JP2022029566A - 水処理方法および水処理装置 - Google Patents

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【課題】除去対象物質を含む被処理水を速い汚泥沈降速度で処理することが可能であり、得られる上澄水の清澄性に優れる、水処理方法および水処理装置を提供する。【解決手段】除去対象物質を含む被処理水に、反応装置10において酸化マグネシウムを添加して反応させる反応工程と、反応工程で生成した汚泥を沈殿槽12において固液分離する固液分離工程と、沈殿槽12で固液分離した汚泥の少なくとも一部を反応装置10に返送する汚泥返送工程と、中継槽24において返送する汚泥に金属化合物を添加する金属化合物添加工程と、を含む、水処理方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、酸化マグネシウムを用いて、セレン等の除去対象物質を含む水を処理する水処理方法および水処理装置に関する。
セレンは、石炭火力発電所の脱硫排水、ごみ焼却場の洗煙排水、ガラス着色剤製造工場の排水、および赤色顔料製造工場の排水等に含有されている。これらのような各種産業で排出されるセレン含有水は、水処理設備で処理してから海洋等に放流される。
水中のセレンは、単体セレン、一酸化セレン(SeO)、二酸化セレン(SeO)、三酸化セレン(SeO)、亜セレン酸(SeO 2-)、セレン酸(SeO 2-)の形態で存在している。特に、酸化数が6価のセレン酸は除去がし難いため、他の形態のセレン化合物に変換してから処理する方法が知られている。
例えば、特許文献1では、セレンを含む溶液に必要に応じて酸を添加して、pHを酸性に調整した状態で、第一鉄化合物を添加し、セレン酸を亜セレン酸に還元し、pHをアルカリ性に調整して、第一鉄化合物と亜セレン酸を共沈させる方法が提案されている。しかし、この方法は、酸およびアルカリが大量に必要であったり、多量の鉄化合物が必要であったり、沈降性が悪い水酸化鉄が発生して、汚泥の固液分離が難しいという問題がある。
特許文献2では、塩基性炭酸マグネシウムを500~700℃の範囲の温度で焼成したマグネシウム剤、または水酸化マグネシウムを450~650℃の範囲の温度で焼成したマグネシウム剤を、除去対象物質を含む被処理水に添加する水処理方法が提案されている。しかし、この方法は、被処理水がセレンを含む場合、セレンの除去が十分に行われず、良好に処理を行うことができないという問題がある。
特許文献3では、フッ素を含む原水の一次処理後の処理水に、難溶性金属酸化物と可溶性金属化合物とを添加してアルカリ性下で反応させることによって、この難溶性金属酸化物の表面に層状複水酸化物が形成された汚泥を生成させ、この汚泥を沈降させて固液分離するフッ素および有害物質を除去する処理方法が提案されている。この処理方法は、汚泥沈降性が優れているとされるが、汚泥沈降速度および上澄水の清澄性に問題がある。
特開2010-227898号公報 国際特許出願公開第2018/168558号パンフレット 特開2013-075260号公報
本発明の目的は、除去対象物質を含む被処理水を速い汚泥沈降速度で処理することが可能であり、得られる上澄水の清澄性に優れる、水処理方法および水処理装置を提供することにある。
本発明は、除去対象物質を含む被処理水に、酸化マグネシウムを添加して反応させる反応工程と、前記反応工程で生成した汚泥を固液分離する固液分離工程と、前記固液分離工程で固液分離した前記汚泥の少なくとも一部を前記反応工程に返送する汚泥返送工程と、前記返送する汚泥に金属化合物を添加する金属化合物添加工程と、を含む、水処理方法である。
前記水処理方法において、前記反応工程における被処理水のpHが、9以上から12以下の範囲であることが好ましい。
前記水処理方法において、前記反応工程における温度が、30℃以上であることが好ましい。
前記水処理方法において、前記金属化合物は、アルミニウムを含むことが好ましい。
前記水処理方法において、前記除去対象物質は、セレン酸を含むことが好ましい。
本発明は、除去対象物質を含む被処理水に、酸化マグネシウムを添加して反応させる反応手段と、前記反応手段で生成した汚泥を固液分離する固液分離手段と、前記固液分離手段で固液分離した前記汚泥の少なくとも一部を前記反応手段に返送する汚泥返送手段と、前記返送する汚泥に金属化合物を添加する金属化合物添加手段と、を備える、水処理装置である。
前記水処理装置において、前記反応手段における被処理水のpHが、9以上から12以下の範囲であることが好ましい。
前記水処理装置において、前記反応手段における温度が、30℃以上であることが好ましい。
前記水処理装置において、前記金属化合物は、アルミニウムを含むことが好ましい。
前記水処理装置において、前記除去対象物質は、セレン酸を含むことが好ましい。
前記水処理装置において、前記反応手段および前記固液分離手段は、1つの回分式反応装置により構成され、前記汚泥返送手段は、前記被処理水に酸化マグネシウムを添加して反応させる際の前記回分式反応装置に前記汚泥を返送し、前記添加手段は、前記回分式反応装置に返送される前記汚泥に金属化合物を添加することが好ましい。
本発明によれば、除去対象物質を含む被処理水を速い汚泥沈降速度で処理することが可能であり、得られる上澄水の清澄性に優れる、水処理方法および水処理装置を提供することができる。
本実施形態に係る連続式の水処理装置の構成の一例を示す模式図である。 本実施形態に係る回分式の水処理装置の構成の一例を示す模式図である。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係る連続式の水処理装置の構成の一例を示す模式図である。図1に示す水処理装置1は、除去対象物質を含む被処理水と酸化マグネシウムと酸化マグネシウムおよび金属化合物を含む返送汚泥とを混合し、反応させる反応手段の一例である反応装置10と、反応装置10で生成した汚泥を固液分離する固液分離手段の一例である沈殿槽12と、沈殿槽12で固液分離した汚泥の少なくとも一部を反応装置10に返送する汚泥返送手段の一例である汚泥返送ライン38,40と、返送する汚泥に金属化合物を添加する金属化合物添加手段の一例である中継装置14と、を備える。
反応装置10は、反応槽16と、酸化マグネシウムを添加する酸化マグネシウム添加手段の一例である酸化マグネシウム添加ライン18と、pH調整剤を添加するpH調整剤添加手段の一例であるpH調整剤添加ライン20と、を備える。反応槽16には、モータ等の回転駆動手段および撹拌羽根等を有する撹拌手段の一例である撹拌装置22が設置されていてもよい。中継装置14は、中継槽24と、金属化合物を添加する金属化合物添加手段の一例である金属化合物添加ライン26と、を備える。中継槽24には、モータ等の回転駆動手段および撹拌羽根等を有する撹拌手段の一例である撹拌装置28が設置されていてもよい。
図1に示す水処理装置1において、反応槽16の被処理水入口には、被処理水流入ライン30が接続されている。反応槽16の薬剤入口には、酸化マグネシウム添加ライン18およびpH調整剤添加ライン20がそれぞれ接続されている。反応槽16の反応液出口には、反応液排出ライン32の一端が接続され、沈殿槽12の反応液入口には、反応液排出ライン32の他端が接続されている。沈殿槽12の処理水出口には、処理水排出ライン34が接続されている。沈殿槽12の汚泥出口には、余剰汚泥排出ライン36が接続されている。また、沈殿槽12の汚泥出口には、汚泥返送ライン38の一端が接続されている。中継槽24の汚泥入口には、汚泥返送ライン38の他端が接続されている。中継槽24の薬剤入口には、金属化合物添加ライン26が接続されている。中継槽24の汚泥出口には、汚泥返送ライン40の一端が接続され、反応槽16の汚泥入口には、汚泥返送ライン40の他端が接続されている。
以下に、本実施形態に係る水処理方法、および図1に示す水処理装置1の動作について説明する。
除去対象物質を含む被処理水は、被処理水流入ライン30を通り、反応槽16に供給されると共に、酸化マグネシウムが酸化マグネシウム添加ライン18を通して反応槽16に供給される(酸化マグネシウム添加工程)。さらに、後述する金属化合物が添加された返送汚泥が汚泥返送ライン40を通して反応槽16に供給される(返送汚泥添加工程)。さらに、必要に応じてpH調整剤がpH調整剤添加ライン20を通して反応槽16に供給されて、反応槽16内の被処理水のpHが例えば9以上から12以下の範囲に調整される(pH調整剤添加工程)。
反応槽16内で、被処理水と、添加された酸化マグネシウムと、返送された酸化マグネシウムおよび金属化合物を含む汚泥とが、撹拌装置22により撹拌され、例えば、被処理水中の除去対象物質が、汚泥に含まれる酸化マグネシウムと金属化合物とが反応して生成した層状複水酸化物によって不溶化され、不溶化物が生成される(反応工程)。反応工程では、被処理水中の除去対象物質が、汚泥に含まれる酸化マグネシウムと金属化合物とが反応して生成した層状複水酸化物によってイオン交換または吸着されてもよい。
反応槽16内の汚泥を含む反応液は、反応液排出ライン32を通り、沈殿槽12に供給される。沈殿槽12内では自然沈降によって、処理水と酸化マグネシウムおよび金属化合物を含む汚泥とに固液分離される(固液分離工程)。固液分離された処理水は、処理水排出ライン34を通して系外へ排出される。固液分離された汚泥の一部または全部は、汚泥返送ライン38を通して中継槽24に供給されると共に、金属化合物が金属化合物添加ライン26を通して中継槽24に供給される(金属化合物添加工程)。中継槽24内で金属化合物と、酸化マグネシウムおよび金属化合物を含む汚泥とが、撹拌装置28により撹拌されてもよい。中継槽24内の金属化合物が添加された汚泥は、汚泥返送ライン40を通り、反応槽16に供給される。沈殿槽12で固液分離された汚泥の一部は、余剰汚泥排出ライン36を通して系外へ排出されてもよい。なお、水処理装置1の立上げ運転の際には、処理水を反応装置10の反応槽16へ返送してもよい。
本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、酸化マグネシウムと金属化合物とが反応して生成した層状複水酸化物を含む汚泥を除去対象物質を含む被処理水に添加し、反応させることによって、除去対象物質を低減することができ、汚泥の沈降速度を速くすることが可能であることを明らかにした。また、除去対象物質を良好に処理しながら、固液分離後の上澄水を清澄にすることが可能となった。
本実施形態に係る水処理方法によって、汚泥の沈降速度を速くすること、および上澄水を清澄にすることが可能である理由は定かではないが、以下の理由が推測される。本実施形態に係る水処理方法では、酸化マグネシウムが反応工程で添加され、固液分離工程で固液分離された後、金属化合物添加工程で添加された金属化合物と反応して層状復水酸化物を生成する。このため、酸化マグネシウムが被処理水に添加されてから金属化合物と反応するまでの時間が比較的長い。一方、特許文献3のような従来の方法では、酸化マグネシウムは返送汚泥に添加され、反応工程で添加された金属化合物(アルミニウム)と反応して層状復水酸化物を生成する。このため、酸化マグネシウムが返送汚泥に添加されてから金属化合物と反応するまでの時間が本実施形態に係る水処理方法と比較して短い。本実施形態に係る水処理方法のように、酸化マグネシウムが被処理水に添加されてから金属化合物と反応するまでの時間が長い場合、被処理水中で酸化マグネシウム同士の凝集が進行して粒子が大きくなった後に、金属化合物と反応して層状複水酸化物が形成されるため、従来の方法よりも粒子径が大きな層状複水酸化物が形成される。ストークスの沈降速度式によると、粒子の沈降速度は粒子径の2乗に比例して上昇するため、本実施形態に係る水処理方法における上澄水濁度および汚泥沈降速度は、従来の方法より優れていると考えられる。
図1に示す水処理装置1は、1槽の反応槽16を有するが、反応槽の数は1槽に限定されるものではなく、直列2槽以上でもよい。
図1に示す水処理装置1は、1槽の中継槽24を有するが、中継槽の数は1槽に限定されるものではなく、直列2槽以上でもよい。また、中継槽を設けずに汚泥返送ラインの途中に金属化合物添加ラインを接続して返送する汚泥にライン注入を行ってもよい。
図1に示す水処理装置1では、pH調整剤を反応槽16において添加しているが、pH調整剤の添加方法はこれに限定されるものではなく、反応槽16の被処理水流入ライン30の途中にpH調整剤添加ラインを接続してライン注入を行ってもよい。
図2は、本実施形態に係る回分式の水処理装置の構成の一例を示す模式図である。図2に示す水処理装置2は、除去対象物質を含む被処理水と酸化マグネシウムと酸化マグネシウムおよび金属化合物を含む返送汚泥とを混合し、反応させる反応手段、および、反応手段で得られた反応液に含まれる汚泥を固液分離する固液分離手段が1つの反応装置により構成されている回分式反応装置の一例である回分式反応装置52と、回分式反応装置52で固液分離された汚泥を貯蔵する汚泥貯蔵装置54と、を備える。回分式反応装置52は、反応槽56と、酸化マグネシウムを添加する酸化マグネシウム添加手段の一例である酸化マグネシウム添加ライン60と、pH調整剤を添加するpH調整剤添加手段の一例であるpH調整剤添加ライン62と、を備える。反応槽56には、モータ等の回転駆動手段および撹拌羽根等を有する撹拌手段の一例である撹拌装置64が設置されていてもよい。汚泥貯蔵装置54は、汚泥貯槽58と、金属化合物を添加する金属化合物添加手段の一例である金属化合物添加ライン66と、を備える。汚泥貯槽58には、モータ等の回転駆動手段および撹拌羽根等を有する撹拌手段の一例である撹拌装置68が設置されていてもよい。
図2に示す水処理装置2において、反応槽56の被処理水入口には、被処理水流入ライン70が接続されている。反応槽56の薬剤入口には、酸化マグネシウム添加ライン60およびpH調整剤添加ライン62がそれぞれ接続されている。反応槽56の処理水出口には、処理水排出ライン74が接続されている。反応槽56の汚泥出口には、汚泥排出ライン72の一端が接続され、汚泥貯槽58の汚泥入口には、汚泥排出ライン72の他端が接続されている。汚泥貯槽58の汚泥出口には、汚泥返送ライン76の一端が接続され、反応槽56の汚泥入口には、汚泥返送ライン76の他端が接続されている。汚泥貯槽58の汚泥出口には、余剰汚泥排出ライン78が接続されている。
以下に、本実施形態に係る水処理方法、および図2に示す水処理装置2の動作について説明する。
除去対象物質を含む被処理水は、被処理水流入ライン70を通り、反応槽56に供給された後、酸化マグネシウムが酸化マグネシウム添加ライン60を通して反応槽56に供給される(酸化マグネシウム添加工程)。さらに、後述する金属化合物が添加された返送汚泥が汚泥返送ライン76を通して反応槽56に供給される(返送汚泥添加工程)。さらに、必要に応じてpH調整剤がpH調整剤添加ライン62を通して反応槽56に供給されて、反応槽56内の被処理水のpHが例えば9以上から12以下の範囲に調整される(pH調整剤添加工程)。
反応槽56内で、被処理水と、添加された酸化マグネシウムと、返送された酸化マグネシウムおよび金属化合物を含む汚泥とが、撹拌装置64により撹拌され、例えば、被処理水中の除去対象物質が、汚泥に含まれる酸化マグネシウムと金属化合物とが反応して生成した層状複水酸化物によって不溶化され、不溶化物が生成される(反応工程)。反応工程では、被処理水中の除去対象物質が、汚泥に含まれる酸化マグネシウムと金属化合物とが反応して生成した層状複水酸化物によってイオン交換または吸着されてもよい。
その後、撹拌装置64が停止され、反応槽56内で自然沈降によって、処理水と酸化マグネシウムおよび金属化合物を含む汚泥とに固液分離される(固液分離工程)。固液分離され、反応槽56の底部に堆積した汚泥は、汚泥排出ライン72を通して汚泥貯槽58に供給される。汚泥排出後、反応槽56内の処理水は、処理水排出ライン74を通して系外に排出される。汚泥貯槽58では、反応槽56の底部に堆積した汚泥が供給されると共に、金属化合物が金属化合物添加ライン66を通して汚泥貯槽58に供給される(金属化合物添加工程)。汚泥貯槽58内で金属化合物と、酸化マグネシウムおよび金属化合物を含む汚泥とが、撹拌装置68により撹拌されてもよい。汚泥貯槽58内の金属化合物が添加された汚泥の一部または全部は、汚泥返送ライン76を通り、反応槽56に供給される。汚泥貯槽58で固液分離された汚泥の一部は、余剰汚泥排出ライン78を通して系外に排出されてもよい。なお、水処理装置2の立上げ運転の際には、処理水中の除去対象物質濃度が目標値に到達しない場合、処理水を系外に排出せずに再度反応工程を実施してもよい。また、汚泥貯槽58の処理水を反応装置10の反応槽56へ返送してもよい。
このような、回分式反応装置52を備える水処理装置2を用いた場合でも、汚泥に含まれる酸化マグネシウムとアルミニウム化合物とが反応して生成した層状複水酸化物を用いることによって、除去対象物質を低減することができ、汚泥の沈降速度を速くすることが可能である。また、除去対象物質を良好に処理しながら、固液分離後の上澄水を清澄にすることが可能である。
回分式反応装置52を備える水処理装置2においても、酸化マグネシウムが反応工程で添加され、固液分離工程で固液分離された後、金属化合物添加工程で添加された金属化合物と反応して層状復水酸化物を生成する。このため、酸化マグネシウムが被処理水に添加されてから金属化合物と反応するまでの時間が比較的長い。酸化マグネシウムが被処理水に添加されてから金属化合物と反応するまでの時間が長い場合、被処理水中で酸化マグネシウム同士の凝集が進行して粒子が大きくなった後に、金属化合物と反応して層状複水酸化物が形成されるため、従来の方法よりも粒子径が大きな層状複水酸化物が形成され、上澄水濁度および汚泥沈降速度は、従来の方法より優れていると考えられる。
以下、本実施形態に係る水処理方法および水処理装置で用いられる酸化マグネシウムについて詳述する。
本実施形態で用いられる酸化マグネシウムは、炭酸マグネシウム(MgCO)または水酸化マグネシウム(Mg(OH))のうち少なくとも1つを原料とし、この原料を焼成することにより得られた焼成物である。炭酸マグネシウムとしては、例えば、塩基性炭酸マグネシウム(mMgCO・Mg(OH)・nHO)(Mg(OH)に対し、mが3~5、nが3~7)、マグネサイト(炭酸マグネシウムを主成分とする鉱物)およびドロマイト(炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムを主成分とする鉱物)であってもよい。また、水酸化マグネシウムとしては、例えば、ブルーサイトのような水酸化マグネシウムを主成分とする鉱物であってもよい。
原料を焼成する際の温度としては、酸化マグネシウムのBET比表面積を80m/g以上、結晶子サイズを110Å以下とする点で、炭酸マグネシウムが原料の場合、例えば、500~800℃の範囲であることが好ましく、500~650℃の範囲であることがより好ましく、500~600℃の範囲であることがさらに好ましい。焼成する際の温度は、水酸化マグネシウムが原料の場合には、例えば、400~750℃の範囲であることが好ましく、450~700℃の範囲であることがより好ましく、500~600℃の範囲であることがさらに好ましい。この範囲の温度で原料を焼成することによって、水酸化マグネシウムが原料の場合には、脱水反応により原料中の水和水や水酸基等が脱離した焼成物を含む酸化マグネシウムが得られ、炭酸マグネシウムが原料の場合は、上記水和水や水酸基等の脱離に加え、脱炭酸反応により炭酸も脱離した焼成物を含む酸化マグネシウムが得られる。
焼成温度が500℃未満(炭酸マグネシウムの場合)または400℃未満(水酸化マグネシウムの場合)では、例えば、水和水、水酸基、炭酸等を十分脱離させることができない等の原因で、BET比表面積が80m/g以上の酸化マグネシウムを得ることができない場合がある。また、焼成温度が800℃(炭酸マグネシウムの場合)または750℃(水酸化マグネシウムの場合)を超える温度では、例えば、物質の結晶化が進行する等で、結晶子サイズが110Å以下の酸化マグネシウムを得ることができない場合がある。
焼成時間は、酸化マグネシウムのBET比表面積を80m/g以上、結晶子サイズを110Å以下とする点で、炭酸マグネシウムが原料の場合、例えば、焼成による重量減少が原料の重量の40%以上となる時間が好ましく、40%以上65%以下となる時間がより好ましい。また、水酸化マグネシウムが原料の場合、例えば、焼成による重量減少が原料の重量の25%以上となる時間が好ましく、25%以上30%未満となる時間がより好ましい。焼成時間が上記範囲外であると、BET比表面積が80m/g以上、結晶子サイズが110Å以下である酸化マグネシウムを得ることができない場合がある。
焼成に用いる炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムは、水和水、水酸基、炭酸等を十分脱離させるために、粉末状(例えば、体積平均粒径で0.5μm~30μm)、顆粒状(例えば、体積平均粒径で0.5mm~30mm)のものを用いることが好ましい。
このようにして得られる酸化マグネシウムのBET比表面積は、例えば、80m/g以上であり、好ましくは90m/g以上であり、より好ましくは100m/g以上である。酸化マグネシウムのBET比表面積は、JIS8830:2013に基づく方法で測定することができる。また、このようにして得られる酸化マグネシウムの結晶子サイズは、例えば、110Å以下であり、好ましくは100Å以下であり、より好ましくは90Å以下である。酸化マグネシウムの結晶子サイズは、X線回折スペクトルの測定結果をもとにHalder-Wagner法により求めることができる(具体的な方法は実施例の欄で説明する)。
酸化マグネシウムの粒径としては、体積平均粒径が1,000μm以下であることが好ましく、0.5μm~30μmの範囲であることがより好ましい。酸化マグネシウムの体積平均粒径が1,000μmを超えると、例えば、水中においても粒子内部が十分に水と接触できず、除去対象物質の不溶化等に使われない剤の割合が多くなる場合がある。除去対象物質の不溶化等の後の固液分離において、この未使用分は固液分離速度を高める効果はあるが、未使用分が多過ぎると、除去対象物質の十分な不溶化等を行うことができず、処理水質が悪化する場合がある。体積平均粒径が0.5μm未満であると、使用のときに風で飛散しやすい等、取り扱いが難しくなる場合がある。
焼成後の酸化マグネシウムの体積平均粒径が1,000μmを超える場合は、焼成後の体積平均粒径がこの範囲になるような粒径の原料を使用するか、焼成後に破砕または篩にかける等の方法により、粒径を調整するのがよい。
以下に、本実施形態に係る水処理方法における水処理条件等について説明する。
本実施形態で用いられる酸化マグネシウムは、水中に添加されると、一部は溶解してマグネシウムイオンと水酸化物イオンとなり、被処理水のpHが高くなる。このとき、マグネシウムイオンと水酸化物イオンとが水酸化マグネシウムの不溶化物を形成するが、セレン等の除去対象物質はこの不溶化物に吸着されて除去されると考えられる。また、除去対象物質は、酸化マグネシウムと金属化合物とが反応して生成した層状複水酸化物によって不溶化され、不溶化物を形成したり、層状複水酸化物によってイオン交換または吸着されたりして除去されると考えられる。
不溶化した水酸化マグネシウム等に吸着したり、上記水酸化マグネシウムと不溶化物を形成したり、層状複水酸化物と不溶化物を形成したり、層状複水酸化物によってイオン交換または吸着されたりする物質は、本実施形態の除去対象物質となる。除去対象物質に特に制限はないが、セレン(例えば、単体セレン、一酸化セレン(SeO)、二酸化セレン(SeO)、三酸化セレン(SeO)、亜セレン酸(SeO 2-)、セレン酸(SeO 2-))、ホウ素(例えば、ホウ酸イオン)、フッ素(例えば、フッ化物イオン)、シリカ(例えば、溶解性シリカ)および重金属(例えば、鉄、鉛、銅、クロム、カドミウム、水銀、亜鉛、ヒ素、マンガン、ニッケル等)のうち少なくとも1つであることが好ましい。本実施形態に係る水処理方法および水処理装置は、特に除去対象物質がセレンを含む場合に好適に適用することができる。除去対象となるセレンの形態に特に制限はないが、例えば、セレン酸(6価セレン)を含むことが好ましい。
被処理水は、除去対象物質を含む水であればよく、特に制限はない。被処理水は、セレンを含む水であることが好ましい。被処理水としては、処理後に公共共用水域等へ放流することを前提とした水、または、利用後に逆浸透膜等の精製手段を用いて溶解性物質を除去して再利用することを前提とした水でもよい。前者の例としては、石炭火力発電の脱硫排水やめっき排水、ガラス製造排水等が挙げられる。後者の場合、各種産業工場での水回収システム内の水が対象となり、逆浸透膜処理工程の前段で本実施形態に係る水処理方法が実施され、逆浸透膜の閉塞の原因となるシリカ等を低減することが主な目的となる。なお、本実施形態に係る水処理方法で用いられる酸化マグネシウムは、水中の懸濁物質を凝集することができるため、被処理水には、セレン、その他の除去対象物質以外の懸濁物質等を含んでもよい。
被処理水中のセレンの含有量は、例えば、0.001~0.2mmol/Lの範囲であり、その他の除去対象物質の含有量は、例えば、0.001~50mmol/Lの範囲であり、懸濁物質の含有量は、例えば、50~1,000mg/Lの範囲である。本実施形態に係る水処理方法は、特に、0.1mg/L以上のセレンを含む被処理水に好適に適用することができる。
反応工程では、酸化マグネシウムを粉体の状態で被処理水に添加してもよいし、酸化マグネシウムを一度、本実施形態に係る水処理法で処理した処理水等に添加し、その水を被処理水に添加してよいが、操作が簡易である点、酸化マグネシウムの反応性保持の点等から、酸化マグネシウムを粉体の状態で被処理水に添加することが好ましい。
反応工程における酸化マグネシウムの添加量は、被処理水中の除去対象物質の種類、濃度、および要求される処理水質(対象物質除去率)、共存物質等により異なるが、例えば1g/L以上、好ましくは3g/L以上、より好ましくは5g/L以上を添加するのがよい。
反応工程では酸化マグネシウム添加後の被処理水のpHを9以上から12以下という特定のpH範囲に保持することによって、除去対象物質の不溶化速度が向上し、短時間で除去対象物質の濃度を低減することができるため、反応工程における被処理水のpHが9以上から12以下の範囲であることが好ましく、9以上から11以下の範囲であることがより好ましく、10以上11以下の範囲であることがさらに好ましい。
反応工程で添加するpH調整剤としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等の酸や、苛性ソーダ、苛性カリ等のアルカリ、およびこれらを含む薬品等が挙げられる。pH調製剤は、1種単独でも、2種以上を組み合わせてもよい。酸化マグネシウム添加後の被処理水のpHが例えば9以上から12以下の範囲であれば、必ずしもpH調整剤を添加しなくてもよい。
反応工程における反応温度は、例えば、被処理水が0℃以上で凍結しなければよいが、好ましくは15℃以上であり、より好ましくは24℃以上であり、さらに好ましくは30℃以上であり、特に好ましくは35℃以上である。反応温度の上限は、例えば、40℃である。反応工程における温度が30℃以上であると、処理性が向上するため、好ましい。
反応工程における反応時間は、除去対象物質の不溶化等が十分に行わればよく、特に制限はないが、例えば、1分~300分の範囲、好ましくは10~60分の範囲である。
図1および図2に示すような水処理装置において、固液分離工程で分離された汚泥は、金属化合物添加工程を介して反応槽に返送して水処理剤として再利用する。汚泥の返送量は、処理水質の向上の点で、例えば、被処理水量の体積の10~30%(v/v)の範囲であることが好ましく、被処理水量の体積の20~30%(v/v)の範囲であることがより好ましい。
固液分離工程における固液分離方法としては、汚泥と処理水とを分離できる方法であればよく、特に制限はない。連続式の水処理装置の場合には、沈殿槽を用いた自然沈殿処理以外に、遠心分離器等を用いた強制沈殿処理、精密ろ過膜等による膜ろ過処理等でもよい。回分式の水処理装置の場合には、反応槽内での自然沈降処理が望ましい。
金属化合物としては、酸化マグネシウムと反応して層状復水酸化物を生成する金属化合物であればよく、特に制限はないが、例えば、塩化アルミニウム(AlCl)、凝集処理で使用されるポリ塩化アルミニウム(PAC)等のアルミニウム化合物、塩化鉄、凝集処理で使用されるポリ硫酸第二鉄等の鉄化合物等が挙げられる。
金属化合物添加工程における金属化合物の添加量は、層状複水酸化物の生成が十分に行われる量であればよく、特に制限はない。金属化合物添加工程における金属化合物の添加量は、アルミニウム化合物の場合、モル比でマグネシウム/アルミニウム=3以上から40未満であることが好ましく、マグネシウム/アルミニウム=4以上から8以下であることがより好ましい。金属化合物添加工程において、モル比でマグネシウム/アルミニウムが40以上であると、層状複水酸化物の生成量が不足し、処理が不十分となる場合がある。また、モル比でマグネシウム/アルミニウムが3未満であると、沈降速度が遅い水酸化アルミニウムの生成量が増え、汚泥沈降速度が悪化する場合がある。
金属化合物添加工程では金属化合物添加後の汚泥のpHは成り行きで問題は無いが、例えば、pH9~12の範囲であるとよい。
金属化合物添加工程における反応温度は、例えば、被処理水が0℃以上で凍結しなければよいが、好ましくは15℃以上であり、より好ましくは20~40℃の範囲である。
金属化合物添加工程における反応時間は、層状複水酸化物の生成が十分に行わればよく、特に制限はないが、例えば、1分~100分の範囲、好ましくは10~60分の範囲である。
なお、図1に示すような連続式の水処理装置1の場合、汚泥の固液分離速度を高めるために、反応槽16と沈殿槽12との間に(反応工程と固液分離工程との間に)、凝集剤を被処理水に添加し、不溶化物を凝集して、径が大きく強度の強い粒状物に成長させる凝集槽(凝集工程)を設けてもよい。図2に示すような回分式の水処理装置2の場合、反応工程後の反応槽56に(反応工程と固液分離工程との間に)凝集剤を添加し、不溶化物を凝集して、径が大きく強度の強い粒状物を成長させる凝集工程を設けてもよい。
凝集工程で用いられる凝集剤としては、有機凝結剤、高分子凝集剤等が挙げられる。有機凝結剤としては、例えば、ポリエチレンイミン、ジメチルアミン・エピクロロヒドリン・アンモニア縮合物、ジンメチルアミン・エピクロロヒドリン・エチレンジアミン縮合物、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジシアンジアミン・ホルムアルデヒド縮合物等が挙げられる。高分子凝集剤としては、例えば、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリルアミドプロパンスルフォン酸ナトリウム、キトサン、ジメチルアミノエチルメタクリレートの塩化メチル4級塩とアクリルアミドとの共重合物、ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル4級塩とアクリルアミドとの共重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレートの塩化メチル4級塩のホモポリマ、ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル4級塩のホモポリマ、およびポリアミジン等が挙げられる。凝集剤は、1種単独でも、2種以上を組み合わせてもよい。
本実施形態に係る水処理方法および水処理装置で得られた処理水は、海洋等の公共用水域等へ放流されてもよいし、再利用されてもよい。
本実施形態に係る水処理方法および水処理装置によって、得られる処理水中のセレン濃度を例えば0.1mg/L以下、好ましくは0.05mg/L以下に、セレン以外の除去対象物質の濃度を例えばフッ素は8mg/L以下、好ましくは1mg/L以下に、例えばホウ素は230mg/L以下、好ましくは200mg/L以下にすることができる。得られる処理水の濁度を例えば、10度以下、好ましくは1度以下にすることができる。また、得られる汚泥の沈降速度を例えば、0.5m/hr以上、好ましくは1.5m/hr以上にすることができる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[酸化マグネシウムの調製]
塩基性炭酸マグネシウム(富士フイルム和光純薬工業社製、重質)50質量部を600℃で30分、電気炉内で焼成した。焼成後、放冷し、得られた酸化マグネシウムのBET比表面積を、JIS8830:2013に基づく方法により島津製作所社製の比表面積測定装置(ASAP2010)で測定した。
さらに、得られた酸化マグネシウムの結晶状態を確認するため、X線回析装置(株式会社リガク製、RINT Ultima III)で、X線回析(XRD)スペクトルを測定した。なお、X線回析スペクトルの測定においては、酸化マグネシウムのピーク出現位置(横軸2θ(θ:ブラック角))の確認のため、酸化マグネシウム(富士フイルム和光純薬工業社製、和光一級、重質)のX線回析スペクトルを比較参照として測定した。このスペクトルの2θ=42.9°および62.2°のピークから、けい素(粉末、4N、関東化学社製、高純度)のスペクトルを外部標準として、Halder-Wagner法により結晶子サイズを計算した。なお、Halder-Wagner法は、ピークの積分幅を元に、(β/tanθ)=(Kλ/L)×[β/(tanθ×sinθ)]+16×eで表されるグラフをプロットし、傾き(Kλ/L)から結晶子サイズを計算する方法である。ここで、βはピークの積分幅、θはブラッグ角、KはScherrer定数、Lは結晶子サイズ、λはX線の波長、eは格子歪である。
得られた酸化マグネシウムのBET比表面積は170m/gであり、結晶子サイズは70Åであった。実施例1の酸化マグネシウムのXRDスペクトルには、比較参照として測定した既知の酸化マグネシウムのスペクトルと同じく、2θ=42°,62°にピークが現れた。
[水処理方法]
汚泥返送処理を模擬した回分式試験を実施した。被処理水として、純水に除去対象物質としてセレン酸を溶解したセレン濃度1mg/Lのセレン酸人工排水を用いた。
<実施例1>
[1回目試験]
上記人工排水1000mLをガラスビーカーに入れ、上記酸化マグネシウムを1.02g/L、金属化合物としてアルミニウム添加量が170mg/Lとなるように塩化アルミニウムを添加して、pHを10.5に保ちながら150rpmの回転速度で30分間撹拌を行った。撹拌終了後の汚泥は自然沈降させて全量回収した。
[2回目試験]
新たに上記人工排水1000mLをガラスビーカーに入れ、上記酸化マグネシウムを1.02g、前回試験で回収した汚泥300mLを添加して、pHを10.5に保ちながら150rpmの回転速度で30分間撹拌を行った。予め、汚泥にはアルミニウム添加量が170mgとなるように塩化アルミニウムを添加して、スターラーで15分間撹拌した。撹拌終了後の汚泥は自然沈降させて全量回収した。
[3回目試験]
2回目試験と同様に実施した。撹拌終了後、処理水を孔径0.1μmのフィルターを用いてろ過し、ろ過液のセレン濃度を測定した。セレン濃度は、誘導結合プラズマ質量分析計(アジレント・テクノロジー株式会社製、Agilent 7800 ICP-MS)により測定した。また、撹拌終了後の処理水を2000mLのメスシリンダーに移し、汚泥沈降速度を計測した。汚泥沈降速度の計測終了後、濁度計(笠原理化工業株式会社製、TR-55)を用いて上澄水の濁度を測定し、汚泥は全量回収した。
<実施例2>
[4回目試験]
実施例1の3回目試験と同様に実施した。汚泥は実施例1の3回目試験で回収した汚泥を用いた。
<実施例3>
[5回目試験]
実施例1の3回目試験と同様に実施した。汚泥は実施例2の4回目試験で回収した汚泥を用いた。
<比較例1>
[1回目試験]
上記人工排水1000mLをガラスビーカーに入れ、アルミニウム添加量が170mg/Lとなるように塩化アルミニウムを添加し、上記酸化マグネシウムを1.02g/L添加して、pHを10.5に保ちながら150rpmの回転速度で30分間撹拌を行った。撹拌終了後の汚泥は沈降させて全量回収した。
[2回目試験]
新たに上記人工排水1000mLをガラスビーカーに入れ、アルミニウム添加量が170mg/Lとなるように塩化アルミニウムを添加し、前回試験で回収した汚泥300mLを添加して、pHを10.5に保ちながら150rpmの回転速度で30分間撹拌を行った。予め、汚泥には上記酸化マグネシウムを1.02g添加して、スターラーで15分間撹拌した。撹拌終了後の汚泥は沈降させて全量回収した。
[3回目試験]
2回目試験と同様に実施した。撹拌終了後、処理水を孔径0.1μmのフィルターを用いてろ過し、ろ過液のセレン濃度を測定した。また、撹拌終了後の処理水を2000mLのメスシリンダーに移し、汚泥沈降速度を計測した。汚泥沈降速度の計測終了後、上澄水の濁度を測定し、汚泥を全量回収した。
<比較例2>
[4回目試験]
比較例1の3回目試験と同様に実施した。汚泥は比較例1の3回目試験で回収した汚泥を用いた。
<比較例3>
[5回目試験]
比較例1の3回目試験と同様に実施した。汚泥は比較例2の4回目試験で回収した汚泥を用いた
表1に実施例および比較例の処理水セレン濃度(mg/L)、上澄水濁度(度)および汚泥沈降速度(m/hr)を示す。
Figure 2022029566000002
表1に示すように、各実施例および比較例の処理水セレン濃度は0.1mg/L未満であり、良好に処理されていた。また、上澄水濁度を比較すると、実施例1~3は0.1未満~0.3度、比較例1~3は7.2~12度であり、実施例の方が上澄水濁度は優れていた。さらに、汚泥沈降速度を比較すると、実施例1~3は1.6~1.7m/hr、比較例1~3は1.1~1.3m/hrであり、実施例の方が汚泥沈降速度は優れていた。
実施例の上澄水濁度および汚泥沈降速度が優れていた理由について考察する。実施例において、酸化マグネシウムは反応工程で添加され、固液分離工程で固液分離された後、アルミニウム化合物添加工程で添加されたアルミニウムと反応して層状復水酸化物を生成する。よって、実施例における酸化マグネシウムは、被処理水に添加されてからアルミニウムと反応するまでの時間が比較例に比べて長い。一方、比較例において、酸化マグネシウムは返送汚泥に添加され、反応工程で添加されたアルミニウムと反応して層状復水酸化物を生成する。よって、比較例における酸化マグネシウムは、添加されてからアルミニウムと反応するまでの時間が実施例と比較して短い。
実施例のように、アルミニウムと反応するまでの時間が長い場合、被処理水中で酸化マグネシウム同士の凝集が進行して粒子が大きくなった後に、アルミニウムと反応して層状複水酸化物が形成されるため、比較例よりも粒子径が大きな層状複水酸化物が形成される。ストークスの沈降速度式によると、沈降速度は粒子径の2乗に比例して上昇するため、実施例の上澄水濁度および汚泥沈降速度は、比較例より優れていたと考えられる。
このように、実施例では、除去対象物質を含む被処理水を速い汚泥沈降速度で処理することが可能であり、得られる上澄水の清澄性に優れていた。
1,2 水処理装置、10 反応装置、12 沈殿槽、14 中継装置、16,56 反応槽、18,60 酸化マグネシウム添加ライン、20,62 pH調整剤添加ライン、22,28,64,68 撹拌装置、24 中継槽、26,66 金属化合物添加ライン、30,70 被処理水流入ライン、32 反応液排出ライン、34,74 処理水排出ライン、36,78 余剰汚泥排出ライン、38,40,76 汚泥返送ライン、52 回分式反応装置、54 汚泥貯蔵装置、58 汚泥貯槽、72 汚泥排出ライン。

Claims (11)

  1. 除去対象物質を含む被処理水に、酸化マグネシウムを添加して反応させる反応工程と、
    前記反応工程で生成した汚泥を固液分離する固液分離工程と、
    前記固液分離工程で固液分離した前記汚泥の少なくとも一部を前記反応工程に返送する汚泥返送工程と、
    前記返送する汚泥に金属化合物を添加する金属化合物添加工程と、
    を含むことを特徴とする水処理方法。
  2. 請求項1に記載の水処理方法であって、
    前記反応工程における被処理水のpHが、9以上から12以下の範囲であることを特徴とする水処理方法。
  3. 請求項1または2に記載の水処理方法であって、
    前記反応工程における温度が、30℃以上であることを特徴とする水処理方法。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の水処理方法であって、
    前記金属化合物は、アルミニウムを含むことを特徴とする水処理方法。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の水処理方法であって、
    前記除去対象物質は、セレン酸を含むことを特徴とする水処理方法。
  6. 除去対象物質を含む被処理水に、酸化マグネシウムを添加して反応させる反応手段と、
    前記反応手段で生成した汚泥を固液分離する固液分離手段と、
    前記固液分離手段で固液分離した前記汚泥の少なくとも一部を前記反応手段に返送する汚泥返送手段と、
    前記返送する汚泥に金属化合物を添加する金属化合物添加手段と、
    を備えることを特徴とする水処理装置。
  7. 請求項6に記載の水処理装置であって、
    前記反応手段における被処理水のpHが、9以上から12以下の範囲であることを特徴とする水処理装置。
  8. 請求項6または7に記載の水処理装置であって、
    前記反応手段における温度が、30℃以上であることを特徴とする水処理装置。
  9. 請求項6~8のいずれか1項に記載の水処理装置であって、
    前記金属化合物は、アルミニウムを含むことを特徴とする記載の水処理装置。
  10. 請求項6~9のいずれか1項に記載の水処理装置であって、
    前記除去対象物質は、セレン酸を含むことを特徴とする水処理装置。
  11. 請求項6~10のいずれか1項に記載の水処理装置であって、
    前記反応手段および前記固液分離手段は、1つの回分式反応装置により構成され、
    前記汚泥返送手段は、前記被処理水に酸化マグネシウムを添加して反応させる際の前記回分式反応装置に前記汚泥を返送し、
    前記添加手段は、前記回分式反応装置に返送される前記汚泥に金属化合物を添加することを特徴とする水処理装置。
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