JP2022032076A - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械特性、耐薬品性および熱安定性が改良されたポリカーボネート樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)ポリカーボネート系樹脂(A成分)40~90重量部および(B)ポリプロピレン系樹脂(B成分)60~10重量部からなる成分100重量部に対し、(C)スチレン系熱可塑性エラストマー(C成分)1~20重量部、(D)無機充填材(D成分)5~100重量部および(E)エポキシ基、カルボキシ基および酸無水物基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を含有し、かつオレフィン成分を含まない化合物(E成分)0.3~10重量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明はポリカーボネート樹脂組成物に関するものである。さらに詳細には、機械特性、耐薬品性および熱安定性が改良されたポリカーボネート樹脂組成物に関するものである。
ポリカーボネート樹脂は、優れた機械特性、熱特性を有しているため、OA機器分野、電子電気機器分野および自動車分野など様々な分野で広く利用されている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は溶融粘度が高いため加工性に乏しく、また、非晶樹脂であることから、耐薬品性に難点をもつ。そのため、これらの欠点を補うべく、ポリオレフィン系樹脂を添加することが知られている(特許文献1および2参照)。
また、剛性が要求される部材については、樹脂組成物にガラス繊維やマイカ、タルク、ワラストナイト、チタン酸カリウムなどの無機充填材を混合することが知られており、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマーおよび無機充填材からなる樹脂組成物が開示されている(特許文献3参照)。しかしながら、これらの組成物は成形品にシルバー等の外観不良が発生すること、さらにはポリカーボネート樹脂の分子量が大幅に低下するため所望の樹脂組成物を得ることができないという課題があった。
一方、ポリカーボネート系樹脂とポリオレフィン系樹脂は相溶性が低いため、射出成形等によって成形品にした場合、層状剥離が起こるという課題があるが、エポキシ基で変性されたポリオレフィン系樹脂を添加することにより、層状剥離を抑制した樹脂組成物が得られることが開示されている(特許文献4および5参照)。しかしながら、かかる樹脂組成物に剛性付与を目的に無機充填材を混合した場合、高温での剛性が著しく低下するという課題があった。
特開2014-181323号公報 特開2015-203098号公報 特開2016-125025号公報 特開平7-258530号公報 特開2012-41415号公報
上記に鑑み、本発明の目的は機械特性、耐薬品性および熱安定性が改良されたポリカーボネート樹脂組成物を提供することである。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマーおよび無機充填材からなる成分にエポキシ基、カルボキシ基および酸無水物基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を含有し、かつオレフィン成分を含まない化合物を添加することにより、シルバー等の外観不良およびポリカーボネート系樹脂の分子量低下が抑制され、かつ耐薬品性および高温剛性も優れた樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、上記課題は、(A)ポリカーボネート系樹脂(A成分)40~90重量部および(B)ポリプロピレン系樹脂(B成分)60~10重量部からなる成分100重量部に対し、(C)スチレン系熱可塑性エラストマー(C成分)1~20重量部、(D)無機充填材(D成分)5~100重量部および(E)エポキシ基、カルボキシ基および酸無水物基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を含有し、かつオレフィン成分を含まない化合物(E成分)0.3~10重量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物により達成される。
以下、本発明の詳細について説明する。
<A成分:ポリカーボネート系樹脂>
本発明において使用されるポリカーボネート系樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応方法の一例として界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’-ビフェノール、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’-(p-フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’-(m-フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-イソプロピルシクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エステル、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレンなどが挙げられる。好ましい二価フェノールは、ビス(4-ヒドロキシフェニル)アルカンであり、なかでも耐衝撃性の点からビスフェノールAが特に好ましく、汎用されている。
本発明では、汎用のポリカーボネートであるビスフェノールA系のポリカーボネート以外にも、他の2価フェノール類を用いて製造した特殊なポリカーボネ-トをA成分として使用することが可能である。
例えば、2価フェノール成分の一部又は全部として、4,4’-(m-フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称することがある)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(以下“Bis-TMC”と略称することがある)、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン及び9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)を用いたポリカーボネ-ト(単独重合体又は共重合体)は、吸水による寸法変化や形態安定性の要求が特に厳しい用途に適当である。これらのBPA以外の2価フェノールは、該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分全体の5モル%以上、特に10モル%以上、使用するのが好ましい。
殊に、高剛性かつより良好な耐加水分解性が要求される場合には、樹脂組成物を構成するA成分が次の(1)~(3)の共重合ポリカーボネートであるのが特に好適である。
(1)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20~80モル%(より好適には40~75モル%、さらに好適には45~65モル%)であり、かつBCFが20~80モル%(より好適には25~60モル%、さらに好適には35~55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(2)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPAが10~95モル%(より好適には50~90モル%、さらに好適には60~85モル%)であり、かつBCFが5~90モル%(より好適には10~50モル%、さらに好適には15~40モル%)である共重合ポリカーボネート。
(3)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20~80モル%(より好適には40~75モル%、さらに好適には45~65モル%)であり、かつBis-TMCが20~80モル%(より好適には25~60モル%、さらに好適には35~55モル%)である共重合ポリカーボネート。
これらの特殊なポリカーボネートは、単独で用いてもよく、2種以上を適宜混合して使用してもよい。また、これらを汎用されているビスフェノールA型のポリカーボネートと混合して使用することもできる。
これらの特殊なポリカーボネートの製法及び特性については、例えば、特開平6-172508号公報、特開平8-27370号公報、特開2001-55435号公報及び特開2002-117580号公報等に詳しく記載されている。
なお、上述した各種のポリカーボネートの中でも、共重合組成等を調整して、吸水率及びTg(ガラス転移温度)を下記の範囲内にしたものは、ポリマー自体の耐加水分解性が良好で、かつ成形後の低反り性においても格段に優れているため、形態安定性が要求される分野では特に好適である。
(i)吸水率が0.05~0.15%、好ましくは0.06~0.13%であり、かつTgが120~180℃であるポリカーボネート、あるいは
(ii)Tgが160~250℃、好ましくは170~230℃であり、かつ吸水率が0.10~0.30%、好ましくは0.13~0.30%、より好ましくは0.14~0.27%であるポリカーボネート。
ここで、ポリカーボネートの吸水率は、直径45mm、厚み3.0mmの円板状試験片を用い、ISO62-1980に準拠して23℃の水中に24時間浸漬した後の水分率を測定した値である。また、Tg(ガラス転移温度)は、JIS K7121に準拠した示差走査熱量計(DSC)測定により求められる値である。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、炭酸ジエステルまたはハロホルメートなどが使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが挙げられる。
前記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重合法によって芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤などを使用してもよい。また本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂、芳香族または脂肪族(脂環式を含む)の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂、二官能性アルコール(脂環式を含む)を共重合した共重合ポリカーボネート樹脂、並びにかかる二官能性カルボン酸および二官能性アルコールを共に共重合したポリエステルカーボネート樹脂を含む。また、得られた芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
分岐ポリカーボネート樹脂は、本発明の樹脂組成物に、ドリップ防止性能などを付与できる。かかる分岐ポリカーボネート樹脂に使用される三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6-ジメチル-2,4,6-トリス(4-ヒドロキジフェニル)ヘプテン-2、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、4-{4-[1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}-α,α-ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4-ビス(4,4-ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
分岐ポリカーボネートにおける多官能性芳香族化合物から誘導される構成単位は、2価フェノールから誘導される構成単位とかかる多官能性芳香族化合物から誘導される構成単位との合計100モル%中、好ましくは0.01~1モル%、より好ましくは0.05~0.9モル%、さらに好ましくは0.05~0.8モル%である。
また、特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造単位が生ずる場合があるが、かかる分岐構造単位量についても、2価フェノールから誘導される構成単位との合計100モル%中、好ましくは0.001~1モル%、より好ましくは0.005~0.9モル%、さらに好ましくは0.01~0.8モル%であるものが好ましい。なお、かかる分岐構造の割合についてはH-NMR測定により算出することが可能である。
脂肪族の二官能性のカルボン酸は、α,ω-ジカルボン酸が好ましい。脂肪族の二官能性のカルボン酸としては例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、イコサン二酸などの直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸が好ましく挙げられる。二官能性アルコールとしては脂環族ジオールがより好適であり、例えばシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、およびトリシクロデカンジメタノールなどが例示される。
本発明のポリカーボネート系樹脂の製造方法である界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマー固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などの反応形式は、各種の文献および特許公報などで良く知られている方法である。
本発明の樹脂組成物を製造するにあたり、ポリカーボネート系樹脂の粘度平均分子量(M)は、特に限定されないが、好ましくは1.8×10~4.0×10であり、より好ましくは2.0×10~3.5×10、さらに好ましくは2.2×10~3.0×10である。粘度平均分子量が1.8×10未満のポリカーボネート系樹脂では、良好な機械的特性が得られない場合がある。一方、粘度平均分子量が4.0×10を超えるポリカーボネート系樹脂から得られる樹脂組成物は、射出成形時の流動性に劣る点で汎用性に劣る。
なお、前記ポリカーボネート系樹脂は、その粘度平均分子量が前記範囲外のものを混合して得られたものであってもよい。殊に、前記範囲(5×10)を超える粘度平均分子
量を有するポリカーボネート系樹脂は、樹脂のエントロピー弾性が向上する。その結果、強化樹脂材料を構造部材に成形する際に使用されることのあるガスアシスト成形、および発泡成形において、良好な成形加工性を発現する。かかる成形加工性の改善は前記分岐ポリカーボネートよりもさらに良好である。より好適な態様としては、A成分が粘度平均分子量7×10~3×10のポリカーボネート系樹脂A-1-1成分)、および粘度平均分子量1×10~3×10の芳香族ポリカーボネート樹脂(A-1-2成分)からなり、その粘度平均分子量が1.6×10~3.5×10であるポリカーボネート系樹脂(A-1成分)(以下、“高分子量成分含有ポリカーボネート系樹脂”と称することがある)も使用できる。
かかる高分子量成分含有ポリカーボネート系樹脂(A-1成分)において、A-1-1成分の分子量は7×10~2×10が好ましく、より好ましくは8×10~2×10、さらに好ましくは1×10~2×10、特に好ましくは1×10~1.6×10である。またA-1-2成分の分子量は1×10~2.5×10が好ましく、より好ましくは1.1×10~2.4×10、さらに好ましくは1.2×10~2.4×10、特に好ましくは1.2×10~2.3×10である。
高分子量成分含有ポリカーボネート系樹脂(A-1成分)は前記A-1-1成分とA-1-2成分を種々の割合で混合し、所定の分子量範囲を満足するよう調整して得ることができる。好ましくは、A-1成分100重量%中、A-1-1成分が2~40重量%の場合であり、より好ましくはA-1-1成分が3~30重量%であり、さらに好ましくはA-1-1成分が4~20重量%であり、特に好ましくはA-1-1成分が5~20重量%である。
また、A-1成分の調製方法としては、(1)A-1-1成分とA-1-2成分とを、それぞれ独立に重合しこれらを混合する方法、(2)特開平5-306336号公報に示される方法に代表される、GPC法による分子量分布チャートにおいて複数のポリマーピークを示す芳香族ポリカーボネート樹脂を同一系内において製造する方法を用い、かかる芳香族ポリカーボネート樹脂を本発明のA-1成分の条件を満足するよう製造する方法、および(3)かかる製造方法((2)の製造法)により得られた芳香族ポリカーボネート樹脂と、別途製造されたA-1-1成分および/またはA-1-2成分とを混合する方法などを挙げることができる。
本発明でいう粘度平均分子量は、まず、次式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t-t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mを算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-40.83
c=0.7
本発明のポリカーボネート系樹脂(A成分)としてポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を使用することも出来る。ポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂は下記一般式(1)で表される二価フェノールおよび下記一般式(3)で表されるヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサンを共重合させることにより調製される共重合樹脂であることが好ましい。
Figure 2022032076000001
[上記一般式(1)において、R及びRは夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数1~18のアルコキシ基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2~10のアルケニル基、炭素原子数6~14のアリール基、炭素原子数6~14のアリールオキシ基、炭素原子数7~20のアラルキル基、炭素原子数7~20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシ基からなる群から選ばれる基を表し、それぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、e及びfは夫々1~4の整数であり、Wは単結合もしくは下記一般式(2)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。]
Figure 2022032076000002
[上記一般式(2)においてR11,R12,R13,R14,R15,R16,R17及びR18は夫々独立して水素原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数6~14のアリール基及び炭素原子数7~20のアラルキル基からなる群から選ばれる基を表し、R19及びR20は夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2~10のアルケニル基、炭素原子数6~14のアリール基、炭素原子数6~10のアリールオキシ基、炭素原子数7~20のアラルキル基、炭素原子数7~20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシ基からなる群から選ばれる基を表し、複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、gは1~10の整数、hは4~7の整数である。]
Figure 2022032076000003
[上記一般式(3)において、R、R、R、R、R及びRは、各々独立に水素原子、炭素数1~12のアルキル基又は炭素数6~12の置換若しくは無置換のアリール基であり、R及びR10は夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基であり、pは自然数であり、qは0又は自然数であり、p+qは10~300の自然数である。Xは炭素数2~8の二価脂肪族基である。]
一般式(1)で表される二価フェノール(I)としては、例えば、4,4’-ジヒドロ
キシビフェニル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,3’-ビフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2-ビス(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエ-テル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルエ-テル、4,4’-スルホニルジフェノール、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2’-ジメチル-4,4’-スルホニルジフェノール、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィド、2,2’-ジフェニル-4,4’-スルホニルジフェノール、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジフェニルジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジフェニルジフェニルスルフィド、1,3-ビス{2-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4-ビス{2-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,8-ビス(4-ヒドロキシフェニル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,4’-(1,3-アダマンタンジイル)ジフェノール、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-5,7-ジメチルアダマンタン等が挙げられる。
なかでも、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、4,4’-スルホニルジフェノール、2,2’-ジメチル-4,4’-スルホニルジフェノール、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,3-ビス{2-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4-ビス{2-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼンが好ましく、殊に2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(BPZ)、4,4’-スルホニルジフェノール、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレンが好ましい。中でも強度に優れ、良好な耐久性を有する2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンが最も好適である。また、これらは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(3)で表されるヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサンとしては、例えば下記に示すような化合物が好適に用いられる。
Figure 2022032076000004
ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)は、オレフィン性の不飽和炭素-炭素結合を有するフェノール類、好適にはビニルフェノール、2-アリルフェノール、イソプロペニルフェノール、2-メトキシ-4-アリルフェノールを所定の重合度を有するポリシロキサン鎖の末端に、ハイドロシリレーション反応させることにより容易に製造される。なかでも、(2-アリルフェノール)末端ポリジオルガノシロキサン、(2-メトキシ-4-アリルフェノール)末端ポリジオルガノシロキサンが好ましく、殊に(2-アリルフェノール)末端ポリジメチルシロキサン、(2-メトキシ-4-アリルフェノール)末端ポリジメチルシロキサンが好ましい。ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)は、その分子量分布(Mw/Mn)が3以下であることが好ましい。さらに優れた高温成形時の低アウトガス性と低温衝撃性を発現させるために、かかる分子量分布(Mw/Mn)はより好ましくは2.5以下であり、さらに好ましくは2以下である。かかる好適な範囲の上限を超えると高温成形時のアウトガス発生量が多く、また、低温衝撃性に劣る場合がある。
また、高度な耐衝撃性を実現するためにヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)のジオルガノシロキサン重合度(p+q)は10~300が適切である。かかるジオルガノシロキサン重合度(p+q)は好ましくは10~200、より好ましくは12~150、更に好ましくは14~100である。かかる好適な範囲の下限未満では、ポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合体の特徴である耐衝撃性が有効に発現せず、かかる好適な範囲の上限を超えると外観不良が現れる。
A成分で使用されるポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂全重量に占めるポリジオルガノシロキサン含有量は0.1~50重量%が好ましい。かかるポリジオルガノシロキサン成分含有量はより好ましくは0.5~30重量%、さらに好ましくは1~20重量%である。かかる好適な範囲の下限以上では、耐衝撃性や難燃性に優れ、かかる好適な範囲の上限以下では、成形条件の影響を受けにくい安定した外観が得られやすい。かかるポリジオルガノシロキサン重合度、ポリジオルガノシロキサン含有量は、H-NMR測定により算出することが可能である。
本発明において、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)は1種のみを用いてもよく、また、2種以上を用いてもよい。
また、本発明の妨げにならない範囲で、上記二価フェノール(I)、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)以外の他のコモノマーを共重合体の全重量に対して10重量%以下の範囲で併用することもできる。
本発明においては、あらかじめ水に不溶性の有機溶媒とアルカリ水溶液との混合液中における二価フェノール(I)と炭酸エステル形成性化合物の反応により末端クロロホルメート基を有するオリゴマーを含む混合溶液を調製する。
二価フェノール(I)のオリゴマーを生成するにあたり、本発明の方法に用いられる二価フェノール(I)の全量を一度にオリゴマーにしてもよく、又は、その一部を後添加モノマーとして後段の界面重縮合反応に反応原料として添加してもよい。後添加モノマーとは、後段の重縮合反応を速やかに進行させるために加えるものであり、必要のない場合には敢えて加える必要はない。
このオリゴマー生成反応の方式は特に限定はされないが、通常、酸結合剤の存在下、溶媒中で行う方式が好適である。
炭酸エステル形成性化合物の使用割合は、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよい。また、ホスゲン等のガス状の炭酸エステル形成性化合物を使用する場合、これを反応系に吹き込む方法が好適に採用できる。
前記酸結合剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、ピリジン等の有機塩基あるいはこれらの混合物などが用いられる。酸結合剤の使用割合も、上記同様に、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜定めればよい。具体的には、オリゴマーの形成に使用する二価フェノール(I)のモル数(通常1モルは2当量に相当)に対して2当量若しくはこれより若干過剰量の酸結合剤を用いることが好ましい。
前記溶媒としては、公知のポリカーボネートの製造に使用されるものなど各種の反応に不活性な溶媒を1種単独であるいは混合溶媒として使用すればよい。代表的な例としては、例えば、キシレン等の炭化水素溶媒、塩化メチレン、クロロベンゼンをはじめとするハロゲン化炭化水素溶媒などが挙げられる。特に塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素溶媒が好適に用いられる。
オリゴマー生成の反応圧力は特に制限はなく、常圧、加圧、減圧のいずれでもよいが、通常常圧下で反応を行うことが有利である。反応温度は-20~50℃の範囲から選ばれ、多くの場合、重合に伴い発熱するので、水冷又は氷冷することが望ましい。反応時間は他の条件に左右され一概に規定できないが、通常、0.2~10時間で行われる。オリゴマー生成反応のpH範囲は、公知の界面反応条件と同様であり、pHは常に10以上に調製される。
本発明はこのようにして、末端クロロホルメート基を有する二価フェノール(I)のオリゴマーを含む混合溶液を得た後、該混合溶液を攪拌しながら分子量分布(Mw/Mn)が3以下まで高度に精製された一般式(3)で表わされるヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)を二価フェノール(I)に加え、該ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)と該オリゴマーを界面重縮合させることによりポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合体を得る。
Figure 2022032076000005
(上記一般式(3)において、R、R、R、R、R及びRは、各々独立に水素原子、炭素数1~12のアルキル基又は炭素数6~12の置換若しくは無置換のアリール基であり、R及びR10は夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基であり、pは自然数であり、qは0又は自然数であり、p+qは10~300の自然数である。Xは炭素数2~8の二価脂肪族基である。)
界面重縮合反応を行うにあたり、酸結合剤を反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜追加してもよい。酸結合剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、ピリジン等の有機塩基あるいはこれらの混合物などが用いられる。具体的には、使用するヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)、又は上記の如く二価フェノール(I)の一部を後添加モノマーとしてこの反応段階に添加する場合には、後添加分の二価フェノール(I)とヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)との合計モル数(通常1モルは2当量に相当)に対して2当量若しくはこれより過剰量のアルカリを用いることが好ましい。
二価フェノール(I)のオリゴマーとヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)との界面重縮合反応による重縮合は、上記混合液を激しく攪拌することにより行われる。
かかる重合反応においては、末端停止剤或いは分子量調節剤が通常使用される。末端停止剤としては一価のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられ、通常のフェノール、p-tert-ブチルフェノール、p-クミルフェノール、トリブロモフェノールなどの他に、長鎖アルキルフェノール、脂肪族カルボン酸クロライド、脂肪族カルボン酸、ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル、ヒドロキシフェニルアルキル酸エステル、アルキルエーテルフェノールなどが例示される。その使用量は用いる全ての二価フェノール系化合物100モルに対して、100~0.5モル、好ましくは50~2モルの範囲であり、二種以上の化合物を併用することも当然に可能である。
重縮合反応を促進するために、トリエチルアミンのような第三級アミン又は第四級アンモニウム塩などの触媒を添加してもよい。
かかる重合反応の反応時間は、好ましくは30分以上、更に好ましくは50分以上である。所望に応じ、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイドなどの酸化防止剤を少量添加してもよい。
分岐化剤を上記の二価フェノール系化合物と併用して分岐化ポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサンとすることができる。かかる分岐ポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂に使用される三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6-ジメチル-2,4,6-トリス(4-ヒドロキジフェニル)ヘプテン-2、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、4-{4-[1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}-α,α-ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4-ビス(4,4-ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。分岐ポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂中の多官能性化合物の割合は、ポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂全量中、好ましくは0.001~1モル%、より好ましくは0.005~0.9モル%、さらに好ましくは0.01~0.8モル%、特に好ましくは0.05~0.4モル%である。なお、かかる分岐構造量についてはH-NMR測定により算出することが可能である。
反応圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでも可能であるが、通常は、常圧若しくは反応系の自圧程度で好適に行い得る。反応温度は-20~50℃の範囲から選ばれ、多くの場合、重合に伴い発熱するので、水冷又は氷冷することが望ましい。反応時間は反応温度等の他の条件によって異なるので一概に規定はできないが、通常、0.5~10時間で行われる。
場合により、得られたポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂に適宜物理的処理(混合、分画など)及び/又は化学的処理(ポリマー反応、架橋処理、部分分解処理など)を施して所望の還元粘度[ηSP/c]のポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂として取得することもできる。
得られた反応生成物(粗生成物)は公知の分離精製法等の各種の後処理を施して、所望の純度(精製度)のポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂として回収することができる。
ポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂成形品中のポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズは、1~40nmの範囲が好ましい。かかる平均サイズはより好ましくは1~30nm、更に好ましくは5~25nmである。かかる好適な範囲の下限未満では、耐衝撃性や難燃性が十分に発揮されず、かかる好適な範囲の上限を超えると耐衝撃性が安定して発揮されない場合がある。これにより耐衝撃性および外観に優れたポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
本発明におけるポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂成形品のポリジオルガノシロキサンドメインの平均ドメインサイズ、小角エックス線散乱法(Small Angle X-ray Scattering:SAXS)により評価した。小角エックス線散乱法とは、散乱角(2θ)<10°以内の小角領域で生じる散漫な散乱・回折を測定する方法である。この小角エックス線散乱法では、物質中に1~100nm程度の大きさの電子密度の異なる領域があると、その電子密度差によりエックス線の散漫散乱が計測される。この散乱角と散乱強度に基づいて測定対象物の粒子径を求める。ポリカーボネートポリマーのマトリックス中にポリジオルガノシロキサンドメインが分散した凝集構造となるポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂の場合、ポリカーボネートマトリックスとポリジオルガノシロキサンドメインの電子密度差により、エックス線の散漫散乱が生じる。散乱角(2θ)が10°未満の範囲の各散乱角(2θ)における散乱強度I を測定して、小角エックス線散乱プロファイルを測定し、ポリジオルガノシロキサンドメインが球状ドメインであり、粒径分布のばらつきが存在すると仮定して、仮の粒径と仮の粒径分布モデルから、市販の解析ソフトウェアを用いてシミュレーションを行い、ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズを求める。小角エックス線散乱法によれば、透過型電子顕微鏡による観察では正確に測定できない、ポリカーボネートポリマーのマトリックス中に分散したポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズを、精度よく、簡便に、再現性良く測定することができる。平均ドメインサイズとは個々のドメ
インサイズの数平均を意味する。
本発明に関連して用いる用語「平均ドメインサイズ」は、かかる小角エックス線散乱法により、実施例記載の方法で作製した3段型プレートの厚み1.0mm部を測定することにより得られる測定値を示す。また、粒子間相互作用(粒子間干渉)を考慮しない孤立粒子モデルにて解析を行った。
<B成分:ポリプロピレン系樹脂>
本発明の樹脂組成物はB成分としてポリプロピレン系樹脂を含有する。ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの重合体であるが、本発明においては、他のモノマーとの共重合体も含む。本発明のポリプロピレン系樹脂の例には、ホモポリプロピレン樹脂、プロピレンとエチレンおよび炭素数4~10のα-オレフィンとのブロック共重合体(「ブロックポリプロピレン」ともいう)、プロピレンとエチレンおよび炭素数4~10のα-オレフィンとのランダム共重合体(「ランダムポリプロピレン」ともいう)が含まれる。なお、「ブロックポリプロピレン」と「ランダムポリプロピレン」を合わせて、「ポリプロピレン共重合体」ともいう。
本発明においては、ポリプロピレン系樹脂として上記のホモポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレンの1種あるいは2種以上を使用してよく、中でもホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレンが好ましい。
ポリプロピレン共重合体に用いられる炭素数4~10のα-オレフィンの例には、1-ブテン、1-ペンテン、イソブチレン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3,4-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、3-メチル-1-ヘキセンが含まれる。
ポリプロピレン共重合体中のエチレンの含有量は、全モノマー中、5質量%以下であることが好ましい。ポリプロピレン共重合体中の炭素数4~10のα-オレフィンの含有量は、全モノマー中20質量%以下であることが好ましい。ポリプロピレン共重合体は、プロピレンとエチレンとの共重合体、またはプロピレンと1-ブテンとの共重合体であることが好ましく、特にプロピレンとエチレンとの共重合体が好ましい。
B成分の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部中、10~60重量部であり、好ましくは15~50重量部、より好ましくは20~40重量部である。B成分の含有量が10重量部未満の場合、耐薬品性が悪くなり、60重量部を超えると剛性が低下する。
<C成分:スチレン系熱可塑性エラストマー>
本発明の樹脂組成物はC成分としてスチレン系熱可塑性エラストマーを含有する。本発明で使用するスチレン系熱可塑性エラストマーは下記式(I)または(II)で表されるブロック共重合体であることが好ましい。
X-(Y-X)n …(I)
(X-Y)n …(II)
一般式(I)および(II)におけるXは芳香族ビニル重合体ブロックで、式(I)においては分子鎖両末端で重合度が同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、Yとしてはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、ブタジエン/イソプレン共重合体ブロック、水添されたブタジエン重合体ブロック、水添されたイソプレン重合体ブロック、水添されたブタジエン/イソプレン共重合体ブロック、部分水添されたブタジエン重合体ブロック、部分水添されたイソプレン重合体ブロックおよび部分水添されたブタジエン/イソプレン共重合体ブロックの中から選ばれた少なくとも1種である。また、nは1以上の整数である。
具体例としては、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレン共重合体、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレン共重合体、スチレン-エチレン・エチレン・プロピレン-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン-ブテン-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体、スチレン-水添ブタジエンジブロック共重合体、スチレン-水添イソプレンジブロック共重合体、スチレン-ブタジエンジブロック共重合体、スチレン-イソプレンジブロック共重合体等が挙げられ、その中でもスチレン-エチレン・ブチレン-スチレン共重合体、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレン共重合体、スチレン-エチレン・エチレン・プロピレン-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン-ブテン-スチレン共重合体が最も好適である。
前記ブロック共重合体におけるX成分の含有量は40~80重量%、好ましくは45~75重量%、より好ましくは50~70重量%の範囲にあることが望ましい。この量が40重量%未満ではA成分とB成分の相溶効果が低下し、樹脂組成物の機械特性、耐薬品性が低下する場合がある。また80重量%を超えても、同様に相溶効果が低下し、機械特性が低下する場合があるため、いずれも好ましくない。
スチレン系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は25万以下が好ましく、20万以下がより好ましく、15万以下がさらに好ましい。重量平均分子量が25万を超えると、成形加工性が低下し、ポリカーボネート樹脂組成物中の分散性も悪化する場合がある。また、重量平均分子量の下限については特に限定されないが、4万以上が好ましく、5万以上がより好ましい。なお、重量平均分子量は以下の方法で測定した。すなわち、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより、ポリスチレン換算で分子量を測定し、重量平均分子量を算出した。
C成分の含有量は、A成分およびB成分からなる成分100重量部に対し、1~20重量部であり、好ましくは2~17重量部、より好ましくは3~15重量部である。C成分の含有量が、1重量部未満では機械特性が向上せず、20重量部を超えると剛性が低下する。
<D成分:無機充填材>
本発明の樹脂組成物はD成分として無機充填材を含有する。無機充填材は、ガラス繊維、扁平ガラス繊維、ミルドファイバー、炭素繊維、ガラスフレーク、ワラストナイト、カオリンクレー、マイカ、タルク、繊維状硫酸マグネシウムおよび各種ウイスカー類(チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカーなど)といった一般に知られている各種フィラーを使用することができる。無機充填材の形状は繊維状、フレーク状、球状、中空状を自由に選択でき、樹脂組成物の強度や耐衝撃性の向上のためには特に繊維状、板状のものが好適に用いられる。また、ガラス繊維やガラスフレークといったガラス系の無機充填材は成形時に金型を磨耗させやすいといった問題があるため、D成分としてはケイ酸塩鉱物がより好適に用いられる。本発明のD成分として使用されるケイ酸塩鉱物は、少なくとも金属酸化物成分とSiO成分とからなる鉱物であり、オルトシリケート、ジシリケート、環状シリケート、および鎖状シリケートなどが好適である。ケイ酸塩鉱物は結晶状態を取るものであり、また結晶の形状も繊維状や板状などの各種の形状を取ることができる。
ケイ酸塩鉱物は複合酸化物、酸素酸塩(イオン格子からなる)、固溶体のいずれの化合物でもよく、更に複合酸化物は単一酸化物の2種以上の組合せ、および単一酸化物と酸素酸塩との2種以上の組合せのいずれであってもよく、更に固溶体においても2種以上の金属酸化物の固溶体、および2種以上の酸素酸塩の固溶体のいずれであってもよい。ケイ酸塩鉱物は、水和物であってもよい。水和物における結晶水の形態はSi-OHとして水素
珪酸イオンとして入るもの、金属陽イオンに対して水酸イオン(OH)としてイオン的に入るもの、および構造の隙間にHO分子として入るもののいずれの形態であってもよい。
ケイ酸塩鉱物は、天然物に対応する人工合成物を使用することもできる。人工合成物としては、従来公知の各種の方法、例えば固体反応、水熱反応、および超高圧反応などを利用した各種の合成法から得られたケイ酸塩鉱物が利用できる。
各金属酸化物成分(MO)におけるケイ酸塩鉱物の具体例としては以下のものが挙げられる。ここでカッコ内の表記はかかるケイ酸塩鉱物を主成分とする鉱物等の名称であり、例示された金属塩としてカッコ内の化合物が使用できることを意味する。
Oをその成分に含むものとしては、KO・SiO、KO・4SiO・HO、KO・Al・2SiO(カルシライト)、KO・Al・4SiO(白リュウ石)、およびKO・Al・6SiO(正長石)、などが挙げられる。
NaOをその成分に含むものとしては、NaO・SiO、およびその水化物、NaO・2SiO、2NaO・SiO、NaO・4SiO、NaO・3SiO・3HO、NaO・Al・2SiO、NaO・Al・4SiO(ヒスイ輝石)、2NaO・3CaO・5SiO、3NaO・2CaO・5SiO、およびNaO・Al・6SiO(曹長石)などが挙げられる。
LiOをその成分に含むものとしては、LiO・SiO、2LiO・SiO、LiO・SiO・HO、3LiO・2SiO、LiO・Al・4SiO(ペタライト)、LiO・Al・2SiO(ユークリプタイト)、およびLiO・Al・4SiO(スポジュメン)などが挙げられる。
BaOをその成分に含むものとしては、BaO・SiO、2BaO・SiO、BaO・Al・2SiO(セルシアン)、およびBaO・TiO・3SiO(ベントアイト)などが挙げられる。
CaOをその成分に含むものとしては、3CaO・SiO(セメントクリンカー鉱物のエーライト)、2CaO・SiO(セメントクリンカー鉱物のビーライト)、2CaO・MgO・2SiO(オーケルマナイト)、2CaO・Al・SiO(ゲーレナイト)、オーケルマナイトとゲーレナイトとの固溶体(メリライト)、CaO・SiO(ウォラストナイト(α-型、β-型のいずれも含む))、CaO・MgO・2SiO(ジオプサイド)、CaO・MgO・SiO(灰苦土カンラン石)、3CaO・MgO・2SiO(メルウイナイト)、CaO・Al・2SiO(アノーサイト)、5CaO・6SiO・5HO(トバモライト、その他5CaO・6SiO・9HOなど)などのトバモライトグループ水和物、2CaO・SiO・HO(ヒレブランダイト)などのウォラストナイトグループ水和物、6CaO・6SiO・HO(ゾノトライト)などのゾノトライトグループ水和物、2CaO・SiO・2HO(ジャイロライト)などのジャイロライトグループ水和物、CaO・Al・2SiO・HO(ローソナイト)、CaO・FeO・2SiO(ヘデンキ石)、3CaO・2SiO(チルコアナイト)、3CaO・Al・3SiO(グロシュラ)、3CaO・Fe・3SiO(アンドラダイト)、6CaO・4Al・FeO・SiO(プレオクロアイト)、並びにクリノゾイサイト、紅レン石、褐レン石、ベスブ石、オノ石、スコウタイト、およびオージャイトなどが挙げられる。
更にCaOをその成分に含むケイ酸塩鉱物としてポルトランドセメントを挙げることができる。ポルトランドセメントの種類は特に限定されるものではなく、普通、早強、超早強、中よう熱、耐硫酸塩、白色などのいずれの種類も使用できる。更に各種の混合セメント、例えば高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメントなどもD成分として使用できる。
またその他のCaOをその成分に含むケイ酸塩鉱物として高炉スラグやフェライトなどを挙げることができる。
ZnOをその成分に含むものとしては、ZnO・SiO、2ZnO・SiO(トロースタイト)、および4ZnO・2SiO・HO(異極鉱)などが挙げられる。
MnOをその成分に含むものとしては、MnO・SiO、2MnO・SiO、CaO・4MnO・5SiO(ロードナイト)およびコーズライトなどが挙げられる。
FeOをその成分に含むものとしては、FeO・SiO(フェロシライト)、2FeO・SiO(鉄カンラン石)、3FeO・Al・3SiO(アルマンジン)、および2CaO・5FeO・8SiO・HO(テツアクチノセン石)などが挙げられる。
CoOをその成分に含むものとしては、CoO・SiOおよび2CoO・SiOなどが挙げられる。
MgOをその成分に含むものとしては、MgO・SiO(ステアタイト、エンスタタイト)、2MgO・SiO(フォルステライト)、3MgO・Al・3SiO(バイロープ)、2MgO・2Al・5SiO(コーディエライト)、2MgO・3SiO・5HO、3MgO・4SiO・HO(タルク)、5MgO・8SiO・9HO(アタパルジャイト)、4MgO・6SiO・7HO(セピオライト)、3MgO・2SiO・2HO(クリソライト)、5MgO・2CaO・8SiO・HO(透セン石)、5MgO・Al・3SiO・4HO(緑泥石)、KO・6MgO・Al・6SiO・2HO(フロゴバイト)、NaO・3MgO・3Al・8SiO・HO(ランセン石)、並びにマグネシウム電気石、直セン石、カミントンセン石、バーミキュライト、スメクタイトなどが挙げられる。
Feをその成分に含むものとしては、Fe・SiOなどが挙げられる。
ZrOをその成分に含むものとしては、ZrO・SiO(ジルコン)およびAZS耐火物などが挙げられる。
Alをその成分に含むものとしては、Al・SiO(シリマナイト、アンダリューサイト、カイアナイト)、2Al・SiO、Al・3SiO、3Al・2SiO(ムライト)、Al・2SiO・2HO(カオリナイト)、Al・4SiO・HO(パイロフィライト)、Al・4SiO・HO(ベントナイト)、KO・3NaO・4Al・8SiO(カスミ石)、KO・3Al・6SiO・2HO(マスコバイト、セリサイト)、KO・6MgO・Al・6SiO・2HO(フロゴバイト)、並びに各種のゼオライト、フッ素金雲母、および黒雲母などを挙げることができる。
上記ケイ酸塩鉱物の中でも特に好適であるのは、マイカ、タルク、およびワラストナイトであり、特にタルクを含む1種以上のケイ酸塩鉱物であることがより好ましい。
(タルク)
本発明におけるタルクとは、化学組成的には含水珪酸マグネシウムであり、一般的には化学式4SiO・3MgO・2HOで表され、通常層状構造を持った鱗片状の粒子であり、また組成的にはSiOを56~65重量%、MgOを28~35重量%、HO約5重量%程度から構成されている。その他の少量成分としてFeが0.03~1.2重量%、Alが0.05~1.5重量%、CaOが0.05~1.2重量%、KOが0.2重量%以下、NaOが0.2重量%以下などを含有している。タルクの粒子径は、沈降法により測定される平均粒径が0.1~15μm(より好ましくは0.2~12μm、更に好ましくは0.3~10μm、特に好ましくは0.5~5μm)の範囲であることが好ましい。更にかさ密度を0.5(g/cm)以上としたタルクを原料として使用することが特に好適である。タルクの平均粒径は、液相沈降法の1つであるX線透過法で測定されたD50(粒子径分布のメジアン径)をいう。かかる測定を行う装置の具体例としてはマイクロメリティックス社製Sedigraph5100などを挙げることができる。
またタルクを原石から粉砕する際の製法に関しては特に制限はなく、軸流型ミル法、アニュラー型ミル法、ロールミル法、ボールミル法、ジェットミル法、および容器回転式圧縮剪断型ミル法等を利用することができる。さらに粉砕後のタルクは、各種の分級機によって分級処理され、粒子径の分布が揃ったものが好適である。分級機としては特に制限はなく、インパクタ型慣性力分級機(バリアブルインパクターなど)、コアンダ効果利用型慣性力分級機(エルボージェットなど)、遠心場分級機(多段サイクロン、ミクロプレックス、ディスパージョンセパレーター、アキュカット、ターボクラシファイア、ターボプレックス、ミクロンセパレーター、およびスーパーセパレーターなど)などを挙げることができる。さらにタルクは、その取り扱い性等の点で凝集状態であるものが好ましく、かかる製法としては脱気圧縮による方法、集束剤を使用し圧縮する方法等がある。特に脱気圧縮による方法が簡便かつ不要の集束剤樹脂成分を本発明の樹脂組成物中に混入させない点で好ましい。
(マイカ)
マイカは、マイクロトラックレーザー回折法により測定した平均粒径が10~100μmのものを好ましく使用できる。より好ましくは平均粒径が20~50μmのものである。マイカの平均粒径が10μm未満では剛性に対する改良効果が十分でない場合があり、100μmを越えても剛性の向上が十分でなく、衝撃特性等の機械的強度の低下も著しくなる場合があり好ましくない。マイカは、電子顕微鏡の観察により実測した厚みが0.01~1μmのものを好ましく使用できる。より好ましくは厚みが0.03~0.3μmである。アスペクト比としては好ましくは5~200、より好ましくは10~100のものを使用できる。また使用するマイカはマスコバイトマイカが好ましく、そのモース硬度は約3である。マスコバイトマイカはフロゴバイトなど他のマイカに比較してより高剛性および高強度を達成でき、本発明の課題をより良好なレベルにおいて解決する。また、マイカの粉砕法としては乾式粉砕法および湿式粉砕法のいずれで製造されたものであってもよい。乾式粉砕法の方が低コストで一般的であるが、一方湿式粉砕法は、マイカをより薄く細かく粉砕するのに有効であり、その結果樹脂組成物の剛性向上効果はより高くなる。
(ワラストナイト)
ワラストナイトの繊維径は0.1~10μmが好ましく、0.1~5μmがより好ましく、0.1~3μmが更に好ましい。またそのアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は3以上が好ましい。アスペクト比の上限としては30以下が挙げられる。ここで繊維径は電子顕微鏡で強化フィラーを観察し、個々の繊維径を求め、その測定値から数平均繊維径を算出する。電子顕微鏡を使用するのは、対象とするレベルの大きさを正確に測定する
ことが光学顕微鏡では困難なためである。繊維径は、電子顕微鏡の観察で得られる画像に対して、繊維径を測定する対象のフィラーをランダムに抽出し、中央部の近いところで繊維径を測定し、得られた測定値より数平均繊維径を算出する。観察の倍率は約1000倍とし、測定本数は500本以上(600本以下が作業上好適である)で行う。一方平均繊維長の測定は、フィラーを光学顕微鏡で観察し、個々の長さを求め、その測定値から数平均繊維長を算出する。光学顕微鏡の観察は、フィラー同士があまり重なり合わないように分散されたサンプルを準備することから始まる。観察は対物レンズ20倍の条件で行い、その観察像を画素数が約25万であるCCDカメラに画像データとして取り込む。得られた画像データを画像解析装置を使用して、画像データの2点間の最大距離を求めるプログラムを使用して、繊維長を算出する。かかる条件の下では1画素当りの大きさが1.25μmの長さに相当し、測定本数は500本以上(600本以下が作業上好適である)で行う。
本発明のワラストナイトは、その元来有する白色度を十分に樹脂組成物に反映させるため、原料鉱石中に混入する鉄分並びに原料鉱石を粉砕する際に機器の摩耗により混入する鉄分を磁選機によって極力取り除くことが好ましい。かかる磁選機処理によりワラストナイト中の鉄の含有量はFeに換算して、0.5重量%以下であることが好ましい。
珪酸塩鉱物(より好適には、マイカ、タルク、ワラストナイト)は、表面処理されていないことが好ましいが、シランカップリング剤、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの各種表面処理剤で表面処理されていてもよい。さらに各種樹脂、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの集束剤で造粒し顆粒状とされていてもよい。
D成分の含有量は、A成分およびB成分からなる成分100重量部に対し、5~100重量部であり、好ましくは10~90重量部、より好ましくは15~80重量部である。D成分の含有量が5重量部未満では十分な剛性が得られず、100重量部を超えた場合、耐衝撃性の低下およびシルバーなどの外観不良が生じる。
<E成分:エポキシ基、カルボキシ基および酸無水物基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を含有し、かつオレフィン成分を含まない化合物>
本発明の樹脂組成物はE成分としてエポキシ基、カルボキシ基および酸無水物基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基含有し、かつオレフィン成分を含まない化合物を含有する。なお、E成分がオレフィン成分を含んでいる場合、剛性が低下する。
エポキシ基を含有し、かつオレフィン成分を含まない化合物としてはフェノキシ樹脂およびエポキシ樹脂を挙げることができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(4)で表わされるフェノキシ樹脂などが挙げられる。
Figure 2022032076000006
(式中、Xは下記一般式(5)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基、Yは水素原子又は水酸基と反応する化合物の残基、nは0以上の整数である。)
Figure 2022032076000007
(式中、Phはフェニル基を示す。)
エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(6)で表わされるエポキシ樹脂などが挙げられる。
Figure 2022032076000008
(式中、X及びnは一般式(4)と同じである。)
上記一般式(4)において、水酸基と反応する化合物としては、エステル、カーボネート、エポキシ基などを有する化合物、カルボン酸無水物、酸ハライド、イソシアナート基などを有する化合物等を挙げることができ、エステルとしては、特に分子内エステルが好ましく、例えばカプロラクトン等が挙げられる。上記一般式(4)で表わされるフェノキシ樹脂において、Yが水素原子である化合物は、二価のフェノール類とエピクロルヒドリンから容易に製造することができる。また、Yが水酸基と反応する化合物の残基である化合物は、二価のフェノール類とエピクロルヒドリンから製造したフェノキシ樹脂と上記水酸基と反応する化合物を加熱下で混合することにより、容易に製造することができる。
上記一般式(6)で表わされるエポキシ樹脂は、二価のフェノール類とエピクロルヒドリンから容易に製造することができる。二価フェノール類としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン又は4,4’-ジヒドロキシビフェニルなどが用いられる。
フェノキシ樹脂およびエポキシ樹脂として、市販品を用いることもできる。フェノキシ樹脂(ビスフェノールA型)の市販品としては、PKHB(InChem社製、Mw=13,700)、PKHH(InChem社製、Mw=29,000)、PKFE(InChem社製、Mw=36,800)、YP-50(東都化成社製、Mw=43,500)等が挙げられる。
また、エポキシ樹脂(ビスフェノールA型)の市販品としては、EPICLON HM-101(大日本インキ化学工業社製、Mw=48,000)、jER1256(三菱化学株式会社製、Mw=26,600)等が挙げられる。
また、その他の具体例として、グリシジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート-スチレン共重合体、グリシジルメタクリレート-スチレン-アクリロニトリル共重合体、グリシジルメタクリレート-スチレン-メチルメタクリレート共重合体、ポリカーボネートにグリシジルメタクリレート-スチレン-アクリロニトリル共重合体をグラフト重合した共重合体などが挙げられる。
カルボキシ基を含有し、かつオレフィン成分を含まない化合物としては、ポリブチレン
テレフタレート、ポリエチレンテレフタレート及びポリアリレートのような芳香族ポリエステル樹脂が好ましい。
本発明で好適に使用される芳香族ポリブチレンテレフタレート樹脂及び芳香族ポリエチレンテレフタレート樹脂としては、ポリエステルを形成するジカルボン酸成分とジオール成分の内、ジカルボン酸成分100モル%の70モル%以上が芳香族ジカルボン酸である芳香族ポリブチレンテレフタレート樹脂及び芳香族ポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましく、より好ましくは90モル%以上、最も好ましくは99モル%以上が芳香族ジカルボン酸である芳香族ポリブチレンテレフタレート樹脂及び芳香族ポリエチレンテレフタレート樹脂である。このジカルボン酸の例として、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、2-クロロテレフタル酸、2,5-ジクロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、4,4-スチルベンジカルボン酸、4,4-ビフェニルジカルボン酸、オルトフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、ビス安息香酸、ビス(p-カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4-ジフェノキシエタンジカルボン酸、5-Naスルホイソフタル酸、エチレン-ビス-p-安息香酸等があげられる。これらのジカルボン酸は単独でまたは2種以上混合して使用することができる。本発明の芳香族ポリブチレンテレフタレート樹脂及び芳香族ポリエチレンテレフタレート樹脂には、上記の芳香族ジカルボン酸以外に、30モル%未満の脂肪族ジカルボン酸成分を共重合することができる。その具体例として、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等があげられる。本発明のジオール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、トランス-またはシス-2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジオール、p-キシレンジオール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2-ヒドロキシエチルエーテル)などを挙げることができる。これらは単独でも、2種以上を混合して使用することができる。尚、ジオール成分中の二価フェノールは30モル%以下であることが好ましい。
本発明に使用される芳香族ポリブチレンテレフタレート樹脂及び芳香族ポリエチレンテレフタレート樹脂の製造方法については、常法に従い、チタン、ゲルマニウム、アンチモン等を含有する重縮合触媒の存在下に、加熱しながらジカルボン酸成分と前記ジオール成分とを重合させ、副生する水または低級アルコールを系外に排出することにより行われる。例えば、ゲルマニウム系重合触媒としては、ゲルマニウムの酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、フェノラート等が例示でき、更に具体的には、酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、テトラメトキシゲルマニウム等が例示できる。また本発明では、従来公知の重縮合の前段階であるエステル交換反応において使用される、マンガン、亜鉛、カルシウム、マグネシウム等の化合物を併せて使用でき、およびエステル交換反応終了後にリン酸または亜リン酸の化合物等により、かかる触媒を失活させて重縮合することも可能である。更に芳香族ポリブチレンテレフタレート樹脂及び芳香族ポリエチレンテレフタレート樹脂の製造方法は、バッチ式、連続重合式のいずれの方法をとることも可能である。
本発明の芳香族ポリブチレンテレフタレート樹脂及び芳香族ポリエチレンテレフタレート樹脂の分子量については特に制限されないが、o-クロロフェノールを溶媒として25℃で測定した固有粘度が0.4~1.5であるのが好ましく、特に好ましくは0.5~1.2である。
また本発明に使用される芳香族ポリブチレンテレフタレート樹脂及び芳香族ポリエチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシ基量は好ましくは5~75eq/ton、より好ましくは5~70eq/ton、さらに好ましくは7~65eq/tonである。
本発明で好適に使用される芳香族ポリアリレート樹脂としては、芳香族ジカルボン酸またはその誘導体と二価フェノールまたはその誘導体とから得られるものである。芳香族ポリアリレート樹脂の調製に用いられる芳香族ジカルボン酸としては、二価フェノールと反応し満足な重合体を与えるものであればいかなるものでもよく、1種または2種以上を混合して用いられる。
好ましい芳香族ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸が挙げられる。またこれらの混合物であってもよい。
二価フェノール成分の具体例としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’-ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2’-ビス(4ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、ハイドロキノンなどが挙げられる。これら二価フェノール成分はパラ置換体であるが、他の異性体を使用してもよく、さらに二価フェノール成分にエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどを併用してもよい。
上記の中でも好ましい芳香族ポリアリレート樹脂としては、芳香族ジカルボン酸成分がテレフタル酸およびイソフタル酸からなり、二価フェノール成分として2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)からなるものが挙げられる。テレフタル酸とイソフタル酸との割合は、テレフタル酸/イソフタル酸=9/1~1/9(モル比)が好ましく、特に溶融加工性、性能バランスの点で7/3~3/7が望ましい。
他の代表的な芳香族ポリアリレート樹脂としては、芳香族ジカルボン酸成分がテレフタル酸からなり、二価フェノール成分がビスフェノールAおよびハイドロキノンからなるものが挙げられる。かかるビスフェノールAとハイドロキノンとの割合は、ビスフェノールA/ハイドロキノン=50/50~70/30(モル比)が好ましく、55/45~70/30がより好ましく、60/40~70/30が更に好ましい。
本発明における芳香族ポリアリレート樹脂の粘度平均分子量は約7,000~100,000の範囲が物性および押出加工性から好ましい。また芳香族ポリアリレート樹脂は界面重縮合法およびエステル交換反応法のいずれの重合方法も選択できる。
酸無水物基を含有し、かつオレフィン成分を含まない化合物としては、スチレン-無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
E成分の含有量は、A成分およびB成分からなる成分100重量部に対し、0.3~10重量部であり、好ましくは0.5~8重量部、より好ましくは1~6重量部である。E成分の含有量が0.3重量部未満ではシルバー抑制効果および熱安定性改良効果が不十分となるため、成形品に外観不良が発生し、さらに耐衝撃性が低下する。一方、10重量部以下で十分な効果を発揮するため、10重量部を超えた場合はコストアップに繋がる。
<その他の成分について>
本発明の樹脂組成物には、リン系安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、衝撃改質剤、染顔料(カーボンブラック、酸化チタン等)等を配合することもできる。
(i)リン系安定剤・フェノール系安定剤・その他熱安定剤
本発明の樹脂組成物には各種の熱安定剤が配合されることが好ましい。かかる熱安定剤としてリン系安定剤が好適である。リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル、並びに第3級ホスフィンなどが例示される。かかるリン系安定剤は、1種のみならず2種以上を混合して用いることができる。ホスファイト化合物としては、例えば、トリデシルホスファイトの如きトリアルキルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイトの如きジアルキルモノアリールホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイトの如きモノアルキルジアリールホスファイト、トリフェニルホスファイトおよびトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトの如きトリアリールホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのペンタエリスリトールホスファイト、並びに2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイトおよび2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトなどの環状ホスファイトが例示される。ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、およびジイソプロピルホスフェートなどが例示され、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。ホスホナイト化合物としては、テトラキス(ジ-tert-ブチルフェニル)-ビフェニレンジホスホナイト、およびビス(ジ-tert-ブチルフェニル)-フェニル-フェニルホスホナイトが好ましく例示され、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-ビフェニレンジホスホナイト、およびビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-フェニル-フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。第3級ホスフィンとしては、例えばトリフェニルホスフィンが例示される。
かかるリン系安定剤の含有量は、A成分およびB成分からなる成分100重量部に対し、0.001~3.0重量部が好ましく、0.01~2.0重量部がより好ましく、0.05~1.0重量部がさらに好ましい。
ヒンダードフェノール化合物としては、通常樹脂に配合される各種の化合物が使用できる。かかるヒンダードフェノール化合物としては、例えば、α-トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2-tert-ブチル-6-(3’-tert-ブチル-5’-メチル-2’-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(N,N-ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノ
ール)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2’-ジメチレン-ビス(6-α-メチル-ベンジル-p-クレゾール)、2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-ブチリデン-ビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-N-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、1,6-へキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2-tert-ブチル-4-メチル6-(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’-ジ-チオビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-トリ-チオビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2-チオジエチレンビス-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、N,N’-ヘキサメチレンビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス2[3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコール-N-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール-N-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)アセテート、3,9-ビス[2-{3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)アセチルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス[メチレン-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)ベンゼン、およびトリス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)イソシアヌレートなどが例示される。上記化合物の中でも、本発明においてはテトラキス[メチレン-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、および3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンが好ましく利用される。特に3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンが好ましい。上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量は、A成分およびB成分からなる成分100重量部に対し、0.001~3.0重量部が好ましく、0.01~2.0重量部がより好ましく、0.05~1.0重量部がさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物には、上記のリン系安定剤およびフェノール系安定剤以外の他の熱安定剤を配合することもできる。かかるその他の熱安定剤は、これらの安定剤および酸化防止剤のいずれかと併用されることが好ましく、特に両者と併用されることが好ましい。かかる他の熱安定剤としては、例えば3-ヒドロキシ-5,7-ジ-tert-ブチル-フラン-2-オンとo-キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤(かかる安定剤の詳細は特開平7-233160号公報に記載されている)が好適に例示される。かかる化合物はIrganox HP-136(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販され、該化合物を利用できる。更に該化合物と各種のホスファイト化合物およびヒンダードフェノール化合物を混合した安定剤が市販されている。例えば上記社製のIrganox HP-2921が好適に例示される。本発明においてもかかる予め混合された安定剤を利用することもできる。ラクトン系安定剤の配合量は、A成分およびB成分からなる成分100重量部に対し、好ましくは0.0005~0.05重量部、より好ましくは0.001~0.03重量部である。
またその他の安定剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、およびグリセロール-3-ステアリルチオプロピオネートなどのイオウ含有安定剤が例示される。かかる安定剤は、樹脂組成物が回転成形に適用される場合に特に有効である。かかるイオウ含有安定剤の配合量は、A成分およびB成分からなる成分100重量部に対し、好ましくは0.001~0.1重量部、より好ましくは0.01~0.08重量部である。
(ii)離型剤
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を妨げない範囲において、その成形時の生産性向上や成形品の歪みの低減を目的として、離型剤を配合することができる。かかる離型剤としては公知のものが使用できる。例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、1-アルケン重合体など。酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、シリコーン化合物、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。中でも好ましい離型剤として脂肪酸エステルが挙げられる。かかる脂肪酸エステルは、脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステルである。かかる脂肪族アルコールは1価アルコールであっても2価以上の多価アルコールであってもよい。また該アルコールの炭素数としては、3~32の範囲、より好適には5~30の範囲である。かかる一価アルコールとしては、例えばドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、テトラコサノール、セリルアルコール、およびトリアコンタノールなどが例示される。かかる多価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリグリセロール(トリグリセロール~ヘキサグリセロール)、ジトリメチロールプロパン、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトールなどが挙げられる。本発明の脂肪酸エステルにおいては多価アルコールがより好ましい。一方、脂肪族カルボン酸は炭素数3~32であることが好ましく、特に炭素数10~22の脂肪族カルボン酸が好ましい。該脂肪族カルボン酸としては、例えばデカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、ベヘン酸、イコサン酸、およびドコサン酸などの飽和脂肪族カルボン酸、並びにパルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エイコサペンタエン酸、およびセトレイン酸などの不飽和脂肪族カルボン酸を挙げることができる。上記の中でも脂肪族カルボン酸は、炭素原子数14~20であるものが好ましい。なかでも飽和脂肪族カルボン酸が好ましい。特にステアリン酸およびパルミチン酸が好ましい。ステアリン酸やパルミチン酸など上記の脂肪族カルボン酸は通常、牛脂や豚脂などに代表される動物性油脂およびパーム油やサンフラワー油に代表される植物性油脂などの天然油脂類から製造されるため、これらの脂肪族カルボン酸は、通常炭素原子数の異なる他のカルボン酸成分を含む混合物である。したがって本発明の脂肪酸エステルの製造においてもかかる天然油脂類から製造され、他のカルボン酸成分を含む混合物の形態からなる脂肪族カルボン酸、殊にステアリン酸やパルミチン酸が好ましく使用される。脂肪酸エステルは、部分エステルおよび全エステル(フルエステル)のいずれであってもよい。しかしながら部分エステルでは通常水酸基価が高くなり高温時の樹脂の分解などを誘発しやすいことから、より好適にはフルエステルである。本発明の脂肪酸エステルにおける酸価は、熱安定性の点から好ましく20以下、より好ましくは4~20の範囲、更に好ましくは4~12の範囲である。尚、酸価は実質的に0を取り得る。また脂肪酸エステルの水酸基価は、0.1~30の範囲がより好ましい。更にヨウ素価は、10以下が好ましい。尚、ヨウ素価は実質的に0を取り得る。これらの特性はJIS K 0070に規定された方法により求めることができる。
離型剤の含有量は、A成分およびB成分からなる成分100重量部に対し、好ましくは0.01~4.0重量部、より好ましくは0.05~3.0重量部、更に好ましくは0.1~2.5重量部である。
(iii)紫外線吸収剤
本発明の樹脂組成物は紫外線吸収剤を含有することができる。ベンゾフェノン系では、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ベンジロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ-5-ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタン、2-ヒドロキシ-4-n-ドデシルオキシベンソフェノン、および2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。ベンゾトリアゾール系では、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2,2’-メチレンビス(4-クミル-6-ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’-p-フェニレンビス(1,3-ベンゾオキサジン-4-オン)、および2-[2-ヒドロキシ-3-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5-メチルフェニル]ベンゾトリアゾ-ル、並びに2-(2’-ヒドロキシ-5-メタクリロキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体や2-(2’―ヒドロキシ-5-アクリロキシエチルフェニル)―2H―ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体などの2-ヒドロキシフェニル-2H-ベンゾトリアゾール骨格を有する重合体などが例示される。ヒドロキシフェニルトリアジン系では、例えば、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシフェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-メチルオキシフェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-エチルオキシフェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-プロピルオキシフェノール、および2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ブチルオキシフェノールなどが例示される。さらに2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシフェノールなど、上記例示化合物のフェニル基が2,4-ジメチルフェニル基となった化合物が例示される。環状イミノエステル系では、例えば2,2’-p-フェニレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-(4,4’-ジフェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、および2,2’-(2,6-ナフタレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)などが例示される。
シアノアクリレート系では、例えば1,3-ビス-[(2’-シアノ-3’,3’-ジフェニルアクリロイル)オキシ]-2,2-ビス[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、および1,3-ビス-[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどが例示される。
さらに上記紫外線吸収剤は、ラジカル重合が可能な単量体化合物の構造をとることにより、かかる紫外線吸収性単量体および/またはヒンダードアミン構造を有する光安定性単量体と、アルキル(メタ)アクリレートなどの単量体とを共重合したポリマー型の紫外線吸収剤であってもよい。上記紫外線吸収性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルのエステル置換基中にベンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格、環状イミノエステル骨格、およびシアノアクリレート骨格を含有する化合物が好適に例示される。
紫外線吸収剤の含有量は、A成分およびB成分からなる成分100重量部に対し、好ましくは0.01~2.0重量部、より好ましくは0.02~1.5重量部、さらに好ましくは0.03~1.0重量部である。
(iv)コアシェル型グラフトポリマー
本発明の樹脂組成物はコアシェル型グラフトポリマーを含有することができる。コアシェル型グラフトポリマーはガラス転移温度が10℃以下のゴム成分をコアとして、芳香族ビニル、シアン化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、およびこれらと共重合可能なビニル化合物から選択されたモノマーの1種または2種以上をシェルとして共重合されたグラフト共重合体である。
コアシェル型グラフトポリマーのゴム成分としては、ブタジエンゴム、ブタジエン-アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル-シリコーン複合ゴム、イソブチレン-シリコーン複合ゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、ニトリルゴム、エチレン-アクリルゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴムおよびこれらの不飽和結合部分に水素が添加されたものを挙げることができるが、燃焼時の有害物質の発生懸念という点から、ハロゲン原子を含まないゴム成分が環境負荷の面において好ましい。ゴム成分のガラス転移温度は好ましくは-10℃以下、より好ましくは-30℃以下であり、ゴム成分としては特にブタジエンゴム、ブタジエン-アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル-シリコーン複合ゴムが好ましい。複合ゴムとは、2種のゴム成分を共重合したゴムまたは分離できないよう相互に絡み合ったIPN構造をとるように重合したゴムをいう。コアシェル型グラフトポリマーにおいて、そのコアの粒径は重量平均粒子径において0.05~0.8μmが好ましく、0.1~0.6μmがより好ましく、0.15~0.5μmがさらに好ましい。0.05~0.8μmの範囲であればより良好な耐衝撃性が達成される。
ゴム成分にコアシェル型グラフトポリマーのシェルとして共重合するビニル化合物における芳香族ビニルとしては、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、アルコキシスチレン、ハロゲン化スチレン等を挙げることができる。またアクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル等を挙げることができ、メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル等を挙げることができ、メタクリル酸メチルが特に好ましい。これらの中でも特にメタクリル酸メチルなどのメタクリル酸エステルを必須成分として含有することが好ましい。これは、該コアシェル型グラフトポリマーが芳香族ポリカーボネート樹脂との親和性に優れることから、該樹脂中により多くのゴム成分が存在するようになり、芳香族ポリカーボネート樹脂の有する良好な耐衝撃性がより効果的に発揮され、結果として樹脂組成物の耐衝撃性が良好となるためである。より具体的には、メタクリル酸エステルはグラフト成分100重量%中(コアシェル型重合体の場合にはシェル100重量%中)、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上含有されることが好ましい。ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分を含有する弾性重合体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合のいずれの重合法で製造したものであってもよく、共重合の方式は一段グラフトであっても多段グラフトであっても差し支えない。また製造の際に副生するグラフト成分のみのコポリマーとの混合物であってもよい。さらに重合法としては一般的な乳化重合法の他、過硫酸カリウム等の開始剤を使用するソープフリー重合法、シード重合法、二段階膨潤重合法等を挙げることができる。また懸濁重合法において、水相とモノマー相とを個別に保持して両者を正確に連続式の分散機に供給し、粒子径を分散機の回転数で制御する方法、および連続式の製造方法において分散能を有する水性液体中にモノマー相を数~数十μm径の細径オリフィスまたは多孔質フィルターを通すことにより供給し粒径を制御する方法などを行ってもよい。コアシェル型のグラフト重合体の場合、その反応はコアおよびシェル共に、1段であっても多段であってもよい。
かかる重合体は市販されており容易に入手することが可能である。例えばゴム成分として、ブタジエンゴムを主成分とするものは、(株)カネカ製のカネエースMシリーズ(例えばシェル成分がメチルメタクリレートを主成分とするM-711、シェル成分がメチルメタクリレート・スチレンを主成分とするM-701など)、三菱レイヨン(株)製のメタブレンCシリーズ(例えばシェル成分がメチルメタクリレート・スチレンを主成分とするC-223Aなど)、Eシリーズ(例えばシェル成分がメチルメタクリレート・スチレンを主成分とするE-870Aなど)、DOWケミカル(株)のパラロイドEXLシリーズ(例えばシェル成分がメチルメタクリレートを主成分とするEXL-2690など)が挙げられアクリルゴムまたはブタジエン-アクリル複合ゴムを主成分とするものとしては、Wシリーズ(例えばシェル成分がメチルメタクリレートを主成分とするW-600Aなど)、DOWケミカル(株)のパラロイドEXLシリーズ(例えばシェル成分がメチルメタクリレートを主成分とするEXL-2390など)が挙げられ、ゴム成分としてアクリル-シリコーン複合ゴムを主成分とするものとしては三菱レイヨン(株)製のシェル成分がメチルメタクリレートを主成分とするメタブレンS-2501あるいはシェル成分がアクリロニトリル・スチレンを主成分とするSX-200Rという商品名で市販されているものが挙げられる。
コアシェル型グラフトポリマーの含有量は、A成分およびB成分からなる成分100重
量部に対し、1~10重量部であることが好ましく、より好ましくは1~8重量部、さらに好ましくは2~7重量部である。
(v)他の樹脂・エラストマー
本発明の樹脂組成物には、他の樹脂またはエラストマーを本発明の効果を発揮する範囲において、少割合使用することもできる。かかる他の樹脂としては、例えばAS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂等の樹脂が挙げられる。また、エラストマーとしては、例えばイソブチレン/イソプレンゴム、エチレン/プロピレンゴム、アクリル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等が挙げられる。
(vi)染顔料
本発明の樹脂組成物は更に各種の染顔料を含有し多様な意匠性を発現する成形品を提供できる。蛍光増白剤やそれ以外の発光をする蛍光染料を配合することにより、発光色を生かした更に良好な意匠効果を付与することができる。また極微量の染顔料による着色、かつ鮮やかな発色性を有するポリカーボネート樹脂組成物もまた提供可能である。
本発明で使用する蛍光染料(蛍光増白剤を含む)としては、例えば、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、ペリレン系蛍光染料、アンスラキノン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、キサンテン系蛍光染料、キサントン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオキサントン系蛍光染料、チアジン系蛍光染料、およびジアミノスチルベン系蛍光染料などを挙げることができる。これらの中でも耐熱性が良好でポリカーボネート樹脂の成形加工時における劣化が少ないクマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、およびペリレン系蛍光染料が好適である。
上記ブルーイング剤および蛍光染料以外の染料としては、ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料、アンスラキノン系染料、チオキサントン系染料、紺青等のフェロシアン化物、ペリノン系染料、キノリン系染料、キナクリドン系染料、ジオキサジン系染料、イソインドリノン系染料、およびフタロシアニン系染料などを挙げることができる。更に本発明の樹脂組成物はメタリック顔料を配合してより良好なメタリック色彩を得ることもできる。メタリック顔料としては、各種板状フィラーに金属被膜または金属酸化物被膜を有するものが好適である。
上記の染顔料の含有量は、A成分およびB成分からなる成分100重量部に対し、0.00001~1重量部が好ましく、0.00005~0.5重量部がより好ましい。
(vii)難燃剤
本発明の樹脂組成物には従来、熱可塑性樹脂、特にポリカーボネート系樹脂の難燃剤として知られる各種の化合物が適用できるが、より好適には、(i)ハロゲン系難燃剤(例えば、臭素化ポリカーボネート化合物など)(ii)リン系難燃剤(例えば、モノホスフェート化合物、ホスフェートオリゴマー化合物ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物、およびホスファゼン化合物など)、(iii)金属塩系難燃剤(例えば有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ホウ酸金属塩系難燃剤、および錫酸金属塩系難燃剤など)、(iv)シリコーン化合物からなるシリコーン系難燃剤である。尚、難燃剤として使用される化合物の配合は難燃性の向上のみならず、各化合物の性質に基づき、例えば帯電防止性、流動性、剛性、および熱安定性の向上などがもたらされる。
難燃剤の含有量は、A成分およびB成分からなる成分100重量部に対し、好ましくは0.01~30重量部であり、より好ましくは0.05~28重量部、さらに好ましくは0.08~25重量部である。難燃剤の含有量が0.01重量部未満の場合、十分な難燃性が得られない場合があり、30重量部を超えた場合、機械特性の低下が大きい場合がある。
(viii)光高反射用白色顔料
本発明の樹脂組成物には、光高反射用白色顔料を配合して光反射効果を付与することができる。かかる白色顔料としては硫化亜鉛、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、焼成カオリンなどが挙げられる。かかる光高反射用白色顔料の含有量は、A成分およびB成分からなる成分100重量部に対し、1~30重量部が好ましく、3~25重量部がより好ましい。尚、光高反射用白色顔料は2種以上を併用することができる。
(ix)その他の添加剤
その他、本発明の樹脂組成物には、成形品に種々の機能の付与や特性改善のために、それ自体知られた添加物を少割合配合することができる。これら添加物は本発明の目的を損なわない限り、通常の配合量である。かかる添加剤としては、摺動剤(例えばPTFE粒子)、着色剤(例えばカーボンブラックなどの顔料、染料)、光拡散剤(例えばアクリル架橋粒子、シリコン架橋粒子、極薄ガラスフレーク、炭酸カルシウム粒子)、蛍光染料、無機系蛍光体(例えばアルミン酸塩を母結晶とする蛍光体)、帯電防止剤、結晶核剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(例えば微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛)、ラジカル発生剤、赤外線吸収剤(熱線吸収剤)、およびフォトクロミック剤などが挙げられる。
<熱可塑性樹脂組成物の調製方法>
本発明の樹脂組成物は、上記各成分を同時に、または任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合することにより調製する。混合器としては、2軸押出機による溶融混練が好ましく、必要に応じて、任意の成分をサイドフィーダー等を用いて第2供給口より、溶融混合された他の成分中に供給することが好ましい。上記の如く押出された樹脂は、直接切断してペレット化するか、またはストランドを形成した後かかるストランドをペレタイザーで切断してペレット化される。ペレット化に際して外部の埃などの影響を低減する必要がある場合には、押出機周囲の雰囲気を清浄化することが好ましい。得られたペレットの形状は、円柱、角柱、および球状など一般的な形状を取り得るが、より好適には円柱である。かかる円柱の直径は好ましくは1~5mm、より好ましくは1.5~4mm、さらに好ましくは2~3.5mmである。一方、円柱の長さは好ましくは1~30mm、より好ましくは2~5mm、さらに好ましくは2.5~4mmである。
<本発明の製造方法で得られた樹脂組成物からなる成形品について>
本発明の製造方法で得られた樹脂組成物は、通常上述の方法で得られたペレットを射出成形して各種製品を製造することができる。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、機械特性、耐薬品性および熱安定性に優れる
ことから、屋外/屋内に限らず、住宅設備用途、建材用途、生活資材用途、インフラ設備用途、自動車用途、OA・EE用途、屋外機器用途、その他の各種分野において幅広く有用である。したがって本発明の奏する産業上の効果は極めて大である。
本発明者が現在最良と考える発明の形態は、上記の各要件の好ましい範囲を集約したものとなるが、例えば、その代表例を下記の実施例中に記載する。もちろん本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
以下に実施例をあげて本発明を更に説明する。なお、評価は下記の方法によって実施した。
(i)成形品外観
下記の方法で作製して得られたISO引張試験片の外観について、目視で評価した。なお、評価は下記の基準で実施した。
○:外観不良が見られないもの
×:シルバー等の外観不良が発生しているもの
(ii)熱安定性
下記の方法で得られた溶融混錬ペレットの粘度平均分子量を本文記載の方法により測定した。一方、溶融混錬前のポリカーボネートパウダーの粘度平均分子量も同様に測定した。かかる溶融混錬前の分子量から溶融混錬後の分子量を差し引いた値をΔMvとして評価した。かかるΔMvが小さいほど、熱安定性が良好であるといえる。
(iii)曲げ弾性率
下記の方法で得られたISO曲げ試験片を用いて、温度80℃の雰囲気下においてISO178に従い、曲げ弾性率の測定を実施した。本発明の樹脂組成物は曲げ弾性率を2,000MPa以上にする必要がある。
(iv)シャルピー衝撃強度
下記の方法で得られたISO曲げ試験片を用いて、温度23℃および相対湿度50%RHの雰囲気下においてISO179に従い、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度の測定を実施した。本発明の樹脂組成物はシャルピー衝撃強度を3J/m以上にする必要がある。(v)耐薬品性
下記の方法で得られたISO引張試験片を用いて、3点曲げ試験法にて、1%歪みをかけた後、マジックリン(花王(株)製)を含浸させた布をかけ、23℃で96時間放置した後に、外観変化の有無を確認した。なお、評価は下記の基準で実施した。
○:外観変化が見られないもの
△:微細なクラックの発生が見られるもの
×:破断にいたるような大きなクラックが見られるもの
[実施例1~25、比較例1~8]
表1および表2の記載成分のうち、B成分のポリプロピレン系樹脂およびD成分の無機充填材を除く成分からなる混合物を押出機の第1供給口から供給した。かかる混合物はV型ブレンダーで混合して得た。B成分のポリプロピレン系樹脂およびD成分の無機充填材は、第2供給口からサイドフィーダーを用いてそれぞれ供給した。押出は径30mmφのベント式二軸押出機((株)日本製鋼所TEX30α-38.5BW-3V)を使用し、スクリュー回転数230rpm、吐出量25kg/h、ベントの真空度3kPaで溶融混練しペレットを得た。なお、押出温度については、第1供給口からダイス部分まで260℃で実施した。得られたペレットは、100℃で6時間熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機(シリンダー温度260℃、金型温度60℃)を用いて、評価用のISO曲げ試験片およびISO引張試験片を成形した。
なお、原料としては以下のものを用いた。
(A成分)
A-1:芳香族ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールAとホスゲンから常法によって作られた粘度平均分子量19,800のポリカーボネート樹脂粉末、帝人(株)製 パンライトL-1225WX(製品名))
A-2:芳香族ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールAとホスゲンから常法によって作られた粘度平均分子量25,100のポリカーボネート樹脂粉末、帝人(株)製 パンライトL-1250WQ(製品名))
A-3:ポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(粘度平均分子量19,800、PDMS量8.4%、PDMS重合度37)
(B成分)
B-1:ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、MFR:2g/10min、(株)サンアロマー製 サンアロマーPL400A(製品名))
B-2:ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、MFR:70g/10min、(株)サ
ンアロマー製 サンアロマーPLB00A(製品名))
B-3:ポリプロピレン樹脂(ブロックポリマー、MFR:1.5g/10min、(株)サンアロマー製 サンアロマーVB370BA(製品名))
(C成分)
C-1:スチレン-エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体(スチレン含有量:65wt%、MFR:0.4g/10min、(株)クラレ製 セプトン2104(製品名))
C-2:スチレン-ブタジエン・ブチレン-スチレンブロック共重合体(スチレン含有量:67wt%、MFR:28g/10min、旭化成ケミカルズ(株)製 タフテックP2000(製品名))
(D成分)
D-1:ワラストナイト(平均粒径3μm、キンセイマテック(株)製SH-1800(製品名))
D-2:ワラストナイト(平均粒径5μm、キンセイマテック(株)製SH-1250(製品名))
D-3:マイカ(キンセイマテック(株)製GM-6(製品名))
D-4:タルク((株)勝光山鉱業所製:ビクトリライトTK-RC(商品名))
(E成分)
E-1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製jER1256(製品名))
E-2:ポリカーボネートにグリシジルメタクリレート-スチレン-アクリロニトリル共重合体をグラフト重合した共重合体(日油(株)製モディパーCL430-G(製品名))
E-3:ポリブチレンテレフタレート樹脂(BASFジャパン(株)製B2550(製品名))
E-4:スチレン-無水マレイン酸共重合体(POLYSCOPE POLYMERS B.V.製XIBOND140(製品名))
E-5:エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学(株)製ボンドファースト-E(製品名))
(その他成分)
F-1:リン系安定剤(トリメチルホスフェート、大八化学工業(株)製TMP(製品名
))
F-2:フェノール系熱安定剤(オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、分子量531、BASFジャパン(株)製 Irganox 1076(製品名))
F-3:ブタジエン系コアシェル型グラフトポリマー(コアがブタジエンゴムを主成分として70wt%、シェルがメチルメタクリレートとスチレンを主成分として30wt%であるコアシェル構造を有するグラフト共重合体、(株)カネカ製 カネエースM-701(製品名))
F-4: カーボンブラック(越谷化成(株)製:ROYAL BLACK RB90003S(製品名))
Figure 2022032076000009
Figure 2022032076000010
上記表より、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマーおよび無機充填材からなる成分にエポキシ基、カルボキシ基および酸無水物基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を含有し、かつオレフィン成分を含まない化合物を添加することにより、機械特性、耐薬品性および熱安定性が改良されたポリカーボネート樹脂組成物を得ることができることが分かる。

Claims (6)

  1. (A)ポリカーボネート系樹脂(A成分)40~90重量部および(B)ポリプロピレン系樹脂(B成分)60~10重量部からなる成分100重量部に対し、(C)スチレン系熱可塑性エラストマー(C成分)1~20重量部、(D)無機充填材(D成分)5~100重量部および(E)エポキシ基、カルボキシ基および酸無水物基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を含有し、かつオレフィン成分を含まない化合物(E成分)0.3~10重量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物。
  2. D成分がケイ酸塩鉱物であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. C成分のスチレン含有量が40~80重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. C成分が、水添ポリジエン単位が水添ブタジエン単位であり、エチレン・ブチレンブロック単位を有するブロック共重合体であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. C成分が、水添ポリジエン単位が部分水添ブタジエン単位であり、ブダジエン・ブチレンブロック単位を有するブロック共重合体であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  6. E成分がビスフェノールA型エポキシ樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、スチレン-無水マレイン酸共重合体およびオレフィン成分を含まないグリシジルメタクリレート共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
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