもよい。また、ローダ作業機以外の作業機であってもよい。
キャビン3は、機体2に搭載されている。このキャビン3の室内にはオペレータが着座する運転席8が設けられている。作業装置4は機体2に装着されている。一対の走行装置5は、機体2の外側に設けられている。機体2内の後部には、原動機6が搭載されている。
ブーム10は、キャビン3の右側及び左側に上下揺動自在に設けられている。作業具11は、例えば、バケットであって、当該バケット11は、ブーム10の先端部(前端部)に上下揺動自在に設けられている。リフトリンク12及び制御リンク13は、ブーム10が上下揺動自在となるように、ブーム10の基部(後部)を支持している。ブームシリンダ14は、伸縮することによりブーム10を昇降させる。バケットシリンダ15は、伸縮することによりバケット11を揺動させる。
リフトリンク12、制御リンク13及びブームシリンダ14は、左側と右側の各ブーム10に対応して機体2の左側と右側にそれぞれ設けられている。
リフトリンク12は、各ブーム10の基部の後部に、縦向きに設けられている。このリフトリンク12の上部(一端側)は、各ブーム10の基部の後部寄りに枢支軸16(第1枢支軸)を介して横軸(機体幅方向に延伸する軸心)回りに回転自在に枢支されている。また、リフトリンク12の下部(他端側)は、機体2の後部寄りに枢支軸17(第2枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第2枢支軸17は、第1枢支軸16の下方に設けられている。
左側のブーム10の前部には、接続部材50が設けられている。接続部材50は、予備アタッチメントに装備された油圧機器と、ブーム10に設けられたパイプ等の管材とを接続する装置である。
一対の走行装置5は、油圧駆動型の装置であって、油圧モータで構成される走行モータM1で駆動される。一対の走行装置5のうち、一方の走行装置5は機体2の左側に設けられ、他方の走行装置5は機体2の右側に設けられている。一対の走行装置5は、本実施形態ではクローラ型(セミクローラ型を含む)の走行装置が採用されている。なお、前輪及び後輪を有する車輪型の走行装置を採用してもよい。
次に、作業機1の油圧制御システムH1について説明する。
図1に示すように、油圧制御システムH1は、第1ポンプP1(第1油圧ポンプ)と、第2ポンプP2(第2油圧ポンプ)とを備えている。第1ポンプP1及び第2ポンプP2は、エンジン6の動力によって駆動される定容量型のギヤポンプであって、作動油を貯留したタンクから作動油を吸い込んで吐出する油圧ポンプである。第1ポンプP1は、油圧アクチュエータを駆動する作動油を吐出する油圧ポンプである。第1ポンプP1から吐出される作動油によって駆動される油圧アクチュエータは、例えば、作業装置4のブームシリンダ14及びバケットシリンダ15や、走行装置5の走行モータM1や、バケット11の代わりに装着される図1に示すアタッチメント33に装備される油圧アクチュエータ等である。第2ポンプP2から吐出される作動油は、信号用や制御用の作動油を供給するために使用される。説明の便宜上、信号用や制御用の作動油のことをパイロット油、当該パイロット油の圧力のことをパイロット圧ということがある。
SP制御弁30は、パイロット方式の直動スプール形3位置切換弁であり、パイロット圧によって中立位置35aと第1位置35bと第2位置35cとに切換自在である。SP制御弁30は、バネによって中立位置35aに戻される。
また、SP制御弁30と接続部材50との間には、作動油供給路39が接続されている。作動油供給路39は、2つの流路から構成されており、一方の流路39iは、第1逃がし路m1を介してバイパス油路h1に接続され、他方の流路39jは、第2逃がし路n1を介してバイパス油路h1に接続されている。第1,第2逃がし路m1,n1には、それぞれリリーフ弁40,41が設けられている。
図1に示すように、一方の第1電磁弁31は、第1パイロット油路q1を介してSP制御弁30の受圧部42aに接続されている。他方の第1電磁弁32は、第2パイロット油路r1を介してSP制御弁30の受圧部42bに接続されている。第1電磁弁31,32には、後述する第3油路t1を介して第2ポンプP2からのパイロット油(圧油)が供給可能である。
また、他方の第1電磁弁32によって、SP制御弁30を第2位置35cに切り換えると、他方の流路39jからアタッチメント33へと第1ポンプP1からの作動油が供給されると共にアタッチメント33からの戻りの油が一方の流路39iから排油路k1に流れる。
図1に示すように、第2ポンプP2には、当該第2ポンプP2から吐出した作動油が流れる流路である油路s1(第1油路s1という)が接続されている。この第1油路s1における第2ポンプP2よりも下流側には、冷却装置66が設けられている。冷却装置66は、作動油を冷却するオイルクーラ67、エンジン6の冷却水を冷却するラジエータ68等の冷却対象69を冷却する装置であって、第2ポンプ(油圧ポンプ)P2から吐出した作動油によって駆動される。
冷却装置66は、回転して冷却風を起こす冷却ファン61と、冷却ファン61を回転駆動するファンモータ60と、ファンモータ60をバイパスして作動油を流すバイパス回路70と、ファンモータ60及びバイパス回路70を収容するモータハウジング71とを有している。
ファンモータ60は、油圧モータによって構成され、第2ポンプP2からの作動油によって駆動する。詳しくは、図2に示すように、モータハウジング71の入口ポートP10に第1油路s1が接続され、入口ポートP10とファンモータ60の入側(一次側)とが接続油路(第1接続油路という)72で接続され、モータハウジング71の出口ポートS10とファンモータ60の出側(二次側)とが接続油路(第2接続油路という)73で接続されている。入口ポートP10に流入した作動油は、第1接続油路72を介してファンモータ60に流入し、ファンモータ60を通った作動油は、第2接続油路73を介して出口ポートS10へ流れる。このファンモータ60を通過する作動油によってファンモータ60が駆動されて冷却ファン61が回転する。
図2に示すように、バイパス油路74は、第1接続油路72と油圧調整部64とを接続する上流油路75と、第2接続油路73と油圧調整部64とを接続する下流油路76とを有している。
油圧調整部64は、本実施形態では、可変ソレノイド64aを有する電磁式の比例弁(可変リリーフ弁)によって構成されている。油圧調整部64は、可変ソレノイド64aを消磁することで全閉となり、入口ポートP10に流入した殆どの作動油がファンモータ60へ流入する。これにより、冷却ファン61の回転数であるファン回転数が最高回転数となる。
つまり、油圧調整部64の開度を調節することにより、ファンモータ60に供給される作動油の流量を調節している。
図1に示すように、油圧制御システムH1は、制御装置51を有している。制御装置51は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などを備えたマイクロコンピュータを利用して構成される。制御装置51には、アタッチメント操作部材25aと、エンジン回転設定部材(原動機回転設定部材)25bとが接続されている。アタッチメント操作部材25a及びエンジン回転設定部材25bは、スイッチやレバー等により構成されている。アタッチメント操作部材25aは、アタッチメント33を操作する操作部材である。
また、制御装置51は、エンジン目標回転数の制御を行う。つまり、制御装置51には、エンジン回転設定部材25bの操作信号(操作量)が入力され、制御装置51は、エンジン回転設定部材25bの操作量に応じた回転数であるエンジン目標回転数を設定する制御信号を、エンジン6に出力する。エンジン6は、この制御信号を受けてエンジン回転設定部材25bで指示された指示回転数であるエンジン指示回転数に対応するエンジン目標回転数になるように該エンジン目標回転数を制御する。
図1に示すように、制御装置51には、油圧調整部64の可変ソレノイド64aが接続されている。つまり、制御装置51は、可変ソレノイド64aを消磁又は可変ソレノイド64aに電流を印加して油圧調整部64の開度を制御する。また、制御装置51には、第1電磁弁31,32のソレノイド36a,37aが接続されている。制御装置51は、第1電磁弁31,32を制御する。
本実施形態では、作業性の向上を図るために、エンジン6にかかる負荷が大きくなってエンジン実回転数が低下した場合に、制御装置51は、冷却ファン61の目標回転数であるファン目標回転数を減少させる減少制御を行っている。詳しくは、制御装置51は、エンジン6にかかる負荷が大きくなってエンジン実回転数がエンジン目標回転数に対して閾値回転数よりも低下した場合に、減少制御を行っている。重負荷作業にて、ファン目標回転数を減少させて冷却装置66が消費する消費馬力を抑制することで、作業装置4や走行装置5に充てる馬力を増加させることができ、延いては作業性を向上させることができる。
また、エンジン実回転数が閾値回転数以上に上昇すると、ファン目標回転数を高めて冷却ファン61による冷却性能を高めるべく、制御装置51は、減少制御後にファン目標回転数を復帰させる復帰制御を行う。
次に、ファン目標回転数の減少制御、復帰制御について、図2、図3を参照して詳細に説明する。図2は、冷却装置66の制御系を示す。図3は、エンジン実回転数とファン目標回転数の相関関係を示す図であって、横軸にエンジン実回転数を示し、縦軸にファン目標回転数(=バイパスリリーフ弁の差圧設定)を示している。
第1設定部51aは、ファン目標回転数を第1ファン目標回転数X1(図3参照)に設定する。第2設定部51bは、減少制御を行う場合の第2ファン目標回転数X2(図3参照)を、第1設定部51aで設定された第1ファン目標回転数X1よりも小さく設定する。本実施形態では、第2設定部51bは、ファン目標回転数を最低回転数である第2ファン目標回転数X2に設定する。ファン目標回転数を第2ファン目標回転数X2に設定する制御としては、油圧調整部64を全開する。第3設定部51cは、ファン目標回転数を第2ファン目標回転数X2以上且つ第1ファン目標回転数X1未満の回転数である第3ファン目標回転数X3(図3参照)に設定する。ファン目標回転数を第3ファン目標回転数X3に設定する制御としては、油圧調整部64の開度を全開と全閉との間で調節する。
図3に示すように、エンジン実回転数がエンジン目標回転数Fから回転数A(閾値回転数)になるまでは、ファン目標回転数はエリアA1に滞在し、制御装置51(第1設定部51a)は、ファン目標回転数を第1ファン目標回転数X1に維持して冷却性能を高める。
エンジン6に過負荷がかかり、エンジン実回転数が回転数Aに落ちると、制御装置51(第2設定部51b)は、ファン目標回転数をエリアA2に切り換える。エリアA2では、制御装置51(第2設定部51b)は、ファン目標回転数を第2ファン目標回転数X2に設定する。これにより、冷却装置66が消費していた馬力を作業装置4や走行装置5に充てることができ、作業性を向上させることができる。エリアA2において、エンジン実回転数が回転数Aよりも低い場合は、制御装置51は、ファン目標回転数を第2ファン目標回転数X2に維持する。
次に、ファン目標回転数の復帰制御について詳しく説明する。
エリアA2において、エンジン実回転数が回転数Aから回転数Bまで復帰(上昇)すると、制御装置51は、エリアA3に移行するようにファン目標回転数を切り換える。エリアA3では、制御装置51(第3設定部51c)は、ファン目標回転数を第2ファン目標回転数X2から第3aファン目標回転数X3aに上昇させる。その後、エンジン実回転数が回転数Cまで復帰すると、制御装置51(第3設定部51c)は、エリアA4に移行するようにファン目標回転数を切り換える。エリアA4では、制御装置51(第3設定部51c)は、ファン目標回転数を第3aファン目標回転数X3aから第3bファン目標回転数X3bに上昇させる。その後、エンジン実回転数が回転数Dまで復帰すると、制御装置51は、エリアA5に移行するようにファン目標回転数を切り換える。エリアA5では、制御装置51(第3設定部51c)は、ファン目標回転数を第3bファン目標回転数X3bから第3cファン目標回転数X3cに上昇させる。その後、エンジン実回転数が回転数Eまで復帰すると、制御装置51(第3設定部51c)は、エリアA1に移行するようにファン目標回転数を切り換え、ファン目標回転数を第1ファン目標回転数X1に復帰(上昇)させる。
次に、回転数Eと回転数A~回転数D、エンジン目標回転数F及びエンジン指示回転数との関係を数値を挙げて説明する。なお、下記に示した数値は一例を示したものであり、該数値は限定されない。
例えば、第5回転数差RD5を350rpmに設定すると、エンジン目標回転数Fと回転数Aとの差である減少制御時のドロップ量DA1は、700rpmとなる。エンジン指示回転数にかかわらずに、第5回転数差RD5が固定であると、エンジン指示回転数が2400rpmのときには、約30%のドロップ量でエンジン目標回転数Fが回転数Aに低下するのに対し、エンジン指示回転数が1150rpmのときにあっては、エンジン目標回転数Fが約60%ドロップしなければ回転数Aまで達しないこととなり、エンジンストールし易くなるおそれがある。
上記では、エンジン実回転数の変化に対するファン目標回転数の制御について述べたが、制御装置51は、冷却対象69の温度の変化に対してもファン目標回転数の制御を行っている。
図5Aは、油温(作動油温度)とエリアA1,A2,A3,A4,A5ごとのファン目標回転数との相関関係を示す図であって、横軸に作動油の温度を示し、縦軸にファン目標回転数を示している。第1設定部51a、第2設定部51b及び第3設定部51cのそれぞれは、図5Aに示すエリアA1,A2,A3,A4,A5と油温に基づいて、ファン目標回転数の設定を行う。なお、下記に示した数値にあっても一例を示したものであり、該数値は限定されない。
エリアA1のファン目標回転数を設定するラインL1では、油温が60℃(点b1)~70℃(点b2)までは、ファン目標回転数を最低回転数から最高回転数まで温度上昇に応じて比例的に上昇させ、油温が70℃以上では、ファン目標回転数を最高回転数に固定している。
上記の制御では、冷却対象69の温度が高くなった場合、初めはエリアA3,エリアA4,エリアA5のファン目標回転数を上昇させ、冷却対象69の温度上昇を緩和する。
その後、更に温度上昇した場合、エリアA2のファン目標回転数を上昇させる。
図5Aに示すように、第1設定部51aは、油温が所定の温度(所定温度)であるとき、ラインL1において所定温度に対応する値を第1ファン目標回転数X1に設定する。第2設定部51bは、油温が所定の温度(所定温度)であるとき、ラインL2において所定温度に対応する値を第2ファン目標回転数X2に設定する。なお、ラインL1において点b1から点b2までの区間は、傾斜していることから第1ファン目標回転数X1と、第2ファン目標回転数X2との差である減少幅W1は、温度が低くなるにつれて小さくなる。
なお、ラインL2において、点b1、点b4、点b3までの区間で設定される第2ファン目標回転数X2と、ラインL3において、点b1、点b5、点b6、点b3までの区間で設定される第3aファン目標回転数X3aとの差を、第3設定部51cは、上昇幅W2に設定する。
ラインL4において、点b1、点b7、点b8、点b3までの区間で設定される第3bファン目標回転数X3bと、ラインL5において、点b1、点b9、点b10、点b3までの区間で設定される第3cファン目標回転数X3cとの差を、第3設定部51cは、上昇幅W4に設定する。
つまり、上記制御によれば、第1設定部51a、第2設定部51b、第3設定部51cのぞれぞれは、測定装置77で測定された油温に基づいて、第1ファン目標回転数X1、第2ファン目標回転数X2及び第3ファン目標回転数X3のそれぞれを設定する。
また、70℃-80℃間の温度範囲では、油温が大きくなっても第3ファン目標回転数X3の上昇幅W2,W3,W4,W5を略一定としており、80℃-90℃間の温度範囲では、油温が大きくなるにつれて、第3ファン目標回転数X3の上昇幅W2,W3,W4,W5は小さくしている。
図5Aに示す例では、油温が60℃以下では、エリアA1~エリアA5ともにファン目標回転数は最低回転数であるのに対し、この図5Bに示す例にあっては、油温が40℃以下では、エリアA1~エリアA5ともにファン目標回転数は最低回転数で、油温が40℃を超えると、エリアA1、A3、A4、A5においてファン目標回転数を70℃まで温度上昇に応じて比例的に上昇させている。その他は、図5Aに示す例と同様に制御される。
図5Cに示すように、水温が、例えば、約83℃(点c1)の温度以下では、エリアA1~エリアA5ともにファン目標回転数は最低回転数である。点c1の温度は、サーモスタットの開き始める温度よりも高く設定される。エンジン6の冷却水は、エンジン6内のサーモスタットが開くことでエンジン6からラジエータ68へ流動するので、サーモスタットが開き始める温度以下の水温では、冷却ファン61を回しても無駄なので、例えば、冷却ファン61を回さないような設定にしている。
エリアA5のファン目標回転数を設定するラインR5では、水温が点c1での温度よりも少し高い点c3での温度(例えば、約84℃)~点c2での温度までは、ファン目標回転数を最低回転数から最高回転数まで温度上昇に応じて比例的に上昇させ、水温が約95℃以上では、ファン目標回転数を最高回転数に固定している。
エリアA3のファン目標回転数を設定するラインR3では、水温が点c4での温度よりも少し高い点c5での温度(例えば、約86℃)~点c2での温度までは、ファン目標回転数を最低回転数から最高回転数まで温度上昇に応じて比例的に上昇させ、水温が約95℃以上では、ファン目標回転数を最高回転数に固定している。
点c2の温度は、サーモスタットが全開になる温度より高く設定される。つまり、サーモスタットが全開となる温度を超える範囲でファン目標回転数を最高回転数に固定している。サーモスタットの全開温度は、例えば、点c5の温度と点c2の温度の間にある。即ち、点c5の温度と点c2の温度の間にサーモスタットの全開温度がくるように、点c5及び点c2が設定される。
図5Cに示すように、第1設定部51aは、水温が所定の温度(所定温度)であるとき、ラインR1において所定温度に対応する値を第1ファン目標回転数X1に設定する。第2設定部51bは、水温が所定の温度(所定温度)であるとき、ラインR2において所定温度に対応する値を第2ファン目標回転数X2に設定する。なお、ラインR1において点c1から点c2までの区間は、傾斜していることから第1ファン目標回転数X1と、第2ファン目標回転数X2との差である減少幅W1は、温度が低くなるにつれて小さくなる。
なお、ラインR2において、点c5、点c6、点c2までの区間で設定される第2ファン目標回転数X2と、ラインR3において、点c5-点c3での区間で設定される第3aファン目標回転数X3aとの差を、第3設定部51cは、上昇幅W2に設定する。
ラインR4において、点b4-点b2での区間で設定される第3bファン目標回転数X3bと、ラインR5において、点b3-点c2での区間で設定される第3cファン目標回転数X3cとの差を、第3設定部51cは、上昇幅W4に設定する。
つまり、上記制御によれば、第1設定部51a、第2設定部51b、第3設定部51cのぞれぞれは、測定装置77で測定された水温に基づいて、第1ファン目標回転数X1、第2ファン目標回転数X2及び第3ファン目標回転数X3のそれぞれを設定する。
制御装置51は、測定装置77で測定された水温及び油温の両方に基づいてファン目標回転数を制御する場合、作業機1を循環する冷却水の水温に基づいて設定されるファン目標回転数と、作業機1を循環する作動油の油温に基づいて設定されるファン目標回転数とのうちの高い方のファン目標回転数を選択する。つまり、制御装置51は、水温に基づいて設定されるファン目標回転数と、油温に基づいて設定されるファン目標回転数とを比較して、数値が高い方のファン目標回転数を採用して、冷却ファン61の回転数の制御を行う。
この変形例に係る冷却装置66にあっては、油圧調整部(バイパスリリーフ弁)64は、上記と同様の電磁式の比例弁(可変リリーフ弁)64Aのほか、電磁式の開閉弁(アンロード弁)64Bを有している。つまり、油圧調整部64は、比例弁64Aとアンロード弁64Bとを有して構成されている。アンロード弁64Bは、全閉位置78と全開位置79との2位置に切り換え可能な弁であって、例えば、ソレノイド80が消磁されているときには、バネ81によって全閉位置78に保持され、ソレノイド80が励磁されると全開位置79に切り換えられる。アンロード弁64Bのソレノイド80は制御装置51に接続されている。
バイパス油路74の下流油路76は、第2接続油路73と比例弁64Aとを接続する第3ライン76aと、第3ライン76aとアンロード弁64Bとを接続する第4ライン76bとを有して構成されている。
その他の構成は、上記実施形態と同様に構成される。
図8及び図9は、ファン目標回転数の減少制御、復帰制御の他の形態を示している。この他の形態にあっては、エンジン実回転数が閾値回転数(回転数A)以上に低下してファン目標回転数を第2ファン目標回転数X2に減少させた後にファン目標回転数を復帰させる復帰制御が異なる。
図9に示す形態は、エンジン実回転数が回転数Bに復帰するまでは、ファン目標回転数を第2ファン目標回転数X2に維持し、エンジン実回転数が回転数Bから回転数Eまで復帰する際は、ファン目標回転数を第2ファン目標回転数X2から第1ファン目標回転数X1までエンジン実回転数の上昇に応じて連続的に上昇させる。つまり、この図9に係る形態における第3設定部51cにあっては、第3ファン目標回転数X3を、第2ファン目標回転数X2と第1ファン目標回転数X1との間で無段階に設定する。
上述した実施形態にあっては、冷却装置66は、油圧駆動型の装置を例示したが、これに限定されることはなく、冷却装置66は、エンジン(原動機)6の動力を利用して駆動される装置であって、エンジン6の動力によって直接駆動される装置であってもよい。つまり、冷却装置66は、エンジン(原動機)6の動力を利用して駆動される装置であればよい。
図10に示すように、冷却装置66は、エンジン6を動力源として駆動する装置であって、粘性の流体を用いた粘性式のクラッチファンである。冷却装置66は、回転軸90と、ロータ98と、ハウジング(ケース)91と、流体設定部(流体設定装置)96と、冷却ファン61とを有している。
回転軸90は、エンジン6の出力軸92の回転動力により回転する軸である。例えば、エンジン6の出力軸92には、当該出力軸92と共に回転するプーリ93が設けられている。また、回転軸90にも、当該回転軸90と共に回転するプーリ94が設けられている。プーリ93とプーリ94とには、ベルト(駆動ベルト)95が掛けられ、プーリ93の回転動力が駆動ベルト95を介してプーリ94に伝達される。即ち、回転軸90は、エンジン6の出力軸92の回転動力によって回転する。
ハウジング91は、回転軸90に軸受97を介して回転自在に支持されている。ハウジング91の外側には、複数枚の羽根を有する冷却ファン61が装着されている。したがって、ハウジング91を回転させることによって冷却ファン61を回転させることができる。
詳しくは、図11に示すように、この他の実施形態にあっても、制御装置51は、エンジン実回転数が閾値回転数よりも低下していない場合にファン目標回転数を設定する第1設定部51aと、減少制御を行う場合のファン目標回転数を設定する第2設定部51bと、復帰制御を行う場合のファン目標回転数を設定する第3設定部51cとを有し、図12に示すように、減少制御では、ファン目標回転数をエリアA1に対応する回転数からエリアA2に対応する回転数に減少させ、復帰制御では、ファン目標回転数をエリアA2に対応する回転数から、エリアA3、A4、A5のそれぞれに対応する回転数の順に上昇(復帰)させる復帰制御を行う。
図12は、エンジン実回転数とファン目標回転数の相関関係を示す図であって、横軸にエンジン実回転数を示し、縦軸にファン目標回転数(=流体クラッチのスリップ率(ロック率))を示している。
また、図11に示すように、制御装置51は、エンジン指示回転数の変化に応じて第5回転数差RD5を変化させる変更部51dを有している。
変更部51dによる制御は、上述した実施形態と同様であるので、図示及び説明を省略する。
制御装置51は、第2検出装置100で検出されたファン実回転数と、ファン目標回転数との差分を求める。比例制御部51eは、ファン実回転数とファン目標回転数との差分に対して、予め設定された設定された比例ゲインを掛けて(乗算して)比例制御を行う。
微分制御部51gは、ファン実回転数とファン目標回転数との差分に対して、予め設定された設定された微分ゲインを掛けて(乗算して)微分制御(D制御)を行う。
なお、この図10、図11に示す他の実施形態にあっても、図5A,図5B,図5Cに示す、温度(油温、水温)に基づくファン目標回転数の制御が行われる。この場合、この他の実施形態にあっては、図5A,図5B,図5Cにおける縦軸はファン目標回転数(=流体クラッチのスリップ率(ロック率))となる。
本実施形態の作業機1は、原動機(エンジン6)と、原動機6の動力により駆動される油圧ポンプP2と、原動機6の動力及び油圧ポンプP2から吐出した作動油のいずれかで回転する冷却ファン61を有する冷却装置66と、原動機6の実際の回転数である原動機実回転数が低下した場合に冷却ファン61の目標回転数であるファン目標回転数を減少させる減少制御を行い、且つ、減少制御後にファン目標回転数を復帰させる復帰制御を行う制御装置51と、を備え、制御装置51は、復帰制御におけるファン目標回転数の上昇度合いW2,W3,W4,W5と、減少制御におけるファン目標回転数の減少度合いW1とを異ならせる。
また、制御装置51は、復帰制御におけるファン目標回転数の上昇度合いW2,W3,W4,W5を、減少制御におけるファン目標回転数の減少度合いW1よりも小さくする。
また、制御装置51は、前記原動機実回転数が閾値回転数(回転数A)よりも低下した場合に減少制御を行い、原動機実回転数が閾値回転数よりも低下していない場合にファン目標回転数を設定する第1設定部51aと、減少制御を行う場合のファン目標回転数を設定する第2設定部51bと、復帰制御を行う場合のファン目標回転数を設定する第3設定部51cと含む。
また、第2設定部51bは、減少制御を行う場合のファン目標回転数である第2ファン目標回転数X2を、第1設定部51aで設定されたファン目標回転数である第1ファン目標回転数X1よりも小さく設定し、第3設定部51cは、復帰制御を行う場合のファン目標回転数である第3ファン目標回転数X3を、第2ファン目標回転数X2以上且つ第1ファン目標回転数X1未満に設定する。
また、作業機1を循環する冷却水の水温及び作動油の油温の少なくともいずれかを測定する測定装置77を備え、第1設定部51a、第2設定部51b、第3設定部51cのぞれぞれは、測定装置77で測定された水温及び油温の少なくともいずれかに基づいて、第1ファン目標回転数X1、第2ファン目標回転数X2及び第3ファン目標回転数X3のそれぞれを設定する。
また、第3設定部51cは、測定装置77で測定された水温及び油温の少なくともいずれかが大きくなるにつれて、第3ファン目標回転数X3の上昇幅を大きくする。
この構成によれば、冷却装置66の冷却対象のオーバーヒートを抑制することができる。
この構成によれば、復帰制御の際のファン目標回転数を緩やかにすることができる。
制御装置51は、作業機1を循環する冷却水の水温に基づいて設定されるファン目標回転数と、作業機1を循環する作動油の油温に基づいて設定されるファン目標回転数とのうちの高い方のファン目標回転数を選択する。
また、制御装置51は、作業機1を循環する冷却水の水温または作動油の油温が一定以上の場合は、減少制御を行わない。
この構成によれば、オーバーヒートを抑制することができる。
また、冷却装置66は、作動油によって冷却ファン61を回転させる油圧モータ60と、油圧モータ60の入側及び出側に接続されたバイパス油路74と、バイパス油路74に流れる作動油の流量を調節する油圧調整部64とを有し、油圧調整部64によって作動油の流量を調節することで、ファン目標回転数を変更する。
また、本実施形態の作業機1は、原動機(エンジン6)と、原動機6の動力により駆動される油圧ポンプP2と、原動機6の動力及び油圧ポンプP2から吐出した作動油のいずれかで回転する冷却ファン61を有する冷却装置66と、原動機6の実際の回転数である原動機実回転数が閾値回転数(回転数A)よりも低下した場合に冷却ファン61の目標回転数であるファン目標回転数を減少させる減少制御を行い、且つ、減少制御後にファン目標回転数を復帰させる復帰制御を行う制御装置51と、制御装置51に、原動機6の目標回転数である原動機目標回転数(エンジン目標回転数F)を指示する操作信号を出力する原動機回転設定部材25bと、を備え、制御装置51は、原動機回転設定部材25bで指示された指示回転数である原動機指示回転数に基づいて原動機目標回転数を制御すると共に、原動機指示回転数の変化に応じて閾値回転数を変化させる。
また、原動機指示回転数の変化に応じて閾値回転数を変化させることで、原動機指示回転数が高い時と低い時の性能を両立させることができる。
この構成によれば、原動機指示回転数の変化に応じて閾値回転数を最適な値に変化させることができる。
また、制御装置51は、閾値回転数と原動機目標回転数との間に複数の復帰原動機実回転数(回転数B~回転数E)を設定し、複数の復帰原動機実回転数のうちの最小回転数(回転数B)から順にファン目標回転数を段階状に上げる復帰制御を行い、且つ複数の復帰原動機実回転数のうちの最大回転数(回転数E)と閾値回転数との差を固定値として最大回転数と原動機目標回転数との差を原動機指示回転数の変化に応じて変化させる。
また、制御装置は、最大回転数と原動機目標回転数との差を原動機指示回転数の変化に応じて比例的に変化させる。
この構成によっても、原動機指示回転数の変化に応じて閾値回転数を最適な値に変化させることができる。
この構成によれば、閾値回転数と最小回転数との差を大きくすることで、閾値回転数と最小回転数との間を行き来することによる制御のハンチングを抑制することができる。
この構成によっても、制御のハンチングを抑制することができる。
また、減少制御は、ファン目標回転数を零回転数を含む最低回転数にする制御である。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
51 制御装置
51a 第1設定部
51b 第2設定部
51c 第3設定部
60 油圧モータ
61 冷却ファン
64 油圧調整部
66 冷却装置
74 バイパス油路
77 測定装置
A 閾値回転数(回転数A)
P2 油圧ポンプ
W1 減少度合い
W2 上昇度合い
W3 上昇度合い
W4 上昇度合い
W5 上昇度合い
X1 第1ファン目標回転数
X2 第2ファン目標回転数
X3 第3ファン目標回転数
Claims (10)
- 原動機と、
前記原動機の動力により駆動される油圧ポンプと、
前記原動機の動力及び前記油圧ポンプから吐出した作動油のいずれかで回転する冷却ファンを有する冷却装置と、
前記原動機の実際の回転数である原動機実回転数が低下した場合に前記冷却ファンの目標回転数であるファン目標回転数を減少させる減少制御を行い、且つ、前記減少制御後に前記ファン目標回転数を復帰させる復帰制御を行う制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記復帰制御における前記ファン目標回転数の上昇度合いと、前記減少制御における前記ファン目標回転数の減少度合いとを異ならせる作業機。 - 前記制御装置は、前記復帰制御における前記ファン目標回転数の上昇度合いを、前記減少制御における前記ファン目標回転数の減少度合いよりも小さくする請求項1に記載の作業機。
- 前記制御装置は、前記原動機実回転数が閾値回転数よりも低下した場合に前記減少制御を行い、前記原動機実回転数が前記閾値回転数よりも低下していない場合に前記ファン目標回転数を設定する第1設定部と、前記減少制御を行う場合の前記ファン目標回転数を設定する第2設定部と、前記復帰制御を行う場合の前記ファン目標回転数を設定する第3設定部と含む請求項1または2に記載の作業機。
- 前記第2設定部は、前記減少制御を行う場合の前記ファン目標回転数である第2ファン目標回転数を、前記第1設定部で設定された前記ファン目標回転数である第1ファン目標回転数よりも小さく設定し、
前記第3設定部は、前記復帰制御を行う場合の前記ファン目標回転数である第3ファン目標回転数を、前記第2ファン目標回転数以上且つ前記第1ファン目標回転数未満に設定する請求項3に記載の作業機。 - 作業機を循環する冷却水の水温及び作動油の油温の少なくともいずれかを測定する測定装置を備え、
前記第1設定部、前記第2設定部、前記第3設定部のぞれぞれは、前記測定装置で測定された水温及び油温の少なくともいずれかに基づいて、第1ファン目標回転数、第2ファン目標回転数及び第3ファン目標回転数のそれぞれを設定する請求項3または4に記載の作業機。 - 前記第3設定部は、前記測定装置で測定された水温及び油温の少なくともいずれかが大きくなるにつれて、前記第3ファン目標回転数の上昇幅を大きくする請求項5に記載の作業機。
- 前記第3設定部は、前記第3ファン目標回転数を、前記第2ファン目標回転数以上且つ前記第1ファン目標回転数未満の間で、複数設定する請求項3~6のいずれか1項に記載の作業機。
- 前記制御装置は、作業機を循環する冷却水の水温に基づいて設定される前記ファン目標回転数と、作業機を循環する作動油の油温に基づいて設定される前記ファン目標回転数とのうちの高い方の前記ファン目標回転数を選択する請求項1~7のいずれか1項に記載の作業機。
- 前記制御装置は、作業機を循環する冷却水の水温または作動油の油温が一定以上の場合は、前記減少制御を行わない請求項1~8のいずれか1項に記載の作業機。
- 前記冷却装置は、前記作動油によって前記冷却ファンを回転させる油圧モータと、前記油圧モータの入側及び出側に接続されたバイパス油路と、前記バイパス油路に流れる作動油の流量を調節する油圧調整部とを有し、
前記油圧調整部によって前記作動油の流量を調節することで、前記ファン目標回転数を変更する請求項1~9のいずれか1項に記載の作業機。
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