JP2022016617A - 紙おむつ - Google Patents
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Abstract
Description
複合伸縮部材を製造するための装置として、ホットメルト材が塗布されたシートの表面に弾性部材が伸長した状態で配置された後、弾性部材を覆う状態で別のシートが配置される手法が提案されている。これにより、シート間に弾性部材が配置された状態で、2枚のシートと弾性部材との各相互間が接合されて複合伸縮部材が製造される(特許文献1参照)。
また、紙おむつが着用された状態(以下「着用状態」と略称する)において、着用者の肌に向かう側(内側)を肌面側とし、肌面側の反対側(外側)を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向と厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。そのほか、厚み方向から視ることを平面視とする。
また、紙おむつを構成する物品についても、長手方向,厚み方向および幅方向はこれに倣うものとする。
また、製造装置については、シート材や糸ゴムの搬送方向が紙おむつの幅方向に対応し、搬送方向に直交する幅方向が紙おむつの長手方向に対応する。
紙おむつおよびギャザーの製造装置に共通する構成について説明する。
[1-1.紙おむつの全体構成]
まず、図1を参照して、紙おむつ1の基本的な構成を説明する。
ここでは、紙おむつ1は幅方向Wの中心線CLを基準として対称に構成されている。この紙おむつ1は、長手方向Lに沿って前身頃1A、股下部1Bおよび後身頃1Cの三つの領域に大別される。
はじめに、紙おむつ1のシート類について述べる。
図1に示すように、紙おむつ1には、前身頃1A、股下部1Bおよび後身頃1Cに亘って長手方向Lに延びる吸収体10(太破線で示す)が内蔵されている。ここでは、展開状態の正面視において、前身頃1Aおよび後身頃1Cよりも股下部1Bのほうが幅方向W寸法の小さい砂時計形状の吸収体10を例示する。
吸収体10に対して、肌面側にはセンターシート11が積層され、非肌面側にはバックシート12が積層されている。これらのシート11,12の幅方向W側方にはサイドシート13が配置されている。
つぎに、図1~図3を参照して、紙おむつ1のギャザー15について述べる。
ギャザー15は伸縮性を備えた複合伸縮部材として構成される。
ギャザー15として、ギャザー16,17,18を例示する。一つは、サイドシート13の肌面側端縁部に設けられた立体ギャザー16である。もう一つは、前身頃1Aと後身頃1Cとに設けられたタミーギャザー17である。更にもう一つは、サイドシート13の非肌面側において幅方向端縁部に設けられたセカンド立体ギャザー18(図1では図示省略)である。
また、糸ゴム20の外周には、糸ゴム20よりも融点の低いステアリン酸マグネシウムからなる被覆層が設けられている。
図4を参照して、ギャザー15の製造装置100(複合伸縮部材の製造装置)について、製造対象をタミーギャザー17とする製造装置100を例に取り説明する。
製造装置100は、シート材15a,15bの間に糸ゴム20を挟み込んだ状態で、糸ゴム20とシート材15a,15b、および、シート材15a,15bどうしを超音波溶着させて接合する接合装置200を有する。接合装置200は、アンビルローラ210と、ホーン220とを有する。
[2-1.ギャザーの要部構成]
第一実施形態のギャザー15について、タミーギャザー17の一例(以下「タミーギャザー17A」という)を例にとり、図5を参照して説明する。
タミーギャザー17Aは、上述したように、シート材15a,15bに糸ゴム20を挟んだ状態において、これらシート材15a,15b及び糸ゴム20が、糸ゴム20と交差するように形成された溶着線30により相互に溶着(接合)されて構成される。溶着部(溶着線30)では、シート材15a,15b又はシート材15a,15bと糸ゴム20とが溶着される。そのため、溶着部は、その他の溶着していない箇所とは異なる外観や肌触りをした箇所として、シート材15a,15bの表面(互いに反対側を向く面)に現れ、視覚や触覚により認識することができる。
なお、図5に示す例では、糸ゴム20の並び方向は、紙おむつ1の長手方向Lに沿って配向される。そこで以下「並び方向L」と記載することがある。また、糸ゴム20の伸縮方向は、紙おむつ1の幅方向Wと等しい。そこで以下「伸縮方向W」と記載することがある。
なお、図5では角度θ1と角度θ2とが等しい例を示す。つまり、第一溶着部30Aと第二溶着部30Bとは、伸縮方向Wに対して同じ角度で正反対に傾斜している。
ここで、角度θ1とは、伸縮方向Wに平行な直線と第一溶着部30Aとが成す角のうち鋭角をいう。また、角度θ2とは、伸縮方向Wに平行な直線と第二溶着部30Bとが成す角のうち鋭角をいう。
また、第一溶着部30A及び/又は第二溶着部30Bに交差する糸ゴム20の本数を増減させることで着用者に対する襞40の接触面積を変化させ、着用感を容易に調整できる。糸ゴム20の本数を増やすと、接触面積は減少する傾向にある。
また、各溶着部30A,30Bにおいて交差する糸ゴム20の本数を増減させることで、タミーギャザー17Aの締め付け具合や柔軟性を調整できる。
したがって、着用者の年齢・性別や目的等に応じて、タミーギャザー17Aに排泄水分の漏洩防止機能を付与したり、着用感の向上を図ることが可能になる。
溶着線30の形状、複数の溶着線30の配置パターンは、図4に示す接合装置200のアンビルローラ210に設けられた凸条の形状・配置パターンに対応している。したがって、寸法d1,d2が大きすぎると、複数の溶着線30に対応するアンビルローラ210の凸条どうしの周方向に離間する距離が大きくなるので、凸条とホーン220との間でシート材15a,15b及び糸ゴム20が加圧される箇所と、加圧されない箇所との距離が大きくなって、加圧力が一様ではなくなり、操業上トラブルを引き起こすおそれがある。また、凸条の相互間距離が適切な範囲から外れると、共振が発生してアンビルローラ210とホーン220とが振動するおそれがある。溶着線30による接合強度は、アンビルローラ210とホーン220との間の加圧力と、アンビルローラ210に入力される超音波振動の大きさとによって変動することから、寸法d1,d2が適切な範囲から外れると接合強度が不均一になることがある。また、寸法d1,d2を適切な範囲にすることで、通気性及び柔軟性のバランスを向上させることができる。上記の観点から、寸法d1,d2の好適な範囲は、それぞれ3mm以上10mm以下である。
角度θ1,θ2を上記範囲とすることで、凸状の襞40の着用者に対する接触面積を調整することが容易になる。つまり、着用者に対するフィット性、クッション性及び肌触り等の着用感の調整が容易になる。一方、角度θ1,θ2が小さすぎると、溶着線30が並び方向Lに対して密になり、シート材15a,15bに対する溶着部の割合が大きくなるため、肌触りが固くなると共に、柔軟性が低下することがある。したがって、フィット性、クッション性、接合強度、肌触り及び柔軟性のバランスに優れるという観点から、角度θ1,θ2は上記範囲が好ましい。なお、図5では、角度θ1,θ2は85°である。
本実施形態のアンビルローラ210の凸条について、タミーギャザー17Aの製造に使用されるものを例に取り説明する。
タミーギャザー17Aの溶着線30は、本実施形態のアンビルローラ210の凸条が転写されたパターンに対応し、タミーギャザー17Aの糸ゴム20のピッチは、アンビルローラ210の外周面に供給された糸ゴム20のピッチに対応する。
したがって、図5(c)を参照して説明した各寸法a,b,c,d1,d2,i及び角度θ1,θ2も、アンビルローラ210の各種寸法の説明として置き換えることができる。
(1)本発明によれば、ホットメルト材を使用せずに新規なギャザー15を容易に製造することができる。
(2)特定形状の溶着線30により、2枚のシート材15a,15bどうしおよび糸ゴム20とシート材15a,15bどうしとを溶着することで、溶着線30に沿って凸状の襞40が形成される。このような凸状の襞40によれば、直線状の溶着線(角度θ1,θ2が90°の溶着線)に沿って形成される凸状の襞と比較して、着用者に対する襞40の接触面積が調整されるため、着用者に対するフィット性、クッション性及び肌触り等の着用感を向上させることができる。
(3)また、第一溶着部30A及び/又は第二溶着部30Bに交差する糸ゴム20の本数を増減させることで襞40の接触面積を変化させ、着用感を容易に調整できる。
(4)さらに、各溶着部30A,30Bにおいて交差する糸ゴム20の本数を増減させることで、タミーギャザー17Aの締め付け具合や柔軟性を調整できる。したがって、着用者の年齢・性別や目的等に応じて、タミーギャザー17Aに排泄水分の漏洩防止機能を付与したり、着用感の向上を図ることが可能になる。
溶着線30の各寸法a,b,c,d1,d2,i及び角度θ1,θ2は図5(c)に示すものに限定されず、各寸法a,b,c,d1,d2,i及び角度θ1,θ2を変更してもよい。
また、溶着線30における複数の第一溶着部30Aのそれぞれの寸法aは、互いに異なっていてもよい。同様に、溶着線30における複数の第二溶着部30Bのそれぞれの寸法bは、互いに異なっていてもよい。また、隣接する糸ゴム20,20の並び方向Lの相互間距離(寸法c)は、互いに異なっていてもよい。また、幅方向Wに並設された複数の溶着線の相互間距離(寸法d1,d2)は、互いに異なっていてもよい。
[3-1.ギャザーの要部構成]
本実施形態について、タミーギャザー17の一例(以下「タミーギャザー17B」という)を例にとり、図8を参照して説明する。なお、第一実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図8に示す例では、シート材15a,15bの中心を通り伸縮方向Wに延在する中心線CL3上で、第一溶着部30Aと第二溶着部30Bとが連設されており、中心線CL3上に連設点Pxが位置する。なお、図8では、角度θ1と角度θ2とが等しい例を示す。図8におけるθ1とθ2は80°である。このように構成された溶着線30の形状は、中心線CL3を境に溶着部30A,30Bを反転させた「くの字形状」又は「逆くの字形状」である。なお、以下においては「くの字形状」の溶着線30を「溶着線30-3」と記載し、「逆くの字形状」の溶着線30を「溶着線30-4」と記載する。
図8に示す例では、シート材15a,15bの中心を通り、並び方向Lに延在する中心線CL4に対して互いに線対称になるように、第一溶着パターン300Aと第二溶着パターン300Bとが配置されている。このような溶着線30の形状や溶着パターンの配置に起因して、第一溶着パターン300Aと第二溶着パターン300Bとの間の中央領域には、溶着線のない領域S1が形成され、シート材15a,15bの幅方向W及び長手方向Lの端部領域には、溶着線のない領域S2が形成される。
その他の構成は第一実施形態と同様であるので説明を省略する。
(1)本発明によれば、ホットメルト材を使用せずに新規なギャザー15を容易に製造することができる。
(2)特定形状の溶着線30により、2枚のシート材15a,15bどうしおよび糸ゴム20とシート材15a,15bどうしとを溶着することで、溶着線30に沿って凸状の襞40が形成される。凸状の襞40が形成された領域(溶着領域)は、溶着線30のない領域S1,S2(非溶着領域S1,S2)と比較して、着用者に対する襞40の接触面積が低減されるため、溶着線30により着用者に対するフィット性、クッション性及び肌触り等の着用感を調整することができる。また、非溶着領域S1,S2ではタミーギャザー17Bの柔軟性に優れる。したがって、溶着領域と非溶着領域S1,S2との配置、つまり、溶着線30の配置により、着用者に対するフィット性、クッション性及び肌触り等の着用感と柔軟性とのバランスの向上を図ることができる。
(3)また、吸収体10の長手方向Lに沿った延長線上に領域S1が位置するように溶着線30を配置することで吸収体10の通気性が向上する。その結果、吸収体10に保持された排泄水分の揮発が促進され、着用者の快適性が向上する。
(4)溶着線30により、シート材15a,15b又はシート材15a,15b,糸ゴム20が接合した溶着部は、溶着していない箇所(非溶着部)と比較して固くなり、柔軟性が低下することがある。紙おむつ1を製造する際には、図1に示す幅方向端縁部14aどうしが貼り付けられるため、幅方向端縁部14aに溶着線30が重複すると、柔軟性がさらに低下することがある。タミーギャザー17Bによれば、溶着線30の形状に起因して、溶着線30のない領域S2が形成されるため、幅方向端縁部14aと溶着線30との重複が抑制される。したがって、タミーギャザー17Bの柔軟性に優れる。
(5)本実施形態によれば、タミーギャザー17Bの長手方向Lの端部領域と、長手方向Lの中央領域とでは、溶着線30の形状に起因して糸ゴム20の伸張状態が異なるため、タミーギャザー17Bの締め付け具合が調整される。したがって、着用感を局所的に調整でき、着用者の年齢・性別や目的等に応じて、タミーギャザー17Bに排泄水分の漏洩防止機能を付与したり、着用感の向上を図ることが可能になる。
第一実施形態と同様に、溶着線30の各寸法a,b,c,d1,d2,i及び角度θ1,θ2は特に限定されず、各寸法a,b,c,d1,d2,i及び角度θ1,θ2を変更してもよい。
また、第一溶着パターン300Aと第二溶着パターン300Bとを交互に複数配置してもよい。
また、図9に示すように、第一溶着パターン300Aと第二溶着パターン300Bの配置位置を、左右反転させてもよい。
上記の実施形態では、本発明の複合伸縮部材をタミーギャザー17に適用したが、立体ギャザー16またはセカンド立体ギャザー18にも適用でき、ギャザー以外の伸縮を必要とする箇所にも適用できる。
複合伸縮部材に用いられる糸ゴム20に替えてまたは加えて、伸縮性のフィルム(弾性部材)を用いてもよい。この場合には、上述した糸ゴム20と同様に、フィルムの外周に低融点の被覆層が設けられる。
15 ギャザー(複合伸縮部材)
15a,15b シート材
16 立体ギャザー(複合伸縮部材)
17,17A,17B タミーギャザー(複合伸縮部材)
18 セカンド立体ギャザー(複合伸縮部材)
20 糸ゴム(弾性部材)
30,30’,30’’ 溶着線
30A 第一溶着部
30B 第二溶着部
300A 第一溶着パターン
300B 第二溶着パターン
40 襞
L 長手方向(糸ゴム20の並び方向)
W 幅方向(糸ゴム20の伸縮方向)
Claims (4)
- 2枚のシート材と、前記シート材の相互間において伸縮方向と交差する並び方向に複数並設された弾性部材とを、前記複数並設された弾性部材のそれぞれと交差するように線状に形成された複数の溶着線によって溶着した複合伸縮部材を具備し、前記複合伸縮部材として構成されるタミーギャザーが前身頃と後身頃とに設けられ、前記前身頃と前記後身頃とを結ぶ方向である長手方向に沿って前記並び方向が配向され、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向である厚み方向及び前記長手方向と直交する幅方向が前記伸縮方向と等しい紙おむつであって、
前記溶着線は、くの字形状若しくは逆くの字形状又は円弧状であって、
前記2枚のシート材が溶融して接合されるとともに前記伸縮方向の一方側に傾斜する第一溶着部と、
前記2枚のシート材が溶融して接合されるとともに前記伸縮方向の他方側に傾斜する第二溶着部と、を連設して構成され、
前記第一溶着部及び前記第二溶着部は、それぞれ少なくとも2つの前記弾性部材と交差し、
前記第一溶着部の一端と前記第二溶着部の一端との連設点は、前記第一溶着部の他端及び前記第二溶着部の他端と、前記並び方向に沿った前記溶着線の中心線に対して反対側に位置し、前記2枚のシート材の中心を通り前記伸縮方向に延在する中心線上に位置し、
前記伸縮方向において少なくとも2つの隣接する前記溶着線からなる第一溶着パターンと、
前記第一溶着パターンと線対称な第二溶着パターンと、が前記伸縮方向に沿って並設され、
前記2枚のシート材の中心を通り前記並び方向に延在する中心線に対して線対称となるように、前記第一溶着パターンと前記第二溶着パターンとが配置され、
前記第一溶着パターンと前記第二溶着パターンとの間の中央領域には、前記溶着線のない領域が形成された
紙おむつ。 - 前記連設点は、前記第一溶着部の前記他端及び前記第二溶着部の前記他端と、前記並び方向に沿った前記溶着線の中心線に対して前記幅方向の端縁部側に位置する
請求項1に記載の紙おむつ。 - 吸収体の前記長手方向に沿った延長線上に前記溶着線のない領域が位置するように前記溶着線が配置された
請求項1に記載の紙おむつ。 - 前記2枚のシート材の前記伸縮方向及び前記並び方向の端部領域には、前記溶着線のない領域が形成された
請求項1又は2に記載の紙おむつ。
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