JP2022025218A - ポリアミド繊維 - Google Patents

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健志 山中
Takeshi Yamanaka
嗣宜 坊野
Tsugunobu Bono
真平 藤田
Shimpei Fujita
健 中原
Takeshi Nakahara
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Abstract

【課題】 本発明は、前記した従来技術の問題を解決し、発色性と接触冷感性や吸放湿性などの快適性を両立するポリアミド繊維を生産性よく製造し提供することを課題とする。【解決手段】 本発明は、主成分がポリアミドからなり、アミノ末端基量が7×10-5~15×10-5mol/gであり、ポリビニルピロリドンを2~10重量%含有し、無機粒子を繊維全体で1~8重量%含有することで、これまでにない発色性と接触冷感性や吸放湿性などの快適性を両立する繊維製品を得る。【選択図】なし

Description

本発明は、発色性と堅牢性を両立した接触冷感・吸放湿性ポリアミド繊維に関するものである。
合成繊維であるポリアミド繊維は、機械的・化学的性質において優れた特性を有することから衣料用途や産業用途で広く利用されている。特に、ポリアミド繊維は、肌触り、光沢性において優れた特性を有することから、一般衣料製品等の用途で広く使用されており、ポリアミド繊維の有するしなやかさ、表面のなめらかなタッチ、着用時の耐久性などが市場において好評を得ている。
近年ファッションの多様化、用途の拡大が進み、インナーウェア、スポーツウェア、カジュアルウェア等、ファッション性も強く求められるようになり、意匠性の高い発色性が要求され、さらには、着用時のムレやべたつきを防ぐため接触冷感性や吸放湿性等の快適性が求められている。
ポリアミドの発色性を向上させる方法は、例えば特許文献1には、ポリアミドの染着座席であるアミノ末端基量を増加させたポリアミドを用いて紡糸することで発色性を向上させる方法が提案されている。また、接触冷感性を付与する方法は、例えば特許文献2には、酸化チタンをポリアミドに添加することで接触冷感性を向上させる方法が提案されている。さらに、ポリマーブレンドにより吸放湿性を向上させる方法は、例えば特許文献3には、ポリビニルピロリドンをポリアミドにブレンドすることで吸放湿性を向上させる方法が記載されている。
特開平7-42020号公報 特開2004-292982号公報 特開2004-60129号公報
しかしながら、特許文献1記載のアミノ末端基量を増加させたポリアミド繊維は、接触冷感性や吸放湿性等の快適性が得られず、特許文献2記載の酸化チタンを添加したポリアミド繊維は、発色性が得られず、特許文献3記載のポリビニルピロリドンをブレンドしたポリアミド繊維は、異種ポリマーをブレンドすることで繊維構造がルーズになり実使用に足る堅牢性が得られないものであり、従来技術ではポリアミド繊維の発色性と接触冷感性や吸放湿性などの快適性を両立することが困難であった。
本発明は、前記した従来技術の問題を解決し、発色性と接触冷感性や吸放湿性などの快適性を両立するポリアミド繊維を提供することを課題とする。
上記目的を達成するために、本発明の発色性と堅牢性を両立した接触冷感・吸放湿性ポリアミド繊維は、主として、次の構成を有する。すなわち、
(1)主成分がポリアミドからなり、
(a)アミノ末端基量が7×10-5~15×10-5mol/gであり
(b)ポリビニルピロリドンを2~10重量%含有し
(c)無機粒子を繊維全体で1~8重量%含有する
ことを特徴とするポリアミド繊維。
(2)無機粒子が酸化チタンであることを特徴とする(1)に記載のポリアミド繊維。
(3)(1)または(2)に記載のポリアミド繊維を含む繊維製品。である。
本発明の発色性と堅牢性を両立した接触冷感・吸放湿性ポリアミド繊維は、鮮やかで深い発色性と堅牢性を両立し、着用時のムレやべたつきを防ぐ快適性を有した繊維製品が得られる。
本発明は、ポリアミドから成り、いわゆる炭化水素基が主鎖にアミド結合を介して連結されたポリマーであり、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6,10)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4,6)ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン5,6)、1,4-シクロヘキサンビス(メチルアミン)と線状脂肪族ジカルボン酸との縮合重合型ポリアミドなど、及び、これらの共重合体もしくはこれらの混合物が挙げられる。染色性および発色性の点からナイロン6、ナイロン66が好ましい。
本発明のポリアミドには、目的を損なわない範囲の量、種類であれば、耐熱性などの生産性向上のための添加剤(光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤等)が添加されていてもよいし、機能性付与のための添加剤(紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤等)が添加されてもよい。
本発明の発色性と堅牢性を両立した接触冷感・吸放湿性ポリアミド繊維のアミノ末端基量は、7×10-5~15×10-5mol/gであり、さらに好ましくは7×10-5~10×10-5mol/gである。アミノ末端基は染料着座となるため、アミノ末端基量が7.0×10-5mol/g以上であると、優れた発色性と堅牢性が得られる。アミノ末端基量が7×10-5mol/g未満であると、染料が着座するアミノ末端基量が不十分なため、所望の発色性が発現せず堅牢性低下する。このアミノ末端基量をかかる範囲とするためには、ポリアミドモノマーに、アミノ末端基量調整剤であるジアミンを添加し、公知の重縮合を行うことで所望のアミノ基量のポリアミドを製造することができる。アミノ末端基量が15.0×10-5mol/gを超えると、発色性および堅牢性は向上するものの、ポリアミドの分子量が低下し繊維の強度低下や毛羽の発生が生じ生地品位が著しく悪化する。
本発明の発色性と堅牢性を両立した接触冷感・吸放湿性ポリアミド繊維は、所望の発色性と吸放湿性を得るためにポリビニルピロリドン(以下PVPという)を2~10重量%含有する。PVPの含有量が2重量%未満と少な過ぎると十分な発色性と吸湿性が得られない。また15重量%を越える程に多過ぎるとべたつき感が発現し感触不良となり、しかも、製糸性が不良となって安定して生産することができなくなる。さらに好ましくは3~6重量%である。また、PVPは、ポリアミド繊維に対して、繊維構造をランダムにする作用をもたらし、PVP含有量が10重量%を超えると、沸騰水収縮率が高くなり、寸法安定性に欠け、布帛としたときに粗硬感が生じ好ましくない。
本発明の発色性と堅牢性を両立した接触冷感・吸放湿性ポリアミド繊維は、着用時のムレやべたつき感を抑制するため、発汗による水蒸気を衣服の肌側から外側に速やかに移動させることが求められる。そのため、衣服内の湿度を調節する機能を有する。湿度調整の指標として、軽~中作業あるいは軽~中運動を行った際の30℃×90%RHに代表される衣服内温湿度と、20℃×65%RHに代表される外気温湿度における吸湿率の差で表されるΔMRを用いる。ΔMRは大きければ大きいほど吸湿性能が高く、着用時の快適性が良好であることに対応する。
本発明の発色性と堅牢性を両立した接触冷感・吸放湿性ポリアミド繊維は、ΔMRが3.0%以上であることが好ましい。かかる範囲とすることで、着用時のムレやべたつき感を抑制でき、快適性に優れる衣料が提供可能となる。なお、本発明で達成できるΔMRのレベルは4~5%程度である。
本発明の発色性と堅牢性を両立した接触冷感・吸放湿性ポリアミド繊維は、接触冷感性を発現させるために無機粒子を1~8重量%含有する。ここで接触冷感は、繊維が肌に触れた直後に、肌側の貯えられた熱量が、低温側の繊維に移動する単位面積当たりの熱流速に依存する。ポリアミドは有機物であり比較的熱伝導率が低く、衣服として肌に直接着用しても接触冷感は実感しない。そこで、ポリアミドに比べて熱伝導率が高く、熱容量の低い無機粒子を繊維全体で1~8重量%含有させることにより、着用時に肌からの熱を繊維側に素早く移動させ、優れた接触冷感を得ることが本発明の狙いである。この接触冷感とは衣類が肌に直接接触した瞬間感じられる冷感覚であり、着用中の温冷感とは異なる。本発明において無機粒子を選択する理由としては、繊維製造時や染色時に悪影響を及ぼさないこと、繊維物性を保つこと、さらに耐光性など使用時にポリマーに着色等を発生させないためである。このような悪影響を繊維に与えない無機粒子であれば特に限定されるものではない。ポリアミドに比べて熱伝導率が高く、熱容量の低い無機粒子を例示すると、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ジリコニウム、珪酸アルミニウム、炭化ジリコニウム等があげられる。これら無機粒子の中でも、繊維物性、発色性、無機粒子の取り扱いの容易性、高次加工性を勘案すると、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムが好ましい。無機粒子の含有量としては、少ないと熱伝導性を高めることができないため、接触冷感を高くすることは難しく、繊維全体で1重量%以上とする。また、多いほど接触冷感を高くすることができるが、繊維物性である引張強度が低下すること、高次加工性が低下するため8重量%以下にする。好ましくは1.3~5重量%である。
本発明において所定のアミノ末端基量、PVPを含有量、無機粒子含有量を実現する方法としては、アミノ末端基量を調整したポリアミドに無機粒子が5~20重量%であるマスターポリマーとPVP含有量が10~50重量%であるマスターポリマーとをブレンド法により混合して得られる。このブレンド法とは、例えば、チップブレンドし溶融する方法やメルトブレンド法などが挙げられるが、両者が均一に混ざればいかなる方法を用いてもよい。
溶融紡糸における、溶融温度は紡糸可能であれば特に限定されず、通常のポリアミドの溶融紡糸温度と同程度でもよい。溶融紡糸された糸条は、通常の溶融紡糸と同様、冷却風を吹き当てることにより冷却し、給油した後に第一ゴデットローラーにて1500~4000m/分程度で引き取り、次の第二ゴデットローラーにて1.0~3.0倍程度の延伸を行った後で、3000m/分以上、好ましくは3500~4500m/分で巻き取る。この際、第一ゴデットローラーと第二ゴデットローラーとの間の延伸倍率や、巻取り速度(ワインダー速度)を適切に設計することにより、狙いとするマルチフィラメントの強伸度を得ることが可能となる。また、第二ゴデットローラーを加熱ローラーとして熱処理を施すことでマルチフィラメントの熱収縮を設計することが好ましい。各ゴデットローラーはネルソンローラー、駆動ローラーに従動型のセパレートローラーがついたもの、片掛けローラーのいずれであってもよい。熱処理温度は120~180℃であることが好ましい。また、糸条に収束性を与えると共にマイグレーション処理をするために、給油した後に各ゴデットローラー前後の任意の箇所でインターレースを施す。インターレースの箇所は限定されるものではないが、複数箇所でインターレースを施すことで適正に設計することが好ましい。
本発明の発色性と堅牢性を両立した接触冷感・吸放湿性ポリアミド繊維の断面形状は特に限定されるものではないが、丸断面に限らず、偏平断面、レンズ型断面、三葉断面、四葉断面、中空断面のような変形断面でもよい。
また、その繊度は特に限定されないが、総繊度が20~100dtex程度であり、単糸繊度が0.5~8.0detx程度であるマルチフィラメントの場合に好適である。例えば、インナーウェアの場合には、ソフト性、ドレープ性の点から単糸繊度が4dtex以下であるマルチフィラメントの場合に好適である。さらに好ましくは3detx以下であり、0.5~3dtexがさらに好ましい。得られた高吸湿性マルチフィラメントは、特別な条件をとることなく、通常の方法で後加工や製編織され、縫製されて、各種衣料用製品とされる。なかでも、直接肌に着用されるインナーウェア(ティーシャツ、ランジェリー、ファウンデーション等)や靴下類(タイツあるいはソックス等)、あるいは、発汗し易い状態で着用されるスポーツウェア(ウィンドブレーカー、テニスウェア、スキーウェア、トレーニングウェア等)として好適である。
これら衣料用製品において吸湿効果を発揮するためには、本発明の発色性と堅牢性を両立した接触冷感・吸放湿性ポリアミド繊維を30重量%以上用いることが好ましい。また、本発明の発色性と堅牢性を両立した接触冷感・吸放湿性ポリアミド繊維を含む繊維製品は、乾燥速度が0.015cc/分以上と速いことがべたつき感を抑え着用快適性に優れた製品とするために好適である。そのためにはPVP含有率や溶出率が大き過ぎない適正水準となるように調整する等の手段をとればよい。
織物は、常法によって製織することにより織物とすることができる。まず経糸用の繊維をクリールに並べて整経をおこないビームに巻き、つづいてビームに巻いた繊維を糊付け・乾燥して経糸の準備をおこなう。つづいて経糸を織機のオサに通し、緯糸を打ち込んで織物を仕立てる。織機はシャトル織機、エアジェットルーム織機、ウオータージェットルーム織機、レピア織機、グリッパシャトル織機などの種類があるがいずれの織機で製造しても良い。好ましくは、生産性が高いエアジェットルーム織機、ウオータージェットルーム織機である。
また緯糸の打ち込み方により、平組織、斜文組織(ツイル)、朱子組織(サテン)などのいくつかの織組織があるが目的に応じていずれをも選ぶことができる。さらに、織物に使用される経糸および緯糸については、少なくともどちらか一方に本発明の発色性と堅牢性を両立した接触冷感・吸放湿性ポリアミド繊維のフラットヤーン、仮撚加工糸、複合加工糸のいずれかが使用されていることが必要である。片方が本発明の異繊度異形断面混繊ポリアミド糸を用いた場合、もう一方の繊維は天然繊維、化学繊維等特に限定しない。
編物は、常法によって製編することにより編物とすることができる。編機は横編機、丸編機、経編機などの種類があるがいずれの編機で製造しても良い。
また編成により、丸編み、横編の場合は、平編、リブ編、パール編、インターロック(両面編)、経編の場合は、アトラス組織、デンビー組織、コード組織などのいくつかの編組織があるが目的に応じていずれをも選ぶことができる。さらに、編物に使用される糸については、少なくとも本発明の発色性と堅牢性を両立した接触冷感・吸放湿性ポリアミド繊維のフラットヤーン、仮撚加工糸、複合加工糸のいずれかが使用されていることが必要である。片方が異繊度異形断面混繊ポリアミド糸を用いた場合、もう一方の繊維は天然繊維、化学繊維等特に限定しない。
染色は、常法によって染色可能である。染色機には、液流染色機、ジッガー染色機、ビーム染色機、ウインス染色機などの種類があるがいずれの染色機で染色してもよいが、生産性の高い液流染色機が好ましく用いられる。また、ヒートセットは、織編物の形態の固定、寸法安定性、外観や風合いの調整、染色性の均一化を行うために行われ、繊維のガラス転移点以上、染色温度以上の温度で乾熱セット、スチームセットされることが好ましい。さらに好ましくは、スチームセットは100~110℃、乾熱セットは130~190℃で行う。ヒートセット機には、ピンテンター、サクションドラム、ショートループドライヤー、シリンダーヒートセット機、アイロン、高温高圧スチーマ、真空スチームセット機などの種類があるがいずれのヒートセット機を用いてもよい。
また、必要に応じて仕上げ及び処理加工を施してもよい。また、仕上げ加工として機械的に加圧・加熱したりもみほぐしたりすることで繊維構造を物理的に変化させて仕上げを行う物理的加工(カレンダー加工等)や樹脂などを含む化学剤の処理により新たな機能(撥水・撥油、透湿・防水、防炎・難燃、防かび、防ダニ、防臭・消臭、防汚、防しわ、帯電防止)を付与させる化学的加工を施しても良い。合成繊維との交織の場合、光沢向上、低通気性付与のために、カレンダー加工を行うなどがある。
前述した工程により得られた織編物は、主に衣料製品に用いられる。衣料製品とは、インナーウェア、スポーツウェア、カジュアルウェア等であり、例えば、コート、ジャケット、スラックス、パンツ、スカート、ブラウスなどの外衣、メンズおよびレディース向けのインナーウェア、タイツなどのレッグ用に使用される。
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。実施例中の各測定値は次の方法に従った。
(1)アミノ末端基量
試料1gを50mLのフェノール/エタノール混合溶液(フェノール/エタノール=80/20)に、30℃で振とう溶解させて溶液とした。この溶液を0.02N-塩酸で中和滴定し、中和滴定に要した0.02N-塩酸量を求めた。また、上記フェノール/エタノール混合溶媒(上記と同量)のみを0.02N-塩酸で中和滴定し、中和滴定に要した0.02N-塩酸の量を求める。そして、その差から試料1gあたりのアミノ末端基量を求めた。
(2)無機粒子含有量
繊維試料を、JIS L1013(化学繊維フィラメント糸試験方法、2010年)、8.25項 灰分に準じ測定した。
(3)筒編み作製・染色
筒編機へ仮撚り加工糸を1本で給糸し、筒編機にて度目が50となるように調整して作製した。得られた筒編み地をノニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ノイゲンSS)2g/l水溶液を編み地1gに対し100ml用意し、60℃にて30分洗浄した後、流水にて20分水洗し、脱水機にて脱水、風乾した。その後、以下の染料及び染色助剤を用いて染色した。
酸性染料:TELON(株式会社松村)5.0質量%
染色助剤:酢酸 1.5%
酸性染料、染色助剤を含む染色浴に常圧98℃設定で45分間染色した後、流水にて20分水洗し、脱水機にて脱水、風乾した。
(4)発色性(L値)
発色性の評価指標としては、上記H項で得られた筒編み地をスガ試験機(株)製カラーメーターSM-Tを用いて、L値を3回測定した平均値より算出した。
L値の結果判定については、下記に示す範囲を基準とし、◎、〇を合格とした。
◎:25未満
○:25以上~35未満
×:35以上
(5)洗濯堅牢性
上記(2)で得られた染色筒編地を、JIS L0844(洗濯に対する染色堅ろう度試験方法、2009年)、7.1項A法に準じ、表7中のA-2条件にて測定した。判定はJIS L0801(2009)10項(a)の視感法に従って、変退色および色落ちについて級判定を実施した。洗濯堅牢性の判定は以下に示す範囲を基準とした。
◎:変退色および色落ち判定のいずれも5級
○:変退色および色落ち判定のいずれも3~4級
×:少なくとも変退色か色落ち判定の1つが2級以下
(6)接触冷感性(q-max)
肌側の蓄えられた熱量を、低温側の衣服に速やかに移動する熱量の指標として、q-max(W/cm)を用いる。この値が高いと肌側の蓄えられた熱量が、低温側の衣服に速やかに移動でき、衣服が肌に触れた直後に接触冷感を感じ、着用時の快適性が良好であることに対応する。
A.q-max(W/cm
室温を20℃、相対湿度60%に調整した室内に、上記(11)Aで得られた筒編地と装置(KES-F7 THERMO LABO II TYPE(カトーテック(株)製))を1昼夜放置しておく。生地に接触させて熱の移動量を測定するT-BOXを室温より10℃高くするために蓄熱する熱板BTを30℃に設定し、BTを暖めるためにBTの回りでガードしている熱板G-BTを20.3℃に設定し、安定させる。生地の裏(着用時に肌側になる)面を上に向けたサンプルを置き、T-BOXをサンプルの上に素早くのせてq-maxを測定する。なお、サンプルの目付(g/cm)は測定部の生地を10cm四方に切断し、重量を測定して算出した。q-maxの判定は以下に示す範囲を基準とした。
◎:0.240以上
○:0.190以上
×:0.190未満
(7)吸放湿性(ΔMR)
上記(2)で得られた筒編地を、秤量瓶に1~2g程度はかり取り、110℃に2時間保ち乾燥させ重量を測定し(W0)、次に対象物質を20℃、相対湿度65%に24時間保持した後重量を測定する(W65)。そして、これを30℃、相対湿度90%に24時間保持した後重量を測定する(W90)。そして、以下の式にしたがい計算した。
MR1=[(W65-W0)/W0]×100% ・・・・・ (1)
MR2=[(W90-W0)/W0]×100% ・・・・・ (2)
ΔMR=MR2-MR1 ・・・・・・・・・・・・ (3)
吸放湿性の判定は以下に示す範囲を基準とした。
◎:4.0以上
○:3.0以上~4.0未満
×:3.0未満
(8)総合評価
発色性(L値)、洗濯堅牢性、接触冷感性、吸放湿性(ΔMR)評価結果から以下に示す範囲を基準として判定した。
◎:◎が3つ以上
○:◎が2つ以下
×:少なくとも1つ以上に×がある。
[実施例1]
ポリアミドとして、アミノ末端基量が7.5×10-5mol/gになるように調整し、容量200リットルの重合反応装置にε-カプロラクタムの85%水溶液を175kg、ヘキサメチレンジアミンを460g仕込み溶解させ均一な溶液にした。重合反応装置内を窒素シールした後、反応装置の内圧が0.98MPaになるまで1時間で昇温させ、この圧力を維持したまま250℃まで昇温を続けた。250℃到達後、40分かけて大気圧になるまで放圧を行った。その後大気圧で、250℃で50分保持した後、ポリマーを吐出して冷却/カッティングし、ペレット状にした。このペレット中の未反応成分をペレットに対して20倍量の98℃の熱水で抽出し、真空乾燥機で乾燥した。得られたポリアミドチップのηrは2.6、アミノ末端基量は7.5×10-5mol/gであった。
上記の方法で得たポリアミドにPVP(BASF社製“ルビテック”K30スペシャルグレード)を溶融混練しガット状に押し出し、冷却後にペレタイズすることで、PVP濃
度20重量%のPVPマスターチップとした。
また、上記の方法で得たポリアミドに酸化チタン(富士チタン製:TA500)を溶融混練しガット状に押し出し、冷却後にペレタイズすることで、酸化チタン濃度20重量%の酸化チタンマスターチップとした。
上記のポリアミドチップとPVPマスターチップおよび酸化チタンマスターチップをPVP含有量が2.0%、酸化チタン含有量が1.2%となるようチップブレンドし、紡糸温度260℃にて溶融し、吐出孔径0.20mm、孔長0.50mmの丸孔を26ホール有する紡糸口金から吐出させ、冷却装置にて冷風を吹き付けて冷却固化し、給油装置により給油した後、交絡ノズル装置で交絡を付与し、引き取りローラーと表面温度155℃の延伸ローラー間の延伸倍率2.3倍にて延伸、延伸ローラーとワインダー間のリラックス率を1.0%として、巻取速度が4000m/minのワインダーで巻き取り、44dtex-26フィラメントのポリアミド繊維を得た。
得られたポリアミド繊維について、アミノ末端基量、酸化チタン量を測定し、筒編地にて、染色性、堅牢性の評価を行った。その結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1のポリアミドチップとPVPマスターチップおよび酸化チタンマスターチップをPVP含有量が3.0%、酸化チタン含有量が7.0%となるようチップブレンドし、実施例1と同様の紡糸条件においてポリアミド糸を得た。
次に、得られたポリアミド繊維について、アミノ末端基量、酸化チタン量を測定し、筒編地にて、染色性、堅牢性の評価を行った。その結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1で得たポリアミドチップを用い硫酸バリウムを溶融混練しガット状に押し出し、冷却後にペレタイズすることで、硫酸バリウム濃度20重量%の硫酸バリウムマスターチップとした。ポリアミドチップとPVPマスターチップおよび硫酸バリウムマスターチップをPVP含有量が4.0%、硫酸バリウム含有量が1.2%となるようチップブレンドし、実施例1と同様の紡糸条件においてポリアミド糸を得た。
次に、得られたポリアミド繊維について、アミノ末端基量、酸化チタン量を測定し、筒編地にて、染色性、堅牢性の評価を行った。その結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1のポリアミドチップとPVPマスターチップおよび酸化チタンマスターチップをPVP含有量が2.5%、酸化チタン含有量が3.0%となるようチップブレンドし、実施例1と同様の紡糸条件においてポリアミド糸を得た。
次に、得られたポリアミド繊維について、アミノ末端基量、酸化チタン量を測定し、筒編地にて、染色性、堅牢性の評価を行った。その結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1と同様の重合方法でアミノ末端基量が14.5×10-5mol/gに調整したポリアミドチップを作製し、それを用いたPVPマスターチップ(20重量%)および酸化チタンマスターチップ(20重量%)をPVP含有量が5.0%、酸化チタン含有量が3.0%となるようチップブレンドし、実施例1と同様の紡糸条件においてポリアミド糸を得た。
次に、得られたポリアミド繊維について、アミノ末端基量、酸化チタン量を測定し、筒編地にて、染色性、堅牢性の評価を行った。その結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例1のポリアミドチップとPVPマスターチップおよび酸化チタンマスターチップをPVP含有量が5.0%、酸化チタン含有量が4.0%となるようチップブレンドし、実施例1と同様の紡糸条件においてポリアミド糸を得た。
次に、得られたポリアミド繊維について、アミノ末端基量、酸化チタン量を測定し、筒編地にて、染色性、堅牢性の評価を行った。その結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1と同様の重合方法でアミノ末端基量5.0×10-5mol/gに調整したポリアミドチップを作製し、それを用いたPVPマスターチップ(20重量%)および酸化チタンマスターチップ(20重量%)をPVP含有量が0.0%、酸化チタン含有量が5.0%となるようチップブレンドし、実施例1と同様の紡糸条件においてポリアミド糸を得た。
次に、得られたポリアミド繊維について、アミノ末端基量、酸化チタン量を測定し、筒編地にて、染色性、堅牢性の評価を行った。その結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1と同様の重合方法でアミノ末端基量5.0×10-5mol/gに調整したポリアミドチップを作製し、それを用いたPVPマスターチップ(20重量%)および酸化チタンマスターチップ(20重量%)をPVP含有量が7.0%、酸化チタン含有量が0.0%となるようチップブレンドし、実施例1と同様の紡糸条件においてポリアミド糸を得た。
次に、得られたポリアミド繊維について、アミノ末端基量、酸化チタン量を測定し、筒編地にて、染色性、堅牢性の評価を行った。その結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1と同様の重合方法でアミノ末端基量5.0×10-5mol/gに調整したポリアミドチップを作製し、それを用いたPVPマスターチップ(20重量%)および酸化チタンマスターチップ(20重量%)をPVP含有量が0.0%、酸化チタン含有量が1.5%となるようチップブレンドし、実施例1と同様の紡糸条件においてポリアミド糸を得た。
次に、得られたポリアミド繊維について、アミノ末端基量、酸化チタン量を測定し、筒編地にて、染色性、堅牢性の評価を行った。その結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例1のポリアミドチップとPVPマスターチップおよび酸化チタンマスターチップをPVP含有量が0.0%、酸化チタン含有量が1.5%となるようチップブレンドし、実施例1と同様の紡糸条件においてポリアミド糸を得た。
次に、得られたポリアミド繊維について、アミノ末端基量、酸化チタン量を測定し、筒編地にて、染色性、堅牢性の評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2022025218000001
実施例1~6のポリアミド繊維から作製した筒編み地は、発色性、洗濯堅牢性、接触冷感性、吸放湿性のいずれの特性も優れており、総合的に良好な結果が得られた。表1の結果から明らかなように本発明の実施例のポリアミド繊維は、発色性と堅牢性の両立および接触冷感性と吸放湿性の全ての優れた特性を発現し、また、繊維製品にした際に、その発色性と堅牢性の両立および接触冷感性と吸放湿性の全ての特性を発現することが可能となる。その優れた特徴を有することから、例えば、インナーニット用途やアウター用途のような織編物などの繊維製品を提供することが可能となる。
一方、比較例1のポリアミド繊維の筒編み地は、アミノ末端基量が少なく染着座席が不十分であり、また、PVPの含有がないために、繊維の構造が緻密になり染料が入り込めず発色性に劣る。また、吸放湿性も発現せず、総合評価に劣る結果となった。比較例2のポリアミド繊維の筒編み地は、アミノ末端基量が少なく染着座席が不十分であるために洗濯堅牢性が悪化し、無機粒子の添加なく無機粒子による接触冷感も得られず、総合評価に劣る結果となった。比較例3のポリアミド繊維の筒編み地は、アミノ末端基量が少なく染着座席が不十分であり、また、PVPの含有がないために、繊維の構造が緻密になり染料が入り込めず発色性に劣る。また、吸放湿性も発現せず、総合評価に劣る結果となった。また、比較例4のポリアミド繊維の筒編み地は、PVPの含有がないために、繊維の構造が緻密になり染料が入り込めず発色性が低下する。また、吸放湿性も発現せず、総合評価に劣る結果となった。
本発明の発色性と接触冷感性や吸放湿性などの快適性を両立するポリアミド繊維は、鮮やかで深い発色性と堅牢性を両立し、着用時のムレやべたつきを防ぐ快適性を有した繊維製品が得られ、インナー用途やアウター用途のような織編物などの繊維製品の快適性向上を得るのに好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 主成分がポリアミドからなり、アミノ末端基量が7×10-5~15×10-5mol/gであり、ポリビニルピロリドンを2~10重量%含有し、無機粒子を繊維全体で1~8重量%含有することを特徴とするポリアミド繊維。
  2. 無機粒子が酸化チタンであることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド繊維。
  3. 請求項1または2に記載のポリアミド繊維を含む繊維製品。
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