JP2022025866A - トナー - Google Patents

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Shohei Shibahara
努 嶋野
Tsutomu Shimano
崇 松井
Takashi Matsui
健二 青木
Kenji Aoki
侑奈 山本
Yuna Yamamoto
隆之 豊田
Takayuki Toyoda
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【課題】 高い帯電量を有し得るとともに、長時間の印字においてもトナーの過剰帯電による現像スジが生じにくいトナーを提供すること。【解決手段】 樹脂成分を含有するコアと、前記コアの表面を覆うシェルと、を有するトナー粒子を有するトナーであって、前記樹脂成分が、式(1)で示されるモノマーユニットAを有するビニル系樹脂Aを含有し、前記ビニル系樹脂A中の、前記モノマーユニットAの含有割合が、2.0質量%以上80.0質量%以下であり、前記シェルが、式(2)で示されるモノマーユニットBを有するビニル系樹脂Bを含有することを特徴とするトナー。【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に用いられるトナーに関する。
近年、電子写真方式の画像形成装置に対する長寿命化と高速化への要求が高まっている。これらの要求から、現像装置内での摺擦に長時間耐える耐ストレス性を持ち、且つ高速の印字においても高画質を得るために、現像部材(例えば、現像ローラ)上で優れた帯電性を有するトナーが検討されている。
トナーの耐ストレス性及び帯電安定性の向上を目的として、トナー粒子に樹脂微粒子を外添する方法が知られている。しかし、一般的に外添された樹脂微粒子は、トナー粒子の表面から脱離しやすい。樹脂微粒子が画像形成中にトナー粒子の表面から脱離すると、トナー粒子が各種部材の表面に付着しやすくなり、トナーの帯電量が低下しやすい。
そこで、長時間の印字においてもトナーの耐ストレス性と帯電量を向上させることを目的として、トナー粒子のコア表面に帯電しやすい樹脂を固着させ、シェルを形成させたトナー粒子を有するトナーが注目されている。特許文献1では、アクリルアミド系の樹脂でシェルを形成する手段が提案されており、樹脂中のモノマーユニットがアミド構造を有しており、該アミド構造が窒素原子を有するため、帯電特性に優れるトナーを提供できることが記載されている。そのため、アミド構造を有するモノマーユニットを含有する樹脂を用いてシェルを形成させたトナーは、高い帯電量を有し得ると考えられる。
特開2019-039944
しかしながら、特許文献1に記載のトナーについて本発明者らが検討した結果、長時間の印字を行った場合に、現像スジが発生しやすいことが分かった。
本発明は、高い帯電量を有し得るとともに、長時間の印字においてもトナーの過剰帯電による現像スジが生じにくいトナーを提供するものである。
本発明は、樹脂成分を含有するコアと、前記コアの表面を覆うシェルと、を有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記樹脂成分が、下記式(1)で示されるモノマーユニットAを有するビニル系樹脂Aを含有し、
前記ビニル系樹脂A中の、前記モノマーユニットAの含有割合が、2.0質量%以上80.0質量%以下であり、
前記シェルが、下記式(2)で示されるモノマーユニットBを有するビニル系樹脂Bを含有することを特徴とするトナー。
Figure 2022025866000001
(式(1)中、Rは、炭素数が12以上36以下のアルキル基を示し、Rは水素又はメチル基を示す。式(2)中、Rは、水素、メチル基又はエチル基を示し、Rは、水素、アセチル基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1~6のカルボキシアルキル基を示す。)
本発明によれば、長時間の印字においても高い帯電量を有し得るとともに、トナーの過剰帯電による現像スジが生じにくいトナーを提供できる。
トナーの帯電量を測定する装置の模式図である。 本発明の効果を発現する想定メカニズムを説明するための、トナー粒子の概略断面図である。
数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリルアミドとは、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを意味する。
数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
モノマーユニットとは、ポリマー(重合体)を構成するユニット(単位)であり、モノマー(重合性単量体)の反応した形態をいう。例えば、ポリマー中のビニル系モノマーが重合した主鎖中の炭素-炭素結合1区間が1モノマーユニットである。ビニル系モノマーは、下記式(Z)で示すことができ、ビニル系モノマーユニットは、重合体の構成単位であり、下記式(Z)で示されるモノマーが反応した形態である。また、モノマーユニットを、単に「ユニット」と表記する場合もある。
Figure 2022025866000002
(式(Z)中、RZ1は、水素又はアルキル基(好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基)を表し、RZ2は、任意の置換基を表す。)
ビニル系樹脂とは、上記ビニル系モノマーユニットが構成単位である樹脂を表す。
<現像スジが生じる原因と、発明に至った経緯>
特許文献1に係るトナーを、長時間にわたる電子写真画像の形成に供した場合に、電子写真画像に現像スジが生じる理由を本発明者らは以下のように推測している。
アクリルアミド系の樹脂を含有するシェルを有するトナー粒子は、高い帯電量を有するトナーとなりやすい。これは、アクリルアミド系の樹脂中に存在するアミド構造の極性が大きく、該樹脂が帯電されやすいためであると本発明者らは考えている。トナーが高い帯電量を有することで、現像部材や感光体等に素早く付着しやすくなる。これは、プロセススピードの速い電子写真画像形成装置において高品位の電子写真画像を形成するうえで有利な特性と言える。
しかしながら、高い帯電量を有するトナーは過剰に電荷を帯びやすい。過剰に帯電されたトナーは、静電引力によって現像部材上に強固に、且つスジ状に付着することがある。この場合、現像部材上に強固に付着したトナーの上のトナーに対しては、現像部材との摩擦による電荷付与が行われず、十分な電荷を帯びることができない。その結果、現像部材上において十分に帯電されていないトナーがスジ状に存在することとなり、その部分が、電子写真画像に現像スジを生じさせやすくなると考えられる。
特許文献1に係るトナーが過剰に電荷を帯びる理由は、アクリルアミド系の樹脂を有するシェルと、樹脂成分を有するコアの密着性が不十分であったり、コアの電子密度が不十分なため、シェルに生じた過剰な電荷がコアに移動しにくいためであると考えられる。
このような考察に基づき更なる検討を重ねた結果、コアとシェルが各々下記の樹脂を含むコア・シェル構造を有するトナーは、アミド構造を有する樹脂を含むシェルを有するにも関わらず、トナーが過剰に帯電され難いことを見出した。
コアが含む樹脂:下記式(1)で示されるモノマーユニットAを有し、該モノマーユニットAの含有割合が、2.0質量%以上80.0質量%以下であるビニル系樹脂A
シェルが含む樹脂:下記式(2)で示されるモノマーユニットBを有するビニル系樹脂B
Figure 2022025866000003
(式(1)中、Rは、炭素数が12以上36以下のアルキル基を示し、Rは水素又はメチル基を示す。式(2)中、Rは、水素、メチル基又はエチル基を示し、Rは、水素、アセチル基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1~6のカルボキシアルキル基を示す。)
<本発明の効果が発現する想定メカニズム>
上記の構成のトナーが、本発明の効果を発現する想定メカニズムを図2を用いて説明する。
図2は、本開示の一態様に係るトナー粒子の概略断面図である。
シェル12は、式(2)で示される、アミド構造を有するモノマーユニット(モノマーユニットB)13を含むビニル系樹脂Bを含有する。また、コア11は、式(1)で示される、長鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレートのモノマーユニット(モノマーユニットA)14を含むビニル系樹脂Aを含有する。
長鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレートのモノマーユニット14がトナー粒子のコア11に含有されているため、該モノマーユニット中のカルボニル基に電子が供与されやすく、シェル12で過剰に帯電された電荷15を受け取りやすい推測される。これにより過剰に帯電されたトナーが得られにくくなると、本発明者らは推測している。図2において、直線の矢印Aは、長鎖アルキル基からカルボニルへ電子供与していることを示しており、湾曲した矢印Bは、シェル中12で過剰に帯電された電荷15が、コア11へ受け渡されやすいことを示している。
また、アミド構造を有するモノマーユニット13が、トナー粒子のシェル12に含有されている。アミド構造の極性が高く、帯電されやすい構造であることから、上記の構成のトナーは高い帯電量を有しやすいと本発明者らは推測している。
<コア>
トナー粒子は、樹脂成分を含有するコアを有する。該コアに含有される離型剤や着色剤等を適切な量とするため、該コア中の樹脂成分の含有割合は70.0~95.0質量%であることが好ましい。
また、樹脂成分は結着樹脂であることが好ましい。即ち、結着樹脂を含有するコアと、該コアの表面を覆うシェルと、を有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂がビニル系樹脂Aを含有することが好ましい。
<ビニル系樹脂A及びモノマーユニットA>
樹脂成分は式(1)で示されるモノマーユニットAを有するビニル系樹脂Aを含有する。ビニル系樹脂Aを含有することで、トナーの過剰帯電による現像スジが生じにくい。ビニル系樹脂Aは例えば、後述する重合性単量体Aを含む単量体組成物に対し重合反応を行うことによって得られる樹脂をトナー製造の原料とすることで、トナーの樹脂成分として含有させることができる。
上記ビニル系樹脂Aは上記モノマーユニットAを含有する。モノマーユニットA中のRが長鎖のアルキル基であることで式(1)中のカルボニル基の電子密度が大きくなり、過剰に帯電されたトナーが得られにくくなると推測される。
また、ビニル系樹脂A中のモノマーユニットAの含有割合が2.0質量%以上80.0質量%以下である。ビニル系樹脂A中のモノマーユニットAが2.0質量%以上であると、過剰に帯電されたトナーが得られにくい。そのため2.0質量%以上であり、5.0質量%以上であることが好ましく、10.0質量%以上であることがより好ましく、30.0質量%以上であることがより好ましく、45.0質量%以上であることがさらに好ましい。また、80.0質量%以下であると、高い帯電量を有するトナーが得られやすい。そのため、80.0質量%以下であり、75.0質量%以下であることが好ましく、70.0質量%以下であることがより好ましく、60.0質量%以下であることがより好ましく、55.0質量%以下であることがさらに好ましい。
また、式(1)中のRは、炭素数が12以上36以下のアルキル基である。Rの炭素数が12以上であると、式(1)中のカルボニル基に電子が十分に供与されると考えられるため、トナーの過剰帯電による現像スジが生じにくい。そのため、炭素数が12以上であり、好ましくは16以上であり、さらに好ましくは18以上である。また、Rの炭素数が36以下であると、シェルからコアに過度に電荷が渡されにくくなると推測され、高い帯電量を有するトナーが得られやすい。そのため炭素数が36以下であり、好ましくは30以下であり、より好ましくは26以下であり、さらに好ましくは、22以下である。また、Rは水素であることが好ましい。また、上記の炭素数12以上36以下のアルキル基は、直鎖の炭素数12以上36以下のアルキル基であることが好ましい。
モノマーユニットAを有するビニル系樹脂Aは炭素数12~36のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを重合性単量体(以下、重合性単量体Aとも表記する。)としてビニル重合させることで、ビニル系樹脂Aのモノマーユニットとして組み込むことが可能である。
重合性単量体Aは、炭素数12~36のアルキル基を有する(メタ)アクリレートである。
炭素数12~36のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、炭素数12~36の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ヘンエイコサニル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸リグノセリル、(メタ)アクリル酸セリル、(メタ)アクリル酸オクタコサ、(メタ)アクリル酸ミリシル、(メタ)アクリル酸ドドリアコンタ等]及び炭素数12~36の分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸2-デシルテトラデシル等]が挙げられる。
重合性単量体A及びモノマーユニットAは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、ビニル系樹脂Aが2種以上のモノマーユニットAを有する場合の、ビニル系樹脂A中のモノマーユニットAの含有割合は、それぞれの含有割合の合計とする。
<モノマーユニットC>
ビニル系樹脂AはモノマーユニットAには該当しない、他のモノマーユニットCを含有することが好ましい。
モノマーユニットCは、対応する重合性単量体(以下、重合性単量体Cとも表記する。具体例は後述する。)を重合性単量体として重合(ビニル重合)させることで、ビニル系樹脂Aのモノマーユニットとして組み込むことが可能である。
上記した炭素数12~36のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの他に、ビニル系樹脂Aを形成し得る重合性単量体Cとしては、スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼンのようなスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシルのような不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸のような不飽和カルボン酸、マレイン酸のような不飽和ジカルボン酸、マレイン酸無水物のような不飽和ジカルボン酸無水物、アクリロニトリルのようなニトリル系ビニル単量体、塩化ビニルのような含ハロゲン系ビニル単量体、ニトロスチレンのようなニトロ系ビニル単量体、及びジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレートのような重合性不飽和基を2つ有する単量体などが挙げられる。これらは単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
また、モノマーユニットCは下記式(3)で示されるモノマーユニット及び下記式(4)で示されるモノマーユニットからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーユニットであることが好ましい。ビニル系樹脂Aが上記の群から選択される少なくとも1つのモノマーユニットを有することで、シェルからコアに過度に電荷が渡されにくくなると推測され、高い帯電量を有するトナーが得られやすい。また、トナー粒子のコアとシェルの密着性が高まりやすくなると推測されるため、トナーの過剰帯電による現像スジが生じにくい。モノマーユニットCが下記式(3)で示されるモノマーユニットであることがより好ましい。
Figure 2022025866000004
(式(4)中、Rは炭素数1~4のアルキル基を示し、Rは水素又はメチル基を示す。)
また、ビニル系樹脂A中のモノマーユニットCの含有割合は20.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。該含有割合が20.0質量%以上であると、トナーの過剰帯電による現像スジが生じにくい。そのため、20.0質量%以上であることが好ましく、40.0質量%以上であることがより好ましい。また、95.0質量%以下であると、コアの電子密度が過小になりにくいと推測されるため、高い帯電量を有するトナーが得られやすい。そのため、95.0質量%以下であることが好ましく、90.0質量%以下であることがより好ましく、70.0質量%以下であることがより好ましく、60.0質量%以下であることがさらに好ましい。
<ビニル系樹脂Aに関するその他の形態>
ビニル系樹脂Aは、ポリエステルなどの他の樹脂が結合した、ハイブリッド樹脂(ビニル系樹脂Aとビニル系樹脂以外の樹脂とのハイブリッド樹脂)の一部であってもよい。その場合、該ハイブリッド樹脂中のビニル系樹脂Aの含有割合は、50.0質量%以上である。該含有割合は80.0質量%以上であることがより好ましく、95.0質量%以上であることがさらに好ましい。結合とは、例えば、共有結合などが挙げられる。
ビニル系樹脂A中に、ビニル系樹脂Bの特徴的なモノマーユニットであり上記式(2)で示されるモノマーユニットBが含まれてもよい。その場合、ビニル系樹脂A中のモノマーユニットBの含有割合は、9.9質量%以下であることが好ましい。ビニル系樹脂A中のモノマーユニットBの含有割合が9.9質量%以下であると、トナー粒子中のコアの電子密度が適切に保たれやすく、高い帯電量を有するトナーが得られやすい。そのため、9.9質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.0質量%であることがさらに好ましい。0.0質量%であるということは、ビニル系樹脂A中にモノマーユニットBが含有されていないことを意味する。
ビニル系樹脂A以外に、樹脂成分として併用することのできるその他の樹脂としては特に限定されることはない。その他の樹脂としては例えば、ポリエステル、ビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。ビニル系樹脂Aとこれらの樹脂を併用して複数種の樹脂を用いてもよいが、トナー中のビニル系樹脂Aの含有割合が30.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。該含有割合が、30.0質量%以上であると、トナーの過剰帯電による現像スジが生じにくい。そのため、30.0質量%以上であることが好ましく、50.0質量%以上であることがより好ましく、70.0質量%以上であることがより好ましく、80.0質量以上であることがさらに好ましい。また、90.0質量%以下であると、高い帯電量を有するトナーが得られやすいため好ましい。そのため、90.0質量%以下であることが好ましく、85.0質量%以下であることがより好ましい。
また、トナーの過剰帯電による現像スジが生じにくいため、コアに含有される樹脂成分中のビニル系樹脂Aの含有割合が50.0質量%以上であることが好ましい。該含有割合が60.0質量%以上であることがより好ましく、75.0質量%以上であることがより好ましく、90.0質量%以上であることがさらに好ましい。上限は特に制限されず、100.0質量%である。該含有割合が100.0質量%ということは、コアに含有される樹脂成分がビニル系樹脂Aのみであることを意味する。
ビニル系樹脂Aは、樹脂成分中に複数種含有されてもよい。樹脂成分中に複数種のビニル系樹脂Aが含有される場合、ビニル系樹脂Aに該当する樹脂の質量の合計を、ビニル系樹脂Aの含有量とする。
樹脂成分にポリエステルを併用する場合は、例えば、2価のカルボン酸又はその誘導体と2価のアルコールとを構成成分として、縮重合反応を行うことでポリエステルを製造することができる。また、1価又は3価以上のカルボン酸又はその誘導体、1価又は3価以上のアルコールを構成成分として含み、縮重合反応を行うことで得られるポリエステルであってもよい。
2価のカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン-1,10-ジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、及び、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル酸、ヘット酸、ハイミック酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
また、2価のカルボン酸の誘導体としては、上記脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸の酸ハロゲン化物、エステル化物及び酸無水物などが挙げられる。
3価以上のカルボン酸やその無水物としては、例えば、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸などが挙げられる。
2価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの非環式の脂肪族ジオール、及び、ビスフェノールAやビスフェノールFなどのビスフェノール類、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、キシリレングリコールなどのアラルキレングリコール類などの芳香族ジオールなどが挙げられる。
<シェル>
シェルは、式(2)で示されるモノマーユニットBを有するビニル系樹脂Bを含有する。ビニル系樹脂Bをトナー粒子のシェルとして含有させる方法としては、例えば、ビニル系樹脂Bを分散させた溶液中にトナーコアを分散させ、その状態で撹拌及び昇温する方法が挙げられる。
<ビニル系樹脂B及びモノマーユニットB>
ビニル系樹脂Bは式(2)で示されるモノマーユニットBを有する。モノマーユニットBを有することで、高い帯電量を有するトナーが得られやすい。
また、高い帯電量を有するトナーが得られやすいため、本発明のトナーは正帯電性トナーであることが好ましい。これは、ビニル系樹脂Bが正に帯電しやすい樹脂であるためである。
式(2)中のRは水素、メチル基又はエチル基である。また、式(2)中のRは水素又はメチル基であることがより好ましい。また、式(2)中のRは水素であることがさらに好ましい。
高い帯電量を有するトナーが得られやすいため、式(2)中のRは、水素、アセチル基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1~6のカルボキシアルキル基である。また、式(2)中のRが、水素、アセチル基、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数1~6のヒドロキシアルキル基であることがより好ましい。また、式(2)中のRが、水素、アセチル基、メチル基又はエチル基、又は炭素数1~2のヒドロキシアルキル基であることがより好ましい。また、式(2)中のRが、水素であることがさらに好ましい。
モノマーユニットBを有するビニル系樹脂Bは、式(2)中のRを置換基として有する(メタ)アクリルアミドを重合性単量体(以下、重合性単量体Bとも表記する。)としてビニル重合させることで、ビニル系樹脂Bのモノマーユニットとして組み込むことが可能である。
重合性単量体Bは、式(2)中のRを置換基として有する(メタ)アクリルアミドである。
式(2)中のRを置換基として有する(メタ)アクリルアミドとしては例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-エチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-アセチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
重合性単量体B及びモノマーユニットBは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ビニル系樹脂B中の、モノマーユニットBの含有割合が10.0質量%以上であることが好ましい。該含有割合が10.0質量%以上であると、高い帯電量を有するトナーが得られやすいため好ましい。そのため、10.0質量%以上であることが好ましく、20.0質量%以上であることがより好ましく、30.0質量%以上であることがより好ましく、40.0質量%以上であることがさらに好ましい。上限は特に制限されないが、トナーの帯電量が適切に保たれるといった観点から、95.0質量%以下であることが好ましく、80.0以下であることが好ましく、70.0質量%以下であることがさらに好ましい。
なお、ビニル系樹脂Bが2種以上のモノマーユニットBを有する場合の、ビニル系樹脂B中のモノマーユニットBの含有割合は、それぞれの含有割合の合計とする。
また、コアに含有されるモノマーユニットAの質量をmとし、シェルに含有されるモノマーユニットBの質量をnとしたとき、n/mの値が0.01以上0.20以下であることが好ましい。該n/mが0.01以上であると、高い帯電量を有するトナーが得られやすい。そのため、0.01以上であることが好ましく、0.02以上であることがより好ましい。また、該n/mが0.20以下であると、トナーの過剰帯電による現像スジが生じにくい。そのため、0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
<モノマーユニットD>
ビニル系樹脂BはモノマーユニットBには該当しない、他のモノマーユニットDを含有することが好ましい。
モノマーユニットDは、対応する重合性単量体(以下、重合性単量体Dとも表記する。具体例は後述する。)を重合性単量体として重合(ビニル重合)させることで、ビニル系樹脂Aのモノマーユニットとして組み込むことが可能である。
上記式(2)中のRを置換基として有する(メタ)アクリルアミドの他に、ビニル系樹脂Bを形成し得る重合性単量体Dとしては、重合性単量体Cとして挙げたモノマーが挙げられる。重合性単量体Cの場合と同様、重合性単量体Dは単独で又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
また、モノマーユニットDは下記式(3)で示されるモノマーユニット及び下記式(4)で示されるモノマーユニットからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーユニットであることが好ましい。上記の群から選択される少なくとも1つのモノマーユニットDを含有することで、トナー粒子のコアとシェルの密着性が高まりやすいと推測されるため、過剰に帯電されたトナーが得られにくい。より好ましくは、モノマーユニットDが下記式(4)で示されるモノマーユニットである。
Figure 2022025866000005
(式(4)中、Rは炭素数1~4のアルキル基を示し、Rは水素又はメチル基を示す。)
高い帯電量を有するトナーが得られやすく、トナーの過剰帯電による現像スジが生じにくいため、式(4)中、Rはメチル基であることがより好ましい。また、式(4)中、Rがメチル基であることがより好ましい。
また、ビニル系樹脂B中のモノマーユニットDの含有割合は30.0質量%以上70.0質量%以下であることが好ましい。30.0質量%以上であると、トナーの過剰帯電による現像スジが生じにくい。そのため、30.0質量%以上であることが好ましく、40.0質量%以上であることがより好ましく、45.0質量%以上であることが好ましい。また、70.0質量%以下であると、高い帯電量を有するトナーが得られやすい。そのため、70.0質量%以下であることが好ましく、60.0質量%以下であることがより好ましく、55.0質量%以下であることがさらに好ましい。
<ビニル系樹脂Bに関するその他の形態>
ビニル系樹脂Bは、ポリエステルなどの他の樹脂が結合した、ハイブリッド樹脂(ビニル系樹脂である樹脂Aとビニル系樹脂以外の樹脂とのハイブリッド樹脂)の一部であってもよい。その場合、該ハイブリッド樹脂中のビニル系樹脂Bの含有割合は、50.0質量%以上である。該含有割合は80.0質量%以上であることがより好ましく、95.0質量%以上であることがさらに好ましい。結合とは、例えば、共有結合などが挙げられる。
トナーのシェルに含有される樹脂として、モノマーユニットBを有するビニル系樹脂B以外の樹脂を併用してもよい。ビニル系樹脂B以外の樹脂としては、例えば以下の樹脂が挙げられる。
メラミン樹脂、尿素(ユリア)樹脂、スルホンアミド樹脂、グリオキザール樹脂、グアナミン樹脂、アニリン樹脂、又はこれら各樹脂の誘導体、ポリイミド樹脂、マレイミド系重合体、ビスマレイミド、アミノビスマレイミド、又はビスマレイミドトリアジンなどの熱硬化性樹脂。また、ビニル樹脂又はポリエステルなどの熱可塑性樹脂も例として挙げられる。これらの樹脂は単独で用いても、複数種を併用して用いてもよい。
ビニル系樹脂Bとこれらの樹脂を併用して複数種の樹脂を用いてもよいが、トナー中のビニル系樹脂Bの含有割合が、0.4質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。0.4質量%以上であると、高い帯電量を有するトナーが得られやすい。そのため、0.4質量%以上であることが好ましく、0.8質量%以上であることがより好ましく、4.0質量%以上であることがより好ましく、8.0質量%以上であることがさらに好ましい。また、20.0質量%以下であると、トナーの過剰帯電による現像スジが生じにくい。そのため、20.0質量%以下であることが好ましく、16.0質量%以下であることがより好ましく、12.0質量%以下であることがより好ましく、10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
また、高い帯電量を有するトナーが得られやすいため、シェル中のビニル系樹脂Bの含有割合が50.0質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、75.0質量%以上であり、さらに好ましくは、90.0質量%以上である。上限は特に制限されず、100.0質量%である。該含有割合が100.0質量%ということは、シェルがビニル系樹脂Bのみで構成されることを意味する。
ビニル系樹脂Bは、シェル中に複数種含有されてもよい。樹脂成分中に複数種のビニル系樹脂Bが含有される場合、ビニル系樹脂Bに該当する樹脂の質量の合計を、ビニル系樹脂Bの含有量とする。
また、コアに含有されるビニル系樹脂Aの質量に対して、シェルに含有されるビニル系樹脂Bの質量の割合が、1.0質量%以上30.0質量%以下であることが好ましい。上記を満たす質量比でコア中に樹脂Aが含有され、及びシェル中に樹脂Bが含有されることで、高い帯電量を有するトナーが得られやすく、且つトナーの過剰帯電による現像スジが生じにくい。より好ましくは5.0~30.0質量%であり、さらに好ましくは5.0~15.0質量%である。
ビニル系樹脂B中に、ビニル系樹脂Aの特徴的なモノマーユニットであり上記式(1)で示されるモノマーユニットAが含まれてもよい。その場合、ビニル系樹脂B中のモノマーユニットAの含有割合は、1.9質量%以下であることが好ましい。該含有割合が1.9質量%以下であると、高い帯電量を有するトナーが得られやすい。そのため、1.9質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.0質量%であることがさらに好ましい。0.0質量%であるということは、ビニル系樹脂B中にモノマーユニットAが含有されていないことを意味する。
<各種添加剤>
トナーは、必要により、着色剤、離型剤、磁性体、荷電制御剤及び流動化剤などから選ばれる1種以上の添加剤を含有してもよい。トナーに用いられる各種添加剤について具体的に記載する。
<離型剤>
離型剤としては例えば、以下のものが挙げられる。
ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチル等の1価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;セバシン酸ジベヘニル等の2価カルボン酸とモノアルコールのエステル類;エチレングリコールジステアレート、ヘキサンジオールジベヘネート等の2価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;グリセリントリベヘネート等の3価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート等の4価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート等の6価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;ポリグリセリンベヘネート等の多官能アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;カルナバワックス、ライスワックス等の天然エステルワックス類;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系炭化水素ワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィン系炭化水素ワックス及びその誘導体;高級脂肪族アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸;酸アミドワックス等が挙げられる。
上記の好ましい離型剤としては、炭化水素ワックスや3価以上のアルコールとモノカルボン酸が縮合した構造を持つエステルワックスを用いることが好ましい。例えばポリエチレンワックスやパラフィンワックス、ジペンタエリスリトールヘキサステアレートやジペンタエリスリトールヘキサベヘネート等のジペンタエリスリトールと脂肪酸のヘキサエステルが挙げられる。
トナーに含有される離型剤としては、離型剤の数平均分子量(Mn)が、600以上20000以下である離型剤が好ましい。離型剤のMnが600以上であると、トナー粒子に含有される樹脂成分との相溶性が小さくなりやすく、シェルとコア間での電荷の授受において離型剤の影響が小さくなると考えられる。その結果、トナーの過剰帯電がおこりにくく、現像スジが生じにくいと推測される。そのため該Mnは600以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、1500以上であることがさらに好ましい。また、該Mnが20000以下であると、優れた離型性を有するトナーが得られやすい。そのため、該Mnが20000以下であることが好ましく、10000以下であることがより好ましく、5000以下であることがより好ましく2000以下であることがさらに好ましい。
<着色剤>
着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤としては、顔料を単独で使用してもよく、染料と顔料とを併用してもよい。フルカラー画像の画質の観点から、染料と顔料とを併用することが好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパースバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1~5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70が挙げられる。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162が挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。
着色剤の含有量は、樹脂成分の総量100質量部に対して0.1質量部~30.0質量部であることが好ましい。
<荷電制御剤>
荷電制御剤としては、特段の制限なく用いることができる。
負帯電制御剤の例として以下のものが挙げられる。
サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸等の芳香族カルボン酸の金属化合物又は上記芳香族カルボン酸の金属化合物を有する重合体若しくは共重合体。スルホン酸基、スルホン酸塩基若しくはスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体。アゾ染料若しくはアゾ顔料の金属塩又は金属錯体。ホウ素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。
また、正帯電制御剤の例としては、四級アンモニウム塩、四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物;グアニジン化合物;ピリジン系化合物;ニグロシン系化合物;イミダゾール化合物等が挙げられる。
トナー中の荷電制御剤の含有量は、0.01質量%以上5.00質量%以下であることが好ましい。
<外添剤>
外添剤としては、以下のものが挙げられる。
例えば、シリカ粒子、及び金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム等)等の無機微粒子が挙げられる。また、ビニル系樹脂、シリコーン樹脂、及びメラミン樹脂等からなる有機微粒子、及び有機無機複合微粒子等も例として挙げられる。これらの外添剤は、単独で用いても、複数種を併用してもよい。
また、外添剤は表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物等が挙げられる。これらの表面処理剤は、単独で用いても、複数種を併用してもよい。
外添剤の含有割合は、トナー100.0質量部に対して、0.1質量部以上4.0質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、0.2質量部以上3.5質量部以下である。
<トナーの製造方法>
トナーは、粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法などの何れの方法において製造されてもよいが、これらに限定されるものではない。本発明のトナーは、樹脂成分を含有するコアと、該コアの表面を覆うシェルとを備えるトナーであるが、該コアを上記した製造方法で準備したのちに、外部からシェルを形成する製造方法が好ましい。その中でも、粉砕法又は懸濁重合法で該コアを製造したのちに、水系にて外部からシェルを形成する製造方法がより好ましい。
コア粒子を被覆するシェルは例えば、シェルを構成する樹脂を分散させた分散液に、コア粒子を分散させた状態で昇温・撹拌する工程によって形成することができる。このシェルを形成させる工程は水性媒体中で行われることが好ましい。
シェルを形成させる工程の温度は、65℃以上100℃以下であることが好ましく、70℃以上95℃以下であることがより好ましい。該温度範囲内でシェルを形成させることで、シェルの形成を良好に進行させつつ、形成されるトナー粒子同士の合一が抑制される。
<各種測定方法等>
以下、各種の測定方法等に関して記載する。
<トナー粒子のシェルの有無の観察>
トナー粒子のシェルの有無の観察は、トナー粒子の断面の形態を観察することによって行うことができる。トナー粒子の断面の形態を観察する具体的方法としては、以下の通り。
まず、光硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を十分に分散させた後、紫外線を照射して上記エポキシ樹脂を硬化させ、硬化物を得る。得られた硬化物を、ダイヤモンド刃を備えたミクロトームを用いて切断し、厚さ100nmの薄片状のサンプルを作製する。上記サンプルに、必要に応じて四酸化ルテニウムを用い染色を施した後、透過型電子顕微鏡(TEM)(商品名:電子顕微鏡Tecnai TF20XT、FEI社製)を用い、加速電圧120kVの条件でトナーの断面を観察してTEM画像を得る。
上記した観察方法において、シェルが存在し、コアとシェルが異なる成分である場合、染色状態の違いや元素マッピングによるコントラストが観察される。観察倍率は20000倍とする。
<樹脂中の各種モノマーユニットの含有割合の測定方法>
樹脂中の各種モノマーユニットの含有割合の測定は、H-NMRにより以下の条件にて行う。
測定装置 :FT NMR装置 JNM-EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数 :64回
測定温度 :30℃
試料 :試料50mgを重クロロホルム(CDCl)に添加し、これを40℃の恒温槽内で溶解させて調製する。得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。該サンプル溶液を内径5mmのサンプルチューブに入れて測定に用いる。
得られたH-NMRチャートを解析し、各モノマーユニットの構造を同定する。ここでは一例として、ビニル系樹脂A中のモノマーユニットAの含有割合の測定について記載する。得られたH-NMRチャートにおいて、モノマーユニットAの構成要素に帰属されるピークの中から、その他のモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値S1を算出する。ビニル系樹脂A中に含有されるその他のモノマーユニットについても、それぞれ同様に積分値を算出する。
ビニル系樹脂Aを構成するモノマーユニットがモノマーユニットAとその他のモノマーユニット1種である場合、モノマーユニットAの含有割合は、上記積分値S1、及びその他のモノマーユニットのピークの積分値S2を用いて、以下のようにして求める。なお、n1、n2はそれぞれの部位について着眼したピークが帰属される構成要素における水素の数である。
モノマーユニットAの含有割合(モル%)=
{(S1/n1)/((S1/n1)+(S2/n2))}×100
その他のモノマーユニットが2種以上ある場合でも同様にモノマーユニットAの含有割合を算出できる。
なお、ビニル基以外の構成要素に水素原子が含まれない重合性単量体が使用されている場合は、13C-NMRを用いて測定原子核を13Cとし、シングルパルスモードにて測定を行い、H-NMRにて同様にして算出する。
ビニル系樹脂B中のモノマーユニットBの含有割合及び上記n/mについても、上記方法と同様に測定を行い、算出することができる。
<トナー粒子表面に存在する樹脂B及びモノマーユニットBの検出>
トナー粒子表面に存在する樹脂Bの検出には、TOF-SIMS(アルバック・ファイ社製、TRIFT-IV)を使用する。分析条件は以下の通りである。
サンプル調整:トナー粒子をインジウムシートに付着させる。
サンプル前処理:なし
一次イオン:Au
加速電圧:30kV
電荷中和モード:On
測定モード:Positive
ラスターサイズ:100μm
積算時間:180秒
上記測定を行うことで、トナー表面に存在する、モノマーユニットBを有する樹脂Bを検出することが出来る。トナー粒子のシェルの存在を観察によって確認し、該測定を行うことで、シェルが樹脂Bを含有しているかどうかを判断できる。
また、樹脂Bが有するモノマーユニットBの含有割合は、上記条件で得られる2次イオンマススペクトル(縦軸:強度、横軸:質量数=m/z)のアクリルアミド構造に由来のスペクトル強度から、濃度既知のサンプルを元に作成した検量線を用いて算出する。
<離型剤の数平均分子量(Mn)の測定>
離型剤の数平均分子量(Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により次の条件で測定される。
まず、室温で24時間かけて、試料をo-ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、溶媒に可溶な成分の試料が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
(GPC測定条件)
装置:GPC-150C(ウォーターズ社)
カラム:GMH-HT30cm2連(東ソー(株)製)
温度:135℃
溶媒:o-ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流速:1.0mL/分
試料:0.15%の試料を0.4mL注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソー社製)により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark-Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出される。
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。なお、実施例において部は、特に断りのない限り質量基準である。
<結着樹脂1の製造>
撹拌機、温度計、及び窒素導入管を備えた反応容器に、溶媒としてトルエン100部、重合性単量体としてスチレン(材料2)50.0部、及びベヘニルアクリレート(材料1)50.0部を添加して撹拌しながら温度80℃まで昇温した。
続いて重合開始剤としてパーブチルO(10時間半減期温度72.1℃(日本油脂製))2.0部を加え、12時間重合し、重合性単量体組成物の重合体がトルエンに溶解した溶解液を得た。続いて、上記溶解液を25℃まで降温した後、1000.0部のメタノール中に上記溶解液を撹拌しながら投入し、メタノール不溶分を沈殿させた。得られたメタノール不溶分を濾別し、更にメタノールで洗浄後、40℃で24時間真空乾燥して結着樹脂1を得た。
結着樹脂1のNMR測定を行ったところ、結着樹脂1を構成しているモノマーユニットは、ベヘニルアクリレート由来のユニットが50.0質量%、スチレン由来のユニットが50.0質量%であった。
<結着樹脂2~13の製造>
表1に示すように原料を変更すること以外は結着樹脂1と同様の方法で製造を行い、結着樹脂2~13を得た。
また、得られた結着樹脂1~13のNMR測定を行って得られる、それぞれの結着樹脂を構成しているモノマーユニットとその含有割合を表1に示す。
Figure 2022025866000006
表1中の略号は以下の通り。
BEA:ベヘニルアクリレート
HDA:ヘキサデシルアクリレート
MOA:モンタニルアクリレート
DDA:ドデシルアクリレート
DCA:ドトリアコンタニルアクリレート
BuA:ノルマルブチルアクリレート
St:スチレン
※表1において、ノルマルブチルアクリレートのユニットは本発明に係るモノマーユニットAに該当するユニットではないが、結着樹脂12中のノルマルブチルアクリレートのユニットの含有割合を、結着樹脂中のユニットAの含有割合の列に記載している。
<シェル樹脂の分散液1の製造>
温度計(より具体的には熱電対)と冷却管と窒素導入管と攪拌羽根とを備えた反応容器(容量:5L)に、240部のn-プロパノールと、50部のアクリルアミド(原料3)と、50部のメタクリル酸メチルと、を添加した。
窒素を反応容器に導入しながら、反応容器内の温度を65℃にまで上昇させた。反応容器に有機溶液(ラジカル重合開始剤)40部を3時間かけて滴下した。該有機溶液は、t-ヘキシルパーオキシピバレートを炭化水素で希釈したもの(日油株式会社製「パーヘキシル(登録商標)PV」)3部が40部のn-プロパノールに溶解されているものを使用した。そして、反応容器内の温度を65℃に保ち、反応容器の内容物を5時間反応(重合反応)させた。続いて、反応容器内の温度を80℃にまで上昇させ、反応容器内の温度を80℃に保ち、反応容器の内容物を1時間反応(重合反応)させた。その後、反応容器内の温度を140℃まで上昇させ、反応容器の内圧を10kPaに下げることで、反応容器の内容物から溶媒成分を除去した。反応容器の内容物(固形物)を冷却後、ハンマーミルで粉砕して、シェル樹脂1の粗粉砕物を得た。シェル樹脂1の粗粉砕物のNMR測定を行ったところ、上記シェル樹脂を構成しているモノマーユニットは、アクリルアミド由来のユニットが50.0質量%、メタクリル酸メチル由来のユニットが50.0質量%であった。
機械式粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミルT250」)を用いて、設定粒子径10μmの条件で上記粗粉砕物を粉砕し、微粉砕物を得た。得られた微粉砕物100部と、1部のカチオン界面活性剤(花王株式会社製「コータミン(登録商標)24P」、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド25質量%水溶液)と、25部の水酸化ナトリウム水溶液(濃度:0.1N)とを混ぜ、分散液を得た。得られた分散液に適量のイオン交換水を加えて、スラリー(全量:400部)を得た後、スラリーをステンレス製の耐圧丸底容器に入れた。そして、高温(140℃)且つ高圧(0.5MPa)環境下で、高速剪断乳化装置(エム・テクニック株式会社製「クレアミックス(登録商標)CLM-2.2S」)を用いて、ローター回転速度20000rpmの条件で上記スラリーを30分間剪断分散した。容器内の温度が50℃になるまで容器の内容物を5℃/分の速度で冷却しながら、ローター回転速度15000rpmの条件で容器内容物を攪拌し、シェル樹脂の分散液1を得た。
<シェル樹脂の分散液2~4の製造例>
表2に示すように原料3を変更すること以外はシェル樹脂の分散液1と同様の方法で製造を行い、シェル樹脂の分散液2~4を得た。
得られたシェル樹脂1~4のNMR測定を行って得られる、それぞれのシェル樹脂を構成しているモノマーユニットとその含有割合を表2に示す。
Figure 2022025866000007
表2中の略号は以下の通り。
AA:アクリルアミド
NAMA:N-アセチルメタクリルアミド
NMAA:N-メチロールアクリルアミド
NEAA:N-エチルアクリルアミド
MM:メタクリル酸メチル
<トナー1の製造>
(コア粒子1の製造)
・結着樹脂1 100.0部
・カーボンブラック 4.0部
・離型剤(ジペンタエリスリトールヘキサステアレート) 6.0部
上記材料を三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機社製)で前混合した後、2軸押出機(商品名:PCM-30、池貝鉄工所社製)を用いて、吐出口における溶融物温度が140℃になるように、温度を設定し、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、粉砕機(商品名:ターボミルT250、ターボ工業社製)を用いて微粉砕し、微粉砕粉末を得た。得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級して、重量平均粒径が6.8μmのコア粒子1を得た。
(トナー粒子1の製造)
温度40℃に加温したイオン交換水250.0部に、リン酸三カルシウム1.8部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、撹拌速度15000rpmにて撹拌し、水系媒体を調製した。
水系媒体中にコア粒子1を110.0部添加してコア粒子1のスラリーを作成した。続いて、シェル樹脂分散液1を40.0部添加して、75℃に昇温させて2時間保持することでコア粒子の表面にシェルを形成させた。室温まで冷却後、塩酸を加えて分散剤であるリン酸カルシウムを溶解し、濾過、水洗、乾燥して重量平均粒径が6.8μmのコアシェル構造を有するトナー粒子1を得た。
(トナー1の製造)
トナー粒子1を100.0部と、乾式シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA90」:正帯電性疎水化処理されたシリカ粒子)を1.5部とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて3分間混合し、トナー粒子1の表面にシリカ粒子を外添した。その後、300メッシュ(目開き48μm)で篩い、トナー1を得た。トナー1の製造に用いた材料や各種物性等を表3に示す。
<トナー2~25の製造>
表3に示すように結着樹脂の種類及び量、シェル樹脂の分散液の種類及び量、離型剤の種類を変更すること以外はトナー1と同様の製造方法でトナー2~25を得た。トナー2~25の製造に用いた材料や各種物性等を表3に示す。
また、トナー1~25に対して、上記のTOF-SIMS分析を行ったところ、トナー1~24のトナー表面には、モノマーユニットBを有するビニル系樹脂Bが検出され、トナー25のトナー表面には、該ビニル系樹脂Bが検出されなかった。
Figure 2022025866000008
表3中の略号は以下の通り。
DP18:ジペンタエリスリトールヘキサステアレート
Pe:ポリエチレン
PP:ポリプロピレン
PE18:ペンタエリスリトールテトラステアレート
BEBE:ベヘン酸ベヘニル
PW:パラフィンワックス(炭化水素ワックスHNP-9(日本精蝋製、融点74℃))
<実施例1>
トナー1を以下の様に評価した。評価結果を表4に示す。
<現像スジの発生の評価>
現像スジの発生の評価には、画像形成装置として、レーザープリンター(商品名:LBP-9650Ci、キヤノン社製)の改造機、及びプロセスカートリッジ(商品名:トナーカートリッジ323、キヤノン社製)の改造カートリッジを用いた。画像形成装置の改造点としては、バイアス設定を変更することで正帯電性のトナーを現像できるようにした点であった。該バイアス設定は、トナー24に対して下記の現像スジの発生の評価を行った際に、900枚出力した際に現像スジが発生するように設定した。また、カートリッジの改造点は、カートリッジ内部のギアを変更及び追加することにより、トナー供給部材(トナー供給ローラ)が現像部材(現像ローラ)との当接部において各々の表面が同一の方向に移動するようにした点であった。また、画像を出力する際に用いた用紙は、高白色用紙(商品名:GF-C081、キヤノン社製、81.4g/m)であった。
まず、カートリッジ内部からトナーを取り出し、エアブローによって清掃した後、該カートリッジにトナー1を300g充填した。そしてそのトナーカートリッジ及び改造機を温度5.0℃、相対湿度10.0%RHの環境下で24時間放置し、該環境下にて上記プリンターのシアンステーションに装着し、その他は、ダミーカートリッジを装着した。
そして、上記の画像形成装置を用い、等間隔に横線を並べた印字率1%の画像を2枚出力するごとに1分休止する動作を繰り返し、該画像を100枚出力するごとにハーフトーン画像を1枚出力して該ハーフトーン画像をチェックした。そして、このサイクルを繰り返す中で、該ハーフトーン画像上に初めて現像スジが発生したときの画像出力枚数で、現像スジの発生の評価を行った。上記のサイクルは20サイクル、即ち印字率1%の画像の出力が2000枚になるまで行った。該評価において、上記枚数が1100枚よりも大きいもの、及び上記印字率1%の画像の出力を2000枚まで行っても現像スジが発生しなかったものを、本発明の効果が得られているものと判断した。評価結果を表4に示す。尚、該画像出力は、常温常湿環境下(23℃、60%RH)で実施した。
<帯電量の評価>
トナーの帯電量の評価は、上記の現像スジの発生の評価で用いた画像形成装置、カートリッジ及び用紙を用い、上記と同様の操作でカートリッジにトナー1を300g充填してから実施した。
まず、等間隔に横線を並べた印字率1%の画像を2枚出力するごとに1分休止する動作を繰り返し、1500枚出力した時点でトナーカートリッジ内部からトナー1を取り出し、下記に示すトナー1の摩擦帯電量の測定を行った。
まず、磁性キャリア(商品名:F813-300、パウダーテック社製):276g、及び取り出したトナー1:24gを500ccの蓋付きプラスチックボトルに入れ、振盪器(商品名:YS-LD、ヤヨイ社製)を用いて、1秒間に4往復のスピードで1分間振盪させ、混合物を得た。該混合物を30gを取り出し、23℃/60%RHの環境で3昼夜放置した後、50mLの絶縁性のプラスチック容器に入れ、200回/分の速度で3分間振盪させて、二成分現像剤を得た。
次に、図1に示す摩擦帯電量を測定する装置において摩擦帯電量を測定した。底に635メッシュ(目開き20μm)のスクリーン3を有する金属製の測定容器2に、上記の二成分現像剤を1.0gを入れ、金属製のフタ4をした。このときの測定容器全体の質量をW(g)とした。次に吸引機1(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口7から吸引し風量調節弁6を調整して真空計5の圧力を250mmAqとした。この状態で2分間吸引を行い、トナーを吸引除去した。吸引終了時の電位計9の電位をV(ボルト)とした。ここで8はコンデンサであり、容量をC(μF)とし、吸引後の測定容器全体の質量をW(g)としたとき算出されるトナーの摩擦帯電量を用いて、トナーの帯電量を評価した。評価結果を表4に示す。該測定における、トナーの摩擦帯電量は下記式で計算される。
試料の摩擦帯電量(mC/kg)=C×V/(W-W
該評価において、トナーの摩擦帯電量が+20mC/kg以上のものを、本発明の効果が得られているものと判断した。尚、該帯電量の測定は、常温常湿環境下(23℃、60%RH)で実施した。
<実施例2~20>
トナー2~20を実施例1と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
<比較例1~5>
トナー21~25を実施例1と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
Figure 2022025866000009
※トナー22及びトナー25を用いた現像スジの発生の評価において、上記の画像出力条件では、等間隔に横線を並べた印字率1%の画像及びハーフトーン画像が形成されなかったため、現像スジの発生の評価は行わなかった。
1 吸引機
2 測定容器
3 スクリーン
4 金属製のフタ
5 真空計
6 風量調節弁
7 吸引口
8 コンデンサ
9 電位計
11 トナー粒子のコア
12 トナー粒子のシェル
13 トナー粒子のシェルに含有されている、アミド構造を有するモノマーユニット
14 トナー粒子のコアに含有されている樹脂が有する、長鎖アルキル基を有するモノマーユニット
15 トナー粒子のシェルにおいて、帯電された電荷

Claims (12)

  1. 樹脂成分を含有するコアと、前記コアの表面を覆うシェルと、を有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記樹脂成分が、下記式(1)で示されるモノマーユニットAを有するビニル系樹脂Aを含有し、
    前記ビニル系樹脂A中の、前記モノマーユニットAの含有割合が、2.0質量%以上80.0質量%以下であり、
    前記シェルが、下記式(2)で示されるモノマーユニットBを有するビニル系樹脂Bを含有することを特徴とするトナー。
    Figure 2022025866000010

    (式(1)中、Rは、炭素数が12以上36以下のアルキル基を示し、Rは水素又はメチル基を示す。式(2)中、Rは、水素、メチル基又はエチル基を示し、Rは、水素、アセチル基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1~6のカルボキシアルキル基を示す。)
  2. 前記ビニル系樹脂B中の前記モノマーユニットBの含有割合が、30.0質量%以上である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記トナー中の前記ビニル系樹脂Aの含有割合が、30.0質量%以上である請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記コア中に含有される前記モノマーユニットAの質量をmとし、前記シェル中に含有される前記モノマーユニットBの質量をnとしたとき、n/mが0.01以上0.20以下である請求項1~3の何れか一項に記載のトナー。
  5. 前記トナー粒子が、離型剤を含有し、
    前記離型剤の数平均分子量(Mn)が、600以上20000以下である請求項1~4の何れか一項に記載のトナー。
  6. 前記トナー中の前記ビニル系樹脂Bの含有割合が、0.4質量%以上20.0質量%以下である請求項1~5の何れか一項に記載のトナー。
  7. 前記ビニル系樹脂AがモノマーユニットCをさらに有し、
    前記モノマーユニットCが、下記式(3)で示されるモノマーユニット及び下記式(4)で示されるモノマーユニットからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーユニットである請求項1~6の何れか一項に記載のトナー。
    Figure 2022025866000011

    (式(4)中、Rは炭素数1~4のアルキル基を示し、Rは水素又はメチル基を示す。)
  8. 前記ビニル系樹脂A中の前記モノマーユニットCの含有割合が、20.0質量%以上95.0質量%以下である請求項7に記載のトナー。
  9. 前記ビニル系樹脂BがモノマーユニットDをさらに有し、
    前記モノマーユニットDが、下記式(3)で示されるモノマーユニット及び下記式(4)で示されるモノマーユニットからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーユニットである請求項1~8の何れか一項に記載のトナー。
    Figure 2022025866000012

    (式(4)中、Rは炭素数1~4のアルキル基を示し、Rは水素又はメチル基を示す。)
  10. 前記ビニル系樹脂B中の前記モノマーユニットDの含有割合が、30.0質量%以上70.0質量%以下である請求項9に記載のトナー。
  11. 前記ビニル系樹脂A中の前記モノマーユニットAの含有割合が、45.0質量%以上である請求項1~10の何れか一項に記載のトナー。
  12. 前記コアに含有される前記ビニル系樹脂Aの質量に対する、前記シェルに含有される前記ビニル系樹脂Bの質量の割合が、1.0質量%以上30.0質量%以下である請求項1~11の何れか一項に記載のトナー。
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