JP2022021330A - 毛髪処理方法、毛髪用組成物、メデュラ充填剤、白髪処理剤、及び毛髪処理剤 - Google Patents

毛髪処理方法、毛髪用組成物、メデュラ充填剤、白髪処理剤、及び毛髪処理剤 Download PDF

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Kazunari Toda
哲也 萬成
Tetsuya Mannari
貴寛 平山
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Abstract

【課題】毛髪の内部を改質することに適した毛髪処理方法を提供する。【解決手段】成分(A)及び(B)を含み、(i)及び/又は(ii)が成立する毛髪用組成物を毛髪に接触させることによって、毛髪のメデュラの空隙を低減させる、毛髪処理方法とする。成分(A)は、加水分解タンパク、アミノ酸、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つである。成分(B)は浸透剤である。(i)は、還元剤として作用し得る還元型加水分解タンパクを成分(A)として含むことである。(ii)は、成分(C)として還元剤をさらに含むことである。25℃における毛髪用組成物のpHは3.0以上8.0未満である。【選択図】図1

Description

本発明は、毛髪処理方法、毛髪用組成物、メデュラ充填剤、白髪処理剤、及び毛髪処理剤に関する。より具体的に、本発明は、毛髪の内部を改質することに適した、毛髪処理方法、毛髪用組成物、メデュラ充填剤、白髪処理剤、及び毛髪処理剤に関する。
ツヤ感、ハリ・コシ感、及びまとまり感などの毛髪の質感は、加齢とともに低下することが知られている。加えて、ヘアカラー及びパーマなどの化学処理並びにヘアアイロン及びドライヤーなどの熱を利用した物理処理によって、毛髪はダメージを受ける。ダメージの例は、毛髪の表面のキューティクルの剥離及び毛髪の内部の空洞化である。毛髪の内部の空洞化は、例えば毛髪の内部の脂質が流出することによって進行する。
上記の問題に対処するために、特定の化合物を含む毛髪処理剤が提案されている。特許文献1には、特定のシリコーンとカチオン性ポリマーを有する水中油乳化型毛髪化粧料が開示されている。特許文献2には、毛髪に塗布する第1剤と、この第1剤を洗い流さずに塗布する第2剤とを有する二剤式毛髪処理剤が開示されている。特許文献3には、特定のラクトン誘導体と、ヒマワリ種子エキスと、25℃において液状の脂肪酸と、エステル油とを組み合わせた毛髪化粧料が開示されている。特許文献4には、ジメチルポリシロキサン、ジメチコノール、及びイソノナン酸イソノニルを含有する油性毛髪化粧料が開示されている。
毛髪は、毛髪の表面を覆うキューティクル(毛小皮)、毛髪の内部に存在するコルテックス(毛皮質)、及び毛髪の中心部に存在するメデュラ(毛髄質)から構成されている。毛髪処理剤を毛髪の表面ではなく毛髪の内部に作用させることによって毛髪の質感を改善させることも提案されている。特許文献5には、特定の官能基を有するメデュラケア剤が開示されている。特許文献5の実施例において使用されているメデュラケア剤の有効成分の分子量は、例えば、200未満である。
特開2018-172378号公報 特許第6161265号公報 特開2017-25004号公報 特開2019-99533号公報 特開2000-109411号公報
特許文献1~4に開示された化粧料又は処理剤は、毛髪の質感を一時的に向上させるために、毛髪の表面にポリマー類又は油剤を提供する。しかし、これらの化粧料又は処理剤では、毛髪の内部を改質することは、困難である。毛髪の表面に付着したポリマー類又は油剤による効果は持続性に乏しい。ポリマー類又は油剤の付着により、毛髪は、べたついたり、不自然な風合いになったりもする。これに対し、特許文献5では毛髪の内部の改質が試みられている。しかし、本発明者らの検討によると、この技術による毛髪の質感の向上は、限定的であってその持続性も十分ではない。
本発明の目的は、毛髪の内部を改質することに適した新たな毛髪処理方法と、毛髪の内部を改質することに適した新たな毛髪用組成物とを提供することにある。
本発明は、
下記成分(A)及び(B)を含み、25℃におけるpHが3.0以上8.0未満であり、下記(i)及び(ii)からなる群より選ばれる少なくとも1つが成立する毛髪用組成物を毛髪に接触させることによって、前記毛髪のメデュラの空隙を低減させる、毛髪処理方法を提供する。
(i)前記成分(A)として、還元剤として作用し得る還元型加水分解タンパクを含む。
(ii)下記成分(C)をさらに含む。
(A)加水分解タンパク、アミノ酸、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つ
(B)浸透剤
(C)還元剤
本発明は、その別の側面から、
加水分解タンパク、アミノ酸、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む毛髪用組成物を毛髪に接触させることと、
前記毛髪用組成物に含まれる少なくとも1つの成分が前記毛髪の内部に浸透することによって前記毛髪のメデュラが実質的に充填されるまで、前記毛髪用組成物と前記毛髪との接触を維持することと、
を含む、毛髪処理方法を提供する。
本発明は、その別の側面から、
ブラックメデュラを有する毛髪に、加水分解タンパク、アミノ酸、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む毛髪用組成物を接触させることと、
前記ブラックメデュラがホワイトメデュラに変化するまで前記毛髪用組成物と前記毛髪との接触を維持することと、
を含む、毛髪処理方法を提供する。
本発明は、さらに別の側面から、
毛髪のメデュラを改質するための毛髪用組成物であって、
下記成分(A)及び(B)を含み、
25℃におけるpHが3.0以上8.0未満であり、
下記(i)及び(ii)からなる群より選ばれる少なくとも1つが成立する、
毛髪用組成物を提供する。
(i)前記成分(A)として、還元剤として作用し得る還元型加水分解タンパクを含む。
(ii)下記成分(C)をさらに含む。
(A)加水分解タンパク、アミノ酸、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つ
(B)浸透剤
(C)還元剤
本発明は、さらに別の側面から、
本発明による毛髪用組成物を含むメデュラ充填剤を提供する。
本発明は、さらに別の側面から、
本発明による毛髪用組成物を含む白髪処理剤を提供する。
本発明は、さらに別の側面から、
本発明による毛髪用組成物を含む第1剤と、
酸化剤を含む第2剤と、を備えた毛髪処理剤を提供する。
本発明によれば、毛髪の内部の改質に適した毛髪処理方法が提供される。また、本発明によれば、毛髪の内部の改質に適した毛髪用組成物が提供される。
図1は、光学顕微鏡により観察された実施例1に係る毛髪用組成物によって処理された人毛の画像である。 図2は、光学顕微鏡により観察された実施例2に係る毛髪用組成物によって処理された人毛の画像である。 図3は、光学顕微鏡により観察された実施例4に係る毛髪用組成物によって処理された人毛の画像である。 図4は、光学顕微鏡により観察された実施例11に係る毛髪用組成物によって処理された人毛の画像である。 図5は、光学顕微鏡により観察された比較例3に係る毛髪用組成物によって処理された人毛の画像である。 図6は、光学顕微鏡により観察された比較例4に係る毛髪用組成物によって処理された人毛の画像である。 図7は、光学顕微鏡により観察された比較例5に係る毛髪用組成物によって処理された人毛の画像である。 図8は、光学顕微鏡により観察された比較例6に係る毛髪用組成物によって処理された人毛の画像である。 図9は、光学顕微鏡により観察された比較例9に係る毛髪用組成物によって処理された人毛の画像である。 図10は、光学顕微鏡により観察された比較例10に係る毛髪用組成物によって処理された人毛の画像である。 図11は、光学顕微鏡により観察された比較例11に係る毛髪用組成物によって処理された人毛の画像である。 図12は、光学顕微鏡により観察された、毛髪用組成物で処理していない人毛の画像である。 図13は、実施例2、比較例3、及び比較例9に係る毛髪用組成物で処理した後に塩基性染毛料によって処理された毛束の写真である。 図14は、実施例2及び比較例5に係る毛髪用組成物で処理した後にストレートアイロンを作用させた毛束の写真である。
以下、本発明の実施形態を説明する。ただし、以下の説明は、本発明を特定の形態に限定するものではない。
毛髪のメデュラは、通常、繊維質材料により構成された多孔質構造を有する。化学処理又は物理処理による毛髪へのダメージ、或いは加齢に伴い、メデュラの多孔質構造内の空隙は増大していく。毛髪によっては、局部的に、又はそのほとんどの部分において、メデュラが空隙により構成されることもある。本実施形態によれば、毛髪のメデュラが改質されうる。メデュラの改質は、例えば、メデュラの空隙の低減により実現される。
本発明の一形態による毛髪用組成物は、成分(A)~(C)を含む。
(A)加水分解タンパク、アミノ酸、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つ
(B)浸透剤
(C)還元剤
本発明の別の一形態による毛髪用組成物は、成分(A1)及び(B)を含む。
(A1)還元型加水分解タンパク及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つ
(B)浸透剤
この形態では、成分(A1)が還元剤としても作用し得るため、成分(C)の含有は任意である。
これらの形態による毛髪用組成物(以降、本実施形態による毛髪用組成物と呼ぶ)のpHは、25℃において3.0以上8.0未満である。
本実施形態による毛髪用組成物は、毛髪の質感の向上、具体的には毛髪のツヤ感、ハリ・コシ感、まとまり感の向上などをもたらし得る。
本実施形態による毛髪用組成物は、毛髪のメデュラの空隙を減少させることを可能とする。この効果により、メデュラ内に大きく広がる空隙部も縮小できる。従来型のメデュラケア剤(特許文献5を参照)は、メデュラの空隙を減少させる効果に限界があり、空隙を減少させる効果の持続性も十分ではない。
本明細書では、倍率を500倍に設定した光学顕微鏡を用いて透過光下で毛髪を観察したときに、毛髪の中心部の黒く観察される空隙部が、メデュラの縦断面、言い換えると毛髪の軸方向に沿ったメデュラの断面、を横断するように広がっているメデュラを「ブラックメデュラ」(一例として図12を参照)、この程度にまで広がった空隙部が存在しないように充填されており、全体として白く観察されるメデュラを「ホワイトメデュラ」(一例として図1を参照)と呼ぶ。なお、毛髪のメデュラの観察には、毛髪用組成物を接触させた後、水洗し、自然乾燥させた毛髪を用いる。透過光を用いたメデュラの観察手法の詳細は、実施例の欄で述べる。
ブラックメデュラは、ダメージを受けた毛髪、特に白髪には多く観察される。ホワイトメデュラでは、毛髪を散乱する光の量が抑制され、かつ、毛髪を透過する光の量が増えた結果、特に白髪では透明感が増すため、白髪が目立ちにくい。通常、ホワイトメデュラでは、ブラックメデュラに比べてメデュラに含まれている繊維質材料が多いので、空隙が少なくなっている。ただし、メデュラが本来多孔質構造を有するので、ホワイトメデュラにも微細な空隙は存在する。したがって、電子顕微鏡を用いた微視的な観察を適用すれば、通常、ホワイトメデュラにも空隙は観察されうる。また、ブラックメデュラの空隙部にも、実際には、多孔質構造を構成する繊維質材料が含まれていることがある。しかし、本発明者らの検討によると、ブラックメデュラとホワイトメデュラとの相違は、透過光の散乱の程度に大きな影響を与え、毛髪のつや、質感等を左右する要因になる。本実施形態による毛髪用組成物は、ブラックメデュラからホワイトメデュラへの変化を可能とする。ただし、本実施形態による毛髪用組成物により処理される毛髪は、ブラックメデュラを有する毛髪に限定されない。
毛髪がダメージを受けると、水分などの物質が毛髪内部に容易に浸透しうる。これにより、例えば、コルテックスなどの毛髪の成分が膨潤した結果、メデュラの空隙が低減されることもある。この場合、光学顕微鏡を用いて透過光下で毛髪を観察したときに、透過光の散乱が抑制されるので、ホワイトメデュラが形成されているように見える。しかし、毛髪がダメージを受けているので、毛髪内部に浸透した物質は、毛髪から容易に流出する。そのため、メデュラの空隙を減少させる効果に限界があり、その効果の持続性も十分ではない。この場合、毛髪の内部を改質できたとは言い難い。本実施形態による毛髪用組成物は、例えば、毛髪へのダメージが低減された状態で毛髪用組成物がメデュラに作用し、メデュラの空隙を低減させることができる。加えて、毛髪を乾燥させても、毛髪用組成物は毛髪から流出しにくい。そのため、本実施形態による毛髪用組成物によれば、メデュラの空隙を減少させる効果の持続性も向上しうる。
本実施形態による毛髪用組成物は、例えば、メデュラ充填剤として有用である。メデュラ充填剤は、その具体的名称を問わず、メデュラの充填の進行、又はそれに付随する効果をその効能に含む剤である。言い換えると、メデュラ充填剤は、例えば、メデュラの充填に伴う毛髪の質感の向上を効能の一つとするヘアコンディショナーとして販売されていてもよい。メデュラの充填の程度は、上述したとおり、光学顕微鏡を用いた観察により確認できる。この観察においてメデュラの軸方向に沿った縦断面を横断する程度に広がった空隙が解消されていれば、メデュラは「実質的に充填」されているとみなすことができる。メデュラが実質的に充填される程度にまで毛髪の内部を改質する処理剤は、本発明者らが知る限り、これまでは知られていなかった。
驚くべきことに、本実施形態による毛髪用組成物の使用によって、白髪を視認しにくくする効果が得られることが見出された。メデュラの空隙の大幅な低減、好ましくはメデュラの実質的な充填により、特に、白髪では透明感が増す。そして、特に白髪が毛髪に部分的に存在しているときに、言い換えると白髪混じりの毛髪において、白髪の存在が目立たなくなる。また、透明感の向上により白髪自体の質感も改善する。しかも、この効果は、毛髪の質感の向上とともに達成され得る。これは、毛髪にむしろダメージを与えることが多い従来の一般的な白髪染めからは得がたい特徴である。かかる側面により、本実施形態による毛髪用組成物は、白髪処理剤としても使用できる。従来の白髪処理剤は、染毛剤として直接作用する、又は染毛剤を生成し得る化合物を含んでいる。これに対し、上述の白髪処理剤、すなわち本実施形態による白髪処理剤は、染毛のための化合物を含んでいなくてもよい。言い換えると、本実施形態による白髪処理剤において、染毛剤又は染毛剤を生成し得る化合物は任意成分である。白髪の質感を向上させ、或いは部分白髪を視認しにくくする処理剤は、本発明者らが知る限り、これまでは知られていなかった。
本実施形態による白髪処理剤も、その具体的名称を問わず、白髪の質感の向上やそれを視認しにくくすることをその効能に含む剤である。白髪処理剤は、ヘアコンディショナーその他の名称により販売されるものであってもよい。
従来、白髪を目立ちにくくするためには、酸化染料が配合された酸化染毛剤が用いられてきた。しかし、酸化染毛剤を使用すると、毛髪がダメージを受けやすい。つまり、従来の酸化染毛剤では、メデュラに含まれる繊維質材料が分解されやすい。酸化染毛剤により白髪は一旦染色されるものの、その内部ではメデュラの空洞化が進行する。これに対し、本実施形態による毛髪用組成物によれば、メデュラの空隙はむしろ縮小する。言い換えると、本実施形態による毛髪用組成物は、白髪をその内部から修復することを可能とする。その結果、透明感が増した白髪を得ることができる。
本実施形態による毛髪用組成物を用いた毛髪の改質は、高い持続性を有するものになり得る。毛髪の改質の持続性は、成分(A)として、大きな分子量を有する加水分解タンパク、アミノ酸、又はそれら誘導体が含まれる場合に顕著となる。成分(A)及び(C)は、毛髪のジスルフィド結合を切断して成分の浸透を促進し、分子量が大きい成分(A)を毛髪の内部に有効に作用させると考えられる。分子量が小さい成分、例えば低級アルコールは、毛髪の内部に容易に浸透するものの、洗髪などに伴って容易に流出する。毛髪用組成物が適切なpHを有することも望ましい。低過ぎる又は高過ぎるpHは、毛髪にダメージを与え得る。例えば、毛髪用組成物のpHが高過ぎると、毛髪の膨潤が顕著となって、毛髪に浸透した成分が消失しやすくなる。
本実施形態による毛髪用組成物は、酸化剤を含む別の毛髪用組成物と組み合わせて使用してもよい。この使用形態において、本実施形態による毛髪用組成物は、毛髪処理剤の第1剤に含まれる。毛髪処理剤の第2剤には、酸化剤を含む毛髪用組成物が含まれる。酸化剤は、還元剤により切断されたジスルフィド結合を再生させるために使用される。酸化剤の使用は必須ではないものの、酸化剤によるジスルフィド結合の修復により、本実施形態による毛髪用組成物による毛髪の改質は、より持続性に優れたものになり得る。
以下、毛髪用組成物の成分について説明する。
・成分(A)
成分(A)は、加水分解タンパク、アミノ酸及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つである。加水分解タンパクとは、タンパク質を加水分解して得られるペプチド化合物である。加水分解タンパクは、例えば、天然由来のタンパク質の加水分解物(PPT)である。加水分解タンパクの例は、加水分解ケラチン、加水分解シルク、加水分解アーモンドタンパク、加水分解カゼイン、加水分解カラスムギタンパク、加水分解酵母タンパク、加水分解コラーゲン、加水分解コンキオリン、加水分解シロバナルーピンタンパク、加水分解ダイズタンパク、加水分解エンドウタンパク、加水分解トウモロコシタンパク、加水分解乳タンパク、加水分解ハチミツタンパク、加水分解ヘーゼルナッツタンパク、加水分解ホホバタンパク、加水分解野菜タンパク、加水分解ローヤルゼリータンパク、加水分解コムギタンパク、及び加水分解コメタンパクである。これらの加水分解タンパクから選ばれる1つのみが用いられてもよく、2つ以上が併用されてもよい。
アミノ酸及びアミノ酸誘導体の例は、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、セリン、アルギニン、メチオニン、トリメチルグリシン、ポリアスパラギン酸ナトリウム、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム、N-ラウロイル-L-リジン、ジヒドロキシプロピルアルギニンHCl及びPPG-2アルギニンである。
加水分解タンパク誘導体とは、加水分解タンパクに、シリル化、アシル化、カチオン化などの化学修飾を施したタンパクを意味する。シリル化加水分解タンパクの例は、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解シルク、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、加水分解ゴマタンパクPGプロピルメチルシランジオール、及び(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解ケラチンである。アシル化加水分解タンパクの例は、ラウロイル加水分解シルク、イソステアロイル加水分解シルク、ココイル加水分解ダイズタンパク、パルミトイル加水分解コムギタンパク、ココイル加水分解コラーゲン、ウンデシレノイル加水分解コラーゲン、イソステアロイル加水分解コラーゲン、及びロジン加水分解コラーゲンである。カチオン化加水分解タンパクの例は、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解シルク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解シルク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コムギタンパク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コラーゲン、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解カゼイン、カチオン化加水分解コンキオリン、及びヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ケラチである。これらの加水分解タンパク誘導体から選ばれる1つのみが用いられてもよく、2つ以上が併用されてもよい。
成分(A)は、成分(A1)を含んでいてもよい。成分(A1)は、還元型加水分解タンパク及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つである。還元型加水分解タンパクは、加水分解タンパクに含まれるジスルフィド結合が還元されることによって得られたシステイン残基を有するタンパクである。誘導体の意味は、加水分解タンパク誘導体について上記で説明したとおりである。成分(A1)が有するシステイン残基により、成分(A1)を含む毛髪用組成物は、成分(A1)の還元作用により毛髪のジスルフィド結合を切断することが可能になる。
本実施形態による毛髪用組成物は、成分(A)として、加水分解タンパク及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。また、成分(A)は、還元型加水分解タンパク以外の加水分解タンパク及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つであってもよく、アミノ酸及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つであってもよい。成分(A)は成分(A1)以外の成分(以降、成分(A2)と表記)であってもよい。
なお、毛髪用組成物が成分(A1)を含む場合、毛髪用組成物は、成分(C)、すなわち還元剤を含んでいてもよく、実質的に含まなくてもよい。「実質的に含まない」とは、微量の混入を許容する趣旨であり、還元剤の濃度が毛髪用組成物の総質量に対して、2質量%未満、さらには1質量%未満であり、特に0.5質量%未満であることを意味する。
還元型加水分解タンパクの好ましい例は、還元型加水分解ケラチンである。還元型加水分解ケラチンは、多くのシステイン残基を有しうる。そのため、成分(A1)が還元型加水分解ケラチンであれば、所望の効果が確実に得られやすい。なお、還元型加水分解ケラチンは、加水分解ケラチンに含まれているすべてのジスルフィド結合が還元されている必要はなく、ジスルフィド結合が残存していてもよい。
成分(A)の分子量は、特に限定されず、250以上、300以上、400以上、600以上、800以上、1,000以上、さらには5,000以上が好ましく、10,000以上、特に20,000以上であってもよい。成分(A)の分子量の上限値は、特に限定されず、50,000であってもよく、45,000、40,000、さらには35,000であってもよい。成分(A)の分子量が大きい場合、毛髪用組成物による毛髪の改質は、その効果が顕著になり、その効果の持続性も向上する。成分(A)が加水分解タンパク又は重合体に相当する場合、その分子量は、平均分子量により表示されることが多い。この場合は、平均分子量を分子量とみなし、上述した好ましい範囲の上限及び下限に基づいて適切な成分(A)を選択すればよい。平均分子量は、数平均分子量及び重量平均分子量のいずれを適用してもよい。ただし、数平均分子量及び重量平均分子量のいずれを用いるかによって分子量の好ましい範囲(例えば10,000以上50,000以下)への属否が異なる結果となる場合は、以下のとおりとする。すなわち、成分(A)が成分(A1)であるときは重量平均分子量を適用し、成分(A)が成分(A2)であるときは数平均分子量を適用して判断する。
毛髪用組成物の総質量に対する成分(A)の含有量は、特定の値に限定されず、0.1質量%~50質量%、1質量%~30質量%、3質量%~20質量%、5質量%~15質量%、さらには5.5質量%~15質量%であってもよい。成分(A)が成分(A2)である場合、毛髪用組成物の総質量に対する成分(A)の含有量は、1質量%~8質量%、さらに3質量%~7質量%であってもよい。成分(A)が成分(A1)である場合、毛髪用組成物の総質量に対する成分(A)の含有量は、5質量%~20質量%、5.5質量%~20質量%、6質量%~18質量%、さらに8質量%~15質量%であってもよい。
・成分(B)
成分(B)は浸透剤である。浸透剤は、毛髪の内部への成分(A)の浸透を促進する。浸透剤が毛髪の内部に浸透してもよい。
浸透剤(B)の例は、アミン類、アルコール類、及び界面活性剤である。
アミン類の例は、尿素、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノブタノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、及びグアニジンである。
アルコール類の例は、低級アルコール、高級アルコール、及び多価アルコールである。低級アルコールの例は、エタノール、イソプロパノールである。低級アルコールとしては、好ましくはイソプロパノールが使用できる。高級アルコールの例は、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコールである。多価アルコールの例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、ジエチレングリコール、スピログリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、及びジグリセリンである。アルコール類として、イソプロパノール、1,3-ブチレングリコール、及びグリセリンが使用できる。
界面活性剤の例は、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤である。
アニオン性界面活性剤の例は、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、リン酸モノエステル型界面活性剤、リン酸ジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル、N-アシルグルタミン酸、N-アシルメチルタウリン塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、及びそれらの誘導体である。アルキルエーテル硫酸エステル塩の例は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムである。アルキル硫酸塩の例は、ラウリル硫酸ナトリウム及びセチル硫酸ナトリウムである。アルキル硫酸塩の誘導体の例は、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウムである。アルキルエーテルカルボン酸塩の例は、ラウレス-4カルボン酸ナトリウムである。スルホコハク酸エステルの例は、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウムである。
ノニオン性界面活性剤の例は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルグルコシド、親油型モノステアリン酸グリセリル、及びヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドである。
成分(B)として、これらの化合物から選ばれる1つのみを用いてもよく、2つ以上を併用してもよい。成分(B)は、アミン類及びアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよく、これらの両方を含んでいてもよい。成分(B)は、アミン類及びアルコール類を含むことが好ましい。このような構成によれば、毛髪用組成物による毛髪の改質の効果をより確実に得ることができ、かつ、その効果の持続性もより確実に向上する。成分(B)は、アミン類のみを含んでいてもよい。アミン類は、尿素であることが好ましい。尿素は、タンパク質を変性させる能力を有する。そのため、毛髪用組成物を毛髪に接触させることによって、尿素は、毛髪のタンパク質を変性させることができる。その結果、毛髪用組成物を毛髪内部に容易に浸透させることができる。
成分(B)の分子量は、特定の値に限定されず、300以上、さらには500以上であってもよい。成分(B)の分子量は、300未満、200未満、さらには100未満、特に80以下であることが好ましい。
毛髪用組成物の総質量に対する成分(B)の含有量は、特定の値に限定されず、0.1質量%~50質量%、5質量%~45質量%、さらには、10質量%~40質量%であってもよい。成分(B)がアミン類及びアルコール類を含む場合、毛髪用組成物の総質量に対するアミン類の含有量は、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、5.5質量%、6質量%以上、さらには、8質量%以上であってもよく、また、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、さらには、32質量%以下であってもよい。成分(B)がアミン類及びアルコール類を含む場合、毛髪用組成物の総質量に対するアルコール類の含有量は、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、3.5質量%以上、5質量%以上、7質量%以上、8質量%以上、さらには8.5質量%以上であってもよく、また、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、さらには、12質量%以下であってもよい。
毛髪用組成物において、成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量の比は、特定の値に限定されない。その値は、質量基準で、0.1~30、0.5~10、特に1を超え10以下であり、好ましくは、1を超え7以下、より好ましくは、1を超え5以下、さらに好ましくは、1を超え4.5以下であり、特に好ましくは、1を超え4.2以下である。
・成分(C)
還元剤は、毛髪のジスルフィド結合に作用し、毛髪内部への成分(A)の浸透を促進する。或いは、還元剤は、毛髪用組成物に含まれているジスルフィド結合に作用することによって、毛髪用組成物がシステイン残基を有することにも寄与しうる。還元剤の例は、システイン類、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、亜硫酸、亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩、及びチオールである。システイン類の例は、L-システイン、D-システイン、DL-システイン、N-アセチルシステイン、L-システイン塩酸塩、及びDL-システイン塩酸塩である。アスコルビン酸及びアスコルビン酸塩の例は、L-アスコルビン酸及びL-アスコルビン酸ナトリウムである。亜硫酸塩の例は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸モノエタノールアミン、亜硫酸水素ナトリウム、及び亜硫酸水素アンモニウムである。ピロ亜硫酸塩の例は、ピロ亜硫酸ナトリウム及びピロ亜硫酸カリウムである。チオールの例は、システアミン類、チオ乳酸、チオグリセリン、ブチロラクトンチオール、及びチオグリコール酸塩である。システアミン類の例は、システアミン、システアミン塩酸塩である。チオグリコール酸塩の例は、チオグリコール酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸モノエタノールアミン、及びチオグリコール酸とグリセリンとのエステルである。成分(C)として、これらの化合物から選ばれる1つのみを用いてもよく、2つ以上を併用してもよい。
好ましい還元剤の例は、亜硫酸、亜硫酸塩、及びピロ亜硫酸塩である。これらの還元剤は、弱酸性から中性付近で高い還元力を有しうる。後述するとおり、25℃における毛髪用組成物のpHは、3.0以上8.0未満であるので、上記した還元剤は、このようなpHの範囲で適切な還元力を発揮しうる。その結果、毛髪用組成物は、高い還元力を有しうる。加えて、上記した還元剤が毛髪用組成物に含まれることによって、毛髪用組成物は、メデュラの改質による効果をより確実に得ることができるとともに、その効果の持続性もより確実に向上する。さらに、上記した還元剤を使用することで、毛髪用組成物を弱酸性から中性付近に維持できるので、コルテックス及びキューティクルなどの毛髪の他の成分へのダメージを低減させることが可能になる。
毛髪用組成物の総質量に対する成分(C)の含有量は、特定の値に限定されず、0.1質量%~15質量%であってもよく、1質量%~10質量%、さらには、2質量%~8質量%であってもよい。
・その他の成分
毛髪用組成物は、上述した成分以外の任意の成分を含みうる。任意の成分は、公知の毛髪処理剤に含まれる成分でありうる。
任意の成分として、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、エステル、高級脂肪酸、油脂、フッ素化合物、シリコーン類、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、植物抽出物、アミノ酸、香料、精油、色素、水、pH安定剤、キレート剤、溶剤、抗炎症剤、及びゲル化剤、などが適宜配合されていてもよい。
ただし、毛髪用組成物において、カチオン性高分子の含有量は、例えば、1質量%未満、0.5質量%未満、特に、0.1質量%未満が好ましい。カチオン性高分子は、含まれていなくてもよい。カチオン性高分子としては、ポリクオタニウム-10を例示できる。
次に、毛髪用組成物の特性について説明する。
・還元力
毛髪用組成物は、適切な還元力を有することが望ましい。還元力は、例えば、毛髪用組成物1gが還元できるヨウ素の量により表示できる。より具体的には、25℃において毛髪用組成物1gが還元できるヨウ素の量を0.05mol/Lのヨウ素溶液の量により表示できる。還元されるヨウ素は、ヨウ素デンプン反応を利用して定量できる。定量は、25℃において、毛髪用組成物を含むデンプン溶液に0.05mol/Lのヨウ素溶液を滴下し、デンプン溶液が紫色に呈色したときのヨウ素溶液の使用量[mL]を測定し、この使用量を毛髪用組成物1gあたりに換算することにより実施できる。溶液は水溶液とすればよい。
本実施形態による毛髪用組成物の還元力は、毛髪用組成物1gにより還元される0.05mol/Lのヨウ素溶液の量により表示して、2.0mL以上、3.0mL以上、5.0mL以上、8.0mL以上、8.5mL以上、さらには9.0mL以上であることが好ましい。還元力の上限は、特定の値に限定されず、例えば、30mL、20mL、15mL、12mL、さらには10mLである。成分(A)が成分(A2)である場合、還元力は、5.0mL以上が好ましい。一方、成分(A)が成分(A1)である場合は、相対的に小さな還元力でも毛髪への作用が確保されるため、好ましい還元力は、例えば、2.0mL以上、3.0mL以上、さらには3.5mL以上である。
・pH
25℃における毛髪用組成物のpHは、3.0以上8.0未満である。毛髪へのダメージを抑制する観点から、毛髪用組成物のpHは、3.5以上、4.0以上、5.0以上、さらには、6.0以上であってもよい。同様の観点から、毛髪用組成物のpHは、7.8以下、7.5以下、場合によっては7.0未満であってもよい。好ましいpHの範囲は、4.0~7.5、特に5.0以上7.0未満である。このようなpHの範囲であれば、毛髪用組成物は、高い還元力を有することができる。加えて、このようなpHの範囲であれば、毛髪用組成物は、高い安定性を有することができる。つまり、毛髪用組成物が適切なpHを有することによって、上記した成分(A)及び/又は(B)は、析出しにくい。
毛髪がダメージを受けると、毛髪用組成物及び毛髪の成分が毛髪の内部から流出しやすくなる。加えて、毛髪がダメージを受けると、メデュラの空隙の低減の効果を持続させることは困難である。pHを適切な範囲に制御することにより、毛髪はダメージを受けにくく、かつ、メデュラの改質による効果の持続性は向上する。従来のパーマ一剤は、還元力を向上させるために、高いpHを有しうる。この場合、毛髪がダメージを受ける。具体的には、本発明者らの検討によれば、従来のパーマ一剤では、毛髪のメデュラは、ブラックメデュラに変化しうる。本実施形態による毛髪用組成物によれば、pHを適切な範囲に制御することにより、ブラックメデュラの形成を抑制しうるとともに、メデュラの改質による効果を得ることができる。
次に、毛髪用組成物の剤型と毛髪用組成物を含む毛髪処理剤とについて説明する。
・剤型
毛髪用組成物の剤型は、特に限定されず、公知の剤型を採用できる。好ましい剤型は、ゲル状、溶液状、クリーム状、エアゾール状、スプレータイプ、又は乳液状である。毛髪用組成物は、一剤式であってもよく、二剤式であってもよい。毛髪用組成物は、三剤式などの多剤式であってもよい。毛髪用組成物の粘度は、特定の値に限定されない。毛髪用組成物が適切な粘度を有すると、毛髪に塗布したときに、垂れ落ちしにくく、毛髪に均一に塗布できる。そのため、メデュラの改質による効果がより確実に得やすくなる。
・毛髪処理剤
本実施形態による毛髪用組成物は、単独で毛髪処理剤として使用してもよく、各種毛髪処理剤の成分として使用してもよく、別の組成物と組み合わせた毛髪処理剤として使用してもよい。毛髪処理剤は、メデュラ充填剤のように、メデュラの改質に重点を置いた新規な剤であってもよく、公知の毛髪処理剤であってもよい。公知の毛髪処理剤は、例えば、シャンプー、コンディショナー、ヘアリンス、染毛剤、パーマネント剤、ヘアワックス、ヘアクリーム、ヘアエッセンス、ヘアローション、ヘアスプレー、及びヘアムースである。毛髪処理剤は、コンディショナー及びヘアリンスなどのヘアートリートメントに代表される非洗浄用の毛髪処理剤であってもよい。毛髪処理剤は、パーマネント剤などの毛髪変形用処理剤であってもよい。毛髪処理剤は、パーマ一剤及び二剤とともにセットで使用する毛髪改質剤であってもよい。毛髪処理剤は、白髪染め、ヘアカラー、ヘアーマニュキュアなどと呼ばれる各種の染毛剤であってもよい。本実施形態による毛髪用組成物は、染毛の前処理剤としての使用にも適している。この染毛前処理剤は、発色を向上させることができる。
・第2剤
毛髪処理剤は、本実施形態による毛髪用組成物を含む第1剤と、酸化剤を含む第2剤と、を備えていてもよい。第2剤の使用は必須ではないものの、第2剤を使用することによって毛髪の内部に侵入させた成分を長期間とどまらせることができる。第2剤に含まれる酸化剤は、毛髪のジスルフィド結合に作用しうる。具体的には、酸化剤は、ジスルフィド結合を生成し、毛髪内部からの成分(A)の流出を抑制しうる。
酸化剤は、公知の酸化剤であってもよい。酸化剤の例は、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、アルカリ金属の臭素酸塩、及びアルカリ金属の過酸塩である。アルカリ金属の過酸塩の例は、過臭素酸塩、過硫酸塩、過ホウ酸塩である。アルカリ金属の臭素酸塩の例は、臭素酸ナトリウムである。酸化剤の含有量は、例えば、第2剤の全質量に対して、1.0~9.0質量%の範囲であってもよく、5.0~8.0質量%の範囲であってもよい。
第2剤のpHは、例えば2.5~9.5、特に5.0~7.0とするとよい。
毛髪処理剤が多剤式である場合、例えば、毛髪処理剤は、3つ以上の処理剤から構成されていてもよい。この場合、毛髪処理剤は、第1剤及び第2剤に加えて、1以上の他の処理剤を含む。第1剤、第2剤、及び1以上の他の処理剤による毛髪処理の順番は、例えば、第1剤の使用後に第2剤を使用すればよく、その他の処理剤による毛髪処理の順番は、特定の順番に限定されない。三剤式の毛髪処理剤の場合、第3剤は、第1剤による毛髪処理前、第1剤の毛髪への塗布と第2剤の毛髪への塗布との間、及び/又は第2剤による毛髪処理後に使用されてもよい。三剤式の毛髪処理剤の場合、第3剤は、第1剤及び第2剤とは異なる成分を含んでいてもよい。
次に、毛髪の処理方法について説明する。
・毛髪処理方法
本発明の一形態による毛髪処理方法は、本発明による毛髪用組成物を毛髪に接触させることと、毛髪用組成物に含まれる少なくとも1つの成分が毛髪の内部に浸透することによって、毛髪のメデュラの空隙が低減するまで毛髪用組成物と毛髪との接触を維持することと、を含む。
本発明の別の一形態による毛髪処理方法は、加水分解タンパク、アミノ酸、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む毛髪用組成物を毛髪に接触させることと、毛髪用組成物に含まれる少なくとも1つの成分が毛髪の内部に浸透することによって毛髪のメデュラの空隙が実質的に充填されるまで、毛髪用組成物と毛髪との接触を維持することと、を含む。
本発明のまた別の一形態による毛髪処理方法は、ブラックメデュラを有する毛髪に、加水分解タンパク、アミノ酸及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む毛髪用組成物を接触させることと、ブラックメデュラがホワイトメデュラに変化するまで毛髪用組成物と毛髪との接触を維持することと、を含む。
これらの形態による毛髪処理方法(以下、本実施形態による毛髪処理方法と呼ぶ)に使用できる毛髪用組成物の成分、特性等は上述したとおりである。メデュラが実質的に充填されているかの判断基準、加水分解タンパク等の分子量の取り扱い、ブラックメデュラ、及びホワイトメデュラの定義等も上述したとおりである。
毛髪用組成物を毛髪に接触させる方法は、特定の方法に限定されず、毛髪用組成物を手で直接毛髪に塗布してもよく、コーム、ブラシ、刷毛、スプレーなどの塗布器具を用いて毛髪に塗布してもよい。毛髪用組成物は、乾燥した毛髪に対して塗布してもよく、濡れた毛髪に対して塗布してもよい。毛髪用組成物を毛髪に接触させるときの毛髪用組成物及び毛髪の温度は、特定の値に限定されないが、室温(25℃)以上が適切であり、35℃以上、40℃以上、特に45~60℃がメデュラ充填の観点からはより適切である。すなわち、毛髪用組成物及び毛髪からなる群より選ばれる少なくとも1つの温度が室温を超える、例えば35℃以上、の状態で、毛髪用組成物と毛髪とを接触させることが好ましい。この接触は、具体的には、毛髪用組成物を上記の温度にまで加熱して、あるいは上記の温度の水と共に、毛髪に接触させて実施することができる。この接触は、毛髪用組成物と毛髪との接触を維持しながら、毛髪用組成物及び毛髪からなる群より選ばれる少なくとも1つを加熱することにより、より具体的には、毛髪用組成物を付着させた毛髪を上記の温度まで加熱することにより、実施してもよい。
毛髪用組成物との接触により、毛髪のメデュラに毛髪用組成物の成分が作用し、その構造が変化し得る。典型的には、毛髪用組成物の成分がメデュラに直接的及び/又は間接的に作用することによって、メデュラは、その空隙が低減され、改質され、場合によっては実質的に充填される。
毛髪用組成物と毛髪との接触は、メデュラの改質に足りる所定時間だけ維持されることが好ましい。また、毛髪用組成物と毛髪との接触は、室温下(25℃)において維持してもよく、毛髪を加温しながら維持してもよい。接触を維持する時間は、毛髪の温度などにもよるが、例えば1分以上、20分以上、場合によっては1時間以上である。この時間の上限は、特に限定されず、例えば、24時間以下である。所定時間の経過後、毛髪用組成物は除去される。毛髪用組成物の除去は、水洗により又はシャンプーなどの洗浄剤を用いた洗髪により実施できる。この除去は、毛髪用組成物の除去のみを目的としたものに限らない。例えば、ある日の朝に毛髪用組成物を毛髪に付着させ、その日の夜に実施する日常の洗髪により毛髪用組成物を除去しても構わない。毛髪の加温は、毛髪が室温(25℃)以上、さらに40℃以上、特に45~60℃となるように、或いはこの範囲の温度の空気を毛髪に吹きつけることにより、実施できる。毛髪の加温は、例えば、ドライヤー、ヘアアイロン、及び遠赤外線促進器を用いて実施できる。毛髪の加温は、毛髪内部への毛髪用組成物の成分の浸透を促進する。
本実施形態による毛髪用組成物は、毛髪の洗浄操作によって毛髪から流出しにくい。つまり、本実施形態による毛髪用組成物によれば、毛髪の洗浄後も、メデュラは、その空隙が低減され、改質され、場合によっては実質的に充填された状態を維持しうる。
本実施形態による毛髪処理方法によって、メデュラの空隙は低減され、好ましくはメデュラが実質的に充填され、場合によってはブラックメデュラがホワイトメデュラに変化する。この毛髪処理方法による毛髪の改質は、毛髪の最深部を修復するものであって、特に理美容室における施術の一環として利用価値が高い。
本実施形態による毛髪処理方法は、毛髪用組成物と毛髪とを接触させること、毛髪用組成物と毛髪との接触を維持すること、毛髪から毛髪用組成物を除去すること、を複数回この順に繰り返してもよい。
本実施形態による毛髪処理方法において、毛髪処理剤が二剤式である場合、第1剤による毛髪処理と第2剤による毛髪処理との間に毛髪処理剤を除去する工程を含んでいてもよく、第1剤を毛髪に接触させた後、第1剤を除去することなく第2剤を毛髪に接触させてもよい。第2剤を毛髪に接触させた後、第2剤を除去する工程を含んでいてもよく、第2剤を除去する工程を含んでいなくてもよい。第1剤又は第2剤を除する方法は、上記したとおり、例えば、水洗により又はシャンプーなどの洗浄剤を用いた洗髪により実施できる。毛髪処理剤が三剤式などの多剤式である場合、各処理剤による毛髪処理前及び/又は毛髪処理後に、処理剤を除去する工程を含んでいてもよく、処理剤を除去する工程を含んでいなくてもよい。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
(毛髪用組成物の調製)
成分(A)として、還元型加水分解ケラチン、加水分解ケラチン、加水分解エンドウタンパク、加水分解ゴマタンパクPGプロピルメチルシランジオール、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム、又はPPG-2アルギニンを、成分(B)として、尿素、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、又はイソプロパノールを、成分(C)としてピロ亜硫酸ナトリウムを、それぞれ以下の表1~3に示す含有量で含む、実施例及び比較例に係る毛髪用組成物を調製した。なお、毛髪用組成物のpHはNaOH又はHClによって所望の値になるように調整した。毛髪用組成物のpHの測定は25℃で実施した。表中の「成分名」の欄における(A)~(C)の表記は、それぞれ、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)に対応する。表中の単位は、全て質量%である。各表の「成分」の欄における「-」の表記は、当該成分を含有していないことを意味する。
(還元力の評価)
200mLの三角フラスコに、実施例及び比較例に係る毛髪用組成物1gを正確に秤量して加えた。ここへ、化粧品原料基準に適合する精製水(以下、単に「水」と記載する。)100mL及び2.5質量%ラウレス硫酸ナトリウム水溶液5mLを加えて、試料溶液を調製した。試料溶液をよく撹拌した。次に、試料溶液に、10質量%硫酸5mL及び0.5質量体積%デンプン溶液3mLを加え、よく撹拌して評価溶液を調製した。評価溶液に0.05mol/Lヨウ素溶液を滴下し、評価溶液が紫色に呈色したときのヨウ素溶液の滴定量を算出した。毛髪用組成物1g当たりのヨウ素溶液の滴定量[mL]を還元力の指標と定義した。結果を表1~3に示す。
(メデュラの空隙の低減の評価)
人毛白髪を、濃度5質量%のラウレス硫酸ナトリウム(SLS)水溶液で洗浄し、お湯で充分に洗い流した後、タオルドライを行った。人毛白髪に、実施例及び比較例に係る毛髪用組成物を塗布し、表1~3に示した温度と時間とを適用して静置した。毛髪用組成物を塗布した毛髪の加温には、東京硝子器械社製のFine小型インキュベータFF-12を用いた。その後、人毛白髪を水洗いした。次に、人毛白髪を濃度7.5質量%の臭素酸ナトリウム水溶液に作用させ、室温(25℃)で10分間静置した。その後、人毛白髪を、再度水洗いした。人毛白髪を自然乾燥させた後、キーエンス社製の光学顕微鏡(デジタルマイクロスコープ VHX-5000、倍率:500倍)によって、人毛白髪の厚み方向から光を照射し、人毛白髪を透過した光を観察した。レンズには、キーエンス社製の高解像度ズームレンズVH-Z500Rを用いた。結果を図1~11に示す。処理前の人毛白髪の観察結果を図12に示す。なお、比較例3、4、6、9、及び10に係る人毛白髪は、自然乾燥を適用することなく、光学顕微鏡による観察を実施した。
(メデュラの空隙の低減の持続性)
毛髪用組成物で処理した人毛白髪のメデュラの空隙の低減の効果の持続性について評価した。上記(メデュラの空隙の低減の評価)にて調製した人毛白髪において、メデュラの空隙が低減していることが光学顕微鏡で確認でき、かつ、その後、人毛白髪を濃度5質量%SLS水溶液で洗浄しても、メデュラの空隙の低減が持続していた場合を「◎」と評価した。上記(メデュラの空隙の低減の評価)にて調製した人毛白髪において、メデュラの空隙が低減していることが光学顕微鏡で確認できたものの、その後、人毛白髪を濃度5質量%SLS水溶液で洗浄すると、メデュラの空隙の低減が実質的に確認できなかった場合を「○」と評価した。上記(メデュラの空隙の低減の評価)にて人毛白髪を自然乾燥させる前は、メデュラの空隙が低減していることがわずかに確認できたものの、人毛白髪を自然乾燥させるとメデュラの空隙の低減が確認できなかった場合を「△」と評価した。上記(メデュラの空隙の低減の評価)にて人毛白髪を調製したとき、メデュラの空隙の低減は確認できず、その後、人毛白髪を濃度5質量%SLS水溶液で洗浄しても、メデュラの空隙の低減が確認できなかった場合を「×」と評価した。
(白髪の目立ちやすさの評価)
上記で処理した人毛白髪に対して、白髪の目立ちやすさを目視により評価した。「透明性があり、白髪が非常に目立ちにくい」場合を「◎」、「透明性がややあり、白色が目立ちにくい」場合を、「〇」、「処理前と変わりない」場合を「△」、「処理前より白色が目立つ」場合を「×」と評価した。結果を表1~3に示す。
(毛束の質感の評価)
人毛白髪10%を含む毛束を、濃度5質量%のラウレス硫酸ナトリウム(SLS)水溶液で洗浄し、お湯で充分に洗い流した後、タオルドライを行った。毛束に、実施例及び比較例に係る毛髪用組成物を塗布し、表1~3に記載の処理温度及び処理時間反応させた。その後、毛束を水洗いした。次に、この毛束を濃度7.5質量%の臭素酸ナトリウム水溶液に作用させ、室温(25℃)で10分間静置した。その後、毛束を、再度水洗いして、自然乾燥させた。専門評価者10名が毛束の質感を1~5の5点満点で評価した。毛束の質感の各評価項目について、「大変良い」場合を5、「良い」場合を4、「ふつう」の場合を3、「あまりよくない」場合を2、「悪い」場合を1と評価した。毛束の質感について、専門評価者10名の平均点が、4.0以上であった場合を「◎」、3.0以上4.0未満であった場合を「○」、2.0以上3.0未満であった場合を「△」、2.0以下であった場合を「×」と評価した。結果を表1~3に示す。なお、毛束の質感とは、「ツヤ感」、「ハリ・コシ感」、及び「まとまり感」を意味する。
なお、以下の表において、平均分子量は、還元型加水分解ケラチンについては重量平均分子量、それ以外については数平均分子量である。
Figure 2022021330000002
Figure 2022021330000003
Figure 2022021330000004
各実施例では、メデュラの空隙が低減され、メデュラが実質的に充填され、ブラックメデュラがホワイトメデュラに変化した(図1~4参照)。一方、各比較例では、メデュラを十分に改質することはできなかった(図5~11参照)。これらのメデュラはブラックメデュラとして残存していた。なお、図7に示すとおり、比較例5に係る毛髪用組成物によると、芯部分が白っぽく観察された毛髪が得られた。比較例5に係る毛髪用組成物はアルカリ性であるので、毛髪、特にキューティクルがダメージを受けており、毛髪用組成物は、毛髪内部に浸透したと考えられる。その結果、芯部分が白っぽく観察された毛髪が得られたと考えられる。しかし、比較例5による毛髪用組成物で処理した毛髪では、毛髪の表面での光の散乱が大きくなり、処理前より白髪が目立っていた。加えて、比較例5による毛髪用組成物によれば、毛髪がダメージを受けやすいので、毛髪用組成物は毛髪から流出しやすく、メデュラの空隙を減少させる効果の持続性も十分とはいえない。そのため、比較例5による毛髪用組成物では、毛髪の内部が改質されたとは言い難い。
次に、実施例2、比較例3、5、及び9に係る毛髪用組成物を用いて、ヘアカラー処理による染色性及びストレートデザイン処理によるうねり抑制について評価した。
(ヘアカラー処理による染色性評価)
市販の白髪50%MIX毛束(長さ10cm、1g、ビューラックス社製)を濃度5質量%のラウレス硫酸ナトリウム(SLS)水溶液で洗浄し、お湯で充分に洗い流した後、タオルドライを行った。毛束に、実施例2、比較例3、及び比較例9に係る毛髪用組成物を50℃、20分間反応させた。その後、毛束を水洗いした。次に、この毛束を濃度7.5質量%の臭素酸ナトリウム水溶液に作用させ、室温(25℃)で10分間静置した。その後、毛束を、再度水洗いして、自然乾燥させた。次に、塩基性染毛料(タカラベルモント社製「ロコル インディゴ」)を毛束1本に対して4g塗布し、室温で20分間静置した。その後、毛束を、よく水洗し、自然乾燥させた。専門評価者10名が毛束の染色性(色の濃さ)を1~5の5点満点で評価した。毛束の染色性について、「大変良い」場合を5、「良い」場合を4、「ふつう」の場合を3、「あまりよくない」場合を2、「悪い」場合を1と評価した。毛束の染色性について、専門評価者10名の平均点が、4.0以上であった場合を「◎」、3.0以上4.0未満であった場合を「○」、2.0以上3.0未満であった場合を「△」、2.0以下であった場合を「×」と評価した。結果を表4に示す。
(ストレートデザイン処理によるうねり抑制評価)
市販のFrizzy毛(長さ20cm、1.5g、INTERNATIONAL HAIR IMPORTERS&PRODUCTS社製)を濃度5質量%のラウレス硫酸ナトリウム(SLS)水溶液で洗浄し、お湯で充分に洗い流した後、タオルドライを行った。毛束に、実施例2及び比較例5に係る毛髪用組成物を50℃、20分間反応させた。その後、毛束を水洗いして、ドライヤーで毛束を乾燥させた。その後、180℃に設定したストレートアイロンで毛束を挟み、根元から毛先方向に対して一定時間かけて移動させる動作を2回繰り返した。次に、この毛束を濃度7.5質量%の臭素酸ナトリウム水溶液に作用させ、室温(25℃)で10分間静置した。その後、毛束を、再度水洗いして、自然乾燥させた。専門評価者10名が毛束のうねり抑制効果を1~5の5点満点で評価した。毛束のうねり抑制効果について、「大変良い」場合を5、「良い」場合を4、「ふつう」の場合を3、「あまりよくない」場合を2、「悪い」場合を1と評価した。毛束のうねり抑制効果について、専門評価者10名の平均点が、4.0以上であった場合を「◎」、3.0以上4.0未満であった場合を「○」、2.0以上3.0未満であった場合を「△」、2.0以下であった場合を「×」と評価した。結果を表4に示す。
Figure 2022021330000005
実施例2では、毛束が良好に染まっていた(図13)。一方、比較例3及び9では、毛束の染色性は、やや悪かった。また、実施例2では、毛髪のうねりが良好におさまっていた(図14)。一方、比較例5では、毛束のうねりの抑制効果がやや悪かった。本発明に係る毛髪用組成物によれば、ヘアカラー処理による染色性及びストレートデザイン処理によるうねり抑制に優れることがわかった。

Claims (17)

  1. 下記成分(A)及び(B)を含み、25℃におけるpHが3.0以上8.0未満であり、下記(i)及び(ii)からなる群より選ばれる少なくとも1つが成立する毛髪用組成物を毛髪に接触させることによって、前記毛髪のメデュラの空隙を低減させる、毛髪処理方法。
    (i)前記成分(A)として、還元剤として作用し得る還元型加水分解タンパクを含む。
    (ii)下記成分(C)をさらに含む。
    (A)加水分解タンパク、アミノ酸、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つ
    (B)浸透剤
    (C)還元剤
  2. 加水分解タンパク、アミノ酸、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む毛髪用組成物を毛髪に接触させることと、
    前記毛髪用組成物に含まれる少なくとも1つの成分が前記毛髪の内部に浸透することによって前記毛髪のメデュラが実質的に充填されるまで、前記毛髪用組成物と前記毛髪との接触を維持することと、
    を含む、毛髪処理方法。
  3. ブラックメデュラを有する毛髪に、加水分解タンパク、アミノ酸、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む毛髪用組成物を接触させることと、
    前記ブラックメデュラがホワイトメデュラに変化するまで前記毛髪用組成物と前記毛髪との接触を維持することと、
    を含む、毛髪処理方法。
  4. 前記毛髪用組成物及び前記毛髪からなる群より選ばれる少なくとも1つの温度が35℃以上の状態で、前記毛髪用組成物と前記毛髪とを接触させる、請求項1~3のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
  5. 前記毛髪用組成物と前記毛髪との接触を維持しながら、前記毛髪用組成物及び前記毛髪からなる群より選ばれる少なくとも1つを加熱する、請求項1~4のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
  6. 前記毛髪が白髪を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
  7. 毛髪のメデュラを改質するための毛髪用組成物であって、
    下記成分(A)及び(B)を含み、
    25℃におけるpHが3.0以上8.0未満であり、
    下記(i)及び(ii)からなる群より選ばれる少なくとも1つが成立する、
    毛髪用組成物。
    (i)前記成分(A)として、還元剤として作用し得る還元型加水分解タンパクを含む。
    (ii)下記成分(C)をさらに含む。
    (A)加水分解タンパク、アミノ酸、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つ
    (B)浸透剤
    (C)還元剤
  8. 前記成分(A)として、加水分解タンパク及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項7に記載の毛髪用組成物。
  9. 前記成分(A)として、前記還元型加水分解タンパクを含み、
    25℃において、前記毛髪用組成物1gによって還元されるヨウ素の量が0.05mol/Lのヨウ素溶液の量により表示して2.0mL以上である、請求項7又は8に記載の毛髪用組成物。
  10. 25℃において、前記毛髪用組成物1gによって還元されるヨウ素の量が0.05mol/Lのヨウ素溶液の量により表示して5.0mL以上である、請求項7~9のいずれか1項に記載の毛髪用組成物。
  11. 前記成分(A)の分子量が250以上である、請求項7~10のいずれか1項に記載の毛髪用組成物。
  12. 前記分子量が600以上である、請求項11に記載の毛髪用組成物。
  13. 前記毛髪用組成物の総質量に対する前記成分(A)の含有量が5質量%以上~15質量%である、請求項7~12のいずれか1項に記載の毛髪用組成物。
  14. 前記毛髪用組成物の総質量に対する前記成分(A)の含有量が5.5質量%以上~15質量%である、請求項13に記載の毛髪用組成物。
  15. 請求項7~14のいずれか1項に記載の毛髪用組成物を含む、メデュラ充填剤。
  16. 請求項7~14のいずれか1項に記載の毛髪用組成物を含む、白髪処理剤。
  17. 請求項7~14のいずれか1項に記載の毛髪用組成物を含む第1剤と、
    酸化剤を含む第2剤と、を備えた、毛髪処理剤。
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