JP2022029906A - 変性ポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents

変性ポリオレフィン樹脂組成物 Download PDF

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裕生 横山
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Abstract

【課題】本発明は、再生可能資源を原料とする生物由来ポリプロピレン系樹脂を用いる変性ポリオレフィン樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、成分(I):バイオマス度30~100%の生物由来ポリプロピレン系樹脂を含むポリオレフィン樹脂が、成分(II):成分(II-A):塩素、成分(II-B):α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体、及び成分(II-C):一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1つの変性成分で変性されてなる、重量平均分子量が5,000~300,000である変性ポリオレフィン樹脂を含む、変性ポリオレフィン樹脂組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、変性ポリオレフィン樹脂組成物に関し、詳しくは、バイオマスポリプロピレン系樹脂を含む変性ポリオレフィン樹脂組成物、及びその用途に関する。
近年、環境意識の向上により、石油由来のポリオレフィン樹脂に代えて生物由来の原料を用いて製造されるいわゆるバイオマスプラスチックの使用が求められている。例えば、特許文献1には、放射性炭素年代測定C14の測定値から算定するバイオマス度80~100%であり、所定の物性を有する植物由来高密度ポリエチレン系樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含む多層構成のシーラントフィルムが、石油由来のポリエチレン系樹脂からなるフィルムと性能的に違いがなく、しかも、石油資源の使用量を削減すると共に、フィルム製造および廃棄時の二酸化炭素排出量を抑制することができることが記載されている。
特許第6638758号公報
しかし、バイオマスプラスチックの開発はまだ途上であり、従来技術に代わる技術の開発が求められていた。
本発明は、再生可能資源を原料とする生物由来ポリプロピレン系樹脂を用いる変性ポリオレフィン樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、以下を提供する。
〔1〕成分(I):バイオマス度30~100%の生物由来ポリプロピレン系樹脂を含むポリオレフィン樹脂が、
成分(II):
成分(II-A):塩素、
成分(II-B):α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体、及び
成分(II-C):(メタ)アクリル酸エステル
からなる群より選ばれる少なくとも1つの変性成分
で変性されてなる、重量平均分子量が5,000~300,000である変性ポリオレフィン樹脂を含む、変性ポリオレフィン樹脂組成物。
〔2〕〔1〕に記載の組成物を含むプライマー。
〔3〕〔1〕に記載の組成物を含む接着剤。
〔4〕〔1〕に記載の組成物を含む塗料用バインダー。
〔5〕〔1〕に記載の組成物を含むインキ用バインダー。
本発明の変性ポリオレフィン樹脂組成物は、生物由来ポリプロピレン系樹脂を用いることから、再生可能資源の新たな用途を提供できる。また、再生可能資源を用いることができるので、従来の樹脂のような化石燃料を原料とする場合と比較して、二酸化炭素の排出量を削減することができ、環境を保護することができる。
1.変性ポリオレフィン樹脂組成物
変性ポリオレフィン樹脂組成物は、成分(I)が成分(II)で変性されてなる変性ポリオレフィン樹脂を含む。
〔成分(I):ポリオレフィン樹脂〕
成分(I)は、ポリオレフィン樹脂である。ポリオレフィン樹脂は、通常、オレフィン(α-オレフィン)構造単位を含む重合体である。本明細書においてオレフィン構造単位とは、オレフィン(α-オレフィン)に由来する構造単位を意味する。α-オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、スチレン、ノルボルネンが挙げられる。
ポリオレフィン樹脂は、オレフィン構造単位1種単独を含むオレフィン重合体であってもよく、2種以上を含むオレフィン重合体の共重合体であってもよい。ポリオレフィン樹脂が共重合体である場合、ポリオレフィン樹脂はランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
ポリオレフィン樹脂は、ポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。本明細書においてポリプロピレン系樹脂とは、プロピレン構造単位を少なくとも含むポリオレフィン樹脂を意味する。プロピレン構造単位含有率は、全構成単位に対し60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上が更に好ましい。プロピレン構造単位含有率は、原料の使用割合であってもよく、NMR解析で算出した値であってもよい。両値は、通常、一致する。ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン-1-ブテン共重合体が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂は、生物由来であることが好ましい。本明細書において生物由来ポリオレフィン樹脂とは、生物資源(バイオマス)から製造されるポリオレフィン樹脂を意味する。生物としては、例えば、トウモロコシ、小麦、ジャガイモ、大豆、タピオカ、ココナッツ、サトウキビ、木等の植物、藻類、微生物が挙げられる。生物由来のポリオレフィン樹脂は、プロピレン構造単位を少なくとも含むことが好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。
ポリオレフィン樹脂は、生物由来であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂のバイオマス度は、通常、25%以上、好ましくは28%以上、より好ましくは30%以上である。上限は、100%以下であればよく、特に限定されない。本明細書において生物由来とは、いわゆる生物資源(例えば、植物、微生物、その代謝成分、それらのいずれかを含む組成物(例えば、農業廃棄物、廃棄食品)を原料として製造されることを意味する。ポリオレフィン樹脂のバイオマス度は、例えばASTM D6866に基づき、放射性炭素年代測定方法により原料のポリオレフィン樹脂又は変性ポリオレフィン樹脂のC14濃度を測定し、得られる測定値の、原料である生物のC14濃度に対する割合として算出できる。
ポリオレフィンの構造は、アイソタクチック構造、アタクチック構造、シンジオタクチック構造等、取り得る構造のいずれでもよい。これらの構造の中でも、ポリオレフィン基材への付着性、特に低温乾燥での付着性を考慮すると、メタロセン触媒を用いた場合にとり得る、アイソタクチック構造のポリオレフィンが好ましい。なお、これらに限らず、通常の高分子化合物が取り得る構造であればよい。
ポリオレフィン樹脂は、減成などの前処理が施されてもよく、結晶性及び非結晶性の何れでもよい。
ポリオレフィン樹脂のメルトマスフローレイトは、1.0以上が好ましく、10.0以上がより好ましい。また、上限は、特に限定されないが、変性後の重量平均分子量が5,000以上となればよい。メルトマスフローレイトの測定は、JIS K7210に準じて測定できる。
ポリオレフィン樹脂の融点(Tm)は、60℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。また、上限は、170℃以下が好ましく、165℃以下がより好ましい。融点(Tm)の測定は、示差走査熱量計(DSC)によって測定できる。
成分(I)は、ポリオレフィン樹脂1種単独でもよく、複数の組み合わせでもよい。少なくとも、生物由来ポリプロピレン系樹脂を含むことが好ましい。
〔成分(II):変性成分〕
成分(II)は、成分(II-A)~(II-C)からなる群より選ばれる少なくとも1つである。
(成分(II-A):塩素)
-塩素化-
成分(II-A)は塩素である。塩素を用いてポリオレフィン樹脂を変性(塩素化)する方法は、通常、原料組成物(ポリオレフィン樹脂を含む)に塩素原子を導入する方法であればよく、例えば、原料組成物を含む塩素系溶剤(例えば、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素)等の溶剤に塩素ガスを吹き込む方法が挙げられる。塩素ガスの吹き込みは、紫外線の照射下で行うことができ、ラジカル反応開始剤の存在下及び不存在下のいずれにおいても行い得る。塩素ガスの吹き込みを行う際の圧力は制限されず、常圧であってもよいし、加圧下であってもよい。塩素ガスの吹き込みを行う際の温度も特に制限されないが、通常、50~140℃である。
ラジカル反応開始剤としては、例えば、有機過酸化物系化合物、アゾニトリル類が挙げられる。有機過酸化物系化合物としては、例えば、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、1,4-ビス[(t-ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-シクロヘキサン、シクロヘキサノンパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクトエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、これらの2以上の組み合わせが挙げられる。アゾニトリル類としては、例えば、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2-アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。ラジカル反応開始剤としては、有機過酸化物系化合物が好ましく、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイドがより好ましい。
-塩素含有量-
塩素化されたポリオレフィン樹脂の塩素含有量は、通常、1~45質量%、好ましくは10~45質量%、より好ましくは13~42重量%である。これにより、塩素化ポリオレフィン樹脂の極性を一定範囲に調整し得る。そのため、プライマー、接着剤、塗料、インキに他の樹脂と共に含まれる場合に、他の樹脂と良好な相溶性を示すことができ、ポリオレフィン基材等の非極性基材に対する十分な接着性を得ることができる。塩素含有量は、ポリオレフィン樹脂の種類、反応スケール、反応装置等の要素の違いにより変化する。そのため、塩素含有量の調節は、塩素化の条件(例えば、塩素の吹き込み量、吹込み時間)をモニタリングしながら行えばよい。塩素化ポリオレフィン樹脂の塩素含有量は、JIS K7229に基づいて測定できる。
(成分(II-B):α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体)
-化合物例-
α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、無水ハイミック酸、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アミド(例、N-メチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン)が挙げられる。中でも、無水マレイン酸が好ましい。
成分(II-B)は、α,β-不飽和カルボン酸及びその誘導体から選ばれる1種単独でもよく、複数の組み合わせでもよい。
-グラフト重量-
成分(II-B)の導入量(グラフト重量)は、を100重量%とした場合に、0.1~20重量%が好ましく、0.5~10重量%がより好ましい。グラフト重量が0.1重量%以上であることにより、得られる変性ポリオレフィン樹脂の接着性を向上させることができ、中でも例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等からなる上塗り塗料、金属被着体などの高極性の材料、ポリオレフィンなどの非極性の材料に対する接着性を保ち得る。グラフト重量が10重量%以下であることにより、グラフト未反応物の発生を防止することができ、樹脂被着体に対する十分な接着性を得ることができる。成分(II-B)の導入量(グラフト重量)は、例えば、アルカリ滴定法で測定できる。
(成分(II-C):(メタ)アクリル酸エステル)
成分(II-C)は、(メタ)アクリル酸エステルである。本明細書において「(メタ)アクリル」「(メタ)アクリレート」「(メタ)アクリロイル」は、それぞれ、アクリル又はメタアクリル、アクリレート又はメタアクリレート、メタクリロイル又はアクリロイルを意味する。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうち、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
CH2=C(R1)COOR2 ・・・(1)
一般式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基を示す。R2は、Cn2n+1で表される炭化水素を示す。nは、1~18の整数である。
成分(II-C)は、(メタ)アクリル酸エステル類から選ばれる1種単独でもよく、複数の組み合わせでもよい。
成分(II-C)の導入量(グラフト重量)は、原料組成物を100重量%とした場合に、0.1~20重量%が好ましく、0.5~10重量%がより好ましい。成分(II-C)の導入量(グラフト重量)は、例えば、フーリエ変換赤外分光法又は1H-NMRによって求めることができる。
成分(II-B)及び(II-C)から選ばれる成分により成分(I)を変性する方法としては、例えば、これらをグラフト共重合する方法が挙げられる。グラフト共重合は、溶融法、溶液法等の公知の方法に従って行えばよい。溶融法によれば、操作が簡単であり、反応を短時間で済ませられる。溶液法によれば、副反応が少なく均一なグラフト重合物を得ることができる。
溶融法は、例えば、ラジカル反応開始剤の存在下で成分(I)を加熱融解(加熱溶融)して反応させる。加熱融解の温度は、融点以上であればよく、融点以上300℃以下であることが好ましい。加熱融解の際には、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機などの機器を使用できる。溶液法は、例えば、成分(I)を有機溶剤(例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤)に溶解させた後、ラジカル反応開始剤の存在下に加熱撹拌して成分(II-B)及び(II-C)から選ばれる成分と反応させる方法である。グラフト共重合の際の反応温度は、100~180℃が好ましい。ラジカル発生剤としては、例えば、前述の有機過酸化物系化合物、他の公知のラジカル発生剤が挙げられる。ラジカル発生剤の添加量は、成分(II-B)及び(II-C)の添加量の合計(重量)に対し、通常、1重量%以上、好ましくは10重量%以上である。これにより、十分なグラフト効率を保持し得る。上限は、通常、100重量%以下、好ましくは50重量%以下である。これにより、重量平均分子量の低下を抑制し得る。
成分(II)は、成分(II-A)~(II-C)以外の他の変性成分を含んでもよい。他の変性成分は、ポリオレフィンにグラフト重合し得る成分であれば特に限定されない。
(重量平均分子量)
変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、5,000以上が好ましく、7,000以上がより好ましく、8,000以上がさらに好ましい。これにより、樹脂の凝集力が発揮され、被付着物への付着性を発現し得る。上限は、300,000以下が好ましく、250,000以下がより好ましく、200,000以下がさらに好ましい。300,000以下であると、他樹脂との相溶性や溶剤への溶解性が発揮され、塗料及びインキ等の用途に適用し得る。従って、変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、通常、5,000~300,000、好ましくは7,000~250,000、より好ましくは8,000~200,000である。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン検量線から求めることができる。
〔他の成分〕
変性ポリオレフィン系樹脂組成物は、成分(I)が変性成分(II)により変性されてなる変性ポリオレフィン樹脂を含んでいればよく、本発明の目的及び効果を阻害しない限りにおいて、他の成分を含んでもよい。他の成分としては、例えば、変性成分のみを構成単位とするポリマー、変性成分のモノマー、変性されていないポリオレフィン樹脂等の樹脂成分が挙げられる。これらについては、上述したとおりである。また、他の成分の例としては、溶剤、安定化剤、塩基性物質、乳化剤、架橋剤、希釈剤、硬化剤等の任意成分が挙げられる。
(溶剤)
溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶剤;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル等のエステル系溶剤;エチレングリコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のグリコール系溶剤;水;メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、2-エチル-ヘキサノール等の脂肪族アルコール系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールモノエーテル系溶剤)が挙げられる。
(安定化剤)
安定化剤としては、例えば、エポキシ系安定剤等の、エポキシ環を含む化合物が挙げられる。エポキシ系安定剤としては、例えば、エポキシ当量が100から500程度であり、一分子中にエポキシ基を1個以上含むエポキシ化合物が挙げられる。より詳細には、以下の化合物が挙げられる:天然の不飽和基を有する植物油を過酢酸等の過酸でエポキシ化したエポキシ化大豆油やエポキシ化アマニ油;オレイン酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸等の不飽和脂肪酸をエポキシ化したエポキシ化脂肪酸エステル類;エポキシ化テトラヒドロフタレートに代表されるエポキシ化脂環式化合物;ビスフェノールAや多価アルコールとエピクロルヒドリンとを縮合した、例えば、ビスフェノールAグリシジルエーテル、エチレングリコールグリシジルエーテル、プロピレングリコールグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル;ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、sec-ブチルフェニルグリシジルエーテル、tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、フェノールポリエチレンオキサイドグリシジルエーテル等に代表されるモノエポキシ化合物類。安定化剤は、エポキシ環を含まない化合物でもよく、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂の安定剤として使用されている、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛等の金属石鹸類;ジブチル錫ジラウレート、ジブチルマレート等の有機金属化合物類;ハイドロタルサイト類化合物が挙げられる。
また、エポキシ環を含まない安定剤でもよく、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂の安定剤として使用されている、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛等の金属石鹸類;ジブチル錫ジラウレート、ジブチルマレート等の有機金属化合物類;ハイドロタルサイト類化合物が挙げられる。
安定化剤の含有量は、変性ポリオレフィン樹脂100重量%に対し、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、更に好ましくは2重量%以上である。これにより、安定化効果が良好に発現し得る。上限は、好ましくは15重量%以下、より好ましくは12重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。これにより、ポリオレフィン等の基材に対する接着性を良好に発現させることができる。
(塩基性物質)
溶剤が水系溶媒(例えば、水、アルコール系溶剤、グリコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤;以下同じ)の場合には、組成物は塩基性物質を含むことが好ましい。これにより、溶剤への樹脂の分散性をより高めることができる。塩基性物質としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、プロピルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、モルホリン、ジメチルエタノールアミンなどが挙げられ、好ましくはアンモニア、トリエチルアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、モルホリン、ジメチルエタノールアミンなどが挙げられる。成分(E)は、1種類の塩基性物質でもよいし、2種以上の塩基性物質の組み合わせでもよい。 塩基性物質の含有量は、塩素化ポリオレフィン樹脂組成物中の酸性成分の量に応じて、任意の量に調整することができる。変性ポリオレフィン樹脂組成物のpHが、通常は5以上、好ましくは6以上となる量である。これにより、十分に中和がされ、安定な分散性が保たれ得る。上限は通常、pH10以下となる量である。これにより、他成分との相溶性、作業上の安全性を良好に保持できる。
(乳化剤)
溶剤が水系溶媒の場合には、組成物は乳化剤を含むことが好ましい。これにより、変性ポリオレフィン樹脂の分散性を安定化させ耐湿性等の安定性を向上させることができる。乳化剤としては例えば、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤等の界面活性剤が挙げられ、ノニオン界面活性剤が好ましい。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンである。
アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、メチルタウリル酸塩、スルホコハク酸塩、エーテルスルホン酸塩、エーテルカルボン酸塩、脂肪酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシドなどが挙げられる。好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩である。
(架橋剤)
溶剤が水系溶媒の場合、組成物は、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤は、組成物中に存在する、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の基と反応し、架橋構造を形成し得る化合物であればよく、水溶性の架橋剤、及び、架橋剤の水分散体(何らかの方法で水に分散されている状態の架橋剤)のいずれでもよい。架橋剤としては、例えば、ブロックイソシアネート化合物、脂肪族又は芳香族のエポキシ化合物、アミン系化合物、アミノ樹脂などが挙げられる。成分(H)は、1種の架橋剤単独でも、2種以上の架橋剤の組み合わせでもよい。架橋剤の添加方法は特に限定されず、添加時は、水性化工程途中、或いは水性化後のいずれでもよい。
(希釈剤)
溶剤が有機溶媒(例えば、芳香族系溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、炭化水素系溶剤;以下同じ)の場合、組成物は希釈剤を含むことが好ましい。これにより、保存安定性が向上し得る。希釈剤としては、例えば、アルコール、プロピレン系グリコールエーテルが挙げられる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールが挙げられる。プロピレン系グリコールエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコール-tert-ブチルエーテルが挙げられる。
(硬化剤)
硬化剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、ポリアミン化合物、ポリオール化合物、それらの官能基が保護基でブロックされた架橋剤が挙げられる。
(他の任意成分)
任意成分は上記の各剤に限らず、例えば、アルキッド樹脂、水性アクリル樹脂、水性ウレタン樹脂、上記成分(A)以外の変性ポリオレフィン樹脂、低級アルコール類、低級ケトン類、低級エステル類、防腐剤、レベリング剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、金属塩、酸類、及びこれらの組み合わせの中から、目的、形態等により選択して用いてもよい。
樹脂組成物の濃度(樹脂固形分濃度)は、用途により適宜選択すればよい。但し、樹脂組成物の濃度は高すぎても低すぎても塗工作業性が損なわれるため、15~70重量%とすることが好ましい。
〔変性ポリオレフィン樹脂組成物の形態・製造方法〕
変性ポリオレフィン樹脂組成物の形態は特に限定されない。例えば、溶液(例えば、樹脂溶液、水系分散液)、固形物(例えば、ペレット、粉末)が挙げられ、用途など必要に応じて適宜選択すればよい。変性ポリオレフィン樹脂組成物の製造方法としては、例えば、成分(I)を成分(II)で変性後、得られる変性ポリオレフィン樹脂を含む反応生産物に必要に応じて使用する他の成分を任意の順序で添加して製造する方法が挙げられ、各形態に応じて製造条件を選択できる。
2.変性ポリオレフィン樹脂組成物の用途
変性ポリオレフィン樹脂組成物は、プライマー、接着剤、塗料用バインダー、インキ用バインダー等の各種用途において利用可能である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を好適に説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。なお、物性値等の測定方法は、別途記載がない限り、下記に記載した測定方法である。また、「部」は、質量部を示す。
製造例1
バイオマス度が30%、メルトマスフローレイトが12g/分(JIS K7210に準じて測定、製造例2も同様)で融点が153℃の結晶性ポリプロピレン4kgを原料樹脂に用い、内面をグラスライニングされた反応釜に投入し、50Lのクロロホルムを加えた。釜内をゲージ圧で0.3MPaまで加圧し、温度110℃で充分に樹脂を溶解させた。その後、ラジカル反応開始剤としてtert-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート4gを加え、上記釜内圧力を0.3MPaに維持しながら塩素ガスを吹き込み、塩素含有率32重量%、重量平均分子量180,000の塩素化ポリプロピレンのクロロホルム溶液を得た。反応溶媒であるクロロホルムをエバポレーターで留去して反応溶液を濃縮した後、安定剤としてエピオールSB(日油(株)製)を対樹脂4重量%添加し、反応溶媒をトルエンに置換した塩素化樹脂組成物の20重量%溶液を得た。
<バイオマス度の測定方法>
放射性炭素年代測定方法によりC14濃度を測定し、原料である生物のC14濃度に対する測定値の割合として算出した。
<重量平均分子量の測定方法>
下記の条件で測定した値である。
測定機器:HLC-8320GPC(東ソー(株)製)
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム:TSKgel(東ソー(株)製)
製造例2
バイオマス度が0%、メルトマスフローレイトが11g/分で融点が162℃の結晶性ポリプロプレンを原料樹脂として用いた以外は、実施例1と同様の手順で塩素化反応を行い、塩素含有率32重量%、重量平均分子量200,000の塩素化樹脂組成物のトルエン溶液を得た。
実施例1
製造例1で得られた塩素化樹脂組成物の20重量%溶液100gと二酸化チタン20gを、サンドミルで3時間混練した後に、#3ザーンカップで25~30秒/20℃の粘度になるようにトルエンで希釈し、インキを調製し、下記の粘着テープ剥離試験を行い評価した。
比較例1
製造例1で得られた塩素化樹脂組成物を製造例2で得られた塩素化樹脂組成物に変更した以外は、実施例1と同様にして評価した。
<粘着テープ剥離試験>
実施例1及び比較例1で得られたインキを、それぞれ#14のマイヤーバーを用いて、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(コロナ処理無)に塗布し、室温で24時間乾燥した。乾燥後、セロハン粘着テープをインキ塗工面に貼り付け、一気に剥がした時のインキ塗工面の状態を、以下に示す基準で評価した。
(粘着テープ剥離試験の評価基準)
○:剥がれが全くない状態
△:一部剥がれが認められる状態
×:剥がれがある状態
Figure 2022029906000001

Claims (5)

  1. 成分(I):バイオマス度30~100%の生物由来ポリプロピレン系樹脂を含むポリオレフィン樹脂が、
    成分(II):
    成分(II-A):塩素、
    成分(II-B):α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体、及び
    成分(II-C):(メタ)アクリル酸エステル
    からなる群より選ばれる少なくとも1つの変性成分
    で変性されてなる、重量平均分子量が5,000~300,000である変性ポリオレフィン樹脂を含む、変性ポリオレフィン樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の組成物を含むプライマー。
  3. 請求項1に記載の組成物を含む接着剤。
  4. 請求項1に記載の組成物を含む塗料用バインダー。
  5. 請求項1に記載の組成物を含むインキ用バインダー。
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