JP2022019448A - 搬送システム、制御システム及び制御方法 - Google Patents

搬送システム、制御システム及び制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い設計自由度を確保しつつ、可動子の速度変動を低減することができる搬送システム、制御システム及び制御方法を提供する。【解決手段】搬送システムは、所定の方向に配置された複数のコイルを有する搬送路と、所定の方向に沿って配置され、複数の磁石部を有する可動子の位置を検出する位置検出部と、複数のコイルに電流を供給することにより可動子の移動を制御する制御部と、を有し、制御部は、可動子の位置に応じて可動子の移動を制御するコイルを複数のコイルから選択し、選択されたコイルの位置及び磁石部の位置に基づき選択されたコイルの推力定数を算出し、選択されたコイルに前記可動子に対する推力を分配し、推力定数及び分配された推力に基づいて、選択されたコイルの電流値を決定する。【選択図】図3

Description

本発明は、搬送システム、制御システム及び制御方法に関する。
特許文献1には、S極とN極を交互に配置した移動経路と、移動経路に沿って移動する移動体とを備え、移動体が、移動方向において異なる位置に配置される複数のモータと、それらの駆動を制御する駆動制御部とを有する移動体システムが記載されている。特許文献1に記載の移動体システムでは、一のモータが磁石の磁極の配置が規則的でない不規則区間に位置したときに、一のモータ以外の少なくとも1つのモータが不規則区間でない区間に位置し、駆動制御部は、不規則区間に位置するモータの駆動を停止する。
また、特許文献2には、それぞれが独立した1台のリニアモータの一次側の電機子として機能可能な複数の個別モータが、走行体の走行領域の全域に渡りレールに沿って間隔を開けて配列された搬送システムが記載されている。特許文献2に記載の搬送システムでは、永久磁石からなる可動子が走行体に設置され、可動子の走行方向の長さが、可動子が走行方向のどの位置にあっても複数の個別モータに渡って対向する長さとされている。
特許第6314371号公報 特許第5423901号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載されるような搬送システムでは、固定子を規則的に並べて配置することが困難であった。このため、特許文献1及び2に記載されるような搬送システムでは、可動子の速度変動が生じるおそれがあった。一方、特許文献2に記載されるように、所定の規則を満足するように固定子側の個別モータを配列したのでは、高い設計自由度を確保することは困難であった。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、高い設計自由度を確保しつつ、可動子の速度変動を低減することができる搬送システム、制御システム及び制御方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成すべく、本発明の一態様による搬送システムは、所定の方向に配置された複数のコイルを有する搬送路と、前記所定の方向に沿って配置され、複数の磁石部を有する可動子の位置を検出する位置検出部と、前記複数のコイルに電流を供給することにより前記可動子の移動を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記可動子の位置に応じて前記可動子の移動を制御するコイルを前記複数のコイルから選択し、前記選択されたコイルの位置及び前記磁石部の位置に基づき前記選択されたコイルの推力定数を算出し、前記選択されたコイルに前記可動子に対する推力を分配し、前記推力定数及び前記分配された推力に基づいて、前記選択されたコイルの電流値を決定する。
本発明の他の態様による制御システムは、所定の方向に配置された複数のコイルを有する搬送路と、前記所定の方向に沿って配置され、複数の磁石部を有する可動子の位置を検出する位置検出部と、を有する搬送システムを制御する制御システムであって、前記可動子の位置に応じて前記可動子の移動を制御するコイルを前記複数のコイルから選択する選択手段と、前記選択されたコイルの位置及び前記磁石部の位置に基づき前記選択されたコイルの推力定数を算出する算出手段と、前記選択されたコイルに前記可動子に対する推力を分配する分配手段と、前記推力定数及び前記分配された推力に基づいて、前記選択されたコイルの電流値を決定する決定手段と、前記決定された電流値の電流を前記選択されたコイルに供給することにより前記可動子の移動を制御する制御手段と、を有する。
本発明のさらに他の態様による制御方法は、所定の方向に配置された複数のコイルを有する搬送路と、前記所定の方向に沿って配置され、複数の磁石部を有する可動子の位置を検出する位置検出部と、を有する搬送システムの制御方法であって、前記可動子の位置に応じて前記可動子の移動を制御するコイルを前記複数のコイルから選択し、前記選択されたコイルの位置及び前記磁石部の位置から推力定数を算出し、前記選択されたコイルに前記可動子に対する推力を分配し、前記推力定数及び前記分配された推力に基づいて、前記選択されたコイルの電流値を決定し、前記決定された電流値の電流を前記選択されたコイルに供給することにより前記可動子の移動を制御する。
本発明によれば、高い設計自由度を確保しつつ、可動子の速度変動を低減することができる。
本発明の第1実施形態による搬送システムにおける搬送装置を示す概略構成図である。 本発明の第1実施形態による搬送システムにおける搬送装置を示す概略構成図である。 本発明の第1実施形態による搬送システムにおける搬送装置を示す概略構成図である。 本発明の第1実施形態による搬送システムにおける搬送装置を示す概略構成図である。 本発明の第1実施形態による搬送システムにおける制御システムを示す概略構成図である。 本発明の第1実施形態による搬送システムを示すブロック図である。 本発明の第1実施形態による搬送システムの動作を説明する概略図である。 本発明の第3実施形態による搬送システムの動作を説明する概略図である。 本発明の第3実施形態による搬送システムの動作を説明する概略図である。 本発明の第3実施形態による搬送システムの動作を説明する概略図である。 本発明の第4実施形態による搬送システムの動作を示すフローチャート図である。 本発明の第5実施形態による搬送システムにおける搬送装置を示す概略構成図である。 本発明の第5実施形態による搬送システムの動作を説明する概略図である。 本発明の第6実施形態による搬送システムを示すブロック図である。 本発明の第6実施形態による搬送装置を示す概略構成図である。 本発明の第6実施形態による搬送装置を示す概略構成図である。 本発明の第6実施形態による搬送装置を示す概略構成図である。 本発明の第7実施形態による搬送システムにおける運行システムを示す概略構成図である。 本発明の第7実施形態による搬送システムを示すブロック図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態による搬送システムについて図1A乃至図4を用いて説明する。本実施形態による搬送システムは、可動子に永久磁石、固定子にコイルが設置されたムービングマグネット型(MM)型リニアモータによる搬送システムである。
まず、本実施形態による搬送システムの概略構成について図1A乃至図3を用いて説明する。図1A乃至図1Dは、本実施形態による搬送システム1における搬送装置12を示す概略構成図である。図1Aは、搬送装置12のZ方向から見た上面図である。図1Bは、搬送装置12のX方向から見た正面断面図である。図1Cは、搬送装置12におけるコイルユニット21のZ方向から見た上面図である。図1Dは、搬送装置12におけるコイルユニット21のY方向から見た側面図である。図2は、本実施形態による搬送システム1における制御システム13を示す概略構成図である。図3は、本実施形態による搬送システム1を示すブロック図である。なお、以下の説明では、複数存在する構成要素について、必要に応じて数字の符号の後に小文字のアルファベットを付して個々を区別し、特に区別する必要がない場合には共通の数字のみの符号を用いる。
本実施形態による搬送システム1は、図1A、図1B及び図2に示すように、搬送装置12と、制御システム13とを含んでいる。搬送装置12は、可動子として機能するキャリア40を有している。なお、キャリア40の台数は、図1Aに示す1台に限定されるものではなく、2台以上の複数台であってもよい。制御システム13は、搬送装置12を制御して、搬送装置12におけるキャリア40の搬送を制御する制御部として機能する。搬送システム1は、キャリア40により搬送されるワークに対して加工を施す加工システムの一部を構成している。
ここで、以下の説明において用いる直交座標系であるXYZ座標系の各座標軸、方向等を定義する。まず、キャリア40の搬送方向である水平方向に沿ってX軸をとり、キャリア40の搬送方向をX方向とする。また、X方向と直交する方向である鉛直方向に沿ってZ軸をとり、鉛直方向をZ方向とする。また、X方向及びZ方向に直交する方向に沿ってY軸をとり、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向とする。また、キャリア40が搬送される向きをX方向の正の向きとする。また、鉛直上向きをZ方向の正の向きとする。なお、キャリア40の搬送方向は必ずしも水平方向である必要はないが、その場合も搬送方向をX方向として同様にY方向及びZ方向を定めることができる。
図1A及び図1Bに示すように、搬送装置12は、可動子として機能するキャリア40と、固定子として機能するコイルユニット21を含む搬送路3とを有している。
キャリア40は、例えば、加工システムの生産ラインにおいてワークを運搬するための台車としての役割を担っている。キャリア40は、例えば、その上面にワークを保持可能なように構成されている。生産ラインには、キャリア40により搬送されるワークに対して加工を行う1種又は複数種の工程装置14が設置されている。生産ラインでは、例えば、搬送装置12によりワークスペースに搬送されたワーク又は搬送装置12による搬送中のワークに対して、工程装置14により加工が行われて物品が製造される。搬送装置12に配置されるキャリア40の数は、生産ラインにより異なる。
キャリア40には、Z方向の負側の面である下面において、搬送路3のレール60に沿って走行可能なローラ44が取り付けられて設置されている。また、キャリア40には、おなじく下面において、搬送路3のコイル22に対向可能なように複数の永久磁石42がX方向に沿って取り付けられて設置されている。複数の永久磁石42は、搬送路3側の下方を向く外側の磁極の極性が交互に異なって外側にS極及びN極の極性がX方向に交互に並ぶように交互に着磁されて取り付けられている。各永久磁石42は、搬送路3の電流が印加されたコイル22との間に力が働く磁石部を構成する。なお、複数の永久磁石42の数は、特に限定されるものではなく、適宜変更することができる。また、キャリア40には、エンコーダ31により読み取り可能なようにスケール41が取り付けられて設置されている。
キャリア40は、磁石部である永久磁石42と搬送路3の電流が印加されたコイル22との間に働くX方向の力を推力として、例えば、ローラ44がY方向に沿った回転軸を中心に回転することによりレール60に沿ってX方向に移動可能に構成されている。なお、キャリア40は、永久磁石42と搬送路3の電流が印加されたコイル22との間に働くZ方向の力を浮上力としてZ方向に浮上しつつX方向に移動するように構成することもできる。
搬送路3は、キャリア40がX方向に沿って走行可能なレール60と、レール支持部61と、複数のコイルユニット21と、複数のエンコーダ31とを有している。なお、複数のコイルユニット21の数及び複数のエンコーダ31の数は、特に限定されるものではなく、それぞれ搬送路3の長さ等に応じて適宜変更することができる。レール支持部61には、レール60と、複数のコイルユニット21と、複数のエンコーダ31とが取り付けられて設置されている。レール60は、X方向に沿って設置されている。複数のコイルユニット21a~21nは、X方向に沿ったレール60に沿って配置されている。複数のエンコーダ31a~31cは、X方向に沿って所定の間隔で並ぶように配置されて設置されている。
各エンコーダ31は、搬送路3上の自己の取り付け位置を内部に記憶している。エンコーダ31は、キャリア40のスケール41のパターンを読み取ってエンコーダ31とスケール41の相対距離を算出する。また、エンコーダ31は、算出した相対距離及び取り付け位置から搬送路3上のキャリア40の現在位置を算出する。また、エンコーダ31は、算出したキャリア40の現在位置を示す位置情報をセンサコントローラ30に送信する。こうして、各エンコーダ31は、キャリア40の搬送路3における位置を検出する位置検出部として機能する。
各コイルユニット21は、複数のコイル22を有している。図1C及び図1Dに示すように、コイルユニット21には、複数のコイル22a~22fがX方向に沿って取り付けられて設置されている。複数のコイル22a~22fは、キャリア40の永久磁石42に対向可能なように設置されている。なお、複数のコイル22の数は、特に限定されるものではなく、適宜変更することができる。各々のコイル22には、それぞれに流れる電流を制御するコイルコントローラ20が接続されている。コイル22は、コイルコントローラ20により制御される電流が印加されることで励磁する。励磁したコイル22は、キャリア40が有する永久磁石42との作用により発生する力によりキャリア40を駆動してX方向に搬送する。
図2に示すように、制御システム13は、搬送コントローラ10と、複数のコイルコントローラ20と、センサコントローラ30とを有している。複数のコイルコントローラ20a~20nは、複数のコイルユニット21a~21nに対応して設置されている。搬送制御手段としての搬送コントローラ10には、複数のコイルコントローラ20が通信可能に接続されている。また、搬送コントローラ10には、センサコントローラ30が通信可能に接続されている。各コイルコントローラ20には、対応するコイルユニット21が接続されている。センサコントローラ30には、複数のエンコーダ31が通信可能に接続されている。制御システム13は、搬送路3の複数のコイル22に駆動電流を供給することにより搬送路3におけるキャリア40の移動を制御する制御部として機能する。
搬送コントローラ10は、センサコントローラ30から送信されるキャリア40の現在位置を示す位置情報に基づき、コイルユニット21のコイル22に印加すべき電流値を示す制御電流値を決定する。搬送コントローラ10は、決定した制御電流値を各コイルコントローラ20に送信する。各コイルコントローラ20は、搬送コントローラ10から受信した制御電流値に基づき、対応するコイルユニット21のコイル22に印加する電流量を制御する。センサコントローラ30は、エンコーダ31から送信されるキャリア40の現在位置を示す位置情報を搬送コントローラ10に送信する。以下、制御システム13における各部について詳述する。
図3に示すように、センサコントローラ30は、位置情報選択器110を有している。搬送コントローラ10は、位置指令器100と、制御偏差算出器101と、位置制御器102と、制御コイル選択器103と、電気角算出器104と、装置情報記憶器105と、制御情報出力器106と、分配量算出器107とを有している。
位置情報選択器110には、複数のエンコーダ31が接続されている。位置情報選択器110は、キャリア40の現在位置を取得するエンコーダ31を切り替える搬送路3上の切り替え位置を記憶している。位置情報選択器110は、キャリア40の現在位置が搬送路3上の切り替え位置を通過した時、現在位置を取得するエンコーダ31を、キャリア40が切り替え位置を通過した側のエンコーダ31に切り替える。
位置指令器100は、キャリア40の位置指令情報を制御偏差算出器101に出力する。キャリア40の位置指令情報は、搬送するキャリア40を位置させるべき位置を示す情報である。
制御偏差算出器101は、位置指令器100から出力された位置指令情報に示される位置と、センサコントローラ30から出力される位置情報に示されるキャリア40の現在位置との差を算出する。また、制御偏差算出器101は、算出した位置の差を制御偏差情報として位置制御器102へ出力する。
位置制御器102は、制御偏差算出器101から出力された制御偏差情報に基づき、キャリア40に対して加えることが要求される推力として指令すべき推力である要求推力[N]を算出する。位置制御器102は、算出した要求推力を示す要求推力情報を分配量算出器107へ出力する。
装置情報記憶器105は、記憶部として機能し、搬送システム1における搬送装置12の装置構成情報をあらかじめ記憶している。
装置情報記憶器105に記憶された装置構成情報は、具体的には例えば、キャリア40の長さ、永久磁石42のX方向の位置を含む取り付け位置、コイル22の長さ、コイルユニット21の長さ、コイルユニット21の配置位置の座標等が記憶されている。装置情報記憶器105は、複数のキャリア40についてキャリア40ごとに永久磁石42の取り付け位置を記憶している。
制御コイル選択器103は、搬送されるキャリア40の永久磁石42に対向しているコイル22を選択して制御対象であるピックアップコイルとする。ピックアップコイルは、キャリア40の移動を制御するためのコイル22である。制御コイル選択器103は、キャリア40の現在位置、コイルユニット21の長さ及びコイルユニット21の配置位置の座標を使用して、永久磁石42に対向しているコイル22を選択してピックアップコイルとする。キャリア40の現在位置は、センサコントローラ30から出力される位置情報に示されるものである。コイルユニット21の長さ及びコイルユニット21の配置位置の座標は、装置情報記憶器105に記憶されたものである。なお、搬送コントローラ10は、ピックアップコイルとして選択されていないコイル22の出力を停止するように制御を行う。制御コイル選択器103は、ピックアップコイルとして選択したコイル22を特定する制御コイル情報を電気角算出器104へ出力する。こうして、制御コイル選択器103は、キャリア40の位置に応じて、ピックアップコイルとしてのコイル22を搬送路3に設置された複数のコイル22から選択する。
電気角算出器104は、制御コイル選択器103から出力された制御コイル情報に基づき、ピックアップコイルとして選択された各コイル22について印加する電流の電気角及び単位電流[A]あたりの推力[N]である推力定数[N/A]を算出する。
電気角算出器104により算出される推力定数について図4を用いて説明する。図4の上段には、キャリア40及びこれに対向するコイルユニット21a、21bをY方向から見た図を示している。図4の下段には、上段の図に対応するX方向の位置における推力定数を示す推力定数プロファイル70を示している。推力定数プロファイル70は、横軸にX方向の位置、縦軸に推力定数をとったグラフである。
図4の上段に示すように、コイルユニット21a、21bのそれぞれにおいて、コイル22は、X方向に距離Lのピッチで配置されている。一方、キャリア40の永久磁石42は、X方向に距離3/2×Lのピッチで配置されている。Mcycは、磁気サイクルであり、複数の永久磁石42における同極の永久磁石42の間のX方向の距離である。なお、簡単のため、図4の上段では、コイルユニット21のX方向の位置の原点Ocをコイルユニット21a、21bの間の中間点としている。また、キャリア40のX方向の中心Omを、複数の永久磁石42のうちのX方向の中心に位置する永久磁石42bのX方向の中心としている。図4の上段は、原点Ocと中心Omとが合致した場合、すなわちキャリア40のX方向の位置XがX=0である場合を示している。
図4の下段に示す推力定数プロファイル70は、コイルユニット21の各々のコイル22に対して単位電流を印加した際に発生するキャリア40に対するX方向の推力の大きさを模式的に示している。例えば、コイルユニット21aのコイル22aに対して働く単位電流当たりの推力は、X方向にAq(1)の大きさを有している。また、例えば、コイルユニット21bのコイル22cに対して働く単位電流当たりの推力は、X方向にAq(7)の大きさを有している。
電気角算出器104は、推力定数プロファイル70を用いて、ピックアップコイルとして選択されたコイル22のX方向の位置及びキャリア40の永久磁石42のX方向の位置に基づき、各コイル22の推力定数を算出することができる。電気角算出器104は、算出した推力定数を示す推力定数情報を分配量算出器107へ出力する。
分配量算出器107は、位置制御器102から出力された要求推力情報を使用して、ピックアップコイルとして選択された各コイル22に分配する推力である分配出力推力を算出する。すなわち、分配量算出器107は、要求推力情報に示される要求推力及びピックアップコイルとして選択されたコイル22の数であるピックアップコイル数を使用して、次式(1)により分配出力推力を算出する。なお、以降、idxをコイル22を識別するための指標であるコイル指標として用いる。
分配出力推力(idx)[N]=要求推力[N]/ピックアップコイル数 …式(1)
分配量算出器107は、式(1)に従って要求推力をピックアップコイルに対して等分して均一に分配することができる。分配量算出器107は、算出した分配出力推力を示す分配出力推力情報を制御情報出力器106へ出力する。こうして、分配量算出器107は、ピックアップコイル数に基づき、キャリア40に対して加えるべき要求推力をピックアップコイルとして選択された複数のコイル22に等分して分配する。
制御情報出力器106は、電気角算出器104から出力された推力定数情報及び分配量算出器107から出力された分配出力推力情報を使用して、ピックアップコイルとして選択されたコイル22に印加する電流値である制御電流値を算出して決定する。すなわち、制御情報出力器106は、推力定数情報に示される推力定数及び分配出力推力情報に示される分配出力推力を使用して、ピックアップコイルとして選択されたコイル22のそれぞれについて制御電流値を次式(2)により算出する。
制御電流値(idx)[A]=分配出力推力(idx)[N]/推力定数(idx)[N/A] …式(2)
こうして、制御情報出力器106は、推力定数及び分配出力推力に基づき、ピックアップコイルとして選択された各々のコイル22に対する制御電流値を算出して決定する。制御情報出力器106は、算出した制御電流値(idx)を、コイル指標idxで識別されるコイル22を制御するコイルコントローラ20に送信する。
コイルコントローラ20は、制御情報出力器106から送信された制御電流値(idx)に従って、コイル指標idxで識別されるコイル22に流れる電流値が制御電流値(idx)になるように当該コイル22に駆動電流を供給してその電流値を制御する。こうして、コイルコントローラ20は、ピックアップコイルとして選択された各コイル22に流れる電流値を制御する。これにより、ピックアップコイルとして選択されたコイル22に駆動電流が印加されてコイル22と永久磁石42との間に力が働き、その結果、キャリア40に要求推力が加わってキャリア40がX方向に搬送される。
従来から、リニアモータを利用した搬送システムが知られている。例えば、搬送システムは、工業製品を組み立てるための生産ラインにおいて用いられる。生産ラインにおける搬送システムは、生産ライン内又は生産ラインの間の複数のステーションの間で、部品等のワークを搬送する。搬送システムとしては、可動子側にコイル、固定子側に永久磁石を使ったムービングコイル型リニアモータ搬送システムが提案されている。また、可動子側に永久磁石、固定子側にコイルを使ったムービングマグネット型リニアモータ搬送システムも既に提案されている。
搬送システムによっては長い距離の搬送路が組まれていることがあり、1つの搬送路において可動子が複数搬送されることもある。また、複数の可動子同士の間隔はタクトタイムの短縮のため、狭い間隔で搬送されている。そのため、搬送システムにおいて一部損傷、装置設計の都合や制約等によって推力に寄与しない区間が存在してしまうと、搬送を停止し、連続して稼働し続けることが困難になってしまう。さらに、複数の可動子を高密度に配置し、一定速度で搬送させ、一時的な異常が起きても速度を維持し連続稼働し続けることが要求される。
上述した特許文献1及び2には、推力に寄与しない区間においても搬送可能にする構成や方法が記載されている。特許文献1には、可動子側を永久磁石とした場合、減磁磁極を検知し対象のエリアにかかるモータを停止する駆動方法が記載されている。また、特許文献2には、コイル配置に規則性を持たせ、常に同数のコイルが可動子に対向できることで安定した移動や推力の確保行う搬送構成が記載されている。
しかしながら、上述のように、固定子を規則的に並べて配置することは設計上困難である。例えば図1Aに示す場合では、X方向において、コイルユニット21bとコイルユニット21cとの間隔が、コイルユニット21cとコイルユニット21dとの間隔よりも広くなっている。
また、例えば、大規模な真空装置の搬送システムは、互いに連ねられた有限の長さの真空チャンバ内にキャリアが搬送される搬送路が構成される。有限のチャンバ長の場合、チャンバ内に固定子を規則的に並べて配置することは困難である。また、隔壁が存在するチャンバ間では、固定子が配置されないため、推力に寄与しない区間が存在する。
さらに、連続稼働中にコイルの損傷や断線が発生した場合、推力に寄与しない区間が稼働中に発生すると推力の変動が発生する。また、一定時間以上コイルに対して高い制御電流値を印加し続けた場合コイルは熱を生じ、指定の推力を発生できなくなる。そのため、従来のリニアモータのように、規則性を持った配置や稼働中のコイル損傷が起きた場合に速度変動を生まず搬送を続けることは困難である。
推力の変動があった場合、PID(Proportional Integral Differential)制御等により変動に対して応答することは可能であるが、応答速度は演算装置に依存する。演算装置を高速化した場合、演算装置のコストが高くなるため望ましい形態ではない。
特許文献1では、固定子の配置間隔は等ピッチを前提としている。また、特許文献1では、マグネットの減磁における位相ずれに関しては考慮されているが、コイルに対しての変化に関しては考慮されていない。このため、特許文献1では、コイルの状態によっては所望の推力に対して出力が異なりうる。
また、特許文献2では、推力に寄与しない区間をある規則に基づき配置することで、固定子のコイルを省き、安定した移動や推力確保を行いつつ搬送を行っている。しかしながら、特許文献2では、規則が適用できない区間を設けることができないため、装置設計に自由度を持たせることが困難である。
一方、本実施形態では、キャリア40の位置に応じて制御対象のピックアップコイルとなるコイル22を選択して切り替えながら、選択したコイル22に要求推力を分配する。こうして要求推力を分配したうえで、本実施形態では、キャリア40に加えるべき要求推力を実現する制御電流値を決定する。これにより、本実施形態では、コイル22の配置によってピックアップコイル数が変化した場合であっても一定の推力を実現することができる。また、本実施形態では、ピックアップコイル数が変化した場合であっても一定の推力を実現することができるため、高い設計自由度を確保することができる。
したがって、本実施形態によれば、高い設計自由度を確保しつつ、キャリア40の速度変動を低減した制御を行うことができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による搬送システムについて説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
本実施形態による搬送システム1の構成は、第1実施形態による搬送システム1の構成と基本的に同様である。本実施形態による搬送システム1は、分配出力推力の算出方法の点で第1実施形態による搬送システム1とは異なっている。以下、本実施形態による分配出力推力の算出方法について説明する。
分配量算出器107は、位置制御器102から出力された要求推力情報及び電気角算出器104から出力された推力定数情報を使用して、ピックアップコイルとして選択された各コイル22に分配する分配出力推力を算出する。
本実施形態では、ピックアップコイルとして選択された各コイル22の推力定数の割合に比例して、要求推力を各コイル22に分配する。すなわち、分配量算出器107は、要求推力情報に示される要求推力及び推力定数情報に示される推力定数を使用して、次式(3)及び次式(4)により分配出力推力を算出する。なお、Σは、指定された整数範囲の指標のそれぞれについてのその右側の数式の値を足し合わせた総和を表す記号である。ΣAq(idx)は、ピックアップコイルとして選択された各コイル22の推力定数を足し合わせた総和を表している。次式(3)により表される割合係数は、ピックアップコイルとして選択されたコイル22の推力定数の総和に対する当該コイル22の推力定数の割合を表している。
割合係数[A/N]=1/ΣAq(idx)[N/A] …式(3)
分配出力推力(idx)[N]=割合係数[A/N]×推力定数(idx)[N/A]×要求推力[N] …式(4)
分配量算出器107は、式(3)及び式(4)に従って要求推力をピックアップコイルに対して推力定数の割合に比例して分配することができる。分配量算出器107は、算出した分配出力推力を示す分配出力推力情報を制御情報出力器106へ出力する。こうして、分配量算出器107は、ピックアップコイルとして選択されたコイル22の推力定数の割合に基づき、キャリア40に対して加えるべき要求推力をピックアップコイルとして選択された複数のコイル22に分配する。
このように、本実施形態では、制御対象のピックアップとなるコイル22に対して推力定数の割合に比例して要求推力を分配する。これにより、本実施形態では、第1実施形態と同様、コイル22の配置によってピックアップコイル数が変化した場合であっても一定の推力を実現することができ、高い設計自由度を確保することができる。
したがって、本実施形態によれば、高い設計自由度を確保しつつ、キャリア40の速度変動を低減した制御を行うことができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による搬送システムについて図5A乃至図5Cを用いて説明する。図5A乃至図5Cは、本実施形態による搬送システムの動作を説明する概略図である。なお、上記第1及び第2実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
本実施形態による搬送システム1の構成は、第1実施形態による搬送システム1の構成と基本的に同様である。本実施形態による搬送システム1は、推力の伝達効率を考慮してピックアップコイルとして選択された各コイル22に要求推力を分配する点で第1実施形態による搬送システム1とは異なっている。具体的には、本実施形態による搬送システム1は、推力定数プロファイル70に加えて推力伝達効率プロファイル71を使う点が、第1実施形態による搬送システム1とは異なっている。
図5Aは、図4に示す第1実施形態と同様に、キャリア40及びこれに対向するコイルユニット21a、21bをY方向から見た図を上段に示し、上段の図に対応するX方向の位置における推力定数を示す推力定数プロファイル70を下段に示している。
図5Bは、図5Aの上段の図に対応するX方向の位置における推力の伝達効率を示す推力伝達効率プロファイル71を示している。推力伝達効率プロファイル71は、横軸にX方向の位置、縦軸に推力の伝達効率をとったグラフである。推力伝達効率プロファイル71によれば、キャリア40のX方向における前端部と後端部との間の内部において、伝達効率は、推力の損失のない伝達を示す1で一定になっている。一方、キャリア40のX方向における前端部及び後端部において、伝達効率は、それぞれ前方及び後方に向かって1から漸減しており、推力の損失が漸増している。
本実施形態では、推力伝達効率プロファイル71に示される伝達効率を用いて、推力定数プロファイル70に示される推力定数を補正する。すなわち、本実施形態において、電気角算出器104は、伝達効率を用いて、ピックアップコイルとして選択された各コイル22について算出した推力定数を補正する。
図5Cは、図5Aの上段の図に対応するX方向の位置における補正推力定数を示す補正推力定数プロファイル72を示している。補正推力定数は、伝達効率により補正された推力定数である。補正推力定数プロファイル72は、横軸にX方向の位置、縦軸に補正推力定数をとったグラフである。補正推力定数プロファイル72は、推力定数プロファイル70と推力伝達効率プロファイル71との積で表すことができる。
電気角算出器104は、推力の伝達効率Dkを用いて推力定数Aqを次式(5)により補正して、補正推力定数AqDkを算出する。補正推力定数プロファイル72は、式(5)により算出された補正推力定数をプロットすることにより得ることができる。
AqDk(idx)[N/A]=Aq(idx)[N/A]×Dk(idx) …式(5)
電気角算出器104は、算出した補正推力定数を示す推力定数情報を分配量算出器107へ出力する。
搬送コントローラ10は、推力定数に代えて補正推力定数を使用して、第1実施形態と同様に、分配量算出器107において分配出力推力を算出し、制御情報出力器106において制御電流値を算出する。これにより、搬送コントローラ10は、キャリア40の搬送を制御することができる。なお、搬送コントローラ10は、推力定数に代えて補正推力定数を使用して、第2実施形態と同様に、分配量算出器107において分配出力推力を算出し、制御情報出力器106において制御電流値を算出することもできる。
このように、本実施形態では、キャリア40の端部で低下する推力の伝達効率を考慮してキャリア40の搬送を制御することできる。したがって、本実施形態によれば、キャリア40の端部に起因する速度変動をも含むキャリア40の速度変動を低減した制御を行うことができる。
なお、上記では第1実施形態において推力の伝達効率を用いて推力定数を補正する場合について説明したが、第2実施形態においても上記と同様に推力の伝達効率を用いて推力定数を補正することができる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による搬送システムについて図6を用いて説明する。図6は、本実施形態による搬送システムの動作を示すフローチャート図である。なお、上記第1乃至第3実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
本実施形態による搬送システム1の構成は、第1実施形態による搬送システム1の構成と基本的に同様である。本実施形態による搬送システム1は、搬送コントローラ10が、制御情報出力器106により算出された制御電流値がコイル22に印加不可能な電流値である場合にこれに対処する対処処理を実行する点で、第1実施形態による搬送システム1とは異なっている。搬送コントローラ10は、制御電流値を決定する処理において、制御電流値がコイル22に印加不可能な電流値である場合にこれに対処する対処処理を実行する。以下、本実施形態による搬送システム1において制御電流値を決定する処理について説明する。図6は、本実施形態による搬送システム1において制御電流値を決定する処理を示している。
図6に示すように、分配量算出器107は、第1実施形態と同様にして、ピックアップコイルとして選択された各コイル22に要求推力を分配する分配出力推力を算出する(ステップS301)。
次いで、制御情報出力器106は、ピックアップコイルとして選択された各コイル22に印加する制御電流値を算出する(ステップS302)。
次いで、制御情報出力器106は、上記ステップS302で算出した各制御電流値のすべてが、コイルコントローラ20により印加可能な電流値であるか否かを判定する(ステップS303)。制御情報出力器106は、例えばコイルコントローラ20の電流出力IC(Integrated Circuit)の出力電流範囲に基づき、コイルコントローラ20により印加可能な電流値であるか否かを判定する。例えば電流出力ICの電流出力範囲の上限値である電流出力リミットが5Aである場合、制御情報出力器106は、5A以下の制御電流値を印加可能な電流値であると判定する。制御情報出力器106は、各制御電流値のすべてが出力範囲内である場合に各制御電流値のすべてが印加可能な電流値であると判定し、制御電流値の1つでも電流出力範囲外である場合に各制御電流値のすべてが印加可能な電流値でないと判定する。
制御情報出力器106は、各制御電流値のすべてが印加可能な電流値であると判定すると(ステップS303、YES)、ステップS302で算出した各制御電流値をコイルコントローラ20に送信する(ステップS310)。
一方、制御情報出力器106は、各制御電流値のすべてが印加可能な電流値でないと判定すると(ステップS303、NO)、ステップS304へ遷移する。なお、制御情報出力器106は、印加可能な電流値でないと制御電流値が判定されたコイル22について、制御電流値として、コイルコントローラ20により印加可能な上限の電流値を印加するように設定する。この判定では、ピックアップコイルとして選択されたすべてのコイル22が対象である。
制御情報出力器106は、ステップS304において、ステップS303で制御電流値が印加可能な電流値でないと判定されたコイル22以外のピックアップコイルから、制御電流値が電流出力リミットに到達していないコイル22を探す。以下では、制御電流値が電流出力リミットに到達していないコイル22を印加余力コイル22と適宜称する。
印加余力コイル22がない場合(ステップS304、NO)、制御情報出力器106は、外部に警報を出力する(ステップS309)。
一方、印加余力コイル22がある場合(ステップS304、YES)、制御情報出力器106は、ステップS303で制御電流値上限を超えたために当該コイル22で印加できないキャリア40に対する推力である不足推力を算出する(ステップS305)。制御情報出力器106は、次式(6)により不足推力を算出することができる。制御情報出力器106は、算出した不足推力を示す不足推力情報を分配量算出器107へ送信する。
不足推力(idx)=(制御電流値(idx)-電流出力リミット)×推力定数(idx) …式(6)
例えば、電流出力リミットが5A、印加可能な電流値でないと判定された制御電流値(idx)が6Aの場合、不足推力は、次式(6)′のようになる。
不足推力(idx)=(6A-5A)×推力定数(idx) …式(6)′
分配量算出器107は、印加余力コイル22を不足推力の再分配の対象のコイル22として、制御情報出力器106から送信された不足推力情報に示される不足推力を印加余力コイル22に分配する(ステップS306)。分配量算出器107は、制御情報出力器106から送信された不足推力情報に示される不足推力を印加余力コイル22に分配する(ステップS306)。分配量算出器107は、ステップS301で要求推力から分配出力推力を分配した場合と同様に一又は複数の印加余力コイル22に不足推力を分配する。
次いで、分配量算出器107は、印加余力コイル22について、分配した不足推力とS301での算出した分配出力推力との和を再分配後の分配出力推力として更新する。分配量算出器107は、再分配後の分配出力推力を示す分配出力推力情報を制御情報出力器106へ出力する。
次いで、制御情報出力器106は、ステップS302と同様にして、分配量算出器107から送信された分配出力推力情報に示される再分配後の分配出力推力を使用して、印加余力コイル22について制御電流値を再度算出する(ステップS307)。
次いで、制御情報出力器106は、ステップS303と同様にして、ステップS307で算出された制御電流値がコイルコントローラ20により印加可能な電流値であるか否かを判定する(ステップS308)。
制御情報出力器106は、ステップS307で算出された制御電流値が印加可能な電流値であると判定すると(ステップS308、YES)、ステップS307で算出した制御電流値をコイルコントローラ20に送信する(ステップS310)。
一方、制御情報出力器106は、ステップS307で算出された制御電流値が印加可能な電流値でないと判定すると(ステップS308、NO)、外部に警報を出力する(ステップS309)。
このように、本実施形態では、印加不可能な推力の分配が発生した場合であっても、その他のコイル22に推力を再分配する。したがって、本実施形態によれば、キャリア40の速度変動を低減した制御をより確実に行うことができる。
なお、上記では第1実施形態において対処処理を実行する場合について説明したが、第2及び第3実施形態においても本実施形態と同様に対処処理を実行することができる。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態について図7及び図8を用いて説明する。図7は、本実施形態による搬送システムにおける搬送装置を示す概略構成図である。図8は、本実施形態による搬送システムの動作を説明する概略図である。なお、上記第1乃至第4実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
本実施形態による搬送システム1は、次の点で第1実施形態による搬送システム1と異なっている。
すなわち、本実施形態による搬送路3を構築するコイルユニット21は、2列平行に配置されて2列のコイルライン23を構築している点で、第1実施形態による構成とは異なっている。
また、本実施形態におけるキャリア40の基本的構成は、第1実施形態による構成とほぼ同様である。本実施形態によるキャリア40は、永久磁石42の取り付け態様の点で、第1実施形態による構成とは異なっている。
また、本実施形態による制御コイル選択器103は、各々のコイルライン23に対して制御対象のコイル22であるピックアップコイルを選択する点で、第1実施形態とは異なっている。
さらに、本実施形態による分配量算出器107は、出力推力を複数のコイルライン23に対応した分配量を算出し、コイルライン23に対する各々の分配出力推力情報を出力する点で、第1実施形態とは異なっている。
図7は、本実施形態による搬送装置12をZ方向から見た図である。キャリア40には、永久磁石42が2列になってX方向に並ぶように設置されている。各列の複数の永久磁石42は、第1実施形態と同様にS極及びN極の極性がX方向に交互に並ぶように交互に着磁されて取り付けられている。各列の永久磁石42は、永久磁石ライン43を構成している。キャリア40には、2列の永久磁石ライン43a、43bが設置されている。
搬送路3には、永久磁石ライン43に対して励磁を行う複数のコイルユニット21により構成された列であるコイルライン23が設置されている。コイルライン23では、複数のコイルユニット21がX方向に並ぶように設置されている。本実施形態による搬送路3には、2本のコイルライン23a、23bが設置されている。コイルライン23aは、コイルユニット21a~21dにより構成されている。コイルライン23bは、コイルユニット21e~21hにより構成されている。
図7に示すように、搬送路3を構築する複数のコイルユニット21は、コイルライン23aとコイルライン23bとに分かれて配置されている。コイルライン23a、23bは、レール60に対して平行に配置されている。コイルライン23bでは、隣接するコイルユニット21が隙間D2を空けて配置されている。それに対して、コイルライン23aでは、隙間D2を空けて隣接して配置されたコイルユニット21のほか、途中に隣接するコイルユニット21の一部が隙間D2とは異なる隙間D1を空けて配置されている。隙間D1は、隙間D2よりも広くなっている。
キャリア40は、コイルライン23a、23bにそれぞれ対応した永久磁石ライン43a、43bを有している。永久磁石ライン43aはコイルライン23aに対向可能に設置されている。永久磁石ライン43bは、コイルライン23bに対向可能に設置されている。
搬送装置12は、特に限定されるものではないが、例えば真空のチャンバ内に設置されることがある。この場合、搬送装置12において、メンテナンス等を行う人が出入りするための扉等の構造物を設ける必要がある。その構造物のための隙間を確保するため、必ずしもコイルライン23aとコイルライン23bとにおいて、コイルユニット21をX方向において同じ位置に設置することができないことがある。このような事情により、隙間D2よりも広い隙間D1のような広い隙間がある。
本実施形態では、上述のように2列のコイルライン23が設置されているため、制御コイル選択器103は、2列のコイルライン23のそれぞれについて、永久磁石42に対向しているコイル22をピックアップコイルとして選択して制御対象とする。
図8に示すように、X方向において隙間D1の中心にキャリア40の中心が位置する場合、ピックアップコイル数は、コイルライン23a、23bごとに異なる。すなわち、制御コイル選択器103は、永久磁石ライン43aに対するコイルライン23aにおいて、コイルユニット21bのコイル22c~22f及びコイルユニット21cのコイル22a~22dをピックアップコイルとして選択する。一方、制御コイル選択器103は、永久磁石ライン43bに対するコイルライン23bにおいて、コイルユニット21fのコイル22b~22f及びコイルユニット21gのコイル22a~22eをピックアップコイルとして選択する。
なお、本実施形態では説明のため、各々のコイルライン23においてコイル22がX方向に等間隔に並べてある場合を示しているが、X方向におけるコイル22の間隔は異なっていてもよい。
電気角算出器104は、各々のコイルライン23においてピックアップコイルとして選択された制御対象のコイル22について、第1実施形態と同様にして推力定数Aqを算出する。
分配量算出器107は、永久磁石ライン43aに対するコイルライン23a及び永久磁石ライン43bに対するコイルライン23bのそれぞれについて要求推力の分配を行う。このために、分配量算出器107は、例えば、次式(7)の様にコイルライン23ごとの要求推力[N]を算出する。なお、本実施形態では、コイルライン数は2である。
コイルラインごとの要求推力[N]=出力推力[N]/コイルライン数 …式(7)
分配量算出器107は、算出したコイルライン23ごとの要求推力を、第1実施形態と同様にしてコイルライン23ごとに分配して当該コイルライン23におけるコイル22について分配出力推力を算出する。
本実施形態では、上述のように各々のコイルライン23でピックアップコイルとして選択されたコイル22の数が異なっている場合においても、コイルライン23ごとの要求推力を算出してこれをコイルライン23ごとに分配する。したがって、本実施形態では、複数のコイルライン23が設置された場合にコイルライン23同士がX方向に対して同じ位置に配置されておらず又はコイル22間に異なる隙間が設けられていたときでも、キャリア40に対する所望の推力を実現することができる。したがって、本実施形態によれば、複数のコイルライン23が設置された場合であっても、キャリア40の速度変動を低減した制御を行うことができる。
なお、上記では、コイルライン23及びこれに対応する永久磁石ライン43がそれぞれ2本設置された場合について説明したが、これに限定されるものではない。コイルライン23及びこれに対応する永久磁石ライン43は、それぞれ3本以上の複数本設置されていてもよい。
また、上記では第1実施形態においてコイルライン23及び永久磁石ライン43を複数本設置した場合について説明したが、第2乃至第4実施形態においても本実施形態と同様にコイルライン23及び永久磁石ライン43を複数本設置することができる。
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態による搬送システムについて図9乃至図10Cを用いて説明する。図9は、本実施形態による搬送システムのブロック図である。図10A乃至図10Cは、本実施形態による装置の概略構成図である。なお、上記第1乃至第5実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
コイルユニット21においては、コイル22の一部破損、コイル22への配線の断線、コイル22の発熱等により、一部のコイル22に所望の電流を流せず稼働中に当該コイル22が使用できなくなることがある。使用できないコイル22においては、故障の1種である出力異常が発生する。
本実施形態による搬送システム1は、搬送コントローラ10が、コイル22の出力異常を検知する異常検出器108を有する点で、第1実施形態による構成とは異なっている。また、本実施形態による搬送システム1は、装置情報記憶器105に電流偏差閾値、コイル破損危険温度閾値及び使用許可コイル温度閾値を保持している点でも、第1実施形態による構成とは異なっている。
本実施形態は、コイルユニット21cに含まれるコイル22におけるコイル22ngに対する指令電流値が所定の閾値以上印加できなかった場合を異常として説明する。
例えば、真空のチャンバ内にある搬送装置12においては、コイル22の出力異常によって指令値に対する出力が出せなかった場合でも、キャリア40の搬送を続行することが求められる。さらに、キャリア40の搬送速度の変動を仕様以下に低減しつつ搬送することが求められる。そのため、搬送中においてもコイル22の出力異常を検出してキャリア40に対する推力を維持するための推力の分配を行うことが好ましい。
図9に示すように、搬送コントローラ10とコイルコントローラ20との間は、第1実施形態と同様に接続されている。さらに、本実施形態では、コイルコントローラ20に異常検出器108が接続されている。コイルコントローラ20からは、出力電流値、コイル温度等を示す出力結果情報が搬送コントローラ10へ送信されている。出力電流値は、実際にコイル22へ印加した電流値である。コイル温度はコイルコントローラ20にある不図示のコイル温度検出器によって検出される。コイル温度検出器は、例えば熱電対温度計である。
装置情報記憶器105には、電流偏差閾値、コイル破損危険温度閾値及び使用許可コイル温度閾値が記憶されている。
図10Aは、搬送装置12の概略構成を示している。コイル22ngは、出力異常が発生したコイル22を表している。図10Bは、コイル22が正常時の制御状態を示している。図10Cは、コイル22ngに出力異常が発生した異常時の制御状態を示している。
異常検出器108は、コイルコントローラ20から送信された出力結果情報に基づき、使用可能なコイル22であるか否かを判定する。異常検出器108は、使用可能なコイル22でないと判定した場合に当該コイル22を特定する異常コイル情報を制御コイル選択器103へ出力する。異常検出器108は、以下の方法により使用可能なコイル22であるか否かを判定する。こうして、異常検出器108は、コイル22の出力異常を検出する異常検出部として機能する。
まず、異常検出器108は、コイルコントローラ20から送信された出力結果情報に示される出力電流値と制御情報出力器106で算出した各コイル22への制御電流値との差分である出力電流偏差を次式(8)により算出する。
出力電流偏差=制御電流値-出力電流値 …式(8)
次いで、異常検出器108は、算出した出力電流偏差と、装置情報記憶器105に保持された電流偏差閾値とを絶対値で比較する。その結果、異常検出器108は、出力電流偏差が電流偏差閾値の値より大きい場合、当該コイル22が使用可能なコイル22でないと判定し、コイル22の出力異常として当該コイル22を特定する異常コイル情報を保持する。保持するタイミングは、例えば、稼働中の出力電流偏差を連続的に監視した時、電流偏差閾値より大きいと判定したときに行う。また、キャリア40に対して制御を行っていないときに、診断用の電流値を流して使用可能なコイル22であるか否かの判定を行ってもよい。
異常検出器108は、出力異常のコイル22として判定されたコイル22を特定する異常コイル情報を制御コイル選択器103へ出力される。
同様に、異常検出器108は、出力結果情報に示されるコイル温度がコイル破損危険温度閾値を超えた場合、かかる温度異常のコイル22を出力異常のコイル22ngとして異常コイル情報に保持する。この場合、異常検出器108は、出力異常のコイル22ngとして異常コイル情報に保持したコイル22ngについて、使用許可コイル温度閾値以下になるまで異常コイル情報に保持し、使用許可コイル温度閾値以下になると異常コイル情報への保持を解除する。異常コイル情報への保持が解除されたコイル22は、ピックアップコイルとして選択されたコイルとして再度取り扱われる。
例えば、コイル破損危険温度閾値が120度に設定され、使用許可コイル温度閾値が60度に設定される。この場合、一度コイル温度が120度を超えて出力異常のコイル22ngとして異常コイル情報に保持されると、60度にコイル温度が下がるまで異常コイル情報に保持される。
また、異常検出器108は、報知部として機能し、上述のようにして出力異常のコイル22ngを検出すると、故障の1種である出力異常が発生した旨をユーザーに対して報知する警報を外部に出力することもできる。
制御コイル選択器103は、制御対象のピックアップコイルとして選択したコイル22と、異常コイル情報に特定されるコイル22ngとを比較する。その結果、制御コイル選択器103は、ピックアップコイルにコイル22ngが存在すれば、ピックアップコイルからコイル22ngから除外する。
このように、本実施形態では、その後の推力の分配処理において出力異常のコイル22ngがピックアップコイルとして選択されないため、現実のコイル22の状態に沿った形で推力の分配を行って、制御電流値を決定することができる。
図10Bは出力異常のコイル22ngがない正常な時を、図10Cは出力異常のコイル22ngがある異常時の制御を表した図である。
図10Bでは、制御対象のピックアップコイルとして8個のコイル22が選択されており、推力定数Aq0~Aq7を使用して、第1実施形態と同様に推力分配及び制御電流値の算出を行う。
それに対して、図10Cでは、コイル22ngが出力異常が発生したコイル22として判定されている。そのため、この場合、制御対象のピックアップコイルとして7個のコイル22が選択されており、推力定数Aq0~Aq7のうちコイル22ngに対応する推力定数Aq5以外を使用して、第1実施形態と同様に推力分配及び制御電流値の算出を行う。
このように、本実施形態では、出力異常が発生して推力に寄与しないコイル22を稼働中に判定して制御演算に取り込むことにより、キャリア40に対する所望の推力を実現できる。したがって、本実施形態によれば、出力異常のコイル22ngが存在する場合であっても、キャリア40の速度変動を抑えた制御を行うことができる。
なお、上記では出力異常コイルの判定を搬送コントローラ10内の異常検出器108で行う場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、コイルコントローラ20で出力異常のコイル22の検出判定を行ってもよい。
また、上記では第1実施形態において出力異常コイルの判定を行う場合について説明したが、第2乃至第4実施形態においても本実施形態と同様に対処処理を実行することができる。
また、上記ではコイルライン23が1つの場合について説明したが、これに限定されるものではない。第5実施形態で説明した複数のコイルライン23の制御についても本実施形態と同様の制御を行ってもよい。
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態による搬送システムついて図11及び図12を用いて説明する。図11は、本実施形態による搬送システムにおける運行システムを示す概略構成図である。図12は、本実施形態による搬送システムを示すブロック図である。なお、上記第1乃至第6実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
本実施形態による搬送システム1は、第1実施形態と同様の複数の制御システム13と、それらの複数の搬送コントローラ10に通信可能に接続された運行コントローラ11とを含む運行システム2を有する点で、第1実施形態による構成とは異なっている。
例えば大規模な真空装置に設置された搬送システム1においては、複数の真空チャンバを連ねて搬送路3を形成する。このような場合、1つの真空チャンバの搬送路3について1つの制御システム13で一又は複数のキャリア40の制御を行うが、複数の制御システム13を乗り継いで制御を行う必要がある。
本実施形態では、上述のように乗り継ぎが発生する独立した複数の制御システム13による制御において、以下のようにしてキャリア40の速度変動を低減する。
図11は、本実施形態による搬送システム1における運行システム2を示す概略構成図である。図11に示すように、運行システム2は、運行コントローラ11と、複数の制御システム13とを有している。各制御システム13は、図11の上段に示すように、第1実施形態と同様の構成要素を有している。運行コントローラ11は、複数の制御システム13を制御する上位制御部として機能する。
図11の下段に示すように、運行システム2では、複数の制御システム13a~13nが連続的に配置されている。運行コントローラ11は、各制御システム13a~13nの搬送コントローラ10と通信可能に接続されている。
図12は、キャリア40が制御システム13aから制御システム13bへ乗り継いでいる場合を示している。
制御システム13aから制御システム13bへキャリア40が乗り継ぐ際には、各制御システム13a、13bが出力する予定の推力を分配する必要がある。そのため、本実施形態では、以下の手順で要求推力の分配を行う。
運行コントローラ11には、予めキャリア40のX方向の全長、及び制御システム13のシステム制御範囲が記憶されている。システム制御範囲は、当該制御システム13がキャリア40の制御を担当するX方向の範囲である。また、運行コントローラ11は、各々の制御システム13からキャリア40の現在位置を取得している。また、運行コントローラ11は、各制御システム13で出力された分配出力推力情報を各制御システム13から取得している。
図12では、制御システム13aにおいてX方向の位置の絶対座標の原点をSys1cとしている。また、原点Sys1cを絶対位置の0としており、制御システム13bの側の方向へ絶対位置として正の値を取っている。また、制御システム13aの位置の絶対座標において、キャリア40の制御を担当するシステム制御範囲をSysL1として表している。
また、図12では、キャリア40の中心位置をCaOとしている。制御システム13aのX方向の位置の絶対座標において、キャリア40の現在位置をCaPosとしている。また、キャリア40のX方向の全長をLcとしている。
運行コントローラ11は、分配推力算出器109を有している。分配推力算出器109は、制御システム13aと制御システム13bとに対して要求推力の分配を行う。分配推力算出器109には、制御システム13において算出された要求推力が制御システム13から入力される。
分配推力算出器109は、キャリア40の全長Lc、システム制御範囲SysL1及びキャリア40の現在位置から、次式(9)~(11)により乗り継ぎ推力割合係数を算出する。乗り継ぎ推力割合係数は、制御システム13aと制御システム13bとに要求推力を分配するための係数である。制御システム13aに対しての乗り継ぎ推力割合係数をkaとし、制御システム13bに対しての乗り継ぎ推力割合係数をkbとする。また、以下の式で使用するキャリア40の現在位置CaPosは、制御システム13aから取得しているキャリア40の現在位置である。
乗り継ぎ推力割合係数の算出に先立ち、分配推力算出器109は、次式(9)によりシステム内制御範囲長Laを算出する。
システム内制御範囲長La=システム制御範囲SysL1-現在位置CaPos+キャリア全長Lc×(1/2) …式(9)
分配推力算出器109は、システム内制御範囲長Laを使用して、次式(10)及び(11)により乗り継ぎ推力割合係数ka、kbをそれぞれ算出する。
乗り継ぎ推力割合係数ka=システム内制御範囲長La/キャリア全長Lc …式(10)
乗り継ぎ推力割合係数kb=1-乗り継ぎ推力割合係数ka …式(11)
分配推力算出器109は、算出した乗り継ぎ推力割合係数ka、kbを使用して、制御システム13a、13bに要求推力を分配する。分配すべき要求推力は、制御システム13aで算出されたものを使用する。分配推力算出器109は、乗り継ぎ推力割合係数kaと要求推力との積を第1の要求推力として制御システム13aに分配する。また、分配推力算出器109は、乗り継ぎ推力割合係数kbとの積を第2の要求推力として制御システム13bに分配する。
例えば、制御システム13aで算出された要求推力が1000Nの時、乗り継ぎ推力割合係数kaが0.6、乗り継ぎ推力割合係数kbが0.4だった場合を考える。この場合、制御システム13aに分配される第1の要求推力は600N、と制御システム13bに分配推力は400Nとなる。
分配された第1及び第2の要求推力は、分配量算出器107へ入力される出力推力に対して更新され、それぞれ制御システム13a、13bにおいて第1実施形態と同様に制御電流値を算出すべき要求推力として取り扱われる。
こうして、本実施形態では、搬送コントローラ10を乗り継ぐ場合であっても、各搬送コントローラ10は、キャリア40の対する所望の推力を実現することができる。したがって、本実施形態によれば、搬送コントローラ10を乗り継ぐ場合であっても、キャリア40の速度変動を低減した制御を行うことができる。
なお、上記では運行コントローラ11が分配推力算出器109を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。搬送コントローラ10が分配推力算出器109を有していてもよい。この場合は、搬送コントローラ10bと搬送コントローラ10bとを通信可能に接続し、キャリア40が排出される側又は受入側での一方で要求推力を分配して他方に分配結果を入力することができる。
また、上記では第1実施形態において複数の制御システム13を含む運行システム2を有する場合について説明したが、第2乃至第6実施形態においても上記と同様に複数の制御システム13を含む運行システム2を有するように構成することができる。
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
本発明による搬送システムは、電子機器等の物品を製造する製造システムにおいて、可物品となるワークに対して各作業工程を実施する工作機械等の各工程装置の作業領域にワークを可動子とともに搬送する搬送システムとして利用することができる。作業工程を実施する工程装置は、ワークに対して部品の組み付けを実施する装置、塗装を実施する装置等、あらゆる装置であってよい。また、製造される物品も特定のものに限定されるものではなく、あらゆる部品であってよい。このように、本発明による搬送システムを用いてワークを作業領域に搬送し、作業領域に搬送されたワークに対して作業工程を実施して物品を製造することができる。
上述のように、本発明による搬送システムでは、コイルが等間隔に配置されていない場合であっても、キャリアの位置とコイルの出力状態の結果に応じた制御を行うことにより、速度変動を低減した制御を行うことができる。また、本発明による搬送システムでは、コイルに断線による出力異常や温度変化による出力異常が発生した場合であっても、キャリアの位置とコイルの出力状態の結果に応じた制御を行うことで、速度変動を低減した制御を行うことができる。
1 搬送システム
2 運行システム
3 搬送路
10 搬送コントローラ
11 運行コントローラ
12 搬送装置
13 制御システム
14 工程装置
20 コイルコントローラ
21 コイルユニット
22 コイル
23 コイルライン
30 センサコントローラ
31 エンコーダ
40 キャリア
41 スケール
42 永久磁石
43 永久磁石ライン
44 ローラ
60 レール
61 レール支持部
100 位置指令器
101 制御偏差算出器
102 位置制御器
103 制御コイル選択器
104 電気角算出器
105 装置情報記憶器
106 制御情報出力器
107 分配量算出器
108 異常検出器
109 分配推力算出器
110 位置情報選択器

Claims (15)

  1. 所定の方向に配置された複数のコイルを有する搬送路と、
    前記所定の方向に沿って配置され、複数の磁石部を有する可動子の位置を検出する位置検出部と、
    前記複数のコイルに電流を供給することにより前記可動子の移動を制御する制御部と、を有し、
    前記制御部は、
    前記可動子の位置に応じて前記可動子の移動を制御するコイルを前記複数のコイルから選択し、
    前記選択されたコイルの位置及び前記磁石部の位置に基づき前記選択されたコイルの推力定数を算出し、
    前記選択されたコイルに前記可動子に対する推力を分配し、
    前記推力定数及び前記分配された推力に基づいて、前記選択されたコイルの電流値を決定する
    ことを特徴とする搬送システム。
  2. 前記制御部は、前記選択されたコイルの数、又は前記選択されたコイルの推力定数の割合に基づいて、前記可動子に対する推力を分配する
    ことを特徴とする請求項1記載の搬送システム。
  3. 前記制御部は、推力の伝達効率により補正された前記推力定数に基づき前記選択されたコイルの前記電流値を決定する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送システム。
  4. 前記制御部は、前記選択されたコイルのうちの一のコイルの電流値が印加不可能である場合に、前記選択されたコイルのうちの印加余力のある他のコイルに前記可動子に対する不足推力を分配する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の搬送システム。
  5. 前記複数のコイルは、前記所定の方向に沿って複数の列に配置されている
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の搬送システム。
  6. 前記コイルの異常を検出して前記異常をユーザーに報知する報知部を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の搬送システム。
  7. 前記制御部は、前記コイルの異常が検出された場合に前記選択されたコイルから前記異常のコイルを除外する
    ことを特徴とする請求項6記載の搬送システム。
  8. 前記選択されたコイルから除外された前記異常のコイルは、温度が所定の温度閾値を超えたコイルであり、
    前記制御部は、前記異常のコイルの前記温度が前記所定の温度閾値以下になると、当該コイルを前記選択されたコイルとして取り扱う
    ことを特徴とする請求項7記載の搬送システム。
  9. 前記コイルの位置及び前記磁石部の位置を記憶する記憶部を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の搬送システム。
  10. 前記記憶部は、前記可動子ごとに前記磁石部の位置を記憶する
    ことを特徴とする請求項9記載の搬送システム。
  11. 複数の前記制御部と、
    前記複数の制御部を制御する上位制御部と、を有し、
    前記上位制御部は、前記可動子が前記複数の制御部のうちの第1の制御部から第2の制御部に乗り継ぐ際に前記可動子に対する推力を前記第1の制御部と前記第2の制御部に分配する
    ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の搬送システム。
  12. 所定の方向に配置された複数のコイルを有する搬送路と、前記所定の方向に沿って配置され、複数の磁石部を有する可動子の位置を検出する位置検出部と、を有する搬送システムを制御する制御システムであって、
    前記可動子の位置に応じて前記可動子の移動を制御するコイルを前記複数のコイルから選択する選択手段と、
    前記選択されたコイルの位置及び前記磁石部の位置に基づき前記選択されたコイルの推力定数を算出する算出手段と、
    前記選択されたコイルに前記可動子に対する推力を分配する分配手段と、
    前記推力定数及び前記分配された推力に基づいて、前記選択されたコイルの電流値を決定する決定手段と、
    前記決定された電流値の電流を前記選択されたコイルに供給することにより前記可動子の移動を制御する制御手段と、
    を有することを特徴とする制御システム。
  13. 所定の方向に配置された複数のコイルを有する搬送路と、前記所定の方向に沿って配置され、複数の磁石部を有する可動子の位置を検出する位置検出部と、を有する搬送システムの制御方法であって、
    前記可動子の位置に応じて前記可動子の移動を制御するコイルを前記複数のコイルから選択し、
    前記選択されたコイルの位置及び前記磁石部の位置から推力定数を算出し、
    前記選択されたコイルに前記可動子に対する推力を分配し、
    前記推力定数及び前記分配された推力に基づいて、前記選択されたコイルの電流値を決定し、
    前記決定された電流値の電流を前記選択されたコイルに供給することにより前記可動子の移動を制御する
    ことを特徴とする制御方法。
  14. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載された搬送システムと、
    前記可動子により搬送されるワークに対して加工を施す工程装置と
    を有することを特徴とする加工システム。
  15. 請求項14記載の加工システムを用いて物品を製造する物品の製造方法であって、
    前記可動子により前記ワークを搬送する工程と、
    前記可動子により搬送された前記ワークに対して、前記工程装置により前記加工を施す工程と
    を有することを特徴とする物品の製造方法。
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