JP2022027225A - インパクト工具、インパクト工具の制御方法及びプログラム - Google Patents

インパクト工具、インパクト工具の制御方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】作業状況に応じて自律的に出力軸の回転速度を制御可能なインパクト工具を提供する。【解決手段】インパクト工具1は、モータ3と、インパクト機構と、出力軸と、制御部7と、進み量測定部9Aと、を備える。インパクト機構は、ハンマと、アンビルと、を有する。アンビルは、ハンマから打撃力を受け回転する。進み量測定部9Aは、ハンマの回転に対するアンビルの回転の進み量を測定する。制御部7は、進み量測定部9Aで測定された進み量に基づいて、出力軸の回転速度を制御するための制御モードを複数のモードの中から切り替える。【選択図】図1

Description

本開示は一般にインパクト工具、インパクト工具の制御方法及びプログラムに関し、より詳細には、ハンマから打撃力を受け回転するアンビルを有するインパクト工具、インパクト工具の制御方法及びプログラムに関する。
特許文献1に記載のインパクト回転工具(インパクト工具)は、モータと、ハンマと、出力軸と、打撃検出部と、設定入力部と、を具備する。ハンマは、モータにより回転される。出力軸は、ハンマによって打撃されて回転力が加えられる。打撃検出部は、打撃検出に用いる打撃判定値が閾値を越えたときにハンマによる打撃を検出する。モータの出力と、打撃検出部で用いる検出用の閾値とは、設定入力部で入力される設定トルクに応じて切り替えられる。
特開2009-083045号公報
しかしながら、特許文献1記載のインパクト工具を用いる作業者は、作業状況によって適切な回転速度で出力軸を回転させるようにインパクト工具を操作する必要があり、作業者にはこれを実現する技量が要求される。
本開示は上記事由に鑑みてなされており、作業状況に応じて自律的に出力軸の回転速度を制御可能であるインパクト工具、インパクト工具の制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
本開示の一態様に係るインパクト工具は、モータと、インパクト機構と、出力軸と、制御部と、進み量測定部と、を備える。前記インパクト機構は、ハンマと、アンビルと、を有する。前記ハンマは、前記モータの動力により回転する。前記アンビルは、前記ハンマから打撃力を受け回転する。前記出力軸は、前記アンビルと共に回転する。前記制御部は、前記出力軸の回転速度を制御する。前記進み量測定部は、前記ハンマの回転に対する前記アンビルの回転の進み量を測定する。前記インパクト機構は、前記出力軸に加えられるトルクの大きさに関するトルク条件が満たされると、インパクト動作を行う。前記インパクト動作は、前記ハンマから前記アンビルに前記打撃力を加える動作である。前記制御部は、前記進み量測定部で測定された前記進み量に基づいて、前記出力軸の回転速度を制御するための制御モードを複数のモードの中から切り替える。
本開示の一態様に係るインパクト工具の制御方法は、モータと、インパクト機構と、出力軸と、を備える前記インパクト工具の制御方法である。前記インパクト機構は、ハンマと、アンビルと、を有する。前記ハンマは、前記モータの動力により回転する。前記アンビルは、前記ハンマから打撃力を受け回転する。前記出力軸は、前記アンビルと共に回転する。前記制御方法は、制御ステップと、進み量測定ステップと、を有する。前記制御ステップは、前記出力軸の回転速度を制御するステップである。前記進み量測定ステップは、前記ハンマの回転に対する前記アンビルの回転の進み量を測定するステップである。前記インパクト機構は、前記出力軸に加えられるトルクの大きさに関するトルク条件が満たされると、インパクト動作を行う。前記インパクト動作は、前記ハンマから前記アンビルに前記打撃力を加える動作である。前記制御ステップでは、前記進み量測定ステップで測定された前記進み量に基づいて、前記出力軸の回転速度を制御するための制御モードを複数のモードの中から切り替える。
本開示の一態様に係るプログラムは、前記インパクト工具の前記制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
本開示は、作業状況に応じて自律的に出力軸の回転速度を制御可能であるという利点がある。
図1は、一実施形態に係るインパクト工具の制御ブロック図である。 図2は、同上のインパクト工具の斜視図である。 図3は、同上のインパクト工具の側断面図である。 図4は、同上のインパクト工具の要部の斜視図である。 図5は、同上のインパクト工具により締められるねじの断面図である。 図6は、同上のインパクト工具の制御部によるベクトル制御の説明図である。 図7は、同上のインパクト工具の動作例を示すグラフである。 図8A、図8Bは、同上のインパクト工具のハンマ及びアンビルの動作説明図である。 図9A~図9Fは、同上のインパクト工具において測定された進み量を示すグラフである。 図10は、同上のインパクト工具の制御方法を示すフローチャートである。 図11は、同上のインパクト工具の動作例を示すグラフである。
(実施形態)
以下、実施形態に係るインパクト工具1について、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
(1)概要
(1-1)基本構成
図1~図4に示すように、本実施形態のインパクト工具1は、モータ3と、インパクト機構40と、出力軸61と、制御部7と、を備える。インパクト機構40は、ハンマ42と、アンビル45と、を有する。ハンマ42は、モータ3の動力により回転する。アンビル45は、ハンマ42から打撃力を受け回転する。出力軸61は、アンビル45と共に回転する。インパクト機構40は、出力軸61に加えられるトルクの大きさに関するトルク条件が満たされると、インパクト動作を行う。インパクト動作は、ハンマ42からアンビル45に打撃力を加える動作である。
インパクト工具1は、上記の構成に加えて、以下の第1の特徴、第2の特徴及び第3の特徴のうち、少なくとも第1の特徴に係る構成を備える。より詳細には、インパクト工具1は、第1の特徴、第2の特徴及び第3の特徴の全てに係る構成を備える。
(1-2)第1の特徴
制御部7は、出力軸61の回転速度を制御する。インパクト工具1は、進み量測定部9A(図1参照)を更に備える。進み量測定部9Aは、ハンマ42の回転に対するアンビル45の回転の進み量を測定する。制御部7は、進み量測定部9Aで測定された進み量に基づいて、出力軸61の回転速度を制御するための制御モードを複数のモードの中から切り替える。
第1の特徴に係る構成によれば、インパクト工具1は、作業状況に応じて自律的に出力軸61の回転速度を制御可能である。例えば、インパクト工具1を用いてねじ締めをする際に、進み量が小さい状態は、インパクト工具1による締付けが固い状態に相当する。このとき、制御部7の制御モードは、複数のモードのうち後述の第2制御モードとなる。第2制御モードにおいて、制御部7は、締付けにより出力軸61に加わる荷重が過大になることを抑制するために、条件に応じて出力軸61の回転速度を抑制する(又は出力軸61の回転を停止させる)ことで、荷重の増加を抑制する。これにより、インパクト工具1を用いた作業を安定化させられる。
(1-3)第2の特徴
制御部7は、出力軸61の回転速度を制御する。インパクト工具1は、スラスト力検出部9B(図1参照)を更に備える。スラスト力検出部9Bは、出力軸61に加えられるスラスト力F1を検出する。スラスト力F1は、出力軸61のスラスト方向に沿った方向の力である。制御部7は、スラスト力検出部9Bで検出されたスラスト力F1に関するスラスト力条件が満たされると、制限処理を実行する。制限処理は、出力軸61の回転速度を抑制することと、出力軸61の回転を停止させることと、の少なくとも一方を含む。
第2の特徴に係る構成によれば、インパクト工具1は、作業状況に応じて自律的に出力軸61の回転速度を制御可能である。例えば、インパクト工具1は、スラスト力F1が大きくなり過ぎた場合に、制限処理により出力軸61の回転速度を抑制する(又は出力軸61の回転を停止させる)ことで、スラスト力F1の増加を抑制する。これにより、インパクト工具1を用いた作業を安定化させられる。
(1-4)第3の特徴
制御部7は、所定の第1条件が満たされるとカムアウト抑制制御を行い、所定の第2条件が満たされると安定化制御を行う。カムアウト抑制制御は、カムアウトの発生を抑制するための制御である。カムアウトは、出力軸61に連結される先端工具62と先端工具62による作業対象のねじ63との嵌合がモータ3の動作中に解除される現象である。安定化制御は、ハンマ42の不安定挙動を抑制するための制御である。
第3の特徴に係る構成によれば、インパクト工具1は、作業状況に応じた自律的な制御を実行可能である。例えば、インパクト工具1は、作業対象のねじ63が木ねじであるためにカムアウトの発生が懸念される場合に、カムアウト抑制制御を行うことができる。また、インパクト工具1は、作業対象のねじ63がボルト又はヘックスローブねじであり、締付けが比較的固いためにハンマ42が不安定挙動をする懸念がある場合に、安定化制御を行うことができる。これにより、インパクト工具1を用いた作業を安定化させられる。
(2)構造
以下、本実施形態のインパクト工具1について詳細に説明する。まずは、インパクト工具1の構造について説明する。
以下の説明では、後述する駆動軸41と出力軸61とが並んでいる方向を前後方向と規定し、駆動軸41から見て出力軸61側を前と規定し、出力軸61から見て駆動軸41側を後と規定する。また、以下の説明では、後述する胴体部21とグリップ部22とが並んでいる方向を上下方向と規定し、グリップ部22から見て胴体部21側を上と規定し、胴体部21から見てグリップ部22側を下と規定する。ただし、これらの規定は、インパクト工具1の使用方向を規定する趣旨ではない。
本実施形態のインパクト工具1は、可搬型の電動工具である。図2、図3に示すように、インパクト工具1は、ハウジング2と、モータ3と、伝達機構4と、出力軸61と、操作部23と、制御部7と、を備えている。
ハウジング2は、モータ3、伝達機構4及び制御部7と、出力軸61の一部と、を収容している。ハウジング2は、胴体部21と、グリップ部22と、を有している。胴体部21の形状は、円筒状である。グリップ部22は、胴体部21から突出している。より詳細には、グリップ部22は、胴体部21の側面から突出している。
操作部23は、グリップ部22から突出している。操作部23は、モータ3の回転を制御するための操作を受け付ける。なお、本開示において、「モータ3の回転」とは、モータ3の回転軸311の回転を意味する。操作部23を引く操作により、モータ3のオンオフを切替可能である。また、操作部23を引く操作の引込み量で、モータ3の回転速度を調整可能である。上記引込み量が大きいほど、モータ3の回転速度が速くなる。制御部7は、操作部23を引く操作の引込み量に応じて、モータ3を回転又は停止させ、また、モータ3の回転速度を制御する。
先端工具62は、出力軸61に連結される。より詳細には、出力軸61には、先端工具62が着脱可能である。出力軸61は、モータ3の回転力を受けて先端工具62と共に回転する。そして、操作部23への操作によってモータ3の回転速度が制御されることで、先端工具62の回転速度が制御される。
先端工具62は、インパクト工具1の構成要素ではない。ただし、インパクト工具1は、先端工具62を備えていてもよい。
先端工具62は、例えば、ドライバビットである。本実施形態の先端工具62は、先端部620が+(プラス)形に形成されたプラスドライバビットである。先端工具62は、作業対象のねじ63(ボルト又はビス等)と嵌合する。先端工具62がねじ63と嵌合した状態で先端工具62が回転することにより、ねじ63を締め付ける又は緩めるといった作業が可能となる。
ねじ63は、頭部64と、ねじ部65と、を含んでいる。頭部64の形状は、円盤状である。ねじ部65は、頭部64から突出している。頭部64は、+形のねじ穴640(図5参照)を有している。本実施形態では、ねじ63のねじ穴640に先端工具62の先端部620の少なくとも一部が挿入された状態を指して、先端工具62とねじ63とが嵌合していると言う。また、モータ3の動作(回転)中に、先端工具62とねじ63とが嵌合している状態から、先端工具62の先端部620がねじ穴640の外に出ることを指して、先端工具62とねじ63との嵌合が解除される現象、すなわち、カムアウトが起きると言う。
インパクト工具1には、充電式の電池パックが着脱可能に取り付けられる。インパクト工具1は、電池パックを電源として動作する。すなわち、電池パックは、モータ3を駆動する電流を供給する電源である。電池パックは、インパクト工具1の構成要素ではない。ただし、インパクト工具1は、電池パックを備えていてもよい。電池パックは、複数の二次電池(例えば、リチウムイオン電池)を直列接続して構成された組電池と、組電池を収容したケースと、を備えている。
モータ3は、例えばブラシレスモータである。特に、本実施形態のモータ3は、同期モータであり、より詳細には、永久磁石同期モータ(PMSM(Permanent Magnet Synchronous Motor))である。モータ3は、回転軸311及び永久磁石312を有する回転子31と、コイル321を有する固定子32と、を含んでいる。永久磁石312とコイル321との電磁的相互作用により、回転子31は、固定子32に対して回転する。
また、モータ3は、サーボモータである。モータ3のトルク及び回転速度は、制御部7(サーボドライバ)による制御に応じて変化する。より詳細には、制御部7は、モータ3のトルク及び回転速度を目標値に近づけるように制御するフィードバック制御によりモータ3の動作を制御している。一例として、制御部7は、ベクトル制御を行う。ベクトル制御は、モータ制御方式の一種であり、モータ3に供給される電流を、トルク(回転力)を発生する電流成分と磁束を発生する電流成分とに分解し、それぞれの電流成分を独立に制御する方式である。
伝達機構4は、インパクト機構40を有している。本実施形態のインパクト工具1は、インパクト機構40によるインパクト動作を行いながらねじ締めを行う、電動式のインパクトドライバである。インパクト機構40は、インパクト動作において、モータ3の動力に基づいて打撃力を発生させ、その打撃力は先端工具62に作用する。
伝達機構4は、インパクト機構40に加えて、遊星歯車機構48を有している。インパクト機構40は、駆動軸41と、ハンマ42と、復帰ばね43と、アンビル45と、2つの鋼球49と、を含んでいる。モータ3の回転軸311の回転は、遊星歯車機構48を介して、駆動軸41に伝達される。伝達機構4は、モータ3のトルクを駆動軸41を介して出力軸61に伝達する。駆動軸41は、モータ3と出力軸61との間に配置されている。
制御部7は、モータ3の回転速度と、遊星歯車機構48の変速比と、のうち少なくとも一方を変化させることにより、出力軸61の回転速度を変化させることができる。制御部7は、例えば、モータ3に供給する電力を変化させることで、モータ3の回転速度を変化させる。また、制御部7は、例えば、アクチュエータを駆動して遊星歯車機構48のギアをスライド移動させることにより、ギアを切り替える。ギアが切り替わることで、遊星歯車機構48の変速比が変化する。本実施形態では、制御部7は、遊星歯車機構48の変速比の制御は行わず、モータ3の回転速度を変化させる制御をする。
ハンマ42は、アンビル45に対して移動し、モータ3から動力を得てアンビル45に打撃力を加える。図3、図4に示すように、ハンマ42は、ハンマ本体420と、2つの突起425と、を含んでいる。2つの突起425は、ハンマ本体420のうち出力軸61側の面から突出している。ハンマ本体420は、駆動軸41が通される貫通孔421を有している。
ハンマ本体420は、貫通孔421の内周面に、2つの溝部423を有している。駆動軸41は、その外周面に、2つの溝部413を有している。2つの溝部413は、つながっている。2つの溝部423と2つの溝部413との間には、2つの鋼球49が挟まれている。2つの溝部423と2つの溝部413と2つの鋼球49とは、カム機構を構成している。2つの鋼球49が移動しながら、ハンマ42は、駆動軸41に対して、駆動軸41の軸方向に移動可能であり、かつ、駆動軸41に対して回転可能である。ハンマ42が駆動軸41の軸方向に沿って出力軸61に近づく向き又は出力軸61から遠ざかる向きに移動するのに伴って、ハンマ42が駆動軸41に対して回転する。
アンビル45は、出力軸61と一体に形成されている。アンビル45は、出力軸61と共に回転する。アンビル45は、アンビル本体450と、2つの爪部455と、を含んでいる。アンビル本体450の形状は、円環状である。2つの爪部455は、アンビル本体450からアンビル本体450の径方向に突出している。アンビル45は、駆動軸41の軸方向においてハンマ本体420と対向している。
インパクト機構40がインパクト動作を行っていない場合には、駆動軸41の回転方向においてハンマ42の2つの突起425とアンビル45の2つの爪部455とが接しながら、ハンマ42とアンビル45とが一体に回転する。そのため、このとき、駆動軸41と、ハンマ42と、アンビル45と、出力軸61とが一体に回転する。
復帰ばね43は、ハンマ42と遊星歯車機構48との間に挟まれている。本実施形態の復帰ばね43は、円錐コイルばねである。インパクト機構40は、ハンマ42と復帰ばね43との間に挟まれた複数(図3では2つ)の鋼球50と、リング51と、を更に含んでいる。これにより、ハンマ42は、復帰ばね43に対して回転可能となっている。ハンマ42は、駆動軸41の軸方向に沿った方向において、出力軸61に向かう向きの力を復帰ばね43から受けている。
以下では、駆動軸41の軸方向においてハンマ42が出力軸61に向かう向きに移動することを、「ハンマ42が前進する」と称する。また、以下では、駆動軸41の軸方向においてハンマ42が出力軸61から遠ざかる向きに移動することを、「ハンマ42が後退する」と称す。また、本開示では、ハンマ42の移動可能な範囲においてハンマ42がアンビル45から最も離れた位置に移動することを、「最大後退」と称す。本実施形態において、安定化制御で抑制されるハンマ42の不安定挙動は、ハンマ42がアンビル45から所定距離以上離れる挙動(後退挙動)であり、より詳細には、後退挙動の一種である最大後退である。最大後退は、例えば、出力軸61に加わる荷重の大きさが急増した場合に発生し得る。
インパクト機構40は、出力軸61に加えられるトルク(以下、負荷トルクと称す)の大きさに関するトルク条件が満たされると、インパクト動作を行う。インパクト動作は、ハンマ42からアンビル45に打撃力を加える動作である。本実施形態では、トルク条件は、負荷トルクが所定値以上となることである。すなわち、負荷トルクが大きくなってくると、ハンマ42とアンビル45との間で発生する力のうち、ハンマ42を後退させる向きの分力も大きくなってくる。負荷トルクが所定値以上となると、ハンマ42は、復帰ばね43を圧縮させながら後退する。そして、ハンマ42が後退することにより、ハンマ42の2つの突起425がアンビル45の2つの爪部455を乗り越えつつ、ハンマ42が回転する。その後、ハンマ42が復帰ばね43からの復帰力を受けて前進する。そして、駆動軸41が略半回転すると、ハンマ42の2つの突起425がアンビル45の2つの爪部455の側面4550に衝突する。インパクト機構40では、駆動軸41が略半回転するごとにハンマ42の2つの突起425がアンビル45の2つの爪部455に衝突する。つまり、駆動軸41が略半回転するごとにハンマ42がアンビル45に打撃力(回転打撃力)を加える。
このように、インパクト機構40では、ハンマ42とアンビル45との衝突が繰り返し発生する。この衝突によるトルクにより、衝突が無い場合と比較して、ねじ63を強力に締め付けることができる。
上述の通り、インパクト工具1では、カムアウトが起きることがある。以下、カムアウトが起きるメカニズムの第1例を説明する。インパクト機構40がインパクト動作をしているときであって、モータ3の回転速度が不安定である場合等に、ハンマ42は移動可能な範囲における前端まで前進し、その結果、先端工具62からねじ63への押付力が瞬間的に増加することがある。その後、ねじ63から先端工具62への反作用により先端工具62がねじ63から離れ、カムアウトが起きることがある。つまり、先端工具62がねじ63からの跳ね返りによりねじ63から離れ、カムアウトが起きることがある。
次に、インパクト工具1においてカムアウトが起きるメカニズムの第2例を説明する。ねじ63のねじ穴640(図5参照)にはテーパ面641が設けられており、ねじ63の軸方向と交差する方向の力が先端工具62からテーパ面641に加わると、先端工具62は、テーパ面641に沿ってねじ穴640の外へ移動することがある。すなわち、カムアウトが起きることがある。例えば、ねじ63に対する先端工具62の向きが斜め向きであると、先端工具62からテーパ面641に加わる力のうちねじ63の軸方向と交差する方向の成分が比較的大きくなるため、第2例のメカニズムでカムアウトが起きやすい。
また、モータ3の回転速度が大きいほど、先端工具62からテーパ面641に加わる力が大きくなりやすいため、第2例のメカニズムでカムアウトが起きやすい。また、作業者が強い押付力で先端工具62をねじ63へ、ねじ63の軸方向に押し付けていると、第1例及び第2例のいずれでもカムアウトが起きにくいが、この押付力が不足している場合に、カムアウトが起きることがある。
図3に示すように、インパクト工具1は、保持台11と、収容部材12と、駆動回路81と、ファン14と、カバー15と、軸受16と、軸受17と、を更に備えている。これらは、ハウジング2に収容されている。
保持台11の形状は、有底円筒状である。保持台11は、その内側に遊星歯車機構48を保持している。すなわち、保持台11は、遊星歯車機構48のギアを回転可能に保持している。また、保持台11は、軸受17を保持している。保持台11に保持された軸受17と、カバー15に保持された軸受16とは、モータ3の回転軸311を回転可能に保持している。すなわち、保持台11は、軸受17を介して回転軸311を回転可能に保持している。モータ3の回転軸311は、保持台11の底面に形成された貫通孔に挿入されており、遊星歯車機構48に連結されている。
収容部材12の形状は、円筒状である。収容部材12の直径は、前方ほど小さい。収容部材12は、伝達機構4を収容している。保持台11は、収容部材12の一端(後端)の開口を塞ぐように配置されている。
駆動回路81は、モータ3の後方に配置されている。駆動回路81は、基板810と、複数のパワー素子と、を含む。各パワー素子は、例えば、FET(Field Effect Transistor)素子である。
制御部7は、駆動回路81を介して、モータ3を制御する。すなわち、制御部7は、駆動回路81の複数のFET素子のオンオフを切り替えることで、複数のFET素子を経由してモータ3に供給される電力を制御する。
ファン14は、モータ3の回転軸311に連結されている。ファン14は、モータ3と保持台11との間に配置されている。ファン14は、前方へ流れる風を発生させる。これにより、ファン14は、ハウジング2の内部空間を空冷する。
カバー15は、駆動回路81の後方に配置されている。カバー15は、駆動回路81を覆っている。
(3)制御部
制御部7は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、制御部7の少なくとも一部の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
図1に示すように、制御部7は、指令値生成部71と、速度制御部72と、電流制御部73と、第1の座標変換器74と、第2の座標変換器75と、磁束制御部76と、推定部77と、打撃検知部78と、を有している。ただし、これらは、必ずしも実体のある構成を示しているわけではない。これらは、制御部7によって実現される機能を示している。よって、制御部7の各要素は、制御部7内で生成された各値を自由に利用可能である。
また、インパクト工具1は、駆動回路81と、電流測定部82と、電圧測定部83と、モータ回転測定部84と、を備えている。
制御部7は、モータ3の動作を制御する。より詳細には、制御部7は、モータ3に電流を供給する駆動回路81と共に用いられ、フィードバック制御によりモータ3の動作を制御する。制御部7は、モータ3に供給される励磁電流(d軸電流)とトルク電流(q軸電流)とを独立に制御するベクトル制御を行う。
電流測定部82は、複数(図1では2つ)の電流センサCT1、CT2と、第2の座標変換器75と、を有している。すなわち、第2の座標変換器75は、電流測定部82の構成と制御部7の構成とを兼ねている。電流測定部82は、モータ3に供給される励磁電流(d軸電流の電流測定値id1)及びトルク電流(q軸電流の電流測定値iq1)を測定する。すなわち、2つの電流センサCT1、CT2で測定された2相の電流が第2の座標変換器75で変換されることで、電流測定値id1、iq1が得られる。
複数の電流センサCT1、CT2はそれぞれ、例えば、ホール素子又はシャント抵抗素子を含んでいる。複数の電流センサCT1、CT2は、電池パックから駆動回路81を介してモータ3に供給される電流を測定する。ここで、モータ3には、3相電流(U相電流、V相電流及びW相電流)が供給されており、複数の電流センサCT1、CT2は、少なくとも2相の電流を測定する。図1では、電流センサCT1がU相電流を測定して電流測定値i1を出力し、電流センサCT2がV相電流を測定して電流測定値i1を出力する。
モータ回転測定部84は、例えば、ロータリセンサを備えている。ロータリセンサは、例えば、ホール素子を用いて回転角を検知する磁気式ロータリセンサ、又は、光を用いて回転角を検知する光電式ロータリセンサである。ロータリセンサは、モータ3の(回転子31の)回転角θ1を検知する。
第2の座標変換器75は、複数の電流センサCT1、CT2で測定された電流測定値i1、i1を、モータ回転測定部84で測定されたモータ3の回転角θ1に基づいて座標変換し、電流測定値id1、iq1を算出する。すなわち、第2の座標変換器75は、U相、V相の電流測定値i1、i1に基づいて、W相の電流を求め、U、V、W相の3相電流の測定値を、磁界成分(d軸電流)に対応する電流測定値id1と、トルク成分(q軸電流)に対応する電流測定値iq1とに変換する。
電圧測定部83は、モータ3に印加される電圧を測定する。電圧測定部83は、例えば、モータ3のU相の巻線とV相の巻線との間に印加される電圧を測定する。なお、図1では、電圧測定部83は1つだけ設けられているが、電圧測定部83の個数は複数個であってもよい。1又は複数の電圧測定部83は、U相の巻線とV相の巻線との間、V相の巻線とW相の巻線との間、及び、W相の巻線とU相の巻線との間のうち少なくとも1つに印加された電圧を測定してもよい。
推定部77は、モータ回転測定部84で測定されたモータ3の回転角θ1を時間微分して、モータ3の角速度ω1(回転子31の角速度)を算出する。
指令値生成部71は、モータ3の角速度の指令値cω1を生成する。指令値生成部71には、例えば、操作部23を引く操作の引込み量に応じた指令値cω0が、操作部23から入力される。指令値生成部71は、指令値cω0に応じた指令値cω1を生成する。すなわち、指令値生成部71は、上記引込み量が大きいほど、角速度の指令値cω1を大きくする。
指令値生成部71は、判定部710を含む。判定部710は、打撃検知部78、進み量測定部9A及びスラスト力検出部9Bから情報を取得し、これらの情報に基づいて所定の判定を行う。指令値生成部71は、操作部23から取得した指令値cω0と、判定部710の判定結果と、に基づいて指令値cω1を生成する。判定部710で行われる判定の内容については、「(6)動作例」で説明する。
速度制御部72は、指令値生成部71で生成された指令値cω1と推定部77で算出された角速度ω1との差分に基づいて、指令値ciq1を生成する。指令値ciq1は、モータ3のトルク電流(q軸電流)の大きさを指定する指令値である。すなわち、制御部7は、モータ3のコイル321に供給されるトルク電流(q軸電流)を指令値ciq1(目標値)に近づけるようにモータ3の動作を制御する。速度制御部72は、指令値cω1と角速度ω1との差分を所定値よりも小さくするように指令値ciq1を決定する。
磁束制御部76は、推定部77で算出された角速度ω1と、電流測定値iq1(q軸電流)と、に基づいて、指令値cid1を生成する。指令値cid1は、モータ3の励磁電流(d軸電流)の大きさを指定する指令値である。すなわち、制御部7は、モータ3のコイル321に供給される励磁電流(d軸電流)を指令値cid1(目標値)に近づけるようにモータ3の動作を制御する。
磁束制御部76で生成される指令値cid1は、例えば、励磁電流の大きさを0にするための指令値である。本実施形態では、磁束制御部76は常時、励磁電流の大きさを0にするための指令値cid1を生成する。ただし、磁束制御部76は、必要に応じて、励磁電流の大きさを0よりも大きく又は小さくするための指令値cid1を生成してもよい。励磁電流の指令値cid1が0より小さくなると、モータ3にマイナスの励磁電流(弱め磁束電流)が流れ、弱め磁束により、回転子31を駆動する磁束が弱まる。
電流制御部73は、磁束制御部76で生成された指令値cid1と第2の座標変換器75で算出された電流測定値id1との差分に基づいて、指令値cvd1を生成する。指令値cvd1は、モータ3の励磁電圧(d軸電圧)の大きさを指定する指令値である。電流制御部73は、指令値cid1と電流測定値id1との差分を小さくするように指令値cvd1を決定する。電流制御部73は、指令値cid1と電流測定値id1との差分を所定値よりも小さくするように指令値cvd1を決定する。
また、電流制御部73は、速度制御部72で生成された指令値ciq1と第2の座標変換器75で算出された電流測定値iq1との差分に基づいて、指令値cvq1を生成する。指令値cvq1は、モータ3のトルク電圧(q軸電圧)の大きさを指定する指令値である。電流制御部73は、指令値ciq1と電流測定値iq1との差分を小さくするように指令値cvq1を生成する。電流制御部73は、指令値ciq1と電流測定値iq1との差分を所定値よりも小さくするように指令値cvq1を生成する。
第1の座標変換器74は、指令値cvd1、cvq1を、モータ回転測定部84で測定されたモータ3の回転角θ1に基づいて座標変換し、指令値cv1、cv1、cv1を算出する。すなわち、第1の座標変換器74は、磁界成分(d軸電圧)に対応する指令値cvd1と、トルク成分(q軸電圧)に対応する指令値cvq1とを、3相電圧に対応する指令値cv1、cv1、cv1に変換する。指令値cv1はU相電圧に、指令値cv1はV相電圧に、指令値cv1はW相電圧に対応する。
駆動回路81は、指令値cv1、cv1、cv1に応じた3相電圧をモータ3に供給する。駆動回路81は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)制御により、モータ3に供給される電力を制御する。
モータ3は、駆動回路81から供給された電力(3相電圧)により駆動され、回転動力を発生させる。
この結果、制御部7は、モータ3のコイル321に流れる励磁電流(d軸電流)が、磁束制御部76で生成された指令値cid1に対応した大きさとなるように励磁電流を制御する。また、制御部7は、モータ3の角速度が、指令値生成部71で生成された指令値cω1に対応した角速度となるようにモータ3の角速度を制御する。
打撃検知部78は、電流測定値id1が所定値Th5(図7参照)以下となることをもって、インパクト機構40がインパクト動作をしていることを検知する。打撃検知部78は、インパクト動作の有無を表す信号b1を指令値生成部71に送信する。
(4)ベクトル制御の詳細
以下、制御部7によるベクトル制御について更に詳細に説明する。図6は、ベクトル制御の解析モデル図である。図6には、U相、V相、W相の電機子巻線固定軸であるU軸、V軸、W軸が示されている。ベクトル制御では、モータ3の回転子31に設けられた永久磁石312が作る磁束の回転速度と同じ速度で回転する回転座標系が考慮される。回転座標系において、永久磁石312が作る実際の磁束の方向をd軸の方向とし、制御部7によるモータ3の制御に対応する座標軸であってd軸に対応する座標軸を、γ軸とする。また、d軸から電気角で90度進んだ位相にq軸を取り、γ軸から電気角で90度進んだ位相にδ軸を取る。
dq軸は回転しており、その回転速度をωで表す。γδ軸も回転しており、その回転速度をωで表す。図6のωは、図1のω1と一致する。また、dq軸において、U相の電機子巻線固定軸から見たd軸の角度(位相)をθで表す。同様に、γδ軸において、U相の電機子巻線固定軸から見たγ軸の角度(位相)をθで表す。図6のθは、図1のθ1と一致する。θ及びθにて表される角度は、電気角における角度であり、回転子位置又は磁極位置とも呼ばれる。ω及びωにて表される回転速度は、電気角における角速度である。
θとθとが一致しているとき、d軸及びq軸はそれぞれγ軸及びδ軸と一致する。ベクトル制御において、制御部7は、基本的に、θとθとが一致するように制御を行う。そのため、d軸電流の指令値cid1が0の場合に、モータ3にかかる負荷が増加又は減少すると、制御部7は、これにより生じるθとθとの差分を補償するように制御を行うので、d軸電流の電流測定値id1が正の値又は負の値となる。具体的には、モータ3にかかる負荷が小さくなった直後は、d軸電流の電流測定値id1は正の値となり、モータ3にかかる負荷が大きくなった瞬間は、電流測定値id1は負の値となる。
インパクト機構40がインパクト動作をしている期間には、インパクト動作時以外の期間と比較して、モータ3にかかる負荷の変動が大きくなる。そのため、図7に示すように、インパクト機構40がインパクト動作をしている期間(時点t3以降の所定期間)に、励磁電流(d軸電流の電流測定値id1)が振動する。
(5)進み量測定部及びスラスト力検出部
(5-1)構成
図1に示すように、インパクト工具1は、進み量測定部9Aを備えている。また、インパクト工具1は、スラスト力検出部9Bを備えている。進み量測定部9Aの少なくとも一部の構成は、スラスト力検出部9Bの少なくとも一部の構成を兼ねている。
進み量測定部9Aは、ハンマ42の回転に対するアンビル45の回転の進み量を測定する。スラスト力検出部9Bは、出力軸61に加えられるスラスト力F1を検出する。スラスト力F1は、出力軸61のスラスト方向に沿った方向の力である。より詳細には、スラスト力F1は、出力軸61から先端工具62に加えられる力、あるいは、先端工具62から出力軸61に加えられる反力である。
進み量測定部9A及びスラスト力検出部9Bは、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、進み量測定部9A及びスラスト力検出部9Bの少なくとも一部の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
進み量測定部9Aは、打撃間隔測定部91と、ハンマ回転測定部92と、演算部93と、を有している。スラスト力検出部9Bは、打撃間隔測定部91と、ハンマ回転測定部92と、処理部94と、を有している。ただし、これらは、必ずしも実体のある構成を示しているわけではない。これらは、進み量測定部9A及びスラスト力検出部9Bによって実現される機能を示している。
進み量測定部9A及びスラスト力検出部9Bは、電流測定部82を更に有している。ただし、図1では、電流測定部82を、進み量測定部9A及びスラスト力検出部9Bの外部に図示している。
打撃間隔測定部91は、ハンマ42の打撃間隔を測定する。ハンマ42の打撃間隔(以下、単に「打撃間隔」と称す)とは、ハンマ42がアンビル45に打撃力を加える時間間隔である。ハンマ回転測定部92は、ハンマ42の回転速度を測定する。演算部93は、打撃間隔測定部91で測定された打撃間隔と、ハンマ回転測定部92で測定されたハンマ42の回転速度と、に基づいて、ハンマ42の回転に対するアンビル45の回転の進み量を求める。
(5-2)打撃間隔測定部
上述の通り、電流測定部82は、モータ3に流れる励磁電流を測定する。打撃間隔測定部91は、電流測定部82で測定された励磁電流の電流測定値id1に基づいて、打撃間隔を測定する。これにより、打撃間隔を精度よく測定できる。
より詳細には、打撃間隔測定部91は、電流測定部82で測定された励磁電流(電流測定値id1)が所定値Th5(図7参照)以下となる時間間隔を、打撃間隔として測定する。つまり、インパクト機構40のインパクト動作において、ハンマ42がアンビル45に衝突する度に、モータ3にかかる負荷が変動し、この変動が励磁電流の変動として表れるので、打撃間隔測定部91は、励磁電流に基づいて、打撃間隔を測定できる。所定値Th5は、負の値である。
例えば、励磁電流の電流測定値id1は、図7に示すように推移する。時点t3に、インパクト機構40がインパクト動作を開始し、これにより、電流測定値id1が振動する。その後、時点t4以降では、電流測定値id1の波形の谷ごとに、電流測定値id1が所定値Th5以下となる。よって、打撃間隔測定部91は、打撃間隔を測定できる。なお、打撃間隔測定部91は、打撃検知部78を兼ねていてもよい。
(5-3)ハンマ回転測定部
ハンマ回転測定部92は、推定部77(図1参照)からモータ3の角速度ω1(モータ3の回転速度)を取得する。ハンマ回転測定部92は、角速度ω1に基づいて、ハンマ42の回転速度を測定する。より詳細には、ハンマ回転測定部92は、角速度ω1を遊星歯車機構48の変速比で除した値を、ハンマ42の角速度(回転速度)として求める。
なお、ハンマ回転測定部92は、例えば、ロータリセンサを備えていて、ロータリセンサにより検知したハンマ42の回転角を微分することで、ハンマ42の回転速度を測定してもよい。つまり、ハンマ回転測定部92は、モータ3の回転速度に基づいて間接的にハンマ42の回転速度を測定するのではなく、ハンマ42の回転速度を直接測定してもよい。
(5-4)演算部
以下、演算部93が進み量を求める原理について、図8A、図8Bを参照して説明する。ここで、ハンマ42の2つの突起425を区別して、それぞれ突起425A、425Bと称す。また、アンビル45の2つの爪部455を区別して、それぞれ爪部455A、455Bと称す。
ハンマ42は、図8A、図8Bにおける時計回りの方向に回転する。ハンマ42の回転に伴い、図8Aに示すように、突起425Aが爪部455Aに衝突し、突起425Bが爪部455Bに衝突する。これにより、アンビル45がハンマ42と同方向に回転する。
各突起425が爪部455に衝突した後、ハンマ42が後退することにより、突起425Aが爪部455Aを乗り越え、突起425Bが爪部455Bを乗り越える。その後、ハンマ42は、少なくとも180度回転する。すると、図8Bに示すように、突起425Aが爪部455Bに衝突し、突起425Bが爪部455Aに衝突する。ハンマ42の2つの突起425とアンビル45の2つの爪部455とが、図8Aの位置で衝突してから、図8Bの位置で衝突するまでの時間が、打撃間隔に相当する。
ここで、アンビル45の回転の進み量を、アンビル45の回転角度α1で表す。回転角度α1は、突起425が爪部455に衝突してから、次の爪部455に衝突するまでの間の期間におけるアンビル45の回転角度である。図8Bでは、図8Aの時点における2つの突起425及び2つの爪部455の位置を、2点鎖線で図示している。図8Bに示すように、突起425Aが爪部455Aに衝突してから、爪部455Bに衝突するまでの間に(つまり、打撃間隔の間に)、アンビル45は、回転角度α1だけ回転する。つまり、突起425Bが爪部455Bに衝突してから、爪部455Aに衝突するまでの間に、アンビル45は、回転角度α1だけ回転する。
演算部93は、[数1]により、回転角度α1(進み量)を求める。ここで、回転角度α1の単位は[度]であり、Δtは打撃間隔測定部91で測定された打撃間隔(単位は秒)であり、β1はハンマ42の回転速度(単位は[度/秒])である。γ1は、突起425と、ハンマ42の回転方向においてこれに隣り合う突起425との間の間隔を角度(単位は[度])で表した数である。本実施形態のように複数の突起425が等間隔に設けられている場合は、γ1=360/(突起425の個数)である。すなわち、本実施形態では、γ1=180である。
[数1]
α1=Δt×β1-γ1
図8Bに示すように、打撃間隔の間に、ハンマ42は、Δt×β1[度]だけ回転する。突起425はγ1[度]の間隔で設けられているので、アンビル45が固定されていれば、Δt×β1=γ1となる。しかしながら、実際には、打撃間隔の間に、アンビル45は、回転角度α1[度]だけ回転するので、Δt×β1=γ1+α1となる。すなわち、[数1]の関係が成り立つ。
進み量(回転角度α1)と、インパクト工具1による締付けの固さとの間には、相関がある。「締付けの固さ」とは、ねじ63を締める場合の固さと、ねじ63を緩める場合の固さと、を含む概念である。「締付けの固さ」とは、言い換えると、ねじ63を締める又は緩めるために要するトルクの大きさである。様々な種類のねじ63を用意し、各ねじ63をねじ締めする際の進み量(回転角度α1)を測定した。その結果を、図9A~図9Fに示す。
図9A~図9Fの縦軸は、回転角度α1を表す。横軸は、時間を表す。ねじ63の種類は、図9A~図9Dでは木ねじ、図9E、図9Fでは六角ボルトである。また、ねじ63の寸法は、図9Bでは直径5.2[mm]、長さ120[mm]であり、図9Cでは直径4.5[mm]、長さ90[mm]であり、図9Dでは直径4.2[mm]、長さ75[mm]である。また、ねじ63の寸法は、図9Eでは六角ボルトのJIS規格のM16に対応する寸法であり、図9Fでは同規格のM10に対応する寸法である。
ねじ63は、木材又は金属板等のねじ締め対象にねじ込まれる。回転角度α1の測定開始当初は、ねじ63がねじ締め対象に対して強く固定されていない状態なので、ハンマ42に叩かれたアンビル45の回転を阻害する抵抗力が比較的小さく、その結果、回転角度α1が比較的大きい値となる。しかしながら、時間が経過するにつれて、ねじ63がねじ締め対象に強く固定され、上記抵抗力が増加するので、回転角度α1が低下する。
図9A~図9Fにおいて、回転角度α1がプロットされている期間は、インパクト機構40がインパクト動作を開始してから終了するまでの期間(以下、打撃期間と称す)に相当する。そして、各図において、打撃期間の略全体に亘って、回転角度α1は所定値以上の範囲で推移する。回転角度α1は、図9Aでは約20度以上の範囲で推移し、図9Bでは約25度以上の範囲で推移し、図9Cでは約30度以上の範囲で推移し、図9Dでは約35度以上の範囲で推移し、図9E、図9Fでは約0度以上の範囲で推移する。
一般に、木ねじよりもボルトの方が、締付けが固い。また、ねじ63の直径が大きいほど、締付けが固い。また、ねじ63の長さが長いほど、締付けが固い。図9A~図9Fを参照すると、締付けが固いほど、進み量(回転角度α1)が小さい傾向が見られる。
こうした傾向に鑑みて、指令値生成部71の判定部710は、進み量(回転角度α1)が小さいほど、締付けが固いと判定するように構成されている。より詳細には、判定部710は、回転角度α1の大きさにより、締め付けの固さを複数(ここでは、2つ)に分類する。判定部710は、回転角度α1が第1閾値Th1(図10参照)よりも大きい場合、締付けが比較的緩いと判定し、回転角度α1が第1閾値Th1以下の場合、締付けが比較的固いと判定する。第1閾値Th1は、例えば、15度である。
本実施形態のインパクト工具1は、進み量を測定し、進み量に基づいてモータ3を制御する。そのため、例えばねじ63及びねじ締め対象の固さを測定することでねじ締めの固さを求め、ねじ締めの固さに基づいてモータ3を制御する場合と比較して、測定が容易である。また、進み量はねじ締めの固さと密接に対応しているので、モータ3の制御の精度を良好にすることができる。例えば、進み量を参照することで、ねじ締めの固さに影響する要素としてのねじ63の形状、下穴の形状、及びねじ穴640の形状等の影響を加味して、モータ3を制御できる可能性がある。
(5-5)処理部
スラスト力検出部9Bの処理部94は、ハンマ回転測定部92で測定されたハンマ42の回転速度(角速度)に基づいてスラスト力F1を求める。スラスト力F1は、出力軸61に加えられる力であって、出力軸61のスラスト方向(前後方向)に沿った方向の力である。
処理部94は、演算によりスラスト力F1を求める。スラスト力F1は、[数2]で表される。
[数2]
F1=Fth+Ffloat
ここで、Fthは、ハンマ42からアンビル45に加えられる打撃力のうち、スラスト方向の成分である。Ffloatは、先端工具62のねじりトルクに起因するスラスト方向の荷重である。
Fth、Ffloatはそれぞれ、[数3]、[数4]で表される。
[数3]
Fth=Aωds
[数4]
Ffloat=Bωdstanφ
ωdsは、ハンマ回転測定部92で測定されたハンマ42の角速度である。φは、スラスト方向と先端工具62の外表面とがなす角度である(図5参照)。
“A”は、インパクト機構40で生じる打撃トルクに寄与する第1のパラメータから計算される係数である。第1のパラメータの一例は、ハンマ42の慣性モーメント及び復帰ばね43のばね定数等の、インパクト機構40の部品形状に依存するパラメータ、並びに、アンビル45に対するハンマ42の打撃角度等である。“A”は、例えば、実際のインパクト工具1を用いて実験により求められる。
“B”は、インパクト機構40で生じる打撃トルクに寄与する第2のパラメータから計算される係数である。第2のパラメータの一例は、ハンマ42の慣性モーメント、復帰ばね43のばね定数、出力軸61の慣性モーメント及び出力軸61の外径等の、インパクト機構40の部品形状に依存するパラメータである。“B”は、例えば、計算により求められる。
なお、[数3]、[数4]は近似式である。また、[数2]、[数3]、[数4]は、スラスト力F1を求める式の一例に過ぎず、スラスト力F1は、他の式により求められてもよい。また、スラスト力F1は、打撃間隔測定部91で測定された打撃間隔に更に基づいて求められてもよい。
(6)動作例
(6-1)動作フロー
制御部7は、制御モードを複数のモードの中から切り替えてモータ3を制御する。複数のモードは、例えば、第1制御モードと、第2制御モードと、通常モードと、を含む。通常モードでは、制御部7は、操作部23(図2参照)に対してされた操作に従ってモータ3を制御する。第1制御モードでは、制御部7は、操作部23に対してされた操作の内容に加えて、スラスト力検出部9Bで検出されたスラスト力F1に基づいて、モータ3を制御する。第2制御モードでは、制御部7は、操作部23に対してされた操作の内容に加えて、励磁電流の電流測定値id1に基づいて、モータ3を制御する。
図10に、本実施形態のインパクト工具1の動作フローの一例を示す。まず、打撃検知部78は、インパクト機構40のインパクト動作の検知を試みる(ステップST1)。打撃検知部78がインパクト動作を検知しなかった場合(つまり、インパクト機構40がインパクト動作中でない場合)、ステップST1の判定結果は“NO”であり、制御部7は、通常モードでモータ3を制御する(ステップST2)。その後、制御部7は、ステップST1の判定に戻る。
打撃検知部78がインパクト動作を検知すると(つまり、インパクト機構40がインパクト動作中であると)、ステップST1の判定結果は“YES”である。この場合、指令値生成部71(図1参照)の判定部710は、進み量測定部9Aで測定された進み量(回転角度α1)を、第1閾値Th1と比較する(ステップST3)。進み量が第1閾値Th1よりも大きい状態は、ねじ63の締付けが比較的緩い(負荷が小さい)状態に相当する。制御部7は、進み量が第1閾値Th1よりも大きい場合に(ステップST3:YES)、制御モードを第1制御モードに切り替える(ステップST4)。
第1制御モードでは、制御部7は、スラスト力検出部9Bで測定されたスラスト力F1を、第3閾値Th3と比較する(ステップST5)。スラスト力F1が第3閾値Th3よりも大きい場合(ステップST5:YES)、制御部7は、モータ3を減速又は停止させる(ステップST6)。すなわち、制御部7の指令値生成部71は、モータ3の角速度の指令値cω1を低下させる。その後、制御部7は、ステップST1の判定に戻る。
第1制御モードにおいて、スラスト力F1が第3閾値Th3以下の場合(ステップST5:NO)、モータ3に対する制御部7による制御は、例えば、通常モードと同様の制御となる。その後、制御部7は、ステップST1の判定に戻る。
ステップST3において、進み量が第1閾値Th1以下の場合(ステップST3:NO)、判定部710は、進み量測定部9Aで測定された進み量(回転角度α1)を、第2閾値Th2と比較する(ステップST7)。進み量が第2閾値Th2以下の状態は、ねじ63の締付けが比較的固い(負荷が大きい)状態に相当する。制御部7は、進み量が第2閾値Th2以下の場合に(ステップST7:YES)、制御モードを第2制御モードに切り替える(ステップST8)。
第2閾値Th2は、例えば、第1閾値Th1と等しくてもよい。この場合、ステップST3の判定結果が“NO”のときは、ステップST7を省略してステップST8が実行される。
第2制御モードでは、制御部7は、励磁電流の電流測定値id1を、第4閾値Th4と比較する(ステップST9)。第4閾値Th4は、負の値である。電流測定値id1が第4閾値Th4よりも小さい場合(ステップST9:YES)、制御部7は、モータ3を減速又は停止させる(ステップST6)。すなわち、制御部7の指令値生成部71は、モータ3の角速度の指令値cω1を低下させる。その後、制御部7は、ステップST1の判定に戻る。
第2制御モードにおいて、電流測定値id1が第4閾値Th4以上の場合(ステップST9:NO)、モータ3に対する制御部7による制御は、例えば、通常モードと同様の制御となる。その後、制御部7は、ステップST1の判定に戻る。
ステップST7において、進み量が第2閾値Th2よりも大きい場合(ステップST7:NO)、制御部7は、通常モードでモータ3を制御する(ステップST2)。その後、制御部7は、ステップST1の判定に戻る。
制御部7は、打撃検知部78がインパクト動作を検知してからモータ3が停止するまでの間を通して、進み量(回転角度α1)に基づいて制御モードを切り替える。
なお、図10に示すフローチャートは、インパクト工具1の動作フローの一例を示しているに過ぎず、処理の順序が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。
(6-2)制限処理
ここで、制限処理を、出力軸61の回転速度を通常モードよりも抑制することと、出力軸61の回転を停止させることと、の少なくとも一方を含む処理であると規定する。上述の第1制御モード及び第2制御モードは、条件に応じて制限処理(ステップST6の処理)を実行する減速モードに該当する。つまり、制御部7の複数のモードは、出力軸61を回転させる通常モードと、条件に応じて制限処理を実行する減速モードと、を含む。
また、第1制御モードでは、スラスト力F1が第3閾値Th3よりも大きい場合に制限処理を実行する。第1制御モードにおけるこのような制御は、カムアウト抑制制御に相当する。カムアウト抑制制御は、カムアウトの発生を抑制するための制御である。カムアウト抑制制御の詳細は、次節の「(7)カムアウト抑制制御」で説明する。
また、第2制御モードでは、励磁電流の電流測定値id1が第4閾値Th4よりも小さい場合に制限処理を実行する。第2制御モードにおけるこのような制御は、安定化制御に相当する。安定化制御は、ハンマ42の不安定挙動(最大後退)を抑制するための制御である。安定化制御の詳細は、「(8)安定化制御」で説明する。
[表1]に、進み量(回転角度α1)の大きさと、締付けの固さと、制御部7の制御モードと、制御の内容と、の対応関係をまとめた。
Figure 2022027225000002
(6-3)第1条件及び第2条件
上述の通り、制御部7は、所定の第1条件が満たされるとカムアウト抑制制御を行い、所定の第2条件が満たされると安定化制御を行う。第1条件及び第2条件のうち少なくとも一方は、進み量測定部9Aで測定された進み量に関する条件である。
より詳細には、第1条件は、打撃検知部78がインパクト動作を検出し、かつ、進み量(回転角度α1)が第1閾値Th1よりも大きいという条件である。つまり、第1条件は、進み量が第1閾値Th1よりも大きいという条件を含む。第1条件が満たされると、制御部7の制御モードが第1制御モードとなり、カムアウト抑制制御が実行される。
また、第2条件は、打撃検知部78がインパクト動作を検出し、かつ、進み量(回転角度α1)が第1閾値Th1以下であり、かつ、進み量(回転角度α1)が第2閾値Th2以下であるという条件である。つまり、第2条件は、進み量が第2閾値Th2以下であるという条件を含む。第2条件が満たされると、制御部7の制御モードが第2制御モードとなり、安定化制御が実行される。
制御部7は、打撃検知部78がインパクト動作を検知してからモータ3が停止するまでの間を通して、第1条件が満たされているか否か、及び、第2条件が満たされているか否かを判定する。制御部7は、第1条件が満たされるとカムアウト抑制制御を行い、第2条件が満たされると安定化制御を行う。
(6-4)スラスト力条件
また、スラスト力条件が満たされると、制御部7は、制限処理を実行する。スラスト力条件は、スラスト力検出部9Bで検出されたスラスト力F1に関する条件である。本実施形態では、スラスト力条件は、スラスト力F1が第3閾値Th3(スラスト力閾値)よりも大きいという条件を含む(図10のステップST5:YES)。制限処理は、出力軸61の回転速度を抑制することと、出力軸61の回転を停止させることと、の少なくとも一方を含む。
制御部7は、打撃検知部78がインパクト動作を検知してからモータ3が停止するまでの間を通して、スラスト力条件が満たされているか否かを判定する。制御部7は、スラスト力条件が満たされると、制限処理を実行する。
より詳細には、制御部7は、進み量測定部9Aで測定された進み量に関する進み量条件が満たされ、かつ、スラスト力条件が満たされると、制限処理を実行する。進み量条件は、進み量(回転角度α1)が進み量閾値(第1閾値Th1)よりも大きいという条件(ステップST3:YES)を含む。
(7)カムアウト抑制制御
以下、カムアウト抑制制御が行われる場合の動作例について、図7を参照して説明する。なお、上記の説明では、指令値生成部71はモータ3の角速度の指令値cω1を生成すると述べたが、ここでは、指令値生成部71はモータ3の回転速度の指令値を生成すると仮定して説明する。
時点t1に、作業者が操作部23を操作し、モータ3が回転を開始する。モータ3が回転を開始した時点では、インパクト機構40はインパクト動作をしていない。このとき、モータ3の回転速度の上限値は、第1設定値Th6に設定されている。指令値生成部71は、モータ3の回転速度の指令値を、上限値以下の値にする。つまり、操作部23が最大限に引き込まれたときのモータ3の回転速度の指令値は、上限値に等しい値となる。図7では、時点t2にモータ3の回転速度が上限値(第1設定値Th6)に達する。
制御部7(指令値生成部71)は、モータ3の回転速度を、モータ3の回転速度の上限値以下に制御することで、出力軸61の回転速度を、出力軸61の回転速度の上限値以下に制御している。
時点t3に、出力軸61の負荷トルクが所定値Th8以上となる。すると、インパクト機構40がインパクト動作を開始する。その後、励磁電流の電流測定値id1が、所定値Th5以下となる。時点t4に、打撃検知部78は、電流測定値id1が所定値Th5以下となったと判定することで、インパクト機構40がインパクト動作をしていることを検知する。
打撃検知部78がインパクト動作を検知した時点t4以降、判定部710は、進み量測定部9Aで測定された進み量(回転角度α1)を、第1閾値Th1及び第2閾値Th2と比較する(図10のステップST3、ST7)。ここでは、回転角度α1が第1閾値Th1よりも大きく、制御部7の制御モードが第1制御モードとなるとする。つまり、制御部7は、第1制御モードにおけるカムアウト抑制制御を行う。
制御部7(指令値生成部71)は、打撃検知部78がインパクト動作を検知すると、モータ3の回転速度の上限値を引き上げる。これにより、制御部7(指令値生成部71)は、出力軸61の回転速度の上限値を引き上げる。本実施形態では、打撃検知部78がインパクト動作を検知し、かつ、制御部7の制御モードが第1制御モードである場合に、制御部7は、出力軸61の回転速度の上限値を引き上げる。一方で、制御部7の制御モードが第2制御モードである場合は、制御部7は、出力軸61の回転速度の上限値を維持する。つまり、制御部7は、進み量が大きいほど、出力軸61の回転速度の上限値を大きくする。
図7では、打撃検知部78がインパクト動作を検知した時点t4に、モータ3の回転速度の上限値が第2設定値Th7に引き上げられる。第2設定値Th7は、モータ3が回転を開始した時点の第1設定値Th6よりも大きい。モータ3の回転速度の上限値が引き上げられた後、操作部23が十分強く引き込まれていると、図7の時点t4~t5に示すように、モータ3の回転速度は、新たな上限値(第2設定値Th7)まで増加する。
第1制御モード(カムアウト抑制制御)において、判定部710は、スラスト力検出部9Bで検出されたスラスト力F1を第3閾値Th3と比較する。より詳細には、判定部710は、所定の時間間隔でスラスト力F1を第3閾値Th3と比較する。時点t6において、スラスト力F1が第3閾値Th3を超える。すると、制御部7(指令値生成部71)は、モータ3の回転速度を抑制する。より詳細には、制御部7(指令値生成部71)は、モータ3の回転速度の上限値を低下させる。これにより、少なくとも操作部23が十分強く引き込まれている場合には、モータ3の回転速度が低下する。これにより、出力軸61の回転速度が低下する。すなわち、回転速度を抑制するとは、回転速度を直接低下させることだけではなく、回転速度の上限値を低下させることも含む。
一例として、制御部7は、スラスト力F1が第3閾値Th3を超える度に、モータ3の回転速度の上限値を低下させる。別の一例として、制御部7は、スラスト力F1が第3閾値Th3を超えると、それ以降、徐々にモータ3の回転速度の上限値を低下させてもよい。また、制御部7は、モータ3を停止させ、これにより、出力軸61の回転を停止させてもよい。
スラスト力F1、すなわち、出力軸61と先端工具62との間に働く力が過大であると、カムアウトが発生しやすい。モータ3の回転速度を抑制することで、スラスト力F1の増加が抑制される。例えば、通常モードでは、スラスト力F1に応じてモータ3の回転速度を抑制する制御がされない。そのため、通常モードでは、図7に破線L1で示すように、スラスト力F1が閾値Th9(Th9>Th3)を超えるおそれがある。これに対して、制御部7の制御モードが第1制御モードとなり、制御部7がモータ3の回転速度を抑制することで、スラスト力F1を閾値Th9以下に制御できる。スラスト力F1の増加を抑制することで、カムアウトが発生する可能性を低減させられる。つまり、カムアウト抑制制御は、スラスト力検出部9Bで検出されたスラスト力F1が所定値(閾値Th9)以下となるように、出力軸61の回転速度を抑制することと、出力軸61の回転を停止させることと、の少なくとも一方を行う制御である。
また、カムアウト抑制制御により、スラスト力F1が抑制されるので、スラスト力F1が大きくなりねじ頭が潰れる可能性を低減させられる。
また、カムアウト抑制制御において、制御部7は、スラスト力検出部9Bで検出されたスラスト力F1が所定値又は所定範囲となるように、出力軸61の回転速度を制御してもよい。これにより、作業を安定させられる。一例として、制御部7は、スラスト力F1が第3閾値Th3となるように、出力軸61の回転速度を制御してもよい。スラスト力F1が第3閾値Th3から乖離しようとすると、制御部7は、フィードバック制御により、スラスト力F1を第3閾値Th3に戻すように出力軸61の回転速度を制御してもよい。
あるいは、制御部7は、スラスト力F1が第3閾値Th3を含む所定範囲となるように、出力軸61の回転速度を制御してもよい。スラスト力F1が所定範囲から外れようとすると、制御部7は、フィードバック制御により、スラスト力F1を所定範囲に戻すように出力軸61の回転速度を制御してもよい。
ところで、第1制御モードにおいて、所定条件を満たすと、制御部7は、モータ3の回転速度の上限値を低下させる制御を中止してもよい。ここでは、所定条件は、モータ3の回転速度の上限値と第1設定値Th6との差分が所定値以下であることとする。図7では、時点t7に、モータ3の回転速度の上限値と第1設定値Th6との差分が略0となり、所定条件が満たされる。これに応じて、制御部7は、モータ3の回転速度の上限値を低下させる制御を中止する。また、所定条件が満たされると、制御部7は、制御モードを通常モードに切り替えてもよい。
また、所定条件は、ねじ63が着座することであってもよい。例えば、図7に示すように、出力軸61の負荷トルクが閾値Th10を超えること(時点t7参照)、又は、負荷トルクの増加速度が閾値を超えることをもって、ねじ63が着座したと判定されてもよい。あるいは、負荷トルクが所定範囲となることをもって、ねじ63が着座したと判定されてもよい。負荷トルクは、例えば、抵抗式歪みセンサ又は磁歪式歪みセンサ等を備えたトルクセンサにより測定されればよい。あるいは、トルク電流の電流測定値iq1が所定範囲となることをもって、ねじ63が着座したと判定されてもよい。
(8)安定化制御
以下、ハンマ42の不安定挙動(最大後退)を抑制するための安定化制御が行われる場合の動作例について、図11を参照して説明する。なお、上記の説明では、指令値生成部71はモータ3の角速度の指令値cω1を生成すると述べたが、ここでは、指令値生成部71はモータ3の回転速度の指令値を生成すると仮定して説明する。
時点t8に、作業者が操作部23を操作し、モータ3が回転を開始する。モータ3が回転を開始した時点では、インパクト機構40はインパクト動作をしていない。このとき、モータ3の回転速度の上限値は、第1設定値Th6に設定されている。
時点t9に、インパクト機構40がインパクト動作を開始し、これを打撃検知部78が検知する。また、ここでは、進み量(回転角度α1)が第2閾値Th2以下であり(図10のステップST7:YES)、制御部7の制御モードが第2制御モードになるとする。つまり、制御部7は、第2制御モードにおける安定化制御を行う。
上述の通り、打撃検知部78がインパクト動作を検知した場合であっても、制御部7の制御モードが第2制御モードである場合は、制御部7は、出力軸61の回転速度の上限値を維持する。これにより、出力軸61の回転速度の増加が抑制されるので、最大後退が起きる可能性を低減させられる。
時点t10に、モータ3の回転速度がモータ3の回転速度の上限値に達する。すなわち、出力軸61の回転速度が出力軸61の回転速度の上限値に達する。
その後、時点t11に、励磁電流の電流測定値id1が第4閾値Th4よりも小さくなる。すると、制御部7(指令値生成部71)は、モータ3の回転速度を抑制する。より詳細には、制御部7(指令値生成部71)は、モータ3の回転速度の上限値を低下させる。これにより、少なくとも操作部23が十分強く引き込まれている場合には、モータ3の回転速度が低下する(時点t12参照)。これにより、出力軸61の回転速度が低下する。
一例として、制御部7は、図11に示すように、電流測定値id1が第4閾値Th4を下回る度に、モータ3の回転速度の上限値を低下させる。図11では、時点t11、t13、t15に、電流測定値id1が第4閾値Th4を下回る。電流測定値id1が第4閾値Th4を下回る度に、制御部7は、モータ3の回転速度の上限値を所定量ΔNだけ低下させる(時点t12、t14、t16参照)。なお、図11では、図7と比較して、回転速度が急激に低下しているが、これに限らず、回転速度がより緩やかに低下してもよい。
別の一例として、制御部7は、電流測定値id1が第4閾値Th4を下回ると、それ以降、徐々にモータ3の回転速度の上限値を低下させてもよい。また、制御部7は、モータ3を停止させ、これにより、出力軸61の回転を停止させてもよい。
ハンマ42の後退量が大きいほど、モータ3にかかる負荷が大きくなるので、電流測定値id1が負の方向に小さくなる。つまり、図11に示すように、電流測定値id1が負の値のとき、電流測定値id1の絶対値が大きいほど、ハンマ42の後退量が大きい。ハンマ42の後退量とは、ハンマ42の移動可能な範囲内の所定の基準位置から、後方への移動量を意味する。電流測定値id1が第4閾値Th4に等しいときのハンマ42の後退量は、閾値Th12に対応する。電流測定値id1が第4閾値Th4よりも小さくなると、出力軸61(モータ3)の回転速度が抑制される。これにより、ハンマ42の後退量が閾値Th13(Th13>Th12)に達する可能性を低減させられる。
ハンマ42の後退量が閾値Th13に等しいとき、ハンマ42は最大後退している。安定化制御では、電流測定値id1に応じて出力軸61の回転速度を抑制することで、ハンマ42の最大後退の発生が抑制される。
このように、安定化制御により、ハンマ42がアンビル45から所定距離以上離れる挙動(後退挙動)が抑制される。本実施形態では、安定化制御により、後退挙動の一種である最大後退が抑制される。つまり、安定化制御は、ハンマ42の最大後退を抑制するように、出力軸61の回転速度を抑制することと、出力軸61の回転を停止させることと、の少なくとも一方を行う制御である。
また、ハンマ42の後退量が閾値Th13に等しいときの電流測定値id1は、閾値Th11に対応する。つまり、最大後退(後退挙動)の発生は、励磁電流が励磁電流閾値(閾値Th11)以下となることに相当する。安定化制御は、電流測定部82で測定された励磁電流(電流測定値id1)が励磁電流閾値(閾値Th11)以下となることを抑制するように、出力軸61の回転速度を抑制することと、出力軸61の回転を停止させることと、の少なくとも一方を行う制御である。
(9)利点
以上説明したように、インパクト工具1では、進み量が比較的大きい場合(つまり、締付けが比較的緩い場合)は、制御部7は第1制御モードにてカムアウト抑制制御を行い、スラスト力F1の大きさに応じて、出力軸61の回転速度を抑制する。これにより、カムアウトの発生を抑制することができる。
また、進み量(回転角度α1)が比較的小さい場合(つまり、締付けが比較的固い場合)は、制御部7は第2制御モードにて安定化制御を行い、励磁電流の大きさに応じて、出力軸61の回転速度を抑制する。これにより、最大後退の発生を抑制することができる。
結果として、本実施形態によれば、インパクト工具1を用いて行うねじ締め等の作業を安定化させることができる。
(10)インパクト工具の制御方法及びプログラム
インパクト工具1の制御に係る構成、例えば、制御部7、進み量測定部9A及びスラスト力検出部9B等の構成と同様の機能は、インパクト工具1の制御方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
一態様に係るインパクト工具1の制御方法は、制御ステップと、進み量測定ステップと、を有する。制御ステップは、出力軸61の回転速度を制御するステップである。進み量測定ステップは、ハンマ42の回転に対するアンビル45の回転の進み量を測定するステップである。制御ステップでは、進み量測定ステップで測定された進み量に基づいて、出力軸61の回転速度を制御するための制御モードを複数のモードの中から切り替える。
別の一態様に係るインパクト工具1の制御方法は、制御ステップと、スラスト力検出ステップと、を有する。制御ステップは、出力軸61の回転速度を制御するステップである。スラスト力検出ステップは、出力軸61に加えられるスラスト力F1を検出するステップである。スラスト力F1は、出力軸61のスラスト方向に沿った方向の力である。制御ステップでは、スラスト力条件が満たされると、制限処理を実行する。スラスト力条件は、スラスト力検出ステップで検出されたスラスト力F1に関する条件である。制限処理は、出力軸61の回転速度を抑制することと、出力軸61の回転を停止させることと、の少なくとも一方を含む。
別の一態様に係るインパクト工具1の制御方法は、制御ステップを有する。制御ステップは、所定の第1条件が満たされるとカムアウト抑制制御を行い、所定の第2条件が満たされると安定化制御を行うステップである。カムアウト抑制制御は、カムアウトの発生を抑制するための制御である。カムアウトは、出力軸61に連結される先端工具62と先端工具62による作業対象のねじ63との嵌合がモータ3の動作中に解除される現象である。安定化制御は、ハンマ42の不安定挙動を抑制するための制御である。
一態様に係るプログラムは、上記の少なくともいずれかの制御方法を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
(変形例1)
以下、変形例1に係るインパクト工具1について説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例では、制御部7は、ハンマ42がアンビル45を2以上の規定回数だけ打撃する間の進み量に基づいて、制御モードを切り替え、安定化制御及びカムアウト抑制制御のうち少なくとも一方を実行する。つまり、安定化制御を開始するための第1条件と、カムアウト抑制制御を開始するための第2条件と、のうち少なくとも一方は、ハンマ42がアンビル45を2以上の規定回数だけ打撃する間の進み量に関する条件である。このような構成を採用することで、進み量の瞬時的な変化による制御の切替えがされる可能性を低減できるので、インパクト工具1の動作を安定させられる。
第1条件は、例えば、ハンマ42がアンビル45を規定回数だけ打撃する間の進み量(回転角度α1)が、いずれの打撃時にも第1閾値Th1よりも大きいという条件であってもよい。あるいは、第1条件は、例えば、ハンマ42がアンビル45を規定回数だけ打撃する間の進み量(回転角度α1)の総和が、所定の閾値よりも大きいという条件であってもよい。
第2条件は、例えば、ハンマ42がアンビル45を規定回数だけ打撃する間の進み量(回転角度α1)が、いずれの打撃時にも第2閾値Th2以下であるという条件であってもよい。あるいは、第2条件は、例えば、ハンマ42がアンビル45を規定回数だけ打撃する間の進み量(回転角度α1)の総和が、所定の閾値以下であるという条件であってもよい。
(実施形態のその他の変形例)
以下、実施形態のその他の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。また、以下の変形例は、上述の変形例1と適宜組み合わせて実現されてもよい。
打撃間隔測定部91は、電圧測定部83で測定された電圧に基づいて、打撃間隔を測定してもよい。すなわち、打撃間隔測定部91は、ハンマ42とアンビル45との衝突に伴う電圧の変化に基づいて、打撃間隔を測定してもよい。
実施形態では、制御部7は、進み量の大きさに応じて、出力軸61の回転速度の上限値を複数の値(第1設定値Th6及び第2設定値Th7)の中から切り替える。これに対して、制御部7は、進み量の大きさの変化に応じて、上限値を連続的に変化させてもよい。
進み量測定部9Aは、ハンマ42に対するアンビル45の回転角度α1を進み量として測定することに限定されない。進み量測定部9Aは、ハンマ42に対するアンビル45の移動距離を進み量として測定してもよい。
制御部7は、モータ3から出力軸61への回転力の伝達を遮断することにより、出力軸61の回転を停止させてもよい。例えば、伝達機構4がクラッチ機構を含んでいる場合、クラッチ機構により、モータ3から出力軸61への回転力の伝達を遮断してもよい。クラッチ機構は、例えば電子クラッチにより実現されてもよい。
実施形態では、打撃検知部78は、励磁電流の電流測定値id1が所定値Th5以下となることをもって、インパクト機構40がインパクト動作をしていることを検知する。これに対して、打撃検知部78は、励磁電流の電流測定値id1の交流成分の絶対値が閾値を超えることをもって、インパクト機構40がインパクト動作をしていることを検知してもよい。
打撃検知部78は、電流測定値id1が所定値Th5以下となった回数が所定回数以上となることをもって、インパクト機構40がインパクト動作をしていることを検知してもよい。
打撃検知部78は、トルク電流の電流測定値iq1に基づいてインパクト動作を検知してもよい。すなわち、インパクト動作時には、出力軸61の負荷トルクの変動が大きくなるので、図7に示すように、電流測定値iq1の変動が大きくなる。打撃検知部78は、この変動を捉えることで、インパクト動作を検知できる。打撃検知部78は、例えば、電流測定値iq1が閾値を超えることをもって、インパクト機構40がインパクト動作をしていることを検知してもよい。あるいは、打撃検知部78は、電流測定値iq1の交流成分の絶対値が閾値を超えることをもって、インパクト機構40がインパクト動作をしていることを検知してもよい。
打撃検知部78は、励磁電流又はトルク電流の指令値cid1又はciq1に基づいて打撃動作の有無を検知してもよい。
打撃検知部78は、制御部7とは別に設けられていてもよい。つまり、モータ3の回転を制御する制御部7の機能を実現する構成と、インパクト機構40の打撃動作の有無を検知する打撃検知部78の機能を実現する構成とが、別々に設けられていてもよい。
実施形態では、第2閾値Th2は、例えば、第1閾値Th1と等しくてもよいと説明した。これに対して、第2閾値Th2は、第1閾値Th1よりも大きくてもよいし、第1閾値Th1よりも小さくてもよい。ここで、制御部7は、進み量が第1閾値Th1よりも大きい場合、制御モードを第1制御モードにし、カムアウト抑制制御をする。また、制御部7は、進み量が第2閾値Th2以下の場合、制御モードを第2制御モードにし、安定化制御をする。進み量が第1閾値Th1よりも大きく、かつ、第2閾値Th2以下の場合に、制御部7は、第1制御モードにおける制御と、第2制御モードにおける制御との両方を行ってもよい。
進み量が第1閾値Th1よりも大きい場合に、制御部7の制御モードは、必ずしも第1制御モードとならなくてもよい。例えば、第1閾値Th1よりも大きい第5閾値を設定しておき、進み量が第1閾値Th1よりも大きく、かつ、第5閾値以下の場合に、制御モードが第1制御モードとなり、進み量が第5閾値よりも大きい場合に、制御モードが他のモード(例えば、通常モード)となってもよい。
進み量が第2閾値Th2以下の場合に、制御部7の制御モードは、必ずしも第2制御モードとならなくてもよい。例えば、第2閾値Th2よりも小さい第6閾値を設定しておき、進み量が第2閾値Th2以下であり、かつ、第6閾値よりも大きい場合に、制御モードが第2制御モードとなり、進み量が第6閾値以下の場合に、制御モードが他のモード(例えば、通常モード)となってもよい。
スラスト力検出部9Bは、打撃間隔及びハンマ42の回転速度に基づいてスラスト力F1を求める構成に限定されない。スラスト力検出部9Bは、センサによりスラスト力F1を検出してもよい。センサは、例えば、出力軸61に取り付けられる、歪みゲージ等の圧力センサである。
スラスト力閾値(第3閾値Th3)は、モータ3の回転速度に応じて変化してもよい。
スラスト力条件は、スラスト力F1がある範囲内の値であるという条件であってもよい。
インパクト機構40がインパクト動作を行っているとき、制御部7の制御モードが固定されてもよい。例えば、インパクト機構40がインパクト動作を開始し、制御モードが第1制御モード又は第2制御モードとなると、インパクト動作が終了するまで、制御モードが固定されてもよい。
インパクト機構40がインパクト動作を行っているとき、進み量(回転角度α1)の変化に応じて、制御部7の制御モードが随時変更されてもよい。
安定化制御により抑制されるハンマ42の不安定挙動は、最大後退に限定されない。不安定挙動は、例えば、ハンマ42とアンビル45との衝突において互いに接触する位置が、ある決まった範囲の外の位置である状態であってもよい。
また、不安定挙動は、例えば、ハンマ42の突起425がアンビル45の爪部455を1回乗り越える間に、突起425が爪部455に複数回衝突する状態であってもよい。
また、不安定挙動は、例えば、「擦り上がり」が起きることであってもよい。「擦り上がり」とは、ハンマ42の突起425がアンビル45の2つの爪部455の一方に衝突してから、この爪部455の側面4550を擦るように移動して(つまり、側面4550に接した状態を維持しながら)爪部455を乗り越える動作である。
また、不安定挙動は、例えば、ハンマ42が移動可能な範囲における前端まで前進する状態であってもよい。
また、不安定挙動は、ハンマ42の突起425の前面がアンビル45の爪部455の後面に接する状態であってもよい。
出力軸61は、先端工具62と一体に形成されていてもよい。
先端工具62は、ドライバビットに限定されない。先端工具62は、例えば、インパクト工具1を電動のドリル、フライス、グラインダ、クリーナ、ジグソー又はホールソーとして使用するためのビットであってもよい。
制御部7がベクトル制御をすることは、必須ではない。モータ3の制御方式として、他の方式が採用されてもよい。
同期モータであるモータ3は、モータ3の極の切り替わりに応じて、モータ3の巻線間の電圧が周期的に変化し、モータ3が回転する。電圧測定部83は、モータ3に印加される電圧(巻線間の電圧)を測定する。推定部77は、電圧測定部83で測定された電圧に基づいて、モータ3の角速度ω1を測定してもよい。
インパクト工具1において用いられる各種の閾値が、作業者の操作等に応じて変更可能であってもよい。
本開示において、2値の比較において、「以上」としているところは、2値が等しい場合、及び2値の一方が他方を超えている場合との両方を含む。ただし、これに限らず、ここでいう「以上」は、2値の一方が他方を超えている場合のみを含む「より大きい」と同義であってもよい。つまり、2値が等しい場合を含むか否かは、基準値等の設定次第で任意に変更できるので、「以上」か「より大きい」かに技術上の差異はない。同様に、「未満」においても「以下」と同義であってもよい。
本開示におけるインパクト工具1の一部の構成(例えば、制御部7、進み量測定部9A及びスラスト力検出部9B)は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示におけるインパクト工具1としての一部の機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、実施形態において、複数の装置に分散されているインパクト工具1の少なくとも一部の機能が、1つの装置に集約されていてもよい。例えば、制御部7、進み量測定部9A及びスラスト力検出部9Bの機能が、1つの装置に集約されていてもよい。
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
第1の態様に係るインパクト工具(1)は、モータ(3)と、インパクト機構(40)と、出力軸(61)と、制御部(7)と、進み量測定部(9A)と、を備える。インパクト機構(40)は、ハンマ(42)と、アンビル(45)と、を有する。ハンマ(42)は、モータ(3)の動力により回転する。アンビル(45)は、ハンマ(42)から打撃力を受け回転する。出力軸(61)は、アンビル(45)と共に回転する。制御部(7)は、出力軸(61)の回転速度を制御する。進み量測定部(9A)は、ハンマ(42)の回転に対するアンビル(45)の回転の進み量(回転角度α1)を測定する。インパクト機構(40)は、出力軸(61)に加えられるトルクの大きさに関するトルク条件が満たされると、インパクト動作を行う。インパクト動作は、ハンマ(42)からアンビル(45)に打撃力を加える動作である。制御部(7)は、進み量測定部(9A)で測定された進み量に基づいて、出力軸(61)の回転速度を制御するための制御モードを複数のモードの中から切り替える。
上記の構成によれば、インパクト工具(1)は、作業状況に応じて自律的に出力軸(61)の回転速度を制御可能である。
また、第2の態様に係るインパクト工具(1)では、第1の態様において、進み量測定部(9A)は、打撃間隔測定部(91)と、ハンマ回転測定部(92)と、演算部(93)と、を有する。打撃間隔測定部(91)は、ハンマ(42)がアンビル(45)に打撃力を加える時間間隔である打撃間隔を測定する。ハンマ回転測定部(92)は、ハンマ(42)の回転速度を測定する。演算部(93)は、打撃間隔測定部(91)で測定された打撃間隔と、ハンマ回転測定部(92)で測定されたハンマ(42)の回転速度と、に基づいて進み量を求める。
上記の構成によれば、進み量を精度良く求められる。
また、第3の態様に係るインパクト工具(1)では、第2の態様において、進み量測定部(9A)は、電流測定部(82)と、電圧測定部(83)と、のうち少なくとも一方を更に有する。電流測定部(82)は、モータ(3)に流れる電流を測定する。電圧測定部(83)は、モータ(3)に印加される電圧を測定する。打撃間隔測定部(91)は、電流測定部(82)で測定された電流又は電圧測定部(83)で測定された電圧に基づいて、打撃間隔を測定する。
上記の構成によれば、打撃間隔を精度良く求められる。
また、第4の態様に係るインパクト工具(1)では、第3の態様において、進み量測定部(9A)は、電流測定部(82)を有する。打撃間隔測定部(91)は、電流測定部(82)で測定された励磁電流が所定値(Th5)以下となる時間間隔を、打撃間隔として測定する。
上記の構成によれば、打撃間隔を精度良く求められる。
また、第5の態様に係るインパクト工具(1)では、第1~4の態様のいずれか1つにおいて、複数のモードは、第1制御モードを含む。制御部(7)は、進み量が第1閾値(Th1)よりも大きい場合に制御モードを第1制御モードに切り替える。
上記の構成によれば、適切な状況で制御モードを第1制御モードに切り替えられる。
また、第6の態様に係るインパクト工具(1)では、第1~5の態様のいずれか1つにおいて、複数のモードは、第2制御モードを含む。制御部(7)は、進み量が第2閾値(Th2)以下の場合に制御モードを第2制御モードに切り替える。
上記の構成によれば、適切な状況で制御モードを第2制御モードに切り替えられる。
また、第7の態様に係るインパクト工具(1)では、第1~6の態様のいずれか1つにおいて、複数のモードは、出力軸(61)を回転させる通常モードと、条件に応じて制限処理を実行する減速モードと、を含む。制限処理は、出力軸(61)の回転速度を通常モードよりも抑制することと、出力軸(61)の回転を停止させることと、の少なくとも一方を含む。
上記の構成によれば、インパクト工具(1)の動作を安定させられる。
また、第8の態様に係るインパクト工具(1)では、第1~7の態様のいずれか1つにおいて、制御部(7)は、出力軸(61)の回転速度を上限値以下に制御する。制御部(7)は、進み量が大きいほど、上限値を大きくする。
上記の構成によれば、インパクト工具(1)の動作を安定させられる。
また、第9の態様に係るインパクト工具(1)では、第1~8の態様のいずれか1つにおいて、打撃検知部(78)を更に備える。打撃検知部(78)は、インパクト機構(40)におけるインパクト動作を検知する。制御部(7)は、打撃検知部(78)がインパクト動作を検知してからモータ(3)が停止するまでの間を通して、進み量に基づいて制御モードを切り替える。
上記の構成によれば、適切なタイミングで制御モードを切り替えられる。
第1の態様以外の構成については、インパクト工具(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
また、第10の態様に係るインパクト工具(1)の制御方法は、モータ(3)と、インパクト機構(40)と、出力軸(61)と、を備えるインパクト工具(1)の制御方法である。インパクト機構(40)は、ハンマ(42)と、アンビル(45)と、を有する。ハンマ(42)は、モータ(3)の動力により回転する。アンビル(45)は、ハンマ(42)から打撃力を受け回転する。出力軸(61)は、アンビル(45)と共に回転する。制御方法は、制御ステップと、進み量測定ステップと、を有する。制御ステップは、出力軸(61)の回転速度を制御するステップである。進み量測定ステップは、ハンマ(42)の回転に対するアンビル(45)の回転の進み量を測定するステップである。インパクト機構(40)は、出力軸(61)に加えられるトルクの大きさに関するトルク条件が満たされると、インパクト動作を行う。インパクト動作は、ハンマ(42)からアンビル(45)に打撃力を加える動作である。制御ステップでは、進み量測定ステップで測定された進み量に基づいて、出力軸(61)の回転速度を制御するための制御モードを複数のモードの中から切り替える。
上記の構成によれば、インパクト工具(1)は、作業状況に応じて自律的に出力軸(61)の回転速度を制御可能である。
また、第11の態様に係るプログラムは、第10の態様に係るインパクト工具(1)の制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
上記の構成によれば、インパクト工具(1)は、作業状況に応じて自律的に出力軸(61)の回転速度を制御可能である。
上記態様に限らず、実施形態に係るインパクト工具(1)の種々の構成(変形例を含む)は、インパクト工具(1)の制御方法及びプログラムにて具現化可能である。
1 インパクト工具
3 モータ
7 制御部
9A 進み量測定部
40 インパクト機構
42 ハンマ
45 アンビル
78 打撃検知部
61 出力軸
82 電流測定部
83 電圧測定部
91 打撃間隔測定部
92 ハンマ回転測定部
93 演算部
Th1 第1閾値
Th2 第2閾値
Th5 所定値
α1 回転角度

Claims (11)

  1. モータと、
    前記モータの動力により回転するハンマと、前記ハンマから打撃力を受け回転するアンビルと、を有するインパクト機構と、
    前記アンビルと共に回転する出力軸と、
    前記出力軸の回転速度を制御する制御部と、
    前記ハンマの回転に対する前記アンビルの回転の進み量を測定する進み量測定部と、を備え、
    前記インパクト機構は、前記出力軸に加えられるトルクの大きさに関するトルク条件が満たされると、前記ハンマから前記アンビルに前記打撃力を加えるインパクト動作を行い、
    前記制御部は、前記進み量測定部で測定された前記進み量に基づいて、前記出力軸の回転速度を制御するための制御モードを複数のモードの中から切り替える、
    インパクト工具。
  2. 前記進み量測定部は、
    前記ハンマが前記アンビルに前記打撃力を加える時間間隔である打撃間隔を測定する打撃間隔測定部と、
    前記ハンマの回転速度を測定するハンマ回転測定部と、
    前記打撃間隔測定部で測定された前記打撃間隔と、前記ハンマ回転測定部で測定された前記ハンマの前記回転速度と、に基づいて前記進み量を求める演算部と、を有する、
    請求項1に記載のインパクト工具。
  3. 前記進み量測定部は、前記モータに流れる電流を測定する電流測定部と、前記モータに印加される電圧を測定する電圧測定部と、のうち少なくとも一方を更に有し、
    前記打撃間隔測定部は、前記電流測定部で測定された電流又は前記電圧測定部で測定された電圧に基づいて、前記打撃間隔を測定する、
    請求項2に記載のインパクト工具。
  4. 前記進み量測定部は、前記電流測定部を有し、
    前記打撃間隔測定部は、前記電流測定部で測定された励磁電流が所定値以下となる時間間隔を、前記打撃間隔として測定する、
    請求項3に記載のインパクト工具。
  5. 前記複数のモードは、第1制御モードを含み、
    前記制御部は、前記進み量が第1閾値よりも大きい場合に前記制御モードを前記第1制御モードに切り替える、
    請求項1~4のいずれか一項に記載のインパクト工具。
  6. 前記複数のモードは、第2制御モードを含み、
    前記制御部は、前記進み量が第2閾値以下の場合に前記制御モードを前記第2制御モードに切り替える、
    請求項1~5のいずれか一項に記載のインパクト工具。
  7. 前記複数のモードは、前記出力軸を回転させる通常モードと、条件に応じて制限処理を実行する減速モードと、を含み、
    前記制限処理は、前記出力軸の回転速度を前記通常モードよりも抑制することと、前記出力軸の回転を停止させることと、の少なくとも一方を含む、
    請求項1~6のいずれか一項に記載のインパクト工具。
  8. 前記制御部は、前記出力軸の前記回転速度を上限値以下に制御し、
    前記制御部は、前記進み量が大きいほど、前記上限値を大きくする、
    請求項1~7のいずれか一項に記載のインパクト工具。
  9. 前記インパクト機構における前記インパクト動作を検知する打撃検知部を更に備え、
    前記制御部は、前記打撃検知部が前記インパクト動作を検知してから前記モータが停止するまでの間を通して、前記進み量に基づいて前記制御モードを切り替える、
    請求項1~8のいずれか一項に記載のインパクト工具。
  10. モータと、
    前記モータの動力により回転するハンマと、前記ハンマから打撃力を受け回転するアンビルと、を有するインパクト機構と、
    前記アンビルと共に回転する出力軸と、を備えるインパクト工具の制御方法であって、
    前記制御方法は、
    前記出力軸の回転速度を制御する制御ステップと、
    前記ハンマの回転に対する前記アンビルの回転の進み量を測定する進み量測定ステップと、を有し、
    前記インパクト機構は、前記出力軸に加えられるトルクの大きさに関するトルク条件が満たされると、前記ハンマから前記アンビルに前記打撃力を加えるインパクト動作を行い、
    前記制御ステップでは、前記進み量測定ステップで測定された前記進み量に基づいて、前記出力軸の回転速度を制御するための制御モードを複数のモードの中から切り替える、
    インパクト工具の制御方法。
  11. 請求項10に記載のインパクト工具の制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるための、
    プログラム。
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