JP2022026959A - ヒンジ並びにこのヒンジを用いた各種機器 - Google Patents

ヒンジ並びにこのヒンジを用いた各種機器 Download PDF

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Abstract

【課題】装置本体に対する開閉体の最大開成角度を切り替える作業が容易であって、高価な板金プレス加工部品を必要としないヒンジ並びにこのヒンジを用いた各種機器を提供する。【解決手段】両側板部を有する取付部材と、前記両側板部にヒンジシャフトを介して回転可能に取り付けられる支持部材と、ケース部内で上下方向へスライド可能なスライド部材と、前記スライド部材と前記取付部材の底部との間に設けられた弾性部材と、前記弾性部材に付勢されたスライド部材に押圧された前記支持部材に当接して前記装置本体に対する前記開閉体の開成角度を第1角度に規制する規制部と、両側板部に設けられた規制用ピン孔に取り付け可能であると共に、前記弾性部材に付勢された前記スライド部材に押圧された前記支持部材に当接して前記装置本体に対する前記開閉体の開成角度を前記第1角度よりも小さい第2角度に規制する角度切替ピンと、前記角度切替ピンを保持して保管可能な角度切替ピン保持部と、を有する。【選択図】図5

Description

本発明は、複写機、複合機、スキャナ、ファクシミリ、印刷機などを含む事務機器、或は家具などを含む各種機器などの装置本体に対し、蓋体、原稿圧着板などの開閉体を開閉可能に連結する際に用いて好適なヒンジに関する。
複写機や複合機などの事務機器は、一般的にそれを使用するエンドユーザーが正常な大人であることを前提として作られていることから、原稿圧着板の開成限度角度を60度から90度の間に設定しているものがほとんどである。この設計仕様はユーザーが正常な大人であれば問題は生じないが、車いす使用者であったり、子供であったりすると、うっかり力を入れて原稿圧着板を開いて開成角度が大きくなってしまうと、手が届かなくなって原稿圧着板を閉じることが困難になる怖れがあることから、原稿圧着板の最大開成角度を60度以下の開成角度とそれ以外の開成角度に選択できるように構成したヒンジが求められている。
特許文献1に記載されたヒンジは、車いす使用者等の利用を考慮して、事務機器の装置本体に対する原稿圧着板の開成角度を二段階に切り替え可能な構成となっている。
特開2008-240927号公報
上記した特許文献1に記載のヒンジは、装置本体に対する開閉体の最大開成角度を切り替えることが可能であるが、切り替え作業が比較的に煩雑であると共に、開閉角度切換部品としてコストの高いプレス加工部品を用いている。
本発明は、上記問題点を解決するために、装置本体に対する開閉体の最大開成角度を切り替える作業が容易であり、また製造コストも安価なヒンジ並びにこのヒンジを用いた各種機器を提供することを目的としている。
上記した目的を達成するために、本願請求項1発明は、装置本体に対して開閉体を開閉可能に連結するヒンジであって、前記装置本体の後部上端に取り付けられると共にケース部と両側板部を有する取付部材と、前記開閉体の側に取り付けられると共に前記両側板部にヒンジシャフトを介して回転可能に取り付けられると共に下面側に押圧カム部を有する支持部材と、前記押圧カム部から受圧する受圧カム部を上面に有し、前記ケース部内で上下方向へスライド可能なスライド部材と、前記スライド部材と前記ケース部の底部側との間に設けられた弾性部材と、前記弾性部材に付勢された前記スライド部材に押圧された前記支持部材に当接して前記装置本体に対する前記開閉体の開き角度を第1角度に規制する規制部と、前記両側板部に設けられた一対のピン孔に挿入して取り付け可能であると共に、前記弾性部材に付勢された前記スライド部材に押圧された前記支持部材に当接して前記装置本体に対する前記開閉体の開き角度を前記第1角度よりも小さい第2角度に規制する角度切替ピンと、前記角度切替ピンを保持して保管可能な角度切替ピン保持部と、を有することを特徴とする。
次に、請求項2発明は、前記角度切替ピン保持部が、前記一対のピン孔の下側に隣接させて前記支持部材に前記一対のピン孔と平行に形成された保管用ピン孔と、前記保管用ピン孔に挿入された前記角度切替ピンを抜け止めする抜け止め部材と、を有することを特徴とする。
次に、請求項3発明は、前記規制部が、前記両側板部の後端部を連絡する後壁部に設けられ、前記抜け止め部材は、前記後壁部に設けられた雌ねじに取り付けられて前記角度切替ピンの縮径部へ進入することにより前記角度切替ピンの脱落を阻止するピン脱落防止ねじであることを特徴とする。
次に、請求項4発明は、前記ピン脱落防止ねじが、前記雌ねじに取り付けることにより、前記一対のピン孔に挿入して取り付けた前記角度切替ピンの前記縮径部へ進入可能であることを特徴とする。
次に、請求項5発明は、前記保管用ピン孔が、前記角度切替ピンの全長を前記取付部材に埋め込む長さに形成される一方で、前記一対のピン孔は、前記角度切替ピンの両端部を前記取付部材から突出させる長さに形成されていることを特徴とする。
上記した目的を達成するために、本願請求項6発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のヒンジを用いたことを特徴とする。
請求項1発明によれば、装置本体に対する開閉体の回転を限界付ける所定の開き角度を切り替える作業が容易であって、高価な板金プレス加工部品を必要としないヒンジを提供することができる。したがって、各種機器のメーカーもしくは各種機器のユーザーにおいて追加部品を要することなく、車いす使用者等の利用を考慮した特別仕様への対応を簡単に実現できる。
請求項2発明によれば、保管用ピン孔及び一対のピン孔における角度切替ピンの抜き取り/挿入が直感的で容易である。また、抜け止め部材によって保管中の角度切替ピンの抜け落ち/紛失を阻止できる。
請求項3発明によれば、抜け止め部材を低コストに実現できると共に、抜け止め部材による角度切替ピンの抜け止め処理が直感的で容易である。
請求項4発明によれば、抜け止め部材を低コストに実現できると共に、抜け止め部材による角度切替ピンの抜け止め処理がさらに直感的で容易である。
請求項5発明によれば、保管中の角度切替ピンの錆付きや汚れを防止できると共に、車いす使用者等の利用を考慮した特別仕様への対応の有無を外から一目瞭然に確認できる。
請求項6発明によれば、装置本体に対する開閉体の回転を限界付ける所定の開き角度を切り替える作業が容易であって、高価な板金プレス加工部品を必要としない各種機器を提供することができる。したがって、各種機器のメーカーもしくは各種機器のユーザーにおいて車いす使用者等の利用を考慮したユニバーサル対応を簡単に実現できる。
本発明の一実施形態に係るヒンジを備える各種機器の一例としての複写機を示す斜視図である。 (a)は装置本体に対する開閉体の一種である原稿圧着板の閉成状態の説明図、(b)は装置本体に対する原稿圧着板の開成状態の説明図である。 本発明の一実施形態に係るヒンジの外観の斜視図である。 図3に示すヒンジの分解斜視図である。 図3に示すユニバーサル仕様対応時のヒンジの閉成状態のA-A断面図である。 図3に示すヒンジの支持部材の構造の説明図であって、(a)は支持部材の側面図、(b)は支持部材の底面図である。 図3に示すヒンジのケース部の構造の説明図であって、(a)はケース部の側断面図、(b)はケース部の平面図、(c)はケース部の背面図である。 図3に示すヒンジのスライド部材の構造の説明図であって、(a)はスライド部材のA-A断面図、(b)はスライド部材の底面図である。 図3に示すヒンジのヒンジシャフトの構造の説明図である。 図3に示すヒンジの角度切替ピンの構造の説明図である。 角度切替ピンを抜き差しして行う最大開成角度の切り替え操作の説明図である。 図3に示すヒンジの特別仕様への対応時の最大開成角度の開成状態におけるA-A断面図である。 図3に示すヒンジの通常仕様への対応時の最大開成角度の開成状態におけるA-A断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。この実施の形態では、本発明のヒンジを、各種機器の一例である複写機の装置本体に対して開閉体の一例である原稿圧着板を開閉可能に連結するヒンジに適用した場合を例に説明する。しかし、本発明に係るヒンジは、複写機以外の上述した各種機器の装置本体に対し、本発明と同じ目的を持つ開閉体を開閉可能に取り付ける場合に適用できることは言うまでもない。したがって、蓋体等、原稿圧着板以外の開閉体に用いるときは、これを開閉体に読み替えるものとする。
図1に示すように、各種機器の一例である複写機1は、装置本体2と、開閉体の一例である原稿圧着板3と、左右一対のヒンジ10、10を備えている。原稿圧着板3は、ヒンジ10、10を用いて装置本体2に対して開閉可能に連結されている。装置本体2の上面部にはコンタクトガラス4が設けられ、コンタクトガラス4の上面を覆って原稿圧着板3が設けられている。原稿圧着板3には、原稿自動送り装置5が装備されている。
図2(a)は、原稿圧着板3が0度の閉成状態である。図2(b)は、原稿圧着板3が最大開成角度30度の開成状態である。ここで「角度」は、装置本体2のコンタクトガラス4の上面と原稿圧着板3の下面とが成す角度を意味する。後述するように、複写機1は、ヒンジ10の設定によって、最大開成角度を60度と30度とに切り替え可能なユニバーサルデザインが採用されている。
図2、図3に示すように、ヒンジ10は、装置本体2の後部上端へ縦方向に取り付けられる取付部材20と、原稿圧着板3の側に取り付けられる支持部材30と、取付部材20に対して支持部材30を回転可能に軸支するヒンジシャフト40と、を備えている。ヒンジ10は、取付部材20のフランジ部23よりも下側部分を装置本体2の取付孔2aに嵌合させて装置本体2に取り付けられている。ヒンジ10は、装置本体2の長孔2bを通して取付部材20に締め付けたボルト2cによって取付孔2aから抜け止めされている。しかし、ヒンジ10は、取付孔2a内を縦方向に移動可能であって、コンタクトガラス4と原稿圧着板3の間に挟まれた原稿の厚さに応じて取付孔2a内を上下にスライドして、原稿を押圧する原稿圧着板3を水平に保っている。
図4、図5に示すように、ヒンジ10は、取付部材20と支持部材30の間にスライド部材60及び弾性部材70を設けている。取付部材20は、ケース部21と両側板部24を有する。支持部材30は、取付部材20の両側板部24にヒンジシャフト40を介して回転可能に取り付けられると共に下面側に押圧カム部33を有する。スライド部材60は、押圧カム部33から受圧する受圧カム部61を上面に有し、ケース部21内で上下方向へスライド可能である。弾性部材70は、スライド部材60とケース部21の底部側との間に設けられている。
取付部材20は、規制部27を有する。規制部27は、弾性部材70に付勢されたスライド部材60に押圧された支持部材30に当接して装置本体2に対する原稿圧着板(開閉体)3の開成角度を第1角度(60度)に規制する。
図6(a)、(b)に示すように、支持部材30は、例えばPOMのような機械的強度のある硬質樹脂で形成された樹脂成形品である。支持部材30の表面には、一部図示を省略しているが、樹脂材料を節約すると共に構造を補強するためのリブ構造や凹所が多数形成されている。
支持部材30は、本体部31と、本体部31から左右対称に張り出したアーム部32L、32Rと、本体部31の前後方向中央部に形成されて取付部材20の側に面する押圧カム部33と、を有する。支持部材30の本体部31の後端近傍には、本体部31を左右に貫通して連結孔34が形成されている。
左側のアーム部32Lの左端近傍、及び右側のアーム部32Rの右端近傍には、それぞれ前後二箇所に位置させて、支持部材30を原稿圧着板3に固定するためのネジ(図示省略)が挿通される4つのネジ挿通孔37が形成されている。支持部材30の本体部31の上端後縁部には、押圧カム部33よりも後方に張り出した張出部35が設けられている。図13に示すように、張出部35は、原稿圧着板3が装置本体2に対して60度まで回転したときに、取付部材20の後壁部26の上端縁の規制部27に当接して、原稿圧着板3の最大開成角度を規制している。
支持部材30の本体部31の上端後縁部には、張出部35よりも押圧カム部33側に位置させて3つの突起部36が設けられている。
図12に示すように、突起部36は、原稿圧着板3が装置本体2に対して30度まで回転したときに、取付部材20に取り付けられた角度切替ピン50に当接して、原稿圧着板3の最大開成角度を規制している。
なお、支持部材30は、樹脂成型品とすることなく、SUSのような金属板をプレス加工して製作してもよい。本発明はこの場合にも実施できるものである。
図7(a)、(b)、(c)に示すように、取付部材20は、例えばPOMのような機械的強度のある硬質樹脂で形成された樹脂成型品である。取付部材20の表面にも、樹脂材料を節約すると共に構造を補強するためのリブ構造や凹所が多数形成されている。
取付部材20は、前板部22F、後板部22U、底板部22B、左側板部22L、及び右側板部22Rを有し、これらに囲まれてケース部21が形成されている。取付部材20の上部外周にはフランジ部23が設けられている。
取付部材20の左側板部22L及び右側板部22Rに重なる位置のフランジ部23上には上方に突出した左右一対の両側板部24、24が形成されている。両側板部24、24の上端近傍に、両側板部24、24を同軸に貫通させて、それぞれ軸受孔25、25が形成されている。
両側板部24、24の後端部を連絡する後壁部26に平坦な規制部27が設けられている。上述したように、規制部27は、支持部材30の張出部35に当接して、原稿圧着板3の最大開成角度を規制している。
尚、取付部材20は、樹脂成型品とすることなく、SUSのような金属板をプレス加工して製作したり、鍛造品としたりすることができる。本発明はこのどちらにも実施できるものである。また、取付部材20の内側に、例えばステンレス鋼板を曲げ加工して形成された金属材料の補強用枠体が嵌め込まれていてもよい。これは弾力の強い弾性部材70の圧縮伸長により取付部材20が変形等することを阻止するためである。
図8(a)、(b)に示すように、スライド部材60は、例えばPOMのような機械的強度のある硬質樹脂で形成された樹脂成型品である。スライド部材60は、取付部材20のケース部21内に収容されて、ケース部21内を上下にスライドする。スライド部材60の上面部には、支持部材30の押圧カム部33と当接する受圧カム部61が設けられている。スライド部材60の内部には、天井面64を有する円筒状のバネケース部63が形成されている。スライド部材60の後面側にはガイド溝65が設けられ、ガイド溝65に取付部材20の凸条部28が嵌まり込んで案内されることにより、スライド部材60が上下方向へスライドする際の姿勢を制御されている。
図9に示すように、ヒンジシャフト40は、例えばステンレス鋼などで形成された金属部材であって、円柱状の軸部41と、軸部41の一端部(左端部)に形成されたフランジ状のヘッド部42と、軸部41の他端部(右端部)に形成されたリング溝43と、を有する。ヒンジシャフト40は、図4に示すように、軸部41を取付部材20の軸受孔25、25及び支持部材30の連結孔34に挿通した後、リング溝43にCリングを装着されて、抜け止めされる。
図4、図5に示すように、取付部材20のケース部21には、弾性部材70が収容される。弾性部材70は、鋼製の圧縮コイルばね(巻きばね)である。弾性部材70の上端71は、スライド部材60の天井面64に圧接している。弾性部材70の下端72は、底板部22Bの上面に圧接している。弾性部材70によってスライド部材60は上下に移動可能に弾力的に支承されている。
スライド部材60は、ヒンジシャフト40を介した取付部材20に対する支持部材30の回転に伴って受圧カム部61と押圧カム部33との互いの当接状態が変化することにより、弾性部材70に付勢されつつ上下にスライドさせられる。
<角度切替ピン>
以下では、角度切替ピンを用いたヒンジ10の最大開成角度の切り替え方法について説明する。図4、図5に示すように、ヒンジ10は、車いすに乗った車いす使用者や背の低い子供であっても、無理なく最大開成角度の原稿圧着板3を手で持って複写機1を利用できるように、ユーザーの体格や運動能力に応じて最大角度を設定可能なユニバーサルデザインが施されている。すなわち、より具体的には、ヒンジ10は、角度切替ピン50と、角度切替ピン保持部55と、を有することにより、原稿圧着板3の最大開成角度を通常仕様の60度から特別仕様の30度へ容易に変更可能である。
図10(a)に示すように、角度切替ピン50は、ステンレス材料の丸棒を旋削して外形を形成されており、円柱状の軸部51、51、51の間に環状に縮径された縮径部52を有する。図3に示すように、角度切替ピン50は、両側板部24に設けられた一対の規制用ピン孔56、56に取り付け可能である。図5、図12に示すように、角度切替ピン50は、弾性部材70に付勢されたスライド部材60に押圧された支持部材30に当接して装置本体2に対する原稿圧着板(開閉体)3の最大開成角度を、上述した規制部27を用いた第1角度(60度)よりも小さい第2角度(30度)に規制する。
支持部材30の後端部に3つの突起部36が形成されている。図12に示すように、突起部36は、角度切替ピン50の軸部51に当接して、ヒンジ10の30度の最大開成角度を実現している。突起部36は、支持部材30から三角柱の側面を突出させた外観を有し、特別仕様の30度の最大開成角度では、三角柱の一側面が水平な状態で角度切替ピン50に当接している。取付部材20は、平坦な規制部27の内側に傾斜面を設けて、30度から60度へ向かう支持部材30の突起部36を収容することにより、通常仕様における60度の最大開成角度が損なわれないようにしている。
通常仕様と特別仕様の切り替えを容易にするため、取付部材20に角度切替ピン保持部55が設けられている。角度切替ピン保持部55は、通常仕様のヒンジ10では使用されない角度切替ピン50を保持して長期にわたって保管可能であって、保管用ピン孔55aと抜け止め部材53とを有する。通常仕様のヒンジ10は、角度切替ピン保持部55に角度切替ピン50を挿入して、抜け止め部材53を装着した状態で出荷される。
図11(a)、(b)は、図3のB-B断面である。図11(a)に示す通常仕様のヒンジ10は、保管用ピン孔55aから抜き取った角度切替ピン50を規制用ピン孔56、56に挿入することにより、特別仕様に切り替えることができる。特別仕様では、取付部材20に対して支持部材30を0度の閉成状態から30度の最大開成角度まで回転可能になる。
保管用ピン孔55aは、規制用ピン孔56の下側に隣接させて支持部材30に規制用ピン孔56と平行に形成された丸孔である。保管用ピン孔55aは、角度切替ピン50の軸部51よりもわずかに大きな直径を有し、挿入された角度切替ピン50をスライドさせて押し出し可能である。
抜け止め部材53は、保管用ピン孔55aに挿入して保管される角度切替ピン50を抜け止めして紛失を回避する部材である。抜け止め部材53の具体的な一例が、図3に示すピン脱落防止ねじ53aである。ピン脱落防止ねじ53aは、取付部材20の後壁部26に設けられた雌ねじ54に取り付けられて、角度切替ピン50の縮径部52へ進入することにより角度切替ピン50の抜け落ちを阻止する。
図11(a)に示すように、ピン脱落防止ねじ53aは、雌ねじ54に取り付けることにより、通常仕様に対応させて保管用ピン孔55aに挿入して取り付けた角度切替ピン50の縮径部52へ進入する。保管用ピン孔55aは、角度切替ピン50の全長を取付部材20に埋め込む長さに形成されている。
図11(b)に示すように、ピン脱落防止ねじ53aは、同じ雌ねじ54に取り付けることにより、特別仕様に対応させて規制用ピン孔56に挿入して取り付けた角度切替ピン50の縮径部52へ進入する。規制用ピン孔56は、角度切替ピン50の両端部を取付部材20から突出させるように、規制用ピン孔56の全長よりも短い範囲に形成されている。
図13に示すように、通常仕様に設定されたヒンジ10は、ヒンジシャフト40を介して、取付部材20に対して支持部材30を、0度の閉成状態から60度の最大開成角度まで回転可能である。通常仕様のヒンジ10を装備した複写機1は、30度の開成角度を超えると、原稿圧着板3の重量モーメントが小さくなるので、原稿圧着板3が60度の最大開成角度に跳ね上がってしまうことがある。
そこで、複写機1のユーザーは、ピン脱落防止ねじ53aを緩めて保管用ピン孔55aから角度切替ピン50を抜き取る。そして、抜き取った角度切替ピン50を規制用ピン孔56、56に挿入してピン脱落防止ねじ53aを再度締め付ける。これにより、ヒンジ10は、特別仕様に設定変更される。
特別仕様に設定されたヒンジ10は、最大開成角度が30度に制限されるので、複写機1は、原稿圧着板3が30度の開成角度を越えて跳ね上げられることがなくなる。その結果、車いすに乗ったままの車いす使用者や、背の低い子供であっても、開いた原稿圧着板3に容易に手が届きこれ、これを閉じることができるものである。
0度の閉成状態では、原稿圧着板3の重量モーメントが支持部材30の押圧カム部33を通じてスライド部材60を押圧し、弾性部材70の付勢力に抗してスライド部材60を下方へ押圧している。0度の閉成状態では、原稿圧着板3の重量モーメントが弾性部材70の付勢力よりも勝るので、原稿圧着板3は安定した閉成状態を保っている。
0度の閉成状態から原稿圧着板3の手前側を持って上方へ開いて行くと、原稿圧着板3は弾性部材70の弾力により、その本来の重さを感じさせることなく軽く開くことができる。そして、原稿圧着板3が30度の開成角度に達すると、原稿圧着板3は、重量モーメントが減少することと、スライド部材60に作用している弾性部材70の弾力とにより、30度の開成状態を保っている。
以上説明したように、複写機1は、原稿圧着板3の閉成状態で、ヒンジ10のケース部10の横から角度切替ピン50を抜き差しして、角度切替ピン50が規制部27よりも一段高い規制部とすることで、ヒンジ10の最大開成角度を小さく設定するものである。このため、特許文献2のヒンジで必要であった正面側の作業スペースや板金プレス加工部品の取付スペースが不要になっている。
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲内における各種の変更実施形態を包摂するものである。たとえば、上記実施形態では、本発明のヒンジを、複写機の装置本体と原稿圧着板とを連結するヒンジに適用した例について説明したが、複写機に限らず、複合機、スキャナ、ファクシミリなど、その他の各種機器のヒンジにも適用可能であることは勿論である。
また、上記実施形態では、本発明のヒンジを、通常仕様と特別仕様とに切り替える例について説明したが、単に最大開成角度を切り替えるヒンジとして実施してもよいことは勿論である。
また、上記実施形態では、本発明のヒンジを、最大開成角度を二段階に切り替える例について説明したが、三段階、四段階、またはそれ以上の数の段階に最大開成角度を切り替えるヒンジとして実施してもよいことは勿論である。取付部材に角度切替ピンを2本以上保管して最大開成角度の段階ごとに異なる角度切替ピンを使用してもよい。
また、上記実施形態では、本発明のヒンジを、円柱状の角度切替ピンを丸孔の角度切替ピン保持部に保管する例について説明したが、割ピンや三角ピンの角度切替ピンを、取付部材の任意の隙間や空洞に保管するヒンジとして実施してもよいことは勿論である。
また、上記実施形態では、本発明のヒンジを、角度切替ピンをピン脱落防止ねじで抜け止めする例について説明したが、角度切替ピンをねじ以外の方法で抜け止めするヒンジとして実施してもよいことは勿論である。
また、上記実施形態では、本発明のヒンジを、原稿圧着板の最大開成角度が30度及び60度である機器のヒンジに適用した例について説明したが、最大開成角度が30度及び60度以外の角度である機器にも適用可能であることは勿論である。
また、上記実施形態では、装置本体と原稿圧着板とが同一の一対のヒンジで連結されている例を示したが、装置本体と原稿圧着板とが異なる設計若しくは異なる大きさの2つ又は2つ以上のヒンジで連結されていてもよいことは勿論である。例えば、図1の原稿自動送り装置5は、原稿圧着板3の左側部分に設けられているため、右側のヒンジ10よりも左側のヒンジ10の方に大きな荷重が掛かる。このため、左側のヒンジ10には、右側のヒンジ10よりも大型のものが使用されてもよい。また、ヒンジ10、10は、流体ダンパーを有せず弾性部材70のみが用いられている。しかし、ヒンジ10、10に、流体ダンパーを用いることも可能である。フリクション機構や吸込み機構を備えてさらに複雑な支持力の制御を行うものであってもよい。
本発明は、以上のように構成したので、原稿圧着板などの開閉体の最大開成角度を二段階以上に切り替えることができることにより、車いす使用者や子供たちに配慮したヒンジとして、また、このヒンジを用いた各種機器として好適に用いられるものである。
1 複写機
2 装置本体
3 原稿圧着板(開閉体)
4 コンタクトガラス
5 原稿自動送り装置
10 ヒンジ
20 取付部材
21 ケース部
22F 前板部
22U03 後板部
22B 底板部
22R 右側板部
22L 左側板部
23 フランジ部
24 両側板部
25 軸受孔
26 後壁部
27 規制部
28 凸条部
29 溝部
30 支持部材
31 本体部
32R、32L アーム部
33 押圧カム部
34 連結孔
35 張出部
36 突起部
37 ネジ挿通孔
38 切欠部
40 ヒンジシャフト
50 角度切替ピン
51 軸部
52 縮径部
53 抜け止め部材
53a ピン脱落防止ねじ
54 雌ねじ
55 角度切替ピン保持部
55a 保管用ピン孔
56 規制用ピン孔
60 スライド部材
61 受圧カム部
63 バネケース部
64 天井面
65 ガイド溝
70 弾性部材
71 上端
72 下端

Claims (6)

  1. 装置本体に対して開閉体を開閉可能に連結するヒンジであって、
    前記装置本体の後部上端に取り付けられると共にケース部と両側板部を有する取付部材と、
    開閉体の側に取り付けられると共に前記両側板部にヒンジシャフトを介して回転可能に取り付けられると共に下面側に押圧カム部を有する支持部材と、
    前記押圧カム部から受圧する受圧カム部を上面に有し、前記ケース部内で上下方向へスライド可能なスライド部材と、
    前記スライド部材と前記ケース部の底部側との間に設けられた弾性部材と、
    前記弾性部材に付勢されたスライド部材に押圧された前記支持部材に当接して前記装置本体に対する前記開閉体の開成角度を第1角度に規制する規制部と、
    前記両側板部に設けられた一対の規制用ピン孔に取り付け可能であると共に、前記弾性部材に付勢された前記スライド部材に押圧された前記支持部材に当接して前記装置本体に対する前記開閉体の開成角度を前記第1角度よりも小さい第2角度に規制する角度切替ピンと、
    前記角度切替ピンを保持して保持可能な角度切替ピン保持部と、を有することを特徴とする、
    ヒンジ。
  2. 前記角度切替ピン保持部は、前記規制用ピン孔に挿入された前記角度切換ピンと、前記保管用ピン孔に挿入された前記角度切替ピンの双方に作用できるように構成されていることを特徴とする、
    請求項1に記載のヒンジ。
  3. 前記規制部は、前記両側板部の後端部を連絡する後壁部に設けられ、
    抜け止め部材は、前記後壁部に設けられた雌ねじに取り付けられて前記角度切替ピンの縮径部へ進入することにより前記角度切替ピンの脱落を阻止するピン脱落防止ねじであることを特徴とする、
    請求項2に記載のヒンジ。
  4. 前記ピン脱落防止ねじは、前記雌ねじに取り付けることにより、前記規制用ピン孔に挿入して取り付けた前記角度切替ピンの前記縮径部へ進入可能であることを特徴とする、
    請求項3に記載のヒンジ。
  5. 前記保管用ピン孔は、前記角度切替ピンの全長を前記取付部材に埋め込む長さに形成される一方で、前記規制用ピン孔は、前記角度切替ピンの両端部を前記取付部材から突出させる範囲に形成されていることを特徴とする、
    請求項1に記載のヒンジ。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のヒンジを用いたことを特徴とする、各種機器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115206021A (zh) * 2022-07-29 2022-10-18 恒银金融科技股份有限公司 用于验钞装置的扣合装置

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