JP2022017028A - 排ガス処理方法および炭化珪素多結晶ウエハの製造方法 - Google Patents

排ガス処理方法および炭化珪素多結晶ウエハの製造方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2022017028000001
【課題】高次のクロロシランポリマーが排気配管等に析出することを防止し、排気配管等が閉塞することを抑制することのできる、排ガス処理方法および炭化珪素多結晶ウエハの製造方法を提供する。
【解決手段】塩化珪素ガスおよび炭素系ガスを原料ガスとして用いて、炭素基板の表面に化学蒸着により炭化珪素多結晶を成膜する成膜室から排出されるSiClを含有する排ガスと、塩化水素ガスとを混合して混合ガスを得る混合工程と、前記混合ガスを熱処理して前記SiClをSiClに転換する熱処理工程と、を含む、排ガス処理方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、排ガス処理方法および炭化珪素多結晶ウエハの製造方法に関する。例えば、複数の炭化珪素単結晶基板を互いに隙間を空けて積層する方向に配列する縦型配列構造の基板処理装置を用いて、炭化珪素ウエハを製造する方法に関する排ガス処理方法および炭化珪素多結晶ウエハの製造方法である。
炭化珪素(SiC)は、2.2~3.3eVの広い禁制帯幅を有するワイドバンドギャップ半導体であり、その優れた物理的、化学的特性から、例えば、高周波電子デバイス、高耐圧かつ高出力電子デバイス、青色から紫外にかけての短波長光デバイス等をはじめとして、炭化珪素によるデバイス(半導体素子)作製の研究開発が盛んに行われている。SiCデバイスの実用化を進めるにあたっては、高品質のSiCエピタキシャル成長のために大口径の炭化珪素基板を製造することが求められている。現在、その多くは、種結晶を用いた昇華再結晶法(改良レーリー法、改良型レーリー法等と呼ばれる)やCVD法等で製造されている。
CVD法(化学的気相蒸着法)を利用する炭化珪素基板の製造方法は、原料ガスを気相反応させ基材面上に炭化珪素生成物を析出させて被膜を生成した後、基材を除去するものであり、緻密で高純度の炭化珪素基板を得ることができる。また、基材は切削や研磨等により除去されるが、基材に炭素材を用いると空気中で熱処理することにより除去できる。
特許文献1には、CVD法による炭化珪素基板の製造方法として、基材の表面に化学蒸着法により炭化珪素膜を形成し、その後前記基材を除去して得られた炭化珪素基板の両面に、更に炭化珪素膜を形成することを特徴とする、化学蒸着法による炭化珪素基板の製造方法が提案されている。
また非特許文献1や2には、Si粒子の発生を抑制し高速にSiCを成膜するために、珪素の原料ガスとしてクロロシラン系ガス(SiCl4、SiHCl3など)を用いることが提案されている。原料ガスのクロロシランガスのなかで、基板中に析出せする量は一部であり、大部分は排気され、ガス温度の低下とともに高次のクロロシランポリマーとなっては排気配管等に析出する。これにより配管が閉塞するおそれがある。
高次のクロロシランポリマーは、配管を閉塞するだけではなく、大気中の水分により加水分解し、非特許文献3に示すように不完全な加水分解物が爆発性化合物を形成することが知られている。そのためクロロシランポリマー(オイリーシラン)が付着した配管や部品の取り扱い方法や洗浄は、注意が必要である。
非特許文献に示すように、オイリーシランはクロロシラン系ガスを用いたSiエピタキシャル成長でも問題になっており、SiエピタキシャルではSiCl2が1000℃以上の高温で生成するため、エピタキシャル成長温度を1000℃未満にすることでSiCl2の生成を抑制し、オイリ-シランの発生量を抑制できる。しかしながらSiCを実用的な成長速度で成膜するには1400K以上の高温が必要となり、低温成長でSiCl2の生成を抑制する方法は採用できない。
一方、特許文献2では、メチルトリクロロシランガスを原料として使用してSiCを生成させる成膜装置において、成膜装置から排気ガスをその温度を低下させずに750℃~850℃に保持した排気ガス処理装置内(改質炉)に導入し、クロロシランを含む排気ガスにクロロメタンガスを添加して反応させることで、排気ガス中のSiCl2系ガスをSiCl4、SiHCl3、CH3SiCl3やC2HSiCl3等に改質して、排気ガス温度を低下させても高次のクロロシランポリマーを生成させない方法を提案している。
特許文献2(例えば段落0090並びに図35等)では、排気ガスが排気ガス処理装置内で固体SiCとして析出すること、そして、固体SiCを形成することが高次クロロシランポリマーの低減に有効であることを記載している。
特開平8-188408号公報 WO2018/008642
ECS J. Solid State Sci. Technol. 2015 volume 4, issue 2, P16-P19 平井敏雄・後藤孝・梶利彦 窯業協会誌Vol.91、No11、(1983) 503 石田夕起 J. Vac. Soc. Jpn. Vol. 54, No. 6,(2011) 346 三菱マテリアル株式会社四 日市工場 高純度多結晶シリコン製造施設 爆発火災事故調査報告書 http://www.mmc.co.jp/corporate/ja/01/01/14-0612a.pdf
しかしながら、塩化珪素ガスを原料ガスとして炭素基板の表面に炭化珪素薄膜を成長させる炭化珪素ウエハの製造方法では、排気ガス中のクロロシランを固体SiCにすると原料の使用効率が悪くなるという問題がある。またクロロメタンガスを使用し、その全量が固体SiCの析出に消費されない場合、有害で可燃性のあるクロロメタンガスが排気ガス中に存在するので、その処理が必要という問題がある。
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑み、高次のクロロシランポリマーが排気配管等に析出することを防止し、排気配管等が閉塞することを抑制することのできる、排ガス処理方法および炭化珪素多結晶ウエハの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記のような課題を解決するために、化学反応の条件と生成物の関係について化学速度論的に検討を行ったところ、CVD装置ではSiCの成膜室に隣接して排ガス処理室を設け、SiCl2を含む成膜後の排ガスに塩化水素ガスを添加し、熱処理温度を1200K以上1500K以下することでSiCl2を原料であるSiCl4に転換することによって上記高次のクロロシランポリマーが排気配管等に析出する問題が解決できることを見出した。
上記課題を解決するため、本発明の排ガス処理方法は、塩化珪素ガスおよび炭素系ガスを原料ガスとして用いて、炭素基板の表面に化学蒸着により炭化珪素多結晶を成膜する成膜室から排出されるSiCl2を含有する排ガスと、塩化水素ガスとを混合して混合ガスを得る混合工程と、前記混合ガスを熱処理して前記SiCl2をSiCl4に転換する熱処理工程と、を含む。
前記混合ガスの熱処理温度が1200K以上1500K以下であってもよい。
前記塩化珪素ガスがSiCl4またはSiCl3であってもよい。
前記混合工程における前記排ガス中のSiCl2と前記塩化水素ガスとの混合比は、モル比でSiCl2:HCl=1:1.5~8であってもよい。
また、上記課題を解決するため、本発明の炭化珪素多結晶ウエハの製造方法は、上記本発明の排ガス処理方法を含む。
本発明であれば、高次のクロロシランポリマーが排気配管等に析出することを防止し、排気配管等が閉塞することを抑制することのできる、排ガス処理方法および炭化珪素多結晶ウエハの製造方法を提供することができる。
反応座標とエネルギーの関係を示す図である。 気相ガスのモル濃度の温度による変化を化学速度論的に計算した結果である。 図2とは異なる条件において、気相ガスのモル濃度の温度による変化を化学速度論的に計算した結果である。 図2、3とは異なる条件において、気相ガスのモル濃度の温度による変化を化学速度論的に計算した結果である。 温度をX軸、投入時のHCl/SiCl2比をy軸としてSiCl2残留量を示した等高線である。 図5の等高線を拡大した等高線である。 均一反応炉(C1_PSR)の概念図である。 炭化珪素多結晶ウエハの製造装置3000の上面からみた断面を示す概略図である。 本発明の排ガス処理方法および炭化珪素多結晶ウエハの製造方法に用いることのできる、炭化珪素多結晶ウエハの製造装置の一実施形態として、製造装置1000の上面からみた断面を示す概略図である。 第1面110を成膜室110の内部から見た正面概略図である。 第2面120を成膜室100の内部から見た正面概略図である。 基板ホルダー500の模式図である。 混合ガスの噴出について説明する模式図である。 排ガス処理装置900a、900bの上面からみた断面を示す概略図である。
以下、本発明の排ガス処理方法および炭化珪素多結晶ウエハの製造方法の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
[塩化珪素ガスおよび炭素系ガスの反応による炭化珪素の生成]
塩化珪素ガスとしてSiCl4、炭素系ガスとしてCH4を原料ガスとして用いてSiCを生成する化学反応は、量論的には以下の式(1)のように記述される。しかしながら、実際には分子がこの式に従って反応しているわけではなく、複数の反応が平行又は逐次的に進行すると考えられる。
[数1]
SiCl4+CH4 → SiC+4HCl (1)
反応速度論で使用される素反応式は式(1)と異なって、これ以上分解できない反応を意味しており、分子同士の衝突現象とそれによる分子状態の変化を示している。例えば、式(1)を速度論的に考えると、SiCl4やCH4が分解してSiCl2やC2H2などが生成し、それらが支持基板の表面に吸着し、反応してSiCを形成する。例えば、以下のような反応が挙げられる。
[数2]
SiCl4⇔SiCl3+1/2Cl2
SiCl3⇔SiCl2+1/2Cl2
Cl2+H2⇔2HCl
CH4⇔CH3+1/2H2
2CH3⇔C2H5+H
C2H5⇔C2H4+H
C2H4⇔C2H2+H2
SiCl2⇒Si_基板+Cl2
C2H2⇒C_基板+CH2
Si_基板+ C_基板⇒SiC_基板
ここで、「⇒」は一方向反応、「⇔」は可逆反応、化学種は気相分子、「_基板」は基板上に吸着していることを示す。これらの一連の反応について、原子数の保存を考慮してまとめた式が式(1)に相当する量論的な反応式である。
素反応iの素反応速度定数ki(T)は以下の式(2)のように書ける。
[数3]
ki(T)=A・Tn・exp(-Ea/RT) (2)
ki(T)の単位はcm3/molecule/s、Tは温度(単位K)、Ea(単位はkcal/mol)は活性化エネルギー、Rは気体定数1.987(単位はcal/K/mol)、nは反応次数である。
また、Aは頻度定数であり、例えば分子XがYとZに分解する場合(X→Y+Z)、その変化は-d[X]/dt=A1[X]となり、A1が頻度因子で次元は「1/s」である。また、分子YとZからXが合成される場合(Y+Z→X)、-d[Y]/dt=-d[Z]/dt=A2[Y][Z]となり、頻度因子A2の次元はcm3/(mol*s)となる。このように反応の次数により定数の次元が変化する。
素反応速度ri(T)は、以下の式(3)に示すように素反応速度定数ki(T)に分子iの濃度Ci(molecule/cm3)を乗じた値となる。
[数3]
ri(T)=ki(T)・Ci (3)
化学式A+B⇔C+Dの順方向(A+B→C+D)の反応速度r(T)は、以下の式(4)によって求められる。
[数4]
r(T)=k(T)・[A]・[B] (4)
また、化学式A+B⇔C+Dの逆方向(A+B←C+D)の反応速度r*(T)は、以下の式(5)によって求められる。
[数5]
r*(T)=k*(T)・[C]・[D] (5)
図1は、反応座標とエネルギーの関係を示す図である。図1において、A+B⇔C+Dの可逆反応では、A+Bの状態とC+Dの状態との間に自由エネルギー変化ΔGがある場合、活性化エネルギーECDは以下の式(6)のように計算できる。
[数6]
CD=EAB-ΔG (6)
気相で発生すると考えられる素反応式と反応パラメータを表1、2に示す。表1は珪素系ガスのものであり、表2は炭素系ガスのものである。また、ΔG等の熱力学的なパラメータは熱力学データベース(例えばHSC:オートテック)を用いた。
Figure 2022017028000002
Figure 2022017028000003
素反応を用いてSiClを含むCVDの原料ガスについて、気相ガスのモル濃度の温度による変化を化学速度論的に計算した。計算にはChemkin-proを使用し、計算モデルは反応炉内で均一反応が起きるとして図7に示す均一反応炉(C1_PSR)を用いた。計算モデルにおいて、流入するガスの組成比(モル比)はSiCl4:CH4:H2:Ar=1:1:10:5とし、HClガスは使用しなかった。また、炉内の滞留時間は10secとした。計算は反応温度を900Kから1700Kまで100K毎に行った。
その結果を図2に示す。図2は、気相ガスのモル濃度の温度による変化を化学速度論的に計算した結果である。ガスの主成分はArガスとH2ガスであるが、Arガスは反応に依存せずモル濃度は約0.3であり、H2ガスのモル濃度は0.5~0.6で変化温度依存性は小さい。図2の濃度スケールは、SiCl4ガス濃度の温度変化に着目して選び、ArガスとH2ガスは図2からは削除した。
図2から、成膜温度1100KでSiCl4はSiCl2やSiCl3に分解を開始し、温度が高くなると共に分解が進み、1600Kではほぼ全量がSiCl2に変換される。SiCl3は1100~1200KでSiCl2と同じ量であるが高温では分解する。また副生成物であるHCl濃度も温度とともに増加することが分かる。また、CH4はSiCl4より高い1400Kから分解が始まりC2H2が生成するが、1700Kでも一部が残留している。なおC2H2はカーボン原子を2個含むためCH4が全量分解しても濃度は半分になる。
次に、表3に示すように、投入ガスのSiCl4をSiCl2とし、HClをSiCl2の2倍モル加えた組成(Ar:H2:CH4:SiCl2:HCl=0.407:0.390:0.065:0.046:0.092)で計算を行った。この場合のモル比は、SiCl2:HCl=1:2となる。HClをSiCl2の2倍加えたのは、実際のCVD炉の排ガスではSiCl4からSiCl2に変化する反応の量論式では、少なくともHClがSiCl2の2倍となることが想定されるからである(SiCl4+H2→SiCl2+2HCl)。さらに、SiCl2がSiCとなって濃度が減少するため、2倍以上となる。また、炉内の滞留時間は10secとした。
Figure 2022017028000004
モル比がSiCl2:HCl=1:2の条件で計算した結果を図3に示す。図3は、図2とは異なる条件において、気相ガスのモル濃度の温度による変化を化学速度論的に計算した結果である。SiCl2は1300Kで最小値となり、排ガス中の値のSiCl2の78%がSiCl4とSiCl3に変換されている(SiCl2+2HCl→SiCl4+H2)。
図3の結果では、反応の量論式から予想されるとおりSiCl2の反応に伴ってH2濃度が増加し、HClが減少する。本出願人が有する炭化ケイ素成膜装置では、SiCl2からSiCに転換される率は50%以下であるため、排ガス中のHCl濃度はSiCl2の約4倍と推定される。そこで次に、SiCl2:HCl=1:4の場合の計算を行った。
モル比がSiCl2:HCl=1:4の条件で計算した結果を図4に示す。また、炉内の滞留時間は10secとした。図4は、図2、3とは異なる条件において、気相ガスのモル濃度の温度による変化を化学速度論的に計算した結果である。モル比をSiCl2:HCl=1:4にすると、SiCl2:HCl=1:2の場合より1200~1400Kの場合におけるSiCl2濃度が低くなり、1300Kの場合では殆ど全量がSiCl4に変換されることが分かる。
同様に、表4に示す比率のようにHCl/SiCl2のモル比を1.67から7.78まで0.55毎に変化させて計算を行った。また、炉内の滞留時間は10secとした。計算結果から、式(7)に示す式により化学反応計算後のSiCl2濃度(SiCl2c)を反応前の投入量(SiCl2i)で割って残留率を計算した。
Figure 2022017028000005
[数7]
SiCl2残留率=SiCl2c/SiCl2i (7)
図5は、温度をX軸、投入時のHCl/SiCl2比をy軸としてSiCl2残留量を示した等高線である。図6は、図5の等高線を拡大した等高線である。SiCl2残留率が0.2以下である範囲は、HCl/SiCl2モル比が2.78以上で温度1300Kの位置に現れ、HCl/SiCl2モル比が増加すると、温度範囲が徐々に増え、HCl/SiCl2比が7.78で1200Kから1500Kまで拡大する。一方、図6に示すように、SiCl2残留率が0.1以下の領域は、1300KでHCl/SiCl2モル比3.4以上であり、HCl/SiCl2モル比を7.8にすると1300Kから1400Kの範囲となった。1300KではHCl/SiCl2モル比が4.4以上でSiCl2残留率は0.05以下、HCl/SiCl2モル比が7.8でSiCl2残留率は0.01まで低下する。
以上から、HCl/SiCl2モル比を2.8以上、より好ましくは4以上で温度を1200Kから1500K、より好ましくは1280K以上1450K以下にすることで、排気ガス中のSiCl2を効率よく原料であるSiCl4に変換できることが分かる。なお、表5に、図5、6の等高線の基となるデータを示す。
Figure 2022017028000006
〈炭化珪素多結晶ウエハの製造装置1000〉
図9は、本発明の排ガス処理方法および炭化珪素多結晶ウエハの製造方法に用いることのできる、炭化珪素多結晶ウエハの製造装置の一実施形態として、製造装置1000の上面からみた断面を示す概略図である。製造装置1000は、成膜室100と、混合ガス噴出口200と、混合ガス排出口300と、ヒータ400と、基板ホルダー500と、排ガス処理装置900と、四重極型質量分析計1600と、コールドトラップ1700とを備える。
〈成膜室100〉
成膜室100は、第1面110と、第1面110と対向する第2面120と、第1面110と第2面120とをつなぐ4つの側面130からなる直方体状の内形を有する。直方体状の内形とすることで、複数の基板600を成膜室100に設置した場合において、基板と基板との間の隙間と基板と側面130との間の隙間の形状が同一または近似とすることができる。そのため、基板と基板との間を流れる混合ガスと同様に、側面130と基板との間を流れる混合ガスも、混合ガス噴出口200から混合ガス排出口300へ向かって均一に流すことができる。その結果として、基板に対して均一でばらつきの少ない膜を成膜することができる。
例えば、成膜室100の内形が直方体状ではなく、筒状の場合には、基板と基板との間の隙間と基板と側面130との間の隙間の形状が大きく異なるため、基板と基板との間を流れる混合ガスと、側面130と基板との間を流れる混合ガスとが均一に流れなくなる。その結果として、基板と基板との間で成膜した膜と、基板と側面130との間で成膜した膜が不均一となり、基板間でばらつきの大きい膜が成膜されるおそれがある。
なお、成膜室100の内形は、基板ホルダー500と基板ホルダー500に保持された基板600が入る大きさがあればよく、成膜に関与しない混合ガスが混合ガス噴出口200から混合ガス排出口300へ向かって流れて、成膜室100から排出されてしまうような余分な空間をできるだけ設けないことが好ましい。
また、成膜室100は黒鉛製であることが好ましい。黒鉛であれば直方体状への加工が容易であり、また、成膜時に不活性雰囲気下とすることで、高温となる成膜条件に十分な耐久性を持つことができる。
〈混合ガス噴出口200〉
混合ガス噴出口200は、成膜室100の第1面110またはその近傍にあり、原料ガスおよびキャリアガスを含む混合ガスを前記成膜室100に噴出する。混合ガス噴出口200は複数あることが好ましいが、1つであってもよい。混合ガス噴出口200が複数あることにより、1つのみの場合と比べて成膜室100へ混合ガスをより均一に噴出することができる。混合ガス噴出口200の一例としては、混合ガスが流通する混合ガス導入管210において、混合ガスが噴出される開口端部に相当する。そして、混合ガス噴出口200は、第1面110にあってもよく、図9に示すように第1面110の近傍であって、成膜室100の内部側や、混合ガスのガス漏れが無いことを前提として成膜室100の外部にあってもよい。近傍は、例えば第1面110から20mm程度が目安となる。なお、混合ガス噴出口200の温度を制御できるよう、混合ガス導入管210を適宜加熱できるヒータや冷却できるクーラー等の温度制御手段を備えてもよい。
図10は、第1面110を成膜室110の内部から見た正面概略図である。図10では、第1面110に4個の混合ガス噴出口200が、一列に配置されている。4個の混合ガス噴出口200が並ぶ方向は、基板ホルダー500において基板600が並んで積層される方向と一致させることができる。各混合ガス噴出口200のそれぞれから、混合ガスを均等に排出することが可能である。混合ガス噴出口200の内径は、混合ガス噴出口200の数や噴出条件によって最適のものを用いればよく、混合ガスの噴出に問題が無ければ特に限定されないが、例えば10mm~25mmの範囲に設定することができる。また、隣接する混合ガス噴出口200同士の距離は、混合ガス噴出口200の数や噴出条件によって最適のものを用いればよく、混合ガスの噴出に問題が無ければ特に限定されないが、例えば2mm~16mmの範囲に設定することができる。また、第1面110には、混合ガス噴出口200が複数の行と複数の列とによって配置されていてもよい。
〈混合ガス排出口300〉
混合ガス排出口300は、成膜室100の第2面120またはその近傍にあり、混合ガスを成膜室100から排出する。混合ガス排出口300の一例としては、混合ガスが成膜室100の外部へ排出されるために流通する混合ガス排出管310において、混合ガスが排出される開口端部に相当する。そして、混合ガス排出口300は、第2面120にあってもよく、図9に示すように第2面120の近傍であって、成膜室100の内部側や、混合ガスのガス漏れが無いことを前提として成膜室100の外部にあってもよい。近傍は、例えば第2面120から20mm程度が目安となる。なお、炭化珪素等が混合ガス排出口300や混合ガス排出管310において析出しないよう、混合ガス排出口300や混合ガス排出管310を温度制御するべく、適宜加熱できるヒータや冷却できるクーラー等の温度制御手段を備えてもよい。また、排ガスと、塩化水素ガスとを混合して混合ガスを得られるよう、排ガスに塩化水素ガスを導入する塩化水素ガス導入管320を備えることができる。
図11は、第2面120を成膜室100の内部から見た正面概略図である。図11では、第2面120の中央に1個の混合ガス排出口300が配置されている。混合ガス排出口300は、炭化珪素等が多少成膜しても混合ガスを問題なく排出できれば、1個であってもよく、複数あってもよいが、炭化珪素等が多少成膜しても混合ガスを問題なく排出できるよう、第2面の一辺の1/5~1/2程度の開口直径を持つものが好ましい。
〈ヒータ400〉
ヒータ400は、成膜室100の4つの側面130を囲み、成膜室100を加熱する。ヒータ400を制御することによって、成膜室100の温度を基板に膜を成膜させるのに適した温度に制御することができる。ヒータ400としては、熱CVD法に有用なヒータを用いることができ、例えば筒状のカーボンヒータやカンタルヒータを用いることができる。
〈基板ホルダー500〉
図12は、基板ホルダー500の模式図である。図12(a)が基板600を保持した基板ホルダー500の側面図であり、図12(b)が成膜室100の内部において第1面110側から見た基板ホルダー500の正面図である。基板ホルダー500は、複数の基板600を、基板600同士を非接触で等間隔に積層して保持可能であり、成膜室100の第1面110と第2面120との間において、基板600の成膜対象面610を成膜室100の側面130と平行に設置可能である。
図12において、基板ホルダー500は、上保持棒510と下保持棒520によって基板600を上下の2か所より挟んで保持することができ、上保持棒510と下保持棒520のいずれも基板600を保持するための溝511、521を有するものである。ただし、基板ホルダーとしてはこれに限定されず、上下に加えて前後にも保持棒を有し、3か所または4か所で基板を保持することができる。
基板ホルダー500は、例えば上保持棒510と下保持棒520のいずれもが、成膜室100の側面130のうち、上側面130aと下側面130bとそれぞれ密接していることで、成膜に関与しない混合ガスが大量に混合ガス噴出口200から混合ガス排出口300へ向かって流れて、成膜室100から大量に排出されてしまうことを防止することができる。
なお、図12(b)では、基板600の成膜対象面610は成膜室100の側面130のうち、左側面130cと右側面130dと平行に設置されており、上側面130aおよび下側面130bと垂直に設置されている。ただし、基板ホルダー500の形状を変えることにより、基板600の成膜対象面610が左側面130cと右側面130dと垂直に設置され、上側面130aおよび下側面130bと平行に設置されることもできる。すなわち、基板600は、垂直方向に積層してもよく、水平方向に積層してもよい。ただし、成膜対象面610が混合ガス噴出口200に面するように、成膜対象面610を第1面110および第2面120と平行となるように基板600を設置すると、基板の間に混合ガスが均一に流れなくなるため、好ましくない。
また、基板600の成膜対象面610と左側面130cとの隙間の幅700、および右側面130dとの隙間の幅710が、等間隔に積層した基板600間のそれぞれの隙間の幅720と同一であると、これらの隙間を混合ガスが均一に流れるため、基板間や同一成膜対象面において、厚みのバラツキの少ない膜を成膜することができる。
〈混合ガスの噴出速度〉
図13は、混合ガスの噴出について説明する模式図である。混合ガスにおける分子同士の衝突を無視した場合の混合ガスの広がりを模式的に示したものであり、混合ガスに加圧等せずに第1面の混合ガス噴出口200から自然に拡散する場合の拡散速度をVd、混合ガスを加圧等して混合ガス噴出口200から噴出する場合の噴出速度をVgとする。
拡散速度Vdが噴出速度Vgよりも速い場合、混合ガス800の拡散がゆっくりと進むため(図13(a))、原料ガスの成膜室100への供給量が少なくなり、成膜速度が遅くなるおそれがある。混合ガス噴出口200が混合ガスによって成膜しないように、成膜室100において基板600と混合ガス噴出口200との距離をある程度設けることで混合ガス噴出口の温度を低温(例えば1200K以下)に制御しようとすると、混合ガス800が基板600へ到達するまでに距離があるため、より成膜に時間がかかることとなる。
この点を考慮して、製造装置1000では、混合ガス噴出口200から噴出される混合ガスの噴出速度を、前記混合ガスの拡散速度よりも早くすることができるものである。すなわち、噴出速度Vgを拡散速度Vdよりも早くすることで(図13(b))、混合ガス810が混合ガス噴出口200より強制的に排出される。これにより、成膜室100において基板600と混合ガス噴出口200との距離をある程度設けた場合であっても、成膜速度の低下を抑えることができる。すなわち、従来法と同等の成膜速度を維持しつつ、混合ガス噴出口200が混合ガスによって成膜して口径が小さくなっていくことや、混合ガス噴出口200が塞がってしまうことを防止することができる。
噴出速度Vgを拡散速度Vdよりも早くするべく、混合ガス810を混合ガス噴出口200より強制的に排出することは、例えば、ガス量をレギュレータやコンプレッサ、吸引装置等の噴出速度制御手段により調整することで可能である。例えば、噴出速度Vgを0.4m/秒以上とすることで、従来法と同等の成膜速度を維持しつつ、混合ガス噴出口200が混合ガスの成膜によって口径が小さくなっていくことや、混合ガス噴出口200が塞がってしまうことを容易に防止することができる。さらに、噴出速度Vgが1m/秒以上であれば、従来法よりも成膜速度を明確に早めることが可能であり、成膜処理時間をより効果的に短縮することができる。また、本発明の製造装置1000において、複数の混合ガス噴出口200が設けられる場合、基板ホルダー500が保持可能な基板600の枚数と、混合ガス噴出口200の口数との比は、1:0.4~1.5であることが好ましい。基板ホルダー500が保持可能な基板600の枚数と、混合ガス噴出口200の口数との比は、1:0.4~1.5であれば、上記のガス速度やガス流量の均一性を満足しつつ、成膜速度の低下を防止することができる。
製造装置1000において、混合ガス噴出口200と基板ホルダー500との最短距離は、150mm以上であることが好ましい。混合ガス810の噴出速度やガス流量、混合ガス噴出口200の口数によっても、最適な最短距離は異なるものの、上記の最短距離が150mm以上であれば、成膜室100における基板600周辺の成膜温度よりも、混合ガス噴出口200周辺の温度を十分に下げることができる。これにより、混合ガス噴出口200が混合ガスの成膜によって口径が小さくなっていくことや、混合ガス噴出口200が塞がってしまうことを容易に防止することができる。
〈排ガス処理装置900〉
排ガス処理装置900は、成膜室100から排出される排ガスを処理する装置であり、具体的には、成膜室100の下流に配置され、排ガス処理装置900内で排ガス中のSiClと、排ガスと混合した塩化水素ガスとを反応させて、SiClをSiClに転換する装置である。排ガス処理装置900内で排ガス中のSiClをSiClに転換することにより、排ガス中のSiClを希釈することができる。そのため、排気配管350等の、排ガス処理装置900の下流にあり、排ガス処理装置900から排出される排気ガスを製造装置1000の外部へ排出する設備に高次のクロロシランポリマーが析出することを防止し、設備の内部が閉塞することを抑制することができる。
排ガス処理装置900は、その内部をSiClからSiClへの転換に適した温度に調製できるよう、ヒータ400に囲まれて配置されることが好ましい。
[排ガス処理装置900の実施形態]
図14は、排ガス処理装置900a、900bの上面からみた断面を示す概略図である。図14(a)には、排ガス処理装置900の一態様として排ガス処理装置900aを示し、図14(b)には、排ガス処理装置900aとは異なる態様の排ガス処理装置900bを示す。
排ガス処理装置900aは、箱状の筐体910aを有し、成膜室100から排出される排ガスを筐体910a内部へ導入する排ガス導入口920aと、排ガスを筐体910a内部から外部へ排出する排ガス排出口930aを備える。例えば、排ガス導入口920aが図9に示す混合ガス排出管310と直接接続することにより、成膜室100から排出される排ガスを排ガス処理装置900aに導入することができる。また、排ガス排出口930aが図9に示す排気配管350と直接接続することにより、排ガス処理装置900aから排気配管350へ排ガスを排出することができる。
そして、排ガス処理装置900aは、筐体910aの内部に塩化水素ガスを導入することのできる塩化水素ガス導入管320aを備えてもよい。これにより、塩化水素ガス導入管320と塩化水素ガス導入管320aのいずれかのみを使用またはこれらを併用して、塩化水素ガスの混合量を制御することができる。なお、排ガス処理装置900aは、排ガス中の各種ガスの含有量を検出する検出手段や、排ガス処理装置900a内部をSiClからSiClへの転換に好適な温度に制御できるよう、温度測定手段やヒータ400の制御手段を備えていてもよい。
また、筐体910aの内部には、排ガスと塩化水素ガスとを混合した混合ガスを滞留させることができるよう、複数の滞留板940aを備えてもよい。滞留板940aによって、SiClからSiClへの転換に好適な環境に混合ガスを長く留めておくことができる。
なお、排ガス処理装置900内の混合ガスの滞留時間tは、原料ガスの流量(物質量n モル/sec)と成膜室の温度(T)、処理室の内容積(Va)と管内圧力(P)から算出することができ、例えば気体の状態方程式PV=nRTから温度T、1secの流入体積VLを計算し、t=Va/VLで計算することができる。
例えば、排ガス処理装置900aの場合には、筐体910a内部の中央に形成された板状の滞留板941aと、筐体910aの内壁より突出するように形成された板状の滞留板942aを備える。滞留板941a、942aのいずれも、それらの長手方向が排ガス導入口920aより侵入する排ガスの侵入方向と平行となるように配置されている。そして、滞留板941a、942aが排ガス導入口920aから排ガス排出口930aへ向けて交互に配置されている。
図14(a)では、滞留板941aは3つ備えられているが、排ガス処理装置900の設置態様により任意の数を備えることができ、3つに限定されない。滞留板941aが1つであっても排ガスより炭化珪素を析出させることが可能であり、2つ以上備えられていることが好ましく、4よつ以上備えられていることがより好ましい。また、図9に示すように、SiClからSiClへの転換に問題が無ければ、滞留板が無いボックス状の排ガス処理装置900であってもよい。
一方、図14(b)に示す排ガス処理装置900bの場合には、筐体910a内部の中央に形成された滞留板941bと、筐体910aの内壁より突出するように形成された板状の滞留板942bを備える。排ガス処理装置900aとは異なり、滞留板941bは中央部が排ガス排出口930aの方へ屈曲したくの字状の断面を有し、排ガス排出口930aから排ガス導入口920aへ向けて広がるテーパー状となっている。また、滞留板942bは滞留板942aと同様に板状であるものの、先端が排ガス導入口920aの方へ傾くように傾斜して設置されている。これにより、筐体910aの内部に侵入した排ガスが通り抜けられずに留まりやすくなる領域Aができるため、排ガス処理装置900aの場合よりも排ガスの流通がより阻害されることで、SiClからSiClへより効率的に転換することができる。
なお、排ガス処理装置900bは、排ガス処理装置900aと同様に、箱状の筐体910a、排ガス導入口920a、排ガス排出口930a、および塩化水素ガス導入管320aを備える。
排ガス処理装置900を構成する各部材は、使用環境に耐えられるよう黒鉛製であることが好ましい。黒鉛であれば排ガス処理装置の任意の形状への加工が容易であり、また、排ガス処理時に不活性雰囲気下とすることで、高温となる成膜条件に十分な耐久性を持つことができる。
〈四重極型質量分析計1600〉
四重極型質量分析計1600は、4本の電極ロッド(四重極)に直流電圧と交流電圧を与えることで、ある特定の質量(m/z値)のイオンだけがはじき飛ばされずに通過できる電場を形成させることのできる、質量分析計である。排気配管350に排気ガスをサンプリングするためのサンプリング配管1610を接続し、差動排気を行って排気ガスをサンプリングして、四重極型質量分析計1600で排気ガスの成分を検知することができる。
〈コールドトラップ1700〉
コールドトラップ1700は、減圧操作において気体を液体に濃縮する装置である。製造装置1000では、サンプリング配管1610の後流に配置されており、排気配管350から排気ガスがコールドトラップ1700に導入され、主にガス状のSiClを液体化して濃縮することができる。
(その他の構成)
本発明の一実施形態の製造装置1000は、上記の構成の他、更なる構成を備えていてもよい。製造装置2000についても同様である。例えば、図9に示すように、成膜室100が内部に挿入された、例えばカーボン製の円筒状の外筒1100、外筒1100の内部において成膜室100を第1面110の外部から固定する保持治具1200、外筒1100が内部に挿入され、外筒1100との間にArガス等の不活性ガスを流通させるセラミック炉芯管1300、外筒1100およびセラミック炉芯管1300をそれらの両端において固定する固定フランジ1400、成膜室100を外筒1100およびセラミック炉芯管1300と共に内部に収める筐体1500を備えてもよい。また、未図示ではあるが、成膜室100の室内の温度や第1面100の温度、混合ガス噴出口200の温度を測定することのできる温度計等の温度測定手段、ヒータ400の発熱を制御するスイッチ等の制御手段や発熱させるための電源等を備えることができる。
[排ガス処理方法]
次に、本発明の排ガス処理方法の一例として、製造装置1000を用いる排ガス処理方法について説明する。本発明の排ガス処理方法は、以下に説明する混合工程と、熱処理工程と、を含む。
〈混合工程〉
本工程は、塩化珪素ガスおよび炭素系ガスを原料ガスとして用いて、炭素基板の表面に化学蒸着により炭化珪素多結晶を成膜する成膜室100から排出されるSiCl2を含有する排ガスと、塩化水素ガスとを混合して混合ガスを得る工程である。
排ガス中には、以下に説明する炭化珪素の原料ガスとなる塩素珪素ガスおよび炭素系ガスと、さらにこれらの原料ガスを運搬する役目を持つアルゴンガスやヘリウムガス等の希ガスや水素ガス等のキャリアガスが含まれ、更に適宜窒素ガス等のドーパントガスやアルゴンガスを含んでもよい。
(塩化珪素ガス)
塩化珪素ガスとしては、熱CVD法による炭化珪素のCVD成長に用いられるものであれば、特に制限はない。例えば、クロロシランガスとして、SiH3Cl、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl3、SiCl4等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合したものを好適に用いることができる。また、これらのクロロシランの単量体のみならず、2量体のガスを用いることもできる。例えば、塩化珪素ガスがSiCl4またはSiCl3であってもよい。
(炭素系ガス)
炭素系ガスとしては、塩化珪素ガスと同様に公知のものを用いることができ、一般的には炭化水素ガスを使用することができる。例えば、常温付近でガス状態であってハンドリングする上で好都合であることから、炭素数が5以下の飽和炭化水素、又は、炭素数が5以下の不飽和炭化水素からなる炭素系ガスであるのがよく、これらの1種又は2種以上を混合したものを好適に用いることができる。特に、炭素数が5以下の炭化水素から選ばれた1種または2種以上であり、メタン、エタン、プロパン、ブタンやこれらに類似する炭化水素ガスを、適宜炭素系ガスとして用いることができる。また、芳香族炭化水素等のガスも使用可能ではあるが、一般に分解速度が遅く、カーボンの凝集体を作りやすいので注意が必要である。また、炭素系ガスのキャリアガスとしては、ガス同士の反応を抑えることができることから、水素を用いるのが好ましい。
〈熱処理工程〉
本工程は、混合ガスを熱処理してSiCl2をSiCl4に転換する工程であり、例えば排ガス処理装置900により混合ガスを熱処理することができる。
(熱処理温度)
熱処理工程において、混合ガスの熱処理温度が1200K以上1500K以下であることで、SiCl等の高次のクロロシランポリマーを効率的にSiClに転換することができる。混合ガスの熱処理温度が1200K以上1500K以下の条件から外れる場合には、SiClのSiClへの転換が効率的ではなくなるおそれがある。なお、排ガス処理室の室内温度は、ヒータ400を用いて制御することができる。
(SiClとHClの混合比)
混合工程における排ガス中のSiClと塩化水素ガスとの混合比は、モル比でSiCl:HCl=1:1.5~8であることで、SiCl等の高次のクロロシランポリマーを効率的にSiClに転換することができる。排ガス中のSiClと塩化水素ガスとの混合比が上記の条件から外れる場合には、SiClのSiClへの転換が効率的ではなくなるおそれがある。なお、排ガスと塩化水素ガスとの混合は、塩化水素ガス導入管320により外部より塩化水素ガスを排ガスに導入することにより行うことができる。
なお、排ガス中のSiClと塩化水素ガスとの混合比は、SiClと塩化水素ガスの含有量を検出することのできる検出手段を用いて測定および制御することができる。
(その他の工程)
本発明の排ガス処理方法は上記の工程以外にも、他の工程を含むことができる。例えば、排ガスを排ガス処理室から排気配管350へ排出する工程や、上記した排ガス処理室へ導入する前の炭素源ガスを温める工程が挙げられる。
また、四重極型質量分析計1600を用いて排気ガスの成分を検知する工程や、排気配管350から排気ガスをコールドトラップ1700に導入し、ガス状のSiClを液体化して濃縮し、SiClを回収する回収工程を含めることができる。
[炭化珪素多結晶ウエハの製造方法]
次に、本発明の炭化珪素多結晶ウエハの製造方法について説明する。本発明の炭化珪素多結晶ウエハの製造方法は、本発明の排ガス処理方法を含む。排ガス処理方法については上記したとおりであり、説明は省略する。
本発明の炭化珪素多結晶ウエハの製造方法は、本発明の排ガス処理方法の他、成膜工程等、炭化珪素多結晶ウエハを製造するための工程を含むことができる。以下、本発明の炭化珪素多結晶ウエハの製造方法の一例として、製造装置1000を用いる炭化珪素多結晶ウエハの製造方法について説明する。
(成膜工程)
成膜工程は、成膜室100において、基板ホルダー500に基板600同士を非接触で等間隔に積層され、かつ、成膜対象面610を側面130と平行に設置された複数の基板600に対し、複数の混合ガス噴出口200から混合ガス810を成膜室100に噴出すると共に、混合ガス排出口300から混合ガス810を成膜室100から排出して、混合ガス810を成膜対象面610と平行な方向に流通させて、基板600に膜を成膜する工程である。このように成膜すれば、基板間や同一成膜対象面において、厚みのバラツキの少ない膜を成膜することができる。
また、基板600の成膜対象面610と左側面130cとの隙間の幅700、および右側面130dとの隙間の幅710が、等間隔に積層した基板600間のそれぞれの隙間の幅720と同一であると、これらの隙間を混合ガスが均一に流れるため、基板間や同一成膜対象面において、より厚みのバラツキの少ない膜を成膜することができる。
例えば、図13を用いて説明したように、混合ガス噴出口200から噴出される混合ガス810の噴出速度Vgを、混合ガス810の拡散速度Vdよりも早くすることが好ましい。
炭化珪素多結晶ウエハの製造方法においては、炭化珪素の原料となる塩化珪素ガスと炭素系ガスが原料ガスとなり、原料ガスとさらにこれらの原料ガスを運搬する役目を持つアルゴンガスやヘリウムガス等の希ガスや水素ガス等のキャリアガスを混合したものが、混合ガス810となる。混合ガス810は更に適宜窒素ガス等のドーパントガスやアルゴンガスを含んでもよい。塩化珪素ガスや炭素系ガス、キャリアガス等については、排ガス処理方法においてした説明と同様であるため、ここでは説明を省略する。
さらに、炭化珪素多結晶膜を成膜する場合には、塩化珪素ガスにおける珪素原子数に対する炭素系ガスにおける炭素原子数の比(C/Si)が重要であり、C/Siを0.7~1.3に制御することにより、基板600に炭化珪素多結晶の薄膜をエピタキシャル成長させることが容易となり、成長速度を大きくすることができて生産性の向上に繋がる。C/Siが0.7~1.3から外れた場合には、珪素原子と炭素原子の存在割合のバランスが悪くなることで、炭化珪素多結晶の成膜が困難となるおそれや、成膜速度が遅くなるおそれ、成膜に関与しない原料ガスが増えて無駄になるおそれがある。例えば、C/Siが0.7未満であると、未反応のSiが金属状態で膜に付着(ドロップレット)してしまうおそれがあり、欠陥発生の原因となる。また、C/Siが1.3を超えると、バンチングと呼ばれる表面段差が発生するおそれがあり、デバイスを作製する上で悪影響を与えることがある。より好ましくは、C/Siを0.8~1.2とする。
炭化珪素多結晶薄膜の成長速度は10μm/時間~70μm/時間とするのが好適であり、その際の塩化珪素ガスについては、上記で好適な例として挙げた塩化珪素ガスの濃度が1体積%~10体積%になるようにするのがよく、好ましくは2体積%~4体積%であるのがよい。一方の炭素系ガスについては、好適な例として挙げた炭素系ガスの濃度が0.01体積%~1体積%以下になるようにするのがよく、好ましくは0.02体積%~0.06体積%であるのがよい。なお、この濃度範囲は、一例としてC38の場合について例示したものであり、この濃度範囲を目安として、他の炭素系ガスを用いる場合には、カーボン(C)の量で等量となるように変更すればよい。例えば、炭素系ガスとしてメタン(CH)を用いる場合には、この濃度範囲の上限値及び下限値をそれぞれ3倍にすればよい。
また、炭化珪素多結晶薄膜の成長圧力については、成長温度と同様、炭化珪素薄膜をCVD成長させる際の一般的な条件をそのまま採用することができる。例えば、成長圧力を10,000Pa~110,000Paの範囲とするのがよい。
また、本発明の炭化珪素多結晶ウエハの製造方法では、複数のSi基板又はC基板を基板600とし、その成膜対象面610のそれぞれに炭化珪素多結晶薄膜を成長させることができる。一度の成膜処理における基板600の枚数については、特に制限はないが、5~10枚の基板から20枚~30枚、またはそれ以上の数の基板600まで、同時に成膜させることができる。
そして、基板600のそれぞれの表面に成長させる炭化珪素多結晶薄膜の膜厚については、適宜設定することができ、特に制限はないが、一般的には0.2mm以上5mm以下の範囲の膜厚に設定することができる。
また、本発明の炭化珪素多結晶ウエハの製造方法においては、炭化珪素多結晶薄膜をCVD成膜させる際の成長温度は1400K以上1800K以下の範囲にするのがよい。本発明では、結晶系が3Cの炭化珪素多結晶ウエハの製造を主目的としており、一般に、成長温度が1800Kより高い温度では、炭化珪素の成膜においてエピタキシャル成長が起こる場合があり、結晶系が4Hの六方晶が3Cと共に成膜されるおそれがある。また、成長温度が1400Kより低いと、炭化珪素の成長速度が遅くなり、厚い膜を作成するのに適していない条件となるおそれがある。炭化珪素の成膜において、温度が高くなると成長速度が速くなることから、結晶系が3Cの炭化珪素多結晶を高速成膜(10μm/Hr以上)できるよう、成長温度は上記のように1400K以上1800K以下の範囲にするのがよい。
(その他の工程)
本発明の炭化珪素多結晶ウエハの製造方法は、上記した成膜工程や排ガス処理方法以外にも、他の工程を含むことができる。例えば、基板ホルダー500に基板600同士を非接触で等間隔に積層して、基板600を基板ホルダー500に設置する工程や、基板600を設置した基板ホルダー500を成膜室100に設置する工程、製造装置1000を成膜できる状態に立ち上げる工程、成膜工程後に成膜室100を冷却する工程、成膜後の基板を成膜室100から取り出す工程等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の内容に制限されるものではない。
(実施例1)
基板600として、直径4インチ(100mm)、厚み1mmの炭素基板を9枚用意した。図9に示す炭化珪素多結晶ウエハの製造装置1000を用いて、熱CVD法により、基板600の成膜対象面610となる両面に炭化珪素多結晶膜を成膜し、炭化珪素多結晶ウエハを製造した。炭化珪素多結晶ウエハを製造後、排ガス処理装置900の下流に配置された排気配管350の内部を観察し、高次のクロロシランポリマー等の排ガス中の塩素含有珪素源ガスに起因する付着物の有無を確認した。
〈炭化珪素多結晶ウエハの製造装置1000〉
外筒1100は黒鉛製の両端坩堝から形成された筒状の形状であり、セラミック炉芯管1300に挿入されたものである。セラミック炉芯管1300および外筒1100の両端は金属製の固定フランジ1400で密閉され、黒鉛材料の酸化防止のために、内部にArガスが導入されている。そして、外筒1100の内部に成膜室100が保持冶具1200で固定されている。黒鉛製の混合ガス導入管210は、成膜室100の内部に混合ガス噴出口200が位置するように、保持治具1200および第1面100に挿入されて設置される。そして、黒鉛製の混合ガス排出管310は、成膜室100の内部に混合ガス排出口300が位置するように、第2面120に挿入されて設置される。成膜室100から排出される排ガスは、混合ガス排出管310を介して排ガス導入口920aより筐体910aの内部へ導入され、筐体910aの内部から排ガス排出口930aを介して排気配管350へ排出される。また、セラミック炉芯管1300を囲む円筒状の黒鉛製ヒータ400が設置されており、さらに、成膜室100および排ガス処理装置900aを外筒1100およびセラミック炉芯管1300と共に内部に収める筐体1500を備える。そして、成膜室100に供給された混合ガス810は、排気配管350に接続された未図示の真空ポンプを用いて製造装置1000から外部へ排出可能である。
製造装置1000において、セラミック炉芯管1300の寸法は外径210mm、内径190mmで厚みは均一であり、長さが700mmである。外筒1100は外径180mm、内径170mmで厚みは均一であり、長さが700mmである。また、成膜室100は、外形が118mm角で長さが320mmの直方体状であり、内形が110mm角で長さが312mmの直方体状であり、厚みは均一である。
(ガス噴出口200)
図10に示すように、第1面110に内径が12mmの混合ガス噴出口200が1列に4個配置されている。4つの混合ガス噴出口200は、管中心で22mmの等間隔に配置されている。また、混合ガス噴出口200の列は、第1面110における幅方向(列と直交する方向)の中央部に配置されている。
また、成膜室から排出されるSiCl2を含有する排ガスと、塩化水素ガスとを混合して混合ガスを得られるよう、混合ガス排出管310には内径10mmの塩化水素ガス導入管320を接続した。
(排ガス処理装置900)
排ガス処理装置900としては、図9に示す塩化水素ガス導入管320aおよび滞留板が無い黒鉛性で、排ガス導入口920aから排ガス排出口930aまでの直線距離900Lが50mm、100mm、200mmおよび300mmの4種類のボックス状の排ガス処理装置900を使用した。排ガス処理装置900は、内径100mmの円筒状であり、厚みは均一である。また、排ガス導入口920aおよび排ガス排出口930aの開口径は56mmであり、混合ガス排出管310および排気配管350の内径と同一である。また、排ガス処理装置900の温度はヒータ400により制御し、1100Kから1600Kまで変化させた。
(基板600の設置)
図12に示す態様のように、9枚の基板600を基板ホルダー500に設置した。基板600は、溝511および溝521によって基板ホルダー500に固定された状態で、成膜室100に設置した。図12(b)に示す態様のように、基板ホルダー500の上保持棒510は、上側面130aとの間に混合ガス810が侵入しないように上側面130aと密接させ、下保持棒520は、下側面130bとの間に混合ガス810が侵入しないように下側面130bと密接させた。基板600の成膜対象面610と左側面130cとの隙間の幅700、右側面130dとの隙間の幅710および、等間隔に積層した基板600間のそれぞれの隙間の幅720と同一とし、それぞれ10mmとした。なお、混合ガス噴出口200と基板ホルダー500との最短距離は、150mmとした。
(炭化珪素多結晶膜の成膜)
黒鉛材料の酸化防止のために、外筒1100およびセラミック炉芯管1300との間、および筐体1500内にArガスを流した。そして、未図示の真空ポンプによって成膜室100内を真空排気した後、混合ガス導入管210を使って水素ガスを毎分200cm3の流量で成膜室100へ導入しながら、成膜室100内の圧力を大気圧(101,325Pa)に調整した。その後、圧力を一定に保ちながら、第1面110の温度を1100K以下、および混合ガス噴出口200の温度を1200K以下に維持しつつ、成膜室100内の温度を1500Kまで上げた。そして、成膜室100へ導入する水素ガスの流量を毎分3.0リットルまで増加させた。その状態を3分間保持した後、この水素ガスへSiCl4ガスを毎分0.3リットル、CHガスを毎分0.3リットル、Arガスを毎分1.0リットル、水素ガスを毎分1.0リットル混合して混合ガス810とし、Vg>Vdの状態で基板600へ炭化珪素多結晶膜の熱CVDによる成膜を開始した。
排ガス処理装置900内で熱処理した後の排ガスは、コールドトラップ1700(ヤマト科学製CA301、ガラストラップを使用)に導入し、-20℃でSiClを液体化して回収した。
また、コールドトラップ1700の前の排気配管350にガスサンプリング用のサンプリング配管1610を接続し、差動排気を行って排気ガスをサンプリングして、四重極質量分析計1600(PrismaPlus製QMG220 マス比1-200)で排気ガスの成分を検知した。
成膜処理を4時間行った後、混合ガス810の供給やヒータ400による加熱を止めて基板600を室温まで冷却後、基板ホルダー500より炭化珪素多結晶膜が成膜した基板600を取り出した。炭化珪素は正常に成膜され、成膜に問題はなかった。また、成膜後の排気配管350の内部を観察し、高次のクロロシランポリマー等の排ガス中の塩素含有珪素源ガスに起因する付着物の有無を確認したところ、塩素含有珪素源ガスに起因する付着物は無かった。
また、基板600や製造装置1000の内部に析出したSiC量は、使用した原料が全量SiCとなった場合のSiC量の36質量%であった。ここで、原料ガス(塩化珪素ガス、炭素系ガス、Arガス、Hガス等の混合ガス)を0.3L/minで4時間供給した場合のSiClのモル数は約3.2モルになり、SiC析出量(36質量%)を除くと、排気されるSi系ガスはSiCl換算で約2モル(分子量169.9)、約348gであった。
基板600の温度を1500Kとして、排ガス処理装置900内部の温度を1100K~1600Kまで100K毎に変化させた。各温度で排ガス導入口920aから排ガス排出口930aまでの直線距離900Lが50mm、100mm、200mmおよび300mmである4種類の排ガス処理装置900を用いた。各直線距離900Lにおける混合ガスの排ガス処理装置900内部の滞留時間は、50mmで1.8秒、100mmで3.6秒、200mmで7.2秒、300mmで10.8秒であった。
四重極質量分析計1600による排ガスの測定では、Ar、H、SiCl、HClの元素が検出された。SiClやSiCl等のSiClが分解した塩化珪素類は検出されなかった。四重極質量分析計1600の測定でSiClが検出されたときにAr(質量数40)のピークと比を表6に示す。表6において、NDは未検出を示す。表6において、HClが0、0.2、0.5、1.0の単位はL/minであり、塩化水素ガス導入管320より排ガスに導入する塩化水素の量である。また、HCl/SiClが3.1、4.2、5.7、8.3は、塩化水素ガス導入管320より塩化水素を導入した後の、排ガス中のHCl/SiClのモル比である。
Figure 2022017028000007
コールドトラップ1700で回収したSiCl量(g)を表7に示す。基板上にSiClの36質量%が析出し、排ガス処理装置900内部で約10質量%がSiCとして析出した。
それらの析出を考慮すると、SiClの実際の回収量は、原料ガスのSiClが全量SiClに転換されると仮定して計算した回収量の結果に一致し、HCl/SiCl比が2以上、温度1200Kから1500KでSiClが特に多く回収できることが分かった。
Figure 2022017028000008
(従来例)
排ガス処理装置900および塩化水素ガス導入管320を備えておらず、排ガスが混合ガス排出管310より製造装置の外部へ排出される他は、製造装置1000と同構成である炭化珪素多結晶ウエハの製造装置3000(図8)を使用し、実施例と同様の条件で成膜処理を行って、成膜後の混合ガス排出管310の内部を観察した。炭化珪素は正常に成膜され、成膜に問題はなかったものの、原料のSiClガスに起因する付着物が混合ガス排出管310の内部に約300g付着していた。
(まとめ)
本発明により、排気ガスに塩化水素ガスをHCl/SiCl質量比が2以上となるように添加して混合ガスとし、熱処理温度を1200K以上1500K以下にして混合ガスを熱処理することにより、炭化珪素多結晶ウエハの製造装置内部の排気配管等へクロロシラン系ポリマーを付着させることなく、SiClに転換してSiClを回収することが可能であることが確認できた。
100 成膜室
110 第1面
110 成膜室
120 第2面
130 側面
130a 上側面
130b 下側面
130c 左側面
130d 右側面
200 混合ガス噴出口
210 混合ガス導入管
300 混合ガス排出口
310 混合ガス排出管
320 塩化水素ガス導入管
320a 塩化水素ガス導入管
350 排気配管
400 ヒータ
500 基板ホルダー
510 上保持棒
511 溝
520 下保持棒
521 溝
600 基板
610 成膜対象面
700 幅
710 幅
720 幅
800 混合ガス
810 混合ガス
900 排ガス処理装置
900a 排ガス処理装置
900b 排ガス処理装置
900L 直線距離
910a 筐体
920a 排ガス導入口
930a 排ガス排出口
940a 滞留板
941a 滞留板
941b 滞留板
942a 滞留板
942b 滞留板
1000 製造装置
1100 外筒
1200 保持治具
1300 セラミック炉芯管
1400 固定フランジ
1500 筐体
1600 四重極型質量分析計
1610 サンプリング配管
1700 コールドトラップ
2000 製造装置
3000 製造装置

Claims (5)

  1. 塩化珪素ガスおよび炭素系ガスを原料ガスとして用いて、炭素基板の表面に化学蒸着により炭化珪素多結晶を成膜する成膜室から排出されるSiCl2を含有する排ガスと、塩化水素ガスとを混合して混合ガスを得る混合工程と、
    前記混合ガスを熱処理して前記SiCl2をSiCl4に転換する熱処理工程と、
    を含む、排ガス処理方法。
  2. 前記混合ガスの熱処理温度が1200K以上1500K以下である、請求項1に記載の排ガス処理方法。
  3. 前記塩化珪素ガスがSiClまたはSiClである、請求項1または2に記載の排ガス処理方法。
  4. 前記混合工程における前記排ガス中のSiCl2と前記塩化水素ガスとの混合比は、モル比でSiCl2:HCl=1:1.5~8である、請求項1~3のいずれかに記載の排ガス処理方法。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の排ガス処理方法を含む、炭化珪素多結晶ウエハの製造方法。
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