JP2022021029A - 湿度調整フィルター、及び磁気記録再生装置 - Google Patents

Abstract

【課題】磁気記録再生装置内の湿度の上昇を抑制する。【解決手段】実施形態に係る湿度調整フィルターは、磁気記録媒体を収容する筐体を含む磁気記録再生装置に使用され、前記筐体の内部と外気とを結ぶ呼吸孔の前記筐体の内部側に配置可能であり、呼吸孔側から順に、撥水性被膜と、ＩＵＰＡＣによって分類された典型的な吸着等温線においてIII型の性質を持つ多孔質体からなる第１吸着層と、I型の性質を持つ多孔質体からなる第２吸着層とを含む。【選択図】図１

Description

本発明の実施形態は、湿度調整フィルター、及び磁気記録再生装置に関する。

従来、磁気記録再生装置内の湿度は、トップカバーに取り付けるガスケットや呼吸孔からの水分侵入により、外部の湿度に追従するように徐々に上昇する。一度磁気記録再生装置内の湿度が高くなると、呼吸孔には拡散流路が設けられている場合が多く、内部からの湿度が抜ける速度は非常に遅い構造になっている。磁気記録再生装置内部が高湿度状態で、温度の変動があった場合、結露を起こす可能性がある。通常、呼吸孔には、調湿特性を備えた活性炭などの呼吸フィルターが使用され、磁気記録再生装置内が高湿になった場合には余分な水分を吸収するが、磁気記録再生装置内部の湿度を積極的に排出する機能は無く、さらに吸水限界を超えた場合は結露を起こす可能性がある。

米国特許第１０２７６２１６号明細書

本発明の実施形態は、磁気記録再生装置内の湿度上昇を抑制する湿度調整フィルターを得ることを目的とする。

実施形態によれば、磁気記録媒体を収容する筐体を含む磁気記録再生装置に使用され、
前記筐体の内部と外気とを結ぶ呼吸孔の前記筐体の内部側に配置可能な湿度調整フィルターであって、前記呼吸孔側に設けられた撥水性被膜と、ＩＵＰＡＣによって分類された典型的な吸着等温線においてIII型の性質をもつ多孔質体からなる第１吸着層と、ＩＵＰＡＣによって分類された典型的な吸着等温線においてI型の性質をもつ多孔質体からなる第２吸着層とを含むことを特徴とする湿度調整フィルターが提供される。

実施形態にかかる湿度調整フィルターの構成を表す断面図である。 ＩＵＰＡＣにより分類された典型的な吸着等温線を表すグラフ図である。 実施形態に用いられる多孔質体の吸着等温線を表すグラフ図である。 図１の変形例である。 第２の実施形態に係る磁気記録再生装置の分解斜視図である。

実施形態に係る湿度調整フィルターは、磁気記録媒体を収容する筐体を含む磁気記録再生装置に使用され、記筐体の内部と外気とを結ぶ呼吸孔の筐体の内部側に配置可能な湿度調整フィルターであって、ＩＵＰＡＣによって分類された典型的な吸着等温線において、III型の性質をもつ多孔質体からなる第１吸着層と、第１吸着層の呼吸孔側の表面に施された撥水性被膜と、第１吸着層よりも筐体の内部側に設けられ、ＩＵＰＡＣによって分類された典型的な吸着等温線において、I型の性質をもつ多孔質体からなる第２吸着層とを含む。

以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更であって容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。

図１は、第１の実施形態に係る湿度調整フィルターの構成を表す断面図である。
図示するように、湿度調整フィルター１００は、磁気記録再生装置１０の図示しない磁気記録媒体を収容する筐体１０１の例えばトップカバー１４内に適用可能であり、撥水性被膜１０２を施した吸着層１０３と、吸着層１０４を密着させた吸着層１０７を有する。

撥水性被膜１０２は、筐体１０１の内表面１０１ａに設けられた第１の開口１１０ａの近傍に配置される。第１の開口１１０ａは、筐体１０１の内部から外気へ通じる呼吸孔１１０の一部である。呼吸孔１１０は、第１の開口１１０ａと、筐体１０１の外表面１０１ｂに設けられた第２の開口１１０ｂとを結んでいる。

吸着層１０７は、２層以上の吸着層を有し、少なくとも第１吸着層１０３と、第２吸着層１０４とを含む。第２吸着層１０４は、筐体１０１の内部側すなわち磁気記録再生装置１０の内気側に配置される。第１吸着層１０３は、第２吸着層１０４よりも外気側に配置され、第１吸着層１０３の外気側表面に撥水性被膜１０２が設けられる。

湿度調整フィルター１００は、底部１０５ｂと側壁部１０５ａと底部１０５ｂに対向する開口部１０５ｃとを有する樹脂製のケース１０５を含むことができる。ケース１０５は、底部１０５ｂから開口部１０５ｃにかけて、撥水性被膜１０２、第１吸着層１０３、及び第２吸着層１０４を順に収容することができる。底部１０５ｂは第１の開口１１０ａの近傍に配置可能であり、第１の開口１１０ａと連通可能な流路として開孔１０８を有する。開孔１０８は、例えば２段階の孔径を有し、例えば第１の開口１１０ａの孔径が１．５ｍｍであるとき、開孔１０８の第１の開口１１０ａ側の開口１０８ｂの孔径を１．５ｍｍとし、撥水性被膜１０２側の開口１０８ａの孔径を０．２ｍｍとすることができる。ケース１０５の開口部には、通気可能なメンブレン１０６を設けることが可能であり、これにより第２吸着層１０４側の表面１０４ａ上を覆うことができる。

吸着層１０７のうち、磁気記録再生装置１０の内気側に設けられる第２吸着層１０４は、ＩＵＰＡＣの分類に基づく吸着等温線においてI型の性質を持つ多孔質体からなる。また、I型多孔質体よりも外気側に設けられる第１吸着層１０３は、ＩＵＰＡＣの分類に基づく吸着等温線においてIII型の性質を持つ多孔質体からなる。

ＩＵＰＡＣに基づく典型的な吸着等温線の分類には、I型からVI型6種類がある。
図２に、ＩＵＰＡＣの分類に基づく典型的な吸着等温線を示す。
図中、縦軸は吸着率、横軸は、水蒸気の相対圧を表す。ここでいう吸着率は、自重に対する吸着水量である。また、曲線３０１はI型、曲線３０２はII型、曲線３０３はIII型、曲線３０４はIV型、曲線３０５はV型、曲線３０６はVI型の吸着等温線を示す。
図３に、実施形態に使用される、Ｉ型とIII型について湿度に対する吸水率を表す吸着等温線を示す。

I型は湿度が５０％より低い領域で吸水特性を示し、III型は低湿度の場合は吸水率が少ないが、湿度が高くなるとともに上昇するタイプの多孔質体の吸着等温線である。
実施形態では、図示するように、これら２つの特性を共存させることで、積極的に磁気記録再生装置１０の内湿度を装置外へ排出することができる。

磁気記録再生装置１０の内の湿度が徐々に上昇する場合、３０１に示すように、まず、I型の吸着特性を持つ多孔質体が水分（水蒸気）を吸着し始める。続いて、I型の吸着特性を持つ多孔質体の水分吸着量が約３０％に以上に達すると、III型の吸着特性を持つ多孔質体は、接触しているI型の吸着特性を持つ多孔質体からその水分を吸着して、水分を移動することができる。このように、湿度により吸水特性の異なる２層の多孔質吸着体を用いると、ポンプのように作用して磁気記録再生装置１０内部から外部へ水分を排除することができる。また、第２吸着層と第１吸着層は、接触することで、水分をドライブ内部から外部の方向へ移動させることができる。なお、ここでは、第１吸着層１０３と第２吸着層１０４を密着させて接触しているが、第１吸着層１０３と第２吸着層１０４の間に他の層を設けることも可能である。

第１吸着層１０３と第２吸着層１０４に用いられる多孔質体の材質としては、例えば、活性炭やゼオライト、シリカゲルなど原料粒子を焼成して空隙を形成可能な無機質多孔質体などを使用することができる。
例えば、実施形態に係る湿度調整フィルター１００では、任意に、２層の吸着層１０７に用いられる多孔質体の粒子の凝集度合いを調整することで、第２吸着層１０４から第１吸着層１０３への水分の移動を促進させる機能を設けることができる。例えば、第１吸着層１０３の多孔質体を形成する際、各粒子間の空隙の大部分を５０ｎｍ以下とし、第２吸着層の１０４の多孔質体の各粒子間の空隙の大部分を５０ｎｍ以上とすることができる。これにより、大きい空隙を有する第２吸着層１０４から小さい空隙を有する第１吸着層１０３へ毛細管現象により水分を移動させることができる。第１吸着層１０３に移動した水分は撥水性被膜１０２を透過して呼吸孔１１０を介して外気へ吐き出すことができる。

撥水性被膜１０２は、第１吸着層１０３よりも呼吸孔１１０側に設けられ、第１吸着層１０３表面の水に対するぬれ性よりも低いぬれ性を有する。水蒸気を含む外気は撥水性被膜１０２に接触したとき、凝縮して水滴となりやすく、第２吸着層に浸透しにくくなり、その場で蒸発する。このように、撥水性被膜１０２を用いると、外気から磁気記録再生装置１０内部への水分の侵入を防ぐことが可能となる。

撥水性被膜１０２として、図１に示すように、例えば第１吸着層１０３表面に撥水性の例えばフッ素系、シリコーン系、炭化水素系などの撥水剤を噴霧もしくは塗布して被覆層を形成することができる。通気性を得るためには、塗布層の厚さを多孔質体の粒子径以下とし、不均一な膜にする、あるいは被覆層をパターン状に形成するなどの方法により、撥水性被膜の通気を確保するように調整することができる。なお、ここでは、撥水性被膜１０２を第１吸着層１０３表面に直接形成しているが、第１吸着層１０３と撥水性被膜１０２との間に他の層を設けることも可能である。

図４に、図１の変形例を示す。
図４に示す湿度調整フィルター１００－１は、磁気記録再生装置１０－１の図示しない磁気記録媒体を収容する筐体１０１の例えばトップカバー１４内に適用可能であり、第１の開口１１０ａ近傍の第１吸着層１０３の表面１０３ａの一部、例えば、少なくとも第１の開口１１０ａから供給される外気と接触する領域１０３ｃに、撥水性被膜１０２－１を設けることができる。また、湿度調整フィルター１００－１は、撥水性被膜１０２の代わりに、第１吸着層１０３表面の一部に設けられた撥水性被膜１０２－１を用いること以外は、図１と同様の構成を有する。領域１０３ｃに、撥水性被膜１０２－１を設けると、水蒸気を含む外気が撥水性被膜１０２に接触したとき、凝縮して水滴となり、第２吸着層に浸透しにくくなり、蒸発して、呼吸孔から排出され得るという効果は十分に得られる。

実施形態によれば、呼吸孔において磁気記録再生装置内の湿度を抑制することができる。また、実施形態によれば、高湿度環境化での磁気記録再生装置内の湿度上昇を抑制し、結露を起こすリスクを回避することが可能となる。
メンブレン１０６は、多孔質体１０７をケース１０５の中に保持するために使用される不織布である。
メンブレンの代わりに、開口と流路を有する通気可能な蓋体を設けることも可能である。

以下に、磁気記録再生装置として、第２の実施形態に係るハードディスクドライブ（ＨＤＤ）について詳細に説明する。
図５は、トップカバーを外して示す第２の実施形態に係る磁気記録再生装置の分解斜視図である。
磁気記録再生装置１０としてのＨＤＤは、偏平なほぼ矩形状の筐体１０１を備えている。この筐体１０１は、上面の開口した矩形箱状のベース１２と、トップカバー１４と、を有している。ベース１２は、トップカバー１４と隙間を置いて対向する矩形状の底壁１２ａと、底壁の周縁に沿って立設された側壁１２ｂとを有し、例えば、アルミニウムにより一体に成形されている。トップカバー１４は、例えば、ステンレスにより矩形板状に形成されている。トップカバー１４は、複数のねじ１３によりベース１２の側壁１２ｂ上にねじ止めされ、ベース１２の上部開口を閉塞する。

筐体１０１内には、ディスク状の記録媒体として複数枚の磁気ディスク１８、および磁気ディスク１８を支持および回転させるスピンドルモータ１９が設けられている。スピンドルモータ１９は、底壁１２ａ上に配設されている。各磁気ディスク１８は、例えば、直径８８．９ｍｍ（３．５インチ）に形成され、その上面または下面に磁気記録層を有している。各磁気ディスク１８は、スピンドルモータ１９の図示しないハブに互いに同軸的に嵌合されているとともにクランプばね２０によりクランプされ、ハブに固定されている。これにより、各磁気ディスク１８は、ベース１２の底壁１２ａと平行に位置した状態に支持されている。各磁気ディスク１８は、スピンドルモータ１９により所定の回転数で回転される。

なお、図５に示すように、本実施形態においては、例えば７枚の磁気ディスク１８が筐体１０１内に配置されているが、磁気ディスク１８の枚数はこれに限られない。
筐体１０１内には、磁気ディスク１８に対して情報の記録、再生を行なう複数の磁気ヘッド１７、および、これらの磁気ヘッド１７を磁気ディスク１８に対して移動自在に支持したアクチュエータアッセンブリ２２が設けられている。また、筐体１０１内には、アクチュエータアッセンブリ２２を回動および位置決めするボイスコイルモータ（ＶＣＭ）２４、磁気ヘッド１７が磁気ディスク１８の最外周に移動した際、磁気ヘッド１７を磁気ディスク１８から離間したアンロード位置に保持するランプロード機構２５、および変換コネクタ等の電子部品が実装された基板ユニット（ＦＰＣユニット）２１が設けられている。
ベース１２の底壁１２ａの外面には、プリント回路基板２７がねじ止めされている。プリント回路基板２７は、スピンドルモータ１９の動作を制御するとともに、基板ユニット２１を介してＶＣＭ２４および磁気ヘッド１７の動作を制御する制御部を構成している。

アクチュエータアッセンブリ２２は、アクチュエータブロック２９と、アクチュエータブロック２９から同一方向に延出する複数本、例えば、８本のアーム３０と、各アーム３０の延出端に取付けられた複数のヘッドジンバルアッセンブリ（ＨＧＡ）３２と、を有している。アクチュエータブロック２９は、底壁１２ａに立設された支持シャフト（枢軸）２６に、ユニット軸受を介して、回動自在に支持されている。各ＨＧＡ３２は、アーム３０から延出するサスペンション（ロードビーム）と、ロードビームおよびアーム３０上に配置された図示しないフレクシャ（配線部材）と、フレクシャのジンバル部に搭載された磁気ヘッド１７と、を有している。

アクチュエータアッセンブリ２２は、アクチュエータブロック２９からアーム３０と反対の方向に延出した図示しない支持フレームと、この支持フレームに取付けられたボイスコイルと、を更に備えている。ボイスコイルは、底壁１２ａに設置された一対のヨーク３８間に位置し、これらのヨーク３８、および何れかのヨーク３８に固定された磁石とともにＶＣＭ２４を構成している。

ＦＰＣユニット２１は、フレキシブルプリント回路基板により形成された本体２１ａを有し、この本体２１ａはベース１２の底壁１２ａに固定されている。本体２１ａ上には変換コネクタ等の電子部品が実装されている。変換コネクタは、底壁１２ａを貫通して、プリント回路基板２７に接続されている。ＦＰＣユニット２１は本体２１ａから延出した中継フレキシブルプリント回路基板（以下、中継ＦＰＣと称する）２１ｂを有している。中継ＦＰＣ２１ｂの延出端部は、アクチュエータブロック２９の側面（設置面）に取付けられている。中継ＦＰＣ２１ｂの延出端部は、前述したフレクシャを介して磁気ヘッド１７に電気的に接続されている。

本実施形態によれば、ＨＤＤは、筐体１０１内に設けられた湿度調整フィルター１００を更に備え、この湿度調整フィルター１００は、吸着層１０７を有している。一例では、湿度調整フィルター１００は、トップカバー１４の内面に固定されている。湿度調整フィルター１００として、図１に示す湿度調整フィルター１００を使用できる。また、ＨＤＤの変形例として、湿度調整フィルター１００の代わりに、図４に示す湿度調整フィルター１００－１を使用できる。
筐体１０１内において、側壁１２ｂの近傍に湿度調整フィルター１００が設けられ、磁気ディスク１８の外側に位置している。吸着層１０７は、筐体１０１内に侵入した水分を吸着する。

本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

１０…筺体、１２…ベース、１２ａ…底壁、１２ｂ…側壁、１４…トップカバー、
１７…磁気ヘッド、１８…磁気ディスク、１９…スピンドルモータ、
２１…ＦＰＣユニット、２２…アクチュエータアッセンブリ、
４０…フィルタユニット、４２…ベース、４４…保持フレーム、
４６…フィルター本体（捕集フィルタ）、４８ａ…第１透孔（第１凹部）、
５０…第２透孔（第２凹部）、６０…第１フック（第１係合部）、
６２ａ…第２フック（第２係合部）、６２…ロックレバー、５４ａ…第１ビーム、
５６ｂ…押圧突起、
１００，１００－１…湿度調整フィルター、１０１…筐体、１０２…撥水性被膜、
１０３…第１吸着層、１０４…第２吸着層、１０５…ケース、１０６…メンブレン、
１０７…吸着層、１０８…開孔、１１０…呼吸孔

Claims (6)

1. 磁気記録媒体を収容する筐体を含む磁気記録再生装置に使用され、
   前記筐体の内部と外気とを結ぶ呼吸孔の前記筐体の内部側に配置可能な湿度調整フィルターであって、
   前記呼吸孔側から順に設けられた、通気性を持つ撥水性被膜と、
   ＩＵＰＡＣによって分類された典型的な吸着等温線においてIII型の性質をもつ多孔質体からなる第１吸着層と、
   ＩＵＰＡＣによって分類された典型的な吸着等温線においてI型の性質をもつ多孔質体からなる第２吸着層とを含むことを特徴とする湿度調整フィルター。
2. 前記第１吸着層は、前記第２吸着層と接触している請求項１に記載の湿度調整フィルター。
3. 前記第１吸着層は多数の粒子を有し、前記粒子間の空隙の長さの大部分は、５０ｎｍ以下である請求項１または２に記載の湿度調整フィルター。
4. 前記第２吸着層は多数の粒子を有し、前記粒子間の空隙の長さの大部分は、５０ｎｍ以上の孔径を有するマクロ孔を含む請求項１ないし３のいずれか１項に記載の湿度調整フィルター。
5. 前記撥水性被膜は、前記第１吸着層の前記第１の開口側の表面に設けられた被覆層を含む請求項１ないし４のいずれか１項に記載の湿度調整フィルター。
6. 磁気記録媒体と、
   前記磁気記録媒体を収容し、呼吸孔を有する筐体と、
   前記呼吸孔の前記筐体の内部側に配置された請求項１ないし５のいずれか１項に記載の湿度調整フィルターとを含む磁気記録再生装置。

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