JP2022018710A - 熱電変換用の半導体材料およびそれを用いた熱電変換素子 - Google Patents
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Abstract
Description
その発電技術の一つが半導体を用いた熱電変換であり、熱電変換素子として実用化されている。
ここで、これまで開発されてきた技術の踏襲性や生産技術が活かせるように、熱電変換を担うホストの半導体の組成やドーパント量などには手を加えずに、熱電変換効率や熱電変換出力の高い熱電変換半導体材料および熱電変換素子を提供することを本発明の目的とする。
(構成1)
ドーパントを含むFeSi2からなる半導体に、前記半導体より、融点が高くかつ比抵抗の小さい、金属、合金および金属化合物からなる群より選ばれる1以上の低抵抗物が粒子として分散された焼結体からなる、熱電変換用の半導体材料。
(構成2)
前記半導体はドーパントとしてNi、Co、Pt、Pd、B、Mn、Cr、V、Ti、Al、Pからなる群より選ばれる1以上を含むFeSi2からなる、構成1記載の熱電変換用の半導体材料。
(構成3)
ドーパントを含むMg2SiSnGe系材料からなる半導体に、前記半導体より、融点が高くかつ比抵抗の小さい、金属、合金および金属化合物からなる群より選ばれる1以上の低抵抗物が粒子として分散された焼結体からなる、熱電変換用の半導体材料。
(構成4)
前記ドーパントは、Cu、Ag、Cd、Zn、Al、Ga、In、Au、Ni、Co、Fe、Li、Na、Ca、K、N、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Cl、Br、Iからなる群より選ばれる1以上である、構成3記載の熱電変換用の半導体材料。
(構成5)
前記半導体は、一般式A2rMg2-2r(Si1-x-ySnxGey)1-sBs(AおよびBはCu、Ag、Cd、Zn、Al、Ga、In、Au、Ni、Co、Fe、Li、Na、Ca、K、N、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Cl、Br、Iからなる群より選ばれる1つ以上、0≦r<1、0≦s≦1、0≦x≦1、0≦y≦1)で表される材料からなる、構成3または4記載の熱電変換用の半導体材料。
(構成6)
前期低抵抗物の比抵抗は、前記半導体の比抵抗に対して1/1000以下である、構成1から5の何れか1記載の熱電変換用の半導体材料。
(構成7)
前記低抵抗物は、WSi2、TiB2、W、TaC、WC、ZrN、ZrB2、HfB2、VB2、W2B5、LaB6、TiSi2、MoSi2からなる群より選ばれる1以上である、構成1から6の何れか1記載の熱電変換用の半導体材料。
(構成8)
前記低抵抗物は、WSi2、Wからなる群より選ばれる1以上である、構成1から6の何れか1記載の熱電変換用の半導体材料。
(構成9)
前記低抵抗物の体積率が、前記半導体に対して0.01体積%以上2.5体積%以下である、構成1から8の何れか1記載の熱電変換用の半導体材料。
(構成10)
前記ドーパントの前記半導体に対する原子数の比率は、100ppm以上から5.3%以下である、構成1から9の何れか1記載の熱電変換用の半導体材料。
(構成11)
前記半導体は粒界を形成し、前記低抵抗物は前記半導体の粒界と粒界の間に存在する、構成1から10の何れか1記載の熱電変換用の半導体材料。
(構成12)
p型半導体層とn型半導体層が電気的に接続されており、前記p型半導体層と前記n型半導体層の少なくとも何れかに構成1から11の何れか1記載の半導体が含まれている、熱電変換素子。
(構成13)
前記接続は電極を介して行われる、構成12に記載の熱電変換素子。
本発明では、ホストとなる熱電半導体材料の組成やドーパント量などは従来技術を踏襲しているため、様々な既存技術を踏襲することができ、既存の生産技術も活かすことが可能となる。
第1の実施の形態(実施の形態1)は、熱電変換用の半導体材料に関するものである。
ここでは、熱電変換用の半導体材料が使用される熱電変換素子について説明した後、その性能を向上させるために熱電変換用の半導体材料に求められる特性、その特性を得るための材料構造およびその製造方法について述べる。
熱電変換素子の発電出力(電力)Pは、上記半導体材料からなる素子部に温度差に応じて生じた熱起電圧Eとその内部抵抗rを用いて、
P=E×E/(4r) (式1)
で表される。
このため、発電出力Pを向上させる1つの方法は、熱起電圧Eの向上と内部抵抗rの低減である。しかしながら、半導体からなる熱電変換材料は、ドーパント量や材料組成によって熱起電圧Eと内部抵抗rがともに変化する。そこでは、一般に、熱起電圧Eと内部抵抗rの効果はトレードオフの関係、すなわち熱起電圧Eが上がれば内部抵抗rも上がり(コンダクタンスは下がり)、熱起電圧Eが下がれば内部抵抗rも下がる(コンダクタンスは上がる)という関係がある。
この方法では、粒子13はホストの半導体12の外に混合の形で形成されていて半導体12の材料それ自身には手を加えていないので、基本的に熱起電圧Eは変わらない。一方で、熱電変換材料11の内部抵抗rは下がる。このため、高い発電出力Pの熱電変換材料や熱電変換素子を供給することが可能になる。
または、半導体12は、ドーパントを含む二マグネシウムケイ素スズゲルマニウム(Mg2SiSnGe)系材料(Mg2Si1-x-ySnxGey(0≦x≦1,0≦y≦1))とする。ここで、ドーパントとしては、銅(Cu)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、金(Au)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、イオウ(S)、セレン(Se)、テルル(Te)、塩素(Cl)、ブロム(Br)、沃素(I)からなる群より選ばれる1つ以上を挙げることができる。ここで、半導体12は、ドーパントとして銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、イオウ(S)、セレン(Se)、テルル(Te)、塩素(Cl)、ブロム(Br)、沃素(I)を選ぶとn型半導体になり、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)を選ぶとp型半導体になる。
ドーパントを含むMg2SiSnGe系材料としては、一般式A2rMg2-2r(Si1-x-ySnxGey)1-sBsで表される材料を挙げることができる。ここで、AおよびBはドーパント元素でCu、Ag、Cd、Zn、Al、Ga、In、Au、Ni、Co、Fe、Li、Na、Ca、K、N、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Cl、Br、Iからなる群より選ばれる1つ以上であり、また、0≦r<1、0≦s≦1、0≦x≦1、0≦y≦1の関係がある。
なお、上記半導体12は、それ自身で熱電変換用半導体材料として高いパフォーマンスを備えた実績のある半導体である。
粒子13の比抵抗としては、半導体12のそれに比べ約3桁以上小さいことが好ましい。比抵抗を1/1000以下にすることにより熱電変換材料11の内部抵抗rを必要十分に下げることが可能となる。下限は、特に制限はないが、比抵抗の小さなものとしては半導体12のそれに比べて7/10000の適当な材料がある。
なお、粒子13の形態は、単独でもクラスター状でも構わない。
体積率を0.01%以上とすることにより熱電変換材料11の内部抵抗rを下げることが可能となり、0.05%以上とすることにより目立って内部抵抗rを下げることが可能となり、0.1%以上とすることによりさらに内部抵抗rを下げることが可能となる。また、2.5%以下とすることにより熱電変換材料11が割れるなどの問題が起こりにくくなり、2.0%以下とすることにより一層割れにくくなる。1.5%以下では割れ不良は観測されていない。
参考までに、粒子13の半導体12に対する体積率と重量比の関係を図4に示す。両者の間にはほぼリニアの関係が認められる。
最初に、ドーパントを含む半導体12の組成を有する半導体粉末、粒子13の粉末を所定量準備し、混合する。
その後、ホットプレス等を用いてその混合物を焼結し、その焼結体からなる熱電変換材料11が製造される。焼結の条件は、例えば、ホットプレスの場合は、圧力50MPa以上100MPa以下、温度650℃以上1200℃以下、時間60分以上5時間以下を挙げることができる。なお、焼結の方法としては、ホットプレスの他、放電プラズマ焼結法、超高圧焼結法などを用いることもできる。
一方、本発明では、半導体12と混合粉末に組成変化がないことに特徴がある。すなわち、本発明では、熱電半導体材料として高品位化技術や高効率生産技術などにおいて十分な実績のあるFeSi2やMg2SiSnGe系半導体が踏襲される。
このため、本発明の熱電変換用の半導体材料では、品質および生産性が十分高い製品を、これまで蓄積されてきた技術、知見、設備等を活かして供給することが可能になるという特徴をもつ。
第2の実施の形態(実施の形態2)は、実施の形態1による半導体材料を用いた熱電変換素子に関するものである。
熱電変換素子31は、例えば、その主要部の構成図である図2に示すように、低温となる側の電極34(34a)と高温となる側の電極34(34b)の間に、これらの電極を介してn型半導体32とp型半導体33が電気的に直列配置された構造からなる素子である。ここで、図2(a)は鳥瞰図であり、図2(b)は断面図である。
実施の形態2では、n型半導体32、p型半導体33の少なくとも何れか1に実施の形態1で説明した熱電変換用半導体を用いる。すなわち、ドーパントを含むFeSi2またはMg2SiSnGe系材料をホストの半導体部とし、その半導体部の粒界面に低比抵抗で高融点の粒子が形成されたn型半導体またはp型半導体を用いる。
これらの半導体は高い変換効率で高出力の電力を供給することができるので、熱電変換素子31は、高い熱電変換効率をもつ高出力の熱電変換素子になる。ここで、n型半導体32とp型半導体33の両半導体とも実施の形態1で説明した熱電変換用半導体を用いることが好ましい。このようにすると、熱電変換素子31は、極めて高い熱電変換効率をもつ高出力の熱電変換素子になる。
実施例1では、n型のドーパントを添加したFeSi2粉末にWSi2粉末を混合した焼結体をホットプレスを用いて作製し、その比抵抗を測定した。
その焼結体の作製工程の詳細を下記に示す。
最初に、コバルト(Co)を添加したFeSi2粉末(福田金属箔粉工業株式会社製 アトマイズ粉 純度:99%)を準備し、WSi2粉末(富士フイルム和光純薬株式会社製、純度:99%)と所定の重量%になるように秤量した。ここで、FeSi2粉末およびWSi2粉末の平均的な粒子の大きさは、それぞれ7μm、2~5μmである。これらの粉末を傾斜型遊星ボールミル(株式会社ナガオシステム製 Plant M2-3F)で室温、アルゴン雰囲気中で混合した。混合時間は20分とした。なお、WSi2の融点および比抵抗は、表1に示されているように、それぞれFeSi2のそれの約1.4倍、1/640倍である。
次に、その混合物をホットプレスにかけて焼結体を作製した。ホットプレスの条件は、圧力50MPa、温度1174℃、30分間とした。混合比は0から0.1mol%である。
ホットプレス後、β相にする熱処理を800℃で20時間行った。
比抵抗ρは、図5に示すように、混合比の増加に伴って単調に、無混合試料の約8.5μΩmから0.1mol%混合試料の約5.1μΩmまで減少した。この結果から、高融点低比抵抗粒子の添加により焼結体の比抵抗が大幅に下がることが確認された。
実施例2では、Mg2SiSnGe系材料にWSi2またはWを混合した複数の焼結体を作製し、その電気的特性および物理的特性を評価した。
第2の焼結体はp型半導体の例であり、Mg1.97Ag0.25Li0.05Si0.25Sn0.75の組成をもつ粉末とWSi2あるいはW粉末をガラス管に封入し、回転をかけることで混合し、ホットプレスを用いて焼結体を作製した。ホットプレスの条件は、圧力80MPa、温度650℃、4時間とした。
第2の焼結体であるp型半導体のMg1.97Ag0.025Li0.005Si0.25Sn0.75の比抵抗ρは、無混合試料で2.09×10-5Ωmであるが、WSi2混合試料では2.00×10-5Ωm(2重量%)、1.92×10-5Ωm(4重量%)とわずかに減少した。一方、W混合試料では1.41×10-5Ωmと大幅に減少した。
第2の焼結体(p型試料)では、無混合試料で128.7μV/Kで、WSi2混合試料では134.4μV/K(2重量%)、152.2μV/K(4重量%)、W混合試料では137.4μV/K(2重量%)、155.7μV/K(4重量%)になっており、室温におけるゼーベック係数αは、WSi2やWを混合することで増加した。
第2の焼結体では、無混合試料で0.95mW/mK2で、WSi2混合試料では1.04mW/mK2(2重量%)、1.11mW/mK2(4重量%)、W混合試料では1.11mW/mK2(2重量%)、1.21mW/mK2(4重量%)になっており、無混合試料に比べて最大で27%の性能向上が図られていた。
ここで、WSi2やWの高融点、低比抵抗物を混合することで電気的性能指数PWが大きくなったことは、熱電発電出力Pが大幅に大きくなったことを意味している。
第1の焼結体(n型試料)におけるゼーベック係数αは、温度上昇に伴ってその絶対値が大きくなる傾向を示す。無混合試料のゼーベック係数αは、約700Kで絶対値が最大値を示し、その温度以上では減少した。しかしながら、混合試料のゼーベック係数αは、測定温度範囲で無混合試料よりも小さい結果になった(図12(a))。
ここで、4重量%WSi2混合した第1の焼結体は2重量%WSi2混合したそれより比抵抗ρが大きいが、これは4重量%WSi2混合した第1の焼結体の内部に生じたクラックによる抵抗の増加によって引き起こされたものと考えられる。なお、そのクラックはSEMによって確認された。
一方、p型試料である第2の焼結体では、無混合試料が小さく、混合試料はすべての試料でほぼ同じであるが無混合試料よりも大きかった(図13(c))。
第2の焼結体(p型試料)では、比抵抗ρが小さくなったが、ゼーベック係数αも小さくなり、熱伝導率κはほぼ同じであったため、無次元性能指数ZTの最大値は無混合試料も混合試料もほぼ同じであった(図13(d))。
12:半導体
13:粒子(低抵抗物の粒子)
14:粒界面
31:熱電発電素子
32:n型半導体
33:p型半導体
34:電極
35:電流
Claims (13)
- ドーパントを含むFeSi2からなる半導体に、前記半導体より、融点が高くかつ比抵抗の小さい、金属、合金および金属化合物からなる群より選ばれる1以上の低抵抗物が粒子として分散された焼結体からなる、熱電変換用の半導体材料。
- 前記半導体はドーパントとしてNi、Co、Pt、Pd、B、Mn、Cr、V、Ti、Al、Pからなる群より選ばれる1以上を含むFeSi2からなる、請求項1記載の熱電変換用の半導体材料。
- ドーパントを含むMg2SiSnGe系材料からなる半導体に、前記半導体より、融点が高くかつ比抵抗の小さい、金属、合金および金属化合物からなる群より選ばれる1以上の低抵抗物が粒子として分散された焼結体からなる、熱電変換用の半導体材料。
- 前記ドーパントは、Cu、Ag、Cd、Zn、Al、Ga、In、Au、Ni、Co、Fe、Li、Na、Ca、K、N、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Cl、Br、Iからなる群より選ばれる1以上である、請求項3記載の熱電変換用の半導体材料。
- 前記半導体は、一般式A2rMg2-2r(Si1-x-ySnxGey)1-sBs(AおよびBはCu、Ag、Cd、Zn、Al、Ga、In、Au、Ni、Co、Fe、Li、Na、Ca、K、N、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Cl、Br、Iからなる群より選ばれる1つ以上、0≦r<1、0≦s≦1、0≦x≦1、0≦y≦1)で表される材料からなる、請求項3または4記載の熱電変換用の半導体材料。
- 前期低抵抗物の比抵抗は、前記半導体の比抵抗に対して1/1000以下である、請求項1から5の何れか1記載の熱電変換用の半導体材料。
- 前記低抵抗物は、WSi2、TiB2、W、TaC、WC、ZrN、ZrB2、HfB2、VB2、W2B5、LaB6、TiSi2、MoSi2からなる群より選ばれる1以上である、請求項1から6の何れか1記載の熱電変換用の半導体材料。
- 前記低抵抗物は、WSi2、Wからなる群より選ばれる1以上である、請求項1から6の何れか1記載の熱電変換用の半導体材料。
- 前記低抵抗物の体積率が、前記半導体に対して0.01体積%以上2.5体積%以下である、請求項1から8の何れか1記載の熱電変換用の半導体材料。
- 前記ドーパントの前記半導体に対する原子数の比率は、100ppm以上から5.3%以下である、請求項1から9の何れか1記載の熱電変換用の半導体材料。
- 前記半導体は粒界を形成し、前記低抵抗物は前記半導体の粒界と粒界の間に存在する、請求項1から10の何れか1記載の熱電変換用の半導体材料。
- p型半導体層とn型半導体層が電気的に接続されており、前記p型半導体層と前記n型半導体層の少なくとも何れかに請求項1から11の何れか1記載の半導体が含まれている、熱電変換素子。
- 前記接続は電極を介して行われる、請求項12に記載の熱電変換素子。
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