JP2022028979A - ディスクブレーキ - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数を削減すると共に、小型化を可能にして、車両への搭載性を向上させるディスクブレーキを提供する。【解決手段】本ディスクブレーキ1は、電動モータ40からの回転が伝達される第1減速歯車48と、該第1減速歯車48からの回転が伝達される遊星歯車減速機構42と、を備え、第1減速歯車48は、大径歯車53及び小径歯車54を有する段付歯車を含み、大径歯車53と、遊星歯車減速機構42からの回転が伝達されるキャリア72とは、径方向で重なるように配置される。これにより、本ディスクブレーキ1では、軸方向に沿って小型化することができ、車両への搭載性を向上させることができる。【選択図】図1
Description
本発明は、車両の制動に用いられるディスクブレーキに関する。
従来のディスクブレーキとして、例えば、特許文献1に記載されたディスクブレーキは、電動モータからの回転が伝達される平歯多段減速機構及び遊星歯車減速機構と、平歯多段減速機構及び遊星歯車減速機構からの回転トルクによりピストンを推進させるピストン推進機構と、を備えている。平歯多段減速機構は、ピニオンギヤと、該ピニオンギヤと噛み合う第1減速歯車と、該第1減速歯車に噛み合う非減速平歯車と、非減速平歯車に噛み合う第2減速歯車と、を備えている。第1減速歯車は、ピニオンギヤに噛み合う大歯車と、小歯車とが、同心状に一体的に接続されて構成されている。遊星歯車減速機構は、サンギヤと、各プラネタリギヤと、インターナルギヤと、から構成され、各プラネタリギヤにはキャリアが連結されている。そして、特許文献1のディスクブレーキでは、第1減速歯車の大歯車とキャリアとが、軸方向に沿って互い相違する位置に配置されている。
上述した、特許文献1に係るディスクブレーキの主たる課題は、第1減速歯車の大歯車とキャリアとが、軸方向に沿って互い相違する位置に配置されているので、特に、ディスクブレーキが軸方向に沿って大型化する虞がある。また、特許文献1に係るディスクブレーキでは、平歯多段減速機構として、非減速平歯車を備えているので、その部品点数が多く、改善する必要がある。さらに、特許文献1に係るディスクブレーキでは、一段目、すなわちピニオンギヤと大歯車との間の減速比が小さく、所望の出力を得るためには電動モータの出力をアップ、またはピストン推進機構である回転直動変換機構のリードを小さくする(効率ダウン)必要があるが、いずれも性能上好ましくない。
そして、本発明は、部品点数を削減すると共に、小型化を可能にして、車両への搭載性を向上させるディスクブレーキを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段として、本発明は、電動機の駆動力を、減速機構を介して回転直動変換機構に伝達することによりピストンを推進させて、制動部材を被制動部材に押圧するディスクブレーキであって、前記減速機構は、前記電動機からの回転が伝達される減速ギヤと、該減速ギヤからの回転が伝達される遊星歯車減速機構と、を備え、前記減速ギヤは、大径歯車及び小径歯車を有する段付歯車を含み、前記大径歯車と、前記遊星歯車減速機構からの回転が伝達されるキャリアとは、径方向で重なるように配置されることを特徴とする。
本発明のディスクブレーキによれば、部品点数を低減することができ、しかも、ディスクブレーキの小型化を可能にすることができ、車両への搭載性を向上させることができる。
以下、本実施形態を図1乃至図3に基づいて詳細に説明する。
本実施形態に係るディスクブレーキ1は、通常走行時、電動機としての電動モータ40の駆動によって制動力を発生させる電動ブレーキ装置である。なお、以下の説明において、車両内側(インナ側)を一端側(カバー部材36側)と称し、車両外側(アウタ側)を他端側(ディスクロータD側)と称して、適宜説明する。つまり、図1及び図2において、右側を一端側と称し、左側を他端側として称して、適宜説明する。本実施形態に係るディスクブレーキ1は、図1に示すように、車両の回転部に取り付けられた、被制動部材としてのディスクロータDを挟んで軸方向両側に配置された、制動部材としての一対のインナブレーキパッド2、及びアウタブレーキパッド3と、キャリパ4と、を備えている。本ディスクブレーキ1は、キャリパ浮動型として構成されている。なお、一対のインナブレーキパッド2及びアウタブレーキパッド3と、キャリパ4とは、車両のナックル等の非回転部に固定されたブラケット5にディスクロータDの軸方向へ移動可能に支持されている。
本実施形態に係るディスクブレーキ1は、通常走行時、電動機としての電動モータ40の駆動によって制動力を発生させる電動ブレーキ装置である。なお、以下の説明において、車両内側(インナ側)を一端側(カバー部材36側)と称し、車両外側(アウタ側)を他端側(ディスクロータD側)と称して、適宜説明する。つまり、図1及び図2において、右側を一端側と称し、左側を他端側として称して、適宜説明する。本実施形態に係るディスクブレーキ1は、図1に示すように、車両の回転部に取り付けられた、被制動部材としてのディスクロータDを挟んで軸方向両側に配置された、制動部材としての一対のインナブレーキパッド2、及びアウタブレーキパッド3と、キャリパ4と、を備えている。本ディスクブレーキ1は、キャリパ浮動型として構成されている。なお、一対のインナブレーキパッド2及びアウタブレーキパッド3と、キャリパ4とは、車両のナックル等の非回転部に固定されたブラケット5にディスクロータDの軸方向へ移動可能に支持されている。
図1及び図2に示すように、キャリパ4は、キャリパ4の主体であるキャリパ本体8と、キャリパ本体8のシリンダ部13内のピストン18に推力を付与する駆動機構9と、を備えている。キャリパ本体8は、インナブレーキパッド2に対向する基端側に配置され、該インナブレーキパッド2に対向して開口する円筒状のシリンダ部13と、シリンダ部13からディスクロータDを跨いでアウタ側へ延び、アウタブレーキパッド3に対向する先端側に配置される一対の爪部14、14と、を備えている。
キャリパ本体8のシリンダ部13内、すなわちシリンダ部13のシリンダボア16に、ピストン18がシリンダ部13に対して相対回転不能に、且つ軸方向に移動可能に収容されている。ピストン18は、インナブレーキパッド2を押圧するものであって、有底のカップ状に形成される。該ピストン18は、その底部がインナブレーキパッド2に対向するように、シリンダ部13のシリンダボア16内に収容されている。ピストン18は、その底部とインナブレーキパッド2との間の回り止め係合によって、シリンダボア16、ひいてはキャリパ本体8に対して相対回転不能に支持される。
シリンダ部13のシリンダボア16には、その他端側内周面にシール部材(図示略)が配置されている。そして、ピストン18は、このシール部材に接触した状態で軸方向に移動可能にシリンダボア16に収容される。ピストン18の底部側の外周面と、シリンダボア16の他端側内周面との間にはダストブーツ20が介装されている。これらシール部材及びダストブーツ20により、シリンダ部13のシリンダボア16内への異物の侵入を防ぐようにしている。
キャリパ本体8のシリンダ部13の底壁23側(一端側)には、ギヤハウジング25が一体的に連結される。このギヤハウジング25の内部に、モータギヤアッシ30が収容される。モータギヤアッシ30は、後述する、電動モータ40、平歯多段減速機構41及び遊星歯車減速機構42である。図3も参照して、ギヤハウジング25は、電動モータ40を収容する第1ギヤハウジング27と、主に遊星歯車減速機構42を収容する第2ギヤハウジング28と、を備えている。第1ギヤハウジング27に、他端側からシリンダ部13の底壁23が一体的に連結される。その結果、シリンダ部13と第1ギヤハウジング27(電動モータ40)とは、略平行に並ぶように配置される。第2ギヤハウジング28には、後述するスピンドル93を含むキャリア72の小径円筒状部86が挿通される挿通孔29が形成される。
図2に示すように、第2ギヤハウジング28の底面からは、後述するインターナルギヤ71の径方向の移動を規制する円筒状拘束部32が突設される。該円筒状拘束部32の径方向外側には、該円筒状拘束部32と対向する壁面との間に環状溝部33が形成される。円筒状拘束部32と対向する壁面には、周方向に間隔を置いて複数の係合凹部34が形成される。該円筒状拘束部32には、後述する第1減速歯車48の大径歯車53との干渉を避けるように切欠き部(図示略)が形成されている。言い換えれば、円筒状拘束部32には、後述する第1減速歯車48の大径歯車53が入り込む切欠き部(図示略)が形成される。ギヤハウジング25の一端側開口は、カバー部材36により閉塞されている。当該カバー部材36は、気密的にギヤハウジング25に取り付けられている。
駆動機構9は、電動モータ40と、電動モータ40からの回転トルクを増力する減速機構としての、平歯多段減速機構41及び遊星歯車減速機構42と、当該遊星歯車減速機構42からの回転を直線運動に変換して、ピストン18に推力を付与する回転直動変換機構43と、を備えている。電動モータ40は、上述したように、第1ギヤハウジング27内に配置され、その回転軸40Aがカバー部材36(一端側)に向かって延びている。なお、図3には、電動モータ40の一部が図示されている。平歯多段減速機構41は、ピニオンギヤ47と、減速ギヤとしての第1減速歯車48と、第2減速歯車49と、を備えている。第1減速歯車48及び第2減速歯車49は、金属、あるいは、繊維強化樹脂等の樹脂にて構成される。
図3も参照して、ピニオンギヤ47は、筒状に形成されて、電動モータ40の回転軸40Aに圧入固定される。第1減速歯車48は、段付歯車で構成されている。該第1減速歯車48は、ピニオンギヤ47に噛合する大径の大径歯車53と、大径歯車53から同心状に一端側に向かって軸方向に延びる小径の小径歯車54と、を備えている。当該第1減速歯車48は、その径方向中央部が第1ギヤハウジング27と第2ギヤハウジング28との境目付近に配置される。言い換えれば、大径歯車53は、第1ギヤハウジング27及び第2ギヤハウジング28を跨ぐようにして配置される。第1減速歯車48は、支持ロッド60が回転自在に支持される。この支持ロッド60はギヤハウジング25の底面に圧入固定される。小径歯車54の軸方向長さは、大径歯車53の軸方向長さよりも相当長く形成される。小径歯車54の軸方向長さは、後述する第2減速歯車49の大径歯車57の軸方向長さと略同じである。小径歯車54の一端が、カバー部材36に近接して配置される。
第1減速歯車48の小径歯車54は、第2減速歯車49と噛合している。当該第2減速歯車49は、第1減速歯車48の小径歯車54と噛合する大径の大径歯車57と、大径歯車57から同心状に他端側に向かって軸方向に延びる小径のサンギヤ58と、を備えている。第2減速歯車49は、第2ギヤハウジング28内に収容される。第2減速歯車49の径方向中央部には、軸方向に貫通する支持孔62が形成される。この支持孔62に、後述するスピンドル93の支持軸部95が回転自在に挿通される。その結果、第2減速歯車49は、ギヤハウジング25に対して回転自在に支持される。
サンギヤ58は、遊星歯車減速機構42の一部として構成される。大径歯車57とサンギヤ58とは、その軸方向長さが略同じである。大径歯車57の内周面とサンギヤ58の外周面との間には、環状の空間63が形成される。第2減速歯車49の大径歯車57の一端とサンギヤ58の一端とは、環状の円環状壁部65により接続される。この円環状壁部65の他端側の面でその外周端寄りに、遊星歯車減速機構42側(他端側)に突出する環状のストッパ部66が形成されている。第2減速歯車49の円環状壁部65は、カバー部材36に近接して配置されている。
遊星歯車減速機構42は、第2減速歯車49のサンギヤ58と、複数個(本実施形態では5個)のプラネタリギヤ70と、インターナルギヤ71と、を備えている。遊星歯車減速機構42からの回転、すなわち各プラネタリギヤ70からの回転がキャリア72に伝達される。各プラネタリギヤ70は、サンギヤ58に噛合する歯車75と、キャリア72から立設されるピン90が回転自在に挿通される孔部76と、を有している。各プラネタリギヤ70は、サンギヤ58の周りに周方向に沿って等間隔に配置される。詳しくは、各プラネタリギヤ70は、サンギヤ58に噛合しつつ、大径歯車57の内周面とサンギヤ58の外周面との間の環状の空間63に周方向に沿って等間隔で配置される。
インターナルギヤ71は、各プラネタリギヤ70の歯車75とそれぞれ噛合する内歯78と、該内歯78の一端から連続して径方向中心に延び、各プラネタリギヤ70の軸方向の移動を規制する環状壁部79と、内歯78から他端側に向かって延びる円筒状壁部80と、を備えている。インターナルギヤ71の内歯78の部位は、第2減速歯車49の大径歯車57の内周面と、各プラネタリギヤ70との間に配置される。なお、インターナルギヤ71の内歯78の部位と、各プラネタリギヤ70と、サンギヤ58とは、その他端側の面が略同一平面上に位置する。図3から解るように、インターナルギヤ71の円筒状壁部80には、径方向外方に突設する係合凸部82が周方向に間隔を置いて複数形成される。本実施形態では、係合凸部82は、等間隔で3箇所形成される。
図3から解るように、インターナルギヤ71の円筒状壁部80には、その周方向の一部に、第1減速歯車48の大径歯車53との干渉を避けるように切欠き部83が形成される。言い換えれば、インターナルギヤ71の円筒状壁部80には、その周方向の一部に、第1減速歯車48の大径歯車53が入り込む切欠き部83が形成される。そして、インターナルギヤ71の円筒状壁部80の一端面を第2ギヤハウジング28の底面に当接しつつ、その円筒状壁部80の内周面を第2ギヤハウジング28の円筒状拘束部32の外周面に当接させると共に円筒状壁部80から突設された各係合凸部82を第2ギヤハウジング28の壁面に設けた各係合凹部34に係合する。また、インターナルギヤ71の一端側の面には、第2減速歯車49の円環状壁部65に設けた環状のストッパ部66が当接される。その結果、インターナルギヤ71は、その径方向及び軸方向の移動が規制されると共に、ギヤハウジング25に対して相対回転不能に支持される。
キャリア72は、大径円環板状部85と、大径円環板状部85から同心状に他端側に突設される小径円筒状部86と、を備えている。キャリア72は、その径方向略中央にスプライン孔部87が軸方向に貫通するように形成される。大径円環板状部85は、第2ギヤハウジング28の円筒状拘束部32の内側に配置される。キャリア72の大径円環板状部85の外周側には、周方向に沿って間隔を置いて、各プラネタリギヤ70と対応するように複数のピン用孔部89が形成されている。各ピン用孔部89にピン90がそれぞれ圧入固定されている。各ピン90が、各プラネタリギヤ70の孔部76に回転自在にそれぞれ挿通されている。キャリア72の小径円筒状部86は、第2ギヤハウジング28の挿通孔29に挿通される。なお、キャリア72の小径円筒状部86と、挿通孔29とは、その軸方向長さが略同じである。
キャリア72の外径は、インターナルギヤ71の内歯78の内径よりも小径である。キャリア72の大径円環板状部85の厚みは、第2ギヤハウジング28に設けた円筒状拘束部32の高さと略同じである。また、キャリア72の大径円環板状部85の厚みは、第1減速歯車48の大径歯車53の歯幅(厚み)よりも若干厚く形成される。キャリア72、詳しくはキャリア72の大径円環板状部85と、第1減速歯車48の大径歯車53とは、径方向で重なるように配置される。言い換えれば、キャリア72の軸方向の範囲内に、詳しくはキャリア72の大径円環板状部85の軸方向の範囲内に、第1減速歯車48の大径歯車53が位置する。第1減速歯車48の大径歯車53は、第2ギヤハウジング28の円筒状拘束部32に設けた切欠き部(図示略)、及びインターナルギヤ71の円筒状壁部80に設けた切欠き部83に入り込むように配置されている。その結果、キャリア72の大径円環板状部85の外周面と、第1減速歯車48の大径歯車53の外周面とが、対向して近接して配置される。
スピンドル93は、キャリア72からの回転が伝達され、その回転トルクを回転直動変換機構43に伝達するものである。スピンドル93は、第2減速歯車49の支持孔62に挿通される支持軸部95と、該支持軸部95と一体的に接続され、キャリア72のスプライン孔部87と係合するスプライン軸部96と、該スプライン軸部96と一体的に接続されてシリンダボア16内に延び、回転直動変換機構43の一部として機能する主軸部(図示略)と、を備えている。スピンドル93の支持軸部95が、第2減速歯車49の支持孔62に回転自在に挿通されることで、第2減速歯車49が、ギヤハウジング25に対して回転自在に支持される。また、スピンドル93のスプライン軸部96が、キャリア72のスプライン孔部87に係合することで、キャリア72とスピンドル93との間で互いに回転トルクを伝達することができる。
電動モータ40の回転軸40Aは、ピニオンギヤ47から一端側に突出している。電動モータ40の回転軸40Aの一端には、ラチェットギヤ100が圧入固定されている。該ラチェットギヤ100にレバー部材(図示略)が係合することで、ピストン18によるインナブレーキパッド2への推力を保持することができる。ラチェットギヤ100の一端側に回転角検出手段103が配置されている。回転角検出手段103は、電動モータ40の回転軸40Aの回転角度を検出するものである。該回転角検出手段103は、磁石部材106と、磁気検出ICチップ107と、を備えている。
電動モータ40の回転軸40Aの一端面には、圧入用凹部109が形成される。該圧入用凹部109に支持ロッド110が圧入固定される。当該支持ロッド110に、カップ状の支持部材113内に配置されたリング状の磁石部材106が支持される。当該磁石部材106の一端側に対向するように磁気検出ICチップ107が配置されている。磁気検出ICチップ107は、磁石部材106から発生する磁界の変化を検出するものである。当該磁気検出ICチップ107は、制御基板116に取り付けられている。そして、回転軸40Aの回転に伴って回転する磁石部材106からの磁束の変化を磁気検出ICチップ107により検出することで、制御基板116により、電動モータ40の回転軸40Aの回転角度を演算して検出している。
図1に示すように、回転直動変換機構43は、平歯多段減速機構41及び遊星歯車減速機構42からの回転運動、すなわちスピンドル93の回転運動を直線運動(以下、便宜上直動という)に変換し、その直動部材(図示略)の移動によりピストン18に推力を付与するものである。回転直動変換機構43は、シリンダボア16内であって、その底面とピストン18との間に配置される。そして、キャリア72の回転に伴ってスピンドル93が回転すると、回転直動変換機構43により、その直動部材が他端側に向かって前進することで、該ピストン18が前進し、該ピストン18によってインナブレーキパッド2をディスクロータDに押し付けることができる。
電動モータ40は、その駆動が制御基板116からの指令により制御される。通常走行における制動時には、当該制御基板116により、運転者の要求に対応した検出センサやブレーキが必要な様々な状況を検出する種々の検出センサ等からの検出信号、回転角検出手段103からの検出信号及び推力センサ(図示略)等からの検出信号に基づき、電動モータ40の駆動を制御する。
次に、本実施形態に係るディスクブレーキ1において、通常走行における制動及び制動解除の作用について説明する。
通常走行における制動時には、制御基板116からの指令により、電動モータ40が駆動されて、その正方向、すなわち制動方向の回転が、平歯多段減速機構41を介して遊星歯車減速機構42のサンギヤ58に伝達される。該遊星歯車減速機構42のサンギヤ58の回転により、各プラネタリギヤ70が自身の回転軸線を中心に自転しながら、サンギヤ58の回転軸線を中心に公転することで、キャリア72が回転する。すなわち、電動モータ40からの回転が、平歯多段減速機構41及び遊星歯車減速機構42を経由することで所定の減速比で減速、増力されてキャリア72に伝達される。そして、キャリア72からの回転がスピンドル93に伝達される。
通常走行における制動時には、制御基板116からの指令により、電動モータ40が駆動されて、その正方向、すなわち制動方向の回転が、平歯多段減速機構41を介して遊星歯車減速機構42のサンギヤ58に伝達される。該遊星歯車減速機構42のサンギヤ58の回転により、各プラネタリギヤ70が自身の回転軸線を中心に自転しながら、サンギヤ58の回転軸線を中心に公転することで、キャリア72が回転する。すなわち、電動モータ40からの回転が、平歯多段減速機構41及び遊星歯車減速機構42を経由することで所定の減速比で減速、増力されてキャリア72に伝達される。そして、キャリア72からの回転がスピンドル93に伝達される。
続いて、キャリア72の回転に伴ってスピンドル93が回転すると、回転直動変換機構43の作用により、その直動部材が前進してピストン18を前進させる。このピストン18が前進することで、インナブレーキパッド2をディスクロータDに押し付ける。そして、ピストン18によるインナブレーキパッド2への押圧力に対する反力により、キャリパ本体8がブラケット5に対してインナ側に移動して、各爪部14、14によってアウタブレーキパッド3をディスクロータDに押し付ける。この結果、ディスクロータDが一対のインナ及びアウタブレーキパッド2、3により挟みつけられて摩擦力が発生し、ひいては、車両の制動力が発生することになる。
一方、制動解除時には、制御基板116からの指令により、電動モータ40の回転軸40Aが逆方向、すなわち制動解除方向に回転すると共に、その逆方向の回転が平歯多段減速機構41及び遊星歯車減速機構42を介してスピンドル93に伝達される。その結果、スピンドル93の逆方向への回転により、回転直動変換機構43の作用により、その直動部材が後退して初期状態に戻り、ディスクロータDへの一対のインナ及びアウタブレーキパッド2、3による制動力が解除される。
以上説明したように、本実施形態に係るディスクブレーキ1では、特に、モータギヤアッシ30において、第1減速歯車48の大径歯車53と、キャリア72、詳しくはキャリア72の大径円環板状部85とが、径方向で重なるように配置されている。言い換えれば、キャリア72の軸方向の範囲内に、詳しくはキャリア72の大径円環板状部85の軸方向の範囲内に、第1減速歯車48の大径歯車53が位置する。これにより、本ディスクブレーキ1では、軸方向に沿って小型化することができ、車両への搭載性を向上させることができる。また、本実施形態に係るディスクブレーキ1では、第1減速歯車48の小径歯車54が、第2減速歯車49の大径歯車57に直接噛合しており、従来のディスクブレーキにて採用した非減速平歯車を必要としないので、部品点数を削減することができる。
さらに、本実施形態に係るディスクブレーキ1では、第1減速歯車48の大径歯車53が、インターナルギヤ71の円筒状壁部80に設けた切欠き部83に入り込み、当該大径歯車53の外周面とキャリア72の大径円環板状部85の外周面とが、対向して近接して配置されている。これにより、大径歯車53の外径を最大限大きくすることができ、ピニオンギヤ47と大径歯車53との間の減速比が大きくすることができるので、電動モータ40の出力をアップ、または回転直動変換機構43のリードを小さくするなどの対策を取る必要がなく、性能上良好となる。
なお、以上の説明では、本実施形態が、電動ブレーキ装置としてのディスクブレーキ1に採用されているが、本実施形態を、通常走行の制動時には、キャリパ本体8のシリンダボア16内に供給されるブレーキ液圧にて、ピストン18を前進させることで、一対のインナ及びアウタブレーキパッド2、3により制動力が発生させ、駐車時等の駐車ブレーキ時に、駆動機構9、すなわち電動モータ40からの駆動力を平歯多段減速機構41、遊星歯車減速機構42及び回転直動変換機構43を介してピストン18に伝達することで該ピストン18を前進させて、一対のインナ及びアウタブレーキパッド2、3により制動力が発生させる、ディスクブレーキに採用してもよい。
以上説明した、本実施形態に基づくディスクブレーキ1として、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
第1の態様は、電動機(40)の駆動力を、減速機構(42、48)を介して回転直動変換機構(43)に伝達することによりピストン(18)を推進させて、制動部材(2、3)を被制動部材(D)に押圧するディスクブレーキ(1)であって、前記減速機構(42、48)は、前記電動機(40)からの回転が伝達される減速ギヤ(48)と、該減速ギヤ(48)からの回転が伝達される遊星歯車減速機構(42)と、を備え、前記減速ギヤ(48)は、大径歯車(53)及び小径歯車(54)を有する段付歯車を含み、前記大径歯車(53)と、前記遊星歯車減速機構(42)からの回転が伝達されるキャリア(72)とは、径方向で重なるように配置される。
第1の態様は、電動機(40)の駆動力を、減速機構(42、48)を介して回転直動変換機構(43)に伝達することによりピストン(18)を推進させて、制動部材(2、3)を被制動部材(D)に押圧するディスクブレーキ(1)であって、前記減速機構(42、48)は、前記電動機(40)からの回転が伝達される減速ギヤ(48)と、該減速ギヤ(48)からの回転が伝達される遊星歯車減速機構(42)と、を備え、前記減速ギヤ(48)は、大径歯車(53)及び小径歯車(54)を有する段付歯車を含み、前記大径歯車(53)と、前記遊星歯車減速機構(42)からの回転が伝達されるキャリア(72)とは、径方向で重なるように配置される。
第2の態様は、第1の態様において、前記大径歯車(53)の外周面と、前記キャリア(72)の外周面とは、対向して近接して配置される。
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記遊星歯車減速機構(42)は、サンギヤ(58)と、該サンギヤ(58)に噛み合う複数のプラネタリギヤ(70)と、該各プラネタリギヤ(70)に噛み合うインターナルギヤ(71)と、を備え、前記インターナルギヤ(71)には、切欠き部(83)が形成されており、前記大径歯車(53)の一部が前記切欠き部(83)内に入り込んで配置されている。
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記遊星歯車減速機構(42)は、サンギヤ(58)と、該サンギヤ(58)に噛み合う複数のプラネタリギヤ(70)と、該各プラネタリギヤ(70)に噛み合うインターナルギヤ(71)と、を備え、前記インターナルギヤ(71)には、切欠き部(83)が形成されており、前記大径歯車(53)の一部が前記切欠き部(83)内に入り込んで配置されている。
1 ディスクブレーキ,2 インナブレーキパッド(制動部材),3 アウタブレーキパッド(制動部材),4 キャリパ,8 キャリパ本体,18 ピストン,40 電動モータ(電動機),41 平歯多段減速機構,42 遊星歯車減速機構,43 回転直動変換機構,48 第1減速歯車(減速ギヤ),53 大径歯車,54 小径歯車,58 サンギヤ,70 プラネタリギヤ,71 インターナルギヤ,72 キャリア,83 切欠き部,85 大径円環板状部,D ディスクロータ(被制動部材)
Claims (3)
- 電動機の駆動力を、減速機構を介して回転直動変換機構に伝達することによりピストンを推進させて、制動部材を被制動部材に押圧するディスクブレーキであって、
前記減速機構は、前記電動機からの回転が伝達される減速ギヤと、該減速ギヤからの回転が伝達される遊星歯車減速機構と、を備え、
前記減速ギヤは、大径歯車及び小径歯車を有する段付歯車を含み、
前記大径歯車と、前記遊星歯車減速機構からの回転が伝達されるキャリアとは、径方向で重なるように配置されることを特徴とするディスクブレーキ。 - 前記大径歯車の外周面と、前記キャリアの外周面とは、対向して近接して配置されることを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ。
- 前記遊星歯車減速機構は、サンギヤと、該サンギヤに噛み合う複数のプラネタリギヤと、該各プラネタリギヤに噛み合うインターナルギヤと、を備え、
前記インターナルギヤには、切欠き部が形成されており、前記大径歯車の一部が前記切欠き部内に入り込んで配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のディスクブレーキ。
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Applications Claiming Priority (1)
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JP2018221294A JP2022028979A (ja) | 2018-11-27 | 2018-11-27 | ディスクブレーキ |
Publications (1)
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2018
- 2018-11-27 JP JP2018221294A patent/JP2022028979A/ja active Pending
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2019
- 2019-11-19 WO PCT/JP2019/045201 patent/WO2020110823A1/ja active Application Filing
Also Published As
Publication number | Publication date |
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WO2020110823A1 (ja) | 2020-06-04 |
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