JP2022023004A - 三次元物体前駆体処理剤組成物 - Google Patents

三次元物体前駆体処理剤組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】三次元物体の損傷、及びそれに伴う三次元物体の変色を抑制しつつ水溶性サポート材を除去することができる三次元物体前駆体処理剤組成物、三次元物体の製造方法、サポート材除去方法及び三次元物体の損傷抑制方法を提供する。【解決手段】樹脂を含有する三次元物体と水溶性サポート材とを含む三次元物体前駆体から、前記水溶性サポート材を除去する為の三次元物体前駆体処理剤組成物であって、前記三次元物体前駆体処理剤組成物が、下記式(I)に示す化合物(成分A)、アニオン界面活性剤(成分B)及び水(成分C)を含有し、前記成分Bが、炭素数6以上20以下のアルキル基と酸基とを有する、三次元物体前駆体処理剤組成物。JPEG2022023004000016.jpg35170(式(I)において、R1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立に炭化水素基を示す。)【選択図】なし

Description

本発明は、三次元物体前駆体処理剤組成物に関する。
3Dプリンタは、ラピッドプロトタイピング(Rapid Prototyping)の一種で、3D CAD、3D CGなどの3Dデータを元に三次元物体を造形する立体プリンタである。3Dプリンタの方式としては、熱溶融積層方式(以下、FDM方式とも称する)、インクジェット紫外線硬化方式、光造形方式、レーザー焼結方式等が知られている。これらのうち、FDM方式は重合体フィラメントを加熱/溶融し、押し出して積層させて三次元物体を得る造形方式であり、他の方式とは異なり材料の反応を用いない。そのためFDM方式の3Dプリンタは小型かつ低価格であり、後処理が少ない装置として近年普及が進んでいる。当該FDM方式で、より複雑な形状の三次元物体を造形するためには、三次元物体を構成する造形材、及び造形材の三次元構造を支持するためのサポート材を積層して三次元物体前駆体を得て、その後、三次元物体前駆体からサポート材を除去することで目的とする三次元物体を得ることができる。
三次元物体前駆体からサポート材を除去する手法として、水溶性のサポート材を用い、水系の処理剤組成物で当該三次元物体前駆体を処理する手法がある(例えば、特許文献1)。当該特許文献1には、三次元物体と、親水性モノマー及び疎水性モノマーをモノマー単位として有する(メタ)アクリル酸系共重合体を含むサポート材と、を含む三次元物体前駆体を、特定の第4級アンモニウム塩に由来する化合物を含有する三次元物体前駆体処理剤組成物に浸漬することによってサポート材を除去する手法が開示されている。
また、特許文献2には三次元物体前駆体から水溶性サポート材を除去する際の三次元物体の白化等の変色を防止する技術として、特定の非イオン化合物を含む、3Dプリンタ用サポート材除去組成物が開示されている。そして、その実施例にはインクジェット方式の3Dプリンタで作成した立体造形物に対して、pH7.0に調整されたサポート材除去組成物では評価用テストピースに白化は確認されないが、pHが14.0の比較例のサポート材除去組成物では評価用テストピースに白化が確認されたことが開示されている。
特開2020-82519号公報 特開2019-116049号公報
しかしながら、FDM方式の3Dプリンタのサポート材には、例えば、特許文献1のように(メタ)アクリル酸系樹脂などアルカリ性で水への溶解性が高まる水溶性樹脂が用いられる場合がある。サポート材の溶解性を高める点からアルカリ性に調整しても三次元物体の損傷、及びそれに伴う三次元物体の変色が抑制される処理剤が望まれる。
本発明は、三次元物体の損傷、及びそれに伴う三次元物体の変色を抑制しつつ水溶性サポート材を除去することができる三次元物体前駆体処理剤組成物、三次元物体の製造方法、サポート材除去方法及び三次元物体の損傷抑制方法を提供することを課題とする。
本発明の三次元物体前駆体処理剤組成物は、樹脂を含有する三次元物体と水溶性サポート材とを含む三次元物体前駆体から、前記水溶性サポート材を除去する為の三次元物体前駆体処理剤組成物であって、前記三次元物体前駆体処理剤組成物が、下記式(I)に示す化合物(成分A)、アニオン界面活性剤(成分B)及び水(成分C)を含有し、前記成分Bが、炭素数6以上20以下のアルキル基と酸基とを有する。
Figure 2022023004000001
(式(I)において、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示す。)
本発明の三次元物体の製造方法は、樹脂を含有する三次元物体と、水溶性サポート材とを含む三次元物体前駆体を得る造形工程、及び当該三次元物体前駆体を三次元物体前駆体処理剤組成物に接触させ、前記水溶性サポート材を除去するサポート材除去工程を有する三次元物体の製造方法であって、前記三次元物体前駆体処理剤組成物が、前記三次元物体前駆体処理剤組成物である。
本発明のサポート材除去方法は、樹脂を含有する三次元物体と、水溶性サポート材とを含む三次元物体前駆体を前記三次元物体前駆体処理剤組成物に接触させ、前記サポート材を除去する。
本発明の三次元物体の損傷抑制方法は、樹脂を含有する三次元物体を三次元物体損傷抑制剤に接触させる損傷抑制工程を有する、三次元物体の損傷抑制方法であって、前記三次元物体損傷抑制剤が、前記式(I)に示す化合物(成分A)、前記アニオン界面活性剤(成分B)及び水(成分C)を含有する。
本発明によれば、三次元物体の損傷、及びそれに伴う三次元物体の変色を抑制しつつ水溶性サポート材を除去することができる三次元物体前駆体処理剤組成物、三次元物体の製造方法、サポート材除去方法及び三次元物体の損傷抑制方法を提供することができる。
<三次元物体前駆体処理剤組成物>
本実施形態の三次元物体前駆体処理剤組成物(以下、単に「処理剤組成物」ともいう)は、樹脂を含有する三次元物体と水溶性サポート材とを含む三次元物体前駆体から、前記水溶性サポート材を除去する為の三次元物体前駆体処理剤組成物であって、前記三次元物体前駆体処理剤組成物が、下記式(I)に示す化合物(成分A)、アニオン界面活性剤(成分B)及び水(成分C)を含有し、前記成分Bが、炭素数6以上20以下のアルキル基と酸基とを有する。
Figure 2022023004000002
(式(I)において、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示す。)
本実施形態の処理剤組成物によれば、三次元物体の損傷、及びそれに伴う三次元物体の変色を抑制しつつ水溶性サポート材を除去することができる。本実施形態の処理剤組成物の効果の発現機構は定かではないが、以下のように考えられる。
前記処理剤組成物に含有されるアニオン界面活性剤(成分B)の疎水基が、三次元物体の樹脂表面に吸着し、親水基が水系に配向する。前記式(I)に示す化合物(成分A)が三次元物体の樹脂に侵入することにより損傷が生じるが、当該成分AのRとRの合計の炭素数が所定の範囲内であることにより、当該成分Aのカチオン基が前記親水基に対して静電反発し、三次元物体の樹脂中への侵入が制限されるため、三次元物体の損傷、及びそれに伴う三次元物体の変色を抑制しつつ水溶性サポート材を除去することができると考えられる。
〔式(I)に示す化合物(成分A)〕
前記成分Aは、速やかにサポート材を除去するため、下記式(I)に示す化合物であればいずれのものも使用できる。
Figure 2022023004000003
(式(I)において、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示す。)
前記式(I)において、水溶性サポート材を除去する観点から、R及びRは何れもアルキル基であることが好ましく、RとRの合計の炭素数は7以下が好ましく、6以下がより好ましく、5以下が更に好ましく、同様の観点から、2以上が好ましい。
前記式(I)において、水溶性サポート材を除去する観点から、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上14以下の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1以上12以下の炭化水素基が好ましく、炭素数1以上10以下の炭化水素基がより好ましい。炭化水素基は、直鎖及び分岐鎖のアルキル基、ベンジル基及びアダマンチル基等の環構造を含んでも良い。
前記式(I)に示す化合物としては、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、プロピルトリメチルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ペンチルトリメチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルアンモニウム、オクチルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、N,N,N-トリメチル-1-アダマンチルアンモニウム、N,N,N-トリエチル-1-アダマンチルアンモニウム等が例示でき、水溶性サポート材を除去する観点から、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、プロピルトリメチルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ペンチルトリメチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルアンモニウム、オクチルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、又はベンジルトリエチルアンモニウムが好ましく、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、プロピルトリメチルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、又はベンジルトリエチルアンモニウムがより好ましく、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、又はベンジルトリエチルアンモニウムが更に好ましく、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、又はベンジルトリエチルアンモニウムが更に好ましい。前記成分Aは少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記処理剤組成物の前記成分Aの含有量は、水溶性サポート材を除去する観点から、30mmol/L以上が好ましく、50mmol/L以上がより好ましく、60mmol/L以上が更に好ましく、70mmol/L以上が更に好ましく、90mmol/L以上が更に好ましく、同様の観点から、1000mmol/L以下が好ましく、800mmol/L以下がより好ましく、500mmol/L以下が更に好ましく、300mmol/L以下が更に好ましく、150mmol/L以下が更に好ましい。また、30mmol/L以上1000mmol/L以下が好ましく、50mmol/L以上800mmol/L以下がより好ましく、60mmol/L以上500mmol/L以下が更に好ましく、70mmol/L以上300mmol/L以下が更に好ましく、90mmol/L以上150mmol/L以下が更に好ましい。
〔式(II)の化合物(成分A’)〕
前記成分Aの由来としては第4級アンモニウム塩の下記式(II)に示す化合物(成分A’)であることが好ましい。イオン性を有することで、アニオン性化合物が吸着したモデル材表面で電荷反発により、モデル材内への浸透が抑制される。
Figure 2022023004000004
(式(II)において、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示し、Mは水酸化物イオン又はハロゲン原子のイオンを示す。)
前記式(II)において、R、R、R、Rは、式(I)におけるR、R、R、Rとそれぞれ同様であるため説明を省略する。
前記式(II)において、Mは、水酸化物イオン、ハロゲン原子のイオンであって、水溶性サポート材を除去する観点から、水酸化物イオン、塩化物イオン又は臭化物イオンが好ましい。また、前記式(II)において、Mは、水溶性サポート材を除去する観点から、ハロゲン原子のイオンを含む場合は、水酸化物イオンを併用することが好ましい。Mは、前記式(I)の対イオンとする化合物を添加して前記処理剤組成物に含有させても良く、別途Mを含む化合物を添加して前記処理剤組成物に含有させても良い。
前記式(II)に示す化合物は、具体的には、前記式(I)に示す化合物の水酸化物、塩化物、臭化物が挙げられ、水溶性サポート材を除去する観点から、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムクロリド、エチルトリメチルアンモニウムブロミリド、プロピルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、プロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ブチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリメチルアンモニウムクロリド、ペンチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ペンチルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、N,N,N-トリメチル-1-アダマンチルアンモニウムヒドロキシド、N,N,N-トリメチル-1-アダマンチルアンモニウムクロリド、N,N,N-トリエチル-1-アダマンチルアンモニウムヒドロキシド、又はN,N,N-トリエチル-1-アダマンチルアンモニウムクロリドが好ましく、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、N,N,N-トリメチル-1-アダマンチルアンモニウムヒドロキシド、N,N,N-トリメチル-1-アダマンチルアンモニウムクロリドがより好ましく、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、又はベンジルトリメチルアンモニウムブロミドが更に好ましい。前記成分A’は少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記処理剤組成物の前記成分A’の含有量は、水溶性サポート材を除去する観点から、30mmol/L以上が好ましく、50mmol/L以上がより好ましく、60mmol/L以上が更に好ましく、70mmol/L以上が更に好ましく、同様の観点から、1000mmol/L以下が好ましく、800mmol/L以下がより好ましく、500mmol/L以下が更に好ましく、300mmol/L以下が更に好ましい。また、30mmol/L以上1000mmol/L以下が好ましく、50mmol/L以上800mmol/L以下がより好ましく、60mmol/L以上500mmol/L以下が更に好ましく、70mmol/L以上300mmol/L以下が更に好ましい。
前記処理剤組成物の前記成分A’の含有量は、水溶性サポート材を除去する観点から、0.1g/100mL以上が好ましく、0.3g/100mL以上がより好ましく、0.5g/100mL以上が更に好ましく、0.7g/100mL以上が更に好ましく、同様の観点から、10g/100mL以下が好ましく、8g/100mL以下がより好ましく、6g/100mL以下が更に好ましく、4g/100mL以下が更に好ましい。また、0.1g/100mL以上10g/100mL以下が好ましく、0.3g/100mL以上8g/100mL以下がより好ましく、0.5g/100mL以上6g/100mL以下が更に好ましく、0.7g/100mL以上4g/100mL以下が更に好ましい。
〔アニオン界面活性剤(成分B)〕
前記処理剤組成物は、三次元物体の損傷、及びそれに伴う三次元物体の変色を抑制しつつ水溶性サポート材を除去する観点から、前記成分Bを含有する。前記成分Bは、同様の観点から、炭素数6以上20以下のアルキル基と酸基とを有する。
前記成分Bが有するアルキル基の炭素数は、三次元物体の損傷、及びそれに伴う三次元物体の変色を抑制しつつ水溶性サポート材を除去する観点から、6以上であり、10以上が好ましく、11以上が好ましく、12以上がより好ましく、水溶性サポート材を除去する観点から、20以下であり、18以下が好ましく、16以下がより好ましく、14以下が更に好ましい。また、前記成分Bが有するアルキル基の炭素数は、6以上20以下であり、10以上18以下が好ましく、12以上16以下がより好ましく、12以上14以下が更に好ましい。アルキル基は、直鎖及び分岐鎖が挙げられ、直鎖が好ましい。
前記酸基は、三次元物体の損傷、及びそれに伴う三次元物体の変色を抑制しつつ水溶性サポート材を除去する観点から、カルボキシ基、硫酸基、スルホン酸基、及びリン酸基からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、カルボキシ基、及び硫酸基からなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。
前記成分Bを構成する塩としては、ナトリウム及びカリウムから選ばれるアルカリ金属;アルギニン等の塩基性アミノ酸;モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム等のアルカノールアンモニウム;アンモニウム等が挙げられ、これらの中でもサポート材の除去性を向上させる観点からアルカリ金属が好ましい。
前記処理剤組成物の前記成分Bの含有量は、三次元物体の損傷、及びそれに伴う三次元物体の変色を抑制しつつ水溶性サポート材を除去する観点から、0.001g/100mL以上が好ましく、0.003g/100mL以上がより好ましく、0.005g/100mL以上が更に好ましく、水溶性サポート材を除去する観点から、10g/100mL以下が好ましく、5g/100mL以下がより好ましく、1g/100mL以下が更に好ましい。また、0.001g/100mL以上10g/100mL以下が好ましく、0.003g/100mL以上5g/100mL以下がより好ましく、0.005g/100mL以上1g/100mL以下が更に好ましい。
前記処理剤組成物の前記成分Bの含有量は、三次元物体の損傷、及びそれに伴う三次元物体の変色を抑制しつつ水溶性サポート材を除去する観点から、前記成分A100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上であり、水溶性サポート材を除去する観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。また、前記成分A100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上6質量部以下、更に好ましくは1質量部以上6質量部以下、更に好ましくは1.5質量部以上3質量部以下である。
〔水(成分C)〕
前記成分Cは、工業用水、水道水及び脱イオン水等を用いることができ、供給性及びコストの観点から、工業用水が好ましく、水溶性サポート材を除去する観点から、脱イオン水が好ましい。
前記処理剤組成物の前記成分Cの含有量は、使用時で79質量%以上が好ましく、99.6質量%以下が好ましい。前記処理剤組成物が前記成分A及び前記成分B以外の成分を含まない場合、当該処理剤組成物中の水の含有量は、前記成分A及び前記成分B並びにそれらの対イオンを除いた残部である。
〔その他〕
前記処理剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、アルカリ、水溶性溶剤、前記成分B以外の界面活性剤、ビルダー成分、増粘剤、pH調整剤、防腐剤、防錆剤、顔料、着色剤等が含まれていてもよい。着色剤を含有する処理剤組成物は、サポート材の種類によっては、サポート材が溶解することで色が変化するため、着色剤は、処理の進行程度や終了時期を示す指示薬としての機能も期待できる。
[アルカリ(成分D)]
前記処理剤組成物は、水溶性サポート材を除去する観点から、成分Dを含有することが好ましい。前記成分Dとしては有機アルカリ化合物及び無機アルカリが挙げられる。前記成分Dは水溶性サポート材を除去する観点から無機アルカリが好ましい。前記無機アルカリの具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、オルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、セスキ珪酸ナトリウム等のアルカリ金属の珪酸塩、リン酸三ナトリウム等のアルカリ金属のリン酸塩、炭酸二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸二カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、ホウ酸ナトリウム等のアルカリ金属のホウ酸塩等を用いることができる。二種以上の無機アルカリを組み合わせてもよい。水溶性サポート材を除去する観点から、アルカリ金属の水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムがより好ましく、水酸化ナトリウムがさらに好ましい。前記成分Dは少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記処理剤組成物の前記成分Dの含有量は、水溶性サポート材を除去する観点から、0.1mmol/L以上が好ましく、0.5mmol/L以上がより好ましく、1mmol/L以上が更に好ましく、3mmol/L以上が更に好ましく、同様の観点から、5000mmol/L以下が好ましく、1000mmol/L以下がより好ましく、800mmol/L以下が更に好ましく、300mmol/L以下が更に好ましい。また、0.1mmol/L以上5000mmol/L以下が好ましく、0.5mmol/L以上1000mmol/L以下がより好ましく、1mmol/L以上800mmol/L以下が更に好ましく、3mmol/L以上300mmol/L以下が更に好ましい。
前記処理剤組成物のpHは、水溶性サポート材を除去する観点から、10以上が好ましく、11以上がより好ましく、12以上が更に好ましい。また、前記処理剤組成物のpHは、14以下であることが好ましい。
前記処理剤組成物は、前記成分Aの由来としての前記成分A’、前記成分B、及び前記成分C並びにその他の任意成分を配合することにより製造することができる。なお、前記成分A’、前記成分B、及び前記成分C、並びにその他の任意成分を配合した場合、成分A’と成分Cが塩交換を起こし、成分A’、成分Cとは異なる複数の塩が平衡状態にある前記処理剤組成物を製造することができる。
<三次元物体の製造方法>
本実施形態の三次元物体の製造方法は、樹脂を含有する三次元物体と、水溶性サポート材とを含む三次元物体前駆体を得る造形工程、及び当該三次元物体前駆体を前記三次元物体前駆体処理剤組成物に接触させ、前記水溶性サポート材を除去するサポート材除去工程を有する。本実施形態の三次元物体の製造方法によれば、三次元物体の損傷、及びそれに伴う三次元物体の変色を抑制しつつ水溶性サポート材を除去することができる。本実施形態の三次元物体の製造方法がこのような効果を奏する理由としては前記処理剤組成物が前記効果を奏する理由と同様の理由が考えられる。
〔造形工程〕
樹脂を含有する三次元物体と、水溶性サポート材とを含む三次元物体前駆体を得る造形工程は、公知の3Dプリンタによる三次元物体の製造方法における三次元物体及び水溶性サポート材を含む三次元物体前駆体を得る工程を利用することができる。公知の3Dプリンタによる三次元物体の製造方法の方式としてはFDM方式、インクジェット紫外線硬化方式、光造形方式、レーザー焼結方式等があり、これらの中でもFDM方式、インクジェット紫外線硬化方式、又は光造形方式が好適に用いることが出来、FDM方式がより好適に用いることが出来る。
前記三次元物体の材料である造形材は、従来の三次元物体の製造方法で造形材として用いられる樹脂であれば特に限定なく用いることが出来る。当該樹脂としては、ABS樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリカーボネート樹脂、12-ナイロン、6,6-ナイロン、6-ナイロン、ポリフェニルサルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、及びポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂が例示でき、これらの中でもポリカーボネート樹脂、12-ナイロン、6,6-ナイロン、6-ナイロン、ポリフェニルサルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、及びポリエーテルイミドが好適に用いることが出来、ポリカーボネート樹脂を含有する樹脂が更に好適に用いることが出来る。
前記水溶性サポート材の材料である三次元造形用可溶性材料は、従来の三次元物体の製造方法で三次元造形用可溶性材料として用いられる樹脂である。水溶性サポート材は、サポート材除去速度を向上させることができる観点から、アルカリ水溶液に可溶性を示すアルカリ水溶性サポート材であることが好ましく、(メタ)アクリル酸系共重合体、ポリアクリル酸、スルホポリエステルからなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましい。
前記造形材と前記三次元造形用可溶性材料は、別々のノズルで吐出されるのが好ましい。
〔サポート材除去工程〕
前記サポート材除去工程は、前記三次元物体前駆体を前記処理剤組成物に接触させ、前記水溶性サポート材を除去する工程である。三次元物体前駆体を前記処理剤組成物に接触させる手法は、処理液中に浸漬後撹拌したり、強い水流中に晒したり、該前駆体自体を動かしたりすることが考えられる。しかし、前駆体の棄損防止の観点、及び作業の容易さの観点から、三次元物体前駆体を前記処理剤組成物に浸漬させる手法、または適度な速度の水流に晒す方法が好ましい。水溶性サポート材の除去性を向上させる観点から、浸漬中に超音波を照射し、水溶性サポート材の溶解を促すこともできる。
前記処理剤組成物の使用量は、水溶性サポート材の溶解性の観点から、当該水溶性サポート材に対して10質量倍以上が好ましく、20質量倍以上がより好ましい。前記処理剤組成物の使用量は、作業性の観点から、当該水溶性サポート材に対して10000質量倍以下が好ましく、5000質量倍以下がより好ましく、1000質量倍以下が更に好ましく、100質量倍以下が更に好ましい。
当該サポート材除去工程における前記処理剤組成物の温度は、水溶性サポート材の溶解性の観点から、25℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましい。当該サポート材除去工程における前記処理剤組成物の温度は、水溶性サポート材の膨潤抑制の観点から、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましい。これらの観点を総合すると、当該サポート材除去工程における前記処理剤組成物の温度は、25~80℃が好ましく、40~70℃がより好ましい。
前記サポート材を前記処理剤組成物に接触させる時間は、三次元物体前駆体の大きさにもよるが、水溶性サポート材の除去性の観点から、通常、2分以上であることが多い。また、前記サポート材を前記処理剤組成物に接触させる時間は、三次元物体が受けるダメージを軽減する観点から、2日以下が好ましく、1日以下がより好ましく、12時間以下が更に好ましく、6時間以下が更に好ましい。これらの観点を総合すると、前記水溶性サポート材を前記処理剤組成物に接触させる時間は、2分~2日が好ましく、3分~1日がより好ましく、3~12時間が更に好ましく、3~6時間が更に好ましい。
<サポート材除去方法>
本実施形態のサポート材除去方法は、前記三次元物体と、前記水溶性サポート材とを含む前記三次元物体前駆体を前記三次元物体前駆体処理剤組成物に接触させ、前記サポート材を除去する。本実施形態のサポート材除去方法によれば、三次元物体の損傷、及びそれに伴う三次元物体の変色を抑制しつつ水溶性サポート材を除去することができる。このような効果を奏する理由としては前記処理剤組成物が前記効果を奏する理由と同様の理由が考えられる。当該三次元物体前駆体は、前記三次元物体の製造方法の三次元物体と同様なので説明を省略する。また、本実施形態のサポート材除去方法における処理条件は、前記三次元物体の製造方法のサポート材除去工程に記載の処理条件と同様なので説明を省略する。
<三次元物体の損傷抑制方法>
本実施形態の三次元物体の損傷抑制方法は、前記三次元物体を三次元物体損傷抑制剤に接触させる損傷抑制工程を有する、三次元物体の損傷抑制方法であって、前記三次元物体損傷抑制剤が、前記処理剤組成物である。本実施形態の損傷抑制方法によれば、三次元物体の損傷、及びそれに伴う三次元物体の変色を抑制することができる。このような効果を奏する理由としては前記処理剤組成物が前記効果を奏する理由と同様の理由が考えられる。当該三次元物体前駆体は、前記三次元物体の製造方法の三次元物体と同様なので説明を省略する。当該損傷抑制方法における処理条件は、前記三次元物体の製造方法のサポート材除去工程に記載の処理条件と同様なので説明を省略する。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
<三次元物体前駆体処理剤組成物の調製>
〔実施例1~30、及び比較例1~9〕
実施例1~30、及び比較例1~9の三次元物体前駆体処理剤組成物は、表1~9に示した配合量になるように100mLスクリュー管瓶に各100gずつ調製した。各表に記載の数値は有効成分の量を示す。
[各成分]
表1~9に記載の各成分は下記のものを使用した。
・成分A’(式(II)に示す化合物)
テトラエチルアンモニウムヒドロキシド:東京化成工業株式会社製、10%水溶液
テトラエチルアンモニウムクロリド:東京化成工業株式会社製
テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド:東京化成工業株式会社製、10%水溶液
ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド:東京化成工業株式会社製、10%水溶液
ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド:東京化成工業株式会社製、10%水溶液
ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド:富士フイルム和光純薬株式会社製
N,N,N-トリメチル-1-アダマンチルアンモニウムヒドロキシド:東京化成工業株式会社製、25%水溶液
ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド:富士フイルム和光純薬株式会社製
・非成分A’
テトラブチルアンモニウムヒドロキシド:富士フイルム和光純薬株式会社製、40%水溶液
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド:東京化成工業株式会社製、10%水溶液
・成分B
ラウリン酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬株式会社製
ミリスチン酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬株式会社製
デシル硫酸ナトリウム:東京化成工業株式会社製
ラウリル硫酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬株式会社製
ラウリル硫酸トリエタノールアミン:富士フイルム和光純薬株式会社製 40%水溶液
テトラデシル硫酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬株式会社製
ヘキサデシル硫酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬株式会社製
オクタデシル硫酸ナトリウム(C16 60%含有): 東京化成工業株式会社製
ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム:花王株式会社製 エマール20C 25%水溶液
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ソフト型):花王株式会社製 ネオペレックスG-25 25%水溶液
n-オクチル硫酸ナトリウム 富士フイルム和光純薬株式会社製
2-エチルヘキシル硫酸ナトリウム 富士フイルム和光純株式会社製 40%水溶液
デカン酸ナトリウム:東京化成工業株式会社製
ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテルホスフェートカリウム塩
・非成分B
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド:東京化成工業株式会社製
ヘキサン酸ナトリウム:東京化成工業株式会社製
・成分C
脱イオン水:オルガノ株式会社製の純水装置G-10DSTSETで製造した1μS/cm以下の純水
・成分D(無機アルカリ)
水酸化ナトリウム:関東化学株式会社製、48%水溶液
炭酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬株式会社製
オルトケイ酸ナトリウム:ナカライテスク社製
<評価方法>
〔pH測定〕
pHは、25℃における三次元物体前駆体処理剤組成物のpHであり、pHメータ(東亜ディーケーケー株式会社、HM-30G)の電極を三次元物体前駆体処理剤組成物に浸漬して3分後の数値を測定した。
〔変色抑制効果の評価〕
(評価サンプルの調製)
Stratasys社製FDM用モデル材PC-ABS(ポリカーボネート及びABS樹脂)を約5cmに切断した。100mlのスクリュー管(マルエム社製スクリュー管No.8)に当該切断後のモデル材を1片ずつ入れ、更に表1~8に記載の各実施例及び比較例の配合比で調製した処理剤組成物のサンプルを各スクリュー管に100mlずつ入れた。モデル材及び処理剤組成物のサンプル入りのスクリュー管に蓋をし、70℃に昇温したADVANTEC株式会社製VACUUM DRYING OVEN VO-420に入れ、24時間静置した。24時間後、各スクリュー管内から、各モデル材を取り出し、流水にて水洗した後、風乾を12時間行って各実施例及び比較例に係る評価サンプルを得た。
(評価手順)
KONICA MINOLTA社製 色彩色差計CR-400を用いて、前記評価サンプルのL、a、bを測定し、下式より△Labを算出して変色を評価した。なお、処理前のモデル材(PC-ABS)をブランクとして用いた。
△Lab=((△L+(△a+(△b1/2
〔サポート材の除去性の評価〕
[実施例1~28、及び比較例1~7]
(評価サンプルの調製及び評価手順)
Stratasys社製FDM用サポート材SR-30(アルカリ水溶性)を約6cmに切断し、当該切断後のサポート材を1gずつ秤量した。なお、1gに重量調整するために適宜サポート材をさらに切断した。
アズワン株式会社製MAGNETIC STIRRER REMIX RS-6DNの上にアズワン株式会社製ポリプロピレンコンテナー(容量27L)を載せ、コンテナー内に水を入れて、アズワン株式会社製THERMAL ROBO TR-2αで60℃に昇温させた後、これを保持し、表1~7に記載の各実施例及び比較例の配合比で調製した処理剤組成物のサンプル並びに直径3cmのスターラーピースを入れた100mlのスクリュー管(株式会社マルエム社製スクリュー管No.8)を入れて500rpmにて30分間撹拌した後、撹拌を続けながら切断後のサポート材1gを各スクリュー管にそれぞれ入れた。3分後、250メッシュの金網を用いて、溶け残ったサポート材をろ過し、ADVANTEC株式会社製VACUUM DRYING OVEN VO-420を60℃に昇温して、ろ過後のサポート材を10kPaにて24時間減圧乾燥した。乾燥させた後、各実施例及び比較例に係るサポート材の重量を秤量し、下式にて除去速度を算出し、サポート材の除去性の評価とした。
除去速度(mg/min)=(1-乾燥後のサポート材重量(g))/3×1000
(サポート材の膨潤速度の評価)
水溶性サポート材の水系組成物中での除去では、サポート材の溶解と膨潤が並行して進行する。膨潤が優先的に進行した場合、サポート材を水中に溶解させるに十分な水が浸透しないため除去がなかなか進行しない場合がある。そこで、サポート材の除去性の評価よりも長い浸漬時間における除去性を評価し、サポート材の膨潤速度とした。すなわち、サポート材1gを3gに、スクリュー管での浸漬時間を3分から2時間に変更した以外はサポート材の除去性の評価と同様の条件で操作を行った。下式にて除去速度を算出し、サポート材の膨潤速度の評価とした。
除去速度(mg/min)=(3-乾燥後のサポート材重量(g))/120×1000
評価結果を表1~7に示す。
Figure 2022023004000005
Figure 2022023004000006
Figure 2022023004000007
Figure 2022023004000008
Figure 2022023004000009
Figure 2022023004000010
Figure 2022023004000011
〔実施例29、及び比較例8〕
[サポート材の調製]
(ポリエステル樹脂の合成)
ステンレス製反応器(撹拌機、窒素導入管付)に2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル(BP社製)、4.09質量部、エチレングリコール(和光純薬工業社製、特級)3.20質量部、5-スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム(竹本油脂社製)1.69質量部、チタンテトラブトキシド(東京化成工業社製、一級)0.00171質量部、酢酸ナトリウム・三水和物(和光純薬工業社製、特級)0.042質量部を仕込み、常圧、窒素雰囲気下、1.5時間かけて温度を230℃に昇温し、230℃で360分加熱してエステル交換を行った。85%リン酸(シグマアルドリッチジャパン社製、特級)を0.000637質量部添加し、10分間撹拌した後、150分かけて260℃まで昇温し、同時に30mmHgまで減圧しながら撹拌して重縮合を行い、薄茶白色固体(室温)のポリエステル樹脂を得た。
(三次元造形用可溶性材料の調製)
前記ポリエステル樹脂を81.6質量部、クラリティLA2250(株式会社クラレ社:製熱可塑性エラストマー:ポリメタクリル酸メチル-ポリアクリル酸ブチル-ポリメタクリル酸メチルトリブロック共重合体) 10.2質量部、相溶化剤としてBondfast(登録商標) 7B(住友化学社製:エチレン-酢酸ビニル-メタクリル酸グリシジル共重合体)4.1質量部、エレカットS-418(竹本油脂株式会社製:有機塩:ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩)4.1質量部を減圧下60℃で乾燥後、溶融混練機(東洋精機製作所社製:Labo Plastmill 4C150)を用いて230℃、90r/min、10分間溶融混練を行い、三次元造形用可溶性材料を得た。
(フィラメントの製造)
前記三次元造形用可溶性材料を細かく砕いたサンプル片を、キャピログラフ(東洋精機製作所社製:Capilograph 1D)を用いて、溶融温度180℃、押し出し速度10mm/minで直径2.0mm、長さ10mmのキャピラリーから押し出し、先端をピンセットではさみ、手で軽く引っ張りながら、直径1.7mmのフィラメントに加工して実施例29及び比較例8の評価用サポート材とした。
(評価サンプルの調製)
Stratasys社製FDM用サポート材SR-30(アルカリ水溶性)の代わりに、前記実施例29及び比較例8の評価用サポート材を用いた以外は、実施例1~28及び比較例1~7と同様にして実施例29及び比較例8の評価サンプルを得た。
(サポート材の膨潤速度の評価)
Stratasys社製FDM用サポート材SR-30(アルカリ水溶性)の代わりに、前記評価サンプルを用いた以外は、実施例1~28及び比較例1~7と同様の操作を行い、実施例29及び比較例8の評価サンプルの膨潤速度を評価した。評価結果を表8に示す。
Figure 2022023004000012
〔実施例30、及び比較例9〕
[損傷抑制効果の評価]
モデル材としてポリカーボネート樹脂板(太佑機材社製、縦70mm、横18mm、厚さ2mm)を精秤し、100mlのポリビン(ニッコーハンセン社製JP-100)に入れ、表9に記載の配合比で調製した処理剤組成物のサンプルを各ポリビンに100gずつ加えた。ポリカーボネート樹脂板及び処理剤組成物のサンプル入りのポリビンに蓋をし、60℃に昇温したADVANTEC株式会社製VACUUM DRYING OVEN VO-420に入れ、常圧で1週間静置した。その後、各ポリビン内から、ポリカーボネート樹脂板を取り出し、流水にて水洗し、60℃にて減圧乾燥12時間後、精秤し、下式にて質量変化を求め、三次元物体の損傷の評価とした。評価結果を表9に示す。
ポリカーボネート樹脂板の質量変化率%=(ポリカーボネート樹脂板の初期質量―ポリカーボネート樹脂板の浸漬乾燥後質量)/ポリカーボネート樹脂板の初期質量×100
Figure 2022023004000013
表1~8に記載の結果から明らかなように、各実施例に係る三次元物体前駆体処理剤組成物は、三次元物体の損傷に伴う変色抑制効果に優れる一方、各比較例に係る処理剤組成物は、変色抑制効果に劣り、本発明の課題を解決できていないことが判る。また、表1、2及び5に記載の結果から、除去速度は速いが膨潤速度は遅いものや、除去速度も膨潤速度も遅いもの等があり、必ずしもサポート材の膨潤性(長時間浸漬における除去性)に優れる組成物が除去性に優れるとは言えないことが判る。
さらに、表1と表2の実施例2と比較例2、実施例3と比較例3及び実施例4と比較例4は、前記式(I)に示す化合物(成分A)は同じでアニオン界面活性剤(成分B)の有無で相違する組み合わせである。これらの組み合わせで対比すると、成分Bの有無で除去速度及び膨潤速度に大きな差はないが、変色抑制効果に大きな差があることが判る。
さらに、表9に記載の結果から明らかなように、実施例30に係る三次元物体前駆体処理剤組成物は損傷抑制効果に優れる一方、比較例9に係る処理剤組成物は、損傷抑制効果に劣り、本発明の課題を解決できていないことが判る。

Claims (8)

  1. 樹脂を含有する三次元物体と水溶性サポート材とを含む三次元物体前駆体から、前記水溶性サポート材を除去する為の三次元物体前駆体処理剤組成物であって、
    前記三次元物体前駆体処理剤組成物が、下記式(I)に示す化合物(成分A)、アニオン界面活性剤(成分B)及び水(成分C)を含有し、
    前記成分Bが、炭素数6以上20以下のアルキル基と酸基とを有する、三次元物体前駆体処理剤組成物。
    Figure 2022023004000014
    (式(I)において、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示す。)
  2. 前記三次元物体前駆体処理剤組成物のpHが、10以上である、請求項1に記載の三次元物体前駆体処理剤組成物。
  3. 前記酸基が、カルボキシ基、硫酸基、スルホン酸基及びリン酸基からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の三次元物体前駆体処理剤組成物。
  4. 前記樹脂が、ポリカーボネートを含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の三次元物体前駆体処理剤組成物。
  5. 前記水溶性サポート材がアルカリ水溶液に可溶である、請求項1~4のいずれか1項に記載の三次元物体前駆体処理剤組成物。
  6. 樹脂を含有する三次元物体と、水溶性サポート材とを含む三次元物体前駆体を得る造形工程、及び当該三次元物体前駆体を三次元物体前駆体処理剤組成物に接触させ、前記水溶性サポート材を除去するサポート材除去工程を有する三次元物体の製造方法であって、
    前記三次元物体前駆体処理剤組成物が、請求項1~5のいずれか1項に記載の三次元物体前駆体処理剤組成物である、三次元物体の製造方法。
  7. 樹脂を含有する三次元物体と、水溶性サポート材とを含む三次元物体前駆体を請求項1~5のいずれか1項に記載の三次元物体前駆体処理剤組成物に接触させ、前記サポート材を除去するサポート材除去方法。
  8. 樹脂を含有する三次元物体を三次元物体損傷抑制剤に接触させる損傷抑制工程を有する、三次元物体の損傷抑制方法であって、
    前記三次元物体損傷抑制剤が、下記式(I)に示す化合物(成分A)、アニオン界面活性剤(成分B)及び水(成分C)を含有し、
    前記成分Bが、炭素数6以上20以下のアルキル基と酸基とを有する、三次元物体の損傷抑制方法。
    Figure 2022023004000015
    (式(I)において、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示す。)
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